中央環境審議会大気・交通公害合同部会
第9回自動車排出ガス総合対策小委員会


1.日  時   平成12年8月11日(金) 14:00〜16:00

2.場  所   環境庁第一会議室

3 出席者

(委員長)  岡 田   清
(委  員)  浅 野 直 人       伊 藤 桂 子
         猿 田 勝 美       大 聖 泰 弘
         永 田 勝 也       松 下 秀 鶴
         横 山 長 之
                          (五十音順)
(事務局)  大気保全局長       大気規制課長
         企画課長          自動車環境対策第二課長 他
         自動車環境対策第二課長 他

4 議 事

(1)平成11年度における特定地域内の大気汚染状況について(速報値)
(2)自動車排出ガス総合対策の充実・強化の考え方[3]
   ○目標設定の考え方について
   ○特定地域設定の考え方について
   ○総量削減計画の進行管理について
(3)今後の自動車排出ガス総合対策中間報告骨子(案)について
(4)その他

5.配 付 資 料

資料1  自動車排出ガス総合対策小委員会委員名簿
資料2  平成11年度における特定地域内の大気汚染状況(窒素酸化物・浮遊粒子状物質)について
資料3  目標設定の考え方について
資料4  特定地域設定の考え方について
資料5  総量削減計画の進行管理について
資料6  今後の自動車排出ガス総合対策中間報告骨子(案)
資料7  自動車排出ガス総合対策審議スケジュール(案)
資料8  第5回自動車排出ガス総合対策小委員会議事録
資料9  第6回自動車排出ガス総合対策小委員会議事録(案)

【事務局】 それでは定刻となりましたので、中央環境審議会大気・交通公害合同部会、第9回の自動車排出ガス総合対策小委員会を始めさせていただきたいと思います。本日は、小委員会の委員12名のうち8名の委員の出席が予定されておりまして、現在7名の方の出席をいただいております。まだお見えでない永田委員は、少しおくれるというご連絡をいただいております。既に会議の開催要件を満たしておりますので、始めさせていただきたいと思います。
 議事に先立ちまして、まず資料の確認をさせていただきます。
 議事次第に続きまして資料一覧、一枚物がございます。
 資料の1は、いつも配付させていただいております委員の名簿でございます。資料の2は、平成11年度における特定地域内の大気汚染の状況についてでございます。資料の3は一枚物で、目標設定の考え方について。資料の4は、特定地域設定の考え方について。資料の5は、総量削減計画の進行管理について。資料の6が、今後の自動車排出ガス総合対策中間報告骨子(案)でございます。資料の7は審議スケジュール。資料の8は、第5回のこの小委員会の議事録でございます。これは委員の確認をいただいておりますので、この形で公表という扱いにさせていただいております。資料の9は委員にのみ配付させていただいておりますが、第6回の小委員会の議事録(案)でございまして、これは先生方の確認をいただきました後、公表させていただきたいと思っております。何かご意見等ございましたら、一週間程度、8月18日ごろまでに事務局までご連絡いただければと思います。
 資料過不足等ございましたら、事務局にお願いします。もしよろしければ、議事は岡田先生にお願いいたします。よろしくお願いします。

【委員長】 本日は、大変お忙しいところをお集まりをいただきましてまことにありがとうございます。
 議事の1の平成11年度における特定地域内の大気汚染状況について、事務局の方からご説明をお願いいたします。

【事務局】 それでは、私の方から説明をさせていただきます。
 資料の2をごらんください。
 私ども大気規制課、それから自動車環境対策第二課では、自治体からの報告に基づきまして平成11年度における全国の大気汚染状況を集計中ですけれども、一部の自治体からは平成11年度の状況が公表されつつありまして、浮遊粒子状物質、あるいは二酸化窒素の環境基準の達成率が例年になく高くなっているといった記事なども出つつございます。東京都では5月、6月の2回、学識経験者を含む平成11年度大気汚染測定結果検討会を開催しまして、7月に開催結果の報告を出したところですけれども、環境庁におきましては、きょう、この委員会で審議をいただくために自動車NOx法の特定地域におけるNOx、NO2 、SPMにつきまして、とりあえず取りまとめを行い、気象状況などについても情報を収集したところです。お手元に示しましたデータは速報値でありまして、今後のデータチェックなどで一部修正される可能性がございますけれども、特徴、あるいは傾向はとらえていただけるものと考えております。
 まず先に、結論からちょっと申し上げたいと思います。
 資料の2の一番後ろのところをごらんください。まとめということで書かせていただいておりますけれども、11年度について見ますと、自動車NOx法の特定地域におけるNO2 及びSPMの環境基準の達成率というのは、例年になく高くなっております。これらの年平均値は長期的に見て横ばい、または緩やかな減少傾向にあったわけですけれども、11年度は総じて近年になく大きく減少しております。その特徴は、この3つほど挙げられるかと思います。一つが、年間を通じて全体的に低めの傾向にあること。それから2つ目として、例年とは異なって、SPMですけれども、夏に濃度の低下が見られること。それから3つ目として、冬ですが、高濃度の出現日が例年に比べて少ない。こういった特徴がございます。こういった内容につきまして、これから資料に沿いまして説明をさせていただきたいと思います。
 1ページの方にお戻りください。
 まず窒素酸化物、二酸化窒素についてでございますけれども、特定地域全体で320局が一般局でございます。それから自動車排出ガス局として172局ございますけれども、下の図の1−1に示しましたとおり、一般局で320局中304局、95%の達成を見ております。自動車排出ガス局では59.3%ということで、いずれも今までよりも11年度で達成率が上がってきているという傾向を見ていただけるかと思います。
 2ページは、特定地域を上の段が関東地域、首都圏、それから下の段が大阪・兵庫圏ということで分けてございますけれども、首都圏地域は、今申し上げましたような傾向にございますし、関西の方では、特に右側の図になりますが、自排局では、これは見ますと8年ぐらいから9年、徐々に達成率が上がりつつあるようにも見えます。いずれも11年度達成率の向上を見ているということでございます。
 [2]ですが、年間98%値の動向について見ますと、3ページのグラフに示してございますけれども、3ページのグラフは年間の98%値を、それぞれ低い方から高い方まで並べましたときの下から10%、25%、50%といった、上が90%のところにくる値ということで示したものを、平成7年から11年度ということで示したものでございます。左が一般、右が自排局ですけれども、少しずつ上がってきているように見えたものが11年度には下がっているという傾向がございます。同じものを累積曲線で示しましたものが図の1−2−2ですけれども、黒い線が11年度でございます。赤が7。8、9、10ということで、それぞれ示してございますが、いずれも一般局、自排局ともに98%値の分布というものは低い方に推移した。過去4年との比較で見ると、特異的に下がっているように見受けられます。
 4ページをごらんください。
 4ページはNO2 の高濃度の出現日につきまして、4月から3月までの出現割合を示したものでございます。平成7年から11年度ということで図示してございますが、11年度は黒の太い実線でございます。いずれも一般局、自排局ともに同じ傾向にありますけれども、例年冬に多く見られる高濃度日が11年度においては低い水準で推移している傾向がございます。
 5ページは、その年平均値及び月平均値の推移を示したものですけれども、自動車排出ガス、下のグラフの上の高い方に見えるのがNOxの推移、それから下の方に見えるのがNO2 の推移ですけれども、自動車排出ガス局のNOxについて見ますと、緩やかではありますが減少の傾向が見られます。一般局におけるNOx、あるいはNO2 につきましては、ほぼ横ばいというふうな傾向かと思われます。
 6ページは月の平均値につきまして年度の比較をしたものでございますが、上から特定地域全体、真ん中が首都圏、下が大阪・兵庫圏、左が一般局、右が自排局というグラフでございます。例年と比べますと、11年度いずれも低めの値、低めのところをはっているように見受けられます。
 右の7ページがNO2 について、やはり同じ月平均値を見たものですけれども、NO2 の場合には、特に夏場に低くなっている傾向が見ていただけるかと思います。こういった特徴がございました。
 以上が窒素酸化物に関する傾向ですけれども、8ページをごらんください。
 8ページは浮遊粒子状物質に関する11年度の傾向です。特定地域内、一般局321局、自動車排出ガス局143局におけるデータですけれども、下の図の2−1を見ていただきますとおり、一般局におきましては321局中240局が達成をし、74.8%の達成率になっています。自動車排出ガス局の方は63.6%ということで、いずれも今までの達成率と比べますと、ここでかなり達成率が上がっているという傾向にございます。首都圏も関西を見ますと同じ傾向に見えます。唯一関西の場合には、10年度ぐらいから少し上向きの傾向が見られるかというところですが、11年度でかなり上がっていることには共通点がございます。
 9ページは、その環境基準の達成率の評価に関係してきます年間2%除外値の動向を、先ほど窒素酸化物で見ていただいたような絵で見たものですけれども、やはりここでも同じような傾向がありまして、ほぼ横ばいで推移してきていたものが、11年度に入りまして全体に低下が見られるところです。特に下の図の2−2−2を見ていただきますと、累積曲線を見ますと、過去4年間の累積曲線とは大きくかけ離れまして低い方にシフトをしている。特に高濃度を測定した局が減少したといった傾向が見ていただけるかと思います。
 10ページをお開きください。
 10ページは、やはり高濃度日の出現状況につきまして、高濃度日1日平均値0.1mg/‰を超える日ということで見ますと、ここでも11年度、黒い太線ですが、過去4年に比べまして、いずれも下をはっております。例年夏、あるいは冬に見られる高濃度日ですけれども、11年度におきましては低い水準で推移しました。
 11ページはSPMの年平均値の推移です。一般局、自排局ともに、近年横ばいから緩やかな減少の傾向が見られるところです。11年度におきましては、その減少傾向よりも少し、さらに減っているように見受けられます。
 12ページをごらんいただきますと、12ページは月の平均値につきましての推移です。ここでも11年度のグラフ、黒い実線ですけれども、過去4年に比べまして、いずれも下をはっている、そういう傾向がございます。それから例年とは異なりまして、夏、7月とか8月ですけれども、特に首都圏、真ん中の部分ですが、夏に濃度が低くなる、そのような傾向が見られますし、冬のピークも低い、そういった傾向がございました。
 13ページのグラフは、それぞれの測定局が平成10年度と比べてどの程度の割合で低くなったのか、年平均値を単純に比をとって、その分布を見たものです。黒い実線がSPMをあらわしておりまして、上が一般局、下が自動車排出ガス局ですけれども、一般局のSPMについて見ますと、10年度との比較では、大体0.8くらいのところにピークがあるように見受けられます。自動車排出ガス局の場合には、少し山が重なっているのかもしれませんけれども、それよりも若干高め、0.8〜0.85くらいの比率のところにおさまってきている。NOx、あるいはNO2 につきましては、特にNO2 につきましては一般局の場合には0.90くらいの比率、自排局では0.95くらいの比率で年平均値が下がっている傾向が見受けられました。
 その理由というのでしょうか、背景となる気象について見てみましたものが14ページ以降ですけれども、昨年度の気象の特徴としまして、特に夏ですけれども、7月においては特に東日本で雨量が平年を上回ったとか、あるいは高気圧がこの位置にあるといったことの中で、比較的強い南西風が卓越したと、そういう傾向がございます。それからもう一つ、図の3−1−2に示してありますように、太平洋高気圧の勢力が非常に北に偏っていたということで、西日本の方は高気圧の周辺部に当たることから台風だとか熱帯大気圧が接近しやすく、降水量が多く、日照時間も少ないといった特徴がございました。1月につきましては、15ページの頭ですけれども、西高東低の気圧配置が持続せず天気が変化したこと、そういった特徴があったようです。特に風速につきまして特徴が見られます。15ページの[2]に示しましたものが、上の3−2−1の図ですけれども、上が東京管区気象台、下が神戸海洋気象台ですけれども、過去10年間の平年の平均風速と11年度を比べたものですが、特に7月において標準偏差を上回る強い風速が記録されております。逆に、冬は少し風が弱いといった傾向が東京管区に見られます。関西の方では、4月に風が強く1月に低いといった傾向が見られるところです。
 16ページをごらんください。
 その風速の出現頻度について見たものですけれども、図の3−2−2は東京管区気象台の7月と8月の風速の階級別出現頻度です。黒いほど風が強いということで見ていただきますと、11年度は比較的風が強い傾向があったということをごらんいただけるかと思います。同じ16ページ、[3]ですが、風向ですが、東京の場合には比較的南西の風が例年に比べて強くなっている割合が多くなっている、そういう傾向がございました。
 17ページですけれども、冬につきましての特徴ということで見ていただくものですが、大気の安定度ということに着目したものです。図の3−4−1が館野における1月と2月の気温減率の出現頻度です。黒いところほど気温減率が正になり、かつ黒の部分が1度以上ということで、これは高さが92メートルの温度差を示しているものですが、11年度において、その安定となるその黒い部分、この出現頻度が低くなってきている、そういう傾向が見られます。一方関西ということで豊中なんですが、関西、ちょうどこういういい、気温減率を直接はかっているものがなくて、パスキルの安定度ということで当てはめたもので比較したものですけれども、11年度について見ますと、比較的大気が安定しているというE、F、Gという分類、色でいくと黒い方になっていきますけれども、11年度、それらが若干低めの傾向にあるといったことで、冬につきましてはこういった安定の日が少なかった。逆に言えば、比較的大気の循環がよかった。そういったことから、冬の高濃度の出現がある程度抑えられたのではないかと推測しているところです。
 最後になりますが、まとめになりますけれども、今申し上げたことをまとめさせていただいたところですが、先ほど申し上げたこの3つの特徴が11年度にはございまして、今、見ていただいたとおり、この原因が必ずしも明らかではありませんけれども、首都圏での夏の強い風による拡散効果、冬では大気が安定する日が例年よりも少なかったといった11年度の特異な気象が、その要因の一つと考えられると思われます。
 以上、資料の2につきまして説明を終わらせていただきます。

【委員長】 どうもありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、ご質問、ご意見などお出しいただきたいと思います。

【委  員】 昨年、前回でもちょっと局地対策のことが話題になりましたけれども、こういう、いわゆるワースト10とか、局地汚染の厳しいところの改善というのはどういう状況なんでしょうか。

【事務局】 現在全体の集計をしているところでして、例年ピンク本とかブルー本とかということで9月の終わりとか10月ぐらいにまとめさせていただいて、今、その作業をしているところで、そういったワースト10とか、そういったところまで現在、今お示しできる状態には、申しわけありませんがなっていません。

【委  員】 確かに気象条件はSPMとかNO2 を減らすような方向に動いていますけれども、気象条件以外の要因として、例えばここ数年ダイオキシン騒ぎで小さな焼却炉とかなんかとめてしまったというような影響もあろうかと思うんですが、そういうのは調べようがないんでしょうかね。

【事務局】 確かに気象だけでこのすべてがという話になるかどうかはあるんですが、  ただ一方で月別の平均値などを見ていただくと、やはり全体的に低い中で、例年  と比べてある月に大きく偏っているというようなことを見ると、確かに今までの  いろいろ打ってきた施策の累積としての効果だとか、それからダイオキシン問題  に端を発して廃棄物焼却炉にかなり管理のレベルが上がったとか、そういう要素  は考えられるわけですが、この10から11の大きな変化というのは、かなり気  象のウエートが高いのかなというふうに、今のところは思っておりますが。

【委  員】 気象条件がかなりの影響があるというふうに考えますと、この特定地域だけではなくて、全国的なということも当然推測ができるんですが、集計ができているのかどうかということはちょっとわかりませんが、その辺の状況はいかがでしょうかね。

【事務局】 このレポートは、ここの小委員会で主として特定地域をということで、特定地域に限って先取り的にまとめないといけないということで作業をしたものでございます。全国については例年のペース、9月の末とか10月の頭に取りまとめるといったペースで進めておりますが、いわば途中段階のものをちらっと見た感じでは、このような傾向というのが割と、これ以外の地域でも似たような状況になっている。ただ、もちろんSPM、NOx、NO2 いずれも、こういった地域がもともと環境基準が低かったものですので、この首都圏、近畿圏というところで、いわばかなり特徴が拡大されて見えているということになるかとは思います。ほかの地域が全く逆の振れをしているという感じは、今、途中段階であれしているのでは印象としては受けておりません。

【委  員】 今の点については、多分事務局の言うとおりだと思います。福岡市は環境基準をクリアできてしまいましたので。オーバーしている、オーバーしているといっていろいろ言っていたのに、言えなくなったので辛いなという話。

【委  員】 それは非常に喜ばしいことですけれども、それがいつまで続くかという問題だろうと思うんですが。
 結論的には、確かに11年はかなり環境基準達成率はよくなったけれども、まだ喜ぶ段階ではないと。今後どうなるかということだろうと思うんですね。単年度だけきれいになったから、今後も12年度、13年度もこの傾向でいくだろうという保証はないわけで、そういうところで気象条件とか、いろいろのほかのファクターを考えなければいけないということですが。6ページの、NOxの濃度の月平均値を見ますと、確かに11年度は少し黒の実線ですから低い傾向はありますけれども、NO2 ほどの変化はないわけですよね。NOxで見ると余り差はない。NO2 で見るとちょっとばらつきがあるので、その辺が何がこれの原因になっているのか、その要因として何があるのかということを解析していただければありがたいと思うわけで、その辺を一つ。
 それから、これもここでということでは……。先ほどちょっと拝見していて、SPMのグラフのY軸の方のがppbで書いてあったのがあったかなと思ったんで、mg/‰のお間違えではないかなと思ったのが12ページ。

【事務局】 間違えです。

【委  員】 そうですね。これはmgで。ppbと書いてあるんで、それだけです。

【事務局】 12ページの図の2−4−2のところで、縦軸の単位がppbなってますが、これSPMでございますので、mg/‰で訂正、お願いいたします。

【委員長】 よろしゅうございますか。どうぞ。

【委  員】 これはちょっとお願いですが、今、地球規模でいうと異常気象がずっと進行してますですね。すると異常気象が、地球温暖化現象が進むと気象条件がどんどん変わってくる。大気汚染は昔から気象要因で非常に大きな要因だったわけですが、それが長期的なトレンドでその気象条件が変わってくると、そういうことはいつもある。長期的なその気象条件を頭に入れた上での汚染現象の解明というのは非常に必要になってまいりますですね。ですから、そういうことも視点に入れた解析というのを将来やっていただけたら、非常にありがたいというふうに思います。

【委員長】 よろしゅうございますか。
 それでは続きまして議事の2、自動車排出ガス総合対策の充実・強化の考え方について、事務局の方からご説明をお願いいたします。

【事務局】 それでは、まず資料3からご説明させていただきたいと思います。資料3は、目標設定の考え方についてご討議いただくために用意させていただいた資料でございます。
 まず達成水準についてでございますが、窒素酸化物につきましては、現行の総量削減基本方針におきまして、NO2 の環境基準を平成12年度までにおおむね達成することを目標としておりました。しかしながら、環境基準の達成率はほぼ横ばいで改善は見られずと、先ほどの資料のことは別といたしまして、改善はそれまでの傾向といたしましては見られていなかったということがございまして、この目標の達成は困難と考えられると。このため、新たな対策においても引き続きおおむね達成を目標とすべきではないかということが1点目でございます。
 続きまして粒子状物質でございますが、粒子状物質に関しましては、ディーゼル排気微粒子について近年発がん性などの有害性に関する指摘が国際的に高まっており、我が国においても現在健康リスクの評価が行われております。このため、PMによる健康リスクを低減するために、自動車排出PMの多い地域については、早期に可能な限りの削減を目指すべきではないかというのが2点目でございます。
 以上が達成水準についてでございます。
 続きまして目標年についてでございますが、現行の総量削減計画におきましては、7年間を目標計画期間としております。新たな対策の目標年次につきましては、車種規制を初めとする施策の効果を考慮すると10年程度が妥当ではないかということでございます。ただし、計画期間の半分の5年で別途目標を設け、その達成を点検することも必要ではないかということでございます。
 以上でございます。

【委員長】 資料の4、5、続けてご説明いただけますか。

【事務局】 わかりました。
 続きまして資料の4でございます。資料の4は、特定地域の設定の考え方についてでございます。
 これはまず現行NOx法でどのように考えているかということをまず最初に整理させていただいております。まず現行の自動車NOx法では法律上規定がございまして、自動車の交通が集中している地域であって、大気汚染防止法による措置のみによっては二酸化窒素に係る大気環境基準の確保は困難であると認められる地域ということが要件として定められております。この具体的なものといたしましては、その下に3つほど挙げてございますが、まず1点目の交通が集中している地域というものに関しましては、特定自動車の保有台数密度及び交通密度が原則として全国平均のおおむね2倍以上、60台/〓、3000台km/日/〓であること。2番目の環境基準の確保が困難な地域という点についてですが、これにつきましては単純将来シュミレーションによる平成12年度の沿道における二酸化窒素濃度予測で、域内複数道路において環境基準を超過するということ。最後に、以上の要件を満たす市町村がまとまりをもって存在し、地域的に一体と考えられる範囲ということで、市町村単位で指定をしてございます。
 続きまして現行の特定地域設定の考え方と現状との対比でございますが、平成10年度において二酸化窒素に係る環境基準を超過している地点を見ますと、その多くが特定地域内におさまっており、特に特定地域の隣接地域においては環境基準を超過する地域はほとんど見られないということでございまして、この1枚めくっていただきますと、カラーの図を4ページほどつけさせていただいておりますが、これは一度以前にもお示しした図ではございますが、特定地域周辺での二酸化窒素の環境基準達成状況を、それぞれ関東地域と関西地域の一般局、自排局の図でございます。これを見ていただきましても明らかなように、環境基準の超過地点というものが特定地域の中にほとんどおさまっているということが明らかでございます。特に関東地域については、特定地域の外側には一つも見られないという特徴がございます。関西地域におきましては、一般局におきましては、これも特定地域の中におさまっております。自排局につきましては、その外側ということで、京都がですが、京都で超過しているところがございます。なおこの図は整理時につきまして区別に色を塗ってしまいまして、ちょっとミスリーディングなんですが、京都がちょっと小さく出ている感じになりますが、この京都市が一応超過しているということになります。
 そういった状況でございまして、1枚目に戻っていただきまして、このようなことですので、現行の特定地域設定の考え方は、対策の目標地域及び実施地域を明らかにする上で適切かつ有効であったのではないかということでございます。
 3番目といたしまして、改正自動車NOx法における特定地域の範囲についてでございますが、自動車NOx法を改正する上で特定地域の設定に当たってはNOxに加えて粒子状物質についても考慮する必要があるのではないかということが、まず一つの重要なポイントであります。このため従来からの要件との整合性を確保しつつ、PMの要件を加えた特定地域の、あとは地域選定の手法を示す必要がある。具体的なPMに関する要件については今後さらに検討を要するが、PMについては濃度予測シュミレーションを行うことが技術的に困難なことから、現在のSPMに係る大気汚染の状況や自動車交通に起因するPM排出量などを基礎とした要件を設定することが考えられるのではないかということでございます。
 以上が特定地域設定の考え方についての討議用資料のご説明でございます。
 続きまして資料5でございます。資料5は、総量削減計画の進行管理についてでございます。
 まず現在の総量削減計画の進行管理については、これも国が策定する総量削減基本方針の中で規定がございます。その枠内に書いてございますように、施策が広範囲な分野に及ぶということから、関係機関の協力のもとに総合的に施策を推進していく必要があるということで、関係機関と密接に連携を図りつつ進行管理を行うものとするということが規定されております。これを受けまして、その下の○にございますように、都道府県が策定する総量削減計画の中におきましても、進行管理について同様の趣旨の規定が設けられております。こうした規定を受けましての現在の自動車NOx法における取り組みでございますが、まず都道府県におきまして、それぞれの計画の点検を行っております。さらに平成9年度には環境庁におきまして二酸化窒素の排出状況、環境濃度や物流などの各種指標につきまして中間点検を行っております。その概要がこの資料の3ページ以降に示させていただいたものでございまして、平成9年3月に大気保全局から公表した資料でございますが、ここではNOx量は低減しつつあるものの、12年度目標に向けてなお一層の努力が必要であるということで、個別の指標、例えば交通量ですとか、あるいはディーゼル車のディーゼル化率などの指標、それぞれにつきましてさらなる取り組みが必要であるということを取りまとめておりまして、この結果を受けまして各関係省庁、あるいは各自治体との連絡会議などの場におきまして、さらなる取り組みを要請したという経緯がございます。
 続きまして、現行制度の問題点でございます。
 1ページの下のところに戻っていただきまして、計画の進行管理の流れを図示しますと、下の左側の図のようになるのではないかということでございまして、まず計画策定から計画の実施、計画の点検とあって、最後に対策の見直しということがございます。このうち実線で囲まれているところが現在の総量削減計画、あるいは総量削減基本方針におきましても何らかの位置づけがあるところでございまして、最後の対策の見直しという規定のところは必ずしも明示されているわけではないということでございます。それぞれのフェーズにおける問題点を右側に整理させていただきましたが、まず計画策定の段階におきましては、削減目標量というものは明示されているわけですけれども、施策ごとの定量的な目標値というのが必ずしも示されていないということが1点。続きまして点検のところでございますが、施策の進捗状況につきまして、各施策ごとの効果の定量的な把握が不十分であるということ。それから定量的な目標値がそもそも未整備だということで、さらにどの程度の対策が必要かどうか、必ずしも明らかにならないということがございます。ちなみに先ほどの中間点検におきましても、さらに今後具体的にどの程度の努力が必要であるかということまでは、残念ながら踏み込めなかったということがございます。最後に対策の見直しといたしまして、点検を受けてさらなる対策を講じるためのシステムが十分には確立されていないということがございます。
 続きまして2ページでございます。
 2ページの一番上はその前の図の注釈でございますが、単体規制、あるいは車種規制につきましては着実に効果が上がる仕組みがいろいろな制度で担保されて情報も整備されておりますが、その他の施策については効果の定量的な把握の仕組みができていないということでございます。
 最後に今後の進行管理の見直しの方向性についてでございます。
 5点ほど挙げさせていただいております。まず1点目は、各施策による交通量の低減や物流の効率化といった社会経済活動の変化ですとか、環境への負荷の低減、あるいは環境濃度の改善などの環境上の効果といったものを調査・推計・測定するための手法の整備開発が必要ではないかということでございます。2点目は、各施策による効果の把握・評価が的確に行えるよう、総量削減計画の中に施策ごとにできるだけ定量的な目標を示すことが必要ではないかということでございます。3点目といたしまして、各施策の進捗状況、環境の現状の把握には時間がかかり、施策の効果があらわれるにはある程度の時間がかかることも勘案して、毎年情報の情報収集に努めながら、少なくとも計画の中間時点でその点検・評価を行うことが適当ではないかということでございます。4点目は、都道府県が効果的に進行管理を行えるよう、国において把握している情報の提供、あるいは政策評価ガイドラインの策定などの支援を行っていくべきではないかということでございます。最後に5点目といたしまして、総量削減計画の実効性を高めるために、事業者への指導、助言などにつきまして都道府県の権限を強化するということについても検討していくべきではないかということでございます。
 以上簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。

【委員長】 どうもありがとうございました。
 ただいま目標設定の考え方、特定地域設定の考え方、それに削減計画の進行管理についてのご説明をいただきました。どうぞ、ご発言をお願いしたいと思います。

【委  員】 まず、前回の議論の中でも出てきておりますように、粒子状物質を新たに課題として取り上げなければならないということは、これはどうもはっきりしていることだと思います。少なくとも健康リスクについては国際的にもいろいろな議論がありますし、まだ完全に定量的にどうであるかということがわからないとしても、そこまで有害性についての指摘がある以上は、やはり予防原則という考え方に立って早めに対策を講じるということは、決してむだなことではないと思うわけですね。完全に科学的な因果関係が明らかになってから手をつけるという、在来型の発想ではどうにもならないのではないかと。幸いにもNOxについては、それほど明確に健康被害との関係はわからないけれども一生懸命やってきたということがあるわけですから、それとの並びで言えばPMを一生懸命やるのは当たり前で、ただしがらっとここで政策を変えるというわけにはいきませんから、従来のNOxを中心にやってきた政策にプラスPMを加えるというやり方でソフトランディングを図るというのは賢明なやり方ではないかと思うわけですね。
 それで、粒子状物質についての目標をどうするかということについては、さっきも言いましたように、現在のところ必ずしも我が国で定量的にこうだという議論ができないのであれば、例えば外国でこういう数字を挙げているから、それを直ちに日本に持ち込んでそれを目標とするというやり方は、従来の日本の目標の決め方とはちょっと合わない。どうやって外国がその目標を決めたかということを丁寧に調べて、それが在来の我が国の手法と全く変わっていなくて信頼ができるのであれば使えるんですけれども、それが必ずしもはっきりしないから、わかるまではここにあるように、ややその文言表現になるかもしれませんけれども、早期に可能な限りの削減という言い方になるのもやむを得ないのかなという気がいたします。こういう目標が、ともかくどれまで下げれば、どこまで下げればもう安全でございますよという、そんなたぐいの議論にうまくなじまないのなら、ともかく避ける努力をしていくということでいかざるを得ないわけですけれども。
 その場合に、例えばNOx法をどう変えるかという問題が今後の課題ではあるわけですが、そこで在来のように特定地域を設定するという考え方を維持していくとすれば、その特定地域の設定に当たってPMについても考慮して特定地域を考えるということが、一番今までやってきたこととは整合性がとれるということになるわけですね。そのときに、残念ながらSPMについての環境基準をオーバーしているかどうかというデータはあるわけですが、それが今一番問題とされているPM2.5とうまく合わないという現実がありますので、直ちにSPMの環境基準を超えているところを付加的に特定地域に加えるという手法は無理があるだろうと。やはりNOx法で従来特定地域として決めていた地域を基礎にしながら、プラス新たな要件を加えて広げる余地があるのであれば広げるという考え方でいかざるを得ないのではないか。そうなりますと、ここでは現在のSPMにかかる大気汚染の状況や自動車交通に起因するPM排出量などを基礎とした要件を設定することを考える以外にないという書き方になっていますけれども、これはほかのところで申し上げたのか、ここで申し上げたかちょっと記憶が定かではないんですが、例えばどの程度のディーゼルの大型車があるのかとか、それがどのぐらい走っているのかとかということはある程度把握できるわけですから、そういうことからある種の推計をするということはできるでしょうし、SPMが地域よってはどのファクターによってどの程度の起用度があってSPMの濃度がどうなっているんだというのがわかっていますから、わかっているならば、そこで、やはりディーゼル車の起用率が高いという地域とそうではない地域との仕分けをして考えるということが合理的で、やはりディーゼルの起用度が高い地域でSPMが高いということは一つの指標になるわけですから、それも多分使うことができるだろう。それから、もしもっとDEPについてダイレクトにその排出量を何らかの形で推計をするデータを入手できるならば、それを使うということもあるだろう。要するに、ここでは単一の基準でこれを超えたら特定地域にするとかしないとかという議論はちょっとできませんので、総合的な判断をしていって、みんなが納得できるようなファクターを洗い出していく以外にない。
 そして従来特定地域であったところについては、今さらこれを外すということには多分ならないんでしょうけれども、場合によっては外れるところが出てくるかもしれませんが、行政施策の円滑な遂行ということからいうと、例えば極端なことをいうと都道府県単位で決める方が合理的なのかもしれないんですよね。変に市町村単位、市区町単位で切っていくと、車庫をちょっとずらせば済んでしまうなんて話が幾らでも出てくるわけですから、そこら辺はある程度、元のNOx法で特定地域をつくったときよりももうちょっと細かく考えると同時に、行政施策であるという割り切りからいえば、どこかでちょっとラフな考え方を持ち込んでいって、やはり行政の円滑な遂行及び、そこにおける地域での車の保有者、事業者などの公平感が損なわれないような特定地位の考え方というのはあるべきではないかと思うわけですね。というのも、もともと自動車の問題は公健法で自動車の付加金をかけるときだって全国どこだって走っているではないかという理屈が通ったわけですから、それからいうならここだってある程度似通ったような論理があるはず。もし疑いがかけられるならば、一体どこから車がくるのかということを、また調べればいいわけですよね。車の保有者の拠点はここだけれども、実際にはその車はこっち側で動いているんだということがわかれば、ここまで広げてもいいはずですから、単にそのポリューション濃度だけで特定地域を決めていくというやり方ではなくて、経済的な一体性ということも含めた特定地域の考え方があっても構わないのではないかと。だから、今までのやり方を基礎にしつつ、それを上手に調整をする、修正をするというやり方を、この特定地域設定については取り入れていってはどうかと思うわけですね。
 NOxについては幸いにも外れなかったというのは御同慶の至りなんですが、それにしてもちょっと外れているところがあるわけですから、そのちょっと外れているところは、ここで区別につまみ食いで赤ぽっちがついているところは広げるなんていうわけにいかないでしょうから、そこは上手に、賢明に広げていかざるを得ないのではないかと思います。
 目標年に関しては、これは前なぜ7年になったかよくわからないんですが、10年程度が妥当だというのは、要は割り切りの問題なんですが、それで10年ということでいいんだろうと思いますし、それから環境基本計画が5年をめどに見直しをして、大体いつも10年ぐらい単位でもとを見るという発想法からいうと、一方でやっている環境基本計画との整合性を考えても10年というのは妥当な数字ではないかと思います。
 あと進行管理に関しては、今までやられてきたことに関して、これを拝見して大体問題点がどこにあるかということもこういう形で見ていくとよくわかったわけですが、幸いにもというんでしょうか、総量削減計画が法定受託事務になっているんですかね。法定受託事務になっていて、しかも現行法は丹念に読まなかったから申しわけなかったんだけれども、協議会をつくるところまではちゃんと法律に書いてあるんですね。しかもその協議会は、都道府県に設置するということになっているんですね。だから都道府県が設置主体となってというふうに思うのが当然だと思いますから協議会はつくると書いてあるんですが、肝心なその協議会の権限というのが、どうも何となくよくわからないんですね。つくると書いてあるけれども、そして構成はこういうものが構成するんだということまで書いてあるんだけれども、その協議会は単に情報交換をするだけなのか、連絡調整をするのか、何をやるのかということがどうもよく読みとれない。ですから、法改正をして強化をするのであれば、現在事実上は行われていますということを、それを法律にはっきり書いていくということは新たな負担を犯すわけではないわけですから、現在事実上行われていることについてははっきり法律に書いて、だれの目にもわかるようにしておくと。今までもやってきたんだから法律に書かなくたって今までどおり淡々とやるまでよというような発想よりも、今まで法律に書いていないけれどやってきたことを、今度はちゃんと法律に書いてみんなにわかるようにするということが必要であると思います。つまり、中間の段階での点検を行うというふうなことはやってきているわけなんでしょうから、これをもっとはっきりと法律事項として書き込むと。これが最低限やるべきことだろうと思います。
 それから、どうしても進行管理の点で、これも平成11年の数字が速報値でやっときょう出てくるわけですよね。全体としての評価をするための材料がなかなかうまくそろってこない。廃棄物の場合は3年ぐらいおくれるというわけで大変なことだねという話ですが、ここも2年ぐらいおくれてしまうんですね。そうすると、なかなかその進行管理といってみてもうまくリアルタイムで動いていかないんですけれども、幸いにも自治体は結構データを持っているわけですから、自治体単位のところでやるのならば、全国区に全部持ってきて、ここでまとめてやろうと思うと3年おくれ、2年おくれになるけれども、自治体ならもう、どんどん測定データというのがあるわけですから、それを使って評価をすることもできる。だったら5年に1回中間の評価をするなんていう、そんなまどろっこしいことはあり得ないわけで、やはり毎年ちゃんとレビューをするんだというぐらいのことは書いてもいいはずで、そのレビューをした結果については、法定受託事務なんですから環境大臣にちゃんと報告はしていただきますよということにしておけばいいわけで、まず、とりあえずは地域のところでちゃんと評価をする。その結果を報告するんだというふうにしておいて、全国区の調整はそこで足し算をしていけばいいんだろうと。とりあえず地域がちゃんと、淡々と目標が達成されていけば、それを足し算して全国でも達成されていることになるはずなんですから、最初に全国の方で足し算計算をしなければいけないという理屈はないはずですよね。だからもっと地域のところに権限を与える。そして都道府県に協議会を置くと決まっているならば、このレビューの主体はその協議会の設置主体である都道府県ということをはっきり書いて、そこでさらにここにも書かれていますけれども、計画の実効性を高めるためには事業者への指導や助言などの権限の強化を検討すべきだったのは当然のことであるわけですが、それ以上にその協議会に加わっている関係のいろいろな機関に対して勧告なり何なりということができるということも必要なのかもしれない。これは法的にそういうことが一体できるかどうかよくわかりませんけれども、しかし書けばいいわけで、法律はつくればそればそれがすべてなんですから、書いてしまえばその協議会が法律に書かれていて、協議会に勧告権限があるんだと書いて、その構成員に対して勧告をする。命令するわけではないんですから、お願いするだけなんですからね。勧告がいやだったら要請と書けばいいわけですから、何かそういうところまではっきり書き込んだ形で進行管理が単なる追いかけているのではなくて、進行管理の結果、対策を強化、追加しなければいけない場合はそこを追加できる仕組みをしっかり書き込むということをやっておかないと、また同じことの繰り返しになるだろうと思いますから、協議会について、せっかく法律上規定されているものの権限を明確にして、もっと強化をするということと、レビューをちゃんと法律の中に書き込むということであろうかと思います。
 構成局は多分大丈夫だと思うんですね、準環境基本法がちゃんと点検というものを入れてしまったわけだから、もう前例これありなんで幾らでも言えるんだろうと思いますから、その程度のことを思い切ってやったらどうかと思います。

【事務局】 今、先生から協議会のご指摘がございましたので、そこだけ簡単にご紹介させていただきたいと思います。
 現在の自動車NOx法では第8条で総量削減計画策定協議会というものを置くことが定められておりまして、簡単にかいつまんでご説明させていただきますと、特定地域が定められたときには、都道府県に総量削減計画に定められるべき事項について調査、審議するため協議会を置くということが規定されております。協議会には知事のほか、都道府県公安委員会、関係市町村、関係地方行政機関及び関係道路管理者で組織するということで、その庶務は都道府県が行うということが書かれております。最後に、協議会の組織及び運営に関して必要な事項は条例で定めるという規定がございます。
 ご紹介だけさせていただきます。

【委  員】 今、浅野先生がいろいろご意見を述べられたこと、まさにそのとおりだろうと思うわけでして、順番にいけば資料3では目標設定の考え方とありますけれども、今のご指摘の中にもありましたように、PMについては前回のときにリスク評価の方からの資料の中にもその辺の、たまたまここにあるんですけれども、PMについて、いわゆるディーゼル排気暴露と肺がんとの関連性とか、いろいろ報告がされているわけで、人に対して発がん性を有していることを強く示唆していると見て差し支えないというようなことの方向が出されているわけですよね。そういうことで、先ほどの話にもありました予防原則に立てば当然PMというものを対象にして考慮せざるを得ないだろうと。NOxは今までどおり、とにかく環境基準を達成できない状況に、11年度をどう考えるかというのは別として、ずっと継続してそういう状況にあったわけですから。またPMについても関西地区はかなりの達成率ですけれども、今後どう変わるかわからないわけですから、やはり当然これは考慮して対応していかなければならないという問題だろうと。その中でPMについても発がん性というようなものについて強く示唆しているとみなして差し支えないというようなご意見も、これは最終報告ではありませんというので、これ前回いただいた資料ですけれども、そういうようないわゆる健康リスクというものを考慮した対応が当然なされるべきで、自動車NOx法の中にPMをどう取り入れていくのか、それは先ほど定量的にはなかなか定めるのは難しいというお話がございましたけれども、どう削減していくのか。そこで一つ問題になるのは、現在のSPMの測定の問題、あれには自然由来のものもかなりあるし、二次生成粒子も測定されているということがあるわけですので、しかし自排局において、特に大型車混入率の高いところはPM濃度も高いという、SPM濃度も高いという状況は厳然としてあるわけで、そういうような地方でのモニタリングステーションのデータの中から、そういうものをさらに成分分析等を行えば、さらにそれは明確になってくるだろうと思うわけですけれども、その辺のバックデータもまた整備しておかなければならない問題の一つだろうと思うわけで、そういう大型車混入率とそういうような汚染成分との関係とか、そういうものもデータとして整備しておいていただければ、なお今後の対応の上では一層やりやすくなるのではないかと思う。これは、この目標の設定の考え方とはまた別の視点ですけれども。そういうもの、一つございます。
 そういう形でNOxの、今までのNOx法にさらにPMを加えた、先ほどPM2.5というお話がございましたけれども、これまでも、今後また医学的ないろいろな解明が、健康リスクについての解明がなされていけば、さらにそういうものに対応するいろいろな、技術的な問題もあるわけですけれども、そういうことが可能になってくるだろうと思うわけです。それから特定地域については、先ほど県レベル、県域も含めたというようなお話ございましたけれども、ある県などでも確かに現在の市町村単位で決められて、その隣に事業所を移されると、もうどうにもならんというような話も2、3聞いたことがあるんですけれども、できれば特定地域というもの、NOxとPMとをどう組み合わせて決めていくのか、PMだけの特定地域というものと、NOxだけの現状の特定地域というものと、さらにPMというものをそれに負荷して決めるのか。あるいは両者一体としての特定地域というもので、例えば千葉なら千葉県全域、今のような市町村単位ではなくて、千葉なら千葉という、都道府県、道が入るかどうかは別として、都府県単位での対応ということであれば、NOx、あるいはPMをあわせての特定地域ということも可能になろうかと思いますけれども、NOxは関係ないけれども、高濃度法の平成10年度までを見れば汚染地域であるという地域もあろうかと思いますが、その辺にどう対応するのか、いわゆる幹線道路周辺の現状の自排局に置いてある測定データが中心になると思いますけれども、その辺の問題をどう対応していくのか。NOxと合わせたものでなければ設定できないのかどうか。その辺の問題も一つ、PMを考えますとそういうもの。PMの方が、前にいただいた資料から見ても全国的な広がりを見ますとPMの方がかなり広く、環境基準をオーバーしている地域が広いわけでして、そのようなものにどう対応していくのか。合わせればかなり限定されますけれども、別個に考えていけばまた別の視点での特定地域の設定というものもあるわけですが、できるだけ繁雑性は避けた方が、繁雑さを避けることも一つの今後の対応の一つだと思いますので、その辺はまたご検討いただきたいと思います。
 それから資料5の進行管理ですけれども、特に今までのいろいろな進んできた中で事業者の自動車使用合理化指導ということで、これは事業所管大臣がいろいろな指針を出しているわけですね。これは指針は出しておられるけれど、その後どんなフォローアップをされているのか、さっぱり見えてこないということですね。出しっ放しというようなことも、自治体レベルで聞くと出しっ放しではないんですかという話も聞こえてくるわけでして、むしろ地方自治体がそういうものに対して十分な指導をしていきたいけれども国の方からこういう指針が出ているんで、それでやっているようですというような話を聞いたこともあるわけで、その辺、今後地方自治体に対してどうのような、資料5の2ページにあります今後の進行管理の見直しの方向性というものの中で、4つ目の○にありますように、「都道府県が効果的に進行管理を行えるよう、国において把握している情報の提供、政策評価ガイドラインの策定などの支援が必要ではないか」とありますが、これはまさに必要なわけで、むしろ自治体が主体的に取り組めるような体制をつくるべきではないかという実態、いわゆるモニタリングなども実際にやっているわけですから、そういう実態をよく把握しているわけであって、むしろ各省庁間の障害をどうやったら取り除くことができるのか、そういう取り組みも一つ必要ではないだろうかということでございまして、その下の「実効性を高めるためには事業者への指導、助言等、都道府県の権限の強化も」ということとあわせて、その辺をひとつ整理していただきたいということでございます。
 以上、今のところ。

【委員長】 はい。重要なご指摘ご指摘をいただきましたけれども、大変中身の深い、いろいろな問題を持っているかと思います。例えば自治体に云々という場合に、常に自治体は、例えば県なら県は県民に対して必ず責任を持つという、これちょっと英語で恐縮なんですが、ベノボレントという言葉がありますけれども、非常に県民を常に慈悲深く物事を眺めていると。あるいは非常に正直にすべてを眺めているという前提が満たされませんと、政治状況に流されてしまって発表すべきものもしなかったり、あるいは国に対していわれても若干のことを要求を満たして、そこのところをやり過ごしてしまうとか、そういう疑いの目で見るというのは大変意地悪い話なんですが、これは実は環境という問題については非常に起こりやすいことなんですね。だから言いかえれば、特に規制に絡むような話というのは、できるだけやらなくて済ませようと、こういう動きがありますので、それをそういうふうにさせないようにするための進行管理というのは、これまた非常に重要な意味を持ってくるんで、言いかえれば雑駁な言い方で恐縮ですが、制度をどういうふうに組み立てるのかと。この制度の組み立て方というのは、実は非常に重要、環境政策の場合、特に重要なテーマなんですね。だから非常に県民を恫喝してはいけませんし、非常に一生懸命考えているんであるとベノボレントなパブリックオフィシャルばかりではありませんので、そういうふうなこともある程度念頭に置きながら制度を組み立てていくことが、我々の方から見れば大変重要なポイントだと思いますので、ちょっと余分なことかもしれませんが。

【委  員】 進行管理の見直しの方向性ということなんですけれども、この○5つございますけれども、この上の3つというのは割と関連性が強いと思うんですね。それで、いかにいろいろな物流の対策ですとか、それから交通量の削減ですとか、そういったものによってどの程度大気がよくなるかというそのシュミレーション手法の、確立やはりぜひ目指していただきたいというふうに思います。それが確立すれば、[2]の方とか3の方の定量的な議論、点検も可能になると思いますので、これはぜひ具体的に進めていただきたいと思います。一部では、例えばJキャップなどでやっているような、ああいう大気シュミレーションもありますし、どの程度マクロにやるのか、それからもう一つは局地対策としてそういうシュミレーションがどこまできっちりやれるかということも課題としてあると思いますので、その辺の手法をぜひ整備、開発していただきたいというふうに思います。
 それからもう一つ、これは前回の議論でもありましたけれども、実はこのような手法というのは、CO2 対策にも援用できる手法でありまして、例えば物流、あるいは交通量の抑制というのは、そのまま省エネCO2 の対策にも効いてまいります。ここでは直接の対象にすることはないと思うんですけれども、これは実は物すごく大きなもう一方の地球環境にかかわる対策でもありますので、これぜひ両面で具体的な手法を確立していただきたいというふうに思います。

【委  員】 今の進行管理に関係するのかと思いますけれども、前回の検討の中で、例えば千葉県は総量削減計画、知事が策定した削減計画の2号総量ですか、4号か、削減量が。それはクリアしたけれども環境基準に達成しないという事実があるわけですね。そこで、今、都道府県とか知事レベルにいろいろ主体性を持たせたらというお話を申し上げましたけれども、もう一つお願いというか検討していただきたいのは、首都圏なら首都圏としての問題ですよね。近畿圏なら近畿圏として、いわゆる江戸川なら江戸川を超えて千葉県に行って、いわゆる立体的には区別がないわけですから、行政区域は分かれていても、そこにはどんどん汚染物質は移入してくるわけであって、いわゆる近畿圏、あるいは首都圏、あるいは今後どこがふえるかわかりませんけれども、ふえたところも広域的な協議会、先ほど府県レベルにおける知事がまとめ役の第8条に基づく策定協議会というのがありますけれども、むしろ国が指導して首都圏における全体的なそういう、首都圏としての広域的な対応、広域的なコントロール。近畿圏なら近畿圏、首都圏なら首都圏、やはりそういうものも検討していただかないと、都府県という行政区域だけで対応するということには、かなりの難しさもあるわけで、そういう、特に今後車種規制、いろいろな問題が絡んできますとなおさらそういう問題がいろいろ出てくるだろうと思いますので、その辺もひとつ今後の対応のあり方ということでご検討いただければと思います。

【委員長】 今の問題は前に都市計画との関係でちょっと発言をしましたけれども、市町村とか県とかという行政区域と環境を守るという区域との整合性をどうとっていくかというテーマだろうと思うんですね。昔、これも繰り返しになりますが、この都市計画法制定のときに都市計画区域というのを設定する。地続きですから、ここまでで環境はいいとか悪いとかと終わらないんですね。そこで池田ヒロシ という人が都市計画区域という概念を導入して広域行政を考えたと。ロンドンのグレタロンドンカウンシルもまさにそうで、広域行政の対象にしなければいけないテーマというのは交通であり、教育であり、消防であり、それから廃棄物であるというふうな、そういうものだけロンドンカウンシルからぽんと抜け出して別の組織を、広域行政組織をつくったのが1964年だったかと思いますね。ロンドンカウンシルができたのは1888年ですから、随分たってからですけれども、それだけ都市が広がりますと、どうしてもその問題がこう……。これはサッチャーさんがぱっとつぶしてしまったんですね。広域行政といいながら、結局政党が大体選挙で勝って労働党が政権をとったら全部グレタロンドンカウンシルを占拠してしまったということで、いろいろそういうことはいきさつがありますけれども、今の先生のご指摘は非常に重要なポイントではないかという気もいたします。

【委  員】 さっき、今まで以上に都道府県というか、要するに都府県に軸足を置くべきだろうと言った理由は、それは国が決めて、車種規制のようにともかく強権発動でやるという施策は、それは淡々として続けるわけですけれども、これは国が法律を決めて、それで実施すればいいことですから、それで全然効果が上がらない部分をどうするかということが今、一番の問題だと。そのためには、やはり個々の車の走らせ方の問題。それは端的に言えば一人一人に対する痛みを伴う政策ですよね。そういうものは、やはり地域の中でちゃんと合意形成をし、例えばロードプライシングをやりましょう、やりますまいと。これはもう地域でそれぞれがうちはそれでやるんだと決めてやるところは、それはどんどんやってもらえばいいわけですから、ともかくいいことばかりではなくて非常に厳しいこともやらないとうまく達成できないこの状況であるならば、やはりベースのところでちゃんと合意をつくっていかなければどうにもならないだろうという気持ちがあったわけですね。だけどそういいながら、これは国が方針を決め、そして法定受託義務として総量削減計画をつくっていただいてという構造になっているのは、まさに広域的な調整が必要だからそうなっているんだということですよね。だから現在の法律はまさに広域的であるがゆえに、これは分権以前は基幹委任事務ということになっていたわけなんで、そこは残っているわけですね。環境行政の中で法定受託で残ったものはそう多くないと聞いていますが、ここは残っているというのはその調整が必要だからだと思いますけれども、それは一律に地域の状況を無視して国がある方針を押しつけてやれという趣旨ではないはずなんで、調整をしなければいけないから法定受託なんだ。そのときにちゃんとその調整の機能を国が果たせるかどうかが、今、いろいろ言われている問題だろうと思うんですね。
 その場合にも、猿田先生は国が指導をしてとおっしゃるけれども、例えば逆だってあるわけですよね。本当に分権できちっとやるという意識が自治体にあるならば、自治体がお互いに話し合って協議会をつくって、さらにやりましょうとか、この部分については一部事務組合でもつくりましょうとかね、という発想だってあっていいわけで、国が指導してやるのがいいのか、それとも自治体の方がイニシアチブをとってお互い横の連携を図るのがいいのか。それはどちらがいいとも言い切れないだろうという気がしますね。ですが、報告をちゃんともらえるというのは幸いにも今の制度のありがたい点ですし、報告をいただいて、それでもらいきりというわけにはいきませんから、そこでもう1回戻すための仕掛けはこの進行管理の中に必要だろうと思いますね。だから国が広域的な指導、調整を行うとダイレクトにいうのか、それともどうするのかは検討課題でしょうけれども、両方からのアプローチがもともと制度的には予定されていたということを確認できるんで、その両方をどううまく効率的に動かすかということなんだろうと思うんですね。さっき協議会の権限でと、ちょっと少しなかなかなじみがたいことも述べたのは、その調整の結果、法律で書くわけですから、法律の中に書かれてしまったことの中で、その協議会に勧告権を与えるというやり方もあるんだろうと思うんです。知りませんけれども。だからどちら側がいいのかということは、これは余り一律に考える必要はないと思いますけれども、軸足を都道府県の方に置けと言った発言の趣旨は、今言いましたようなことが念頭にあるからなんですね。要するに、もう法律で規制的に決めてやれることというのはそう多くなくて、書かれたことについては、その効果は数字さえ上がってくれば把握できるわけですから、プラスアルファでどうやって達成するかというところに一番重点を置かなければいかないのが今の状況だとするならば、そのプラスアルファ部分については、やはり自治体にさまざまなメニューの中から選択をしてもらう。関係者の合意を得てやっていただくという以外にないだろうと思うんですね。

【委員長】 非常に重要なご指摘をいただきまして、どうも。
 余り投網をかけるような話ばかりで恐縮なんですが、要するに制度をつくるか、地元につくるが組み立てる能力があるかどうかという問題ですから、これは環境庁だけではなくて、日本人は概してへたくそなんですね。国際的に見ましてもね。非常に緻密な部分はこれですから、全体のシステムをどうつくるかというのは、我々の学問でもそうですけれども、概して日本人はそういう組み立てが余りうまくないというので、だから制度的な構想力というのは、特に環境行政というのは特に必要だなというふうに思いますので、ちょっと言葉が走ってしまいましたけれども、すみません。
 ほかによろしゅうございますか。
 もしご発言がなければ、議事の3の自動車排出ガス総合対策中間報告骨子(案)について、事務局の方からご説明をお願いいたします。

【事務局】 それでは、資料6にについてご説明をさせていただきます。
 資料6は、次回中間骨子についてご検討いただくということになってございまして、その前段といたしまして、その骨子についてご議論をいただくということで用意をさせていただきました。基本的には今までのご議論を踏まえまして、議論を整理したという位置づけでございます。これにつきましては、読まさせていただきたいと思います。
 今後の自動車排出ガス総合対策中間報告骨子(案)。
 1、大気汚染の状況等。
 環境基準の達成状況等。大都市地域を中心に、二酸化窒素、浮遊粒子状物質の汚染は依然として厳しい。特定地域内においては、NO2 に係る環境基準の達成状況は依然として低い水準で推移している。
 沿道での粒子状物質汚染と健康影響。大都市地域の道路沿道では、SPM濃度に占めるディーゼル車の寄与割合が特に高い。ディーゼル排気微粒子については、発がん性の懸念が国際的にも高まっている。
 2、自動車排出ガス対策の実施状況と評価。
 自動車NOx法に基づく施策の実施状況と評価。
 目標の達成。目標、(平成12年度末における環境基準のおおむね達成)の達成は困難。
 各種施策の評価。単体規制、車種規制は着実に進んでいるが、ディーゼル化、大型化の進行により、その効果が減殺されている。低公害車の普及が著しくおくれている。物流対策としての事業所指導は十分に機能していない。人流・交通流対策は効果が十分に上がっていない。
 粒子状物質対策の実施状況と評価。単体対策は進みつつあるが、道路沿道等における十分な環境改善は見られない。一部では訴訟において沿道のPM濃度と住民の健康被害との因果関係が認められたケースもある。当面自動車、とりわけディーゼル車のPM対策が急務。
 3、今後の自動車排出ガス総合対策のあり方。国民の健康保護のため、窒素酸化物対策に加えてPM対策の推進を重点課題として位置づけ、自動車NOx法の抜本的見直しを含め、自動車排出ガス総合対策を強力に推進していくことが必要。
 自動車NOx法の抜本的見直し。大都市地域における自動車排出ガス総合対策を強力に推進するため、自動車NOx法の抜本的見直しが不可欠。
 対象物質。NOxに加え、PMを対象とすることが不可欠。
 対象地域。特定地域の選定要件について、PMについても考慮しつつ、今後さらに検討すべき。
 目標。二酸化窒素については環境基準の達成を目標とすることが必要。PMについては、DEPの健康リスク等にかんがみ、可能な限りの排出削減を図ることが必要。目標期間は、できる限り早期に目標を達成すべく設定すべき。
 基本的枠組み。各自治体内の地域における具体的な施策の立案や各種施策の効果把握などを含め、自治体の役割を一層明確に位置づけていくことが必要。しっかりした進行管理の仕組みを構築することが必要。
 具体的施策。目標の着実な達成に向け、車種規制の強化、新たな施策の導入等の抜本的な充実を図るべき。
 4、各施策の充実強化の方向。
 以下に掲げる施策は、いずれも有効な自動車排出ガス抑制策となり得るものである。今後これらの施策について、自動車NOx法における位置づけを含め、さらに詳細な検討を進め、適切なものについては早急にその具体化を図るべき。
 [1]車種規制。新たに乗用車を規制対象とするなど、対象車種の拡大についても検討すべき。原則として最新単体規制値レベルとなるよう、車種規制基準を強化すべき。使用過程車に対する車種規制基準の適用猶予期間については、現行規制と同等のものとすることを原則としつつ、さらに検討を進めるべき。
 [2]低公害車普及促進。低公害車に加え、低排出ガス車もあわせて一層の普及を図る施策を講じるべき。低排出ガス車等の普及促進を図るため、各自治体等においても認定制度の活用等のインセンティブ付与の具体化を図るべき。
 [3]事業者における自動車排出ガス抑制対策の強化。自動車を利用する事業者に対する自動車利用自主管理計画の策定義務化等を検討すべき。自治体の事業者指導の役割を一層重視すべき。
 [4]自動車メーカーにおける低排出ガス車の製造・販売を通じた自動車排出ガス抑制対策。販売自動車の車種区分ごとの排出ガス平均値の抑制を図るため、各メーカーに情報公開を求める方策などを検討すべき。とりわけ重量車を中心に、メーカーにおける低排出ガス車等の技術開発・販売促進を一層求めていくべき。
 [5]交通需要マネージメント等。地域の実情に応じて的確に施策を選定できる柔軟な施策の設計・推進の枠組みを構築すべき。TDMに加え、その他の物流対策や人流対策、交通流対策について、その効果の定量的な把握に努めつつ、今後一層取り組みを強化していくべき。国は自治体の取り組みを一層支援していくべき。
 [6]経済的措置。国及び自治体は、それぞれの立場から車種規制の円滑な実施、低公害車の普及促進等の多様な局面で一層積極的に活用すべき。
 [7]局地汚染対策。自治体が中心となって策定・推進する局地汚染対策推進計画の制度を設けるべき。大気汚染防止法の要請限度の制度について、より効果的なものとするよう見直すことについて検討すべき。
 [8]その他。ディーゼル微粒子除去装置を活用することも検討すべき。SPMについては、長期的には自動車PM対策と固定発生源対策を合わせた総合的対策の策定・実施に向け検討を進めるべき。このため、SPMについて、その汚染メカニズムの解明等の一層の調査・研究に早急に取り組むべき。
 5、最終報告に向けての課題。
 対策のあり方のさらなる検討。各施策の詳細についてさらに検討。
 削減効果の予測。将来の排出量、濃度を予測し、目標を達成するための対策の適切な組み合わせ方等について検討。
 以上でございます。

【委員長】 どうもありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、何かご質問などございますでしょうか。

【委  員】 ここに書いてあることは、今までディスカッションした、何回かやったディスカッションなんかが全部入っておりますし、それぞれもっともなんですけれども、いつも委員長が言われているように、環境問題は総合的な施策をしなければならない。これがみんな縦割りで動いて、ちっとも実行をやられていないので、どこが責任を持って総合的な施策をコントロールするって重要ですね。ですから、それについてちょっと考えてほしいことと、それから今すぐできなければ、将来そういう方向へ行くんだということをどこかで書いておいてほしいんですね。そうしないと、外国と比べて日本はいつも縦割りで、総合的な施策は一切できない状態で、きれいな文章はつくるんだけれども、ちっとも世の中はよくならないということがありますから、そこだけちょっと強くお願いしておいておきたいと思います。

【委  員】 今の先生のご意見は大前提の話だろうと思いますので、どう入れるか、  ぜひ事務局で考えて入れていただきたいと思います。
 今まで議論されたことの中でなされていることが大体整理できているなと思いますので、私も骨子としてはこういうことなのかなと思いますが、さっき委員会の役割の充実ということを急に言い出したのは、ちょっとこのためにもう1回法律をよく読んで勉強してみたら、こういう結構な道具立てがあるということに気がついたためでありまして、今までに余りちゃんと読んでいなかったのが悪かったんだと思うんだけれど、読んだらあるではないかという感じですね。それで、例えばしっかりした進行管理の仕組みを構築することが必要と、こうあるわけですが、ここら辺のところは関係するさまざまな行政組織との間の調整も必要だろうと思いますので、しっかりと調整をしていただいた上で結構ですから、もしうまく調整ができるならば、法の定める協議会の役割の充実など、しっかりした進行管理の仕組みを構築することが必要であるということを入れていただければと思いますが、もちろんご議論を事務的にも詰めていただきたい。そして総合的な責任主体と一体どこに置くのかというのは、たぶんどこか1カ所に置くというのもなかなかうまくいかないのかもしれませんけれども、今のこととの関連の中で少し考えていただければと思います。
 それから3ページ目の[3]、事業者における自動車排出ガス抑制対策の強化というところで、既に現在条例や要綱で各団体が努力してやっておられる、自治体の方で頑張ってやっておられる自動車利用自主管理計画ということを策定義務化するということが提案として出ているわけですが、これも検討すべきということですから、こういう書きぶりでいいんだろうと思いますけれども、自主管理計画を義務化するというのも、何となくすっきりしないような気もするんですが、それは揚げ足取りみたいなものだから言わないとしても、むしろ自治体との関係というのでしょうか、全体としてのマネージメント主体とこういう各事業者との間の情報がちゃんと交流できる仕組みが大事なんだと思うんですね。だから、自主管理計画をつくっていただくことを義務化して、それで終わりというのでは余り芸がないので、やはりそこで何かコミュニケーションができるための、例えば情報は、報告は少なくとも提出することを義務づけるとか、むしろそちらが先であって、自主計画をどうつくるかというよりも、ちゃんとどういう使い方をしているのかということに関して、少なくとも統計法の縛りがあって、集まってくる情報というのは目的外に使えないわけですから、何か法的な根拠がないと情報というのはとれないんですよ。そのための根拠を与えるということが国の法律の仕事だろうと思いますから、ここのところは双方向のコミュニケーションということを含めながら、最低やはり報告徴収ができるんだというようなことは、この[3]の2番目の「・」のところに入れておくべきではないかと思います。
 それから経済的措置でありますけれども、これについては、ここに書かれていることは、どちらかというと経済的な補助、助成ということに重きが置けれている印象なんですね。車種規制の円滑な実施や低公害車の普及促進という書き方から言えば、補助金を出して、それを普及させるようにとか、買い換えを促進させようという響きが強すぎるわけですね。むしろ、ここで経済的措置という形で議論した話の中には、例えばロードプライシングのようなものも含めて議論があり得るはずだと。これ、いきなり炭素税だの温暖化だなんていうところにいく前に、交通問題ともっと手前のところで有効に経済的措置、経済的負担を課す措置というのができるのではないかという議論があったはずですから、それはぜひ入れておきたい。そこで、例えばここに現段階でもし入れるとすれば、2つ挙がっていますけれども、3ページの[6]の2行目ですが、ここに上にある[5]のTDMとの組み合わせとか、このぐらいのことはせめて入れておいてほしいなという気がするんですね。そうすると、TDMの手段としてのロードプライシングというのは当然議論があるわけですから、そういうものと結びつけて考えられるのではないかというイメージが出てきますね。いずれにせよ、経済的負担を課すということも一つの方法であったと思うわけです。自治体の方はむしろ先に行っていて、自動車保有税のような議論をやっておられるわけですよね。これは税収目的では困ると思いますけれども、少なくともちゃんとそういうようなこともできるならやればいいわけでしょうから、合理的な根拠があるものについて、合理性の範囲内でやればいいと思うわけで、この辺のところはちょっと、今の素案のまんまでこれが膨らんでいくと、ちょっと偏ってしまうのではないかというような心配があります。
 [7]のところの局地汚染の対策の推進計画の制度を設けるというお話は、これはちょっと必ずしもまだ、今までの小委員会の議論の中でも煮詰まってはいなかったと思うんですが、局地対策が必要であることはわかるわけですね。ただ、音の場合の局地対策と、それからここでいうNOx、PMについての局地対策というのは、多少様子を異にするような気がするんで、どういうことをここでイメージするのかですね。特に局地対策として考えて、こういうことをやれば局地対策として効果が上がりそうな手法があるのか。それとも、例えば圏域で考えている計画を広げていけば済むのか。そこら辺のところは、ちょっとまだよくわからない面があるんですね。ですから現実に訴訟になった沿道があって、そこは何メートルの範囲内では何だかんだと裁判所が言っていることは承知はしているわけですけれども、本当にそうかどうかはよくわからないわけですよね。ですから、例えば地形とかいろいろな都市構造から見て、ここは本当に局地対策を考えなければいけないような場所があるというニュアンスなのか、あるいはもうちょっとざくっとある線を引っ張ったその沿線全部を考えてやるのか。沿道法で音の方でやっているような手法を考えているのか。もっとポイントを考えるのか。ここでいう局地対策推進計画の制度というもののイメージが、今ひとつはっきりしないなという気がします。私自身も実は、これは二通りありそうな気がしているので、かつて牛込、柳町で問題になったような、ああいう本当にポイントの問題というのが今後もないとは言えないから、あるかもしれないだろうと。それから、もうちょっと線を引っ張ったこの沿線全体を考えなければいけないという問題もあるかもしれない。それはどっちをイメージしてこういうことを考えるのかはっきりしておかないと、どっちともとれるようなものだと、制度化しても、さっき委員長がおっしゃるように制度をつくっても動かないとか、その制度は一体何だったのかわからないということになりかねないと思うので、ここのところは考え方としてはいいと思いますけれども、どうすれば、どういうイメージの計画をここでは構想するのか、もうちょっと煮詰めておかなければいけないと思いました。
 それから要請限度については、ほとんどシンボル的なものだと思うので、政策課題は変わったということをシンボル的にあらわす意味では変えるという意味がありますけれども、これはあくまでもシンボルみたいなもので、余りこれで期待を過剰にされても困るなと思いますが、やらざるを得ないだろうと思いますから、要請限度についてはターゲットをかえるということはあり得るだろうと。むしろ将来PMみたいなところに、本当にはっきりPM2.5がばっと出てくるような場所があれば、これは、ここでいう上の局地対策の部類で、もっと分散することによってリスクを下げるという必要性があるかもしれませんから、そこでは効いててくる可能性があると思うので、道具としてはちゃんととっておいて上手に将来発展できるように道を残すというのは大いに結構だと思います。

【委  員】 2ページのところで、自動車NOx法の抜本的見直しのところで目標がありまして、二酸化窒素については環境基準の達成を目標とすることが必要と。ここで、今後これをどう考えるかというか、意義づけていくのか。PMについてはDEPの健康リスク等にかんがみ、可能な限りの排出削減を図ることが必要となっておりますけれども、現状の、いわゆるSPMに関する環境基準との関連の中で環境基準未達成だから云々と、今まで言っていってきているわけで、達成率が極めて悪い、悪いということ。11年度は別にしまして、事実達成率は極めて悪い。それはSPMの環境基準をベースにして今まで言っている。ところが最近そういうディーゼル排出ガスの中の、いわゆるDEPの発がん性の問題とか、いろいろな問題が出てきて、これの削減ということが一つの大きな課題になってきている。ここで、このPMについての、いわゆる健康リスクにかんがみ云々とありますけれども、このDEPの中に発がん性物質が含まれている、発がん性が懸念されるということであれば、発がん性についは値を決めるのはなかなか困難だということで、前にベンゼンなど10のマイナス5乗とか、いろいろ議論はありましたけれども、そういうようなことで、すぐ環境目標値を決めるというのはなかなか難しい。これは理解できるわけですけれども、では政策目標として健康リスクの水準にかかわるある意味での目標をどう設定していくのかですよね、これから。それはなしに、とにかく削減を図ることが大事、これは確かに緊急の課題ですから排出量を減らすということは重要な課題ですけれども、ではそこにどういう目標を設定していくのか。それともただ、その削減のある程度の何%削減というような定量的なものを掲げて、それに向かっていろいろな施策を行っていくのか。その辺がどのような対応が、ここに書いてある可能な健康リスクにかんがみという中にどういうようなことが含まれているのかというのを、ちょっと懸念されたんですが、必ずしも環境基準、現状のSPMの環境基準とリンクさせなくても、相手をリンクさせてもなかなか逆に難しい面も出てくるわけでして、その辺をどのように対応するのか、そういう意味では先ほどちょっと申し上げたいろいろなバックデータもまた必要になってくるかなという気もするわけですけれども、二酸化窒素については環境基準達成を目標とすることが必要とあって、PMについては可能な限り排出削減を図ることが必要で、見ようによっては一歩後退しているのではないかというようにもとられかねないわけですけれども、その辺の根拠を少し明確にしておく。なぜこうなのか、今の環境基準のSPMの環境基準とは別個に、とにかくディーゼル排出、いわゆるDEPに関してはこういうような理由でこういう削減を図ることがまず必要なんだということで、現状の環境基準と必ずしもリンクさせなくてもいいのかもしれませんけれども、その辺を明確にしておかないと、環境基準があるのになぜそれを目標達成と言えないんだということにもなりかねないわけですね。その辺がどうなんでしょう。なかなか一般の方に理解しにくいところがあるのではないかということですね。ディーゼルの粒子とSPMとどう違って、今までは環境基準が達成できません、できません、できませんとこういう。SPMの環境基準が未達成です、未達成です、その範囲が拡大していますとやってきたわけですから、その辺を少し整理しておかないと、ここでDEPに関する基準だけで何か物を言うのであれば、その辺をきちんと整理しておかないと、なかなか今後いろいろな面で車の所有者、ユーザーの方々にもご協力いただかなければいけないわけだし、また運輸業界、いろいろな産業界、経済界、ご協力いただくわけですから、その辺を少し整理して、明確にしていただければわかりやすくなるのではないかという気がします。

【委  員】 今の点は、さっきも既に意見を述べたわけで、これでしようがないなというふうに申し上げたわけですけれども、確かに書くときにどうしてそうなるんだということに関してコメントがないといけないというのがそのとおりだろうと思います。その意味では3ページの[8]のところに、SPMについて汚染メカニズムの解明等と書いてあるこの「等」のところを、もっとちゃんと中身を埋めておいてほしいなという気がしますね。つまり、「等」ではなくて、メカニズムの解明だけではなくて、PM2.5のリスクのレベルがどうなっているのかということの研究を既にやっているわけですから、それをもっと伸ばしていくというようなことを含めて、はっきりそこにそれを書いておかないといけないのではないかと思います。

【委  員】 これは私個人の意見かもしれませんけれども、何年か前、有害大気汚染物質について環境基準をどうするかという、1年以上にわたっていろいろ細かいディスカッションをいたしました。そのときに、環境庁としては当面の間、障害リスクを10のマイナス5乗に設定すると決めた。それはすべての物質に共通なんですね。そういうふうに決めてありますから、このDEPに関しても、それがベースになっているはずで、今、浅野先生がおっしゃったのは、あれと僕は思ったんですけれども、そういうベースが決まっているということだけは、環境庁は、ちゃんとはっきりしているわけですから、これは書かなくても私はそうだと理解していたんですね。
 それから2番目の問題で、それで、今ディーゼルが非常に悪いというふうに言われているんですけれども、空気中に浮遊する粒子状物質は自然起源のものがあるし、宇宙起源のものもあるし、いろいろありますね。そこで、今、有害と言われたのはPM2.5、要するに微小粒子にある程度量以上暴露されると、短期的な暴露であっても肺に有症率が出てくると、そういう話なんですね。それは昔1952年にロンドンスモッグ事件のときに、1週間ぐらい大気汚染が続いて、約4,000人ぐらいの超過死亡率があったって、あれぐらいのときはあるけれども、こんなに小さいところにあるかというように、いろいろ議論になっているわけです。ところが、そのころからずっとPMというのを眺めていますと、一番最初は石炭灰だったんですね。今はディーゼルになっているんです。その前にガソリンがあるんですけれども、そういうような発がんリスクという関連から見るならば、それは石炭灰の方が大きいんですよ。というのは、石炭灰にかなうものはすべて、IRCは、要するに人間に対して発がん性が証拠がはっきりあるもの、これは一応全部なっていますね。ディーゼルの方は、まだ2Aで、それは1989年のドキュメントでそうで、96年にこの前保健立法というものをまた出しましたけれども、一応。ここ10年ぐらいのデータを見ると、だんだん疫学的にも人間に対する影響が出てくる。まだ完全に1とはいえないけれども、けさのディスカッションでも1と2Aの間のちょうど中間ぐらいにどうも位置するらしく、しかしそれを考えても石炭の場合の方が圧倒的なんですね。ただ、石炭を使うことはほとんどなくなってしまって、日本の場合ほとんどディーゼルとか、油になってきているから、そうなってきたときの対策はどうするかということで、ディーゼルだけが悪いというのではないということを、ひとつ考えておいてほしいわけです。だから時代とともに、そういうPM対策という、どんどん変わってくるということを考えに入れながら、我々は、先ほど浅野先生が言われたように、健康に対する未然防止なんですから、健康というのをベースに置いて一体どういう対策をするかと。そうしてみると、必ずしもNO2 とPMと一緒に連動させるのが、させなくてもいいのではないかという感じも、個人はしているんですね。それで、東京50キロ圏、それから中京、名古屋の50キロ圏と関西も50キロ圏を足し合わせますと、人口は約50%弱ですね。面積としては6.2%ぐらいしかありません。日本列島の中の。だから、そういうところのポピュレーションアートリスクという概念からしますと、少なくともそういうところの健康の未然防止というのを十分図るべきだと思いますから、名古屋の場合はたしか、NOxは、NO2 はそんなに環境基準を超えているケ−スは余りないんだけれども、PMは物すごかったですね。だからそういうことの場合、ちょっと考えておく必要があるのではないかという気がいたします。
 それからもう一つ申し上げておきたいのは、日本でいろいろ、今PM2.5とそれからSEM、いろいろなところで図られてきております。私どもも1年間、かつて疫学調査を行われた4地点でずっと1年間はかった経験がありますが、そうしますと相関が非常にいいんです。それで、アメリカの場合と全然違って非常に、どこでもいいんですね。それで計算をすると、アメリカの1997年にPM2.5に対して環境基準を決めたのをやると、これは大変だというような状況があるんで、やはり日本とアメリカで浮遊粉塵の質が違うというのは当然ありますから、アメリカ東部はほとんど石炭がベースですね。西部の方がガソリンとか、そういうのがベースですから、ディーゼルによるPMの濃度というのは、アメリカと日本とすると日本が圧倒的に高いんです。かなり高いですね。向こうが大体1.何とかmg/‰で、こちらの方が場合によっては数mgだと。ところによっては10mgを超えていますね。ですから、そういうことも十分考えに入れながら、将来どうやっていくかというディスカッションで、今、確かにユニットリスクなんかもずっと、いろいろな人たちが調べてきているんですけれども、それをそのまま適応できるかどうかわからないから、いろいろなことを全部洗い出して、次の課題にしようというのが現状ではないかというふうに思います。

【委員長】 これは総合対策のあり方のところは7項目、その他を入れて8項目になっていますが、この並べ方はこれでよろしいですかね。一貫して健康リスクの問題が強調されておりますので、それと局地対策が本当にリンクする、浅野先生がお話のように、局地対策というのは若干問題もないわけではないですが、局地汚染対策というのは環境庁としてはもう健康リスクのために徹底的にやるんだという姿勢を、私は出すべきだと思っているんです。そうすると7番目に持ってこないで、ここのところはまさに因果関係がはっきりしないけれども、予防原則で対処していく。若干のあいまいさも社会的に許されるはずだということがはっきりと打ち出せる条件があると思うんですね。例として適切かどうかわかりませんが、水俣病でどえらい経験をしておりますので、因果関係ばかりを追いかけていたのでは、これはもう社会的に将来禍根を残すという可能性があるとすれば、予防対策として思い切った対策を打つんだという姿勢を、私は出すべきではないかというふうに思っております。
 それから4番目までは、これはアメリカなんかでいうテクノロジーメジャーズという言葉で言うんですが、技術対策なんですね。車両対策でやって、テクノロジーフォーシングメジャーズという言葉をよく使うんですけれども、テクノロジー、つまり自動車メーカーに対してこうすべきだと、こういうふうにやるべきだ。そのためには政府も全面的に応援もするよという姿勢が大変重要なことで、4番目までの政策がそうだろうと思うんです。これは世界のメーカー、みんなそういう方向に今、動いておりますので。
 それから5番目、6番目は、これはむしろ一緒で、交通需要マネージメントの一つとして、これは浅野先生が言われましたように、ロードプライシングもあればいろいろな方法があるわけで、ロードプライシング、TDMというのも、これも若干提議をはっきり、もしできればですが、非常に範囲の広い概念ですから、世間に発表する場合には、ある程度環境庁で考えているTDMというのはこういうものだよという提議を、ある程度はっきりさせておいた方がいいかなと。その一つの手段としてロードプライシングもあれば、それ以外にいろいろな、要するに物流、人の流れの問題に対するプライシング、いろいろな手があるわけですから、というふうに思うんですがいかがでしょうか。

【委  員】 今、5番目のTDMについて委員長からお話がございましたけれども、環境庁としてのTDMというのか、いわゆる全体としての建設省、あるいは運輸省、いろいろなところが絡んでくると思いますけれども、その中でどれをとるかは、いろいろな対応があると思いますけれども、環境庁で考えているというふうに限定すべきなのか、むしろもっと幅広く対応するものを入れておいて、その中でそれぞれの地域によっても違うでしょうし、逆に環境庁が考えると広くとらえればいいですけれども、逆に狭くなったのでは困るわけで、ちょっとその辺がどうなのかなということで。地域によっていろいろな対応の仕方があると思いますので、むしろそういうことを誘発するようなというか、積極的に取り組めるような方策を考えていただきたいわけで。

【委員長】 5番、6番は、これ、首長さんの仕事なんですね。

【委  員】 私もちょっと、この並び方の問題もあるかと思いますけれども、一方で、これもう少しちゃんと切り分けて書いてもらわないと、いろいろなものが混じって逆にわかりにくくなってきてしまうのかなと思っているんですが、一つは供給側サイドの問題としてとらえてもらうのがきっと、3はちょっと違うんだろうと思うんで、4番、3を除いて4のところまでが供給サイドの話というのが出てくるんだろうと思っているんですけれども、製造とか販売ですね。その中で特にここで自動車メーカーにおける製造販売になっているんですけれども、販売の位置づけというのは、もう少しはっきり書いておいた方がいいのではないでしょうかね。これから、あるいはこの販売のところに対して、もう少し積極的な措置といいますか、一方で経済的な誘導の部分もあるんでしょうし、一方では規制的な話も出てくるのかもしれません。そうした点をきちっと浸透させていかなくてはいけないんだろうと思っているんで、そういう流れからしましても販売の位置づけというのは、もう少しはっきりさせておいた方がいいのではないかなというふうに思っています。
 それから、先ほどもちょっと話がありましたけれども、経済的措置というのは、ここからまたちょっと話が違うんで、その供給サイドに対しても、あるいはその需要サイドにも、あるいは商社サイドと言った方がいいのかもしれません。そこに対しての経済的措置があるわけで、ここは、やはりまた切り離して書いておいていただかなくてはいけないでしょう。そういう意味で、もう少し、これをきちっと整理されて書いていただくのがいいのかなと思っています。
 それから、地域全体の監視の話とか、ちょっときょう、私おくれて来て申しわけないんですが、先ほどの資料5なんかにも、PDCAサイクルの話が出てきていますけれども、その辺のところはどこにどう出てくるのか、ここでも先ほどのお言葉からすれば、仕組みづくりみたいな話が書いてあるから、そこに書いていただけれるのかなと思うんですが、一方でちょっと、今回のこういう平成12年度の目標の話でこういう格好になっているんだと思いますけれども、大分前に計画を立てて、達成できないという話が随分前からわかっているんですよね。これを放っておくというのが、私なんかの意識からすると、やはりちょっとまずいのではないかと。毎年、毎年、やはりその対策を見直しながら、本当にそれを達成しなくてはいけない目標年次があったとしたら、そこに向かって相当程度やはり努力を強めていくといいますか、あるいはそれがきっと一般の人たちのこういう問題に対する意識も高まっていく原因になってくるだろうと思いますので、一方でそれがきっと広報という形で具体的な内容は結びついていくのかという気がしますが、その見直しのサイクルといいますか、目標を定めて、毎年、毎年、あるいはその打ってきた手段によって、それではその目標の達成できる可能性はどうなっているんだということを、やはりきちんと示していく必要があるんだろうなというふうに思っています。その辺の話はどこに出てくるのかなというのが、若干ちょっと気になっていたところです。

【委  員】 それから、この8つ○がついているのを、私は時間的なずれがあるのではないかなと思うんですよね。これで2001年から始まるものばかりではなくて、実はずれていると思います。特に人流、物流、交通流、これが大きな宿題になっているわけで、これは法律が施行されてすぐできる話ではないんですね、実は。前回の議論でもありましたけれども、非常に難しいと思います。いろいろな社会的な制約だとか、個人の移動にかかわるような問題も含んでいますので、中間見直しが2005年ですけれども、こういった取り組みの実効性のあるものとして出てこないのではないかなという懸念が大きくあります。その辺を、やはり先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、こういうことをやったらこれぐらい減るんだという情報と見積もりの手法をちゃんと押さえた上で予測しながらやっていかないといけないのではないかなと思うんですね。単体規制ですとか、車種規制ですとか、低公害車の導入ですと、大体定量的にわかりますし、これぐらいのものだというのは予想がつくんですけれども、この交通需要マネジメントに関して、あるいは局地対策もそういうところがあるわけですけれども、これはきょう、中間見直しをしているとそれではおそいというようなことがありますので、ぜひ予測を立てていただきたいと思います。

【委  員】 温暖化の方、どうせ作業をしなければいけないんですね。さっき大聖さんが言われたとおり、この問題は温暖化にももろに効いてくるわけですよね。だから、そっち側の方の作業とこっちの作業がばらばらに行われるようなむだなことはやめたいなと思うので、どうせ使われるなら、効率よく人を使ってほしい。

【委  員】 4番目の、先ほど先生がおっしゃっていた排出ガス製造販売を通じた排出ガスの抑制対策、これただ、今、低公害車普及方策検討会の方でも検討していますので、近いうちにまとめたいと思っておりますので、それが出てきたら、またひとつご検討いただきたいと思います。

【委  員】 それでは局地対策について一言。やはりこれは、NOx法の範囲だけということになりますと問題が残るように思います。将来道路がどんどんできていくと局地対策というようなその都度可能性がでてくるわけですから、別立てで対策をとる必要があると考えられます。また、局地の問題は特殊な場合が多いわけですから、NOx法のだけの範囲では、ちょっととらえ難いのではないかなという懸念が一つ残ります。
 それからもう一つ、この小委員会がそのNOx法の抜本的な見直しということが中心であるということは理解してますが、基本的に健康障害ということもこの中に盛り込むならば、特定地域外の自動車排ガス対策についても言及しておく必要があるのではないでしょうか。なぜなら、先程の平成10年度のNOx環境基準達成状況の説明では、超過局は特定地域の範囲を超えていないということでしたが、その境界線にある超過局に隣接する地域が未測定ということもありますし、全国的に見れば前回資料によれば超過局が存在していたはずです。また、SPMでは、超過局は全国的に点在しているのが認められたと思います。また健康被害はかなり個人差もありますので、ある濃度以下だけでいいというようなものではないわけですから、自動車排ガス対策の全般的あり方についての配慮みたいなものが、どこかに出てくるべきではないかと考えます。

【委員長】 組み立ては難しいですよね。ぜひこの部分をどの程度入れるか、ちょっとご検討いただきたいと思いますね。健康被害の問題というのは、ここでどういう形で入れていくのか。騒音だって何だって健康被害がないとは言えませんね。ただ、非常に車が悪者になるというのは、これも騒音では人は死なないけれども、発がんだとか何かになりますと、これは命にかかわる問題ですから、これに対する毅然たる政府の態度というのは、私は絶対に必要だというふうに思っているんですけれどね。それが若干対策の判断が甘くても、思い切ってそのために我々は努力しているということをしっかりと環境政策とやるべきだというふうに思っているわけで。TDMとかその辺のところは、これは大聖先生のおっしゃるとおりで、5年というスパンをとれば、その間でロードプライシングができるとはとても思えませんし、ただ外国ではこういうことをやっているという情報は提供することは、これはいいことだろうというふうに思いますし、そこら辺の、これは組み立ての問題ですから、この報告書の組み立ての問題ですから、ちょっとご検討いただくとありがたいなという気はします。
 いかがでございましょうか。
 よろしゅうございますか。
 それでは議事の4のその他に移りたいと思います。

【事務局】 その他に移る前に、ちょっと全体を、いっぱいご意見をお聞きしましたので全体の話を少しだけお話申し上げます。
 目標と、それから特定地域と絡めてPMの話が出ておりまして、今、まさに先生を中心としてグループでDEPのリスク評価の話が進んでおりまして、現状の動物データ、それから人間に対するデータ等々で、今、リスク評価の報告書がつくられておりまして、けさもご議論があったわけですが、どこまで我が国として下げるべきかの議論で、まさにこの、そちらの委員会、どこまでものがうまく出てくるかということが、一つ重要な判断ファクターであろうかというふうに思いますけれども、やはり発がん性の問題が指摘がだんだん出てきたわけでありますので、当方としてはディーゼルを中心とする発生源に対する、できる限りの対策ということをうまく取り込んでいきたいということがありまして、それからこの法律、特にNOx法の改正で考えております、NOxに対する対策とDEPに対する対策を切り分けて、別々ということは余りない。ほとんど同じような施策を講ずることによって、両方下げていくというふうな形になりますので、それでどこまで環境改善の効果があるか、これはある程度排出量だけであれば試算することも可能であります。それによってどのぐらいディーゼル起因の微粒子が減るか、それによって健康を守るレベルがどのぐらい向上するかについて、定量的なリスク評価も含めまして、非常に立派なものを求められてもちょっと現状ではなかなか難しいなというのが現状であります。しかし、これは他方で最後の8番に書きましたけれども、メカニズム等、「等」というのは、つまりそのリスクレベルをきちっと研究することも含めてでありますけれども、そこが、これから我々大気部全体としての課題というふうに思っておりますので、ぜひそちらに力を入れていきたいというふうに思っております。
 それから、この1から8までのさまざまな対策の並べ方をご議論を賜りまして、それは非常にありがたいと思います。現状では、法律そのものを申し上げますと車種規制という規制方策が、この法律の中心的なところに座っておりまして、あとは全部総量削減基本方針及び総量削減基本計画というところで、丸ごと受けておりまして、余り差別化がなされておりません。逆に言うと、そこがまさに非常に効果も見にくいですし、目標も、実はそのときと3回前の小委員会でご紹介しましたが、NOx法の施策状況の評価で、目標としては、例えばそれぞれ4,100とか3,000とか、目標は挙がっているんですが、一体どうやって達成されているのかよくわからないという現状にありまして、そういう意味では永田先生、大聖先生からもご指摘がありましたけれども、交通政策をうまく進めることによってどのぐらい本当に効果があるかということの図り方ですかね、やはり方法論をきちんとつくっていくことが非常に大切であります。ごく最近になりましてTDMの実験をしようとか、ロードプライシングの試みをしようとかという動きが建設省、運輸省、それから都道府県を通じて非常に出てきておりまして、その中でどのような効果があったかということも検証しようという試みもやや見受けられます。前回ご紹介した鳥取組連の中にあって、本文を取り寄せて見たんですが、実はそこで残念ながらこれによってどのくらいNOxPMが減るかは検証していないとはっきり書いてありまして、やはりおくれがあるなということを感じた次第でありますけれども、当方といたしましては、環境を守るという観点から、そういう方向でぜひ努力を続けたいというふうなことを考えております。
 そのほかのご指摘等々につきましても、できるだけまたこれをうまく膨らませまして、中間報告の原案をつくり、またどこかの段階で先生方にご相談をして、8月の末の小委員会にお見せをするようにしたいと思います。
 簡単ですけれども、以上でございます。

【委員長】 本日はこれで終わりますが、第10回は8月29日10時から12時ということで予定されておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれで閉会といたします。
 どうもありがとうございました。