中央環境審議会大気・交通公害合同部会
第8回自動車排出ガス総合対策小委員会


1.日  時   平成12年8月4日(金) 14:00〜16:00

2.場  所   厚生省共用第23会議室

3 出席者

(委員長)  岡 田   清
(委  員)  浅 野 直 人       太 田 勝 敏
         香 川    順       猿 田 勝 美
         大 聖 泰 弘       永 田 勝 也
         松 下 秀 鶴       横 山 長 之
                          (五十音順)
(事務局)  大気保全局長         企画課長
         自動車環境対策第一課長  自動車環境対策第二課長 他

4 議 事

(1) ディーゼル排気微粒子(DEP)のリスク評価について
(2) ディーゼル車対策技術評価検討会中間とりまとめについて
(3) 自動車排出ガス総合対策の充実・強化の考え方[2]
   ○車種規制について
   ○交通需要マネジメント(TDM)について
   ○低排出ガス車の普及促進策について
   ○局地汚染対策について
(4) その他

5.配 付 資 料

資料1     自動車排出ガス総合対策小委員会委員名簿
資料2     ディーゼル排気のリスク評価について
資料2−1   健康影響(動物のデータ)部分
資料2−2   健康影響(人のデータ)部分
資料2−3   曝露評価部分
資料3     ディーゼル車対策技術評価検討会中間とりまとめ概要
資料4   車種規制について
資料5   交通需要マネジメント(TDM)について
資料6   低排出ガス車の認定制度等について
資料7   局地汚染対策について
資料8   自動車排出ガス総合対策審議スケジュール(案)
資料9   第4回自動車排出ガス総合対策小委員会議事録
資料10   第5回自動車排出ガス総合対策小委員会議事録(案)

参考資料  ディーゼル車対策技術評価検討会中間とりまとめ

【事務局】 それでは、定刻でございますので、ただいまより中央環境審議会大気・交通公害合同部会、第8回自動車排出ガス総合対策小委員会を開催させていただきます。
 本日は、小委員会の委員数12名のうち9名の委員の出席が予定されております。ただいま既に8名の方々のご出席をいただいておりますので、既に会議の開催要件を満たしております。
 それでは、まず議事に入ります前に資料の確認をさせていただきたいと思います。
 資料につきましては、議事次第と資料一覧のほかに、資料番号に従いまして1番から10番までの資料を用意させていただいております。このうち資料の2が、資料の2という1枚紙と資料2−1、2−2、2−3と4分冊になっておりますが、そのほかの資料につきましては、各1部ずつございます。なお、資料10の第5回の会議の議事録ですが、これにつきましては、何かご意見がございましたら8月11日までにご連絡をいただきたいというふうに考えております。その後、委員名を伏せまして公表させていただきたいというふうに考えております。何か資料等で過不足がございましたら事務局までお願いいたします。
 よろしければ、議事は岡田委員長にお願いいたしたいと思います。委員長お願いします。

【委員長】 それでは、本日、お忙しいところをお集まりをいただきましてどうもありがとうございます。
 早速でございますけれども、議事の1のディーゼル排気微粒子のリスク評価について事務局の方からご説明をいただいて、その後また質疑などをいただければありがたいと思います。
 それでは、事務局の方からご説明をお願いいたします。

【事務局】 それでは、説明させていただきます。
 私どもの資料の2、全部で3分冊になっております。この資料は、先日の1日に評価検討会に提出した資料でございます。1日の検討会で通算、第3回目になるわけでございますけれども、まず2−1は、健康影響の動物のデータ、それから資料の2−2、こちらは健康影響の人のデータになっております。それから、2−3が曝露評価部分というふうなことで、まず2−1の方でございますけれども、動物のデータにつきましては非常に厚みがございますので、この資料のみ、まとめだけを抜粋しております。
 それで、動物データにつきましては、さまざまなディーゼルの健康影響の結果が得られております。中でも動物実験におきましては、DEP、いわゆるDEPに対しまして、発がん性に関して実験的には十分な根拠が得られているというふうなことが述べられております。ただし、これを人に直接適応するには、その発症メカニズムの解明等、なかなか難しい問題が残されているというふうなことでございます。
 次に資料の2−2、健康影響の人のデータの部分でございます。こちらは大きく分けて、2ページ目からは急性影響、それから6ページ目からは慢性影響というふうなことで大きく二くくりにしてございます。6ページ目以降の慢性影響につきましてはさらに二つに、非発がん影響と、それから発がん影響というふうなことでさらに二つに細分しております。
 まず、2ページ目の急性影響でございますけれども、こちらの4ページ目からが職業集団における研究になっております。このところでは、おおむね職業上、ディーゼル排気に曝露される可能性のある職業集団において、交代勤務の前後で肺機能の低下が見られるというような報告が記述されております。しかし、その肺機能の低下につきましては、可逆的であってしばらくディーゼル排気に曝露をされないと、もとに戻るというふうなことがおおむね言えるだろうというふうなことでございます。 それから、作業中の呼吸器症状、それから粘膜刺激症状等の症状が見られる。ただし、高濃度曝露後にまたぜんそくを発症した報告例というようなものもこの論文の中で一部ございます。
 次に6ページ目でございますけれども、こちらは地域集団における疫学研究でございます。この中では多くの研究があるわけでございますけれども、粒子状物質濃度と健康影響指標、例えば死亡であったり、呼吸疾患による入院や受診者数との間の関連性というものが指摘されております。ただし、この研究につきましては、おおむね粒子状物質濃度の短期的な変動とディーゼル排気との関係というのはなかなか評価が難しいということで、そういうところが記述されております。
 6ページ目以降の慢性影響でございますけれども、最初に非発がん影響でございます。非発がん影響につきましては、まずは職業集団における研究でございます。こちらの方は、15ほどの文献を引用しております。この中でおおむね言えることというのは、呼吸器症状とディーゼル排気曝露の関連について、多くの研究で指摘がなされているということ。それから、肺機能の低下につきましては、低下するというのと、それから低下しないという論文が混在しておりまして、一貫性が見られないというふうなことです。それから、ディーゼル排気に対する長期的な曝露の推計というのが非常に困難であるために、なかなか結論が出せないというような状況でございます。
 10ページ目以降が地域集団における疫学研究でございます。こちらの方は、20ほど文献が引用されております。この中では、道路からの距離と呼吸器症状とか、呼吸器に関する有病率の関連性について一貫性が見られるというふうなことでございます。ただし、曝露の程度は、道路からの距離とか、交通量で判定しておりますので、粒子状物質の影響、さらにディーゼル排気との影響というのが不明であるというふうなことでございます。
 それから、16ページ目以降は、発がん影響についてでございますが、まず職業集団における研究でございます。まず、肺がんにつきましては、35ほどの文献を引用しております。また、それ以外のがんにつきましては、22の文献を引用しております。肺がんとディーゼル排気曝露の関連性というものを指摘したものが職業集団における研究の中で多く見られるというふうなこと。それから、肺がん以外のがんでは、膀胱がんとの関連性について指摘している研究報告もあるというふうなことでございます。
 曝露の程度につきましては、一時点の測定から長期曝露というものを推計しておりますので、こちらも曝露という観点から見ますとなかなか評価が難しいというふうなことでございます。
 それから、地域集団における疫学研究でございますけれども、こちらの方は文献が四つほどでございます。それで、しかも肺がんとの関連の記述がある二つの論文につきましては、ディーゼル排気曝露を主にしたものではないので、参考資料程度との検討委員会の委員からもそのような意見がございました。
 最後に42ページの最後のくだりに発がん性に関する記述がございますけれども、こちらの方は主に職業集団から得られた結果が主であって、地域集団における発がん性との関連性というものはなかなか難しいというふうな状況でございます。
 それから、資料2−3でございますが、こちらは曝露評価の部分でございます。曝露評価につきましては、14ページ以降がその中身でございます。日本と外国の経由の組成等、それから規制の相違等によって、外国と日本ではなかなか同一に論じられないというものを大前提にしまして、一応その限られた中での記述がなされております。
 17ページからは、大気中の濃度の測定、それから推定です。
 それから、27ページ以降が人への曝露の影響と評価というふうなことになっております。
 19ページの上段の方を見ていただきますと、限られたデータの比較ではございますけれども、日本の都市部におきますDEPの排出量が多いということが示唆されています。ただし、あくまくでも限られたデータの中での比較でございますので、今後のデータの充実を求めるという提言になっております。
 それから、人の曝露の評価でございますけれども、最後のところに今後の曝露の評価の方向性として、ソースモデルやレセプターモデルによる推計に基づきまして、曝露モデルの適用を図ることが現実的だろうというような大まかな方向性を示していただいております。
 以上でございます。

【委員長】 はい、どうもありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、何かご質問、ご意見などをいただければと思います。

【委  員】 19ページの今の最後のやつですね、2−3か。19ページの一番下のところにダイオキシンの記述が入っているのですが、これについてはちょっとまだ公表されていないのかもしれませんけれど、去年ですか、ペックを中心としてこういう調査をきちっとやったデータも出てきておりますので、最近のものをもう少し拾い上げていただいた方がいいのかなというふうに思っていまして、そういう意味では日本でやられたデータということで見ていくと、そんなに新しいものはここに入っていないなという気がしますので、調査範囲をもう少し広げてきちっとしたものを示していただければありがたいということだけちょっと申し上げておきます。

【事務局】 委員の先生にその旨お伝えいたします。

【委員長】 ほかにいかがでございましょうか。

【委  員】 曝露に関してですけれども、3番目の資料の20ページ以降に書いてありますように、ここでポピューレーションドーセージというような人口密度とドーセージの掛け算したような量の評価はやっていますか。

【事務局】 それにつきましては、松下先生が。

【委  員】 この前、座長がちょっと体が悪かったもので私が座長代理をさせてもらったのですが、ここに出ているドラフトは三つともまだ完全なものではないということをまずご理解ください。それで、比較的よくまとまり出したのは動物実験のデータ、その資料2−1でございます。資料2−1に関して言うならば、先ほど事務局の方から言われました発がん実験に関しての証拠は十分あると。それから、変異原性に関する証拠も十分あるということが、それはこの文献だけではなくて、WHOの下部機関にあるIARCも正確にそういうふうに言っておりますし、アメリカでもそう言っているということで、いわゆる動物実験における発がん性及び変異原性はまず間違いないと。
 それから、人に対する影響というのは、先ほど事務局から言われましたように、まだ十分わかっていないところがいろいろありますが、この結論の最後のところに書いてありますように、定量的にははっきりしないけれど、定性的にはどうも人間に対しても影響があるように考えられるというのが結論になってくるだろうと思います。ただ、人に対する影響に関しては、まだいろいろ書き足さなければならないところがあるので、まだ不十分なところがあります。
 それから、曝露評価に関しても、同じようにいろいろ足りないところがあるので足していこうということで、今、横山委員が言われたような地域におけるポピューレーションアートリスクというような表現をすると、その地域集団における濃度はどれぐらいかというようなこと、しかもその高濃度曝露集団が大体何人いるかというようなことはまだ十分検討されていない。これに関しては、もう少し時間をかけて整理するということでございました。
 以上です。

【委員長】 ほかによろしゅうございますか。

【委  員】 これは松下先生に伺った方がよろしいのか、資料の2−3の29ページに、これは東京都の都内の幹線道路でおやりになったカスケード方式、分級してやっていますね、一番上から2行目のところですけれども。ここで「SPMの個人曝露濃度は屋内濃度と相関が高く」とあるのですが、これはディーゼル粒子ということではなくて、普通のPMとしての問題ですか。

【委  員】 そうだと思います。ただこれは「幹線道路沿道地域において」と書いてございますから、その測定そのものがやはり道路の影響を強く受けているという感じでやっているんだと思いますが。だけど、ディーゼルと何とかと分けるのは難しいですからね。ですから、それは元素分析していかないとできないところがあるので、この時点では、やはり厳密に言うなら粒子としてこうだったと、粒子濃度として…。

【委  員】 粒子濃度としてね。そこまでの分析ではなくて、粒子濃度としての。ありがとうごいました。

【委  員】 それから、ついでにお聞きしたいんですけれど、ディーゼル、DEPのほかにベンゼンとかというようなものも出ていると思うんですけれども、それも発がん性物質になりますよね。ですから、それをセパレートして評価するには、どういうことをやったらいいのか非常に難しいなという感じはするんですけれど。あるいは一緒くたに評価することになるのかどうか。

【委  員】 今おっしゃる意味を正確に理解しておりませんけれども、人間のがんと、データ、そのガス状物質の粒子を一緒にとっているから、そのがんとディーゼルの影響と、そういう立証はおっしゃるとおりだと思いますが、動物実験の結果そのものから見ますと、ディーゼル排気の中のガス状成分と粒子状成分を分けてやりますと、ガス状成分だけを動物にかけても全くがんは出ないですね。粒子状成分だけをやるとはっきりがんができるというのはわかっていますから、そのディーゼル排気粒子というふうに考えて、ディーゼル排出物という考え方を書くならば、粒子状物質の方がずっとガス状物質よりも強いというふうに言っていいのではないかと思います。

【委員長】 これは、まだ検討会でご検討をいただいているということのようでございますので、次に進ませていただいてよろしゅうございますか。
 それでは、次の議題の2、ディーゼル車対策技術評価検討会の中間とりまとめについて、事務局の方からご説明をお願いいたします。

【事務局】 お手元の資料の3にディーゼル車対策技術評価検討会中間とりまとめの概要という資料がございますので、それに沿ってご説明をさせていただきたいと思います。
 この検討会は3月に第1回目を開きまして、使用過程のディーゼル車対策、特にPM対策、具体的にはDPFの技術評価を行うということを目的につくられまして、検討会のメンバーには学識経験者の方々のほかに、実際に既にDPFをつけてバス等を運行されていらっしゃる地方自治体の方々、具体的には東京都・川崎市・横浜市の方々に委員になっていただいておりまして、その中間とりまとめが7月28日に行われました。その概要を簡単にご説明させていただきたいと思います。
 まず、この検討会で内外のDPFメーカーからヒアリングを行いました。さらに、実際にDPFをトラック、バスにつけて走行させて、いろいろな不具合が生じないかどうかというような面をチェックしました。もちろんそれほどまだ長い距離を走っているわけではないのですが、とりあえずの初期性能ということでは、かなりデータがとれたのではないかというふうに考えております。全体のこのDPFの技術評価の結果ですけれども、1番に書いてありますように、DPFはPMの除去に一定の効果が見られるものの、すべての使用過程ディーゼル車に装着可能な状況にはないというのがこの全体の結論でございます。その下に各方式別のDPFの評価が書いております。大きく分けて主要なものとして四つ挙げられております。
 最初の交互再生式DPF、これはいすゞセラミックス研究所というところが開発して今実際に一部の車にはつけられているものですが、二つのフィルターを持ちまして、片一方で補集している間、もう片方で再生をするというように、交互に再生・補集を繰り返すというようなもので、再生をするのは電気のヒーターを使ってPMを燃やすというような方式をとっております。したがって、どのような走行条件でもこのDPFは使えますし、現行の軽油、今、軽油の硫黄分の規制は500ppmですが、この軽油でも使用が可能であると。しかし、このDPF、フィルターを二つつけるという観点からかなりのスペースがいるということと、あと電気のヒーターを使うので、後づけをするためには発電機を高性能なものにしなくてはいけないという車両上の制限がかなり出てくるということになります。
 次に連続再生式でNO2による酸化方式、これはイギリスにありますジョンソンマッセイ社が開発をしているものですけれども、このDPFについては、基本的に低硫黄軽油が使用の前提となる。具体的には最低でも50ppm、メーカー側の希望としては10ppmぐらいにしてもらいたいというような要望が出ております。そして、あとNO2でPMを酸化させて再生させるということから、PMとNOxの比がNOx側にかなり寄っていないとうまく酸化が進まないという条件がございますので、短期規制以前車には適用することが困難であると。さらに、うまく再生させるためには、排気温度が一定以上になる、常になる必要はないのですけれども、一定比率以上はある排気温度以上にならなければいけないということで、あまり低速走行の状況が続きますと再生がうまくいかないというような問題が出てきます。
 次にその下にあるのがフィルターの中に触媒を炭にして酸化を進める、再生をするというエンゲルハード社が提案しているもので、これについては現行の軽油でも使用可能だけれども、低硫黄軽油の方がなるべく望ましいと。さらに、これも先ほどのと同じように排気温度が一定以上になる必要があると。常になる必要はないんだけれども、それが一定比率以上あるということが走行条件になっております。したがって、これもあまり都市内でとろとろ走っているような自動車には適用することができないというような制約がございます。
 最後に間欠再生(バッチ)式DPFというのがありますけれども、これは、具体的には、PMをフィルターで補集をしてある一定たまりますと外部電源にコンセントをつなげまして、それで一回一回再生するというようなもので、これについて車種等は、これは別にどの車種でもつくことは原理的には可能かと思うのですが、きちんと再生を、ちゃんとコンセントに差し込んで管理できるような体制が整っていないとなかなか使用するのは難しいのかなという条件がございます。
 このような技術的な評価の後、次のページに移りまして、今後とるべき施策ということで幾つかの提言をいただいております。DPFというのは、PMの削減には効果はあるのですけれども、NOxの削減にはほとんど効果がないということもありますので、NOx・PMを両方とも削減するには、基本的には古いディーゼル車から最新規制車への代替促進が適当であると。ただし、DPFの装着に関しては、一律義務づけは不可能なんだけれども、若干やはり装着可能なものはあると。それに対して、DPFの装着に対してインセンティブを付与するということは、有効ではないのかというような提言をいただいております。さらに、具体的に規制年別に施策の内容をいただいております。
 平成元年規制以前の、かなり古いディーゼル車については、NOx・PM、双方の排出量が多いということもあって、これは最新規制車への代替が適当であると。DPFの装着については、こういった車はもともと相当古いものですから、せっかくDPFをつけてもDPFをつけて走れる時間、期間があまり高くないということもあって、インセンティブの施策に対しては、こういった車には、優先度はかなり低いのかなと。
 次に短期規制車についてですけれども、これも基本的にはNOx・PM、両方下げるという観点から最新規制車への代替が適当であると。ただし、これについては元年規制車に比べて若干まだ新しいということもあって、DPFの装着に対してインセンティブを与えるということは有効ではないのかということです。
 次に長期規制車、平成9年、10年、11年の規制車ですけれども、これについては前の二つのに比べて排ガス規制が大幅に強化されているということもあって、DPFの装着へのインセンティブというような具体的な施策に対するインティブのプライオリティーというのはかなり低いのではないかというようなことを、話をいただいております。
 最後に今後の課題ですけれども、最初に申し上げましたように、実際に車にDPFをつけて走らせるというこの時間があまりなくて、まだあまり耐久性についてはしっかり見られていないということもあって、引き続きこの耐久性の試験について確認する必要があるのではないかと。そして、先ほどもこの2番で申し上げたとるべき施策に関して自動車NOx法の今の見直しへの反映、さらにはDPF装着のインセンティブを検討すると。あと、DPFが今後たくさんいろいろ出てくると思いますが、どういったDPFが本当にいいのかということをきちんと認定するような制度が必要ではないかと。さらには、DPFの今、提案されているものは、走行条件あるいは燃料の制約がかなり高いということもありますので、汎用性の高いDPFを開発していくべきであると。あと、低硫黄軽油の早期供給、自動車使用者に対する点検・整備の励行促進ということを今後の課題ということで挙げられております。
 とりあえず以上で。

【委員長】 今の説明につきまして、何かご意見などございますればご発言を願いたいと思います。

【委  員】 ただいまの説明の中で、この1番目の技術評価の結果というのは、ここで「すべての使用過程車に装着可能な状況にない」と書いてありますけれど、出てくるのは構造上の条件とか、走行上の条件が主体で、ここのところでは取りつけられないか、取りつけられるかというのが記述されているのです。一方、後ろの方では、これは規制の状況から勘案しての取りつけの推奨と言っていいのでしょうか、そうした方向で示されているのですけれど、構造だとか、走行条件の方からの制限、特に構造上の制限ですね。そこから出てくる取りつけ可能という判断は、例えばどのくらいの割合とか、あるいはこれは割合と言っても車の大きさによっていろいろ違ってきてしまう可能性もありますので、その辺の状況というのは把握が進んでいるのでしょうか。構造上の制限から来る対象車両の可能性というのをどういうふうに検討されているのか、ちょっとお知らせいただければと思いますけれども。

【事務局】 具体的に何割の車にDPFがつくというようなところまでは、残念ながらこの段階では、把握はしておりません。ただ、先ほど申し上げましたように、取りつけスペースがあまりないような、例えば乗用車系のものであるとか、そういったものには装着が難しいのではないかというようなことは言っておりますが、具体的に何割というところまでは把握しておりません。

【委 員】 それはやられる予定なのですか。

【事務局】 それはちょっと今後の課題と考えております。

【委  員】 走行条件の方も含めて、ぜひお願いしますと申し上げたい。

【委  員】 ちょっと教えてほしいのですけれど、1ページの一番下のバッチ式DPFで、これは100キロ程度だからできないのです。これを300キロとか、400キロにするというのはかなり難しいのでしょうか。

【事務局】 よくわかりませんけれども、端的に3倍か4倍になりますので、車のお腹につくかつかないかというのが一番大きな条件だろうと思いますね。通常は、だから100から150、あるいは200ぐらいが限界ではないかと考えています。それから、台数の把握の方でございますけれど、特に連続再生式のものは幾何学的な要件ではなくて、走行の仕方に100%依存すると言ってもいい面がございますので、これは、そういう意味では、台数の把握は不可能だと思っております。

【委  員】 こういうのが適用できそうな可能性の地域、走行状態からすると、地域に相当からんでいますよという話もございましたけれども、そういう話とか、あるいは車両の条件だとかというのは、いろいろな形でふくそうして出てくるのかなといいますか、あるいは車種によってもそういうところでこれだけの温度条件を確保できるかどうかという問題があるのだろうと思いますけれど、全く不可能だから、そういうことだから何もやらないんですよという話ではないのでしょう、今言われている話は。今のような取りつけの可能性というものを、もう少しこの辺の流れの中でもっとしていただけるのですか。

【事務局】 一般的な整理として今よりは細かいといいますか、より具体的な判断くらいまでいかないと思うんですけれども、およそこういう走り方ならば大丈夫かなぐらいの目安はお示しできると思うんですけれども、検討会なんかでも大分議論がございまして、そうしてお示ししたときに逆にそこで詰まったり、燃え出したりしたら非常に大変だなと。逆にとてもそこは難しいなあということで大分議論になった経緯もございます。

【委  員】 環境庁の方で認めてしまうという意味ですか。認めていたので、その中で事故が起こったりいろいろしたら困るなという話なのですか。

【事務局】 そのときの議論は検討会としてという意味ですけれど。

【委  員】 ちょっと教えていただきたいのですが、その1ページのところでジョンソンマッセイとエンゲルハードのはどちらもある一定の温度が必要だと言っていますよね、270度あるいは300度ということで。それは走行条件によってそういうものがキープされればそれなりの効果があるだろうということなのですが、場合によると、昔、一酸化炭素の浄化装置と言うと、マフラーを外してそこにつけたという時代もあるわけですけれど、昭和四十二、三年のころのCOの浄化装置で触媒式なんかのは。これだとマフラーのところを外してというので、やはりそういう排気ガス温度が一定条件をキープしなければいけない、走行によってそれをキープすることもあるのかと思いますが、エンゲルハードだと、排気温度が一定以上となる走行が一定比率以上とありますけれども、場合によると、エンジンに近いところにつけなければいけないとか、そういうような条件も何かあるのですか。なおさらつけにくくなってくるのかなという感じもするのですけれど、その辺はどうなのですか。

【事務局】 エンジンの近くにつけなくてはいけないというような条件にはならないと思いますけれども、ある特定の車両の場合にエンジンの近くにつけられるならば、それだけ排気温度が下がらない状態でつけられるので、連続再生式のDPFが作動する範囲がふえるだろうということは推測できますけれども、あとは実際にやってみないとという話になりますね。エンジンのできるだけ近くにつけば、それだけ排気温度は10度でも20度でも確保できるということだろうと思います。何というのですか、よりベターなつけ方というのですかね。

【委  員】 そうなると、ますます車種によっていろいろと。

【委員長】 これは技術評価検討会の中間とりまとめということで発表されたものでございますので、DPFの有効性をどう見るかということだったと思います。

【委  員】 これは中間とりまとめですが、この後どういう検討をされる予定ですか。

【事務局】 今後の課題のところにありますが、まだ実際に取りつけて走っている時間が短いものですから、もっとたくさんの距離を走って本当に、長い距離を走ったときに不具合が出ないかどうかというところを中心にチェックしていきたいというふうに考えております。

【委員長】 続きまして、議題の3にまいりたいと思います。
 自動車排出ガス総合対策の充実・強化の考え方について、事務局の方からご説明をお願いいたします。

【事務局】 それでは、資料に基づきましてご説明させていただきます。
 本議事に関しましては、前回、二つ項目をご議論いただきまして、一つは事業所レベルでの対策、もう一つは自動車の製造メーカーレベルでの対策ということについて、それぞれ資料に基づいてご議論をいただいたわけですが、今回はその続きといたしまして四つの項目について討議用の資料を用意させていただいております。
 まず初めの資料が資料4でございますが、車種規制についてでございます。この車種規制につきましては、既にご承知のように現在の自動車NOx法の中でも取り入れられておる規制でございまして、この扱いを今後どうするべきかということについてご議論をいただくために用意した資料でございます。まず初めに、簡単にではございますが、車種規制そのものの説明からさせていただきたいと思います。
 資料4の一番最初の車種規制の基本的考え方というところをごらんいただきたいと思いますが、車種規制というのは簡単に申しますと、窒素酸化物排出量のより少ない車種の使用を義務づけようとするものでございます。すなわち対象とする自動車、これを特定自動車と呼んでおりますが、につきまして共通の用途が見込まれる車両総重量区分ごとに最も厳しい単体規制に適合する車両のみ使用できるように排出ガス基準、これを特定自動車排出基準と申しておりますが、を定めるものであります。この車種規制につきましては、いわゆる新車だけではなくて、規制の段階で既に使用されていた自動車、これを使用過程車と呼んでおりますが、この使用過程車につきましても対象になると。もちろん一定の猶予期間を設けておりますが、その後で対象になるというものでございます。
 ごく簡単にイメージとして理解していただくために、ちょっと模式図を1枚めくっていただいたところに用意させていただいております。この模式図の上の図を見ていただきたいと思いますが、非常に雑駁な図ではございますが、まず縦軸がそれぞれの単体ごとのNOxの排出量、それから横軸が年度でございます。それで階段が二つございますが、上の方がディーゼル車の単体規制の規制値でございまして、下の階段がガソリン車の単体規制の規制値をあらわしているというふうにご理解いただきたいと思います。すなわち、おおむねですが、ディーゼル車の単体規制の値の方がガソリン車に比べて緩やかな規制値が過去には設定されてきたということでございまして、この階段がおりるたびに規制値が強化されてきたということをあらわしております。それで、現行の車種規制は、そこの縦の波線があります平成5年12月から開始されているわけですけれども、そのときにこの車両、重量区分ということが一つの区分であったというふうに考えますと、例えばディーゼル車の規制値よりもガソリン車の規制値の方が低いところで交わっているということでございまして、このガソリン車の単体規制の基準値を現行の車種規制値として選定したということでございまして、それがガソリン車の単体規制の階段の一番のところに重なる形で現行車種規制値というふうに線を引かせていただいているものでございます。したがいまして、この年度以降に販売される自動車につきましては、基本的には、ディーゼル車というものは購入できなくて、この場合ですとガソリン車の最新規制車でありますところのものを購入する必要があるということでございます。
 また一方、逆に平成5年12月より以前の車両につきましても、この現行車種規制値に適合しているものは、そのガソリン車の単体規制の階段の一番下の段のところに入っているものだけ適合しているわけでございますから、ディーゼル車は、過去のものは全部ですが、ガソリン車につきましてもその一番下の階段のところ以外のところに製造・販売された自動車については規制対象になるということでございまして、これについては、その現行車種規制に適合するように一定期間の後に買いかえが求められるということであります。
 前に戻っていただきまして、現行の車種規制についてもう少し具体的に説明させていただきますと、まず対象となる、先ほど申しましたようにこの自動車のことを特定自動車と呼んでおりますが、特定自動車につきましては、窒素酸化物排出量が多く、環境への負荷が大きいと考えられた貨物車・バスなどが特定自動車として定められております。したがいまして、乗用車などは適用除外というふうになっております。
 続きまして排出基準でございますが、これにつきましては特定自動車排出基準と呼んでおりますが、自動車の車両の総重量区分ごとに原則として車種規制の施行時点、平成5年12月で単体規制の値が最も厳しい基準値を特定自動車排出基準として採用しております。
 それから、使用過程車につきましては、先ほど申しましたように猶予期間が設けられております。これは、使用過程車については、特定自動車排出基準を直ちに適用しまして、その使用を制限すると所有者の権利の保護という面などで問題があるということで、猶予を車種ごとに定めているということでございます。具体的には、できるだけ自動車の代替を早期に行うべきという必要性と、それから強制代替によって生ずる使用者の負担等を比較考慮いたしまして、それぞれの車種の平均的な使用年数からおおむね1年を減じた年数を基本として設定しております。ちなみに具体的な数字につきましては、一番後ろのページに参考ということで排出基準と、それから猶予期間につきまして、それぞれの区分ごとに現行のものを示させていただいております。ですから、排出基準につきましては大枠で四つの区分、それから猶予期間につきましては三つの区分で設定しているということでございます。
 このような現状にございまして、これにつきまして今後どうするかということについてまとめさせていただいたのが3の車種規制強化の考え方についてというところでございます。
 まず現状認識でございますが、自動車NOx法の施行以来、車種規制適合車への代替は着実に進んでおりまして、平成12年度末には予測値が95.4%に達するというふうに予測しております。一方、自動車排出ガス規制の強化によりまして、現在では最新規制適合車の方が特定自動車排出ガス基準よりも厳しくなっている区分もありまして、現状の規制値では今後NOxの十分な削減効果が期待できないということでございます。したがいまして、規制値を強化する必要があるのではないかということでございます。また、現行法下におきましては、目標として設定いたしました環境基準の12年末おおむね達成というものが非常に困難という状況でございますので、こうした状況にもかんがみまして、確実に削減効果を担保するために規制適応車種の拡大についても検討すべきではないかということでございます。
 これにつきましても、またちょっと模式図に戻っていただきたいのですが、模式図に今度は下の図をごらんいただきたいと思いますが、先ほどの上の図を時間がたったということで線を、ガソリン車の単体規制、それからディーゼル車の単体規制の規制値がどんどんまた設定しておりますので、それを伸ばしたものが下の図になっております。その後、ディーゼル車の単体規制、ガソリン車の単体規制についてもそれぞれ段階的に規制値が強化されておりまして、したがいまして階段がそれ以降、続いた形になってございます。現行、車種規制値と、それから比較しながら現在といいますか、新車種規制開始の時期として想定される平成13年ごろとの値の比較をしていただきますと、ガソリン車の単体規制値というものがもう既に現行車種規制値よりもかなり低いところに設定されているということでございまして、既にその前の段階の規制値から現行車種規制値は自動的に適応されてしまっているということで、車種規制そのものの規制効果が発揮できていないということでございますので、13年○月と書いてあるところの波線の下の方にございますように、現行車種規制値を強化して下の方に厳しく設定してはどうかということでございます。
 またすみませんがもとに戻っていただきまして、こういった考え方に基づいて、今後、具体的に評価をしていく方向としてどのようなことが考えられるかということをまとめさせていただいたのが2番以降でございまして、まず特定自動車、対象となる自動車の種類でございますが、先ほど申しましたように、現行では乗用車が除外されているわけでございますが、ここに上述したような状況にかんがみまして、新たに乗用車も加えるべきではないかということが1点目でございます。
 続きまして3番のところでございますが、排出規制基準値についての[1]でございますが、新たな排出基準については、NOxのみならずPMについても考慮して、最大限の排出抑制を図るという観点から、車種規制施行時点における最新規制値を特定自動車排出ガス基準として設定すべきではないか。ただし、最新規制値が特に最近設定された特定自動車については、所有権の保護等の観点から強制代替による過度のインパクトを避けるために、一定の使用過程車が適合するような特定自動車排出基準を定めることが必要ではないかということでございます。
 ちょっとこの最後のただし書きのところがわかりにくいかと思いますので、これについてはまた図をちょっとごらんいただきたいと思うのですが、これはどちらの図でもいいのですが、簡単なために上の図で説明させていただきますと、使用過程車につきましては先ほど申しましたように、例えばこの上の図で申しますと、ガソリン車単体規制の現行車種規制値と同一の規制値が設定されているものだけが適合されているということで、それ以外のものはすべて代替しなければいけないということになります。したがいまして、この現行車種規制値とガソリン車の単体規制値が重なっている期間が非常に短いということは、逆に言いますと、それ以外のもの、つまり代替しなければいけない車が非常に多くの割合を占めるということになりますので、場合によっては、そういったことによっては非常に社会的にも影響が大きいということを勘案して、先ほどのただし書きにございますように、一定の差別化を図る必要も考える必要があるのではないかということでございます。
 続きまして、新たな単体規制の設定への対応ということでございますが、今後、新たな自動車排出ガス規制の強化が予定されておりまして、新車につきましては、随時、最新の単体規制値を取り入れられる制度とすべきではないかということでございまして、これにつきましても何度も行き来して恐縮ですが、下の図の一番下の右端の方に書いてございますように、将来的にさらにガソリン車等の単体規制が強化されることが予定されておりまして、恐らく新車種規制が開始される時点では、その規制値はまだ適応されているわけではございませんが、それが将来的にはっきりしている場合には、新車についてはその時点でさらに強化ということをあらかじめ盛り込んでおく必要はないかということでございます。
 さらに、最後に猶予期間でございますが、猶予期間につきましては、先ほどと同様の理由から車種別の平均使用年数などを考慮いたしまして、現行車種規制と同等のものとしてはどうかということでございます。
 資料4につきましては以上でございます。

【委員長】 はい、どうもありがとうございました。
 これは大分、車種規制の範囲を拡大する、あるいは弾力条項を入れるというあたりの話ですが、いかがでございましょうか。

【委 員】 大体理解できたつもりなんですが、[3]の[1]のただし書きのところですね。最新規制値が特に最近設定された特定自動車について、それを取り入れて特定基準値を設定するという場合に、使用過程車についても当然、耐用年数プラス1年で本来買いかえていただくことが望ましいというのであれば、それについて段階的な基準を設けるというのはどういう趣旨なのか、ちょっと理解できないのですが。ここで、要するにもともと使用過程車については猶予期間のところで調整ができているのであれば、それですべてバランスがとれているという気がするのですが、この基準そのものが、これが望ましいという基準があって、それが製品として実際に売られていて、今ある車が買いかえ時期にはそういう製品の車が現実に市場で取得できるのではあれば、それに合わせてくださいというのが、どこが問題になるのかなという気がするんです。それがもし、そんなことを言い始めればほかのところだって全く同じことになりませんかね。だから、ここのところの「ただし」というところはちょっとよく理解できないのですけれども。もし、どうしても何かそこで無理やりに買いかえを強制することに合理性がないのであれば、猶予期間の方を調整すれば済んでしまうので、数字のところでつじつまを合わせるというのはちょっと理解できない、僕の理解は間違っていますかね。どうもそんなふうに聞こえたのですが。

【事務局】 一つごく簡単な例をご紹介させていただきたいと思うのですが、先ほど申しましたように乗用車について、今後、対象としてはどうかということを提案させていただいているわけでございますが、例えば乗用車につきまして見ていただきますと、乗用車の現在の規制値というものは、ことしの10月1日から新たに規制値が強化されるということになっておりまして、それが始まる前の規制値というのは昭和53年に出てございまして、例えばその使用年数が具体的に何年ということは、今ここでははっきりした数字はございませんが、多分7年とか8年ということで考えますと、それを既に過ぎている車は非常に大量にあるという状況にございます。そうした場合に、直ちに最新の規制値ということでそれらの車を使っておられる方々に、すぐに代替ということを求めていいのかどうなのかということをちょっと疑問という形で述べさせていただいたということでございます。

【委  員】 であれば、排出基準の方の段階的な調整というよりも、その猶予期間を調整するという方が従来の大防法などで固定についてやってきた政策から言っても合うのではないですかね。だから、本来なら耐用年数が切れていれば買いかえていただきたいんだけれども、現実に、それも耐用年数ではなくて、この平均使用年数という発想でいくならば、世の中の人が大体このぐらいの期間、使う期間だろうという平均値があって、それにプラスでもともとオプションを与えているわけですよね。それでもなおおかしいならば、やはり今言われたように急激にがたんと厳しくなるというのは大変だというなら、その分だけ経過措置ということであともう3年間おまけをつけるとかというやり方をすればいいので、ここで何か数字の調整というのは、むしろ今後とも規制が強化されれば連動して規制を厳しくしようと言っていることと矛盾するような気がするんですよね。だから、そういう連動して厳しくしていくという発想は、私は大いに結構だから取り入れるべきだと思いますが、これは猶予期間のところの問題だと思うんですよ。本来ならば、私は余り猶予期間など設けなくてもいいと言いたいぐらいなんですけれども。というのは、逆に経済的措置の議論などのところで、もう本来、耐用年数が切れてしまっているような車を走らせて、それで買いかえをしないで、ある種の利益を享受している人は環境に対する負荷をそれだけ与えているんだから、それについては割増の税を払えという話があるぐらいなんですから、それとの関係でここのところはそんなに猶予しなくていいと思いますけれども、しかしもろもろ今までの長い間の我が国の環境行政のやってきたこととのバランスを言えば、そこで期間についての猶予を与えるということで十分足りるような気がしますけれど。

【委  員】 浅野先生がおっしゃるのは、いわゆる猶予された特定自動車に関しての排出基準ではなくて、猶予期間の方で単純に見ればいいだろうというお話ね。ここは短期・長期、それから新短期・新長期がありますよね。その辺のどこでいつ何が出てきているかの問題ですよね。そうすると、今の猶予期間、今まで平均車でマイナス1年で来ていたわけですよね。1年減じて、10年なら9年でという形になっていたわけですから、そういうようなものがきちんと設定されればそれでいいと。新たに基準など設けるとまたそれに合うようなのが出てきても困るということですね。今、いろいろ検討しておりますのでその辺も、先生自身も検討をしていらっしゃる、委員などもいろいろ、その辺の問題ですね。

【委  員】 私は、浅野先生が言うのは当然の話かなと思って聞いていましたが、確かにこのただし書きのところはちょっとわかりにくかったので今ので大体内容はわかったのですけれど、そういう意味では猶予期間といいますか、代替させるのにどういう速度でいったら最適なのかという話になってくるんですよね、きっと。それに対する供給側サイドの問題だとかいろいろ出てくるんだろうと思いますので、その辺は配慮しながら猶予期間を考えていきますよという話だと思うんです。それでもう一つ、ちょっと私の方から聞かせていただきたいのは、今のような話も含めて、これはNOxで決して私は公共の福祉という面からこういうようなやり方は反対するわけではないし、積極的に展開していくのも必要だろうと思っているんですけれど、一方で今年法律をつくりました循環型社会基本法というのがありまして、あそこの中で理由数といいますか、積極的にやはり長期間に製品を使っていってもらいましょうよという話があるわけです。そういう流れの中で、特にこの乗用車について、NOxに占める割合というのをディーゼルのトラックだとか、バスだとかに比べれば率が非常に少ない。それに対して同じような形でこういうふうに規制なりを適用していく、その理由といいますか、その根拠といいますか、なぜそうしなくてはいけないか、これだけの割合を持っているのだからそういうふうにしていってほしいですよというのをきちっと示しておかないと、この辺、例えば中古車の活用とか何とかという話になってきますと、大分制限を受ける可能性が出てくるのではないかというふうに思っているんですよね。そういうことで、もう少し費用対効果といいますか、日本全体の社会の中で、あるいはこういうことで買いかえていただかなくてはいけない人に対する説明という意味から含めましても、その辺をちゃんと示した上でこの基本法をやっていかないと、ちょっとこれだけ見せられていいんですよとか、悪いんですよという話はできないのではないかなと私自身は気がしているので、ただこれはちょっと私、前回も休んでいますので、過去に示されたというのだったらそこのところは皆さんの方からご注意いただければと思っていますけれど、ちょっとそういう質問で。

【委  員】 今の両先生のお話を伺っていて、ここで最新規制値が特に最近設定された特定自動車についてということで限定しているわけですけれども、そうすると従来、現在のNOx法でいくとかなり昔のものが入ってきて、それを特定自動車についてはある一定の猶予期間でやってきたわけですけれども、その後、規制を強化して最近、これですと短期あるいは長期規制の車になるわけだと思いますけれども。ですから、それをある一定の猶予期間ではなくて、もうその排出状況を改善しましょうということでそれ以来新しい規制値でやってきたのであるものを、ここでまた7年ですよ、8年ですよという使用期間を限定することがいいのか、比較的最近の新しい規制値であるから、ある程度の基準を適合すれば使わせましょうというのか、どこにポイントを置いたかの問題なのかなという感じもするんですけれど。ここに昔、前の特定自動車ではなくて、最新規制値に適合した現段階での最新規制値ですね。このあと、ですから、現在、優レベルであったとしてもこの次に新しいのが出ればそれはレブになってしまうでしょうし、1ランク下がるかどうかになりますよね、優レベルならレブに下がってしまうでしょうから。その辺のものをどう認めていくのか、それを期限的なもので切るのか、その基準を設定しておけばその間使えるようにするのか、その辺の是非論だろうと思うんですけれども、その辺どうですか、先生の。

【委  員】 よろしいですか。車種規制というやり方が今までのツールとしては、言ってみれば強制力のある唯一のツールであったわけで、そのツールの限界というのはもうはっきりしているわけですが、さりとてこういうツールをでは捨て去るかと言ったら、やはり捨てるにはもったいないので、やっぱりそれなりの効用は上げてきた。だったらこれはもう一回有効に活用するという道を考える以外にないだろう。基本的には、ですから車種規制というのはやはり残さざるを得ないし、今までやってきてことの政策の一貫性から考えても今さらこれをやめますというわけにはいかない、やらざるを得ないと。やるとすれば今までと同じようなことにはならないだろう。最低限、少なくともその特定自動車排出基準というものが自動車の最新適合車の基準とずれるような事態は防ぐべきだろうということは言えるわけです。それに至る過程のところの話というのは、それはもちろんだから、その猶予期間をもうちょっとプラスアルファでオプションで設ければいいだろうと思うのですが、もっと大胆に政策提言として何を言ってもいいということであれば、ここら辺余りそういうことはいけないのだけれども。言わしていただければ、それで最新適合車に買えかえるときには負担が随分重いですね。今まではそれを補助金や何かで何とかてん補して、買いかえはほとんど促進していただきましょうねというふうにしていたわけだけれども、それも一つの方法ですけれども、だったらむしろ買いかえをしない人は買いかえをした人と同じだけの負担をしてもらえばいいわけですね。それがどちらが得かと自分で考えるわけでしょうから、そこでチャージをかけておいて古い車をべんべんと走らせるという人はそれだけ余計負担をしてください。買いかえをしている人に集まったお金を流してしまえば、資金もそこで一挙に解決をするわけですね、お互いに公平が維持できるぐらいのことまで全体をダイナミックに考えることができればすごくいいのですが、しかしこれはここで言えるかどうかわからないと言ったのは、国の税金システムみたいなものでそんなことはなかなか簡単には持ち込めない。地方税だったらできるかもしれないけれど、それをではそういうふうに補助金に回すような仕組みというのは、一体、国で命令してできるものでもなかろうということでそこで行き詰まってしまうわけですけれども、少なくともその車種規制に関して、残していってこれを活用するというのであれば、私はしばらく急に買いかえろということを無理やりに言うことは無理なんだということに対する配慮で十分で、数値の方で配慮するというのはちょっと何か違うような気がする。と同時に永田先生がおっしゃっていることは、私も実は非常に背景としてあるなと思っているですよね。つまりこの車種規制というのは、買いかえ促進なんですよね。特定地域ですから、ひょっとしたら非特定地域のところに中古車として流れて、そこで使われるであろうということを想定して何とか政策として許容されていたわけですね。本当にそうであればですよ。だけど、もしこれがそんなふうにうまく回らないのであれば、ますます廃車がふえるという事態を引き起こすことになるから、そこの説明をしなければいけないことは事実ですよね。それは非常に気になることです。だから、無理やりに廃車にさせるのではなくて、経済的措置を併用することによってどちらでもいいですよ、選択してくださいよという方がスマートだなと前から思ってはいるわけです。要するに買いかえない人が丸々もうかってしまって、排出ガスは出しっ放しでよろしいということにはならないだろうとは思うわけです。

【委  員】 そういう意味では、特定自動車としての従来の方法、そのときも同じことが起こっていたわけで、これについては私もちょっとその制定のときに参加させていただいて、公共の福祉だとか何とかという面から許容できる範囲内だろうと思っているんです。それはそれでよろしいかと思いますし、それが今度は乗用車を加えるという話になってきましたらもう一段その辺のところできちっとしたデータを示さないと、やはり一般の人たちに納得してもらえるような状況ができないかもしれませんよということを申し上げているであって。
 それから、もう一つ言わせていただくと、私はこういう車の生産の方法論の中に、耐用年数が長いものについては、例えば排ガス規制が強化されると言ったら、その段階でその規制に適応できるような車づくりの方法というのをこれから考えていくべきではないかと。ちょっと余り一般的になっていないあれで申しわけないてすけれど、成長する製品の概念というやつをどこそこで言わせていただいているんですけれど、まさにこれがこういうときに役立ってくるのではないかなというふうに思っていまして、そういう意味ではそれを両立するような車づくりの方法論というやつもこれからの一つの検討課題、あるいは車だけではないんだと思うんです。いろいろな製品が、やはりその時代その時代に合わせた最高の機能を発揮できるように、使用過程のものであってもつくり変えていくことができる、成長させることができるというような方法論というのをあわせて考えていく時代になってきたんだなということをちょっと申し上げて、それが循環型社会との整合性を持たせる物づくりの方法論ではないかというふうにも考えていますので、ついでにちょっと言わせていただきました。

【委  員】 今の議論はもっともだと思うんですけれど、そういうのを検討するに当たっては、LCA的な考えたとか、あるいはLCAよりもっと進んだようなシミュレーションをやってみる必要があるのではないかということをコメントしたいと思います。

【委  員】 すみません、猶予期間の問題は非常に悩ましいと思うんですけれども、例えば53年規制でも2000年から始まる新短期に比べて、もう遜色のないものが実は出てきているわけですよね。ですから、どれぐらいの猶予期間を設けるかというのは、やはり実際の効果を何がしかの方法でやはり見積もって、どの程度の改善効果があるかということをやはり予測しながら、やはり公平にやった方がいいのではないかなと、すっかり前例に倣うのではなくて。特に53年規制と新短期というのは、大きな段があるように7割ぐらい減っているわけですから、差があるように規制値としては見れるのですけれど、実態としては53年規制よりもはるかにクリーンなものも実はたくさんあるんですよね。ですから、それを本当に何というか、もうあと5年ぐらいしたらなんていうのはちょっと実態と合わないし、効果としても大気改善の効果というのはそれほど大きくないのではないかと思いますので、その辺をいろいろな推計の方法があると思いますけれども、何かお知恵を出していただければと思うんですけれど。

【委  員】 大体、今の大聖先生の話で少し頭が整理できました。そうすると、画一的な基準というよりも実際のデータをもっとよく集めて、53年規制というのはみんな物すごくひどいものではなくて、その時代にも結構いいものがあってということが事実であるならば、それから大体どのぐらいで出ているんだというようなことがわかるわけだから、それで組み合わせをして平均値みたいなところで猶予期間の考え方を取り入れるということはできるかもしれない。現実に53年規制という枠の中であってもそんなに出していないものがいっぱいあるならば、それはそれを想定して、それを数字として挙げるかどうか、こういうもののときに。基準と基準の間に何か別の基準をつくるというのはやめようと言っている、口の先でそういうことを言うというのはおかしいわけだから、やはりここのところの猶予期間の話で、現実にどのぐらいの型式のものがどのぐらい走っていて、それをあと何年ぐらいもつんだろうというところで、もう一回新たに枠を決めればいいことではないかなと。結局、僕が言ったことと大聖先生が指摘されたことはそう違わないような気がするんだけれど、あとはその合理性の問題だろうと思うんですね。データをしっかりそろえていけば議論はできませんので。

【委員長】 乗用車を加えるべきではないかという点は、これは一部で既に、最近は乗用車のディーゼル車が非常にふえているという現実がありますよね。この辺を非常に、例えば貨物車だけに責任を転嫁して、乗用車はどんどんふえているのを放置していいかという指摘は私も随分聞いたことがあるのですが、最近のその乗用車の増加傾向のようなものがこの言葉の中に含まっているということでしょうか。

【事務局】 乗用車につきましては、保有レベルでは緩やかに徐々に増加傾向はございますが、その排出レベルでは必ずしもそのような傾向が見られるわけではございません。

【委員長】 一種の公平感というのか、これはかなり意見を聞いてはおります。

【事務局】 若干、数字を少し申し上げますと、先ほど発表のあったディーゼル車のDPFの取りまとめの中に表が入っておりまして、NOxで見ますと、ガソリン車とディーゼル車を合わせて、乗用車全体では16%ぐらいになりますが、バスのNOx排出規制が5%ですから、それに比べると乗用車の方が多いというのは数字の上では出ておりますが、PMの方も見ますと、ディーゼル乗用車が11%の排出量になっておりまして、これと対比する数字として小型貨物車が12%、それからバスが6%というふうな割合になっていますので、乗用車が無視できるような存在ではないというのは、数字上は少なくとも言えるのではないかというふうに思います。

【委  員】 私は事務局のその「ではないか」と、これはやはり「そうだろう」と思いますね、今のようなこと。それから、特にPMについても考慮しながらという話をしていくならなおさらのことでしょうね、ガソリンから出ませんから。ただ、これは、問題は特定地域に限ってということでしょうけれども、当面はやはりそういう言い方にせざるを得ないでしょうね。そうすると、使えなくなったものが直ちにごみになるわけでもないからと。一応のエクスキューズはできるのだろうと思うのですが。それで、もともとこれはあれでしょう。燃料の価格の問題がむしろ大きかったんだろうなと思うのですが、だからそっちの方の対策で必ずしもうまくいっていないからこういう話になってしまうわけですよね。もちろん乗用車の場合でもディーゼルの方がいい面があるかもしれませんけれど、それはごく一部の山の中を突っ走ろうという人ぐらいの話で、平地を入るときは、そんなに関係ないのではないかと素人考えでは思うんですね。そうすると、やはり最大の原因は燃費の問題なんだろうと思うんですけれど。

【委  員】 いいですか。今ちょっとご説明いただいた数値、ちょっと真摯にまだ見ていないので、こっちの、どれで見ろと言われたのですかね、ちょっとすみません。ただ、それも今のやつは排出量全体の中に占める割合で、こういう政策手段をとっていったときにどのくらいの低減効果に結びついていくかという話ではないんでしょう、今の話は。そういう整備をきちっとやっていっていただかなくてはいけないんだろうというふうに思うんですよね。そういう中で、すみません、これはあれですか、排出量ベースの話ですよね。わかりました、参考資料のやつね。ちょっとそういう意味でこの辺の、私は別に入れるということに反対しているわけではないんだけれど、説明する資料としてどんなものをきちっと準備していただけるんでしょうかねという話、その政策手段の中でもいろいろその自動車に対してのとれる方法論というのはあるんだろうと思うんです。先ほどの費用負担なんかの問題も含めてですね。そういうのをもう少し検討するのでしたら、今のような情報が必要だろうというふうに申し上げておきたいと思います。

【委  員】 あともう一つは、そういう効果の問題もあるのですけれども、同じ車種のカテゴリーの中で規制値が本当に何倍も違うわけですね、実際。そういうものが共存しているところは、やはりよりクリーンなものにしてくださいということも、またそれは一応理屈としては、私は成り立つのではないかなというふうに思います。かなりかけ離れていますのでね。

【委員長】 次の2ページの3行目に「新たな排出基準については、NOxのみならずPMについても考えるべきだ」と。今までのNOx法との関係をここで述べているのですが、この点は何かご意見などございますでしょうか。

【委  員】 PMについての知見が必ずしも十分ではないということは確かにそのとおりであるとしても、それでおまけに個々の判決が出たからどうだというようなことは必ずしもないと思いますが、しかしやはり問題であるということが各地で指摘されているのであれば、やはりそれを考慮するということは当然の政策課題でしょうし、全くそのNOxだけで考えるということにはならない。これは事務局の言われるとおりだと思います。むしろ今後、知見が蓄積していったら全く外れであったという可能性があるならば、それはやってはいけないんでしょうけれども、多分、知見の蓄積というのは、より危険度の高い方に知見が蓄積していく可能性があるのであれば、まさに予防原則ということになるわけですからここでやっておいて、むしろNOxの方の危険性が少なくてもPMの方は確かに危険であるということがはっきりしてくれば、ここでNOx対策とあわせてやっていたことが全体としてはセーフということになりますから、この政策全体が予防原則の見地から見て間違っていなかったということになりますね。だろうと思うので、私は、これは事務局の「ではないか」ではなくて、「すべきである」と、我々は直せばいいと思うのですが。

【委員長】 私は、過分にして十分に検討しているわけではないのですが、外国でもNOxだけではなくて、PMを非常に重視している国があちらこちらにあるということは現実のようですね。それだけちょっと加えておきたいと思います。

【委  員】 PM問題に関しては、もう日本はかなり国際的におくれている状態でございまして、アメリカも1997年にPM2.5の規制値をもう決めているわけですね。それは15mg/m3、年平均値ですけれど、そういう状態で比べるならば日本のレベルはもっと高いんです。ですから、それが全部ディーゼルに寄っているということではないんですけれども、ディーゼルもそのPM2.5の濃度にかなり寄与しているということは間違いないことですので、やはりこれは入れておかないと非常にまずいのではないかというふうに思います。

【委員長】 先ほど先生がおっしゃったPMとNOxはなかなか区分できないという部分があります。

【委  員】 そうではなくて、PM問題というのはNOx問題より国際的にかなり大きな問題になっていく、これは今後ますます大きな問題になるだろうと。ディーゼル排出物の中でNOxの問題ですけれども、PMの方はより重要になりつつあるので、ここでNOx法の中にもPM問題について考えると入れるのは、妥当ではないかというふうに申し上げているわけです。

【委  員】 それと、私、こういう委員会でよく申し上げるのは、目に見えるような黒い煙をテールパイプから出すということ自体がもうマナリズムに反しているんですね。ですから、そういうのをまずやめるというのは、やはり原点としてあっていいのではないかなと。それは、フィルターをつけるか、もう最新規制車にすれば出ないわけですから、そういうことではないかなということを考えますと、やはりPMというのは、目に見える煙を大都市の混んだところで出すというのは、やはり我々こういう会議でも禁煙をやっていますので、ぜひディーゼルも禁煙してもらいたいという、そういう観点から。ですからそういう有害性とかということもありますけれども、やはり不快感というのですか、そういうものを非常に助長すると思うんですね。しかも10台に1台ぐらいそういうのを出していますとディーゼルは悪者という、そういう感じになりますので、そういうのはぜひ退治していただきたいということがあると思います。

【委 員】 NOx、環境基準ですからNO2ですね。一部改善されたとか、あまり変化がないとかいろいろありますけれど、PMに関してはとにかく全国的に環境基準の達成率が悪い。ただ、それがすべてディーゼルのPMであるかどうかは別として全国的に見ても、首都圏は特に道路沿道の達成率は極めて近畿圏に比べても悪いわけですよね。ですから、その要因が少なくともそのディーゼル排ガスにあるだろうという想定がされるのであれば、やはりそれなりに対策を講じなければならないわけです。そういう意味では、粉じんのいろいろ粒形分析等も必要でしょうけれど、成分分析等も行う必要があると思いますけれど、その辺のバックデータもまたそろえておかなければいけないのかと思いますが、とにかく環境基準というものは厳として存在しているわけですし、そういう中でこれを維持達成しなければならないというために、どういう努力をしていくかの問題もあるわけですから、そういう意味で、PMというものも現段階で道路沿道の環境が非常に劣悪ということは明白になっているわけですから、その意味でも自動車となれば当然ディーゼルということになってくるわけですけれども、あわせて考えていかなければならないだろうということだろうと思います。

【委員長】 ちょっと差し出がましい話をして恐縮ですが、PM・NOx、大聖先生なりに目に見えるとこういう話。私はアメリカで大問題になったのは、とにかく排出ガスと聞いただけでは大衆はわからないですね。だから、環境がNOxとPMをどういうふうにウエートを置くかとかいろいろな問題はありますけれど、デブリーゼしましてレベルとしてはこんなに悪いんだよということを示すことがもしできれば、これはやはり大衆も「そうか」と、こうやるんですよ。そういう情報伝達手段が非常におくれているんですね。だから、情報公開で一つの政策を打つ場合に、必ずその反応が出てくるはずですね。その反応に対して明確な基準があって、なるほどなと思えるようなその情報公開がしっかりできるかできないというのは、これは対策に物すごく大きな影響があるんです。その辺を私は絶対に考慮すべきではないかと思うのですが、先生方から見ると「いや、そんなものは、比率としてはそんなの出せるの」と。あるいはそんなことを言って、指標がいい加減な指標で出して、規制をかけて反発が来たときにはどうするのと、こういう話になり得るとは思うんですけれど、それは相当の権威と、外国の文献を追うと、その規制のクレディビリティーという言葉がよく出るんです。信頼できるものであるかどうかということがよく出るのですが、ちょっと余分なことを言ったかなと思いますけれど、何かその辺ご意見をいただければとありがたいんですけれどね。

【委  員】 委員長のおっしゃるとおり、私、一般の人が納得できるような政策をやるということは非常に重要なことでございまして、よく言われていることは、今後のサイエンスの中で、昔はいろいろサイエンスアンドテクノロジーと、そういうのがありますけれど、いわゆる政策を支援するための科学と言って、レイレトリーサイエンスとか、統治科学とか言いますけれど、そういうのが必要ではないかと言われているわけですね。その中で一番大きな成果を上げたのは、この前、環境ホルモン絡みでコルボーンさんが「うばわれし未来」という環境ホルモンの本を書きましたね。あれはコルボーンさんは科学者なのですが、科学者が社会科学者とジャーナリストと一緒になって本を書いている。そうすると、みんなにわかる本を書いてしまったわけですね。それで一気に環境ホルモンというのがわあっと広がった。それで何とかしなければいけないということになったわけですね。だから、そういうような努力が日本は非常に欠けているのではないかとよく言われていることなので、そういうこともだんだんやっていかなければいけないし、行政の方もいろいろやっていかなければいけないんだろうと思うんです。そういう意味では、永田委員の先ほどいろいろ言われた形で、ここで出されたように非常に定性的にことを書いてあるけれど、こういう政策をしたらどれぐらいよくなるか、もうちょっと不確実性があっても定量的な提示をしていけばみんな納得できると思いますけれどね。そういうことをやはり努力すべきだろうというふうに思います。

【委員長】 これはぜひ記録に残しておいてください。
 よろしゅうございますか。
 それでは、続きまして交通需要マネジメント(TDM)施策についてご説明をお願いいたします。

【事務局】 それでは、資料5について説明させていただきます。
 交通需要マネジメント(TDM)施策についてでございます。一つの分類方法によりますと、交通渋滞ですとか、あるいは交通量の増大に対処する方法といたしまして、道路交通容量の拡大という方法と、TDMという方法の二通りがあるというふうに分類の仕方がございます。それで、今までのところは、ここで1のところにございます[1]の交通容量の増大というものに重点が置かれがちであったけれども、今後はTDMというものについても重視していかなければいけないということが言われているところでございます。
 TDMというものは、非常に多様な施策の総称でございまして、少しイメージを持っていただくために3ページをちょっとごらんいただきたいと思いますが、TDMの施策の種類ということで、主なねらいごとにどんなものがあるかということを整理した表を引用させていただいておりますが、頻度の変更ですとか、時間の変更、目的地の変更、手段の変更など、いろいろな観点から交通需要マネジメントという施策があり得るということでございます。
 また、その具体的な施策といたしましては、今度はまた1枚めくっていただきまして4ページにございますように、例えばSOHOですとか、テレビ会議等を普及させるですとか、勤務日数を変更するといったものから、公共交通の利用を促進するですとか、あるいは交通の規制・誘導を行う、駐車政策による規制・誘導を行うといったようなものまで非常に多様なものがございます。
 これらのうち、特に最近議論が盛んにされておりますのが、5ページから7ページにかけて少し整理させていただきました流入抑制策で、具体的には流入規制と呼ばれているものやロードプライシングと言われているものでございまして、これについて少し5ページから7ページで整理をさせていただいております。ここでは3種類例示させていただいておりまして、まず一つ目がロードプライシング、二つ目がナンバープレート規制、三つ目がステッカーによる規制ということでございます。それぞれ簡単に概要をご説明いたしますと、まずロードプライシングでございますが、これは道路利用者から料金を徴収して当該道路あるいは地域における走行量を抑制して、環境への負荷を低減しようという方法でございまして、広域政策として行う場合には、路線ではなくて地域というレベルで課金するということが基本になるということでございます。
 具体的な制度の枠組みといたしましては、例えばどういった車種に課金をするかとか、あるいはどういった時間帯を限定するのかというようなことによって非常にバリエーションがございます。こうした方法では、これはナンバープレート等の規制でも同様でございますが、一つは走行量そのものが抑制されるという効果と、もう一つは走行速度が向上して汚染物質の排出が抑制されると、二つの効果が指摘されております。
 次にナンバープレート規制ですが、これは例えば日を限って偶数のナンバープレートを持つ車両だけを一定地域に入ってくることを認めるといったような方法で、ナンバープレートを用いて流入を規制しようとする方法でございます。こうした方法は、既にナンバープレートというつけられているものを使うということで、視認可能だということで規制が容易だということがございますし、また心理的抑制効果が得られるというようなことも指摘されております。
 それから、3点目のステッカーによる規制ですが、これにつきましては、一定の基準に適合する自動車にステッカーを添付していただいて、外見上認識可能にして対象地域内に流入可能な車種を限定するという方法でございます。これにつきましては、効果といたしまして例えばですが、特定地域内の特定自動車排出基準に適合した車両と同等の車両のみを流入を認めるということにすれば、地域内外の公平性が保てるというような特徴が、メリットが指摘されております。
 これらの方法につきましては、それぞれそういった特徴があるわけでございますが、その導入に当たっての課題というものを[3]のところで整理させていただきました。
 まず一つ目、法制的課題ですが、ここにつきましては、特にロードプライシングに関係する問題といたしまして、道路利用について料金を徴収できる条件というものが道路法に定められているということで、これを逆の解釈として、通常の道路というものは無料公開が原則だという解釈がございます。したがいまして、有料道路は特例で必要最低限の料金を受益の範囲内に限って利用者から徴収するものであるということで、むやみに料金の徴収はできないんだというような解釈がございます。ただし、現行の有料道路の制度下におきましても、料金構成に交通需要調整の概念を組み込むということで、ロードプライシングを適用することは可能だという指摘がございます。
 あるいは、その[1]の最後にございますように、目的を別にした課金ということで、そうした道路法の求める無料公開の原則とは無関係に、自治体条例で法定外目的税として実施することも論理的には可能だというような指摘もございます。
 続きまして制度的な課題ですが、これにつきましては、まずどういった車種を対象とするのかとか、あるいはどういった時間帯に制限するのかと。さらには、料金をどういったレベルに設定するのかといったことを具体的にきめ細かく分析して判断する必要があるというところが課題だろうというふうに思います。また、広域的な流入抑制策として導入する場合には、地域が一定規模以上になりますと、すべての流入車両を流入という段階で捕捉することが非常に困難になりますので、初期の効果を上げるには、システムの工夫が必要だということが指摘されております。さらに、流入だけを単に規制いたしますといろいろな問題が生じるということで、ロードプライシングと、例えば公共交通機関の充実などを組み合わせるというようなこと、あるいはパークアンドライド施設なども整備するというようなことで、総合的にTDM施策を推進する中で位置づけてやるべきだというような議論がございます。
 さらには、非常に取り締まり等での、あるいは料金徴収等での事務というものが生じますので、そうした事務負担の増加ということと、効果のバランスなどについても勘案する必要があるというような指摘もございます。
 続きまして技術的課題ですが、広域的な流入抑制策を可能とするためには、今後、安価な自動監視機器等の開発が必要だということが1点と。もう一つ目は、実際に自動車排出ガスの抑制効果を発揮させるということのためには、地域の道路交通網や利用者の道路利用需要を把握しまして、その課金ですとか規制によって、利用者がどういうふうに行動を変化させるというふうに予測されるのかということを正確に予測する必要があると。その際には、新たな大気汚染地域を生まないような配慮や騒音問題などへの配慮なども必要だということでございます。
 したがいまして、7ページの4のまとめのところでございますが、こうした流入抑制策のの導入に当たりましては、地域ごとに予測シミュレーションや社会実験などを含む事前検討が必要で、直ちに導入することは困難な場合もあると考えられるということでございます。しかしながら、地域によっては、今後、有望な施策ともなり得るということでございますので、他のTDM施策とあわせて総合的な施策の枠組みを確立し、その中で導入を図っていくべきではないかということで、流入抑制策のところをちょっとまとめさせていただきまして、それでもとに戻っていただきまして、1ページの基本的考え方の後段でございますが、今までご説明させていただきましたように、TDM施策というのには非常なバリエーションがあるわけでございますけれども、それを相互に有機的に連携をさせて推進してこそ具体的な効果が期待できるということで、もう一つは、今後は交通流対策そのものを需要の面からアプローチするということが一層重要になろうということが考えられるということで、TDM施策を総体としてデザインして、包括的視点を持って積極的に推進していくことが必要ではないかということであります。
 今後のTDM施策の方向についてでございますが、国や地方公共団体は、以下のような視点を持ってTDM施策を今後一層積極的に推進していくことが必要ではないかということでございまして、4点ばかり挙げさせていただいております。
 一つ目は、フレキシビリティーの確保ということで、TDM施策は非常に多様なものだということと同時に、対象となる地域の状況も非常に千差万別だということがございます。したがいまして、地域の実情に応じて的確に施策を組み合わせる必要があるということで、法律に基づいて一律に規制的措置として導入したりすることは適切ではなく、多様な取り組みの中から地域の実情に応じて施策を選択でき、さらに見直し等も必要な場合には行えるというような、柔軟なシステムを構築する必要があるのではないかということでございます。
 それから、2ページにいかせていただきまして、またこうした地域の実情に応じた的確なTDM施策を推進するためには、さまざまな準備が必要でございますので、国はみずから行う施策に先立ってはこうした調査を行うとともに、地方公共団体が行う調査には積極的に支援を行っていくべきではないかということでございます。
 2点目は、中長期的視野の確保ということで、TDM施策についてはいろいろなものがございまして、大がかりなもの、新たな技術革新を要するものなどもあるということでございますので、短期的な効果だけではなくて、中長期的な視野に立って施策を推進するということが必要ではないかということでございます。具体的には、これは必ずしもTDMとは言えないかもしれませんが、例えば公共交通網の整備ですとか、物流拠点の適正配置、あるいは社会実験ですとか、研究開発の促進などについて今後ともやっていくべきではないかということでございます。
 3点目は、総合的な政策目標の設定ということがございまして、TDM施策というものがさまざまな主体のさまざまな活動に影響を及ぼすということで、排出ガス抑制という観点のみからは、なかなか推進していくのは困難な場合も予想されるということでございます。したがいまして、その他のここに書かれていますような、都市内交通の円滑化ですとか、地球温暖化対策、あるいは交通事故の低減対策といったさまざまな施策と積極的に連携するということも考えていくべきではないかということでございます。
 最後に施策の推進体制の確立ということでございまして、実効あるTDM施策を推進するためには多くの主体を巻き込んで、そうした主体間の継続的な対話のもとで合意形成を図りながら、推進するための枠組みというものをつくっていく必要があるのではないかということでございます。
 以上ですが、参考資料だけごく簡単に説明させていただきますと、8ページから参考になりますが、8ページと9ページは主に自治体での取り組みの実例ということで、例えば東京都のTDM東京行動プランというものが東京都でつくられておりまして、そうした事例を紹介させていただいております。
 それから、10ページ、11ページは、諸外国における例のごく一部でございますが、ロンドンのものを例示したのと、それからそのほかのものを一覧表にして11ページでまとめさせていただいております。
 さらに12ページ、13ページは、これは建設省を中心として取り組みということで、建設省での社会実験、あるいは今後の東京圏の総合都市交通体系のあり方ということの取りまとめが行われたということの新聞情報でございまして、今申しました交通体系のあり方の資料につきましては、さらに参考で14ページ、15ページにその抜粋をつけさせていただきました。
 以上でございます。

【委員長】 はい、どうもありがとうございました。
 この点について、何かご質問・意見などお出しいただきたいと思います。

【委  員】 実は文章の方でナンバープレートの活用制度といいますか、あるいは登録制度全体の問題で、私がちょっと関係していますのは、廃車のときの登録抹消の話なんですけれど、ナンバープレート全体をもうちょっといろいろな形で活用できるのではないか。例えばIDタグをくっつけて、接続業者に低公害車の情報なんか入っていれば、それは自動的に検知できるような方法がどんどん取り入れられますよと。そういう流れというのは、たしか私、ちょっと記憶では3年ぐらいの間に実用化を図っていこうという話があるわけですよね。何か全然そういう話が触れられていないなという。そういう意味では、これができると大分、自動車の個別の情報の認識というものについては、相当程度簡易な形でできるだろうと。それだけの危険性もあるわけですけれど、こういうところでは大いに活用できる話ではないかという気がするんですよね。その点をもうちょっと調査していただきたい。
 それから、ちょっとこのTDMの話からすると若干違うのかもしれませんけれど、シェアードオーナーシップの話とか、それからあと神戸市でエコカーを中心としたレンタカーシステム、観光なんかに使うシステムを実際にもう会社として運営されているわけですけれど、そういうような話までの広がりというのは、この中にはあるのではないかなというふうに考えておりまして、ちょっとそういう点も触れられていないのが若干残念だなという気がしていたのですが、この辺ご判断いただきたいと思います。

【委  員】 今、ナンバープレートの話が出ましたけれども、このナンバープレートでもう一つ別の視点からのナンバープレート方式という、いわゆる特定地域内で低公害車と、あとで低公害車というのが次のテーマに、低排出ガス車普及促進というのがありますけれども、ステッカー方式だとステッカーの大きさをどの程度にすればよくわかるのか、見分けがつくのかというようなこともあるわけで、今の車検のああいう小さいのではどうもなかなか識別できないのではないかという感じもするんですけれど、以前のときにもこのステッカー方式というのを検討してなかなか難しかったという課題もあるわけですね。そこで乗り入れ可能なものには、そういうナンバープレートそのものを何か、前に低公害車だけ特別のナンバープレートができないだろうかというので何色か絵を書いた記憶がありますけれども、何かそういうようなナンバープレート、偶数・奇数とかという問題とは別に、乗り入れの可能な車についてはそういう特殊なナンバープレートを与えてしまう。今、永田先生がそれにいろいろな情報を組み込んだナンバープレートというお話でしたけれども、ステッカーの方がなかなか識別が困難だという問題もあるんですけれども、その辺もひとつ今後の課題として、現在、国が認めているだんご3兄弟ではないですけれど、低公害車4兄弟があるわけですよね。ですから、それについては特に前にもそういう話が出たことがあるんですけれども、今後もっと車種がふえるとなかなか難しいということになるのかもしれないけれども、そういうところもひとつ検討の材料になるのではないかと。

【委  員】 TDM施策の初め、ちょっと別件で環境基本計画の見直しの中で、環境負荷への少ない交通ということで、随分この辺を含めて体系的に整理してありますのでぜひ向こうも参照していただいて、向こうの方がよくまとまっていると私は思っていますけれども、ちょっと整理していただいた方がいいと思います。といいますのは、TDMをSPM、それからNOxをどういうふうに使うかということで、交通総量全体を減らすという話と、特定地域で特に問題になる車両を減らすということと多少区別していろいろ出てくると思います。環境負荷への少ない交通の方では全体的にやっていますから、そういう意味では走行台キロの、総量を減らすということを乗用車を含めてかなり重視したものになっていますから、多少そういうまとめ方が違うかと思いますが、基本的なメニューは全部入っているかと思います。カーシェアリングの話も入っていましたし、ITSを使ったそういうマネジメントによる施策ですね。そんなことも入っていますから、そういう形ではいいと思いますが、この中で入れるときのまとめ方でちょっと気になっていますのは、例えば例として流入抑制策という言い方をされていますよね。だけど、これはではどこを、特定地域全体の話なのか、渋滞との関係を前に議論していたようですと、その中の特に渋滞しているところに対してこういうことをさらに追加してやるとか、何かそういう位置づけをしておかないと、私の意見では流入、このTDMはとにかく全体のベースを下げるという意味で広域的にやっておくものと、特にその中で特定の渋滞を含めて、あるいは高濃度に汚染している部分についてTDMにさらに加わるでしょうと。それと違った形ではないかというのが一点ですね。
 それから、流入というか、流入した後はもちろん、あるいは流入しないで走っている車というのはいっぱいいるわけですよね。ですから、そういう意味から言いますと、やはり走行そのものの抑制策ということでの議論をまた別途するかという話がありますね。それから、制度の枠組みの中で一応ロードプライシング・ナンバープレート、それからステッカーとなっていますが、ちょっとこの辺の分け方もそういう意味では、ロードプライシングは、どちらかと言いますと経済的なそのインセンティブを使った抑制策ということですし、ナンバープレートもステッカーもこれは特定な、法的な規制による抑制策なんですね。それをナンバープレートでやったり、あるいはETCでやったり、もうちょっと新しい先進的なやり方でやってもいいと思うんですね。それから、それを面倒くさいからすぐそれをやってみましょうというのが例えばナンバープレートですよね。ですから、ちょっとその辺の整理の仕方ももう少し工夫していただいた方がわかりやすいのではないかと思います。
 あとはどうでしょうかね。ちょっと気になりましたのは、ここで全体的な抑制策的なものをどこまで言っておくかという話ですね。といいますのは、特に東京・大阪ということになりますと、ちょっと私もまだすぐには答えられないのですが、いわゆる私ども気になっているのは、都市計画的な意味での立地に絡むもの、あるいは都市が公害化するとか、スプロール化することで、どうも車に依存してしまうねというような話が実はCO2絡みで非常に重要なんですね。だから、ここで言うところで、もうちょっと内側だとしても、そこの都心部への居住地をまた再開発して都心立地を含めるとか、居住を職住近接を都心部で図るような機会があるとか、長期的にはそういう話もかなり根本的で、きちんと持続可能な形で持っていくためにはかなり重要な視点なんですね。ですから、TDMと言っていましてもそういうかなり長期的な、都市計画的な意味のTDMもありますし、ここで出ているような、もう交通は何だか知らないが動かなければいけないと、そのときにできるだけ問題ない形に動くという意味の短期的な狭い意味でのTDMとがありまして、ちょっと長期的な面の取り扱いというのは、少し検討した方がいいのかなという感じです。

【委員長】 はい、大変重要なご指摘をいただきました。これは、太田先生、イギリスのPPG13ですか、これは長期的ですね。

【委  員】 そうですね。かなり重要ですね。委員長の方からお話がございましたのは、いろいろな計画の指針の中で、やはり立地するときの開発許可を、例えばショッピングセンター等、商業の開発を郊外部では認めませんとか、既存の都心をベースにまず考えてくださいとか、住宅もそうなのですが、そういったことを含めた交通と都市計画とのつなぎ、開発許可との関係を指針として出しているような話ですね。これはまさに長期的な話で、日本でこういうことを考えますと、やはり臨海部の再開発、あるいは都心で今がらがらバブルの後の壊れた土地をどう使うかというようなときにやはり非常に重要な、そこにまた新たに特にトラック交通が発生するようであれば、それを抑制するようなことを考えなければいけないし、適正なところに誘導するという議論は当然出てくると思いますので、一般論としてはやはり重要だろうと思います。

【委員長】 ちょっとこれも余分な話で恐縮なのですが、都市計画的には、これは太田先生が一番お詳しいのですが、1963年のブキャナンレポートが出て、長期の都市計画ということで出してきて、翌年、ここで言うロードプライシングがスミドレポートで出て、それでそれから既に何十年とたっている。これは何もできないと。これについてイギリスがどう評価する、見るかということですが、つまり非常に技術的な側面だけをいくら言ってもあまり効果がない。むしろこれは完全にポリティカルチョイスの問題だということを言っておりまして、したがって大都市では、ロンドンでもニューヨークでもそうですし、アメリカではそういうポリティカルチョイスの側面でここに提案されているようなことがばたばた否定されているんですね。だから、TDM自身は非常に重要な一つの時代の流れで、一部道路をとにかくつくらせないようにしようという動きが緑の党を初めとしてヨーロッパで非常に活発に行われているわけですが、LRTで補っていこうと。しかし、最後のところで自動車を抑え込むということは、これは絶望的に困難なことなんですね。非常にポリティカルなテーマなものですから、ここら辺をこの委員会でもそうですが、どこまで我々はこれを大事にしなければいけいなのか。例えば先ほどのナンバープレートの問題なんかもう北京では始めているんだそうですね。だから、既に一歩前に出ている都市というのは結構たくさんあるわけですが、そこら辺を今後どう位置づけていくかという点は非常に大きな問題なものですから、そこら辺も踏まえてまた先生方のご意見をいただければというふうに思います。

【委  員】 委員長おっしゃるとおりだと思いますが、問題はやはり定量的な分析がないと、要するにさまざまな手法を組み合わせて、やはり環境基準なら環境基準を達成するということになりますが、先ほどでは車種代替でどの程度やって、そのときにあとどうしようもないものをそれでもまだ達成できないとすれば、その後どうできるのかというような議論の仕方もありますし、それぞれできそうなことをどんどんやって、その後の残りを少し強制でやりましょうかというような議論もありまして、ちょっと議論の仕方によって答えが変わってくるかと思いますが、私の判断では、やはりTDMというのは、まず自主的にもある程度できる部分があると、そしてほかの車種規制等でまず頑張ってやはりいただかないと非常に難しいのではないかという頭がありますので、それでレベルが決まってくればあと残りについて、それではできるだけ広くそれほど無理をしないでどのくらいできるのだろうかと。そのときにやはりうまく公平に負担していただくということで、そのベースでTDMなり、それをロードプライシングまでいくとなるとまたこれもう一つ大きなお金といいますか、いろいろな議論の余地があろうかと思いますが、いろいろな代替手段を使わせるという意味ではいろいろなまた手法がございますので、むしろその辺は大きな数値的な目標、その地域に合ったものですね。それに基づいて、それではあと残り10%をこういう形で減らそうとか、そういうときには十分意味のあることだろうと思いますね。いきなりロードプライシングでそういうことに行くのではなくて、もっといろいろなこともあって、組み合わせの中でやはり議論しなければいけないというふうに私は思います。

【委  員】 太田先生のご意見は全くそのとおりだと思います。前に言ったように、もろもろの施策があるわけですけれども、定量的に抑えられるものとそうではないものとがあって、それで抑えるものでどこまでいけるかというのをやっておいたら、あと残りの部分は足し算でいく以外ないわけですから、それを前みたいに無理やりこれは何%、何%で割りつけをしているところに無理があったわけですね。だから、残りはこれでやるということが大事だというご指摘は全くそのとおりですし、それから太田先生が前にこのワーキングでおやりになった仕事で、私は非常に重要な指摘をしておられるなと思うのは、やはり地域特性をしっかり考えろという指摘だと思うんですね。それで、例えば車種規制のようなものというのは、これはもうオールジャパンというか、要するに国の法律をつくってやらなければいけないことでしょうし、ほかにも国の法律をつくってやらなければいけないことがあるかもしれない。それから、ロートプライシングについては、先ほどのご指摘のとおりだと思うのですが、局地対策としてきくやり方と、それからもっと広域的にきくというやり方と二つあるわけで、局地対策でやらなければいけない部分にそれを導入するということについては、それはそれでやるべきだろうし、もっと広域でやらなければいけないというときには、ロードプライシングだけではなくて、もっとほかのことと結びつけてやらなければいけないのだろうと思うんですね。それにしても最後は、多分森島部会長なんかのところで言うとばばっと言われそうですが、ない物ねだりを承知の上で言えば、やはり自治体にどこまで権限を与えて、パッケージとしてその自治体の中で必要なことを、どれだけ自治体が大胆にできるかということですよね。だから、国がやることは、自治体が大胆にやろうと思っていることの邪魔になるようなものを全部どけてあげて、条件整備をするというところにまずは全力投球をすべきで、国が直営で行政事務でやらなければいけないという部分は、たくさん取り込もうという発想はやめるべきだろうと思うんですよ。要するに制約をなくして自由にやってもらう、それで地域間の公平というのはある程度地域の決断の問題ですから、それも許容しながら、しかし、あまりめちゃくちゃなことは困りますから、それについては最小限の歯どめをかけるという発想法になっていかないと、さっき太田先生がおっしゃったような話にはなっていかないですよね。だから、TDMの施策についてということをここに挙げるのであれば、今言ったようなことをちゃんと意識して、これをどう地域でできるのかということを考えていかなければいけないんだろうと思いますね。大体この報告書にある政策メニューの3分の2はみんなTDMだとさっきも太田先生がおっしゃったのですが、全くそのとおりですね。全部やらなくてもいいわけなので、この中のいいとこ取りをしていってもそれなりに効果が上がるんだから、この地域ではこれができるからこれをやりましょうということをやらせてあげればいいんだろうと思うんです。どれをやるかはそれぞれの地域の選択に任せる、ただしオールジャパンに影響が生ずるようなことは、ちゃんと国で面倒見ましょうという話なのではないかと思うのですが。
 いずれにせよ、これはこれで重要なというか、大変こういう手法があるということはもう全くそのとおりなので、あと問題は、ここに何%を割りつけるなんていう発想を最初から持つのはやめた方がいいということは、何度も申し上げたとおりですね。

【委員長】 はい、重要なご指摘をいただきまして、特定地域をどういうふうに指定するか、あるいは中央と地方との関係をどう位置づけるか、あるいはどういう手法を局地対策でやるのか、広域でやるのか、これは私のあれですが、あるいは全国的基準を一方で国が決めておいて、各都市がそれを仮に自由にやった場合に、そのバランスはどうとるのかといったあたりにいろいろな問題が潜んでいるということで、きょう結論をいただくようなテーマでもございませんので、ちょっと時間が押してきておりますが、前に進ませていただいてよろしゅうございますか。 低排出ガス車の普及促進策についてお願いいたします。

【事務局】 それでは、資料6、低排出ガス車の普及促進策についてご説明させていただきます。
 この課題につきましても、前回、事業所レベルでの対策、あるいは製造メーカーレベルでの対策というところでも一部関係するわけでございますが、今回は低排出ガス車の認定制度というものを中心に討議用の資料を用意させていただきました。そういった意味では、低排出ガス車の普及促進策という意味からしますと、かなり絞り込んだ、限定したものを用意させていただいたということでございます。
 背景のところから見ていただきますと、まず従来は低公害車というものは4車種を対象にしてきたわけですが、最近では4車種並にクリーンな排出ガスの自動車も市場に出始めているということでございまして、今後は4車種に限定せずに低排出ガスの特性によって「低排出ガス車」として普及を図っていくことが必要ではないかということでございます。
 現在の低排出ガス車の認定制度でございますが、現在の状況は、まず環境庁が「低公害車等排出ガス技術指針」というものを平成10年に策定いたしまして、この指針に基づきまして運輸省が「低排出ガス車認定実施要領」というものを定めまして、ことしの4月から同要領に基づいて認定を開始しております。
 その簡単な概要が次の1枚めくっていただきまして別紙というところに書いてございますけれども、この枠の中を見ていただきますと、最新規制値というものから矢印が下の方に下がっておりますが、25%低減レベル、50%低減レベル、75%低減レベルということで、それぞれ車種を認定しまして、さらにステッカーを交付するということで、良・優・超ということで低排出ガスというステッカーを配って、外からも認識できるようにしているという制度がございます。
 これは、先ほど申しましたように、運輸省の告示レベルで行われている施策でございまして、こういったものの現状を踏まえて、今後の低排出ガス車の普及というものについて、どのように考えるかということについて整理させていただいたのが3のところでございまして、ごく簡単に申しますと、要するに今後の普及施策としては非常にソフトなものから、非常にハードなものまでおよそ3段階ぐらい考えられるのではないかということでございまして、もちろん組み合わせていうことも考えられるんだと思いますが、一つは現在ある低排出ガス車の認定制度というようなものを活用しまして、その情報提供というものをより一層積極的に行うことによって、メーカーの取り組みですとか、あるいは消費者行動といったものを、一層こういったものの普及につながるような形に誘導していくという施策でございます。
 2番目は、低排出ガス車の普及を促進するために誘導的施策ということで、例えば低排出ガス車の優遇駐車場ですとか、有料道路の利用料金の減免ですとか、優遇交通規制などを行って、こうした車両の普及を図るということでございます。なお、先ほど申しましたように、既にステッカーが添付されるということでございますので、これを用いれば一応こういったことは可能ではないかということであります。
 3番目といたしましては、法的に位置づけるということでございまして、例えばでございますが、自動車メーカーに低排出ガス車の製造販売を義務づけるということになりますと、低排出ガス車というものの認定というものをよりしっかりしたレベルで行っていく必要があるということも考えられまして、そうした場合には法的に位置づけるということなども考える必要があるのではないかということで、大ざっぱですが3段階ぐらい考えられるのではないかということで、この点についてご議論をいただきたいと思います。

【委員長】 はい、どうもありがとうございました。
 この点いかがでございましょうか。
 ちょっといきなりでは無理ですか。

【委  員】 2にあるように、やはりインセンティブが大事なんでしょうね、ただ張っておいてプライドを満足させるだけではしようがないので。だから、そこら辺がまさに国がやる仕事ではなくて、自治体で努力してそれぞれのところで知恵を絞るということでしょうが、例えば有料道路の料金減免とかいったようなことであれば、もう既に前にペーパーにもあったように、可能であると書いてあるわけですからやればいいわけでしょうし、交通規制については、これはなかなか警察もあることですから難しいのかもしれませんが。しかし、ともかく何らかのインセンティブを考えるということはあり得ると思いますから、ぜひこういうことを答申の中には入れておくべきでしょうし、それを積極的に進めることができるための障害になるものが何であるかというのをもう少し検討しなければいけないのかもしれませんけれども。有料道路については、そんなに障害はないということが既にあるわけですから、それでいいのではないかと思います。法的位置づけというのは、これはむしろ車種規制だとか、ほかのものとの関連の中で出てくるわけでしょうから、ただ単にこれを張れということだけを強制することにどれぐらい意味があるかは若干疑問がありますけれども、しかしそれも一つの方法かもしれませんけれども。むしろ張れと強制しなくても張ってもらえるのではないでしょうかね。それは、張っておく方が都合がいいという制度ができれば必ずみんな張るはずでしょうから、むしろそうではないものを走らせないとかという、ステッカー方式の規制と結びつけるというときにこの法的な規制ということになるのではないのかなと思いますけれどね。これは、だけどあれでしょう、今はどういうやり方ですかね。

【委  員】 自己申告制、自分で行かなければもらえないの。

【委  員】 メーカーが張ってくれれば一番いいんでしょうけれどね。
   むしろ余計なものを張るなという規制を緩和することが大事なのではないかな、フロントガラスに物を張ってはいけないという規制があるわけですから。

【委  員】 今、フロントガラスと言ったけれども、前だけでいいのかという問題があるわけね、後ろにも張っておかないと。というのは、道路の優先利用なんていう場合に、前に入っていった、ではおれの車も行っていいだろうと、それが低公害車がどうかわからないので後をついていってしまうのではないか。いろいろな問題を検討しましたよね、前にやったときに。ですから、そういうのがあるので、わかりやすいところにこのステッカーを張ることは非常にいいことだと思いますけれども。問題は、今たまたま低公害車普及方策の方を検討会でもやっているので、近々まとめなければいけないということだと思いますけれども、こちらと関連も出てくるので。どのようにしてどの範囲までをいわゆる低公害車、今、きょうの表現では低排出ガス車に規定するかということになってくるわけで、今までの4兄弟、4車種以上にいろいろと最近優秀な、先ほど大聖先生もおっしゃっていましたようにいろいろな車が出てきているわけで、そういうところも含めて検討していかなければいけないわけですが、今、浅野先生もおっしゃったように、それを持っているということは、単なるステータスではなく、その利用価値がなければいけないわけですよね。その辺がここの[2]だろうと思うわけで、これだけではなくてもっとほかにも何かあるのかもしれない、その辺を検討しておかないと、使うことによる優位性というか、満足性というか、ただ税金が安くなっただけでは普及しないわけであって、そこに毎日使うことによって何かメリットがなければいけないわけですから、その辺をこれからまたいろいろ検討しておく必要はあるだろうと思いますよね。

【委  員】 この低公害車の問題でやはり一番注意しなければいけないのは、やはり貨物とか、トラック・バスですね。こういった領域と乗用車の領域というのは全く違うものだということなんですね。低公害車に係る、低公害化に係るコストが全然違いますので、乗用車ですともうほとんど4月からこの制度が始まっていますけれど、インターネットを見るともうほとんど発表された車はみんなもう低公害車なんです、実は。ですから、これはもう公表するだけで、それはメーカーの方にとっても宣伝効果がありますし、ユーザーもそういうものを選択するという動向がはっきりもう私はあらわれているのではないかなと思います。そんなことで、そういう自動車税のそういう重課、軽課ですかね。そういった調整のやり方で十分もう推進されるのではないかなと思います。その一方でやはり一台ごとの車で見たときにトラック・バスというのは排出ガス量が多いわけですから、それをどういうふうに低公害のものに転化していくかというところに実は一番大きな効果のポイントがありますので、そういった視点でやはり促進策というのを全部広く考えるのではなくて、やはり重点的なものというのをやはり考慮する必要があるのではないかなというふうに思います。

【委  員】 いろいろ皆さんがご指摘いただいたとおりだと思いますが、この3番目の話ですね、2ページ目ですか。これは今まで余り話題になっていなかったかと思いますけれど、法的な義務づけに絡めるような流れの中で、その認定の方も法的な基礎という話になってくるのですが、これは今たしかあれですよね。今年度中なんですが、法的に基づかないようなところの認定制度というのが従来期間が指定されていたんですけれど、そういうやり方はやめるべきだというような、自由化の流れの中でしょうか、そういう格好で処理されてきていますが、法的に義務づけがあったとすれば法的な認定制度が必要なんだという発想でもないんだろうと思うんですね。この辺のところをもう少し、一つは先ほどのTDMもそうなんですけれど、余り管理コストがかかるような方法というのは、やはり結局うまいやり方ではないんだろうと思うんですよね。そういう流れの中で、この辺のところも考えていっていただく必要があるんだろうというふうに思います。2番目の先ほどの経済的なインセンティブもそうなんですけれど、この辺ももう少し知恵を絞っていろいろなものを挙げていただいて、それはできないものもあるのかもしれませんけれど、どっちかというと先ほど岡田先生が言われたポリティカルに決断すれば結構なところまでやれるのではないかという話も、私は何かこういういろいろな案を見ていると感じるところが多いものですから、そういうようなことから考えましても、もう少し、最初にもありましたフリキシビリティの高い内容のものをどんどん出していただいた方がいいのかなと思います。
 それから、直接は関係ないかもしれませんけれど、先ほどいろいろお話を伺っている中で、ちょっと一番最初に乗用車の話が話題になりましたですね。ちょっと私なんか気にしていたのは、地方自治体がいろいろなことをやろうとしている中で、あるいはさっきの話ではないですけれど、地域特性によっては、乗用車の部分は例えば地方に任せてもいいのではないかという議論もあり得るんだろうと思うんですよね。そういう意味からも、ちょっともう少しきちっとした分析をやっていただく必要があるのではないかと。先ほどもちょっと松下先生が言われましたが、ヒアリングの過程の中で欧州自動車工業会の方でしたか、欧州ではもう片づきましたというような言い方をされていましたよね、この問題について。その中で費用対効果、コストベネフィットといいますか、あるいはもうちょっとコストという部分は、あるいは一般の人たちの社会的な負担といいますか、影響みたいなものも含めてちゃんとした分析をやはりやっておかないといけないんだろうと思うんですね。それが非常に複雑に入り組んでいる話だろうとは思いますが、それにしましてもざくっとした話でもいいからその辺のところを少し結論が見えるような格好で、今の費用対効果分析なんかを積極的に導入していただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。

【委員長】 大変重要なご指摘をいただきまして、ちょっと時間が押してきましたが、最後どうしますか。

【事務局】 今日中にちゃんと決めなければ。

【委員長】 そうですか。頭だけ出しておきますか。

【事務局】 あと、何分ぐらいいただきましたら。

【委員長】 私は構いませんが、先生方よろしゅうございますか。
 では、お願いします。

【事務局】 恐縮です。それでは、資料7について説明させていただきます。
 局地汚染対策についてでございます。現在の総量削減計画におきましても局地汚染対策というものは、推進すべきということは位置づけられておりますが、具体的な施策の事項は十分でなく、今後より効果のあるものとして位置づけていく必要があるのではないかということでございます。さらにPMなどのことにつきましても、念頭におきつつ考えていく必要があるのではないかということでございます。
 具体的には、制度といたしまして二つほど考えられるのではないかということで、ここに提案をさせていただいております。
 一つ目は、局地汚染対策推進計画の策定ということでございまして、具体的にはそこに書いてございますように、都道府県知事が局地汚染対策推進計画を策定して、これに基づいて各主体が協力して施策を推進するということでございます。
 また、この計画を進行管理すると、あるいは議論をしていく場ということで、次、2ページになりますが、局地汚染対策推進協議会ということで、都道府県知事はもちろん関係省庁、市町村、都道府県公安委員会、さらには関係道路管理者、さらに地域住民の代表なども加えた協議会のようなものをつくっていったらどうかということでございます。
 制度の枠組みということで5番のところですが、まず国がどういった要件に該当するところを局地汚染対象地区とするのかということの要件を定めて、さらにその計画に盛り込むべき事項等について指針を定め、これに基づいて都道府県知事が先ほど申しましたような推進計画というものを策定いただくということで、その計画に基づいて各主体が施策を推進するとともに、先ほど申しました協議会のおいてその進行管理を行い、さらにはその結果を公表していくということでございます。そして、行政は、計画に盛り込まれた施策を優先的に取り組む責務を負うということと、国は都道府県や市町村が行う調査・研究や事業を支援するということでございます。
 こうした枠組みをつくることについての課題ですが、[6]のところに三つばかり整理させていただきました。
 一つ目は、こうした計画を実効あるものとするためには、効果が高い施策を明らかにするというだけではなくて、その着実な推進を担保するということが重要だと考えられますが、そのためには具体的にどのような支援措置ですとか、責務規定などを設けることが適切かということが1点目です。
 2点目は、局地に限った対策というものを講じていくとしますと、場合によっては周辺地域に悪影響を及ぼす可能性もあるということが考えられますので、そのような事態を未然に防ぐためにはどうした仕組みを考えるべきかということが2点目です。
 3点目は、地域の実情に応じまして、各施策の主体というものが非常に多様に変わってくるというふうに考えられますが、施策の策定主体というものを一律に都道府県知事とすることが妥当か、あるいはそのほかの仕組みというものも考えられるかということが3点目でございます。
 続きまして3ページですが、制度の2大気汚染防止法に基づく要請限度の制度ということでございます。現在、大気汚染防止法の第21条には要請限度という制度がございまして、ある指標で自動車排出ガスからの大気汚染というのは特にひどいということが判明いたしますと、都道府県知事が都道府県の公安委員会に対して必要な措置を講じることを要請できるというようなことの規定がございます。
 これにつきましては、6ページをちょっとごらんいただきたいのですが、6ページの参考2というところがございますが、ここに法律の条文を引用させていただいております。ここの一番上の大気汚染防止法の21条ですが、自動車排出ガスにより道路に係る大気の汚染が総理府令で定める限度を超えていると認められるときは、公安委員会に対し、道路交通法の規定よる措置をとるべきことを要請するものとするということが一つ目。
 二つ目が特に必要と認められるときは、道路の部分の構造の改善その他、道路管理者あるいは関係行政機関の長に意見を述べることができるということで、この要請限度というものが現在はその下にございますように、総理府令で一酸化炭素の環境基準をもとに一酸化炭素を指標として、一番下に一酸化炭素の環境基準がございますが、一時間値の一日平均値が10ppmという環境基準があるわけですが、これをもとに月間平均値で10ppmという値が定められております。具体的に要請が行われますと、さらにその下にありますような道路交通法に基づきまして、公安委員会は必要性を判断して信号機の設置ですとか、あるいは交通整理等を行うということができることになってございます。
 すみません、また戻っていただきまして3ページでございますが、現在、先ほど申しましたように、要請限度は一酸化炭素について定められておりまして、一酸化炭素は環境濃度が非常に改善しておりますので、今後とも要請限度レベルに達するということは考えられないということで、現状では要請限度としての尺度が機能を失っているということが言えます。しかしながら、自動車排出ガスによる汚染が改善されていないという状況にございますから、これを的確に反映する尺度というものを設定することが考えられるのではないかということで、具体的には一酸化炭素にかえてNO2やSPMについて要請限度を設定するということが考えられるのではないかということでございます。
 これについての課題でございますが、6のところで整理をさせていただいております。これについても3点挙げさせていただいておりますが、まず1点目は、この要請限度というものは自動車排出ガスによる汚染を指標にしてということになってございますが、NO2やSPMを尺度として設定いたしますと、ご承知のように自動車排出ガス以外の寄与というものも入ってまいりますので、そうした中で自動車排出ガスの寄与というものをあらかじめ把握しておく必要はないかどうかということでございます。さらに、そうした寄与が地点によって違うということになった場合に、どういうふうに考えるのかということでございまして、逆に申しますと要請限度を超えた場合には、その場で要請をするということが法律上決められておりますので、それをどうやって要請限度を定めるかということにもかかわってくるかと思います。
 2点目は、具体的に要請限度の水準を定めるに当たっては、どのような観点から考えていく必要があるのかということでございまして、環境基準を参考にするといたしましても、それをどのように考えてどのような値として組みかえていく必要があるのかということが課題としてあろうかと思います。
 さらに3番目は、先ほど申しましたように、要請限度の制度というものは、ある時間的な長さ、例えば先ほどの一酸化炭素ですと1カ月ですが、1カ月の長さで環境濃度がある基準を超えていますと要請を行うということになっておりまして、例えば将来予測ですとか、広域対策の効果といったものを見込むというような仕組みになっておりませんが、こういった中で要請を行って実質的な効果のある措置が行えるのかというようなことも課題としてあろうかと思います。
 以上、骨格でございまして、参考といたしまして7ページ以降、例えば仮にCOと同じようなレベルでNO2ですとか、SPMについて、要請限度を定めるとした場合にどういった地点が浮かび上がってくるのかといったことを試算をしたものが7ページ、8ページでございます。
 さらに9ページは、現在、これは最近の新聞記事でございますけれども、建設省が中心となって東京都の大和町交差点で脱硝施設を設置するという局地汚染対策を始めたということの取り組みの絵を紹介させていただいております。
 さらに10ページ以降には、国道43号線沿線付近での道路交通環境対策の推進についてということで、5省庁の取りまとめ結果を参考までにつけさせていただきました。
 以上でございます。

【委員長】 どうもありがとうございました。何でも結構でございます。

【委  員】 局地汚染対策について、別の検討会で騒音についても似たような議論をやっているのですが、やはり騒音の場合の問題と、それからこういうNOxあるいはPMの場合の問題というのは多少の違いがあるのではないかな。もちろんこういうNOx・PMとこだわらなければ、かつての牛込・柳町のように特殊な地形で問題があるというような場所がありますから、それはそれでやらなければいけないんだろうと思いますけれども、一般的に沿道と言って議論するときに、ある程度の幅のある場所を想定して議論をしてきたわけですね。だから、この局地というときにどのぐらいのところを局地と意識するのかという問題があるだろうと思います。そこをよく整理して、それからしかもこういう局地汚染対策協議会を設けるという発想そのものは悪いとは思わないのですが、そこでどういうメニューを用意できるのか。そういうメニューをとるためにはこの協議会がぜひ必要であるという、その辺のところを明らかにしないと、なかなかこの話はやりづらいのではないかなという気がします。
 それから、要請限度に関しては、これももう既に大体耐用年数が切れてしまった、COをやめてこれに入れかえるというのは、それは発想そのものは全くそのとおりでいいと思うんですよね。ただ、課題として挙げられているような問題が現実にはあるわけです。ですから、ここのところは、例えばもしこういうことも考えるのであれば、ただ単に、今までのようにばらばらに書く個別法の話をぶった切って議論をするのではなくて、こういう地域協議会のようなものを設けてそこでいろいろなメニューを考えてみて、この地域では、例えば迂回路が十分に用意できるのでぜひともその交通規制をかけるべきであると。それがここでの目的を達成するのに最も適切な方法であるという場合には要請ができると、そっちの方との連動で要請ができるというような仕掛けにしておかないと、ただこういうものがありますよというだけでは、結局のところ今までと同じで動かないということになると思うんですね。環境基準を達成させるためには、何を先にやらなければいけないということは、全然、基本法は決めていないわけで何でもいいんですよね。ともかく使える道具はありとあらゆるものは使えと言っていますけれども、しかしむだなものを使う必要はないわけですから、もっとほかのことできちっとできるならそれを使うべきだし、そういうものよりはるかにこの方がコストも安いし、簡単だというのがあるのだったら交通規制手段を用いるべきなんです。その辺の整理が悪くて、要請限度、要請基準があるからだからそれでというような発想だけでやってみても公安委員会もお困りでしょうし、当節、公安委員会もなかなか腰が低くなったようですから相当違うかもしれませんけれども。
 それにしてもやはりそこでも総合的な交通政策というものを考えて判断せざるを得ないわけですから、環境だけで考えられませんよと言われたときに、ちゃんと甲一号証で出さないと説得できないということになりますね。だから、せっかくこういう局地対策というパッケージで議論するのであれば、その辺のところをうまくつなげるようなことを考えて、それは大防法だけではどうにもなりませんから、今のそのNOx法をいじるのであれば、そこのところにうまく橋渡しになるような規定を入れるとか、仕組みを入れるというような工夫をしておかないと実効性がないのではないかなという気がします。

【委  員】 時間がないのはわかっていて申し上げるで非常に短くしますけれど、その局地汚染対策と瞬間聞いたときに、ここでいろいろやられているのは、基本的には既存の問題点を抱えているところという話になるわけですよね。それは確かに重要な話なのでそこを解決するのは一番最初の話だろうと思っていますが、そういう意味ではもう少し予防的な視点も入れたような方法論というのを展開しておく必要があるのではないかという気がしておりまして、ちょっとその辺のところは考慮をいただきたいと。
 それから、今、浅野先生が言われた話とも若干絡むんだと思いますけれど、自動車だけなんでしょうか、後ろの方はその自動車の方法論を使うからこういう格好になってしまっているのですが、こういう形で議論すべきものなんでしょうかねというのは若干ちょっと気になるところで、もう少し根本のところからこの局地汚染対策といいますか、局地汚染に対する対応策というのを検討してもいいのではないかという気がするので、それだけちょっと申し上げておきたいと思います。

【委員長】 重要な問題提起ですが、私は健康被害の出ると予想されるところは、かなり厳しく規制をかけていいんだというふうに思っているんですがね。だから、その点では環境リスクの問題、つまり認定が若干の甘さがありましても、これはかなり思い切った規制をかけませんと、住民の意識も何も自動車というものの機能もみんなだめにしてしまうんですね。だから、自動車の機能を生かし、都市の手段として生かすためには、この局地対策の重要性というのは非常に大きいんだと理解しております。ただ、永田先生がご指摘のように、関係のないものはいかにも関係あるように言うのは、これは非常にリスクが、危険が大きいですから、これは気をつけなければいけませんけれども、そんな意味で浅野先生の非常に規制の仕方その他についても余程気をつけなければいけませんけれども、これはもう私は市民に対する責任だと思っているのです。

【委  員】 1ページの局地汚染対策計画ですか、「都道府県知事が」ということ、これは地元の地域の環境をよく把握している地方自治体がおつくりになる、それを国が指導するということで極めて効率的にやれるかと思いますが、この際に例えばロードプライシングあるいは流入規制、いろいろな方策も考えなければいけない、ただ単に土壌脱硝とかそういうことだけで局地汚染対策ができるわけではないわけで、交通ルールとかそういうものも入ってくるわけですから、いわゆる都市計画的な問題、土地利用の問題等を含めて考えてもらわなければいけないわけで、そういう意味では、いろいろな団体、協議会をおつくりになってやることは賛成で、非常に効率的にやれるのではないかという気がいたしますが、先ほど要請限度の問題を浅野先生がおっしゃっていましたけれど、これはどこまで効果があるのか、あるいはではこれが長期的な対応として可能なのか、あるいは短期的に1カ月のデータで悪かったからやってくださいというもので、どれぐらいの期間で実施するのかというような問題があって、むしろその局地汚染対策、特定地域内でやることだろうと思いますけれども、要請限度については、特定地域とは限らず日本全国法律であれば適用できるのかもしれませんが、今まで騒音の要請限度で公安委員会に持っていってもやってもらったところは恐らくないはずで、みんな逆に大体は持ってこいと言われて、それで引っ込んでしまうので終わりなんですけれど、今回のこれもそういうことで、ではどういう方策があるのかということの難しさもあるわけです。むしろ特定地域内であればこの局地汚染対策というものに重点を置いてやる方が効果的なのかなと。1カ月の平均値の結果で云々というのは、どれだけの成果というか、その後の対応の期間をどれぐらいとるかとか、いろいろな問題が出てきますよね。それで今までのモニタリングの結果からどこが高濃度になるかというのは大体わかっているわけで、むしろそういう意味でのそういう目玉をどうつぶしていくかということの方が先決ではないかという気がしますけれど。

【委  員】 この局地問題というのは、ほかのいろいろなメニューをいろいろディスカッションしてきたわけですけれど、これと全然違うのではないかなという気がするんですよね、局地問題というのは。最後にいろいろ広域的な対策が平均濃度が下がってきても、私はこういう、猿田先生は目つぶしと言われまして、全くこれが残ってしまうと思うんで、最後まで。ですから、これをNOx法の中でどういう重要性を持って位置づけるかというのを私は、実は物すごく大きな課題ではないかなというふうに思います。しかも道路構造とか、そういうものを多少いじっても私はこれ解決しないのではないかなと。余りにも濃度が高いですし、交通量が迂回しようもないんですね、これはど真ん中ですから。そういうことで、結局そうやるとどこかモグラたたきみたいな話になってしまうのではないかなというふうに思っていますので、これをどういうふうに取り組むかと、自動車NOx法の中で重要性を持って位置づけるかというのは大変なことだろうと思います。もう多分5年見直して10年先でもやはりこういうのは残るのではないかなというおそれがありますよね。総体として環境基準が達成できたとしてもそういうおそれが。

【委  員】 前回もそういう話をしていたんだけど、そういう意味では我々固定発生源対策の出番みたいなところがありまして、結局は固定発生源と同じように残るんですよということを考えていた上で対策をとっておかなければいけないということだと思うんですよ。そういう中で土壌脱硝だとかと言われるような、固定発生源の延長線上にあるような方法も生まれてきているので、そういう意味では、この部分は確かに何というんでしょうか、将来にわたって総体的にうまくいっても残り得る話として対応はもう考えておかなくてはいけない話なんだろうというふうに思っていますけれど。

【委員長】 大変重要な位置づけをいただきまして、重要性という意味では委員の皆さんにご認識をいただいたかと思いますので、この点はまた中間報告その他でもしっかりと書き込む必要があるのではないかなというふうに思います。
 大変不手際で25分も延びてしまいましてお許しをいただきたいと思いますが、最後のその他に移りたいと思いますが、いかがでしょうか。

【事務局】 その他といたしまして、日程を簡単にご説明させていただきます。
 次回の小委員会ですが、第9回目は8月11日に2時から4時、第10回目は29日、10時から12時ということで予定をさせていただいております。第9回目では、中間報告の骨子案の検討など、それから10回目で中間報告の検討などについてご議論いただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【委員長】 それでは、本日の予定の議題はすべて終了いたしました。
 これで閉会にしたいと思います。
 本日はどうもありがとうございました。