中央環境審議会大気・交通公害合同部会
第3回自動車排出ガス総合対策小委員会議事録


1.日  時   平成12年6月19日(月) 10:00〜12:00

2.場  所   通産省別館946会議室

3.出席者

(委員長)岡 田   清 
(委 員)伊 藤 桂 子太 田 勝 敏
 香 川   順河 野 通 方
 越   正 穀猿 田 勝 美
 大 聖 泰 弘 永 田 勝 也
 松 下 秀 鶴横 山 長 之
(五十音順)
(説明者)日本自動車工業会 
 欧州自動車工業会 
 石油連盟 
 日本自動車販売協会連合会 
 日本中古自動車販売協会連合会 
 日本自動車整備振興会連合会 
 全日本トラック協会 
 日本バス協会 
(事務局)大気保全局長企画課長
 自動車環境対策第一課長自動車環境対策第二課長
 企画課調査官 他 

4.議  事

(1)関係団体ヒアリング
(2)その他

5.配 付 資 料

資料1自動車排出ガス総合対策小委員会委員名簿
資料2日本自動車工業会説明資料(日本自動車工業会
資料3欧州自動車工業会資料(欧州自動車工業会)
資料4軽油の低硫黄化Q&A(石油連盟)
資料5自動車排出ガス対策への意見(日本自動車販売協会連合会)
資料6自動車NOx総量削減方策検討会報告書についての意見等について(日本中古自動車販売協会連合会)
資料7第3回自動車排出ガス総合対策小委員会団体ヒアリングへの意見・要望について(日本自動車整備振興会連合会)
資料8全日本トラック協会資料(全日本トラック協会)
資料9バス事業における環境対策について(日本バス協会)
資料10自動車排出ガス総合対策審議スケジュール(案)


【事務局】 それでは定刻となりましたので、大気・交通公害部会第3回の自動車排出ガス総合対策小委員会を開催させていただきたいと思います。
 本日は、小委員会の委員の12名のメンバーうち11名の委員の出席が予定されておりまして、既に皆さんご出席ですので、会議の開催要件を満たしております。
 会議に先立ちまして、資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第1枚ものに引き続きまして資料一覧をご用意しております。資料1が小委員会の委員名簿、資料2は自動車工業会からの説明資料、資料3は後からお配りさせていただいておりまして、資料番号は残念ながら振っておりませんけれども、欧州自動車工業会からいただきました資料がございます。資料4といたしまして、石油連盟からいただきましたパンフレット二つ「軽油の低硫黄化Q&A」というものと、「軽油のさらなる低硫黄化に向けて」というものでございます。資料5は自動車販売協会連合会からの1枚ものでございます。資料6は日本中古自動車販売協会連合会からの1枚ものでございます。資料7は社団法人日本自動車整備振興会連合会からの資料でございます。資料8は全日本トラック協会からの資料でございます。全日本トラック協会からはコピーのものと、あとリーフレットがございます。資料9は「バス協会における環境対策について」、日本バス協会からいただいたものでございます。資料10は今後審議スケジュール(案)でございます。
 資料は以上でございますが、なお、前回資料審議スケジュールでご紹介いたしました、日本自動車輸入組合でございますが、こちらにつきましては、特段のご意見はないということで、本日はご出席いただいておりません。もし資料の不都合等がございましたら、事務局の方によろしくお願いいたします。
 なお、まだ傍聴の方々には資料が届いていないかもしれませんが、後でお配りいたしますので。
 それでは、議事は岡田委員長にお願いいたします。
 
【委員長】 本日は大変お忙しいところお集まりをいただきましてまことにありがとうございます。
 議事の1の関係団体からのヒアリングに入りたいと思います。
 今日はヒアリングの団体数が非常に多いために、三つのグループに分けさせていただきました。生産関係、販売関係、運輸関係というふうな順序でお話をいただくというふうな運びにしたいと思います。
 それでは早速ですが、ご説明される方々をご紹介をいたします。
 日本自動車工業会から副会長、地球環境部長です。
 安全環境技術委員会排出ガス部会委員でございます。
 地球環境部会副部長でございます。
 続きまして、欧州自動車工業会から理事長さんにお見えをいただいております。
 石油連盟からは技術環境部長、企画部次長にお見えいただいております。
 以上でございます。
 では、日本自動車工業会、欧州自動車工業会、石油連盟という順番にご説明をお願いしたいと思います。
 では最初に、日本自動車工業会さんの方から、よろしくお願いいたします。
 
【日本自動車工業会】 それでは、自動車工業会からご説明させていただきます。
 ただいま、委員長からご紹介がありましたように、本日は私のほかに地球環境部会長、排ガス部会長、地球環境副部会長とそろっておりますので、時間も10分と限られておりますので、私の方から全体的に5分ぐらいご説明した後、技術面を中心にいたしまして部会長から各論につきましてご説明と、こういう段取りで、資料といたしましてお手元の資料2ということで私ども自工会の説明資料と、これに即しまして説明をさせていただきます。
 私の方からは、この資料2の開いていただきまして1ページ、2ページ、それから最後のページの6と、この点につきましてご説明させていただきます。
 最初の1ページ目、2ページ目を開いていただければと思いますが、全体的な考え方のNOX 法の見直しにつきましては、1ページの最初のパラグラフにございますように、私ども大気環境、排ガスにつきましては総合的、長期的な対策が必要であると。このために道路整備、物流の効率化、あるいは取り締まりの強化、違法駐車の排除、そういったような政策とともに、排ガスの早期改善という目的といたしましたNOX 法の改正は、緊急避難措置としてやむを得ないものと考えております。
 このような中で、私ども自動車メーカーがこれまでどういうふうに取り組んできたのかというご指摘がございました。それは2ページにございますが、自動車メーカーの取り組みというのは、3月16日に私どもの考え方を対外的に発表させていただきました。そこに私どもの考え方の全容が入っていると思いますが、そこを2ページ目に要約してございます。新車対応、既販車対応と二つに分けまして、私ども自動車業界といたしましては環境問題が最大の課題であるということで、この問題に全力を挙げて取り組むという考え方を述べさせていただいております。
 特に新車対応の方につきまして、最初のポイントにございますような2003年よりディーゼル自動車の先行市場投入、私どもはこれをPM低減車の自主供給計画と称しておりますが、これにつきまして、現在、関係委員会で鋭意検討しております。できる限り、早い時期に私どもとして、この3月16日のスタンスに基づきましたPM低減車の自主供給計画というものをお示ししたいと思っておりますが、いずれにしましても、私どもメーカーの取り組みといたしまして大気環境改善に積極的に努力をしておるところでございます。
 このような施策を検討するに当たりまして、私どもの幾つかの検討に当たっての要望がございます。これが1ページ目の下段、パラグラフの3でございます。そこに五つ示されておりますけれども、それぞれが相互に関係するものと思っておりますが、一つは先ほど冒頭お話ししておりますように、大気環境のためには総合的な対策は必要であるということで、道路の整備、効率的な自動車利用等、総合的な施策の総合性という視点をぜひ重要なポイントとしてご検討していただければと思います。
 それから2番目の項目に入っておりますのは、ディーゼル車の役割というものを踏まえつつ、自動車の利用者、使用者、ユーザーとの合意形成、それからまた規制と支援措置との整合性というんでしょうか、バランスというものを考慮していただきまして、国民生活、産業活動への影響を最小にとどめると。こういう視点もまた重要かと思っております。
 3番目にございますのは、国際的な整合性、自動車社会というのは世界的に現在形成されつつありますので、そういった場合に環境問題、これは地球環境問題に限らず広く環境問題全般につきましてそれぞれの自動車メーカーが最大限努力をして、またそれぞれの国、地域社会におきまして環境問題が重要ということでございます。そういった国際的な見地からいろいろな規制が行われておるわけですが、そういうものを整合性を考慮した形で検討していただければと思っております。
 また我が国の中におきましても、国と地方というものの施策が整合性を持っていただきたいと。これは移動体である車ということで、車はいろいろな地域を走るわけでございますので、環境問題には地域的な特性というのがあることは十分私どもも認識しておりますが、その上で移動体である車の特性を踏まえまして、国の施策と地方公共団体の施策との整合性。それからまた、技術はどんどん進化しております。そういった意味で、また科学的な知見も進化していると思いますが、そういう継続的な知見の充実と開示ということで、そういった面でのバランスも必要なのではなかろうか。言うならば自動車の環境問題、排ガス問題を検討するに当たりましては、総合性という軸といろいろな政策の総合性、あるいは規制と支援措置の総合性という点があろうと思いますが、そのほかに地域的な世界、日本、日本の中でも国内、地方という意味での空間軸での整合性、あるいは時間軸といたしまして、過去、現在、将来という形でいろいろな規制があるわけですが、そういったものの整合性というような形で、この重要な課題につきまして対応していただければと思っております。
 そのような中で、幾つか具体論がありますが、後ほど部会長がご説明するので、私の方からは一番最後の7ページに自動車交通量の抑制、あるいは経済的措置の活用という議論がございますが、その2点につきまして私の方からご説明させていただければと思います。
 最初の自動車交通量の抑制についての議論でございますが、先ほど来から総合性と言っておりますが、この点も同じでございまして、環状道路の整備、あるいは渋滞箇所の改善、違法駐車、物流効率化、そういった意味で大都市圏におきます都市政策という観点が大事なのではないかなと。そのような総合的な施策を踏まえた上で、特にその中で通過交通をバイパスさせる、この道路整備というのは私ども大変重要だと思っておりますが、そういうような都市政策の議論を踏まえまして、さらにこういう自動車交通量の抑制につきましての議論を進めるのであるならば、それの具体的な方策なり影響等を明示していただきまして、利用者、使用者を含めた幅広い議論で社会的コンセンサスが必要だろうと思いますが、そういった面につきましては、私ども自動車工業会としても積極的に議論に参画したいと思っております。
 経済的措置の活用につきましては、そこにございますように私ども従前から自動車関係諸税は複雑かつ欧米諸国に比べて過重であると。特に取得段階、保有段階の税制につきましては、欧米諸国に比べて2倍から4倍以上の格差がある、過重であるということを言っております。そういったことを踏まえましてご議論をいただければと思っております。特に車体課税につきましては、昨年も自動車税制のグリーン化という議論がございましたが、私ども使用させていただきましたけれども、車体にかわる環境改善については、先ほど来の複雑な税制体系、あるいは欧米諸国に比べて過重であるということを踏まえますと、インセンティブ型という対応が考えられるのではないかと。私どもも来年度の税制に向かいまして、そこに書いてございますように低排ガス、低燃費車、あるいは先ほどお話ししましたようなPM低減車、私ども検討しておりますが、そういったものの復旧、支援、あるいは国の方でも低排出ガス車認定制度といったものをされておりますが、そういったものの対応車につきまして、インセンティブという観点から誘導施策という意味で、来年度の税制改正につきましても従前のいろいろな低公害、低燃費の税制がございますが、それらを踏まえつつ具体的に要求させていただければと思っております。
 それでは、各論につきまして部会長の方から引き続きまして説明させていただきます。
 
【日本自動車工業会】 先ほどいろいろ総論としてご意見を申し上げさせていただきましたが、私の方からは3ページ目以降、6ページ目まで、車種規制の充実に関しまして3点、それから総量規制という観点から1点、その細かいといいますか、詳細に関しましてご意見を申し上げさせていただきたいと存じます。
 まず3ページ目の、車種規制の充実・強化というところですが、ここに関しまして、先ほど私どもの方、緊急避難措置としてこういう車種規制というのは認められるべき筋ではないかということを申し上げましたが、使用車種規制についてはここに書きましたように、使用者への負担の影響を配慮し、極力、限定されるべき筋ではないかと考えております。
 したがいまして、車種規制を今後継続、または強化されるというお考えであるならば、まずは自動車の使用される方、利用される方の理解を得ていただきたい。そういうことを考えていただきませんと、実効のある効果が上がらないのではないかと。さらに自動車の使用者に対しては、実効のある支援をお願いしたいと思っております。
 また2点目といたしましては、同様に車種規制を継続あるいは強化される場合、自動車メーカーとしては商品構成、いわゆる車種が乗用車のように単純ではございませんで、いろいろな車種がございます。そういう構成上の課題、もしくは生産管理上の課題というのがございます。そういう面、ただ単に技術という面だけではございませんで商品という側面と、それから我々、工業会というのは自動車をつくるという大きな使命を担っております。そういうところでの課題というのをご検討いただければ幸いに存じます。
 次の4ページ目でございますが、今申し上げました商品構成上の課題で、どんなものが具体的にあるのかというのが4点目のチャートでございます。左側の方が私ども工業会ベースとして、どのような車を持っているか。商用車と乗用車に分けて問題をとらえております。左側の方がどんな車、バンですとかトラックですとかダンプですとか、そういうカテゴリーに分けてございます。右の方が棒グラフで、それではそういう分けた車が、実際世の中にどのくらいサーキュレートされているか、使っているかというのが右側の方でございます。
 まず商用車の方でいきますと、グロスビークルウェイト、総重量25トン以下、それから25トンから35トン、35トンから5トンという三つに分けてとらえております。25トンまでの領域で申しますと、ほとんどガソリン車のところに◎がついておりますが、大半の車種では代替となるべきガソリン車というのはございます。またLPGで申し上げれば本当の一部の車種にあると。CNGも同様に一部の車種にそういう車種構成というのを持っております。その中でディーゼル車、ガソリン車と分けますと、現在のところガソリン車が74%、約4分の3、26%ディーゼルというのが4分の1という構成でございます。次のクラスに入ります。25トンから35トンでございますが、ここはやはり25トン以下と同様に、ディーゼルの市場といいますか、ディーゼル主体になっております。一部の2BOXバン型に関しては基本的な車種としてディーゼルもあるが、ほかのところは全部ディーゼルです。それではガソリンはどういう状態になっているかと申し上げますと、1BOXバンにはほとんどディーゼルを持っております。しかしほかのトラックでございますね、平ボデー、バン型、ダンプ型、この辺になりますと基本的な車種、いわゆるメインの車種にはガソリンがございますが、ほかのところにバリエーションという見方ですると、ほとんどございまません。したがいまして、トータルで右の方の棒グラフをごらんいただくとわかりますように、25トン以下と市場に流れている車は全く逆転しておりまして、わずか17%がガソリン車で83%がディーゼル車と、こういう状況でございます。
 さらに大きいカテゴリーに入ります。35トンから5トンでございますが、ここになりますとディーゼル車が1BOXバンもディーゼル、そのほかのトラックもディーゼルと。ガソリン車で申し上げますと平型ボデーのトラック、バン型、ダンプ、ここに一部の車種でガソリン車があると。車種構成でいきますと1%だけがガソリン車で99%がディーゼルと、こういう状況でございます。
 乗用車の方は、車種としてはセダンとRV、リクレーショナルビークルでございますね。こういうところで、こういう分け方と、ディーゼル、ガソリンで分けてまいりますと、ディーゼル車というのはセダン型の中で一部ございます。RVの中では基本的な車種には持っております。ガソリンはいかがかといいますと、これはご承知のようにガソリン中心の社会でございますので、ガソリンは全部の車種構成を持っております。具体的に市場ではどういう保有比率かと申し上げますと、乗用車でガソリンが92%、約9割がガソリン、1割がディーゼルと、こういうこととご理解いただければよろしいかと思います。
 我々のそこでの課題ですが、やはりお客様はいろいろなニーズがございます。そういうニーズに対してどのように技術開発をし、また設備投資、技術開発投資のコストを両立させるか、そういう問題と、それから今回あまり申し上げませんでしたが、LPGとかCNGという、いわゆるクリーンエネルギービークルというものがございますが、この辺で申し上げますと、やはり充填スタンド、非常に限られております。こういうところでの充実というのが必要ではないかと思います。
 車種規制の充実・強化ですが、既販車に対してのDPFの装着ということに関しては、2点の基本スタンスで、ディーゼル車の対策技術評価検討会の結論を尊重いたしたいと存じます。それから、さらに自動車使用者のニーズを踏まえ、DPF等の装着を検討させていただきたいと思います。我々の考えている課題としては、技術的にはDPFの信頼性、それから耐久性をさらに上げないといけない。それから車両構造、開発期間などからの対応可能車種の制約というものがまだございます。装着としては市場における車両改造能力からの制約というのもございます。一番大きいのはやはりコストだと思いますが、ユーザーの負担、今のところ非常に大きなものが予想されております。
 最後に総量規制等についての考え方、私どもの考え方を述べさせていただきます。
 総量規制に関しては、アメリカでNMOG、ノンメタンオーガニックガス規制とか、カフェ、コーポレートアベレージフィエルエコノミー規制というものがございますが、どちらもこれは私ども平均値規制だと考えております。総量規制ではございません。
 したがいまして、総量を規制するということは、販売台数を含めて規制することになり、自由経済社会を否定するものだととらえております。
 それから、アメリカとの違いで申し上げますと、平均値規制でございましても日本ではディーゼルとガソリンというのは混在しております。アメリカではほとんどガソリンになりますので、そこでも状況が違ってくるという認識をしております。自動車NOX 法の中でも同じような制度を実施されようとなさる場合、大変な困難さが予想されるだろうと。したがいまして、私どもといたしましては、総量規制というのはやはり単体規制の中で考えて議論されるべき筋ではないかと存じております。
 以上でございます。
 
【委員長】 どうもありがとうございました。続きまして、欧州自動車工業会から。
 
【欧州自動車工業会】欧州自動車工業会を代表いたしまして、このたび自動車排ガス総合対策小委員会という重要な場において、発言の機会をいただきましたことを感謝いたします。
 冒頭に私が強調させていただきたいのは、欧州自動車工業会の基本的なスタンスと、日本の自動車工業会とのスタンスはほとんど同じであるということなんです。
 過去数年間、欧州自動車工業会メンバーの各社は、低排出ガス車を開発するためには膨大な投資をしてまいりました。その結果、1970年当時の新車1台分の排ガス量は、今日の新車で換算すると20台以上にも相当することになりました。我々は、日本では特に大都市圏の大気汚染改善のためにさらなる措置が求められていると認識しております。
 我々も日本の自動車工業会と同様に、技術面、非技術面双方から見た包括的、長期アプローチが必要であると考えております。我々は自動車の排ガス政策を押し進めるためには、当局、自動車工業会、ユーザー及び石油業界の密接な協力が必要であるという、自動車工業会の意見に強く賛同しております。
 ヨーロッパのいわゆるAuto−OilUプログラムに期される自動車の排ガス政策では、欧州では既に規制3または4のフレーム枠の中で厳しい排ガス基準が採用されておること。そして硫黄分の少ない燃料が普及することによって、これから2010年までの間に大気品質は大幅に改善されるであろうということを述べられております。
 また、これは非常に重要な点ですけれども、たとえ追加の措置をとらなくても、今後10年間のうちに欧州では大部分の都市部を含めて環境基準を達成するであろうと予測されております。そして、添付の資料が示すように2010年には、道路交通部門はもはや大気汚染の主要因ではなくなっているでしょう。もちろん、欧州での事例がそのまま日本に当てはまるとは言えませんが、参考になり得る事項はたくさんあります。まず欧州自動車工業会はヨーロッパのAuto−OilUプログラムにあるように、排出ガス政策で最重要であると点は費用効果であると考えております。よって、我々は検討会の報告書が各種施策における費用対効果手法の検討も重要であることを認めている事実を歓迎しております。
 Auto−Oilプログラムは、硫黄分が少ない燃料の普及の重要性は、はっきりしております。ご存じのとおり日本のガソリンの硫黄分は既に低いのですが、ディーゼル車の排ガスを改善するためには、ディーゼル燃料の改良が不可欠です。欧州自動車工業会は日本がいわゆるワールドワイドフューエルチャプターの推奨に従って、軽油における硫黄分の最大でも5ないし10PPMにすることを望んでおります。
 最後に、特定の地域で大気品質が環境基準に満たせない場合は、その地域の状況に照らして費用対効果の高いローカル案を採用をしなければなりません。モビリティ、すなわち移動性の阻害を最小限にする措置が最優先されるべきです。
 最後に、検討会の報告書の中で直接欧州自動車工業会メンバーに関係があると思われる施策オプションについて、幾つかのコメントをいたします。
 まず欧州自動車工業会は、厳しい排ガス基準に対応していない既存車両の代がわりを促進するあらゆる措置を支持する所存です。欧州における事例では、古い車両の一新を促進することが大気品質の改善に大きく、しかも迅速に貢献することを示しております。しかしながら、新規登録車に対する地方自治体の排ガス基準は、国の基準と整合しなければなりません。日本の自動車工業会と同様に、欧州自動車工業会も日本のユーザーがさまざまなタイプの自動車から自由に選択するのを制限するあらゆる措置に対して、慎重な分析が必要であると考えております。
 欧州における事例からもディーゼル車の普及と、環境基準を達成することは両立させることができるものと理解しております。異なる車種の車には、それぞれに魅力となる特徴があるのです。消費者がそれぞれのニーズにしたがって、幅広い選択をできるようにするべきです。ディーゼル車からガソリン車への切りかえ促進は、窒素酸化物削減に対して短期的には有効かもしれませんが、逆に燃費に対しては悪影響を及ぼします。窒素酸化物削減及び二酸化炭素削減のトレードオフの関係を見極める必要があります。自動車メーカーに対して、販売する自動車のNOX 排出量の総量、または平均値を規定すること等は慎重に検討する必要があります。検討会の報告書には、これらの措置が実際にどう影響するのか示されていないので、この件に関しては明確なコメントができませんが、しかし自動車工業会が指摘するように、このような措置によって一部のメーカーが不相応な影響を受ける危険があることは確かです。
 ご静聴ありがとうございました。
 
【委員長】 どうもありがとうございました。でき続きまして、石油連盟さんの方からお願いをいたします。
 
【石油連盟】 石油連盟と申します。
 本日は石油業界の取り組みと聞きまして、時間の関係もございますので、私どもからは二つパンフレットを示しております。色のついたパンフレットの方を中心にご説明させていただきたいと思っています。
 まず、これまでの石油業界のディーゼル、軽油、低硫黄化の取り組みを、お手元の1ページでございます。私どもとしては、平成元年のディーゼル車排出ガス規制、これから自動車の排気ガス規制に関して燃料の品質の大気汚染防止法の中で特に議論されるという、こういう糸口ができたわけですけれども、その中でうたわれたのは、短期規制への対応のためにさまざまな点が必要だと。さらに長期規制の対応のために、もっと硫黄分の低減を進めようということでございます。短期規制、その当時サルファーレベルはそのお手元の図にありますように12%でございます。それから、これを短期規制の平成4年の規制までに石油精製技術そのものについては低硫黄化がどんどん進んでおりましたけれども、05%から02%と、長期規制の達成時期ということに対しては005%ということで、05%に対しては既に10分の1というレベルまで硫黄分を下げておりました。石油精製の場合には硫黄分を下げる技術と、それからその技術を対応するための設備ということで、当然のことながら設備の投資という問題がかかわってまいります。長期規制対応までに要したのは約2,000億円と。昨今、先ほどのディーゼル排出ガス規制は国際的な流れの中で日本あるいは欧州、アメリカ等もいろいろと今進んできております。軽油の硫黄分低減につきましても、種々要求が出されております。2000年、昨年まではそういう意味では我が国の硫黄分レベルは日米欧の500PPMというレベルに符合する世界で一番厳しいレベルを維持するというところで達成していたわけでございます。
 さらに、昨年からことしにかけてディーゼル問題に対して、やはり大都市の環境問題等を中心に種々いろいろな問題が出てまいりました。私どもは当然のことながら、環境問題に対しては積極的に品質改善で対応できる、あるいは品質改善を通してご協力できると。こういった分に対しては協力するという施策を講じてきておりますし、そういった業界の体制をつくってきております。
 したがいまして、今回のこのディーゼルのさらなる低硫黄化の問題につきましても、種々積極的な対応の仕方についてご相談もしてまいりました。もちろん、この対策のためには自動車側での対策いかんということが非常に大きなポイントとなるわけでございまして、石油業界は自動車業界さんといろいろと教えをいただきながら、そういったことに対してどういった硫黄分のレベルが必要であると、こういった議論を重ねてまいりました。それで、燃料側からも利用者側の便宜にあわせてきちんとした対応が必要だろうということで、お手元の4ページにございますように、自工会さんとこの緊急性、それから社会的要請にこたえるということで、両業界が密接な連携をとるということで、より効果的な対策が可能となるということで、現状において最大限の努力を傾注するという考え方から、特にPMの低減に関して相互に協力して種々の対策を取り組んでいくということで、世の中に対しても発表したわけでございます。
 この中では、当然のことながら国の新長期規制の前倒しということと、それから東京都対策、既にそれより以前に大都市の環境問題提言ということで要請されていたわけでございますが、この二つの観点からどういう考え方で対応するかということを示しているわけでございます。すなわち、2007年の新長期規制対応の前倒しに関しては、PM低減対策を講じたディーゼル車の開発、市場等にあわせて低硫黄化された軽油を供給するということで対応していくと。
 それからAの規制実施に先がけたPM低減対策、これは主として東京都対策、東京都さん等でございますけれども、これにつきましては自主的取り組みとして、例えば連続再生式DPF、これは硫黄分に対して大変厳しいというお話を伺っております。この技術をつけてパーティキュレートを除去していただくというために、硫黄分の低減が必要であるということでありますので、これに対して、これはもう一つは公共的なPM削減対策ということになっているようでございますので、これを前提としました低硫黄軽油の部分供給を図っていくということです。部分供給という意味は全国ベースではこの2、3年のうちにはなかなか供給量が全体には及びませんけれども、部分的にできる部分について供給していくという趣旨でございます。
 次のページになりますけれども5ページでございます。やはり、このために今のままの設備ではやはり対応ができません。この設備対応が平成9年に終わっておるわけでございますけれども、この設備を部分的には生かしながら、あるいはさらなる設備を増加しながら、この次の低硫黄化に向けての検討が必要と、対応が必要ということになっています。それから、設備を新たにつくっていく、このための若干の時間的な必要性もございます。そこには投資についてのみ書いてございますけれども、今までの想定から申し上げますと2、3,000億ぐらいの追加的な投資がかかるというのが1点でございまして、それとこれに対しての軽油設備、あるいは改造、新設のために要するコストの財政的な支援を要望しているというところでございます。
 なお、この硫黄分の低硫黄化のレベルとか、あるいはいつからということにつきましては、私どもも中央環境審議会、あるいは石油審議会の議論の中で申し上げておりますので、そこでの議論がいずれされて結論が出されると思いますけれども、それに沿ったきちんとした対応をしていきたいというふうに考えております。
 6ページ目には、ちょっと深度脱硫軽油の製造について述べております。基本的には製造方法というのは大きく変わってございません。ただ、これも我が国としていろいろな状況の違いということを申し上げておきます。例えば我が国の輸入原油というのはほとんど中東から来ているということで、80%以上が中東原油と。それからもう一つ石油製品の中で灯油という一つの需要がございます。灯油を使うということで、これもやはり欧州等で灯油を軽油機材に使っているという実態がございますけれども、そういったことが日本で設備を増強して硫黄分を下げていく。そういった対応が今後とも必要であるということで、そういう方法を今考えております。
 もう一つは、やはり触媒を改善していくということも大事な研究開発の中身になっています。こういっためどが早くつくということが、やはり今後のさらなる低硫黄化のための前提として今考えているところでございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
 
【委員長】 どうもありがとうございました。ただいま日本自動車工業会、欧州自動車工業会、石油連盟というふうにご説明をいただきましたけれども、ここで質問をさせていただくということで、よろしゅうございますか。
 どうぞ、ご自由にご発言などしていただければと思います。
 
【委 員】 自工会さんにお伺いしたいんですが、今日は自動車のNOX 法の見直しということで、今回、特に自動車利用者とそれから使用者との合意形成ということをかなり重要であるというふうに言っておられるような気がいたしておるんですが、こういうふうにこの辺を強調されると、技術的には可能であるけれども、例えば一部車種を廃止するとか、あるいは価格が上昇するとか、あるいは運転上のいろいろな制約が出てくるというようなことで理解を得るというようなことが重要であって、技術的にはほとんどお金さえかければできるんであるというふうにも受け取れるんですが、具体的には理解というものの中身を、今のところどういうふうにお考えなのか、あるいは整理されておるのか。その辺をちょっとお伺いしたいんですが、いかがでしょうか。
 
【自動車工業会】 私ども考え方としましては、技術面ではこの審議会のいろいろな分野に出ていますが、技術的にいろいろなトレードオフにある。きょうも先ほど各説明者から出ましたが、そういうものとか、あるいはいろいろな施策の総依存関係にあるという、そういう技術面の理解。それから対策にはいろいろな対策が、単体技術のほかにありますので、その対策の組み合わせ、さらには自動車のユーザー、広くありますので、そういう方々の理解という、そういったものを絡む政策なのではないかと。私どもこれは非常に重要であるし、ですから中央環境審議会でも重点を置いてやっていると思うんですが、そういう重要な政策が今のような技術的にトレードオフなり、それぞれの政策に相互依存が、あるいは対策にいろいろな対策があって、それをどう組み合わせする、そしてそれをどう広く使っている方々に理解するかという組み合わせですので、そういうことを言っているわけでして、個々のあれについて、どれがどうのというのは、またいろいろ言いたいと思いますが、技術的な面でいきますと、欧州自工会と私どもが今お話をしましたことは、私ども自動車メーカー、日本の自動車マーケットに販売しているメーカーは世界的に技術はトップだと思います。ですから、むしろ今回の場合の排ガスについて、NOX のあるいはPM、そういったものについてどういう政策を長期的に示されるのか。先ほど欧州自工会さんも言っていますように、欧州においては従来はPM、ですからPM規制につきましては、ある一定の年限に問題にならないようにすると。では私ども日本の社会において、それをどうするかといったときに、日本の規制体系において、どこをどういう形でそれを進めるのか、あるいは燃料の問題について欧州と日本では軽油の低硫黄化が違う、それをどういう形でキャッチアップするのか。そういうような環境整備、そういったことをやりながら、最終的に広く薄く使われる方々のユーザーにそういうものを示して理解を求めるということなんではないかと。ですから単体の技術について、これができますかどうですかというご質問であれば、答えますし、私どもはもうヨーロッパと、あるいは世界的に遜色ないんではないかという。ですから、世界のトップの技術を規制をするならば、それはそれで環境はできているけれども、違いは燃料の品質の問題をどうされるんでしょうか、規制の体系において日本の従来の規制の体系がNOX を中心であったとしたら、ヨーロッパはPMだったとしたら、その規制の体系の時点をどういうふうに調整されるのか。それをどのような形でユーザーの方に理解してもらうのか。そういう点が必要なのではないかと言っておりますので、そういう意味で先ほどちょっと繰り返しますが、総合的な視点、長期的な視点、あるいはいろいろな施策、地域的なバランスというのを、ぜひとっていただければと。
 私ども、本件につきまして民間サイドでも本件は自動車メーカーだけでなくて、燃料業界、ユーザー業界三位一体になるんだろうということで、燃料業界との関係で3月16日の発表のときにも、石油業界と緊密な連携をとらせていただいておりますし、東京都の問題につきましてはユーザー業界、トラック業界とも緊密な連携をとらせて、我々民間サイドでできる最大限のことをバランスをもって、その効果的にできるような形にやっていきたいと。こういうことを言っております。そういう考え方として理解できるといいなと。
 
【委 員】 今おっしゃった、私がお伺いしたかったのは、そういうふうな幅広いことではありませんで、メーカーの団体であって、それが販売しておられるわけで、特にディーゼル車というのは、乗用車なんかと違ってプロの方がいろいろ使われているということなので、そこら辺に格別な事情があって、そういう人たちにも理解してもらうということが非常に特殊性があることなのかなということでお伺いしたんです。
【自動車工業会】そういうことではありません。むしろ新車ではなくて、既販車、既に売られている車についてどうするかということ。私ども自動車工業会は新しい車を供給する。そういう意味での技術的な問題はないんですが、今走っている車をどうするかという場合には、その車を使っている利用者との理解というものが必要なのではないかと、こういうふうにご理解いただければと。
 
【委 員】 使用過程車とおっしゃっているわけですね。
 
【自動車工業会】 そうですね、使用過程車が大事だということです。そういう観点からいくと、こういう視点が出てくると。
 
【欧州自動車工業会】 つけ加えてコメントを述べさせていただきたいんですけれども、ヨーロッパの事例をちょっと日本にとって参考になると思うんですけれど も、このAuto−OilUというプログラムが、それが単なる自動車メーカーと石油業界が入っている業界があって、政府当局と環境団体、いわゆるNGOにみんなが一緒に参加して、そのプログラムを通して、今までとった措置が環境基準を満たせる東京ではどういう効果があるかという客観的に分析して、これから環境基準の強化に当たって、各施策との間のコストが、このシミュレーションを通して比較できるということなんです。もちろん日本では、ジャパンクリーンエアプログラムがあるんですけれども、それを私が知っている限りでは、それは今のところでは自動車工業会と石油連盟しか参加していない。そのプログラムを通しておっしゃるようなコンセンサスがどれほど得るか、ちょっと疑問に思っています。
 それで日本の環境対策は、我々から見ますと技術本位のプログラムなんですけれど、もちろんベストフェールドテクノロジーを使うのが大切ですけれども、コストの面のもっと表面に出して、各施策との間のマーチングコストを比較して、ある特定の目標を達成するに当たって、どういう施策がベストであるか、そういうようなシミュレーションをちょっと今のところでは確かあまり失礼ですけれども、日本では見えないんです。
 
【委 員】 先ほどの河野先生の方から自動車使用者、利用者の理解を得るとともにというご質問がございました。私もこれをちょっとお伺いしようと思っていたんですが、今、お話を伺ったので。1ページのところですね、NOX 法の見直しについてというところでちょっとお教えいただきたいんですが、ここでAのところで国民生活や産業活動への影響の最小にとどめる施策という表現があるわけですけれども、今いろいろNOX 法ができてから自主的取り組み、あるいは車種規制等行って、それでも今年度、平成12年、2000年環境基準達成の目標年次であるにもかかわらず、困難であるという状況にあるわけですね。そういう中で、国民生活や産業活動への影響を最小限にとどめると、いわゆる環境への負荷をいかに低減するかというのが今一つ大きな目標としてNOX 法もできてきたし、ほかの環境基本法をベースにいろいろなものの中で環境への負荷をいかに低減するか。これは自動車においても同じことが言えるわけですけれども、ここで産業活動などの影響を最小にとどめる施策という、しかし環境への負荷をいかに少なくするかという問題がある。その辺で何かご提案ですね、ここで施策の検討とありますけれども、自工会として、これに対して何か、こういう方策があるではないか、こういうポリシーがあるではないかということがお持ちでしたら、ちょっとお伺いしたい。まず質問でございます。そういう点をお教えいただきたいということでございます。
 それから6ページのところで、ここで最初のところで3行目に、自由経済社会を否定するものであるという断定されているんですけれども、この辺について環境との関連の中で、今環境改善のためにいろいろやろうとしていることが、自由経済社会を否定するものにつながるのかどうか。私自身は非常に環境と経済との調和ということも、もちろんそういう中で行われてきているわけでありますけれども、ここでかなり厳しいご意見があるわけですけれども、これについてもう一度ちょっとお話をいただければと。
 
【自動車工業会】最初の方からお答えさせていただきますと、私ども3月の発表のときも、主として今の国民生活とか作業活動というのは使用過程車だとご理解いただければと思うんです。今使われている車に対してどのような対応をするのかと。新車につきましては、私ども先ほどご説明しておりますし、また使用の前倒しということにつきましては、VPM低減車の自主供給計画を今策定していますんで、いずれ発表したいと思っておりますが。そういう新車ということより使用過程車をどうするかが排ガス問題の解決に重要であるとすると、その使用過程車につきまして、どうされるのかと。そういった場合に定期点検とか、あるいは取り締まりの強化とか、そういったようなことも私ども3月のときには言っております。それから現在持っておられる車を、そういう新しい規制適用車、あるいは低公害車への代替をどうするのかと。そのために私ども先ほど説明しましたように商品構成で低公害車等への商品構成を最大限努力しますが、それにはコストの問題のほかに燃料インフラがありますんで、CNG車なりLPG車のための燃料インフラを整備したらどうでしょう。それからそういう低公害車に切りかえにつきましては、税制上インセンティブ型で支援措置を講じたらどうかと。こういうような形で、そういう現在今使われている方々の車を国民生活、あるいは産業活動に使われている車を、どういう形で低公害車、最新規制車に転換するか、あるいは今使っている車の使い方につきましてエコドライブを含め、あるいは定期点検、あるいはそういうものの整備についてどうするか。そういったことについて関係する業界と一緒に従前からもやっていますが、今後ともやっていきたいと。
 それから燃料業界との関係でいけば使用過程車の燃料業界としては、先ほど石油業界からありましたように、これまでの低硫黄化のためにもかなり投資していますが、さらに新長期規制対応のためには開発投資がいる。そういったものに対して、どのような形で石油業界が対応するかについての支援措置も検討していただきたい。こういうようなことを3月の中で発表しておりますので、私どもとしては、そういう形の中でそれぞれの政策について関係省庁、あるいは関係業界と、さらに引き続きやっていきたいと思いますし、そういう意味では東京都さんからいろいろな具体的な提案も受けて、私どももそういうものに参画しておりますが、そういった問題について議論を深めていっていただければと思っています。
 
【委 員】 今、LPGとかCNGでインフラの整備というお話がございましたですね。インフラ整備が先なのか、そういうものに対する、今すぐにというのではなくて、1年後、2年後にはこういうものを、いわゆる低公害車ですね。あるいは製造に入りますというようなことがあって、インフラ整備なのか、インフラがないからつくらない、できないということなのか。その辺はどうなんですか。
 
【自動車工業会】 その辺は同時進行ではないでしょうか、平行して。ご案内のように、既にもう政府の方で低公害車なり電気自動車、もう長期計画を立てられていますよね、もう何年前から。ただし、それがなかなか実効性がない。そのためには今のインフラ整備を含めて、ご案内のようにCNG車については最近ガス協会がご熱心で、これがここ2年間で、急速に伸びておりますんですよね。そういうようなのもありますし、そういう意味では燃料のインフラ、私どもメーカー、ユーザー、もうそれぞれが同時にやらなければいけないのではないかなという認識でございます。それに対して私ども積極的に低公害車がどういう商品構成がある、あるいは国なり地方の助成策はどういうものがあるか。そういうものを広く理解していただいて、ポスト燃料を。
 
【委 員】 いわゆるコストが高いという、ラインを持っていないから1台というのは手づくりだから、電気自動車の場合ですね。コストの問題が出てくるわけで、ラインに乗ればある程度コストダウンできるとすれば、では普及するだろうからインフラもそれにあわせて整備しなければ。その辺、鶏と卵、どちらの問題かもしれないけれども。
 
【自動車工業会】 例えば今のラインの問題でしたら成算あるわけで、むしろロットがやれば今の大量生産型の中にやる。そうでなければ今のラインの中で個々に対応しなければいけないとコストが高い。だから、それはもう別に今のラインを変える必要はないわけで、発注の仕方ですから。そうすると、むしろユーザーの方々が燃料インフラを見つつ、かなりあるところで大規模な発注があれば、それはコストダウンが図られる。むしろ三位一体で作業しないと、もう10何年来国の方でそういう計画が出されているけれども、それをどうすればいいのかというのを、それぞれ関係する業界が一緒になってやるしかないのではないかなという気がします。
 
【自動車工業会】 先ほど先生のご指摘の自由経済社会を否定するものと、断定的にといいますか、決して断定はしているわけではございませんで、単体いわゆる総量規制というのは過去我々も経験したことございませんし、非常にやり方として難しいんではないかと。むしろ総量規制をやるというよりも、単体規制の中で総量を考えた規制をやっていただくのが一番実のあるやり方ではないかという気がしております。
 例えば燃費なんかでも、A車、B車、C車と分かれていて、A車は20キロだ、B車は30キロだというようなやり方というのは、多分成立しないのではないかと。そういう面では自由な経済社会、経済活動ができると同時に、環境に対しても改善するという、そういう施策を考えていただきたいということで、それにはこういう総量規制ではちょっと我々から見ると難しいのではないか。そういう主張でございます。
 
【委 員】 欧州自動車工業会の方にお伺いしたいんですけれども、きょうのお話では2010年には道路交通部門はもはや大気汚染の主原因ではなくなっているでしょうという予測を立てているわけですけれども、我が国も平成5年に自動車NOX 法で平成12年度を目標として達成するようにご承知のように考えられるあらゆる対策を進めてきてもできないので、今こういう検討会が開かれているわけですけれども、今までの我が国の対応を考えたときに、欧州では先ほど技術的な面だけ日本では何か主に考えてやっておられるようですけれども、我が国の今進めている施策を考えたときに、欧州ではどういうところをやれば一番効果的に、この2010年に達成すると考えておられるのか。何が一番効果的なのかということを教えていただきたいということと、もう一つ、環境基準を達成するとそこに書いてあるんですが、欧州の環境基準は日本の環境基準、私の理解するところでは日本の環境基準というのは、世界一厳しい基準の一つとなっているわけですけれども、欧州のこの環境基準というのは日本に比べて大幅に緩いのか、あるいは日本並みの基準を持って達成するとおっしゃっているのか。その辺のところを2点教えていただきたいと思います。
 
【欧州自動車工業会】 わかりました。添付の資料から見ますと、今現在、日本と同様、道路交通部門はNOX につきましては貢献度が高いんですけれども、今までとった措置、すなわちユーロステップ1から2005年から実施されるユーロステップ4までの措置の効果が、引き続き使用過程車に対しても効果がこれから急に出てきますから、2010年に当たって、この図面が示すように道路交通部門のNOXの貢献度がユクリソースよりも低くなるということなんです。それはどうしてそういうふうに減ったかということになりますと、それはまず基準そのものが厳しいということ、それは言うまでもないことなんですけれど、すなわち新車に当てはめられている基準がますます強化されて、数年間に当たってそれが市場に流れていることに対して影響があると言ったんです。ディーゼル車につきましては、私が指摘いるように日本よりも、特に2005年からヨーロッパ市場に導入される軽油の硫黄分が日本と比べて硫黄分が非常に少ないということは事実です。その年から硫黄分が50PPM以下ということが義務づけられている。実際にはある硫黄分市場、特にドイツにおいては既に50PPM以下の軽油が導入されて、今ヨーロッパの自動車工業会が目指しているのは、いわゆる、これからの基準を達成するに当たって、サルファーフリーの軽油が望まれている、サルファーフリーといって、それが実質的には5または3、ないし10PPM以下の軽油が必要です。
 それで施策としてヨーロッパでは非常に迅速な効果が上がったのは、それは何よりも代替促進政策だと思うんです。それが迅速に排出ガスの削減と結ばれているんです。
 それで、欧州環境基準と日本の環境基準との比較ですけれども、ここでは詳しい資料は持ってきませんでしたけれども、日本もヨーロッパも国連が定めた基準をベースに基準を設定しているのではないかと私は理解しています。ヨーロッパの方は環境基準が緩いということはまず言えないと思います。日本と変わりはないというふうに言ってもいいと理解してくださったら正しいと思います。
 
【委員長】 どうもありがとうございました。時間の関係もございまして、まだご質問があろうかと思いますけれども、ここら辺で日本自動車工業会、欧州自動車工業会並びに石油連盟の会長さん方には、心から御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
 それでは、次にご説明をいただく方をご紹介させていただきます。
 日本自動車販売協会連合会から大型バス・トラック委員会委員長さん、日本中古自動車販売協会連合会から法務部長さん、それから日本自動車整備振興会連合会から理事、指導部長さんにおいでをいただいております。
 それでは、最初に日本自動車協会販売連合会、続きまして中古自動車販売協会連合会、最後に日本自動車整備振興会連合会という順序でお話をいただければありがたいと思います。
 よろしくどうぞ。
 
【日本自動車販売協会連合会】 それでは、自販連でございます。意見を述べさせていただきます。
 まず2点ございまして、一つ目が自販連として今までどういう取り組みをしてきたか、これが1点でございます。
 それから2点目が、施策のオプションについての意見を含めまして、今後の対策の方向性について。以上、意見を申し上げます。
 まず、今までの自販連としての取り組みでございます。ご承知のとおり、過去数回にわたりまして排ガス規制に対しまして、その都度、自販連といたしましてメーカーと一緒になりまして最新の規格規制適合車への迅速な普及に努めてまいりましたことはご承知のとおりでございます。ちょうど今月、ご承知のとおり総重量12トン超の大型ディーゼル車につきましても、本当に大変厳しい中でございますが、ユーザーの理解をちょうだいしながら適合車への販売を進めているのが現状でございます。
 それから、また平成6年度の規制のときにおきましても、ご承知のとおり全国のトラック販売ディーラーによりまして、ポスター、チラシ等を通しまして排ガス対策車への代替促進をアピールしてまいりました。ユーザーにお願いして環境改善への協力を口を大にして要請してきたわけでございます。 さらに、運輸省指導によりますところの例年実施されております「自動車点検整備推進運動」におきましても、関連団体と協力いたしまして車両の適正な整備推進に取り組みをさせていただき、環境改善に努めてきております。これが自販連の今までの取り組みの状況でございます。
 それでは、次に施策のオプションについての意見も含めました、今後の対策の方向性について自販連としてご意見を申し上げます。
 まず5点ございますが、1点目は環境対策につきましては、排ガス規制とあわせましてやはり何といってもインフラの整備、CNG、LPG等考えられますが、スタンド等のそういうものも含めまして整備。それから交通問題、それから物流の効率等の総合的、長期的な対策がこれは絶対必要であろうと考えております。
 また、お願いしたいのは、現在すぐ取り組める対策と、それから今後取り組んでいく対策を区分しまして、できるだけ明確にした対応が必要なのではないかなと、かような次第でございます。
 それから二つ目でございますが、課題となっておりますところのディーゼルトラック、バスにつきまして、これは特に売る立場のものとして現在これにかわる製品は特に大型トラック、見当たらないのではないかなと。今、実施されておりますところの長期排ガス規制対策車がNOX 対策としては、現在売る者から見ますと、現在ベストのものと言わざるを得ないのではなかろうかなというような感じでおります。
 いずれにしても、この対策車の普及と代替促進が当面必要なことでありますし、そのための税制補助対策等の積極的な支援が必要であると。これは、特によろしくお願いしたいと思います。
 それから3番目でございますが、現在大きな問題となっておりますところのPM削減対策につきましては、やはり当面、関係官庁が一体となった整備不良車の規制、取り締まりの強化が望まれることでございます。あわせまして、関係官庁と業界が一緒になって環境に影響を及ぼすところの点検整備の啓蒙、PRを図ることが必要と考えられます。またDPFでございますが、PM除去装置につきましては技術面と費用面、随分金がかかっている、それからいろいろな各社各様に出てきたときにいろいろなものが絡むと思うんですが、大変な大幅な改善と支援が必要ではなかろうかなと、かように思っております。
 それから4番目でございますが、NOX 法による、特に使用過程車の取り扱いにつきまして、今後も引き続き検討されるのでありますならば、現在の特に地域、今特定地域ということも含めながらいろいろありますが、地域や期間等、実効性についての問題もありますので、ぜひ詳細な再検討が必要ではなかろうかなとお願いする次第でございます。
 5番目に、交通対策でございますが、ETC等の導入、これが叫ばれておりますが、それ以外でやはり信号体系の見直し、非常に渋滞箇所の信号、これはもうぶざまではないかなというようなところもあります。それから駐車禁止、駐車違反の取り締まり、これはもう叫ばれているにもかかわらず野放図みたいなところもあると。こういうものが非常に交通上渋滞をおかしているというようなことも含めまして、渋滞箇所の改善が必要ではなかろうかなと、かように進言をしたいと、このように思います。
 それからETC、ITS、この辺のところにつきましての実施については、やはり路線バス、輸送トラック、タクシー等、俗に言う公共性、経済性の高い車両ですね。この支援が我々売る側から見ますと大変必要ではなかろうかなと、このように考えております。
 以上、大綱だけを申し述べさせていただきました。以上でございます。
 
【委員長】 どうもありがとうございました。それでは、続きまして日本中古自動車販売協会連合会さんの方からお願いいたします。
 
【日本中古自動車販売協会連合会】 中古車の団体で社団法人日本中古自動車販売協会連合会でござます。よろしくお願いします。
 私どもの団体は、非メーカー系の販売専業、つまり国内で中古車を売っている事業者の連合会でございます。その立場からということでお手元資料6でございますが、@からFにつきまして説明させていただきます。
 車種規制の充実・強化。特定自動車排出基準の強化による使用過程車の強制代替については、循環型社会の考え方、ごみの排出抑制に反するので問題があるという立場でございます。使用過程車を対象外とすることを要望するという立場でございます。これにつきましては、前回の規制で皆さん中小企業者も含めて乗りかえたわけですので、また同じことが繰り返されるのかという点について非常に疑問であります。
 2番目につきましては、事業者における対策の強化でございますが、ここは中小企業者に負担がかかるようなことはできるだけ避けてほしいという立場ですが、特段意見は保留とさせていただきます。
 Bにつきましても同様ですが、メーカーということでございますので、意見を保留にさせていただきます。
 C自動車交通量の抑制ですが、そもそも環状道路等、交通網の整備を図ることでかなり効率的に改善が図られるという認識をしていますが、現実問題なかなかそれが進まないということでございますが、現在検討されているETCの促進については、有効であると考えていますので賛成をいたします。流入規制につきましては、非常に逆な混乱が起こるのではないかと考えられ、また特定道路としても同様でしょうし、効果を考えると、とても現実的ではないと思いますので反対します。ロードプライシングについても同様だと思います。
 D経済的措置の活用、これは@で申し上げました強制代替という考え方と逆の経済的手法を講じてほしいということにつきましては賛成でございます。ここでは税の話ですが、全体的なユーザーの負担を軽減するのを前提としまして、現行の所有税的な手法から利用税的な手法に変えていくことで、全体の利用を減らすことができるのではないかと考えております。
 6番、局地対策の強化ですが、これもちょっとよく内容が理解できませんので、意見を保留にさせていただきます。
 7のその他ですが、使用過程車をどうするかということを考えますと、やはり燃料の問題を急ぐ必要があるのかなと思います。お金がかかるということでございますので、国の補助なり政策面で応援をしていただければと思います。ディーゼル車のPM削減につきましては、やはり助成なり優遇措置という形でDPFの装着の推進に努めるべきだと考えております。
 以上でございます。
 
【委員長】 どうもありがとうございます。続きまして、日本自動車整備振興会連合会の方でご説明をお願いしたいと思います。
 
【日本自動車整備振興会連合会】 日整連でございます。それでは、提出資料に基づきまして整備業界における自動車排出ガス対策の取り組み状況等についてご説明させていただきます。
 現在、我が国における整備工場の数は約8万6千あるわけですが、これらの整備工場が自動車排出ガス対策の面で果たすべき役割は、主に次の2点が考えられるわけであります。
 1点目が、自動車使用者に対し定期点検整備を確実に実施する働きかけや、過積載などを目的としました貨物車の不正改造防止の啓発活動などにより、定期的な点検整備の必要性を広くアピールすることであります。
 2点目が、良質な点検整備技術を自動車使用者に提供することで、使用過程にある車が常に排出ガス基準に適合するようにすることであります。
 このような整備業界の役割を効果的に推進するための具体的な実施事項といたしましては、表に示すような取り組みを現在実施しているわけですが、今後とも排ガスの低減対策をより充実して普及促進を図っていきたいと考えております。
 実施事項の詳細につきましては、時間の関係で省略させていただきますが、その構成といたしましては点検整備促進対策と、整備技術向上対策とに区分されるわけであります。特に表の一番上にあります運輸省が実施主体となって、本年の6月及び10月を重点期間として推進しております使用過程ディーゼル車の黒煙対策については、整備工場に入庫した車両の点検整備を通じまして、環境保全等に協力していたわけであります。
 また、整備技術向上対策といたしましては、電子制御装置による排出ガス対策の技術研修を整備主任者に対して毎年実施しているわけであります。
 1枚めくっていただきますと、報告書に対する意見概要であります。整備業界といたしましては、報告書の内容は排出ガス規制適合車への代替促進、使用の制限など、整備事業者が直接的に関与できる内容はほとんどありませんでしたので、報告書の内容に対し特段の意見はございません。
 しかし、定期点検の確実な実施を担保する視点での方策の検討をぜひ加えていただきたいと存じます。その根拠といたしましては排出ガス、特に黒煙の低減に大きな影響を与えますエアクリーナーエレメントの状態、排気の状態などは、定期的に点検するよう車両法上で義務づけられているにもかかわらず、その実施率は平成9年度の運輸省調査結果によりますと事業用貨物の3カ月点検で約5割と非常に低い状況にあります。また、整備工場に定期点検で入庫した車両のうち、エアクリーナーの清掃または交換により約4割の車の黒煙濃度が10%以上低減したとの調査結果もありますことから、排出ガス対策には定期点検整備の確実な実施が重要であります。
 このような状況下、当会は運輸省のご指導もいただきながら、定期点検の実施促進を約30年にわたって取り組んでおりますが、なかなか効果が上がらないのが現状であります。
 したがいまして、現在運輸省が大都市を中心に集中的に実施しております街頭検査の実施頻度の拡大、警察による整備不良車の取り締まりの強化等、定期点検の実施を担保する具体的な施策を報告書に盛り込んでいただきたいと思います。
 整備業界としての意見は以上でございます。
 
【委員長】 どうもありがとうございました。以上、自販連さん、中古車販売連合会さん、それから自整連さんの方からお話をいただきました。
 ご質問などをいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
 
【委 員】 ちょっと教えていただきたいんですが、販売協会の資料のところで裏のところ、4番目のところですけれども、ここでNOX 法による使用過程車対策について云々とありまして、現在の地域や期間等実効性について問題があるというご指摘があるんですが、これについて何か具体的なことでお教えいただければと思うんですが。
 
【日本自動車販売協会連合会】 まず現在の地域でございます。これ特定地域ということで、局地対策の問題にも絡むんだろうと思うんです。東京とか首都圏については非常にスモーキングという観点からこうだというのが出ますけれども、これだけ環境が叫ばれてくるのであれば、日本全国がどうして同じようなレベルにならないのかなと。局地対策の問題は優先順位はあるんでしょうけれど、この辺はやはりいずれはノースモーキングとスモーキングではないんですが、飛行機はもう全部なくなりましたけれど、これは公害能力とかいろいろ経費の関係もおありだと思うんだけれども、やはり何かその辺は全体図で公平にものを持っていかないといけないのではないかなと。それから期間の問題も、ご承知のとおり89年以前の規制車がございますね。これが3割以上あるわけです。こういうものも含んで代替された、これも景況間の問題もあろうかと思いますが、やはりそういう今直近で排ガス規制を対策した車が代替していったのはいいけれども、今後来るべきものがDPFをつけてどうのこうので、またさらにいろいろなものに転嫁してくると。総合的に何かその期間の問題も地域の問題を含んで、具体的な何か示していただけないと、こんなことを申し上げますと、私なんかどちらかというと、つくる人と買う人の間にはざまにいますので、なかなか実質的にこうだということは申し上げられませんが、売る立場からすると比較的そういう問題が非常に登録も含めまして謙虚ではないかなと思うんです。
 ですから、この辺は将来的にでもやはり考えていただければと思うんです。
 
【委 員】 最新の規制適合車の迅速な普及に努めてきていると書いてあります。今後ともそれはお願い申し上げたいところでございます。
 そこで、今、使用過程車の代替というお話がございましたけれども、中古車の販売となると、いろいろご意見をちょうだいしたわけですけれども、循環型社会の考え方からいくと問題だという、いわゆるごみの排出抑制に反するのではないかというご意見だろうと思うんですが、むしろそういう規制の対象になって、適合車にかわる。皆さんの方でそれをお引き取りになるかどうかだろうと思うんですが、むしろ再利用、部品などの、むしろそういうことにどうメーカー側に働きかけるかということの方がもちろん重要ではないかと思うんですが、車はすべてごみになるという考え方そのものが非常に危険なような感じもするんですけれども、その辺についてはどういうお考えなのかということ。いわゆる、そういう意味で使用過程車を対象除外とされたいということですが、やはり負荷をどのように低減していくかということからいけば、いろいろ模索している中でそういう問題も出てくるわけですね、使用過程車の規制の継続というような問題も出てくるわけですけれども、それがごみの増大につながるというところについて、ちょっともう少しご意見を伺いたいんですが。
 
【日本中古自動車販売協会連合会】 ご存じのとおり、自動車はトラックの比率はちょっと定かではありませんが、全体的には75%がリサイクルされていると言われていまして、現実にいわゆるスクラップになってもリサイクルはされています。ただし、例えば10年、あるいは20年使うというのが今までの使われ方だとして、それをある時点で強制的にやめなさいということになれば、それはリサイクルはされるかもしれませんけれども、リデュースという観点から言えば、やはり強制的に死刑執行する形になるわけですから、その考え方はよほどの理由がない限り避けてほしいと。避ける場合に経過措置とかいろいろな形、前回もとっていただきましたが、その検討は必要だとは思いますが、初めからもう規制にかかる車は乗りかえたらどうですかというふうに決めつけるのは、ちょっといかがかなと。つまり、ということは新しい車をつくるわけですよね。つくるということは、そのときに鉄も使うでしょうし電気も使いますし、CO2もより多く出すことになるわけです。何が一番全体的に見て妥当か。極端なやり方ではなくて、経済的手法で中小企業も含めて、そちらを使った方が有利だとか、あるいはそちらの方が合理的だと思われるような手法、インセンティブを使って代替を図るべきだという意味で、強制代替に反対しているということですので、代替すること自体に反対しているわけではありませんので、そこは違うということでご理解いただければと思います。
 
【委 員】 今やはり中古自動車の販売連合会のお話に出たんですが、今問題になった点というのは、もともとリデュースとかあるいはリサイクルとかと言っているのは、そもそも環境のためにそういうことを言っているので、リデュースやリサイクル自体が自己目的ではないと思うんです。そういうふうにおっしゃったと思いますけれども、環境全体の中でどうするのが一番いいかという議論ではないかということで、ちょっとあまり反対の色彩を強くし過ぎているのではないかという気がしまして、それから4番目なんですが、流入規制で疑問があるので反対。それからロードプライシングも上記の理由から反対と。こういうことで、これはそういう理由によって反対ということであって、もしその理由が成り立たなければ反対はされないというふうに理解してよろしいでしょうか。つまり、周辺道路で交通量が増大するとか、あるいは効果に疑問があるとかいうふうなことが書いてございます。そういう理由によって反対するということなんですけれど、その反対理由がもし成り立たなければ反対ではないとというふうに理解してよろしいでしょうか。
 
【日本中古自動車販売協会連合会】 効果があるような仕組みであれば、反対はいたしません。最初に申し上げたのも環状道路をつくるとか、もう少し交通を規制していくんであれば、どちらかに向けるという手法がない限り、入るなと言われても困るんだと思うんです。入る必要があって入ってきているんだと思うんです、今までの人は。それをだめだというだけではなくて、それを、ではこうやって回避しなさいという道をつくってでの規制の仕方であればいいのではないかと思いますが。
 
【委 員】 一つは今の議論のついでに申し上げるんですけれども、中古車販売の連合会のご意見では、これは問題だから反対だとか、こういうことはお願いしたいとかという文言が並んでいます。しかし、そういう業界として何ができるのか、今、環境が非常に悪化していて大変だという、皆さん共通の認識を持っている中で、連合会として何ができるのでしょうかというご提案が全然ないんですね。ぜひ、そういうご提案をいただきたいと思います。これはまたご回答いただければと思いますが、時間がかかりますんで。 それからもう一つ、販売協会連合会さんの方に対してですけれども、世の中の実態として、低公害車がいろいろ出ているんですけれども、やはりそれが売れていないんですね。その売れていないということは、買わないからだということも理屈としてはあるんですけれども、売る立場としてどういうインセンティブとか、制度とか、そういうものがあれば、そういうものが売れるのかということを具体的にお知恵をご提案いただければと思います。各分野から具体的にご提案いただくことが非常に必要だと思います。
 
【日本自動車販売協会連合会】 先ほど今までの取り組みの中で冒頭に申し上げたわけです。大変苦しい中、ユーザーの理解をちょうだいしながらと申し上げましたが、実際、お客様が例えば我々メーカーのつくったものを売るわけですね、CNGだろうがディーゼル車であろうと。ところが、その排ガス規制対策したものは必ず開発コストが上乗せして売らなければいけないと。そうすると、その分が今はちょうどいい例なんですが、この間、あるお客様のところへ行きましたら、何、100万も取るのかと、なんだそれはというんで、いや、開発コストですよと、こう申し上げても理解してくれないんですね。高すぎると、それは景況感の問題も含みます。ですから、こういうものが例えば我々売る側とメーカーと一体でありますけれども、例えばこの間、既に先週出ていましたけれど、私はふだんから持論があるのは、環境保全でも何でもいいから全体もう日本国民全体で薄くてもいいから、消費税的なような環境税でも取り上げて、こんなことを言ったら怒られるけれども、取り上げて、それを重点的に環境問題で最優先しなければいけない業界に補助金として、利子補給だとかそんな生ぬるいのではなくて、助成金としてコストを安く開発を仕組みをやって、ユーザーが一般消費者の方もその恩恵をこうむるような、何かそういうものがないのかなと。何かそういう感じがするんです。これはあくまでも各社各様でこうだというのがありますけれども、やはり日本国が、こうやって環境問題をクリアしていかなければいけないのであれば、やはり一般消費者、例えばスーパーへ行ってコーヒーを買う、買う人は何の関係もなしにコーヒーを買っているけれど、実はそこにディーゼル車で来て、排ガスコストの高い車で運賃取られてやっているわけです。ところが、そういうものの理解というのは消費税と同じように、日本国民が平均して持って、そういうようなところを補助できるような、私は環境対策支援だとか、そういうものが必要かなと。そういうものがないと、我々もメーカーはいいですよ、開発コストで200億かかったとか何百億。ところが我々お客さんのところへ行くと、あなた高いよと言われて値引きされてしまう。結局、経済の循環もよくないし、すべてそういうようなものまで影響してくるということ。
 
【委 員】 ですから、販売のお立場から、どういうことがアイデアとしてあるかというのを、ぜひ具体的にご提案いただきたいと思いますし、先ほどのようなアイデアというのは、私ども低公害車の普及対策をやっていまして出てくるわけです。
 それからもう一つは、代替エネルギーを使わない従来車で認定されたの低公害車でも前倒しになって出てきたり、それから排ガスの一定の基準を満たしたものが出てきているんですけれど、全然売れていないんですね。それは100万円余計かかってしまうという世界ではなくて、わずかなコスト増なんです。そういったものに関する販売のあり方を考えていただきたいと思います。
 
【日本自動車販売協会連合会】 お客さんのところへ、私どもは売る立場ですから、お客さんのところへ行ってもその話になる場合は、やはりいろいろな低公害のやつは高いのではないかという話がすぐ出るんです。これが何か普通の車と同じように出てこないかなということと、それからCNG、LPGでもそうですけれど、やはりスタンドがほとんどないと。例えば東京地区にあっても、地方へ行ってしまうとまるきりないと。そういうようなことも含みながら、対応できるようなインフラ整備をしてもらえないのかなと。例えば今硫黄PPMがありますよね。500PPMを350ぐらいですか、それを50PPMを日本が今度は、アメリカは15PPMで云々でありますけれど、例えばそういうものができたときに、全国一律にそういうインフラの整備があるところならいいけれども、ここは局地対策ではないけれども、首都圏はこうだけれども、よそに行ってしまうとそんなのないと。ところが、そういうもので結局うまくいかないようなことも出てくるのではないかと。いろいろな話が出ているんですけれど、やはりその辺も含んで、それはおわかりになるでしょうけれど、全体についてインフラの問題、買ったときにそういうもののメリットがあるのかないのかだろうと思うんです。私はお客さんの立場でものを言うしかないんですけれど。
 
【委 員】 とにかく具体的な提案を、他に求めるというのは山ほどあるわけですが、そういったことをぜひご提案いただきたいということが主であります。どうもありがとうございました。
 
【委 員】 整備振興会の方にお伺いいたします。今日いただきました資料は、大変インパクトのある資料だというふうに思っております。3カ月の定期点検が半分しかできていないというようなことは、大変私としては驚きですし、またエアクリーナーの清掃または交換で4割ですか、ディーゼル黒煙が低下したというようなことも大変大きなことで、やはりこの辺のPRがとても大事だというふうに思います。
 ただ、ここに対策といたしまして最後のところに書いてありますが、いわゆるもう売ってしまった後の街頭検査の実施だとかということは、基本的には事後措置ではないかと思うんです。予防的な何か措置といいますか、そういうようなものが私は必要だという気がいたします。きょうたまたま販売関係の方がいらっしゃっているもんですから、基本的にはそういう部分との連携で、もっと定期点検みたいなものをしっかりできるような、そういうようなものが必要なのではないかなというふうに考えておりますが、もしアイデアがあるとすれば、どんなアイデアがおありでしょうか。
 
【日本自動車整備振興会連合会】 資料の1ページ目を見ていただければおわかりになると思うんですけれども、予防措置として先ほど申し上げましたけれども、もう30年間にわたりましていろいろな形で定期点検の促進というのを図ってきたわけですが、その点検整備促進対策の中の下から2番目ですが、自動車点検整備促進運動の充実、これは主にマイカーを対象に実施しているわけですが、ここで無料の点検教室等を開催しまして、奥様等が日常点検を専門家に持っていかなくても自分で実施できるように、あるいは構造機能の基本的なことがわかるように、こういうものをもう30年近くにわたって実施しております。こういうことを、さらに促進したいと思っております。
 
【委 員】 非常に残念なのは、30年も一生懸命やっていらして、プロの方たちの実施率が半分だということは、やはりもうちょっと組織的な何かアプローチ、そういうようなものが必要ではないかなというふうに考えますので、またお知恵がありましたらよろしく教えてください。
 
【日本自動車整備振興会連合会】 ありがとうございました。
 
【委員長】 急がせてすみません。本日は自販連さん、自整連さん、中古車連合会さん、お忙しいところご出席をいただきましてどうもありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。
 それでは、次にご説明いただく方のご紹介をさせていただきます。
 全日本トラック協会専務理事さん、それから日本バス協会常務理事さんにおいでをいただいて、早速ですが、全日本トラック協会の方からご説明をお願いいたします。
 
【全日本トラック協会】 全日本トラック協会でございます。本日はお時間をいただきましてありがとうございます。
 私ども我が国のグリーンナンバーの運送事業者、全国で約5万社、トラック台数にしまして日本のトラックという貨物車としての登録台数は1,100万台ございますが、そのうちの100万台を使って輸送に当たっている団体でございます。
 先ほど申し上げましたように、輸送という公共的な使命、これは非常に大事なものでございますが、私どもその使命を果たしながら社会との共生という面で安全対策、それから環境対策、そういうものを重要な柱と位置づけまして、これまで可能な限りの対策を講じてきているところでございます。
 具体的には、自動車NOX 法の特定地域における最新規制適合車への代替の促進のための助成、それからCNG車を中心とする低公害車の導入促進のための助成、共同輸配送の実施など輸送の効率化、アイドリングストップ、あるいはエコドライブの推進など、そういうふうな運動に取り組んでまいっております。また昨年からは、「黒煙のNOキャンペーン」を全国的に展開しています。また本年度からは、NOX のみでなくPM対策の推進の観点から、元年規制車から最新規制適合車へ代替する場合の助成も始めております。 さらに、国の対策技術評価に資するため、東京都トラック協会がいすずセラミックス社製のDPFを、また私ども全日本トラック協会がエンゲルハード社製のDPXをそれぞれ装着しての実走行実験に全面的に協力しているところでございます。
 エンゲルハード社製のDPXにつきましては、なかなか入荷がおくれておりましたんですが、本日午前中に第1号車に装着いたしまして、早速、東京都の環境科学研究所の方に回送して、試験にかかるような手配をさせていただいているところでございます。
 それから中央環境審議会では、年内にも新たな自動車排出ガス対策を取りまとめられると伺っておりますけれども、ご審議に当たって、ぜひご留意いただきたい事項を次に述べさせていただきます。
 最初に、東京都の条例改正の動きなど、各自治体の独自の取り組みが見られますが、自動車環境対策は地域ごとではなく、国が一元的かつ明確に施策の方向を示していただきたいと思います。その際、CO2対策、NOX 対策、さらに新たに出てまいりましたPM対策、どれを優先するのか。あるいはどのようにバランスをとって進めていくのか、ぜひ明確にしていただきたいと思っております。
 私どもはトラックや軽油のいわばユーザーの立場にあります。その意味で自動車工業会及び石油連盟がいわゆる新長期規制車の製造販売と、それに対応した低硫黄軽油の供給の繰り上げを発表されましたことを、私どもも歓迎しているところでございます。
 しかしながら、与党や政府の動きを見ておりますと、最新規制車への代替、イコール買いかえの促進に重点が置かれているように感じるところでございます。お手元に東京都内の営業用トラックの保有車両の状況をお示しした資料を添えております。これはディーゼルだけでございますが、ごらんいただきますように、元年規制車もまだ多く残っております。2年規制、5年規制を含めますと6割ぐらいがまだ元年規制以前の車ということになっております。また初度登録年からの経過年数をお示ししました折れ線グラフも添えておりますが、6年規制いわゆる短期規制車につきましても、まだ年数が経過しておりません。買いかえだけでなく、これらの使用過程車の対策をどうするのか、それが私どもにとって最大の関心事でございます。
 また対策の一つとして挙げられておりますDPFの評価、位置づけ、さらには評価の一つとして装着した場合のメリットなども明らかにしていただきたいと思っております。
 このことに関連いたしまして、審議会のベースになっております自動車NOX 総量削減方策検討会報告の中に、強制代替という言葉が出てまいっております。過去でNOX 法の施行に伴いまして、一度は強制代替を経験しておりますけれども、現在の保有車両はその後の規制に適合させるべく代替してきた車でございますので、再度強制代替を検討されるのでありましたら、その点に十分ご留意をいただくとともに、十分な助成措置への配慮をお願いしたいと思っております。
 また、流入規制やロードプライシングも施策のメニューに挙がっております。私どもといたしましては、環状道路などの道路整備、大都市周辺の物流ターミナルの整備、普及の妨げとなっておりますCNGスタンド不足の解消など、いわばインフラ整備の促進を優先していただき、それとあわせて議論していただくべきであると考えております。
 その際、ここまでトラック依存型が進んでまいりました物流構造のもとで、市民や企業の活動に必要な物資を輸送する事業用トラックと不要普及かつ転移が可能な自家用車と同一に論ずることは避けていただきたいと思います。仮に課金しようとするのであれば、その目的と手段としての有効性も慎重に議論していただきたいと思っております。
 さらに、税制についても提案されておるようでございますが、既に我が国の自動車租税は複雑かつ過重なものとなっております。これらの簡素軽減が先決ではないかと考えております。私ども基本的にこれ以上の重課には反対したいと思っております。
 また軽油とガソリンの税金の格差を是正しようというご意見もございますが、大型トラックにつきましては、現在ディーゼル以外に代替する車がございません。したがって、単なる増税となるだけで、環境対策上、何ら効果はないと考えております。
 最後に税を含めまして、今後新たな施策や規制が示されましても、99%以上が中小企業であります私どもにとりまして、新たな負担に耐える力はございません。輸送コスト切り下げ要求の続いておりますこの不況下の中で、運賃に転嫁することも極めて困難であります。環境対策コストにつきましては、トラック運送事業者のみでなく、物流を通じて受益者であり、ある意味では環境面で加害者とも言える一般市民、企業も含めまして、それぞれが受益に応じて分担できるような施策に期待して説明を終わります。
 ありがとうございました。
 
【委員長】 どうもありがとうございました。続きまして、日本バス協会さんお願いいたします。
 
【日本バス協会】 日本バス協会でございますが、本日はこのようなご説明をさせていただく機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。
 日本バス協会は、現在乗り合いバス約6万台、貸し切りバス3万6,000台、計9万6,000台ぐらいのバスを持ちまして、日ごろの仕事を行っている業態でございまして、現在乗り合いバスで年間約52億人、1日で1,400万人ぐらいの人員を輸送しております。また貸し切りバスも2億5,000万人ぐらいの乗客を輸送しておりますが、乗り合いバスにつきましては、昭和45年ぐらいには100億人の大台を超える輸送人員がございましたので、年々マイカーの普及とともにバスの乗客は少なくなっておると、こういう現実がある事業でございます。
 そのバス事業における環境対策でございますけれども、これまでも大気汚染など環境問題が深刻化しております状況でございますので、バス協会といたしましても環境対策を最重要課題として各種の対策に積極的に取り組んでおるという状況でございます。
 具体的には、そこにも書いてございますように低公害バスの導入ということで、ハイブリットバス、CNGバス、あるいはアイドリングストップ装置付のバスの導入に努めるとともに、特に運転中におけるアイドリングストップなどのエコドライブの徹底を図っておるということでございます。特に昨年11月を日本バス協会といたしましては、初めて全国的なエコドライブ強化月間を設定をして、全国のバス事業者が軌を一にしてエコドライブに取り組んでおるという状況もございます。
 ただ、環境問題としてバスを考えましたときに、(2)で書いてございますが、環境改善の推進のためには、公共交通機関の利用促進による自動車交通総量の抑制というのがご承知のとおり強く求められておる中でございまして、そのためには、やはり利用しやすいバス、皆さんに乗っていただけるバスというものを目指さなければいけないということで、乗りやすいノンステップバスの導入でございますとか、あるいは共通カードや環境定期券の発行など、さまざまな対策にも取り組んでおるところでございます。あるいはお聞き及びだとも思いますけれども、最近では100円玉一つで乗れるバスというのも各地で展開をしておりまして、さまざまな努力によりましてバスに乗っていただく人をふやすという運動も活発にやっておるところでございます。
 このような中におきまして、これから環境対策を推進される中で、バスをどういうふうにしていくかという問題がございますが、特に先ほども申し上げましたように、道路交通における大気環境の改善を図るということのためには、やはり環境にやさしい交通体系の形成という面で、公共交通機関の利用促進による自動車交通総量の抑制ということが大変重要な問題になってくるわけでございまして、それによって交通流の円滑化を進める。そのことが基本的に重要なことだと考えております。
 この点でバスの役割は非常に重要だと考えておりまして、先ほども申し上げたようにバスの利便性を高め、自家用自動車からバス利用への転換を図る各種施策をとっておるわけでございますけれども、従来のそのような施策以上に、これまでの対策から一歩踏み出していただきました都市部におけるバスの走行環境の整備ということが必要であろうかと思います。後で申し上げますけれども、そういう意味では自動車の流入規制等の交通総量抑制対策につきましても十分にお考えをいただくということをお願いをいたしたいというふうに考えております。
 そのような観点から、自動車NOX 総量削減方策検討会の報告書における施策のオプションにつきまして、以下、3点につきまして要望をいたしたいと考えておりますが、一つは先ほども申し上げましたように、都市部への自動車の流入規制等、自動車交通総量抑制対策について、これをいろいろな面で推進をしていただきたいということをお願いをいたしたいと思います。
 それから2番目といたしまして、一定台数以上保有する事業者に求められる低公害車導入計画の作成でございますとか、排出ガス量に応じた課税でございますとか、軽油とガソリンとの価格差の是正という問題が取り上げられておりますけれども、これは大気汚染防止対策の先ほどから申し上げておりますような、重要な担い手でございますバスの利便性を大きく奪う結果ともなりかねないという施策というふうに考えております。具体的に申し上げますと、低公害車に買いかえといいましても、現時点では非常に低公害車そのものが高価であるという点がございます。普通の路線バス1台1,500万円ぐらいに比較いたしまして、低公害バスは2,300万とか2,500万とか、5割以上高い状況になっておるわけでございまして、非常に高価だということもございますし、それから大型バスにはディーゼル車以外の現実的な代替手段がないという点がございます。これは先ほどもトラック業界の方からもお話がございましたが、そういう問題がございまして、税を上げるということは即運賃値上げにつながるだけでなくて、環境対策として本当の意味での効果があるのかというふうな点もございます。これらの点について、ひとつ慎重な検討をお願いをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。 それから、次のページに移らせていただきますけれども、(3)で車種別規制の強化についても取り上げられておりますけれども、実はバス車両の価格は先ほども申し上げましたように、非常に高価であるという、1台普通の車でも1,500万という大変高価な車であるということとともに、バスの使用年数も実はバスの平均使用年数の推移の表を差し上げてございますけれども、年々増加をしておる状況でございまして、現在、平均の使用年数は141年ということになってございます。これは10年間で06年ぐらいふえているということになっておりまして、そういう意味から規制強化車への代替は極めてバス業界にとっては大変困難な問題であるというふうに考えております。実は、若干泣き言を申し上げるようでございますけれども、例えば今路線バスの経営につきまして申し上げますと、1兆円弱の売り上げ、年間1兆円弱の売り上げに対しまして、1,100億円の赤字を業界全体で出しておると、こういうふうな状況がございまして、赤字にまみれた業界でございます。したがいまして、これ以上の経費の増高には到底耐え得ない事業をやっておるところであるというふうなこともお考えをいただきまして、いろいろな面で慎重な検討と十分な支援策の確立を、ぜひお願いをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
 以下、参考といたしまして、先ほど申し上げましたバスの保有状況でございますとか、低公害バスの導入状況、あるいはバス輸送の特色で大変一人当たりエネルギーの少ない量でバスは人を運ぶことができるというふうな比較表でございますとか、バスの使用年数の推移、それからこれはトラックの方でも出てまいりましたけれども、東京都における乗り合い自動車の現有の自動車の規制年次の状況等を出してございます。
 以上でございますが、ひとつよろしくお願いをいたします。
 
【委員長】 どうもありがとうございました。ただいまのトラック協会さんとバス協会さんの説明につきまして、ご質問などお出しいただければと思います。
 
【委 員】 両協会さんにお伺いしたいんですが、燃費とか、それからあと排気ガスのことなんかいろいろ考えますと、NAよりもターボインタークーラー付のエンジンの方がいいのではないかというような話もご承知とは思いますが、ユーザーの方としては、そこら辺はどういうふうにお考えなのか、ちょっとお聞かせいただきたい。
 
【全日本トラック協会】 現在のところ敏感に燃費だけで動いているわけではございませんけれども、やはり一番新しい技術で安定しているもの。それで手のかからないもの、それが一つの選択肢になっていると思っております。ですから、どちらかといいますと理屈で言うよりも、トータルのコストの安い車、それをねだっているというか、そっちへ動く傾向にあるのは否めないと思います。
 
【日本バス協会】 バスといたしましても、トラックのご意見と同様でございますけれども、つけ加えまして、そういう新しいいい車が出てきた場合にも、先ほど申し上げましたように、なかなか買いかえていくような、経済力がないというのが、私どもの見解となっております。
 
【委員長】 これはちょっと私の方からですが、保安基準と環境の関係は、もう全く別な話ですか、それとも若干関連があるんでしょうか。
 
【全日本トラック協会】 私どもにご質問ということでございましょうか。どうお答えしていいのかわかりません。一応、私どもNOX 法あるいは大気汚染防止法に基づいて、それが道路運送車両法の保安基準に移しかえられて、それに適合していなければ新車登録ができないという、これが規制の流れに沿って、我々買いますときには、そのときの法律といいましょうか、法令に適合した車を買ってまいっておりますので、そういう意味では環境対策を踏まえた保安基準を一体のものとしておりますし、それからもう1点は、先ほど申し上げましたように保安基準とは全く別に、例えばCNG車でございますとか、そういうものは保安基準とは別な話でございますから、排ガスのできるだけ少ない車があるものは、そちらを使おうというふうには考えております。
 
【委 員】 乗り合いバスと貸し切りバスであわせて9万6,000台というお話ですね。これは民営と公営と分けますと、どれぐらいの比率になるんでしょうか。
 
【日本バス協会】 申しわけございませんが、民営と公営の比率はちょっと資料として持ってきておりませんので。ただ、貸し切りバスにつきましては、今公営はほとんどやっておりませんので、3万6,000台のうちの大部分は民営のものであると、こういうふうにご理解をいただきたいと思います。
 
【委 員】 いや、先ほどと代替する際に、いろいろ経費的な問題、大変だというあれがあるわけですが、公営バスと民営では、またその対応の仕方も違ってくるかと思いまして、どの程度の割合なのかなということをお伺いしたかったんですが。
 
【日本バス協会】 申しわけございません。ちょっと資料を持ち合わせておりませんので、申しわけございません。
 
【委 員】 トラック協会さんにご質問ということなんですが、先ほどのあれですと1,100万台のうちの100万台が皆さんの、私の理解では大規模な運輸事業者ということになっていると。ということは、残りの1,000万台についての対応について、ほぼ同じような考え方で対応していいのか。何か特徴的な問題があるのかどうか、ちょっとその辺についてコメントがございましたら、お願いします。
 
【全日本トラック協会】 先ほど申し上げましたように、私どもグリーンナンバーの、いわゆる事業用、許可を得た車の団体でございますので、私どもが自家用車についてどうこうというのは、なかなか言いづらいんですが、一つ私どもの立場から申し上げますと、私どもの会員、先ほど5万社、100万台と申し上げました事業者数にしろ、車の台数にしろ、ほとんどが私どもの会員でございますので、私どもは運輸省からの指導を受けている団体でございますから、したがって、何らかの方向が示されれば、それに対して団体として、やはり会員に対する指導をきちんとやっていきたいと思います。その辺が自家用車さんの場合どうなるのか。その辺が私どもから見ると心配なところでございます。
 ただもう1点申し上げますと、先ほど台数比で申し上げましたんですが、逆に輸送トン数で言いますと、自家用が542%、営業が458%。これをさらに輸送トンキロに伸ばしますと、営業用が772%、つまり少ない台数でかなりのトンキロを負担しているということでございますので、そういう意味で排ガスへの寄与度を私どもはやはり大きいものと自覚して対策に取り組みたいと、そういうふうに考えております。
 
【委員長】 よろしゅうございますか。ご発言はないようでございますので、ここでトラック協会さんと、バス協会さんにわざわざご足労いたただきましたことを厚く御礼申し上げます。
 どうもありがとうございました。
 それでは、議事の3のその他に移りたいと思います。事務局の方から説明をお願いいたします。
 
【自動車一課長】 資料10をごらんいただきながら、今後の小委員会の日程についてご案内を申し上げます。
 次回は6月26日、ヒアリングを引き続きということで、次回は10時から12時、地方公共団体からのヒアリングで東京都、愛知県、大阪府の3団体を予定しております。
 その後、第5回目の小委員会が7月7日、10時から12時ということで、このときにはNGOからのヒアリングを予定しております。
 以上でございます。
 
【委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、本日予定をしておりました議題のすべてを終了いたしました。
 本日の会議は、これで閉会としたいと思います。
 どうもありがとうございました。