過去の議事録

中央環境審議会 第4回大気・交通公害合同部会議事録


1.日  時   平成12年12月19日(火) 16:00〜16:40

2.場  所   虎ノ門パストラル 橘の間(新館6階)

3 出席者

(部会長)池 上 詢
(委員)浅 野 直 人伊 藤 桂 子
今 井 通 子入 山 文 郎
大 野 進  一岡 田 清
加 藤 勝 敏櫻 井 治 彦
塩 田 澄 夫杉 浦 正 行
常 俊 義 三松  原  純  子
谷田部 雅 嗣
(特別委員)宇 野 則 義恩 田 怡 彦
香 川 順米 澤 敏 夫
猿 田 勝 美大 聖 泰 弘
永 田 勝 也西 山 紀 彦
林    裕 造山 下 充 康
横 山 長 之
(五十音順)
(事務局)大気保全局長企画課長
自動車環境対策第一課長
自動車環境対策第二課長 他

4 議 事

(1)今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について(報告案)
(2)その他

5.配 付 資 料

資料1  中央環境審議会大気・交通公害合同部会委員名簿
資料2  自動車排出ガス総合対策小委員会委員名簿
資料3  今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について(報告案)
資料4  「今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について(最終報告案)」の意見とそれに対する考え方
資料5  中央環境審議会第3回大気・交通公害合同部会議事録


(参考資料)
参考資料1−1  名古屋南部公害訴訟(第1次)第1審判決概要
参考資料1−2  尼崎公害訴訟和解概要
参考資料2  平成13年度環境庁関係税制改正の結果について
参考資料3  環境基本計画

【自動車一課補佐】 それでは、定刻を過ぎましたけれども、ただいまから第4回の大気・交通公害合同部会を開催させていただきたいと思います。
 本日は、合同部会委員数44名のうち、25名の委員の出席が予定されております。まだお見えでない方もいらっしゃいますけれども、おくれるというご連絡をいただいておりますので、また既に会議の開催要件は満たしておりますので始めさせていただきたいと思います。
 会議に先立ちまして、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第に続きまして資料一覧がございます。
 資料の1は、いつもお配りしております合同部会の委員名簿でございます。資料の2は、小委員会の委員名簿でございます。資料の3が、今回とじております「今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について(報告案)」という冊子がございます。これには参考資料と称するものもつけております。またさらに、前回、中間報告に対するパブリックコメントをいただいたときもそうだったのですけれども、最終報告案に対して意見をたくさん今回もいただいておりまして、それをとじたものが資料の4、最終報告意見募集についてまとめた紙とそれぞれの個別の意見そのものをコピーさせていただいております。個人の方の固有名詞を省略してコピーさせていただいています冊子と2種類入れさせていただいております。資料の5は、前回の大気・交通公害合同部会の会議録でございます。続きまして参考資料といたしまして、参考資料の1−1、名古屋南部公害訴訟第1審判決概要というものと、参考資料の1−2、尼崎公害訴訟和解の概要というもの、参考資料の2が平成13年度環境庁関係税制改正の結果について、参考資料の3は先日の企画政策部会等で承認されました環境基本計画の冊子でございます。
 資料は以上でございます。
 過不足等ありましたら事務局の方にお願いしたいと思います。
 それでは、議事は池上部会長にお願いいたします。

【池上部会長】 本日は、大変お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。若干、時間がおくれましたが、1時間以内で終わらせていただきたいと思っております。
 それでは、早速でございますが、議題に入りたいと思います。
 議題1の今後の自動車排出ガス総合対策のあり方(報告案)についてですが、事務局から説明をお願いいたします。
 説明に際しては、今後の自動車排出ガス総合対策のあり方(最終報告案)に対する意見とそれに対する考え方を参照としながら、特に前回の最終報告案との違いを中心に説明をしていただきます。
 また、報告とも関連いたしますところの大気訴訟についての最近の動きについてもあわせて説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【自動車一課長】 それでは、ご説明を申し上げます。
 資料で言いますと、3番が最終報告案でございます。それから、それとあわせて参考資料ということで分厚いものが印刷をしております。資料の3につきまして、特に前回、部会で11月13日にご議論いただいた後、修正した点を中心に概略だけご説明を申し上げます。
 1ページ目と2ページ目のところの、前回お話をしましたところは、11年度データの扱いにつきまして、今井先生ほかから何か一番最初に出てくるといかにもデータを最初から選別しているようなニュアンスが強いので、データについては後の方に落として、11年度の書きぶりについては書き直すということで、この1ページで申し上げますと、下から5、6行目、7、8行目あたりのところでございます。なお書きにしておりまして、「なお、最新のデータである11年度の測定値によると、11年度の環境濃度は前年度より減少している」というくだりを書き加えて、前からこれを直しております。それから、2ページの方も同様なことがございまして、浮遊粒子状物質につきまして、最初のパラグラフの3行目以下、「なお、11年度データの環境濃度は、同様の改正が見られる」というふうなことを書いております。これはデータの裏づけがあるということで、参考資料の方ではそれを踏まえて、11年度の棒グラフを1ページ、それから2ページの方では年平均値の数字も11年度を補っておりますが、参考資料の3ページをちょっとごらんいただきますと、平成9年から12年度にかけまして4月から8月までで、総合比較のできるデータを出しておりまして、11年度は非常に濃度の改正が見られたけれども、12年度におきましては、10年度あるいは9年度の水準にあるというふうな補いをしております。同じことがSPMにつきまして、6ページ、7ページ、それから8ページをちょっとごらんいただきますと、12年度のSPMの測定データにつきましては、11年度に比べますれば、10年度あるいはそれ以前の年度の濃度に基づけるということでございまして、11年度のデータの扱いにつきましては、この本文中では、原則、分析は10年度のデータを中心にして行うということの説明をここで加えております。
 以下、1章につきましては、基本的には特段大きく手を加えたことはございません。
 2章の5ページ以下、自動車排ガス対策の実施状況と評価ということで、これまでの対策の評価を数字的な分析も含めてずっと書いてございますけれども、全体のトーン、それからここのデータの扱いにつきましては、これも基本的には11月13日にいただいたご議論と大きな変化はございません。
 13ページのところをごらんいただきますと、粒子状物質対策の実施状況と評価というところがございまして、ここでは、前回までは尼崎訴訟の判決が出されて国が控訴したというくだりだけを入れておりましたけれども、その後、11月末に名古屋南部訴訟の判決が出ました。場所で言いますと、この13ページの下から約10行目あたりでございますが、「さらに、同年11月27日には、名古屋南部公害訴訟においても、浮遊粒子状物質による沿道住民の健康被害に対する国の損害賠償責任と大気汚染の差しとめ請求を認める判決が出された。それから、尼崎公害訴訟については、12月8日に損害賠償請求につき当事者間で和解が成立し、差しとめ請求については原告が請求を放棄して、国及び阪神高速道路公団として尼崎地域における大気汚染改善に向けた対策を進めることとされた」というくだりを書き加えております。これが前回以降の大きな変更の一つでございます。
 3章、15ページ以下にまいります。今後の自動車排出ガス総合対策のあり方につきましても、基本的には前回とほぼ同じ流れをとっておりますが、ページ数で申し上げますと、22ページのところでございますが、特定自動車排出基準の強化という部分がございます。ここは、ディーゼル乗用車を車種規制の対象に加えるというくだりの叙述でございます。21ページの下の方から前回ご紹介いたしましたけれども、温暖化対策の貢献の可能性ということも勘案して、ディーゼルエンジン技術と将来の発展の可能性を勘案した車種規制を考えるべきであるということがございまして、後からご説明をいたしますが、これにつきましてパブリックコメントを求めたところ、22ページの特定自動車排出基準の強化という項目の第2パラグラフのところで、ディーゼル車について、ガソリン車代替が可能な車両区分では、ガソリン車代替が必要となるレベルに特定自動車排出ガス基準を設定するというふうなストレートな書き方で、前回11月の部会でご紹介いたしました。これでやりますと、いかにも一律にガソリン車代替を決めつけてしまうというふうな趣旨が強く出てしまいますので、ここでは将来的な技術の進展により、ディーゼル車で達成可能となるレベルを勘案しつつ、当面はガソリン車の代替が必要となるレベルというふうな書き方に文章を補っておりまして、ディーゼル車につきましては、将来的な可能性を残しつつ、しかしガソリン車に準ずる、あるいはそれと同等の努力を求めようというふうな姿勢をはっきり書いております。
 同じ22ページのこの節の最後のところ、なお書きが2行加わっておりますが、「規制基準の強化等に当たり、車両の買い替えに伴う経済的な負担を軽減し、買い替え等の対策を促進するため、助成措置等について可能な限り充実する」という文章を加えております。
 それから、少し飛びまして30ページのところでございまして、浮遊粒子状物質総合対策・調査研究の推進というところでございまして、これは、実は前回の部会で猿田先生からご指摘のあったところでございますけれども、ディーゼル排気粒子についての健康影響につきまして、前回は発がん性のおそれがあるというふうな漠然とした言い方でありましたけれども、ここはそれ以前の表現と平仄を合わせまして、発がん性を有していることが強く示唆されていることから、予防原則の立場に立って政策を進めるというふうなことを書き加えております。
 それから、この同じパラグラフの一番下のところで、PM2.5の監視測定体制のところにつきまして、「本格的な調査研究を推進するとともに、国と地方自治体が連携して」というくだりを加えて、これも猿田先生のご指摘を踏まえての修正ということでございます。
 前回以後の修正を加えた箇所は、基本的にはそこでございます。それから、参考資料につきましても、それに合わせた図表の若干の修正をご紹介いたしました。
 資料の4で最終報告案に対する意見募集についてのまとめの紙をつくってございます。最終報告案が11月13日以降、パブリックコメントで出されまして意見が寄せられました。42件が今回寄せられた意見の総数でございます。このうち自治体が四つ、愛知県、それから首都圏の7都県市、千葉市、川崎市が四つ、それから団体といたしまして、日本自動車工業会とか、自動車会議所あるいは欧州の自工会・EU、それからトラック協会・バス協会、さらにはNGUの公害地域再生センター等々、団体数で言うと20の団体からご意見が寄せられております。これ以外に個人の方から18件ございます。名前も表面から見ているだけですが、男性と思われる方は16名、女性がお二人ということでございます。それを基本的には答申の章別に整理をして全体をまとめたものがこの資料4の紙でございまして、裏表紙をごらんいただきますと、意見の概要が大体ごらんいただけるかと思います。特にご意見が多かったのは、今後の自動車排出総合対策のあり方というところで、基本的枠組みとか、あるいは車種規制のあり方につきましてのご意見、それから低公害車の普及等についてのご意見等々があったということでございます。その他も結構、これはいろいろなものが入っておりますが、いっぱいここに集めたわけでありますけれども、多かったということであります。若干かいつまんで少しだけご紹介をいたします。
 1ページ目のところに名古屋南部訴訟、あるいは尼崎公害訴訟についての経緯を触れるべきだというご指摘がありまして、これは先ほど申し上げましたとおり本文中に入れ込んでおります。
 4−2ページというふうに枝番になっております、恐縮でございます。ディーゼルエンジンにつきましての、先ほどちょっと直したところとも関連いたしまして、ディーゼル車についてのエンジンの将来的な有望性があるので、排出基準を設定すべきである。あるいは乗用車をそもそも規制対象とするのは反対であるという意見と、他方でディーゼル乗用車も新たに対象にすることに賛成であるという意見がございます。それから、中古型ディーゼル車については、ガソリン車への代替を促進するために、ガソリン車並の基準とすることに賛成というご意見があります。基本的には、さっき申し述べたとおりでございまして、ディーゼルエンジンの今後の発展を著しく狭めない限りで、しかしPM対策に最大限の効果が得られるような方向を出したいということで、文意を明確にするための説明を加えたということでございます。
 それから、次の5ページ目のところもちょっとごらんをいただきたいと思いますが、ここでは使用過程車の猶予期間につきまして、これは猶予期間を短縮すべきだという他方、自治体を中心とするご意見と、それからトラック・バスの猶予期間については、近年の使用年数が延びているということを勘案して延長すべきであると両方の意見がございました。基本的には、猶予期間につきましては、短縮ということが必ずしも直ちに対策の推進につながらない部分もあると。他方で延ばすということを考えるのは、なかなか緊急の対策を求められていることからちょっと難しいという報告がありまして、今の答申の最終案でございました現状の考え方、それから原則として現行制度を同等とするという表現になっております。それを主として今後対策、それから車種規制の中にも具体化の中で検討していこうというふうな表現にしております。
 低公害車の普及・促進につきましては、さまざまなご意見、特に優遇的な措置でありますとか、いろいろな施策の充実を求める意見が多く出されておりまして、それも今後の対策の充実の中に生かしていきたいというふうにこのコメントではくくっております。
 それから若干飛びますが、9ページをごらんいただきたいと思います。9ページのところではDPFについての技術評価と今後の方向性についてのご議論がございまして、DPFの技術開発の促進、あるいは装着をもっと積極的に支援すべきである。それから、さらには装着の義務化ということも打ち出すべきだということが書いてございますけれど、ここは7月来、その技術的な評価を踏まえた書きぶりで、基本的にはすべてのディーゼル車についてDPFの義務づけというのは難しい、現状では技術的には難しい面があるけれども、今後の可能性というものはあるので、効果の優れたDPFの装着をインセンティブを与えて進めるということと、今後の認定制度の創設を含む技術開発の促進ということを本文中にうたったというふうに整理をいたしております。
 それ以外にその他のところでも随分整理をいたしましたけれども、さまざまなご意見が寄せられておりまして、すべてごらんになると若干不十分があるとか、あるいはすべてフォローし切れていないというご批判もあろうかと思いますけれども、基本的にはそういうことで整理をさせていただいております。もし、さらに先生方のご意見があれば後で、これはどっちみちパブリックコメント自体、答えということでホームページ上も公開をいたしますので、もしご指摘、お気づきの点がございましたら後ほどご指摘をいただければというふうに思います。
 以上が非常に簡略でございますけれども、報告案及び寄せられたパブリックコメントに対する整理の紙の説明でございます。

【企画課長】 それでは、続きましてごく簡単に参考資料の1−1と1−2で、名古屋南部の公害訴訟の第1審の判決の概要、それから尼崎公害訴訟の和解の概要につきましてご説明をさせていただきます。いずれも新聞紙上などで報道されておりまして、概略は既にご承知かと思いますが、簡単にそれぞれ1枚の紙を用意いたしましたので、ポイントだけご説明をさせていただきます。
 まず、参考資料1−1の方でございますが、名古屋南部公害訴訟、これは11月27日に名古屋地方裁判所で判決が出されました。争点といたしまして、請求の趣旨は2番目の損害賠償請求と差しとめ請求でございますが、その前提といたしまして、企業あるいは道路の設置に関して疾病との因果関係があるやなしやという点について、1の一つ目の丸でございますが、企業、これは工場でございます。工場につきましては、36年から53年までの硫黄酸化物による大気汚染と健康被害の因果関係を認めております。
 それから二つ目の丸でございますが、道路の設置につきましては、国道の23号について、昭和47年の開通以降、現在に至るまでの自動車排出ガスによる沿道汚染と、沿道20メートル以内に居住する住民の方の健康被害との因果関係を認めるという裁判所の判断になっております。
 損害賠償につきましては、企業に対しては、ここにありますような額の損害賠償の支払いを命じたということ。それから、国に対しては、これは道路の設置責任ということで、総額1,800万余りの損害賠償の支払いを命じております。
 なお、3番目の差しとめ請求についても、SPMにつきまして一日の平均値0.159r/‰を超える汚染をしないようにという意味の差しとめの請求を認めております。なお、この訴訟につきましては、国といたしましては、関係省庁と協議の上、控訴の手続をとっております。
 それから、参考資料の1−2でございます。これは、ことしの1月31日に尼崎の公害訴訟の判決が出まして、その後、国・原告側、双方が控訴をして大阪高等裁判所に継続をしておりました案件でございますが、今月8日に和解が成立をしております。
 これにつきましては、和解の全体の、どんなことを国がやっていくかというのが2の和解条項ということで個別に書いてございます。これはいろいろ対策が書いてございますけれども、基本的には、国としてはこの地域の環境改善のためにでき得るさまざまな対策をきちっとやっていこうということが書いてございます。
 その前提といたしまして、前文の概要というのが1のところで書いてございますけれども、その和解に至る双方の共通の認識ということで、原告らを初めといたします認定患者の方が認定疾病に現在も苦しんでいること、あるいは環境基準を上回る汚染実態が現在も続いているということ、あるいは国が環境改善の施策に努力をしていること。さらに、本件の争点、名古屋の場合でもそうですけれども、裁判所で争点になりました自動車排出ガスと原告の方々の疾病の発症増悪の因果関係につきまして、人への健康影響の可能性については無視できないが、本件で問題となった非発がん影響については、なお解明を要する課題であると考えるというような記述が載っておるところでございます。
 なお、一番下の3行にありますが、差しとめ請求もこの裁判では求めておったわけでございますけれども、差しとめ請求につきましては、和解の対象とはしておりませんけれども、別途、差しとめ請求を放棄するという形で処理をされております。
 それから、和解条項の一番最後、5のところにございますが、損害賠償請求につきましても放棄ということで和解の内容になっております。
 以上、簡単でございますが、裁判関係のご報告とさせていただきます。

【池上部会長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、ご質問・ご意見をお願いしたいと思います。
 本文そのものは前から何回も見ていただいておりますので、そんなに文言自身は大きな訂正は要しないかと思いますが、何かご意見ございましたらよろしくお願いします。

【大聖委員】 22ページの上から10行目ぐらいのところの「ディーゼル車について」というこの一文でありますが、これはちょっとわかりにくい表現ではないかなというふうに思います。といいますのは、「ガソリン車代替の可能な車両区分では、将来的な技術の発展によりディーゼル車で達成可能となるレベルを勘案しつつ」、この「レベル」というのは何のレベルなのかというのが不明確なんですね。これは単体規制のレベルなのか、あるいは特定自動車の排出基準にかかわるレベルなのか。むしろこれは後でなお書きか何か直された方がわかりやすいような気もいたしますが、いかがでしょうか。

【自動車一課長】 ここは、特定自動車排出基準の強化ということがそもそもの論じていることの対象でありますから、基本的には車種規制、特定自動車排出基準を考える際に達成可能なレベルということで、しかしそのまた前提は大聖先生ご存じのとおり、大気汚染防止法に基づく自排ガス基準でどこまでいっているかということがベースでありますから、どちらかといえば、それを両方あわせて達成可能となるレベルということをあわせて考えているものであります。そこは、「将来的な」というふうに言いましたのは、当面、方向が決まっています新長期まで勘案して、そこまでのことをにらんで対策の強化という方向が出されて、それを頭に置きつつ、当面はガソリン車の代替が必要となるレベルというふうに言っておりまして、これは、今、現時点ではガソリン車と全く同等のレベルまで来ておりませんので、当面、対策をするとすれば、ガソリン車代替が求められるレベルで設定をするというふうな流れになっているということであります。

【大聖委員】 そうしますと、この裏には、将来はガソリン車と同じようなレベルになれば、そのときは考えましょうという、そういう……。

【自動車一課長】 そうです、裏返せば。

【大聖委員】 あるいは、私は技術的に非常に難しいと思いますね、そのことは。個人的には、後処理とか、将来を含めましても。だから、CO2との関係でそれを妥協する余地があるのか、それは認めないのかというようなところまで議論がいくのかいかないのか。これは将来というふうに少しニュアンスを持たしているのは、いいのかなというふうにもとれますけれど。

【自動車一課長】 基本的には、今、先生が今おっしゃったとおりで、将来の技術開発の目をできるだけ摘まないで、少なくともしかし問題とされている大都市の大気汚染というレベルで考えた場合には、ガソリン車と同等なやはり努力が求められるということは、健康影響の観点からは外せないということで、それを前提にしつつ、しかし将来的には技術の進展を見込んで考えていこうということであります。

【池上部会長】 よろしゅうございますか。
 ほかにございませんでしょうか。
 もしもご意見がなければこれを部会報告とさせていただきたいんですが、ご了承いただけますでしょうか。
 (異議なし)

【池上部会長】 ありがとうございました。
 それでは、本報告につきまして、森嶌会長の決裁を得まして本日中に中央環境審議会会長から環境庁長官に答申させていただく予定にさせていただきます。
 それでは、次の議題、議事2、その他についてを議題とします。
 平成13年度環境庁関係税制改正の結果についてということで、よろしくお願いします。

【企画課長】 それでは、お手元の参考資料2をごらんいただきたいと思います。
 環境庁関係税制改正の結果についてという表題になっておりますが、10年度の税制の改正につきましては、与党の税制調査会及び政府税制調査会で来年度の税制をどう改正するかという議論がなされたところでございます。その結果、自動車関係につきまして、この紙でご報告させていただきますような税制改正というのが一応認められたということでございます。
 3点ございまして、(1)は、今、この審議会でもご議論いただいております自動車NOx法の改正に係る措置、本日のおまとめいただきました答申をもとに自動車NOx法の改正作業を今後やっていくわけですが、それに伴いまして、この中にも入っております車種規制に伴う車両の代替、これにつきまして自動車取得税の軽減措置を講ずるということでございます。点線の四角で囲っておりますのは、特定地域内におきまして、NOx法の改正後に、公布後におきまして、年度を区切っておりますが、14年度末まで、それから15年、16年以下、19年、20年までございますが、そういった形の自動車取得税の軽減措置をとると。23%の軽減から12%の軽減まで、階段上に軽減の割合は低くなっていくわけですけれども、一応その車種規制による強制代替を支援するといいますか、強制代替の軽減という意味での税制の措置が認められております。
 (1)の二つ目の丸でございますが、これは特定地域外においてもこういった車種規制に当たるような車については、代替を促進することが望ましいという観点から、この報告の中でも特定地域外についても対策を講ずる必要がある旨の記述があるところでございますが、そういったところも受けまして、特定地域外におきましても、率は低いといいますか、軽減の度合いは薄くなってはおりますけれども、取得税の軽減措置0.5%というのを新たに設けるということが認められております。
 それから(2)でございますが、これは自動車税の環境負荷に応じた税負担の考え方の導入ということで、自動車税につきましては、従来、排気量に応じて税負担をお願いしているわけでございますが、その排気量だけではなくて、排出ガスあるいは燃費に関する性能のよいものについては自動車税を軽くし、悪いものについては重くするという観点を取り入れようということで、世情、自動車税のグリーン化というような形で話題になっておった部分でございますが、税制改正の議論の中で、こういう二つ目の四角で囲ってありますような内容で一応認められたということでございます。
 まず、重課につきましては、排ガス性能が劣ると思われる古い車、これも規制年次で切るという考え方もございますけれども、燃費も含めてなおかつ納税者にわかりやすさという点も一方では税制上の要請としてございますので、ディーゼル車については11年超の車両、ガソリン車については13年超の車両につきまして、おおむね10%の重課をお願いするということでございます。一方、軽課につきましては、低公害車あるいは、星三つというのは下に注が書いてございますが、排出ガスの値が最新規制値に比べまして75%低いものは星三つ、50%低いものは星二つ、25%低いものが星一つということで、これは低排出ガス車の認定制度というものを環境庁が定めました基準にのっとりまして、運輸省の方で認定制度というのを既にことしの4月から実施をしております。その認定によって認定された車であることということですが、排ガスの性能だけではなくて、燃費も低燃費であるいう二つの要件を加えて自動車税を50%軽課する、あるいはその半分25%、さらにはその半分13%というような自動車税の軽減措置を講ずるというものでございます。なお、軽課につきましては2年間という措置でございます。
 それから、(3)その他の低公害あるいは低燃費に係る措置ということで幾つかございますが、一つ目の丸に書いてございますのは、最新の排出ガス規制、現在のといいますか、今後、施行されます新短期規制の適合車を早期に取得した場合の取得税の軽減措置、あるいは二つ目の丸は、低公害車ということでここに書いてございますような4種類の車の取得税の軽減措置の期限の延長、さらには、三つ目は、低燃費車につきましても対象を若干見直した上で、つまり排ガス性能も加味した基準とした上で期限を延長するというような税制の特例措置が認められたところでございます。
 以上でございます。

【池上部会長】 ありがとうございました。
 これは結果の報告なんですか。では、もうこれが施行されるというか、実施されることになるんですね。わかりました。

【企画課長】 今、ご説明しました内容は、来年の1月末から開かれます通常国会におきまして、税法関係の法律を改正して実施をされるという運びになっております。

【池上部会長】 わかりました。
 それでは、ご質問・ご意見等をお願いいたしたいと思います。

【浅野委員】 先ほどの訴訟についてのご説明をいただいたのですが、名古屋南部訴訟で差し止めを命じる判決がまた出たわけですね。今回の判決は、資料には書いてないんですが、原告のうちの1人についてだけ差し止めを認定したということでありまして、理屈から言えば、その原告と被告の間の当事者の間にのみ既判力が働きますから、極端に言えば、そのお一人の方に手厚くお住まいの移転の費用でも払えばそれで済んでしまうという性格のものではあるわけですが、判決そのものが持っている社会影響は大きいわけです。心配しておりますことは、このような差し止め命令が道路管理者に対するもの差し止めが出されたというとらえ方をしている人が多いんですけれども、裁判所は明らかに国にと言っているわけで、道路管理者が全責任を負わなければいけないと言っているわけではないのです。国にというときには、環境庁も問われているということを環境庁はどのぐらい真剣に受けとめていらっしゃるのでしょうか。あるいは警察庁も当然国の中に中に入っているわけで、形の上で責任省庁として損害賠償をどの省庁の予算から出すかという問題とは違うわけです。環境庁としても今後検討することになると思いますが、ぜひ環境庁としても責任があるということについて明確に意識をされ、環境庁の施策の中で最大どこまでできるんだと、あるいはどこがやりたくてもできないんだということをはっきりと言っていただいて、制度を充実するという方向で頑張っていただきたいと思います。これは要望です。お答えは要りません。

【池上部会長】 貴重なご意見をありがとうございました。
 ほかにございませんでしょうか。

【今井委員】 自動車に起因する大気汚染、地球温暖化への対策の買い換えはいいんですけれども、4月からでしたか、リサイクル法にかかっているのかどうかわからないんですけれども、買い換えたもとの古い車は行き先がどうなるのかをちょっと教えていただきたいと思います。

【企画課長】 まず、リサイクル法の4月からと言いますのは、家電製品につきまして、来年4月から家電リサイクル法という法律が施行されますが、自動車につきましては、当然、リサイクルの要請といいますか、非常に廃棄物としても処理に苦慮している部分もございますので、これは、現在、自動車リサイクル法というものを検討しようという動きはございます。まだ具体的に、では次の国会に法律を出すというところまでは至っておりません。では、実際どうなっているのかということにつきましては、年間、日本では500万台ぐらいの新車が売れ、一方、それに近い数字の車両が廃車といいますか、ただその中には一部外国へ輸出されているものもございまして、日本で全部それがごみになっているわけではございませんけれども、廃棄の増設といいますか、通常は自動車解体業者のところで解体をされると。部品を使えるものはとって再度リサイクルへ回して、この自動車部品のリサイクル自体はかなり現在、市場化をされておりますので、例えばドアがちょっとへこんで同じ型式のドアが欲しいということになると、そういうのは全国にある程度のネットワークができておりまして、どういう車の何年式のドアが欲しいというふうにすると、ある程度見つかるような形の、そういうシステムといいますか、これは全く民間の中でそういう仕組みができておりますけれども、そういったものがございます。もちろんそういう再利用されない部分につきましては、金属類のリサイクルをした上で最終的にはシュレッダーダストのような形での処分を、最終処理をしているという実態でございます。自動車業界なり、あるいは、これは行政もそうですけれども、自動車のリサイクル率をともかくもっと高めようということで、いろいろな努力を現在やっておるということでございます。

【池上部会長】 よろしいでしょうか。

【今井委員】 ということは、税金が安くなるからといって大きいものですからそうすぐには買い換えないとは思いますが、本当は買い換えないでも済むものも買い換えるようなことになりますよね、今回。でも、それのリサイクルもしくはごみが多くなるということに対しては、割合と大丈夫だという方向で考えていらっしゃるととっていいわけですか。

【企画課長】 この税自体は買い換えを促すものではないかというご議論と、実際には大きなものですから、その税額のその軽減によって、じゃすぐに、あと3年ぐらい乗ろうと思っていたけれど、来年買い換えようというところまでいくかどうかいうのはちょっと疑問があろうかと思います。むしろ買い換える際に、こういう税の軽減が働いている、より低公害・低燃費の車の方に消費者の選択は向いていくというところが主たる効果ではないかというふうに考えております。
 一方で、先ほど申しましたように、自動車自身のリサイクルの率を高めていくというのが非常に重要な課題だというふうに考えております。

【永田委員】 ちょっとよろしいでしょうか。ちょっときょうここにおくれてきましたので、実は今、産業構造審議会の中で消費自動車のリサイクルの審議会がありまして、そこの委員長を私は務めておりまして、そのことはやってきたからでございまして、今お話があったように500万台ぐらい日本で廃車は出てきますけれど、約100万台ぐらい輸出されておりまして、国内で400万台の処理を行っていると。最初、処分場の逼迫の状況からリサイクル率も上げていかなければいけない、あるいは循環型社会に向けた取り組みの中で、もっと構造化していかなくてはいけないという議論をしているわけですが、全体的な流れといたしましては、何て呼ばれるかわかりませんが、自動車リサイクル法の制定というものを視野に入れながら、これからのあり方を決めていこうと。1月の半ばかちょっと後半ぐらいにかけて、大体、委員会の方向性も見えてきますので、そうしましたらここでやっておられるような形と同じようにパブリックコメントにかけまして、国民の皆さんからまた意見をお伺いして、最終的には3月ぐらいに向けてどういう方向でこれから取り組んでいくかというのを決めていこうということになっています。
 そうした中にあって、自動車の設計の方では、従来からリサイクル設計という形で、できるだけごみになるものを少なくするような設計をやってきたわけですが、さらにサンアールと最近言われていますが、リデュース、リユースといった視点で設計を進めていくような方策が来年の4月から、改正された法律の中で自動車もそれに指定されるという状況になってまいります。より一層の省資源、あるいはリサイクルしやすい、あるいは有害物質の少ない車づくりが進んでいくんだろうというふうに思っています。
 以上です。

【池上部会長】 よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 ほかにございませんでしょうか。
 (異議なし)

【池上部会長】 それでは、事務局からの報告はこれで終わりにさせていただきたいと思います。
 最後に廣瀬大気保全局長からごあいさつをお願いしたいと思います。

【大気保全局長】 本日は、粒子状物質対策の充実と強化等を柱とする自動車排出ガス総合対策のあり方について、重要な報告をおまとめいただきましてありがとうございます。小委員会は全部で14回、部会報告の基礎となった小委員会報告をまとめていただきました岡田小委員長を初め、小委員会の皆様にここで御礼申し上げます。環境庁としては、この報告に基づきまして、自動車NOx法の改正に向けてその後の手続を速やかに進めてまいります。来年の通常国会に提出し、速やかな改正ができるよう努力してまいります。
 それから、先ほどいただきました化学物質対策は、今後の環境庁の重要な柱と考えておりまして、それに向けて研究体制も固めながら議論されていることを頭に置きまして仕事を進めるよう努力してまいります。
 それから、1月6日から省になります。そして、中央環境審議会が省の形で発足するということになっております。そのため、きょうの合同部会はこれが最後になります。本当にありがとうございました。また新しい形で中央環境審議会の中で議論を続けながら、よりよい環境行政を進めてまいりたいというふうに考えております。今後ともよろしくお願い申し上げます。

【池上部会長】 ありがとうございました。
 これで予定しておりました議題のすべてを終了いたしました。
 本日の会議は、これで終了させていただきます。
 どうも長い時間にわたりましてありがとうございました。