中央環境審議会 第2回大気・交通公害合同部会


1.日  時   平成12年9月5日(火) 14:00〜16:00

2.場  所   通産省別館833会議室

3 出席者

(部会長)池 上 詢
(委員) 浅 野 直 人天 野 明 弘
伊 藤 桂 子今 井 通 子
入 山 文 郎岡 田 清
角 田 禮 子加 藤 勝 敏
近 藤 雅 臣櫻 井 治 彦
佐 和 隆 光塩 田 澄 夫
杉 浦 正 行鈴 木 継 美
常 俊 義 三富 永 健
中 野 璋 代松 下 秀 鶴
宮 本 一谷田部 雅 嗣
(特別委員)宇 野 則 義大久保 宣 夫
太 田 勝 敏恩 田 怡 彦
香 川 順米 澤 敏 夫
猿 田 勝 美鈴 木 道 雄
新 美 春 之西 山 紀 彦
林    裕 造平 田 賢
山 下 充 康横 山 長 之
(五十音順)
(事務局)大気保全局長  企画課長
自動車環境対策第一課長   自動車環境対策第二課長 他

4 議 事

(1)審議の進め方について
(2)今後の自動車排出ガス総合対策中間報告について
(3)その他

5.配 付 資 料

資料1  中央環境審議会大気・交通公害合同部会委員名簿
資料2  自動車排出ガス総合対策小委員会委員名簿
資料3  大気・交通公害合同部会の公開に関する決定(大気・交通公害合同部会部会長決定)
資料4  自動車排出ガス総合対策 審議スケジュール
資料5  今後の自動車排出ガス総合対策中間報告骨子
資料6  今後の自動車排出ガス総合対策中間報告
資料7  中央環境審議会 第1回大気・交通公害合同部会議事録

【一課補佐】 それでは定刻となりましたので、中央環境審議会、第2回の大気・交通公害合同部会を開催させていただきたいと思います。
 本日は、部会の委員数44名のうち、34名の委員の出席が予定されておりまして、ただいまのところ31名の方のご出席をいただいておりますので、既に会議の開催要件を満たしております。
 会議に先立ちまして、資料の確認をさせていただきます。
議事次第に続きまして資料一覧がございます。
 資料の1が、合同部会の委員名簿でございます。資料の2が、合同部会に設置されております小委員会の委員名簿でございます。資料の3は、大気・交通公害合同部会の公開に関する決定、これは、前回5月9日の部会でご承認いただいております内容から、若干修正がございますので、そのご紹介を後ほどさせていただきます。資料の4が、審議スケジュールの案でございます。資料の5が、今後の自動車排出ガス総合対策中間報告案骨子でございます。資料の6が、中間報告案本体でございます。それに、参考資料がつけてございます。資料の7が、前回5月9日、第1回の合同部会の会議録でございます。
 資料は以上でございますので、もし抜け等ございましたら、事務局の方にお願いいたします。
 それでは、議事は池上部会長にお願いいたします。

【池上部会長】 本日は、大変お忙しいところをお集まりいただきましてまことにありがとう存じます。
 それでは、議事次第に沿って、まず議事の1から始めたいと思います。
 それでは、議事の1の審議の進め方についてを、事務局の方からご説明ください。

【自動車一課長】 資料の3をごらんをいただきたいと思います。大気・交通公害合同部会の公開に関する決定ということでございまして、ことしの5月9日にこの合同部会が、第1回会合を開かれました。その際には、部会長の決定ということで、会議録は公開でございますが、ただその会議録を公開する際に、発言者の氏名は伏せて出すという取り扱いになってございます。これは平成7年の12月、総合部会決定を受けて、ずっと当審議会全体として会議録そのものの氏名は公表してこなかったということを受けてやっておりましたけども、現実にはきょうの部会もさようでございますけれども、関係の小委員会も含めて、公開の形で審議が進められております。したがいまして、ご発言をいただいている委員の皆様につきましても公開ということになっておりますので、今般、審議会の透明性を一層高めるという趣旨で、公開する議事録、会議録につきましても発言者の氏名を記載するということで、取り扱いを変更したいということでございます。
 資料3の1ページの一番下のところに下線を引いてございますけども、この会議録等についてというところで、会議録は、発言者の氏名等を記載し作成する、それから議事要旨については、部会長の了解を得て速やかに公開する。議事要旨につきましては、氏名は特に記載しておりません。裏の方に、新旧の対照表がございまして、古い規定でありますと、発言者の氏名を伏せて会議録を作成するというふうになっておりましたけども、今回からは記載し作成するという形に変えようということでございます。
 参考として、総合部会の平成7年の決定がございますが、これの2ページ目の(3)の[2]、[3]のところに、議事要旨、それから会議録の規定がございまして、ここではできたものを公開するということだけが書いてございますが、各部会においてそれぞれのつくり方を決めるということで、発言者の取り扱いについてもこのような形になっておったということでございます。
 そういうことで、今後は氏名も記載して公表いたしますけれども、委員個人の責任を要らざるところで問われたり、あるいは発言の真意が誤解されることのないように、ご発言の趣旨をできるだけ明確にいたしたいと思います。このため、議事録につきましては、確実に発言者のチェックを受けるように、例えば事務局の方から電話等で確実に先生方のご意向を確認するというふうな取り扱いをいたしまして、先生方の了解を受ける等の手続を経るというふうにいたしたいと思います。
 以上でございます。

【池上部会長】 ありがとうございました。この件に関して、何かご質問あるいはご意見ございますでしょうか。
 それでは、ないようでございますので、きょうの部会以降、議事録につきましては、ただいまご説明のありましたように発言者の氏名を記載して公表することにさせていただきます。
 これで、この件は終わりにさせていただきます。
 次は、議事2の今後の自動車排出ガス総合対策中間報告についてでございます。これにつきましては、何回も自動車排出ガス総合対策小委員会委員長であります岡田委員長を初め、委員の方にご検討をいただきまして大変ありがとうございました。これまでの審議の経過とそれから内容のご報告をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【岡田委員長】 それでは、簡単にこれまでの経過とそれから中間報告案の内容について、説明をさせていただきます。
 本年5月9日の部会以来、自動車排出ガス総合対策小委員会を10回ほど開催をいたしました。まず、関係省庁それから関係業界団体などからのヒアリングをいたしまして、その後、個別事項について検討を進めてまいりました。 8月29日の第10回の小委員会で中間報告がまとまりましたので、その内容をご報告するわけでありますけれども、私の方からは3点ほどポイントだけお話をさせていただきます。
 第1点目は、大都市地域を中心とする大気汚染の状況は、依然として厳しい状況にございまして、自動車NOx法の抜本的な見直しを含めまして、自動車排出ガス総合対策を強力に推進していくことが必要であると、こういうことでございます。
 第2点目といたしましては、この対象となります対象物質でありますけれども、窒素酸化物だけではなくて、粒子状物質にも重点を置いていく必要があるということであります。
 3点目は、対策の方途といたしまして、車種規制などの対策を強化する必要があるのはもちろんのこと、それ以外にも各種の有効な対策をとる必要があるということでございます。
 以上3点でございますけれども、小委員会では各種の施策について検討してまいりました。その具体的な内容につきましては、中間報告をもとに幅広い方々のご意見を踏まえながら、さらに最終報告に向けて検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
 本日は、ご審議のほどをよろしくお願いをいたします。

【池上部会長】 どうもありがとうございました。それでは、詳しいことにつきましては、事務局の方からお願いいたします。

【自動車一課長】 ありがとうございました。今、岡田小委員長がご説明いただきましたスケジュールにつきましては、資料の4にまとめてございまして、本日、部会でご説明後、中間報告としてパブリックコメントの手続を経まして、さらに審議を進め、今年中には答申をまとめたいという動きを考えてございます。
 資料の5番と6番をお手元に見ていただければと思います。骨子に沿いながら、報告の本体もちょっとご参照いただきながら、概略をご説明をいたしたいと思います。
 全体では4章の構成をとっております。1章のところで大気汚染の状況、2章で自動車排出ガス対策の実施状況ということでこれまでの対策の評価をし、3番目に今後の自動車排出ガス総合対策のあり方という全体の方向を示し、4番目に各施策の充実評価の方向ということで、この報告全体が構成をされております。
 第1章のところで大気汚染の状況でございますけれども、環境基準の達成状況等ということで冒頭書いてございますが、大都市を中心にNO2 、それから浮遊粒子状物質の汚染が非常に厳しい、それからオキシダントとベンゼンの環境基準達成率も低くなってございまして、今後、政策を特に進めていくべき課題としては、NO2 、それからSPMの問題に特に注目をしていくということが最初に書いてございます。
 二酸化窒素の環境基準達成状況につきましては、全国の測定局によりまして、一般局は9割方、それから自排局では7割方の達成ということになっておりますけれども、大都市の達成率は非常に低くなってございます。特に自動車NOx法という法律を平成4年に制定をいたしまして対策を進めてまいりましたけれども、特定地域の環境基準の達成状況は非常に厳しい状況にございまして、平成12年度において環境基準をおおむね達成するという所期の法律の目的の達成が難しい状況になっているということが書いてございます。環境基準非達成局につきましては、特に高濃度の地域が都市の中心部に多く分布をいたしておりまして、なかなか改善が難しいという状況が見られております。
 それから、SPMにつきましても、全国の測定状況によれば環境基準達成率は相変わらず悪くて、横ばいで推移をいたしておりまして、なかなか改善が見られないということが、この1章の後のところに書いてございます。
 1−2、発生源別排出量ということで、ちょっとこの本文の3ページをごらんいただきたいと思いますけれども、小委員会でいろいろとご議論いただきました中で、やはりもう少し状況をわかりやすくするために、発生源別の排出量もぜひ書くべきだというご意見がございまして、この1−2を書き加えてございます。
 発生源別排出量としましては、NOxの発生源別排出量につきましてと、1−15図、参考資料をすいません、これもちょっとめくっていただきたいと思うんですが、42ページのところをちょっとごらんをいただきますと、図の1−15というのがございまして、関東地域の特定地域と関西地域の特定地域のグラフを掲げてございますけれども、総排出量関東では21万トン余、それから関西では7万6千トンというふうになっておりますけれども、自動車の寄与が非常に高くなっております。それぞれ51%、53%ということで、全体の中では最も自動車の寄与割合が高いというふうなことになってます。実際にはこの各地域、6都府県のそれぞれ特定地域がございますけれども、それぞれの地域において移動とそれから固定の発生規模がかなり違っているということでございますけども、構成比そのものは平成2年度以降大きく変わっていないという状況が見られております。
 それから、浮遊粒子状物質の発生源別寄与割合というのも、同じく表で言いますと図の1−16、43ページ、参考資料の43ページでございます。これもごらんいただきたいと思いますけども、浮遊粒子状物質の発生源別の寄与割合というものを分析をいたしますと、これは平成6年のデータをもとに環境庁で分析した図でございますが、固定発生源、これは自然界に由来するものもあるというのが浮遊粒子状物質の特性でございますが、自動車からの寄与というものは、一般大気環境局、ここのグラフで言いますと左側の2つ、縦の2つが一般局でございます。これでは22%から27%。それから右側の自動車排出ガス測定局では43%というふうになっておりまして、自動車排出ガスの寄与割合が高いということが示されております。
 それから、本文の4ページの方にまいりますけれども、沿道での粒子状物質濃度と環境影響ということで、浮遊粒子状物質の中の排出に占めますディーゼルの寄与割合ということを書いてございまして、これは参考資料で申し上げますと44ページに図の1−17というのが掲げてございますけども、これは都内の2カ所の測定局ではかったデータ、これは粒形をいろいろと分析をいたしまして、どれから寄与しているかと、起因しているかということを環境庁が分析したものでございますけれども、トータルといたしましては、技術的にいろいろと困難性がございます。特に二次粒子につきましては、二次粒子の発生源をきれいに固定源あるいはその自動車に区分けするのは難しいので、そこはこのままにしてございますけれども、トータルで言いますと、一次粒子として見た場合のディーゼル自動車の粒子状物質の寄与割合が2割から48%ということになっておりまして非常に高いと、一方で固定発生源の寄与割合が0ないし6%ということになっておりまして、固定に比べるとディーゼル自動車からの寄与が大きかったということがうかがわれます。このデータは、2カ所の測定局から出ただけでございまして、これですべてを言うのにちょっと問題が残るかもしれませんけれども、トータルで言うとやはり道路沿道の浮遊粒子状物質の中に占める発生源については、ディーゼル車の粒子状物質の寄与が大きいということは、このデータからうかがわれるということでございます。
 さらに、ディーゼル排気粒子につきまして、近年、発がん性等の健康影響の問題、国際的にも注目をされております。文献が出ておりますし、環境庁の方ではこれをベースに今、委員会別に設けまして、9月8日に中間とりまとめをするということで、リスク評価をやっておりますけども、この中でいろいろな健康影響の問題についての科学的な面でのとりまとめをするというふうなことになっております。
 以上が1章の全体の大気汚染状況についての概略のご説明でございます。
 5ページのところに括弧書きで用語解説ちょっと入れてございます。これは、専門家にはもう無用のことでありますけれども、一般国民はちょっとわかりにくいということで、浮遊粒子状物質(SPM)と言われる環境基準が定められた10ミクロン以下の物質と、それから一般的に大気中にある固体または液体の粒子を指す粒子状物質、それからディーゼル排気粒子といって、最近ディーゼル車から出てくる粒子のことについて、発がん性等が問題になっているものについての定義といいますか、説明を加えております。ディーゼル粒子といいますと、大体粒形が非常に小さいものでございまして、肺の奥に達するというふうな特性があるということでございます。
 一方で、法律的な定義で申しますと、大気汚染防止法では粒子状物質は自動車排出ガスの規制対象物質という定義になっておりますので、これはディーゼルから出てくる粒子状物質ということで言えばディーゼル排気粒子と、科学的にはほぼ同等のものというふうに言っていいのかと思います。ただ、環境基準が定められておりますのは10ミクロン以下のSPM、浮遊粒子状物質でございまして、この中の一部にディーゼル排気粒子が含まれるという関係になっておるということでございます。
 それでは、第2章の方にまいります。自動車排出ガス対策の実施状況と評価ということでございます。骨子または本文で言いますと6ページ、どちらをごらんいただいても結構だと思いますけれども、概略をご説明いたします。
 自動車NOx法でこれまでやってきた対策につきましてのレビューをするということが、この章のポイントでございます。総量削減計画というものを6都府県がそれぞれつくりまして政策を進めるという枠組みがこの法律の中心にありまして、そのさらに基礎には、国が総量削減基本方針を示す、基本方針に沿って総量削減計画がつくられてそれを実施をしていくという仕組みがこの法律の根幹にございます。
 総量削減計画におきましては、その地域におけるNO2 の環境基準を達成するという目標に向けて、全体のNOxの排出量、それは移動発生源と固定発生源、両方含んだ発生量を現状を把握し、それが将来どうなるかと予測をし、それをトータルで減らしていく、その中で移動発生源、自動車に起因をする部分をどこまで減らすかという量を数字として書き込んで、それを目標として対策を進めるというふうになってございまして、本文の7ページにございますが、表の2−1と2−2のところにそれぞれの削減目標量、それから実績ベースでの排出量というものが載ってございます。この表の2−1の方、削減目標量といいますのが総量削減計画に記述された目標量ということになります。
 これを全体として申し上げますと、6都府県の窒素酸化物削減目標量が大体一番小さいところ2千3百トンから東京都の1万9千トンが削減の目標であるということがわかります。それで、実際にこれまでやってきた実績で申し上げますと、表の2−2の方でございますけれども、削減が達成された量として千4百90トンから1万6百トンというものが達成をされたというふうに報告がありまして、それぞれ大体削減目標量に比べると4割から6割であったということがあります。
 他方で、埼玉県につきましては、実際にはNOxの排出量は基準年をむしろ上回っているという状況がございます。また、千葉県の方は逆に目標量を上回って達成をしておりますけれども、環境濃度、環境基準達成率については改善が進んでいないという状況が示されておりまして、トータルで申し上げますと、千葉県は削減目標は達成したわけですが、全体で申しますと、12年度までに二酸化窒素の大気環境基準を達成することは極めて困難だという状況がうかがわれるということを示した表でございます。
 それから、[3]の方にまいりますが、各種施策の進捗状況と評価というところでございまして、この対策、総量削減計画に盛り込まれた施策にはメニューがございまして、それぞれの対策効果をどういうふうに評価をするかということにかかってございます。削減効果につきましては、計画本体に直接それぞれの対策ごとに何トン減らすかということを書いたものでありまして、むしろ参考資料的なところに位置づけられたものでございますけれども、まず単体規制、それから車種規制という規制的な方策による効果を計算をいたしまして、それぞれ6都府県の車種ごとの排出量予測とか自動車交通量の伸びをベースに算定をいたします。その上で、さらに他の施策についてその車種規制を前提といたしまして、各都府県が目安としてそれぞれの削減目標量を試算をするというふうな形になっておりまして、表の3、本文の8ページのところに書いてございます表の3に各対策ごとの削減量というものが示されております。
 実際にはこれ、各地域の個性が出ておりまして、排出量の中で自動車の排出割合が異なっておりますので、対策の効果に差が出てまいります。したがって、一律に全体を評価するということは難しいわけでございます。例えば、東京都の欄をごらんいただきますと、自動車排出の割合が大体7割を超えております。自動車走行量でいいますと、平成2年度以降ほとんど変化がなかったという統計がございますので、そういう意味では単体規制、車種規制の効果が大きくあらわれております。一方で、埼玉県につきましては交通量の伸びが大きかったということで、対策の効果が相殺をされまして、実際には排出量が総量としてはふえたというふうなことになっております。
 それから、この表全体を通じて言えますことは、NOxの9年度ベースの排出量は全体では約15万トンでございます。それはさっきの2−2の表の9年度自動車NOx排出量というところにございます。約15万トンでございます。これは、平成2年度と比べますと約1割低下をいたしております。走行量につきましては、約1割強増加をしたということが示されておりますので、全体を緩和すると、車1台当たりの排出量が約2割ぐらい減ったというふうに評価をすることができるかと思います。
 それから、2−3の表の(注)をちょっとごらんいただきたいと思いますが、単体規制、車種規制の削減量につきましては、平成2年度ベースのNOx排出量から、12年度の単体規制、車種規制後の自動車NOx排出量を差し引いた数字ということで、規制が効いた後に12年度どうなのかということを差し引いた数字でございまして、ごらんいただきますと埼玉県、千葉県はマイナスの数字になっておりますけど、これは単体規制、車種規制以上に交通量が増大するということが見込まれたために、このような数字になったということでありまして、これでも単体規制、車種規制の効果はあったけれども、実際には総量としてはふえるというふうな見通しになっていたということを正直に書いたものということであります。これらの数字は、ある意味で総枠の数字でございます。8ページの下の方に書いてございますが、現実には総合的に経済社会活動にいろいろな政策が効果を及ぼして、その結果として大気環境がよくなったりするということでございますが、個々の削減効果をきちんと分離・定量化して示すということは必ずしも容易ではありません。それから、効果を検証するデータが十分得られないということもございまして、したがって、対策効果の定量化については、その可能性も含めてなお一層の分析が必要と思いますが、現時点では各政策を評価すれば次のとおりということで、以下、車種規制等々の政策の全体の評価をいたして、これはちょっと本文に沿ってご説明を申し上げたいと思います。
 9ページの方をごらんいただきますと、自動車単体規制の強化につきまして、図の2−1というのが参考資料の45ページのところにございますが、いろいろとこの法律の施行後、平成4年、5年以降も非常に厳しい対策が行われてきておりまして、これをそれぞれ実施することによって、トータルで車種規制と単体規制を合わせまして約2万千9百トンぐらいの削減が可能であるという予測をいたしました。ここにありますそれぞれの長期目標でありますとか短期目標につきましては、それぞれ施行されております。それから、たまたま今日でございますけれども、新短期規制というものが告示をされまして、今年の秋からディーゼル車の規制が強化されるというふうなことにもなっております。
 そういうことで、それぞれのこの車種規制、単体規制がきたわけですけども、一方で、ディーゼル化、大型化の進行というものが見られまして、例えば46ページの図の2−2というところに、ディーゼル化のグラフ、表が書いてございますけども。

【自動車一課長】 本文の9ページの自動車単体対策の強化というところをお話をいたしておりますが、参考資料の45ページの図の2−2というものと合わせてございますが、ディーゼル化の傾向がうかがわれるというところをお話をしておりました。このグラフにございますように、乗用車それから貨物車につきましても、それからバスにつきましてもディーゼル化の傾向がここでうかがわれるということでございまして、個々の自動車につきましての規制そのものは効果を発揮しているわけでありますが、ディーゼル化、大型化ということで、その単体規制の効果がどこまであらわれるかということにつきましては、なお分析が必要でありますけれども、自動車走行量そのものが伸びておりますので、単体規制の効果につきましてはどうも減殺されているのではないかということを書いてございます。
 [2]車種規制のところにまいります。車種規制の方でも、単体規制と合わせて2万千9百トンという数字で見込んでおりまして、車種規制につきましては、特別特定地域内における自動車につきましての特別の排出基準でございまして、これに適合しない車は運転ができないというふうな仕組みでございます。9ページに表が書いてございますが、平成12年度末までに約95.4%の代替が進んだということが調べから予測で示されておりまして、これは着実な効果を上げたというふうなことが言えるかと思います。しかしながら、総量削減計画のもともとの考え方は、車種代替は同一重量区分の中での代替ということを想定しておりまして、先ほど言いましたディーゼル化、大型化が進んだということもありまして、その効果についてはどういうふうにあらわれたか、さらに分析が必要でございますけれども、走行量の伸びということも考え合わせると、車種規制の効果は何分かは減殺をされているのではないかというふうに考えられます。
 3番目に、低公害車の普及促進というところがございます。総量削減計画にはこれも位置づけられておりまして、表の2−5、これは本文の10ページに書いてございますが、電気自動車、CNG車、ハイブリッド車、メタノール車につきまして、ここにありますような数字を目標といたしまして、トータルで4千5百トンの削減が可能であるという試算をいたしておりました。低公害車の技術が進歩いたしましたり、それから自動車ユーザーがこれを理解したということで、普及が今進んでおりますけれども、トータルで申し上げると、特定地域全体でも低公害車の普及が約1万台強ということでございまして、削減の量も数十トン程度ということで、当初目標の20万台から30万台という数字に比べますとはるかに及ばないという現状になっております。
 10ページにまいります。10ページの[4]物流対策の推進というところでございます。物流の輸送効率の向上、それから鉄道・海運の活用、それから施設の適正配置等によりまして、貨物走行量を1割から2割削減することによって、6都府県で窒素酸化物として1万千5百トンの削減を見込んでおりました。これは6都府県全体で見ますと、車種規制、単体規制に次ぐ大きな削減量を見込んだ対策でございます。
 その後の物流の状況を見ますと、輸送トンそれから輸送トンキロにつきまして、これは図で申し上げますと図の確か47ページですか、図の2−3というところに掲げてございますが、2年度以降6年度まで減少傾向、その後上昇、それから輸送効率につきましては、平成2年度以降平成6年ごろまで低下をいたしまして、その後は横ばいでの推移というふうにグラフから読み取ることができます。これらについて、ベースの年となりました平成2年度と平成9年度の値で比較をいたしますと、輸送トン数につきましては9%程度の減少、それから輸送トンキロにつきましては平成2年度の808億トンキロであったものが、平成9年度には約837億トンキロということで3.6%の増加、それから積載効率につきましては約45.8%から約43.4%ヘ、約2.5%の減少があったということが数字的に示されております。
 それから、物流に占める自動車輸送の割合につきましても、ほとんど変化が見られておりません。これは表の2−6、資料編の48ページ以下に掲げてございます。48ページの方は関東4都県でございますが、表及びグラフともにトータルの伸びと自動車の伸び、ほとんど並行いたしておりまして、鉄道それから海運につきましてのシェアがふえたというふうな数字には出ておりません。輸送機関別の割合で申し上げますと、関東では84%を維持をいたしておりますし、関西地区では80%から81%というふうなことになっておりまして、自動車の分担割合というのはほとんど変化がなかったということが示されております。
 それから、貨物車、小型貨物車の減少と貨物自動車全体の減少というのが、これはグラフで申し上げますと50ページの図の2−6に掲げてございますが、トータルではこの小型と普通を足した数字で言いますと減っております。他方、この右側の51ページの方では、普通貨物の数字が掲げてございますけども、ここでは普通貨物車は増加の傾向ということでございまして、そのグラフを3つ並べておりますが、総重量をこの台数で割った一番下の棒グラフを3つごらんいただきますと、重量化の傾向が見られるという分析をいたしております。大型化の傾向が示されたということであろうかと思います。このように、物流効率化への努力が行われていますけれども、大気環境の改善という目で見た場合には、なお一層の取り組みが必要であろうという評価をいたしております。
 それから、現行法では事業活動に関連する施策といたしましては、事業所管大臣がそれぞれの事業活動にかかる自動車使用の合理化についての指針を定めております。この規定に基づいて、各事業所管大臣が指導するということになっておりますけれども、その後のフォローアップということを見ますと、必ずしも十分にその制度が機能しているというふうには言えないであろうということを、この10ページの下の方に書いてございます。
 本文の11ページにまいります。人流対策の推進というところでございます。公共交通機関の整備、それからその利用の促進等によりまして、乗用車走行量1.9ないし14%程度低減をし、これによって6都府県での窒素酸化物3,200トンの削減が見込まれていたというふうなことでございますが、輸送機関別旅客輸送量、これは図の2−8、資料編で申し上げますと52ページ、53ページにその図が出てございますが、関東の4都県と関西の2府県では増加の傾向で推移に違いがございますが、総じて申し上げますと、旅客輸送量の多く、増加の多くの部分は自家用車の利用増によっておりまして、公共交通機関の利用について見ますと横ばい、ないしは漸減傾向にございます。
 それから、特定地域においての乗用車の走行量、表の2−9が本文11ページに掲げられておりますけれども、これを見ましても着実な増加をしているということでありまして、全自動車走行量のうち約6割が自家用車、乗用車ということになっておりまして、このように公共交通機関の利用促進に向けたさまざまな取り組みが見られますけれども、住民の交通機関選好の傾向については明らかな変化が見られずに、大気汚染の改善にはなお一層の人流対策が必要な状況にあるという評価をいたしております。
 6番目に、交通流対策の推進であります。交通流の円滑化、分散を図って、都市内平均走行速度2キロないしは4.5キロ上昇によって、6都府県で窒素酸化物4千百トンの削減が見込まれていたということが、当初の計画でございます。
 東京都内の数字というものが上がっております。資料編で申し上げますと54ページの図の2−12でございますけれども、平均走行速度でいいますと、平日の混雑時の速度につきましては、平成の2年から6年までの低下、その後、若干上昇ということになりますけども、全体としては改善が見られません。平成9年の調査、東京都の発表によりますと、区部で18.5km/h ということで、全国平均の半分ぐらいということになっておりまして、都内のそれから交通渋滞発生状況につきまして、これは表の2−9、次の55ページでありますけれども、これにつきましても渋滞の改善というものはあまり見られていないということであります。
 実は、他の地域につきましてのこういったデータが、今、手元にはないわけでありますが、トータルとして見た場合には、さまざまな取り組みが非常に熱心に行われているわけでありますけれども、大気汚染の改善という目で見た場合には、なお一層の対策が必要であろうというふうに考えております。
 それから、7番目に局地汚染対策の推進というものが掲げられておりまして、交差点周辺等の局地的な大気汚染につきましては、汚染メカニズムの解析調査を行って、交差点改良といった地域の実情に応じた政策を進めるということを計画をしておりましたけれども、これ自体は定量的な環境改善効果は考えておりませんでした。局地的に、しかしなお大気汚染濃度の高い地域が散見をされておりまして、局地汚染対策につきましてもさらに強化をしていく必要があるというふうに評価をいたしております。
 それから8番目、本文の12ページにまいりますと、普及啓発活動の推進ということであります。これも総量削減計画に掲げられた対策でありまして、それぞれの自治体あるいは国におきまして、各種の普及啓発活動を推進いたしました。アイドリング・ストップでありますとか、エコドライビングでありますとか、あるいは低公害車フェア、ノーカーデーといったさまざまな取り組みでございます。アイドリング・ストップにつきましては、兵庫、大阪、神奈川県の条例化等々の動きが見られまして、取り組みの強化がされております。今後とも、大気環境の改善につながるような、効果的な普及啓発が必要だというふうに考えております。
 以上が、自動車NOx法にかかるそれぞれの施策のレビューというものでございます。
 一方で、粒子状物質の対策ということを12ページの2−2で説明を加えております。粒子状物質につきましては、今はNOx法の対象物質になっておりませんので、一般法であります大気汚染防止法の自動車の排ガス規制というものが行われてきております。近年、中央環境審議会の答申を受けまして、ディーゼル車からの粒子状物質の規制というものが強化をされてきておりますけれども、現実には道路沿道での大気汚染の状況は深刻であるということで、従来の対策では十分な環境改善効果は期待できないということであります。
 同時に、尼崎の公害訴訟、ことしの確か1月ですが、判決が出されまして、沿道の住民の健康被害とPMの汚染、粒子状物質の汚染が因果関係があるということで、判決が出されております。
 国といたしましては、こういう動きを受けまして、対策の強化ということと同時に、単体規制の強化につきましても方針を環境庁として明らかにして、関係の業界にお願いをし、関係業界も積極的に取り組むということで、今、当審議会におきまして規制強化の時期、特に新長期規制の時期について、それから規制値につきましてご審議をいただいているというところでございます。
 以上が2章の概略でございます。これまでの政策のレビューというところでございます。
 3章、本文で言いますと13ページに移りますが、今後の自動車排出ガス総合対策のあり方というところでございます。3章では、全体としての方向というものを述べております。
 本文の13ページをごらんいただきますと、大都市地域における大気環境の改善のためには、引き続き自動車NOx法等々の制度によって政策を進めていく必要があるということでありまして、同法についての抜本的な見直しを行う必要があるということを述べております。
 対象物質につきましてまず、NOxにつきましては従来と同じ考え方で、引き続きその対策にするということでありますけれども、あわせて浮遊粒子状物質についても環境基準の達成状況が低いということで、政策を進める必要がある。ただしこの場合、ディーゼル排気粒子というものが特に問題であるということで、近年、発がん性などの有害性に関する指摘が高まっており、それから我が国においても現在リスク評価が行われているということでありまして、こうしたリスク評価の結果等も踏まえまして、自動車の排出ガス中の粒子状物質についても、健康に悪影響を及ぼす観点から、NOx法の対象に加えて、早急に削減のための対策を実施していく必要があるというふうに述べております。 特定地域の考え方について、[2]で書いてございまして、NOx法は従来NOxというものを指標といたしまして、特定地域を指定して、そこでの規制をやってまいりました。関東の4都県と関西2府県の合計で196市区町村が特定地域になっておりましたけれども、平成10年度の環境基準達成量、先ほどの資料編の図の1あたりに全部書いておりましたけれども、環境基準の達成状況の様子を見ると、ほぼ特定地域内にその環境基準を超えている地点というものが見出されるという現状になっておりまして、ある意味では、このNOx法を指標とする特定地域の指定というものは効果的であったというふうに言うことができるかと思います。
 今後、窒素酸化物に加えまして粒子状物質を考慮するということになりますと、さらに現行のNOxの要件との整合性を確保しながら、粒子状物質についての新たな要件を考慮いたしまして、浮遊粒子状物質の汚染の状況でありますとか、自動車交通に起因する粒子状物質の排出量でありますとか、ディーゼル車の走行量などといったものをベースにした地域の指定の要件を考えることが適当であるというふうに述べております。
 それから、3番目に目標でございます。自動車NOx法はもともとNO2 の環境基準の達成ということをそもそもの目的でつくられた法律でございまして、この目標は12年度末という本来の達成期限には達成が難しいという状況になっておりまして、引き続きこの達成に向けて政策を進める必要があるということでありますけれども、同時に粒子状物質に関しましては、国際的に発がん性などが懸念されているということがありますので、予防原則の立場から、その健康リスクを低減をするために、可能な限りの粒子状物質削減をはかるべく、定量的な削減目標量を示すべきであるというように書いてございまして、発がん性物質ということに着目しながら、定量的な目標量を明らかにして対策を進めていくということをここで示しております。
 さっき申し上げましたSPMとPMの違いがございまして、環境基準はSPMで決められておりまして、したがって粒子状物質を何らか対策をしていけば、当然ながら環境基準の浮遊粒子状物質の大気汚染の改善につながってまいります。しかしながら、現時点におきましては、排ガス中の粒子状物質の環境データは蓄積が十分でございません。それから粒子状物質の排出の総量、粒子状物質の排出削減による大気汚染の改善効果等につきまして、十分な制度で予測をするということが困難でありますために、大気環境基準の達成に必要な粒子状物質の削減目標量の設定は、現実には技術的に難しいということがありまして、今後は自動車排ガス中の粒子状物質の監視測定体制の整備を進め、あるいはその他の対策を進めることとあわせまして、浮遊粒子状物質の環境基準の達成に向けた粒子状物質の必要削減量を明らかにするための調査研究でありますとか、ディーゼル微粒子に着目をした大気汚染レベルの評価方法の検討といった調査検討は引き続き必要でございます。こういったベースをさらに固めることを通じて、浮遊粒子状物質の環境基準の達成に向けた方策を明らかにしていく必要があるというふうに述べております。
 それから、目標の2つ目、達成期間でございますけれども、今のNOx法が平成12年度末、本年の3月末をもって達成期間、したがって計画期間7年としておりましたけれども、新たな目標の達成期間につきましては、車種規制を初めとする施策の効果を考えて、10年程度が妥当である。その場合、計画の中間でありますと5年で別途目標を設けて、達成状況を点検することが必要であるというふうに言っております。国民の健康保護のためには、できる限り早期に目標を達成することが必要だということも付言をいたしております。
 基本的枠組み、[4]番でございます。15ページのところでありますけれども、ここでは4つのことを言っておりまして、基本的には総量削減基本方針と総量削減計画というこの法律の枠組みを維持をするということ、2つ目には、計画の進行管理をもっときちんとする必要があるということを述べております。特にその中では、総量削減計画の策定実施主体である都道府県知事が中心となって、進行管理をきちんとするということが必要だというふうに述べております。
 3番目に、地方自治体の役割の強化が必要だということで、後でいろんな政策のところに出てまいりますけども、これまで以上にもっと積極的な役割を担っていく必要があるというふうに書いてございます。
 そういう全体の方向を示しまして、具体的政策につきまして、今後、抜本的な対策の充実に向けた検討が必要だということを、この3章のまとめの[5]で書いてございまして、17ページの方にまいりますと、各施策の充実強化の方向ということで、個別の施策の方向を書いてございます。
 [1]のが最初に出てまいりました車種規制でございまして、本法、自動車NOx法に規定されました車種規制は、自動車排出ガスに起因する大気汚染改善のために、特定地域において汚染物質の排出量のより少ない車種の使用を義務づけるというものでありまして、特定の自動車について最も厳しい単体規制に適合するような車両の排出ガス基準を当てはめて、それを使うことを認める、それ以外の使用過程車については、一定の猶予期間後は規制が適用されて、運転ができなくなるという仕組みを設けているものであります。
 これまでは、車種規制、窒素酸化物を対象に実施されてきたわけでありますが、実際にはその7年の間に、新車の規制がいろいろと強化をされたということがございまして、特定排出基準が物によりましては、ある車種区分におきましては、既に意味が十分でなくなったということがありますので、強化をする必要があるというふうに書いてございます。
 ここは56ページの図をちょっとごらんをいただいた方がよろしいかもしれませんけれども、56ページの図の4−1というところに、自動車NOx法が規制開始をいたします平成5年12月の段階で、ガソリン車の基準あるいはディーゼル車の基準につきまして、その時点での最も厳しい値というところで設定をいたしまして、その後、単体の規制、ディーゼル車、ガソリン車のそれぞれ強化をされておりまして、現行の車種規制値はそれよりは緩いところに決まっておるという状況がございます。こういうことを勘案して今後は強化をするという必要があるということをここで述べておるものであります。
 2つ目に、規制対象車種の拡大のところであります。現行法では、窒素酸化物の排出量が多くて環境への負荷が大きいということで、貨物車とバス、その他を特定自動車と定めております。しかしながら、現状では目標の達成が困難だということを勘案すると、規制対象車種の拡大を検討する必要があるというふうに述べております。具体的には、乗用車を新たに対象とすることについて検討する必要があるということでありまして、乗用車は平成5年の車種規制を始めました時には、規制対象から外されております。この時は、ガソリン乗用車につきましては厳しい排出ガス基準を既に適用されて行き渡っておった、当分の間、規制強化の見通しもなかったということがありましたし、ディーゼル乗用車につきましても、トラックやバスに比べると、まだ特定地域における排出寄与が小さいということで、規制の対象とされなかったということでございます。しかし、現実には近年に至りましても、乗用車からの窒素酸化物の排出量は少なくないということで、大気汚染状況の改善が十分ではないということを考えた場合には、乗用車の規制対象を考える必要があるということでありまして、ただこの検討の際、当然ながら規制によってどのくらい環境が改善するかという将来予測をきちんと行うということと同時に、乗用車につきましては非常に数が多いということと、それから個人用が多くの割合を占めるということでありまして、規制をして買い替えを義務づけた場合の社会的影響でありますとか、廃車が増加して、別の形の環境負荷がふえるということを勘案して、車種の追加についての分析評価が必要だということを述べております。
 それから、特定自動車排出基準の強化ということで、先ほど申し上げたとおりでございまして、現状の特定自動車排出基準については、ほかの単体規制と比べても必ずしも十分ではないというところを勘案して、規制値の強化をするべきであるというふうに言っております。
 それからもう1つ、猶予期間の設定ということがございまして、使用過程車、既に使われております車につきましては、一定期間の猶予期間を認めております。これは、平均使用年数から1年を減じた年数でもって決めておるというのが現状の制度でございます。この考え方を基本といたしまして、今後も猶予期間を設定することが必要であるというふうに書いてございます。
 以上が車種規制にかかる部分でございます。
 2番目に、低公害車の普及促進でありますけども、先ほど申しましたように十分な普及が図られておりませんので、引き続きこの低公害車の普及に努力をする必要があるということでございまして、19ページのところにちょっと書いてございますけれども、できるだけ低公害車を使うことによるメリットを明らかにしていくということが必要ではないか。税制財政上の措置ということももちろん行われておるわけでありますが、プラスして使ったユーザーがメリットを享受できるような仕組み、例えばそこにちょっと書いてございますが、低公害車の率先導入に努めるということと同時に、低公害車用燃料供給施設の計画的な整備等々も進める必要があるというふうに書いてございます。
 それと、低排出ガス認定制度というものは、ことしの4月から運用が開始されております。これは、いわゆる低公害車と別でございまして、従来型のエンジンでありましても、非常に低公害な車につきましては、その低公害度というものを認定する仕組みでありますけれども、これをうまく使うことによって、低排出ガス車の普及についてもさらに力を出そうということであります。そのためのさまざまなインセンティブを強めるという方向での検討を進める必要があるということが、ここに書いてございます。
 3番目に、事業者における自動車排出ガス抑制対策の強化というものが、19ページの下の方に出てまいります。事業者指導の仕組みにつきましては、必ずしも十分に機能していないということを勘案いたしまして、事業者が自動車利用管理計画というものを策定することを義務づける方法を考えるべきではないかということを、19ページに書いてございます。一定の台数、対象自動車を使用する事業者に対しまして、何らかの基準に沿って、自動車排出ガスを抑制するための計画をつくって、それをベースにいたしまして対策を実施すること促すということであります。この中で、地方自治体に対する実績の報告でありますとか、一般への実績の公表を求めるということを通じて、事業者の取り組みを前に進めようということを考えているわけでございます。
 中身といたしましては、最新規制適合車への代替でありますとか、低公害車、低排出ガス車の導入、環境への負荷の少ない自動車の利用管理といったものを進めるということをイメージをいたしております。
 既にこういった取り組みは、6都府県では動いております。試行のベースが多くございますけども、運輸省と協同してやっておるものがございますので、これを踏まえまして、これまでの取り組みとの整合を図りながら、地方自治体と国がうまく連携をしながら政策を進めていくということを考えております。 同時に、対象事業者につきましては、荷主事業者の努力も必要だということで、この最後の方に書いてございますけれども、いわゆるグリーン購入法の考え方に沿いまして、積極的に荷主もできる限り負荷を、環境への負荷の少ない運輸事業を営む者との契約を進めるといった形で、努力を求めていく必要があろうということを述べております。
 20ページ、[4]番の自動車メーカーの排出ガス対策というところに移ります。自動車単体規制、それから車種規制、事業者の規制ということに加えまして、自動車メーカー及び販売業者にも一層の対策を求めることが必要だということであります。海外で言いますと、米国のカリフォルニア州のいわゆるフリート規制というものがありますけども、自動車メーカーに対しまして、フリート平均の、フリートと言いますのは、車種区分ごとの車両の総体を指す言葉でありますけども、その全体としての平均の自動車排出ガス量の抑制を求めるという仕組みで、一定の目標に沿って、トータルで排出ガスのより少ない車を製造販売をするという仕組みをつくって、それをメーカーに促す、それをメーカーからどういう努力がなされているかを公開をする、オープンにするということによって、メーカーの情報を市場が受け取ってユーザーの選択を促すということで、健全な競争を通じて社会全体の環境の保全の取り組みを前進させようという考え方であります。こういう形のものが、事業者に対する対策とうまく合わせて導入することができれば、自動車の供給側と需要側の対策がうまく実施されて、相乗的な効果が期待されるというふうにここでは書いてございます。 21ページの方では、さらに、メーカーに求められる対策といたしまして、低排出ガス車の開発・普及の加速ということがございまして、大型のディーゼル車につきましての対策、特に技術開発を進めることが必要であるということであります。国といたしましては、メーカーの排出ガス低減対策の取り組みを一層促進をするということでございまして、ことしの3月に自動車工業会の方から、ディーゼル車の排ガス対策、低減を進めるということで、自主行動計画の策定、公表がなされたところでありまして、こういった方向に沿ってぜひ政策を、対策を進めていただきたいということがここに書いてございます。
 それから、販売事業者につきましても、こういった取り組みをより消費者に直接的に接し、伝える立場であるということで、その努力を求めるということをここに書いてございます。
 5番目に、交通需要マネジメントというのが出てまいります。これは、物流対策、人流対策、交通流対策につきまして、先ほど、なお一層の取り組みが必要だということを申し上げましたが、さらに実効性のあるものにしていくためのいろいろな取り組みの例として、交通需要マネジメントというものを小委員会においてご議論いただいて、ここにまとめたものであります。
 TDM、交通需要マネジメントをTDMと俗称しておりますけども、これはいろいろな仕組みがございます。これはちょっと、参考資料を一度ごらんをいただいた方がいいかと思います。61ページ、62ページのところに幾つかの例が出ておりますけれども、さまざまなメニューがありますし、それから適用できる対象地域の特性についても、さまざま千差万別でございます。表の4−2の方に手法別分類ということで、自動車の利用自粛から公共交通への転換、あるいは経路の変更等々といったものが書いてございますし、国内外の実施された政策手法が表の4−3というところにありますけども、それぞれどういう手法があり、あるいはどういう時間帯、どういう場所で適用するかということについての幾つかの例が挙がってございますけども、いろいろと例がございます。したがいまして、こういったものを各地域の実情に応じて的確に選択をし、それから政策が進捗するに応じて、計画が見直しが可能なようなシステムを講じていくことが適当ではないかということであります。この際、TDMの実施推進体制を確立する必要があるということで、地方自治体の責務、それからそれをうまく進めていくための国の支援の働きが必要であるということをこの中で書いてございます。
 それから、中長期的には、こういった政策全体を通じまして、大気環境改善という方向を目指すためには、単に環境だけではなくて、公共交通機関の整備でありますとか、あるいは物流拠点の整備、あるいは道路網の再整理といったことも含めて、都市構造あるいは都市計画という方向まで視野に入れた政策が必要であるということで、そういったものも中長期的に進めていく必要があるというふうに述べております。
 6番目に、経済的措置が書いてございます。経済的措置につきましては、冒頭、規制措置と比べた場合のプラスの面と、それから他方で配慮すべき必要条件というものを書いてございますけども、我が国では、主としては税制の中で経済的措置というものを応用をしてまいりました。それから、東京都では近年、車齢10年を超える自動車の自動車税を重くする、他方で低公害車については軽くするという超過不均一課税というふうな仕組みが行われております。他方で、補助、融資という仕組みも機能してきておりますので、そういう意味で、ある意味でより環境負荷の少ない自動車への代替を進めるという政策が、これまでの我が国の実績、実態でありましたけれども、これまで以上にいろいろな局面での活用を検討していく必要があろうというふうにここでは述べておりまして、そこの幾つかの例といたしまして、自動車の環境負荷をできるだけ減らすという方向での、23ページの方でございますが、現在の単体規制による改善効果をさらに高める措置ということで、排出ガス性能に応じた自動車関係諸税の重軽課ということであります。昨年来、政府の方で、いわゆる自動車税制のグリーン化というものに向けて努力をしているところであります。これがここに書いてございまして、より排出ガス性能のよい車への代替を促進するというふうな仕組みを整備すべきではないかという指摘でございます。
 もう1つはロードプライシングの例が掲げられておりまして、これもまだ我が国では、導入に向けての検討が始まったところでございます。直接的には43号線の訴訟があって、判決が出された後に政策を導入に向けての検討を進めるというふうな動きが始まっておりますけれども、つい最近、東京都の方においても、ロードプライシングについての検討会を組織をされたというところでありまして、いろいろと問題点、この23ページの[6]の一番下のところに書いてございますが、有効性でありますとか、社会的受容性でありますとか、技術的基盤、それから現行制度との整合性等々について、まだ検討が必要な事項がいっぱいございますけども、それを踏まえながらプライシングといった仕組み、制度につきましてもオプションの1つとして検討を進める必要があるというふうに述べております。
 7番目に、局地汚染対策が書いてございます。トータルとして、いろいろな政策によって、特定地域全体の環境の改善を目指すわけでありますけども、やっぱりそれでも特定の地域、例えば大気汚染が著しい交差点のように、なかなかきれいになり切らないところがございます。こういうところにつきましては、局地汚染対策というものを積極的に進める必要があるということで、この報告の中では、局地汚染対策推進計画というものを導入してはいかがかということを書いてございまして、その地域の関係行政機関、あるいは地域住民、それからその他の主体を含めた局地汚染対策推進協議会といった組織の中で、コンセンサスの形成をしながら計画を進めていくということについて検討をすべきであるという方向を示しております。
 24ページにいきますと、この一環でございますが、要請限度の制度の活用というふうに書いてございまして、今の大気汚染防止法に要請限度という仕組みが法律上規定をされております。これは、自動車排出ガスによって、局地的な大気汚染が生じている場合に、都道府県知事から都道府県公安委員会に要請をするという仕組みでありますが、都道府県公安委員会は道路交通法上の措置を必要に応じ講ずるという仕組みになっております。現実にはしかし、今の要請限度の制度は、一酸化炭素を尺度として定められておりまして、要請の実績がなく、今後とも機能するということが見込まれないということでありまして、今後のことを考えた場合には、二酸化窒素とか浮遊粒子状物質を勘案して、健康リスクを勘案しながら要請限度の設定ということについて、検討をする必要があるということを書いてございます。
 いずれにしましても、この局地汚染対策につきましても、単にそのスポットだけで対策を進めるということは難しい部分がありますので、道路構造でありますとか、あるいはより広域の都市構造の見直しも含めた、あるいはその沿道土地利用対策や都市計画も含めた取り組みが必要だということを書いてございます。
 以上が大体NOx法の枠に沿った全体の整理でございます。その他のところに、幾つか付随的なことが書いてございます。
 1つ目が、自動車単体対策の強化でありまして、中環審の答申に沿った規制の強化を引き続き実施をしていく必要があるということが第1点。
 2つ目は、ディーゼル微粒子除去装置(DPF)の活用をぜひ考える必要がある。つい、7月の末に「ディーゼル車対策技術評価検討会中間とりまとめ」というものが出されまして、DPFすべての車種に、すべてのディーゼル車に取りつけるということは難しい、不可能であるということを言いつつも、他方で効果のあるものについては、インセンティブをつけて装着を促進すべきであるというふうに述べられておりまして、この具体化を求めていこうということであります。
 3番目に、浮遊粒子状物質につきまして、先ほども何度か言いましたが、固定発生源ともあわせて、トータルでの浮遊粒子状物質の対策をどうやって策定をし、トータルにSPM、浮遊粒子状物質の環境を改善していくということでありまして、ここには例えば汚染シミュレーションモデルの確立でありますとか、各地域での発生源寄与の分析、それからディーゼル排気粒子のリスクの定量評価、微小粒子による大気汚染レベルの評価方法の確立といったものを課題として書いてございます。いずれも、調査研究のテーマでありまして、環境庁自身といたしましては、この部分につきまして、ぜひ早急に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 その次に、全国的な自動車対策の強化というふうに書いたところがございます。先に見ましたように、二酸化窒素と浮遊粒子状物質の環境基準非達成局は、特定地域だけに限定されているわけではありませんで、全国的な汚染がありますということを勘案した場合には、全国的にも政策を進める必要があるということであります。こうした状況を勘案して、特定地域としての総合的対策を講じるべき地域以外についても、全国的な排ガス規制の強化等が必要であるということでありまして、具体的には特定地域外においても、排出ガス性能の悪い車から排出ガス性能のよい車への代替を促進することが適切であり、そのための施策についても検討すべきであるということをうたっております。これは今年の、実は政府の税制状況の中で、これを趣旨を生かした提案をしているというところでございます。
 もう1つ、点検整備の励行という項目が挙げられておりまして、小委員会の中のご議論でも随分ございましたが、使用過程車につきましては、点検整備というのは有効である。排ガス性能を悪化防止するために有効であるということで、点検整備を励行すべきであって、そのためのいろいろな仕組み、指導、取り締まりの強化が必要であるというふうに述べております。
 それから、普及啓発の推進、最後でありますけども、ライフスタイル、あるいはそのビジネスのスタイルそのものを大きく見直すことが必要でありまして、いろいろな政策の前進と合わせて、こういった場面での普及啓発活動を今後とも積極的に進めていく必要があるというふうに述べております。
 以上が全体でございます。
 5番目に、最終報告に向けての課題ということを書いてございますけれども、政策を今後強化していく必要性があり、引き続き検討をしていく。そのために、今後は小委員会でさらに議論を深めるわけでございますが、いろいろな将来予測シミュレーションでありますとか、それから将来排出量や大気環境濃度の推定等の分析等々の政策を検討を進めます。それを踏まえまして、より効率的で実行の可能性の高い施策をつくっていく必要があるということであります。それに向けまして、各方面からのご意見をいただき、それらを十分に考慮しつつ、さらなる検討を行うこととしたいというふうに結んであります。
 以上が、若干長くなりましたが、中間報告の案のご説明でございます。

【池上部会長】 どうもありがとうございました。
 委員の皆様、それから事務局、大変なご努力で、立派なものになっていると思いますが、ここで質問、ご意見等ございましたらお聞きいたします。よろしくお願いします。

【杉浦委員】 各小委員の先生方には大変ご苦労をいただきまして、この中間の報告のまとめを行っていただいたわけであります。この中で特に地方自治体の役割が大変重要視をされてまいりましたので、この審議会の委員のメンバーの中では私一人だと思いますので、地方自治体側の意見を3点ほど申し述べさせていただき、また先生方にいろいろなご指導もいただいていきたいというふうに思います。
 その第1点は、この報告書の中の15、16ページに記載をされております、まず地方自治体の役割の強化でございますが、この中におきまして、かなり地方自治体のウエイトが高くなって、地域における具体的な施策の立案実施、あるいは各種の施策の進捗状況、あるいは効果の横断的な把握評価、かなりその権限の移譲も結構でありますが、地方自治体におきましては、都道府県は別として、基礎自治体というのは政令指定都市もあれば、1,000人以下のまた町村もあって、非常にその自治体の能力の格差が大きいものでございますから、ある程度この地方自治体がこのお示しの役割を果たすということになりますと、例えば中核市とか、あるいは政令指定都市とか、あるいは県庁所在地の都市とか、主要なこの能力のある都市に集中をしないと、これはご指定をいただいてもなかなかこの効果を上げることが非常に難しいというふうに思います。そして、その効果の把握あるいは評価、情報提供といったものに対しまして、今のところまだそのような基盤整備ができておりませんが、今後このような施策をお示しになりますと、かなり国からの権限移譲ですから、自治体にもそのような基盤整備の財政措置がどうしても必要ではないかというふうに考えますので、この点を一つご要望なり、ご意見をまず1点申し上げたいと思います。
 それから、19ページ、低排出ガス車の認定制度の活用の項目がございます。先ほど、本文で10ページにございますように、これまで6都府県におきます低公害車の普及状況のこの資料を拝見をすることができまして、これは計画の平成13年の3月末の計画目標でありますが、その実績は、先ほどお話がありましたようにかなり低い数値であります。しかも、電気自動車をはじめ、メタノール車までの4種目のうち、特にこの実績としてはハイブリッド車、これが顕著に出てきておりますが、しかし、まだ目標の3分の1というふうなことであります。私、地方におりまして、実際の実用化からいたしますとこのハイブリッド、あるいはCNGの車、この2つにほぼ限定をされるのではないかと思います。そう申し上げますのは、電気自動車等は維持費が高くてしようがない、あるいは走行距離がなかなか確保できないというふうなこと、特にはまた、CNG車とメタノールですね、これは給油装置ですね、これがまだ都市では十分な給油装置がございませんので、もう限られたところしか給油できないというふうな基盤の不整備がございますから、これは通産省の方で、私はCNG車の推奨がいいと思いますが、先ほどお示しがありましたような形で、この給油装置の基盤整備を、相当補助も通じてしないと、これはできないだろうなというふうに思いますので、この辺の見解と、またこの普及状況からの選択をぜひ私はされるべきだなというふうに思います。
 そして、特に排ガス車の中で、地方自治体が低排出ガス車の優遇措置としての駐車場の設置、あるいは有料道路の利用料金等の減免等を実施をしたいというお示しでございますが、これは私はどちらかというと、むしろこれらの基盤整備や有料道路の利用料金の減免というのは、逆にこの排出過多の車を有料道路からあるいは一般道路に向けられて、逆にNOxなりあるいはPM等を地方に散らすという逆効果が逆にあるのではないかというふうに思います。これは、自治体ではなかなか難しいので、特に有料道路の利用料金等は、国の政策でひとつお考えをいただくことが必要だろうと思いますし、この2つの政策、あまり感心しないので、むしろ低排出ガス車の認定制度と合わせて普及をすることであれば、自動車取得税ですね、後ほど自動車関係諸税等のご意見もございますが、購入の際のこれを極めて有利な形で購入ができる体制の方が、より普及がしやすいのではないかと思います。
 私は安城市ですが、隣にはトヨタ自動車の本社があります豊田市がございます。この周辺では、このハイブリッド車の購入について、助成措置を自治体で実際やっておりまして、その効果はまだ顕著にはあらわれておりませんけども、買いやすいというふうなことで、その道が一応開かれてきておるんではないかなと、こんなことを思います。もしこのような低排出ガス車の優遇駐車場の設置ということになりますと、これは建設省ともご相談をされて、特別な財源措置が地方自治体には必要ではないかと思いますので、この点のひとつ考え方を承っておきたいというふうに思います。
 それからもう1点、経済措置でありますが、これは23ページ本文にございます。それから、参考資料の55ページにございまして、これは例えば一般道路の年次交通渋滞発生状況等がございまして、いずれも7年から10年の数値を見てみますと、非常に最近はこの交通渋滞の発生によります特に、排ガス公害ですね、NOxあるいはPM等の発生が懸念をされております。私は、将来この経済措置としては、ここまで来ますと、これは渋滞対策ですね、いかにしてその走行距離を時間帯で伸ばせ得るかというふうなことで、むしろその方の形の道路整備が極めて必要ではないかというふうに、地方では考えております。その意味で、関係諸税のうち、特に道路の特定財源になっておりますガソリン税ですね、これが目的税になっておりますから、この関係について、今私が申し上げますように、特に都市交通の渋滞対策ですね、これを重点的にその配分をすることによって、私はNOxなりPMの大幅な削減が期待できるというふうに思います。新たな道のバイパス的な開発も必要ではありますが、むしろ税をそのような形で使うことによって、平均的な走行距離等の状態からいたしますと、なお今、この都市交通の渋滞化が非常に環境に対します悪化をもたらしておるというふうな状況を勘案いたしますと、自動車関係諸税のうち、特に特定財源といたしておりますガソリン税等の配分は、なお目的税でございますので、そのような形で配分をされて、道路環境を整備されることが極めて重要ではないかというふうなことを思いますので、3点についてご意見を申し上げて、またご見解があればお示しをいただきたいと思います。
 なお、きょうは委員の先生方多数いらっしゃいますので、今後気のついた点は後日ペーパー等でさらにご意見を申し上げていきたいと思います。自治体として、感じたことを三点申し上げましたが、今後全国市長会とも連携をとりながら、この問題について関心を持ちながら、最終議論まで若干の意見も申し上げてまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 以上です。

【池上部会長】 貴重なご意見ありがとうございました。ちょっと待ってください。 今のご指摘の点は、恐らく具体的にいろいろな政策を進めていく時に、財源の問題、それから税金の問題、インセンティブ、そういったものが絡んでくるというふうなことだと思うんです。そこらあたり、委員会として、あるいは事務局としてどういうふうにお考えになっているか、ご説明があればいただきたいと思います。

【自動車一課長】 直ちにこれが正解だという答えは持ち合わせておりませんけれども、ご指摘の趣旨を踏まえまして、総合的に交通に起因する負荷が少ないような方向に目指すような努力をぜひ続けたいと思っております。

【浅野委員】 まず、杉浦委員がおっしゃった一番最初の点ですね、地方自治体への権限という部分ですが、小委員会の議論は、どちらかというとここは、まずは都道府県を意識しております。そして、その上で、例えば局地対策のような話になると、ちょっと都道府県ではもう目が届かないということになるので、そのあたりでは、相当程度基礎自治体にもお願いをしなければいけないことがあるだろうと、そういう整理をしておりまして、やはり広域に動くということをある程度考えますと、ここで言っている自治体は主に都道府県です。ですから、力量の差という点については、私どもはあまり懸念をしないで議論をしていたような次第でございます。
 後の方の財源の問題についてと、それから経済的措置についてのこの議論なんですが、実は後でご議論があるかもしれませんけれども、小委員会でかなり時間をかけて議論したのは、今までの政策、施策の効果をどう把握するかということです。ところが、なかなか定量的に把握できないものが多い。例えば道路整備も、相当程度に効果を上げたであろうけれども、一体それはどのくらい効果を上げたかというのは、定量化できない部分が結構あるなと。なかなか難しい。今まで翻って効果がはっきり上がってきたのは、やはり車種そのものを抑えるとか、あるいは発生の原単位が下がっていくということは、はっきり効果が上がってきたんだろうと。だから、経済的措置としても、とりあえずその道路財源をもっとふやすということは、そんなに小委員会としてはご指摘のとおり議論していないわけで、ここで代替を促進させるという時に、その代替促進というのはただ補助金を出すということだけではなくて、その補助金の財源はむしろ自由化というところからとることもあるのではないかというような議論の流れの結果、こういう書き方になったということでございまして、その辺は、確かに道路整備の効果というものをどう把握していくのかということがありますけれども、問題はどっちかというと、特定地域も人口の稠密な大都市地域が一番問題が多いわけでありますから、そのことをまず小委員会としては先に念頭に置いて議論を進めていまして、地方中核都市以下の自動車に依存しなければいけないような地域の方で、より多く問題があるという認識がちょっとございませんでしたので、その点はさらに今後の小委員会でまた議論をすることになるかと思います。

【猿田委員】 今、地方自治体のことで先生からお話ございましたけれども、確かに都道府県レベル、せいぜい政令指定都市までの、いわゆる総量削減計画ですね、地域の環境計画の進行管理という問題があるわけで、ただ、今のお話にもありましたように、もうちょっと走ればほかの区域に行ってしまうんですね。ですから、広域的な対応も必要になるわけで、そういう意味では、市町村が、都道府県レベルのそういう計画に協力するということが非常に重要だろうと思うんです。そういう意味での重要性というのはあろうかと思います。
 もう1つ、これは今の先生のお話とは別ですが、ちょっと申し上げたいのは、このNOx法に基づいて、二酸化窒素に関する環境基準の達成という目標、今年度おおむね達成というのはまず不可能になってしまったということで、この見直しが始まったわけでして、ただ今回の見直しの中で、新しく課題として取り上げられたのが、いわゆるDEPの問題でして、これをどうするかということが非常に重要。この自動車NOx法そのものでは対象になっておらなかったわけですから、きょうの報告の中で、小委員会の中でもさんざん議論されて、このDEPをやはり対象物質として採用するべきだということが述べられておるわけでございまして、4ページの寄与割合のところを見ましても、ディーゼル排ガスからの寄与率が非常に高いという固定発生源よりもむしろ道路沿道においてというような問題もあるわけでございますし、13ページの方の対象物質というところでも、いろいろなところでDEPに関して今後削減対象物質に加えるべきだというふうなことが述べられておるわけで、これは当然のことだろうと思いますし、また環境リスクについて、いわゆる健康リスクについても、発がん性の疑いというようなことでいろいろと今、調査研究されているわけでありますから、予防原則にのっとれば、当然事前に何らかの対応をすべきだということになってくるわけで、そういう意味で、ディーゼル車を対象にしようというようなこともあるわけですが、そこで17ページのところでございますけれども、規制対象車種、特定自動車の拡大というのがございます。[1]の車種規制のところで、2行目に大気汚染物質排出量のより少ない車種の使用を義務づけようとするものであると、こうあるわけで、より少ない車種の使用ということになる。最近、乗用車のディーゼル化、RVなどを中心にしてディーゼル化が非常に進展してきているという問題があるわけですが、ここで、規制対象車種、特定自動車の拡大というところを見まして、下から5行目ぐらいから、以前はこのNOx法の規制対象として、当時ディーゼル乗用車というのは非常に少なかったので対象になっておらなかったということがあるわけですけれども、最近ではそうも言っておれないという、かなりの普及が認められるわけでありまして、ここの5行目のところの「乗用車からの窒素酸化物の排出量は少なくない状況にあることから」とありますけれども、むしろここは、ただここで乗用車というと、ガソリン乗用車もという懸念も出てくる恐れがあるわけでして、むしろ明確に、ディーゼル乗用車も対象にしましょうということになる。貨物車だけなのかというと、乗用車もディーゼル化が図られているのであれば、やはり乗用車の場合にはガソリン代替はもう可能なわけですね。もともとはガソリン車なのであって、それがディーゼル化されたという、またもとに戻しましょうということも必要なわけでありますから、その5行目の「乗用車からの」というのはむしろ、「ディーゼル乗用車からの粒子状物質排出量も少なくない状況にあることから」と、この「窒素酸化物の排出量が少なくない」ではなくて、むしろここは、「ディーゼル乗用車からの粒子状物質の排出量も少なくない状況にあることから」、大気汚染状況の、特に自排局などの、いわゆる道路沿道の環境汚染の状況は芳しくないわけでありまして、その下の3行目の「乗用車」というのを、「ディーゼル乗用車を規制対象とすることを検討すべきである」等、明確にうたうことをひとつ提案申し上げたいと思います。
 以上でございます。

【天野委員】 浮遊粒子状物質というのを今回規制の対象に加えようという点は、結構だと思います。私は、科学的な問題は、専門ではないのですけれども、WHOが最近ペーパーを出しました報告書などを読んでおりますと、ここに書いてあること以外で重要な指摘が多くあるように思います。例えば、PM10は問題ですけれども、それよりももっと小さいPM2.5以下のものの方が重要であって、PM10をあまり強調し過ぎると、目標設定をミスリードするおそれがあるかもしれないというようなことも書いてあります。それから、普通は大気中の濃度というのを下げようということが第一の目標になると思うんですけれども、低濃度にすれば、問題がなくなるというのではなく、濃度が低くても、長期間それの曝露されていると、例えば平均余命が2年から3年減るんだというようなことも書いてあります。これは、環境基準の設定の仕方に関わる問題だと思います。
 それから、微粒子そのものもさることながら、その中身も需要であって、酸度の強い微粒子が特に危険であるとか、また、濃度だけではなくて、高い気温の中で濃度が高いときに健康への影響が大きくなる。粒子状物質は大都会で多く、日本のようにヒートアイランド化下中で気温が上昇しているという背景があり、その中で粒子状物質がふえてということは大変心配なわけでして、そのあたりを今回の報告書ではほとんど入っていないのではないかという印象を受けた。WHOの意見等当面取り上げなくて良いものかかどうか、そのあたりをちょっとお聞きしたいということです。
 2番目の点は、輸送サービスの需要・供給が今後どのように推移していくかに関わる問題です。ここで主として取り上げられたのは単体規制といいまか、例えば、自動車1台あたりの環境負荷をどうさげるということですが、最終的に重要なのは、やはり総量なんですね。その総量が何を決めているかというと、経済活動が圧倒的に影響力を決めているわけです。先ほどは、交通渋滞を緩和すれば、それがどういう影響を持つかを推定するのは難しいと言うお話がありました。確かに難しいのですけれども、それには経済的な活動量の推定が必要なんですね。経済学者、計量経済学者の助けを借りなければいけない分野ではないかと思うのですが、推定が難しいからそれを外して単体規制だけを考えるというのでは、基本的な対策にはならないと思います。報告書には、細かい点ですけれども、経済学的に見るとおかしな表現も見られるわけで、交通経済学や計量経済学の専門家に分析をお願いして対策に活かすという姿勢がぜひ必要ではないでしょうか。そうでないと、単体規制を行ったけれども総量はふえましたという、そういう結論が繰り返されることになると私は思います。
 3番目の点は、この資料の5の骨子の2ページあたりですが、目標としていろいろ書いてありますが、従来からも同様な傾向がありましたけれど、例えば10年先を見越して目標を立てる際に、途中の5年あたりで中間目標を設けるというやり方をします。これはよいいと思うんですけれども、例えばその5年目に達成できなかった時にどうするかということも一緒に書いておく必要があるかと思うんです。かなり具体的なことを書いて、中間目標の達成度が思わしくない時には、さらにこういう政策・措置を講じますということを入れておかないと、結局10年たっても達成できなかったという言い訳しか出てこないと思います。中間で補強するか、あるいは漸進的に経年進行の形で計画をたてるとか、そういういうやり方を考えてもいいのではないか。
 それから、新たな施策とか施策の強化という表現があるんですけれども、確かにその施策という場合には、政策目標を達成するための手法が書かれるはずなんですけれども、施策のところを読んでも、何か目標みたいなことを書いて、結局それをどういうふうに実現するのかという手段をあまり書いてらっしゃらない。規制をしますというのはこれは明らかに手段ですが、経済手法を使いますということでは何をするのかよくわからない。その手段を具体的に書かないと、やはりこういう案というのは生きてこないのではないかと思います。先ほどから問題になっておりますけれども、自動車の中でどう代替するかということよりも、その交通のサービスをどういう形で提供するか、その中で自動車とそれ以外の交通機関との間の選択をどうするかということの方が先にあると思う。ディーゼル車からガソリン車にかえるとか、さらに汚染物質の排出が少ない自動車にかえるというのは、その自動車の中の話でありまして、そればかりをやっていると、いつまでたってもやっぱり排出量は減らないのではないかなというふうに思います。政策的に代替を誘導しようというわけですけれども、負荷の少ない自動車に使用者がみんな切り換えていったら下がるかというと、私は総量はまたふえると思うんですね。使い勝手がよくなって、技術開発が進んだために、運転時のコストが下る、燃料効率もよくなるということになると、かえって自動車の使用が促進されて、総量は増える可能性がある。この問題はは、リサイクル問題と同じ側面がある。リサイクルは、やればやるほどいいかというと、そうではないんですね。スループットがどんどんふえるのは、環境負荷の点では良くない。廃棄物部会の方ではそれがやっと認識されまして、廃棄物の発生を抑制することにもっと高い優先度があるということになりました。本部会でも、交通サービスの提供の中での自動車の役割をどういうふうに下げるかという議論がまずあって、その後でここでいう議論をするという基本的な考え方が大事ではないかと、以上でございます。

【池上部会長】 貴重なご指摘をありがとうございました。いろいろ重要な点があるのですが、これは今、中間報告という段階ですので、これは宿題にさせていただくということでよろしいでしょうか。ただ、一番最後の車同士ではなくて、大量輸送交通との何というか、関係をする、便利をよくする、便利をよくすればするだけまたふえるという構造がいつまでたっても消えませんから、それをどうしていくのかということをひとつ宿題にさせてください。
 それから、もう1つ、一番最初におっしゃったWHOのそのリスクの話ですけれども、私も少しそういう感じを受けるのは、例えばディーゼルの微粒子が細かい微粒子ほど何か有害だと思えるのですね。それと、それからNOxだとか酸性雨、そういうふうなもの、オキシダントが乗っかったようなものが一番有害ではないかと思うのです。そういったあたりの話がちょっと今回のレポートに出てないような感じがいたしますので、そこの評価をもう少し宿題にさせていただいたらなと思うわけです。
 それから、これは私、専門でないからわからないのですけども、今のPMの寄与というのが数値として出ておりましたけど、これは全部重さでいってるんですか。重量ですか。そういうことは、例えば1ミクロン以下のものでも重さで言ってる、そういうふうに理解したらいいんですか。わかりました。そういったことで、今のご発言をもとにしまして、ちょっとその今回初めてというか、取り上げられました微粒子の問題を、もう少し詰めていただいたらというふうに思います。それは最終報告に反映させていただくということにさせていただいて。
 それから、もう1つ、経済の専門家の出番だという話があったんですけど、これはそういうことはもう既に折り込んであるのではないのですか。これ事務局の方にお伺いします。小委員長。

【岡田委員】 大変難しいテーマで、そこのところははっきりと折り込んでおりません。これから、交通行動というものがどういうふうに変わっていくかというところが、例えば非常に環境がよくなる、あるいは車が大変便利になる、便利になればますますふえていくということで、これはご承知のように、イギリスでは何はともあれ将来車がふえるんだということで、総体で抑えて、そして1997年にトラフィック・リダクション・アクトというものを、いわば投網をかけるように、これを減らしていこうではないかという動きをしております。そこまではまだ踏ん切りがつかないんですね。
 それから、ちょっとついでに言えば、計量経済学的な分析をもうちょっとやるべきではないかと、ご指摘のとおりだと思います。私は手元に、イギリスのこんなレポートを持っているのですけど、これはもう非常に詳細にやっておりまして、しかしながら、これがどういう効果があるかという、この努力と効果を計量して実際に減ることの関係ですね、ここのところの見極めが非常に難しい問題だなというふうに、先生の話を聞きながら思いました。
 これ、部会長の言われた、どうもヨーロッパではPMはやっぱりキロメートル当たりグラムで言ってるようですね。これ、ちょっとすいません、余分な話で。

【池上部会長】 そういうことで、すべて積み残しになってしまいますが、どうもありがとうございました。
 それから、そちらでお手を挙げられました。

【鈴木委員】 それでは、3点ほどお願いしたいと思いますが、まず最初、第2章の現状分析のところでございます。表の2−3に各対策ごとの削減量の表が出てますが、これ目標でして、結局その対策を構成する各施策の削減実績というものが算定されているかどうか。算定されてないとすれば、これからでも算定なり推定していただいて、削減目標と削減実績の差の分析を行っていくべきではないかと考えます。確かにここには、個々の削減効果を定量化することは難しいと書いてございますが、やはりこういうことを分析することによって、対策を構成する各施策の削減目標と削減実績を比較することによって、各施策の効果が把握できるのではないかと思います。そもそもそういった定量的なフォローアップが可能な施策か、また定量的には難しいかどうかというのがはっきりするのではないかと思います。そして、それに基づいてこれから改正自動車NOx法によって策定される今度の計画に定量的な目標つきで、こういうものは定量的目標はこういうことだということをして、施策ができるのではないか、そういう判断にもなるのではないかと思います。
 それから、15ページあたりに、今度は進行管理の充実が必要だとこれも書いてありますが、そういった施策のこの効果がはっきりしてれば、それによって進行管理も充実ができるのではないかと。難しいことはここに書いてあるとおりだと思いますけども、ぜひそういう検討はしていただきたいと思っております。そういう面からいきますと、もし現行の削減計画の各対策ごとの施策についての定量的なフォローアップが実施しないと、今度は改正自動車NOx法に基づいて今度策定される今後の削減計画も、今と同じように進行管理やフォローアップができない計画となる恐れがありますので、その点、ぜひご検討を願いたいと思います。
 それから、2点目はもう先ほど杉浦委員からも若干ございましたけども、第4章の各施策の充実強化ということで提案されております施策メニューについてでございます。19ページあたりから、先ほど出ましたような低排出ガスの優遇駐車場の設置とか有料道路料金の減免、それからロードプライシングなどが提案されていますが、いずれにしてもこういうものを具体的に提案するものについては、実施する前に十分費用効果の検討が不可欠だと思いますので、できればこの総論、特にそういうものは実施する前に費用効果について検討を行うような、行って実施するとか、そういうようなことを記述をした方がいいのではないかというように考えます。
 それから3番目は、これも先ほど出ました税の問題でございますが、19ページのところに税制優遇措置のさらなる充実強化と、こうありまして、その中には当然、現在優遇されている自動車関係税があるわけですけれども、その中にも特定財源にあてられているものがあるわけで、それをさらなる充実強化ということを進めるということが書いてあるわけでございますが、先ほど来、出てますように、特定財源は受益者負担ということで、暫定税率によってかなり高くなっておりますから、そういった税制優遇措置をさらなる充実強化をする場合、そういうことを考える場合には、その本来の受益者負担の原則をゆがめないように、十分慎重に検討をしていただきたいと。できればそういった受益者負担の原則をゆがめることのないようにというようなことを、歯どめをかけていただければいいのではないかというふうに考える次第でございます。
 あと、若干細かいことがございますが、後ほどペーパーで提出させていただきたいと思います。
 以上です。

【池上部会長】 どうもありがとうございました。お答えなどありますか。

【岡田委員】 非常に大変急所をつかれたようなご指摘をいただきました。要するに、対策を持つ場合に、コストエフェクティブネスもやはり考えなければいけないというふうなご指摘が、特に大変重要なご指摘だろうと思います。
 それから、自動車税との問題ですが、この問題は、例えばロードプライシングについては、1964年にスイードレポートが出ました時に、税というのは混雑を解消するには全く効果がない。だから、道路上の車のいわば一言で言えば需要と供給の関係で、料金を決めることにやってあるべきだと。したがって、税と料金というのはある程度トレードオフの関係にあるとは言いながらも、税に全くそのトラフィック削減効果がないかというと、そうでもないのですね。そこで、税の効果と料金の関係を道路についてどこまで突っ込んで考えるかと、これはもう非常に大きな政策の問題になりまして、今、ご承知のように9種類の税金があるわけですが、イギリスのようにガソリン税をもうちょっと上げるべきだという提案をしているところもあります。2倍ぐらいに上げるべきだというふうな提案です。それから、自動車の保有に対して、今、話題になっておりますけれども、保有に対してあまり上げることはいいかどうかということもまた、これも批判がありましたり、したがって裏返せば、なかなか税制というのはいじれないと。その上にロードプライシングを乗せたりなんかして、何とかそのトラフィック・リダクションの効果を出せればということになりがちなんですね。大変複雑な問題を抱えておりますので、ちょっと小委員会で議論できるかどうかわかりませんけども、預からせていただきたいというふうに思います。

【桜井委員】 25ページあたりにもこの微小粒子の問題が書いてございますが、調査研究の推進ということでご指摘があるわけですけれども、私もこの微小粒子、健康影響という点で一番懸念されているということ、それから浮遊粒子状物質が横ばいであり、やや悪化の傾向があるようなデータになってきておりますが、もし微小粒子を測定していれば、はるかに悪い方向に動いているのではないかという懸念を強く持っておりますので、この微小粒子の評価方法の確立等、調査研究に早急に取り組むという書き方ではどうもちょっと間に合わないという気がいたします。ぜひ早急に、もう現実に測定に取り組んでいただければというふうに思う次第でございます。
 それに絡んで、14ページに目標というところの達成期間というところでございますが、10年程度が妥当と。中間で5年ということになっているわけですが、こういった重要な微小粒子というような指標を早く出てくるようにしていただいて、それを考えて途中で見直しというようなことも必要になるのではないかという気もいたします。今までの計画が実は7年であったわけですけれども、そうすると7年、最後の段階で改善するかもしれないというようなことで、ずっと引っ張ってきてしまうようなことも考えられるわけで、やはり5年ぐらいのところでかなり本格的に見直す必要があるのではないかというふうに思っております。
 それから、そのためのデータですが、例えば今までこの資料として出てるのは、平成10年までしか出てない。11年のデータは早く出してほしいというのが率直なところでございまして、速報でも結構ですので、それを見てどんどん進行状況を、進行管理という意味でも、何とか早めていただきたいというふうに思う次第です。
 それで、この15ページの基本的枠組みというところで、もう一言追加させていただきますが、計画の進行管理の充実ということ、全くそのとおりでございますが、進行管理だけでなくて、及び施策の効果に関する情報の整備といいますか、要するにそのとおり進んでいるかどうかということ、その進行管理の中にはそれは入ってるとは思いますが、その施策の効果を評価するというそのための情報の整備ということを一言言葉を入れていただくか、何らかの形で重視していただきたいというふうに思います。
 計画の進行管理の充実というところの3つ目のパラグラフで、ちょっともう一言申し上げますと、同時に計画の効果を適切かつ客観的に点検するためにはと書いてありますが、客観的に点検し、計画の推進、見直し、あるいは次期計画の改善に資するためにはというようなことで、ぜひこの評価を後にまた使えるような、情報の蓄積というような意味で言葉を加えていただければ幸いだと思います。
 以上です。

【池上部会長】 どうもありがとうございました。ご意見として承っておきます。いいですか。
 すいません。では、次の方で、浅野委員、お願いします。

【浅野委員】 桜井先生がご指摘になったことは、まことにそのとおりで、特にデータの問題というのは、いつもこういう点検をする時に困ることですから、おっしゃるとおり、ぜひつけ加えるべきだと思います。
 それから、小委員の1人でもあったので、まずいなと思いながら猿田先生のご発言を聞いてたのですが、確かに猿田先生の言われるように直した方がいいと思いますので、さっき猿田先生がご指摘になった点は修正をしてはどうかと思いました。
 それから、特に桜井先生おっしゃったご指摘の中で、この中で書き方として十分でないなと今思った点は、PM2.5について環境基準をつくるという動きがあるという話も聞いてますから、それが出てくれば、当然それに合わせて施策の見直しというのはあるべきだと思うんで、それが5年後、10年後であるはずがないと思いますから、その辺のところはそういうデータがきちんと出てきて、これはデータが出てくればすぐ対応するんだということは書くべきだと、おっしゃるとおりだと思います。
 それから、定量的というところでありますけれども、これもさっき申しました、なかなかそのデータがないということが一番大きな問題と。例えば、ようやく最近はバイパスをつくったら騒音がどの程度下がったということを、工事前、工事後で調べたデータをお出しになれるようになったんですけれども、大気汚染物質についてはほどんどそういうデータはないんですよね。だから、そういう積み重ねをしないで、定量的な議論をしろと言われても、結局足し算の議論みたいになってしまうだろうし、それからそもそもその天野先生のご指摘の点と関連すると思うのですけれども、1つの施策が直ちに1つの数字で効果が上げられるという場合と、それから複数のものが組み合わせて、そのミックスの中で効果を上げるというものがありますから、なかなかうまくいかないですね。従来の計画は、実は計画としては数字を最終の答えだけ出していて、途中の計算経過というのは計画の中に入れていないわけですが、今回ここに出てるのは、言ってみれば楽屋裏の資料をもう1回引っ張り出してきて、こういう積み上げをやって数字が出たんだというのを改めて見てみたわけです。しかし、こういう積み上げのやり方で本当にいいかどうかということがむしろ問題で、しかし積み上げをすることの必要性は決して否定できないわけですね。だから、今までのように足し算方式でない新たな手法を次の計画段階ではぜひ考えなければいけない。それがうまく進行管理に結びつくような形にしなければいけないということは事実です。少なくとも、データについては各種のデータもおありでしょうし、まだ今まで十分でなかったものについては、それぞれの省庁でデータを積極的に用意していただいて、それらを組み合わせるということが必要でありますから、今の段階で直ちに達成が何パーセントとか、この数字的にどうであったかということを言われても、恐らく小委員会としては、ここに書いてあること以上にはなかなかやりづらいというのが率直なところでございますが、申し上げておきたい。

【池上部会長】 どうもありがとうございました。それじゃ、今井委員、お願いします。

【今井委員】 中間報告の案ができてしまってからあっと気がついて、今からこんなことを言って申しわけないのですけど、先ほど委員からもご指摘がありましたが、今後の自動車排ガスの総合対策ということで、大体5年から10年先のことを考えられて、もとを断たなきゃだめ的な規制に集中していますが、もとを断つということは大切なので、こうしたは根治療法的なことは必要だと思うんですけれども、先ほどのWHOの報告も含めまして、例えば大阪地区なんかの気管支ぜんそく的な疾患のような発がん性の有無までいかなくても、国民の30%以上がアレルギー疾患になっているみたいな、そういう状態の中で、特に都市部が多いわけですが、そういうことを考えますと、どうしても早急にしなければならない対象療法というものについては、この報告書は何も触れてないかなということに気がついてしまったんですね。中間報告ですから、先ほど天野委員の時にお話がありましたように、最後のページの今後のところに入れられても構わないとは思いますが、少なくとも局地対策みたいなことで、特にいわゆる浮遊粒子状物質とか微小粒子なんかの場合は、NOxだのCO2 だとかというものと散逸する機序が違って、もっと落ちてしまうわけですよね。例えばフタル酸エステル類は、プラスチックの可塑剤として使うんですが、いろいろな被害があることがわかって以来、それを使わなくなったけれども空中にあるものとか、こういうところに落下してくっついてしまったものというのは減ってないという状況があるわけで、トラックが走っていて、その時に自分が出す排ガスの中にある微粒子だけではなくて、道路に落ちてしまったのがまた舞い上がってくるということを考えたら、積み重なってしまっているわけだから、そういったものに対する対策というのが、やっぱりどこかでないとまずかったかなという気がしました。例えば、今日みたいに雨が降っていると、その雨が流してくれる、そして下水を通ってどこかへ行ってしまうから、その分は減っていくみたいなことがあるので、局地的なその対策の中にでも、例えばなるべく自然の力を借りて、なおかつそれにもう一押しして、散水車なんかが回るとか、それからあと、車一つずつで、一応その一つ一つが吸収するものと考えたら、ワックスで車をぴかぴかにしてほこりが落ちてしまうようにするのではなくて、逆に車がそれを吸収していくようなシステムとか、それはもう具体例はいろいろあると思うのですけれども、何らかの形で対象療法的なところをできれば今回もちょっとどこかに入れていただけるとよかったかなと思います。
 以上です。

【池上部会長】 どうもありがとうございました。まだありますか。
 今のことは、ちょっと最終の報告にも反映してやってください。
 じゃあ、お願いします。

【角田委員】 大気測定運動を続けている主婦連の角田でございますが、もう20年近くになるのですが、今、今井委員がおっしゃったように、実は私は大阪で、この大気の測定、簡易測定でございますが、それを始めたそもそものきっかけは、小児ぜんそくが余りにも大阪で多いという、その実態からでございました。今現在も、小学校や中学校の子供たちと一緒に、二酸化窒素の簡易測定を始めております。
 中間報告案の資料6の[1]の[1]に読ませていただきますと、近年、ほぼ横ばい傾向が続いているというような事柄が、2つほど続いて書かれております。非常にこれを拝見しておりますと、余り問題がなくて、悪くなくて、また逆にいいのではないかというふうに読もうと思えば読めるのではないか。私たちの関係からいきますと、非常に悪い数値でとどまっておりまして、一向によくならないという気持ちが、非常に子供たちとの間で出ております。相変わらずその黒い煙を吐き出して自動車は走っておりますし、それから空吹かしなんかも相変わらず、アイドリング・ストップの運動を続けていますけれども、なかなか定着していないということでございます。
 それから、ディーゼルの排気粒子と発がん性について、国際的にもはっきりと出されているのでございますから、私はもう少しこういう部分で厳しくお出しをいただいた方がいいのではないかなというふうな気持ちをいたしました。 私がアイドリング・ストップ運動を続けておりまして、非常に悩んでおりますことは、それは警察庁ではアイドリング・ストップは逆にその空吹かしをしてよくないのだということ、環境庁ではアイドリング・ストップ運動を続けなさいという、現場では大変大わらわでございまして、こういうことも関係の連携ということがぜひ必要なのではないかなというふうに強く思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【池上部会長】 どうもありがとうございました。まだまだご意見がございましょうが、時間が。はいどうぞ。

【松下委員】 今、何人かの先生が、健康影響はこの委員会やってないではないか、書いてないではないかというお話でございますが、4ページに書いてありますように、大気保全局に設置された別の委員会で十分やっているのです。そこでは、かなり厚いレビューがだんだんできつつあります。その報告書をベースにして書き込むということをご了承いただければ、非常にありがたいと思います。

【池上部会長】 どうもありがとうございました。ちょうど時間を過ぎましたので、予定の時間を過ぎましたので、まだご意見がおありと思いますが、もしございましたら、これからパブリック・コメントの話をするわけですけども、それと同様にご意見を事務局の方に出していただくということで、ご了承いただきたいと思います。
 では、ご議論、いろいろ有益なご指摘をいただきましたことをお礼申し上げます。
 中間報告にありましたように、対策のあり方のさらなる検討、削減効果の予測というふうな問題につきましては、今、言いましたようにパブリック・コメントの意見も踏まえまして、さらに小委員会で審議させていただきたいと。もちろんきょう出ました意見を踏まえて、お願いしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それに関しまして、議題3、その他に入りますが、パブリック・コメント等の話と、それから次回のスケジュール、そういったことについてご説明ください。

【一課補佐】 それでは、今後のスケジュールだけ簡単にご報告させていただきたいと思います。
 きょうのご議論を踏まえまして、必要な修正を加えた後、できるだけ早くパブリック・コメントの手続に入りたいと思っております。約1カ月程度、パブリック・コメントで一般の方々からの意見を募集させていただきたいというふうに考えております。
 次回、小委員会につきましては、調整させていただきました結果、9月の20日の午前10時から、その次は10月の2日のやはり午前10時からを予定しておりまして、小委員会の方々にはもちろんご出席いただきたいと思っておりますけれども、部会のメンバーで小委員会に所属されていない方でも、もしご都合がつくようでしたら、事務局の方に申しつけていただければ、手続をさせていただきますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

【池上部会長】 どうもありがとうございました。
 これで、本日予定しておりました議題をすべて終了いたしました。
 これで、閉会させていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。