中央環境審議会第27回大気部会議事録



 
1. 日  時   平成12年2月10日(木) 10:30〜12:15
 
2. 場  所   東海大学校友会館 富士の間
 
3. 出 席 者

  (部 会 長) 池 上   詢
  (委  員) 伊 藤 桂 子       今 井 通 子       
         入 山 文 郎       岡 田   清       
         加 藤 勝 敏       近 藤 雅 臣       
         鈴 木 継 美       常 俊 義 三       
         富 永   健       中 野 璋 代       
         松 下 秀 鶴       宮 本   一       
  (特別委員) 宇 野 則 義       恩 田 怡 彦       
         香 川   順       河 野 通 方       
         猿 田 勝 美       大 聖 泰 弘       
         西 山 紀 彦       林   裕 造       
         横 山 長 之       (五十音順)
 
  (環 境 庁) 大気保全局長        企画課長
         大気生活環境室長

 
4. 議  題
  (1)臭気指数に係る排出水における規制基準の設定方法について
  (2)悪臭防止対策の強化のため講ずべき方策のあり方について
  (3)その他
 

5. 配 布 資 料

・中央環境審議会大気部会委員名簿
  資料1 中央環境審議会第26回大気部会議事要旨
  資料2 中央環境審議会第26回大気部会議事録(案)
  資料3 中央環境審議会大気部会報告案に対するパブリックコメントの実施結果について
  資料4 悪臭防止対策の今後のあり方について(第三次報告)(案)
  資料5 悪臭防止対策の強化のため講ずべき方策の在り方について(諮問)
  資料6 近年の悪臭苦情と規制の状況
  資料7 臭気判定士制度の概要
   添付資料 臭気判定士パンフレット
  資料8 尼崎訴訟判決(平成12年1月31日)概要
 

6. 議  事

【事務局】 定刻でございますので、これより第27回大気部会を開催させていただきます。
 本日の出欠についてですが、浅野委員、櫻井委員、佐和委員、松原委員、谷田部委員、木原特別委員、永田特別委員、新美特別委員からそれぞれ御欠席との御連絡をいただいております。
 また、前回の部会後、平成12年2月8日付けで新たに社団法人日本自動車工業会副会長の奥田碩委員が任命されましたので御紹介させていただきます。なお、本日は所用により欠席されております。
 本部会は、平成11年6月29日付けの大気部会長決定に基づき、公開となっております。
 まず、資料の確認をさせていただきます。
               (配布資料の確認)
 それではここで、大気保全局長から一言御挨拶を申し上げます。

【大気保全局長】 本日は、御多用のところ大気部会に御出席いただきまして感謝を申し上げます。
 今回御審議いただくことは2つございまして、1つは、前回の大気部会で御審議いただきました大気部会報告案に対するパブリックコメントの実施結果を踏まえまして、最終的な大気部会の考え方について御審議いただき、「悪臭防止対策の今後のあり方について」の大気部会第三次報告を取りまとめていただきたいと考えております。
 2つ目に、本日付けで諮問させていただいております「悪臭防止対策の強化のため講ずべき方策の在り方について」について御審議いただきたく考えております。
 人間の嗅覚を用いて測定する臭気指数の規制は、平成7年の悪臭防止法の改正により導入されておりますが、ここ数年の悪臭苦情の実態をみても、いわゆる複合臭問題がかなりの割合を占めておりまして、臭気指数規制の推進が急がれていると考えております。今回、大気部会報告をおまとめいただくことで、臭気指数規制基準が3つ全て整うことになることから、臭気指数規制制度のより一層の推進が必要と考えておりまして、併せて臭気指数測定体制の充実・強化の取組を進めてまいりたいと思っております。
 感覚公害に対する対策というのは仲々難しいと考えておりますが、また、悪臭の苦情と住民意識の関係といったことについて、今後の調査研究の成果を待つところもあるわけでございますが、臭気対策は今後の環境行政にとって大変重要な問題と認識しております。
 今後、苦情実態により合致する臭気指数の規制のより一層の推進を考えてまいりたいと思っておりますので、委員各位の御協力を賜りますようお願い申し上げます。そういうことで、今日の審議をよろしくお願い申し上げます。

【事務局】 それでは、部会長から御挨拶をお願いいたします。

【部会長】 おはようございます。今日はお忙しい中を御出席いただきましてありがとうございます。
 前回から審議を行っております「悪臭防止対策の今後のあり方について」の第三次報告(案)についてパブリックコメントにかけましたので、今日はそれを踏まえ審議をさせていただきたいと思います。できれば本日、部会の報告として第三次報告を中環審会長に出し、環境庁長官に答申されるように運べればと思っております。
 それからもう一つ、これに関連して、「悪臭防止対策の強化のため講ずべき方策の在り方について」について新たに諮問されていますので、御審議をお願いしたいと思っています。よろしくお願いいたします。
 それでは、議事を進めさせていただきます。
 まず、資料1及び資料2として第26回大気部会の議事要旨と議事録(案)が提出されております。資料1及び2を御覧いただきたいと思いますが、資料1につきましては、既に私の方で確認をいたしまして、公表したものでございます。
 資料2の議事録(案)につきましては、委員の皆様方に事前にお送りして内容の確認をいただいているところでございますので、特に御意見等がございませんでしたら、当議事録を公開の扱いにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、御了解が得られたと考えてよろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 それでは早速、議題の1に入らせていただきます。「臭気指数に係る排出水における規制基準の設定方法について」でございます。
 まず、前回の部会で悪臭専門委員会報告について委員の方々から御指摘のありました事項の処置について、事務局から御説明をお願いいたします。

【大気生活環境室長】 大気生活環境室長の藤田でございます。
 前回の部会におきまして、専門委員会報告案について御指摘をいただきましたところについて、その対応状況を御報告させていただきます。
 まず第1点目は、A委員から御意見のありました「排出水に係る苦情発生の状況」に関する記述についてでございます。お手元の資料4の2ページを御覧いただきたいと思います。2の「排出に係る苦情発生の状況」という項の2つ目のパラグラフ、「また、排出水に係る苦情件数を発生源別にみると、……」というところの記述について、前回御審議いただきました専門委員会報告案では、「排出水に係る苦情件数を発生源別にみると、「個人住宅・アパート・寮」が最も多く 287件、第2位は「サービス業・その他の 259件、第3位は「食料品製造工場」の 217件であった。その他には、「下水・用水」(192件) 、畜産農業 (81件) に係る苦情が多かった。」という記述がされていたのですが、これにつきまして、この節で説明しようとする文意からしてこの表現が不明確ではないかという御意見でございました。このA委員の御意見を受けまして、部会長から修文するように御指示がございまして、悪臭専門委員長と御相談のうえ、部会長の御了解を得まして、今お手元に配らせていただいております記述、すなわち「排出水に係る苦情件数を発生源別にみると、事業場に係るものが 623件(排出水に係る悪臭苦情件数のうち53%)、下水・用水に係るものが 192件(同17%)、その他が 349件(同30%)であった。」と修文させていただきました。
 次に、2点目は、B委員から「悪臭苦情の発生実態に基づく検討」に関して、もう少し統計的な処理ができる程度に件数を整理して扱うようにした方がよいのではないか、という御意見がございました。これは専門委員会報告の8ページに記述されておりますけれども、ここにつきまして、前回の事務局の説明が不十分でありましたので、悪臭専門委員長と御相談し、悪臭専門委員会の委員にも御意見をお聞きして、検討内容の整理をさせていただきました。その結果を本日、「悪臭苦情発生の有無の判別に関する検討結果」というメモでお配りさせていただいておりますので、これによりまして説明させていただきます。
 まず、目的は、臭気指数第3号規制基準を定めるに当たって、悪臭苦情の発生がどのような条件によって判別できるかを統計的に検討し、規制基準の妥当性を検証するということです。方法としては、排出水臭気指数の実態調査結果に基づき、排出水臭気指数のほか、次の7項目、すなわち 1.5m上臭気指数、希釈度、排水量、気温、水温、風速、pHのデータを用いて、最も効果的な判別関数について検討いたしました。
 排出水臭気指数に変数を幾つか追加し、排出水臭気指数のみの場合に比較して判別率の向上がみられるかどうかを検討したわけでございますが、その結果、判別率が大幅に向上するという結論は得られなかったわけでございます。ただし、排出水臭気指数、風速、排水量の3変数の組み合わせによって、排出水臭気指数のみの場合(判別率71%)に比較しますと、やや高い判別率(78%)が得られました。このことから、風速と排水量は判別率の向上に寄与していることが判明いたしました。しかし、排出水臭気指数の判別関数の係数(各変数を標準化して求めた変数)を見ますと、他の変数に比較して 0.896とかなり大きいことから、悪臭苦情の有無の判断に排出水臭気指数が大きく寄与しておりまして、風速、排水量の寄与は小さいと言えるわけでございます。
 なお、4〜6の変数の場合についても試みましたが、今申し上げました3つの変数の場合を上回る判別結果は得られなかったわけでございます。
 したがって、この結果から、苦情の有無は大半が排出水臭気指数によって決定づけられるわけですが、風速等の気象条件、排出条件によっても多少影響を受けると考えられ、このことは、重回帰分析の結果とも定性的には整合しております。
 また、これらの気象条件等は常に変動しておりまして、苦情発生に至る時間スケールと必ずしも整合するものではなく、その点も考慮すれば、苦情の発生は排出水臭気指数のみによってほぼ説明されると考えることが妥当であるという結果でございました。
 以上でございます。

【部会長】 ただ今の御説明に対して、A委員とB委員、何かございますか。

【B委員】 大変結構でございます。

【部会長】 修文も含めてよろしゅうございますね。

【A委員】 はい。

【部会長】 それでは、この件は、このような修文を含めてお認めいただくということにさせていただきます。
 次に、先般実施されました中央環境審議会大気部会報告(案)の「悪臭防止対策の今後のあり方について(第三次報告)」のパブリックコメントに対する実施結果について、悪臭専門委員長から御報告をお願いいたします。

【悪臭専門委員長】 それでは、今部会長からお話のございましたパブリックコメントの結果につきまして御報告申し上げます。
 大気部会報告(案)に対するパブリックコメント手続につきましては、本年の1月12日から2月3日までの間に行われたわけでして、その結果を取りまとめましたので、概要について御報告させていただきます。
 今回のパブリックコメントに基づく意見提出は、規制基準設定の考え方について1通、今後の課題について4通ございました。これらの御意見について、悪臭専門委員会の委員ともいろいろと協議しました結果、資料3のとおり取りまとめましたので、その内容については事務局から御報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【大気生活環境室長】 では御説明させていただきます。お手元の資料3の1ページをお開きいただきたいと思います。
 今回のパブリックコメントにおきましては、合計5通の意見提出がありました。意見の延べ総数は12件となっておりますが、これは後ほど御説明させていただきますが、「今後の課題」に対する意見で同じような意見が2つございましたので、延べ総数として12件となっているものでございます。
 また、今回意見を提出されました方の属性でございますが、5名の方は全て個人からの御意見でございまして、1人は水処理関係の学会に所属されている方、あとの4名の方は測定機関に所属されている方でございました。ちなみに男性が3名、女性が2名でございました。
 それでは、提出されました意見に対する考え方について御説明させていただきます。
 説明の順番が逆になりますが、まず、資料3の3ページをお開きいただきますと、「今後の課題について」ということで4通意見が出されております。これについて、意見の概要、その意見に対する考え方、これは当大気部会としての考え方の案としてまとめているものでございます。
 まず(1)の規制方式について、「特定悪臭物質の個々の測定では、臭気の実態を必ずしも反映していないため、複合臭を把握できる臭気指数等による規制は歓迎する。」という御意見でございます。これに対する考え方でございますが、「特定悪臭物質濃度による測定は、においをある物質に着目して把握する方法で、事業活動により特定の物質を主として排出している事業場において特に効果の高いものです。一方、臭気指数による測定は、においを総体的にとらえるもので、種々のにおいが混合した場合の相互作用の影響を把握できるものであり、複数の物質を排出している事業場の実態を反映するものです。これらは、地方自治体が地域の実情を考慮して採用するものでありますが、近年の苦情実態に鑑みれば臭気指数規制は推進すべきものと考えています。」ということでまとめております。
 次に、(2)の臭気指数規制の推進についてでございます。「臭気指数規制を地方自治体が採用する動きがあまり見えないが、臭気指数規制を積極的に推進していく施策を講ずる必要がある。」という御意見でございます。これに対する考え方でございますが、「今回の排出水に係る臭気指数規制基準の設定により臭気指数規制基準が全て整備されること等から、今後地方自治体では採用する動きが具体化するものと考えますが、その導入の一層の推進を図るべきです。このため、地方自治体における臭気指数規制導入の推進に資する方策の検討を早急に講じる必要があります。」ということでございます。
 次に、(3)の精度管理等の実施についてでございます。「臭気指数はヒトの嗅覚を用いることから、精度管理に力を注ぐべきであり、研修会の開催等により技術の向上を推進するとともに、分析機関間における測定差に対応するためのクロスチェックを行うことが必要である。」という御意見でございます。これに対する考え方として、「臭気指数の測定にはヒトの嗅覚を用いることからパネルの管理等が重要であり、オペレーターとしての臭気判定士による精度管理が重要と考えられ、その技術の向上に積極的に取り組む必要があります。また、測定技術の向上については、さらに所要の対応を図る必要があり、クロスチェックを行うようにすることは大切であると考えます。」ということでございます。
 次に、(4)の臭気判定士の活用についてでございます。「臭気指数測定体制の充実強化のため、臭気判定士の積極的活用進めることが必要である。」という御意見でございます。これに対する考え方として、「臭気指数規制に係る全ての規制基準が整備され、本格的に導入が図られることから、地方自治体を含め測定体制の充実を図ることは緊要の課題であり、臭気判定士の積極的活用方策について具体的に検討し、推進することが必要です
。」ということでございます。
 次に、(5)の測定法等の周知についての御意見で、「排出水に係る規制基準が施行される前に測定法等に対する技術的説明が必要である。」という御意見でございます。これに対する考え方として、「排出水に係る臭気指数の測定法は新たな方法であることにも鑑み、規制基準が施行される前に、説明会、研修会等を開催する必要があります。」ということでございます。
 次に、(6)の安全対策についてでございます。「臭気のサンプリング、測定時の安全対策についても検討することが必要である。」という御意見でございます。「臭気のサンプリング、測定時の安全対策は重要であり、その対応について検討する必要があると考えます。」ということで考え方がまとめられております。
 なお、補足でございますが、平成12年度の政府予算案におきまして、今回御意見の出ております精度管理、安全対策に関係して所要の予算が計上されておりまして、この関係についての取組をすることにしておるところでございます。
 次に、もとに戻っていただきまして、1の規制基準設定の考え方について1通御意見が出ております。この御意見は、今回の規制基準の上限値、下限値について、もう少し下げれるのではないかという観点からの御意見でございますが、この御意見に関しましては、悪臭専門委員会において検討されておりまして、先ほどB委員から御意見のございました資料4の専門委員会報告の8ページを御覧いただきますと、イの「悪臭苦情の発生実態に基づく検討」の項の図の下の4行目のところで、「これは、希釈度の平均値を基にして設定した規制基準の範囲の下限(1.5m上臭気指数の許容限度が10に対応する値)を若干下回っている。」と記述されておりますけれども、これは、この御意見の趣旨のことも悪臭専門委員会で検討された結果として記述されているものでございます。
 なお、この出されました御意見の概要とそれに対する考え方につきまして、事務局の方から説明させていただきます。

【事務局】 規制基準設定の考え方についての(1)規制基準の上限と下限ということでございます。「規制基準は、『住民の大多数が悪臭による不快感をもつことがないような臭気指数の範囲』とすべきである。従って、臭気指数の下限は、苦情の生じる境界の臭気指数24.7を確実にカバーする必要がある。また、臭気指数の上限は、図4の苦情件数が過半数を超える30〜34のゾーンが限度と考えられ、37では苦情を容認するものと解される。」ということで、先ほど大気生活環境室長の方から御説明しました専門委員会報告の8ページの図に関しての御質問でございます。これにつきましては、次のように考えております。
 「規制地域の住民の大多数が悪臭による不快感をもつことのないような濃度」とは、昭和47年の法律を作った時点での中央環境審議会答申の中に述べられておりまして、そのとおりであると考えます。現在、この考え方に基づき、規制基準は、敷地境界線、気体排出口、排出水の3つあるわけですが、この3つの規制基準の一番もとになる部分、敷地境界線の規制基準が決められており、これは臭気指数で10〜21と定められています。これは6段階の臭気強度がございまして、その臭気強度の 2.5〜3.5 の範囲と定められているものでございます。
 悪臭苦情は様々な要因により発生してくるもので、事業場と住居との近接度や周辺住居の密集度などにより異なります。また、住民の不快感を的確に判断する評価法は現在のところまだ確立されていないということがございます。このため、排出水臭気指数と苦情の発生状況から統計的手法により算出した数値をそのまま規制基準の下限値とすることは難しいと考えておりまして、いくつかの観点から総合的に判断する上で参考とすべき重要な要素の一つと位置づけているということでございます。
 また、規制基準の上限についても、今申し述べたとおりの考え方でございまして、排出水臭気指数の規制基準は、敷地境界線の許容限度を基礎として定めると法律で決められておりまして、これを基にして規制基準の上限を37と定めたものでございます。
 なお、規制基準は、地域の実情に応じて定められるということで、範囲として示してございまして、主として工業の用に供されている地域などの順応の見られる地域(臭気強度3.5 の地域)における上限値として、妥当なものであると考えます。また、例えば住宅地域等順応の見られない地域(臭気強度 2.5の地域)においては、規制基準値は26〜31が適用範囲となりますので、住宅地等においては37という規制基準は出てこないということになります。
 (2)代表的な希釈度の算出ということでございます。「一律に希釈度0以下をカットしているのは理解できない。分布範囲が広い場合は、両側棄却等を検討すべきであり、再度全データを見直し整理することが望まれる。また、希釈度は種々のパラメータが影響し、理論的に説明できない値が存在することは、あり得る。整理の観点として『らくに感知できるにおい』の程度である 1.5m上臭気指数の実測値を臭気指数15付近以上、排出水臭気指数を10付近以上の組み合わせにより信頼性のある領域で整理する等の考慮が必要である。」ということでございますが、これについて、希釈度0以下は次の考え方で整理した結果としてカットされた形となったものでございます。
 排出水臭気指数が小さい(低濃度)場合、1.5 m上臭気指数が10未満、これは「三点比較式臭袋法」による臭気指数の場合には検出下限値が10といっておりますので、これ以下のものが出てくる場合がありまして、この場合は希釈度を算出することができないということになります。この場合、希釈度の算出に 1.5m上臭気指数が10以上のものしか使えないという形になってしまうものですから、その結果として希釈度を実態より小さく見積もってしまうことになります。このため、排出水臭気指数が小さいものについては、解析の対象外としておりまして、また、希釈度データの中には、現地の臭気の状況と 1.5m上臭気指数の結果が明らかに異なるもの等がありまして、これらについて実態を踏まえて解析から除外して整理したということでございます。
 なお、一般的に上下カットは、異常値等の影響を除くために行うものでありますが、今回の解析においては、測定の実態等から判断してデータの整理を行っております。また、希釈度は、実際の排出水から発生している 1.5m上臭気指数との関係であることから、例えば風が非常に強いとか、いろいろな影響がありますと、理論的に説明できない場合が出てきます。そのため、今回の実態調査では、気象条件を「降雨時以外で、無風から微風(そよかぜ)程度の状況」と想定した中で実施するということで地方自治体に依頼しているということでございます。
 排出水臭気指数及び 1.5m上臭気指数のデータの信頼性は、分析精度の観点から共に十分に確保されていると判断しておりまして、解析対象としたデータについても前述の考え方で整理したことから、希釈度も信頼性を有していると考えております。
 また、希釈度を用いる解析手法は、今、硫黄系の4物質について物質3号規制基準を決めさせていただいているわけですが、このときと全く同じ考え方で、希釈度は実態を反映した経験則という形で用いさせていただいたものであるということでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。(3)排水処理対策についてでございます。「排水処理方法を組み合わせることにより、規制基準35は厳しい範囲ではなく、24とした場合でも処理方式によっては適合可能と見込まれる。但し、小規模事業者への配慮は必要である。」という御意見でございます。これについては、次のとおりでございます。
 規制基準の設定にあたって、処理技術のレベルを把握することは非常に重要なことでございます。専門委員会報告の10ページの表3における調査結果も基準設定の大きな要因と考えております。この場合、処理技術的に適用可能であることが重要な判断要素でありますが、生物及び物理化学処理の組み合わせによる処理は、処理施設として大規模なものとなる可能性があるなど実態面も考慮する必要があります。ということから、処理技術のみによって規制基準の設定を行うのではなく、総合的に判断すべきものと考えるということでございます。
 (4)規制基準値ということでございます。「規制基準は、実測データより第1号規制基準との関係を確認し、低減技術の可能な範囲内で定めるべきであり、24〜35程度とするのが最も有効と考える。」という御意見でございます。これにつきましては、以下のとおりでございます。
 上記(1)〜(3)の意見に対する考え方のとおりであり、今回設定した26〜37の範囲で、地方自治体において、地域の実情に応じて定めることが妥当であると考えます。
 なお、御指摘のありました悪臭に対する住民の意識は、時代とともに変化することから、悪臭苦情と住民意識の関係などについて調査研究を進めるなど、今後も検討していく必要はあると考えます、ということでございます。
 以上でございます。

【部会長】 どうもありがとうございました。
 ただ今の事務局からの説明、悪臭専門委員長の御説明に対して、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。
 なお、これについて議論の後、大気部会としての意見に対する考え方としてとりまとめることとなっております。

【B委員】 3ページの「今後の課題について(4通)」の(1)のコメントの方では「特定悪臭物質の個々の測定では、」というところから始まっていますので、意見に対する考え方の最後の部分で「近年の苦情実態に鑑みれば臭気指数規制は推進すべきものと考えています。」と書いてあるのですが、特定悪臭物質の規制と相まって、みたいな、特定悪臭物質についてのコメントを結論のところにも入れた方がいいのではないかと思います。

【大気生活環境室長】 悪臭防止法における規制の方式としましては、B委員から御指摘がございましたように、特定悪臭物質に着目して規制する方式と、複合臭等に対応するための臭気指数規制方式と2つあるわけでございますが、ここでは住民苦情の実態により適合した方式である臭気指数規制方式を推進すべきという表現が、考え方として必要であろうかと思います。

【C委員】 私、パブリックコメントの取扱いについてよく存じ上げないのでお伺いします。こういうコメントがきた場合に、ここで「意見に対する考え方」というのを出しておられますが、これはコメントをいただいた方はこの案で納得されていると考えてよろしいのでしょうか。

【大気生活環境室長】 パブリックコメント手続についてでございますが、この部会の報告案に対して国民からの意見を求めるということで出されてきたものにつきまして、部会としてその意見に対する考え方をまとめ、公表するという形をとらせていただいております。従いまして、個々の方に、出された意見について、この考え方はこうであるという説明はしないという形でございます。

【D委員】 パブリックコメントによる意見に対する考え方については、内容としてはこのままでよろしいと思います。けれども、もう少し詳しいことを教えていただきたいということで御質問いたします。臭気判定士の積極的活用は非常に重要なことですが、現状はどうなっているのかということと、臭気指数規制導入を推進する方策を進めなければならないと書いてありますが、具体的にどういうことを考えておられるのか。それから、測定時の安全対策の重要性を強調しておられますけれども、どのようなことを考えておられるか。

【大気生活環境室長】 臭気判定士の関係でございますが、これは後ほど資料によって詳しく御説明させていただく予定にしておりますけれども、現在、臭気判定士の資格を持っておられる方は約 1,600名でございます。今後さらに臭気指数規制が本格的に導入されることになりますと、臭気判定士を増やす、あるいはその質を高めるという方策が必要となってくるということでございまして、そのために具体的にどういう対応をしていくかということが今後の課題であろうと思っております。
 自治体に対しての関係でございますが、悪臭防止法に基づく臭気指数規制制度が平成7年の法改正で導入されたのですが、まだ規制基準の設定がそろっていないということから、この規制基準の設定がそろうまで待っているというような自治体もございますので、今回、排出水の規制基準が設定されることによって、制度的にはこれで整うということもございますし、そういうことを受けまして、私どもとしまして、臭気指数規制導入を進めていく際に必要となるガイドラインを作りたいと考えております。
 次に、安全対策の関係でございますが、今回の排出水に係る測定について特に安全対策という面ではそれほど問題はないかと思いますが、この御意見を出された方も、煙突等からの排出口に係る規制基準、2号規制基準の関係で、煙突からの臭気を嗅ぐときに安全性について危惧されているという御意見でございますけれども、そういうこともございますので、測定時の安全対策について配慮すべきところについて、指針となるようなものをまとめたいと考えております。

【E委員】 確認しておきたいのですが、排出水臭気指数に使われる風速というのは、気象観測法でいうところの風速、地上風の風速ということでよろしいのでしょうか。

【大気生活環境室長】 E委員の御指摘のことでございますが、悪臭専門委員会における規制基準の設定に係る検討において、実態調査時の気象条件の一つとして、風速は無風から微風(そよかぜ)程度の状況を想定して行ったということであります。

【部会長】 他にございませんでしょうか。
 ないようでしたら、当部会として資料のように意見に対する考え方を取りまとめさせていただくことにさせていただきます。
 続きまして、ただ今のパブリックコメントの結果を踏まえまして、さきの大気部会報告(案)を修文し、最終的に大気部会報告の取りまとめをしたいと存じます。つきましては、大気部会報告(案)について修文したものを事務局の方で作成してもらっておりますので、事務局から説明をお願いいたします。

【大気生活環境室長】 それでは、資料4の「悪臭防止対策の今後のあり方について(第三次報告)(案)」を御参照いただきたいと思います。
 資料4の1ページの部分は、悪臭専門委員会の第三次報告のとおり、規制基準について、排出水の規制基準を26〜37の範囲で設定するのが適当であるということでございます。これは前回の報告案のとおりでございます。
 次のページのなお書き以下のところでアンダーラインを引いてあるところが、パブリックコメントを受けました修文箇所でございます。
 まず最初のアンダーラインのところの「臭気指数規制は複合臭等の問題に適切に対応する方式であること等から、」を挿入させていただいておりますが、これはパブリックコメントで「今後の課題について」の意見におきまして、(1)のところで、複合臭を把握できる臭気指数等の規制を進めろという御意見に対応して記述させていただいているものでございます。
 なお、「今後の課題」の関係で、精度管理の実施ということが言われておりますけれども、この関係につきましては、一番下の行でございますが、「測定技術の向上及び」ということで、「測定技術の向上」という中で精度管理等についての取組を書かせていただいております。
 なお、安全対策の関係につきましては、測定技術の向上・開発に絡んだことでもございまして、特に表現はいたしておりませんが、「等」で読み込むという形にさせていただいております。
 あと、御意見としてございました臭気判定士の活用あるいは臭気指数規制の積極的導入という御意見は、原文で「臭気指数規制制度導入の一層の推進を図ることが重要である」
あるいは「臭気判定士の積極的活用方策について幅広く検討し、推進する必要がある。」と書かれておりますので、そこは特に手を加えておりません。
 あと、規制基準設定の考え方についての御意見についての修文でございますが、先ほど部会としての意見に対する考え方のところで、「悪臭に対する住民の意識は、時代とともに変化することから、悪臭苦情と住民意識の関係などについて調査研究を進めるなど、今後も検討していく必要はあると考えます。」というまとめがございました。そういったことも「悪臭に関する調査、研究」という文意の中で読み込んでおりますし、さらにこういう取組を進めるということで、「さらに、良好なにおい環境の形成に向けた取組を一層進める必要がある。」という文言を付け加えさせていただいております。これがパブリックコメントを受けました修文箇所についてでございます。
 引き続きまして、部会報告(案)を、今の修文も含めて、全文朗読をさせていただきます。
           〔資料4 部会報告(案)全文朗読〕
 

【部会長】 ありがとうございました。
 ただ今説明のありました「悪臭防止対策の今後のあり方について(第三次報告)」について、御意見、御質問がございましたらお願いいたします。
 私から1つ、下線が引いてあるところの「臭気指数規制は複合臭等の問題に適切に対応する方式であること等から」の「等」は何を指すのでしょうか。

【事務局】 臭気指数規制は、複合臭への適切な対応が可能であるということが1つでございますし、また、約40万種ぐらいあると言われています、多種多様な未規制の悪臭原因物に実効性のある対応をするという意味で「等」を入れさせていただいております。

【部会長】 次の「適切に対応する方式であること等から」の「等」は何を指すのですか。

【大気生活環境室長】 この「等」につきましては、今般、排出水に係る臭気指数の測定方法が確立されることから、臭気指数規制制度の導入を進めていく体制ができるということの意味で書いたものでございます。

【F委員】 線が引いてある部分の前の文章、「今回の報告により悪臭防止法に基づく臭気指数に係る全ての規制基準が確立されることとなることから」というのは、読みづらいですね。「確立されること」でいいのではないですか。「となることから」まで書かなければいけない理由がよく分からないのですが。

【大気生活環境室長】 今、F委員が言われたことが端的な表現かと思うのですが、事務的に申しますと、規制基準の具体的な数値は、都道府県知事が定めることになっていることもございまして、今回、規制基準の範囲が定められたのを受けて、知事が規制基準を具体的に定めることができることになるという、ワンテンポあるものですから、「こととなる」という表現にしたのですが、ちょっと分かりにくいかもしれません。

【部会長】 「されることとなることから」は複雑ですね。

【大気生活環境室長】 文章が分かりにくければ、F委員の御指摘のような形で文章を整理するのがいいかと思います。

【部会長】 部会報告の最終的な文章表現については、部会長の私と悪臭専門委員長、事務局にお任せいただけますでしょうか。少しましな文章にさせていただきますので、御一任ください。よろしゅうございますか。
          〔「異議なし」との声あり〕 

【部会長】 そのほかにございませんでしょうか。
 では、本報告案について、全体として御承認いただいたことにさせていただいてよろしゅうございますか。
          〔「異議なし」との声あり〕

【部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、本案を少し修文の上、大気部会報告として、中央環境審議会会長に報告させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、事務局より、本日取りまとめられました部会報告の今後の扱いについて説明願います。

【大気生活環境室長】 ただ今お取りまとめいただきました大気部会報告につきましては、中央環境審議会会長の御決裁を経て審議会の答申となるということで、本日付けで環境庁長官あて答申されるということになります。
 また、環境庁としては、この答申を受けまして、速やかに悪臭防止法施行規則の改正等所要の手続を進めたいと考えております。

【部会長】 では、議題1の審議を終わらせていただきます。
 続きまして、議題2の「悪臭防止対策の強化のため講ずべき方策の在り方について」に入りたいと思います。前回の部会でも、平成9年度、10年度の悪臭苦情の実態について報告がございましたが、近年の苦情件数の増加等を踏まえまして、悪臭防止対策を強化するために講ずべき方策について、本日付けで中央環境審議会に諮問があり、同日付けで中央環境審議会議事運営規則第5条の規定に基づき、大気部会に付議されましたので、諮問内容並びに関連資料による背景等を事務局から御説明願います。
【大気生活環境室長】 まず、資料5の「悪臭防止対策の強化のため講ずべき方策の在り方について(諮問)」を説明させていただきます。
 「環境基本法第41条第2項第3号の規定に基づき、次のとおり諮問する。」ということで、諮問の主題は、「近年の悪臭苦情の増加等に的確に対処するため、悪臭防止対策の強化のため講ずべき方策のあり方について、貴審議会の意見を求める。」というものでございます。その諮問の理由は、次のページにあるとおりございます。
 この諮問理由につきまして、資料6の「近年の悪臭に係る苦情と規制の状況」で御説明させていただきます。
 まず1点目、諮問理由の中にございました悪臭苦情の増加ということでございますが、悪臭に係る苦情件数についてみてみますと、悪臭防止法が施行された昭和47年度をピークに概ね減少傾向にあったわけですが、近年急激に増加しております。このグラフにございますように、平成10年度の苦情件数は2万件を超えて20,092件で、平成9年度に比べて 5,538件(38.1%)増加しております。
 この苦情の大幅増加の主な要因についてみてみましたところ、野外焼却に係る苦情の大幅な増加、これは、図1の下の黒い四角の折れ線グラフが野外焼却に係る苦情件数の推移でございますが、平成9年度に 1,041件であったものが平成10年度には 5,881件ということで、前年度比 5.6倍の増になっております。それと、ダイオキシン問題等から臭気に関する住民の意識が高まったこと等がその理由として考えられます。
 なお、これを裏付ける資料として、厚生省の調査結果がございまして、野外焼却の件数について調べたものをみますと、平成9年度に 3,794件であったものが平成10年度には5,385件と増加しているということで、野外焼却件数自体も増加していることがみられるわけでございます。
 その下に図2として野外焼却に係る悪臭苦情の発生源割合という円グラフがございますが、それを見てみますと、サービス業・その他が52%と半分強を占めております。「サービス業・その他」はどういうものかということで、円グラフの下に小さい字で書いてございますが、資材置場、運送業、自動車修理工場、一般事務所等があるわけでございます。資材置場については、建設廃材を焼却することに伴う苦情といったようなことで出てきているものでございます。
 次に、その裏のページでございますが、悪臭を発生する野外焼却行為に係る条例の制定状況について調べた結果をまとめたものでございます。悪臭が発生する物を野外で焼却する行為については、多くの自治体において条例で禁止のための措置を講じております。環境庁が都道府県・指定都市・中核市を対象に行った調査によりますと、84自治体のうち、悪臭を発生する野外燃焼行為の禁止規定がある条例を制定しておりますのは41自治体でございました。このうち都道府県では35団体で制定しておりまして、47都道府県に対する割合でいきますと、全国の約7割の自治体で悪臭を発生する野外焼却を禁止しているということになります。
 また、勧告や命令といった行政措置を伴うものを規定している条例を有する自治体は、30自治体でございました。
 ちなみに、表1で都道府県の欄を御覧いただきますと、47都道府県中35団体において条例を制定しておりまして、そのうち行政措置を伴う規定があるものが26団体でございます。12団体はこの関係の条例は制定していないということでございます。
 なお、この一両年、野外焼却行為を禁止する条項を盛り込んだ公害防止条例の制定が進んでおりまして、最近の例で申しますと、埼玉県、広島県、宮崎県等で制定されております。
 次に、今回の諮問理由の中で、「事業者が悪臭の発生の防止に努める責務の明確化」ということを挙げておりますが、その関係でみてみますと、悪臭防止法に基づく規制地域の状況についてでございます。悪臭防止法は、規制する地域を都道府県知事が指定するというスキームになっておりますけれども、現在、規制地域の指定がされております市区町村は、全国の市区町村 3,277のうち 1,719市区町村でございまして、全国の市区町村数の52.5%に当たります。
 これを規制対象・非規制対象別苦情の割合でみてみますと、悪臭防止法に基づく規制の対象となっているものの苦情は、12,206件。下の表3の黒く塗っているところですが、ここは悪臭防止法の規制地域の中で事業活動をされて、規制基準が適用される範囲で苦情が出ているというものでございますが、これが約6割あるわけでございます。残りの苦情については、悪臭防止法に基づく規制の対象とはなっていないわけでございます。
 ということで、近年問題となっている、例えば古タイヤの焼却に伴う苦情を考えたときに、悪臭防止法の第13条で、野外での焼却について禁止条項があるわけでございますが、これは訓示規定として設けられておりまして、かつ、「住居が集合している地域において」という地域要件がかかっているわけでございます。そういうことになりますと、住居が集合している地域外で多量の古タイヤを焼却することで悪臭苦情が発生した場合に、今のところ対応ができないということでございます。そういうことから、1つは、悪臭防止法の規定で現在、野外の焼却の禁止について「住居が集合している地域」と限定しておりますものを、地域要件を外しまして、住民の生活環境に支障がないようにということで対応する必要があるのではないかと考えたわけでございます。
 それに加えまして、事業者の事業活動に伴って苦情が出ているものに対処するために、事業者が自らの努力において悪臭苦情が出ないように対策を講じるということを、努力的な意味合いでございますが、責務として書く必要があると考えるわけでございます。
 ちなみに環境基本法におきましては、国、地方公共団体の責務、国民の責務と併せて事業者の責務について規定されているところでございまして、悪臭防止法におきましても同種の規定を書く必要があるのではないかということでございます。
 もう一つ、諮問理由の中の「臭気指数規制の実施に係る測定体制の充実強化」の関係でございますが、これにつきましては、先ほど第三次報告をお取りまとめいただきました中で、「臭気指数規制制度の導入に伴い、その測定体制の整備、臭気判定士の積極的活用を推進する必要がある」という御報告を具体化したいということでございます。
 以上が、今回の諮問とその理由についての御説明でございます。
 続きまして、臭気判定士の関係につきまして補足説明をさせていただきます。

【事務局】 それでは、資料7及びパンフレットに基づきまして御説明させていただきます。
 まず最初にパンフレットを御覧いただいて、どういう概要か御理解いただきたいと思います。臭気判定士は何をするかということでございますが、一番頭の左端の方に赤字で書いてございますように、「臭気判定士は、人間の鼻(嗅覚)を使ったにおいの測定法において、パネルの選定、試料の採取、試験の実施、結果のまとめといった一連の作業を管理・統括する責任者です。」ということでございます。パネルというのは、白衣を着た方が臭気判定士で、その後ろに女の方が3人写っておりますが、この方がパネルで、実際ににおいを嗅ぐ方でございます。
 1ページ見開きになっておりますがお開きいただきたいと思います。まず「パネルの選定」でございますが、においを嗅いでいただく人にはある程度嗅覚に異常がないかどうかという検査をする必要がございますので、ここに5つの基準臭がございまして、この5つの基準臭をそれぞれ嗅いでいただくということをやっております。
 次の「試料の採取」でございますが、これは実際に現場に行きまして、においというのは、風等の影響によってある程度揺れておりますので、一番強いにおいがしたときに瞬間的に採るということで、手に持っているのは真空びんでございまして、コックを開くと瞬間的ににおいを採ってしまうということで、臭気判定士がその場でにおいの状況を嗅ぎながらサンプリングをします。
 (3)として「判定試験の実施」ということで、下の方に3つ写真が載っておりまして、一番左側が、無臭空気(活性炭を通したにおいのない空気)を臭袋に入れます。その3つの袋のうちの1つに、真ん中にありますように、採取した真空びんから臭気を採りまして、一番右側にありますように、においを入れてやるということで、一定の倍率に薄めます。それを、上の(3)の「判定試験の実施」ということで、各パネルの方、これは6人以上ということになっておりますが、この方に嗅いでいただいて、どれに入っているか。1、2、3と番号が振ってございますので、そのうちの何番かを当てていただく。これをだんだん薄めていきまして、どこになったら分からなくなるかということで、その結果は、右側のページの下の方に「排出口試料の判定試験結果の例」が書いてございますが、○×という形で整理しているということで、これを統計的な処理をやりますというのが一連の流れでございます。これが「三点比較式臭袋法」というやり方の内容でございます。
 資料7に戻りますが、こういうやり方をするために臭気判定士は現在どうやって決めているかといいますと、1番の「臭気判定士について」の一番下の段落でございますが、臭気判定士の資格は、悪臭防止行政や臭気指数の測定等に関する臭気判定士試験に合格し、かつ、正常な嗅覚を有する方に与えられるものでございます。
 試験は、2のところに書いてございますように、18歳以上の者ということで、毎年1回実施しております。
 この試験につきましては、悪臭防止法施行規則の中で指定機関を定めてございまして、現在、社団法人臭気対策研究協会に指定して試験をやらせているという状況でございます。
 2ページでございますが、実際の臭気判定士はどういう業務を担当しているかというのは、資料が古いのですが、平成9年度に協会の方でやったアンケートの結果が円グラフに書いてございます。所属機関としては、分析サービス業、プラントメーカー、消脱臭剤メーカー、香料会社等が非常に多いということでございます。公益団体というのは、環境計量証明事業所みたいな計量証明事業所的なところが多うございますので、これも分析関係というふうに御覧いただければいいかと思っております。
 実際の業務内容でございますが、これは試験・分析・調査が半分ぐらい、その他いろいろなことをやっておりますが、営業担当の方もいらっしゃいますし、コンサルタント業務的なものをやっている方、あるいは調査研究ということで、結構いろいろな業務をおやりになっているようでございます。
 次のページは、試験の内容で、5科目ございまして、それぞれの内容が書いてございますので、後ほど御覧いただければと思います。
 以上です。

【部会長】 ありがとうございました。
 ただ今の御説明につきまして、御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。

【F委員】 資料6で、平成9年から10年に急激に上がっていますね。しかも野外焼却が上がっているわけですが、この理由は、先ほどの規制との関係とかいろいろあると思うのですが、この辺は何か分析されているのでしょうか。

【大気生活環境室長】 自治体の方にそういう苦情が増加している要因について聞いたところ、ダイオキシン問題が、苦情を出される一つの大きなきっかけになっており、においの問題も当然そういう焼却ポイントにはございますので、「それで大丈夫か」ということで、国民のそういう問題に対する意識も高まったということがございます。また、厚生省の方で廃棄物処理法の前回の改正で、廃棄物処理施設の設置等について規制を強化した関係で、処理施設の整備が以前と比べて進みにくいということから不法投棄になり、不法投棄が野外焼却の増加になっているというようなことも絡んでいるかと考えております。

【G委員】 「野外焼却行為」というのは非常に分かりにくい言葉ですね。多分、野焼きをイメージされているのだろうと思いますけれども、例えば小型焼却炉でも野外で燃やせば野外焼却になるわけですね。ちょっと屁理屈かもしれませんが。と同時に、今の御質問のように、においの苦情だけではなくて、ダイオキシン等、他の面の苦情が発生しているわけですから、「野外焼却行為」という言葉をきちっと定義して、その上で、これを全面的に規制するというような方向が必要なのではないかと思います。と同時に、条例のない自治体がこんなに多いのかというのも大変驚いたわけでして、こういうものをどういうふうに環境庁として御指導なさるのか、その辺を伺わせていただきたいと思います。

【大気生活環境室長】 現在、悪臭防止法の第13条で「悪臭が生ずる物の焼却の禁止」という条項がございまして、読み上げせていただきますと、「何人も、住居が集合している地域においては、みだりに、ゴム、皮革、合成樹脂、廃油その他の燃焼に伴って悪臭が生ずる物を野外で多量に焼却してはならない。」となっております。ここで「野外」と申しますのは、適切な燃焼設備とか悪臭防止設備を設置していない屋外でという意味で使っているわけでございます。
 ちなみに、今御指摘ございましたように、この野外焼却というのは、一般的に言われている野焼きの行為でございますが、野焼きと申しますと、あぜを焼くとか、阿蘇の野焼きとか、奈良の春日山の野焼きとか、そういうことで「野焼き」という用語を使っているということで、それと混同するおそれがあるということもございまして、法律用語としては
、現在悪臭防止法で規定している「野外焼却の禁止」という言葉を使わせていただいているということでございます。
 私どもとしても、古タイヤ等が焼却されることによって悪臭苦情が多発しているという状況に対して、法的にも適切な対応をしなければいけないと考えておるわけでございます。例えば、昨年の1月から秋口にかけて大量の古タイヤが燃え続けるという事件がございました。そのような問題について考えてみますと、あの場合には、古タイヤは廃棄物ではなくて有価物であると事業者の方が主張されたということで、廃棄物処理法では対応できないでおったところ、火災事故になり、大きな問題になったということでございます。そのような事案が出てまいりましたときに、廃棄物処理法で対応できないところにつきまして、悪臭防止法で適切な対応が図れるように、そういう火災事故等にも対応できるようなことを考えたいと思っておりまして、そういったことを今回の御審議の中で明確にさせていただければと思っているところでございます。

【H委員】 資料6の表3についてもう少し詳しいことを教えていただきたいと思います。規制対象となっていないものの苦情が 7,886件となっていますが、規制地域外というのは、規制をしていない市区町村ということで一応分かるのですが、規制の地域外はどういう特徴があるのか。規制された地域のすぐ近くなのか、もっと山の方でというような特徴があるのかということと、規制対象事業場というのは、この中で特に問題ないような事業場は今分かっているのか、ということが分かっておりましたら教えていただきたいと思います。

【大気生活環境室長】 まず、規制地域がどういうところかということでございますが、これは「住居が集合している地域その他の地域」となっておりまして、「その他の地域」というのは、病院とか学校等があるところとされており、そこを規制地域ということでの指定がなされております。ただ、こうした地域指定がされていなくても、住居があるところにおいては悪臭苦情が出てくるということでございます。

【H委員】 質問の仕方が悪かったかと思いますが、規制地域外に 3,172件ありますね。規制地域は分かっておりますが、規制地域外といっても非常に広いと思うのですが、特徴があるのか。例えば規制地域外になった非常に近傍でそういうことが行われているのか、あるいはもっと人里離れた、分からないようなところでやっている件数が多いのか。今後の規制の仕方の中でそういうのがポイントになると思いますので、教えていただきたい。
 それから、規制対象事業場以外で 4,189件なんですが、この中で、全部というのはなかなか難しいことなのかもしれませんが、特に特徴がある事業場、この中で特にこういうところが苦情の的になっている事業場ですよというようなことが分かっておりましたら教えていただきたい。

【大気生活環境室長】 規制地域に指定されていないところにつきましては、それぞれの地域の事情、実情等で、明確にこうだということはなかなか申し上げにくいのですが、例えば新興住宅地が造成されたところについて、地域指定が追いつかない場合もございます。そういったところで苦情が出る。そういうところは規制地域を早く指定していくということが対応になるわけですが、あくまでも要件として「住居が集合している」ということがございますので、住居が散在しているようなところの場合には、規制地域の指定がなされていないということでございます。
 それから、規制対象事業場以外のものについて、この表の作り方が丁寧でなかったので誤解されたのかとも思いますけれども、これは必ずしも事業活動によるものということではございませんで、このうち、事業活動によるものと、それ以外にごみ集積所とか、個人の住宅等でのごみ焼きや浄化槽等についての苦情を合わせたものでございます。

【I委員】 この法律では、対象をどこかで明文化してあると思うのですが、この在り方についてを読みますと、何となく事業場、事業者を対象にしているようなニュアンスで読まれるのですが、その辺を少し明確にしていただいた方がいいのではないかと思います。もし個人も対象にしているのでしたら、そういう対象を明記されてはと思います。例えば、資料6の図2の円グラフですが、個人が結構出しているわけですね。これも対象になるということでありましたから、そういうふうにお願いします。
 もう一つは、余談かもしれませんが、カリフォルニアなどでは、家庭などでバーベキューすることも禁止しているんですね。あれは大気汚染の窒素酸化物とか炭化水素の排出を抑制するという意味ですが、そういうこととも関連してくる要素があるなと思いました。
 それから、最近、アウトドアブームでありまして、ああいうものがグレーゾーンに入ってくるのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

【大気生活環境室長】 まず、悪臭防止法で規制の対象としておりますのは、工場その他の事業場の事業活動でございます。国民について求めておりますのは、平成7年の悪臭防止法の改正におきまして、「国民の責務」という規定を置きました。その責務の範囲において国民にも対応をしていただくというスキームになっているわけでございます。

【部会長】 これは諮問の方から出ているものですから、それをどう理解するかはあるかもしれませんけれども、法律どおりでいえば、事業者、事業活動する者という理解でいいのではないでしょうか。

【C委員】 今のI委員のお話で気がついたのですが、バーベキューのにおいは非常にいいにおいなので、資料4の後ろに「良好なにおい環境の形成」というのがありますが、いいにおいはよしということなのですか。

【大気生活環境室長】 においの問題は、今御指摘がございましたように、個人差もあるところでございますが、いいにおい、香りといったものは、それぞれの地域の特色もあろうかと思います。そういったことで、それぞれの地域において、においの環境目標を設けることによって、より積極的な、良好なにおい環境の形成に向けた取組を進めていく必要があるということで、私ども大気保全局内の取組でございますが、J委員を委員長にして検討を進めているところでございます。今後は、そのような取組を進めていきたいということも一つございます。

【部会長】 まだ御意見がおありかと思いますが、時間も押し迫っておりますので、もしお気づきの点がありましたら、事務局においてお出しいただくことにいたしまして、この後の段階として、ただ今の御意見等を踏まえて、事務局において大気部会報告(案)を作成していただき、次回の部会で御審議いただくことにさせていただこうかと思いますが、それでよろしゅうございますか。
             〔「異議なし」との声あり〕

【部会長】 ありがとうございました。
 もし御意見、お気づきの点がございましたら、事務局の方にお願いいたします。
 それでは、議題(3)その他に入らせていただきます。事務局から何かございますか。

【事務局】 それでは、資料8を御覧いただきたいと思います。本日の議題とは直接関係ございませんが、最近の大気汚染に関する問題として、尼崎訴訟判決がこの1月30日に出されましたので、これについて簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 本訴訟は昭和63年から提訴されたものでございまして、尼崎市に住んでいらっしゃる公害健康被害補償法の認定患者の方400人弱が、汚染排出の企業、国、阪神高速道路公団を相手取って提訴した訴訟でございます。
 原告の方の住んでいらっしゃる地域は、国道43号線と高速道路が2階建ての構造になっているところで、その北側に並行して国道2号線が走っているというような状況の地域でございます。
 具体的には、大気汚染によって健康被害を受けたということで損害賠償、それから、窒素酸化物、粒子状物質、硫黄酸化物について、環境基準を超える汚染の排出を差し止める、こういう内容の訴訟が起こされていたわけでございます。
 これに対する判決でございますが、まず、大気汚染と健康被害との因果関係として、SPMと健康被害との因果関係を裁判所は認めております。
 健康被害について対象となりますのは、43号線沿道の50mの範囲内に住んでいらっしゃるか、あるいは通勤している原告の50名ということでありまして、対象となる疾病は、気管支喘息でございます。これに対して、浮遊粒子状物質がこの健康被害の原因になっていたということが判決上認められたわけでございます。
 特徴としまして、疾病については、慢性気管支炎、肺気腫の発症又は増悪と大気汚染との因果関係はないと判決はしております。
 それから、二酸化窒素について、過去に測定されたレベルの二酸化窒素と疾病の発症又は増悪との間の因果関係はない。二酸化窒素は健康被害との因果関係は認定されていないというあたりが今回の判決の特徴でございます。
 これによりまして、1つは損害賠償が認められておりまして、国及び阪神高速道路公団の国家賠償法二条一項に基づく共同不法行為責任ということで、道路管理者の責任がとられております。これによって一人当たり最高額2400万円の慰謝料ということで、総額で2億1000万円の損害賠償が認められております。
 もう1点、差し止め請求が認められたのが今回の判決の特徴でございまして、これにつきましては、国道43号線沿道50m以内に居住し、これは居住だけでございまして、実際に住んでいらっしゃって、気管支喘息に罹患している方24名のみが対象になっております。
 請求対象として、気管支喘息の症状に有害であることが明らかな大気汚染、具体的には一日平均値 0.15mg/m3以上の浮遊粒子状物質が測定されるような大気汚染を形成してならない。ちょっと回りくどい言い方でありますが、このような大気汚染を引き起こしてはいけないという形での差し止めがなされております。国、公団は、このような大気汚染が生じないようにしなければいけないということが書かれております。
 これについての国側の対応としましては、一昨日の2月8日に控訴状を裁判所に提出しております。控訴の理由につきましては、今後整理することにしておりますけれども、以上の損害賠償、差し止め請求が認められたところが適当ではないのではないかということがポイントでございます。
 環境庁につきましては、今回の訴訟は、道路管理者の責任を問うところが大きいもので、特に環境庁の講じている環境行政が悪いという形の責任を負わされてはおりませんので、直接の責任官庁ではございませんけれども、特に大気汚染の問題と健康被害との因果関係について、今回の訴訟は、様々な知見を総合的に判断して判決を下したという形ではなくて、特定の一つの論文だけに頼りまして、その論文に基づいて、裁判官がかなり推定を重ねた上で結論を引き出しているというような形の判決でございますので、今回、因果関係を認めたことについて、科学的に十分詰められたものではないのではないか、というような視点から意見を述べているところでございます。
 裏につきましては、今御説明しました概要を再度整理したものでございますので、説明は省略させていただきたいと思います。
 以上でございます。

【部会長】 何か御質問ございますか。

【A委員】 参考のために。浮遊粒子状物質というのは、ディーゼルの浮遊粒子状物質とかその他特定のものを決めているのでしょうか。それとも、例えば車のゴムとかアスファルトとか建物のアスベストみたいなもの、何でも空中に浮遊している物質は全部を含めているのでしょうか。

【大気保全局長】 今、先生のおっしゃったところですが、浮遊粒子状物質の環境基準は10ミクロン以下ということになっておりまして、その中には、自然界で発生した一次の浮遊粒子状物質と、二次に発生したものと2つ含まれております。ですから、今先生のおっしゃったものは、10ミクロン以下であれば、一次の中に全部入ってきます。特にディーゼルの問題であれば、もっと粒子の細かいものがその中で、ディーゼルの粒子を全部取り込もうと思うならば、 2.5ミクロン以下であれば、取り込める。アメリカあたりは 2.5ミクロン以下という言い方をしております。日本では環境基準をまだ持っておりません。 2.5ミクロン以下の測定技術というのは、今研究中でございまして、やっと連続測定装置を今年の補正予算で導入してきているという状況にございます。
 そういうデータがないにもかかわらず、今回ある程度の判決を出したというのは、疫学の中で、尼崎においては、二酸化窒素というものが具体的に影響を与えていないのではないか。しかし、粒子状物質というのは、ディーゼルが走っているのだから必ず落ちているに決まっている。疫学上も粒子状物質のディーゼルの排気ガスは間違いなく沿道において行われている疫学がある。だから、データはなくても、類推した形で50m以内の患者さんに対しては、被害があったと想定できる。ですから、国は責任をとるべきだという考え方。私たちが今後認定していくときに、今の裁判だけでは認定とか、いろいろなことについても何の勉強もできない。つまりデータ不足の世界でございます。ですから、民事事件の損害賠償としての判決として受け止めることができないような判決内容であると私は思っております。
 ただ、具体的には、疫学から出てくる考え方であるならば、私たちの行政的な今後の対応は当然迫られています。ですから、その対応は、粒子状物質、PM 2.5に向けての考え方でデータを集め、研究をし、そしてPM 2.5以下のディーゼル粒子に関する曝露の研究をし、それがどのように気管支喘息その他に影響を与えるかという研究は早急に続けるという形をとりたいと思っております。
 今回の判決については、先ほど申したとおり、責任賠償の2億1000万円に関して公団と建設省にかかってきているわけでございますが、責任がないという議論には私の方もならない。つまり、今後の大気環境を改善するというのは環境庁の仕事でございます。粒子状物質があることは分かっているわけです。具体的に大気状況がよくなっていないことも現実でございます。私たちとして、それをよくするための作業は当然続ける話だし、今回の裁判は、大気環境を早急に改善しなさいと言われたと私は思っております。ですから、そのための手法を考えて、早く対策を立てる。
 ただ問題は、単体規制を具体的に行ってはきたのですが、ディーゼルエンジンの開発という問題を含めたときには、平成10年に大気部会から答申をいただきまして、具体的に平成14年から16年に規制しますということで、それに向けて今業界が開発に動いております。ですから、それを前倒しとか、そういうことは今のところはできないだろうと思っております。ただ、19年規制をなお半分にしますと言っておりますので、19年規制にかけてどうするかという問題。このときに大気部会からの答申の中では、軽油の中に入っている硫黄分を少なくすることも併せて要求を受けていますので、それも含めて、14年規制が始まる頃までには、少なくともその問題を前倒しできないかどうかという議論は続けなければいけない。そして、硫黄分が少なくなることによってディーゼルエンジンの開発は進むという考え方を持っております。もっと違う意味では、ディーゼルエンジンが硫黄分とか全く関係ない形での新しい技術が本当にできるのかどうかという議論がもう一つありますが、その辺はなかなか難しいというのが、今のエンジン関係の考え方の一つでございまして、I委員とか部会長からもそういう形ではいろいろアドバイスを受けております。
 少なくとも、今後に向けてディーゼルの対策をどのようにもっていくか。要するに開発も含めて具体的にどうするのかというのが迫られたと思っております。ただ、機械開発がそんな簡単にいくものではないと思っておりますので、とりあえず今回はこういう形で、問題点のところは指摘していかないといけないわけですので、そういう意味では控訴いたしました。控訴したから仕事をしないということではなくて、判決の内容は、疫学からもってきている以上は、行政手法を問うてきたことになりますので、当然、行政手法をより積極的に、今までの計画よりも早めにどうするかということが問われていると思いますので、判決とは別な意味で行政としては関係省庁と合わせて努力したいと思っております。
 それから、前回申しましたが、NOx 法の改正の問題、有害大気汚染物質の問題を含めての大気汚染防止法の改正を来年に控えておりますので、今年度中にこの部会でそのことも含めながら議論していただきたい。ですから、より積極的な体制に向けての審議をいただきながら、行政としてはどう動くかということになるかと思っております。

【部会長】 どうもありがとうございました。
 時間もだいぶ超過しておりますが、他に委員の方々からございますでしょうか。
 もしなければ、これで終わりますが、次回の日程を事務局から御説明ください。

【大気生活環境室長】 次回の大気部会につきましては、事務局といたしましては、3月上旬にお願いできればと考えております。委員の先生方の御都合も踏まえまして、後ほど部会長と御相談をさせていただきまして、決めさせていただければと思っております。

【部会長】 ありがとうございました。
 それでは、長時間にわたりまして御審議いただきましてありがとうございました。今日はこれで終わらせていただきます。 
 
−−了−−