中央環境審議会第20回環境保健部会
化学品審議会第2回安全対策部会
合同会合 議事録


1.日  時  平成11年11月16日(火)10:00〜12:30

2.場  所  東條会館「スターの間」

3.出 席 者

中央環境審議会環境保健部会委員
(部 会 長)   井 形 昭 弘
(部会長代理)   安 原   正
(委   員)   江 頭 基 子   角 田 禮 子
    小早川 光 郎   近 藤 雅 臣
    櫻 井 治 彦   清 水   誠
    鈴 木 継 美   竹 内 輝 博
    野 中 邦 子   宮 本   一
(特別委員)   宇 野 則 義   香 川   順
    七 野   護   林   裕 造
    前 田 和 甫
 
化学品審議会安全対策部会
(部 会 長)   近 藤 雅 臣
(委   員)   川 上 哲 郎   幸 田 代理
    河内山 大 作   櫻 井 治 彦
    清 水 英 佑   高 田 代理
    中 西 準 子   中 西   宏 代理
    平 石 次 郎   藤 木 素 士
    三 浦 代理   (五十音順)
 
南川 環境庁環境保健部保健企画課長
上田 環境庁環境保健部環境安全課長
金井 環境庁環境保健部環境リスク評価室長
鏑木 環境庁環境保健部環境安全課調整官
照井 通商産業省基礎産業局化学物質管理課長

4.議  題

議題 (1)「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」対象物質の選定について (2)「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」製品の要件 (3)「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」PRTR対象事業者について (4)その他

5.議  事

○事務局  それでは、定刻がまいりましたので、これから第20回中央環境審議会環境保健部会・化学品審議会第2回安全対策部会合同会合を開催させていただきます。私、今回、事務局の通商産業省基礎産業局化学物質管理課課長補佐小野でございます。よろしくお願いいたします。

 なお、本日は、冒頭でのカメラの頭撮りがございますので、各委員の方々におきましては、ご承知おき願います。

 <委員紹介(省略)>

 本日は、中央環境審議会ご所属の浅野委員、佐和委員、竹宇治委員、辻委員、森嶌委員、横山委員、木原委員、西山委員。それから、化学品審議会ご所属の池田委員、河野委員、竹居委員、西原委員、松島委員、寺尾委員、また、両審議会ご所属の北野委員がご欠席とのご連絡を受けております。

 それでは、合同会合の開催に当たりまして、通商産業省基礎産業局の照井化学物質管理課長よりごあいさつ申し上げます。

○照井化学物質管理課長  通商産業省基礎産業局化学物質管理課長の照井でございます。本日は、中央環境審議会第20回環境保健部会・化学品審議会第2回安全対策部会合同会合ということで、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 ご承知のように、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律ということで、ことし7月に成立したわけでございますけれども、この法律でPRTRとMSDSという制度が盛り込まれているわけでございます。この法律の施行が来年4月ということで、前回、それぞれの部会におきまして、法律の対象物質の選定について、両大臣からそれぞれの審議会に諮問があったわけでございまして、それぞれ分科会等を設置いたしまして、ご審議いただいたわけでございます。

 本日の合同会合におきましては、それらの成果がこちらでご披露され、ご審議していただく。それから、対象の製品、対象事業者ということで、非常に重要な案件を、本日、ご審議していただくわけでございます。1つの節目の会合ということでございますので、よろしくご審議のほどお願いいたします。簡単ではございますが、ご挨拶にかえさせていただきます。よろしくお願いします。

○事務局  続きまして、環境庁企画調整局環境保健部の南川保健企画課長よりご挨拶申し上げます。

○南川保健企画課長  おはようございます。環境保健部保健企画課長の南川でございます。本日は、朝早くからご多用のところご参集いただき、ありがとうございます。本日、衆議院の環境委員会、参議院の国土・環境委員会の両方が開かれておりまして、なかんずく化学物質問題、特にその中でも、ダイオキシン問題につきまして、非常に多くのご質疑が行われております。その関係で、環境保健部長は参れませんので、委員の皆様によろしくお伝え願いたいとのことでございます。従来から環境対策、あるいは環境法規と申しますと、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、あるいは化審法をみましても、規制法中心だったわけでございます。そういう意味で、今回の事業者の協力を得ながら管理を改善し、化学物質の環境保全上の支障の未然防止を図るというシステムは、非常に新しい、画期的なシステムということで、私ども、通商産業省と力を合わせて、その円滑な法律の施行に努めていきたいと考えております。

 本日は、先ほど通商産業省の課長から話がございましたように、新しい制度の根幹をなす対象物質、対象業種などにつきましてご審議をいただくということで、大変重要な会議だと考えております。どうぞ実りあるご審議をお願いしたいと思います。

○事務局  では、審議に入ります前に、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきたいと思います。

 <資料確認(省略)>

 なお、前回の議事録につきましては、ご所属の審議会の議事録を配付しております。各先生方でご確認いただきまして、もし訂正のある場合については、個別に事務局までご連絡いただくようにお願いいたします。

 それでは、ただいまから合同会合を開催いたしたいと思います。

 本日は、2つの委員会の合同会合でございますので、化学品審議会安全対策部会の近藤部会長、中央環境審議会環境保健部会の井形部会長のお二方に共同座長をよろしくお願いいたします。では、近藤部会長、よろしくお願いいたします。

○近藤部会長  おはようございます。化学品審議会安全対策部会長の近藤でございます。ただいまご紹介ありましたように、本日は井形先生と2人で共同座長ということでございますけれども、2人で相談いたしまして、本日は私の方で進行させていただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。井形先生、何か一言。

○井形部会長  井形でございますが、特別申し上げることはございません。近藤先生と一緒に責を分かち合いたいと思います。通商産業省と環境庁の2つの審議会が一緒にやるということは異例で、今までに余りなかったことでありますし、また、PRTRそのものが人類の未来に対する挑戦の1つの大きな柱であろうかと思って、努力いたしたいと思います。

○近藤部会長  ありがとうございました。

 それでは、本日の議題に入ります前に、会議の公開、非公開についてでございますけれども、本日の会議は、規定にございますように、公開により公正中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合に当たらない。また、特定の者に不当な利益、不利益をもたらすおそれがある場合にも当たらない。このように考えられますので、両審議会の原則に従って、公開ということにさせていただきたいと思います。また、本日配付されました資料につきましては、公開しても著しく差し支えがないということでございますので、公開としております。本日の議事録につきましても、各委員に内容をご確認いただきまして、発言者記名の上、公開したいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。

 本日の議事につきましては、議事次第に載っておりますとおりでございますが、まず最初の議題は、「『特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律』対象化学物質の選定について」でございます。既に、それぞれの審議会におきまして対象物質選定の諮問がなされまして、具体的な検討につきましては、ご承知のように、これまで中央環境審議会環境保健部会PRTR法対象物質専門委員会、生活環境審議会生活環境部会PRTR法対象化学物質専門委員会及び化学品審議会安全対策部会化学物質管理促進法対象物質検討分科会合同会合が行われまして、そこで審議されてまいりましたけれども、その審議経緯及び内容につきまして、化学品審議会化学物質管理促進法対象物質検討分科会の中西分科会長から説明させていただきたいと思います。中西先生、ひとつよろしくお願いいたします。

○中西(準)委員  中西です。では、説明させていただきます。

 まず最初に、若干の経過を申し上げます。本年10月8日に、第1回の3つの委員会の合同会合が行われまして、化学物質管理促進法対象物質選定基準について審議をいたしました。さらに、その意見に基づきまして、11月4日に開催されました第2回の会合におきまして、対象物質の選定を行いました。

 以下、資料を用いまして、どういう方法で、どういう考え方で選定を行ったかということと、その選定結果についてご報告申し上げます。

 まず、資料1―1をごらんいただきたいと思います。ここには「PRTR及びMSDS対象化学物質の選定方法について(案)」ということで、まず、T「物質選定の基本的な考え方」について報告いたしたいと思います。その4行目か5行目ぐらいのところに、PRTR及びMSDSの対象化学物質と両方に共通するものが第1種指定化学物質であり、それから10行ぐらい飛びまして、MSDSのみの対象となるのが第2種指定化学物質です。こういう考え方で、第1種と第2種が分けられていることは、既にご承知のとおりだと思います。

 これらの化学物質を選んでいきましたときに、ある一定の有害性要件を満たし、なおかつ一定の量製造・輸入されているものという両方のカテゴリーに合うものを候補物質として選びました。その10行目ぐらいの@、A、Bと書いてありますところが、第1種指定化学物質の有害性要件でして、@が、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息もしくは生育に支障を及ぼすおそれがあるもの。Aが、自然的作用による化学変化で容易に生成する化学物質が@と同じような性質をもつもの。Bが、オゾン層を破壊する可能性のあるもの。そういうものの@、A、Bが有害性要件でして、その次に、量の要件がCで、@、A、Bに加え、かつCの条件を満たしているものとしてあります。Cは、相当広範な地域の環境において、当該化学物質が継続して存すると認められる化学物質として、それを第1種指定化学物質として選ぶ要件といたしました。

 第2番、MSDSのみの第2種は、Cの条件が変わりまして、C’になっております。それは、製造量、輸入量、または使用量の増加等により、相当広範な地域の環境において、当該化学物質が継続して存することとなることが見込まれる化学物質となっております。1ぺージの一番下から2行目のところになりますが、第1種指定化学物質の選定基準と第2種指定化学物質の違いというのは、暴露の量に関する規定ぶりの違いによるものであって、1種の方は、相当広範な地域の環境において、化学物質が継続して存在すると認められるもの。第2種は、相当広範な地域の環境で継続して存すると認められなくても、製造量、輸入量の増加などから継続して存在することとなることが見込まれるものという違いがあります。

 この考え方の基本は、以下に述べるような考え方に基づいています。10行目ぐらいのところに「『環境リスク』が一定レベル以上の物質を対象とする考え方をとるならば、有害性の質及び強さに応じて暴露量のレベルを段階的に当てはめるという方法が考えられる。しかしながら、ほとんどの化学物質については、環境中における挙動が十分解明されておらず、暴露量を把握することが困難である。このため、今回は暴露量の判断基準として、『複数地点での一般環境中での検出』または『製造・輸入量』を使用し、一定以上の有害性を有し、かつ、一定以上の暴露量を有すると認められる化学物質を第1種」とし、「第1種指定化学物質よりも低い一定以上の暴露量を認められる化学物質を第2種の指定化学物質として選定することが適当である」と考えました。「なお、対象化学物質は、科学的知見の充実状況及び排出量データの把握の状況等に応じて定期的に見直しをすべきである」と考えています。

 U「具体的選出方法」に入ります。第1種指定化学物質の選定の考え方で、まず、有害性の判断基準をどのようにしたかということです。アは「対象とする有害性の項目」を考えています。3ぺージの3行目からですが、「化学物質の有害性を判断する際には、原則として国際的に信頼性の高い専門機関でデータの評価が行われている項目や、統一的な試験方法により物質相互の比較が可能なデータが得られている項目を対象化学物質の選定に用いることが適当である」と考えました。「また、事故的な大量排出の際などでは問題となるが、通常の環境濃度レベルで問題とならない有害性については、それのみをもって物質選定のための有害性項目として用いる必要はない」と考えております。

 選定のための具体的な項目としては、(ア)(イ)(ウ)がありまして、(ア)は、人の健康を損なうおそれに関する項目。吸入慢性毒性、経口慢性毒性、発がん性、変異原性、生殖/発生毒性(催奇形性を含む)、感作性です。(イ)は、動植物の生息もしくは生育に支障を及ぼすおそれに関する項目で、水生生物(藻類、ミジンコ、魚類)に対する生態毒性。(ウ)は、オゾン層を破壊する物質です。

 次に、有害性の分類に関する考え方です。「物質選定を行うに当たり、その優先性・選定範囲を検討するため、有害性に関する各項目について、幾つかの有害性の強さの分類を行うことが適当である」と考えています。3ぺージの一番下から3行目に移りまして、「有害性の各項目は、それぞれ異なる作用をあらわすものであることから、個々の物質の有害性の判断においては独立に取り扱う」という考え方をとっています。「異なる有害性ごとの分類を組み合わせなどによる最終的な分類の設定は行う必要はない」と考えて選定を行いました。

 この資料の後ろの方にある別紙をごらんいただきたいと思います。別紙というところに「PRTR及びMSTS対象化学物質の具体的な選定基準(案)」というものがあります。まず、「有害性の範囲」ということで、最初に発がん性の物質を選んでいます。これからは、どういう基準で有害性を分類していったかという話です。

 1番目に、クラス1、クラス2とか、クラス1、クラス2、クラス3というような有害性のクラスで、あと、生産量などを考えて、最終的には候補物質を選んでいます。

 発がん性について、まず表1をみていただきたいのですが、このような国際的な機関、あるいは国内の信頼できると思われる機関で評定された結果を用いています。IARCとかEPAの略語は、参考資料2、毒性情報の説明に載っています。ここでは説明を省略させていただきます。クラス1、クラス2と発がん性のものを分けております。クラス1は、人に対して発がん性があるということが、この6のうちの1つでもみつけられたものを1としています。2は、人に発がん性の疑いが強いとされているもので、IARCで2Aまたは2Bにされたもの、または複数の機関で人に発がん性の疑いが強いとされたものをクラス2という分類にしております。最終的には、クラス1、クラス2に選ばれるわけです。

 次に、変異原性であります。遺伝子に突然変異を起こす性質については、真ん中のところから下に (1)から (5)がありますが、 (1)から (5)の基準により選定することとして、全部クラス1にしてあります。

 経口の慢性毒性については、4ぺージの表2をみていただきたいのです。経口慢性毒性の分類ということになって、クラス1、2、3というのが分けてあります。そして、基準になっているのが、水質基準とかIRISという米国EPAの毒性データベースです。あるいは、農薬の毒性、登録のときに使われたデータなどを用いています。水質基準値の

0.001r/l以下というもの及びNOAEL、悪い作用が起きない投与量、次にLOAEL、ADI:一日許容摂取量などの値が、このような値であるものをクラス1としてあります。この数値が違うのはなぜかと考えられるかもしれませんが、1つは単位が違っています。もう1つは、一番左のものは、人間への影響を考えた数値になっております。IRISなどのNOAELは、動物実験の結果のNOAELです。そういう意味で、幾つかの換算が施されています。

 次に、吸入慢性毒性ですが、これも同じように、6ぺージの表3に、クラス1、クラス2、クラス3というクラス分けをしております。ここでも大気基準、あるいはIRISのNOAELなど、こういう数値のある毒性をもってクラス1、クラス2にする。ここでも、大気基準は人間への毒性を考えた大気基準であり、右は動物のところで得られたNOAELなので、ほぼ 100倍の違いがある数値が、1つの同じクラスになっているということになります。

 5番目に移りまして、作業環境許容濃度から得られる吸入慢性毒性情報を使って、7ぺージ、表4のようなクラス分けを行いまして、1、2、3と分けてあります。

 さらに、生殖/発生毒性については、表5にありますようなEUが出しております、主にリスク警句というものから、特に根拠となるデータがある場合のみを取り上げて考えて、クラス1、クラス2、クラス3としてあります。EUのリスク警句の中には、どうしても根拠のわからないものもありますので、そういうものは除いてあります。

 7の感作性についても、日本産業衛生学会での評価がある場合等といたしました。

 次に、生態毒性は、10ぺージの表7にありますように、無作用濃度、LC50:半数が死んでしまう濃度等、それぞれをクラス1、クラス2と分類いたしました。

 11ぺージに、オゾン層破壊物質ですが、モントリオール議定書で規定されている物質をすべて指定対象候補物質といたしました。

 もう一回、資料1―1に戻っていただきまして、4ぺージの上の方になります。ここで一応、有害性の分類を決めて、クラスに分けて、ここのクラスからも外れるものを外してしまって選んだということになります。

 次が、2つ目の条件の「相当広範な地域の環境での継続的な存在」を何によって判断したかということです。ア、判断するための指標ですが、相当広範な地域の環境での継続的な存在を判断するための項目として、今回は一般環境中での検出状況、または製造輸入量を用いることが適当であると考えています。この判断基準については、もう一回、別紙に戻っていただきまして、11ぺージになります。U「選定基準」、 (1)1種の指定化学物質の考え方ですが、11ぺージの真ん中ぐらい、「具体的な『1年間の製造輸入量』には、これよりも多いと環境中から検出されやすくなる 100トンを基本とし、より小さいレベルのものも対象とする場合はこれより1けた下の10トンとするのが1つの考え方である。また、OECDにおいて高生産量化合物等の目安としている 1,000トンを基本とする考え方もある。製造量、輸入量については公式統計、通商産業省の調査などを用いることができる」。まず、このように考える。「基本とする『1年間の製造・輸入量』を 100トンとした場合、有害性ランクで発がん性クラス1の物質は、特に重篤な障害をもたらす物質であることが明かであることから、『1年間の製造・輸入量』10トン以上の物質を選定する」。要するに、1けた下げようということです。「なお、農薬については使用形態からみて明らかに環境中に放出されやすい物質であることから、『1年間の製造・輸入量』――これも1けた下げて――10トン以上とする物質を選定することが適当である」。

 この量を選ぶのに、製造量と、もう1つ、環境中で検出されているかどうかというのがありましたが、その条件について申し上げます。「一般環境中での検出状況については、過去10年間の『化学物質環境汚染実態調査(通称;黒本調査)』におけるモニタリングの結果等により、複数の地域から検出された物質を選定することが適当である」としています。さらに、モントリオール議定書に規定されているオゾン層破壊物質については、「国際的に適正管理が求められていること、その使用形態からみて製造輸入が禁止されているものであっても、現在もなお使用されている可能性が高いことから、『製造・輸入量』として過去の製造・輸入量の累積値を使用することが適当である。オゾン層破壊物質が環境中に排出された場合には、オゾン層に到達するまでは分解されにくいものであることから、過去の累積の『製造・輸入量』が10トン以上のもの」であるということを選定対象としますということになります。

 次に、もう一回、資料1―1に戻りまして、5ぺージの下から6、7行目の「上記 (1)及び (2)に従い、別紙の『PRTR及びMSDS対象化学物質の具体的な選定基準』に該当するものを第1種指定化学物質に選定することが適当である」ということになります。

 続きまして、第2種指定化学物質の選定の考え方で、有害性については1種と全く同じです。ただ、継続的な存在というのが違ってくるわけで、継続的な存在が見込まれるということになる。見込まれるとは何をいうのかというところが、別紙の12ぺージにあるわけです。「一般環境中において最近10年間で1ヵ所でも報告があるもの――これは、さっきの黒本の結果などです――または『1年間の製造輸入量』1トン以上のものとすることが適当である」としてあります。このような考え方で、資料1―1の6ぺージに戻りまして、MSDSの第2種の候補物質も選びました。

 6ぺージの3、その他の留意事項ということで申し上げたいと思います。例えば次のような事例等には、個別物質ごとに判断して対象化学物質の追加・削除を行うことが適当である。 (1)「製造・輸入量」が特に大きく、物性等により暴露量が多いと想定されるものは、有害性、分解性等の性状を踏まえて、必要に応じ追加。 (2)「分解性」に関しては、環境中に排出された直後に無害なものに分解されることが明かである物質を削除。 (3)「蓄積性」が高い物質については、有害性の評価に高蓄積性であることを加味して検討の上、必要に応じて追加。

 その他、対象化学物質の選定に当たっては次の点に留意すべきである。 (1)類似の構造・毒性を有することから物質群として取り扱うことが適当な化学物質については、物質群として指定することが適当である。 (2)元素自体に毒性がある物質については、原則として当該元素及びそれを含む化合物全体を対象とすることが適当である。なお、金属元素の毒性とその元素を含む化合物の毒性とが異なる場合は区別して取り扱うことが適当である。 (3)事業活動に伴って付随的に生成・排出される化学物質は、排出量の推計が一般に困難であるが、ダイオキシン類については実測が義務づけられているので、排出量の届け出が可能と考えられる。その他の事業活動に伴って付随的に生成・排出される化学物質については、技術的対応の可能なものを対象とすることが適当である。 (4)自然的作用による化学的変化により容易に生成する化学物質が、以上の方法による対象化学物質となる場合には、その親化合物が対象化学物質となる。 (5)「内分泌かく乱作用」については、現在、選定するための科学的知見が十分に集積されていないことから、試験方法や評価方法の確立を急ぎ、優先度の高い物質から早急に試験を行い判断することが適当であるということ。

 資料1―2の評価された結果をみていただきたいと思います。1番のベンゼンから全部で第1種の化学物質の候補が、群も含めまして、全部で 356選ばれています。例えば、1番の発がんクラス1と2は選ばれる候補になります。なおかつ、後ろから2番目の製造・輸入量区分が、発がんクラス1については10トン以上であれば、それが選ばれます。あと、もう1つ、YYと書いてありますのは、複数のところで検出されたという意味で、それも発がんプラスYYがあれば選ばれるということになります。次に、発がん性がなくても、変異原性クラスが1で、なおかつ製造・輸入量が 100トンを超えるものについて、あるいはYYのものは選ばれるということになっております。

 例えば、2ぺージ目、53番のペンタクロロフェノールは、発がん性が2で製造輸入量は1ですが、YYであるために選ばれています。さらにずっと下がりまして、 105番のリニュロンというのがありますが、これは農薬です。経口のクラスで2ですが、これは本来ならば 100トン以上のものに入らないわけですけれども、農薬であることから10トンであっても選ばれているということになります。このような考え方で、毒性のところの発がんクラスは1と2、変異原については1、経口クラスについては1と2と3、吸入も1と2と3、作業環境が1と2と3など、先ほど申し上げた、そのクラスにあって、なおかつ生産量が多く、あるいは検出というのがYYであれば選ばれるという形になっています。

 次に、資料1―3の第2種指定化学物質ですが、これは先ほどのように1トン以上、または環境検出がYであれば選ばれるということになっております。もし落ちているようでしたら、後で事務局の方、あるいは鈴木先生から補足していただきたいと思います。

 参考資料3と参考資料4をみていただきたいと思います。参考資料3は、一連の物質群として取り扱うかどうかを検討した物質で、最終的には、案のところが第2種、第1種などとなっているところは、個々別々に扱うことになったものであり、キシレンのように、全体が第1種となっているものは集合で扱うものになったものです。

 参考資料4は、元素及びその化合物として取り扱うかどうかを検討しなければいけない物質で、この案では、一応シアン化水素などは1で、グループで、錯塩を除く無機シアン化合物として、まとめて取り扱う。あるいは、8番のようなニッケルの化合物は、ニッケル化合物として1つのものとして取り扱う。そのような検討をした結果、先ほどのようなものが選ばれたということです。

 以上です。

○近藤部会長  大変詳細なご説明、ありがとうございました。

 鈴木先生に共同座長をしていただいておりますので、何か補足することがございましたら、よろしくお願いしたいと思いますが。

○鈴木委員  中西先生が丁寧に説明されまして、特別、追加することはございません。

○近藤部会長  ありがとうございました。

 両先生初め、合同会合の先生方に大変ご苦労いただきまして、ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に対しまして、ご質問がございましたら、よろしくお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。はい、どうぞよろしくお願いします。

○香川委員  お教え願いたいのですけれども、PRTRとかMSDSというのは、既に外国で行われていると思うのですが、ハーモニゼーションがいろいろいわれております。まず、きょうお示しになった第1種、第2種とか、その選定基準とか、 100トンとか、いろいろトンの制限とかがありますけれども、既に外国で決められているものと比較したときに、我が国の今回の考え方で、何か独自性のあるところはあるのでしょうか。

○近藤部会長  先生方、いかがでございますか。――それでは、事務局からよろしくお願いします。

○事務局  では、事務局からお答えいたします。諸外国で、特に代表的なところはアメリカ、カナダ、イギリス、オランダ。最近では、オーストラリアが物質を選んでPRTRを始めております。私どももいろいろ調べましたけれども、国によって選び方が大分違いまして、例えばアメリカは、最初に 300ぐらいのリストをまずつくって、その後、いろいろな毒性を加味して、さらに 300ぐらい追加しております。カナダは、アメリカのリストをベースに、自分の国に合ったような、自分の国でつくっていないものを削除するという考え方で選んでおります。オーストラリアでは、いろいろな毒性に評点法といいますか、点をつけて、それを足し算するような形で選んでおります。

 このように、国によって選び方が大分違っております。そういった意味で、我が国の選び方も、どこかのまねをしたということではございません。いろいろな有害性と暴露性を両方加味しているということについては、オーストラリアなどでも、考え方としては同じようなものと思いますけれども、具体的なやり方というのは、ちょっと違っているということでございます。

○近藤部会長  よろしゅうございますでしょうか。ほかにございますでしょうか。はい、七野先生。

○七野委員  事務局に教えてほしいのですが、第1種指定化学物質の候補は 300以上あるわけですけれども、例えば、農薬がこの中に何%ぐらいあるとか、大ざっぱな、化学物質の指定……一般的な、この中に農薬が半分以上あるとか、何十%以上が農薬であるとか、そんなものがありましたら、ちょっと教えてほしいと思っています。

○事務局  農薬は、およそですが、 120程度だと思います。ですから、3分の1ぐらいでございます。

○近藤部会長  よろしゅうございますか。ほかにございませんでしょうか。はい、どうぞ。

○幸田委員代理(岩本)  1つ教えていただきたいのですが、PRTRというのは、本来、環境への排出量の把握というのが1つの大きな要因でございますけれども、農薬というのは、基本的に散布するということで、いってみれば環境に全量出ていくというものだと思うのです。この中に農薬を含むという考え方について、ちょっとご説明いただきたいと思います。

○近藤部会長  これは、事務局の方でどうですか。

○事務局  お答えいたします。すべての化学物質につきまして、有害性と暴露性と両方の観点から選ぶということでございます。

 農薬につきましては、ほかの国、例えばオランダでございますけれども、この法制度には入っておりますが、事業所からの報告だけではなくて、我々は時々、非点源と呼んでおりますけれども、届け出事業者以外の分につきましては、国で全体の排出量がどのぐらいあるかというのを推計するということでございます。農薬につきまして、もちろん農薬製造工場からの排出量といったものを事業所から届け出ていただくということがございます。それ以外、届け出以外のものということで、法律でいいますと第9条になりますけれども、その中で、届出以外の面的な排出源ということで国で推計するのではないかと考えております。

○近藤部会長  よろしゅうございますか。ほかにございませんでしょうか。どうぞ。

○角田委員  大変わかりやすくご説明いただきましてありがとうございます。

 資料1―1の7ページに、最後の (5)のところで、内分泌かく乱作用について書かれているわけなのですが、この文章を読めばわかるのですけれども、影響が未知とはいいながら、環境ホルモンについては非常に関心が高うございます。この部分で、何とか切り込んで入れていただくようなことは考えなかったのでしょうか。ご説明いただきたいと思います。

○近藤部会長  では、先生、どうぞ。

○鈴木委員  ご指摘の点を考慮した議論があったわけでありますけれども、今回の中では、生殖/発生毒性の部分がひっかかっています。ただ、ごらんになっておわかりのように、生殖/発生毒性に関する情報は極めて少ない、限られているというのも現実であります。もう片方で、内分泌かく乱物質というものを一体どう提起して、どうテストするのか。そこら辺が、我が国だけではなしに国際的にまだまだの状況。ですから、ここに書いておいていただいたわけでありますから、これを一生懸命やる方向でこれから努力するということになるのではないでしょうか。

○近藤部会長  よろしゅうございますか。

○中西(準)委員  私もちょっと忘れていたのですが、事務局の方にお尋ねしたいのです。内分泌かく乱物質であるけれども、既に別の意味で毒性があって、ここにリストアップされているものも随分あるのではないかと思うのですが、それについてはいかがでしょうか。例えば、ダイオキシンとかPCBとか、そういうのはそんなにないものですか。

○事務局  お答えいたします。内分泌かく乱作用ですが、どの物質について作用があるとかないとか、議論がありますので、数を数えるのはなかなか難しいのでございますけれども、典型的な例でご説明いたしますと、今、先生からご指摘のあったダイオキシンとかPCBというのがあります。第1種の11ページ、 290番、ダイオキシン類です。 291番、ポリ塩化ビフェニル、これが例でございます。また、本当に内分泌かく乱作用があるかどうかというのはまだ調査中でございますが、よく報道がされているものということで申し上げますと、例ですけれども、13ページ、 328番、ノニルフェノールは生態毒性ということで選ばれております。こんなものがほかにも幾つかありまして、相当数入っていると考えることができると思います。

○近藤部会長  ありがとうございました(「ちょっとよろしいですか」の声あり)。どうぞ。

○事務局  環境ホルモンの問題につきましては、法案の国会審議の際に、いわゆる環境ホルモン物質をPRTRの対象するかどうかということ形で議論がなされました。また、内分泌かく乱作用について早急に調査を進めて、必要があれば、早急に対象物質にすべきだという趣旨の附帯決議も行われております。それを受けまして、来年度予算から、できれば3年程度で集中的にこの問題の調査をしたいということで、現在、相当まとまった金額の予算を要求しているところで、できれば毎年20億円程度、その調査に当てたいということで予算要求をしているところでございます。

○近藤部会長  よろしゅうございますか。早急な調査、検討をお願いしたいということでございます。先生。

○中西(宏)委員代理(松岡)  物質群の取扱ということの関連でございます。参考資料4で、先ほど中西先生からご説明いただいたのでございますけれども、本文の資料1―1、7ページの (2)でございますが、元素自体に毒性がある物質については、原則として、その元素とそれを含む化合物全体を対象にするという判断基準でございます。

 なお、金属元素の毒性とその元素を含む化合物の毒性とが異なる場合には、区別して取り扱うことが適当だという判断基準に基づきまして、参考資料4のご説明があったのでございます。ということは、グループ名として、参考資料4でいきますと、例えば、上から5番目のクロムの化合物でございますとか、ニッケルの化合物でございますとか、その裏にいきまして、コバルトですとか、銅ですとか、マンガンですとか、化合物としてあるのでございます。

 これについては、物質をチェックされたということをステップとしておやりになっていらっしゃるわけですが、現実、私どもの業界では、こういう金属の化合物を含んだものが非常に多うございまして、数百、あるいは 1,000ぐらいあるかもしれません。染料とか顔料でございますとか、ゴムの添加剤とかございまして、この物質そのものは、先ほどの 356物質というお話でございますけれども、金属の化合物を第1種ということでグループとして指定されますと、現実には 800とか 1,000とか、そういう物質についてのPRTR作業をしなくてはいけないということになります。

 決して後ろ向きに申し上げているつもりではないのでございますけれども、そういう事実をご認識いただきまして、どうお考えいただくのか。欲をいわせていただければ、第1ステップでは、物質として本当にチェックして、これは対象にしようという形でとらえていただいて、現実の染料のようなもの、顔料のようなもので、現在、流通しておりますもののかなりのものが対象になるようなことは、次のステップへ回していただくとか、そんなことをしていただけないかなという欲もございまして、ご質問とお願いのようなことでございますけれども、いかがでしょう。

○近藤部会長  それでは、事務局の方ですか。

○事務局  まず1点、アメリカでも、こういう化合物群ということで指定しているというのと、参考資料4をみていただければと思うのですが、多くの場合、例えば、砒素及びその化合物、カドミウム及びその化合物ということで、左側の物質名のところに、既にこういう群で評価されて、これらすべてが有害性ありとされております。おっしゃるところで、例えば、シアン化合物というのは、例示でしかないのですが、そういった意味で、専門家の方々にお集まりいただいてご判断いただいたところ、シアン化合物の中でも、特に毒性の薄い錯塩を除く無機シアン化合物であれば同じような毒性を発現するだろうと。11番の亜鉛化合物は、もう既に左側の2番目のところに亜鉛化合物と入っているのですが、13番の有機スズ化合物は、左側の1例、3物質しか挙がっていないのですけれども、先生方のご判断で、すべてが有害性を発現するだろうと。それと、17番なのですが、銅の化合物について、これもこういうものをみていただいて判断していただいた。ホウ素についても、専門家の方々が過去の知見等を踏まえて、ホウ素及びその化合物が対象だろうと。ただ、今みたいにされたところというのは4つでして、それ以外はすべて、既に化合物群として評価されているところでございます。

○近藤部会長  よろしくお願いします。

○中西(宏)委員代理(松岡)  今のご説明でございますけれども、諸外国の規制がどうなっているかということもちょっと不勉強でございますが、くどいようでございますけれども、製品群でチェックされたものを対象にすべきであると。そこは理解できるように思うのでございますけれども、恐らくチェックをまだなさっていないかもしれない。そこを私がお尋ねしているところでございますけれども、染料の製品とか、顔料の製品とか、数百から 1,000のものがチェックなされたのかどうか。あるいは、欧米ではどうなっているのだろうか。その辺も含めてご検討なさったのか、これから詰めていこうと思っていらっしゃるのか、その辺をもう一度伺いたいのでございます。

○事務局  市場に出回っている染料等の化合物一つ一つについて毒性データ、いろいろなそれなりの立派な機関で評価したデータというのはなかったものですから、今、評価したものとしては、左側にある物質名が挙がってきたところです。ただ、先ほど申し上げましたように、そういった意味では、左側と右側と対応しないところというのは、シアン化合物とか、有機スズ化合物等、4つのカテゴリーのところなのですが、これについては専門家の方にみていただいて、それぞれ右側のグループにしてみるべきなのではないかという判断をいただいたものでございます。

○中西(宏)委員代理(松岡)  その下、全部対象になるお考えだと。

○事務局  そうです。

○近藤部会長  よろしゅうございますか。

○林委員  内容につきましては特に問題はないと思いますけれども、2ページ目の4つ目のパラグラフについて、定期的な見直しについて提案されております。この定期的な見直しは、PRTRの適切な運用のためには欠かせないものと思いますけれども、そういう意味で、先ほどご説明があったかもしれませんが、事務局として、定期的な見直しの具体案についてどう考えておられるか。あるいは、PRTRが既に制度化されている国では、この定期的な見直しをどのように実施しているかについてお教えください。

○事務局  定期的な見直しが具体的に何年かというのは、まだこちらでは考えておりません。3年とか5年とか、そんなものかなとも思いますけれども、具体的な数字はまだ考えておりません。

 外国でございますが、これは国によっていろいろ違いますけれども、例えばアメリカは、86年に始めましたが、たしか九十何年に先ほど申し上げました物質を追加しております。その後も、時々小出しにといいますか、物質を若干入れたり出したりしているようです。制度を開始したオーストラリアでは、物質について2段階にして、最初はこれだけ、次にこれだけということでやる。イギリスにつきましても、最近、非常にたくさんの物質群から物質を絞り込んだということでございます。数年ぐらいのタームで見直しがされているようでございます。

○近藤部会長  よろしゅうございますか。はい、平石先生。

○平石委員  細かいことで恐縮ですが、先ほどの物質群の取扱なのですけれども、例えば金属の場合には、PRTRで報告するものとしては、金属の量として報告するのでしょうか。それとも、化合物それぞれを推測して、その合計のものでやるのか。環境モニタリングの方では、どちらかで大分様相が違うのではないかと思うのですけれども、その辺はいかがでございましょうか。

○事務局  その点については、今後、届け出方法等についての省令で決まっていくことになると思います。ただ、そういった意味では今、お約束できるわけではないのですが、今のところ、金属については金属元素換算ということを担当者としては念頭に置いているのですけれども、今後、議論されていく過程でこうなるかどうかというのはまだ決まっておりません。

○近藤部会長  よろしゅうございますか。ほかにございませんでしょうか。はい、どうぞ。

○清水(誠)委員  基本的考え方については全く異論がないのですけれども、7ページに留意事項が3つございますね。それの3番目に蓄積性が高い、これについてちょっと確認させていただきたいのですが、2番が分解性、3番が蓄積性ということですから、これは環境に残留しやすいということでここに入っているのか、あるいは、蓄積性という言葉がよく生物にたまりやすいということで使われるのですが、そのどちらで使われているのかということが1つ。有害性と高蓄積性を加味するという考え方が必ずしも明確ではないので、教えていただきたいということ。今度拾われた物質の中に、3項の留意事項を適用して拾ったものがあるかないか。あるとすれば、何であるかを教えていただければと思います。

○事務局  最初のご質問はなかなかお答えが難しいわけでございますが、蓄積性があるということは、残留しやすい。これは、環境と生物両方の意味で私ども使っていると思いますが、残留しやすいという観点で考えております。

 具体的にということですけれども、1番につきましては、生産量が多いので、このランクの外から拾ってきたというものは、具体的にはございませんでした。

 2番目の分解性は、すぐ分解してしまうので、逆に選ばれたというよりも、すぐ分解してしまうものが明らかである物質を削除。これは幾つかの物質を取り上げました。リストとしては挙がってきたけれども、選ばなかったもの。例えば、典型的なものは過酸化水素でございます。これはすぐ分解してしまいますので、外したということでございます。こういったものが幾つかございます。

 3番目の蓄積性が高い物質ですが、委員会の中で3物質ほど調べた方がいいのではないかということがございまして、その中で、先ほど中西委員からご紹介がありましたペンタクロロフェノールもその中に入っておりました。ただ、これは蓄積性の観点で選ぶより前に、環境残留のデータがありましたものですから、その理由で入ってしまいました。蓄積性の観点から選ぼうとしましたけれども、結局、そのために選ばれたということではないのですが、そういったものが委員会の中では指摘されております。

○近藤部会長  ほかにございませんでしょうか。――それでは、質問がないようでございますので、第1の議題は、3審議会の合同会合においてとりまとめられたものでございますけれども、化学品審議会安全対策部会、中央環境審議会環境保健部会としてこれを承認いたしまして、パブリックコメントに回させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

     (「異議なし」の声あり)

 ありがとうございました。

 なお、この対象物質につきましては、本日午後に開催予定の生活環境審議会生活環境部会でも議論されることになっております。その結果、審議会において何らかの意見調整が必要なことがございましたら、両部会長にご一任をいただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

     (「異議なし」の声あり)

 ありがとうございました。

 では、続きまして、第2の議題の資料2の対象製品についての説明を事務局からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局  それでは、資料2に基づきまして、製品の要件についてという資料をご説明させていただきたいと思います。

 法律におきましては、第2条第5項第1号、2条の6項ということで、この資料の一番最後の紙のところに、ただいまご審議いただきました第1種指定化学物質、第2種指定化学物質を含む製品の定義を政令で定めるということになっているわけです。2条5項におきましては、第1号におきまして、第1種指定化学物質の製造の事業を営む者、業として第1種指定化学物質、または第1種指定化学物質を含有する製品であって政令で定めるものを使用する者、その他業として第1種指定化学物質を取り扱う者ということで、製品を使用する者、取り扱う者ということで、何がこの法律の対象の製品になるのかということが重要になってくるわけであります。そのほか、2条6項におきまして、指定化学物質等取扱事業者の定義の中にも、第2種指定化学物質を含有する製品も、同じように政令で定めるという形になっているわけであります。従いまして、政令において、こういう指定化学物質を含む製品とは何かというものを定める必要があるということで、その範囲を明確にするというのがこの議論のポイントでございます。

 1ページ目に戻りますけれども、今、申し上げました第1種指定化学物質、第2種指定化学物質を含有する製品というのは法第2条、そのほか法律の4条では、化学物質管理指針に基づいて管理をする、14条というのはMSDSですけれども、その対象になるということで、重要な位置づけになっているということでございます。

 それでは、この製品の要件を定めるに当たっての基本的考え方ということですが、この2の第2パラグラフのところでございますけれども、基本的に、このような製品については、法律が環境を経由した人や生態系への悪影響を及ぼす化学物質を対象にしているということで、事業活動に伴って、これらの第1種化学物質、第2種化学物質が環境に排出される可能性のあるものとすることが妥当ではないかというのが1つでございます。2つ目としては、第1種指定化学物質を含有する製品、第2種指定化学物質を含有する製品と法律では書き分けておりますけれども、それぞれの製品の要件というのは基本的には同じものと考えていくのが適当ではないかということでございます。

 それでは、具体的にどういう点について検討すべきかということですが、2つ大きく分けてございます。

 1つは、製品の形態ということで、一口に製品といっても、さまざまな形態のものがあります。その中で、事業者が取り扱っている、あるいは使用している過程で、ほとんど環境中に出ないというような製品については対象にしなくてもいいのではないかということでございます。

 2つ目は、指定化学物質を含有する製品ということですが、混合物の場合、どの程度まで含んでいれば対象製品とするのかということでございます。非常に含有率が低いものは、この製品の対象から除いてもいいのではないか。この2つのところが検討のポイントになります。

 まず製品の形態ということでございますけれども、1つの類型として、4、 (1)の@で挙げておりますのは、密閉包装されている一般消費者の生活の用に使われる製品ということで、例えば、洗剤みたいなもので、箱にパッケージされて、密封されて一般消費者のところまで行くというようなものについては、途中で環境中に出るという可能性は低いと考えられますので、このような製品については、対象から除くことが適当ではないかということでございます。

 2つ目、指定化学物質を含む製品が気体状、あるいは液体状のもの、冷媒、溶剤等ありますけれども、こういうものは取扱の途中で漏れる可能性があるということで、原則として対象にすべきではないか。ただし、冷蔵庫中の冷媒、あるいは絶縁体等に使われて、密封容器の中に入っているようなものは、基本的に一般に環境中に出る、排出されるということではないので、対象から除くことが適当ではないかということでございます。

 3つ目の類型として、製品が固体のもの。1つは、固体といっても粉末状になっているようなものは、途中で環境中に出る可能性があるのではないかということで、このようなものは対象にすべきではないか。

 一方で、固有の形状を有するものについてでございますけれども、取扱の過程で、合金のインゴットみたいなもので、溶融、蒸発させるようなものは大気中に出ていく可能性があるということで、対象とすべきではないかということでございます。

 ただし、固有の形状を有するもので、例としてはタンク、あるいは組み立て部品、管、板、フィルム等の固有の形状になっているもので、溶融、蒸発、溶解しないものについては、環境中に出る可能性が少ないことから、基本的には対象にする必要がないのではないかということでございます。切削、剪断等の過程で出てくるものについては、ほとんど廃棄物に含まれて移動するという形で考えられますので、このようなものは対象にする必要もないのではないか。圧延加工、鍛造加工という物理的な変形を行う場合も、環境中に出る可能性は極めて少ないと考えるので、製品の対象から除くことが適当ではないかということでございます。

 いわゆるリサイクルされるものでございますが、再生・再利用されるために売却されるものについては、通常、種々雑多なものが詰まっている場合が多うございます。しかも、何が入っているかというのが一定していないということから、どのような化学物質がどれだけ含まれているかということを把握することも非常に難しいということで、MSDS交付対象製品とすることは適当ではないのではないかということでございます。ただし、これを使って再生品を製造する場合、その他、要件を満たす場合は、PRTRの届け出義務等になるのではないかということでございます。

 そのほか、廃棄物でございますが、これも種々雑多なものである。割合も一定しないということで、どんな化学物質が含まれているか把握することが困難。法律上は、一応廃棄物は製品とはみなしていないということで、本法の製品からは除くべきであると考えます。

 次に、天然物の取扱でございますが、鉱石など、自然に存在するものについては、組成が一定していないと考えられます。また、PL法の製造物にもなっていないという事例から、製品としては扱わないことが適当ではないか。ただし、選鉱、脱水等の工業プロセスを経たものは対象にすべきではないかということでございます。

 2つ目の大きな検討のポイントであります含有率でございますが、指定化学物質をどの程度含んでいる場合に、法の対象の製品としていくかということです。まず諸外国の例として、アメリカの場合には、原則1%以上、その対象物が入っている場合。ただし、指定化学物質が発がん性の疑いのある物質である場合には 0.1%以上ということで、すそ切りを非常に低く、ワンランク低くしているという状況でございます。欧州におきましても、発がん性の疑いの強い物質を含む猛毒、あるいは毒性のある物質という場合も 0.1%以上。一般的には1%以上含んでいる場合に法の対象にするというような事例があります。

 日本における他法令の例としては、労安法の化学物質等障害予防規則で、健康障害を引き起こすおそれが大きい物質を含む製品の例として、指定化学物質1%以上を含むものを法の対象にしているということでございます。

 基本的には、有害性の非常に強い、発がん性クラス1ということで、先ほど物質選定のときにクラス分けのご紹介がございましたが、これについては、生産量等についてもワンランク下げるというような配慮をしております。従いまして、こういう物質については、より厳重に管理をするということが必要ではないか。従いまして、基本的に指定化学物質を1%以上含む製品を対象とし、発がん性クラス1のものを含む場合には、 0.1%以上含む製品を対象とするというのが適当ではないかということでございます。

 以上、5、対象製品の要件(案)ということで、整理をしております。

 以上でございます。

○近藤部会長  ありがとうございました。

 ご質問ございましたら、よろしくお願いします。――何かございませんでしょうか。はい、七野先生。

○七野委員  教えてほしいのですが、3ページのところ、先ほどご説明がありました、Dその他、廃棄物の取扱についてというところがございますね。この法律でいきますと、要するに製品であるということが前提だと。となりますと、いわゆる産業廃棄物は製品ではないということですから、産業廃棄物に関してはPRTRの対象外であると認識すればいいのでしょうか。

○事務局  これは、先ほど課長から説明申し上げました、法律上、含有する製品であって、その含有を把握しなくてはいけない対象とする製品は何かということで、そういう意味では、廃棄物は種々雑多なものが入ってくるので、そこは対象とするのが難しいのではないかということです。ただ、工場が廃棄物を出す場合には、PRTRの法律の中では移動量ということでカウントされますので、移動量がどれだけあったかというのは個々の工場から出されるといったことになります。

○近藤部会長  よろしゅうございますか。

○七野委員  よくわかりませんが、また後でお聞きします。

○近藤部会長  よろしゅうございますか。結果的には除外されるものではないわけですね。

○事務局  PRTRは、ポリュータント・リリース・アンド・トランスファー・レジスターの略称ですけれども、リリースすなわち排出量の算出にあたっての製品の扱いについて、通商産業省の照井課長からご説明があったわけでございまして、廃棄物につきましては、トランスファーすなわち移動する化学物質の量として、廃棄物に含まれている量を扱うということで分類をしております。したがって、当然入ってまいります。

○近藤部会長  よろしゅうございますか。入っているわけです。

○七野委員  製品ではない?

○事務局  製品としてではございません。

○近藤部会長  製品ということとちょっと区別して考えて……移動量として。

 林先生、どうぞ。

○林委員  1つ教えていただきたいのですけれども、対象とするかしないかということの判断が、科学的、あるいは技術的な根拠で書かれているので、非常に適切だと思うのです。ただ、3ページのCだけが、データが不十分だから対象としないという意味は受け取れるのです。そうしますと、これは、もしデータが十分に得られるようになれば、Cについては、扱いは再考されることになるのでしょうか。

○事務局  こういう再利用される種々雑多のもの、例えば、車のシュレッダーのくずとか、金属くず、空き缶等、まさしくそれを出す方、またはそれを卸売される方が、そういったものの成分について、常に均一に扱っている。多分これは種々雑多なものなので、あるときはこういった物質、あるときはこういった物質と相当ばらつくと思うのですが、そういったものが管理されて、成分を把握して、MSDSをつくれるというような状況になれば対象になり得るというように……。そういうときは、対象に含めることを再度検討していただくということになると思います。

○近藤部会長  よろしゅうございますか。ほかにございませんでしょうか。――ございませんか。それでは、本議案につきましては、パブリックコメントの手続を進めさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

     (「異議なし」の声あり)

 それでは、第3の議題につきまして、事務局からご説明、よろしくお願いしたいと思います。

○事務局  それでは、資料3に基づきまして、PRTRの対象事業者の考え方についてご説明させていただきたいと思います。

 法律におきましては、また復習になりますけれども、2条第5項におきまして、次のように書かれております。「次の各号のいずれかに該当する事業者のうち」と。各号というのは、1号が一般的に第1種指定化学物質を製造する人、今、ご議論いただきました製品、1種指定化学物質、またはそれを含有する製品を使用する人。その他業として、こういうものを取り扱う人。製造者、使用者、取り扱う事業者というのが1号事業者ということで定められています。2号事業者は、付随的に、第1種指定化学物質、ダイオキシンなどを発生させるような事業者ということになっております。

 基本的にはこういう事業者がPRTRの対象事業者になるということなのですが、取り扱っている事業者をすべて届け出させるということではなくて、政令で定める一定の業種に属する事業を営む人であって、なおかつ、第1種指定化学物質の取扱量などを勘案して、政令で定める。そういう事業者が一応対象になるという考え方でございます。

 なぜこのような表現ぶりになっているかということですが、基本的にこのような化学物質を取り扱っている事業者であって、一般に環境中にそういう物質を排出すると見込まれる事業者のうち、特定の業種に属し、一定の要件を満たす事業者を、排出量の届け出が必要な事業者として規定しようということになっているわけです。

 ここで、事例として、製造というのはイメージしやすいわけですが、化学反応等によって、第1種指定化学物質をつくり出すこと。使用というのは、第1種指定化学物質、あるいは、それを含む製品を事業所の工程で使うこと。例えば、洗浄とか塗装とか、そういう行為が使用の行為。それから、取扱というのは、運搬とか搬入というような過程で、移しかえとか、そういうことをやる行為が取扱の行為であろうと。それから、非意図的生成化学物質を付随的に生成させるというのが2号事業者ということでございます。

 一般的にこういう事業を行っている事業者が対象ということですが、基本的にこのような列記された事業者が本法の対象事業者に該当するかどうかというのが、必ずしも十分認識できない場合があるわけです。したがって、この業種ですよということで指定してあげることによって、自分は法の義務を負っているのだということをわかりやすくするということと、基本的に取扱量等が非常に少ない場合、あるいは、そもそも少なすぎて算出できない場合には、法律の目的とする効果に比べますと、届け出義務というのが相対的に過重になるという可能性もあるわけです。

 したがって、基本的に対象事業者を考えていく場合には、第1種指定化学物質の取扱の状況や環境への排出の可能性、事業者の事務的、経済的な負担などの点について考慮して、届け出的に過重にならないにようにしていく、範囲を明確にしていくことが必要ではないか。そういう観点で、届け出事業者の範囲の確定について、先ほどの1号事業者、2号事業者に該当する事業者のうち、指定化学物質の排出の見込み、事業者の負担を勘案して、まず業種を政令で特定し、その上で指定化学物質の取扱量等を勘案してすそ切りを行い、第1種指定化学物質の排出の可能性が低い事業者や、今、届出が過重になるおそれのある事業者を除きまして、対象事業者を明確にしていくべきではないかと考えているわけでございます。

 それでは、具体的にどのような業種を特定していくかということでございます。3ページですけれども、基本的に、本法において対象業種として特定すべき業種は、第1種指定化学物質を環境中に排出するであろうと考えられる業種であって、届出に伴う効果と事業者の負担を次に考える。業種を指定することによって、法律の義務の対象になっているかどうかを認識していただいて、確実に届出を行っていただくことが大きな目的であると考えております。

 業種の指定の技術的な分類でございますけれども、これは日本標準産業分類という業種区分を基本的に用いていこうと考えております。大分類、中分類、小分類、細分類というものを用いて、業種に応じてその分類を使っていこうということでございます。

 この際、業種の特定に当たりましては、物質の取扱の様態、どういう工程で取り扱っているか。化学物質が出そうな工程かどうか。事業者が移動するような場合には、定点把握が難しいということですので、そういうものは除いていく。それから、業として個々の事業者の取扱量が非常に少ない場合は除いていくべきではないかということで、事業者の特定を行っていくべきではないかと考えております。具体的な業種については、これまで環境庁等で行ってきましたパイロット事業や化学物質の使用実態調査によって得られたデータをもとに、次の表1の業種を対象としていくべきではないかということでございます。

 この表の読み方でございますが、左の業種のところに、「D 鉱業のうち」云々とありますが、このDというのが、いわゆる大分類に分類されるもの。Fが製造業ということで、例えば「05 金属鉱業」というのは中分類になりますが、化学物質の主な排出源は、このような洗浄排水処理工程で出てくるのではないか。物質については、採掘される成分中の化学物質、あるいは排水中の化学物質。これまで把握された物質の例でございますけれども、鉛及びその化合物等があるということでございます。

 Fは製造業ということで、製造業は一般に化学物質を製造、あるいは広範に取り扱っていると考えておりまして、全業種を対象とすべきでしょうと。それから、第1種化学物質を取り扱っている場合、あるいは副生成物で排ガス、排水処理工程で出てくる全業種に共通した化学物質の排出というものも考えられる。それぞれの業種ごとに工程、排出が見込まれる化学物質の種類、物質の例というものがリストアップされているわけでございます。

 Gの電気・ガス・熱供給・水道業のうち、電気業、ガス業、熱供給業という業種においては、燃焼工程等、あるいはボイラー等の清掃、水処理等で出てくる化学物質があるであろうということでございます。そのほか下水道業では、下水に含まれる化学物質ということです。

 H、運輸・通信業のうち、鉄道業と倉庫業について溶剤等、倉庫では薫蒸剤等が対象になるのではないか。

 卸売・小売業、飲食店の業種では、石油卸売を行う者ということで、ガソリン等の燃料の供給過程で、ベンゼン等排出されるのではないか。その他、鉄スクラップ卸売業。これは限定がついていますが、自動車エアコンに封入された物質を取り扱う者に限るということで、自動車の解体時、CFC等の冷媒が排出されるであろう。

 サービス業のうちは、洗濯業、写真業、自動車整備業、機械修理業ということで、溶剤、塗料等を使って排出されてくるのではないか。6ページに続きますが、サービス業のうち、商品検査・分析等、計量証明ということで、環境分析などもここに入ります。それから、大学等の高等教育機関、研究所みたいなものを含んでいると思います。それから、自然科学の研究所で各種薬品を使って排出される。

 廃棄物処理業では、ごみ処分場等、廃棄物に含まれる化学物質、ダイオキシン類等が恐らく出てくるであろうということでございます。

 その他、公務というのがありますが、公務でさまざまな事業が営われておりますけれども、印刷業、あるいは下水処理場、下水道場、ごみ焼却、廃棄物処理、研究もやっています。そういうものも、基本的にはそれぞれの業種に業として分類される。それから、自衛隊もさまざまな化学物質を使っているということで排出される可能性がある。こういう公務も対象にしていくべきではないかということでございます。

 今、業種のところをみたわけでございますが、次に、事業者のすそ切りの要件でございます。基本的に、第1種指定化学物質を取り扱っている事業者を対象にすべきだと考えますが、小規模の事業者については、このような事務作業が非常に大変であるということと、取扱量が一般的に少ないのではないかということで、費用対効果、あるいは事務的な負担が非常に大きい。基本的には、円滑にこの法の義務を果たせないおそれもありますので、そういう点を考慮していく必要があるのではないか。したがって、届け出事業者のすそ切り要件として、従業員の規模、事業所ごとの取扱量を指標として設定する必要があると考えております。ただし、排出量等についてすそ切りされた事業者からの排出量というのは、行政庁の方で推計をすることになっておりますので、日本全体としての量は把握することができるということでございます。

 次に、それでは具体的なすそ切りの要件というのはどのように考えていくかということでございます。1つ、従業員数についてですが、届け出するのは事業者ということになっておりますけれども、中小企業基本法においては、小規模事業者という定義がございまして、常時雇用の従業員が20人以下の事業者は、小規模の事業者という形になっております。

 それから、容器・包装リサイクル法で再商品化義務免除の事業者、小規模の事業者は、同様にこの定義を引用していまして、20人以下については免除という法令の事例がございます。

 それから、これまでのパイロット事業等の例でございますけれども、ある一定規模以上の事業者を対象にすれば、大部分の排出量は把握することができるというデータがございます。表2ということで、11ページのデータをごらんになっていただきたいわけですが、これは一部の地方公共団体における実態調査ということで、全体事業者の母数としては 1,811ということです。このうち、化学物質を取り扱っているということで報告があったのは、21人以上の事業者が約68%で3分の2ということです。その3分の2の事業者から報告があった取扱量を集計いたしますと、3の累積取扱量ということで、21人以上の事業者を対象にしますと、ほぼ99.4%の取扱量を把握することができるという1つのデータがございます。従いまして、規模の要件としては、常用雇用者数21人以上とすることが適当ではないかと考えております。

 なお、将来の問題として制度が定着して、この要件では不十分ではないかということが起きた場合には、見直しをしていくということがあり得ると考えております。

 次に、取扱量でございますけれども、法律上は事業所ごとに報告するという形になっておりますので、基本的に、量については事業所単位で定点観測ということで、事業所単位で設定するのが適当であろうと考えております。

 諸外国の例をみますと、アメリカ、カナダで年間取扱量におけるすそ切りを行っております。カナダでは10トン以上。アメリカでは、製造の場合には11トン、使用についてはその約半分、約5トン。以上の場合に排出量を報告することになっております。

 これまでの環境庁等のパイロット事業のデータによりますと、12ページの表3でございますが、今回、PRTRの対象物質ということで候補になっております 356物質のうち、パイロット等の事業で対象になった物質が73物質あるということでございます。そのうち、すそ切り要件をそれぞれ0トンから10トンのところで分類しまして、取扱量のカバー率が80%以上となる物質は、どのすそ切りのところかということで整理いたしますと、10トン以上の場合は63物質、5トンで64物質、1トンで69物質。73のうち、10トン以上であれば、80%以上ほできるということでございます。1トンでありますと95%の物質について取扱量のカバー率が80%以上になるということでございます。従いまして、我が国においては、年間取扱量のすそ切りというのは、原則、事業所単位で1トン以上ということであれば、排出量の大半を把握できると考えられますので、すそ切りにしてはどうかということでございます。ただし、幾つか特別な事情を考慮する必要があるであろうということでございます。それが9ページ以下でございます。

 まず1つは、有害性の程度についてですが、物質選定の際にも発がん性のある物質、あるいは製品の定義で発がん性のある物質については、すそ切り要件といいますか、基準を低くすることもありました。従いまして、先ほどの年間取扱量1トンというのは、発がん物質、クラスが1のもの。10物質ぐらいあったかと思いますが、それについては、 0.5トン以上の場合ということで、すそ切りを少し下げる必要があるのではないかということでございます。

 2つ目は、下水道業とか廃棄物処理業というような業の形態の場合には、基本的に下水処理、あるいは廃棄物処理のために第1種指定化学物質を使用する場合を除いて、いわゆる2号事業者、付随的に指定化学物質を生成させる事業者に該当すると考えられます。これらの2号事業者については、取扱の量を製品と同様に設定することが非常に難しいと考えられます。したがって、この業に属する対象の事業者は、下水道の終末処理施設、あるいは廃棄物処理法においては、その法律の許可、または届け出の対象となる施設を設置する事業者を対象とし、基本的には規模の要件、先ほどの21人以上を対象にしていくと考えるべきではないかということでございます。

 その他、天然物を原料とする事業者も、同様に排出される2号事業者になる可能性があります。そのような場合についても、取扱量を設定するのが非常に難しいことになりますので、関係法令等に基づき、届け出、許可の対象となる施設を設置する事業者を対象すべきではないか。同様に、ダイオキシン類等の非意図的生成物を排出する場合も、取扱という概念にはなじまないことになりますので、法令に基づき、ダイオキシンの排出濃度の実測義務が課せられている事業者を本法の届け出対象事業者とすべきではないかということでございます。

 10ページで、その他留意事項ということですが、ただいま対象事業者を絞る議論をしてきたわけでございますけれども、第1種指定化学物質、あるいは第2種指定化学物質を取り扱っている事業者。これは、繰り返しになりますけれども、法律上は4条に規定される化学物質管理指針に留意して自主管理を行っていく。その管理の状況に関する国民の理解を深めるよう努める義務を有する事業者に該当しているわけでございます。それから、MSDSの提供の義務を有するということで、すそ切りから外れたとしても、このような自主管理の義務がかかっていることを十分留意していく必要があると考えております。

 それから、技術的な話ですが、複数の事業を行っている場合、1つの事業が対象業種でなくても、別の業種が対象になっていれば、届け出義務を課すのが適当ではないかということでございます。

 以上、今の考え方を整理いたしますと、6の結論という形になるわけですが、政令で定める業種としては、表1の業種。従業員数のすそ切りとしては、常用雇用者数21人以上の事業者。取扱量としては、原則1トン以上ということですが、特別な条件として、発がん物質の場合には 0.5トン以上。第2号と考えられる事業者については、それぞれの法律に基づく施設を設置する事業所等を対象とするというようにしてはどうかということでございます。

 以上でございます。

○近藤部会長  ありがとうございました。

 ご質問、ご意見ございましたらどうぞ。はい、どうぞ。

○三浦委員代理(田中)  すそ切りのことについて、ご意見申し上げたいのです。8ページの下の (3)の取扱量のところでございますけれども、アメリカとかカナダでは10トン、使用量は5トンということで、すそ切りをやっているわけです。こういう制度は、できれば国際的に整合性をもたせる方がいいわけで、10トン、使用量は5トンということで、同じように合わせてやっていただきたいということなのです。さらに、すそ切りを下げる根拠というのは、12ページについているパイロット事業の数字ですけれども、これをみてみると、全部カバーしようと思うと、 0.1トン以上でやれば全部カバーできるわけです。これを1トンですそ切りすることによって、取扱量では4個ほど減るわけですが、それをさらに10トンにすると、物質が6個ほど減ってしまうということで、どこで線を引くかというのは、すごく微妙な判断が要ると思うのです。

 それと、このパイロットの事業というのが、我々の理解では、ある特定の地域、神奈川県の一部分と名古屋のエリアで行われたと理解しているわけです。そういう意味で、全国区的な代表性があるかどうか、こういうことでもう少し詳細な調査が要ると思うのです。こういうことを考えれば、当面、日本の場合も10トン以上ということで、アメリカとかカナダと同じレベルですそ切りをスタートした方が、この法律の本来の目的である事業者の自主的な管理を進めるということで、小規模の事業者に過剰な負担をもたらさないということで、より制度がスムーズに定着していくのではないかと考えるわけです。従いまして、このすそ切りの数字のところについては、再考をお願いしたいということであります。

○近藤部会長  どうぞ。

○中西(宏)委員代理(松岡)  今のご意見に私も全く賛成なのでございますけれども、資料の8ページのところ、ご説明を聞いていて、11ページ、12ページの付表と整合していないのではないかという気がするのでございます。要するに、取扱量の大半、あるいは排出量の大半をカバーするということが理想であることはわかるのでありますけれども、11ページをみますと、21人以上は99.4%の取扱量をカバーしているということでありまして、仮にこれを50人にすると95.1、 100人にしたら83.9%カバーしているということであります。ところが、12ページにいきますと、1トン、5トン、10トンとあるのでございますけれども、これは取扱量でみるのか、排出量でみるのかによって変わりますが、この文章の8ページで「大半」とおっしゃっているものが、何をもって大半というのかというのが、どうもはっきりしていないのではないかと思っております。これは一度、取扱数量のすそ切りを少なくして、全量に近いものをやりたいという理想からしますと、これは一たんスタートしますと、これを緩目に見直すということは、現実論としてはなかなかできないと思います。

 実際に、事業をやっております者の立場から申し上げますと、ステップワイズにやっていくということが、こういうこと、特に自主的にやっていく。みんなインセンティブがなくてはいけないのでありまして、なるほどと思ってやっていくためには、先ほどもお話にございましたような、国際的なある程度の基準と。科学技術は国際的に競争しているわけでございますから、これをやるにもコストがかかるわけでございまして、必ずしも理想だけというわけにもいかない。もうちょっと現実的な側面も考えていただきたいと非常に思うのでございまして、特にパイロット事業につきましては、その実態がよくわかりませんけれども、今回は法律を規定して、法律を決めて、それに基づいて自主的にやろうということでございますので、そのカバー率は、飛躍的に上がるのではないか。そうしなくてはいけないと私は思っております。1トンではなくて、10トンとか、そういうレベルでスタートして、むしろ問題があれば、その時点で見直すという考え方ではないのかと思っておりますので、ぜひご再考をいただければと、私もさように思っております。

○近藤部会長  はい、どうぞ。

○河内山委員  今のすそ切りに関して、2点ほどお願いとご質問させていただきたいのです。

 1つは、今、お二人の方から意見が出ましたように、こういうものを決めるということは、基本がRCですから、日本も国際基準の範囲できちっととらえることが重要ではないかと考えております。

 もう1点は、3ページ、「個々の事業者に届け出義務を課さずに国が推計により排出量を把握することができる」ということで、すそ切りをしても、そういうことができるのだということが書かれておりますけれども、21人以上ということになりますと、中小企業の方が、この枠組みから外れるわけです。それは、その他の留意事項の中で、「その管理の状態に関する国民の理解を深めるよう努める責務を有する事業者に該当する」と書かれておりますけれども、ここらあたりに対してRCを基本にしながらも、どこがそういうところに対して指導なり援助をしていくのかを、少し詳しくご説明いただきたいと思っております。

○近藤部会長  ありがとうございました。はい。

○角田委員  ただいまのご発言と関連するわけでございますが、我が国の中小企業ということになりましら、非常に零細なところも多いわけでございまして、中小企業ばかりだといっていいほどのものでございますので、21人というくくりが、本当にそれで妥当なのかどうなのか。例えば、諸外国では、どのくらいの人数の節目になっているのか、そういうところを教えてください。

○近藤部会長  ちょっとまとめていきたいと思いますが、最初、すそ切りに関しての議論、ご意見がお三人からございました。その点につきまして、まずパイロットプランをおやりになった環境庁サイドからお答えいただけたら……。

○事務局  幾つかお答えします。まず、一番簡単なといいますか、最後の角田委員のご質問ですが、諸外国の人数のすそ切りでございます。人数のすそ切りを導入しておりますアメリカ、カナダでございますが、事業所単位で、10人以上の事業所はすべて報告ということでございます。

 それから、パイロット事業などのデータの見方でございますけれども、私どもの方で、自治体からデータをお借りして、取扱量調査の結果を集計したものが11ページ。自治体では排出量のデータというのはございません。取扱量のデータしかわかりませんので、11ページは取扱量までしかデータが出ておりませんけれども、12ページは、排出量までパイロット事業の方から集計したわけでございます。

 人数につきましては、事業者の負担を考えるということで、中小企業基本法の21人を使うというのが、我が国でも小規模事業者を考えるということでいいのではないかと考えました。ただ、それでカバー率が非常に悪かったら、やはりそれは問題ではないかということでございます。11ページの表をみますと、21人以上で十分カバーしているということで、21人で大き過ぎることはないという判断をしたわけでございます。ここで51人とか 101人とかという数字は、私どもとしては考えておりませんで、21人で十分カバーしたかどうかというのをチェックしたいというのが、この11ページの表でございます。

 それから、表3でございます。パイロット事業でございますが、上の方が取扱量で、先ほど事務局から、上の方の取扱量のカバー率の表をご説明させていただきましたけれども、それでいきますと、確かに1トン以上で80%カバーするものは95%、69物質でございます。5トン以上、10トン以上でも80%以上カバーする物質数は8割を超えております。ただ、排出量の下の2の表をみていただきたいと思います。1トン以上で切りますと、確かに 0.1トンよりもっと小さくなりますけれども、1トン以上でカバー率が80%以上となる物質数は51で、81%でございますが、5トン、10トンになると、これが相当落ちてまいります。67%、63%。カバー率が50%未満の物質数もふえてまいります。

 私どもとしては、この表をみたときに、5トン、10トンで、諸外国と同じレベルでこれを切って十分把握できるという判断をすることができませんでした。排出量の把握というのは、ある程度、事業者からの報告で排出の状況をきちっと把握したいということが目的でございますので、この表を整理したときに、私どもの方で、これで5トンや10トンで大丈夫だということを申し上げることは、ちょっと難しかったということでございます。

 とりあえず、パイロット事業の関係のご説明は以上でございます。

 それから、化学品審議会の先生方のご意見をいろいろ伺いましたが、中環審の先生方のご意見も、もしお聞かせいただければと思っておりますが。

○近藤部会長  これに関して、ご質問、ご意見ございませんでしょうか。はい、七野先生。

○七野委員  産業廃棄物に関しましては、今回の説明でよくわかりました。

 あと2点ほど教えてほしいのです。医療機関は、6ページに届け出対象機関がざっと並んでおりますが、この中の自然科学研究所の前の中で読めばいいということなのか。それとも、医療機関は一切PRTRから外すのか、そのあたりを教えてほしいと思います。

 もう一点、このPRTR法を制定するときの審議会で、情報のやりとりは、たしか電子情報でやることが望ましいということであったと思いますが、これだけの膨大な情報をやりとりするとなりましたら、今は電子情報で受け渡しする、これ以外にないのではないかと思っております。それについての事務局の作業の進展状況、あるいは考え方を、わかる範囲で結構でございますから、教えていただけたらありがたいと。

 以上です。

○近藤部会長  すそ切り問題については、また改めてご議論いただくとして、差し当たって、今のご質問にお答えいただきたいと思います。

○事務局  まず、電子情報による届け出でございますけれども、今、政府としても、電子政府ということで、電子媒体を使って行政上の許可申請とか届け出をやることを推進しようということで取り組んでいるところでございまして、この法律においても、電子情報によるやりとりを積極的に推進していこうと考えております。現在、そのやり方については、製品評価センターの方で、どういうシステムを構築していったらいいか。国、都道府県、事業所の方にはどういう仕組みでやれば効率的にできるかということを、今、研究しているところでございますので、成果ができれば、広くお知らせをしたいと考えております。

 病院でございますけれども、ここでは明示的に書いておりませんが、一般的に通常の病院というのは、取り扱っている化学物質の量が少ないであろうと。ただし、大きな病院が研究施設をもっていて、化学品を使っている例があると考えられます。基本的に、大学の病院は 914の方に入っていくのではないか。研究を非常に盛んにやっている医療系の病院は、自然科学の研究所という形で考えられる。そういうところで、たくさん使っている医系の研究所は、そこで捕促されるのではないかと考えております。

○近藤部会長  はい、どうぞ。

○江頭委員  すそ切りの問題なのですが、おっしゃっている方は、事業者の立場でおっしゃっているので、私も20人以下がどれほど――私、事業系でないものですから、その辺は詳しくわからないのですが、一般の生活者としては、この表を見る限りでは、私はいいのではないかと思ってみておりました。ただ、零細の事業者の方が、本当に20人以下がすごい零細で、生活が成り立たないほどのレベルなのかどうかわかりませんが、生活者としては、反対意見のようで大変申しわけないのですが、環境庁がおっしゃる表のとおりで私は賛成しております。

○高田委員代理(兵頭)  私も代理でまいりまして、こんな発言してよろしいかわからないのですが、私も一般の市民といたしますと、きょうのお話の中で、確かに企業としては、大変苦しいところをおっしゃっていらっしゃると思うのですけれども、必ずしも国際レベルに合わせるということではなくて、後追いでなくて、積極的にいい環境にする努力ということで、ちょっと厳しい数値ということも、環境のために、この狭い日本の国土をよりよくするためには、この数値はよろしいのではないかと。反対の意見でございますが、今の先生と同じような意見でございます。

○近藤部会長  ほかにございませんでしょうか。はい、どうぞ。

○櫻井委員  私は、11ページの表2をみていて、私の常識と違う点、それは何かと申しますと、かなり小さい事業所からのサンプルの数が小さい。つまり、累積報告事業所数というところ。11人から 101人までずっと数字が書いてありますが、これは、それぞれ引き算してみますと、一番左の10人以下というところが 380、11人以上というところが 197、21人以上が 131、31人以上が 204、51人以上が 271で、 101人以上が 628という計算になるわけです。日本全国で50人以上の従業員をもつ事業所というのは、数からいくと3%で、要するに50人未満が97%を占めるという事実を知っておりますので、それからいきますと、このサンプルは、50人未満のところに3万ぐらいの事業所があるはずなのです。右の50人以上というところが大体 900ですから、それが3%ということだと、残りの97%は3万ぐらいある。

 私の言いたいことは、そうしますと、20人未満というところも、事業所が数万あるはずなのです。そのうち、化学物質を扱っているのが、ここに出ているのが 600ぐらいで非常に少ない。これは、どういうサンプリングをしたのか。化学物質を取り扱っている事業所ということかもしれませんが、もっとはるかにたくさんあるはずなのです。ですから、これをみて、20人未満でも1トン以上取り扱っているところが相当あるに違いないので、8ページの一番上の (2)の記述が、このように言っていいかどうか疑問だなと思って、実はここへ出てきたわけです。つまり、常用雇用者数、21人以上の事業所における化学物質の取扱量が大半を占めているというのは、この日本全体でいって本当に正しいのだろうかという疑問をもちました。

 ですから、むしろ現在の段階では、21人以上1トンというのでいいだろうと。それでもかなり落ちているのではないかという気持ちがあって、8ページの (4)「なお、将来、制度が定着して、この規模要件では、届け出による排出量が十分把握できていないことが判明した場合は、事業者の対応能力も調査した上で規模要件を引き下げることも検討することが適当と考えられる」と書いてあるのが妥当なのだろうと、私はそのように思ってまいりましたので、一応21人以上というのと、1トンという線に賛成でございます。

 以上です。

○近藤部会長  はい。

○事務局  2点ほどつけ加えさせていただきます。

 第1点ですが、11ページのサンプルでございますけれども、これは、自治体によってやり方が若干違いますけれども、化学物質を取り扱っていそうな業種に絞りまして調査をして、回答したところだけの数でございますので、1つは、取り扱っているかどうかということと、協力をしてくれたかどうかということがかかってきますので、そういう意味で、どちらかというと、数としては大企業の方に多く集まって、中小企業が少ないという結果になっていると考えられます。

 もう1つ、パイロット事業について補足いたしますが、パイロット事業の結果、中間報告を公表してご意見をいただいた中に、取扱量の件についてもご意見がありまして、パイロット事業のときは、半分ぐらいの物質については 0.1トン以上、残りの半分ぐらいについては10トン以上の取扱の場合に報告をしてくださいということでお願いいたしまして、その結果を公表しましたところ、10トンでは大き過ぎるのではないかというご意見がございました。その一方で、 0.1トンでは値が小さ過ぎて調査が大変だというご意見がございました。そのあたりも考慮したわけでございます。

 以上でございます。

○近藤部会長  ほかにございませんでしょうか。――この1トンか21人以上かということは、どちらを優先されるのですか。5人でも1トン以上扱っていれば入るのかどうなのかということです。

○事務局  これは、基本的には対象事業者は両方満たしている人ということで、5人の事業所で5トン使っている場合は、対象にならないということでございます。国が推計をするという形になります。したがって、21人以上であって、1トン以上を取り扱っている者という形になります。

○近藤部会長  ほかにご意見ございませんでしょうか。――ただいま聞いておりますと、すそ切りで1トンか10トンかという非常に大きな開きがあるようでございますけれども、1トンか10トンか、妥協すれば半分というわけにいかない数字でございます。その辺が非常に大変なところでございますし、1トン以上、5トン以上、10トン以上と非常に大切りにしてありますから、その間のデータがないというところも1つの問題点だろうと思いますし、その辺のところ……どうぞ、鈴木先生。

○鈴木委員  1トンか10トンかという話に関連しますと、どのくらいの数の事業所が、どれだけのものを扱って、どう環境に出しているかという実態がどうであるかが問題で、例えば日本の場合に、アメリカと比べるということをやるのだとすれば、規模別にどんな分布をしているかを相互にきちんと比べてみなければ、本当はハーモナイゼーションの議論にはなかなかならないのだと思うのです。ですから、国際的なハーモナイゼーションのことを考えるのだとすれば、少なくともこの届け出のシステムによって、95%は押さえたいというような決め方でやれば、日本であろうが、アメリカであろうが、何であろうが、多分同じようにできると思いますけれども、それは、10トンで切るか、1トンで切るかという議論とは違うのだと私は思います。

 ですから、実態として、どれだけの数の事業所から、どれだけのものが出ているのかに関する正確な分布図を、我々はまだちゃんともっていない。しかも、日本の場合、小さくてたくさん出てくる可能性があるという段階だと、いささかきつい方向に行ってしまうのは仕方がないのではないかという意見を私はもっています。

○安原委員  どの程度で切るかというのはなかなか難しいわけですが、国際的な基準というのは、あくまで参考であって、我が国の実態に即して、法律の趣旨、制度に照らしてどういう数字をとったらいいかという判断をすべきだろうと思います。そのデータですが、パイロット調査のデータしかないということですし、その場合に、取扱量と排出量のデータがある。この場合、排出量をできるだけカバーしているというのが、このPRTRの制度の趣旨に合うのではないかと考えられます。

 したがって、何トン以上とるかといった場合に、やはり1トン以上とれば、8割程度のカバーを確保できる。10トン以上だと63%程度しかカバーできないというかなりの開きがありますので、情報の精度を確保するという意味で、この場合、1トン以上をとるべきではないか。事務量がかかるわけですが、そこは精度を確保するという観点を優先して考えるべきではないかと思います。したがって、私は、原案どおりで適当ではないかと考えております。

○近藤部会長  ありがとうございます。いかがでしょうか。はい、どうぞ。

○三浦委員代理(田中)  今、いろいろご意見を出されましたけれども、このPRTRの法律の考え方なのですが、国、政府がこういう大きい骨格をつくって、その上で事業者が自主的に化学物質の管理をちゃんとやっていくという趣旨の法律で、事業者の自主的な努力というのが非常にポイントになるわけです。それで、先ほどから幾つか統計の話が出ていますけれども、こういう化学物質全体の、日本の中でのいろいろ細かい実態は、まだよくわかっていないところがあるわけです。それで、この法律の一番重要なところは、こういう仕組みができて、それがうまく機能して、いい方向に転がっていくというのが、我々は非常に大事だと思っているのです。

 そういう意味で、我々業界団体の方で、4年ぐらい前から徐々に対象を広げて、問題が起こらないような格好でPRTRの事業を自主的にやってきたわけですけれども、こういう法律のもとでやり始めるといろいろ混乱も起こるわけで、そういう意味で、当初はアメリカとかカナダの例で、10トン、5トンというすそ切りがあるわけですし、スタートはやりやすい、できるだけ混乱が起こらないところからやっていって、どこかにも書いてありますように、それで支障ができれば対象をいろいろ広げるとか、仕組みを考えていく方がいいのではないかというのが我々の基本的な考え方でして、規制されたら困るとか、そういうことをいっているのではなくて、この制度をいかに日本の中でうまく定着させていくかというのが、特に我々、化学物質をつくって、それを買っていただいて、事業をやっている化学の団体ですから、いかにうまくこういう制度が定着するかという観点からご意見を申し上げているということで、誤解されると困るということで、再度ご意見をいわせていただきました。

○近藤部会長  ありがとうございました。はい、どうぞ。

○藤木委員  我が国では、一度規制等を行いますと、科学的に間違っていた根拠に基づいての規制であっても、後になってなかなか緩められないという難点があるのです。それが、きょうの資料の1―1では、物質的指定に関しては見直しをやるということが明記してありますので、ほっとしておりますけれども、ぜひ見直しをやって、もしも学術的に疑いがなくなった場合はどんどん外す。また、間違った情報で漏れていたならば、どんどん入れるというのを明確にやっていただきたいと思います。

 と同時に、資料3では、見直しの件がないのです。ですから、櫻井先生がおっしゃったように、私も疫学的な知見から、もうちょっと下の方でやるべきではないかという気はしているのですけれども、これは一地方自治体でのデータからの類推ですので、やってみなければわかりませんので、とにかく最初は厳しくやる。やってみて、ちゃんと把握できていれば緩めていく。すそ切りも、場合によっては11人以上としなければならんかもしれないし、31人以上でもいいかもしれないし、やってみて、見直しをするという条件をここで確認していただければ、それで皆さん、ご了解されるのではないかと思います。

○近藤部会長  今、そのようなご提案がありましたけれども、いかがでしょうか。その時点で見直しをしていくと。

○事務局  ただいまの見直しの件について、特に資料3で述べておりませんけれども、当然やるものだと事務方では考えていまして、物質のほうが見直しされますと、当然、業種とか、そういうものを見直ししていかなければいけないと思っていますので、そのような方針でやっていくべきものだと思っております。

○近藤部会長  これより厳しくする場合もあり得るし、緩める場合もあり得る、こういう見直しが必要であるということでよろしゅうございますか。

 1つ質問がございますが、先ほど櫻井先生がおっしゃいましたように、21人以上ですか、非常にたくさんの事業所があるわけですが、この人たちから報告を求める場合に、零細企業のこういう方たちは、それに十分対応していく力があるのだろうか。あるいは、その場合には、都道府県単位で指導が行われるようなシステムができ上がっているのかどうなのか。これをお聞きしたいのです。

○事務局  現在、法律の運用をどのようにやっていくかということについては、スケジュール的には2001年4月ぐらいから排出量、移動量の把握。したがって、翌年4月以降、データを届けていただくというスケジュールでやるべきではないかと考えております。事業者は、あと1年半後からデータを把握するという形になるわけです。そういうことで、現在、我が方としても、さまざまなPR、広報活動を行っておりまして、特に中小の事業者については、今、中小企業事業団を通じたセミナー等を行っているところです。それから、各都道府県の行政官、あるいは通商産業省でいいますと、地方の通産局の職員、製品評価センターの方々を含め、研修等を行って、指導の体制を整えていきたいと考えております。

○事務局  あと、ご承知のとおり、国会で法案修正が行われまして、国に対する届出を都道府県を経由して行うことなりましたので、都道府県も非常に問題意識をもたれております。そういう意味で、都道府県と連携をとって十分な事前の周知徹底が図られるように、是非していきたいと考えております。

○近藤部会長  ほかにございませんでしょうか。――ただいま、見直しの考え方を導入していくということがつけ加えられたように思いますけれども、本日の会議は、最終決定ということではございませんで、パブリックコメントを経て、最終結果は来年2月という形になろうと思いますので、その間でいろいろご検討いただければありがたいと思っております。

 ほかにございませんでしょうか。――それでは、本日の議題を両部会の案としまして、パブリックコメントに回して手続をさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

     (「異議なし」の声あり)

 それでは、そのようにさせていただきます。

 これで、本日の主な議題につきましては、ご議論いただきまして、つけ加える箇所ということに関しましては、事務局で整理をよろしくお願いしたいと思います。

 とりまとめました物質リストなどの案に関する今後の検討予定でございますけれども、これについて事務局からご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局  今後の予定でございますけれども、本日の合同会合でパブリックコメントに回して差し支えないということでご了承いただきました物質のリスト、製品の要件、対象事業者について、できれば今週中ぐらいにパブリックコメントに回していきたいと思っております。

 その具体的なパブリックコメントの形式そのものにつきましては、今のサブスタンスのところは、基本的にきょうご議論いただいたものでやっていくということで、両座長、事務局にご一任していただければありがたいと存じております。その後、1ヵ月ほどのパブリックコメントですから、12月の中下旬ぐらいまでにご意見をいただくこととしたいと思っております。

 その後、出てきましたコメントにつきまして、物質の選定の方につきましては、3審議会の専門委員会及び検討分科会の合同会合でご検討いただきまして、両部会に諮りたいと考えております。製品と事業者の要件につきましては、同じく出てきましたパブリックコメントを踏まえまして、部会の合同会合におきまして、最終的なご検討をいただきたいと考えております。

 なお、あらかじめご了承をお願いしたいのですが、物質について政令で指定するときに、化学物質の名称を書くわけですけれども、命名法で、きょうお配りした物質名と変わる可能性がございます。その点については、あらかじめご了承していただければと思っております。

 以上でございます。

○近藤部会長  ありがとうございました。

 それでは、その他について何か事務局からございますでしょうか。

○事務局  本日は、膨大な資料をご検討いただきまして、ありがとうございました。

 次回の両部会の日程でございますけれども、パブリックコメントの手続の期間、その整理に要する時間を考えますと、来年2月上旬、あるいは中旬ぐらいに、合同会合の形でできれば開催させていただきたいと考えております。現在、各先生方のご日程を伺っているところでございまして、日程が決まり次第、事務局から追ってご連絡させていただきたいと思います。

 以上でございます。

○近藤部会長  それでは、以上で合同会合を終了させていただきたいと思います。

 本日は、長時間どうもありがとうございました。

                                 ――了――