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第19回中央環境審議会環境保健部会議事録


1.日  時   平成11年7月30日(金) 10:00〜11:20

2.場  所   東條会館 橘の間

3.出 席 者

4.議  題

5.議  事

【南川保健企画課長】 時間になりましたので、ただ今から第19回中央環境審議会環境保健部会の開催をお願いいたします。既に御出席いただいております委員の先生方は過半となっておりますので、部会は成立しております。
 最初に、私ども環境保健部ないし企画調整局の中で異動がございましたので、その者の紹介と挨拶を申し上げます。
 まず、局長の岡田が次官になりまして、岡田の後任として官房長の太田が企画調整局長になっております。間もなく参りますので、こちらに参上した後に御挨拶を申し上げます。
 続きまして、同じく27日付けで環境保健部長が西尾になっております。西尾から一言御挨拶申し上げます。

【西尾環境保健部長】 27日付けで環境保健部長を拝命いたしました西尾でございます。前職は3年ばかり秘書課長をやっておりました。先ほど南川から申しましたように、局長がちょっと遅れておりますが、「後で御挨拶させていただくので、先生方にくれぐれもよろしく申し上げておくように」と言っておりましたことを一言申し上げさせていただきます。
 先生方には、6月22日の前回の部会におきまして、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案」、いわゆるPRTR法案の審議状況について御紹介いたしましたけれども、その後、7月7日の参議院本会議で可決・成立し、同月13日に公布されたわけでございまして、先生方のPRTRについての審議に対する御協力、御支援に大変感謝するものでございます。  言うまでもなく、PRTR法は化学物質対策の画期的なもので、私ども早速、法律の施行のための準備に着手という段階になっておるわけでございます。後ほど事務局からも御説明しますが、PRTR法の運用に関する事項につきましても、引き続きぜひ本部会におきまして御審議を賜りたいと考えておりますので、ひとつよろしくお願い申し上げる次第でございます。
 また、もう一つの大きなイシューであるダイオキシン問題でございますが、7月12日の衆議院本会議におきまして、議員提出の「ダイオキシン類対策特別措置法」が可決・成立いたしまして、7月16日に公布されたわけでございます。この問題も政府挙げて取組を一層強化しなければいけないことは論を待たないわけでございまして、前回の部会におきましては、ダイオキシン類のTDIを体重1kg当たり4ピコグラムとする報告をとりまとめていただきましたので、これに基づきまして、今後、関係省庁と協力して各種施策を進め、万全を図っていかなければならない段階にあるわけでございます。
 本日は、まず、PRTRの問題、ダイオキシンの法律について御説明申し上げまして、その上で、特にPRTR法の対象物質の検討の進め方について御審議いただくほか、若干の報告事項について御説明、御討議いただきたいと考えておる次第でございます。
 重ねまして、先生方には御指導のほどよろしくお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

【南川保健企画課長】 続きまして、課長、室長にも若干の異動がございました。私の隣りでございますが、環境安全課長が上田になっております。また、上田の後任としまして、環境リスク評価室長に金井が就任いたしております。
 引き続きよろしくお願いいたします。
 まず最初に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

               〔配付資料の確認〕

【南川保健企画課長】 それでは、部会長、よろしくお願いいたします。

【井形部会長】 それでは、ただ今から第19回環境保健部会を開催させていただきます。
 まず、会議の公開・非公開についてでありますが、本日の会議は、公開することにより、公正中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合に当たりませんし、また、特定の者に不当な利益・不利益をもたらすおそれがある場合にも当たりませんので、原則に従って、公開とさせていただきます。
 また、本日配布されている資料につきましても、公開しても差し支えないと思われますので、公開とさせていただきます。
 本日の議事につきましては、議事次第に記載してあるとおりであります。まず最初の議題は、「前回議事録の確認」でございます。資料1として前回の部会の議事録(案)を配布しておりますので、御確認の上、何か修正等お気付きの点がございましたら、事務局まで御連絡をお願い申し上げます。
 次の議題は、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR)について、事務局より説明をお願いいたします。

【南川保健企画課長】 資料2−1、2−2、2−3を用いて、PRTR法が結局どのような形になったか、また、今般、どのような事柄について御審議をお願いするのかということにつきまして、背景説明をさせていただきます。
 まず資料2−1を御覧いただければ幸いでございます。これは7月13日付けで公布されました法律の概要でございます。大きな流れにつきましては前回御報告しておりますので、今回は国会で修正があった部分を中心に触れさせていただきます。
 まず、法律の目的でございますが、1の(2)にございますように、有害性が判明している化学物質について、人体あるいは生態系への悪影響との因果関係の判明の程度に係わらず、事業者による管理活動を改善・強化して環境の保全を図るためにこういう制度を設けたということでございます。これについては全く変わっておりませんし、国会の審議の中でも特に大きな反論はございませんでした。
 2の「法律の概要」でございますが、まず、PRTRないしMSDSを含めた対象物質を決める必要があるわけでございます。これは政令で指定いたします。ここで(1)の真ん中あたりの*のところに線が引いてございますが、これにつきまして衆議院の方で修正がございました。「政令指定にあたり、環境の保全に係る化学物質の管理についての国際動向、科学的知見等を踏まえ、人の健康及び生態系への被害等が未然防止されるよう十分配慮する」ということでございまして、従前は「国際動向、科学的知見を十分配慮する」にとどまっていたわけでございますが、「人の健康及び生態系への影響を防止するのだ」ということを強く認識した上で物質の選定を行え、というふうになったわけでございます。
 また、この選定につきましては、環境庁長官、厚生大臣、通産大臣は、あらかじめ審議会の意見を聴くということでございまして、ここに各々の役所ごとにどういう審議会に意見を聴くかということが整理されているわけでございます。
 次の2ページは、PRTRの届出の関係でございます。事業者といいますのは、どういう事業者を対象にするか、これも政令でその要件を決めることになります。その対象となる事業者でございますが、化学物質の環境への排出量−−大気、水、土壌にどれだけ出したか、また、ゴミとしてどれだけ化学物質を外に出したかということについて把握しまして、都道府県経由で国、事業所管大臣に提出ということでございます。ここで「都道府県経由」というところが同じく衆議院で修正があった部分でございまして、法定受託事務で都道府県を経由するというふうになったわけでございます。
 なお、その際、都道府県は、単にポストとして経由するだけではなくて、意見を付することができる。例えばA事業所についていいますと、他の同業種、なおかつ似た規模の事業所と比べて少し少なすぎるとか、逆に多すぎるとか、そういった意見も付して事業所管大臣に通知をすることができるわけでございます。この部分は自治事務ということでございます。
 また、営業秘密の部分だけは直接国に届出をするわけでございますけれども、これにつきましても、都道府県知事は環境庁長官と同様、必要な説明を求めることができるということになったわけでございます。その部分が修正でございます。
 そして、事業所管大臣に届けられたデータにつきましては、環境庁、通産省が共同でこれらの情報を電子ファイル化しまして、例えば物質ごとに、あるいは業種ごと、地域ごとに集計し、それらを公表します。また、そういった集計データのみならず、個別事業所 ごとの電子ファイル化した情報につきましても都道府県に提供するわけでございます。
 Bでございますが、届出対象事業者はある程度限定されますので、それ以外の発生源につきましては、非点源−−ポイント・ソースに対してノン・ポイント・ソースと呼んでおりますけれども、非点源の排出も例えば家庭、農地、車等たくさんあるわけでございますが、これにつきましては、別途、環境庁と通産省で推計いたします。そして、事業者から届け出られたデータの集計と併せて公表するということでございます。したがって、各地域の方は自分たちの地域で、県なら県でどの程度、どういうところからどういう物質が出ているかということが把握できるということでございます。
 また、Cにございますように、その個別事業所データにつきましても、国民から請求があれば、これは「何人から」ということになっておりますけれども、何人であっても請求があれば、営業秘密の部分は別にしまして、個別事業所の情報を開示するということになっております。
 そして、事業者は、Dにございますように、環境庁と通産省が作ります技術指針に留意しながら化学物質の自己管理をしていただく。また、自らの責任において周囲の関係者にも理解を求めるということでございます。
 (3)でございますが、こういったデータが出てまいりますが、それで終わりではございません。そのデータにつきまして、地域から不安の声が寄せられたりする場合がございます。そういった場合には、国におきまして、集中的な環境モニタリング調査、また、人の健康とか生態系に化学物質によって影響が出ていないかどうか、そういった調査を行う、きちんとしたフォローアップということがあるわけでございます。
 当然ながら、この法律は規制法ではございません。ここである程度心配があるとなれば、今度は大気汚染防止法なり、水質汚濁防止法なり、化学物質審査法なり、そういった法律での規制の調査あるいはその対策がございますけれども、その前段階まではこの法律に基づいて必要な調査ができるということになったわけでございます。
 (4)でございますが、MSDS(化学物質安全性データシート)につきましては、物の移動の際に化学物質の情報−−物性あるいは毒性、さらに取扱いの方法といったことについて、きちんと次に渡す者に情報を伝達するという義務付けをするものでございます。
 次の3ページにまいりまして、(5)でございます。この制度はある種の手続法でございます。こういった手続を動かすにつきましては、国、自治体がしっかり支援をして、手続を円滑に行い、なおかつ、その成果を実際の環境保全に役立てる必要があるわけでございます。したがいまして、科学的知見の充実なり、データベースの整備なり、人材育成なり、そういったことを協力し合って措置していく必要があるということでございます。
 (6)は「見直し条項」。規制法等で行う場合には、現在、必ず見直しが必要になっております。原案では10年としていたわけでございますが、7年ということになっております。これは実質的に動かすのにあと2年かかりますので、「その後5年間本格的に動かして、必要があれば見直せ」というような国会での御議論がございまして、その結果、2足す5で「7年を経過」ということになったわけでございます。
 そういった流れで本法案がまとまったわけでございます。衆議院ではそういう修正がございましたが、参議院では特に修正はございませんでした。
 なお、資料2−2と2−3で今回の御検討に密接に関係する部分を紹介させていただきます。
 まず、資料2−2は法文そのものでございます。16ページの18条の「審議会の意見の聴取」というところを御覧いただきたいと思います。「内閣総理大臣、厚生大臣及び通商産業大臣は、第2条第2項又は第3項の政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、あらかじめ、政令で定める審議会の意見を聴くものとする」とございます。併せて資料2−3を御覧いただきたいと思います。政令番号が入っていなくて恐縮でございますが、真ん中に表がございます。これが法律を受けた政令でございまして、内閣総理大臣が意見を聴くのは中央環境審議会、厚生大臣が意見を聴くのは生活環境審議会、通産大臣は化学品審議会と決められておるわけでございます。
 なお、ここで内閣総理大臣となっておりますのは、物質を政令で決めるという手続をとる関係で、総理府の長たる総理大臣の名前ですべて手続を行います。そういった関係から、環境庁長官にあたる部分が内閣総理大臣となっております。したがいまして、こういった法律はすべてこの秋に行革の整理を受けることになっております。その段階では環境大臣あるいは厚生労働大臣、経済産業大臣と並ぶことになります。ただし、官制順は環境大臣は一番最後でございますので、これから並ぶときはいつも一番最後にくるというふうになります。
 それから、法律18条にある第2条関係でございますが、資料2−2の2ページを御覧いただきたいと思います。「定義等」でございまして、第1項は、「この法律において『化学物質』とは、元素及び化合物(それぞれ放射性物質を除く。)をいう」となっております。
 そして、第一種指定化学物質−−PRTRとMSDSの対象となる物質でございますが、それについて定義がしてございます。まず、一は「当該化学物質が人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれがあるものであること」ということでございまして、人の健康のみならず、生態系への影響ということを正面から受け止めております。こういったものに対して影響を及ぼすおそれがあるということでとらえております。
 二は、「前号に該当しない場合には、当該化学物質の自然的作用による化学的変化により容易に生成する化学物質が同号に該当する」ということでございまして、例えば、ある物質が水に出るまでは影響ないけれども、水に出るとそれが一にいうような健康あるいは生態系へ影響のあるものになるという場合には、元の物質を指定するということでございます。
 3番目がオゾン層の破壊物質でございまして、こういった物質を対象にして、第2条第2項の柱書きにございますように、「物理的化学的性状、その製造、輸入、使用又は生成の状況等からみて、相当広範な地域の環境において当該化学物質が継続して存すると認められる化学物質」というものを定めるわけでございます。
 次に、第3項でございますが、3ページでございます。第二種指定化学物質、これはMSDSだけの対象物質でございまして、MSDS自身は第一種、第二種の両方にかかります。MSDSだけの対象物質の定義でございますけれども、まず、一、二、三の要件は同じでございますが、環境中の存在の条件が変わっておりまして、「物理的化学的性状からみて、その製造量、輸入量、又は使用量の増加等により、相当広範な地域の環境において当該化学物質が継続して存することとなることが見込まれる化学物質」ということでございます。「継続して存すること」とやや表現が変わっておりまして、言ってみれば、環境中に存在することの頻度が異なるということで一種と二種を分けております。
 いずれにしましても、こういった一、二、三の要件に該当するもので、環境中に存する又はそういったことが見込まれる物質を御選定いただきたいということでございます。
 とりあえず以上でございます。

【井形部会長】 どうもありがとうございました。
 ただ今の説明に対しまして、何か御質問等がございますでしょうか。

【浅野委員】 法律番号を教えて下さい。
 それから、ただ今の説明の中で使われた言葉ですが、通産も両方一緒になった概要のペーパーにも同様の言葉が使われているので、ここは合意が成立しているのだろうと理解しておりますが、法文上は「動植物の生息及び生育への支障」という表現になっているのですが、このコメントでは「生態系への被害」という表現で、厳密には違うというとらえ方をされる可能性があるわけですね。「生態系」というはっきりした言葉が使われていない法文と今の説明との関連をもう少しちゃんとコメントしていただきたいと思います。

【南川保健企画課長】 これにつきましては、役所ベースでは、通産省も含めて、「生態系」ということで、「人の健康と生態系」というふうにとらえておったわけでございます。そこにおいて齟齬があったわけではございませんが、実際に「生態系」という用語はこれまでどういった形で法律上使われているか、法制局にいって随分知恵を絞ったわけでございます。環境基本法にそういうのがあるわけでございますが、「微妙な生態系が織りなす……」ということで、自然保護的なニュアンスが非常に強いということが指摘されたわけでございます。  片や、そういったことを受けて、それ以外の個別法の実例を調べますと、南極の環境保全法を見ても同じような検討経過がありまして、やはりここと同じように「動植物の生息若しくは生育に……」ということで、結局のところ、「生態系」という言葉自身はまだ法令用語として具体的な内容が定まっていないということで、過去の事例を見て、意味は生態系ということで問題ないのだけれども、こういった用語を使うことが適切だということでこうなったということでございます。それ以上の大きな意味はございません。

【横山委員】 資料2−1の2ページのBで、非点源といわれた、「環境庁及び通商産業省は共同で、@で届け出られた排出量以外の、家庭、農地、自動車等からの排出量を推計して集計し、Aと併せて公表する」となっていますけれども、この公表の仕方についてはもう決めておられるのでしょうか。例えば、どの道路からどれぐらいのベンゼンが発生するとか、そういうことはどういう形で公表されるのでしょうか。

【南川保健企画課長】 「非点源」と申しますけれども、届け出られたポイント・ソース以外のデータをどういう形で集計し、どう公表するかというのは、実はまだ定まっておりません。残念ながら、これにつきましては、全国ベースのデータ、あっても県ベースのデータぐらいでございまして、例えば交通をとれば、交通量とか、地域の車種構成、その程度しか分かりません。そうしますと、今、横山先生がおっしゃられたような、どの道路がどういうことかということについては、実際に推計は非常に困難だろうと思います。
 したがって、できるだけ正確性を期すべくいろいろ調査いたしますけれども、全国ベースあるいは県ベースでの推計にとどまるように思います。もちろん、これにつきましては、私ども、どういったデータを使ってどう計算したかも全部公表しようと思っております。そういう中で少しでも各方面から意見をいただいて、精度を向上させていきたいと考えております。

【七野特別委員】 この特定化学物質云々という法律は、非常に長ったらしいですね。以前からこの審議会でもよく話題になりまして、環境庁の方でも「何かいい名前を考えましょう」と。たしか部会長の井形先生からも「何かいい名前を考えて下さい」という話があったと思いますが、実は先日テレビを見ていましたら、この法律が通ったというニュースが流れておりまして、下の方に「特定化学物質管理法」という字幕が流れたと思います。そういう略称になったのかなと思って見ていました。以前から言っておられる「PRTR法」ではピンとこないし。先日テレビで放映された「特定化学物質管理法」というのを略称として今後使われる予定なのか、教えてほしいと思います。
 もう一点教えて下さい。従来から、化学物質に対して化審法というのがありますね。これはもちろん法律そのものが違うわけですが、この新しい法律と従来からある化審法とは今後どういうふうな形を考えておられるのか、化審法は化審法で従来どおりのことでいくのか、そのあたりを教えていただけたらありがたいと思います。

【南川保健企画課長】 まず名称でございますが、別に決まったものはございませんし、私どもとしてもぜひこうしたいという主張があるわけでは全くございません。ただ、実際に仕事をしておりますと、「PRTR法」と呼んでおりますし、また、国会に行きましても、「PRTR」で議員の先生方も納得されているということでございます。ただし、実際の新聞の扱いを見ますと、「特定化学物質管理法」とか、そういうふうに出ておりまして、これは特に私どもが決めて誘導するのではなくて、役人がそういうことを考えても、どうせ使われませんので、ある意味で外に決めていただくということかなと思っております。もちろん、先生方でいいアイディアがあればぜひ伺いたいと思っております。
 それから、PRTR法と化審法でございますが、PRTR法自身は、あくまでも情報を集めて公開して、あるいは開示して、事業者に自ら努力していただく、そして行政が必要な調査をするということでございまして、規制法ではございません。化審法自身は、物を新しく作ったり輸入したりする際に、届出をして審査を受けるということですので、これは規制法でございます。そういう意味で、大気汚染防止法なり水質汚濁防止法と並ぶ法律だと思っております。したがいまして、世の中にどんな化学物質があふれているのかということについては、まずこの法律できちんと情報を集めて整理をして、その上でいろいろな規制法に移っていくということかなというふうに認識しておりまして、役割はおのずから異なると考えております。
 それから、遅くなりましたが、浅野先生から御指摘がございました法律番号は「平成 11年第86号」でございます。政令番号は「243号」でございます。
 なお、併せて申し上げますが、私ども、去年の夏以来、「今後の化学物質による環境リスク対策の在り方について」諮問して、御議論いただいております。今般、中間的な報告をいただいて、法律がまとまったわけでございますが、先ほど申しましたような物質の選定について引き続き審議をお願いしたいと思っております。また、それとは若干時期を異にしますけれども、物質と非常に密接な関係にある対象事業所の業種や裾切り、これは物質とはちょっと異なりますので、どういう場で御審議いただくか、さらに検討させていただきますけれども、そういったことについても幅広く御審議いただきたいと考えております。

【浅野委員】 ただ今の南川課長の御説明に仮に少しコメントを付け加えるとすると、「特定化学物質管理法」というのは、マスコミが勝手に使っている言葉なんですが、多分気持ちとしては、本来この審議会が考えていたことをずっと突き詰めて考えていくと、それが望ましい。しかし残念ながら、現在のPRTR法はその手前のところで止まっているということなんですね。ですから、もしこういう言葉が一般に流布していくとすれば、それは非常に望ましい将来の方向を開いていくことになるのではないかなという気がしますので、今、七野先生がおっしゃったことはなかなかいいことですから、私も少しこれを売って歩こうかと思います。
 我々としては、まだ中間報告して出していない、諮問に対して完璧な答えは出していない。つまり、究極的には、化学物質をどうトータルに管理していくべきなのか、その具体的な方策について更に検討しなければいけない課題を抱えていることを今課長からも言われましたので、お互いに確認をしておきたいと思います。

【鈴木委員】 私の感じやニュアンスが違うんです。この法律の一つの非常に大事な特色というのは、むしろ規制法じゃないところにあるわけですから、「管理」という言葉を使うことによって、あたかも規制法的な構造を持った法律であるように誤解されるのはあまりいいことじゃないなという感じがするわけです。せっかく自主的な努力を大事にする形で新しい向きの物のさばき方がこの法律で出てきたわけですから、そこのところが強調されるような言い方の方が本当はいいと思っているわけです。浅野さんの言われている趣旨はよく分かるのですが、「管理」という言葉を−−

【浅野委員】 促進法です。

【鈴木委員】 管理促進法の方がいいですね。

【井形部会長】 少し細かいことを質問させていただいていいですか。形式的にもせよ、中央環境審議会が総理大臣の管轄に入るということでありますが、これは省庁の再編を目指したスタイルなのですか、それとも、この問題が特殊だからこういう形になったのですか。それから、総理大臣から諮問を受けて答申をすることになるのでしょうか。

【南川保健企画課長】 総理大臣となっておりますのは、言葉足らずだったのですが、政令を定めることについて御意見を伺うということでございますので、環境庁長官自身は閣議の発議権がございません。この場合は全部総理府の長たる総理大臣ということで発議いたしますので、こういったことになっております。
 なお、中央省庁再編になりますと、現在の予定では、中央環境審議会は環境大臣の諮問機関ということで整理されることになっております。

【井形部会長】 政令の取扱いが、環境庁と他の省庁とは少し違うということなんですね。

【南川保健企画課長】 さようでございます。今度、環境大臣になりますと、全部環境大臣になります。

【井形部会長】 ほかによろしいですか。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。これに関連しておりますけれども、PRTR法−−管理法というのがいいのかもしれませんが−−対象物質専門委員会の設置についてでございます。事務局から説明がありましたように、いわゆるPRTR法における対象物質の選定に関して、本部会での審議が求められております。私といたしましては、PRTR法やMSDSの対象物質の検討に当たっては、もう少し専門分野の方々に集まっていただき、集中的に御討議いただくのが適当ではないかと考えております。
 このため、中央環境審議会議事運営規則第9条に基づく専門委員会を設置して、そちらで御検討いただく−−結局は報告をいただいて、この部会で決めるわけでありますが−−こととしたいと思います。専門委員会の設置の趣旨については、資料3としてお配りしておりますので、お目通しいただきたいと思います。
 それでは、資料3のとおりPRTR法対象物質専門委員会を新たに設置することについて御異議ございませんでしょうか。お諮りします。

             〔「異議なし」との声あり〕

【井形部会長】 それでは、皆さんの御賛同を頂きまして、専門委員会において検討を進めていただくことにいたします。

【浅野委員】 要望というか、意見を述べたいのです。方向としては、パイロット事業で既に経験を積んでおりますから、それがベースになるだろうと思います。余り多くなりすぎることは適当ではないという考え方があのときにあったわけですが、その辺のところは同じように考えてスタートすることが望ましいのではないか。ただし、将来、柔軟に追加ができるという余地を残しておかなきゃいけないので、一たん決まったら絶対に動かないという考え方はぜひやめていただきたいということです。
 それから、パイロット事業で実際にやってみて、全くないというのがはっきりしていることがあることは事実ですが、パイロット事業の地域の産業構成、事業所構成と、全国にそれを広げた場合とで違いがありますから、必ずしもパイロット事業のときに出てこなかったから外していいということにはならないだろうという感想を持っております。そのあたりをぜひよろしくお願いします。

【南川保健企画課長】 いずれにしてもぜひ御審議をお願いしたいと思っておりますけれども、行政のスタンスとしては、やはり問題のある物質はきちんととらえたいということと、柔軟に見直しはしていきたい、そんなふうに考えております。ぜひよろしくお願いいたします。

【井形部会長】 それでは、中央環境審議会議事運営規則第9条第2項によりますと、専門委員会の委員長は部会長が指名することになっているそうであります。そこで、鈴木継美委員に委員長をお願いできればと考えておりますが、御了承いただけますでしょうか。

             〔「異議なし」との声あり〕

【井形部会長】 本来ですと、今日、専門委員会の専門委員のリストを御提出すべきなんでしょうが、人選が遅れておりますので、後ほど選定いたしまして、委員の諸先生に御報告させていただきたいということでよろしゅうございますでしょうか。

             〔「結構です」との声あり〕

【井形部会長】 資料3にありますように、PRTR法の対象物質の選定については、従来もそうでありましたけれども、通産省の化学品審議会、厚生省の生活環境審議会にそれぞれ設置される委員会と合同の委員会で検討していただき、適当な時期に中間報告を、そして本年末頃を目途に最終報告をお願いしたいと思っております。これに関しましては、この部会も合同の審議会を開いたことがございますし、新しい流れといいますか、従来の省庁の枠を超えて、他省庁と合同の審議会あるいは委員会を開くということは、それなりの意義があることだと思います。そういうことで進めさせていただきたいと思います。
 事務局もその線に沿って進めていただくわけですが、何かコメントがございますか。

【南川保健企画課長】 ぜひ専門委員会の御審議よろしくお願いします。私ども事務方も一生懸命準備させていただきます。
 また、先ほども少し申し上げましたが、PRTRの対象業種あるいは裾切りといったことを含め、大事な政令事項がたくさんございます。私どもは通産省と共同で検討を進めますけれども、本部会でもいろいろと御審議いただきたいと考えておりますので、その節はよろしくお願いいたします。

【井形部会長】 それでは続きまして、4番目の議題であります「ダイオキシン類対策特別措置法の概要について」事務局から説明願います。

【南川保健企画課長】 資料4−1と4−2でございます。これはダイオキシン類対策特別措置法でございまして、今回、議員立法ということで成立をみたものでございます。これも法律番号が落ちておりますが、「105号」でございます。資料4−1と4−2を併せて御覧いただければと思います。
 まず、成立、公布の日時はそこに書いてございますので説明いたしませんが、目的として、第1条にございますが、ダイオキシン類による環境汚染の防止や、その除去を図ることによって、国民の健康を保護する。それから、施策の基本とすべき基準、規制、蓄積された土壌中の汚染対策を行う、といった枠組みをダイオキシンに特定して作っているとこ ろに特徴がございます。
 それから、資料4−2の2ページの第2条の「定義」を御覧いただきたいのですが、「ダイオキシン類」ということで、第2条第1項の1号としてポリ塩化ジベンゾフラン、2号としてポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン、3号としてコプラナーポリ塩化ビフェニルということで、コプラナーPCBが法文の定義上入っているわけでございます。これが一つ大きな特徴でございます。
 そういったダイオキシン類につきまして、資料4−1に戻りまして、2の「法律の概要」から御覧下さい。まず基準でございますが、「ダイオキシン類に関する施策の基本とすべき基準」として、TDI(耐容一日摂取量)を決めるということに法律の第6条でなっ ております。これにつきましては、施策の指標ということで法文上位置付けられております。主として、「人の体重1kg当たり4ピコグラム以下で政令で定める値」と書かれております。
 Aでございますが、今言いましたように、いろいろなところからダイオキシンは入るわけで、TDI自身は、直接こういった対策の目標となかなかしづらいということもあって、施策の指標となったわけでございまして、第7条に「環境基準」というものを置きまして、法律上、当面はこの環境基準の達成を目指すのだということで流れができております。
 そして、環境基準につきましても、大気汚染、水質汚濁につきましては、「底質の汚染を含む」とございまして、ここの考え方は環境基本法とやや違っておりまして、底質の汚染も環境基準にするのだということでございます。それから、「土壌汚染に関する」ということで、3つと読むか4つと読むか難しいのですが、これについて環境基準を作ることになっております。
 そのための規制法としまして、(2)にございますが、まず、特定施設を政令で決めるということになっております。これは法文上は「製鋼の用に供する電気炉、廃棄物焼却炉その他の施設」となっておりますけれども、ダイオキシン類が発生しやすい施設を政令で決めるわけでございます。もちろん規模も決めます。
 そして、その施設につきまして、排出ガスあるいは排出水についての規制基準を決めるわけでございます。これが(2)のAでございます。この際には総理府令で決めます。そして、技術水準を勘案して決めるということになっております。全国一律の基準を決めるわけでございますが、特にその基準では環境基準は達成できないという場合には、都道府県が条例で場所を限ってより厳しい基準を決めることが可能というふうになっております。
 次に資料4−1の2ページにまいります。Bとして「大気総量規制基準」というのがございます。これは、都道府県の上乗せをもっても環境基準が達成できないという場合には、国が政令で大気総量規制地域を決めることができるということでございまして、それを受けまして、県知事さんに計画あるいは総量規制基準を設定していただくことになるわけでございます。総量規制につきましては、昨今の状況に鑑みて、特に大気だけということで法文上出来上がっております。その総量規制地域の設定につきましては、これは政令指定でございますけれども、都道府県知事さんが「この地域を政令指定してほしい」という申し出は可能でございますし、また、住民の方が都道府県知事に対して「国に対してそういう申し出をしてほしい」と言うことも可能となっております。
 C、Dは、そういった規制基準をどう遵守するかということでございますが、まずCにございますように、特定施設を設置しようとする方は知事さんに届出をしていただくということでございまして、知事さんは届出を受けて60日以内に、規制基準が達成できないと考えれば、計画変更命令を出すわけでございます。
 なお、既存施設につきましては、法の施行後1カ月以内に届け出るということでございます。後で申しますが、実は余りスケジュールが楽ではございませんで、非常にタイトなスケジュールになってまいります。
 Dは、排出の制限、改善命令でございます。施設を動かしますと、その後、基準を達成できないということもあるわけでございます。これにつきましては、排出基準、総量規制基準を遵守していただく必要があるわけでございます。達成できない場合には、知事さんが改善命令を行うことも可能となっております。
 なお、ダイオキシン問題の特殊性に鑑みまして、特に既存施設につきましては、法の施行後1年たってから遵守義務がかかるということで、既存の他の水質汚濁防止法に比べて約半年間規制がかかるのが遅くなっております。
 (3)でございますが、廃棄物焼却炉と廃棄物処分場についても、当然ながら問題が多いわけでございます。排出口等からのものは先ほどの(2)の手続で規制するにしましても、@にございますように、焼却されたばいじん・焼却灰の中のダイオキシンの濃度については、別途廃掃法関係の規制が必要なわけでございまして、これにつきましては、その濃度基準を厚生省令で決めるとなっておりまして、その担保につきましては、廃掃法の体系によって処理するというふうになっております。
 また、Aでございますが、廃棄物の埋立最終処分場につきましても、その維持管理基準というものを、ダイオキシンに着目して総理府令と厚生省令で決めるわけでございまして、同じく手続的には廃掃法で担保することになっております。
 (4)は、過去に蓄積された汚染土壌に対する措置でございます。実際にダイオキシン汚染が特に土壌中に蓄積していることから、こういった条文ができております。そして、土壌基準を満たさない地域のうち特に対策が必要な地域−−どういう地域かという要件は政令で定めますが、それを踏まえて都道府県知事さんがその地域を定めて、対策計画を作っていただくことになるわけでございます。
 また、実際の事業も都道府県知事を中心にお願いすることになっておりますけれども、そういった際に費用負担の問題がございます。下に2つ丸がございますが、1つは「公害防止事業費事業者負担法」ということで、公害防止事業を行う際に、因果関係が明確な汚染事業者に負担をいただく。また、その負担分を除いて自治体が負う公害防止事業について、国の補助割合のかさ上げを行うことになっておりまして、この場合は法律の附則で、50/100から55/100の間で補助するということになっております。
 それから、3ページでございますが、国の計画を別途作ることが必要になっております。まず、内閣総理大臣が事業分野ごとの排出量の削減目標量を決める。また、そのためにどのような措置を講ずるかを決める。そして、廃棄物の減量化が根本的な問題だということから、廃棄物の減量化施策についてこの計画を定めるということでございまして、閣議に準ずる公害対策会議の議を経て決定することになっております。
 (6)の汚染状況の調査・測定につきましては、@、Aが知事あるいは環境監視の仕事でございまして、知事さんが大気、水質、土壌の状況を常時監視して、環境庁に報告いただくということでございます。これはいわゆる法定受託事務でございます。ただし、Aに ございますように、実際には国と地方公共団体が各々役割分担に応じて調査測定するわけでございます。その結果を知事がまとめて公表するということでございます。
 なお、Bでございますが、当然ながら、事業者にも排ガス、排出水の測定義務がかかるわけでございまして、その頻度については、「年1回以上で政令で定める」ということになっております。この結果は事業者から知事に報告が必要でございますし、また、知事がその結果をとりまとめて公表するということになっております。従来の制度は、事業者が持っておって、それを報告・聴取するとなっておりましたが、知事に自ら報告し、知事はとりまとめたものを公表するということは、私が知る限りでは余り例がないと考えております。
 以上が大きな流れでございますが、この法律は公布の日から6ヶ月以内の施行が必要でございます。したがいまして、最終期限が来年の成人の日ということでございまして、余り日がないというのが、私ども実務にあたる人間の率直な感想でございます。少なくとも大気、水あるいは土壌の環境基準を作る。そして、全国一律の規制基準を作る。それから、届出に必要な様式等を定める。測定の体制を整える。そういったことが必要なわけでございますし、これは役所だけではなくて、当然、規制を受ける方にもいろいろ準備をしていただく必要がございます。そういった意味で、これは環境庁各部局挙げて、また、厚生省等とも協力しながら、早急に準備をして、多くの方にその内容を周知することが必要でございます。そういったことで、これから準備を急いでいきたいと考えております。
 最後に(8)として「検討」とございますが、今般、コプラナーPCBは入ったわけでございますが、例えば、それ以外の臭素系ダイオキシンについてもいろいろ議論がございました。「こういったものについても本来ダイオキシン類に含めるべきだ」という御指摘もあったわけでございますが、結局は要検討事項になったわけでございます。また、「実際にダイオキシン類によって健康被害が起きているのかどうかということも調べるべきだ」、「食品の問題も調べるべきだ」ということで、いろいろ検討事項として宿題が加わっているということでございます。
 以上でございますが、先ほど申しましたように、これから各局、各部会にお願いして審議をし、まとめていく必要があるわけでございます。幸か不幸か、ほとんどが大気、水の方で作業していただくということでございます。保健部関係で申しますと、調査関係プラス国の計画というところが直接の担当でございます。それに全体の法律の運用ということでございますが、これにつきましては、まだ時間がございまして、法律が施行されてからできるだけ早い時期に計画ができるようにこれから努力していきたいと考えております。
 恐縮ですが、局長が参りましたので、一言御挨拶させていただきます。

【太田企画調整局長】 遅れまして大変申し訳ありません。この度、企画調整局長を命じられました太田でございます。
 諸先生方には日頃から大変御指導を賜っており、ただ今御説明申し上げましたPRTR法及びダイオキシン類対策特別措置法につきましても、諸先生方の御指導の賜物と思っております。
 今、話がありましたように、これからも政令、省令、府令、いろいろと細部を詰めてまいらなければなりませんし、さらには、その後は法の適正な運用ということが待っております。我々も全力を挙げてこれに対応してまいりたいと思います。引き続き御指導、御鞭撻をお願い申し上げたいと思います。ありがとうございました。

【井形部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、ただ今のダイオキシン類対策特別措置法に関する御説明について、御質問なりコメントをお願いしたいと思います。
 これも土壌とか大気が加わってくると、この部会がどの部分を担当するのか、あるいはPRTRみたいに、幾つかの部会がジョイントでやるのか、そういうことも考えなければいけないことになるのではないでしょうかね。

【南川保健企画課長】 これにつきましては、法律は一本でございますけれども、パーツはかなり分けられるように思います。もう一つは、大気の環境基準と水の環境基準、多分全く性格が違う分析になると思いますので、大気の環境基準であれば大気部会、水であれば水質部会、土壌であれば土壌部会ときちんと分けて、なおかつ、責任をもってスケジュールをきちんと組んでやっていただくことが適切だと考えておりまして、まとまった時点で合同で報告し合うということはあると思いますけれども、とりあえず部品、部品は各部会でまとめていただければと考えております。

【井形部会長】 TDIを決めることは、この部会でやるわけですか。

【南川保健企画課長】 TDIはまさしくこの部会のマターでございます。

【角田委員】 ちょっと教えていただきたいのですが、3ページの(8)の「検討」のところで、いろいろな調査、検討と書かれているのですが、この中には、皆さんの関心が高い母乳という事柄については入っているのでしょうか。

【南川保健企画課長】 「母乳」という表現は入っておりませんが、法文上は、資料4−2の38ページの第3項が健康被害関係でございまして、「ダイオキシン類に係る健康被害の状況及び食品への蓄積の状況を勘案して、その対策については、科学的知見に基づき検討が加えられ、その結果に基づき、必要な措置が講ぜられるものとする」とございます。議員立法ではございますけれども、私どもはずっと議論を聴いておりました。その中で、食品というものについては、基本的には人の口に入るものという認識でとらえておりまして、「食品の調査をするときに母乳も考慮されるべきだ」という議論があったようでございまして、当然、今後のフォローアップの対象になると考えております。

【前田特別委員】 法律の第10条、資料4−1の2ページの総量規制ですが、特に大気関係の総量規制は今までいろいろな形で実施されておりまして、成功したものもありますし、また、御承知のように、未だ成功しないものも多々あると思います。このダイオキシンに関する総量規制は、法律の条文を読みますと、要するに、その地域の適用事業場の大小あるいは数に個別に、それぞれの適用事業場の排出基準をそこの地域の総量から割り出して規制する、割り当てるというような、従来の他物質の大気中の総量規制と同じような方法をとるということですか。

【南川保健企画課長】 基本的に同じでございます。法律の9ページの第11条を御覧いただきたいと思います。まず、1号が現在の総量でございまして、「当該指定地域におけるすべての大気基準適用施設から大気中に排出されるダイオキシン類の量の総量」、これを2号にするのだということで、2号は何かと申しますと、「大気の汚染に関する基準に照らし総理府令で定めるところにより算定される当該指定地域における大気基準適用施設から大気中に排出されるダイオキシン類の量の総量」。つまり、第7条の大気の環境基準が達成できるように、その程度までだったら排出してもいいという総量でございまして、現状を大気環境基準に見合う総量にするということでございます。  したがいまして、3号、4号は中間目標とか達成の期間ですが、非常に割り切って言いますと、現在5000g出ている、これを2500gにしようというときは、2500g削減する必要がございまして、それをその地域全体でどうやって減らすかということになるわけでございます。ただ、その場合は、A工場は何kgという割り振りではなくて、結果的には数字は割り振りになりますけれども、やり方としては、こういう施設のうちの既存の工場についてはどういう基準を適用する、新設の施設はこういう基準を適用するというルールを決めまして、そのルールに基づいてその工場ごとの数字を割り出すということになります。

【竹宇治委員】 (6)の「汚染状況の調査・測定義務」で「知事がとりまとめて公表」と書いてありますが、これは例えば年間に1回とか、回数はあるのでしょうか、それとも、ランダムに公表するのでしょうか。

【南川保健企画課長】 実はまだそこまで決めておりません。こういう法文自身が余り例がないことでございまして、私ども、議論はずっと一緒にやっておりましたけれども、具体的に年度末にやるのかということまでは詰められておりません。したがって、今後、私どもの方で責任をもって扱う所存でございますが、いずれにしても、まず、事業者に測定していただく回数を決める必要がございます。つまり、法文は23ページの28条でございますが、「設置者による測定」となっておりまして、「大気基準適用施設又は水質基準適用事業場の設置者は、毎年1回以上で政令で定める回数、政令で定めるところにより」−−これは方式ですが、それに従って排出ガスあるいは排出水につき測定する、ということになっております。まずこれを決めまして、その後で届出をしていただくわけですが、届出につきましては、例えば年に1回報告いただくのか、あるいはその都度報告いただくのか、そのあたりはこれからいろいろな方の御意見を伺って決めていきたいと思います。
 いずれにしても、余り間があきますと、別途罰則の適用等についてもいろいろ齟齬が出てまいります。間をあけないで報告があり、公表ということがこの法律の求めるところかと考えております。

【鈴木委員】 ちょっとテクニカルな話なんですが、ここでいうコプラナーPCB、ポリ塩化ビフェニルというのは、その中身がきちんと決められているのでしょうか。それが第1点。
 第2点は、「臭素系ダイオキシン」という用語が使われていますが、中身が何であるかに関してはきちんと分かっているのでしょうか。この辺は非常に曖昧さを含んでいるんですね。

【南川保健企画課長】 私ども事務方が承知している限りでは、第2条第1項第3号のコプラナーポリ塩化ビフェニルについて、特に明確な定義はありません。はっきり申しますと、WHOの昨年のレポートにこういう形で含まれているということで、それをもってきたということにすぎませんので、これからどこまで入るのか決めていく必要がございます。
 それから「臭素系ダイオキシン」でございますが、非常にこの問題に関心をお持ちの国会議員の方が強く主張されて、検討事項に入ったわけでございまして、私も非常に多種多様な臭素系ダイオキシンがあると伺っていますが、それについて、「役所で全体をよく調べろ」という御指示があってこういう条文になったわけでございまして、特にそれ以上の具体的な定義が今あるわけではございません。したがって、非常に曖昧な形で「役所の方できちんとやれ」という指示が下りたというふうに受け止めております。

【浅野委員】 2点あります。まず、28ページの33条で、内閣総理大臣が作成しなければならない計画の項目の中に、「廃棄物の減量化に関する施策」というのが出てきます。これがほかのところで考えられているものとどういう形でうまく整合性を保ったものになっていくのか、これについて現段階で事務局はどんなことを考えておられるのか。
 もう1つは、「測定」という言葉がやたらと出てくるのですが、問題は測定の精度管理ということなんです。しかし、この法文上はそのことについては何もチェックしていないんですね。ですから、実際にこの法を執行していくときに、これからどういうことをやっていこうとお考えなのか、御説明いただきたいと思います。

【南川保健企画課長】 まず、前者の、廃棄物の減量化を計画の中でどうするのか、ということでございますが、ここにこう書いてある趣旨は、政府として従前から「平成14年までに9割削減」ということを言ってきているわけでございます。ただ、御承知のとおり、廃棄物の量が今後増えないという前提で計算をしておりますので、そういったところについて、当然ながら、「もっとしっかりと廃棄物の量を推計すべきだ」、また、「基本的には減少させるべきだ」という御指摘があったわけでございます。そういった流れの中で、計画の中にこういうものを盛り込むようになったということでございます。
 したがいまして、これ以外にリサイクルを含めたいろいろな計画がございますし、また、各審議会の答申もあるわけでございます。そういったことについては、当然ながら、齟齬は来せませんので、それを十分受け止めてやっていく必要がございます。ただし、ダイオキシンという観点からのゴミの減量化の問題は、一般論としてのゴミ、リサイクルとは少し次元が違う問題もあるだろうと認識しておりまして、実はそのあたりはこれから勉強して、ここにどういう特性を持たせて、しっかりした内容にするかということを考えていきたいと思っております。
 それから、測定についてでございますが、測定方法について、これからJISの方法論も含め、きちんと検討して決めていきたい。政令あるいは総理府令の中で、多くの方が迷うことがないようにしていきたいと考えております。

【浅野委員】 前の方の話は、こんなものがいきなり出てくると、やったらいいなと思っていたことが後送りになってしまうという気がちょっとしているんです。つまり、SEAを勉強していますと、オランダで全国的な廃棄物処理について、そこに最初からSEAを組み込んで検討するということがあって、廃棄物処理としてはどういう方法が一番合理的なのか、という議論があるわけですね。もしこれを日本で考えるとしたら、全国一律というわけにいかないだろう。ブロック別にそれぞれのブロックの環境特性のようなものを考えて、埋立てがいいのか、焼却がいいのかという議論をやっていかないと、全体としての環境負荷をうまく下げることになっていかないのではないか。だから、全国一律、同じやり方でやるということはもうそろそろ限界かなと思っていたのです。
 ダイオキシン対策ということになると、これはむしろ「燃やすな」という話になっちゃうわけですね。もちろん、ここは減量ということなんですが、それだけで本当にいいのかという疑問は今既に出ているわけですから、そこら辺をうまく総合的に考えて、将来の方向を摘まないようなことをここでぜひきちっとやっておいていただきたい。ここで変なことを決められると、あと身動きがとれなくなっちゃう心配があるのです。
 それから、精度管理の問題について私が言いたかったのは、方法をどんなに挙げてみても、いずれ測定業者の質の問題が問われてくるだろうと思うんです。ですから、今のところは任意的に環境計量士ですか、あれは法的な制度なのか、いずれそのようなことまで考えなければいけないのかなという気がします。それを曖昧にしておきますと、不信感が生まれてくるのではないかという気がしますので、ぜひそこまでちゃんと検討していただきたいと思います。

【南川保健企画課長】 2つとも検討させていただきます。

【西山特別委員】 資料4−2の6ページの3項に都道府県云々とありまして、総理府令で決められた基準よりも厳しい基準を課すことができる、とありますが、「人の健康を保護することが十分でないと認められる区域」というのは、どんなイメージですか。

【南川保健企画課長】 今、具体的なイメージはございません。議論の経過だけ申しますと、例えば「所沢の密集地域からまずやるべきではないか」という議論がございました。したがって、いわゆる市町村という区域によらず、ある程度は道路等で区画された地域で非常に密集していて、そこの大気状況が悪い、あるいは水の状況が悪いというところに限定して、というニュアンスでこれまでの検討はされたと聞いております。

【井形部会長】 ほかにございませんか。
 それでは、この議題を終わりたいと思います。PRTRにしても、今のダイオキシンに関しても、オーバーな言い方をすれば、人類の未来に係わる審議会だというような実感がしてきましたね。先生方の今後の御協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 それでは、最後の議題の「その他」について、水銀に関する国際会議についての御説明があると思いますので、よろしくお願いします。

【緒方特殊疾病対策室長】 資料5を御覧下さい。「地球環境汚染物質としての水銀に関する国際会議」という会議が2001年に日本で開催されることになりましたので、御報告申し上げます。
 この会議は、研究者による学会でございますが、行政官等も参加しております。この会議の趣旨は、1990年以降開催されているわけですが、現在、石炭等を大量に燃やすことにより、水銀が大気中に大量に放出され、それが環境を回って有機化し、魚を経て人間の健康に影響を及ぼす懸念が強くなってきていることを契機として、これまでアメリカ、ヨーロッパの各国で開催されております。
 そして、第5回の会議は本年5月にブラジルのリオデジャネイロで開かれたわけでございますが、40ヶ国から400名以上の方が参加して、環境中の水銀の動きとか汚染、人への影響等について発表が行われております。
 特にトピックとして最近問題になっていることは、胎児の微量暴露。これは大人では健康影響がない程度、つまり毛髪水銀値で50ppm以下の、例えば20ppmという方は日本でもかなりおられるわけですが、こういったお母さんから生まれた子どもに影響があるのかどうか、ということは議論があります。
 もう一つは、アマゾンその他の地域で金を掘っておりますと、そこから水銀が出てきまして、そういったことについての健康影響等が関心事でございました。
 総会では、次の会議を水俣市で開催することが了承され、水俣市等から歓迎のスピーチを行っております。
 ブラジルの会議までは、環境庁の研究班で事前準備を行ってきましたが、今回の会議で次に水俣市で平成13年10月に開催することが決定されました。もとよりこの会議は学者、研究者による会議でございますが、行政としてもこれを支援するという姿勢でございまして、近日中に国内に委員会が設置される予定でありますが、国としても積極的に支援することとしております。
 なお、今年度から環境庁では途上国向けに「水銀汚染対策マニュアル」の作成を開始しておりますが、2001年までにこれを完成させまして、2001年の会議のときにこのマニュアルを配布して、シンポジウム等を開催することとしております。
 以上でございます。

【井形部会長】 ただ今の説明に対しまして、御質問、コメントがございますでしょうか。こういう学術会議が水俣で開かれることは、非常に意義の多いことではないかと思います。
 特に御質問がございませんでしたら、事務局から今後のことについて何かございますか。

【南川保健企画課長】 今日決定いただきました専門委員会でございますが、委員の任命手続など事務的な準備をさせていただきまして、9月には最初の会合ができるようにしたいと考えております。
 それから、本部会につきましては、その審議経過を踏まえて、秋の遅くない時期に御議論いただこうと思っておりますし、また、それ以外にも話題がございますので、それも含めて引き続き御審議いただければと思っております。今日はありがとうございました。

【井形部会長】 この際おっしゃりたいことがありましたら、自由に御発言いただければありがたいと思います。
 それでは、慎重審議の結果、少し早く終わりましたが、本日の部会はこれで終了したいと思います。長時間にわたり御協力ありがとうございました。

−−了−−