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第5回地球温暖化防止対策検討小委員会会議録

1.日  時  平成12年12月6日(水)10:00~12:30

2.場  所  第5合同庁舎別館8階共用第23会議室

3.出 席 者

(委 員 長)安 原 正
(委    員)浅 岡 美 恵
太 田 勝 敏
猿 田 勝 美
塩 田 澄 夫
寺 門 良 二
松 原 青 美
村 上 忠 行
天 野 明 弘
幸 田 シャーミン
佐 和 隆 光
品 川 尚 志
西 岡 秀 三
宮 本 一
横 山 裕 道
(事 務 局)小島長官官房審議官
竹本地球環境部環境保全対策課長
石飛地球温暖化対策推進室長
後藤企画調整局調査官
塚本地球環境部環境保全対策課補佐

4.議  題

(1)COP6の結果について
(2)ポリシーミックスによる政策パッケージについて
(3)「地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会」報告書のとりまとめについてついて
(4)その他

5.配 付 資 料

資料1 COP6(気候変動枠組条約第6回締結国会議)評価と概要
資料2 ポリシーミックスによる政策パッケージについて
資料3-1 「地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会」報告書のとりまとめについて
資料3-2 「地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会」報告書(草稿案)
資料4 寺門委員提出意見
資料4 浅岡委員提出意見 参考資料1 地球温暖化防止対策検討小委員会第3回会合議事録

6.議  事

【安原委員長】 おはようございます。定刻となりましたので、ただいかまら「地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会」第5回会合を開催いたしたいと思います。委員各位には大変ご多忙の中ご出席いただきまして、ありがとうございました。
 まず初めに、本日の資料の確認を事務局からお願いしたいと思います。

【事務局】 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 まず、資料1といたしまして先日行われました「COP6の評価と概要」という資料をお配りさせていただいております。
 続きまして、資料2は「ポリシーミックスによる政策パッケージについて」でございます。
 続きまして、資料3-1といたしまして「地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会」、本委員会の報告書のとりまとめについてという1枚紙でございます。
 その次に、資料3-2といたしまして中央環境審議会企画政策部会「地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会」報告書本体の草稿案でございます。
 続きまして、資料4といたしまして小委員会の提案資料に対して寺門委員からご意見をいただきましたので、資料とさせていただいております。
 同じく、資料5といたしまして浅岡委員からの意見を資料とさせていただいております。
 次に、参考資料1といたしまして本小委員会の第3回会合の議事録を参考資料としてつけさせていただいております。
 本日の資料としては以上でございます。

【安原委員長】 もし資料に不足がございましたら事務局までお申し出いただきたいと思います。
 本日の議題でございますが、お手元の議事次第をご覧いただきたいと思います。まず最初に先般のCOP6の結果について説明を受けました後、ポリシーミックスによる政策パッケージというテーマ、それから小委員会報告書の草稿案につきまして議論をいただきたいと考えております。今日は主として2番、3番を議論して固めていきたいと思います。予定としましては2時間半ぐらいかけまして12時半ぐらいには終わりたいと考えておりますので、ご協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、まず議題1のCOP6の結果につきまして事務局より説明をお願いいたします。

【環境保全対策課長】 お手元の資料1をご覧いただきたいと思います。
 11月13日から25日まで会期を1日延長いたしましてCOP6が開催されまして、川口環境庁長官、荒木外務省総括政務次官ほかが出席してまいりました。報道にもありますとおり有意義な議論が行われましたが、結果的には会議を中断しまして来年の5月から6月に再開会合が開催される見込みとなっております。
 評価と概要でございますが、まずこの会議の目的の一つは京都議定書を締結可能とすべく議定書の詳細につきまして合意を得ること。また、途上国問題としまして技術移転、能力育成など枠組み条約に基づく途上国の支援についても合意を得ることが目的とされていたところでございました。このCOP6に至るまでいろいろな準備会合がございましたし、第1週目も補助機関会合が行われておりました。
 第2週目は閣僚レベルの会合になりまして、(2)にありますとおりオランダのプロンク環境大臣が議長を務めまして、閣僚会合を4つの小グループに分けまして各国、また各グループ間での交渉という形をとったわけでございます。
 (3)でございますが、我が国としましてこの会議の準備に至るプロセスの中で途上国支援という観点から、先進国間で途上国支援問題について共通の回答を得る方向で日本も中心になりまして10月末にワシントンで会議を開催し、またCOP6開催の直前、現地におきましても先進国間の会合を開催するなど中心的な役割を果たしたわけであります。また、会議におきましても4つの小グループに分けて議論という、その一つに京都メカニズムに関する分科会がございました。その議長を川口大臣が務められたところでございます。
 (4)にございますが、今回の会合は個別のイシューが相互に関連し、それぞれの事柄に対して各国、各グループの考え方がそれぞれ異なるということで非常に複雑であるわけでありますが、相互に関連する事項を一体的なものとしてとらえる、いわば最終合意に向けたパッケージの議論ということで最終的に進展したわけでございます。非常に複雑な交渉であるわけですが、最後の段階で時間が足りず、先ほど申し上げましたとおり会議については最終合意というよりも一時中断いたしまして再開を図ることになったわけでございます。
 2ページ目の上にありますとおり先進国間でいろいろ協議してきました補足性の問題、京都メカニズムに上限を置くかどうかといった点についても相互――相互といいますのはヨーロッパと非EUの関係で共通の理解に近づく場面もございました。また、吸収量についてもいろいろな課題を克服しながら合意にいく方向が見出せつつございました。これらの議論は今後の議論の交渉の進展に当たりまして一つの土台となるものと考えられております。
 最終的には今回の会合で合意が得られずに、来年の5月から6月に開催する可能性が高い再開会合に議論を持ち越す結果となったわけでございます。相互に理解が深まり、一層の歩み寄りが必要となるわけでございますが、COP6再開会合での合意を目指すべく今後とも引き続き努力していくということでございます。
 各論でございますが、まず個々の課題というよりも先ほどの繰り返しになりますが、関連する吸収源、京都メカニズム、遵守の在り方など相互に関連した一体的なものとして交渉が行われたわけであります。さらに、途上国への支援問題も絡みまして非常に複雑な交渉であったということでございます。
 先ほども触れました途上国問題につきましては、先進国の方で途上国に対する共通の回答の一環でもあるわけですが、日米加豪などが中心になりましてアンブレラグループが途上国に対する資金関連についての提案をいたしまして途上国支援に前向きな姿勢を示しました。総論として途上国側も基本的に歓迎ということでございましたが、具体的な細部に至ってはいまだコンセンサスが得られていないということで、これからも引き続き相談していかなければならないということでございます。
 吸収源につきましては報道もございますが、基本的には吸収源の獲得クレジットの制限、一定の方式によりまして特定の国が獲得するクレジットが大きくなり過ぎないように、また自然影響と人為影響の分離といった点が議論の焦点になりました。このCOP6会議の後半でありますが、特に吸収源の追加的活動の第一約束期間への適用に対してEUなどについては慎重な姿勢でございましたが、この第一約束期間への適用を一定の制限を加えながらやっていく、また我が国のように省エネルギー対策が進んでいるようなところについては目標達成に必要な吸収量を確保するような方向で妥協の可能性も探られたわけでございます。これもこの全体のパッケージの一環として最終的には合意に至っていないわけでございます。
 また、京都メカニズムの補足性、途上国と先進国が共同して当たるCDMについてもさまざまな議論を行いました。これについてもほぼ一定の方向が出た部分もございまして、あと一歩というところであったかと思われます。
 遵守制度についても、一つは遵守の結果を課すことを決定する執行部が遵守委員会の中にございますが、この委員構成をめぐりまして先進国と途上国の意見が分かれていたところがございました。
 いずれにしても再開会合は一つの可能性といたしまして5月21日から6月1日、補助期間会合が既に予定されているわけでありますが、その期間を使ってCOP6再開会合が行われる見込みとなっております。これから議長がビューローメンバーとか各国と相談しながら決めていくことになろうかと思います。
 なお、ここには書いてございませんが、一部の新聞報道でもございましたように現在、カナダにおきまして先進主要国の事務レベルが集まりまして今後の進め方などについて意見交換をしているということでございまして、できるだけCOP6で培われました相互の理解とか政治的なモーメンタムが失われないように皆で努力しようということでそういう会合も持たれているところでございます。
 以上がCOP6の概要でございます。

【安原委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に対しましてご質問等がございましたらどうぞ。

【佐和委員】 私は余り事実をフォローしている方ではないんですけれども、プロンク提案については次のような意味で非常によくできた提案だと思っているんです。
 まず一つは、要するにここにもご説明があったとおり京都メカニズムに関しては制限を一切設けない。EU提案では50%云々ということで量的な制限を設けるべきであるという議論があったわけですけれども、要するにEU提案を退けた形でアメリカの意向を酌んだ提案だったと言うことができると思うんです。
 アメリカの場合、京都会議の最終日にそうであったように京都メカニズムを縦横無尽に使えることを前提にして7%という高い削減目標を引き受けたと思っているんです。そういう意味で、アメリカにとってみれば京都メカニズムに制約を設けないことが国内の世論を説得する上で一番好ましい材料になると思っております。そのためにシンクに関しましては率直に言って日本、カナダ、アメリカの提案はいささかの合理性も持たない実に変な提案だったと思うんです。というのは、年間2,000万tまでは100%としてカウントして、2,000万tを超えた吸収量に関しては3分の1にディスカウントする。これは2,000万tというところで線を引く根拠が3条4項からは全く酌み取れないわけです。しかも、3分の1という数字も何で3分の1なのかよくわからない。
 ところが、プロンク提案は全吸収量の15%ということにしたわけです。私がそれを見て思ったのは、次のような解釈が妥当か否かについてご意見をお伺いしたいんです。要するに、3条4項は森林経営(フォレスト・マネジメント)によって吸収量の増えた分をカウントしましょうということが書かれているわけです。ところが、森林マネジメントというのは例えば林野庁が実際にやっているわけです。そして、やらなかったら吸収量が幾らであったかということは評価のしようがないわけです。だから、結局はみなしなんです。
 日本で消費税を導入したときに年商5億円以下の事業者に対しては付加価値率を20%とみなすというみなしがございましたが、それと同じなんです。つまり、100吸収したとすると、そのうちの15%は森林マネジメントによるものとみなそうということだと思うんです。15%という数字が妥当か否かはもちろん木の種類によっても違うでしょうし、気候によっても違うでしょうけれども、そういったところを平均すれば大体こんなものではないかという数字だと思うんです。15%という数字は少なくとも我々素人にとっては大体こんなものかなという感じがするんです。恐らく森林の専門家の意見も入れた上でそういう数字が出てきたのではないかと思うんです。
 そういうことで新聞報道等によるとフランスなどが強く反対したということで、今回のプロンク提案は先ほど申しましたような理由でEUにとってはなかなか認めがたいような内容のものだったと思うんです。しかし、イギリスなどはあの線でまとめようという方向に積極的だったとも書かれておりますし、そしてオランダはEUのメンバーであるということなどからすると、5月末の再開会合ではプロンクの線で決定が下されることはほぼ確実ではないかと思っているんです。この辺の判断に間違いがあったらご指摘いただきたいと思います。

【環境保全対策課長】 まず、プロンク提案のフロントカバーページにもありますとおり、このペーパーは個人の責任におきましてこれまでの議論を踏まえながらこれからのさらなる議論のベースとしてつくりましたということでございますので、各国、各グループはさらなる議論の出発点ということでいろいろな見方もございまして、それぞれのグループはいろいろな意味で異論といいましょうか、コメント、意見があるわけでございます。個々にすべてを網羅してはおりませんが、それぞれの意見があるところはそれぞれ出しなさいということでアンブレラグループ、また日本としてもコメントを出したところであります。EUにとってどうだったかというのはEU自身のご判断だと思うんですけれども、私が現地にいて承知していたのは、それぞれのグループが全部それで満足しているというよりも持っているいろいろな意見をペーパーでやったと理解しておりますので、まさにこのプロンク議長自身が言っているようにさらなる議論のベースになっていることは間違いないと思います。
 吸収源の点につきましても自然の要因と人為的な要因の分離がまさに議論になったわけでありまして、先生がおっしゃいますとおりどういうところが一番妥当な線かというのはすべてクリアカットにされたわけではございませんで、どの部分までカウントするかも含めて今議論が続いているところと理解しております。

【天野委員】 2点ほどあるんですが、1つは先ほどの吸収源の話です。
 2ページの下から4行目あたりに書いてありますように一部の国が過大なクレジットを獲得することにならないような制限、それから国内対策がかなり進んでいるところではある程度確保するという2つの考え方は吸収源をどうするかによってこれからの国内削減努力に対するプレッシャーのかかり方が変わってくると思うんです。ですから、一部の国では吸収源だけで国内対策をほとんどしなくても対応が済んでしまう、遵守できるということにしますと、ほかの国との間で競争力の違いが発生してしまう。他方、国内対応をかなりとっている国はそれ以上とることに対してかなり厳しいところがあるということを考えてこういう案が出てきていると思うんです。ですから、今後の進展にもよると思うんですけれども、必ずしもどこかの国が国内対応しなくてもいいようなやり方を日本が主張するのは考えた方がいいのではないかという気がしております。
 水準をどうするかというご指摘が先ほどありましたけれども、これは現にそういうものが行われていない状況を推定して、その差を計算するというのはベースラインを決めてクレジットを算定するときには必ず出てくる問題ですが、これは森林に限ったわけではないんです。ですから、ベースラインをどういう決め方にするかということはCDMの場合でもGEAJIの場合でも、あるいは森林の場合でも国際的な合意とか科学的な事実を絡み合わせて決定していくことであって、それがあるから決められないという議論にはならないと思うんです。それが一つです。
 もう一つは同じ2ページの(5)ですけれども、これはちょっと気になる表現です。最後の行に「議長の強力かつ合理的なアプローチが必要となろう。」というのがあるんですが、これは裏返すと妥結できなかったのは議長のやり方が強力でなくて合理的でなかったというふうにとれるんです。この資料が何かの形で公表されるのであれば、これは少し書き直した方がいいのではないか。特に合理的というのは英語に直しますと“rational”、反対は“irrational”ですから、議長が“irrational”なことをやったというのは大変な侮辱になると思うんです。リーズナブルであればアンリーズナブルですからやはり同じことで、この辺は表現を変えていただきたいと思います。
 以上です。

【安原委員長】 何かコメントはありますか。

【環境保全対策課長】 最初の点はご指摘のとおりだと思います。
 2点目につきましても表現ぶりを今の先生のご指摘……。一層のということだったんですけれども、なお誤解がないようにさせていただきたいと思います。

【横山委員】 一部の報道で5月の会合の前に年末にも閣僚会合か何かがあって、そこでほとんど決まりそうだと報じられたと思うんです。年末に閣僚会合があるというのと、そこでほとんど決まりそうだということはあるのか、その辺を教えてください。

【環境保全対策課長】 先ほど最後に触れましたが、現在、オタワにおきまして今後の進め方などにつきまして事務レベルで先進国間の意見交換がやられているところでございます。そういう閣僚会議の開催みたいな報道がございましたが、今のところ決まっておりません。ですから、そういうようになるのかどうかも含めてこれからの進展によると思われます。繰り返しになりますが、今のところ閣僚レベルでの会合が年末にあるかどうかはまだ決まっていないということです。

【村上委員】 私もCOP6に参加してきましたが、佐和先生と同じホテルで参加してきたんですけれども、現実にいろいろ話も聞いたんですが、よくわからなかったのは、ある意味で何となくわかったのは日本が言っているシンクについての3.7%は認められそうにないという感じをトータルとして受けました。
 それから、排出権取引の問題が全然触れられていませんないんです。これも話し合いがあったはずですけれども、これはどうなったのか。結局これから議論することに関係するんのですがけれども、そういう中で京都で日本が出したマイナス6%の中身が変わってきそうな感じ、その中で我々は今後どのように議論していくのか。環境庁としては天野委員みたいに全部ないものとしてやるのか、京都でマイナス6%を出した中身に固執してやるのか、議論がいろいろあるだろうと思いますうんです。その辺のところについて見解をお伺いしたいんです。

【環境保全対策課長】 まず、第1点目の排出権取引の点でございます。
 この資料の3ページの(3)京都メカニズムのところで説明を若干はしょりましたが、補足性の点が大きく議論されたかと思います。排出権取引など京都メカニズムの利用に当たって定量的な上限を設けるかどうか、これはEUは当初より定量的な上限を定めるべき、アンブレラグループは定めるべきでないという意見のぶつかり合いがございました。先ほど佐和先生からもご紹介がありましたとおり議論の中でも例えば国内対策を国内措置を中心に、基本としましてそれぞれの先進国がやっていて、京都メカニズムの利用の補足性につきましては特に定量的な上限を定めないという方向で歩み寄りが見られました。
 6%の中身をこれからというお話でございましたが、基本的には京都議定書の中でコミットしている政府の公約でございまして、この京都議定書を採択し、署名しているということで6%の目標そのものについては変わりないわけでございます。ただ、京都会議の後、エネルギーの需給両面におきましてもさまざまな変化がございまして、実際に総合エネルギー調査会などにおきましても検討されているところでございます。
 また、これから具体的な京都議定書の締結に向けてどのような国内制度の在り方をすべきであるかはまさに中央環境審議会のこの小委員会の中でもご議論いただいているところであります。近い将来、こういったいろいろな検討の結果を最大集約していきましてどういう形で6%を達成していくのがよいのかといった点も含めて検討を進めていくように考えているところでございます。

【西岡委員】 幾らか決定が延びたということで国内のいろいろな対策をとるときにもそのことは十分に考えなければいけないと思っておりますが、当初、COP6に出かける前に京都議定書自身のことについても論議されるというか、それを全然変えてしまうという話もあるかもしれないという話があったことなどを考えますと、そういう面では割とこのあたりで話がまとまるのではないかという話も出てきたと思うんです。
 私が今お聞きしたいのは、COP6の前の状況と後の状況でこういった国内的な論議をするときの前提として物事がある程度進んだ。例えば途上国のことにつきましては金額も割と出ましたし、議長の提案で大体あのあたりを中心にいけそうだなという感じもありましたし、そういう面では前進があったと思うんです。前進がなかったとして国内の論議をどうするかという話も出てくるかと思いますが、そのあたりの感触といいましょうか、これは公式には全く何も決まらなかったことは承知しておりますけれども、どのような状況だったとお考えかということをお聞きします。

【環境保全対策課長】 まさにこの2週間、COP6が開かれまして最後の週は閣僚が文字どおり徹夜、最終日は全く不眠不休という議論をしまして、最終的な合意という形ではございませんが、大臣のお言葉を借りますとその一歩手前までいっている。そういうことがあったからこそ、現在、オタワにおきまして先進主要国が集まりまして今後の進め方についてもできるだけ今のうちに議論しておこうということで、各閣僚がそれぞれの国に戻りました後もうちの川口大臣も含めまして電話などによりましてコミュニケーションを図られてきているところでございます。
 そういう点では、先生のご指摘の始まる前・終わった後という点でいきますと相互の理解が格段に深まっておりまして、単にそれぞれのポジションを言ってそれをぶつけるだけではなくて、最終的にまとめていこうとするプロセスの途上に入っていたということです。それが形として外にこういう格好ですというのがまだ出ないだけでございまして、合意に向けたエネルギーとかプロセス、そしてそこで議論されたことの一つ一つは格段にCOP6の開催、そこでの実際の議論によって随分深まったと思われます。
 京都会議のときもそうでしたが、この2週間だけではなくてこの2週間に至るまでの間にいろいろな準備会合とかハイレベルの会合が持たれました。一言で言うとそれが一つのモーメンタムだとなるわけでございまして、そういったものが培われてきて醸成されていることは間違いございません。5月から6月ということになっておりますが、アメリカの政権交代という話も中に入ってくるわけでありますので、そういう点でできるだけ早い段階である程度具体的なまとまりがつくようなことになれば、それはそれとして前に進む大きなことになる。最後のところは私の個人的な感想でございます。
 以上でございます。

【寺門委員】 私どもは新聞報道とお帰りになられてからの感触は別の機会でもお聞きしておりますが、少なくとも交渉に当たられた方々が日本のCOP3のときの前提条件の後に決めた前提条件を基礎に置いて交渉されたという感触を伺っているわけでございます。その中では少なくとも日本の今までの努力は相当評価された。そういう意味で6%の前提の中に入っているいろいろな仕組みがかなり近い線にいくのではないかという点で日本としては合意に近づいたという感触を持っていると我々は理解しているわけでございます。そういう意味で今はCOP3の考え方を基本として置きながら議論すべきであって、それを別の感触にシフトして物事を考えるのはいかがなものか。思いはそれぞれ勝手でございますが、私はそうだと考えております。これは私の意見です。
 少なくとも今回のCOP6の交渉の中で雰囲気として各国の立場がそれぞれ理解に近づいたといいますか、立場とか状況は交渉の中で交流が相当あったと思います。立場もかなり理解されたと書いてあるわけでありますが、少なくともブロックとしては3つあるわけです。欧州が1990年にセットしたことは彼らの戦略として非常に正しいわけでして、当然それをベースにして物事を言うわけです。しかし、それに対して不利な国がたくさんあるわけですから、なぜしんどいかということを主張するのは当たり前であって、あの中の雰囲気で聞こえてくるのは欧州の記事が多いんでしょうけれども、それは100%表しているわけではない。アメリカも含めてアンブレラグループは非常に無茶苦茶を言っているというのはそうではなくて、アメリカ自身も悩んでいるだろうと思いますし、それはそれなりに理解していくべきです。そんなことを言っていても仕方ないので、それぞれが理解する範囲は左から右まで非常に広いわけですから、その思いを含めて議論しても仕方ないわけで、私どもは少なくともCOP3のときに我々が想定した姿でどうしていくのかを考えていけばいいのではないかと思います。
 当然、途上国問題というのは想定してやらなければ、途上国も引き込んでいかなければ物事が解決しないわけですから。そのために基金を導入したとか提案したというのは非常に素晴らしいことだと思いますし、それを具体的に実行していくような道筋に進んでいくことが重要だと思います。しかし、いろいろな途上国があるわけで、被害だけ受ける人、途上国と言いながらプラスになる人もいるわけでしょうけれども、プラスをよりプラスにしようという人もいるわけでしょうから、意見をまとめるのはなかなか難しいでしょう。しかし、それもまとめていかないといけないので、そのために先進国はどういう支援ができるかということで、少なくとも私は余りに鎖国的な発想はやめるべきだと思います。だからこそ交渉の方々は世界を見て交渉されているわけで、すぐに鎖国的な発想に陥って、このグローバルな時代にすぐにそういうことはあれだと思います。それは何を言わんとしているかが逆によくわからないけれども、少なくともそういう鎖国的発想はやめて、COP3で決めたことをどういうふうに達成していくかを議論したらいいと思っております。

【長官官房審議官】 ハーグの方では結局まとまらなかったわけですけれども、我々の印象としては大臣レベルでの交渉が時間切れという感じが非常にあります。後半が大臣会合ということですけれども、本当に大臣レベルの議論は後半の後半、本当に徹夜交渉だったということで、もう少し時間があればという印象が非常に強いわけであります。
 大臣が現地でもよく言いましたけれども、パッケージ交渉、マルチの交渉と言っております。といいますのは、いろいろなテーマがありますけれども、例えば途上国と先進国の間の資金問題、技術移転問題、キャパシティ・ビルディングの問題、あるいはシンクの関係では国内のシンクとCDMシンクの両方があります。compliance(遵守)の問題では遵守できなかった措置と、最も大きいのは遵守委員会の構成をどうするか、これは途上国と先進国で大きく対立しております。補足性は京都メカニズムの上限をどうするかという事柄でありますけれども、これら一つ一つを別個に議論しているとまとまらないわけであります。一つ解決して次に移る、一つ解決して次に移るという交渉はほとんどまとまらないということで全体のパッケージで議論し、これを譲る、これはとるという交渉になっていく。これがパッケージの交渉だと言っている事柄であります。
 実際の交渉はグループ交渉でありますから、EUから代表が何人、アンブレラグループから代表が何人、途上国のこういうグループから何人というグループ交渉ですから、一定のグループをつくって、そこに属してそこから代表を出すという事柄でないと、このマルチの交渉が進みません。よく日本とアメリカ、EU――日本はアンブレラグループから抜け出てその間で橋渡しということでありますが、実際の交渉の場ではグループ交渉になりますので、そういうグループの中で意見をとりまとめてマルチの会合でやっていく。こういうことが現実でありますので、まず日本としてアンブレラグループの中である程度の意見をとりまとめて途上国あるいはEUやコーカサスグループやいろいろなグループと当たっていくという交渉をしているわけであります。
 カナダで今やっているのは、そういう意味では先進国のEUとアンブレラグループの間をどういう考えでまとめていくかということでありますから、EUとアンブレラグループが仮にこういう方向でいきましょうとまとまっても、次には途上国と先進国の交渉がまだ残っているわけです。そちらの先進国と途上国の交渉はかなり難しい場面が想像されますので、5月の再開会合を成功に導くためにはその以前にかなり努力しなければいけないだろうと思います。
 日本政府の方針あるいは多くの先進国の方針は2002年の京都議定書の発効ということでありますから、実際の手順として5月にまとまっていただかないと後の手続がなかなか難しいかなという気がいたします。次のCOP7がマラケシュでありますけれども、それが10月です。10月に仮にあって、まとまって11月、12月、それで2002年の通常国会に議定書と国内制度を出していくのは時間的に非常に難しい面があるかと思いますので、2002年に議定書を発効させるという意味では5月から6月に予定されている再開会合でまとまっていただくのが非常に重要だろうと思います。
 先ほど課長が言いましたが、そういう意味で来年1月になるアメリカの政権が変わり、新しい政権ができて方針が出てくるまで1~2カ月ぐらいはかかる。そうすると、その間の実質的交渉がなかなか難しいということもありますから、我々の希望としてはこの1~2週間、クリスマス、休暇になる前にどのくらいのところまでいけるかというのが一つのめどだと考えています。ですから、そこまでにどこまでいけるかは全くの未定でありますけれども、EUとアンブレラグループの間である程度のぎりぎりいいところまでいったというのが現実でありますから、そこからさらにどこまで進めていけるかが今の状況。そういう意味では5月の再開会合でコンセンサスが得られるための努力は今も引き続き行われているということでございます。

【安原委員長】 ありがとうございました。ご意見、ご質問はまだいろいろあるかと思いますが、時間の制約がございますので、COP6につきましての議論はこれぐらいにしておきたいと思います。

【浅岡委員】 大変遅れまして申し訳ありません。私も行っておりましたし、最後の長官の決裂という記者会見の後も11時45分頃まで交渉が続いていて、アメリカとEUだけやっていたようになっていますけれども、そうではなくてアンブレラグループとしてやっているということをアメリカ側も言っていましたので、そういう中でお話を1点だけしておきたいと思います。
 本当に最初から最後まで吸収源のことが問題を複雑にし、話をややこしくしてきたことでありましたし、この3年間ずっとそうだったんです。本当に京都会議以降の3年間はそのことだけだったようにさえ思えるぐらい吸収のことが問題になりましたが、そのもとは日本にあります。て、今回特に問題になったのは、日本とアメリカとカナダの共同提案という形で、突如その場ハーグ会議に数字も入れて出しされてきたことからです。日本の中ではそのことも全く議論だにされないままCOP6その場に出されたわけですけれども、決裂に至った元の原因というのはもともと日本とアメリカとカナダが共同の利益からを持って提案するのは無理だということを特に産業界の皆様にここで改めて考えていただきたいと私は思うんです。
 先ほどアンブレラグループとしてと言われましたが、アンブレラグループの中はそれぞれの問題ごとに立場を異にするのがいっぱいあるんです。すべて個別の問題を見ますと、アンブレラグループだから一つの意見を持っているということでは全然ないんです。吸収につきましては京都会議の本当に最初の第1週目までは日本は少なくとも表向きは吸収源について、特に3条4項のような吸収源は科学的に不確実でについて人為的な排出削減とごちゃまぜにして数値目標に入れるカウントすべきではないとずっと言ってきたわけです。なぜそうかというのは環境保全的な側面ももちろん持つのですありますけれども、これは日本の経済界にとってとてもマイナスだということをよくご存知だったからです。アメリカは世界の排出量の4分の1を持って占めていて、そのうち20%相当の吸収量があるとを3条4項で主張しているわけです。共同提案をしたカナダは排出量は少ないですけれども、そ排出量の10%を持って占めているとていますうことで主張しているわけです。日本は高々3.7%です。3条4項について、日本の総排出量の総枠に当たる3億1千万トンようなものをアメリカはが吸収量として持っていると主張しているわけです。
 これを今回だけ、理屈が立たないけれども、あなたのところは多いから日本と同じような計算方法をして減らしてということを言って仮につじつまを合わせたとしても、アメリカは第二約束期間以降は全部フルカウントでやってくださいと常々言っていまする国でありまして、。日本が今回フルカウントが認められると、ほかの国々も日本の提案のようだと全部カウントされることになる。そういう中で、アメリカとの関係、特に本当に第二約束期間以降をどうするのか、日本は国際競争力を維持したいということを一体どうするんですかということを私は産業界の皆様に本当に真剣に考えていただきたいと思います。日本の経済界のためにこんなことをやって、これを続けると少なくとも第一約束期間は何とかクリアしても第二約束期間以降はぐちゃぐちゃになってしまう。EUとアメリカの間にしか国際競走上の問題がないかのような政府の説明は、本当の日本の国益を考えていないことのあらわれです。
 それが一つですが、第一約束期間にしましても日本の30倍もの吸収量があると言っているようなアメリカと日本を同じような基準で議論して日本が3.7%取得することには絶対なれできないわけです。競争力を阻害しないような形で日本にとってだけ有利な形をすること自身がほかの国から非常に問題を提起されるわけですけれども、結果的にはとろうとしてもそうはなり得ない。結局はアメリカを利することになる。日本の産業界はアメリカに協力してもらって交渉をこうして有利にやれるろうと思っているかもしれませんけれども、利益を得るのは結局アメリカだと私はつぐつぐ思います。
 ロシアもは森林焼失が著しいのですがアメリカとほぼ同じだけ吸収量を持っていると主張するしているわけです。排出量に対する割合はもっと多いんです。総量においてもロシアの方がアメリカと変わらないものを主張しているんです。それは吸収量が国土面積に関わるからでありまして、少なくとも3条4項をの第一約束期間に無理矢理入れて拡大解釈を世界に押しつけて、是が非でも3.7%を調達するようなことを考えるということで、日本の経済にはもかえってマイナスになるということをよくお考えになっていただきたいと私はその場で改めてつぐつぐ思いました。し、この解会はあり得ない。あるとすれば結局は日本にとってマイナスになると思いますので、そのことだけは申し上げておきたいと思います。

【安原委員長】 それでは意見を承っておくということで、コメントをいただけますか。

【環境保全対策課長】 1点だけ。冒頭に言われました大臣が決裂の宣言をして米とEUだけがやっていてということについて、事実関係として大臣は夜を徹した閣僚レベルの交渉について経過を記者団に報告し、その記者会見をしたことは事実でございますが、決裂を宣言する立場にないわけでございます。それから、米とEUの交渉と言われましたが、日本の川口大臣もその中に入りまして会議の最終まで最終的な合意に向けて閣僚レベルでの議論をしていたということだけ事実関係をつけ加えさせていただきます。

【浅岡委員】 10時以降、日本は関係していないということをおっしゃられるから申し上げるんです。

【環境保全対策課長】 関係していないというのではございません。そういうことは言っておりませんので、もしそういうことがあれば訂正させていただきます。

【浅岡委員】 そういうふうに伝わっていますので申し上げているんです。

【環境保全対策課長】 それは誤解ですので、そのように伝わらないようにお願いをいたします。

【安原委員長】 それでは、COP6の議論はこのぐらいで終えたいと思います。
 次は議題の2でございますが、ポリシーミックスによる政策パッケージについてに移りたいと思います。資料としましては資料2を参照いただきたいと思います。
 この資料でございますが、経緯を振り返っていただきたいんです。温暖化対策につきましては中央環境審議会で検討されてきておりまして、一度中断という形になっておりまして、環境基本計画の検討が進んでいる。今は最終段階に来ているわけです。その中の重点的な戦略プログラムの一つとして温暖化対策を位置づけるということで、その関係で温暖化対策検討チームが検討してまいりまして企画政策部会に報告を出したわけでございます。これをきっかけとしまして企画政策部会は中断しておりました温暖化対策の検討を再開することになりまして、具体的に小委員会を設けてということでこの小委員会ができ上がったわけでございます。
 この小委員会の企画政策部会からのマンデートを思い出していただきますと、6%削減目標を遵守するための国内制度の一環としまして各種の政策手法の組み合わせ(ポリシーミックス)による複数の政策パッケージの案を作成すること。そして、こうした政策パッケージを適切に実施に移していくための基盤となる仕組みの検討を行い、その結果を12月までに企画政策部会に対して報告してほしいということでございます。今の予定では12月13日に最終の企画政策部会の会合が予定されておりまして、これに報告してほしいということを言われております。したがいまして、あと今日と11日にこの委員会を開きまして、この2回で企画政策部会に報告すべき報告書をまとめなければならないということでございます。これまで4回検討いたしまして議論はかなり出そろったという感じがしておりまして、残されたテーマはまさに具体的な政策パッケージを描いて、これを提案することでございます。
 そこで、この問題についてはこれまで既にいろいろな政策措置につきまして意見交換を深めていただいてきたわけでございます。これを踏まえまして政策パッケージの報告書のもとになるドラフト(たたき台)をつくらなければいけないということで私の方から骨子のポイントをお示ししまして、事務局の全面的な支援協力をいただきましてまずドラフトをつくりまして、そのドラフトにつきまして事前に各委員の方にお示ししまして、意見がありましたらいただきたいということで意見をいただき、できるものにつきまして組み込んだということでまとめたものでございます。
 この目次をご覧いただきたいと思いますが、最初のところで今申しましたような検討チームとのつながり等々、これまでの経緯も踏まえて叙述しております。
 6ページに検討の手順というところがございますが、ここで検討の手順を3つ書いております。まず、ポリシーミックスの要素になるものを整理いたしまして、11ページに図がございますように10のポリシーミックスの構成要素を整理しているわけでございます。そして要素の適用対象を検討しまして、要素の組み合わせパターンということで13ページに6つの組み合わせパターンを整理いたしております。その上で特に排出削減・抑制の確実性の観点からいろいろ評価いたしているわけでございまして、パターンにつきまして確実性の観点から整理したのが20ページの表にございます。その上で具体的な政策パッケージのモデルということで、図では24ページ以下27ページにかけて整理したものを示しております。
 施策の確実性という見地からいろいろ議論がございましたが、環境税を導入することを考えるモデル、排出量取引を導入することを考えるモデル、あるいはその組み合わせ、またその組み合わせには規制的な措置を組み合わせるケースも考えられるわけでございます。そういう確実性の観点から特に3つのモデルが浮上するわけでございますが、従来からやっております自主的取組を重点的にやっていくべきだというご議論もございましたので、それも自主的取組強化モデルという形で整理してお示ししている。したがって、そういうことで4つのモデルをここでお示ししているわけでございます。そして、そのモデルの重要な視点につきまして28ページから29ページにかけてそれぞれ評価しております。
 そして、最後の締めくくりの31ページでございます。後で議論していただきます資料3-2にこれまでの検討結果を報告書の形にまとめたものがございますが、この最後に織り込んで、そして一つの報告書にして中央環境審議会の企画政策部会に13日に出したいということでございます。中央環境審議会は中央省庁の再編に絡みまして新しい中央環境審議会になっていくということでございますので、この報告書を受け止めていただいて、引き続き新しい中央環境審議会の場で検討を継続していただきたいという期待を込めてご報告を出すということでございます。
 したがって、ポリシーミックスを4つ示しておりますが、それをさらに検討して絞り込みをしていく必要がございますし、基盤メカニズムについて特に情報メカニズムにつきまして具体的に示しておりますが、さらに制度の具体化の検討を進めていただく必要がある。それから、先ほど村上委員からの言及もございましたようにCOP6再開でどうなるかということもございますが、6%の内訳についての状況がいろいろ変わってきている。その中で中央環境審議会としても6%の内訳について検討していただく必要があるのではないかという言及もいたしているわけでございます。そういう案をまとめましたので、議題2として検討していただきたいと思います。
 それでは、どなたからでも自由に議論していただきますが、その前に事務局から補足説明がございましたらお願いします。

【環境保全対策課長】 今の座長からのご説明に加えまして、若干事務的なご説明を簡単にさせていただきたいと思います。
 まず、資料の1ページ目でございます。
 検討のスコープという前提といたしまして一番下に円グラフがございますが、Aはかつてご議論いただきました定量的基準の達成が法的に担保されているものが約20%、Bまで広げまして定量的基準と普及促進施策がある、または自主的取組が行われているものが40%ということで、上に書いてありますとおりポリシーミックスの検討に当たりましては個別の対策には程度は異なるがそれぞれ不確実性が存在する。この不確実性をできるだけ低減して確実な削減が確保されるよう各種のメカニズムを活用する。そして、ポリシーミックスを形成しながら京都議定書目標遵守のための制度的な工夫を検討するというのが検討の方向性でございます。
 次の2ページはおさらいになりますが、今用意されている各種対策それぞれがどういう推進メカニズムかをそれぞれの観点、推進メカニズムの分類の観点から整理したものでありまして、この結果が先ほどの円グラフになっているところでございます。それから、セクターごとに排出量の推移も異なってきておりますから、こういった各セクターごとの考え方、アプローチも検討する必要があるということでございます。
 4ページ、5ページもおさらいになりますが、検討チームの方で整理していただきました政策パッケージの概念図で、それを確実なものとする基盤メカニズムでございます。右側の図にありますとおり、政策パッケージの確実性が増せば最終的な調整メカニズムへの依存が軽くなるような関係になるというのを模式図的に示しております。
 6ページは先ほど座長からご紹介のあったとおり、この検討の手順でございます。
 ポリシーミックスの要素でございますが、個々の説明は省きまして、横長の11ページにございます個々の推進メカニズムにそれぞれの要素を左から順番に並べております。
 切り口は、自主的取組の活用という点でございますれば自主行動計画、また協定の締結、義務的な計画の策定というように幅が広がってくるわけでございます。規制的手法という点では総量規制の考え方、これも単に総量を規定するというよりもインセンティブの対策に向けた助成を組み込むとか弾力性のある規制の取組。それから、小規模への各種規制という表現になっておりますが、具体的には製品に対する規制とか自動車ユーザーへの規制といった対象規模の小さい事業者に対する各種の規制でございます。ハイブリッド排出量取引は排出量取引のところでも議論がございましたが、上流部門と大規模な排出者をカバーするという意味でのハイブリッドでございます。それから環境税、環境税と排出量取引の組み合わせ、また社会資本の整備などと普及啓発といった要素をまず考えました。
 これらを次の12、13ページにかけましてそれぞれの対象をカバーできるような組み合わせを考えてみたのが先ほどご紹介のありました13ページのIからVIまでの政策パッケージのパターンでございます。基本的には先ほど言いました10の要素をどのように組み合わせるか、そして対象の漏れがないように幾つかのケースを考えてみました。これらに関する図での説明などが15から16ページにかけてございまして、これら6つのパターンにつきまして17ページでは排出量管理の確実性という尺度で比較を行っております。
 20ページは横長の表でございますけれども、こういった観点を踏まえまして上のスケールが排出量管理の相対的な確実性、右にいけばいくほど確実性が高まり、左側は確実性が弱い。6つのパターンをそれぞれ縦に緩やかに結びまして、それぞれがどのような要素でもって構成されているのか。また、新たに導入する具体的な対策メニューも18、19ページに合わせて付しております。
 この20ページのもう一つのポイントは、縦軸は産業、民生、運輸、エネルギー転換、それから共通という各セクターに展開した検討をさせていただいているところであります。
 21ページからは、こういった検討を踏まえながら最終的には政策パッケージの4つのモデルを検討しております。21ページの下にこれまでの議論も踏まえながら4つに絞り込んでいくプロセスにつきまして排出量管理の確実性の向上とする観点から絞り込みをいたしまして、最終的には22ページにございます自主的取組強化モデル、環境税モデル、環境税&大規模管理モデル、そしてハイブリッド排出量取引モデルという4つのケースを図に書いておりますのが24から27ページにわたりますが、4つのモデルを提案しております。
 それぞれの評価でございますが、排出量管理の確実性、京都メカニズムの補完性、国民経済的な費用対効果、持続可能性、生産・消費構造の改善、環境産業の振興、そして公平性という観点からそれぞれ評価したのが28、29ページでございます。
 最後に、31ページにポリシーミックスによる政策パッケージとして4つを提案して、基盤メカニズム、また6%の内訳については先ほど座長よりご説明のあったところでございます。
 以上が事務局からの補足説明でございます。

【安原委員長】 それでは、どなたからでもご発言がございましたらどうぞ。

【幸田委員】 25ページの環境税モデルについて質問と意見ですが、環境税という縦長の枠の横に「わが国の産業構造、国民生活への影響の観点から緩和措置が必要と考えられる業種、分野等については、一定の配慮(例えば、承認計画+減税措置など)」とあります。つまり、承認計画をちゃんと出していただければ減税もしましょうというのはわかります。では、もし約束はしたけれど達成できなかった場合どうなるかはここに書いていないわけです。そうしますと2008年以降というのは、約束していただいて減税して差し上げました、でもできませんでした、その結果それはしようがない、あとはただ2008年の京都メカニズムということなのでしょうか。そうではなく、やはり減税措置をいただいた以上、できない場合には増税あるいは違う措置を考えて対処するのか、それがこれでははっきりしないものですから。
 これは一番上の自主行動計画の義務的な計画策定にも絡んできますけれども、ここでも義務的な計画策定ができない場合どうなるかを一切書いていない。だからこそ、これが下に引きずってきて達成できない場合どうなるかがわからなくなってしまうと思うので、ここを明確にしていく必要があるのではないでしょうかという質問と意見でございます。

【環境保全対策課長】 まさに非常に重要な点だと思います。ご指摘のとおりだと思います。
 環境税に係る点におきまして一つのヒントでございますが、9ページに戻ります。上の方ですが、参考2に英国の気候変動税がございます。これは検討中のものですが、政府と気候変動協定を結んだ企業は気候変動税の80%の減税を受けられるとされているわけですが、幸田先生が今ご指摘の例えば協定内容を達成できなかった場合、次の2年間の減税措置を受けることができないというフォローをする仕組みにもなっております。

【環境保全対策課補佐】 義務的な計画策定につきまして、まず初めに概念の説明をさせていただきますが、「義務的」は策定の方にかかると読んでおります。つまり、協定を一般に締結する場合は結ぶかどうかについては両者の任意性が非常に高いわけですが、一たん結ぶからには内容については双方が合意したものになるというのが協定のイメージでございます。他方、義務的な計画策定につきましては、ある要件を満たした方につきまして計画を策定していただくことは義務。しかし、策定する中身についてはなるべく自主的なものも尊重していきましょうということで概念を2つに分けて書いております。
 その上でご説明申し上げますが、24ないし25ページの図でございます。2008年以降「京都メカニズムを利用した国際的な排出枠の利用の検討」と書いてございます。ここに書かれていることから類推されますことは、仮に協定の目標が国内措置で達成されなかった場合であっても協定を締結した方が自ら京都メカニズムを活用することによって排出枠を獲得していただき、結果として目標遵守制度において協定の目標をきちんと達成したと同じ効果が得られるという仕組みをつくることができるということを図示したものでございます。

【幸田委員】 わかるんですけれども、その解釈があれなんです。
 もちろん民間のどんな契約でもお互い紳士的にちゃんとやるということで合意しますけれども、できなかった場合の措置はこういう方法をとりましょうと契約書に必ず書いています。それも契約、協定のとても大事な一部分ではないかと思うんです。できなかった場合のことを一切語らずに契約だけしていただければ結構ですというのは甘いのではないかと私は常識的に考えます。ですから、もし皆様の合意が得られるならば、その部分を次までにもう1つの案として――これはこういう案もありましょう。加えて、結果責任あるいは対策措置を考えた案をもう1つ追加で入れられれば3つあってもいいのではないかと思うんです。
 3つというのは、例えば自主的にしても一つは全部を企業に任せること、2の定義は約束だけしていただければいい、3は約束プラスできなかった場合は考えるという3つの方法が自主的というものの解釈にあってもいいはずだと思います。それを受けて3番目の今の環境税についても何も考えないで、そのときはやってみたけれどダメだった、しようがない、あとは排出権取引にいきましょう、これは国の税金を使うなら何なりしてしようがないコストだと考えるのか。あるいは、そうではなくて何かしなければいけないと考えるのか。そこがもう1つあってもいいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

【安原委員長】 当然、遵守される措置をそれぞれが制度の趣旨、目的に沿ってビルトインされていると理解していただいていいと思うんです。
 ここで承認計画とありますが、税制の中における承認計画と自主的取組をベースとした協定とか計画というのは法的な性格は違うと思うんです。こちらの方はあくまで環境税制の中で通常の場合であればこういう税がかかります、しかし、こういう計画をきちんと組んで確実に達成されれば例えば税負担が軽減されます、しかし、それは達成されなければ公平の問題が生じますから、それは負担していただくことになりますという意味でございます。
 もし25ページは国際的な排出枠の利用という場合もこの関連で書かれれば当然、達成できなくて買う場合の財源は企業なり個人なりの負担になる。ですから、幸田委員が今おっしゃったような担保措置は制度の趣旨によって強弱はあると思いますけれども、それぞれにビルトインされている前提の案と理解していただいて結構です。

【幸田委員】 ありがとうございます。それがどこにも書いていなかったような気がして、一般の人を含めて読んだときにわかるようにぜひ。それだったらよくわかりました。

【佐和委員】 今たまたま皆さん方が25ページから27ページをお開きですので、これに関連して2点申し上げたいんです。
 一つは先ほど幸田委員がお読みになった文章ですが、25ページの破線で囲まれた部分に「わが国の産業構造、国民生活への影響の観点から」と書かれています。これは表現の問題ですけれども、つまり省エネ、エネルギーを節約するとか、国民生活への影響を及ぼすために税金をかけているわけです。影響が及ばなかったら何のためにやっているかということになりますね。悪影響ならいいですけれども、いずれにせよこういう書き方はいかがなものかと思います。産業構造にも影響を与えることは当然ですし、それはいい影響と悪い影響があるということです。
 もう一つは4つの図のすべてに言えることですけれども、いろいろやってみて、どうもこれは遵守できそうもないということで2008年以降になって京都メカニズムを発動するわけですが、例えばクリーン開発メカニズムとか共同実施の場合はこれでは遅過ぎるわけです。もっと早い時期から助走期間が要るといいますか、恐らく議定書が発効したら直ちに、特にクリーン開発メカニズムなどの場合は2000年以降の削減分が全部カウントされるわけです。私が申し上げたのが普通の考え方であって、こういう書き方をすると誤解を招くおそれがあると思います。
 以上です。

【村上委員】 4つのモデルしかないのかなというのが疑問です。例えばハーグに行く前にイギリスに行ってセイロン氏に話を聞いてきましたけれども、イギリスは協定締結プラス炭素税プラス気候変動税(環境税)プラス排出権取引です。国際的な排出量取引がない場合はどうするかと聞きましたら、イギリスは国内だけでもやる。これは業界の方が税よりはいいということで産業界の方が求めて排出権取引をつくった。価格が高騰するのではないかという佐和先生の理論を大分ぶつけてみたんですけれども、結果からしてみると何らかの措置がないと産業界がかえって困る場合がある。そういう場合のために借款取引になる可能性があるので、それよりは何社か出て市場取引の方が価格が安いから産業界としてもそういう要求をしたということを言っていました。
 ヨーロッパはほかの国も排出量取引を織り込んでいるところはまだありませんが、排出量取引をいずれ織り込むということで、その3点セットの国が随分多いようんです。そういうモデルが幾つかあるのに、どうしてこの4つなのか。例えば自主行動計画の上に政府との協定とか定点観測とかマーキングとかいろいろなものがありますけれども、その3つの組み合わせがヨーロッパの主流になっている。その辺は4つのモデルにどうしてもこだわらなければならないのかどうか。4つ出し、5つ出しがあるのかどうかをお伺いしたい。

【宮本委員】 それに関連して村上委員が今おっしゃったのは4つですが、その前に6つ書いてあるわけです。6つから4つの絞り込みの説明が不十分ですけれども、その辺を教えていただきたいと思うんです。

【環境保全対策課長】 それでは、最初に絞り込みのプロセスを申し上げたいと思います。説明のところで舌足らずでございましたが、21ページの下のところに4つの政策パッケージのモデルについて6つから4つにしたプロセスを明示しております。自主的取組重視パターンについては現状と比べて確実性が向上しないという観点から、ここではモデルとしては取り上げない。自主的取組強化パターンにつきましては排出量管理の確実性の観点から他のパターンと比べて劣るものの、自主的取組を最大限尊重すべきということを踏まえまして取り上げる。インセンティブ付与総量規制パターンについては、大規模排出者に係る確実性に比べ小規模排出者に係る確実性が弱い。大規模排出者に対する確実性が高く、小規模排出者に係る確実性も比較的高いVIのパターンと組み合わせましてモデル3とさせていただいております。次のページにまいりまして、IVとVはそれぞれモデル3と4にしたところでございます。
 ほかと関連する要素との組み合わせについては補佐から説明させていただきます。

【環境保全対策課補佐】 イギリス型につきましては村上先生から今お話しいただいたように自主、排出量取引、そして税の3つがミックスされた案になっていると伺っております。その考えですが、モデル2の環境税モデルがそれに非常に近いものとなっております。具体的には承認計画をつくって減税措置ということを書いてございますが、イギリスで申しますところの協定は実際には政府と事業者の間である合意文書を結んでお互いにそれを了解し合うということでございます。これを日本の法文化の中で制度として焼き直したときに一体どういう形をとるだろうかと考えてみますと、それは計画をつくっていただいて、その内容が政府として承認し得るものであれば、それを認める。これがいわば日本的な法制度の中の協定ではないかということで、モデル2はそういう意味で税と協定の要素を含んだモデルのイメージでございます。
 その上で、協定を結ぶ、あるいは承認計画をつくった方々の一人一人が目標を達成するのか、それとも村上委員が今おっしゃられましたように市場をつくって、お互いにうまく取引をすることによって、より効率的に目的を達成するのか。ここは選択肢であろうかと思います。ただ、お互いにその方々がさらに市場をつくって、そこに政府も関与してやっていこうというのは応用問題の応用問題ということでありますので、今回のモデル2ではそこまでについて言及していないということでございます。

【村上委員】 イギリスはとりあえず国内の排出量取引をやると言っていますから、モデル4プラスだと思っているんです。国際的枠組みがあることに越したことはないと言っておりましたけれども、なくてもやると言っていましたから。

【安原委員長】 それで税があるわけでしょう?

【村上委員】 税の性質はここに書いてあるモデル2の環境税です。

【安原委員長】 だから、そういう意味で排出量取引と税を組み合わせたのがモデル3なんです。

【村上委員】 そうすると、プラス協定なんですね。

【安原委員長】 協定も税法に基づいて税制上位置づけられて、こういう計画をつくっていただいてきちんとやってもらえれば減税しますというのを環境税の考え方の中に取り込んでいるわけです。例えばはっきりと書いてあるのはモデル2です。

【村上委員】 イギリスはこれに近いんですね。

【安原委員長】 そうです。

【天野委員】 いろいろ申し上げたいこともあるんですが、とりあえずモデル2の京都メカニズムを利用した排出枠の利用の検討は先ほど遵守できなかったときにこういうものも使えますということを用意してあるとおっしゃったんです。国際的な市場の削減コストはもちろん企業が自分で負担するんですけれども、国内でやるよりもずっと安く買えることになれば、不遵守というよりもむしろ意図的に不遵守を行ってその部分を買ってくることが起こることは当然考えられるわけです。
 そうなると補足性との関係はどうなるのかということで、簡単にこれがあるから不遵守がカバーできますということは言いにくいと思うんです。ですから、不遵守についてどういう措置を講じるかというのはモデル1と同じような形であらかじめはっきり決めるのが欧米などでとられているやり方ではないかと思うんです。つまり、ここは単純な環境税ではなくて、環境税プラス一種の自主協定なんです。自主協定の場合は先ほどから英国の例がいろいろ挙がっておりますけれども、ECも検討しております。私の見たところではフランスとかスイスとか個別にそれぞれの国が検討しているようですが、いずれの場合でも自主協定というか政府との間で取り決めを交わす以上はそれが簡単にモニターできるような取り決めであることが一つの条件。
 遵守が行われなかった起こらなかった場合にはきちんとした補償措置を要求するか、あるいは罰則規定を設けるか、そういうものがなくても国の方で用意した行政的な措置を企業が受け入れるという約束をするか、そういうことを何か用意している場合がほとんどです。ですから、ここで京都メカニズムが使えますからというのは非常に大きな抜け道であって、ここでは環境税で簡単に減税しますということは確実性が高いという位置を与えているんですけれども、制度の確実性という点から言うとおかしくなるのではないかという気がいたします。
 先ほどの村上委員のご意見は私ももっともではないかと思います。ここでは代表的な形とパターンとしてこういうものが考えられるというのはわかるんですけれども、これをベースにして、もしベターな組み合わせあるいはパッケージができるのであれば、それももちろん公表するということであってもいいかと思うんです。ですから、ここはどちらかというと環境税なら環境税、排出取引なら排出取引、直接規制なら直接規制という見方が頭にこびりついているというか、そういうつくりになっていて、もっとフレキシブルに組み合わせるという発想が少し乏しいのではないかという気がいたします。
 もう一つは、現行制度というのがあるわけです。これはECなどのペーパーを見ていてもいつもそう思うんですけれども、彼らは現行制度とどういうふうに突き合わせるかということをしっちゅう考えて、そのために必要な措置というか現行制度を変えるのか、あるいは現行制度を生かしてこういう新しい取組を組み合わせるのかを議論しておりますので、その辺も今あるものをどうするのかということも付言していただくことが必要かと思います。
 それから、言葉の点です。“supplementary”というのは、ここでは補完性と訳したり補足性と訳したり混乱しているんです。例えば最後の30ページの表の上から2行目に京都メカニズムの補完性と書いてありますけれども、これは多分“supplementary”ですから「補足性」だと思うんです。これが京都メカニズムの補完性が高いということで「○」がつくと、京都メカニズムのシステムをさらに強化するような受け止め方をしてしまうんです。ですから、これは補足性。同じ表のモデル4の下にある「補完措置が必要」は補足ではなくて、明らかに“complementarity”です。ですから、同じ言葉が違った概念で使われておりますので、その辺はちゃんとしていただきたいと思います。

【安原委員長】 重要なご指摘をありがとうございました。協定あるいは計画等についてそれぞれきちんと遵守されるような仕組みを考えるのは当然のことだろうと思います。今後さらに検討していきたいと思います。これは確かに典型的にわかりやすいものをモデルとして示したもので、このモデルをベースとしていろいろな細目についてモディファイしていく、あるいは組み合わせを追加するとかいろいろあり得ると思うんです。そういう検討も今後の課題だろうと思います。
 それから、現行いろいろな施策が講じられておりますが、有効な施策については引き続き推進していくという立場でございます。それぞれのモデルの中で丸く囲んだ中に入れているつもりでございます。

【横山委員】 先ほどの佐和委員のお話にも関連するんですけれども、2008年以降の京都メカニズムを利用した国際的な排出枠の利用の検討はこれまで議論してきた最終調整メカニズムのことでよろしいわけですね。そうすると、2008年から2012年までの間に削減量がどうなっていくかというのは予測できるんでしょうけれども、なかなかわからなくて、最終段階になって京都メカニズムを使うことになるとどうしても遅くなるのではないかという疑問が出るんですが、その質問に答えていただけませんでしょうか。例えば2008年前からやってきて、第一約束期間にはどのぐらいの不遵守ができそうだということで2008年の初めから排出量取引あるいはCDMとか共同実施でやろうということなのか、その辺を教えていただけますか。

【環境保全対策課補佐】 お答えさせていただきます。恐縮でございますが、資料の5ページをご覧になっていただきたいと思います。
 5ページの最初の「○」で説明を行っておりますけれども、上から4行目でございます。したがって、京都メカニズムの利用方法としては一つは計画の一環として――計画というのは排出削減・吸収計画でございますが、その一環として初めから予定的に京都メカニズムを使っていくこと。例えば国内的な排出量取引制度を国際的な排出量制度と連携する予定で使っていくことが一つの使い方であります。もう一つは、その中でいろいろやってみたけれども、やはりいろいろな変動要素、不確実性があって最終的にどうしても足りなくなりそうという場合に京都メカニズムを利用する。こういう2つの使い方があると整理しております。
 そこで、横山委員のご質問にありました先ほどのモデルの図の中で出てきております京都メカニズムの利用は前者、推進メカニズムを活用する上での当初の予定として京都メカニズムも組み込んで使っていこうという趣旨で書かせていただいたものでございまして、最終調整メカニズムとは別という考え方でございます。

【宮本委員】 今、個々の議論がなされているんですけれども、非常に大きな議論があると思うんです。これは浅岡委員からコメントが出ていますね。もう一つは寺門委員からもコメントが出ています。私も出しましたけれども、取り上げていただいていないんです。これはどうなのかよくわかりませんが、少なくともこの2つの意見を読んでみると相当大きなポイントがあると思うんです。こういう個々の問題よりも大きな問題をまず議論して、それから入っていかないと収れんしないのではないかと思うんですけれども、いかがでございますか。だから、まずは提出されている資料4、5について要点だけご説明されて、ポイントが非常に大きいと思いますので、そのポイントについて議論しながら進めていかないと右や左という個々の話では済まないように思うんですけれども、いかがでございましょうか。

【安原委員長】 それでは寺門委員と浅岡委員、それぞれ提出いただいた資料をご説明いただけますか。

【寺門委員】 まず、このモデルを見ていただいて皆さんは不思議に思うと思うんですが、私は自主的取組のモデルがあって書いてくださいということで言ったわけですけれども、こういうときに産業にだけ目が向いているわけです。この資料は入口のところから産業部門が多いからということで問題点が消えてしまっているんです。今、産業部門は横ばいですから、それに対してどういう評価をされるのかは別にしまして、少なくともこの10年間で99年には9%伸びてしまったというところは、要するに民生、運輸部門です。これに対してどういうアクションがとられつつあるかということが前提なんです。ですから、今の施策をどう評価して、それはいつ効いてくるかということは全く評価しないということの上でここに環境税とかいろいろな物事がボンと出てくるわけです。
 これで見ると、まずモデル1でも京都モデルは産業界だけ使うと書くんです。ここだけやっているという世界を絵に描いて、あとは知らんという格好を書くわけです。これはものすごい誤解なんです。問題はどこかといったら、現時点での問題は民生、運輸に大きいわけです。それに対して現在ここに税制のグリーン化とか書いてありますけれども、これは大きな議論なんです。どういうふうにしていくのか。車については産業界に対して非常に厳しい目標値を与えられているわけです。車であろうと家電製品であろうと、ものすごく厳しい目標値を与えられているわけです。それを現実に商品として売り出そうとして、みんな開発しているわけです。そういうものがどう生きていくようにするのかということがなくてすぐに話がボーンと飛んで、変な或る新聞記者がもいて自主行動計画で京都議定書が達成できるんですかと私に言うから、達成できるわけないでしょう、何を言っているんですかと言うわけです。
 それはなぜかといったら、民生、運輸、その他も含めて60%近いものがどうやって達成していくのかという区分の議論が全く抜けてしまっているわけです。そこがなくてモデルでこれといったら、こんなモデルは初めから成り立たないよと言われて終わりなんです。そこをいつも考えてくださいということを総論として言っているわけです。それを達成するためにどういう社会的システムをつくっていくのかという議論が全く抜けている。個々の製品に対しては非常に厳しい基準が与えられて、それを達成しなさいと。では、それを国としてどうやって社会的に生かしていくんですかというシステムはどういう議論かということは、ただ環境税です、それで終わりというわけにはいかないのではないか。そういう税金も社会システムのために現実にものすごく使っているわけです。ここは社会資本整備とポンと書いてありますけれども、使っているわけです。そういうものを含めてどういうふうにして、それが効果的に効果を発揮するかを議論しないで、自主行動計画でこのモデルはありませんと誰かが消すように書いてあるだけなんです。京都メカニズムといったら産業界だけがあって、国は何も関係ありませんと書く。そんなことはあり得ない。ここで達成できなかったらどうするんですか、国全体として民生、運輸で達成できなかったらどうするんですかということです。だから、ここに書くことではないんです。
 これは国全体としての責任で、その中に産業部門としてあるグループを組んで海外でやるかもしれないというやり口はまだ決まっていません。どういうふうにやれるかということは交渉の中でまだ全く決まっていませんから、皆さんも海外に手を出してみたりするわけです。それはまだ見えませんから、制度的にも国内ではどういう制度ができるのかわかりませんから、これはできない。ただ、何かやってみないといけない。今日も新聞に出ていましたけれども、何かやってみないといけないというのはわかるわけです。国際的な取り決めがまだできていないわけですから、どうやったらいいのか全くわからない。そういうことを抜きで議論が進むから全く議論にならない。これは全部そういう雰囲気で書き直してもらいたい。これは国全体なのか、産業界だけがやるんですよというのか、これでは全くわからないです。
 言うときにはライフスタイルの転換とか何とか言葉が先走りして、国民には何とか。では、そのライフスタイルの転換はどういうふうにやるんですかということについては議論が全くないでしょう。社会システムとしてどういうスタイルにしたら省エネ的な機器がより普及していくようなスタイルになるのか、そういうことは全くなし。だから、私がいつも繰り返し言っているのは今の政策をベースにしたときに何を付け加えるべきなのかという議論をスタートしていただかないと、こんなところにポンポン飛んだら、これで効果があるんですかと聞いたら、そんなことは言えませんで終わりでしょう? 政策というのはそういうものではないです、それで終わりでしょう? そんなことでどうやって担保という言葉が出てくるのか私には全く理解できない。そういうことを書いております。もっと易しく書いていますけれど。

【安原委員長】 とりあえず浅岡委員からも伺った上で議論したいと思います。

【浅岡委員】 今のご説明に関連するように申し上げたいと思いますが、まず第1点は今までの政府の国内削減の割り振りを全く見直すことなく、それをどう達成するかということになっていると思われますので、それは大綱の基本を根本から見直すことが必要でしょう。今、寺門委員からは何も決まっていないとおっしゃられて、まだ先でいいではないかと言われていますが、先の京都議定書の第1約束期間の期限は決まっているわけですし、今回ハーグでの交渉におきましても通産省の関係の方々は吸収分で3.7%を日本が認められない限りここハーグでの合意はないとしないということを公然と言われるような状況で結局、合意には至らなかったのです。それで先延ばしにをしておいて本当にいいんでしょうか。これは国内でやるという体制がついて削減する制度ができて初めてそうしたことがにもならなくなると思いますので、私たちとしてはあくまで吸収源に頼らず、京都メカニズムは補完的なものと考え、国内削減で十分できる仕組みをつくるところから出発すべきであるということが1点です。
 それから、民生、運輸が増えているのであるということを言われ、民生・運輸の削減が強調されています。前にも申し上げたと思いますけれども、日本はこの10年、ほんの最近になりましてでも、産業部門の排出割合が欧米に比べて民生・運輸よりもはるかに大きいことは数字上明らかなことであります。いろいろな先生方がこれから産業のソフト化と産業構造の転換を図っていくことが経済的にも不可避であるし、それが望ましいことであるというご指摘もある中で、経済界として従前の産業の排出割合が適正で、今後も維持されてしかるべきだとお考えになるのはことも経済界として適切であるようにとは思われません。民生、運輸でも削減を図りながら産業部門を削減するには、産業の削減が中心になるのは当然です。
 また、民生、運輸部門の排出をどう削減するのかという点につきましては、いずれも削減分は産業関連からの排出です。また、まさに民生、運輸で使いますの電気機器、電子機器、また自動車等のそうした機器の効率改善が貢献する割合は依拠するところが大変大きいわけです。それは産業界の取組に期待しているわけでありますから、まさに産業界としての取組として大きく、民生、のためにも運輸の削減のためにもそこ産業界の取組に期待しているということをご理解していただきたいと思います。
 また、それがライフスタイルとの関連ではにどういうふうに関わるのかという点は一般消費者も事業者も含めて、そうした機器・製品等のユーザーとしまして、効率のいい機器、あるいは長寿のもの、あるいは建物の建築等につきましても排出が少なく長寿であるもの等を選択する。という意思表示をしていく。消費者がそういう行動をとっていくというふうになること、そんな選択ができることはまさに発想が変わりっているし、ライフスタイルも変わっている証でありますから、選択できるように選択すべき商品を提供していくようにしていただきたいと思いますし、表示などでも含めて選択肢を増やし、かつ選択が見えしやすくしていっていただきたい。普及活動というのはまさにそういうことを中心にすべきです。しながら、ただ節約しましょうねという運動だけことで皆さんの主観的な発想消費者の意識を変えようとしてもることだけでは達成度も少ないし、ライフスタイルを大きく変える方向へのテコにはもなっていかないのではないかと思います。
 最後に幾つかの政策パッケージとの関係ですけれども、先ほど天野先生からもお話がありましたようにこの議定書交渉の中で特にアメリカが言っているのは、安い対策をとりたい。そのためいいうことでCDMにシンクを大幅に入れられるようにしたいということであります。いかにも海外から買ってくれば国内対策よりも安いとなればいうふうになっていくと本当にそれで買って済ませばいいではないかということになってしまう。って、何のために国内削減なのか。京都メカニズムの利用は補完的であるということがこういう仕組みのどこかに盛り込まれなければいけないしことと、議定書交渉の中でそのことをしっかり入れておかないと、結局どの国も国内削減をしないというふうになる。
 それが海外での排出枠の調達が本当に安いのかという点では、この報告書の5ページの下の先ほどお示しの最後の2行の「仮に量が確保できるとしても、その時点で価格が相当高いものになり国内対策の方がかえって安かったという場合も考えられる」ということもあるでしょうが、何が安いのかという判断の中に国内で削減するための対策コストと、そうしたこと対策をすとることによって若干の年数をかけた上で燃料のと消費コストが削減されることをによる差し引きしによって、本当にどれだけ費用がかかって、買ってくるのとどちらが安いのかと判断する必要があります。買ってきたものは何といっても資本が国外に出るわけですし、国内で対策をとり、あるいはいろいろなことをやるというのはお金が国内残るわけであります。そうしたこともすべて合わせて、本当に安いのかという点、何をもって安いと言うのかという点で十分な議論をしていかれることが必要かと思っております。

【天野委員】 我々はここで産業界だけを対象にした議論をしているつもりは全くありません。今後、従来のやり方で進んでいって将来は非常に厳しい排出削減が求められている状況に対応できるのかどうかということで、おっしゃるとおり国全体としてどういう取組が必要なのかということで先ほど来どういうあたりがカバーされているかという基準が大変大きな役割を果たしていますけれども、数の少ない大口の排出主体だけではなくて、非常に無数にある排出源の排出量を合計すると、運輸、民生といったところで非常に大きな排出が出て、それをどうしようかというのが個々のいろいろな政策パッケージの求めているところだと思うんです。ですから、我々はそういうことを議論していないと言われると大変心外でございます。それが一つ。
 今言いましたように今回は京都議定書の6%が目標になっておりますけれども、これはあくまでも第一約束期間の目標であって、しかも科学者たちが主張している必要な削減量をはるかに下回った目標であるわけです。ですから、現在いろいろなところで大変熱心な取組をしておられるのは私も承知しておりますけれども、それで大丈夫とは決して言えないわけであります。ましてや、それから外れている主体がたくさんいる国全体の排出をどう減らすかという議論はきちんとこういう形を経て採択していかなければいけないのではないかと思っております。その中で環境税にしても排出量取引にしても一般的には経済的手法と呼ばれているもので、環境対策としては非常に新しい制度です。日本で適用された例はごく若干ありますけれども、やってみないとわからないというの面が確かに存在しているわけです。
 しかし、そういう新しい措置を導入しなければ先ほど私が申しましたような厳しい対応がとれないというのは恐らく皆さんもご承知ではないかと思うんですが、問題は今まで経験のない措置を導入したときに一体どういう効果が出て、どれだけの有効性があって、どれだけのマイナス影響が出てくるのかという数量的な裏づけがもちろん必要であるわけです。しかし、その数量的な裏づけを求めるためにはどういうモデルを我々が選択するのか、あるいはどういう候補があるのかというリストをつくって、それぞれについて数量的な裏づけを見て、それでもって判断するという手順を踏むしか仕方がないと思うんです。今までないわけですから、よその国でもありませんし、ましてや国際的なレベルでもそういう経験をしていないわけですから、それはいろいろなデータを駆使してこれから評価して、その間で選択するしか道はないと私は思います。そういったプロセスを経てこの国の対策をどう決めるか、批准に必要な制度をどうつくるかということを私たちはやっているつもりであります。
 もう一つ、経済的な措置について申しますと、これは一定の環境上の目標を達成するために国全体としてのコストがどれだけ下がるかということですから、国民全体の負担を押し上下げようという意図も含まれております。しかし、それだけではなくて、これは経済的な措置を使うことによってまさに経済活動に対するインセンティブで、それが将来の技術開発に対して非常に大きな効果を持つことはいろいろな国とかいろいろな事例で検証されていますので、現在は仮に技術がなくても、経済的な措置を入れることで将来新しい技術を引き出す力がある。ですから、経済的な措置とは言いますけれども、これは技術と無関係にただコストを節約するだけの効果を狙っているのでは決してないという点も認識していただければと思います。
 以上です。

【横山委員】 私もこれまでの議論とかここにあるモデルの4つを見て、産業界だけに何かを要求しているようなことは全くないと思います。ただ、モデル1が確かに自主的取組強化モデルということで産業界の自主行動計画を頭に描いているから、自主的取組強化となると産業界に焦点を合わせたものととられるかもわかりませんけれども、中身について見れば民生、運輸とかその辺のこともきちんと書いてあるわけで、私は寺門委員の先ほどの発言も被害者意識がかなりあり過ぎるのではないかと思います。
 ここまで来た以上、自分たちの主張ではなくて、やはり全体的に温室効果ガスを削減していくのにどうしたらいいか。京都メカニズムとかシンクに余り頼らずに温室効果ガスの削減をどうするかという観点に立って議論していくべきではないか。先ほどの寺門委員の意見を聞いているとこれまでの4回の委員会が全く無に帰して、新たに最初から経済界に負担を増すのはおかしいのではないかということで非常に変な議論になるのではないでしょうか。
 以上です。

【塩田委員】 私が申し上げたいのは今の寺門委員と浅岡委員の関係のことではないんですけれども、よろしいですか。
 それよりも先ほど事務局からご説明があったことに関連してかなり基本的なことだと思うんですけれども、この4つのモデルはそれぞれの主体のCO2排出量を確認するという前提で行われているわけです。あとは税制でも協定あるいは承認でもいいんですが、一定の約束をした人に減税することに関しては何に着目して減税が行われるのかということをどういうふうにイメージしておられるかを伺いたいんです。なぜそういうことを伺うかといいますと、仮に企業と協定ができるとして一定の設備ができれば、その設備を使用した操業を行えば一定の排出量が出るという前提で、その量が減っていれば多分その協定は認めることになるのではないかと思うんです。その場合に企業の操業の度合いとか、そういう問題がありますが、そういうことはどうなってくるのかということです。
 税制は通常、税の軽減は例えばこういう場合には設備に着目して認めるような場合が多いのではないかと思うんですけれども、その場合には設備に着目して、その整備の操業ということは考えなくていいのか。その辺については排出量の確認を具体的にどんなイメージで考えておられるのかということを4つのモデルを議論する前にお伺いしておきたいと思ったわけです。
 以上です。

【安原委員長】 各論ですから、後に回します。

【猿田委員】 これは西岡先生などがおやりになったのかと思いますが、一昨日(4日)の朝日新聞が99年度の排出量を出しておられます。3ページにグラフがございますけれども、98年が11億8,760万t、それが99年に12億3,500万tという数字をIGESの方でご発表になっておられるわけで、前年比で4%増加していることになってきているわけです。そうしますと、90年比では既に9.8%も増えてしまっている。トータルでいきますと6%減となると、15%以上削減しなければいけない。そういう中で今どの部門がどうのというときではないと思うんです。とにかく減らさなければいけないときに来ているわけです。先ほど当初に問題になりました吸収源の3.7%という問題もありますけれども、現時点で見れば大変な量を減らしていかなければいけないわけであります。いろいろなことを活用して排出量取引で少しでも賄うとしましても、基本的にはそれぞれの部門で減らしていかなければならない。
 私も今までいろいろ発言させていただきましたけれども、決して産業部門をいじめるという意味で発言したつもりはないんですが、3ページのグラフを見ましても産業部門の排出量が絶対量として多いわけです。民生部門など、特に運輸関係も産業活動に伴う輸送量の増大もあると思います。そういう意味でとにかく積極的にどこまで減らしていくのか、それに対してどういう手法があるのかということで24から27ページに4つのモデルが出てきているわけです。
 この中で一つ、例えば27ページのモデル4に【大規模】「協定の締結又は義務的な計画策定」とありますけれども、こういうところでも大規模という表現が出てきている。では、中小企業はどうなのかということになるわけです。その辺は18ページの説明の中で「産業部門は主として大規模排出者を、民生・運輸部門は主として小規模な排出者を想定している」という説明はあるんですけれども、この辺はいわゆる群小煙源に対してもそれなりの対応が行われることをわかるようにしておいた方が、大規模排出者だけが協定をやらなければいけないのかということにもとられかねない。前の方を見ればわかるんですけれども。
 いずれモデル3になるのかモデル4になるのかわかりません、どれが最終的に決められるかわかりませんけれども、いずれにしてもただ単なる自主行動計画――これは産業界だけではなくてほかのところでもやっているわけですが、それに対してどういう担保がされるのかということが大事。最終的に実行されなかった場合に「ごめんなさい」で済むものではないわけで、その辺は先ほど税制上の減税はやめて、その後は普通に戻しますというご説明もありました。そういう意味で今いかに積極的に取り組まなければならないかということをよく理解されるように、そのような方向で進めていかなければならないのではないかということだけ申し上げます。

【佐和委員】 確かに皆様方のご意見にありましたように、24ないし25ページから27ページにかけてのモデルはかなり改定なさった方が望ましいと思います。
 例えばモデル1のときに先ほど寺門委員が京都メカニズムを利用するのは産業だけか、下は何もしないではないかとおっしゃったわけですが、確かにこの図が見ればそういう解釈をされても仕方がないわけです。しかし、仮にモデル1のケースで実際に達成できなかった場合は何となくモデル1のコンテクストからすれば、つまり民生や運輸が非常に増えて結果的に達成できなかった場合には恐らく政府が税金を使って排出権を買ってこなければいけないわけです。そうなりますと、税を負担しているのは国民だという意味ではそれぞれ民生に責任をとってもらいたいということにもなるわけですが、この図からはそういうことが読み取れないわけです。読み取れるように書き換えていただきたいと思います。
 もう1点は天野先生が先ほどおっしゃったことに関連するわけですが、一つ重要な問題としてCOP6で最終的に結論が得られなかったからその辺が曖昧で、今すぐこのモデルの中にそれを反映させることはできないわけですけれども、京都メカニズムはなかんずくクリーン開発メカニズムのようなものにかなり早々と手をつけなければいけないわけです。それを例えば企業がどんどん積極的にやり、そして自らの協定のようなものが守れなかったときに、CDMで得たクレジットでそれを補てんすることを正当とみなすか否か。つまり、ここで遵守するとかしないという議論があったわけですが、そのときに安い中国に投資して、そこで得たクレジットを自らの削減分にカウントして実施しました、余ったから企業にも分け与えるということをも対策の中に含めるかどうかという重要な問題になってくると思うんです。
 この図からだと、2008年以降ということで今申し上げましたようにCDMを積極的に活用することは想定されていらっしゃいらないようですけれども、私が最初に申し上げましたようにプロンク提案の線で仮にCOP6が6.5%で決まるとすれば、せっかくの機会ですから使わないと損ということにもなるわけです。しかも恐らくは確実だと思うんですけれども、シンクが3.7%というのは絶対に不可能だと思いますので、それを補うという意味でもCDMの積極活用ということで、そうすることを前提として考えるとこのモデルは相当改定されなければならないと思います。
 それから、一番最後の31ページに6%削減の内訳についてというのがございます。本小委員会では大綱に示された内訳を前提として検討を進めてきたと書いていますが、これを前提として議論してきましたか。シンクが3.7%ということはほとんど議論もされなかったと思うんです。ですから、これは嘘だと思うんです。大綱にあえてCO2は0%削減が精一杯、だから0%までやれば十分だという議論もされた記憶はございません。ですから、この辺は修正願いたいということ。
 最後のところに書いてあることは6%目標の内訳についても最新の情報を踏まえて総合的に検討することが適当であり、中央環境審議会においてもこうした検討を行うことが必要と考えられる。これはいいとしても、この辺は私自身の記憶からして違うことが書かれているような気がしますので、ご訂正いただきたい。
 以上です。

【安原委員長】 ありがとうございました。

【宮本委員】 今の佐和委員の話に関連して申し上げますと、我々は今現在CDMで例えばインドネシアとかオーストラリア、ああいうところに植林しようと思っているわけです。しかし、もしやっておいても京都メカニズムが発効してからでなかったら、その量がカウントできないということに多分なるだろうと思うんです。今、みんな抑えているわけです。だから、先ほどの25ページに京都メカニズムを2008年から以降と書いたら、私どもは絶対にそこまでやりません。私も持っているプロジェクトが5つぐらいあるんです。金額もはっきりしているんです。それをやっていないんですから。そういう現実があるわけだから、こういうことを書くことが本当にいいのかどうか。逆に考えてみれば、COP6が決まっていないのに具体的な内容をここで決めてしまうことは内外ともに影響が非常に大きいということです。そういう方向はいいけれども、具体的なプロジェクトの内容をここに盛り込むことが果たしていいのかどうか。
 これは国内もそうですけれども、海外の戦略も日本に対して関わってくると思うんです。日本は確実に外国戦略に負けると思います。だから、そういうことがあるにもかかわらず日本はまじめにやりたいと思うけれども、やったもの全部が死に金となったら企業はそれこそ株主代表訴訟の対象になるんです。そういうことまでなっているから、企業は今、全部抑えていると思います。やっているところは非常に少ない。我々は確実に抑えています。そういうことを勘案の上ひとつ考えていただきたいと思います。だから、具体的内容は書かない、方向としてはいいということで私は言っておきたいと思います。

【安原委員長】 別にここで具体的な政策パッケージを決めてしまうということではなくて、あくまでまだモデルです。しかも4案をお示ししているわけですから、これを参考にしていただいて、これからどう絞るのか。あくまで参考のたたき台案でございますので、そういうものとして受け止めていただきたい。それにしましても、できるだけリファインしていい案を仕上げなければいけないと思うんです。

【浅岡委員】 今の宮本委員のような言われ方をなさいますと、環境税などを取り入れているヨーロッパの国々はみんな交渉戦略で負けるますと言っているようなことになるわけです。そういうものではなくて、今我々が議論しているのは、基本的に排出削減しなければいけないと猿田先生がおっしゃった中のどうしてもやらなければいけない部分をはどのようにうして今から準備しますかとのいう議論をしているわけです。、全部を先送りし続ければていて、そのツケを負うのは国民であり、やはり事業者なんです。その対策を先延ばしにすることによって逆に株式代表訴訟の対象にもなりかねないこともあるということを頭に置く必要があります。いていかれたらいいと思いますし、再開COP6の結果を待ってとおっしゃいますが、ここで日本の国内対策の議論にどうして吸収源についてこれしかないということ3.7%を前提にしなければいけないのですか。ここはここで議論していくことが本小委員会来の役割ではないかと私は思います。

【宮本委員】 今の話はヨーロッパとアメリカと日本が同等の努力をしてここまで下げてきたというなら話はわかります。日本は今までヨーロッパとかアメリカに比べて相当大きな努力をして、金もかけてここまで来ているわけです。このレベルを全然評価しないで議論されているところに問題があるわけでありまして、例えばGDP当たりのCO2発生量にしても、例えば鉄鋼生産量当たりのCO2発生量にしても、例えば電力キロワットアワー当たりの発生量にしても、自動車1台当たりの数発生量にしても相当低いレベルになっているわけです。このレベルをベースとしてと外国がやっているという対策を議論することは世界全体の金融の円滑な方法からして非常に不合理だと思うんです。本当を言えば非常に非効率的なところに金を出させるのが経済メカニズムからも考えて一番効率的なんです。そのことを放っておいて日本はやらなければいけないといってうようにやることは国際経済メカニズムからして間違いであるということを言っているわけです。そういうことです。

【浅岡委員】 1点いいですか。80年代にこれだけ削減努力した、だから今は日本だけゲタを特別に履かせてほしい、長官からして日本はみんながそういうふうにCOP6でもずっと言い続けたわけです。ありとあらゆるところで同じ議論をなさったわけです。80年代にそうした努力をされたからこそ日本は途上国から若干の先進国入りをして国際競争力をつけたのではないですか。これから日本が資源もなく、財政的にもそんなに基盤があるとも言えないような状況の中で将来どうしてやっていくのか。私は今、産業界の方が本当にこれからどうするのかということを考えられたときに、後ろがどうだから環境保全型技術開発を先行すべきで、後々日本が損をする吸収源に頼って今おまけしてちょうだいという今のような話交渉姿勢にはならないと思います。

【宮本委員】 負けてくれと言っているのではないですよ。我々は世界の国際経済メカニズムから考えて一番合理的な方法をや採ることが世界のためになる。今の地球温暖化というのは日本だけではないんですよ、ヨーロッパだけではないんですよ、発展途上国だけではないんですよ、世界なんですよ、グローバライゼーションなんですよ。そのことを考えることが一つ。
 もう一つは、私は産業構造の転換というメカニズムをよく勉強してほしいと思うんです。前にも佐和先生が産業構造が転換することによって消費構造が変わり、CO2構造が変わるということをおっしゃいました。これは非常にそのとおりだと思うんです。そういうことをやってきたのが日本であって、アメリカはそんなことをやっていないわけです。今そういうことを議論すべきであって、だからこそ私は日本を弁明してくれとか負けてくれと言っているわけではなしに、そういう合理性を堂々と外国で論戦を張ることが結果として世界全体のCO2削減に貢献する。これがSO2とかSOX、NOXであれば話は別だと思うんですが、CO2という世界的な問題だから世界的レベルで物事を考えるべきではないかということを申し上げているわけです。
 以上です。

【浅岡委員】 先ほど産業構造の転換については日本は欧米に比べて、の製造部門の排出量がほかの部門よりもに比べて相対的にどれほど大変大きいのかということを重ねて申し上げましたので、もう繰り返しません。アメリカとの競争を言われるのであれば、圧倒的にアメリカに有利な吸収源の考え方を日本が先頭を切って主張する理由がわかりません。

【安原委員長】 それでは、先ほど残っておりました塩田委員の発言に対しまして何かコメントがございましたら。

【環境保全対策課補佐】 資料の8ページをご覧になっていただきたいんですけれども、直接のお答えをいたす前に<環境税>という部分が中段にございます。
 8ページ、2番目の段落になお書きがございます。なお、課税対象としては炭素含有量とするのか熱量も併用するのか、電力をどのように扱うのか、CO2以外の温室効果ガスをどのように扱うのか等について今後の検討課題としている。まずこう大きく申し上げておりますが、その中でも当然にして二酸化炭素については何らかの形で課税対象となるというのは前提であろうかと思います。その際には、設備の用量と申しますよりは実際に二酸化炭素を排出した、あるいは電力を消費された、あるいは熱量を使われた量を念頭に置いております。これは幸い化石燃料の使用量なりメーターで非常にかちっと定量的に測れるものであろうと考えております。

【天野委員】 今のやりとりですけれども、むしろ自主取組というか、自主協定で産業界と政府が合意するときに絶対量の削減で合意しなければいけないのか、あるいは集約度とか原単位をクリアすればいいという合意をすればいいのかというお尋ねではなかったかと思うんです。これは先ほど私が言いましたけれども、例えばECなどで検討するときに自主取組というか、自主協定をそういった業界が従来やってこられたやり方をそのまま生かしてやるとすれば、原単位の目標を掲げているところが非常に多い。それと絶対量で出しておられるところをどういうふうに整合するのかという議論がされまして、ECの場合には絶対量にそろえるべきだという提案をしているんです。
 ところが、先ほどから問題になっております英国の気候変動税で考えられているいろいろなものがありますけれども、自主取組も含めるということですが、その中で考えられているのは現行のものがみんな挙がってくるんです。私はちゃんと覚えていないんですけれども、原単位でやっているところも総量で目標を立てているところと食い違いの余りないような補完的な措置を入れて、目標はそれでつくるというやり方をしていたと思うんです。その辺は今ちょっと覚えておりませんが、そういう議論はちゃんとやっているわけですので、それも調べるなり、あるいは我々として独自のものを考えるなりということをしていただけたらと思います。

【安原委員長】 その点に関して私からも申し上げたいんですが、11ページに10個のポリシーミックスの要素がございます。自主取組を活用する中で協定を結ぶ、あるいは義務的な計画策定をするという案が並んでおりますが、これはいずれも税を含まない自主取組の透明性とか実効性とか信頼性を高めるための協定ないし計画でございます。もう一方、ここでは緩和措置と書いていますが、環境税のところで税制の中で承認計画制度みたいなものが取り入れられて、そういう計画をきちんとやった場合にはこれだけの減税をしますというのは例えば英国が今検討しているような制度があるわけです。だから、「計画」という同じ言葉が使われておりますが、税絡みのものと税以外の本来の自主的取組の中身をいろいろな観点から向上させるためのものを分けて考えていただきたいのでございます。

【天野委員】 私の説明が舌足らずでしたが、先ほどの説明は自主取組と排出量取引を組み合わせるときにグランドファザリングを与えるか与えないかのときにそういう取組をしているところにはグランドファザリング、それ以外のところはオークションという優遇を与えるか与えないかのところで取組をどう入れるかという議論です。今日のご提案ですと、日本の場合には排出量取引ではなくて環境税を導入するときに優遇措置を与えるかどうかで今のようなことを考えていらっしゃる。ですから、どちらも環境税とか排出量取引と絡んだ話ですので、自主取組そのものだけの議論ではない。それだけ補足させていただきたいと思います。

【浅岡委員】 26ページにグランドファザリングというのを当然のように書いていらっしゃいますけれども、これでいいんでしょうか。

【天野委員】 今まで実際に使われた例ではグランドファザリングが圧倒的に多いんですが、先ほど私が紹介しましたEC委員会の意見ではしばらくの間こういうものを新しく導入するときにはグランドファザリングが必要であろう、しかし、長期的にはオークションの方に漸進的に移行していくのが適当だろうという意見も付け加えてあります。ですから、そういう意味で両方の考えがあって、新しい措置がドンと入ってくることによって大きな影響が出るのをどの程度緩和するか。その点をどう判断するかという政策判断だということでございます。

【宮本委員】 大分細かい話になってまいりましたので細かい話になりますが、よろしゅうございますでしょうか。
 19ページの一番最後は論理的にどう説明するのか教えてほしいんですけれども、新エネルギー原単位を規制せよというのは原子力を除いた例えば太陽光とか風力、LNGとか油とか全部を入れた発電量に対するCO2の基準をここで規制せよということですね。そうすると、新エネルギーというのはLCAから言えば出てきますけれども、太陽光とか風力はCO2を出しません。にもかかわらず、なぜ新エネルギーを含めているのか、その理由は何ですか。
 私はこれが全体としてCO2を発電電力量の中で減らせという形で、総発電電力量当たりで規制せよというなら話がわからないわけではない。しかし、原子力を除いてやれということはCO2対策として原子力は無効であるということなのか。それはそうではない、原子力は反対が多いから、それを入れたら問題だろうと浅岡先生はおっしゃると思うんですが、それはまた話が違うではないか。それはそれで国の政策として原子力が要るというなら、CO2を削減するという観点からすれば原子力を入れることも効果があるのだったら、新エネルギーもその効果を狙ってここに入っているんでしょうね。そうすれば全体を入れたものにすることがいいのではないかと私は思うんですけれども、いかがでございますか。

【安原委員長】 これは逆だと思います。要するに、できるだけ新エネルギーによる発電をやってもらうように誘導するにはどうしたらいいか。ですから、新エネルギーのウエートを下げるというのではなしに、むしろ少なくとも一定の水準以上に上げていってほしいというための規制です。

【宮本委員】 そういうことなら新エネルギーの利用を規制するとか目標をつくるのであって、新エネルギーを入れてのCO2を減らせというなら原子力も入れた量でいいのではないかということです。

【安原委員長】 だから、全体発電量に占める新エネルギーのウエートをどんどん上げていってもらうという規制です。

【宮本委員】 これはそういうことでございますか。

【安原委員長】 そういう意味だと思いますが。

【環境保全対策課補佐】 少し補足させていただきます。
 素直に考えると、発電量当たりのCO2を原単位規制するというのは非常に素直な発想だと思います。そういう規制が導入された場合に何が起きるかを考えてみますと、規制された側としては原子力をいろいろ入れていこうとか新エネルギーをいろいろ入れていこうという対策を講じることによって原単位規制を達成していくことになろうと思います。
 しかしながら、原子力発電というのは一つはエネルギー政策の中できちんと見通しが立てられ、長期的な観点から導入されていくものですから、温暖化の政策上の判断から増やそうとか減らそうとか任意性が高いものではないであろう。あるいは、今般の審議会の中で原子力発電があくまでもBAUとして位置づけられていて、大綱をつくる際においても温室効果ガス対策に資するものではあるけれども対策そのものではないと整理されていることを鑑みれば、実際に温室効果ガス対策としてある程度のフレキシビリティがあって一生懸命増やしていっていただける部分、そういう新エネルギーを増やしたときにそれが敏感に現れてくるような指標をもって規制していくという発想でここでは新エネルギー原単位を入れたものであります。

【宮本委員】 筋はわかりますけれども、これから一生懸命努力しても新エネは2010年とか2020年ぐらいに2%か最大3%なんです。問題はそれでもってCO2の排出原単位規制量に引っかかってくるほどの量、有効数字になるのかどうかです。そういうことがどうなのか。

【安原委員長】 今後の技術開発の動向にもよりますが。

【環境保全対策課補佐】 これは名前が大変誤解的であった部分があるかもしれませんが、本文にございますように新エネルギーや天然ガスを積極的に導入する観点と考えておりまして、天然ガスの導入につきましては一般的に言われています太陽、風力とは別の可能性があるのではないかということを期待しているところがございます。

【宮本委員】 もう一つ。今現在、発電電力量の増加はものすごく少ないんです。そうしますと、今のLNGの量をどんどん拡大するほど電力会社にはインセンティブがないんです。今までの契約を例えば減らそうかという方が多いのであって、増やそうという方向は非常に少ない。これが現実ですよ。今までアワーがほとんど伸びていないんです。そういう意味からすると今ここで書かれてもそのことが本当に実現できるかどうかは非常に問題でありまして、それでも増やせといったら全部を天然ガスに転換しなければいけない。そうすると、設備を変更しなければいけない。設備を変更すれば、それだけのコストがかかる。資本費が増える、それでもって電力料金を下げよということは不可能なんですよ。そういう現実も踏まえて書けば、この項目は電力会社の自主性に任せるべきであって、書いていただかない方がいいんですけれども、そういう現実の姿をよく周承知していただきながらこの原単位規制数字について入れるか入れないかを検討いただきたいと思います。これはエネ庁もそう言うだろうと思いますけれども、我々からするとLNGの契約量を増やすことは今現在ほとんどできないで、減らす方向でいこうかという感じの方が多いんです。電力の先行きには非常に悲観的であります。

【安原委員長】 今の点については事務局とよく連絡をとっていただいて、納得がいくような表現に工夫したいと思います。
 皆さんもまだご意見がいろいろおありだと思いますので、その点につきましては事務局の方に文書で連絡していただきたいと思います。

【浅岡委員】 今の宮本委員のようなおっしゃり方をとすると、どの対策もそれぞれできない同じことになってできなくなると思います。自然エネルギー、新エネルギーの供給量はわずかではないかといっても、そのわずかを倍増やすることすらできないでいて次の将来はどうするんでしょうか。今はわずかしかないかもしれないけれども、実際のところは100倍にもできなるかもしれない。それを大事にしていっていただきたいと思います。
 もう1点、協定について先ほど、日本的な言い方をすれば事業者が計画を政府に出して、それを政府が承認するという形になるのではないかというお話がありました。このような非常に官優位尊民卑的な発想をずっと残すのはこの際おやめになって、全体を変えていこうということであれば、対等当事者間で的に契約関係を結ぶことんでいこうというふうに発想を変えていただけることをお願いしたいと思います。

【安原委員長】 それではそういうことで、まだご意見のある方は事務局の方に出していただきたいと思います。
 予定の時間が近づいているんですが、議題がもう一つございます。資料3-1と3-2でございます。今、議論していただきましたものをこの一番最後に入れまして、そして全体として企画政策部会に対する報告書にまとめたい。だから、今のパッケージ以外の部分でこれまでいろいろ議論していただきましたものを報告書の形に整理したものでございます。時間がなくなりましたので、これにつきまして事務局の方から簡単に説明していただきまして、それをお聞き取りいただきました上で、これに対する意見も文書で事務局の方にお出しいただければと思います。

【地球温暖化対策推進室長】 それでは、資料3-1に沿って簡単にご紹介いたしたいと思います。
 小委員会の目的は先ほど委員長からご発言があったとおりでございまして、1の(1)(2)に書いている事項を検討して、今月までに、企画政策部会に対して報告を行うことが設置の目的でございました。
 そして、その下に書かれておりますように議論の経緯としまして、ポリシーミックス、推進メカニズム、さらには情報システムの在り方等について議論していただいたわけでございます。
 そして、2ページにまいりまして報告書のとりまとめの方針ということです。これも先ほど既にご紹介がありましたけれども、企画政策部会に報告して、さらには広く国民の皆様にこれを公表して意見を伺う機会を設けたいと考えております。
 また、2番目に書いておりますように、事務局から提出した資料と、小委員会の議論を一つのセットとしてテーマごとに報告するということにいたしまして、各委員から提出された資料についても参考資料として添付する予定でございますし、出された意見についてもこの報告書の要所要所になるべく客観的にまとめたつもりでございますし、主要な論点については私どもの方で論点をまとめたものをそれぞれ配置していますので、そういった点もご覧いただければと思っているところでございます。
 最後の報告書の構成でありますけれども、今日のご議論を踏まえた上でポリシーミックスによる政策パッケージのモデルについての提案を第4章でさせていただくということでとりまとめをしていきたいと考えているところでございます。
 以上です。

【安原委員長】 それでは、今申しましたようなことでお願いしたいと思います。予定の時間もまいりましたので、今日はこのぐらいで審議を終了したいと思います。
 次回の会合でございますが、12月11日(月)午前10時から12時半を予定いたしております。場所はこの部屋でございます。最終回でございますので、ぜひ万障お繰り合わせの上ご出席を賜れば幸いでございます。
 事務局へのご意見の提出でございますが、整理の時間も必要になりますので、誠にタイトで申し訳ありませんが、明日7日の15時までに事務局に文書でお出しいただければと思います。無理なお願いで恐縮でございますが、よろしくお願いいたします。

【環境保全対策課補佐】 一つお願いでございますが、ご意見をいただく際には事務局に対する修正のご意見と、会議の席上で配付することを念頭につくられているご意見があろうかと思います。その辺はご指示いただければ事務局の方で仕分けをしたいと思いますので、あわせてご連絡いただけますようにお願いいたします。

【安原委員長】 それでは、次回が最終になりまして報告書のまとめをやりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日は長時間にわたって熱心な討議をありございました。閉会といたします。