第2回地球温暖化防止対策検討小委員会会議録

 

1.日    時  平成12年9月28日(木)14:00~16:00

2.場    所  環境庁別館共用第11、12、13会議室(7階)

3.出 席 者
(委 員 長) 安 原 正
(委    員) 浅 岡 美 恵
 猿 田 勝 美
 塩 田 澄 夫
 西 岡 秀 三
 松 野 太 郎
 横 山 裕 道
佐 竹 五 六
佐 和 隆 光
寺 門 良 二
平 田 賢
村 上 忠 行
(事 務 局)小島長官官房審議官
浜中地球環境部長
一方井地球環境部企画課長
竹本地球環境部環境保全対策課長
石飛地球温暖化対策推進室長
後藤企画調整局調査官
塚本地球環境部環境保全対策課補佐

4.議    題
  (1)6%削減目標達成のための仕組みについて
  (2)ポリシーミックスについて
  (3)その他

5.配 付 資 料
  資料 16%削減目標達成のための仕組みについて
  資料2-1 IGESオープンフォーラムにおける推進メカニズムの比較
  資料2-2 各種推進メカニズムの比較
  資料2-3 ポリシーミックスのたたき台
  参考資料1 各種地球温暖化対策の進捗状況に係る参考資料
  参考資料2 諸外国における取組状況(その2)
  参考資料3 1998年度の温室効果ガス排出量について
  参考資料4-1 地球温暖化対策推進大綱の進捗状況及び今後の取組の重点
  参考資料4-2 地球温暖化対策推進大綱の進捗状況及び今後の取組の重点(概要)

6.議    事
【安原委員長】 それでは定刻を少々過ぎましたので、ただいまから「地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会」の第2回会合を開催したいと思います。
 まだ何人かの委員がお見えになっていませんが、間もなくお見えになると思いますので、始めさせていただきます。
 皆さん大変お忙しいところを今日はご出席をいただきましてありがとうございました。
 冒頭ちょっとお断りしておきますが、もう御承知のとおりこの会合は前回同様中央環境審議会のルールに基づきまして公開といたしておりますので、お含みおきいただきたいと思います。
 それでは、本日の資料の確認を事務局からお願いいたします。

【事務局】 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 まず、資料の1番目といたしまして、6%削減目標の達成に向けた課題でございます。議事次第の方では若干変わっていますけれども、6%削減目標の達成に向けた課題が資料の1番目でございます。
 資料の2-1といたしまして、IGESオープンフォーラムにおける推進メカニズムの比較ということで、西岡委員より提出いただいている資料をつけてございます。
 もう1種類ですね、資料の2-2といたしまして、推進メカニズムの比較に関する資料をもう1種類つけさせていただいております。
 資料の2-3といたしまして、ポリシーミックスのたたき台ということで資料を一つつけてございます。
 それ以降はですね、参考資料として5種類の資料を用意しております。参考資料の1番目が、各種地球温暖化対策の進捗状況に係る参考資料でございます。
 参考資料の2が、諸外国における取組状況、前回にも説明させていただきましたが、その2番目のものでございます。
 次が、1998年度の温室効果ガス排出量についてでございます。
 参考資料の4-1でございますけれども、地球温暖化対策推進大綱の進捗状況及び今後の取組の重点でございまして、参考資料の4-2が先ほどの資料の概要版ということになっております。
 資料の方は以上でございます。

【安原委員長】 資料はよろしゅうございますか。何か不足がございましたら事務局の方に申し出を願いたいと思います。
 それでは、議題にありますように、第1番目は、6%削減目標達成のための仕組みについて。これにつきまして事務局から説明をいただき、質疑を行いたいと思います。続きまして、ポリシーミックスについてということで、これも事務局よりご説明をいただくことになっています。
 きょうの予定は、そこにございますようにおおむね16時までということでございますので、ご協力をよろしくお願いいたします。
 では、早速審議に入りたいと思います。議題1の資料につきまして事務局から説明をお願いいたします。

【事務局】 それでは、座って失礼でございますが、説明をいたします。
 議題1の6%削減目標達成のための仕組みについてという議題に対しまして、今日用意いたしましたのは資料1でございます。6%削減目標の達成に向けた課題ということで、その仕組みを提示するまでの前提としてどういう課題があるかということを、これまでの企画政策部会、そして、そのもとに設けられた検討チームの検討結果、そういうものも踏まえまして、いま一度ここでその課題を整理してご説明を申し上げるという趣旨でございます。
 それでは、両面刷りになっておりますが、表紙の裏、1ページをごらんいただきたいと思います。

 これは地球温暖化対策推進大綱を定めたときにはまだ炭素換算でありましたので、それに倣いまして、この資料に限りまして炭素換算の数字で示しておりますけれども、ここには、1990年からの6種類の温室効果ガスの総排出量を炭素換算にして示したものでございます。この表題、地球温暖化対策推進大綱策定時の見積もりということでございますが、この大綱策定時にどういう見積りをしたかということにつきましては、このグラフに則して申し上げますと、1995年、96年あたりのデータ、ここがあったわけでありますけれども、これがそのままの標準ケースとして延びた場合、つまりこの図の中ではBAUラインという点線で示したラインですけれども、このように何もせずそのときの対策のままでは増加の一途をたどるだろうという標準ケースを想定して、そして、2010年前後の5年間で削減目標を達成するためにはここの矢印に示したような削減量が必要です。そして、その削減量はそれぞれ部門別に割り振りますとそれぞれこういう値ですということがこの時点で見積もりがなされたわけであります。
 1点、ちょっとここの図は間違いがございまして、一番右側の矢印の右側に「排出量を90年レベルに削減」というふうに書いておりますけれども、これはエネルギー起源に限ったことで言えば90年レベルに削減ということになりますが、もちろんこの矢印、ごらんいただいたらわかるように、90年よりさらに6%削減されたところまで矢印が到達しておりまして、この矢印はエネルギー起源のCO2の削減、さらにエネルギー以外のCO2、さらに5種類の温室効果ガス、すべての削減を見積もったらこの317という数字に到達するということで、若干ここは説明不足、誤解を与えることがありまして申しわけございません。訂正させていただきます。
 そこで、このグラフで申し上げたいことは、上の四角のところに書いておりますけれども、今申し上げましたように、BAUラインからの削減量、この矢印の分だけ削減するということは決まっているわけでありますけれども、その目標に到達するための具体的な道筋は決まっていないということで、これは1998年、これはつい最近実測値の排出量データを公表したわけでありますけれども、そこから2008年に至るまでのこの空白のところでございます。ここはどういう道筋をたどって削減を進めていくかということについては、量的な道筋を具体的に決めているわけではないのであります。したがいまして、太い矢印で書いたようなものもあれば、細い実線の矢印が書いております。これは仮に入れたものでありますけれども、この間、どういう対策をいつとるかによってこの矢印がどういうふうに進んでいくかということはさまざまなケースがあり得るわけでありますけれども、こういうところで、最終的に2008年から2012年まで達成するために、やはりこの間が空白で何もわからずに突然2008年から数字があらわれてきて、それで削減量が達成したかどうかを見るということでは、場合によっては対策が手おくれになってしまう可能性もあるということで、この間、やはり具体的な道筋を何らかの形で決めていくということが必要ではないかという問題意識を提示したものでございます。
 次に、2ページ目をごらんいただきますと、この京都議定書に定められました「6%削減目標とは?」ということは、これは、第1約束期間(5年間)の年平均を90年比で94%にする。これは当たり前のことでございますが、それで、この2ページの下に二つのグラフがございます。これは、ごらんいただきますと、1ページで空白であった部分に仮に非常に単純化した仮定の例を置いた場合のグラフでございます。上のグラフは、その右の四角にも説明がありますけれども、仮に97年ぐらい、これは最近では最も排出量の多かった年ですけれども、と同水準に抑制する。もちろん単純にいけばBAUラインのように増加するという予測があるわけですけれども、仮にこの同水準でずっといくという仮定のケースを考えてみた場合であります。そうしますと2007年までずっと同じ水準で推移して、そこから、2008年から2012年までの5カ年間で94%の平均値にするということになりますと、非常に急な階段状の削減段階をたどっていかなければいけないと。計算いたしますと、それが2008年から毎年、前年度比で6%、2,000万トン、炭素換算ですけれども、の削減が必要ということで、非常に急激な削減が求められてくるということを実質的にあらわしたものでございます。
 一方、下のグラフは、1999年以降に階段状に少しずつ減らしていくという対策をとったという、単純化した例であります。これでまいりますと、2007年までも少しずつ削減してきているわけでありますので、2008年から2012年までは、右の四角に書いておりますように、前年度比1.4%の削減が必要ということになりまして、非常になだらかな階段になると。これを対比して示したいがためのこのグラフであるわけでございます。いずれも6%の削減ということは、この一番右側の5本の黒いグラフは達成しているわけでありますけれども、その達成の仕方が大きく異なっているというわけでありまして、ですから、どちらがいいかどうかと、また、もちろんこの中間に入るのだろうとは思いますけれども、どちらを目指すべきかということについてはやはり十分検討していかなければいけないと。そうすると、やはりこのままずっと推移するというグラフよりも少しずつ早めに減らしていくということをした方が総体としては削減の進み方が円滑に進むのではないかと。また、その他のさまざまな影響がかなり抑えられていくのではないかということが予想できるわけでありまして、そういう意味で2008年までの排出量をどのようにして推移させていくか、削減を進めていくかということが非常に重要になってくるというわけでございます。
 次の3ページをごらんいただきたいと思います。
 そして、この削減目標、94%まで削減するという道筋、どのような道筋を選択すべきかということで、これは前のページのグラフと重複いたしますけれども、今の削減努力を継続して、仮に97年度レベルの水準を維持し続けたとしても約束期間には非常に急な階段になってしまうということで、かなり厳しい対策がこの5年間に行われなければいけないということになることが予想されます。したがいまして、それよりもなるべく早く削減に着手するということ、実質的な削減に踏み切っていくということをやることによりまして、この影響、これは社会的、経済的なさまざまな影響が伴うおそれがあるわけでありますので、そういうものを最小限に緩和することができて、また実現性も高まってくるのではないかということがこのグラフの比較から見えるのではないかと考えるわけでございます。そして、そういう全体的な考察の上に立って、2008年に向けて安定的に望ましい排出量に到達するためには、そして、2008年以降、5年間で6%の削減を着実に達成するためには、やはり早期に具体的な毎年の排出量の道筋を示していく。何らかの形でこういう目標でやっていこうという設定をして、それに沿って対策を進め、またその対策が順調にいっているかどうかという見きわめをしながら、場合によっては方向修正をしていくというような道筋を2008年までも持つ必要があるのではないかという問題提起でございます。
 次に、4ページにまいりまして、そこで、毎年度の排出の目標量を達成するための基本的な考え方を示したのがこれでございます。
 この下の方にらせん状の矢印が書いてございますが、これはISO14001の環境マネージメントシステムの規格に示されている図をほぼそのまま引用したものでございまして、多くの方々にとってはなじみの深い図であるわけでありますけれども、通常これをPDCAサイクルというふうに言っております。プラン・ドゥ・チェック・アクション、こういう4つの要素を経ながらあるシステムを継続的に向上させて、そして、そのシステムから生み出される成果、パフォーマンスを継続的に改善させていくというのがこのマネージメントシステムの考え方でありまして、やはりこの排出目標、排出削減を計画的に進めていくにもこういった考え方が役に立つのではないかということでございます。そして、これは国全体の目標でありますけれども、国全体で達成したかどうかということを見る前に、さらにある程度グループ分けをして、そのグループの中で管理をする。目標量の管理をし、また対策の進行管理をする。そういったものがやはり概念的に必要ではないかと考えておりまして、上の四角の方ではユニットと呼んでおりますけれども、こういうものを概念的に設置して、そしてそこでPDCAのサイクルを繰り返すということがこの対策を進める上でも有効ではないかということです。このPDCAを実施しながらモニタリングの精度を高める。つまり排出量がどうなっているかということをより正確に把握するという方法、そして、その結果を対策強化へフィードバックする方法、こういったものも制度として用意するにしても、それぞれの管理グループの中で、ユニットの中でどうやったらそれがうまくいくかということを少しずつ改善していくということも求められていくであろうということでございます。
 下の4つの箱でありますけれども、まず、右上の方がPlanということで、排出削減・吸収計画をまず立てるということで、管理単位ごとに排出量、この場合には排出量から吸収量を除くという、純排出量という設定になろうかと思いますけれども、そういう目標をそこで立てて、その目標を達成するためにこういう対策が必要ですということを計画として立てます。
 そして、この提示された計画にのっとって着実に対策を推進するのが実施(Do)という右下の箱であります。このときに、その着実に推進することを促すための何らかの推進メカニズムが必要ということで、これが今後の議題の中心になりますポリシーミックスをいかに用意するかということにかかわってくるわけであります。
 それから、左下の枠にまいりまして、その対策の結果が排出量として現れてくる。それを迅速に正確に把握するということ。そして、その対策のメニューが、どの対策がどれだけの効果があったかということを的確に把握する。こういうモニタリングのメカニズムが大変必要だと。
 その結果、対策が進んでいるところは引き続き進める。そうでないところは対策を何らかの形で強化するという、対策の強化メカニズムが用意されているということが必要になってくる。これがActionに当たるということで、これを繰り返すことによって6%の削減に向けて継続的な改善をするということが基本的な考え方としてあるのではないかという案でございます。
 最後に、5ページ目をごらんいただきまして、今、左下の箱にありました排出量のモニタリング、対策の実施によって排出量がどれだけ削減できたかということを適切に把握できているか。もう一つ、対策のメニューの効果、それぞれの効果が十分に把握できているかということがこのモニタリングの非常に重要な課題になってきているわけであります。今のところ毎年排出量を出してはおりますが、これは非常に多岐にわたる関係省庁の方でおまとめになっておられる統計データ、こういったものをいろいろと集計・整理して排出量を算定しているわけでありますけれども、早いものはその当該年度のその翌年の5月か6月に出るものもあれば、1年半ぐらいたってようやく出てくるものもありまして、それぞれの統計を出すためのいろいろな背景事情があるわけでありますけれども、機動的な対策をとるということにした場合には、今の現状のままでいくと、この排出量の的確な把握、対策メニューの効果の十分な把握ということが十分できづらいところがあるわけでありますので、これをもう少しモニタリングのシステムとして短縮できないかということが課題になっております。そういうことをやりながら機動的・効果的な対策を行う。PDCAのサイクルを回していくということでやっていくことが当面必要であることでありますし、それを早期にこういう対策に踏み込むということは、2008年から12年までもそうでありますし、それ以降に想定される非常に長い道のりの温暖化対策を進めていく上でも長期的な国益につながる手法ではないかというふうに考えるわけです。そこで、そういうモニタリングの課題ということも今後十分検討しながら、一番下の楕円の中ですけれども、排出量の適切な把握をし、そして、まずは具体的な対策をどういうメニューを用意するかという計画づくりの考え方、そして、その計画を推し進めるための適切なポリシーミックスをつくる。そして、その上で排出量の適切な把握をして、さらなる削減対策につなげていくと。こういったことを対策の全体像として用意する必要があるということを示したものでございまして、以上申し上げましたような課題をこれから一つ一つ解決しながら、この全体的な削減対策の像、制度の像をつくり上げていくということが課題になっているということでございます。
 以上で説明の方は終わらせていただきます。

【安原委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に対しまして質問でも結構でございますし、意見がございましたらよろしくお願いします。

【寺門委員】 大綱を決めたと。大綱を決めたときにあるその想定をされていると思うんですけれども、それと6%というものの中にはいろいろなものがあって、その前提というのがあるはずなんですけれど、ここではひとくるみで、一応エネルギー起源はレベルというふうに書いてあるんですけど、そこら辺のところがこれは抜きになっておって、どんと下がらないといけないというようなことが書いてあるわけですね。それで、それが下にくるとそういうものも不明確になって、突然2007年からすとんすとんと下げないといけないという、危機感をあおるのはよくわかりますけれども、ちょっと極端なのではないかというふうに思いますけれどね。逆にそれでは下の方のやつが理想だというふうに言うけど、これもまた極端であってですね、だから少なくとも大綱とか何かでどういうアクションをとるということは、そのアクションというのはいつごろからその効果が出てくるというのはある程度読んでおらないとですね、もういかにも全く無策でありますと、現在は。したがってこうですというのはね、これはちょっと余りにもばかばかしくて聞けないなというのが感想なんですけれどね。これはあんまりにも無策過ぎると。何をお考えなのかというのが全く、その政府全体としてね、何を考えているのかというのは全くわからないというふうに私は思うんですが、この入り口としてはちょっと余りにもひど過ぎるなというのが私の感覚です。

【安原委員長】 どうぞ、事務局。

【対策推進室長】 全く無策という厳しい指摘でありますけど、まず、この1ページ目の右側にあります矢印ですね、これはもちろんさっきもちょっと訂正申し上げましたけれども、エネルギー起源については90年レベルに削減ということでありますが、それ以外のものにつきましても、当然メタン、亜酸化窒素、それから、他の代替フロン等につきましても、削減量は見越してそのときに見積もっておりますので、この矢印はそれもすべて含んだものということでございますので、決してエネルギー起源のものだけここに出したものではないということでございます。つまり大綱策定時にはそこまでのちゃんとした見積もりはやっているということでございます。
 それから、2点目の、確かに全く無策で、えいや、とその矢印を書いたということではひどいのではないかという指摘でありますけれども、もちろん大綱策定時には、どういう対策がどれだけ行われてどれだけの削減効果が見込めるかという過程では、それをいつごろどれだけのということはある程度の想定をしながら見積もりを立てたのが事実であろうと思います。ただしこれから、産業部門もそうでありますけれども、運輸、民生部門のように広く国民、事業者に、すべての方々を対象として削減を進めていくという上では最終的な目標年次での削減量だけを示すのではなくて、やはりその過程で、まさしく委員のご指摘のとおり、いつごろどういう対策をとる必要があるからやはりこういう対策を次にとってくださいと。また国はこういうふうにとりますというようなこと、これをすべて含めて私は道筋というふうにご説明したかったわけでございますけれども、そういう道筋をやはり広く国民に知っていただき、また、計画を策定する段階でやはり国民の理解を得るということが必要になってくるのではないかということを申し上げたかったわけでございます。それから、2ページ目のグラフは非常に極端で非現実的だというご指摘でございます。これも先ほど非常に単純化した仮定の例というふうに申し上げたわけでありまして、もちろん対策のメニューによりましては、その対策をいつ実施するか、またその対策の効果がいつ発現するかということは、それぞれの事業、対策を実施する主体のいろいろな事情を勘案して出さなければいけませんので、こんな数学的な非常にきれいな推移を示すということにもちろんなるというふうには考えておりませんけれども、どちらの方に近い対策のあり方をとるべきかということを非常に見やすく単純化するためにこういうグラフを書きましたので、もちろん現実的にこういうふうになるべきだというふうに考えているわけではございませんので、ご理解いただきたいと思います。

【寺門委員】 少なくともね、1990のところでもね、要するに表現されていないね、今交渉の段階なんでしょうけれども、そのシンクだとか、何かそういうものが、数字がここに隠れてその中におるわけでしょう。そういうものが見えないようにしてあるわけですね。だから、これは交渉だからどこに行くのかは私はよく知りませんけど、少なくともそういうものが見えない形で6%マイナスということがぽんと出てきているわけでしょう。だからそういうことは非常に、ここらは、だから我々は決めれないわけですね。国家が交渉されて決めるんでしょう。だからそういうものが消えているわけですね。何かこれをやると全部おまえたちやれと言わんばかりのことを書いてしまうというのは、これは誤解を招くのではないだろうかと。交渉の結果として、それは負ければこういうふうになりましたというのは明らかにすべきであって、そういうものがなくて、ただこうこうですというのはね、余りにもその一方的ではないかと。そこら辺はよくやっぱり見せていただきたいです。

【対策課長】 まさにご指摘のとおりでございまして、COP6に向けて現在交渉している部分がございます。シンクにしろ京都メカニズムにしろですね、そういう意味でそういうところによる部分も当然あるわけでございます。一つポイントはですね、やはりその基本方針でも明確に記されておりますとおり、無制限に当然やれるわけではなくて、一定のその限度のある中でやっていると。そういう意味では、その基本的には国内対策中心に、また京都メカニズムについては補完的、補足的ということでございまして、今ここでその数値をどうのこうのというよりも、考え方ですね、早期にアクションを起こしていく。それから平準化していくという、そういう考え方のところを整理をさせていただいておるというところでございます。

【寺門委員】 ここは幾らやっても理解できないのでね、議論がね。とりあえずここでは
 ちょっと理解できないので、これ以上やってもしようがないでしょう。

【安原委員長】 別の方に……。

【佐竹委員】 今の寺門委員のご質問に関して言えばですね、確かに論理的にはおっしゃるとおりなんですが、そのこととは別にですね、対策を準備するために内部でいろいろ検討しておくとは必要ではないでしょうか。京都メカニズムがCOP6で決まらない間は検討しないというわけにはいかないと思うんです。おっしゃることは最もだと思うんですが、こういう議論をするのは十分意味があるし、その問題はちょっとまさに交渉事項ですから、そのそれを幾らに前提して作業をするということは、これはむしろおかしいのであって、むしろ安全側に見てですね、6%という数字を、仮に最悪の場合でも十分対応できるということを、検討を国内でやっていたからといってですね、交渉の手を縛ることには僕はならないと思いますので、続けられて結構だと思うんですけれども。
 それからですね、これはオプション、まずですね、政策の形成をこういうふうに合理化していこうという考え方で、余り時間をとらずにですね、こういう会議でもう非常に要領よく短い説明でこういう資料を出されたことは非常に評価したいと思います。
 ただ、オプションペーパーみたいに見えますけれどね、オプションペーパーになっていないんですよ、これね。というのはですね、つまりその2ページの、選択肢をどちらを選んだ場合にですね、どういう社会的、経済的影響が出るかということについて何も材料が我々はないわけです。これでは判断のしようがないわけでですね、環境庁というか、これは、しかしそういう行政はですね、それは役人がうまくみんなあんばいしていたわけで、そういうやり方を私どももやってきたわけで、それでは決してですね、きょうたくさんいらっしゃいますけれども、みんな一般市民の方も納得できないわけですから。そこでですね、まずその現状を徹底的に分析すると。つまりなぜふえてきたかと。そのなぜふえてきたかということをなしにですね、どう減らそうかというのはですね、そういうその政策形成はあり得ないわけですね。最近はですね、多変量解析とかですね、それから計算機なんかも随分進歩しているわけですから、ぜひですね、そういう作業をもう少し詰めていただきたい。そのことがあって初めてですね、減らした場合に一体どういうことが起きるかということ、減らそうとした場合にですね、これがみんなの生活の実感をもって迫ることになるわけですね。6%を約束したというのはこういう大変なことなんだということが、そういう作業があって初めてわかるわけで、例えば民生ですね、その部門、運輸部門について言えばですね、これを減らすというのはですね、これは本当に容易なことではないと思うんです、我々は。大量生産、大量廃棄の時代ではないという、これはもうどなたも異論ないですけれども、では、多品種少量生産というのはですね、大量生産、大量廃棄、大量消費、大量廃棄以上に物流コストを高めていること。つまりエネルギーの利用量を増大させている可能性があるわけです。さらにITについても同じことが言えるわけですね。というのは、待機電力。まさにですね、我々の家庭に則して考えてみてもそのとおりであって、電圧は著しく大きくなる。大きくなっていますよね、まさにインター
 ネットをやろうと思えば一晩じゅうつけておかなければいけないわけですから。
 それから、小口、つまりその大量生産、大量消費でなくなること。つまり、まさに情報をキャッチして、そのことによってこのきめ細かい配送をすると、供給側の課題になっているわけですね。それは大体80年代以降、メーカー、それから農業も含めてですね、そういう対応を図ったわけですね。だけどこれはですね、その小口配送を恐ろしくふやすわけですから、そのことがどの程度影響しているか、それは我々は勘でいっているのであって、そういうことをですね、まさに事務当局で詰めていただきたいと、こういうふうに思うわけです。

【安原委員長】 今おっしゃっている現状の分析の問題はですね、後で参考資料で、不完全なものですが、ご説明をさせていただきます。
 それから、いろいろな影響の問題はですね、具体的な対策を講じただけでいろいろなところに影響が及ぶ。そのとおりでございますけれども、それは推進メカニズムあるいはポリシーミックスをどう評価するかというところでございますので、ちょっとここはですね、そういう6%達成をするための基盤的ないわゆるメカニズムですね、それをどう考えるかということでございますので、ちょっと議論はもう少し後の方に譲っていただきたいと思います。

【佐竹委員】 一言だけちょっと。その作業の成果がですね、そういう作業の成果がここに反映していなければおかしいのではないかというふうに私は思います。

【安原委員長】 もちろんそうなんです。そういうことを考えながらですね、別途今おっしゃったような点も検討して、後で総合されるということだと思うんです。

【寺門委員】 ちょっといいですか。あのね、道筋というところが決まっていないというのは、それは僕らにすると、どういうふうに決まっていないのかよくわからないんだけれど、こういうふうにぱっと書いてあるんですけれどね、どういうふうに決まっていないのか。少なくとも、例えば運輸については、燃費基準についてはこういうふうにね、相当厳しい規制をというか、目標値を立てて、ここまで単体対策はやりますと。やりなさいと、こういうふうに決まっているわけですね。それから、その家電についてもこういうふうにしないさいという、かなり高いレベルの目標値があるわけです。それを、しかもその時限を切って達成しなさいと。こういうふうに道筋があるわけです。ただそこのときに読めないのは、それらはどのように、その何ていいますか、変われるかということが読めないということが道筋が見えないということであって、ほかのことについてはね、みんな必死になってその道筋に向かってやっているわけですよね。だからそういうことがちゃんと評価された上でどこが見えないんだということを言わないと、マクロにただばさっと見えないといったらね、それこそ今まで何をやっているんですかと、逆にね。そういうふうになるんですよ。だからどういうことが見えないんだと。どういうことが見えなくてどういうことが見えるんだということはね、はっきりさせておかないといけないと思うんですよ。だから全部無策ですかと。無というのはゼロですよね。全く無策ですかと。だからいつもその評価をしてくださいと。ではそのそんな基準やめたらいいじゃないですかと、逆に言えばね。そういうことになるんですよ。基準だけは決めておいて、だけどあとは読めないと。だから読めないところはどういうことが読めないんだということをはっきりさせればいいんですよ。それができてないからわかりにくい。

【安原委員長】 おっしゃるとおりこの大綱で個々の部門ごとにいろいろな対策が決められて、それが今実施に移されておるということですね。それで、その対策の中には、そういう目標を定めて、その目標に近づくべくいろいろな努力が今されているということはあるかと思いますが、全部そういう形でですね、目標とその道筋が明らかになっているかというと……。

【寺門委員】 全部とはいいません。だからどこが見えていてどこが見えないか。

【安原委員長】 その一部のものはそうなっているんですね。だけどトータルとして把握できる状態にはなっていないわけですね。だからここはトータルのお話をしているわけですね。全部が何もしていないということではなくてですね、されているものもあるけれども、温室効果ガス全体をとらえて各年度の道筋というのは決まっていないと。それを決める必要があるのではないかと。それを効果的に進めていくためにこういうやり方があるのではないでしょうかと。PDCAという……。

【寺門委員】 だから、つまりPDCAを、逆に後ろのPDCAも回すというか、それがあると言いながら、逆にそこをね、その入り口のところはもういい加減にしておいて、それでもってこうですというのはね、物すごい飛躍があるんですよ。我々も逆に言ったら、企業というのはどういうことをやっているかといったら、まさにPDCAをいつもやっているわけですよね。それでなかったら企業は成り立たないからPDCAというのをやっていると。それに対してね、毎年毎年やっているわけですよね。だけど今の場合、何がその国として、全体としてできていないんだと、できないんだということを見るべきであって、こちらのページとこちらのページは余りにも飛躍が多過ぎるのね。だからどこがPDCAのところに回らないのかということを示すべきですよ。

【佐和委員】 別のことを聞こうと思ったんですけど、今のことに関して言えばですね、寺門さん、これはですね、もっと素朴なデータなんですよね。ただ、ですから最後の、つまり目標期間の2008年になってからやり出すというのとですね、それと、徐々に漸減させていくという2つのやり方があるだろうと。だけどそれだけのことしかいっていないんですよ。それでですね、そして当然ですね、暗黙のメッセージとしてですね、漸減させる方が望ましいと。そのためにはPDCAが必要だと、それだけのことですよね、おっしゃりたいのは。
 それでですね、私が聞きたいのはその最後のページのモニタリングなんですけれどもね、
 最近日本のDDPE統計に対するいろいろ批判が浴びせられたりしていますよね。日本の場合ですね、ここではその1年半という、今現在は1年半かかっていると。公表までにですね、集計して公表するまでに。そしてですね、これを短縮できないかというふうにお書きになっているけどもですね、まず一つ聞きたいのはですね、外国はどうなのかと。つまりどの程度のこのインターバルで公表されているのかということが一つ。
 それから、もう一つはですね、これはわかっていれば教えてほしいんですけれど、日本のデータの精度ということについてはどれだけ自信があるのか。
 それから、三つ目がですね、この1年半というのはですね、さっき各いろいろな省庁の出すデータがどうしてもその発表時期がこんなにずれがあるからこうなるんだと。そうすると、一番これは1年半も延ばしている最大のネックになっているデータは何なのかと。つまり元データのですね、公表が遅くて。その点、幾つかお伺いします。

【安原委員長】 どうぞ。

【対策推進室長】 外国のその統計データをもとにしたその排出量の算定の時期がどのぐらいかということについては、つぶさに調べておるわけではござませんけれども、余り差がないという状況になっているというふうに理解しております。
 それから、精度について自信があるかということにつきましては、もちろん私どももIPCCに基づいてのことはやっておるわけでありますけれども、例えばこれまでは、HFC等につきましては潜在排出量ということで、非常に大きな割り切りをしてやったというようなことで、精度的に完璧かというと、まだまだそこには到達していなわけでありますので、また今後この制度管理につきましては、締約国会議やその補助機関でも非常に厳しい方針を打ち出されているので、当然我々としてもそれにのっとった形で精度の向上を図っていかなければいけない時期になっているとは思います。
 それから、1年半たっている、一番最後に出てくる統計というのは、現状ではですね、廃棄物のデータがかなりおくれてきているということでございます。

【安原委員長】 では、横山さん。

【横山委員】 今の佐和委員の質問と関連したことなんですけれども、この日本だけ努力しても多分だめだと思うんですよね。データの収集・算定・公表までの期間を短縮すると。国際的に努力をして、1年半でなくても半年後にはデータを出せるようにするとかそういうような取り組みは全くないんですか。というのは私も、先週98年のデータが発表されたわけですけれどもね、やっぱり今ごろには99年のデータが出てですね、もう去年はこうだったんだと。こんなに効果は上がらないんだとかですね、あるいは上がったんだというようなことがわかるようにならないと、対策にも本当に真剣に取り組まないのではないかと思うんですが、いかがなんでしょうか。

【対策推進室長】 ご指摘はごもっともだというふうに思っております。
 現状でも比較的に早いものは、先ほど申しましたようにその翌年度の5月、6月、7月には出てくるデータもございます。例えばエネルギー由来のCO2に関連しましては、エネルギー統計の速報値的なものは非常に早く出てきますので、エネルギーに限ったものではありますけれども、そうはいいながら全体に占める割合は非常に大きいわけですので、全体的な趨勢を見るということではこのデータは有効なものもあるわけであります。それ以外のものにつきましては、確かに国際的には先ほど申し上げましたように、締約国会議、そして、IPCC等の検討はQA、QCというのは非常に厳しく求められてきているということと、やはり今後の機動的な対策をやって、そして2008年から12年までの対策、目標達成ということをなるべく早く見きわめるためにはその迅速性ということも当然求められてくると思いますので、我々もやはりそれに沿った形で何ができるかという、しなければいけないことを洗い出して、関係省庁と協力してそういうモニタリングの体制というのをしっかりとつくっていかなければいけないというふうに考えております。

【横山委員】 国際的な動きはないんですか、それを、日本だけではなくて。

【対策推進室長】 ですから、それはもう締約国会議やIPCCの動きでもう国際的にそういう方向に進んでいるので、日本だけでなくてほかの国もやはりそういう方向で迅速性や精度を高めるという方向に進んでおりますので、我々もそれと同レベルで進んでいかなければいけないと考えております。

【安原委員長】 猿田さん、その次浅岡さん。いかがでしょう。

【猿田委員】 すみません。先ほどこの内容は不明確な点が多いということで佐和先生がおっしゃった。私もそういうご意見を申し上げようと思っていたところで、それはもうそれで終わらせていただきますが、2ページの6%削減というところで、97年までの水準で2008年から急激に削減しようというのと、それから、その下の漸減計画でいきましょうというのと二つあるわけですけれども、少なくとも常識的にというか、一般論として、上のような2008年からの削減量を2,000万トン急激にということになりますと、これは第1約束期間ですから、第2約束期間にまた削減しなくてはいかんわけですね。この3億1,700万トンという平均値、しかし2012年には2億7,700万トンというのがございますね。そうするとそれ以降またこれよりも、第1約束期間を終わったから増やしますよということにはならんわけで、もっと低減しなくてはいかん。ということは、これはかなりきついことになってくるわけで、それであれば漸減的にいくことによって、2008年、3億2,600万トンですか、12年度も3億800万トンということで、そういうようなその今後の対応を考えると、どうすべきかというのはおのずから出てくるのかなという、将来第2約束期間がいつになるかわかりませんけれども、将来のことを考えていくと、そういうような急激な変化というのはかなり困難性は伴うのかなという気が、このグラフを拝見していて今ちょっと思ったわけでございまして、問題はむしろ今後のその4ページにあるPDCAをどう運用していくのか、排出目標をどう定めてどうもっていくのか。この辺に一つの問題点があるのかなと。その問題は、モニタリングの方法が、先ほども委員長もおっしゃっていましたモニタリングの問題はどうなるか。その辺が非常に重要だろうと思いますけれども、この4ページのPDCAをどのように形成していくのか。各団体においてもこれをベースにして、先ほど寺門委員が我々もやっていますよというお話ございましたけれども、この内容そのものはかなり透明性、公開性を持ってやっていただかないと困るわけでして、どこがどうやったかというトータル的な中だけでは、その努力をしないところもあるかもしれませんけれどもね。そういうこのサイクルについては、いわゆるオープンになるような形で、そしてだれでもがそういうようなことに関心を持てるような方向で進めていただければより効果が上がるのかなということです。

【寺門委員】 ちょっとやっぱり理解が違うんだね、これは。例えばね、その自動車のやつというのはね、燃費基準があるでしょう。もちろんその間にも皆さん改善するから、それは連続的であるといえばあるんですけれど、でも車というのはやっぱり今9年ぐらいの寿命なんでしょうかね、サイクルなんでしょうかね。そういうところから、この上のような絵になるんですね。単体対策というのはもう確実にそういうふうになるわけですよ。こういうふうな性格の運輸部門でも、例えば乗用車部門はそういうふうになるんですよ。そういうものと全部ごたごたにしてね、だから何のためにそういうことを今からねらってですね、そこの燃費の目標に持っていくのかということがね、国民の皆さんに明確になっていないとね、こういう絵でおかしくなっちゃうわけですよ。だから自動車運輸部門というのは、皆さんがそれをそういう、今例えば1,500CCの車を次も1,500CCを買っていただければ同じようにこうなりますよということがね、こういうふうになりますよということが当然描けるはずなんですよね。もちろんそこには誤差がありますよ。だって100台そういうものを買ったというのは、そういうふうに100台変わらないで別の車を買うかもしれないから、そこは誤差としてあるけれども、少なくとも絵としてはちゃんと描ける部門とそうでない部門というのはちゃんとはっきりしているわけですよ。こういうのをみそもくそも一緒にしてね、言えませんというのは、私は余りにもそのまさに無策なのか、不明というのか、何か知りませんけれど、そういうことをごちゃごちゃにしないようにして、それで、どういうことについてはどういうふうにすべきだということをね、やっぱり道筋というのはそういうものだと思いますけれども、道筋が全くないというのは、僕は間違っていると思います。

【浅岡委員】 二つの点なんですが、寺門さんの先ほどからのお話で、シンクなどがこのグラフから隠れているではないかと。それがわからなければ本当には線は引けないではないかというふうなことをおっしゃっておられまして、確かに3.7%を最大限確保するように努力すると政府内で合意をされていることから、大変外交上、交渉会議におきましても政府はそういう主張をしています。最大限といいますより、それしかない、もう日本としてはそれしかないというような形で交渉上では主張をしておられます。そうした主張は、現在の交渉の中では極めて極端で、まことに孤立した主張であるということも、交渉に参加しているそれぞれの国々の皆さん、当然ながら理解をしておりまして、日本の外交上の信頼にもかかわると、市民側は懸念をしております。もう一つ、よしんば、仮にいろいろな手だてを使って、今回3.7%を第1約束期間に入れることができたとしますと、第2約束期間以降というのは日本はもう極めて不利な立場に置かれて、ほかの国々が大量のシンクをカウントできるのに、日本は何も使うものが残っていない。乏しい預金を全部使ってしまって、ほかの国はたくさん貯金を持っているというようなものであることもおわかりになりながら、寺門さんが今おっしゃったよう強く政府におっしゃるから、政府はそのような主張をされているんだと思うんですけれども、これは客観的に見ましても無理な主張であるし、不利な主張であるということをご理解いただいて、日本はむしろシンクに頼る度合いを小さくするということが、日本にとっては、特に産業界の皆さんにも交渉上もメリットがあるのですから、この場におきましても、吸収源に期待をつないで計画を立てるというのではなくて、そういうものを期待しない形で立てることは、今必要であると思います。そうしたポジションから政府に公正な対応は何なのかということを、もっと自由に判断をできるようにしてあげていただいて、国際的にも信頼も失わないような外交をしていただきたいなと思う点が一つです。
 もう一つ、道筋論について何も決まっていないわけではないと言われますが、それは確かにそうだと思いますけれども、すべてが決まっているわけでもない訳です。どちらかと言えばまだ具体的には決まっていないからこそ今議論をしているわけでありますし、早期に堅実な削減をしていくことが痛みも少ないであろうということはどなたもご理解になることだと思う。そういう議論のために、佐和先生がおっしゃることに私も賛成したいと思います。

【安原委員長】 ありがとうございました。
 それでは、西岡委員。

【西岡委員】 2点ございます。第1点は、一番最後にありますモニタリングの話です。ことし春IGESでこのサイクルを早くしなければいけないということで、この速報というのをやってみました。実際にそのデータを扱っていますと、先ほどからご説明がありましたように一部のデータはもう1年、2年おくれて出る。なぜそうなのかというと、やっぱり速報と確定値とは違うからというので、はっきりしたことが言えないんですね。ですから、そこのところを何とかですね、こういう大切な問題は早めに見通しをつけておかないといい手は打てないと思いますので、そのあたりを役所でいろいろな統計についてなるべく早くお互いに入手できるような形にしてもらいたいなというのが一つの要望です。
 それから、二つ目が、先ほどのこの絵の話です。COP3の前ですがタイミング論争がありました。今手を打ったらいいのかもっと後の方がいいのか。後の方にいきますと大体技術進歩がありますから、きっと安く物事ができる可能性がある。それから、現存する資本、今ある資本を犠牲にしてまで新しいものに取りかえることはメリットがある。ある程度きちんとした道筋を踏んでいく必要があるだろうといった論争がなされていました。その論争は必ずしも日本でうまく反映されませんでした。COP3の前にはかなり精密なモデルを用いた論争をいたしました。その中で、例えば将来の自動車としてプリウスを入れるか何を入れるかなんていう細かい検討まで、やってきたわけですけれども、結局お互いにデータの出し方があんまり十分ではなかったということを、当事者の方から、聞いています。お互いにデータを出し渋って、結局国民の前にはっきりした、今、寺門さんのおっしゃったこういう手を打ったらこうなるよということが出なかったと思われます。今回はその轍を踏むことなしにぜひその数値を使った、今寺門さんのおっしゃったような論争をオープンに、みんなの前でやっていただきたいと思っております。
 以上です。

【安原委員長】 では、塩田さん。

【塩田委員】 今、寺門委員やほかの皆さんが指摘されていることに関連してですけれど、
 私はこれからいろいろな対策を講じていくというときに、その対策の効果というものは対策ごとに切り離して明らかにならないと、なかなかその対策というのは、いつもご指摘のように、ほかのその政策目的のための対策が多いということですから、なかなかこの温暖化対策に明確な効果というものが確認しにくいんだろうと思うんですね。そういう意味で、寺門委員がさっきからご指摘になっていることは、この全体を十把一からげにしないで、大きなウエートのものについて、見当がつけやすいものについてはどれだけのことができるのかということをまず整理してみるべきではないかということです。今約束している政策でどれだけのことが、どういうことが起こるのかというものを少なくともこれはもう少し具体的にしていく必要があると思います。そして、そういうことができる政策というのは今どれだけあるのかというのをまず切り離して、それで、全体の温暖化ガスの削減の何パーセントをそういう形でカバーできるが確認する。残りが何パーセントあるから、そこには道筋がついていないからそこをどうしようかというようなアプローチというのは考えられないのかなというのが私の疑問の1点目です。
 それから、2点目に、今全体をひっくるめてやっておられますが、やっぱり4部門というのは、この前の検討チームでも別々に検討はしました。全体としてポリシーミックスでやっていくということについては私も異存はないんですが、やっぱりこういう検討する際には4部門についてそれぞれ別々に予測と対策の検討をしていくというようなことをする必要があるのではないのかと思います。この2点についてお伺いしたいと思います。

【対策推進室長】 まず、1点目のこれからのその道筋をつける上での考え方でございますけれども、そうですね、確かにこれからどういうふうに道筋をつけるかというところまでは、きょうはまだ課題の提示で至っていないんでありますけれども、確かに大きなところについてはまず対策を受けているところはいつどこまでというのが明らかになっている部分があると。とすれば、それはそれで確定の数字として出す。そうでないものはどうなのかというふうなことで、おっしゃるとおり十把一からげの道筋ではなくて、やはり積み上げということでは、今委員のご指摘のあったような手法というのは非常に重要になってくるだろうと思いますので、参考にして今後進めていきたいというふうに思っております。それから、また、4部門ごとに分けてということは、やはりそれぞれの排出形態、それがさまざまな社会経済活動のいろいろな場面で出てきますので、やはりそういう部門で分けるというのは基本的な考え方だろうというふうに思いますので、それはそれで分けて考えるわけでありますけれども、ただ、完全にみんな分離独立しているわけでもありませんので、そこら辺のその相互関連というのを見きわめながらやっていかなければいけない。例えば先ほどご指摘ありました物流であるとか、それから、情報技術が今後進んでいくということは、これはかなり広範な部門にわたることでありますので、そこをどう考えるかというのも今までいろいろな方から指摘を受けたところでありますので、そういったところも少し考えていければなというふうなことを考えております。

【塩田委員】 今の続きですけど、できるだけそういう今おっしゃったように、具体的にもうわかっていることはできるだけはっきり切り離して残った課題に対応していくというやり方をすることを提案いたします。
 それから、今の問題に関連して、ここの議論でも温暖化ガスというのは決して二酸化炭素だけではないんだということを強く主張される委員がおられました。私はそのことについて何ら異存はないんですが、やはり二酸化炭素の寄与度が9割以上ですよね。量の議論がこの温暖化対策については重要なんだと思います。そこでCO2対策を中心に統計はできる限り速報をしてですね、そして、なおかつそのそれをエネルギー統計からはすぐとれるというさっきのお話ですから、できるだけそのエネルギー統計を速報をしていただきたい。そして、その対策についてはですね、単にエネルギー統計だけではなくて、いろいろな対策を講じたことの効果というのを測定する方策をですね、それぞれの対策をとるところが自分で一つの手法を開発して、それをこの場でも、どういう場でも、客観的に評価をして、そういうやり方でその対策の効果というものを数量的にも具体化していくということを、これを非常にきめ細かく急いでやるということを私は提案いたします。
 そういう意味で、この間から皆さん方が非常に疑問に思い、私も非常に疑問に思いますけれど、このBAUからその非常に大きなものが抜けているというような部分ですね。道路の関係、自動車については道路の建設の効果という部分、そういう部分についても、例えば交差点の改良なんていうのは明らかにこのCO2の排出量を抑制するはずですから、そういうものをできるだけその数量的にそれをはっきり出して、それがその統計的に検証できるものであればどれだけの効果があるかということを明確にするということを政府の中で検討されたらいかがかというふうに思うわけです。
 それから、もう一つは、モーダルシフトだって、これは輸送量からすぐ計算は出るわけですね。そういうラフな計算をすればどのくらいのそのCO2の削減になっているかというのはすぐ出るわけです。その原単位についてより精密な議論があると思いますが、そういう具体的なことをなるべくこれから統計的にそれを詰めていく必要があると思います。そしてそれをできるだけ早く公表するというようなことを関係の省庁で打ち合わせになったらいかがだろうかというのが私の意見です。

【佐和委員】 質問なんですけど、かねてその疑問に思っていたことなんですけれどもね、
 日本のこういうデータというのは全部年度で出ますね。しかし京都議定書で決まっているのは、言うまでもなく歴年ですよね。そこのところはどう調整なさるのか。恐らくですね、90年の排出量でもですね、年度だと損しますよね。高いですよね。年度で計算すれば得か。得ですね。いずれにせよですね、当然ですね、歴年、諸外国は全部歴年でやっているわけですから、日本だけがずっと年度でやり続けるというのもどうかなというい気がするのが一つ。
 それからですね、これはさっき西岡さんがおっしゃったこととも関連するわけですけれど、今度ですね、環境省になればですね、地球環境部局の中にそういう統計係みたいなものができるんですか。例えば統計を、つまりこのこういう排出量の統計を担当する専門部局のようなものは、部局というと大げさですけれど、いずれにせよですね、速報値みたいなものを制度化するということにされることをぜひ要望したいと思いますね。DNPなんかでも速報値というのは出ていますよね。それは結果的にその確定値とずれる場合がありますけれども、ずれたってやっぱり速報値を出すことの意味は大きいと思いますので、ぜひそれはしていただきたいと思います。半年ぐらいで出るのではないですかね、速報値だったら1年は早くなるわけですから。

【地球温暖化対策推進室補佐】 では、こちらからご説明させていただきます。
 まず、温室効果ガス総排出量のデータが会計年度であるのか、それとも暦年データであるのかということですが、現在、温室効果ガス総排出量は約23種類ぐらいの各省庁が所管しております社会経済的な統計をもとに算定しておりまして、会計年度のものもあれば暦年データのものもあるということで、混在しているのが実情でして、それは混在させたまま年度のデータとして条約事務局に出しておりますが、特に条約事務局からはその点は別にとがめ立てはされておらない状況です。ただ、将来だんだん厳しくなるとですね、やはりその辺は改善しなければならないという問題意識は我々もあります。その辺は、先ほどから言っております迅速に収集・算定・公表するという観点から、エネルギー統計であれば月報というのが出ておりますので、その年度データだけでなく月報データを活用して、それで先ほど来話がありますように、大どころのところをまずつかんで、残りのところはある程度推定があっても問題はそんなに大きくないかと思いますので、そういった手法を早急に開発したいと思っております。それから、統計のお話ですけれども、先ほど申しましたように23種類の統計を活用していまして、それを環境庁独自に統計を持てばいいではないかという意見もあるんですけれども、なかなかそのあらゆる社会経済状況を把握するというのもちょっと現実的に考えて非常に難しいということがありまして、やはり各省庁の協力を得てやっていくというのが現実的ではないかと思います。

【佐和委員】 もちろんそうですね。だけどそれはですね、例えば省庁だけではできない。
 ちゃんとこういうデータの精度をきちんとするためにはですね、やっぱり結構な人手が要ると思うんですよね。ですから、今度省になるということでですね、組織がえでそういう部署のようなものは設けられるご予定かということですよね。

【対策推進室長】 ご指摘のとおりでありまして、今、予算と人員を要求しているところでございまして、そういった各省のデータを集めて迅速にやるための係を一つ設けると。それから、またこれは京都議定書上ですね、こういう排出量を把握するためのシステム、国内制度を設けるということが義務づけられておりますので、そういうことを担うための主体としてですね、これが役所の中ですべてできるのかそうでないのかというのは検討課題でありますけれども、いずれにしても議定書上の義務にもなっておりますので、そういった体制はこれから設置していくという予定でございます。

【安原委員長】 時間の関係もございますので、この問題についてはこの程度にしたいと思います。いろいろ貴重なご意見をいただきましたので、今後の作業の参考にさせていただきたいと思います。要は、きょうのこの事務局からのプレゼンテーションは、やはり毎年度の排出量の認識をきちんと明らかにしなくてはいかんではないか。それはトータルとして、あるいは、個々の部門とか単位としてもできるだけそういうものを明らかにしていかなければいかんということ。そして、それぞれそれをできるだけ効果的に今度は実施に移していくために、手法としてはPDCAの環境管理システムの考え方でやっていくのがいいのではないかということで、さらにいろいろな検討課題がございますので、その検討課題の詰めをしていくということでございますので、ご理解をいただきたいと思います。それでは、次の議題のポリシーミックスについてに移りたいと思います。
 まず、西岡委員の方から、IGESオープンフォーラムの議論をもとにした推進メカニズムの比較につきましてご説明をいただきたいと思います。

【西岡委員】 それでは、お手元の資料2-1に基づいてお話をいたします。これはご紹介ありましたように、1月から7月の間、IGESというところで、大体14人の人の提案、それから、14人の人のディスカッションということで、30人ぐらいの方々に連続してお話をいただきまして、オープンフォーラムを開きまして、そのときに出た幾つかの提案に基づいて表をまとめてみたということで、言ってみればち今日のお話の前提の話です。
 この表を全部説明するわけにいきませんので、まず、全体の概念から申し上げますが、この表の頭のところ、表頭の方には、排出量取引、それから、炭素税、自主行動計画の三つを大きな政策、オプションということで上げてあります。きょうはポリシーミックスの話が後であるわけですが、これは言ってみればそれを構成する要素といったものかと思います。一方、その右の方には線を一つ画してございますが、性能基準や排出基準を、、いわゆるこれまで規制の中に入っていたようなポリシーオプション、さらには補助金といった政策、経済インセンティブということであげてあります。この二つにつきましては、どちらかというと左の方の三つに対する補助的といいましょうか、補完的といいましょうか、そういった種類の手段ではないかなということで、やや一線が画してあるわけです。一方、論議の中で出ましたその種々のオプションを評価する評価基準といたしまして、この表の表側、左の方に書いてございます。これは、多くはもう経済学の教科書にいろいろ書いてあるものでございますが、一番上がまず効率、経済効率性。これは社会全体の負担の話です。
 それから、次が公平性。だれが一体その負担を持つのかということで、それが公平であるべきだということですね。
 次に、政治的受容性。政治的という言い回しより、一般的なアクセプタンスと言った方がいいのかと思いますが、今の状況を前提にしてすぐにそれが受けられるものであろうかということであります。
 それから、その次が、排出量がコントロールできるか。これがそもそも政策のこの目的の大きなものですが、排出量が確実にコントロールできるか、できないかといった基準があるかと思います。
 それから、カバーできる範囲。それぞれその手法によりましてはカバーしにくいところがありますし、そういうことを考慮するとどれがいいんだろうかというのがカバーできる範囲。あるいは、こういうところからその組み合わせが必要になってくるという状況が生じるわけです。
 今まで余り論議されていなかったことなんですが、今後非常に重要となると思いますのがKM。これは京都メカニズムということですけれども、京都議定書で決められました国際協力メカニズムのことです。いわゆる排出量取引きだとか、それから、CDM、クリーンデベロップメカニズムといったものとのリンクがこの制度ではどうなるんだろうかといった検討です。これは、将来国内だけでやっていてもどうせ外国とのリンクは必要になってきますので、そういうことは十分に考える必要はあるかと思います。
 さらに、このしばしば手法というのが、短期的な、例えば政治的受容性なんていうのは非常に短期的な受容性でもって動いてしまうわけですけれども、それではいけないのではないか。長期的最適化を考えていきますと、この技術開発の促進にどうそれがインセンティブになっていくかといったことは非常に重要かと思いまして、一つ項目が設けてあります。
 さらに、国民の環境意識の向上。いわゆるアナウンスメント効果といったものを含めまして、それがどうきいてくるか等々が書いてございます。
 最後に、メモということで、統括してこういう感じかなということでまとめてあるわけです。
 幾つかについてお話をしたいと思います。まず、例えば全体の経済効率性ということでございます。この論議の中ではですね、例えばこの排出量取引、炭素税。これは、基本的な考え方というのは実は違うようで同じなわけでして、両方とも経済的メカニズムを使った一番安いところで落ちつくようなものにするということでございますので、基本的に同じなんですが、ただ、炭素税につきましては、論議といたしましては一部セクターに軽減措置を導入すると受容性は上がりますが公平性の論議が出る。これは平等性と関係してくるわけです。いろいろな税のかけ方はあるけれども、一律にかけるのがどうも一番いいというのが黒い点線のモデルによる結果でございます。
 それから、さらに税の問題ですと、二重配当の問題があります。収入をほかの税の軽減に充てたり補助金に充てたりすることもできるではないかということです。自主行動計画は、効率性がやや劣るという評価になっておりますが、これは、企業がどの程度限界排出削減費用を自分たちで認識して、それに応じて目標を設置できるか。これがいわゆる市場メカニズムで決まりますものと全く同じであれば、効率は他と同じことになるかと思います。
 それから、排出源の負担と公平性というところもございますが、特にこの排出量取引においては最初の配分をどうするかということで非常に論議があったわけでございまして、グランドファザリングという従来の、言ってみれば既存取得権をベースにしたようなものだと、その配分に斟酌が加わるとか、いろいろな議論がございました。
 それから、排出量のコントロールが完全にできるかどうかというのも大きな話です。最初にキャップをかぶせてしまう排出量取引だと基本的にそれは達成できるということでありますけれども、炭素税の方はこれが受容側がどうそれに対応するかということで、量が必ずしも確保できない論議となります。と。そういった場合にどういうその補完的措置が要るかということになるかと思います。
 それから、税のところでコントロールのためには国際排出量価格と税率と一致させるという方法があります。これは結局一番最初に申し上げました排出量取引と炭素税では経済的効率としては同じになる。日本市場が国際的に開かれたときにはどうなるかということを考えると、そういう方法もあり得るかなということであります。
 それから、京都メカニズムとのリンクということですけれども、今後排出量取引について国際的市場ができる可能性が非常に大きい。それが安定したり固定したりするのにどれぐらい時間がかかるかということを十分見きわめる必要がある。炭素税の方もいずれはその外国からの波を受けるということでございますので、その日本国がどういう関与をするかといったことについても考えなければいけない。
 それから、技術開発。長期的な最適化ということですけれども、この、例えば税金でもってその補助金を与えるとか、あるいは、税金でもってその技術的な方向性を示す研究を政府がやるといったようなこともあります。主として最初の三つので経済的なインセンティブを使ったもの、それから、実施、取組においては基本的には企業主導で誘導するということが、ある意味では効率がいいのではないかと思われます。税金の上がりがありますと、その部分でまた技術開発による成果を政府が進めるということの効率のよしあし等が論議されるわけであります。
 総括的な評価を示したメモのところをみます。排出量取引につきましては、総量のコントロール、経済効率性、京都メカニズムとのリンクという点では優れているけれども、配分の方法については幾つかの問題がある。いずれにしましても、中心的措置としては有望であるけれども、民生・運輸での削減促進のために補完策が必要である。補完策につきましては、後ろの二つのものが大きくきいてくる。
 それから、炭素税のところでございますけれども、そのカバレージと、それから、全部かけるとしますと、削減インセンティブには優れていますけれども非常にそのお金の額が大きくなるという問題でありまして、それをどういう具合に使っていくかということが今後の課題になる。
 自主行動計画につきましては、産業部門の削減方策としては負担コストも少なく、合意をベースにした制度であるために優れていると。最初の目標設定をどうするか、あるいはその中身がクリアであるかということが要望されている。
 あとの二つについてはちょっと省略させていただきますけれども、概略をお話ししました。

【安原委員長】 ありがとうございました。
 では、引き続きまして、資料2-2の方を事務局の方から説明願いします。

【環境保全対策課長】 それでは、お手元の資料2-2でございますが、今の西岡先生のお話にありましたとおり、各種政策手法、ここでは推進メカニズムと呼ばせていただきまして、要点を絞りまして、特に次にポリシーミックスの検討にいくためのエレメントとして整理をさせていただいたのがこの表でございます。
 まず、横の方にこの推進メカニズム、排出量取引、それから、環境税、規制。規制の中は、総量規制と効率規制。また、その中を製品・機器等に対する効率規制とその他の排出者に対する原単位規制と、2種類に別れております。自主的取組では、自主行動計画と協定というように分けさせていただいておりまして、縦軸はこれらをエレメントとして整理する上での切り口といいますか、分析の観点というようにごらんいただければと思います。左側から順次まいりますと、排出量取引(キャップ&トレード)でございます。の考え方に基づく排出量取引ですが、この最初の排出枠の交付、取得という観点から、その実績按分、グランドファザリングによるものと、それから、競争入札によるもの、二つ分けておりますが、同時に説明いたしますと、対象にできる分野としては、幾つかの考え方がございまして、上流、下流という言葉がございますが、上流、具体的には化石燃料の輸入・生産企業等、こういったところに排出枠を交付することにより全部門からの排出を対象とできると。一方、その下流の消費の段階ででは、化石燃料を消費する主体、こういう場合はですね、排出枠を交付する場合、対象は被交付者からの排出に限られてくるということでございます。
 また、公平性の問題でございますが、オークションの場合が確保できます。それから、グランドファザリングの場合は、排出枠の初期配分、このやり方に影響してくるところがございます。
 排出総量目標の達成でございますが、排出量取引の場合は、排出総量の目標の達成を保証できる仕組みとなっております。
 それから、対象範囲におきます排出削減の費用でございますが、そのキャップの中でやりとりをするということで、排出削減費用というのは、トータルとして最小化の方向に向かうということでございます。
 各主体が費用負担すべき排出の範囲でありますが、まず、そのオークションの場合は全ての排出分について費用負担をすると。それから、グランドファザリングの場合は、初期の無償交付を越えた分の排出枠を越える部分についてのものについて費用負担が必要と。
 それから、行政のコストでございますが、両方通じまして、制度設計実施について行政コストがかかるわけであります。また、排出枠の配分量、これをどういうふうにするか。
 これによってまた行政コストがかかるということでございます。
 次に、2番目の温暖化防止のための税と。環境税ということを考えてみましたところ、まず、対象にできる部門というのを考えますと、全部門を対象にすることが可能であると。公平性でございますが、これをどういうように仕組むか。この設計の方法に依存をするのではないか。
 それから、排出総量目標の達成でございますが、理論的には達成可能と。確実にやるかどうかと、できるかどうかというところについては、検証するということがなかなか時間もかかり難しいと。
 それから、排出削減の費用でございますが、これも最小化に向かうであろうと。
 それから、各主体が費用負担すべき範囲ということでは、全ての排出分についてこの費用負担がカバーされると。
 それから、税の場合は、モニタリングなどが不要ということから、行政コストを抑えることができるのではないか。
 次に、規制でございますが、総量規制というのを考えた場合に、大量に排出する者を対象とするということが考えられます。
 また、公平という部分については、各主体に設定される基準のあり方、こういうところに依存をするものでございます。
 また、この対象とした範囲において、総量目標の達成を保証をできるということであります。
 次に、上の方に戻りまして、排出者に対する効率規制、いわゆる原単位でございますが、
 まず、対象にできる部門については、大量に排出する者を対象とすることができると。
 それから、原単位規制の水準によって公平性を担保をしていくと。
 それから、総量全体を達成するという観点からいくと、原単位の場合はその生産量でございますとか、消費量とか、そういう観点からして、総量の目標の達成というのは必ずしも保証できないと。
 それから、製品・機器等に対する効率規制でございますが、少数の事業者により大量生産されている製品などを対象とするということができるのではないか。
 また、製品・機器毎に基準を設けることによりまして、公平性も担保する。
 しかしながら、これもやはり総量というものについては、達成の担保といいますか、保証することは難しいということでございます。
 排出削減の費用、全体についてでありますが、それぞれの主体によりまして、この規制という点では、限界削減コストが異なるという点では、排出削減の費用というのは最小化されないと。
 それから、行政コストでございますが、基準設定または施行、こういったところで行政コストも必要となってまいります。
 最後に、自主的取組でございますが、自主行動計画と協定と二つに分けておりまして、左側の自主行動計画でございますが、対象としては、自主的に行動計画を策定する者。
 公平性でございますが、自主的に取組を講じる者の間での公平性は特に問題はないのではないかと。
 それから、排出総量目標の達成でございますが、総量の目標が掲げられている場合であっても、達成されるかどうかの保証はないわけであります。
 それから、上にまた戻りまして、協定の場合でございますが、これは協定を結ぶ者が対象となります。
 公平性も、その締結方法であるとか締結の内容に依存をしております。
 それから、排出総量目標の達成でございますが、協定の場合はですね、達成は保証される。総量で目標を決めている場合は保証されますが、原単位目標の場合は達成が保証できない。
 それから、両方共通してございますが、排出削減の費用ですが、必ずしも排出削減の費用は最小化されない。主体によってコストが異なると。
 それから、行政コストでございますが、自主行動計画の場合は基本的には行政コストは必要ないと。それから、協定の方は、その協定内容の決定であるとか、モニタリングに際しての行政コスト、こういったものがかかるというように考えられます。
 以上が資料の2-2の説明でございますが、よろしければ続いて……。

【安原委員長】 続いて、それでは2-3を。

【対策課長】 続きまして、資料の2-3の方で、今までご説明いたしました推進メカニズムを検討の対象といたしまして、ポリシーミックスのたたき台について整理した資料でございます。
 先ほどの検討の対象とする推進メカニズムとしては、4つの切り口でご説明しました。排出量取引、それから、温暖化防止のための環境税、そして、規制及び自主的取組でございます。
 基本となるこの作業をするときに、基本となる考え方を3つ上げてございます。6%目標の達成に向けてまして、排出者における取組を促進するということ。
 また、2番目として、排出者の特徴、推進メカニズムの特徴を踏まえた適切な組合せを探ると。
 それから、全ての排出者に対しまして、公平に推進メカニズムを適用するという考えで、次のページから幾つかのパッケージといいましょうか、エレメントを整理をさせていただきました。
 まず、第1が、先ほどの分析と重複する部分もございますが、排出量取引、これについてまずキャップ&トレードで上流でこの排出枠を交付するというもので整理をいたしました。できるだけ広い範囲を対象とするということで、上流で排出枠を交付をすると。取引を可能とし、また、排出枠というのは、総量が目標以下となるようにするということでございまして、この場合、化石燃料を使用するすべての者からの排出がこの制度によりましてカバーがされます。これは、ちょっと右側のページのA-1のカバー範囲のイメージというのをごらんいただきながらご説明したいと思いますが、上流のところがすべてカバーをされておるケースであります。
 それで、排出枠の交付を受けた者は、余剰の枠の売却、不足する枠の購入が可能であるが、市況によって排出枠の価格は変動、収支の予測は難しい。
 設定した排出総量目標の達成が保証をされます。
 取引によりまして、国全体としての削減費用を最小化できる。一方、制度の実施コストももかかるわけでございます。
 公平性の観点からは、排出枠の初期配分、これを適切に行う必要がございます。
 また、ハイブリッド交付方式、この図でいうと、この上の右側になりますが、大規模な大量排出者については、下流部で、中流というか下流というか、その上流の部分はその大量排出者のもの以外、それから、大量排出者については下流部分でそのハイブリッドをまぜ合わせた形での排出枠の交付というものを考えることも可能かと思います。
 次に、下のA-2でございますが、今度はこのA-2自身でポリシーミックスを形成しておりますが、下流の一部の企業におきまして排出枠を交付をし、キャップ&トレードを行い、またそれ以外のところでは別の推進メカニズムを考えるというような考え方であります。
 ここの場合、排出枠の交付対象者からの排出のみがの制度によってカバーをされます。また、交付対象の候補となる者の中でもですね、場合によってその別の推進メカニズムの選択を認めるということも可能でございます。これはその制度の仕組み方によるということであります。
 交付対象者は、余剰枠の売却また不足枠の購入。これは同じでございますが、どの程度対策を講じるかによって極めて高い自由度がございます。
 それから、排出枠の交付対象者全体の排出総量の達成が保証と。
 それから、ただ、別の推進メカニズムとの関係で公平性に留意することが必要でございます。
 続きまして、4ページにまいりますが、4ページは、今度はその温暖化防止のための税制でございます。
 これについては、やはり二つのケースを考えておりまして、B-1はすべての全化石燃料(又はエネルギー)に対する環境税をかける。このケースにおきましては、エネルギーまた化石燃料の使用に対して税を課税と。温室効果ガスの排出削減インセンティブを与えます。削減効果を維持しつつ税率を変えることによりまして、このB-1の中でもまた三つのパターンが考えられます。
 [1]は、税のみによって、主としてインセンティブにより排出削減。これがおおむね炭素1トン当たり3万から5万円/t-Cの税率。
 それから、[2]の場合が、税率を1トン当たり1万円とし、その税収の一部を温暖化対策の助成に回すと。
 それから、[3]は、3,000円程度といたしまして、この税収でもって温暖化対策を助成をすると。こういうようなオプションを考えられるわけでありますが、この場合、社会全員の参加が確保されまして、広範囲な取組が期待ができるわけであります。
 また、エネルギー燃料の使用者は、支払うコストが正確にわかります。
 それから、対策の実施が経済合理的に行われまして、政府のコストは少ない。
 それから、目標の達成は理論的に可能と。一方、その現実的には、その厳密にこの達成される保証があるかどうか、ここのところはクエスチョンでございます。逆に過剰達成の場合も、可能性もございますが、高率の税の場合、一部の者に対しては非常に大きな影響も考えられます。
 そこで、B-2にわたるわけでありますが、炭素税による影響が大きい場合、この一部の者に対しまして課税を減税または免税と。免除するようなことを考えられないかということで、一方で、減免した者には公平性の観点から別の推進メカニズムを適用することも必要と考えられるわけであります。
 そうしたものがB-2でありまして、化石燃料(又はエネルギー)に対する環境税、一部条件付き減免となっております。全ての化石燃料の使用に対して税を課税と。一部の業種につきましては、又は企業については、条件付きで課税を減免すると。例えばでございますが、その例として、政府と削減協定の締結をするということによって税率の減免。また、別途、排出量取引制度を用意しまして、税の適用か取引か選択を認めるというようなケースも考えられるということであります。
 影響の大きい特定の業者(又は企業)にとりましては、より費用の少ない別の推進メカニズムを選択できるということで、対策の自由度が増すと考えられます。
 課税が減免される業種(又は企業)とそれ以外の業種との公平性の観点を確保するということが重要となってまいります。
 次に、5ページでありますが、規制というジャンルでありまして、これは3つに分かれておりまして、総量規制、これは先ほど申し上げたようなことでありまして、基準の設定、遵守の確認など実施コストが生じますことから、一定規模以上の排出者を対象とするということが考えられます。
 総排出量の基準を達成するというために、製造技術の向上インセンティブが持続すると。
 また、より温室効果ガス排出量の少ない製品の開発インセンティブも生じるわけであります。
 総量の規制でありますので、総量の目標達成というのが保証されます。
 2番目が、効率規制ということで、排出原単位のアプローチでありますが、この一定のコストが生ずるという意味では、その一定規模以上を対象とするという点では同じであります。
 次に、技術の導入であるとか燃料転換、こういったことから対応が比較的容易な場合がございますが、総量の目標達成の保証というのは、原単位でございますので保証はされないと。
 それから、ほかの施策、推進メカニズム、税と重複を、重ねて適用するということが効果的かもわかりません。
 それから、3つ目が、機器・製品に対する基準の設定でありまして、そのエネルギー使用効率の基準を設定。そして、その遵守を製造者に義務づけるやつでありまして、現在も導入されておりますが、家電、OA機器、自動車などの大量生産される製品の製造者を対象ということでございまして、この規制の単独での排出総量の達成というのは難しいわけでありますが、使用者が別の推進メカニズムの下で排出削減を行うことを容易にしているのではないかと思われます。
 最後に、6ページでございますが、自主的取組ということで、ここはまた2つございます。
 まず第1に、自主行動計画でございます。計画を社会に公表をしまして、進捗状況についても自ら確認していくことが求められ、大企業などによる取組が実施されております。企業の実勢を尊重する推進メカニズムとして位置づけられております。
 一方、先ほど西岡先生の方からもあったかと思いますが、計画の目標水準の妥当性、目標達成の実効性が問題となりますが、この場合、下の点線の括弧ですが、京都議定書の締結に向けた国内制度の一部として位置づけるためには、目標が達成されなかった場合の措置を明らかにしておくことが求められるわけであります。
 この場合、どのような責任をとるタイプがあるかといいますと、一つは、自主行動計画の参加者が責任をとるケース。それから、政府が責任をとるケースと、二つ考えましたが、2の政府の場合は、対策を実施した者とそうでない者との公平性の観点から問題があるわけでありまして、そういう意味では1が確保されるということが必要でございます。
 そこで、D-2としまして、業界または企業などと政府との協定というものを考えたわけでございます。温室効果ガスを排出する者と政府が、目標及び目標が達成されなかった場合の措置などについて協定を締結するものであります。
 実施のコストが生ずるということから、一定規模以上ということは同様でございますが、
 協定を結ぶか否かはその排出者の選択に任されておるところであります。
 それから、全体としての達成が保証されるかどうかは、目標の達成は協定の中身次第でございます。
 いずれにしても、この別の推進メカニズムの欠点を補う選択肢を提供をしているということで、副作用を少なくしながら同様の効果を得ることが出来るのではないかと。一つの考え方の整理でございます。
 最後に、7ページがこれらを組み合わせる場合のポリシーミックスの案ということでありますが、これは必ずしもこれですべてではございません。一つの考え方ということで整理をしました。
 案の1は、排出量取引の上流交付のパターンを適用しまして、これで全体をカバーするということで、これは一つのポリシーミックスのものになると。案の一つかなと。
 それから、全体を環境税でカバーをするB-1というのも考えられると。
 それから、案の3、4、5は、それぞれ税は一部条件付きの減免プラスその他の手法ということで、案の3は、大量排出者は排出量取引をすると。この場合、大量排出者に対する排出量取引というのは、義務として課す場合と、選択可能とする場合が考えられます。案の4は、その規制ということで、大量排出者に対する規制というのは義務として課すことになります。
 案の5は、協定というものとのミックスでありますが、大量排出者との協定というのは、
 他のメカニズムの代替として締結することになるというようなことで整理をしておりまして、これは一つの、もともとこのペーパーの表題がたたき台なものですので、ぜひたたいていただいてご議論いただければありがたいと思います。
 以上でございます。

【安原委員長】 ありがとうございました。
 それでは、今のポリシーミックスにつきましての説明に対しまして、質問、ご意見がございましたらお願いいたします。

【横山委員】 ポリシーミックスのたたき台のですね、Bの地球温暖化防止のための環境税というののことでちょっとお尋ねしたんですが、環境税と炭素税がばらばらに使われていると思うんですが、その辺を、もう環境税と炭素税はきちんと定義をして使った方が、今後ですね、理解を深めるためにはいいのではないかと思うんですが、例えばここで出てくる全化石燃料に対する環境税というのは明らかに炭素税なわけですね。その真ん中の箱のところだけ炭素税という言葉が出てきてですね、ですからもう地球温暖化防止のための炭素税というようなことで、環境税という場合はもっと広い意味で使っているわけですよね。その辺をはっきりしていただくと今後の理解にとってもいいのではないかと思いますが。

【安原委員長】 今の関連ですか、違いますね。ちょっと待ってください。

【環境保全対策課長】 基本的には今ご指摘の線かなと思いますが、今ちょっと横でささやくのを聞いたら、ちょっと整理も必要な部分もあるようでございますので、今の趣旨を踏まえながらちょっと検討をさせていただきたいと思います。

【安原委員長】 ここに、化石燃料(又はエネルギー)と、こうございますね。これは、(又はエネルギー)の場合はあれですか。EUなんかのいろいろな出ている案なんでしょうか。そこもあわせて。

【環境保全対策課補佐】 今課長おっしゃられたように、既に炭素税あるいはその環境税と言われるものを導入している国の例なんかを見ましたときに、炭素含有量に比例した純粋な炭素税という形以外にですね、化石燃料一般でありましたり、エネルギーでありましたり、いろいろなその設計の仕方があると。その部分については、各国それぞれの事情、考え方を踏まえてつくられているんだと理解しております。その辺の検討は今後の課題であろうかと思いますが、名前が先行して中身を引きずってはいけないということで、今後の検討課題が一つあるというふうに考えておりますが、名称をいずれにしてもきちんとした方がいいというご指摘は、課長から申し上げましたようにその方向で名称を整理する必要があると考えてございます。

【横山委員】 (又はエネルギー)というのは、簡単に言うとあれなんではないんですか。
 化石燃料プラス原子力、水力まで含めるかどうかというふうな理解ではいけないんですか。

【環境保全課補佐】 ここでは字義どおりですね、税金を課す対象がですね、化石燃料を使った場合に税金を課すという考え方もありますれば、化石燃料とエネルギーの双方を使った場合に両方課すという考え方もありますし、そこはケース・バイ・ケースでいろいろな考え方があろうかと思います。いずれにしても、まだ未整理であるというご指摘をいただいておりますので、今後整理を進めてまいりたいと思います。

【安原委員長】 そうしたら、まだそこら辺の検討をしないと名称もなかなか一本に絞るというのは難しいのではないでしょうか。今後いろいろと詰めていくということでご理解いただきたいと思います。

【佐和委員】 今のお話を聞きながらですね、幾つか思いついたことがあるので、それを意見として申し上げたいと思います。
 まずですね、この資料の2-1でですね、その同じ削減量を達成する場合の経済効率性ということで各政策手法を比較しているわけですが、ここでですね、まずオークションであれグランドファザリングであれですね、排出量取引というのがですね、要するに最も良いとここに書いていますけれども、要するに効率性を達成できるということの前提としてですね、その排出源の価格がですね、プレディクタブルといいますか、あるいはその安定しているということが前提になるわけですよね。つまりどういうことかというとですね、結局、限界、削減の限界的な費用というのがですね、その価格より安い範囲内では削減すると。そして、それ以上削減してもですね、買ってきた方が安くつくというわけですよね、それ以上費用がかかるわけですから。だからそういう判断をですね、企業なりですね、あらゆる主体ができるためにはですね、価格が予測可能でありですね、しかもですね、これは1年間排出源というのは有効なわけですから、普通か一番単純な場合ですね。そうすると1年間についてですね、例えば春にですね、物すごく安いという、実際に取り引きされている価格が安かったとしますね。それを猛暑があってですね、秋になったら物すごく暴騰しているという場合もあり得るわけですね。逆の場合もあり得るというようなことでですね、そういう意味では、これが最も良いということを言えるためには幾つかの前提がいる。なかんづくですね、価格がプレディクタブルであり、安定的であるということがやっぱり必要だと。その場合ですね、世界の市場とリンクすればある程度まで安定化することができる。つまり日本だけが暴騰をしてもですね、外国で安ければ外国で買ってくればいいではないかということですからね。ところがですね、国際的な排出源取引市場というものがですね、成立する、成り立つというまでにはやっぱり相当時間かかるわけですね。そういう意味でですね、なかなかこの排出量取引というのは、私は結論からいうとですね、一網打尽であるのではなくてですね、何か一部の産業についてですね、条件を満たすような産業についてその範囲内でやるとかですね、何かそういう部分的なものにとどまらざるを得ないのではないかというように思います。
 それからですね、何を言おうと思ったのかな。ですから、その国際的な排出源取引市場ではですね、相対取引がやっぱり当分の間は主流であろうということですね、市場取引ではなくて。それからですね、この排出削減というふうに一言でおっしゃるわけだし、どこにでもそういう書き方をしているんですけれどもね、排出削減の限界費用というのは何なのかということを考えるとよくわからない面があるわけですよ。例えばものをつくっている企業があるとしますね。そうするとですね、原単位を改善するためには投資をしなくてはいけませんよね、費用がかかると。しかしですね、生産量が減れば排出量は減るわけですね、原単位を全然改善しなくても。生産量をどんどん減らすということで排出量を減らすというのは、これは何なのかということにもなりますよね。ですからそうなるとですね、一体費用って何なのかというのがよくわからなくなってくるんですよね。それからですね、あれですね。つまりその原単位の削減と生産量の調整の、いわば原単位とその生産量の積みたいな形になるわけですから、言ってみれば。ですからそうなるとですね、もし仮に非常にその高い税金をかけるとか、あるいは排出量取引でですね、排出源の価格が物すごくその高くなった場合はですね、企業が生産量調整するというようなことで、これは非常によくないことなわけですよね。結局ものをつくろうと思ったら高くついてしようがないと。輸出契約も破棄するなんていうことにもなりかねないわけですね。その辺の問題というのをある程度ちゃんとクリアする必要があると思いますし、これからはですね、私は、これはまた直接、直接、間接、関係のあることですけれども、もうちょっとですね、何かこう日本は限界削減費用が高いとかいってですね、それは当然のごとくおっしゃるけれどもですね、そのコストって一体何なのかと。例えばアメリカ人にですね、そんな大きな自動車を乗るのはやめてもっと小さな自動車に乗ってくださいよと。そうするとものすごく排出削減ができるわけですね。しかしそのときにですね、アメリカ人、多くのアメリカ人はですね、自分たちはものすごい精神的コストを払っているんだぞということを言った場合にですね、一体その精神的コストというのはどう評価するのかとかいうこともありますしですね、そういうこともあって、むしろですね、それから、どうも限界費用曲線というのがいわば所与であるかのような議論をするのはやっぱり議論の立て方としてはおかしいのであってですね、限界費用曲線をどんどんですね、より、こう何ていうんでしょうかね、フラット、フラットって変ですけれども、つまり限界費用をいかにして下げるかということをもっと考える。そのためには、政府がですね、インフラの整備をやるとかですね、あるいは、技術革新をプロモートするとかですね、いろいろなことによって、何か限界費用曲線がびしっと決まったものというのでは、動かしがたいものとして存在しているかのような感じでの議論というのはですね、やはりおかしいと思うし、同時にまず政府の役割というのはそういう限界費用曲線をですね、なるべく下げる、何か表現難しいんですけれど、
 低くするということがやっぱり政府の役割だと思います。
 以上です。

【寺門委員】 順番にありますけど、排出量取引の場合、今、佐和先生おっしゃったことと少し関連するかもしれませんが、このときに点がいろいろ書いてあるわけですね。書いてあるけれども、何が一番その国あるいは国民、事業者にとってですね、何が一番その重要かということがね、同じようなレベルで書いてあるんですけれど、要するにここははっきり言ったら、自由主義経済をある程度捨てるということを書かないといけないんですよね。要するに、ここはいろいろ書いてありますけれど、初期配分を適切に行うなんて、こんなレベルの話ではないわけですよ。これは、はっきり言ったら、あなたはこれだけしか食わせないと。要するに米の配給と一緒なわけですよ。そういうところに戻るということをね、やるということなんですから、それは、もう要するに今までのその自由主義の経済からは全く脱却するということをね、意思決定すると。国としてね、要するにもう社会主義経済に入るんだということを意思決定するかどうかという、政治的な大きな選択を迫っているわけですよね。この場合には明らかに闇経済が発達するということをはっきりと書いておかないといけないんですよ。そんな生易しいリスクではないんです。これは猛烈なリスクを持っているということをね、それを逃れる、逃れるというか、緩和する方法があるのかどうかというところがね、知恵がないんで、私としてはまずそこを本当に乗り切れるのかどうかという議論をしない限りね、この程度に点でぶつぶつぶつと書いてですね、何となく消えているんというのではね、これは全くその議論が進まないというふうに思いますので、そういうところをはっきり、何が一番そのポイントになるかということをね、重要だと思うんで、ここは書いた方がいいと思います。

【佐和委員】 今、その自由主義経済とおっしゃいましたけれどですね、つまりですね、二酸化炭素の排出を有料にするということですよね。ですから、そのときにですね、仮に世界の市場があって、欲しければ世界の市場で幾らでも買ってこれたらですね、別に生産量に制約を課するということはないわけですよね。

【寺門委員】 それは何についてですか。

【佐和委員】 いや、排出権取引について。

【寺門委員】 排出権取引。それは国際的な話をしているんですか。

【佐和委員】 いや、ですから国際的には市場があって、欲しければそこで幾らでも買ってこれるんだったらですね、別に生産量に対して政府が制約を課するということにもならないわけですよね。

【寺門委員】 それは、国際市場があるとしてね。

【佐和委員】 あるとすれば。ところがそれが成立……。

【寺門委員】 それを余り……。

【佐和委員】 だから、それが成立しない前に日本だけで排出権取引なんかをやれば、とにかくそのCO2の排出量に対して3億トンなら3億トンという縛りをかけるわけですから、結局その年度末になってですね、例えば寺門さんの会社がどこかと輸出契約をしていて、さあ生産しようと思ったらですね、排出源が足りないということで買いにいったらめちゃめちゃ高いと。こんなのではとても、生産をやめたというふうに……。

【寺門委員】 私のところもあるでしょうけれど、国民の皆さんそのものが、お金を持っている人は要するに買うと。要するに買うと、排気を買うということなんですよ。そういうことになるんですよという絵が皆さんの頭の中になくて、何となく総量が規制されたら達成できる。それで、しかもそれは流通しているんだからどうぞお買いなさいという、そういうふうにね、非常に、だまくらかすといったらおかしいんだけど、それは安いわけですよ。だけどそれはどういうことがその世の中に起こるかということをね、やっぱり知っておいてもらわないとね、これは非常に間違うということなんですよ。

【佐和委員】 だからその辺が、少なくともこのきょうのリポートの中には一言も触れられていませんし、だから、繰り返しになりますが、国際市場があって初めての話だと思います。

【寺門委員】 フリーにね。

【佐和委員】 フリーに。

【西岡委員】 基本的には世界的に環境面から経済活動に一つの制約ができた、あるいは今までただだった環境資源が有価の資源になったということです。それは、まさに米の統制が国内でできたと同じような状況が生じていると考えていいのではないでしょうか。限られた資源をその中でどう取り合うかというのは、自由主義経済ではまず国際的取引市場でもって決まるものである。そういった自由取引きの体制ができなければかなりひずみがでる。そう考えると、最初に寺門さんがおっしゃったその米の統制経済が世界的にでてしまっているということをすべきだと考えてます。

【佐和委員】 あえて一言つけ加えればですね、クリーン開発メカニズムというものが制度化されていることによってですね、完全に縛りがかかっているわけではなくて、その縛りを緩めることはできるということです。

【浅岡委員】 経団連で自主行動計画は減らしますよと、言う約束をしていますとおっしゃっているわけですけれども、この部分はそれはそれでいいんですよね。今、寺門さんいろいろおっしゃったことと矛盾すると思いますが。

【安原委員長】 ここは、今、全体のその排出権取引の話を、国内での排出源取引の話をしているので。

【浅岡委員】 しかし、自主行動計画というのも、これも減らしますということを守りましょう。

【佐和委員】 浅岡さん、原単位の中では無理です。

【浅岡委員】 いや、総量でやっている部分もあるんですよ。

【安原委員長】 総量のケースもある。

【浅岡委員】 総量ケースもあります。

【佐和委員】 それは少ないでしょう。

【浅岡委員】 いえいえ、鉄鋼などはむしろ総量でしか言われなくて……。

【寺門委員】 これはそれぞれの業界ごとに原単位のケースもあるでしょうし、総量でやろうというケースもあるし、両方を目標にしてやろうというケースもあるし。

【佐和委員】 総量で言えば、しかし、自分で自分の首を縛っていることになるよね。

【寺門委員】 いやいや、だからそれは、だから改善するというそのものが加わって自分たちでこういう目標に向かっていこうということですから、自分たちで改善しようということですから。だけれどそれをね、むやみやたらに、例えば50%削減しないんだったらそれはもうついていかないというふうに外れるでしょうね。これは外れるでしょう、これはそのみんなの総意でやるわけだから。そうすると、それはその非常に見えにくいとおっしゃるけれども、少なくとも総意としてはこういうふうにもっていきましょうねと。自分たちの、その10年あるんだからこのぐらいのもくろみをやろうねと、こういうことをそれぞれが出すわけですよね。業界単位で出しているんですよ、これは業界単位で。だから鉄鋼業の場合は10%プラス15%。これは廃棄物を、プラスチックね、今の容器で出てくるプラスチックを、これは国から流通がちゃんとできて我々に引き取れるような状態を先につくってくだされば我々はちゃんと使いますと。石炭のかわりにそれを使いますと、こういうふうに約束しているわけですよ、鉄鋼業の場合はですよ。それで、それは総量でいっているわけです。もちろんそれは原単位も含めていっているわけです。

【佐和委員】 そのときに、やっぱりクリーン開発メカニズムとか共同実施なんかでですね、稼ぐ部分で補うということも考えたわけでしょう。

【寺門委員】 そこまではまだね。だから皆さんがおっしゃるようにね、何かね、もう何か100点満点のような話をどんどんされるけれども、もっと柔軟性があるということなんですよね、はっきり言うと。柔軟性があるということは約束できないでしょうと、こういう言葉になるけれども、そういう言い方をしていたらね、いつまでたっても進まないんですよ。何か100点をとるような話ばっかりでね、99点でもおまえはだめだと、バッテンだと、そういう話ししたらね、ここは、だから炭素税の、佐和先生が言ったけれど、結局把握というか、その効果はね、どれだけ出るかというのは見えないわけですよね。見えない。だけれど、それは片方では容認せざるを得ないねと。政策なんだから容認せざるを得ないねと、そこはもう非常に寛容なわけですな、物すごく寛容。我々には物すごく寛容じゃない、要するにはっきり言ったら。我々がここまでやろうと言っているんだけれど、寛容じゃないと。そこは、だから自分で自己主張しているだけだと言われれば、ああそうですねと。だからよく市議会で議論してくださいと、こう言っているわけです。それがだめだというなら、それはどういうふうにしたらいいんですかということを言っているわけです。別にその門は開いているんですよ。だけど具体的に、だからそれはどうして、まず自主行動計画のことは、私どうでもいいんですけれど、要するにこの政策手法の中の排出権取引でいくと、それから税の問題ね、税の問題の場合に、少なくともその税というのは、さっき佐和先生がおっしゃったように原単位というのがあって量があると。我々が改善したときに、例えば10%税がかかったとしますね。そうすると単価の上に10%乗ります。我々は、例えば10%カットしたら税を回収できるのはこのうちの1%しか回収できないですね。全体の中で1%。要するに税の中の10%しか我々は回収できないということなんですよね、そうでしょう。税が上に10%乗っていますと。我々は、10%を自分たちで投資して、10%、これは回収しようとしてやるわけですけれど、税としては10%。10%の中の1%しか回収できないということなんですよね。ということは、常にそれが重荷になっていくということなんですね。それは国がやってくださると。どこかでやってくださるということをお預けするということなんですね。国の方に、要するに対策をお預けする。対策をどうぞやってくださいよと。お国の方で研究なり投資なり何でもやってくださいと。こういうことをお国の方に要するにお預けするということなんですよということをね、みんなが理解しないといけないと。我々はその回収しようと思っても、10%削減してもね、税としてはその10%しか削減できないと。税も10%しか削減できないと、こういうことですから、常に90%はまた取られるわけですね。だからこれはね、経済的にはまことに負担であり、本当にインセンティブなのかということ。皆さんは重くすればインセティブが働くというけれど、これは本当にインセティブなんですかということをよく理解する。僕の主張が間違っていたら言っていただいて結構なんですけど。

【浅岡委員】 途中なんですけれども……。今、お話でも大体わかるかと思うんですが、寺門さんのお話からみましても、業界で総量での行動計画もつくっていらっしゃる訳です。総量で減っているように見えても原単位が悪くなっているという現実もあるけど、余りそれが表に出てきていない。この前の報告書でもその部分の記述がありませんでしたけど、総量による方式をとっておられるということは、ある意味で、今、西岡先生がおっしゃったようなそういう流れというものは、それはそれでご理解になった上で動き出しておられて、自主的な部分を尊重してほしいというご意向が強いということだと思います。それはそれでお聞きするとして、おっしゃるように具体的に最後はどうなるのかについては、それはあくまで努力目標なんですよという部分が残ることになります。それではやっぱり大変でしょうと、ひょっとしたら大変なことになりかねないし、国際的にも議定書に法的拘束力を持たせることへの仕組みづくりの交渉の中で日本がとてもそれに抵抗しているわけです。日本の主張はもう本当に異端……。

【寺門委員】 ちょっと言わせてくださいよ。

【浅岡委員】 だからそういう部分は、それは寺門さんのおっしゃるような部分はやっぱりある。それをどういうふうに工夫をすればもっと確実性を持たせられるかという議論をいたしましょうということだと思うのです。炭素税についてもお預けするのではなくて、私は決して産業界はそれをお預けしたりなんかなさらずご意見も言われて、その意見が反映されるだろうというふうに思いますので。

【寺門委員】 だから、いいですいいです。要するにね、自主行動計画というときに、例えば総量というふうにいったときにね、これは、要するに例えば業界でこれだけしかつくらないんですよというふうに仕切るということはね、これはまさに独占企業であるし、そういうことはね、要するにそういうことを全部ね、その片方ではね、あるところではそういうふうにいじめられますね、それで、片方ではそういうことを抜きにしてありますね。そういう前提が我々に与えられている中で、どういう選択肢の中で努力するかということを言っているわけですね。だからあくまでもこれは目標ですと。それをこれだけですといったらね、だれだそれを仕切っているのはと。まさに談合ではないかと、こういうふうになるわけで、それはできないということなんですよね。今の仕組みの中ではそういうことはしてはいけないということの前提の中でどうするかということだから、みんなでその目標に向かうと。目標は達成しないのではないかとか、それは達成……。100点はとれないかもしれないけど、99点の場合もあるし、120点の場合もあるし、これはわからないと。しかしそれは許さんといったときから、もう少し僕の世界からは脱出してしまうと。【浅岡委員】 100点とらなければいけないとだれも言っているわけではないけれども、どなたもより確実によくしようということは、小学生から大人までいつも言っていることですから、そういうことを議論しましょうという話なのです。私は、寺門委員もおわかりだと思いますけれども、寺門さん自身も議論を整理しながらやったらいいと思います。

【安原委員長】 大変な議論でございますが、この点は、やはり確かに一つの今後の大きな排出権取引の場合の検討課題だとは思います。要は生産を規制しているのではなくて排出量をキャップをかぶせると。生産、その原単位の問題をどうしたらでは下げていくかということはあるわけですけれど、そういう努力をしていただく前提で、生産ではなくて排出量のキャップをかぶせると。それが生産上どうしてもそのキャップを超えて必要になった場合、他の事業者等から市場を通じて排出権を買ってこれるという可能性があれば、それはそれで動いていくわけですね。ですから、そこの売買が確保できるような環境が整備されるということは必要だと。それは、佐和さんの場合は国際市場ができておればそこから買ってこれるではないかということ。まだ国際市場が未整備の場合に国内でどの程度の売買が行われる見通しが立つのかですね。

【寺門委員】 市場の方はね、その話はどうでもいいんですよ。要するにどういうふうに、
 あなたはこれだけですという配分するということ自身がね、まずそれが納得できるかと。納得できるかというところですね。要するにそこから始まるわけですよ。いや、それは生産量というのではないぞ、エネルギーだと言っても、これは同じだということなんです。要するに同じだということですよ、ものであろうと何であろうと同じだということです。要するに、おまえにはこれだけしか食わせないという意味です。1級米か3級米かは別にしても、米しか食わせないと。

【安原委員長】 だから、この排出権取引制度についてそういう柔軟性をどう確保するかということが大きな検討課題だということだと思います。これは、いろいろこれから決めていかなければいかん重要なところだろうと思います。

【寺門委員】 だから、それは最大の課題なんで、そういうことをやっぱり書いておかないといけないと。

【安原委員長】 グランドファザリング自体やり方が難しいということもある。それも重要なポイントだと思います。あと、いかがですか。予定の時間を少しもう過ぎてしまいましたんで、きょうはちょっとまだ生煮えでございますが、また、足らざるところは次回議論するということで、きょうのところはこれぐらいにさせていただいたらどうかと思います。
 それで、あとはせっかく用意していただいた参考資料がありますね、その資料の紹介だけでもしておいていただけますか。

【環境保全対策課補佐】 それでは、参考資料の紹介をさせていただきます。
 参考資料の1でございますが、A3の比較的大きな横の資料でございまして、各種地球温暖化対策の進捗状況に係る参考資料というものでございます。表紙に書いております施策の一覧は、前回、第1回会合で資料としてお示しいたしました温暖化対策推進大綱をつくった際の考え方の基本となります施策の一覧でございます。それぞれの施策について過去から見てどのぐらい一体進んでいるのか、いろいろきちんと見ていくことが必要であろうというご意見を前回賜ったことを踏まえまして、事務局として関係省庁のご協力を得ながら作成をしてみました。見ていただくとわかりますように、それぞれの対策について可能な範囲でいろいろな統計指標から進捗状況を見るための参考となるデータをグラフ化しております。ただ、これは必ずしもそれぞれの施策を代表、完全に代表している指標でもございませんし、ケース・バイ・ケースで、本当に傾向を見るだけというものもございますので、あくまでも参考ということでございますが、逆に申しますと、現時点でこれ以上のデータを得ることは非常に難しいということを、これは関係省庁ともご協力を得ながらつくったものでございますということをご説明申し上げます。
 それから、時間の関係で中身は省略させていただきますが、次に、諸外国における取組状況ということで参考資料の2をつけさせていただいております。こちらにおきましては、前回の第1回会合でご質問がありました米国におけるそのどのような取り組みをしているのか。あるいは、中国、インドはどのような排出状況になっているのか。各国のそのGPP値、あるいは石油一、二年あたりのCO2の排出量というのは一体どうなっているんだろうかというご質問をいただいた点について回答しております。最後のページはですね、オランダにおける協定につきまして、一体どういう位置づけのものかというご質問を佐竹委員からいただいたかと思いますが、そのあたりにつきましてもある程度情報収集をいたしまして、法的位置づけとしては民事契約による合意ということになっておりますが、そのことも含めて情報を整備しております。
 資料3でございますが、こちらは先般行われました地球環境保全に関する関係閣僚会議の席上報告を申し上げた1998年度の温室効果ガス排出量につきましての発表データでございます。
 それから、参考資料の4-1、4-2、こちらも同様に地球温暖化対策推進本部で報告をいたしまして、了承をされました大綱のフォローアップの資料でございます。大綱に定められました種々の対策につきまして、政府としてどのような取り組みをこれまで行ってきたか。また、今後どういう点を進めていくかということを、全体をまとめた資料でございます。
 以上でございます。

【安原委員長】 ありがとうございました。
 それでは、参考資料の方はお持ち帰りいただきましてお目通しをいただき、また何かご質問等がございましたら事務局の方によろしくお願いいたします。
 それでは、きょうはこのぐらいで議論を終えたいと思いますが、次回以降でございますが、本日の議論も踏まえまして、より具体的なポリシーミックスのオプションを事務局の方で作成してもらいたいと考えております。つきましては、各委員がこれは望ましいのではないかと思われるようなポリシーミックスのオプションがございましたら、事務局の方に、ファックスででも結構でございますので、送っていただければと思います。きちんとしたきれいな形になっていなくても、アイデアの段階でも結構でございます。何とぞいろいろと案を寄せていただきたい。きょうはあくまでこれはそういう議論をしていただく素材になるたたき台でございますので、これに限られたわけではございませんので。いろいろなポリシーミックスがまだ考えられるわけでございますから、それを各委員の方でどんどん考えていただきたいと。これはお願いでございます。
 それから、次回以降の日程でございますが、お手元に日程調整表をお配りしておりますので、これでご都合を連絡をしていただきたいと。これをベースにしまして調整しまして、10月中旬ぐらいに第3回目の会合を開きたいと思います。日程が決まりましたら事務局から連絡をさせていただきます。
 それでは、きょうは長時間にわたって熱心なご討議ありがとうございました。これで閉会とさせていただきます。