中央環境審議会企画政策部会第2回環境基本計画小委員会会議録


1.日  時  平成12年7月19日(水)14:00~17:00

2.場  所  通商産業省別館939号会議室

3.出 席 者

 (委 員 長) 安 原  正

          浅 野 直 人      幸田シャーミン

          小早川 光 郎      三 橋 規 宏

          村 岡 浩 爾      村 上 忠 行

          太 田 勝 敏      猿 田 勝 美

          廣 野 良 吉

 (環 境 庁) 太田企画調整局長     青山企画調整局企画調整課長

          小木津企画調整局調査企画室長

          細谷企画調整局環境計画課長

          大林企画調整局環境計画課計画官

4.議  題

  (1)環境基本計画見直しについて

  (2)その他

5.配 布 資 料

  ○資料 新環境基本計画第一次素案

6.議  事

(環境計画課長) それでは時間が参りましたので、中央環境審議会企画政策部会、第2回環境基本計画小委員会を開会させていただきます。

 開催に先立ちまして、まず資料の確認をさせていただきたいと思います。本日お配りしておりますのは、まず、新環境基本計画の第一次素案でございます。それから、その後ろに長期的目標の位置づけについてという簡単な図がございます。それから、本日欠席の先生方3名から、天野先生、寺門先生、福川先生、ご意見をいただいておりますので、これをおつけしてございます。それから、机の上に検討チームの報告書がございますが、これは非常に大部でございまして、全部をながめながら議論をするというのも難しいと思うことがございまして、この報告書の概要をかなり単純に整理したものでございますが、これが机の上にございます。これにつきましては、また、次回以降も使うことになると思いますので、会議終了後回収の扱いにさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

(安原委員長) それでは、ただいまから第2回環境基本計画小委員会を開催いたしたいと思います。

 本日は、前回議論をいただきました新環境基本計画骨子案というのをもとに、前回の議論を踏まえまして、事務局の方で第一次素案を作成していただきました。これに基づきまして議論をしていただきたいと思います。

 中身は、見ていただきますとわかりますように、第1部と第2部につきまして肉づけをしていただいております。まだ前文は最後になろうかと思います。全体をまとめていただきました後、前文の議論をしていただきたいと思います。

 それから、第3部、第4部は、また次回以降ということでございます。項目だけしかまだ入っておりません。

 それでは、事務局からご説明をお願いいたします。

(環境計画課長) それでは、第一次素案につきましてご説明を申し上げます。

 本日は、ただいま委員長からございましたが、前回骨子案に挿入部、すなわち第1部、第2部、これを前回のご議論を踏まえまして肉づけしたものでございます。ご意見のすべてをうまく文章化できたかどうかちょっと自信がないところでございますが、可能な限り整理させていただいております。ただし、最後につきましては、まだ文章が熟さないと、こういう部分もございますし、なお引き続き整理を要する部分もございます。本日以降のご議論を踏まえまして、また適宜修正はしていきたいと、こういうふうに考えておりますので、あらかじめご理解をいただいておきたいと思います。

 なお、下線を付した部分がこの中にあるわけでございます。その部分につきましては、この答申の第一次素案の下の方にございますように、文中下線を付した部分は調整中ということでございまして、ちょっとまだペンディングの性格が現在強いと、こういう部分であるということでご理解をいただきたいと思っております。

 それからまた、この資料につきましては、できるだけ事前にお目通しをいただきますために、未定稿の形でございましたが、お送りしてございます。本日の説明は、前回の骨子案との変更点を中心に、簡単にご説明をいたしたいと存じます。

 それでは、まず第1部でございますが、この部分につきましては、骨子案におきましては、柱書きの部分をお示しいたしておりまして、あとは記述の方向のみ記してございました。今回は2ページから13ページにかけまして、具体的な記述を行っております。前回、1ページから2ページにかけての部分につきまして、それ以後の部分と重複するのではないかと、こういう疑問の提起があったわけでございますが、10ページにわたってかなり細かい記述を行っております。そこで、この部分で概括的に要約することによりまして、第2部以降へつながるストーリーが理解しやすくなるのではないかと考えまして、1ページから2ページにかけて柱書きを残してございます。

 次に、1の環境問題の現状のところでございます。これ以降がつけ加えたものでございます。

 まず、この部分は環境の状況と環境問題の構造変化、これに分けて記述してございます。環境の状況につきましては、地球環境の状況、これと我が国の状況に分けて記述しておりますが、地球環境の状況につきましては、項目だけ追って申しますと、温室効果ガスの状況、1つ目が冊子の方に書いてございます。それから、3つ目の段落になりますが、オゾン層の問題。それから、酸性雨の問題。それから、森林の問題。そのような問題につきまして整理をさせていただきまして、最後に、野生動物の種の減少、こういう問題について触れております。

 それから、(2)の我が国の環境の状況でございます。これにつきましては、大気環境、水環境、廃棄物・リサイクル対策などの物質循環に関するする問題、化学物質、自然環境、環境上の「負の遺産」、こういう形で主な項目を拾いまして、それぞれ記述いたしました上で、一番最後の○におきまして、環境の状況は楽観をゆるさないものであると、こういうことを総括として述べさせていただいております。詳細につきましては、データ的なものに基づく記述でございますので、説明の方はちょっと省略させていただきたいと存じます。

 次に、4ページ以下の環境問題の構造の変化の問題でございます。これにつきましては、戦後、高度成長期までと、それ以降で環境政策の変化を見ますような大きな構造変化が見られる。20世紀の最後の10年でそれがさらに顕著なものになっていく、こういうことを最初の○で述べております。

 その上で、2つ目の○以降で、それを具体的に整理しております。

 なお、2つ目の○では、現在の環境問題の多くが、通常の事業活動、あるいは日常生活一般などの経済活動が起因し、その原因が我々の経済社会の構造に深く組み込まれているんだということ。それから、不特定多数のものが原因者であるケースや、原因者が同時に被害者であるケースが一般化していると、こういうことについて触れております。

 そして3つ目の○では、長期的なスケールで影響をもたらすおそれがあり、また、発生メカニズムや影響の科学的解消が十分でない問題がふえていると、こういうことが書かれております。

 4つ目の○では、さまざまな生態系において、その健全性の維持が困難になってきているということ。

 さらに5つ目の○では、水循環の問題。

 6つ目の○で地球規模の問題、こういうようなことを触れております。

 そして、地球環境の問題につきましては、個々の地球環境問題を1つの地球規模の問題群としてより包括的にとらえる見方を強化していくことが必要だと、こういうことが書いてあります。

 そして次に、2の経済社会の動向と環境の問題でございます。今度の計画も21世紀の半ばを見通して施策展開を図っていくと、こういうことになるかと思いますが、その際に踏まえておくべき状況というものを明確にすると、こういう観点から、今後の経済社会の中期的なトレンドを踏まえまして、それが環境問題にどういう影響を与えるのかという点からの記述を行っております。

 順を追って参りますと、最初の○から6つ目の○まで、これが国際的な状況に関連するものでございます。

 最初の○は、世界人口の動向。以下、先進国に偏ったエネルギー消費。地球の容量の制約の中における持続可能な発展の重要性。我が国の先進国としての責務。世界経済のグローバル化を背景とした地球規模の環境政策の確立の動き。さらに、我が国の国際的な環境政策枠組みづくりやイニシアティブの発揮の必要性と。こういうことについて触れております。

 7つ目以降は国内情勢でございまして、人口動態。そして、人口動態の環境への影響。国民意識の変化やライフスタイルの転換に向けた具体的な行動に直結していないという状況。さらに国土の現状はどうなっているか。情報通信技術の革新、これはプラス面の可能性とマイナス面の影響があるというようなこと。それから、環境技術、産業構造の変化。こういう問題につきまして、それぞれ記述を行っております。

 次に7ページの下から始まっておりますが、環境基本計画の策定後における環境政策の展開。この部分におきましては、環境政策面の進展を外観いたしまして、後に出てまいります環境政策の課題、これにつなげる記述を行っております。この部分におきましては、環境基本法を目指す環境政策の総合的な展開、これがどの程度確保されたのか。環境政策の政策手法というのはどの程度進展したのか。この2点を見た上で個別環境分野における環境政策の展開の状況、これを外観しております。

 (1)の方の1つ目の○を見ていただきますと、ここでは前進したものの評価、これを行っております。地球の温暖化でございますが、廃棄物・リサイクル対策、化学物質対策、生物多様性、これについてはそれなりの進展があったと。そういう総合的展開のための枠組みの整理が進みまして、環境と経済の統合の基礎が整えられつつあると、こういうことを述べております。

 また、2つ目の○、これは今後の課題となる点を記述いたしているところでございます。この辺につきましては、まだちょっと本当にこういう評価でいいのかと、そういう問題がございまして、ここら辺につきましては、まだ少し議論の余地があろうかというふうに思っております。

 それから3つ目の○でございますが、これはちょっと特筆すべき論として、地方分権に伴いまして、地域のレベルで環境政策の総合的な展開を図っていくための基本が整ってきた。こういうことを記述いたしております。

 それから、次に(2)の政策手法の展開でございますが、政策手法といいますのは、自主的取組手法、情報的手法、手続的手法、こういう分野を中心にしまして、新しい手法の開発が進んだと、こういうことを記述いたしております。

 それから2つ目の○で、これらの手法について、なお開発が必要であること、経済的手法の状況はどうなっているか、あるいは政策手法の適切な組み合わせの必要性があると、こういうことについて記述をいたしております。

 それからまた、(3)におきましては、地球の温暖化対策、大気環境、水環境・土壌環境、物質循環、化学物質、自然環境、これらにおきまして、それぞれその分野におきましてどういう展開があったのかということを簡単に述べております。この辺につきましても、まだいろいろ追加すべきところがあるのではないかと、そういう議論もまだ行われておりまして、もし追加すべきものがあるということであれば、資料の追加になるようしていきたいと、そういうことを考えております。

 このうち、地球温暖化の部分につきましては、温暖化対策の経緯をまず述べておりまして、それから、京都議定書の目標を遵守するための国内制度の構築の必要性、こういうものについて触れているところでございます。

 次に11ページから一番下のところから、参加というのがございます。ここの部分におきましては、参加の面においてどういう前進があったのか、こういうようなことを1つ目の○で整理してございます。例えば国みずからの行動への環境配慮の織り込み、これにつきましては、率先実行計画がつくられたと。それから、政府調達の分野について、いわゆる「グリーン購入法」が制定されたと。そして、地方公共団体におきましても、地方分権推進一括法の成立によりまして、地域における環境保全施策の推進主体しとての役割が強化されたと、このようなことを述べていますし、事業者の取り組みに関しては、経団連を中心とした地球温暖化対策、こういうものが進められたということ。それから、環境会計やらISOの取得、こういうものが本格化してきたと、そんなような事柄について述べられております。

 それから(5)のところでございますが、これは国際的取り組みでございまして、これは国際的な枠組みはどういうふうに形成されてきたと、それから、国際的な動きが国内にどういう展開をされてきたのかと、こういうような問題を今触れております。

 最後の○では、国際的なリーダーシップを積極的に発揮していく裏づけとして、国内対策を一層充実・強化していくとともに、一層のイニシアティブをもって国際的取り組みをリードしていくための体制の充実が必要なのだと、こういうようなことを述べております。

 次に、4の21世紀初頭の環境政策の課題でございます。これにおきましては、以上のような事柄を踏まえるような形で、まず最初の○で、持続可能な経済社会の構築に向けて一定の前進は見られるものの、環境をめぐる状況は総じて環境行政の進展を上回る速度と広がりで困難さを増しており、このまま推移すれば、持続的発展が可能な経済社会の構築に大きな障害となることが懸念される、こういうことを述べております。

 また、2つ目の○では、21世紀初頭におけます環境政策の課題を挙げております。この部分につきましては、前回の骨子案で並べておりましたもののところを若干まとめる等の整理をいたしました上で記載をいたしております。

 なお、この部分におきましては、個別環境問題の課題は挙げておりませんで、それらはむしろ第3部の戦略的プログラムにおいて、それぞれ必要に応じて記載をしていくと、こういう整理を予定しております。

 以上が第1部でございまして、次に第2部でございますが、ここでは、このような環境政策の課題を踏まえた21世紀の初頭の環境政策について記述いたしております。

 他の4つの長期目標の関係につきまして、前回の小委員会におきましてご議論があったところでございまして、小委員長のご指示に基づきまして、整理のための資料、これを用意しております。先ほどご紹介しました図でございますが、これにつきましては後ほどご説明いたしたいと存じます。

 まず、内容でございますが、13ページの1の持続可能な経済社会を目指して、この部分におきましては、若干言葉の整理は行っておりますが、骨子案で参考と示してあった4つの長期目標の部分、これを条文として取り込んだ骨子案を踏襲いたしております。

 次に16ページでございますが、ここで持続可能な経済社会に向けた環境政策の展開ということで、それぞれ持続可能な社会をつくっていくためには、こういう方向で環境政策を展開していかなければいけないと、こういうようなことを述べるものでございますが、このうちの(1)の部分、これは若干語句の整理を行った上で骨子案をそのまま踏襲いたしております。そして、(2)以下の部分につきまして肉づけを行っております。

 17ページの(2)の部分でございますが、ここにおきましては、まずあらゆる場面に環境配慮を織り込んでいくことが必要だと。そこで、あらゆる場面への環境配慮の織り込みと題しまして、1つ目の○では、持続可能な経済社会を構築していくためには、国民意識やライフスタイルが変わって、行動におのずから環境配慮が織り込まれていくが必要であるということを述べております。

 2つ目の○では、経済社会をそういう行動をとりやすいものにしていくことが必要なんだということを述べております。

 そして3つ目の○では、国民の意識やライフスタイルの転換、そして、経済社会のあり方の転換、この2つは同時並行的に進めなければいけないということでございまして、さらに国民の経済社会活動の前提となっている経済社会システム、社会基盤、国土利用、こういう3つの点には特に環境配慮を織り込むためのメカニズムを導入していくことが必要と、そういうことを述べております。

 その上で国民のライフスタイルの転換の方向性ですとか、経済社会のシステムの構築、社会基盤整備、国土利用における環境配慮の組み込み、このそれぞれの○のところで整理をいたしております。

 次に(3)のあらゆる政策手段の活用等でございますが、これにつきましては、最初の○と次の○に行きまして、あらゆる政策手段の活用とポリシー・ミックスによる相乗効果の波及による環境政策の効果的実施、施策展開に当たっての自主的な環境保全のための行動の促進、環境コストの内部化、意思決定過程等への環境配慮のシステム的な組み込み、この辺の問題を特に留意しなければいけないということを記述いたしております。

 その上で、①の経済社会のグリーン化メカニズム、これから④の科学・技術、この4つに分けましてそれぞれの活用の基本的な方向性を示してございます。

 経済社会のグリーン化メカニズムにつきましては、グリーン化メカニズム自体は経済社会システムに環境配慮内在化させていくための仕組みとして提示してございますが、主として経済社会システムの構築に当たって、政策手法として用いられるというものでございます。これにつきましては、個々のメカニズムの適正分野、あるいは射程を踏まえて適用しなければいけないと。その適用に当たっては、その分野にもっとも適正する政策手法を中心として、いわゆるポリシー・ミックスの考え方、ベスト・ミックスの考え方、これに基づきまして、可能な限り政策パッケージ化を図りつつ適用するんだという基本的な方向を示しております。

 そして、Ⅰの直接規制的な手法から、Ⅵの手続的手法、これは検討チームにおきまして検討をしていただいてこれを要約しておりますが、そのような事柄についてそれぞれこういう分野で適用を図ってくるのだろうと、そういうような事柄について述べております。

 経済的手法はちょっと厚くなっておりますが、この部分につきましては、ほかの手法と比較しながら、経済的手法が適する場合には、やはりそういうものを進めていく必要があるだろうと、そういう事柄を中心に書いてございます。

 そして、あと自主的な取り組み手法、情報的手法、手続的手法、こういうことにつきましては新しい分野でございまして、こういう分野について適切な位置づけをしていく必要があるだろうということでございます。特に自主的な取り組み手法につきましては、関係者が自主的に専念してやっているというだけではなかなか難しいと、やはり第三者がある程度関与していくような仕組みというのを確保した上で、政策手法として明確に実現していくことが一番建設的な方向なのではないだろうかと、こういうことを述べております。

 そして、20ページの一番下のところからは環境のための投資ということで、環境投資のシーンを整理したような事柄、これを中心に整理いたしております。

 まず一番最初、21ページの○でございますが、ここでは、環境投資の位置づけとしまして、まず必要なことはあらゆる投資に環境配慮を織り込んでいくことであると。そして、その先導的役割を果たすものとして、環境投資というものを積極的に推進する必要があるということを述べております。その環境投資の中身につきましては、そこで「・」で4つ並んでおりますが、環境負荷の低減、処理のための投資、環境の維持・復元、創造及び健全な利用のための投資、資源・エネルギーの使用の削減、効率化、再生可能なものへの転換等のための投資、持続可能な経済社会に関する技術開発、モニタリングのための投資と、これをいわばこれからの投資の重点的な分野の1つとして進めていく必要があると、こういうことを述べております。

 以下、その投資に関して留意すべきいろいろな点、そういうものをいろいろと整理をいたしておるわけでございます。これにつきましては、ちょっと省略させていただきたいと思います。

 次に③の環境教育・環境学習でございますが、ここでははっきりと環境整備というのは環境政策の政策手段として活用していくんだと、そういうような事柄の理解を踏まえまして必要な記述を行っております。

 環境教育・環境学習の効果といいますか、役割といいますか、各主体の環境に対する共通の理解と意識を向上させることによって、各主体の取り組みの基礎と動機を形成するということであると。

 2つ目に、このような観点から環境教育・環境学習については、基礎的なものから専門的なものまで、各主体の行動の特性を踏まえて、広く国民全体を対象として、効果的かつ実践的に実施する必要があると。ただ、その中でも、特に経済社会の中において、他の主体の行動に影響を及ぼし得るもの、あるいは次世代を担う年齢層、こういうものについては特に重点的な対策をして考えていく必要があるのではないかと、こういうことを整理しております。

 それから、プロセス重視型の学習への転換、それから、地域等における連携、ネットワーク化というようなことを述べております。

 次に科学・技術につきましては、科学・技術がこれからの環境問題に対して貢献する度合いが非常に高いと、こういう認識に立ちまして、環境の状況の把握、環境の変更の機構の解明、環境保全に関する施策の適正な策定等のため、幅広い分野の調査研究、監視・観測等を的確に行うことが不可欠だと。特に地球環境問題や化学物質問題については、必要性は高いと、そういうようなことを述べまして、以下、こういう分野で影響するようなこの分野については、特に検討の必要があると、そういう事柄をやや詳細に整理をいたしております。

 下の2つ目の○では、環境技術の開発・普及に関しては、新技術の開発だけではだめだと。むしろ既存技術の普及、新たな組み合わせの検討、ローカルな技術の蓄積、これらを「適正技術」に対する留意と、こういうものが必要であると。途上国における利用というものも念頭に置く必要があると、こういうふうな事柄について書いております。

 そして、23ページから(4)、あらゆる主体の参加でございます。この部分につきましては、従来は、各論のところでございますが、第3部第3章、ここに公平な役割分担のもとでのすべての主体の参加の実現、こういう項目があったわけでございますが、やや総論的な部分として、施策の基本的な方向として示した方がいいのではないかということを考えまして、この部分をこちらの方へ移しております。

 基本的には、前の計画にございました記述、ここら辺を中心としまして、そのものの進展を踏まえて、整理を行って記述をいたしております。特に地方公共団体なんかにおきましては、やはり分権の推進、このようなことがございますし、それから事業者におきましては、環境会計、ISOの導入、こういうことになります。事業者みずからが取り組んでいく姿勢が強くなったと、このような事柄を踏まえて必要な整理を行っております。さらにまた、NGO等の民間団体におきましては、もう少し踏み込んだ役割分担があるだろうと。

 一番最後の3つ目の○でございますが、民間団体の役割としては、具体的な環境保全活動を行うことにとどまらず、行政、事業者、個人等各主体の取り組みをチェックし、また、行政、事業者等各主体が発信する専門的情報を国民にわかりやすく伝達する等、各主体の情報や関心の橋渡しを行ったり、みずからの専門的能力を生かし、提言、行動するなど、社会的な広がりを視野に入れた取り組みが期待されると、このようなことをいたしております。

 その上の○では、いわゆる環境NGOだけではございませんで、むしろ生産者団体、消費者団体、労働組合、こういう幅広い民間団体の参加が重要となってきているんだと、こういうことを言っております。

 最後に(5)の地域レベルから国際レベルまで、あらゆるレベルにおける取り組み。

 この部分におきましては、地域規模の環境問題が顕在化してきたと、このことに伴って、国際的な取り組みが必要であるわけでございますが、地球規模の環境問題というのも、その原因が地域の人間活動に還元されていくんだと、こういう認識を示しておりまして、その上で最後の○にございますが、国際レベルから地域レベルまで、あらゆるレベルを視野におさめ、問題の解決に適したレベルでの取り組みを中心に、それぞれのレベルにおける取り組みを有機的に連携させつつ、展開を図ることとするんだと。特にアジア地域に共通する環境問題については、共通の理解と密接なパートナーシップに基づく、国内の地域関連圏を含む重層的な環境政策の枠組の構築に留意する必要があるんだと、こういうことを記述いたしております。

 以下、3の重点分野。それから、27ページ、28ページの第3部、第4部。これにつきましては、前回と同じ記述になっております。

 ちょっと走り走りで申しわけございませんでしたが、説明は以上でございます。

(安原委員長) ありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局の説明に対しまして、ご質問があればご質問をいただきたいと思いますし、ご意見をどんどん出していただければと思います。どなたからでも結構でございます。よろしくお願いします。

(廣野委員) 前回、私、海外へ出張しておりまして、参加ができませんで大変失礼いたしました。

 今回のこの資料、きょう配られた資料、それから、その前に我々に送っていただいた第一次素案というのを読ませていただきました。きょう中には現況の把握、環境政策、特に前回の策定後の展開とか、あるいはまた、21世紀初頭における環境政策の基本的な考え方等、基本的な討議の流れと申しますか、あるいはものの考え方の流れに対しては全く賛成です。そういう流れの中でこれから何を書くかということですけれども、まず第一に、全般的なことを申しますと、書いてある内容は、部分によっていろいろな意見もあるでしょうけれども、かなり正確かつ広範に包括的に書かれておられて非常にいいと思うんですが、この第1部と第2部のところでは、そういうことが要求されないのかもしれないけれども、何かパンチが効いていないですね。何か非常に平面的な、さあっと書いてあって、何かもうちょっと山の大きい起伏があるような書き方の方が、読んでいる人にとってずっとおもしろいのではないかなと。非常に平面的に書いてあって、それの一つずつは非常によいんですけれども、何か読んでいて、ああそうか、そうかで終わってしまうという、もちろんそれがまた第一次素案の目的かもしれませんけれども、第二次素案、第三次素案になるともっと違ったものになってくるかもしれませんけれども、少なくともこの段階ではちょっと山や谷のような起伏がないということに対して、ちょっと私なんか、もうちょっと起伏をつけた格好で書いた方がいいのではないかと、これが全般的なことです。

 それから、今回の環境基本計画の見直しの中で、もちろん従来のような産業活動だけではなくて、国民の生活というのはライフスタイルというのに起因するところに、環境問題の悪化ということが方々に書かれていて、これは全く大賛成です。大賛成で、ぜひそれは今後もそういう格好でやっていただきたいと思うんですが、ただ、内容の中で、もうちょっと、例えばそういうような方向での書き方を強めて書くことがいいのではないかなと。いろいろなところで散見されますけれども、例えば例ですけれども、1ページのところ、より細かなことが入りますが……。いいですか。

(安原委員長) どうぞ。

(廣野委員) 例えば、1ページの第1部の○の3つ目のところですけれども、そこに、「このような中にあって、20世紀における環境問題の構造には」と書いてあって、その後に「日常的な経済社会活動そのものを背景とした」という、日常的な社会活動そのものというのは非常に広い範囲ですから、もうちょっと限定的に、例えばですけれども、「日常的な市民生活や経済社会活動」という、「市民生活」ということを入れていくことによって、我々もこの新しい視点というものが、最初のうちからはっきりしてくるのではないか、こういうことです。だから、そういう意味では、環境問題の広がりが十分認識されるのではないかと、できるだけそういうような市民生活との関連で環境問題が悪化してきているというのをぜひいろいろなところで強調していただけることが、この新しい環境基本計画の見直しにおいて、もっとも重要な視点の1つではないかと、こんなふうに思います。同じようなことが、3ページの(2)の我が国の環境の状況の、1つ目の○の大気環境というところにも若干自動車のことが書いてありますけれども、私は自動車だけではなくて、居住とか、事務所における冷暖房というものが非常に普及してきたことが、これがやはり非常に大きな影響を与えていると思いますので、そういうことなんかも市民生活に関係することで、ぜひ強調していただきたいなと。こういう市民生活との関係で、環境問題の悪化ということを強調していただきたいこと、これが1つ。

 それから第2番目に、私自身、たまたま今回のこの見直しの中で、国際的な取り組みの方を担当したものですから、それとの関係で二、三申し上げたい点があります。一番最初に一番難しい問題提起をしましたけれども、これは議論していただきたいと思いますが、まず、簡単な方から問題提起しますと、12ページの国際的な取り組みというのが書いてあるのですが、ここには、我が国の環境ODAの拡大とか、リストに全然触れていないんですね。国際的な取り組みというものをどうとらえるかですけれども、やはり私は我が国の国際的な取り組みという中に、我が国の環境ODAの拡大というものを、これは1992年の地球サミット以降、かなり強化されてきたわけですけれども、こういうものを1つの○として、環境ODAの拡大、あるいはODA及び民間企業活動における環境への配慮というもの、特に民間の海外における環境活動、海外活動ですね、民間企業の海外投資とか、そういうものを含めますから、そういう意味で、民間企業の海外における活動の環境への配慮と、こういうものをかなり改善されてきたということをやはり書いておいた方がいいのではないだろうかと。それは事実ですので、そういうことを書いていただくということがここで重要かなと。同じような文面では、ずっと後ろの方に行きますけれども、もう1カ所ですね、ちょっと今、どこへ行ってしまったのか、もう1カ所、同じようなところで、今後の我が国の政策のあり方というところに議論しているところがあるのですが、そこでも、15ページから16ページです。国際的取組とありますけれども、やはりここでも、まさにこれからの我が国の政策の展開のことですから、ぜひそこにはそういうような環境ODAの拡大とか、それから、そういう活動におけるところの環境に対する配慮ですね、こういう面をぜひ入れていただくということが国際的取組のところで必要ではないかなと思います。こういう点で、ぜひ国際的な取り組みのところに環境ODAの問題と、民間企業の海外活動におけるところの環境への配慮というものの前進があったということと、同時に、これからもっとこれをやらなければいけないんだという、こういう面を入れていただきたいのですが。

 最後に、これは内面的な問題で、実は非常に難しい問題で、このレポートを見ても2カ所にそのことが出てくるのですが、実はこれは非常に難しい問題で、これはもう、最終的には委員長にお任せいたしますけれども、言葉の問題で、ここで使った言葉の中で、私たちは開発途上国という言葉を使ったんですね。それを今回の第一次素案で直したのでは、すべて発展途上国になっているんですね。実はこの概念の問題で、非常にこれは難しい問題ですが、また、私たちは1990年に国際科学学会というのを、前の亡くなられたオオシタ先生のもとでつくりまして、いわゆる一般に英語で言われているdeveloping countriesをどう訳すかという、こういう議論が行われました。一応私たちは、学会では開発途上国と訳すことになったわけですね。なぜ開発途上国であって発展途上国でないかという説明をちょっと簡単にさせてもらいます。発展というのは、まさにこれは自動詞、発展するということで自動詞です。開発というのは、開発するというのは、これは他動詞です。私たちがdeveloping countriesという場合に、自動詞を使うべきか他動詞を使うべきかという文法上の問題ですけれども、そういうもの以外にもっと重要な点は、やはり発展ということになると、これは経済の発展だけで、社会の発展とか文化とかいろいろなものを含むわけですね。そうであるとすると、あらゆる先進国はすべて発展途上国であると。先進国も、経済、政治、社会、それから、文化そのものも発展しているわけであって、だから、そういう意味ではすべて発展途上国であって、そういうところが、developing counrtiesという場合のdeveloped,developing countriesの言葉を、まず最初に、国際社会で使ったときの考え方ですると、わざわざ分けてdevelopedとdevelopingと言ったのは、そういう、いわゆる経済とか社会とか文化とか、そんなすべての発展を考えた上でやった場合の使い方ではないということで、はっきり言うと。明らかにdevelopedとdevelopingというのは主に経済の発展、そういう意味では開発なんですけれども、それを中心に私たちがつくった言葉であると、これは国際社会でつくった言葉ですね。これは実はOECDの場で議論をされて、いろいろなdeveloping countriesとdeveloped countries、それからまた、昔はundeveloped countriesと言ったこともあるし、あるいはまた、back countriesと昔、1945年ごろはそう言っていましたけれども、こういう格好で概念が変わってきたんですけれども、基本的には、developingcountriesというとらえ方を、自律的な発展途上国と言われるのがいいのか、それとも開発途上国ということで開発という1つの政策がそこに関与するような、そういう格好でやった方がいいのかというと、やはり途上国の場合には政策が関与しなければいけないであろうと。すなわち市場に任せていればすべて発展するかどうかということで疑わしいと。やはり途上国の場合、途上国からより先進国になる過程では、かなり国の関与が必要であろうと。そういう意味では、国の関与というのは、これは明らかに他動的なものであって、そうであるならば、開発途上国というとらえ方がより好ましいであろうということで、私たち学会ではそういうふうになったわけです。ところが、相変わらず日本の新聞、あるいは日本の政府、文献、それから、学者の中でも、いや、おれは違うと、学校で違ったことを書いている方もいます。そういうわけで、我々は学会の中で議論をしてそういうことになったけれども、しかし、必ずしもそれがみんなに受け入れられるものではないということははっきりわかっております。私はたまたま今回の国際的取り組みということを担当させてもらったものですから、そういうときに私自身、たまたま国際科学学会の会長、副会長を10年やってきまして、そういう責任もありますので、そういう立場からしますと、やはりこれは、この中では開発途上国という書き方がいいのではないかなと、こういうふうに思うんですね。ただ、これは非常に言葉の使い方が重要な問題で、私なんか、例えばですけれども、朝日新聞には何回も申し出ていますが、朝日新聞は必ず発展途上国と書いておりますので、これを開発途上国と直してくれということを文書でも申しておりますが、まだ直っておりません。そういうことで、いろいろな考え方がありますから、こう考え方にしてはいけないと私は申しませんけれども、ただ、今申しましたような、そういう経緯があってつくった言葉、developing countriesという言葉、それからまた、日本語に直した場合の発展と開発の意味の違いですね。特に開発というのは、そこに政策的な介入があるということで考えておられるのであって、そういう自然にすべてを任せるという格好での発展途上国ではないということで考えているものですから、そこらあたりをどうとられるか、ぜひ皆さんに真剣に考えていただいて、最終的な文章の中では、どちらかをとるという、僕は開発途上国をとっていただきたいんですが、もし何だったら、単に途上国にするという格好でこれを議論していただきたい。

 以上、ありがとうございました。

(安原委員長) 重要なご指摘をありがとうございました。

 関連ですか。どうぞ。

(浅野委員) 今の点は、文章としてはっきりと開発途上国という言葉が出てくるのは6ページだけですね。あとのところでは、開発途上地域というのは法令上の用語ですから、それが出てくるので、余りこだわらずに……。

(廣野委員) そうではなくて、文章にちゃんと出ているんですけれども、この文章の中では。発展途上国というのが2カ所。

(浅野委員) 2カ所ありますか。あとはでも開発途上という言葉が出てきますから……。

(廣野委員) 中期とかそういうのですね。開発途上国というのは出ていないですね。

(浅野委員) ですから、そこを別に廣野先生のおっしゃるように直したからといっておかしくはないと思いますから、それでよろしいのではないかと思いますが。事務局の方でお考えいただいたらと思います。多分、持続可能な発展という言葉、developmentを発展とあっちでは訳しているので、それに引きづられているのかもしれませんけれども、ちょっと文脈が違うということであれば、これをわざわざ開発途上地域という言葉と開発途上国という言葉を、発展途上国という言葉を並べる必要はないと思うので、今の意見でよろしいのではないかと思います。

 今、非常に学問的なご指摘、ご発言があったということでちょっと言いづらいですが、最初に廣野先生がご指摘になった山と谷がよく見えないねというお話に関連することとして言えば、前回、ちょっと意地の悪いことを申し上げて、大分ご苦労があったんだと思いますが、にもかかわらず、やはり読んでいて、通して読んでみると、同じことが書いてある。それも、特に同じことを繰り返しかかなければならない必然性がないような文脈の中で同じことが書いてある。例えば、化学物質についてのPRTR法のフルネームが4回か5回出てきます。その都度その都度それについて、ここが問題だということがちょっとずつコメントが出てくるのですが、問題だというコメントが書いてある場所でちょっとずつ違うんですね。だから、そんなのは何も書き分ける必要がないのではないかという気がします。例えば8ページのところで、総合的に転換したという例示として何かを述べるのであれば、もっとコンパクトに例示を挙げればいいわけですね。ところが、ここに個々に法令を挙げてこういうものをつくりましたというのが出てくる。そして、そのあたりに依然として課題が残されていると言って、個々の法令に基づいて書かれたことの課題が並んでいて、それから次に、個別環境分野での政策の展開ということで、また同じように細かい法令名が出てきて、その説明が続くという、こういう並びになっていますから、化学物質のところを見るだけでも、たしか私が見る限りでは、4カ所で同じことが出てきて、そして、そこでのコメントがちょっとずつ違っている。それから、国際的な取り組みのところについても同様なことが言えるわけで、我が国は国際的な基準づくりに貢献したと。それはそれでとめておけばいいのに、その後、わざわざPRTR法をつくりましたとか、拡大された生産者責任の考え方を法律の中に入れました。それはその文脈の中でわざわざ言う必要はないわけで、もう前に書いてありますから、そういうところが随所にあるんですね。多分分担執筆をされるのでこういうことになるんだと思うんですが、最終的に通しで読んでみて、重複している部分はどっちかに移して済むものは移すと。あるいは、もっとコンパクトな表現で済むものはコンパクトな表現で済ませていくと、もっと言いたいことがはっきりしてくるのではないかという気がします。ただ、余り抽象的に書いたら全然おもしろくないので、具体的なことを書かなければいけないというスタントそのものは私は指示するんですよ。でないと全然おもしろくないんですけれども、しかし、ちょっと、これは具体的なものが余りにもしつこく出過ぎているなということがまだ残っているという印象でありますので、ぜひこの辺は第2次ドラフトでは整理をしていただけると、多分廣野先生も今度は合格的か、あるいはぎりぎり60点ぐらいをお出しいただけるのではないかという気がいたしますので、私も気がついたところはまた後で別途コメントを差し上げますけれども、努力をする価値があるのではないかと思いました。あとは、全体、ずっと書いてもらえばなるほどなというのでよくわかるわけで、この前の柱書きよりは大分よくわかってきましたから、コメントもしやすくなってきたのだろうと思いますが。

 後の方に出てくるところで、第3部のところはこれからなんですが、前も申し上げましたように、戦略的プログラムが今回重要な目玉であると。そこのところがはっきりわかるように前の方を書きましょうということでありましたから、ことさら、先ほど言いましたように、余り細かいことを前の方で具体的に書き過ぎてしまうと、後の方に山を持ってこようと思っているのに、最初に緊張も高まってしまって、山の中に来たときには疲れ果てるということになりますから、やはりこういった、ぱっと盛り上がるということをまずやっておいて、その上で何人かの委員の方から、最初の方が余りにも淡々としておもしろくない、劇的なインパクトがなければいけないということがありました。それはまた、最後の段階で工夫をするということではないかと思います。

 それから、第4部のところは現在まだブランク状態でありますけれども、第4部のところに、前回の計画は、第4部のところは実際問題として非常に調整が難しかったですね。そのために割合平板の書き方に終わってしまったということですから、もうその状況は既に脱しているわけで、少なくとも各省庁がみずから環境政策を政策の中に内在化させていって、それぞれの省ごとに環境計画のようなものも既につくっておられる。そういう実績があるわけですね。ですから、前みたいに何もないところで、先にこんな閣議が環境基本計画ががんじがらめに縛りつけられるようなことをやられたら、おれたちは身動きがとれないから、だから余り書くなというブレーキがかかったんですけれども、もうその状況は終わっています。各省がそれぞれ言いたいことを、散々自分のことをもう言っているわけですから、それをどううまく統合していくかということが環境基本計画の役割だということで変わってきているわけですね。その意味では、ぜひ事務局の方で、私ども、建設省が意欲的にバインダーされたものは拝見して持っているんですけれども、それ以外の役所でも、何か聞くところによると、郵政とか、そんなところでも計画をつくっておられるという話ですから、ぜひそういう計画を見せていただいて、我々の参考にしたいなと思うので、できましたらそれを配付していただけるように各省にお願いをしていただけないかなということでございます。

 それから、今言いましたようなことから言うと、例えば計画の上下関係みたいなところで妙に引っかかってしまって、前回はやたらと難航したという経過がありますけれども、そういう意味の上下関係というような議論はもう卒業できていますので、この効果的実施というところにしっかり書かなければいけないことがもうかなりはっきりしてきていると思うんですね。例えば実効性を確保するためにということであれば、例えば目標をはっきりさせるということは必要であるわけです。これはひょっとしたら本文の中で、例えば重点的な戦略的プログラムというところで、何らかの形でやはり目標を書いていくという努力をしていかなければいけないのではないか。例えば今の現況記述の中にも、まだ線が引っ張ってはありますけれども、何がこのぐらいに減ったとかという記述があるわけですから、そういうことを前に書くのではあれば、それを受けた形で、それをではこのぐらいにしておくことが望ましいとか、仮に数字を書くことが難しいのではあれば、それにかわる文言表現でもいいですから、各戦略プログラムの中には何か目標をはっきり書いていて、そして、それが結局審議会での点検を行うときに、点検をしやすくするという目安になっていきますから、今回はそれを努力してやっていかなければいけないのではないか。第4部では、例えば点検をちゃんと行うというのは、既に循環基本法では法律事項にまでなっているわけで、環境基本計画で考えていることが、もう別のところでは法律事項になっているぐらいですから、当然それは書くのは当たり前でありますので、それ以上のことを書かないと環境基本計画としては能がないということになるわけですね。同じことを書いたのだったら、循環基本法と同じになってしまうわけです。ですから、もっと何か書かなければいけないとすると、前にワーキンググループ報告を復帰したときにもそうでしたが、例えば環境保全経費として、今各省が挙げられたものがそのまま環境保全経費になっているんだと。それは、では環境基本計画の上から見て、本当に保全経費として位置づけることが適切なのか、あるいは保全経費であるにしても、そのときのプライオリティーを考えると、どっちの方がよりプライオリティーが高いものであるべきなんだとか、これを保全経費として位置づけるためには、こういう要素がなければだめなんだとか、そういうようなことを踏み込んでいかなければいけない時期に来ていると思うわけですね。ですから、点検という場合に、何をやりました、ああそうですかということだけではだめでありまして、その施策が今までのようにこんなに電話帳のように並んできて、それでよくなければ大変なんですけれども、読むときに何かめり張りをつけて読めるようにするためには、こちらがある程度物差しを用意しておかなければいけない。そうすると、例えば保全経費の見積もり方針についての調整のようなものを点検と結びつけてできるようにということが次のステップでは必要なのではないか。あるいは、各省庁が率先実行計画が当然あるわけですが、今度は「グリーン購入」もあるわけですし、もっと一歩進めて、先ほど言いましたように、各省が、それぞれ省の政策の中で環境政策を内在化させようということで、各省のみずからの業務そのもの、あるいは事務、事業の執行についての環境が入るよということとあわせて、各省庁が扱う政策形成のところでの環境配慮のあり方というところまで、多分環境計画という中に入れてもらえるでしょうから、そういうようなことをできるだけ、まだやっておられない省庁があるならば、そこに広げていただく。つまり、言ってみれば、各省庁がみずから環境管理システムを、自分のところの政策や事務事業の執行について組み込んでいただく。そのことをぜひお願いをする必要がある。そして、それをちゃんと公表していただいて、みずからも点検をすると、こういうプロセスをつくっていただきたいということが今度の基本計画では書けると思うんですね。つまり、もう既にやっているところがあるのであれば、やっているところがあるんだから、やっていないところはやってくださいという呼びかけなんですから、これを恐らく異論なく言えるのではないかという気がいたします。

 そんなようなことを考えておりますが、特に環境省になりまして、環境省が1つの省としては異例な調整権、勧告権を持っていますから、それをうまく機能できるようにということは、単に計画の点検を点検としてやって、それを報告して出すというだけでは寂しいわけですね。せっかく書いた報告書は、こういうところがこうあるべきだという報告になっていって、それが勧告とか調整というところにつながるようなものにしていかなければいけない。あるいは環境白書も、今後、従来どおりの点検をやるかどうかも問題なのですが、環境白書作成というのは、ある意味では、我々が審議会でやった点検作業とほとんど似たようなことを横でやっているわけです。ですから、今後はその白書の作成というプロセスと審議会の点検プロセスというものとの連動性というのは、もっと強化していった方が効率的かもしれないわけですね。白書は各省からデータを出されて、それを調整して積み上げていくわけですが、その調整プロセスが我々の点検プロセスと1つのセットになって仕事ができるようにしていくことも必要ではないかと、こんなことを何とかうまい表現で第4部の中に書くと。第4部の目標としては、現計画の3倍ぐらい分量にはするということがぜひ必要ではないかと考えております。

(安原委員長) どうもありがとうございました。

 第4部について言及していただきました。後でこの3部、4部のところを議論していただこうと思っていたんですが、先取りして言っていただきました。大変重要なご指摘だと思います。今度の計画で、特に重点を置くべき点の1つはそこだろうと思うんですね。計画の実効性をきちっと確保できるような仕組みをつくっていくということだろうと思います。それにつきまして、具体的なご提案もいただきましたので、今後4部の表現を固める過程で今のご発言を参考にさせていただきたいと思います。

 それから、事務局の方に依頼がございましたが、各省の環境計画的なものがございましたら、それを参考にするという意味で、各省から出していただいて、この委員会に出していただければと思います。よろくしお願いいたします。

 その前に、廣野委員から何点かのご指摘がございましたが、ご指摘はもっともでございますので、表現上、できるだけそれを取り込むように事務局の方で検討していただきたいと思います。市民生活等々の表現とか、ODAの拡大の表現とか、海外における環境配慮の問題等々でございますね。

 それから、浅野委員からもコメントがございましたが、特段、発展途上国でなければいかんということはないんだろうと思いますので、今、廣野委員のご説明でよくわかりましたんですが、開発途上国で統一するということでいかがでございますか。事務局の方も特に問題はないということでよろしいですか。

(環境計画課長) ほかの政府文書が横並びということでございますので、そういう点をちょっと検討させていただきたい。

(安原委員長) チェックしていただければ。今のご説明からも開発途上国でいいんだろうと思いますけれども、念には念を入れですから、確認していただいて、確認ができれば開発途上国で統一するということでいきたいと思います。

 それから、いろいろ重複する点があると、できるだけ簡潔にということはそのとおりだと思います。

 それから、最後に、前回も福川委員等から、できるだけ格調高く、我が国から世界に向けて、あるいは国民に対してもきちっとわかりやすい形で、格調高く、いろいろな重要なことを発信していくという、それを前文にということでございましたが、前文の点はまだこれからもありますので、全部作文ができました後、それを踏まえまして、できるだけ工夫してもらって、それに近づける努力をするということでやりたいと思いますので、ご注文がございましたら、どんどん出していただきたいと思います。

 それでは、ほかの事項につきまして、それでは、猿田委員、小早川委員、幸田委員。

(猿田委員) 隣になりましたので、先にやらせていただきます。

 先ほどご説明いただきました中で、従来もいろいろなヒアリングのときにも発言させていただいたのですが、自主的取り組みの問題、これは11日付ですか、送っていただいた資料、素案の中で、これは19ページになりますが、きょうの資料では20ページで自主的取り組みとありますけれども、前の11日の段階では、第三者の関与、あるいは第三者による監察等のチェック手段を云々というのは、自主的取り組みのところで書いてありましたけれども、ここでは、チェック手段を行政当局等の関与などのチェック手段を確保することにより、政策手法として明確な位置づけということに表現が変わってきておりますが、基本的には、自主的取り組みというものは既に重要な1つの手法だろうということは十分理解しておるわけでございますけれども、その自主的取り組みによって、効果が現れない場合にどのように効果を担保するのかどうかという問題、そういうものが1つあるのではないか。これは前回にもこういうことを申し上げた記憶があるんですけれども、そういう自主的取り組み、実効性や透明性を持たせるために、ではどうすべきなのか、いわゆる自主的に決めたことは第三者からのチェックは、いろいろと規制が加えられたくないという意識もあろうかと思いますけれども、それでは実効性、透明性というものは高まらないのではないかと。いわゆる望ましい結果が得られなかったら、ではどうすればいいのかという問題もあろうかと思うわけですけれども、前に企画政策部会で第68回、これは昨年の10月1日ですけれども、それから、2月3日、73回の企画政策部会で諸外国における環境総合計画の動向、あるいは産業界の自主的取り組みに関する海外の事例という資料をちょうだいいたしました。それをたまたまひっくり返しておりましたら、何て言うのでしょうか、興味を持ったというか、こういうことが当然行われるべきかなというものがございました。それは何かと言うと、オランダの方、いわゆる自主協定の問題でございまして、ターゲットグループアプローチを用いて行っているということでございまして、もう既に何回か改定が行われてきているわけでございます。そういうオランダでは製造業元、あるいは工業、農業、交通など、それぞれの部門別に、行政と協議を詰めた上で目標の設定を行っていくということを行っているわけでございまして、それが望ましい結果が得られない場合には、それなりの対応があるということがうたわれておったわけでございます。やはりそういうことが必要なのではないかということでございまして、これを今回の計画の中ですぐ入れられるかどうかということは非常に難しいかと思いますけれども、我が国でもこういった制度が導入できるのではなかろうかと。1つの課題として、新計画の中で課題として考えてグループアプローチというのを検討するよう、ご意見を賜れればということでございます。それが1つでございます。

 それから先ほど、いろいろと、今現在、私が読んでいるのは第1部と第2部で、第3部と、まだ十分な背景にはなっておりませんけれども、これを拝見すると理解しにくい論文が非常に多い。重複しているところもあるのではないかと、先ほど浅野委員のご指摘にございました。それから、委員長から格調高く云々とございましたけれども、それはよろしいんですけれども、国民の目から見た場合に、非常に何かわかりにくくなって、全体の基本計画そのものも、これもそうなんですけれども、一般の方には読みにくい。我々は何回もこうやって会議だ何だをやっていますから理解できるんですけれども、その辺で一般にわかりやすいものというもので、いわゆる国民といいますか、普及なんですね、これの。こういう格調高く、難しい専門用語などばかりではなくて、一般の国民の方々にメッセージが伝わるような、普及版といいましょうか、わかりやすいものを、そういうものをつくって一緒に評したらどうかなと。これはご提案です。

 以上、2点について申し上げました。

(安原委員長) どうもありがとうございました。

 第2点のそういう工夫は考えなければいけないのではないかなと思います。これからよく検討させていただきたいと思います。

 小早川委員。

(小早川委員) 前回、やぼな所用で欠席したものですから、ちょっと今さらということもあるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。

 全体として非常に精密に書かれているという感じがありまして、そのことは逆に言えば、今までいろいろな方が言われたような印象にもなるんですが、最初に廣野委員が言われた、前の方の現状認識のあたりの書き方の起伏というところ、私ももう少し何とかならんかなという感じはしているんですが、例えば具体的には、4ページの(2)の上、これは我が国の環境の状況のところのまとめになるんですが、その前のところに、いろいろな具体的なデータが上がった上で、まとめのところで何が書いてあるかといいますと、「一部の問題については改善が見られるものの、余り改善の進んでいないものや取り組みの不十分なものも依然として幾つもあり」というふうに、まとめのところが非常に抽象的なんですね。ここがもう少し何とかならんだろうかというのが感想であります。ただ、どうしたらいいかというのはよくわからないですが、1つは、一生懸命やりたいんだけれども、なぜうまくいかないか、どういう種類の問題というのが難しいのかということを、精密に細大漏らさずにではなくて、例えばこういう問題がやはりなかなか難しいので、本当に心を入れかえて本腰を入れなければだめだよと、今までの手法ではだめなんだよというような、そういうパンチの効いた例示ができたらどうかなということなんですね。しかし、それではまだよくわかりませんが、例えば4ページの一番最後の方に、これが従来からいろいろとご発言があるところですが、日本で窒素、燐が大量に出ているということは、日本の問題だけではない、これはよそで生産した、よその植物が日本に輸入、それが肥料、飼料として日本にやってきて、それで日本の環境に排出されるんだということで、これは決して日本国内だけの問題ではない、国際的な経済構造の問題であるということが指摘されていまして、そのことが、例えば5ページの、2の前のところの最後のまとめ、「個々の地球環境問題を1つの地球規模の問題群としてより包括的にとらえる見方を強化していくことが必要である」、ここの表現をちょっと、個々の地球環境問題と言ってしまうとよくわからないので、一見地球環境に見えないものでも、これは包括的にとらえる必要があるんだよという表現の方がいいと思いますが。

 それはともかくとして、例えばそういう種類の問題というのがあって、今までのものの見方ではなかなか十分な対応ができないと。それはもっと考えなければいかんのだというようなことを、それはしかし1つではあります。すべてがそういう見方の転換で全部解決できるというわけではなくて、そういうような大事な見方、ポイントというのが幾つかあるんだろうと思うんですが、だからそう言っていて私は全然わかっていませんので無責任なんですけれども、そこはやはり、難しい問題というのはどういうことで、なぜ難しいのかということをめり張りが効いた形で書いていただけないかということなんですね。これはただ、事務局にお願いしてもなかなかいろいろあちこちを気にすると書けないないのかもしれないのですが、小委員長なりのリーダーシップで、少し勇敢なことを書いていただけないものかという、漠然たるお願いですけれども、それが1つであります。

 あとは、具体的なことを二、三申し上げますが、1つは、9ページの上の方に、地方分権の話が出ていますが、これはもちろんいいんですけれども、これを書くのであれば、やはりバランスの問題としては、中央省庁改革のことも書いて、環境行政機構についての大変革があるという形でまとめてお書きになった方がよろしいのではないかと。環境庁としては遠慮があるのかもしれませんが、やはり書いておいた方がバランスがいいのではないかというのが1つであります。

 それから、12ページの上から2番目の「・」、3番目の「・」なんですが、私、専攻行政法なものですから、下の「・」のところに情報公開法、パブリック・コメント、行政手続法と挙がっておりますが、これは確かにそうなんです、重要なことなんですが、単に国民の取り組みの環境ということではなくて、その前の事業者の取り組みですね、こちらの方にもかかる話でありまして、環境行政やその他環境にかかわる諸行政と、それから、各事業者との間の関係を、このようないろいろな新しい制度の中で、従来よりもさらに風通しよく、かつ、外部に対して透明な関係にしていく。そこで事業者の場合も環境問題について言いたいことをきちんと言えるという、そういうシステムがやはり大事なわけでして、それはその事業者以外の国民もそうですが、事業者もそうだということで、ここは両方にまたがるような形に書き直していただけないものだろうかというのがその点であります。

 それからもう一つだけ恐縮ですが、19ページですね、政策手段のリストの中で、これは検討チームのご報告の中に既にあったことで、もっと前に言うべきだったんだとは思いますが、この中で使われている枠組み規制的手法という表現なんですけれども、ちょっとわかりにくいなということで、勝手ですけれども、私であれば、枠組みというのはいいんですが、規制ということではない、ニュアンスは弱めた方がいいと思うので、枠組みそのものをマネージするとか、枠組みそのものをコントロールしていくというニュアンスで、枠組み管理とか、枠組み制御とか、そういった表現がいいのではないかなとちょっと思っていますので、これはご検討いただきたい。

 以上です。

(安原委員長) どうもありがとうございました。

 それでは、幸田委員。

(幸田委員) 今、これを初めて見せていただいたので、まだ十分読み込んでいないので、そのレベルでの発言になりますけれども、私もやはりもう少しめり張り、特にもっと厳しく言うところはもうちょっと厳しく言ってもいいんじゃないかなというふうに思いました。16ページのところに、基本的な考え方というのがあるんですが、例えば4つ目の○のところで、汚染者負担の原則、環境効率性とか、予防的な方策ですね、こういうところを例えば太文字にするとか、何が大事なのか訴えたいところをもう少し、強弱をつけて目立つようにしていただければと思います。

 それから24ページの事業者というところなんですけれども、例えば、「今日、通常の事業活動に起因する環境への負荷が増大している中にあって」とスタートしますけれども、ここの中にもやはり廃棄物の排出抑制とか、これからぜひ企業責任としても取り組んでほしい、そういうのをちょっと追加してもいいのではないかなというふうに思いました。

 それから、これは廣野委員に対して、チャレンジをするつもりは全くないのですが、developに対して「開発」という言葉を使うと、開発そのものが善であるかのような価値観というんでしょうか、しかもそれが欧米の開発のあり方を目指すべきだという印象を受けます。外交面から言うと全然そういうのは関係ないんでしょうけれども、環境面から見て、開発途上というのは、今の先進国の開発のあり方を含め目指すべき価値として言っているのかなというふうにとらえてしまう心配がないのかどうかですね。ちょっとそこら辺がどうなのかなというのを感じました。

(廣野委員) その点の危惧はよくわかります。それで、我々が議論したのはどういうことかというと、大体それは定説になっていますけれども、どういうことかというと、我々は先進国とか途上国という場合は、途上国というのは開発途上国で、先進国というのは開発途上国であると。しかし、開発途上国がやっている開発戦略についてやはり見直しが必要であると。それから、先進国のやってきたやり方をそのままやる必要はないという、これはみんなにそういう合意をされているわけであって、だから、そのために開発ということをやめるということではないという、そういう格好になっているんですね。だから、そういうわけで、例えば国連なんかでもアンセッドというのをやりましたけれども、imaginations conference environment and development、そのand developmentは開発と訳しているんですね。国連環境開発、それを持続可能な開発とか、そういう格好でやっているわけですね、だからそういう意味で、開発という言葉が持つ、今おっしゃったような環境的な側面から持つ負の側面ですね、それは十分理解している。ただ、それを発展と変えることによってかわるかどうか。それは変わらないわけであって、それは逆にマイナスの効果を持つ。そういう意味では、私たちはやはり政府の政策には介入していく必要がある。やはり環境も政府の介入なくして、市場に任せてすべて環境がよくなるかというとならないので、やはりそこに我々政府が介入しなければ、介入というのは一種の他動詞であって、そうするとやはり我々は開発という言葉の方がいいのではないかと。その開発のあり方とか、開発の戦略のあり方については当然見直しが必要。特に環境と両立するという格好でのそれが必要ですので、当然そのことは出てくるわけですね。だけれど、開発途上国という言葉自身を変える意味は全然なしという、そういうことです。

(安原委員長) では、村上委員それから三橋委員。

(村上委員) 2ページのところで、21世紀半ばを展望して云々と書いているのですが、確かに長期的に見通すということは私は大変重要だろうと思うんですね。ところが、展望して戦略を示すと書いてあるんですけれども、展望できているのは、後を読みますと、実は人口だけなんですね。エネルギーは2025年までしか見ていない。ほかの要素は何も見ていない。そういう中で、21世紀の何を展望しているのか全然わからないものを、半ばを展望した戦略を示すというふうに、2ページの最初の第1部の最後の○のところでございますけれども、書いてある。これは若干誤解を与えるのではないかと思いますので、もうちょっと表現を考えた方がいいのではないかなという感じがします。

 それから3ページのところで、水環境の問題ですが、水質の汚濁というんですか、水質が非常に悪くなっている。大変な問題だと思っているんですけれども、ここに書かれていないのは、生活排水というのは大変ある意味で問題があるんですけれども、私なんかに言わせると、農業で使う農薬、近年とみに林業で使う農薬、特に林業の間伐等をやる人がいなくなって、下の草刈りとか、全部農薬を飛行機でまいて、それで代替しているというのがあって、相当川部ですね、汚れているという問題もあるわけですね。それからゴルフ場、これは一時ゴルフ場も農薬問題が問題になりましたけれども、火が消えると途端に、やはり手で雑草をとっている風景はなくなりました。どうやっているかと言えば、農薬をまいているしかないわけでして、その辺のところでは相当水の汚染が進んでいるということはきっと書いておいた方がいいだろうなと。閉鎖性水域がどうだこうだという問題ではない。

 それから、音というのは大気がなければ伝わらないわけですから、この大気環境、騒音という問題が来ているんですけれども、何かちょっとこれは分けて書けないんですか。見たらちょっと奇異な感じがしますね、大気環境と騒音がぽっと出てきて。騒音というのは、実はいろいろな意味で、生活という部分から行きますと、自動車の騒音もありますけれども、いろいろな騒音が今世の中で問題になっているんですね。そういう騒音問題というのを、ちょっと項を起こした方がいい時代が来ているかもしれないなと、こういう感じがしております。

 それから、私はしつこく言うんですけれども、これからの環境問題を考えるときに、例えばこの前、京都議定書というものを、我が国が6%、先進国5%と削減をやっても、学者の専門家の方々の意見を聞きますと、温暖化はとまらないというお話を頻繁に聞きます。そういうことを考えると、我々も精いっぱいいろいろな意味で、個人、企業、いろいろな部分で努力しなければいかんと思うんですけれども、何と言ってもそれらをクリアしていくためには、技術開発というのは大変重要だと思っているんですね。そこのところは13ページの、最後のところで科学技術と大きく項目を起こしていただいているんですけれども、今後の13ページの最後の○のところですけれども、政策展開に当たっては重要課題ということで書いてあるのが、技術開発のところは、また以下しか書かれていない。これ「・」を1つつけていただいて、技術開発をきちっとやろうよということをちょっと文章も強めて書いていただければ、かように考えます。

 それから、ちょっと申しわけないんですけれども、22ページのところで、我々労働組合もやる気になっているものですから、環境教育・環境学習のところに、NGOと書くのなら労働組合という言葉もひとつ足してくれませんでしょうか。これは要請でございます。

 以上でございます。

(安原委員長) ありがとうございます。

 それでは三橋委員。

(三橋委員) 3点ほどちょっと申し上げたいことがあるんだけれども、第1点は、この1ページですね、「国際社会においては、環境問題」以下のところですね。「共通だが、差異のある責任の考え方のもとで地球環境の維持のために積極的に貢献していく」という表現があるわけですけれども、これはたしか、「共通だが差異のある責任」という表現は、各国の意見が非常に乱れて、調整がつかないときに知恵者のつくった非常に消極的な言葉だったというふうに私は記憶しているんですけれども、したがって、各国ができることをやればいいじゃないかというようなニュアンスで、たしかこの言葉が出てきたと思うんですよ。したがって、「共通だが差異のある責任」なんていうのは、むしろ外してしまった方がいいのではないかと思うんですね。やはり日本として国際的に果たすべきことを果たすんだということで、この言葉自体は非常に、たしかネガティブな言葉としての印象が私にあるんですけれどね。そういうことなので、「共通だが差異のある責任」という考え方はむしろカットしてほしいなということ。

 それから、国際的な協力については、環境基本計画ですから、特に日本にとってはアジア、中国、中国を中心としたアジア、そこの環境問題に日本がコミットしていくんだと、できるだけ協力していくんだという、ちょっと具体的な方向が出た方がいいと思うんですね。グローバルで何を言っているかわからないような書き方ではなくて。やはり日本は中国を初めとしたアジアの環境保全ということに対して相当これから力を入れていかなければいけないわけなので、その辺は環境基本計画なので、法律ではないので、中身を盛り込むことはできると思うんですね。そういう書き方を工夫してほしいなという点ですね。2点。「差異のある責任」というような消極的な言い方ではなくて、日本はやるべきことはやるんだという話と、あと、中国を含めたアジアというあたりに力点を置いたような書き方が国際協力の中で書けないかということが第1点ですね。

 それから次は16ページ。下の方の環境効率性の問題なんですけれども、確かに環境効率はこれでいいわけなんですけれども、環境効率は、普通は環境効率が分母に来て、アウトプットが分子になるような、そういう形で計算されているわけなんだけれども、実際には環境効率の計算というのが難しいので、環境効率の代理変数みたいな形で、資源生産性というような言葉がより使われているんですよね。実際のこの議論の中においては。したがって、環境効率は、理論的にはこれのが正しいんだけれども、実際のいろいろな数字の計算において、賃金の生産性の方が使われているので、その辺をわかるように盛り込んでほしいなという点ですね。それが第2点です。

 それから、第3番目は19ページの経済的手法の部分です。ここでちょっと私は、環境税に対することがいろいろと経済的手法として書かれているわけですけれども、この環境税の場合には、いわゆるよく言うバッズ課税、グッズ減税というような形で、税金自体は課税というよりも課税対象の変更というような形で考えていかないと、どうしても環境税というのは税金の課税だというような印象を与えてしまうわけですね。したがって、ここはむしろ税対象の変更というような書き方を盛り込んで、この環境税というものは決して増税ではないんだというような、そういうようなニュアンスの書き方をちょっと工夫してほしいなということでございます。

 以上です。

(安原委員長) どうもありがとうございました。

 今の点はどうですか。「共通だが差異のある責任」という、たしかこれは、温暖化対策の枠組み条例の中で出てきた概念ですね。途上国も先進国も温暖化対策に対応しなければいけない。しかし、いろいろ差異があるということで、先進国の方がもっとやらなければいかんということで、必ずしもネガティブということではないのではないでしょうか。

(廣野委員) そのとおりであって、三橋委員がおっしゃった懸念はわかるんですけれども、ただ、言葉の起源ね、こういうことが出てきたのはまさに、共通というのは、先進国も途上国もすべて地球環境をよくするのは共通の課題であると。しかし、先進国はいろいろな意味で資金的にも技術的にも、それから、各国において19世紀の産業革命、何かいろいろやってきて、かなり地球を汚してきたということだから、やはりそこに差異のあるという、そういう意味で、出てきた言葉の意味はそこですので、今三橋委員がおっしゃったような格好で、いい加減な言葉として出ていないということ、そういうことです。

(浅野委員) 多分ここのところの文脈では、三橋委員が言われるように、あえてこの言葉を引かなくてもいいんですが、今、廣野委員が説明されたとおりなんで、この言葉のニュアンスをはっきり生かしていくとすれば、開発途上国に増してということがあるんですよね。それを入れておかないと確かに、何か先進国の間でお互いが差異のあるということになるのではないということをはっきりさせなければいけない。だから、残すのであれば、今の廣野委員のコメントのような、本来のという、そういうことを入れればという。

(三橋委員) だけど、先進国がやらないことの理由として使うんですよ。アメリカなんかそうですよ。

(安原委員長) 表現の問題としてよる考えてみたいと思います。

 それから、皆さんからもっとめり張りの効いた表現に何とかできないかということでございますので、確かにそういうぐあいにできればそれに越したことはないわけですが、全体として、今のところは淡々と表現されているわけですけれども、この後出てまいります第3部、それから、浅野委員が言及された第4部、そこら辺は非常に具体的に戦略プログラムという形で重点的な施策ということで具体的に示そうということになっておりますので、それが出てまいりますし、それから、新たに計画の実効性の確保という点で、何か新しい仕組みをビルトインできないかということで工夫しなければいかんということでございますから、そこで一通り出ました上で、めり張りをどうつけたらいいかという、最後にまた議論をしていただきたいと思います。

(浅野委員) 今のことに関連して、たびたび言っていますけれども、具体的に書かれているということは決して悪くないと思うんですね。ただ、現実には、ここまで数字が細かく出てくることが本当に必要かどうかという疑問が若干あります。というのは、これはいつでも議論になることですが、廃棄物関係というのはデータが出てくるのが3年遅れなんですよね。3年たってしまうと、もう変わっている可能性がある。あるいは、場合によっては、「浮遊粒子状物質が平成10年も依然として達成率が」と書いてありますけれども、ある年をとるとそうですけれども、ひょっとしたら次の年に劇的にこれが変わっていたら、さまにならないですよね。ですから、浮遊粒子状物質については、こういう調子で書けるかどうかですね、出していくときには次のデータが出ているとがらっと違うということになってしまうから。そうすると、その辺はどういうふうに扱うのがいいのか、あるいは資料の中で入れておけば済むことは資料に入れるのか。本文の中に数字まで入れることが本当にここでは優れて意味があるという部分には思い切って数字を入れるけれども、そうでない部分まで全部一々数字を入れるということはあえて避けてもいいかもしれない。そこら辺はちょっと個別に見ていただいた方がいいのではないかと思います。非常にショッキングで、本当によくなっていなくて、トレンドを見てもこれからもどうもよくなりそうもないというものははっきり書いたらいいし、それから、案外年度によってばらばらだとか、それから、ごみについては明らかにこの数年、厚生省にももっと早くデータを出してくださいよと言っているんですが、3年前の数字は悪いけれども、2年前、1年前になるともうちょっとよくなっているかもしれない。そうすると、そういうものは、もちろんよくなったからさらに頑張りましょうという書き方にはなるんでしょうけれども、どうもこれがあと5年間使われるということを考えますと、前のときにも同じような問題があったわけです。書いたときはみんなフレッシュな気持ちで書いていますけれども、最終的に次の見直しというのはもう6年ぐらい後ですから、そのときに平成8年度ではというのが生きているかどうかという問題がありませんか。

(三橋委員) それは私も賛成です。

(安原委員長) それでは、ほかにご発言はございませんですか。

(廣野委員) 先ほど山と谷をもう少し鮮明にしたらどうかという、それ以外にいろいろな自己批判とか自己反省をもっと鮮明にしたらどうかとかいろいろ意見がありましたけれども、私、ちょっと見ていて、非常にこの文章は説明的なんですね。説明的だからやはりどうしても平板になってしまうという感じです。だから、余り説明は要らないんじゃないでしょうかね。だから、できるだけ大胆に、何が変化してきたかとぱっぱっと出して、今のITで言いますと、かなりいろいろな形で持って生まれてそうされるようになったんですけれども、そういうような格好で、かなり大胆に事象そのものをはっきりぽんと出していって、因果関係がはっきりしているものについては因果関係をはっきり出してて、因果関係がはっきりしないものについては、完全に、まさにノー・イエスでやっていくような格好でやると。そんな格好で、できるだけ説明的なものを省くことによって、事実をしっかりと真っ正面から見て、そして、それについての非常に重要な指摘をぼんと出していくと。何かそんな格好でやると山と谷がはっきりしてくるかなと。余り説明的なことは避けるというふうにしたらどうでしょうか。

 以上です。

(安原委員長) まだ、これからいろいろ審議していただかなければいかんのですが、ここら辺で休憩を10分ほど入れまして、その後また審議を続けていただければと思います。今3時30分ですから、3時40分再開ということで、ちょっと休憩をとりたいと思います。

(休憩)

(安原委員長) 引き続き審議を進めてまいりたいと思います。

 まず、前回議論が集中いたしました長期目標につきまして、その議論を整理していただく意味で、事務局の方にペーパーを用意していただいておりますので、その説明をまず伺いたいと思います。よろしくお願いします。

(環境計画課長) お手元の方に長期的目標の位置づけについて、1枚紙でございますが、簡単な図を用意してございます。それと、この報告書の中で申しますと、15ページでございますが、こことちょっと比較しながら説明を聞いていただきたいと存じます。

 この図につきましては、非常に概念的な図でございますが、循環と共生との関係を考える参考として提示いたしております。図の外側の四角の枠でございますが、これは地球システム、いわば地球生態系、こういうものをイメージしております。その他に点線で囲った形で経済社会システム、これが営まれていると。この2つを、両方とも対比するような形でとらえないで、人間の社会活動、あるいは人間そのもの、これが生態系の中にあるんだと。これが今の基本法の大きな考え方であると思うわけでございます。その形の図になっております。そして、この地球システムの中では、大きな物質やエネルギーの流れがあるわけでございます。そして、人間の経済社会システムは、そこから自然資源、これは例えば大気とかそういうものと思いますが、あるいは環境資源というものかもしれませんが、これとかエネルギー、そういうものを取り込んでおりまして、それを使った上で不用物を出していると、こういう形ではないかと思っております。

 それで、人間と環境の関係は一応共生、その図で言いますと、経済社会システムとその外側のところに矢印が3つありますが、そういうような形で共生としてとらえるているだろうと。この部分は割合理解しやすいわけでございますが、今度は循環というのはどの部分としてとらえるべきなのかと。1つ目の考え方としましては、そこに循環1というのがございますが、地球の大きな物質やエネルギーが、例えばこれを大循環と呼んでみますと、これと経済社会システムの中の循環、小循環、この2つが調和的にあること。これをもって循環と言うのか。それとも、もう一つの考えとしては、経済社会システムの中で、きちっと物質やエネルギーが循環していると、その状況を循環としてとらえるのかと。こういう2つの考え方が一応可能なのかなというふうに考えております。

 現行計画の書きぶりはちょっと微妙な書きぶりになっている感じもありまして、このどちらかであるかと完全に言い切れない部分があるのではないかと思っております。例えばその循環でありますと、大気環境、水環境等、負荷が自然物質循環を損なうことによる環境の悪化を防止するためと。ここは大きな循環と調和するというような考え方に近いわけでございますが、最後の結びとして見ますと、「環境への負荷をできるだけ少なくし、循環を基調とする経済社会システムを実現すると」、ここの結びを見ますと、むしろこの経済社会システムの中で循環というものをきちっとしていくんだと、そういうようなことであるようになってございます。

 共生の方を見てみますと、環境と経済社会システム、あるいは人間、これがうまく調和していい関係を保っていくことであるということであるわけでございますが、この書きぶりが、「かけがえのない貴重な自然の保全、二次的自然の維持管理、自然的環境の回復及び野生生物の保護管理など、保護あるいは整備等の形で環境に適切に働きかけ、その賢明な利用を図ると共に、さまざまな自然との触れ合いの場や機会の確保を図るなど、自然と人との間に豊かな交流を保つ」ということで、やや自然保護な観点に傾斜していると。むしろ共生ということが人間と環境の良好な関係を保っていくと、こういうことでありますと、経済社会システムそのものをそういう状況に変えていくことと、それも共生の概念に入るような感じがするわけでございますが、従来の自然保護行政の書きぶりに近くなっていると、こういうことではないかと思うわけでございます。

 それからまた、循環を広くとらえて見ますと、共生の範疇から循環の部分が外れるのかどうなのか、そういう問題もあるわけでございまして、そうしますと、共生というのは循環を除くところの部分なのかということで、ちょっとまだ疑問が湧いてくると、そんな状況でございまして、私どももこの15ページの長期的目標のところで、この間いろいろとご議論があったような、書きぶりをいたすわけでございますが、それにつきまして少し考え方を整理しなければいけないのではないかと思いまして、この資料を提出いたしたわけでございます。

 以上でございます。

(安原委員長) 共生が一番ランクが高いということになりますから、順番は、循環、共生と並んでいますけれども、これは前の、現行計画の並べ方ですから、前に持ってきたらどうなんですかね。15ページの。

(環境計画課長) この文章は、現行計画そのものの文章を1つも変えずに、そのままというふうに思ってございます。

(安原委員長) それでいいんですか。

(環境計画課長) それはご議論をいただきたいのがありまして。

(安原委員長) だけれど、この長期目標の○のところでランクづけをしているわけでしょう。行政の考え方を基本に置いて、達成する戦略として循環というのを持ってきているわけですね。それであと、参加と国際的取り組みと。それからあと、循環、共生、参加、国際的取り組みと説明を並べているわけですけれども、少なくともこの説明の共生の部分を循環の前に持ってこなくていいのでしょうか。

(環境計画課長) この長期目標は、本文自体も前回大分ご議論があったものですから、本文はあえて変えておりませんが、この表現で行くとするのなら、この共生と循環はひっくり返した方がやりやすいかもしれません。

(安原委員長) それからあとは、お手元に福川委員がきょうご欠席で、意見ということで、基本目標のところにつきまして、考え方が整理されたものが出ておりますが、ご参考にしていただければと思います。

 そんなことで、この長期目標につきまして、さらに議論がありましたら深めていただきたいと思います。浅野委員、どうぞ。

(浅野委員) 前回つくりましたときの循環という概念の一番最初のときのきっかけは何であったかというと、環境基本法の14条のところに、施策の策定に係る指針というのがありまして、その中で、大気、水、土壌、その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されると、そういう指針が掲げられているわけですね。それを環境基本計画を考えるときにはまず大事にしなければいけないだろうと。14条で、大気、水、土壌という自然的構成要素という言葉をあえて使っていますのは、例えば大気汚染であれ、騒音であれ、振動であれ、悪臭であれ、いずれにせよ大気という環境媒体を基礎にして起こる問題だと。だから、従来のように被害現象の側から抑えるのではなくて、環境媒体から抑えたものを考えようというのが環境基本法の考え方であったわけです。ですから、その考え方をはっきりさせるために、つまり大気汚染、何とかという公害防止行政の時代の考え方を変えていくことが必要だろうと。それで、もう一つの認識としては、実はこの当時、公害問題と言われるものは物質循環の流れが人為的に狂わされていることが大きな原因ではないかという2つの発想ですね、それがこの循環という現在の長期目標が出てきた背景にあるわけですね。ですから、半分は公害問題ということを意識に置きながら、それの究極の原因は、単に大気を汚染させる煙を出しているとか、汚水を出しているという問題ではなくて、そもそも自然の循環の問題なんだという発想になるわけです。それから行きますと、きょう事務局が言われた内側の小循環、これが公害の原因のかなり重要な部分であって、それが、言ってみれば、外の大きな大循環である自然の物質循環を損なうということになるんだと、こういう認識であったんだと思うわけですね。ですから、事務局がきょう出しておられる整理は、当時循環という言葉を使ったときの気持ちをよく表現されておられると同時に、その個々の循環ということが、もっと地球環境というか、地球生態系とここに書いてある地球自然そのものの大きな問題であるという認識を、過去の基本計画をつくった段階では必ずしも鮮明には意識していなかったことをもっとはっきり打ち出してくださったということですから、この辺はよく勉強されたと思いますし、大体その流れをよく抑えてくださっているのではないかなというふうに思います。ですから、その上で最終的にこの長期的な目標というものは、余りぐるぐる変えない方がいいので、同じ文章で行くのか、必要最小限の修文を加えるのかということは、これはやはり決断をしなければいけない問題だろうと思います。今の文章のままでも、一応こういう絵を使っていけば説明ができないわけでもないのですが、やや苦しい面があることは事実ですね。そのときに必ずしも十分認識してこなかったことが、今になってはっきりしてきたという面があります。ですから、結論的には、最初はあっさりと長期的目標なんだからこんなものは余り大きく掲げることはないとは言いましたが、例えば現計画の中では、ゴシックで書いてある部分というのは、それは余り変えてはいけないと思いますが、それに至る前のゴシックでない部分の明朝体で刷ってある部分が、少し状況の変化を踏まえて変わったとしても、大きく変わったということにはなりませんから、もし必要なら、若干の修文を加えて、今、安原委員長がおっしゃるように順番を変えるということも可能かもしれないと思いますが。完全の今のままで順番をすっと入れかえることが、果たしてうまくどうかということは若干疑問がありますけれども、そうであるならば、よほど全文をしっかり書かなければいけないということになると思いますね。いずれにせよ、とりあえずは経過を申し上げて、きょうの討議用メモというのは従来からの議論の経過をよく踏まえておられて発展させて、整理になる。だから、我々としてはこの整理を基礎とすると。前回天野委員が発言されたのはまさにこういうふうなことであったと思いますから、そういう線に沿って目標を掲げていけば、整理をすればいいと思いますし、共生をまず基礎としてというのは既に部会長メモで出てきて、我々は了承していることですから、それをがらがらとひっくり返すことはかなり問題があるかもしれません。それで、事務局も苦労されてこういうことになったんだというのは理解できます。

(安原委員長) 局長。

(企画調整局長) 発言を許されていますので発言させていただきますが、今、先生がおっしゃられたように、今度の国会で循環形成推進基本法を出すときには、一応こういう大きな循環があるだろうと。それから、廃棄物等を中心とした、言うなれば、小循環といいますか物質循環ということで国会でも説明していますし、現在の環境基本法の中では、概念としては両方あるんだと思うんですね。今回は、国会に出したのは小循環という形で整理して、しかし、基本法の中には大循環もありますよと、こういう説明をしておりますので、今の先生の説明で私もよろしいんだと思うんですが、ただ、片方の共生の方が、実は部会長メモにもあるんですが、果たして同じ言葉を使って、題名を変えることが、ずっと今までこの環境基本法を進めてきた上で、別の言葉で上位概念があればいいのですが、今わきにある共生という言葉が、実はこの全体を網羅する言葉に今度は変わっていくわけですね。これがもしかしたら法律改正をしないとできないような話ではないかなという、ちょっと懸念を持っておりまして、しかも、大体共生と言った場合に、常識的には動物と動物が普通は共生ですね、もともとの言葉は。この基本法になって、自然と人間との共生になって、今度はもっと上の概念として、すべてのものが共生という整理になるということになりますと、さらに1段飛んでいくような形になるので、別な言葉で上位概念をつくるのは私はよろしいかと思うんですが、共生という同じ言葉を使って、上位概念だと、つまりわきから上に持っていくというのは、ちょっと何か混乱が起きないだろうかということを、実は昨日も幹部の間で議論をしておりましたことをちょっとご紹介させていただきます。

(安原委員長) 浅野委員、どうぞ。

(浅野委員) 確かに基本法の3条に掲げられている考え方が、実はよくよく考えたら人と人との共生という理想を示しているものだったのだと、はっと気がついてみたらそうでしたねということなんですね。ですから、この間環境共生学会に雑文を書けと言われたので、第一種共生と第二種共生というのがあるんだろうというようなことを書いたのですが、企画調整局長がおっしゃったのはまさにそういうことだろうと思いますね。ですから、ここは、考え方はおっしゃるとおりだと思います。1つの言葉を二重の意味で使うというのは、確かに計画としては非常に無理があることはわかっているのですが、そこをどうクリアするかですね。だから、1つの表現としては、共生という言葉とは別の、3条をうまくあらわせるような言葉を考えるか、あるいは、あえて共生という言葉を二重の意味で使うかですね。どっちかだろうと思います。もともと共生が生き物と生き物というのは、これは基本計画を前につくったときから否定されることでありまして、それは広辞苑を持ち出されて議論がありましたから、広辞苑では、1は、必ずしも生態系とは違う概念で使われているということだということで、一応そこはクリアはできているんですが、しかし、長い間、確かに人と生き物とか、人と環境の共生ということが定着してきていることは間違いありませんね。だから、ここでもう一回環境基本計画が全く別の意味の共生という言葉を、同じ表現で使っていいかどうかというのは、正直なところ非常に迷いはあります。

(安原委員長) ほか、難しいところですが、いかがですか。

 そうしますとあれですか、この原案では、部会長メモの線に沿って、共生を上位概念に置いて、それで循環、参加、国際取り組みと、こう並べているわけですね。だけれど、局長の今のコメントは、そうではなくて、従来の対等の概念のままの方がいいというご意見ですね。

(企画調整局長) 結果的には。

(安原委員長) そういうことになりますね。

(廣野委員) 1つの考え方としてちょっと提供してみたいのですが、確かに私たちが住んでいる地球といいますか、あるいは宇宙と申しますか、そういうものを考えると、我々が知らないことがたくさんあるんですけれども、知らないものとも私たちは共生しているんですね、現在。すなわち、私たちの知っている太陽系の問題なんていうのはある程度わかっていると言いながらわかっていないところもあるし、太陽系の外のことはもっとわからないし、しかし、私たちはそれと共生しているわけですね、現在。それに対し、いろいな疑いを持っている方はいると思いますけれども、疑いというのはどういうことかと言うと、いや、今人間のやっていることは、実は太陽系を破壊しているだけではなくて、太陽系の外も破壊しつつあるんだと。そういうことになってくると、これは本当に宇宙の問題で、しかし、本当にそうなのかどうかよくわからないと。そうであるとすると、一応私たちは共生という、すなわち現に与えられた状況というのは実は共生なんだという、そういう共生という中で、どうやって私たちの身の回り、身の回りというのは地球のことですけれども、地球そのものの物質循環、そういうものをうまく、まさに循環の格好で持っていくのかということ。そうすることによって、できるだけ環境に負荷の少ないような、そういうような生産、あるいは消費活動、そういうものをやっていこうと、こういうことだと思うんですね。そうであるとすると、やはり共生というのは別に、我々が選択できるものではなくて、もう与えられているものではないでしょうか。こんな言葉は絶対使いませんけれども、神から与えられたものなんですね、ある意味でこれは。だから、そういうことで、共生というのはもう既に与えられたものであって、その中で私たちはどうやってすべてうまく循環させていくかという、こういうことではないかなというふうにも感ずるんですね。だから、共生について、イエス、ノーなんて言えないのが私たち人間ではないだろうかと。共生というのは与えられたものであると、そういうふうに我々がとらえて、その中で、ではどうやって我々は循環をうまくやっていくかという、こういうことかなと。もしそうであるならば、やはり共生というのは、実は循環の上を行く上位のものと考えてよろしいかなとも思うんですね。もし私たちの科学技術の発展によって、いや、共生なんてやらなくてもいいんだということになってくれば、これはまた別だと思うんですね。ところが、現在の科学技術の発展の中で、共生というものを否定するほどの大きな科学的な知見とかそういうものはあるでしょうか。私はやはりないように思うんですね。そうすると、宗教なんかを非常に強く信じる方はこれを神と言うんですけれども、そういうことでもって、ある程度共生というものは与えられるものとして考えて、その中で循環をどううまく持っていくかというのが私たちの仕事であって、その中で特に環境負荷を最小限にしていく。なおかつ、私たちの経済的、社会的、あるいは政治的な、いわゆる持続可能な経済社会をつくり上げていくということが我々に求められているのではないだろうかということであるとすると、できれば共生というものは与えられたものとして当然のことですから、上へ持って行って、それから、循環、参加、国際的取り組みと、こんなになるかなという感じをちょっと持つんです。あくまで1つの考え方ですけれども。

(安原委員長) だから、あれですね、この参加と国際的取り組みが手段であるというのは皆さん異論はないと思うんですよね。だから、共生と循環というのが対等の長期目標なのか、今おっしゃったように、共生の方が上位概念で、循環もいわばそれを実現していくための達成戦略の1つだということにするのか、その2つの考え方があるのだろうと思うんですけれども。

(廣野委員) くどいようですけれども、私は共生を達成するということはないと思うんですね。共生というのはもともと与えられたものであって、循環をどうやっていくか。

(安原委員長) それを何とか維持し、それから、より健全な形に持っていくとか、そこはもう与えられたもので、それしかないということではなくて……。

(廣野委員) 僕の言う、ここで言う循環1の方ですね。丸で書いてある循環1のことを言っているのは何であるかというと、ある意味では与えられた共生のことであって、やはり与えられた共生の中で、では私たちは、ここで言う循環2と書いてある、小循環と書いています、そういう格好でどうやってうまく循環そのものをうまく実現させていくかということではないか。共生そのものは、私たちは、これを否定するということはもうできないものではないでしょうか。だから、共生というものはもう与えられたものであって、その中で、では私たちはどうやって持続可能な経済社会をつくっていくかと。それはまさに循環ということが非常に重要になってくると、こういうことではないでしょうか。

(安原委員長) 与えられたものだとすると、環境政策の長期目標ということにならないのではないですか。もう与えられたものであれば。やはり政策努力をして……。

(廣野委員) いや、そうではなくて、与えられたものだけれども、しかし、人間、私たちはお粗末だから、その与えられたものを与えられたものとしてちゃんと理解せずに、私は何かマニピュレートできるのではないかという感じを我々は持つんですね。私はそうではないと思うんですね。やはりこれは与えられたものだから、しかし、同時に、この与えられたものの中で、いわゆる循環というものは、私たちは共生を達成するための循環ではなくて、やはり共生は与えられたものであって、その中で循環をどうやるかによって持続可能な経済社会をつくっていくかということになってくるのではないか。だから、そういう意味では、循環というのは、持続可能な経済社会形成という目標ですよね、その目標にもっとも重要な、いわゆる戦略といいますか、戦略的な概念であると、循環というのは。共生というのはその外にある。持続可能な経済社会の達成というその目標、これ自身はやりは何と言ったって循環というものを通じない限りはできないんだからということで、目標は持続可能な経済社会の実現ということが目標ではないでしょうか。

(安原委員長) どうですか、局長は。廣野さんと見解が違ってくると思うんですけれども。

(企画調整局長) 上位概念か、あるいはそういう与えられたものかということは、どちらにしても、そういう概念があったということであってもよろしいかと思うんですが、従来、共生という言葉で使ってきた、定着した言葉としてのものがあるわけです。ですから、同じ言葉を使って、またそれを言い出すということに対しては、混乱が起きないだろうかと、何か別な言葉でそういうのがあるというのは、それはそれとしてあるのかもしれませんけれども、それを共生と呼ぶのかどうかというのは、本当にそういうものを共生と呼ぶのかどうかというのがまずあると思うんですが、共生と仮に呼ぶとしても、従来から使ってきている言葉とは違う意味になりますので、そうしますと、従来ずっと世の中で、循環、共生、参加、国際ということになっているのが、今度のやつで変わってくるという形にはなりはしないかと、そこをちょっと心配しておるわけでございます。

(安原委員長) どうぞ、幸田委員。

(幸田委員) 大きい意味での共生というのは、具体的にはどんなことでしたかしら。今までと違うというのは、どういう部分でしょう。

(環境計画課長) 基本的には、共生のところでゴシックで書いてある部分ですね。「健全な生態系を維持・回復し、自然と人間との共生を確保する」と、まさにそのことが共生とあるということで、多分そこのところは動かないんじゃないかと思うんですね。ただ、私が先ほど申し上げたのは、上に出ている「かけがえのない貴重な自然の保全」とか、そういうちょっと手段的なことがいろいろ書いてあるわけですが、そこがこれと必ずしも十分見合っていないと。例えば経済社会システムをちゃんとやっていくんだとか、それが本来は健全な生態系の維持・回復とかという話になればつながってくるだろうと。むしろ世界の行政はそういう方向性を向いてきているのではないかというようなことであるわけなんですが。

(幸田委員) まだよく何が違うかわからないのですけれども、私はむしろ、今、この共生というところに書いてある説明がまだ弱いような気がしまして、もっと共生ということの意味が5年たって、もっと深くなってきても全然おかしくないんだと思うんですね、できたときから見て。ですから、ここの中の説明をもうちょっと、生態系の構造と機能を維持できるような範囲内で何かをしなければいけないとか、後で出てきますけれども、そういうのもきちっと入れたり、あるいは、次の世代に今の自然をバトンタッチできるとか、そういうことをもっと含めてもいいんじゃないかと思うんですね。ここで、だから内容をもうちょっと深く書いたから上位に持ってこなくてもいいかもしれない。循環と共生という2つ、大事なプロセスですから。ただちょっと、この書き方がまだ弱いような気がしますので、もう少し詳しく、共生とは何かというのが、目指すべき共生というのをはっきり打ち出す必要があるのかなと。人との豊かな交流を保つことというのも大事ですけれども、ロージーなそんな話だけではなくて、やはりもっと私たちは責任として共生をちゃんと実現するためにしなければいけない義務的なこともあるわけですけれども、そこのところをもうちょっと書いてもいいのではないかなと。そうでないと、こういう豊かな交流なんかできなくなっちゃうわけですよね。

(安原委員長) だから局長の……。

(企画調整局長) 基本的には同じなんです。幸田先生と私は同じ考えでございます。ただ、廣野先生が言われたのはもう少し違う概念ではないだろうかと。

(安原委員長) だから、共生と循環が健全な形で達成されている状況を目標とするということでしょうね、局長の場合は。それを達成するためにすべての主体の参加と国際的な取り組みを進めていくということですね。他方、共生というのがあって、共生が成り立つように循環を確保していくと。それで、さらに参加と国際取り組みが戦略として重要だと、立体的な構造に位置づけるのかどうかと、その2つの考え方でしょうね。

(廣野委員) 今、そういふうに共生を考えるとすると、これはやはり、15ページのところに書いてありますが、長期目標のところに、「持続可能な経済社会を形成していくために」という、それが目標であって、「持続可能な経済社会を形成していくために」ですね、そのための必要なこととして共生と循環があるんだという、そういうとらえ方ですよね。それはそれで1つのとらえ方でいいと私は思います。ただ、私がさっき言ったのはそういう意味ではなくて、もうちょっと広い意味で、太陽系とか、太陽系の外の問題とかということを考えてくると、なかなか共生ということに対して疑念を設けるのでできないなということで、与えられたものだという、そういうとらえ方をしたわけで、だけれど、持続可能な経済社会を形成していくためにということの、そのためのやるべきこととして我々が考えなければいけない基本的な原則といいますか、ものとして共生と循環があるというのは、これはよくわかりますね。これは全然問題はないと私は思います。

 それから、今の幸田委員のおっしゃっているのは全く賛成で、共生をどうとらえるかということですけれども、これは私、ちょうど、循環というのは、僕ら経済学者からすると、効率の問題なんですね、これは。完全な効率の問題であって、循環が悪くなると効率が悪くなるわけですね。だから、そういう意味で、循環というものは効率を高めるためにどうしても必要なんですね。ところが、人間社会というのは、効率だけではだめなんであって、やはりそこにはほかの価値観が導入されなければいけないと。それで、ほかの価値観としてはどんなものがあるかというと、入ってくるものとしては、例えば公平の概念であるとか、透明性の概念であるとか、いろいろなものが入ってくるわけで、そうすると、私たち、特に経済をやっている連中から見ると、効率ある社会というのをつくっていきたいと。できるだけ高効率の社会。そうするとやはり、そこは徹底的に循環を進めてほしいと、こう考えるわけですね。だから、そういう意味で、徹底的に循環を進めるということが今度の基本法の見直しの中で物すごく重要で、そのためには、私たちはそういう意味で非常にこの点を重要視しているんですけれども、そうは言うものの、循環だけでいいかというとそれではいけないということで共生が出てくると、そういうことになるんですね。そうなると、今度、循環がより重要であって、重要というか、ともに重要なんですけれども、従来の循環、共生、参加云々という並べ方で構わないという、そういう考え方にもなるんですね。わざわざここでもって共生を先に持ってくるという必要はないということにもなる。ただ、ある程度成熟社会において、もうこれ以上効率を追求するということに対して、社会にいろいろな批判が出てくると。やはり効率一点張りではだめだと、これはもちろんわかっているんですけれども、そうかと言って、効率を犠牲にしてもいいかどうかと、これも問題があるので、ちょっと話がずれますけれども、今度、世界のいろいろな開発問題をやっている人たちが集まる1つのクラークがある。そこには世界銀行の総裁とか、いろいろなENDP、その他いろいろな各国の国際間の総裁、それから、各国の援助関係の大臣ですね、それが集まった会合がこの前あったんですけれども、あの会合の中で、皆さん方が異口同音に今回強調したのは、政治の問題でしたね。やはりこれからは政治を持続させなければいけないという。そういう意味で言うと、政治を持続させるというのは効率なんですよね。ところが、そこに出てきた問題は何かというと、効率だけを追求しちゃうのでは政治はできないんだと、これからの社会は。やはり効率以外に、公平とか、そういう透明性とか、そういうものも追求しないと、政治さえできないんだと、そういう議論が今度されたんですね。だから、そういう意味では、効率と公平とか、そういう概念は、1つの同じ重要性を与えられたと、ことしのそういう議論の中でそんなのが出てまいりました。そういうことを考えると、やはり私は、ここに書いてあるところの循環と共生は同じように重要なものとしてとらえていいのではないかと、余りこちらが上でこちらが下というのではなくて、ともにこれが、ある意味で両輪といいますか、車の両輪のような、そういうかかわりで、循環がないと共生もできないし、共生がないと循環もできないという、そういうとらえ方をした方がいいのではないかと。

(安原委員長) 三橋委員。

(三橋委員) 感想なんですけれども、もともと廣野委員がおっしゃったことはあれなんでしょうかね、自然と人間がもともと共生していたんだと。しかし、人間がいわゆる経済社会を構築することによって、ワンウエーの経済をつくってしまったと。したがって、環境が破壊されてきたので、そのワンウエーを循環させるというような考え方でこの図式ができているというように考えていいのですかね。そうすると、もともとありきというのは、自然と人間が共生していた、そういう世代があったんだと。しかし、経済発展の過程で、ワンウエーの経済ができてしまって、さまざまな問題をつくり上げてしまったと。そのワンウエーを、つまり円形に変えるというのが循環ですから、そのために循環が必要なんですよというような位置づけなんでしょうかね。それならば私は私なりに理解できますけれども。そういうような形に変えていくんだという意味で循環というものを考えれば。

(安原委員長) そうすると、先ほどの廣野さんのあれで、局長が言っておられるのと同じ意見になるんですかね。共生と循環を目標として、参加と国際取り組みを進めていくと。それで、もっと共生のところを強化するとかが必要だという。

(幸田委員) そのときに、循環と共生は両方大事な目指すべき価値として、例えば書く順序ですが、共生を先に書くだけでも違ってくるのではないでしょうか。

(安原委員長) いかがですか。そうすると、長期目標の説明書きのところですけれども、4つの長期的目標を置くと。そして、我々は共生の考え方に基づき云々と言って、目標とするとともに、達成する戦略としてということは書かないで、並列的に循環の考え方で経済社会システムや何々を形成していくことを目指すと、そこを少し修文すれば、今の議論に合致するんですかね。それを達成する戦略というぐあいにしないで、共生の考え方に基づいてこれこれを目標とするとともに、循環の考え方で経済社会システムを形成していくことを目指すと。共生と循環を実現していくために参加を進めると。国際的取り組みも。それで、この順番を、今おっしゃったように、共生を最初に持ってくると。

 どうぞ、小早川委員。

(小早川委員) 環境倫理は素人なものですから、ただただ聞いていたんですけれども、だんだんちょっとわかってきたような気がするんですが、順番を変えるということは、表の上で言うと、共生の中身が循環の中身の上に行くということですね。ただ、共生の中身というのは、これは先ほどから局長や計画課長が言っておられるように、極端に言えば従来の自然保護行政の話であると。しかし、そう言っては身も蓋もないんですが、ただ、やはりそこはそれなりの意味があったんだろうという気もするわけでして、行政に限らず、公共的な課題として何が大事で、どういうふうに人間社会が取り組んできたのかという公共課題のイメージ、とらえ方、それから、活動のカテゴリー、そういうものが歴史的にあると思うんですね。さっきの長期目標の位置づけについてのペーパーで言えば、外側の大循環が経済社会の活動によって狂わされてきている。それはまずいので、その大循環をよい形に戻そうと、そういうことを狙ってみんなが一生懸命活動するのが、これが循環の部分であって、それから、それと別のことではないんだけれども、根っこは同じなんだけれども、それは人間と自然との触れ合い、あるいは人間を取り巻く自然の多様性、豊かさ、そういうものがなくなってきている。これが大変なことだという認識のもとに、そんな問題に取り組む。これが従来の、ここで共生と言われて書かれているような種類の人間活動であり、社会の課題であったのではないかと思うんですね。先ほどからちょっと目標か手段かという議論もありましたけれども、そういうふうにこれまでの人間の営みの積み重ねなんだとすれば、それは目標と手段のセットだったのではないかという気がするわけなんですね。そういう前提の上でこの文章が、この循環のところの目標、共生というところの目標ができているのだとしますと、この共生の方を上にして、それが上である、それで循環がその次であるというふうにはやはりならないのではないかと。その両者を引っくくるものは何かと言えば、そういう自然の中での人間は、だんだんすごい力を獲得しつつあるけれども、やはりまだ今のところは与えられた条件の中に位置づけられた有限な存在であるという、そういう認識が共通にあるのではないかという気がするわけでして、そうするとまた、先ほど局長が言われたことですけれども、言葉としてこの共生という言葉に新しい意味をつけて位置づけを変えるということはやってもいいんですが、そういうふうにはっきり宣言してやってしまえばそれでもいいんですけれども、何もそうする必要もないので、何かそういう全体の認識を、今回はこういう認識でやるんだということであれば、それにふさわしい言葉を考えるというのがいいのかなという気がしております。

(安原委員長) どうぞ。

(廣野委員) あくまでも私は申し上げたいことを端的に要約するだけですけれども、そんなわけで、もしこの文章を変えるとしたら、私は上の「置く。」というところまでそのままにし、「そして、我々は、」というところですが、「そして、我々は、現世代及び将来世代が環境の恵沢を享受し得ることを目標としつつ、それを達成する戦略として『共生』『循環』の考え方で」と、こういう格好でいいんじゃないかと思いますね。だから、前の「『共生』の考え方に基づき、」というのを取ってしまって、そして、「それを達成する戦略として『共生』『循環』の考え方で経済社会システム……」、こういうことでないでしょうか。

(小早川委員) いい方法だと思います。

(安原委員長) どうぞ。

(企画調整局長) 先ほどめり張りという言葉がしきりに出てまいりましたんですが、ここしばらくは、多分循環ということがキーワードだと思うんですね、数年といいますか。そうしますと、この循環には、先ほどお話がありましたが、循環1と2、つまり大循環と小循環が入った意味での循環だと思うんですが、多分、そのあたりのここ数年の大きな山は、循環2の小循環の話がずっと続いていくんだと思うんです。先ほどのめり張りという言葉から言うならば、今後数年間一番大事だということになるならば、これは私個人ですけれども、循環という言葉の方が先に出た方が、世の中に対してははっきりしているなということが出るのかなというふうに感じます。

(安原委員長) どうぞ、猿田委員。

(猿田委員) お話を伺っていて、ますますわからなくなってきたというのが正直なところなんですが、感想で申しわけないんですけれども、今いろいろ局長さんや廣野先生のお話を伺っていてなんですが、この循環のところで、最後のゴシック体で、「環境の負荷はできる限り少なくし、循環を貴重とする経済社会システムの実現」、共生のところでは、「健全な生態系を維持・回復し、自然と人間との共生を確保する」。そうすると、健全な生態系を維持・回復し、自然と人間の共生を確保するために環境の負荷をできるだけ少なくしていく。そして、循環を基調とする云々ということになる。それはもう一つの考え方として、フローとして考えられる。ただ、環境の現状というものを考えた場合に、少なくともこれからまたそれがしばらく継続する。しかし、長期的目標を立てて、その中でそれを改善しながら、また自然豊かな環境に持っていこうとしなければならないわけですね。現実に、今局長さんがおっしゃいましたけれども、循環型という重要性というのが増してくるでしょうから、大気、あるいは水にしても、環境の負荷をどうやって下げていくかという、少なくするかというのが、まず当面の大きな課題だろうと思うわけですね。そうすると、やはりそういう中で、そういうものの達成があって、それからさらに、もちろん生態系の維持・回復するということの重要性というのはもっともですけれども、それよりも、現状の、いろいろな自動車問題、いろいろなものが起こっている、それを改善せずに維持しようとしてもなかなか難しいわけですね。自然環境を維持・回復しようとしても難しいわけで、そうすると、そういうような環境の負荷というものを低減しながらやっていかなければいけない。そうすると、どこに重みを置くのかということでいくと、そういうような環境の負荷の低減を行うことによって、自然環境というものを回復し、そして、その回復したものはそれをキープしていこうという方向。共生という、これは前回の環境基本計画をつくって散々問題になりましたよね、共生という言葉が初めて出てきたんじゃないかとか、いろいろ反論もあったりしたんですが、共生というのは今はもうなじんできているわけですけれども、前回のときにはかなりいろいろな議論がされた言葉なんですけれども、この2文字そのものが議論されたわけですが。私、今お話を伺っていて、そういうようなことから行くと、今後の、環境の現状というのは前の方にいろいろと書いてありますけれども、やはりそういうものの実態を踏まえて、今後の環境改善、そして、長期的な良好な環境を維持していくという中で、地球環境の負荷も少なくするという考え方をベースに行っていくとすれば、物質循環というものの環境の負荷の低減ということが前提にあって、その中で初めて共生が、今後、今の破壊された十分共生できない面が回復されていくというふうになるのかな。これは今伺ったことなのですが、そうすると、やはり循環・共生というような形で、あるいはここの重みを持たせることがどれだけの意味があるのかという1つ疑問もあるんですけれども。そういう差をつけなければいけないのかどうかということもあるんですけれども、伺っていて、ちょっとそういうことを感じましたので。

(廣野委員) 今の委員の話を聞かれて、ちょっとまた触発されて申し上げるんですが、ここに書いてあるのは長期的目標なんですね。だから、長期的目標であれば、私はなおさらのこと、共生と循環というのは、それを達成し、戦略として、共生、循環の考え方でいいと思うんですね。ただしかし、もし仮に中長期の考え方、例えば21世紀の最初の10年とか、そういうようなことで考えるのだったら、これは長期目標とちょっと違って、もうちょっと中期的な目標になりますから、そうなると、そのときに、今必要とするのは何であるかということになると、循環の問題、非常に重要になってくるだろうと。ただ、それはあくまでも戦略の問題として出てくるわけですね。だから、方向性としては、共生と循環というのは根底にあるわけであって、持続可能な経済社会実現のために共生と循環があるわけであって、しかし、それはあくまでも長期的な目標の中の一環としてあるわけであって、しかし、ここ10年ぐらいのことを考えてもしやるのだったら、戦略的には循環が重要なんですよという言い方をすることは何らおかしくないし、また、特にこれは今回、基本計画の見直しですから、こういう基本計画は大抵10年間の基本計画でしょうから、これからの10年間ということだと、私から見るとある程度中期的なものですから、長期じゃないですよね。そうであるならば、その中で共生と循環というものを長期的目標の中で重要と指摘しておきながら、同時に、今度の基本計画の見直しの中では、循環というものを例えば大事にするという言い方はできますよね。これはまさに戦略の問題ですから。また、戦略性がないと、何かそれこそ、先ほど山と谷と、私、言いましたけれども、それがなくなってくると。

 以上です。

(安原委員長) それでは、いろいろ議論はありましたけれども、共生と循環を対等の概念として扱って、前後の問題はございますけれども、共生をワンランク上の扱いとしないという整理で表現上いろいろと工夫してみると、きょう伺ったような意見を参考にして、そういうことでよろしゅうございますか。

(廣野委員) そうやりながら、今回の基本計画の中では、特に循環の問題をかなり突っ込んでやっていくんだというようなことは書くことは難しいと。

(安原委員長) 当面の中期目標としては、どちらかと言うと循環に重点を置くとかですか。

(廣野委員) そうやることによってめり張りができますよね。何もかも全部きれいにひな壇に並べておくのではなくて、その中で、我々はこれからの10年間についてはここに……。

(安原委員長) それはまさにこの戦略プログラムのところの力点の置き方じゃないでしょうかね。だから、長期目標としては並立に並べて、どうしたってどっちかが先に書き、後にならざるを得ないんですけれども、それはそういう軽重の問題ではなくて、理念的に言えば、廣野委員も最初から共生との共存がありきだとおっしゃっていますが、理念的には、あるいは共生の方が先かもしれませんね。人間社会の……。

(小早川委員) こういう仕事なので、表現が固まればそれでいいのかもしれませんが、ただ、先ほどからずっと一連の議論で、私たちみんなの、それぞれの概念の使い方が必ずしも一致していないのではないかという気はするんですね。もう、浅野委員はおられないんですが、さっきちょっと発言がありましたけれども、確かに第1回の基本計画のときには、共生ということをキーワードでもっていろいろ議論をして、そのときも十分整理されないままになったのかと思うんですよ。今、特に廣野委員がおっしゃっていることとの関係で、共生という言葉がひょっとして二重のレベルで2通りに使われる可能性があるのではないかという気がしているんですが、少なくとも前回の基本計画の表現で言えば、循環と共生というのは同列の2つのものであって、ただ、政策的にはどっちかと言うと循環の方が先におっしゃっておられたのかもしれない。だけれども、その両者の根っこに、まさに廣野委員が強調されるように、全体としての、浅野委員も言われたのですが、単に生き物との関係だけではなくて、人間とそれを取り巻く環境、環境というのは結局物質の循環系であると、それとの関係なしに人間というものは考えられないんだという、そこがあって、それのことを共生と言いたいというところはあるんですね。だから、その辺が何か、極端に言えば、同床異夢の形で文章ができ上がっていて、後でまた混乱するのかなと。まあそれはそれでいいのかなと。結局私なりに何も言わなくても、言っても意味のなかったことですけれども。

(安原委員長) それでは、議論は尽きませんので、きょうの意見を参考にさせていただきまして、一応そういう循環と共生は並立概念ということで整理をさせていだたきます。また具体的な文章をごらんいただきまして、次回でもご意見をいただければと思います。

 それでは、きょうは主として1部、2部について議論をしていただいたのですが、次回から3部、4部のドラフトを用意しまして議論していただくということになりますので、次回の参考にさせていただくということで、現時点で3部、4部の、ただ項目しか並んでいないんですけれども、項目をごらんになりまして、ぜひこういう内容を入れるようにというようなことで、ご意見があれば、現段階のご意見を伺っておきたいと思います。よろしくお願いします。

 その参考として、お手元に各検討チーム報告書概要というのを用意していただいておりますので、これでも非常に大部でございますから、すぐにこれをひもといてというわけにはいかないかと思いますが、参考にしていただきまして、ご意見をいただきたいと思います。

 ご意見をいただく前に、事務局の方で若干何か、この3部、4部の構成についてコメントしていただくことはありますか。

(環境計画課長) この部分については、今、実は文案を整理しまして、固めつつあるわけでございますが、基本的には、できるだけ部会長メモの方向性に沿って、課題とか、解決していく道筋としてどういう方向性になるんだ。そして、それについて重点的な取り組みはなんだ。さらに、それについての目標みたいなものは立てられないのかと。そういうことを中心に議論をさせていただいております。それで、検討チーム、それぞれ報告書を出しておりますので、その検討チームの報告書を可能な限り政策的に取り込んでいくと、そういう方向性で対処させていただきたいというふうに考えております。構成の話になりますと大変で、具体的に説明しないといけませんので、とりあえずは方向性だけということでよろしいでしょうか。

(安原委員長) そうですね。目標を数字で入れられるものもありますし、なかなか数字では入らないものもあろうかと思いますけれども。

(猿田委員) そうすると、総合シートですか、との関連もありますね、前に。報告書に出ている。

(安原委員長) どうぞ。質問、結構です。

(廣野委員) 今、初めて3部をちょっと見てみたんですが、2点ばかりお聞きしたいんですけれども、1つは、いろいろなところで出ているので、例えば行政活動への環境配慮の織り込みであるとか、グリーン化のことですね、そのほか、技術開発等に際しての環境配慮であるとか、そういう格好で、どうやって環境に配慮するかということがかなり書いてあるんですね。これはある意味で、いろいろな各主体並びに特に事業者で言うと、民間企業で言うと、産業の環境化という問題だと思うんですけれども、今度逆に、環境の産業化と申しますか、そういうことがこれから、特に日本なんかはこれをかなり世界から期待されているわけであって、そういう環境の産業化というか、そういうものがこの中でどこに入っているのか。それをちょっとお聞きしたい。これが1つ。

 それから第2は、ずっと国連の方でITの委員会の委員長をやっているものですから、そんな関係で、ITの方をずっとやっていて、ITとの関係でちょっと申しますと、この重点分野における展開の中で、ITの問題を、環境管理のためにどうITを使うかという、そういう視点が、例えばですけれども、研究とか、そういう監視・観測技術ですね、こういうところでどうITを使っていくかという、そういう視点から書いてあるように思うんですけれども、国内的にも国際的にも当然そういうことは重要ですから、これから環境政策の基本的基盤になると思いますけれども、同時に、逆に、そういうITを手段として考えるのではなくて、ITそのものがこの社会をどう変えていくかという、我々は国際社会、国際経済のルールを今変えつつありますけれども、どんな格好で国政政治のルールを変えつつありますけれども、ITというものは、単に技術としての、手段としてのITだけではなくて、ITはちょうど19世紀の産業革命と同じように、もっと広い広がりを持ってくるものではないだろうかということは今まで我々が議論してまいりました。そういう中で、どんな広がりを持つかということを、我々、国連のレポートの中でかなりたくさん1年間にわたって書いてきましたけれども、そういう中で、私は環境との関係で考えると、ITというのは非常に違ったインパクトがあるのではないかと。だから、違ったインパクトというのはどういうことかと言うと、例えばですけれども、ITを導入することによって、私たちの経済社会がどう変わるかという中で、例えばエネルギーの問題とか、ここの中にも、今回のレポートの中にも書いてあったんですが、情報技術の導入が、一方では環境に対して負荷を少なくする面と、それから、負荷を多くする面があるという、これは非常に月並みな表現でして、もうちょっと我々から見ると、ITのプラスの面ですね、いろいろな面にあるものですから、そのところを少し入れた格好で、この重点分野における展開がうまく書けたらいいなと。そうするとかなり違った、単なるITを環境関係の影響に関する監視であるとかの技術であって、そのためにどうITを使うかという、そういう単なる問題ではなくて、もうちょっと広い、一種の文明主論的な立場からITを見直して、それがどういうインパクトを与えるかという、こういう視点も導入したらおもしろいのではないかと。これが1つの新しい、環境庁が今度は環境省になりますので、ちょうどそういう広い立場からこの問題、ITなんかを見ていただいて、環境に対するインパクトを考えていただくということを提案したいんですけれども。

(安原委員長) 事務局、どうぞ。

(環境計画課長) 第1点でございますが、いわゆる環境の産業化といいますか、市場化といいますか、そういうような話は基本的に環境投資の部分ですね。ここである程度書きたいというふうに思っております。従来、公共部門でやっていたようなものでも、場合によってはすぐに市場化が図れると。そういうものがあるのではないかと。そういう指摘もされておりますので、そういうことで考えております。

 それから、第2点のITの部分につきましては、これも基本的にまず環境投資の部分ですね。これでまずカバーしたいと思っておりますが、ちょっとなかなか、現在の両方のプラス面マイナス面があると、それ以上のことはなかなか分析できないでいるわけです。実は今年の環境白書におきましてもそれを試みておりますが、必ずしもすっきりした形で整理がつかなかったと。現在においては、完璧な見通しを持っているところはないと。そういう状態の中で、可能な限り努力はいたしますが、書ける範囲にどうしても射程距離が伸びないと、そういう事情があるということはご理解いただきたいと思います。

(安原委員長) 猿田委員、どうぞ。

(猿田委員) 今、第3部、第4部ということで、次回にまた何らかの方向づけが出てくると思いますけれども、第4部のところで、新計画、その先の次期計画ですから、先の話になるわけですけれども、先ほどちょっとお話申し上げました自主的取組手法などについて、ターゲットグループアプローチというようなオランダのお話を申し上げましたけれども、これを今度の新計画の中でご検討いただけるかどうか、難しいのかもしれませんけれども、もしそういう場合であれば、次期計画に向けて検討の1つの事項として明確にしておいていただければというのがお願いでございます。

 それから、先ほどもちょっと申し上げた総合指標ですね、これをどのようにしていくのか、場合によれば改良することに、あるいは内容を少し使い分けることによってもっと活用できるのかどうか、その辺も、長年ご苦労いただいた環境指標報告もあるわけですので、その辺も今後の1つの検討課題としてお願いできればと。

(安原委員長) 総合環境指標についてちょっと事務局の方から。

(環境計画課長) 総合的環境指標の報告書につきましては、今回の計画の環境の状況の中に入りますね。可能な限り取り入れるようにしておりますが、ただ、一番の問題点は、環境負荷と、実際の環境の状況といいますか、そこの間のつながりがどうもまだ十分に対応できないないと。その辺の対応が十分できますと、指標というのは政策的に使ったり、あるいは目標設定的な形で使ったりと、そういうことがかなりできるようになると思いますが、そういうところはまだ不十分であると。実際に来年度の予算要求におきましても、その辺の改善をするための要求をさせていただいておりまして、これについては、少し重要性のある部分から手をつけていきたいと考えているところでございます。

(安原委員長) 幸田委員、どうぞ。

(幸田委員) 28ページの(4)の国際的取り組みに係る施策なんですけれども、ここの一番下に、調査研究、監視、観測、技術とありますが、検討会でやったときには、人材のこともかなり重視されていて、やはり国際社会の中できちっとリーダーシップを発揮する人材とか、あるいは国際機関の中に出向している日本人の数が余りにも少ないということで、やはり人の部分も入れていただければと思います。

 それから、これは環境基本計画に入れるべきものなのかどうかわからないのですが、前も行政活動、これは(3)の○の3番目ですね、行政活動への環境配慮の織り込み(グリーン化)、今回、グリーン購入の法律もできましたので大分変わるんだと思うんですけれども、たしか環境基本計画ができた最初の年に、各省庁がどのぐらいエネルギーを節約したかというのを、みんなアンケートをとって発表したんですね。ところが、その次の年から中止されまして、それはお互いの指標のデータ、もとが同じ標準になっていないから単純な比較はできないという、そういう理由を言われましたけれども、今度は共通の指標の開発の必要性も言っているわけですから、企業や市民にいろいろお願いする以上、行政もしっかりとどのぐらい努力したのかを公表する必要があると思います。ごみをどれだけ減らしたとか、ちゃんと公表するよう、ぜひそこら辺もお願いしたいと思います。

(安原委員長) どうぞ。

(環境計画課長) ただいまの問題につきましては、率先実行計画がございまして、それに基づいて、例えば電力の使用量がどうなっているかとか、ごみがどうなっているかということについて、毎年集計をして発表をいたしております。それで、残念ながら、水の節約とか、紙の節約とか、そういうものについてはうまくいっているんですが、廃棄物の量を減らすとか、電力消費を減らすというところについては非常に状況が悪いと、そういうようなことが出ておりまして、その点は大分率直に、細かい各省庁別の数字も含めて報告をさせていただいております。

(幸田委員) そうすると、環境庁がまとめて、一般に公開しているということですか。

(環境計画課長) 各省の連絡会的なものがございまして、そこの事務局として環境庁が成果を取りまとめて公表させていただいているということでございます。

(幸田委員) 新聞が書いてくれないだけで、1年目だけは出たけれども、その後はでは、むしろ新聞のせいなのでしょうか。失礼いたしました。

(猿田委員) 1年目のときは、合同庁舎だから、入ってもわかりませんとか、そういうのが出てきて、結局ここも合同庁舎で厚生省も入っていますよね、どこがどれだけのかわからないので、結局うやむやになってしまったということを記憶しています。

(安原委員長) どうぞ、太田委員。

(太田委員) 3部あるいは4部にかかわるかもしれませんけれども、私どもは交通の検討チームでいろいろ議論した中では、先ほど枠組み規制なんていう、枠組みをどうつくっていくかということの部分で、実効あるそういう枠組みをどうするか。新しいそういう計画の仕組みとか、それを担保する財源、その他をどうするかと、大変重要な問題が、それぞれ重点分野では出てきた部分でございました。それが2番目の環境保全施策の体系というところでまとまっているかと思いますが、必ずしも明確に出ていないような感じがするんですが、環境政策の共通的基盤かと思ったら、これはどうももうちょっといろいろなデータとか、そんな形になっていますので、ぜひそういった計画の制度的な仕組みについて新しい取り組みが必要ではないかというあたりの、逆に従来のある仕組みでうまく対応できないか、公害防止計画をもう少し、これをベースに新しく環境基準未達成のすべての問題について地域でやるとか、私どもの方では、地域交通環境計画というような言い方を一応しましたけれども、あくまでも環境基準をとにかく早く達成して、その上に環境をさらに改善する方法ということですから、そういうものとの整合性の問題であるとか、それを行うとすれば、法的な改正も当然何か必要になってくるでしょうし、あるいは、そのための財源を、環境の中で生み出すような、そういう仕組みが必要かと思いますので、何かその辺を、第4部にもかかわるかもしれませんけれども、きちんと議論するような項目をぜひお願いしたいと思います。

(安原委員長) どうぞ、村上委員。

(村上委員) 地方分権の流れの中で、特にここのところ顕著なのは、環境にかかわる問題の地方自治体のさまざまな試みが独自に始まっていて、それが横への広がりを持ってきている。これをどう評価するのか。例えばグリーン化絡みでいけば、廃棄物の問題とか、それから、燃費効率の悪い車の問題の税制の問題とか、これは自治体ごとに今、広がりつつあるんですね。それはどっちでやるのがいいのか、その辺はよくわからないものがあるんですけれども、その辺はきちっと、利用になるかならないかは別にしても、その動きをどうするのかということは織り込んでおかないと、国はいろいろなことをやるは、地方はいろいろなことをやるは、受ける側はたまったものではないよと、こういうことになってはならないわけでありまして、そこのところをぜひ分権の中でどういう方向を目指すべきなのかをひっくるめて整理をしていただきたい。

(安原委員長) ありがとうございました。

 小早川委員。

(小早川委員) 私どもは28ページの上の方の(2)の最初に、環境影響評価制度とありますが、これは現在ある施策のメニューを並べたという趣旨なのかもしれませんが、1つは、ここに戦略アセスの話をどう関係づけるのかということと、もう一つは、戦略アセスではないけれども、各種公共事業と、民間であっても、ある程度の規模の環境改善効果を持つ事業について、現在のアセス法ではカバーできない問題というのはやはりあるわけで、そこは公共事業の計画策定プロセスのあり方なんていうことで、だんだん議論が出ているわけですので、その辺の、環境省はどこまでやるかという話はありますが、ただし、省庁システムで言えば、省庁間のシステムなんていうのはいろいろとできてくるわけですし、それも視野に入れた書き方ができるのかできないのかご検討いただきたい。

(安原委員長) ありがとうございました。

 それでは、まだご意見があろうかと思いますが、本日はこのぐらいにしたいと思います。熱心に貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。ご討議をありがとうございました。

 次回でございますが、日程は既に連絡が行っていると思いますが、7月28日金曜日の午前10時から、場所はホテルフロラシオン青山でございます。これまでの審議の状況から見ますと、次回で取りまとめを行うというのは難しいかと思いますので、予備としておりました8月4日金曜日にも小委員会を開催させていただきたいと考えておりますので、ご予定をよろしくお願いしたいと思います。やるということでございます。もう一回やらないと、とてもまとまらないのではないかという感じがいたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、きょうはどうもありがとうございました。閉会といたします。

<以 上>