中央環境審議会企画政策部会第1回環境基本計画小委員会会議録


1.日  時  平成12年7月7日(金)10:00~12:30

2.場  所  通商産業省別館902号会議室

3.出 席 者

 (委 員 長)安 原   正

         浅 野 直 人       天 野 明 弘

         幸田シャーミン       平 岡 正 勝

         福 川 伸 次       三 橋 規 宏

         村 岡 浩 爾       村 上 忠 行

         村 杉 幸 子

 (特別委員) 太 田 勝 敏

 (専門委員) 武 内 和 彦       寺 門 良 二

 (環 境 庁)太田企画調整局長 青山企画調整局企画調整課長

         櫻井大気保全局企画課長 小木津企画調整局調査企画室長

         細谷企画調整局環境計画課長 大林企画調整局環境計画課計画官

4.課  題

  1.環境基本計画の見直しについて

  2.その他

5.配 布 資 料

  ○新環境基本計画の骨子案

6.議  事

【環境計画課長】

 それでは時間になりましたので中央環境審議会企画政策部会第1回環境基本計画小委員会を開会させていただきます。開催に先立ちまして、まず資料の確認をさせていただきたいと思います。お手元に配付いたしております資料は、新環境基本計画の骨子案と先般から行っておりました企画政策部会での検討チームの報告に対する議事概要、この2点でございます。それから、机の上には、関係いたします資料としまして、今までの基本計画の見直しに関係します部会長メモなど主要な資料のファイル、それから、各チームの検討結果の報告書、環境基本計画の冊子と、これだけ用意いたしております。よろしゅうございましょうか。

 それでは、安原先生よろしくお願いいたします。

【安原委員長】

 委員長を仰せつかりました安原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、ただいまから、第1回環境計画基本小委員会を開催いたします。既にもうご承知のことでございますが、環境基本計画の見直しの審議において、本小委員会は論点を整理し、中間取りまとめ案のたたき台を作成することを役割としております。

 今後の審議の予定につきましてもご連絡がもう行っていると思いますが、きょう1回目がありまして、あと7月に2回目、3回目を行います。これは2回目を今のところ7月19日、それから、3回目を7月28日に予定しております。それから、そこでまとまればいいんですが、まだまとまらない場合は、8月の4日に予備日を設定いたしております。そのまとまった案を8月の9日に予定されております企画政策部会に小委員会報告として提出し、議論をしていただくということでございます。順調に行った場合でございますが、8月下旬に企画政策部会として、中間取りまとめ案を固めていただくと。それで、パブリックコント等に付していくということで進められる段取りになっておりますので、ご承知おき願いたいと思います。

 それでは、本日は1回目としまして、事務局が作成してくれました新環境基本計画骨子案というのがお手元にございますので、これについて説明を聞いていただいた上で、ご議論をいただきたいと思います。それでは、事務局の方から説明をお願いいたします。

【環境計画課長】

 お手元にございます新環境基本計画の骨子案につきましてご説明申し上げます。このメモは、これまでの企画政策部会の審議内容を踏まえまして、企画政策部会に提出されました部会長メモに沿って議論のたたき台として作成したものでございます。具体的にはこのピンク色のファイルをごらんになっていただきますと、3枚目にございますが、新環境基本計画の構成と記述の方針について、これを75回の企画政策部会に配付いたしております。それから、その次に討議参考用メモ、それから、さらに部会長メモでございます新環境基本計画の構成の検討に関する部会長メモと。この辺で大体構成的なことをお諮りをいたしておりますので、おおむねこの線に沿ってまとめてございます。

 それで、本日の説明でございますが、まず全体的な構成と計画全体をつなぐストーリーを中心にご議論いただきたいと思っておりまして、まず総論部分をやや肉付けしたものをお示しいたしております。各論の方につきましては、基本的に各検討チームの検討結果を踏まえて記述することを前提にいたしておりまして、とりあえず本日は目次的に構成のみを示しております。

 まず、計画の構成につきましてご説明いたしたいと存じます。構成は現行計画と同様に前文と4部から構成してはどうかと考えております。具体的には目次をごらんになっていただきたいと思いますが、簡単に申し上げますと、第1部は、環境の問題の現状、それから、経済社会の動向、現行計画策定後の環境政策の展開。こういうものを踏まえまして、現段階における環境問題の課題を整理する部分といたしまして、現状と課題という形で仮に題をしております。

 なお、現行計画におきましては、計画策定の背景と意義と題しまして、なぜ環境基本計画の策定が必要なのかということを中心に記述いたしておりました。しかしながらちょっと見ますと段切りとのつながりが今ひとつ悪いということもございまして、また現行計画においてこのような記述を行っておりますのは、とにかく最初の計画であったということもあるのではないかとこのように考えまして、第1部におきましては課題を整理し、その課題の解決のために環境政策を大きく展開していかなければならない。こういう論理展開として新しい計画ではつくってはどうかと。このように考えたのでございます。この場合、なぜ環境基本計画を策定しなければならないのかというようなことにつきましては、部会でご指摘がございました21世紀の環境哲学。こういう問題とともに、前文の方に書き込んではどうかというふうに考えております。

 第2部につきましては、今回の見直しの中心的なテーマが、持続可能な経済社会の具体像とそこに至る道筋の提示ということであったわけでございますが、これに関する部分でございまして、21世紀初頭における環境政策と題しております。

 この部分におきましては、まず持続可能な経済社会はどういうものであるのか。こういうイメージを示しまして、これを構築していくための四つの長期的目標として、現行計画と同様に、循環、共生、参加、国際的取組、こういうものを挙げております。そして、このような持続可能な経済社会に向けて、どのような方針で環境政策を展開すべきかというようなことを述べた後、そのような取り組みで特に重点的に推進すべき事項は何かということを整理したらどうかと思っております。

 各チーム検討事項のうち、環境教育、経済社会のグリーン化メカニズム、環境投資、地域づくり、国際的・寄与参加のあり方。こういうものにつきまして、総論部分で整理すべきではないかというふうに報告書自体の中でも言われており、こういうものはここに整理することを想定いたしております。ここまでがいわば総論部分でございます。

 第3部は、いわば計画の各論部分でございまして、施策の具体的展開と仮に題しております。この部分では、まず前半部分で第2部で重点分野とされております11の項目。これにつきまして、問題の構造と課題を示し、その課題の解決のためには何をしたらいいのか、重点施策項目は何か、こういうようなことを記述してはどうかと考えております。各検討チームの検討結果は、基本的にここにはめ込まれていくことを想定いたしております。

 また構造部分では、持続可能な経済社会の構築に関します環境施策を体験的に記述してはどうかと考えていまして、そこにお示ししたような形で、環境問題の各分野に係る施策、環境施策の共通的基盤、各主体の自主的積極的に係る施策、国際的取組推進に係る施策、このような形で仮に分けております。

 第4部は計画の効果的実施と題しておりますが、たびたび部会でもご指摘いただきましたような、計画策定後におきまして、今後新しい計画を効果的に今は進めていく。そのための仕組みや、次の計画に向けての宿題。こういうようなものを中心に記述してはどうかと考えているところでございます。

 以下、文案に沿いまして若干ご説明いたしたいと思います。

 まず、前文のところはただいま申し上げましたように、いわば21世紀の参考にさせていただくというようなこと。それから、この計画をつくる意味。そういうものについて記述すると。さらに、国民に対するアピールと。このようなものがあるとしますと、この部分で書き込むのかなというふうに考えております。

 第1部でございますが、ここで少し第1部と第2部は詳しく書いております。第1部ではまず柱書き的に概略を書きまして詳細を追って記述すると、そういう書きぶりを想定いたしております。

 この第1部のストーリーをかいつまんで申し上げますと、まず我が国の環境の質、これはまだなかなか良好とは言えない状態にあると。環境の負荷も高いし、環境上の負の遺産の蓄積も見られるということでございます。こういう状況が続きますと、現在及び将来の世代が、健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するととに、人類存続の基盤である環境が将来にわたって維持される。これが環境基本法の3条の目標でございますが、これが困難になるということでございます。このような中にありまして、今日、環境問題の構造も非常に大きな変化が生じているということになっております。

 そういう環境問題の構造の変化の背後に共通してあるものは何かと言いますと、やはり地球規模の広がりを見せている、展開しております人間の生産活動と消費活動であると。そういう人間活動を質と量の両側面から見直し、持続可能なものにしていくことなしに、今日の環境問題を解決することはできないと。これは現在の計画の基本的な考え方でもあるわけでございます。

 次に、環境をめぐる状況といたしまして、幾つかの状況のまとめでございます。国際社会では徐々に地球の容量上の制約が顕著になってきていると。そういう中で、人間活動が地球規模で相互に緊密な関係を持って展開される動きが強まりつつあり、グローバルパートナーシップの精神にのっとった各国の協力が重要になっているということでございます。そして、「持続可能な開発」が国際的なコンセンサスとなっていると。そのもとに、環境分野での国際的な枠組み形成の動きが進んでいるということでございます。特に、我が国を含む先進国は、「共通だが差異のある責任」の考え方のもとに、地球環境の維持のために積極的な貢献を行っていくことが求められているということでございまして、先進国として、環境倫理、あるいは、環境に対する責任。そういうようなものを求められているとそういうことでございます。

 また、国内的には人口動態。これを見ますと長期的には、やはり環境負荷の低減をもたらす要素になるだろうと認識しておりますが、高齢化、情報化などは双方向に作用し得ると考えられるわけでございます。我が国の環境の現状の改善が進まない状況、それから、環境の資源、エネルギー等地球の容量上の制約が顕在化する中で、我が国の先進国としての責任を果たすためには、環境保全の取り組みを趨勢にゆだねることはできない。経済社会全体の環境面、資源、エネルギー面から見た効率性の双方の向上を目指すことが必要だと。さらに双方向に作用する可能性のある事柄については、可能な限り環境から低減に資する側面を政策的に助長する方針で臨む必要があるという、こういう認識をお示ししております。

 また、国内外を通じてある動きとしましては、部会におきましてもご指摘がございましたように、成長を資源、エネルギーの大量使用に依存し、大量生産、大量消費、大量廃棄型の生産と消費のパターンを特徴といたしております20世紀型の文明を見直すと。そういうパラダイム・シフトと呼ばれるような動きも生じつつあると、そういうことを特に認識として挙げております。

 そこで、こういう環境政策の転換ということでございますが、こういう環境問題の構造と、環境をめぐる状況の変化。これが必然的に政策面において経済、社会、環境、これらの諸側面を視野に置いて、あらゆる分野に環境配慮を織り込むことを目指した総合的な環境政策への転換を要請するということでございます。平成6年に環境基本計画が策定されて以来、環境政策は、総合化の方向に大きく転換を始めているわけでございますが、なお、このような転換が端緒についたばかりだということでございます。

 そこで、21世紀を迎えるにあたって、我が国の最重要課題は、持続可能な経済社会を構築していくことであると。新たな環境基本計画においては、持続可能な経済社会構築のための環境面からの戦略を示すと。同時に、21世紀冒頭におけます環境政策の転換の基本的な指針と取り組みの枠組みというものを明らかにすると。こういう形で新しい計画の位置づけを行っております。

 このような考え方を柱書きとしまして、総括的に記述した上で各論点詳しく書いてはどうかと考えておりますが、まず、環境問題の現状につきましては、環境の状況として、環境質は、総じて厳しい状況にあると。また、環境負荷が高どまりの状況にある。こういうようなことを主要な分野ごとに時系列的なデータを記述してはどうかと考えております。記述に当たりましては、物質循環のようなマクロ的な指標を含めまして、総合的な環境指標というものを可能な限り活用したいと考えています。

 また、あわせまして、環境上の「負の遺産」と呼ばれるもの。これにつきましても記述をしてまいりたいと考えております。

 2番目に環境問題の構造変化でございますが、あそこにございますような構造変化。これを記述したいと考えております。二つ目の・にございますのは、環境問題の多くが、通常の事業活動及び日常生活の負担など社会活動に起因していると。また、こういう環境問題の原因といいますのは、我々の経済社会の構造に深く組み込まれていると。また、これに伴って、不特定多数のものは原因者であるケース、あるいは、原因者が同時に被害者であるというようなケース。これが一般化しているということでございます。

 その次の・にございますのは、地球環境問題や内分泌の攪乱、化学物質の問題。こういうものに対する懸念に見られますように、長期的スケールで影響をもたらす恐れがあると。また、発生メカニズムや影響の科学的解明が十分でない問題がふえているということでございます。

 一方、自然環境の保全に関しましては、さまざまな人間活動の拡大、あるいは、様態の変化に伴いまして、森林、湿地、農村、都市、こういうさまざまな生態系におきまして、その健全性の維持が困難になってきております。

 また、環境保全上健全な水循環に関しましても、同様に水質、水量、水辺環境、こういうものに関する問題が生じております。

 その次の・は、地球温暖化問題等を例に挙げておりますが、人類の活動の規模の拡大とともに、地球規模の広がりを持った環境問題が発生していると。これらの地球規模の問題は、大気、水、生態系を通じまして相互に複雑に絡み合っていると。それをそこなう恐れを生じさせると、こういう認識でございます。そこで、個々の地球環境問題を一つの地球規模の問題群として包括的にとらえ直す視点が必要だろうと、こういうことを述べております。

 次に、経済社会の動向と環境につきましては、国内外におきます経済社会の動向。それと、これが環境面へどういう影響を与えるのかと。そうことを記述してはどうかと考えております。

 そこには、第75回の企画政策部会に参考用メモという形で提出いたしましたもの。これをそのまま抜粋いたしましてつけてございます。これにつきまして、少し検証しながら整理をしていって記載をしていきたいと考えております。

 それから、(3)環境政策の展開と課題でございますが、これにつきましては、現行計画のもとにおきます環境政策の展開。これを中心といたしまして、環境政策の流れを記述したいと考えております。具体的には、環境基本計画の総括。平成11年3月8日に当部会の共通認識としてまとめたものでございますが、こういうものを含めまして、問題点を評価して21世紀冒頭における環境政策の課題。こういうものを記述してはどうかと考えております。

 具体的には、今、頭に浮かんでおりますのは、環境政策の課題として次のような点を記述するというところの下に並べてございますような事柄でございます。

 例えば、統合的視点に立った総合的な環境政策の必要性ですとか、環境政策の展開の基本となる考え方の必要性、環境問題の構造変化に即した政策手法の展開の必要性、プライオリティを明らかにした重点的、効率的な政策展開の必要性、先見性豊かな環境政策の必要性、原因にさかのぼった環境政策の必要性、我が国の行政をめぐる基本的潮流を踏まえた環境政策の展開、地域レベルから世界レベルまでのさまざまなレベルにおける取り組みの必要性、各主体の積極的な参画の確保の必要性、国際的な連携を前提とした取り組みの必要性、環境基本計画の実効性の確保の必要性、こういうような事柄でございます。今度これを踏まえまして、第2部におきまして環境政策の展開の方向性につきまして整理をしたらどうかと考えております。

 まず1として、持続可能な経済社会を目指してという表題になっておりますが、ここにおきましては、持続可能な経済社会というのはどういうものであるかと、そういうことの大つかみのイメージを整理していただこうかと考えております。

 1番目の○は環境基本法で環境政策の基本理念がどうなっているかということでございます。

 二つ目の○にございますのは、持続可能な経済社会という場合に、国民に対して経済、社会、環境、こういう三つの側面のいずれから見ても質の高い生活を保証する経済社会であることが必要だろうと。そして、これら三つの側面を含みます新しい成長の概念によって、経済社会やそこにおける生活の質を評価し、そのような観点からこれら三つの側面を統合的に視野に入れて、環境政策の展開が図られる経済社会であることが必要だということでございます。二つ目の○は、特に環境の側面に即して見た場合、そういう経済社会が、それ自体が環境面から見た健全性を保っていくことが必要だということで、そのために必要であると考えられる条件としまして、経済社会における環境負荷が環境の許容範囲内にとどまっていることが必要だと。また、可能な限り環境上の「負の遺産」が解消され、将来世代により良好なものとして環境を継承されなければいけないということであります。それから同時に、そういう経済社会が環境を構成いたします大気、水、土壌、生物、こういうものの相互関係によって形成される諸システム。これらとの間に健全な環境を保って、それらのシステムに悪影響を与えないことが必要だということでございます。

 そしてその下には、そういう状態が保たれるために必要と考えられるような方向性。これを何点か記述しております。

 その次の○でございますが、持続可能な経済社会は、可能な限り環境負荷を生み出す資源・エネルギーの使用が効率化され、生産、消費活動の単位当たりの環境負荷が可能な限り低減された経済社会であることが必要であると。すなわち、資源・エネルギー効率性と環境効率性の両面において、高い効率性が達成された経済社会であることが必要だということでございます。こういう経済社会は、我が国の経済社会の成熟化に伴いまして、大量生産、大量消費、大量廃棄型の生産と消費のパターンから脱却し、資源とエネルギーの大量消費に依存しない、新しい成長の段階に移行していく経済社会としてイメージされるとそういう形で整理しております。

 そこで以下は、それを達成するための戦略等でございますが、それを達成するための戦略として、「環境負荷をできる限り少なくし、循環を基調とする経済社会システムを実現する」という現行計画の長期目標の「循環」の考え方で、経済社会のシステムや社会基盤が形成される必要があるということでございます。

 また、特に自然との関係におきましては、国土の多様な生態系が健全に維持されるとともに、人と自然の豊かな触れ合いが確保されるよう、人間活動は生態系から享受しているさまざまな恵みを減ずることのないようになされる必要があるということでございます。これが、いわば現在の共生ということに対応したものでございます。

 そして、こういう社会を築き上げてまいりますためには、経済社会の各主体がみずからの行動に十分な環境配慮を織り込んでいく必要があるわけでございますが、そのために環境に対する感受性が育つ。また、管理各主体が環境配慮をごく自然な形で行われるように、経済社会システムや社会基盤が組み上げられ、経済社会にしていくことが必要だということでございます。

 また、我々の目指す持続可能な経済社会といいますのは、歴史的に培ってまいりました固有の能力と経験を生かし、よりよい地球環境の形成に向けて国際的なリーダーシップを発揮し得る経済社会でなければいけないということを整理しております。

 その上で、長期的目標といたしまして、やはり現行計画と同様、循環、共生、参加、国際的取組。この四つを考えてはどうかと考えておりますが、ただその間の関係の整理を若干する必要があるだろうということでございまして、部会長メモの方にございましたような考え方。これに準拠いたしまして整理をいたしております。

 そこにございますように、我々は「共生」の考え方に基づき、現世代及び将来世代が環境の恵沢を享受し得ることを目標としつつ、それを達成する戦略として「循環」の考え方で経済社会システムや社会基盤を形成していくことを目指す。「共生」と「循環」を実現していくため「参加」を進めていく。また、国際的な相互依存が深まる中、持続可能な経済社会を形成するためには、地球環境問題への地球規模での取組が必要であり、「国際的取組」を進めていくということでございます。

 基本的に、まず共生という考え方が最終的なゴールだろうということにしまして、そのための戦略として循環というものを位置づけると。また、目標の中ではこういう共生、あるいは、循環、これを達成するための手段的な目標としまして、参加、国際的取組を位置づけると。こういう形ではどうかということでございます。なお、参考までに現行計画におけますそれぞれ四つの長期目標の記述をそこに記載いたしております。

 次に2の持続可能な経済社会に向けた環境政策の展開というところでございますが、まず基本的な考え方を整理いたしております。

 まず、一番最初にいわゆる統合的アプローチと呼ばれるものを採用したいということが書いてございます。持続可能な経済社会を構築してまいりますためには、環境問題の根本にある経済のあり方、そのものを転換していくことが不可欠であると。こういう転換を行ってまいりますためには、経済、社会、環境、こういうそれぞれの側面を統合的にとらえるとインテグレートすると。こういうことをいたしまして、環境政策を展開していくアプローチが必要であると。これをそこでは統合的アプローチと表現をいたしております。これを環境政策の基本的な考え方として採用いたしまして、経済社会のあらゆる場面においてさまざまなレベル、さまざまな手法による環境配慮の織り込みを推進するということにしてはどうかと考えております。

 また、これとの関係で申しますと、現在、資源効率や、エネルギー効率の向上、そういう経済効率性の向上といいますものが、環境パフォーマンスの向上に資すると。一つの事柄が経済効率性にも、環境効率性にもいい影響を与えると。こういう余地がなお相当程度現在残されているだろうと。そういうことで、そういう分野につきましては、できるだけ環境と経済の双方に利益をもたらすアプローチ。これを念頭に置きながら政策展開を図ってはどうかと。両方勝つという意味のWIN-WINアプローチと、こう呼ばれているような考え方でございます。

 一方、すべての社会活動。これは人類の存続の基盤となっている生態系のもたらすさまざまな恵みなしには成り立たないということでございまして、こういう自然との関係を整理していく考え方としまして、エコシステムアプローチというような考え方が最近提唱されておりますが、そこに書いてございますのは、おおむねこのエコシステムアプローチと呼ばれる考え方に沿った考え方で、環境政策を展開してはどうかということでございます。自然資源を利用する社会経済活動は、その前提に人間がその構成要素となっている生態系が複雑で動的なことを認識し、また生態系が健全な状態で存在していること自体の価値を十分認識した上で、生態系の構造と機能を維持できるような範囲内で、またその価値を将来にわたって減ずることのないよう順応的に行われる必要があると。こういう考え方を持続可能な経済社会を構築していくための基本的な考え方として用いることにしたいということでございます。

 次に、環境政策を進めていく際の、環境政策の指針になる幾つかの考え方をそこに挙げております。一つは、その次の・にございます汚染者負担の原則でございます。これは現在までに、相当程度定着を見つつあるわけでございますが、そこにございますように、貴重な環境資源の合理的利用を促進していくと。そういう最も基本的な方策というのは、環境の汚染のコストというものを市場価格に内部化することであると。そういう観点からの原則でございまして、この原則を経済社会における汚染の防止と受容可能な状態に環境を保つために決められた措置に伴う費用の配分として活用するものとしたいということでございます。

 その次の・は、いわゆる環境効率性の考え方でございます。これは、経済と環境に共通する視点を持ちたいということでございまして、技術の向上、あるいは、経済効率性の向上を通じて、環境負荷の低減を図ることを目指す環境効率性の考え方。これを経済社会全体から生産現場に至る各レベルで目標設定、あるいはパフォーマンスの評価のための考え方として活用していくということでございます。

 その次の・は、いわゆる予防原則とか、予防的な方策と呼ばれているものでございます。これにつきましては、非常に難しい問題が最近ふえておりまして、環境問題の中には科学的知見が十分に蓄積されていないと。そういうことから発生のメカニズムの解明や影響の予測が必ずしも十分に行われていない。しかしながら長期間にわたる極めて深刻な影響、あるいは、不可逆的な影響をもたらす恐れが指摘されている問題があると。そういう問題について、完全な科学的証拠が欠如していることを対策を延期する理由とはせず、科学的知見の充実に努めつつ、予防的な方策を講じるという考えでございます。

 最後にございますのは、いわゆる環境リスクの考え方でございます。これにつきましては、化学物質のリスクの考え方。これに主として使われてきているわけでございますが、もう少し影響範囲を拡大してもいいのではないかということで、多数の領域に対する政策と取り組みの優先順位の提示。あるいは、クロスメディア、各分野を横断した効果的、整合的な対策の推進。こういうものに使える考え方として活用していってはどうかということでございます。

 これをいわば総論といたしまして、(2)以下でやや具体的な方向性を示しております。(2)にございますのは、いわばあらゆる場面への環境配慮の織り込みでございまして、経済社会システム、社会基盤、国民の意識とライフスタイル、国土利用。こういうものにそれぞれの場面で具体的な方向性を示したいと。それが示せればということでございます。

 (3)にございますのは、いわばあらゆる政策手段を導入していこうという考え方でございまして、環境配慮をいろいろな場面に織り込んでいくための方策といたしまして、政策手法でございますとか、環境投資、環境教育・情報提供、科学・技術。こういうものを活用していくということでございます。

 (4)は、あらゆる主体の参加ということでございまして、各主体がどういう役割を果たすかということを記述していきたいと考えております。

 (5)におきましては、地域レベルから国際レベルまで、あらゆるレベルに応じて取り組みが必要だということ。そういう意味で現在の記述に若干欠けております地域レベルの取り組み。これについて、記述をおいてはどうかということを考えております。また、国際レベルにつきましては、従来からございますが、これをもう少し大きな方向性として示せればということを考えております。

 以上を踏まえまして、環境政策の重点的な推進という観点から、重点分野を幾つか定めてはどうかと考えております。今後5年ないし、それを若干延びる程度の期間を実績に、この計画が対象とするわけでございまして、余りにも総和的な政策を羅列いたしてみましても、なかなか実際の進捗が図れないと、そういうこともございますので、現在、非常に大きな課題となっているものについて、この新しい計画におきまして具体的な進捗を図っていくと。そのために重点化という考え方を入れたいと。そういうことでございます。そこにございますように、環境問題に対する取り組みを重点的政策を効率的に行っていくため、国民の要望や対応の緊急性、環境政策全般の効果的実施のための必要性、統合的アプローチに立脚した環境政策の総合化の必要性。こういう要素を勘案しつつ、重点分野を定めて、問題の性質や向上を明確にした上で、問題解決のための方策や道筋を提示することにしたいということでございます。

 国民の皆様の方からも、この環境基本計画が非常にある意味では大き過ぎて具体的に興味を持っている政策分野。これがどのような形で政策展開が図られるのか、その道筋がよくわからないと。そういうご指摘も今、大分いただいているところでございまして、こういう問題にこの部分である程度の答えを出せればというふうに考えております。

 そこにございますように、まず環境問題そのものといたしまして、地球温暖化の問題、交通に起因する環境負荷、環境保全上健全な水循環、廃棄物対策等物資循環のあり方、化学物質、生物多様性の保全。こういう六つの問題を問題を取り上げたいと考えております。

 また、いわば手段的な方法といたしまして、環境教育、経済社会のグリーン化メカニズム、環境投資。この三つを取り上げたいと考えています。

 さらに、あらゆるレベルでの取り組みということで、特に記述をおきたいと考えておりますのは、地域づくりの点、国際的寄与・参加のあり方の点でございます。これらいずれも部会におかれました11の検討チーム、それぞれの検討項目と対応しているわけでございます。

 次に第3部でございますが、ここでは施策の具体的展開と称しまして、各論的な記述を行いたいと考えております。

 まず、重点分野における展開といたしましては、今後5年から10年間、当面の環境政策において重点的に取り組むべき項目は何かということで、ただいまの重点分野に即した整理を行ってまいりたいと考えております。それぞれについて、持続可能な経済社会になるための当面の道筋というものを示すことができればと考えております。このような記述の部分、ここを一応戦略的プログラムというような名前で呼んだらどうかというふうに考えております。そこにございますのは、プログラムの構成の大きなイメージでございますが、これにつきましては、それぞれのテーマの特性がございまして、ある程度の柔軟性を持たせることが必要であろうと考えております。問題の現状、問題の構造、課題、重点的な取組事項と目標とこういう事柄を整理したいと考えております。このような記述のうち、下にございます(1)から(6)。この環境問題の各分野に関する課題につきましては、部会長メモの方向性に沿いましてそこに四つほど・で挙げてございますが、そういう点につきまして、各検討チームの検討結果をもとに整理したいと考えております。当該分野の現状と持続可能性の観点から見た評価、当該分野において適用すべき持続可能性の判断基準、目指すべき持続可能性のレベルと達成の可能性、適用可能なルールと政策ツール。これらでございます。このような記述を行った上で、2の環境保全関連施策のところにおきましては、いわば網羅的な、体系的な記述をしていきたいと考えております。やはり、環境政策全体がどういう体系になっているかと。こういう事柄も重要でございますので、この部分を見れば環境政策全体がどういう形で体系的に進められているかと、これがわかるような記述にいたしたいと考えております。ここにつきましては、(1)から(4)まで四つほどございますが、まず環境問題の各分野に係る施策ということは、環境問題ごとに切り口を設けてやっていけばどうだろうかと考えております。

 それから、(2)の環境政策の共通的基盤におきましては、そられを推進するために共通の基盤となるような事柄。例えば、環境影響評価制度ですとか、調査研究、監視、観測、技術、社会資本整備と、こういうような事柄について整理をしたいと考えております。

 そして、(3)の各主体の自主的積極的取組に係る施策。ここでは、各主体が自主的積極的にやる行動、それをどう促進していくのかというそういう施策。あるいは、経済社会の主要な分野における役割分担、経済行政活動への環境配慮の織り込み。行政活動のグリーン化。こういう事柄について記載してはどうかと考えておりますし、国際的取組に係る施策につきましては、国際的な枠組みづくり、あるいは、開発途上地域の環境保全への支援、調査研究、監視、観察、技術。こういうものについて記述をしたいと考えております。

 最後に第4部といたしまして計画の効果的実施。これにつきましては、まず計画の効果的実施に関する施策。例えば、当部会でも大分議論されておりますが、政策評価の観点を取り入れました効果的な点検サイクルというものをつくり上げていく必要があるだろうというようなこと。それから、率先実行計画を検証して発展させていくとそういうような事柄。その他、現行計画の記載のあるような点。例えば、計画の期間的な問題。こういうような事柄について記載をしてはどうかと考えております。さらに、次期計画に向けて検討の必要な事項を記載してはどうかと考えておりますが、実は、現行計画で総合的環境指標の検討。これを宿題としていただいたわけでございますが、こういうような形で、次の計画に向けてどういう検討をしたらいいのかと。こういうことをあらかじめ書き込んでおきませんと、なかなか直前になってばたばたと動いてもなかなかいい成果が得られないということがございまして、今度の計画に積み残したような点、あるいは、次の計画に向けて真剣に政府全体で検討しなければいけないような点。この問題について、このあたりで記載をおいてはどうかというふうに考える次第でございます。

 以上でございますが、もとよりこの骨子は、この場でのご議論を拘束するものではございませんで、極めて概括的なものであるだけにイメージがわかないというご指摘もあろうかと存じます。本日は、まず記述に当たりましての大まかなストーリーを固めていかないと具体的な記述に入れないと。こういう事務局の苦渋を察していただきまして、この点が記述に不足している、あるいは、こういう点を記述すべきか、あるいは、ストーリーの展開がこういう点はおかしいのではないか。こういうような点をできるだけ具体的にご指摘いただけますと今後の作業の進捗に非常に大きなありがたさがあるわけでございますので、それにつきましてひとつお願いをいたしたいと考えております。

 以上でございます。よろしくお願いします。

【安原委員長】

 どうもありがとうございました。ただいまの事務局の説明に対しまして、ご質問でも結構ですし、ご意見を賜れば幸いでございます。この進め方でございますが、できるだけまんべんなく議論をしていただくという意味で、順次区切って議論していただいたらどうかと思っております。まず、最初に構成についてご議論がありましたらやっていただきまして、それで後、内容に入りまして、各部ごとに意見をいただければどうかと思います。必要に応じてもとに戻っていくのは結構でございますが、それで後また全体の議論をしていただくというようなことでいかがかと思っております。

 それではまず、目次のところの構成につきましてご意見がございますでしょうか。

【天野委員】

 第1部の現状と課題というのは、前回と違う新しい書き方だというご説明がありまして、この趣旨ですと現在どういうふうになっていて、こういう課題があるからこういう基本計画をつくらなければいけないということなんですが、それですと現状に引っ張られた政策に議論が集中してしまう心配があると思うんです。その基本計画そのものがなぜ存在しているのかという理由ですね。1回目にはどうしてこういうものを始めたかという形で書かれていますけれども、基本計画そのものの存在する理由、それはやはり残しておく必要があるのではないかというふうに思います。

【安原委員長】

 構成について、ほかはご意見ございませんでしょうか。

 それでは、特にないようでございましたら、またもとに戻っていただいて結構でございますので、第1部の内容の部分につきましてご議論をいただればと思います。

【平岡委員】

 基本計画ですので、前に政策部会でもそういったことがあるんですが、日本の社会資本の整備、環境システムとしての社会資本の整備を少し数値を上げてどう位置づけるかというのが、この現況のときには書かれるのでしょうか。

 そして、諸外国の環境システムとしてのいわゆる社会資本の整備、具体的に言えば下水道とか、水道とかみたいなことも入るわけですけれども、そういうのが、例えば、日本の場合ですと下水道がまだ58%であると。ヨーロッパですと100%近くいっているというようなことがある。水道ですと97%ですけれども、3%水道の恩恵を受けてない人がいるということは、1億2,000万のうちの360万が恩恵を受けていない。360万というのはシンガポールの人口より多いわけですし、外国との考え方が出てくるわけです。そのときに外国とはバックグランドの違うところがあるところを基本計画の最初にどう認識するのかということを書く必要があるのではないのでしょうか。その辺はどういうふうに考えておられるでしょうか。何かここのところに最初に書き込まれるんでしょうか。ある程度認識がないとすぐドイツと比べたりしますと、しかし、バックグランドはかなり違います。社会資本の整備としての。その辺はどうなんでしょうか。ちょっと質問と、必要性がないかということですけれども。

【環境計画課長】

 そういう記述を行う部分といたしましては、戦略的プログラムです。ちょっとこの計画自体社会資本そのものを起こしていくとかそういう計画ではございませんので、むしろ事柄に即して書いたらどうかなというのが今の考え方であるわけでございますが、全体をこうすべきだと書くと公共投資の基本計画みたいな形になってしまいますので。

【平岡委員】

 そうではなくて、確かに環境政策の後ろの方に、共通的基盤というところに社会資本整備と書いてあるので、こういうところで述べられるのかなと思ったのですが。

【浅野委員】

 今の発言の趣旨はむしろ重要なポイントを一つついておられるという思うのは、外国と日本の状況の違いというのをどこかにはっきりさせろということなんです。ですから、それは確かにおっしゃるとおりの面があると思うんです。だから、どのぐらい社会資本の整備が進んでいるかということよりも、もっと広い目で、視野で我が国の国土の状況はどうなっているか、そういうことを含めた記述はあってもいいと思うので、環境の状況という1の1のところに、そういう意識を持ったフレーズを入れるということでいいのではないでしょうか。それは決して社会資本の整備をすべきだということをここで言うのではない。ご趣旨は日本の特性を明らかにしろということでそれはもっともだと思います。

【平岡委員】

 認識は最初に持っておく必要があるのではなかろうかと。途中で後ろの方で必ず外国との比較が出ますからね。

【浅野委員】

 全体の流れが、トレンドがどう変わったかということを強調するというの関係ですね。

 だけど、それだと先生のおっしゃるようなところが確かにちょっと欠落しますので、ですから、今の第1部の1の(1)のところに少しそういうような意識で記述をすればいいのでは。

【平岡委員】

 日本は欧米諸国並みの先進国だと思っているのが間違いでして、社会資本整備から言うと。ですから、そこのところを今言ったように、例えば、水道の問題を一つとっても97%というのは先進国だと思っているのは間違いでして、100%でないと先進国ではないわけです。それから、水道でも具体的なことを言って申しわけないんだけれども、日本では水道水としての貯留システムはわずか0.4カ日しかない。欧米先進国は全部3日ぐらいの設備があるわけです。膨大な費用が要るわけです。そういうところにはまったく日本は投資されていないわけです。ですから、私なりの環境問題をずっとやってきた者から言えば、いわゆる生産系に設備ばっかり投資して、そういう静脈系には余り投資されなかったということはしっかり認識しておかないと、いきなり欧米諸国との比較が出てきたりするわけです。ですから、そこのところは最初に浅野先生がおっしゃっていただいたように、何かちょっとでもいいから日本の認識をしっかり書いて、日本と外国の違いの認識をしておかないと、環境基本計画として地球環境も入るわけですし、外国との比較が簡単にできないところがあるということです。その辺のことをどう考えておられるか事務局としては。そういうことを申し上げたいわけです。

【環境計画課長】

 わかりました。そういう趣旨を検討いたしまして整理いたします。

【村上委員】

 基本計画の意義づけをきちっと書けというのは賛成でございます。

 中身ですが、環境問題の構造変化という考え方を出しているんですけれども、見ますと構造変化という言葉使いが正しいのかどうか。例えば、国境を越えるときに、地球規模に至る環境問題が発生してきている。既に、前回の環境基本計画のときからあったわけでして、だから1992年に国連環境会議が行われ、リオ会議が行われた後、環境基本計画がつくられているわけでしょう。深刻になったという部分は私は認めます。だけど、そういうのを構造変化という言葉の使い方がいいのだろうかと。構造の変化ではなくて、より深刻になったんだと。いろんな問題が。確かに、その時点で化学物質問題等々は明らかになっていなかった部分もあると思いますけれども、だから反対に言うならば、前回の環境基本計画はそこをきちんと書き切っていなかったということだろうと思うんです。だから、やはり構造変化というよりは、もうちょっと違うふさわしい言葉を使う方がいいだろうと思います。構造改革につなげるため、わざと何か難しい言葉を使って、こういう記述されますと、5年前そういうことなかったのという話とは違うと思うんです。

 それから、私、環境を解決するための科学技術開発というのは大変重要だと思っているんです。確かに科学技術というものが環境汚染したり、環境に負荷を与えてきたとこういう経過がございますが、解決のためにはやはり科学技術というのは大変重要なツールだと思っていまして、やはり現状のところで負の遺産を書くならば、このとろで特に日本はある意味では環境技術開発というのは、ある分野では相当進んでいる部分が、縛られている部分がありますから、そういう環境技術開発というものはどうなっているんだといういうふうなことをやはり触れておくべきではないかというふうな感じがいたします。

 それから、先ほど申し上げましたような観点にかかわりまして、3ページのずっと経済社会の動向と環境の前段のところです。包括的にとらえ直していくことが必要という部分で。これは5年前から包括的にやらなければいけなかったはずなんです。とらえ直すというのではなくて、やはり包括的にやらねば、小さいな言葉ですけれども、とらえ直すという言い方というのは、やはり先ほどの構造変化と同じように、これは本当は5年前から包括的にやらなければいけなかったわけです。それがやはりできていないということならば、こんなとらえ直すなんて、何か知らないけれども、さも変わったふうに、わざわざ変わってもいないのに書かなければいけないのかという感じがしています。

 それから、ライフスタイルのところで行きますと4ページですが、使い捨て化とかいろんなことを言われていますけれども、私はやはり利便性の追求というのは、大変環境に実は負荷をかけていると思います。具体的に申し上げますと、ウォシュレットというのは大変な勢いではやっています。去年時点でウォシュレットが使用する電力は大体400万キロワット超えました。電子力発電所問題いろいろ話題になっていますけれども、4基分超えているんです。恐らく5基分今年超えるでしょう。これ利便性の追求なんです。やはり、利便性の追求というのは相当環境に実は負荷をかけている。特にライフスタイルのところでは、そういう部分では言えると思っておりますので、ちょっと言葉を正していただければと思ったりしています。一応、第1回目はそれぐらいにしておきます。

【安原委員長】

 ありがとうございました。何かコメントありますか。

【環境計画課長】

 例えば、科学技術の問題だとか、ライフスタイルの話、そういうようなことにつきましては、また記述の中で考えさせていただきたいと思います。

 それで、基本計画の認識を書くということをそれをこの部分にどれだけ書くのか、あるいは、前文の方で格調高い題という話も前にございましたので、その辺をどうするのかと。その問題につきましてはちょっと整理をさせていただきたいと思います。

 それから、環境問題の構造変化ということで、幾つかとらえているわけでございますが、この部分必ずしもこの5年間でどうなったかということを書くというよりは、むしろ20世紀の大体終わりの方ですね。その辺あたりでどういう動きになってきたかということを書くわけでございまして、この計画は前の計画を補足するというよりは、むしろフルバージョンで書き直すということでございますので、必ずしも前の計画の後でこうなったんだということだけを書くということではなくて、今、環境問題の現状はどうなっているんだ。そして、課題はなんなんだということを前の世紀の、20世紀の終わりから21世紀の頭にかけて認識としてとらえ直して整理をすると。そういう記述で臨んだらどうかなというふうに考えておるところでございます。

【村上委員】

 現状というのはそんな100年の現状を書くんですか。

【安原委員長】

 100年ということではなくて、20世紀の末から21世紀の初頭にかけてのとらえ方を考え、克服してみようということでございましょう。

【三橋委員】

 新環境基本計画ということの特徴を出していくために、例えば、この新しい環境基本計画を実施すると、5年か10年ってちょっと長いんですけれども、例えば、2005年だったら5年でもいいし、2010年でもいいと思うんですけれども、そのときにどういう姿になっているのかと。循環型社会のイメージがどこまで実現しているんであろうかというようなことを、全体をスケッチするようなものが必要なんだろうと思うんです。

 例えば、この環境基本計画をやることによって、2010年に低公害車は大体このぐらい普及しているだろうと。あるいは、廃棄物の総量というのは大体このぐらいまで減っているんではないかとか、あるいは、その下水汚泥対策なんかこのぐらい進んでいるのではないかとか、ちょっとそういう具体的なそのビジョンを幾つか書けるものを象徴的に書いていくとああそうかと、この基本計画をやっていけば、5年なり、10年後の日本はこういう変化が起こっているんではないかというようなことが感覚的にわかると思うんです。そういう一つの、つまりこの環境計画を実施することによって、2010年には、あるいは、2005年にはこういうような姿がある程度実現している、あるいは、実現を目指すんだというようなものを、最初の部分、これは前文になるのかどうかわかりませんけれども、そういうところでちょっと描いておく必要があると思うんです。大体そうしないとまた何を目指すんだか、これをやった結果5年後にどういう姿になるのか、こういうことについてのビジョンがわからないと国民への訴え方も弱いと思うんです。だから、これなかなか難しいと思うんです。いろいろな省庁の壁などもありますけれども、せっかくつくるんだからそういうことに盛り込んでいくということと、第1回の環境基本計画の場合には割と目標が見えないような形の部分がかなりあったと思うんですけれども、私なんかの、非常に主観的なイメージで言えば、やはり循環型社会のイメージというものが相当はっきり読み取れるようになっています。いろんな関連、リサイクル法なんかもできたりして、それから、ヨーロッパなどでは環境税の導入なんかがもう雪崩を打って進むような方向にもなっているし、2005年の姿、あるいは、2010年ぐらいの姿というのは相当描くことができる時代になったので、そういうはっきりしたビジョンという今のものを冒頭なり、つまりこの環境基本計画を実施すればこういうことになりますよということもやはり描き出すというようなことをぜひやるべきではないかという意見です。

【安原委員長】

 その点は、第3部の方で重点分野に展開ということで、そこで重点的な施策の目標を書くわけですけれども、それをまた総括して書くかどうか、そこはちょっと工夫がいると思いますが、ご意見として承っておきます。

【福川委員】

 1ページから若干感想を述べてみますと、まだ前文は書かれていないんですけれども、前にもご議論がありましたように、ひとつこの前文は格調高く書いていただきたい。それで、国民へのアピールということをさっきおっしゃいましたけれども、世界に対するアピールということも入れて、世界に対して日本はどういう姿勢でこの環境問題に取り組むんだということをぜひ格調高く織り込んでいただきたいというのが一点です。

 それから、2点目がやや構成に関することなんですが、第1部で現状と課題というのがあって、次に括弧で環境の現状、それから、環境をめぐる状況、環境政策の転換ときて、それから、1番があって環境問題のまた現状が来るわけです。もちろん総括的にお書きになるんだというふうに書いてあって、具体的に書いてみないとわからないという点はあるんですけれども、具体的に書いてみると多分似たようなことが2回出てくるということになりはしないかという気がします。

 したがって、この第1部の1ページの環境の現状と括弧で書いたあたりのことは、もし大ざっぱに書くならば、例えば、基本的認識とか、教育的な評価とかというような見出しにして、そして、大ざっぱなことを大きな認識をここに書くということにして、言葉も現状とか、状況とか、少しずつ違ってはいますけれども、似たようなことが何回も出てくると読む人に読みにくいという感じがします。

 それから、この書き方ですがやはり最初のところが非常に大事だと思うんです。それで一般の人がああこれじゃつまらないなと思われるようなことですと、だれも読まなくなってしまうので、やはり最初に第1部の現状と課題のところに私が言えば基本認識とこういったわけですが、今の環境の現状のところについては、細かいことは2ページ以下の方に書いていただければいいんですけれども、今、どういう状況にあるかということの基本的な数字でも若干入れてどういう状況にあるかということをある程度事実を持って語らせてわかりやすくというか、引きつけるような書き方をしておかないといかがかなという気がします。

 それから、今の1ページの現状ですが、従来の典型的な産業公害が官民の努力によって相当程度改善されたことによりと、かなりこの環境基本法ができるもっと前の話のことをここで書いているわけですが、やはり環境基本法ができて5年間やってきたということについての評価をどういうふうに書くかということを一つ工夫した方がいいので、確かにまだ京都議定書の水準までは達しないとか、もっと先考えるともっと不安だということが多々ありますが、やっているところは非常にやっていると、いいところはいいと。ここはある程度進んだら進んだと。しかし、ここがだめならだめだというめり張りというか、いいことと悪いこととをある程度きちんとして、これはだめまだだめ、まだだめというのではなくて、いいところはいいと、そして、どういう状況にあるかということがわかった方がいいように思います。

 それからもう一つは、将来どういうふうになるかというこのお話で、これはやはり将来展望というのも十分踏まえた上で、だから、今これをしなければいけないんだということをもっと説得力あるように、ここでは書いていった方がいいように思います。

 それから、表題の問題ですが、2ページ目のやや上の部分に環境政策の転換ということが書いてありますが、この転換という言葉だと本当に変わってしまうという感じなんだけれども、中身を読むとそうではなくて、環境基本計画が平成6年にできてから総合化の方向に行ったが、まだ十分ではないという趣旨であるとすると、ここでまた転換がというふうな見出しをつけると、また変わるのかということになるので、これをもしするなら例えば、環境政策の進化とか、もうちょっと進んでいくだんという感じの見出しにされた方がよくはないかという気がいたします。

 それから、1部でするか、2部でするかですが、私はやはり将来展望がある程度見えてきた方がいいと思います。

 それから、3ページ、4ページに箱の中に入ったところが幾つかありまして、これはこの中にもいろいろ書いて、まだこれからお書きになってみないとわからないというところがございます。わからないところがあるんですけれども、書くときに、例えば、情報化などでも経済社会システムの効率化などが進む可能性と書いてあって、社会のバーチャル化について懸念をというのはこれはどういうことかちょっとわかりにくいことですので、もう少しここを具体的に書くときには、いろいろご検討になった方がいいように思います。今の利便性のお話も先ほど出てましたが、これもどういうふうにしたらいいのか、自販機なんかでも原子力発電3基分にも、既に電力消費がなっていますし、この辺はどういうふうに訴えていくのか、ここらも実際書くときにはいろいろ工夫をした上で、もし訴えるのなら本当に訴えるごとく格調高く書いていただいてはどうかと思います。

【太田委員】

 2点ほど。1つはスタンスで、特に時間的なスケールの話です。第2部が21世紀初頭と限定していますけれども、やはり環境問題の性格でもうちょっと中長期の展望を踏まえて21世紀初頭に続けるなら続けるということと、それから、具体的な政策目標ということで言えばやはり2010年なら10年というような具体的な数値があって、そこについてはかなり定量的な分析をすると。やはり2段構えでいって、かなり中長期の大きな展望で地球環境全体はどうなるのか。あるいは、50年後に技術革新との関係でどんな例えば、自動車なら自動車で展望があるのか。そういうことを踏まえてとりあえず2010年までを21世紀初頭にするなら初頭ということで、やはり時間的なスケールについてもうちょっときちんと書き分けていただいた方がいいということが一つです。

 それからもう1点は、2部の最初の長期的目標の考え方なんですが、経済、社会、環境、三つの側面からとらえられて、その中で環境についてはこうだという記述になっていますが、当然これは前提になっていることだと思いますが、政策のプライオリティーとか、緊急性というようなことの展開を考えますと、やはり人類そのものといいますか、人間の健康問題。こういったものを、特別どこでも触れられていないように思ったのですが、それは当然当たり前のことで触れていないということだろうと思いますが、やはりそれを環境を介して人間の健康問題、私も交通をやっていますと大変問題を今抱えていますので、そういった視点をやはりきちんと出した上で、そのほか大きな意味でのエコロジーとかそういうことを言ったらどうかという、その辺を追加していただいた方がいいのではないかと思います。2点です。

【浅野委員】

 第1部についての議論をするということですので、一応、その範囲内での議論にとどめたいと思いますが、確かに今の環境基本計画をつくったときにこれを全部読んだ人は何人いるだろうかという話があったんです。それで、大概読まれない理由というのは、第1部のところに魅力がないからですね。そこで途中で力尽きてもう読む気がなくなるのが通常ということがよく言われることです。今回の整理もとにかく型どおりに整理をしてございますので、そういう印象が非常に強いので、確かに書き方についての工夫が少し必要かなという気がします。

 例えば、第1部の前文に相当する部分が既にこれだけの分量が書かれていて、これをさらに分析的に記述されると、この部分だけでも大論文になってしまうと。多分、みんなここで力尽きて後は読まないということになるだろうから、そういう意味ではもう第1部の前文はここに書いてあることをさらに刈り込むぐらいの腹を決めて書かないといけなくて、思いのたけはむしろ1以下のところにしっかり入れるという方がいいだろうと。ただこれは、きょうは計画の骨子案ですし、思考過程をプロセスを手の内を見せられているわけですから、このとおりなるとは思いませんけれども、これに書き込みをしていったらとんでもないことになるなという印象はありますから、これは書くときにはどこへどう振り分けをするかということが必要だと思いますし、最終的にチャーミングな出だしにするというときにどうすればいいかという問題が確かにあると思うんです。ですから、これは構成そのものの問題なのか、それとも最初にサマリーをつけるのか。あるいは、安原委員長がおっしゃるように、実は今回の目玉は重点項目をしっかり決めて、そこのところは目標まで示していこうということを決意をしているわけですから、そこで出てきた目標の幾つかのもので、かなり書いておいても実現可能性がありそうだとか、既に政府が閣議で宣言していることだから、そんなものは恐らくだれも文句を言えないわけですから、それを最初にサマリーのような形でパッと出すというようなことはあるかもしれません。そうすると、それは多分前文とはまた違った形のものが編集上くっつくということかもしれませんが、何かそういう工夫はした方が読まれるということになると思いますが、それはそのとおりかなと思いました。

 それから、先ほど御指摘があったように、現状と課題という書き方だと、現況に引きづられてということになるだろう。このご指摘は確かに重要なご指摘ですから、第1部の見出しは、前に企画政策部会で4月4日に了解したところでは、現状と課題という言い方をしていますけれども、その課題というのがここに書かれているような意味での政策的な課題がどうだというよりも、もっともとにある、これからあるべき姿みたいなものというのはあるんだろうと。だから、現状と課題というタイトルは、現状はこうです、課題はこうですという書き方を必ずしもしなくてもいいのではないか、計画の存在意義のような意味合いの中身を全部含めて書いていってもいいのかなと思います。

 そうすると、ひょっとしたら環境問題の現状という見出しについても、もう1回検討してみる必要があるかもしれませんね。必ずしも75回のときに目次を決定したわけではないですから、単に項目を加えて書こうと決めたわけなんだから、現状という見出しにこだわらなくてもいいかもしれません。ですから、2ページの1の環境問題の現状というところの書き方についてはちょっと工夫をした方がいいのかもしれません。

 それから、構造変化の問題ですが、これも表現ぶりだろうと思いますので、表現については工夫をして、構造変化という大仰な表現をしなくてもいいのかもしれないですが、ただこれは先ほども事務局が言いましたように、この5年間どう変わったかということを書くことが必ずしも目的ではないと思います。

 前の計画のときにも当然考えてはいたのですが、重点課題が出てくる理由は何かということを最初から明らかにしていかなければいけない。それは、つまり従来型の規制をすれば何とかなるという課題は、かなりうまくいっているんだけれども、規制ではどうにもならない課題が積み残されて、それがまさに重点課題の1から6までの課題として残っているんだと。その辺の由緒言われるゆえんのようなものを書くために、こういう構造変化という項目が出てきているわけですから、これはただ論文を書いているわけではなくて、全部後の方の第3部に出てくることを意識しながら、それにちゃんとつないでいくという発想でこれを書いていくわけです。

 学生に論文を書かせるときは、端書きとか、前文というのは最後に書けというのは鉄則なんです。全部書き終わって書けたところでそれを理屈づけるために端書きを書く。そうするときれいに見えるけれども、端書きに最初に書きたいと思うことをいっぱい書いてしまうと、力尽きて後の方が弱くなったときに非常におかしくなると。

 前の計画はやや最初の方は力いっぱい書き過ぎてしまった面もあるわけです。今回はその轍を繰り返さないために、ストーリー性といっているのは、後ろの方からもう1回前にフィードバックしてくる。そういう思考を持ってこれをやっていくということだと思います。だから、作業の手順も第1部を真先に片づけてしまおうと考えないで、第3部の辺がきっちりとできてきたらそれをもう1回第1部の方に持っていって、それで第1でどういうことを書ければ第3部の話につながるかという意識で作業をするとうまくいくのではないかと思います。

【安原委員長】

 ありがとうございました。2部の議論も出ておりますので、1部に限らず2部の方にも入っていただいてご議論をさらに展開していただければと思います。2部はここにございますように、持続可能な経済社会の具体的なイメージを明らかにして、それに至る道筋もあわせて明らかにする内容かと思います。なかなか持続可能な経済社会をどういう場合に表現するのか。いろんなご意見があると思いますので、よろしくお願いいたします。

【村杉委員】

 1部でいろいろ委員の方々のご意見伺いましたが、私の方もこの1部の現状と課題というところをもうちょっとこう整理をした方がいいのではないかなという気がします。ここに、今現在出ているので見ていきますと、例えば、1ページの環境の現状という括弧の中での最初の7行ぐらいのフレーズなどを見ますと、これは環境問題の現状にまではいかないけれども、主として人間中心の環境、どちらかというと環境問題的な現状が触れられている。そして、次のページ、2ページにまた環境問題の現状という言葉が出てまいりますので、そのあたりの書き分けですよね。少なくとも最初の環境の現状をもし書くのであれば、ここはもっと科学的にというか、自然環境の現状というところにまず始まって、それがどんどん悪くなっていって環境問題というふうなつながりが必要かなというふうに私などは考えていましたが、自然環境の現状をだらだら書いてしまうと、これはもう白書になってしまいますので、そういうふうなところは必要むしろないかなと思います。

 ただ、このあたり1部の環境というもののとらえ方、環境問題というもののとらえ方あたりを、ちょっと意識的に分けてお考えいただくと、もう少しすっきりするのかなというふうに思いました。

【武内委員】

 これからどういうふうに進めていけばいいのかということについてお伺いしたいのですが、1の1の議論については、総合的環境資源を可能な限り活用するというふうになっておりまして、これは私の理解では前回はきちっとした資料を出せなくて、参考的なものの記述にとどまっていたということに対して、四つの項目について、循環であるならば個別的な指標のみでなく、総合的な指標へもアプローチするという。それから、共生については、ほとんど指標について議論がなかったのを指標を明らかにすると。それから、残りのものについては、いわば政策効果を評価できるような形の指標化を試みるというふうなことになっていると思うんですが、今の現状は時間との戦いだと思うんです。つまり、環境基本計画が12月だというふうな中で、どこまで議論が詰められるかどうかがちょっとわからないという状況でして、私もその共生部分については今現在努力をしているんですけれども、私の意見は、これについては何かやはり総合的環境指標検討会のフォローアップの会議をもって議論した方がいいのではないかと思うんです。いきなり、事務局の方に文書を書いていただくというのではなくて、ちょっと今現在の議論の進みぐあいを評価して、残りの時間を考えて、そしてどこまで出せるのかというとこを議論しないと、書いてみて後でこれひどいわというふうになったときに、ちょっとこれどうしようもないというふうに思いますので、そこはちょっとどういうふうにお考えなのかお伺いしたいと思っております。

【環境計画課長】

 ご懸念の点があると思いますが、とりあえずそういう組織的な対応は今のところ予定はしておりません。現在のところで使えるものを落としてみようかなと。その作業を今やっておるところです。

【安原委員長】

 冒頭申したんですけれども、非常に時間的な制約がきついんです。とにかく中間取りまとめ案を企画政策部会として8月末ぐらいにまとめたいと。それであといろんなパブリックコメント等で広く意見を伺って、そしてそれを取り込んでいくということをやって、それで12月の仕上げということですから、本当に作業としては7、8月なんです。ですから、今、事務局が申したようなできるだけ活用できるものを活用するというようなことにならざるを得ない面がございます。そういう制約の中でどうしたらいいのかをいい知恵があったら教えていただきたいと思います。

【浅野委員】

 今のところ2ページのところに書かれているのは、現況記述をするときに、ただ数字を並べてみてもわかりにくいので、できるだけその現況を端的に表現できる総合指標があれば使ってみよう。だから、何かその非常に複雑に構成された指標ではなくて、例えば、ここでは物質循環のようなというような例が挙がっているんですが、我が国なんかはエネルギーフローであるとか、物質のフローであるとかというのは割合わかりやすいわけです。既に環境白書でも使っていますし、それがどう変わってきたかとか、そんなものは多分使えると思いますし、武内先生がおやりになった指標の中でも、パッチのああいう話なんていうのは結構使えるし、あれは先生5年ぐらいはもう時間差、10年ぐらいの時間差でデータが出てきませんかね。

【武内委員】

 10年でも。

【浅野委員】

 ありますよね。だから、そんなものを使ってみるとか、そういうことをとりあえずイメージしているんだと思いますから、その限りで余り分量が多くならない程度でどういうことができるか。検討を事務局でとりあえずしていただいて、それでどうもまずければおかしいというような点。

【武内委員】

 大体様子はわかりましたけれども、例えば、前の環境基本計画だと、山地自然地域とか、里地自然地域とか、平地自然地域とやっているんですけれども、私あれおかしいって前から申し上げているんです。つまり、物的な環境をほかのいろんな例えば、山地がどういうふうに変わるのかということを理解するときに、山地自然地域自体が動いてしまうという提議の仕方というのは非常に問題があるということで、森林率と人口密度で山地自然地域を否定するのはおかしいということを申し上げたことがあるんですけれども、その手の話がまだ整理できていない段階で、かなり大きなところで記述が変わる可能性があるので、それでいいのかということについて、かなりその分野の専門家を交えて1回チェックを入れておいた方がいいんじゃないかというのが私が言ったことに近いんですけれども、ですから、何度も何度も別の委員会設けて繰り返し議論しろっていうことを言っているのではなくて、少なくともかつてそういうことを議論した人たちにもう1回チェックしてもらって、これで行くぞということを議論していただいた方がいいんじゃないかというのがさっきのフォローアップという言葉のイメージなんですけれども。

【福川委員】

 この7ページの長期的目標というところで、この考え方を読むと、どうも共生という考え方を大概念といいましょうか、上位概念に置いて、その戦略として循環ということを考える。そして今度、共生と循環を実現するために、参加と国際的取組を考えるという、こういうように整理されようとしているのかなと思うんですけれども、その前のページの6ページを見ると、非常に効率性ということを強調されていらっしゃるわけなんです。もちろん、循環と効率というのはある程度ダブる面もありますが、ダブらない面もあるので、もし、共生というのを上位概念に置くのだとすると、あるいは、この長期目標の中にエコエフィセンシーというような環境効率性といったような概念を目標に位置づけるというのも一つの方法かなという気がして、何となくそれを書いてあるやにこの文書から読むと読み取れるんですが、もし、ここの考え方が共生を上位概念にするというのではあれば、循環と同時にエコエフィセンシーという考え方、あるいは、エネルギーエフィセンシーもあるかもしれませんが、効率というものをこれは大転換になってしまいますから、大議論だとは思いますけれども、そういうことも念頭に置いていらっしゃるやにも読めるし、そういうではないようにも読めるし、ちょっと悩ましいなという気がするので、この辺はひとつぜひご議論の種にと思って発言をさせていただきました。

 それからもう一つは、費用対効果の観点の8ページで、科学的知見が十分に蓄積されていないというところもありますこの問題について触れているわけですが、いわいる環境リスクの問題、あるいは、ここで化学物質の問題、生態系の関係がまたあり、これも実はごみ問題等ともいろいろあるんですが、社会資本整備をいろいろするときに、費用対効果というのはどの辺に考えるかというのは非常に難しいというか大問題でして、100%完全なものにしようというと、大変費用はかかるんだけれども、ここのところは費用対効果をどの辺においていくのが社会全体としていいかというのは、これは大変重要な問題を提議していらっしゃって、ちょっと私も今これをどう書いたらいいかというすぐ結論はないんですけれども、この費用対効果のところはどういうふうな表現に最後おさめるにしても、ちょっと考え方はひとつぜひ明確にしておいた方がいい問題ではないかなと、そんな感想をいたします。以上です。

【浅野委員】

 長期的目標のところなんですが、これは部会長メモに共生、すなわち現世代及び将来世代が環境の恵沢を享受することが究極の目標であるという部会長メモがありまして、それがきょうの整理のたたき台の背景にあるのだろうと理解をしております。

 現世代及び将来世代が環境の恵沢を享受できるという、これは環境基本法の3条が掲げている長期的な目標であって、それが言ってみれば我が国の環境政策の究極の目標であるという共通の認識が多分あるのだろうと思います。そうすると、例えば6ページのところの3番目の○のところで書いてあることはちょっと余り正確ではないわけです。経済社会における環境の負荷が環境の許容範囲内にとどまっていることが必要であるとともに、負の遺産が解消され、そういうことによって結果として将来世代により良好なものとして環境を継承されることが目的にならなければいけないのですが、これがその手段との記載と目的の記載がごちゃごちゃになってしまっているんです。こういう記載の仕方では困るわけで、環境を継承しようということがともかく究極の目的なんだ。それは言ってみれば人と人との共生。それも時間を超えた、時代を超えた人と人との共生なんだと。だから、部会長がメモの中に書かれた共生というのは人を意識した共生を言っておられるわけです。しかし、一方では生き物、環境との共生という現計画の持っているフレームというのは、これはこれとしてやはりどこかで生かさなければいけませんから、実に悩ましいところがあって、共生という言葉が二通り使い分けをして出てくることになってしまう。この長期的目標というと、7ページのところの書き方はその点はまだ十分に整理がついていないままだと思うわけです。

 環境効率性という概念も目標に一つ新しく掲げるということも考え方ではあるんですが、おっしゃるようにそれは根本からがらがらでありますし、現在の長期的目標の四つ並べたものについては残すと、そのままにしようということであるならば、この共生という言葉が二重の意味で使われているわけですから、最初の方の意味の使い方。つまり、人と人が共生し、次の世代に環境の恵沢を継承をしなければいけないんだというところは、あえて共生という言葉を使わないか、あるいは、使うにしてももうちょっと上手な使い方をすることによって、今までの目標として掲げたものとの整合性を図るという以外にないのかなという気もいたします。

 それから、8ページのところの記述でありますけれども、これは後で天野先生から多分コメントがあるだろうと期待をしているんですが、予防原則という言葉はOECDで出しているものを見ますと、環境リスク管理を意識した予防原則なんです。ですから、これも日本でかつてPPPが誤って取り入れられたのと同じように、日本で予防原則という言葉が何でもとにかくあぶなそうなものはどんなものでもやれというのが予防原則だといっていないんです。要するに環境リスクがわかればわかった程度でどこのレベルで抑えるかということが問題だし、よくわからない場合はどういうレベルで抑えるかということを考えなさいと。そこでは、費用対効果というのは当然ありますし、リスクマネージメントする場合にはいろんな考え方がありますから、その中の一つには、費用対効果を考えてそれで管理をすることが適正なマネージメントだという人もいますし、そうでない人もいるわけです。ですから、結構そこが難しいので、福川先生がおっしゃるように非常にわかりにくいのですが、どうもこの8ページに書かれている話の下から2番目の・と一番最後の・というのは、実は書き分けてありますけれども、書き分けができない部分があって、それでありとあらゆることについて費用対効果、予防原則といっていないんです。だから、もしそれとは違う意味で予防的方策という言葉を使いたいのであれば、もっと違う言葉を使って誤解のないようにしなければいけませんし、もしOECD流の予防原則を言うのであれば、それは環境リスクのマネージメントということが当然背景にあるんだということをわかる書き方をしなければいけませんから、ここはちょっと少し我々もディスカッションした方がいいと思いますが、何しろ専門外ですから天野先生の講義を聞いてから考えることにしたいと思います。

【天野委員】

 宿題をいただきましたけれども、ちょっと私の意見を先に言わせていただきたいと思います。やはり長期的な目標というのが、もとの四つから少し上下関係ができたりというふうに変わるように書かれているんですけれども、私は循環と共生と二つ並んだときに、循環というのは例えば、炭素の循環であるとか、窒素の循環であるとか、燐の循環であるとか、そういう非常に大きな自然界の循環を人間がゆがめている。一番はっきりしているのが地球の温暖化なんですけれども、そういうものに対して負荷をかけないようにという意味の私は循環だと理解していたものです。

 そうすると、共生の方はエコロジカルの生態系みたいなものに対しても人間は負荷を与えていって、どちらもそういう人間の活動の持っている短所みたいなものが、この二つの面にあらわれてきているというふうな書き方だと思っていましたので、共生を実現するために循環が戦略になるというのはちょっと理解が難しいなと思うんです。ですから、ここはやはり共生も循環もどちらも自然環境に対する人間の負荷をできるだけ小さくするような考え方として出ているんだと。私はこれは両方とも目標にしておくべきものではないかというふうには考えています。

 それから、別の問題に移ってしまいますけれども、8ページの上から二つ目の段落なんですが、可能な限り環境と経済の双方に利益をもたらすWIN-WIN型のアプローチを採用すると書いてあるんです。では、そういうものを全部採用してしまって、あと何もしないということにはならないと思うんです。そうすると、WIN-WIN型でないようなことについては、ここに書いている限りは何を必要としているのかよくわからないというふうに思いますので、そういうときに環境問題というのは多くの場合トレードオフの関係が出てきていますね。そのトレードオフをどういうふうに選択していくのかという難しい面もあると思うんです。

 ですから、そういう状況に対してどんな優先順位をどんなやり方でつけていくのかということを書くことも非常に重要なことであって、むしろ本来の解決というか、環境問題への取り組みというのは、そこにあるのではないかと思いますので、余りこれだけ強調して、これやったら終わりというふうにはならないように書き込んでいただければというふうに思うわけなんです。

 それから、四つの考え方の中に、予防的な方策と環境リスクの考え方というのが分けて書いてあります。私はこれ二つを全然別のものとして分けるのもちょっと難しいかなと思いますけれども、かといって全く重なってしまっているとも思えないんです。というのは、予防原則というのは浅野先生がおっしゃったような意味もありますけれども、もう一つは、不可逆的な変化が起こるような状況懸念がある場合には、予防原則を使うというふうなやり方ですと、もちろんリスク管理、リスク評価なんかをしなければいけませんけれども、リスク評価というか、リスク管理の結果として予防原則が出てくるというものでもないと思うんです。ですから、私は二つは並べて置いておいてもいいのではないかと思います。ただ、環境リスクの考え方というふうに書いてあるんですけれども、リスクの評価をどうして、リスクのマネージメントをどうするかといういうふうなことを、もうちょっと具体的に書かないと、読む人は何が取り上げられようとしているのかというのがわからないですね。その辺をもうちょっとはっきりとしていただいた方がいいかというふうに思います。お答えになっているかどうかわかりませんが。

【安原委員長】

 非常に重要な点につきましてご意見をいただきました。さらに長期的な目標のところは非常に重要な点でございますので、いろいろご意見がいただければと思います。長期目標についてランクづけをした方がいいのかどうか。これは、部会長メモでそういう提議がありまして、企画政策部会では特段の異論がなかったものでございますから、事務局の方でそういう考え方に立って整理をしてもらっているわけでございます。

 それから、福川さんの方から環境効率性を長期目標に加えるかどうかという問題点のご指摘があったわけであります。それから、予防的な方策の表現については事務局いろいろ苦労されて今の表現になっていると伺っておりますが、ちょっと何かコメントがありましたら。

【環境計画課長】

 大分行政内部でこれについては議論いたしていますし、前回記述の際にも非常に多方面からも議論が行われて、逆にこの文書が詰まってきたと。そういう経緯があるということでございまして、かなり厳密な議論をしつつあってこうなってきたということでございます。

【寺門委員】

 福川先生から最初のところは格調高くというお話がありまして、確かに格調高くというのが入り口で必要だと思います。私、ちょっと別の視点からちょっと意見をさせていただきたいのですが、国民の一人一人に参加を求めるということが主体になるわけですが、そういうときにどういうふうに訴えていくのかというのが必要で、入り口が余りレベルが低くては、これはもちろんいけないのでそれは結構だと思うんですけれども、今の環境構造というのを私ときどき言うんですけれども、私としては、個人でみると非常にグローバルで非常に大きな地球温暖化のような問題というものをどこまで個人に引き下げてくるかという大きな問題もありますし、それから、例えば、日本という全体を見たときに、今も一番問題になっております目の前にある例えば廃棄物をどうするのか、自分たちの出した物をどうするのかというのは国内でこれを解決しないといけない。外には持っていけないという問題。それから、今、都会で起きている、東京都で起きているような身近な交通の微粒子の問題とか、こういうふうに非常に見える問題、そういうふうに一人一人からすると非常に地球問題は遠のいていってはいけないんですけれども、自分の参加がどのぐらい影響するかということはなかなか見えにくいわけです。だけど、これはグローバルに、今のグローバルな経済社会の中で、それは解決していかなければいけないという大きな国家的目標があって、それでそれぞれがおりてくるという。

 一方、自分が本当に参加してごみを出していると。すぐ目の前にカラスがつっつくは、あそこら辺に散らばっているわと、それでそれをどうするんだという、非常に物事としては見えるもの。それから、交通の密集地の沿道に住んでいる人にとってみると、もうちょっと過疎地というか、そういうところに住んでいる人からすると余り関心のないという、そういうふうに問題が非常に、僕のとらえ方の構造というのは、個人からとらえるとそういうふうにランクが三つぐらいあるように思うわけです。そういうものがあるということをやはり率直に出しながら、では、なぜ今身近にある交通から生ずる問題というのは解決できなかったんだろうかと。突然出たのか、NOX問題が出たわけでもないでしょうし、それから、微粒子問題も出たわけではないから、そういうものがなぜ進まないのだろうかということは、やはり具体的に書かないと個人個人からすると格調高く書き過ぎて結局は何も見えないということにはならないようにしていかないといけないという、そういう問題の性質に応じて、非常にもっと過去の現状という認識というところが、もっと過去も含めて、この数年間を含めて、なぜそれが石原知事が騒いだから解決したのかというふうにしか皆とらえないわけです。これはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、そういうふうに環境の構造というのは僕はそういうふうにとらえた方が、一人一人の国民にはわかりやすいのではないかなということをいつも言っているわけですけれども、そういうところにでは私はどういうふうに参加できるのかなということが出てくるというふうに思うわけです。

 この循環というのは、目の前で見ていると、先ほどの炭素の循環、窒素の循環とか、そういうものは非常に縁遠いわけです。今の循環というと、ごみが出ているからこれ循環させないかんなと。こういうことは非常に感じとられるわけです。現実にそういうことを実行されている方もかなりふえてきておって、スーパーに行けばそこのところにお皿を入れたり、そういうことをし始めているわけです。そういうふうに、それがまさに参加ということの意識付で、そういうふうに非常に手軽に参加できるという問題と、それから、なかなか自分だけでは解決しないなというか、もっと大きな問題として認識するというか。だけど、少なくともでかい車よりは小さい車の方が炭酸ガスを出さないわなというぐらいの認識はみんな持っているわけで、そういう上での参加といいますかね。しかし、それは地球規模からすると本当に効くのかしらという問題もあるわけです。

 それで、ちょっと話があちこちに飛んでしまいますけれども、20世紀から21世紀へのパラダイムシフトといいますけれども、私はそういうふうに簡単に言いますと、余り物事がよくわからなくて、僕は21世紀は要するに物質文明を非常に享受している人たちと、それを追いかけている、それを求めている人たちが、非常にたくさんおるわけです、現実には。そういうふうなまだ過渡期なんです。それが21世紀に入ったら、本当にパラダイムシフトが終わって、脱マテリアリズムとか、ポストマテリアリズムになる、そんな簡単な問題ではなくて、日本国民ですらまだ欲しいわけです。いいものだったら欲しいわけですから、そんな簡単なシフトではないと。

 後ろからはものすごいたくさんの人たちが、物質文明を享受したいと思って追いかけてるという、そこに大きな人類の悩みというんですか、そういうものが現実にあるということを言わないと、簡単に精神心理で出すポストマテリアルリズム的な意識がすぐに出たなんて、そういう問題はだから悩みは非常に大きいんだと。そういうことをやはり認識しておかないと、個人個人やるはずはないと、お前も我慢せいというわけにはいかないと。その中でどう解決していくのかというような書きぶりでないと、哲学ばっかりではなかなか現実の個人個人の意識とは乖離が大き過ぎるのではないかと。そこら辺をどういうふうにうまく整合させるかということをぜひお願いしたいと。

【安原委員長】

 今のご指摘も非常に重要な論点かと思います。参加あるいは各主体の積極的な役割ということで、その部分の箇所でできるだけわかりやすく具体的にベースを工夫しなければいかんと思います。

 それでは、まだまだご意見がありますとは思いますので、どんどん出していただければ思いますが、3部それから4部も含めて、全体を対象にご議論をさらに展開していただければと思います。

【武内委員】

 2部から3部にかけてのことでございますが、自然環境の保全に関してはというところの記述が3ページのパラグラムの三つ目にございますけれども、ここでの記述内容を見ておりますと、やはり人間がどんどんと自然を破壊し続けていく。それに対して防衛的な対策をとらなければいけないという、こういうふうなニュアンスがまだ強いように思うんですけれども、私はもちろんその点というのは特に里地の自然地域なんかにおいては、依然として引き起こされているというのは、これ指標的にもあらわれておりますので、それは否定しませんけれども、むしろもっと問題なのは、自然と人間の関係性が希薄化しているということではないかと思うんです。

 つまり、一方で大都市やなんかでは、自然というものに対する関心が高まりつつも、そこには必ずしも良好な自然がないという。逆に自然が豊かである農村や森林地域においては、豊かであるにもかかわらずそれが健全性を保ち得ないようないわば管理の粗放化みたいなものが起こっているわけで、その二つの間をどうやってうまくつないで、新しい人間と自然の関係を構築していくのかという、再構築していくのかという、ここいらが多分21世紀初頭の一番大きな問題ではないかと思っているんです。

 そのことは、二次的自然の生物多様性の維持にも非常にかかわります。つまり、二次的自然というのは、人間の関与があって初めて自然が維持されるという構造ですので、それが希薄化するということは二次的自然ではなくなるということですから、それのもたらす恵みも享受できないということになりますので、その一つの点と、それからもう一つは、日本の生物資源の利用にかかわる問題としても、こういう人間と自然の環境の希薄化というのは非常に大きな問題で、これは地球環境問題の話にもつながるわけで、国産材をほとんど使っていないで、海外の木材資源に依存しているというのは、これは地球環境問題もつながるわけですし、それから、CO2のシンクの問題ともかかわるわけで、そういう点で、この辺の話が関係の再構築の前提にした方が私はもっといろいろとアピール力がある話になるのではないかと思っておりますので、余り人は自然を壊してしまったというふうなことで、それを何とか防止しようという話だけに終わってほしくないと思うんです。

 それから同じことが実は6ページの下から二つ目の○にもかなりそういうふうなニュアンスが出ていると思うんですが、人間活動は生態系から享受しているさまざまな恵みを減ずることのないようにというあたりが、やはりスタンスとしてはちょっと関係性の再構築というふうな積極性を持っていないのではないかというふうに思いまして、事務局の方は多分それも考えているというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、訴え方としてはもっとそっちを強調する必要があるのではないかなというふうに思います。

【平岡委員】

 最初のところに負の遺産についても記述すると書いてあって、2部、3部には何も書いていないように思うんですが、負の遺産はどういうふうな、そこに75回の企画政策部会の参考用メモをというふうに書いてあるんですけれども、具体的にはどういうふうなことを考えられておって、後ろの方の施策の展開のところではどこに当たるのでしょうか。

【環境計画課長】

 第75回というのは全体にかかっておりまして、むしろこのときの出たメモは、その上の環境質とかそういう話が中心にたしかなったものでございます。

 それで環境上の「負の遺産」の問題については、実はいろいろとデータをとって見ますと、データとして抑えられるのがオゾン層の問題とか、二酸化炭素の問題とか、そういう問題になっておりまして、残念ながら、例えば、水質の問題で非常にヘドロがたまったとか、そういうような問題が必ずしも抑えられない。そういう現状があるということなんでございますが、そういう問題も含めて、例えば、環境投資という項目がございますが、10ページを見てまいりますと、いわゆる戦略的プログラムの中。この中で、1の(9)でございますが、こういう中、当たりで、環境上の「負の遺産」に対する対応。そのための環境投資を進めるんだと、そういうような記述を置いていくとそういうことを考えたいと思っています。

 それから、個別的にはまたそれぞれさらにその後ろの環境保全関連政策という、その中で、そういう「負の遺産」の解消に係る政策というのも書かれることになると。ちょっと体系的に負の遺産を一つのグループとして完璧に書き切るだけの自身がちょっと今ないということであります。

【平岡委員】

 例えば、書いてあったもので非常に大事なことではないかと思うんです。具体的には例えば、化学物質PCBなんて膨大にまだ残っているわけです。技術は開発されてもまだ一向に進まないというのがあります。それは負の遺産。例えばの話ですね。これはずっと私は次世代にまで残るのではないかという気が心配して。これは北野先生の化学物質対策のところで報告されたと思うんです。そういうふうないろんな人間がつくて、経済発展の中でつくってきたものが残されているのが負の遺産かなと思ったんですが。そういうものをそれぞれの対策の中できちっと次世代に残さないように処理をするのかということかと思ったものでちょっと質問をしてみたんですけれども。

【環境計画課長】

 基本的な考え方はそのとおりでございます。

【平岡委員】

 そのときにお願いがあるのですが、私は非常に重要な問題だと思うんです。環境基本計画の中では。そういうものがいっぱい残っているわけです。いわゆる有害物質ですね。有害物質としていっぱい残っているものを処理していかなければならないものがいっぱいあるんだけれども、一向に進まないということは、やはり基本のところで環境庁あたりが処理するリスクと。これが8ページのところにも、一番下のところに環境リスクを伴う環境問題の対処というふうに書いてあるんですが、処理を放っておきますとどんどん例えば、ティッシュ一つにしてもたくさんなくなっているわけです、自然に。なくなってしまっているような問題ですから、処理するリスクと、保管しておいてなくなるリスクと比べてみれば、当然処理するリスクの方が少ないわけです。そしたら、住民の方々がどっちを取られるかということをきちっと書いてもらいたいと思うんです。そうしないと進まないんです、一向に。

 そして、有害物質の今度は技術開発も日本では実験すらできない状況でございますので、カナダとか、フランスとかまだ行って、向こうの技術を買って、向こうでいろんな立証実験をやる。日本で評価をしているというような状況なんです。これは、由々しき問題だと私は思っておりまして、ここのところに負の遺産というところで、そういうふうな環境基本計画として前向きばかりではなくて、次世代に残さないということは非常に重要なこと、基本計画ではないかと思いますので、その辺一遍よろしくチェックしていただきますように。

【天野委員】

 第3部から重点分野とかその他について施策が記述されるわけですが、今回は四つの基本的な考え方を重視するんだというのが前のところにありまして、それをできましたら施策の説明のときに、どういうところでどんな施策に対してはどういう原則が効いているんだということを少し書き込んでいただければ、原則は原則、施策は施策というふうに、ばらばらにならなくていいのではないかと思います。それから、施策の方向性を模索しているような場合には、基本的にはこういう原則で考えればこういう方向でいくはずだということもお書きいただければいいのではないかと。つまり、原則はただ原則として置いておくというだけではなくて、実際にその原則を使って、政策なりにちゃんと活かされているというふうなことがわかるようにお書きいただきたいというふうに思います。

 それから、一番最後になるのかもしれませんが、計画の効果的実施に関する施策の項目がありまして、これは環境庁というのは、すぐに環境省ということになって、設置基準みたいなのが変わると思うんです。ですから、今までの基本計画で環境庁がやれたものよりもかなり広い範囲で環境省というのは施策を実施できるのではないかと。そういう違いが今回どこに出てくるのかなというのが、ちょっと書いていただければありがたいのではないかと思うんですが、広がっている面もありますし、従来入っていなかったようなもので環境庁が担当になっているようなものもあると思うんですが、そのあたり余り細々書くことはないと思うんですけれども、省になったからどうだというふうなことも少しお書きいただければ読む人はわかるのではないかというふうに思います。

【浅野委員】

 第3部の今度は重点分野を挙げるというのが目玉だということですが、それと今度は第3部の2というところでまた(1)が出てくるわけです。だから、ここの書き分けというのは非常に難しくなりそうな気がします。だから、相当むしろその1のところの書き方を抑制をしておかないと、同じことを書いてしまったらしようがないんです。

 前回はどっちかというと、循環のところで書いたことをもう1回共生で書き、参加のところでまた同じことを書くのは構わないというスタンスだったんです。それはどうしてかとというと、全くばらばらにとられている施策をとにかくある切り口で整理しましょうというのが目的でしたし、それから、読まれるときに通しで読んでもらうことは期待していませんでしたらか、例えば、大気環境ということを考えて、そのことに何を書いているかと読んだ人は、そこに大体最大もらさず書いていないと困る。参加に興味がある人は、参加のところしか読まないだろう。そこを読んだら大体それに関連することはみんなわかるようにしなければいけない。だから、あえて重複しても構わないからやれということで重複をいとわず書いたわけです。

 しかし、今回はこういうストーリー性で行こうといっているわけですから、ここで書いてあることと、また2のところで書いてあることが全く同じことが並んでいると芸がないわけです。そうすると、各プログラムの構成というところでも、現状をどう書くかという問題ですが、問題がどういう構造からでき上がっているのか。そこからどういうことが政策課題として出てくるのかということを、個別の施策がどうであるかというよりも、その方向をはっきり示していかないとだめです。そして、その重点的に取り組むべき事項を書くときに、その次の2のところで書くこととどう書き分けるかはっきり意識しておかないといけないので、これが今のところちょっとまだ私にも見当がつかないんですが、もうこっちで書いてしまうのか、それともここではむしろ書かないのか、目標というところにむしろ重点をおいて、それを実現していくためのプログラム的なことを書いておいて、個別の政策めいたものは落としてしまうのか。それとも、書いておいても下の方ではあえて繰り返して書かないで、前述のとおりで済ませるのか。そこをどうするのかというのはちょっと要検討なんですけれども、どっちかとういと後の方だけ読む人がいるということを考えると、前の方に余り細かい、つまり一番最初にやった政府の中の計画みたいなことを並べることはやめて、こっちの方はどっちかというと問題を把握し、目標がどうして出てくるのかということがわかるようにしておいて、それでその目標を達成するためには、どういう手だてをどう講じたらどううまくいくんだろうということがわかるような仕掛けにしておく。あと、個別の施策についてはこっち側の方の箱庭の方にきれいに並べるという形になるのかなと思いますが、ちょっとこれから少しきついでしょうけれども、検討していただいて、工夫をしていただきたいと思います。これをほっておきますと本当に同じものが並ぶという危険性があると思います。

【福川委員】

 今のご指摘は本当にそのとおりで、ここ難しいなと私も思いながらお話を承っておりました。ここの点なんですけれども、この第3部で1が重点分野における展開、2が環境保全関連施策とこう書いてありまして、関連施策というのはどう読むかということなんですけれども、全体に関係しているから全体の中に入っているといえばいいのか、関連だからちょっとウエイトが低いのかという印象を与えないでもないので、関連施策という言葉がいいかなというのがちょっと私はひっかかるんです。

 申しますのは、(2)は環境政策の共通的基盤とこう書いてあって、環境影響評価制度とか、監視とか、技術とか、技術開発とか、非常に重要なことが書いてあって、これ関連はしていますけれども、関連施策というと一段ちょっと下がったような感じがするので、どうも2の環境保全関連施策という題はやめてしまって、環境政策の共通基盤というのを例えば2にするとか、あるいは、3にするとか、それから、各主体の自主的積極的取組に係る施策というのも、これも実は非常に重要な施策だろうと思うんです。今回、戦略プログラムをつくろうということですから重点分野の展開、これはこれで強調するというのは当然だと思うんですが、あとのものはそれぞれに11ページにある(2)、(3)、(4)いずれも重要な施策であるので、重点分野から言えば関連かもしれないけれども、私はこの重点分野と並べて書いておいてもいいのかなと。

 そして、2の(1)のところの書き方はちょっと工夫するとして、これは並べ方としては5番目になっていいのかもしれません。あるいは、それはちょっと工夫を要すると思うんですけれども、共通基盤とか、自主取組とか、国際的取組というのはこれはやはり重要な具体的展開だと思うので、ちょっと関連でくくるよりは並列して並べておいた方がいいのかなという感じがいたします。以上です。

【安原委員長】

 どうもありがとうございました。それではほかにご意見がありましたらいただけましたらと思います。今の点について何か事務局の方で考えてらっしゃることはありますか。

【環境計画課長】

 私どもは、第3部の2の部分はいわば本当に羅列的に書こうかなと。本来でありますと若干かなり詳しくなっていますが、基本計画にとってみますと、むしろアクションプログラム的な部分なんです。今の書かれている書き方が。それで、場合によっては別表みたいな形でもいいのではないかという議論まで初めあったわけですが、今おっしゃいました例えば、各主体の参加みたいな話は総論部分にかなり引き上げた方がいいのではないかと。非常に重要性も高いということで、大きな考え方をとにかく基本的な進め方を総論の方で先ほどのあらゆる主体の参加みたいな話があったんでございますが、その2部の中の2の(4)でございますか。その辺にむしろ書き上げようかと。そして、こちらの方ではむしろ具体的に何をやります、何をやりますと。そんなようなことを羅列しようかなと。いわば環境施策の体系はこうなっていますと。それをざっと眺められるようにしようかなと、そういうふうに考えたわけでございます。

【福川委員】

 そういうやり方もあるかもしれませんが、共通的な基盤とか、主体的取組というのはこれは非常に重要なことなんだろうと思うんです。そして、もちろん書き方として重点分野の中にこれを書き込むというやり方ももちろんあるんだろうと思うんです。それで、それぞれの1の(1)とか(11)までの中に、今ここで書こうと思っていることを共通基盤とか、自主的取組とか、国際取組をそっちへ一緒に書いてしまうというやり方もはっきり言ってあるのかもしれませんが、関連施策といって一段低く置いておいて、ここに技術開発だとか、影響を評価するだとかって言われるとちょっと寂しいなという気がするので、もうちょっと重要であるということが認識で違いがないのであれば、ちょっとやり方を工夫していただいたらいいのではないかと思うんですけれども。

【浅野委員】

 見出しの問題だから、そこはこだわらず。それと、前にやったときのことをいうと、共通的、基盤的施策というのは、循環、共生、参加には入らないので、どこにも押し込みようがないので、しようがないから共通的、基盤的と並べたんですね。本当にでは共通的基盤的であったかというとよくわからないところがある。今回の話でいうと、実を言えば、例えば、社会資本整備のようなものを重点的なところに環境投資の推進のようなところでしっかり書けば書けてしまうわけですし、多くのものが大なり少なりそういうところで書けるんです。ところが、どうにも書きようがないのが公害紛争処理とか、大変なのが残ってしまうわけです。これはともかく基本法の中に項目としてちゃんと挙がっていますし、それを落とすわけにはいかんということがありますから、それだけ載せるのはどうもぎらついてしまうから、しようがなくここに並べているような印象があるんですけれども、ちょっとその辺のところはちょっと前とその共通的基盤といってみても意味付が違ってくるから、その違いをもう少しはっきりさせておかないといけないかもしれません。単純に前に書いてあるからといって並べるのは、今度の計画の全体の狙い目からいうと違ってきているんですね。

【天野委員】

 現行の環境基本計画の今の関連の部分を見ておりますが、現行の計画では、よく基本的な目的、目標に対応して章立てがされていて、循環、共生、参加、国際的取組となっていて、それプラス共通的基盤というふうに並んでいます。ですから、つくりとしては目標はこういうところであって、それに対してこういう施策をすると非常にわかりやすい書き方になっているんです。

 今回のは、目標そのものがちょっと混乱していて、それに対応する施策というのがきちっと対応していない、連携がとれていないような印象があるわけです。それは多分、重点分野というのが全面的にばっと出てきたためにそうなったのかなというふうに思いますので、重点分野というのはこれは施策の領域ですから、そこに対していろんな施策を全部投入するという形にならざるを得ないわけです。ですから、先ほどのような長期目標に即して施策をというふうにすると、重点分野としては書き切れないと思うんです。そういう意味では重点分野を独立させて、特にそこについての施策を詳しく扱うというのはいいんですけれども、それをやったから、では長期目標に対する施策に対する一般的なやり方というのは、どこかでやはり書かなくてはいけないというそういう整理をすれば関連施策でなくなると思うんです。本来の長期目標に対する施策という位置づけになってくるんではないかというふうに思います。それが一つ。

 それから、ここの共通的基盤の中身がいろんな○で書いてありまして、前回に入っていたもの、あるいは、新しく入ってきたものもあるんですが、前回に入っていて消えたものもあるんです。直接規制とか、経済的措置について前回は説明していましたけれども、それはここには入っていない。ですから、そういう点をどう扱うのかちょっとわかりにくい点があるなと、そこはちょっと寄与してみたいなというふうには思います。

【安原委員長】

 そこのところ福川委員がおっしゃるように、関連施策ということで一段落ちたような印象を与えないように何かタイトルの整理は工夫したいと思いますが。

【幸田委員】

 今回の印象なんですけれども、私は非常に必要な提議がしっかり示された具体的に書かれてあるということ、それから、その理念とか一般の基本構成がはっきり書かれたということをとても大事だと思うんです。それがあちこちに出てきていまして、ですから、後でいろいろまとめるときにもこういうふうにやはり柱となるようなところは決して落とさないように持続可能性についてもきちっと述べられましたし、先ほどから出ている予防原則の話もそうですし、生態系に対する我々の考え方とか、やはり基本計画というのはどういう姿勢で5年たってこれから行くべきかという理念って物すごく大事だと思うので、それは今回のこれに非常によく出ているのではないかと思いますので、後はいろいろなめり張りもおやりになると思いますが、そこの部分はぜひ大事にしていただきたいと思います。

【安原委員長】

 全体としてのご意見がございましたらいただきたいのですが、先ほどの長期目標のところですね。ランクづけをどう考えるか。共生の概念、あるいは、循環の概念とも関係するわけですけれども、一応、事務局はこれまでの部会長メモの線で整理しているんですが、今日いろんな意見をいただきましたので、また検討してもらいますが、さらにその点につきまして何かご意見ございましたら、参考にさせていただきたいと思います。

 それから、福川委員のおっしゃる環境効率性を今のような四つの目標の後の具体的な施策を考える上での一つの原則ということで位置づけておりますけれども、もう少しランクアップしたらどうだと、目標の中に加えてもいいのではないかというご意見もございますが、いかがでございましょうか。

【天野委員】

 目標とか、目的というのと、それから、物事を考えるときの原理原則というのはちょっと違うかなという気がするのですが、環境効率性を高めるというのは一つの環境効率性を考えるという考え方の原理みたいなものも入っているんじゃないか。ですから、どこまで高めるかという目標は別にないわけで、高ければ高いほどというわけですから、その考え方の基本にその環境効率性を無視した行動ではなくて、そういうものを基準として入れてくるというふうな考え方ですから、どちらかといえば例えば、汚染者支払い原則であるとか、あるいは、予防原則であるとか、そういう原則的な考え方ではないかなというふうに、私はそういうふうに受けとめていましたので、こういう整理でそんなに抵抗はなかったんですが。

【浅野委員】

 共生という言葉は今まで使ってきた使い方を一挙に変えるというのはやはり混乱を起こすかなという気がするんです。それで、継承というのは、先ほども言いましたがやはり人と人が共生していくという思想だと思うんです。だから、それはもうちょっと上位の目標とか、原理原則のようなものだろうということであれば、長期的目標のその考え方をもう一度再検して繰り返して最初に確認をした上で、それを実現するための長期的目標なんだというような書き方をしていくことによって、現在の目標の書き方を維持できるかなという気がします。

 例えば、文書の表現の仕方をすると、6ページのところでは、環境基本法の3条、4条が並んでいるわけです。この3条、4条というのは明らかに今にして思えば、3条が究極の目標で、4条がそれを実現するための手法といいますか、そのためにこうすべきだというぐあいに、という並び方になっていますから、我々が持続可能な経済社会を目指すのは、それは何のためかというと第3条で挙げられている環境の計画の享受の継承という目標の実現のためだと。それを随所に繰り返すことによって、この長期的目標もそういう環境基本法が目指している究極の目標を実現するためのものであるという書き方をしておいて、それは場合によっては、ここでいう3条の記述では、人と人が共生するという思想をあらわしたものだと考えることができるだろうというような言い方をしておいて、目標については、天野先生のおっしゃるような整理の仕方を、むしろ再提議なんですけれども、まずは天野先生がおっしゃるような循環も共生もいずれも環境に対する人間のインパクトをあらわすという整理はかっちりしてやらなかったらですね。だからもう一度天野先生のきょうのお話の速記を起こしてみてよくにらんで、それでうまく使えるならばそれをこの目標が出てくるという、その理由付の中に入れておいて、整理をするということで対応できるかもしれません。ちょっとやはり共生という言葉でずっと今まで言われてきたこと、あるいは、指標を考えてきたことと、この順番をがらっと入れかえてしまうことの間には若干のずれがあるんです。

【福川委員】

 私もこだわっているわけでは決してございませんで、今、おっしゃった共生あるいは循環というものの概念をどういうふうに提議をするかということと非常に絡んでいることだろうというふうに思いまして、共生という概念をここの今の作文で見ると、なんとなく上位概念で押しつけたようにとれたものですから、そうするとかなり循環というのは狭い概念になって、狭い概念になると非効率というのもあり得るのかなというふうに思ったものですから申し上げたわけですが、この循環という概念も実は広く考えれば広く考えられるだろうというふうに思いますし、これはただ単に、二酸化炭素を固定化するとか、循環するとか、あるいは、廃棄物をリサイクルするとかいうような循環だけではなくて、もっと広く、その自然機能全体とか、あるいは地球機能全体の循環というふうにとらえれば、そこの中には効率性というのも多分入ってくるということになりましょうから、そこをどういうふうに提議するかなというところをよく我々としてコンセンサスをつくっておく必要があるかなというふうに思うんです。

 これはもちろん英語にもして外へ出ていっているわけですが、循環、共生という、循環は多分わかると思いますが、共生というのはこれどういう英語に今してあるのかなんですけれども。

【天野委員】

 計画を披露するときに、これは国際的にも発信するという前提で外人にもわかる概念の英語にした方がいいと思いますし、そこをですからよく議論をしてはっきりさせたいということで、いろんな議論の材料として今申し上げたわけで、一つぜひご協力と検討を賜ればと思います。

【安原委員長】

 今の点はご議論を十分踏まえまして、いろいろ表現上工夫してみたいと思います。

【村杉委員】

 共生の概念につきまして、最初の基本計画をつくるときに大分議論があったことを記憶しておりますけれども、この基本計画によって、共生概念が非常に大きくなっています。この7ページにある現行計画における記述は以下のとおりとしてここに掲げられておりますけれども、この共生の概念というのは、ここで最後のところに、ゴシックであるように、健全な生態系を維持するということも、この共生というキーワードでくくられているわけです。ですから、本来的な共生は生物と生物同士が助け合ってというようなことですけれども、ここでは基本計画、現行では人と自然のという頭をつけて共生という言葉を使っておりまして、ここにありますような健全な生態系の維持ということも共生というキーワードでくくっているというふうな理解をしております。

 この基本計画ができて5年たって、今日この共生という用語がかなり広い意味で使われてきているわけです。英語では"for harmonious"というような言葉もありますけれども、何となく私なんかがしっくりいくのは"living together"というような感じです。または社会学的には人と人の共生も、アジアと日本の共生なんていう言葉もあるぐらいですから、それにかなり幅広く使われてきております。そういう現行の基本計画の概念というのは、やはり今回も引き続いて維持していくべきで、これを大きく変えるというのはちょっと混乱を招くだろうと思うんです。

 そうなってきますと、自然、共生というキーワードで囲まれた生態系の保全という部分につきましては、人間の制度の基盤ということのとらえ方をもちろんするわけですので、やはり私は今回出された長期目標で書かれている共生の上位概念としてこれでいいのではないかと思います。そういうストーリー性、そしてそれを確保する意味の循環ということです。かなり循環が崩れてきているということについて、ここで基本計画でしっかり書くという流れがいいのではないかなというふうに思っております。

【武内委員】

 国際的取組ということに関しての意見でございますけれども、地域的な環境づくりへの取り組みというのは、今度大きく取り上げられるということで、私もそれは大変いいことだなと思っておりますし、それから、国際的な取り組みというのも、特に地球環境問題の規模の大きさというふうなことを考えたときに、非常に重要な問題であり、また、環境協力という観点でも非常に重要だと思っているんですが、前回の記述を見ると、かなり国内の話と国外の話が二つに切り離されたような記述に近くて、国外の話というのは途端にODAみたいな話になってしまうというようなニュアンスが非常に強いんですけれども、今回おまとめいただいた検討チームの環境における国際寄与・参加のあり方の報告書を見ても非常に明確なんですけれども、やはりアジアの示唆という日本も一員である国際社会の中で、環境というものをどういうふうに取り組んでいくかという。単に、途上国援助という形とか、あるいは、地球全体というのは非常に漠然とした問題だけではなくて、ある地域性に焦点を当てた記述というのがあると思うんですけれども、そこを東アジアとか、あるいは、アジア全体とかという、そのアジアの示唆ということで、ちょっと強調してそこをくくってみると、非常に今回の国際的取組というのが見える形になってくるのではないかなというふうに思いますので、ぜひご検討いただきたいと思います。

【安原委員長】

 ありがとうございます。それではまだご意見がいろいろあろうかと思いますが、そろそろ予定した時間も迫っておりますので、本日の審議はここまでとしたいと思います。

 次回は、きょうの議論を踏まえまして、本日の骨子案を修正いたしまして、肉付をしましたドラフトをまた事務局の方で用意していただき、それを論議していただきたいと思います。次回の日程でございますが、冒頭で申しましたように、次回は7月19日水曜日の午後2時から。場所は通産省別館9階の939号室でございます。この階の939号室でございますので、ご出席のほどよろしくお願いいたします。

 それでは、大変長時間にわたって熱心なご議論をいただきましてありがとうございました。本日はこれにて閉会といたします。ありがとうございました。

<以 上>