中央環境審議会 企画政策部会
第4回環境研究技術専門委員会議事要旨


<日  時>  平成11年3月31日(水)10:00〜12:00

<場  所>  中央合同庁舎第5号館 共用第9会議室

<議  題>
  (1)環境研究技術の推進施策
  (2)環境研究技術基本計画の骨子案

<配付資料>
   資料1 第3回環境研究技術専門委員会議事要旨及び会議録
   資料2 環境研究技術の推進施策
   資料3 環境研究技術基本計画骨子案
   
   参考資料1 将来の科学技術に関する世論調査

<出 席 者>
   委 員:平岡正勝委員長、小野勇一委員、猿田勝美特別委員
       三橋規宏特別委員、浦野紘平専門委員、土屋隆夫専門委員
       西岡秀三専門委員、安岡善文専門委員、渡辺正孝専門委員
   環境庁:企画調整局 石川環境研究技術課長
             加藤試験研究調整官 他
       地球環境部 森研究調査室長

<議  事> 会議は公開で行われた。


議題(1)
 環境研究技術の推進施策について事務局より資料2に基づき説明を行った。

○資料2は資料3の第5章に該当していると思うが,資料2の中には、戦略をどう立てるかというのは全然書かれていない。それは資料3の3章の方で記述すると考えていいか。

【事務局】
 3章の方で、環境保全への貢献を念頭にした戦略研究であるという基本的な方向は示している。資料2はまだたたき台である。

○国の政策で一番大切なのは、方向を示すことである。今までの科学技術は、放置しておいても進歩してきたが、環境の問題については、方向性を示さないと進まない。

○資料3に書かれている骨子案みたいなものは、前回ある程度のところは提示いただいたと思う。その中で、基本的方向みたいなことについてもそれなりの議論をして、今回はそういったものを踏まえてまとめたけれども、今日は5章について具体的にさらに資料が付け加わったという位置付けではないのか。

【事務局】
 これまで、それぞれの章ごと、環境研究の現状が2章で、基本的な方向を示し、重点課題も若干あった。推進方策については、基本的な方向のところで少しずつ提示したが、それを今後具体的にどういうふうに進めていくかといったときに、体系的に整理したものが第5章というつもりで整理した。

○資料3の1から4章まででぐらいまでは、まだ完全に終わっているわけではないが、少なくとも前回はかなりこの辺についての議論をやって、その辺をある程度まとめた形で現在出てきているという位置付けであると思う。

○計画を示すこと自身が施策の大きな柱になるだろうから、それは施策のところに書き込むべきではないか。

○4章までで全体の方向が書かれて、5章でそれを具体的にどういうふうに進めるかという話になったときに、国、地方自治体、民間、大学での横のつながりが急に見えなくなってしまうようなところがある。全体を束ねた戦略を立てるというのは、5章のゼロでもいいのかもしれないが、書いておかないと、ブレークダウンされた途端に、どこが基本戦略を立てるのかというのが、具体的な役割として見えなくなってしまうという心配がある。やはりそこは書き加える必要があると思う。


○全体がどうなっているのか絵を描く必要がある。この骨子案では国全体として統一的な戦略が見えてこない。

○資料2では1〜4で各主体の話をしており、5、6で国際的な連携と基盤整備と横軸的な話となっているが、どこがその役割をするのか見えなくなっている。国際的な連携という具体的な施策は、環境庁が今やっていることが中心に書かれている。国際的ネットワークというと、IGBPとかいろいろなネットワークがあり、書き込むならそこも書き込まなければならないし、どこがやるのかということも書き込むことが必要ではないか。

○推進方策が構造的になっていない。これでは何が主体なのか、どこがそれを進めるのかというのがはっきりしない。全部パラレルに書かれているものだから。どうやってこの膨大なことをやるのかというのが見えないと思うので、その辺をはっきりさせてほしい。

○「環境」という言葉で、「環境技術」とか「環境研究」という言い方はもうなくなってきたのではないか。あらゆるところで環境ということを配慮しないと、すべてのいろいろな技術が動かなくなってきている。


議題(2)環境研究技術基本計画の骨子案について事務局より資料3に基づき説明を行った。

○2章8ページで、まとめとして、海外の取組のレビューを踏まえて、「我が国の環境研究・環境技術全体の把握・整理といったものが体系的に行えるような体制が欠如」という指摘がされている。では、どのような体制が必要なのかということを述べることが基本的には必要ではないか。

○部分的に環境に絡んだ研究をしている人は多いが、環境をメインに研究している研究者とは考え方が違う。そういう意味で、環境研究の総合化を以下に行うかがポイントだがどこに記述するのか。
 また、現状の後ろに、7ページで「環境研究技術の課題」というのが7つほど並んでいる。これはそれなりによくまとめられているが、「課題がこれだけあります」と挙げてある以上は、この課題に対して、「それぞれどういうふうに応えるのですか」ということが見えるような形に書いていかなければいけないと思う。課題と技術の特徴や基本的方向とどういうふうにつながっているのかが見えない。

○フローチャートみたいな形で相互の関係がどうなっているのかということを1枚ぐらいで表示すると、立体的な形でわかるのではないか。そうすれば、個々ばらばらに思われるようなところも、実は関連しているのだということも理解できるのではないか。
 また、資料2の2ページに「柔軟で流動性のある」とか、「柔軟」という言葉がこの文書全体で使われているのが、その意味がどういうことなのか。これだけ使うのだったら、使われている意味をもう少しはっきりさせた方がいいのではないか。

○第5章のタイトルは「推進方策」となっていて、資料2の方は「推進施策」と書いてあるが、どちらが正しいのか。

【事務局】
 「推進方策」である。

○第2章で「環境研究技術の現状と課題」と書かれている。この「課題」という言葉は、「問題点」の方が正しいのではないか。

○第2章ぐらいで言っておけば、基本的な方針をさらに考えていくという位置付けにもなるのかと思って申し上げた。基本的にはどこでも結構。

○資料2の2ページの上から3行目のところに「我が国にふさわしい研究開発資金」とあり、今日の資料3の方にはこの言葉は抜けているようであるが、「我が国にふさわしい研究開発資金」とは一体何か。第5章の方には入っていない。

○11ページの(1)のところで「環境保全への貢献を念頭に」とあるのだが、その下では「学術や技術そのものの振興を主目的として行われるのではなく、環境政策への貢献を念頭に」とある。特に国公立の研究機関というのは、それなりに環境政策に対応できるような研究もしなきゃいかんというのはわかるが、ここで念頭において常にやりなさいという制約を加えるような表現はいかがなものか。

○第2章の冒頭の書き込みが足りない。学際的研究についても記述しておけば、第4章の「重点課題」というところが、単にここでは結果的に調査研究と技術開発に終わっているが、そうではなくて、もう少し基礎研究の部分が頭に出てくるのではないかと思う。その辺があまりうまく整理できていないという感じがする。だから、第2章にそれを付け加えてほしい。

○「政策」というのを今ある政策と考えるのか、将来とるべき政策と考えるのかということでだいぶ違ってくる。だけど、科学技術の政策としては、我々はむしろ政策を喚起するようなものまでやるんだという意気込みが欲しい。

○「予見的予防的」というのがある。今政策にはなっていないけれども、予見的予防的なことをやった結果が将来生かされる。ただ、先にこれありきということになると、大変制約を受けてしまう。

○資料3の6ページの上から4行目からの文章であるが、「しかしながら、・・・・適切に展開されなければならない」で一度切った方がよいと思う。「ことから」になると、「ことから」と次がつながらない。

○環境研究技術の特徴をもう少しきちんと書いておくべき。

【委員長】
 一番最初に一般の国民の方々の意見聴取をいきなり行った。先生から、「何も原案がないのに聴いたってしようがない」というふうにお叱りを受けたが、ある程度まとまったところで意見聴取をもう一度やろうということになっている。今まで御審議いただいた計画骨子案に対して、国民意見の聴取をやりたいということである。

【事務局】
 いろいろ御意見をいただいて、今後も直さなければいけないところが多いのが、資料3を提示しまして、これをもとにいろいろ御意見をいただいたらどうかと考えている。

【委員長】
 これを公示するわけか。

【事務局】
 示して、これについていろいろ御意見をいただくということでどうかと考えている。

○7ページに研究費の占める割合というのがあり、平成8年度のデータを使っておられるので、できればもう少しアップデートな、せめて10年度ぐらいの値を使っていただく必要がある。
 それから、この全研究費というのは何なのか、定義を明確にしておく必要がある。研究費全体に占める割合が2.3%というのが、不足なのか、十分なのかということを言っておかないと、国民も意見として言いようがないのではないか。

○資料3の6ページ、7ページで、現状の調査をしたときに、我が国の現状、諸外国における現状というのがあって、諸外国は国別になっているのが、特に地球環境問題を見ると、例えばIGBP、IHDPもしくはUNEPというような国際的なプロジェクトが動いているので、調べて置いた方がいいのではないか。少なくとも、最終的な報告書のときには、それを入れておいた方がいい。「調査が甘いんじゃないの」と言われるのがちょっと怖い気がする。

【委員長】 
 完全には全部の意見は反映できないかもしれないが、基本的にはこれをベースにして、できる限りバージョンアップして、一般の意見聴取にかけるということにしたい。

【事務局】
 当初は、明日、明後日ぐらいのイメージで考えていたのが、4月中を締切りにして、特にインターネットとか、前回、いろいろな学会とかにも個別にお送りしたところがあるので、そういったことも参考にして、できるだけ見ていただく。次回は5月11日(火)の午後2時からを予定しており、それまでに整理して、次回、その意見も一緒に資料として出させていただきたい。

【委員長】
 4月いっぱいに意見聴取をして、それをもとにバージョンアップしたものを御議論いただく。

【事務局】
 次回の委員会に、御意見いただいたものと骨子案を直したものを出したい。