中央環境審議会 企画政策部会
第3回環境研究技術専門委員会議事要旨


<日  時>  平成11年2月9日(火)10:00〜12:00

<場  所>  中央合同庁舎第5号館 環境庁第1会議室

<議  題>
  (1)国民意見の整理・解析について
  (2)環境研究技術の基本的方向について

<配付資料>
   資料1 第2回環境研究技術専門委員会議事要旨及び会議録
   資料2 環境研究技術基本計画の審議に係る国民意見の概要
   資料3 環境研究・環境技術の特徴と検討の基本的方向(案)
   資料4 環境研究・環境技術の重点分野(案)
   資料5 環境研究技術基本計画の枠組み
   
   参考資料1 各分野における研究計画等の概要
   参考資料2 諸外国における研究体制の概要
   参考資料3 NGOによる環境研究技術の現状
   参考資料4 東南アジアにおける環境研究技術の現状
   参考資料5 環境研究技術に係る予算の推移
   参考資料6 環境ビジネスに係る関連資料

<出 席 者>
   委 員:平岡正勝委員長、小野勇一委員、村杉幸子委員
       猿田勝美特別委員、三橋規宏特別委員、土屋隆夫専門委員
       安岡善文専門委員、渡辺正孝専門委員
   環境庁:企画調整局 岡田企画調整局長
             石川環境研究技術課長
             加藤試験研究調整官 他
       地球環境部 森研究調査室長

<議  事> 会議は公開で行われた。

議題(1)
 国民意見の整理・解析について資料2に基づき事務局より説明があった。

○公務員からの意見が多いような気がするが、どのようなルートで意見の提出があったのか。
【事務局】
 インターネットだけではなく、全国公害研協議会を通して同協議会の会員である地方公害研究所にも用紙を送付しているため、地方公害研究所の方々から意見を多くいただいている。これらを公務員からの意見としてカウントした。

○学会へも意見募集を行ったとのことだが、どの学会に出しているのか。また、どの学会から返答があったのか。
【事務局】
 第1回専門委員会のときに、環境関連の学会がいろいろあると説明したが、そういう環境関連の学会約20団体に送付している。回答は日本リスク研究学会、日本環境変異原学会等、数団体の学会からいただいた。

○12ページの26の「住宅対策(防腐剤、防虫剤、防カビ剤など)」、これはいわゆる室内汚染だが、これも入るのか。
【事務局】
 環境研究を広めにとるのであれば、入ると思う。

○次の基本的方向の検討にも関わってくるかもしれないが、環境に関する技術開発というのは、過去にやった事に対する対症療法的な研究技術と、次の世代に対して環境負荷を与えないような研究技術の2つがある。この2つは性格が違うものであり、これからの検討に当たっては過去のフォローの部分と、これから新しく環境負荷を与えないようにする部分と分けて考えていく視点が必要だと思う。

議題(2)
 環境研究技術の基本的方向について、資料3及び資料4に基づいて事務局より説明があった。

○全ての科学は、センス・オブ・ワンダーから出発しているはずだが、学問というのを行政的手段として理解しているような書きぶりはおかしい。
○例えば「研究のインセンティブ」というタイトルであれば理解できるが、「研究者へのインセンティブ賦与」という言い方は不適当。
○「施策」という表現もよくない。「施策」というと予算措置で研究者にとにかくこれをやってみたらどう、というふう誘いをかける形になるが、これでは人まねの研究しかできない。
○特徴1の書き方は非常に大事。環境保全研究の方向というものが一つの戦略目的を持っているという表現ぶりなら分かるのだが。
【事務局】
 研究のための研究ではなくて、問題を解決しうるような視点に立った研究というのが重要ではないか、ということを強調したつもり。

○特徴1と特徴2は矛盾している。
○研究者にインセンティブを賦与するのではなく、研究者にプレッシャーを与えていくのではないか。
○研究推進をどうやっていくのか。科学技術全体としての推進の話と、環境研究の推進の話を分けて議論しないといけない。
○ここで議論している環境研究技術というのは、環境庁が主体的に行う研究というふうに限定するのか、それともオールジャパンの話をしているのか。その辺をまず明確にしたい。
○環境研究が、戦略研究の一環として前面に押し出されてきていることを理解すべき。特にアメリカのような競争の激しい社会では研究リソースの取り方など、プロとしての研究の組み立て方が日本とは異なる。全般的に日本の研究者とプロ意識が異なっている、と意識している。
○環境分野で研究者側の意見と国全体としての戦略的な目的をどうマッチさせていくかについては、研究者サイドからも積極的に意見を言っていく必要がある。
【委員長】
 ダイオキシン問題が出たとき、アメリカのEPAの報告書だけしかなく、日本では政策を立てるための基礎データが一つも出てこなかった。アメリカのように戦略を決めたら、各研究所は集中してやるシステムがないためであり、研究のための研究だけではいけないのでは。
○環境保全のための研究・技術は、研究のための研究とは違うのではないか。実践的な枠組みを作るべきだと考える。
○地方自治体の場合、その地域のニーズに即したものが求められる。対症療法的なものから予見的・予防的な面からの環境政策を推進しようと変わってきている。そういった場合に、どのように役割分担をしていくのかが重要。
○「研究者へのインセンティブ賦与」という部分は、はっきり戦略的なものだということを明記すればそれほど違和感がない表現になる。
○「学術的研究ではなく」という決めつけているが、学術的研究も大事。
○生態学的なモニタリングや調査は全国でやる必要があるが、研究者だけでやるには人数が足りない。そのため、研究者とバックアップする地域の調査者なり研究者とのしっかりしたつながりができるようなシステムを考えてもらいたい。
○学問のための学問も学問であり、軽視すべきではない。そういうものもすそ野として非常に広くあるのが日本の科学のいいところである。その中で環境研究としてどういう旗をどういう風に立てるのかが問題。先ほど特徴1を「環境保全という戦略的目的を持たなければならない」と言い換えたのは、そういう旗を立てたらどうか、という提案。
○アメリカでは学術的な研究成果をきちんと行政目的に生かしている。学術的研究も行政の役に立つ、という点について文章を少し修正する必要があるのではないかと考えている。
○行政側からの要望に応えることが多いため、「行政的要素が強い」というのは分かるが、「学術的研究ではなく」と否定的に言われるのは、少し問題がある。
○環境政策を推進する上で、研究成果を施策としてどのように活用していくか。行政にも科学性を持たせるためには、バックアップする研究機関が充実しなければできない。
○学問のための学問を相当やったポテンシャルの高い人でないと政策的な研究はできない。
○インセンティブの問題については、研究者ににそちらを向いてもらうという工夫が必要。
○この専門委員会は国全体の計画のための委員会ということで認識しているが、一歩下がって、環境省の研究ということであったとしても、環境省で日本の国全体の環境研究とか技術を進めていくという観点からすると、環境省の研究所においてで世界トップレベルの研究をしていく必要がある。ただし、環境省の研究所は行政のイニシアティブの下にインセンティブを与えられてやるような研究所ではいけない。

 引き続いて、環境研究技術基本計画の枠組みについて資料5及び参考資料1に基づき事務局より説明があった。

○資料5の「環境研究技術の範囲」で、資料4にあった「廃棄物・リサイクル」がこちらには入っていないのは何故か。
【事務局】
 資料の平仄が合っていなかったが、資料4の「廃棄物・リサイクル」は資料5では「有害物質等の環境影響防止」あるいは「生活環境の保全」の中に含まれる。どのように表現するかは今後整理していきたい。

○資料4のに「二次生態系」という表現がある。意味は分かるのだが、これはどういうバックグラウンドで引いてきた言葉なのか。
【事務局】
 いわゆる里山的なものを概念として考えているが、「今後の環境研究・環境技術のあり方について」の報告書からの引用。原生自然との対比で出したが、一般的な表現か、確認したい。

○環境研究技術基本計画を策定する上で、人口、食糧、安全保障などとの分野横断が重要。連携をより強めていく必要があり、その点をどこかに記述しておくべき。