中央環境審議会企画政策部会
第2回環境研究技術専門委員会議事要旨
<日 時> 平成10年12月22日(火)14:00〜16:00 <場 所> 中央合同庁舎第5号館 環境庁第1会議室 <議 題> (1)諸外国における環境研究技術の現状について (2)地球環境研究技術の基本的方向について <配付資料> 資料1 第1回環境研究技術専門委員会議事要旨及び会議録 資料2 諸外国における環境研究技術の現状 資料3 地球環境研究・地球環境技術の特徴と検討の基本的方向 資料4 地球環境保全分野における環境研究・環境技術課題 参考資料1 諸外国における環境研究技術の戦略 参考資料2 地球環境研究等の今後のあり方について 参考資料3 平成10年度地球環境保全調査研究等総合推進計画 参考資料4 地球環境研究計画−地球環境研究の取組 参考資料5 地球環境研究の全体図 <議 事> 会議は公開で行われた。 議題(1) 諸外国における環境研究技術の現状について事務局より資料2及び参考資料1に基づき説明を行った。 ○諸外国にアジアが全く入っていないのはなぜか。 【事務局】 先進的なものとして、アメリカ、ドイツを取り上げた。 ○海外では雇用を重要視しており、研究開発、環境の産業・技術を新しい働き場にしたいという傾向があり、驚いたことがあるが、まさに今の説明でそういうところが出ている。 ○統計で日本が非常に予算だけが大きく出ている中で、原子力等々への研究投資の話が出ているが、他の国はこの分をどう取り扱っているのか。 ○諸外国において、環境研究の計画と一般的な研究計画との仕分けはどういう具合にこの中から読み取れるのか。 ○NSTCの下にある環境・天然資源委員会がどれほどの予算の配分の権限もしくは方向付けをもっているのか。また、エネルギー省、農務省、NOAAなどと環境保護庁との関係及び予算の配分如何。 ○こういう統計は、どこまでが環境予算のものでどこからが通常の産業振興のための予算か、といった予算上の仕分けを決めて調べないと比較ができないのではないか。 【事務局】 実際には、新しく調査をかけるのは困難であるため、既存の情報を整理して、その中でどういう形で処理されているかをもとに集計せざるを得なかった。 ○少なくとも日本の状況は把握できるはず。諸外国の状況とどこが違うかという視点で情報整理が必要。 ○予算のどこに重点が置かれているのか。金額の多い少ないだけで判断されるものではない。 ○各国でどこの省にどれだけ予算があるのか分かると検討しやすい。 【委員長】 これまでの意見は日本は研究に戦略的なところが欠けているということ。資料の中にEPAのORDの役割が書いてあるが、日本ではORDに相当するところはないのか。 【事務局】 環境庁に20億の環境研究の予算や地球環境研究推進費がある。その担当課がいろいろな研究、優先課題を選定しており、ORDに類似した形だと思う。 ○全体を見ての特徴または傾向について説明がなかったが、ドイツにおける取組は内容的にほかのところと異質な感じがする。ドイツの考え方が特殊なのか、それとも国毎で資料のまとめ方が異なっているのか。 【事務局】 資料のまとめ方が異なっている。全体的な表で個別項目をまとると、共通点は出てくると考えている。 ○ORDは優先課題ということで、すぐ見えるものにブレークダウンしたものが出ている。かたやドイツは、方針とか分野の話が出ており、同じものが並んでいないため、分かりにくい。 ○アメリカは予算の体系上地球環境関係はNASAとかNOAAで予算計上している。資料にはこの分が入っていないのではないか。資料で見ると地球科学とか大気科学が低いが、NASAとかNOAAの予算がここに入ると、かなり増えるはず。項目ごとに見ないといけない。 ○先ほども話をしたが、是非アジアも調べて欲しい。 ○従来の環境庁的な見方でわかるような環境のテーマ、エネルギー関連、ゼロ・エミッションといったように、大きくグルーピングをしてみて割合を調べてみてはどうか。今のグルーピングは若干大きすぎる。 議題(2) 地球環境研究技術の基本的方向について、資料3、資料4及び参考資料2〜参考資料5に基づいて事務局及び委員から資料の説明があった。 ○基礎的な部分は重要で基礎的にずっとやってきたことが今になって政策に直結している。長期的な見通しをもって基礎研究・応用研究の区別なく、きちんとした評価の仕方でやっていく形がある。行政目標というと、短期にとってしまうが、もう少し長期のことも考えるべきである。 ○「目標を持った」というのは非常にいいことだが、「行政」とかかってしまうと、非常に短期的なイメージがする。具体的に「行政目的」というのではなくて、基礎的なものも含め、長期のものと短期のものと分けて両方で対応していく必要がある。 ○最近、産業育成も含めた対策技術に係る分野にお金をかけているが、普及の可能性のアセスを行っていない。研究・技術開発の計画段階でのアセスを行う制度が必要。 【委員長】 普及可能性のアセスをどういう組織で行うのかが難しい。 ○中間段階でチェックをかけて、再度見直していくということはあり得ると思うが、初期の計画段階で経済性までわかった上でアセスできるかは疑問。 ○初期の段階に大ざっぱなアセスをすべき。そこで問題があれば、それを順次解決していく。改善できるところがどこなのか、改善できないところはどこなのかというのは、経済性も合わせて議論しないといけない。 ○ある程度の成果が出て、それを企業側が企業化するときに、採算性を見ながら、そこで新たな技術を開発して基本的な技術を応用していくということもあり得ると思う。最初の段階で明確になって、そこで振り分けられることはちょっとどうかなという感じがする。 ○現実問題として、従来事前評価と事後評価がきちんとされていなかった、ということだと思う。 【事務局】 評価については、大綱的指針に基づき、国の予算の及ぶ研究について、各省庁で実施要領を作って、それぞれ事前・中間・事後評価することになっており、環境庁でも、庁内的な研究推進と国立環境研究所に係る実施要領を作っている。現時点では、経済性については言及していないが、今後、経済的な観点をどの程度含めて評価できるか検討をしたい。 ○環境技術そのものの環境負荷というのがきちんと評価されていない。 ○環境研究に関する計画は非常に重要であるが、きちんとしたフォローがされていない。やはりきちんとフォローするシステムを作っていく必要がある。ある程度プログラムを作ったり、常にシステムをレビューし、評価する集団をどこかに作っておく必要があるのではないか。そういう気配りをするためにはヒューマン・リソースが相当要る。ぜひ計画の中でそういう組織のあり方についても述べていただきたい。 ○この計画は国全体ということで認識しているが、「地球環境保全への貢献という行政目的」のところは少し表現を緩めた方がいい。「多くの主体によるさまざまな活動とも密接に関係する」という表現があるので、国全体の地球環境保全への貢献というものを包括するような表現にした方がいいのではないか。 ○日本の地球環境研究の推進は、あくまでも3つあるエッセンスの中の「地球環境問題の解決に資する」という点だけが強調されていて、雇用の増大に結びつくという観点の戦略性がない。 【事務局】 最初の「行政目的を持った」の部分で言いたかったのは、目的志向型の研究であるということである。 雇用の面とか環境産業の面はこれから重要になってくると考えている。全世界の枠組みと雇用とはつながっていることを特徴の一つとして位置付ける必要があると思う。 ○前半で、世界の環境研究技術の現状の中での基本的な考え方が3つのエッセンスで示されている以上、触れた方がいいのではないか。 【委員長】 環境ビジネスについては、通産省の報告書が出ているので、それも資料として先生方にお配りしたらどうか。 ○「地球環境保全への貢献というのが目的」と書いてあるが、この「貢献」というのをどのぐらい広くとらえているかが重要だが、この表現ぶりだと少し狭くとらえてしまうのではないか。表現ぶりを工夫すべき。 【委員長】 アメリカだと地球環境でNOAAとかNASAが非常に関係するが、日本でこれに相当するところはどこになるのか。 ○地球観測、やや地球科学的なところについては、宇宙開発事業団や気象庁などがある。 ○形の上では地球環境問題に関しては環境庁である。 【事務局】 環境庁の一つの重要な役割として、地球環境問題も含めて、総合的な政策を企画・立案するということがある。政府全体としてしっかりとした研究に基づいて、最も重要な施策等が立案されるように努力をしていかなくてはいけない。 分散型でやれる研究を全体としてプロモート・集約する仕組みを作る必要がある。 ○実際には、その調整は大蔵省が行っているという感じがする。それではおかしいのではないか。見識を持った集団が必要だと考えている。 ○各省の研究成果をどのように有機的に連携させていくのかが重要。 ○最終的な報告書のイメージがいまひとつつかめない。事実、視点、戦略というまとめ方がよいと思う。その点で、今回の諸外国の状況や地球環境のサーベイは絞り込みが足りない。 ○システム上の課題と、ターゲットの絞り込みの話とを2つに分けて整理をしていく必要があるのではないか。 【事務局】 次回は地域あるいは自然の問題を中心に整理していきたい。 ○日本は予算の執行が遅い。予算案が通ったら仕事はできる、お金は後払いでもいいというふうになっていればいいが、全部契約が終わって、細かいところまで決まってからでないと動けないというのは困る。 ○従来の科学は、研究成果が出たら取り上げて産業にもっていこうという考え方であった。今後は、我々人類のリスクをどう回避するか、という意味での目的研究であり、従来とは考え方を変える必要がある。 ○最後はやはり研究者の質と数が問題となる。人材の活性化が非常に重要なポイントだと思う。ポスドクを増やすなど流動的なシステムを活用すべき。 |