中央環境審議会企画政策部会
第1回環境研究技術専門委員会議事要旨

<日  時>  平成10年12月1日(火)14:00~16:00

<場  所>  中央合同庁舎第5号館別館 共用第23会議室

<議  題>
  (1)環境研究技術基本計画の策定について
  (2)我が国の環境研究技術の現状について
  (3)計画策定に当たっての検討事項について

<配付資料>
   資料1 環境研究技術専門委員会委員名簿
   資料2 環境研究技術基本計画について(諮問)
   資料3 環境研究技術基本計画の策定について
   資料4 我が国の環境研究技術の現状
   資料5 環境研究技術基本計画の策定に当たっての検討事項
   資料6 国民意見の募集について
   
   参考資料1 今後の環境研究・環境技術のあり方について
   参考資料2 環境基本計画の第2回点検結果
   参考資料3 環境研究・環境技術に関する取り組みの動向
   参考資料4 環境研究・環境技術の個別課題の現状

<議  事> 会議は公開で行われた。

議題(1)
  平成10年10月16日付で環境庁長官より中央環境審議会に対して環境研 究技術基本計画について諮問を行った件について事務局より説明を行った。
  なお、本諮問については10月21日に行われた中央環境審議会企画政策部 会で行われているが、その議論の中で、「科学技術会議との関係はどうなるの か」という質問があり、事務局としては、科学技術会議との密接な連携をして いく必要があると考えている旨説明した。
○ 各学会サイドでの協力もしくは問題を聞くためには、科学技術会議だけでな く学術会議の意見も聞く必要があるのではないか。
○ 環境研究技術は一つの「戦略研究」ではないかというふうに受け止めている が、各省庁では「予算獲得のための戦略研究」と受け止められている。
○ 資料3で「総合的・計画的」とあるが、これは境界領域を定める必要性、及 び学際的な対応の必要性があるという意味から「総合的」と言った、という理 解でよいか。
【事務局】
  事務局としてもそういう理解で考えている。

議題(2)
  我が国の環境研究技術の現状について、事務局より資料4に基づき説明を行 った。
○ ここのところ民間の方でも「環境」というものが将来ビジネスになるのでは ないかということで投資が増加傾向にある。国家予算だけでなく民間をどうプ ロモートするかということ考えた方がよいかもしれない。
○ 国においても、環境問題についての企画立案は環境庁であるが、実施するの は他の省庁になる。そういった他省庁の研究予算の動向を把握しておく必要が あるのではないか。
○ 地方の状況をどういう具合に把握するか。予算・人員の面で、増やしたいと いう話を聞くが、実際はなかなか難しい。数字を色々な面から分析する必要が あるのではないか。
○ 現状について取りまとめた数字を解釈して全体の流れをどう捉えるかという ことは非常に重要。
【事務局】
  今は数字を把握していないが、関係省庁における全体的な予算の流れがどう いう傾向になっているかは、整理しておきたい。
  地方に対する研究の支援については、平成5年より地域密着型の研究を実施 しているが、伸びていない。どうすればよいかこの機会に議論していきたい。
  地球環境問題の観点からいうと、主体については「より多様な主体による多 様な研究を」という流れになると考えている。中身については、特定の技術的 アプローチだけでなく、社会経済的なことも含めた総合的なアプローチが必要 と考えている。
【委員長】
  環境研究技術の推進体制について、この専門委員会で議論していくことにな るだろう。
○ 環境問題のとらえ方で草の根的に言うと、NGOの研究など、少額のものも 入ってくる。考慮に入れておく必要があるのではないか。

議題(3)
  計画策定に当たっての検討事項について資料5に基づき事務局より説明を行 った。
○ 全体的に、体系がまとまっていないという感じがする。なぜ環境研究技術が 現在必要なのかについてストーリーが欲しい。
○ 「人文科学と自然科学との融合」が「重点的に推進すべき環境研究技術」の 中に入っているというのは理解しがたい。これは技術の問題ではなく、例えば 「必要性」の問題、あるいは「基本的な視点」の問題といったところに関わり 合いがあるのではないか。
○ また、「新たな価値観の創造」というのは、環境研究技術を振興することに よってできるものなのか。どのようにすれば新たな価値観の創造ができるのか、 その辺は議論をしていただきたい。
○ 「基本的な視点」の2番目にある「複雑性・不確実性への挑戦」については 非常に賛成であるが、どういうふうに挑戦するかが大変大事な点であると考え ている。我が国では、不確実性もしくは複雑性をどう捉えていくのかが明確で ないまま放ってあるという感じがする。強調しておく必要がある。
○ 「新たな価値観の創造」について、表現の問題かもしれないが、「価値観」 ではなく、新たな視点が必要なのではないか。価値のあるなしではなく、考え 方とか必要性とか、そういうものに対する意欲が重要になる。
○ 地方自治体の研究所にはそれぞれ特有のフィールドがあるから、そういうも のをいかに活用していくかということが重要。
○ 「自然科学的手法と人文社会科学的手法との融合」、これは学際領域、境界 領域の問題なのだが、応用研究的なところをこれからどういう形で進めていく のかがポイントになってくる。基礎研究を応用研究に結びつけていくことの必 要性をかなり感じている。いずれは、「重点的に推進すべき環境研究技術」の ところにある「環境の総合的管理」という問題につながってくる。
○ 地球環境や環境ホルモンなど、緊急性のあるものも当然やらなければいけな いが、長期的な研究テーマもきちんと整理して対応すべきである。
○ フレームをどうするか。環境の問題というのは、他の研究計画のプロモーシ ョンとどう違うのか。予算が多いほどよいに決まっている。問題は、どこに予 算を重点的につけなければならないのか、なぜそうなのかということ。一般的 に、予算が欲しい、人材が欲しいという話はもうかなり済んでいる。大切なの は、わざわざ別に研究計画を立てる必要性である。そこの議論をまずきっちり としておく必要があるのではないか。
○ 地方自治体の場合、一番頭にあるのは、住民が安心して暮らせる安全な町づ くり、ということになる。そのために今環境はどういうマイナス要素をもって いるか、そのマイナス要素をどうやって消すか、といった位置づけで「必要性」を論じていくことになる。「環境研究技術の推進の必要性」のところで、急に項目が出てきたが、これではストーリーがよく見えない。「環境研究・環境技術の振興を総合的、計画的に行うための計画」と言っているので、ストーリーとしてはまさにそういうことではないか。例えばモニタリングというのは単一の研究機関でできるが、環境問題を解決するための戦略研究などは単一の研究機関では非常にやりにくく、共同研究が多くなる。そういう意味で、総合的、計画的に行うというのは非常にいいことだし、そういう出口にもっていった方がいい。
○ 2つ目の枠の中で一番問題なのは、もし予算もあり、人もたくさんいたとき の戦略を立てることであるが、そのメカニズムが日本にはない。例えばアメリ カに温暖化を戦略的に進められた、温暖化ということで世界戦略を立てられた というようなことがあったが、そういうことを日本として考える場所と組織が 要るのではないか。
○ NGOなどの小さな、しかし部分的には強い箇所をピックアップする必要が ある。
○ 具体的に、何を狙うのかという部分が明確でない。この基本計画を出したこ とで、ある課題に向けて研究が推進するというものではない。もう少し具体的 に、少なくともこうやったらこの方向性は出てくるだろうというようなものを 念頭に置いて討論をすべき。
○ 環境研究・環境技術に特定できるものについてスポットを当てる必要がある。 今後ヒアリングをするということだが、そのときにいろいろな方々に具体的に イメージができるような前文のようなものをきちっと書いておかないと、みん なばらばらな事を言って収拾がつかなくなる。
○ 環境研究技術の現状について、実際に我々が知らなければいけないのは、環 境そのものの現状の把握と将来的な予測である。それらに基づくある程度のシ ナリオがないと目標が立てられないだろうし、その目標というのは、どれぐら いのタイムスケールで我々としては解決するためにどういう研究をやるのかと いうことを明確に書いておく必要がある。
○ 現在進行している行革との絡みは避けて通れない。各省庁がそれぞれ、もう 一度再編等をやるといったときに、環境省になるということを考えないで、技 術だけを考えてこの専門委員会で出すのか。その辺は最初の段階で聞いておく 必要がある。研究組織等についても今後いろいろと変わってくる部分もあるの で、理想的なことだけを言うだけでは十分な責任が果たせない。具体性をもっ てシナリオと目標が果たして立ち得るのかということと、それをどう実施して いくのだろうかという主体の問題がある。
○ 科学技術基本法と今の環境研究技術基本計画との関係について、環境研究技 術基本計画が直に科学技術基本計画とリンクするものではなく、平行に並び立 つものであるならば、コンセプトは非常に大事である。そこが漠然としている と、単なる技術論に終わってしまう。

【委員長】
  このコンセプトは非常に重要なことなので、先生方の忌憚のない御意見をい ただきながらまとめていきたい。

「国民意見の募集について(案)」について
【事務局】
  資料6に基づき説明を行った。
○ 今この形で国民に御意見をお聞きしても何も出てこないのではないか。もし くはたくさん出てきて処理がつかないのではないか。たたき台が必要。
○ ある程度原案ができたときに再度それを聞くのか。最初に聞くということだ が、ある程度審議を進めた上で、ある程度意見が出てきた段階で、再度意見を 聞いてもよいのではないか。
【委員長】
  もう一回たたき台が出たときに聞く機会をもった方がよい。とりあえず一般 に聞くということをやってもらい、たたき台を作った段階でもう一回聞くこと とする。