中央環境審議会企画政策部会第5回環境事業団事業小委員会議事要旨

<日 時>平成10年9月10日(木)14:00〜15:30

<場 所>ホテルフロラシオン青山「芙蓉(東)」

<議 題>今後の環境事業団事業のあり方について

<配付資料>中央環境審議会環境事業団事業小委員会中間報告案

<議 事>会議は公開で行われた。

今後の環境事業団事業のあり方について、前回までの審議での意見を踏まえ、中間報告案としてとりまとめたものを事務局から説明。その後、審議が行われ、主として以下のような発言があった。

○ 「地球温暖化対策緑地整備事業(土壌環境保全型)」については、二酸化炭素の吸収 源としての機能をあまり強く反映せず、他の事業と相まってやるという考え方を示す方 が良い。また、土壌環境保全型と地球温暖化対策緑地整備事業とのつながりに距離があ るという印象であり、表現を工夫できないか。
「基礎研究の推進」については、事業団が行うのは国環研や大学などでやっている研 究と民間の研究との中間的な役割を持った研究として「応用的基礎研究」という中期的 な応用的な結果を出す基礎研究という位置付けにすべき。
(事務局) 「地球温暖化対策緑地整備事業(土壌環境保全型)」については、他の施策 との連携をとりながら全体として地球温暖化の防止に資していく、そういう方向性を持 った施策であるということで御理解いただきたい。それから、名前については、この事 業が持つ効果として土壌対策と温暖化対策の2つの目的を持ったものということで御理 解いただきたい。
それから、基礎研究については、ここでは従来議論してきた中での国環研との役割分 担を書いており、応用的な基礎研究分野は、むしろ「緊急的に取り組むべき新規の課題」 のところで取り上げていくものと思われる。
(委員長) 基礎研究のところは、タイトルを「応用的研究」にしたらどうか。
「地球温暖化対策緑地整備事業(土壌環境保全型)」というのは、新しく制度を作る ので何か新しい名前を付けようということで、土壌浄化等の跡地を利用するから土壌環 境保全型緑地整備事業という意味。

○ 見る人が見ると、「土壌環境保全」とは有機質があって良い土壌ということであり、 そこでは分解により二酸化炭素が出ており、相矛盾する内容になるというふうに見えて しまう。
(事務局) そこはどういう木を植えるかといった面でも十分注意、配慮したい。また、 ここで土壌環境保全というのは、いわゆる有害物質がないようにするもの。名前につい ては、事業を行う地元の理解を得ることも含めて考えたものであり御理解を賜りたい。
(委員長) 新しい環境事業団としてこの事業をやることは了解いただけていると思うが、 名称等を含めた表現については、検討させていただきたい。

○ 4ページの一番上に「大量生産、大量消費、大量廃棄という我が国の生産様式」とあ るが、これは我が国だけでなく他の国でも今こういう形であり、例えば「大量廃棄とい う一方通行型の生産様式」とか、「我が国」という言葉を取る等、表現を変えた方が良 い。また、「結語」のところで「廃棄物・リサイクル問題、有害物質問題、地球環境問 題」とあるが、前の説明との関連で、「廃棄物・リサイクル対策、有害物質対策、地球 環境対策等の今日的課題」とした方が良い。
(事務局) ぜひそうさせていただく。

○ 4ページの「{1} 廃棄物・リサイクル対策」の上から3番目のパラグラフで「産業廃 棄物のみならず、地域周辺で発生する一般廃棄物も併せて処理する方が、地域の環境保 全に資するものとなる」とあるが、完全に言い切ってしまうのはどうか。少し限定的に 言った方が誤解を招かないのではないか。

○ 産業廃棄物の最終処分場に必ず一廃を入れればうまくいくというものではない。併せ て一廃を入れた方が地域として合理的あるいは技術的に安定性を増すというケースがあ る。そういうケースの場合には、ここにあるように併せて一廃を処理する道を開くとい うのが適切だと思う。制度上、市町村は一般廃棄物と併せて産業廃棄物を処理すること ができるというルールがあるが、産業廃棄物と併せて一般廃棄物を処理するというのは 全然別の制度であり、必要に応じて新しいルールを作るという部分である。
(委員長) その方が地域の環境保全に資する場合は、ということでよろしいか。

○ そういう条件を入れた方が誤解されないと思う。

○ 「今後の検討課題」の「地球環境対策」のところをもう少し充実あるいは具体的に書 けないか。吸収源対策だけでなく排出削減対策についていろいろやっていくということ が明確に出た方が良い。また「有害物質対策」のところが少し寂しい。
(委員長) 「今後の検討課題」で何か良い御提案があれば書き込ませていただく。

○ 6ページの下から4行目「都市公園の整備を始めCO2吸収源対策の推進」の「始め」 という言葉が、2つの言葉をどう結んでいるのかというのがとても分かりにくい。

○ 削減対策というのが「対策技術の評価」云々のところで書いてあるという意味であれ ば、「温室効果ガスの排出削減対策の技術評価や集中導入と普及」とか、先に削減対策 のことを書いて後に吸収源対策とし、排出削減対策も書いた方が明確になる。
(委員長) 両方併せて修正したい。

○ 「浄化装置等の貸付事業」は、機械を貸すだけでなく企画立案での技術的な支援ある いは運営管理へのサポートも行うようにしてほしい。
(事務局) 配慮したい。

○ 建設譲渡で環境事業団がかんでいるのは信頼性が高いと書いてあるのが少し気になる。 それから、コンサルタントのような仕事を事業団の業務として位置付けてはどうか。ま た、基礎研究を今後検討するというところで「環境行政を推進していく上で」と書いて あるが、環境行政の推進のために基礎研究をやるのか。ここは限定を置かないといけな いのか。
(事務局) 建設譲渡について、環境事業団だから信頼性が高いというより、むしろ環境 事業団の知識と経験に裏付けられた技術的な支援が受けられるということと、財政投融 資資金を用いた財政的支援が受けられるという、2点で環境事業団の優位性があるので はないか、そういう面からくる信頼性ということで整理したもの。それから、技術的な 支援を行った方が良いのではないかという御指摘については、8ページの(5)の最後 のところで「例えば幅広い観点からの調査研究や技術的支援等の受託を可能にする受託 業務の見直しが必要である」ということで入れている。また、基礎研究のところは書き ぶりを工夫したい。

○ 7ページの有害物質対策のところで、「対策費用が確保された場合、…受託等…、引 き続き検討する」という受託だけの検討の表現になっているが、本来事業として検討す る可能性を今から排除してしまって良いのか。今の段階では両方含まれるように表現を 工夫したらいかが。
(事務局) そういうことで検討させていただく。
(委員長) 大体、御意見は出尽くしたと思う。適切な御指摘をいただき、いくつか修正 すべき点はあるが、基本的にはこの案で御了解をいただけたと考えてよろしいか。
〔異議なし〕
(委員長) それでは、御指摘のところを個別に相談することを含め今後の細かな修正等 については委員長に一任いただくとして、この案を小委員会の中間報告として採択する ということでよろしいか。
〔異議なし〕
(委員長) 完成した中間報告は事務局から送付させていただく。
そして、次回の企画政策部会に小委員会として報告することとし、そこでフィードバ ックがあった時には、さらに小委員会を行うこととする。

− 以 上 −