中央環境審議会企画政策部会第3回環境事業団事業小委員会議事要旨

<日 時> 平成10年7月22日(水)14:00〜16:00

<場 所> ホテルフロラシオン青山「孔雀(東)」

<議 題>今後の環境事業団事業のあり方について

<配付資料>
資料1 特殊法人の概念について
資料2 検討項目
資料3 国(直轄、特殊法人)、地方、民間の役割

<議 事>会議は公開で行われた。

今後の環境事業団事業のあり方について、前回の委員会での各委員からの意見を踏まえ、より具体的に環境事業団の行うべき仕事について整理をしたものについて、事務局から説明。その後、フリーディスカッション形式で審議。主として以下のような発言があった。(なお、今回、これらの発言について委員会としての集約は行っていない。)

○ 行革の議論において、これからの特殊法人のあり方についてやエージェンシーと特殊 法人がどういう整理となっているか聞きたい。
(事務局) 行政改革会議の最終答申で様々な議論がなされ集約されている。特殊法人に ついてはなるべく民営化なり縮小の方向。特殊法人と独立行政法人をどういう形で整理 するかは今後の検討課題となっている。

○ 2県以上にまたがる地域の廃棄物処理を事業団が取り上げることについて、フェニッ クスのケースでは特殊法人ではなくて地方レベルの特別の法人ということで対応してき ている経緯がある。従来の対応との整合性をどう考えるか。融資事業を建設譲渡事業化 するという案があがっているが、現在の法律の下で産廃については民間に建設譲渡でで きると考えていいのか。
(事務局) フェニックスの先例があるというのは事実なので、それを踏まえてもさらに 整合性がとれる形で説明がつくよう御議論をいただければ大変ありがたい。現行法で民 間に対する建設譲渡ができるかどうかについては、特に法律上は民間、地方公共団体と いう区分はないが業務方法書レベルで地方公共団体を対象にする規定がある。区分の整 理がつけばやることも可能だが、個別の事業者の施設について全て事業団が入るのが適 切なのか等の議論を重ねていく必要があるのではないか。

○ 事業団が仕事が大分減って困るだろうから新しい仕事を見つけてあげようという趣旨 で議論しているのではない。今の社会から見て必要であるが民間に期待してもなかなか うまくいかないような仕事に積極的に乗り出すべきではないかという趣旨で提案してい る。

○ 廃棄物の問題について、広域性、緊急性という以前に安全性について環境庁直轄の法 人がモデルケース、こうすれば良いということを示す必要があるのではないか。また、 廃棄物は山より海岸に埋め立てる方が安全ではないかと思うが、埋立の許可もあり環境 庁直轄の機関でやれば安心して許可できるだろう。その場合、埋め立てた土地を何かの 用地に売ろうとしないで環境保全の緑地として森林、公園のようなもので(危険物の場 合は特に)将来にわたって保全すべきであり、そういうものはぜひ事業団でやるべき。

○ フェニックスが地方レベルということになっているのは、廃棄物処理と同時に臨海埋 立を行って新たな用地を造成し、その地域の経済活動に資するために用いられるため、 その地域でやることに合理性があるということではないか。そこで、埋立後はそこは緑 地にし、吸収源の造成として地球規模でのCO2 対策ということで地方の話ではないと いう説明はできるのではないか。

○ 特殊法人のあり方については限定的に厳格に考えるべき。どうしても特殊法人でなけ ればならないかが考え方の基本。市場でどうしても解決できないものに限り公共という 中で基準の設定や規制は国がやるべきだが、補助的なものはむしろ事業団に持っていっ た方が専門性や効率性や民間の機能を組み合わせるということから良いのではないか。 環境関連技術で大型のシステム的な技術は企業ではなかなかできないので公共の事業 団などで技術提供をしていくということが重要になってくる。他省庁でも技術の分野を 特殊法人を通じて補助、助成をしている。いくつかの府県にまたがるような廃棄物の処 理等の問題は都府県連合や事務組合があるが、技術的な要素が非常に濃いものはなかな か地方公共団体ではできにくい。
また、国際協力は市場では解決できない分野。

○ 廃棄物を再資源化させる逆工場のパイロット工場は、事業団で積極的に取り組めるテ ーマではないか。

○ 民の公共的活動に期待するが、やはり行政が対応しなくてはならない問題も少なくな い。首都圏といった広域的な問題では都道府県レベルの広域的な対応が遅れており、ゴ ミ、交通など特定の問題に関して事業団に期待するところがあると思う。

○ 最近のダイオキシン問題からも広域的な焼却施設は必要。市町村の責任はあるが財政 的に大変であり事業団が行っていく方策があるのではないか。また、事業団の高い技術 力できちんと対応することによる信頼性の向上という意味からもやっていくべきではな いか。

○ 全国的に地下水・土壌汚染地域がかなりあるが、原因者不明・資金不足でなかなか対 応できないものを地方公共団体が代行する場合、技術的に対応するのが難しい点もあり、 そういう場合の事業団の役割はあるのではないか。

○ ごみ発電の対応はできないか。

○ 特殊法人の事業を限定的に厳格に見る整理の仕方は現状から見るときつい。当面やら なくてはいけないことと、究極的にメインになっていくものの2段ロケットみたいなも のの考え方でいかざるを得ないだろう。

○ 「信頼性」が大事なキーワード。廃棄物処理問題で住民の納得できない部分は閉鎖後 本当に最後までしっかりやってくれるかどうか。民営事業の形で責任が持てると誰が保 証できるのか。こういうところが事業団の出る幕だろう。長期に管理すべき遮断型最終 処分場については、事業団が永続的に関与するべきではないか。「国際協力」も大事な キーワード。国内吸収源としての都市の吸収林造成は有望。

○ 中間処理施設と再資源化事業とを一体的に整備することは民間に任せておいてもなか なか調整がつかない。従来の団地造成の延長線でこうしたセット事業を位置づけられな いか。

○ 民間レベルの廃棄物の資源化などの静脈産業を促進させるような取組はこれからどん どん活性化しなくてはいけない。事業団に融資業務があればその部分が活きるのだが、 新銀行に移管した場合にそれが十分保証されるか心配。事業団の地球環境基金の枠を広 げて民間の事業、産業をバックアップするような仕組みができたら良いと思う。

○ 融資事業が新銀行に行くが何もかも行ってしまうのか。チェックは事業団でやるのか。
(事務局) まだ具体的に新銀行と環境事業団の関係をどう整理するのか詰めた話は行わ れていない。ただ、環境事業団の融資の大部分は、低利融資、代理貸し、中小企業が多 いが、銀行は、基本的には収益を上げ利子補給はないというシステムなので、新銀行の 中にどういう形で位置づけるかが課題。

○ 環境事業団が取り上げるべき事業としては、既存事業については不十分な点を広域性 とか緊急性というメルクマールでいろいろな意見の中から見出していけば良いが、新規 事業についても検討してほしい。

○ 地球温暖化対策等で国際的取組だけでなく国内でやるべき事業で緊要性の高いものに ついて、政府部内で合意ができれば、その実施主体として事業団を活用すれば、事業団 に対して関係省庁が指導・監督していくという形で総合的な取組ができるのではないか。

○ 原因者不明の土壌汚染等の対策について強化してやる必要がないか。地下水汚染対策 は長期的な方向として公的管理を考えていかなくてはいけないが、長期的な管理が必要 な事業については、事業主体として環境事業団が考えられるのではないか。

○ 事業団事業として期待したいのは有害物質のデータ管理。現在、鉛対策の強化が課題 だが、あるものに鉛がどれだけ入っているかという情報はほとんど皆無。

○ 事業の性格を4つに分けて考えている。
(1) 国・特殊法人が自ら義務を負って自ら行う事業
(2) 任意であるが自分の責任で行う事業。
(3) 他から委託を受け、自ら企画・立案を行う事業
(4) 他から要請を受けた受託事業
そういう事業の性格を含みながら整理をしていただきたい。

○ 環境情報がデータベース化されていない。科学技術振興事業団ではJICSTという 形で学術情報をデータベース化しており、一般の方がオンラインでアクセスできる上に、 出版やコピーのサービスも事業団でやっている。総合的な環境情報データベースの整備 とサービスを一つの事業として進めてもらいたい。

○ アセス情報やPRTRのデータ管理など、単なる調査研究のための環境情報ではなく て事業的な意味での情報提供というのがある。

○ 韓国で特殊法人のリサイクル公社が作られたが、民間と競合してしまい風当たりは大 変なものとなっている。そういった重複する仕組みは避けて特殊法人ならではの役割の 特化をすべき。

○ 地球環境問題について、これから地方自治体が対策を立てて実行していく時のコーデ ィネーターとしての役割やハードなものを作り上げていく時の指導・協力について、事 業団は今までも地方との関係を持っており、そういうところで活用してほしい。

○ アセス情報や廃棄物の再処理等についての運転経験など、マーケットには乗らない情 報を整理・収集・提供すると進むという分野があると思う。環境情報関連ではドイツ、 オランダなどかなり進んだものがあるので参考にすれば道が開けると思う。

(委員長) 活発な御意見をいただいたので、基本的な方向性が見えてきたのではないか と感じている。夏休みということもあり、先生方の御都合上、8月の下旬までは小委員 会を正式に開催することが困難なので、事務局において、本日までの議論を踏まえた上 で、さらに個別に委員の先生方の御意見を十分聞いた上で、今後の環境事業団事業のあ り方について整理をお願いしたい。

(以上)