中央環境審議会企画政策部会第2回環境事業団事業小委員会議事要旨

<日 時> 平成10年7月13日(月)13:10〜15:00

<場 所> ホテルフロラシオン青山「孔雀(東)」

<議 題>今後の環境事業団事業のあり方について

<配付資料>
資料1 中央環境審議会企画政策部会第1回環境事業団事業小委員会議事要旨
資料2 環境事業団事業について
資料3 廃棄物・リサイクル
資料4 有害物質
資料5 地球環境保全
資料6 研究開発

<議 事>会議は公開で行われた。

今後の環境事業団事業のあり方について、自民党の環境部会の決議や前回の委員会の審議を踏まえ整理した検討項目について、事務局から説明。その後、主として以下のような発言があった。(なお、これらの発言について委員会としての集約は行っていない。)

○ 特殊法人というのは一体何であるかをまずはっきりしないといけない。一般には小さ い政府ということで、なるべく特殊法人も整理縮小となっていっており、行政、中央官 庁の方でもなるべく効率性を追求するためにエージェンシー化をしようという動きもず っとある。したがって、むしろ、国全体のいろいろな行政の立場から見て、この事業団 というものの意味があるかないかを考えてみる必要があるのではないか。特殊法人とは、 市場機能で解決ができない、どうしても公的なものでないといけない、公でも、地方公 共団体とかで処理できないもので、独立させる場合に、ある程度専門的な知識、経験が 活かせる、むしろ分離する方が効率的であるもの、しかも、中央官庁のやっている仕事 もなるべくエージェンシーのような形で効率性ができるのなら、その方がいいというこ とで、ふさわしい事業が果たしてあるのかないのかということで考えてみたらいいだろ うと思う。

○ 観測とか予測とか、いわゆる環境の保全の非常に重要になるところを地球レベルでや っていく仕事をどこかでやるかを考えなくてはいけない。そういう国際協力が必要。

○ 行政の中の現業部門的なものでエージェンシー化するものがないか。

○ 例えば国営公園を造る場合には、直轄で造って、管理は財団法人の公園管理財団が全 部一括してやっているが、環境庁の方では、現在は全部直轄の管理になっていて、そち らの方には移っていないので、そこは少し考える余地があるのではないか。

○ 研究開発の部分で、「戦略研究」…内容的には、応用研究と基礎的研究の中間的な、 いわば応用的基礎研究という位置づけと、超長期ではないけれども、中期的な研究開発 をするというような研究の位置づけが、国の研究機関の一つの特徴になるのではないか。

○ 環境基本計画では、「未然防止、回復及び健全な土壌環境の維持」とあるが、この健 全な土壌環境の維持というところについての対応がほとんどされていない。土壌微生物 による分解機能をもっている土壌に対しては、積極的に優遇措置をするとかできないか。

○ 廃棄物は二段構えで考えていく以外にないだろう。現行の枠組みではこういうふうに やらざるを得ないから、その中でここを事業団がやる。それから、将来的には、そこを 突破していったときに受け皿になれる材料を作っておくことが必要。

○ 廃棄物に関して、事業団がやらなければならない必然性はあまりない。規制だけきち っとできるなら民営化すればいいわけで、健全な川下の産業、静脈産業を育てていって、 それをきちっとやればいい。ただ、そうなっていくためにも一つのプロセスとして、信 頼性が高い公共関与でしっかりとやり、レールができて皆が安心できるという道ができ たら民営化すればいい。そこで、本当の意味で信頼できる公的なセクターとして事業団 のようなところが今までの経験とノウハウと技術力に任せてやるべき。

○ 遮断型処分場は民営化してはいけない。いずれ分解技術が開発された時に処理するた めにもしっかり管理しておかなくてはいけない。そういうところは徹底的に事業団など できちっと管理する、核燃料廃棄物の管理と同じようなシステムが必要。

○ 従来の事業団のもっている限界はハードを造ってそこでおしまいといことで、ソフト 面が欠けている。ソフト面をきちっとカバーするような組織、そうすると、持続的に仕 事ができるのではないか。例えば、公園のような施設を造って供用開始をして利用者に 利用していただいてサービス提供をするという部分、その後の維持管理の部分は誰がや るのかという話がある。

○ モニタリング、アセスメントというような仕事は、民営でやれる仕事かもしれないが、 事業としては考えておいていいのではないか。規制ではなくコーディネーターの役割を 果たしていくというのは、公的な組織が必要で、そういうところでも事業団の果たす役 割は残っているのではないか。

○ 有害物質に関して、土壌汚染対策はどうやったらいいのかという方針がはっきりしな い。これをビジネスチャンスだみたいな形で考えている企業があるが、それだけが先行 するとやっていることが本当に信頼されない。そこで、行政との連携が大事であり、プ ライオリティ付けを考えることや最初から完全にやってしまう発想ではなくて段階的な 対応を行政タイアップで受託でやれるというのも事業団事業としては最適ではないか。

○ 具体的な検討項目を絞り込む前に、それぞれの分野での役割分担、特に事業団との関 係の全般的な方策を考える必要があるのではないか。
1.国が行っている規制業務を代行するという機能、例えば廃棄物の輸出入業務、これ は継続性を言えば、あるいは事業団が担ってもいいだろう。
2.国の事業を代行して行う。具体的には、国立公園の事業、地球環境問題など。それ から、国自身の廃棄物処理、国有地あるいは国が関係する売買の土壌汚染に対して、 どういう役割を果たすか、というような検討項目。
3.国が調整のためにやる業務というものがあり得るかどうか。
4.地方公共団体あるいは民間企業への支援策という形で継続し、あるいは強化するも のがあるかどうか。

○ 環境庁は、現状ではいわば調整官庁の役割をしており、ほとんど自ら事業をやってな い。本当はもっと調整と事業を時代の要請に応じてどんどん積極的にやっていかなくて はいけない。したがって、環境事業団の方には、環境庁が本来やるべきだが、それを国 の代行機関としてやってもらう。そのことが、緊要であり効率的であるというメルクマ ールで検討すべき。

○ 廃棄物の問題で、公共関与という形で公の方に移していくということになりつつある ようだが本当にワークするのかどうか。民の方は、官に任せたから後はお願いしますと いうことで非常に安易に考えてしまう。そして、どんどん産廃が増えていく。しかし、 任された公の方は十分な体制づくりが民に期待されているほどにはできないという心配 がある。センターができるが、センターからさらに環境事業団にどういうものが上げら れるのか、それが効率的な形で運営していける見通しが立つかどうかチェックを十分す る必要がある。

○ 温暖化対策について、COP4等、徐々に国際的な取組のルールが固まってくるので、 国際協力を展開する場合に、何か事業主体が要るようになる場合に、環境事業団のよう なものがフィットするような主体として考え得るかどうか。

○ 技術開発が行われても、コストが高く普及しない、せっかく環境に良い技術が開発さ れても、それが活用されないということになりがちだが、そこを突破する社会的な仕組 みを動かしていく主体として環境事業団のようなものが考えられるのかどうか。

○ ダイオキシン類対策で、小さい燃焼施設についてブロック化またはグループ化のコー ディネート、あるいは施設を造り、今度は施設そのものに関与していくなど広域的な対 応が必要な場合の役割、方法もあるのではないか。

○ 有害物質についても、今までは土壌汚染対策の融資制度があったが、中小企業など自 前でやるのはなかなか大変なのでそれを代行していく、特に、工場跡地の重金属汚染の 浄化対策等、可能な限りやるべきではないか。

○ 地球環境問題で、地方公共団体で自然エネルギーの利用や未利用エネルギーの利用と いうことになるとノウハウを持ってないので、技術指導あるいは風力発電等の建設を代 行することも可能ではないか。

○ 国際協力事業で、環境事業団が川崎で中小企業を対象にゼロエミッション企業団地を 造ることをやっているが、このようなことが発展途上国に応用できるはずだが、今の援 助の枠の中ではできない。そういうことをやっていったらいいのではないか。

○ 事業団としての事業が中長期的に、また、現状でどのような問題があるのか検討して 詰めてみる必要がある。その中でも、機能的に活用できるようにということと、監査機 能をどのように入れていくのかということが大切な項目ではないか。

○ パイロット的な事業、モデル事業というのも特殊法人の一つの仕事。廃棄物最終処分 場で民間事業を誘導していくような、技術基準を見せられるようなものを一つのモデル として、必要なところでやれるところでやってみたらどうか。ただ、これは事業団に対 してあまり助成する必要はない。むしろ、ある程度の料金は取れば、それはなるべく廃 棄物を少なくしたりリサイクルしようというインセンティブに効くと思われる。合理的 経営で必要な料金も一つのモデルになるだろうと思う。

○ 大規模な国家的な事業も産廃などに関してはあってよいのではないか。県レベルでの 対応はある程度進み始めているが、数県なり、日本を3つか4つに割ったようなレベル での事業というのはほとんど皆無に近いのではないか。事業団は、そのようなところで 先導的役割が果たしてもよいのではないか。

○ 事業団としての運営のあり方は、独自性、自主性をもっと発揮できるように改造する 必要があると思う。

○ パイロット事業のような廃棄物処理の問題などは、かなりの費用を投じて中途半端で なく徹底的にやる方向で考えるべき。

○ 環境庁の特殊法人が行うにふさわしい事業を今日のペーパーでは非常に大づかみでし かリストアップができていないので、もう少し細かくリストアップしてほしい。その方 がどのレベルで意見を言っていいか分かりやすい。

○ 地球温暖化対策で、国内での吸収源対策として人工林の管理が非常に不十分。そうい う部分について、自然環境の保全という面で、自治体の支援なりのリーダーシップがと れればと考えている。

○ 自治体で何かやろうと思うときにいろいろな制度の制約がありすぎる。そこでパッケ ージ方式で、どこかの適正規模の自治体の温暖化防止行動計画みたいなものを丸ごと受 託して、徹底的に作って、貸し与えて使用料をもらう、その計画が実現できるようなハ ード面でカバーしてしまう、こういうものも一つモデル事業になりはしないか。

○ 環境事業団で環境統計の情報のデータベースを作るというのは適しているか。

○ 地方などで困っているのは広域的な対応。例えば、低公害車について、インフラ整備 をしなくてはいけないが、自治体一個一個がやるとなかなかできない。そういうところ の対応を高所に立って見てやるということが、これからの仕事の中で可能ではないか。

○ 技術移転については、いろいろな場で研究しながらどこもうまくいかない。これを動 かしていかなくてはいけないニーズが随分出てきているが、実際に動かすのはものすご く難しい問題で、うまく動かしていく主体というのがなかなかない。環境事業団ができ るかとなると、そういう能力が本当に備わるかどうかというのは、もう少し考えなくて はいけないが、非常に重要な問題。

○ 中国でも環境アセスメントをやろうという取組を今、始めているが、アセスメントを どうやるかというノウハウがない。外国に協力する仕組みがなく、本当に生きた協力に なかなかならない。そういうことが環境事業団でできれば世界から評価される。

(委員長) 今日は非常に有益な御意見をいただいたので、事務局でまとめて、環境事業 団のやるべき仕事を整理して、次回には具体的な御意見をいただきたいと思う。

(以上)