中央環境審議会第82回企画政策部会議事要旨


<日時>平成12年8月29日(水)14:00〜17:00

<場所>ホテルフロラシオン青山2階 芙蓉の間

<出席>

森嶌部会長、安原部会長代理、浅野委員、天野委員、池上委員、江頭委員、太田委員、河野委員、北野委員、幸田委員、佐竹委員、佐和委員、塩田委員、鈴木委員、武内委員、中野委員、西岡委員、波多野委員、平岡委員、廣野委員、福川委員、藤井委員、松原(純)委員、松原(青)委員、三橋委員、宮本委員、村岡委員、村上委員、谷田部委員、湯川委員、横山委員、寄本委員、渡辺委員、寺門専門委員、湊専門委員

事務次官、官房長、企画調整局長、自然保護局長、大気保全局長、水質保全局長、地球環境部長、環境保健部長、自然保護審議官、企画調整局企画調整課長、地球環境部環境保全対策課長、水質保全局海洋環境・廃棄物対策室長、企画調整局環境計画課長、企画調整局環境計画課計画官

<議題>

(1)環境基本計画見直しについて
(2)その他

<配付資料>

資料1第81回企画政策部会議事要旨(案)
資料2第81回企画政策部会会議録(案)
資料3新環境基本計画中間取りまとめ案第3部第1章第2節(「循環型社会の形成を通じた健全な物質循環の確保に向けた取組」)
資料4新環境基本計画中間取りまとめ案の長期目標について
資料5新環境基本計画中間取りまとめ案第4部(計画の効果的実施)
「廃棄物対策等物質循環の在り方検討チーム」報告書

<議事経過>

平岡委員と事務局から「廃棄物対策等物質循環の在り方検討チーム」報告書についての報告、事務局から資料3〜資料5についての説明後、議論。

1 廃棄物対策等物質循環の在り方検討チーム報告書及び資料3について

【天野委員】
○資料3p2「3.施策の基本的方向」における「自然の物質循環」と「経済社会システムの物質循環」について、経済社会システムの循環と別に自然の循環を適正に確保する施策というのはどのようなことか。

【水質保全局長】
○現段階において、自然環境の保全自体が、一産業としての農林水産業自体の過疎化や都市管理、森林管理の減退といった社会経済活動による負荷によっての後退というのも当然あるが、内部崩壊もきちんと防いでおかなければいけないという趣旨。

【天野委員】
○農業や林業をどのように行うかということは、(報告書で説明した)自然の物質循環である炭素、窒素、水の循環とは随分違うレベルのことではないか。

【水質保全局長】
○報告書p5にあるように、自然を適正に維持するための手段の一つとして、自然の環境の保全、あるいは自然の循環に即したいろいろな一次産業の活動を位置づけし、窒素循環、水循環、炭素循環と、手段たる自然環境の保全、あるいは一次産業の循環的な自然に即した産業活動というものは決して切り離されたものではない表裏一体の関係にあるとした。

【天野委員】
○農業の活動による自然環境の保全と、二酸化炭素の排出の削減は、非常に大きな自然の循環を直すための方法論であり、この二つは同じことをやっているので、一次産業(農林水産業)は上(自然循環)へ出し、経済社会システムに製造業、建設業、サービス業等しか含まないという分け方は、理解しにくい。

【水質保全局長】
○一次産業(農林水産業)については、肥料や農薬を過度に使用するということであれば、これは経済社会システム内での人間活動として自然環境に負荷を与えるものとして理解しなければいけないが、水利用、炭素利用、窒素利用等については、下の経済社会システム内での人間活動でなく、上の自然の循環と一体となった活動という形で整理。

【廣野委員】
○農業とは言葉のとおり、アグリカルチャー、カルチャーであり、人間が手を加えるということなので、自然ではなく経済社会システムとしてとらえなくてはいけない。
・水質保全局長の説明にあった農業だけを自然の循環の方に入れ、農業以外の産業を経済社会システムと言うのは非常に論理上の矛盾であり現実を反映してない。
・自然の循環そのものも、必ずしも経済社会システムだけによって壊されるのではなく、台風や、火山の爆発などの自然自身によって壊され、やがてそれが長期的にまた回復するという、自然界の姿というのがあるので、それに人間の経済社会システムの一環である農業を入れるのは、無理があるのではないか。

【浅野委員】
○報告書p3「物質循環をめぐる問題の構造」の最後のところで、「自然の循環機能の回復・維持・増進」という言葉が出てくるが、p20では「(自然の循環機能の)確保」が、同じ意味合いで報告書ができており、「回復、維持、増進」という言葉であれば、計画の方に織り込んでもあまり混乱が起こらないとは思うが、それも含めて検討していただきたい。

【森嶌部会長】
○用語の使い方、あるいは社会経済システムというのは何を構想するか、それから維持・増進という人間的な営為を、これをどちらにするかということになるので、少し検討するということでどうか。

【武内委員】
○自然環境も生物多様性というのを原生的な自然における生物多様性に限定せずに、二次的自然環境としている。工業的な産業と農業を一緒にして人間の活動とすると、漏れがあるし、逆に人為的な影響との関係を切った形で自然循環系の中に含まれているとしても問題があるので、共生系で使っている原生的自然環境、二次的自然環境、人工的環境という切り方を物質循環系の中にも当てはめれば良いのでは。
・資料3第2節の表題について、p1の目標にあるとおり「物質循環をできる限り確保することによって」循環を基調とする経済社会システムの実現が目的であるので、この表題は下の文章が正しいとすれば、逆ではないか。
・循環型社会の形成ということを議論する際の論点が、廃棄物対策に焦点が当てられ過ぎている。報告書p18に、循環型社会形成を構成する主要な要素が「廃棄物の適正処理」、「リサイクルの推進」とあるが、循環型社会の形成がこの二つだけでできるものではなく、動脈と静脈がつながり結果的にはエミッションがゼロに近づくような、社会システムそのものが本来循環型でなければならない。
・資料3第2節が廃棄物対策等を通した循環型社会の形成ということに限定すればこれで良いが、循環型社会形成に向けて先のことまで考えていくなら、廃棄物処理、リサイクルを超えた次元の問題がそこに存在することを前提に、産業を変えるという以前に、今ある産業の体質を改善することがもっと大事ではないかという、広い視点での問題の提起をしておくことが必要。

【森嶌部会長】
○検討チームの最初の構想は廃棄物から入っており、最終的に循環型社会といっても、環境庁の所管事項から入っているので、武内委員の指摘のように、広い形でのものが、欠落している訳ではないが、非常に薄まっているので、その点も一度検討し、広い観点から基本計画を書くなら、武内委員の意見のとおり少し視点を広げることが必要。

【渡辺委員】
○検討チームのメンバーの一人として。ゼロ・エミッションのような話は当然念頭に置き、経済社会活動に伴う物質循環を途切れのないものにするという見地からとらえている。
・武内委員の発言に絡んで、資料3第2節の見出しについて、2の目標のところから考えると、「健全な物質循環の確保を通じた循環型社会への形成への取り組み」とするべき。
・資料3「2.目標」の10行あたりの表現がいろいろ重複している。特に最後の4行のところについて「第一に・・、第二に・・、第三にこうすることによって実現される、」に「循環型社会」がかかるが、その間に「天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限る低減される」という形容詞句が入る日本語は望ましくないので、ここの表現はもう少し練った方が良いのでは。

【三橋委員】
○物質循環については、武内委員の考え方に賛成。
・数字の整合性の問題について、報告書p8の「我が国の物質収支」の一般廃棄物は、5,000万トンでp11のグラフの5,000万トンと同じであるが、産業廃棄物は、p8が2.6億トン、それに対しp11では4億1,500万トンになっている。この違いは何か。

【海洋環境・廃棄物対策室長】
○p8の産業廃棄物2.6億トンは、再生利用をされる部分を除いているので、再生利用をされる部分を含めると、こちらのp11の数字になる。

【三橋委員】
○一般廃棄物の場合、その部分がおかしい。
・p8で、再生される廃棄物の量が2億トンであればp11は4億6,000万トンということになるのでは。

【海洋環境・廃棄物対策室】
○この点については、くず鉄等産業廃棄物として把握されずにリサイクルされるもののデータがあり、マテリアル・フローの方にはそういったものも含めているので、少し多くなっている。

【三橋委員】
○同じ産業廃棄物のトータルの数字が違う形で報告書が出ると混乱するので、整合性について説明が必要。

【藤井委員】
○ペットボトルの処理について、生産を抑える方向でのリデュースが必要であるにも関わらず、新しいタイプのペットボトル(牛乳瓶、ビール瓶)が市場に出るという話があったり、ペットボトルの処理に中小事業者が開発費をかけ、既に販売プラントとなっている現状の中で、消費者の意識の問題ではなく、経済的なインセンティブをどするかということに本腰を入れないと実現できないのではないかという思いが非常に強い。
・報告書及び資料3に、この点は記載しないと、現在事態を超えている中で、5年後に見直しをする時には、現場はもっと先へ走り、新環境基本計画が役に立たないということにならないようにしなければいけない。

【佐竹委員】
○輸入量が増大したことによる公共用水域の富栄養化問題に見られるように、グローバル化が進む経済の中で、日本の国内だけで一国の物質循環を適正に保つことが一体できるのかという疑問が、30年来の農林水産行政をやってきた者として率直にある。
・報告書p5の図について、事務局の理解として、農林水産業というのは、本来自然循環の機能をもっているということだが、現実は多くの先生方が指摘したとおり、現実は市場経済を前提にしていかなければならないので、経済社会システムの中に組み込まれた経営をやっている。
・報告書及び資料3に物質循環について数値目標が提起されているが、数値目標は、行政の責任を発揮させるために非常に明解な指標であり、そういうことを明確にするというのは原則的に好ましい。
・単純なリサイクル率という観念でとらえ、数値目標について、紙の再生では「輸入パルプが安くなれば、現実にリサイクルが落ちる」ということがあり、再生原料とバージン原料との競合ということを考えると、何か数値を決めてそれを実現するとしても、そういう操作できない要因によって左右されるところがあるので、検討チームの中で、もし議論があったら紹介していただきたい。

【平岡委員】
○現在、なぜ大量生産・大量消費の一方的通行システムで行き詰まっているか、考察した上で法律がつくられ、対策をこれから進めていくということは、壮大な社会実験を行うことになる。
・こういう中で、産業がまた新しい方向に行き、それから生活のスタイルもそれによって徐々に変わっていくだろうということで、その産業構造の変化を促すというような議論や、先ほど渡辺委員も述べたような議論はしたが、質問のような議論まで突っ込んでやっていない。
・リサイクルの第一の目標は、基本的には輸入資源を絶対的に減らすための政策を進めることと考えており、バージンと競合しないような、個々に環境税等の税制や、グリーン購入を積極的に行うことなどがこの国会で決まり、あと10年以上の社会実験の中で、徐々にそういう社会システムが構成されるだろうという期待を持っていると、そういう答えしかできない。

【幸田委員】
○資料3第2節について、環境基本計画の四つある長期目標のうち、循環はとても大事な部分なので、もっと詳しく記載するべき。(特に施策の基本的方向の(1)番)
・経済社会システムといえば、どうしても製造業等を頭に置きやすいが、都市計画、設計等の都市づくりも大事ということを入れていただきたい。

【寄本委員】
○資料3の見出しについては、武内委員の意見に賛成。
・報告書のp18について、循環型社会形成には、廃棄物処理とリサイクルの推進では狭過ぎるというのはご指摘のとおりだが、循環型社会形成推進基本法の法律の内容を大きくまとめればこの二つになり、この二つを通して自然環境、自然の循環の発展に向けて寄与するという書き方になっている。既存の法律の内容をまとめているので、勝手に変えられないのでは。

【森嶌部会長】
○法律の内容から言えば、寄本委員の意見のとおりかもしれないが、視点として、法律の解説というのでは、狭過ぎるし、先ほど(武内委員が)指摘したとおり、産業構造も循環型社会形成ということで言えば入ってくるので、その辺のところを事務局も一度、考えていただきたい。

【北野委員】
○資料3について、循環型社会形成は、基本的に大量生産・大量消費・大量リサイクルではないという表現が弱いので、そういうものが循環型社会のイメージとは違うのだということを具体的に記載した方がわかりやすい。
・資料3p3C経済的手法のあり方の5行目「税・課徴金」のところを具体的な例を挙げたらどうか。

【森嶌部会長】
○北野委員が最初に述べたとおり、物質あるいはエネルギー投入を少なくなるが、実際には社会的な便益というのは大きくなるといった社会が循環型社会だと考えるので、その辺について、最終的に修文をされるかどうか、検討されたい。

【佐和委員】
○報告書p5の図について、経済社会システムができる以前からある農業が経済社会システムの中に組み込まれた結果としていろいろな問題が起きていると考えると、報告書の中の表現でもおかしくないのでは。

【平岡委員】
○大量リサイクルという言葉について、大量資源の輸入資源の削減を第一目標を置き、高炉でプラスチック、廃棄物をセメント原料に用いるといった技術開発がされており、法律が整備されてくるにつれて生産構造も既に変わってきているので、消費スタイルも変わるだろうという期待がある。

【森嶌部会長】
○藤井委員の指摘は、新たにプラスチックの瓶が出たり、瓶からプラスチックボトルになったりということを対応しないでリサイクルを考えても、結局、大量に生産され、大量に処理しなければならないので、その点を何か考えなければいけないのではないかというものだったのではないか。

【平岡委員】
○発生抑制、リデュース、リサイクルのリサイクルは後ろの方なので、最初のところで、藤井委員が述べたような形で抑制が行われないといけない。

【森嶌部会長】
○発生抑制も考えないと、結局は一生懸命リサイクルしても、発生の段階で増加すると、最後のリサイクルする部分がどんどん増加することになる。

【平岡委員】
○全体の物質収支を眺めて、ペットボトルの利用が増加することは、石油の輸入がどんどんふえるので、そういうことがないように規制をかけていく法的なものが整備されていくという理解。

【鈴木委員】
○資料3のタイトルについて、「健全な物質循環」という用語があるが、何を具体的にイメージして健全な物質循環というのかということをきちんと記載する必要がある。

2 中間取りまとめ案の長期目標(資料4)について

【浅野委員】
○長期的目標の最初のところで四つの目標の相互関係を明確にするのが、5年間の基本計画の歩みの中で明確となり、循環のところについても、考え方の整理、特に資源採取のところからという流れが明確になってきた。
・前の計画の段階では明確に意識せずに文章をつくってしまったので、このような形で加筆。
・ゴシックの部分は、長期的な計画目標が5年ごとに簡単に変わるのでは困るので、ある程度内容は同じものにしておくという配慮。
・前と同じようにゴシックの部分をおおむねそのままの形で残すことも必要かもしれないが、全体としてはこういう書き直しをしていったということで良いのではないか。

【幸田委員】
○【循環】の部分について2行目の「資源の採取、生産、流通、消費、廃棄などの」ところで製造を中心に考えているが、製品設計、都市設計を含めて、製造以前の部分も大事なので、配慮していただきたい。
・同じく下から2行目の、「経済社会システムにおける物質循環をできる限り確保し」の後に、「それが自然循環機能を損なわないように努めることによって」もしくは、報告書にあった、「自然物質循環の機能の回復・維持」という言葉を入れるかして、社会経済と自然循環をマッチしたものにしていくということをきちっと入れていただきたい。

【天野委員】
○【参加】のところについて、最初の段落の下から2行目に「特に浪費的な使い捨ての生活様式を見直す」と「日常生活や事業活動」と二つ挙がっているが、【参加】というのは、基本計画にしろ基本法にしろ、国、事業者、国民とあるので、「事業活動並びに行政活動」と入れるのが良いのではないか。

【廣野委員】
○【循環】のところについて、「経済社会システムにおける物質循環をできる限り確保することによって」、「循環を基調とする経済社会システムを実現する」と全く同じことを言っているので修正するべき。

【横山委員】
○【参加】のところについて、これまで主体というと、行政と政府、自治体と国民と事業者、それから民間のNGOとかが出てきたが、温暖化の問題やリスクコミュニケーション、環境教育と環境学習など、学者の果たす役割というの大きくなるので、学術団体も入れていただきたい。

【福川委員】
○【共生】のアンダーラインのところで「社会経済活動を自然環境に配慮した」とあるが「配慮」より、例えば「調和」という表現の方がわかりやすいのでは。
・【参加】のところについて、重要になってきている情報ネットワーク化の活用など、最近の新しい変化を何か折り込む工夫をし、もう少しこの【参加】が強く打ち出せるようなことができないか。

【佐和委員】
○【循環】のところで、「適正処分等を図るなど」は、等の二乗になっているので、まず「再生可能な資源の利用、」として「等の推進」を削除し、「利用、廃棄物等の発生抑制、」とし、「循環資源の循環的な利用及び適正処分を図るなど」で良いのではないか。

【湯川委員】
○NGOの民間交流やネットワーク化をどこか入れられないかということで、特にNGOにかかわって、非常に大きな役割をしているのは国際的な取り組みではないかと考えるが、【国際的取組】の最後のところで「地球環境を共有する各国との国際的協調」の「国際的協調」は漠然としており、そこに具体的な協調の方法論として民間交流のようなものを入れると良いのではないか。

【西岡委員】
○【国際的取組】の最初の「今日の地球環境問題はひとり我が国のみでなく」という文章について、地球環境問題というと、イメージとしては温暖化、オゾン層等々の非常に限られたものになっている感じもするが、ここで国際的取組を必要とするのは、地域の各途上国、もちろん先進国も含め、様々な環境問題に対してどう取り組んでいくかというものなので、ここは、「今日の環境問題は地球規模に広がり、人類の共通の課題となっている」とした方が良いのではないか。

3 中間取りまとめ案の第4部(資料5)について

【天野委員】
○計画の効果的実施という中には、参加ももちろん必要だが、当然、国際的取組に関する叙述があってしかるべきなのに、資料を見ると、「国際的取組」というのがどこにも出てこない。
・国際的な環境施策がどう動いているかきちんと把握し、それを国民に知らせるということ、国を初め各種の主体がそういう国際的な取り組みに貢献していくということ、その二つのことはどこかに書いていただきたい。
・国が国際的な貢献をするときは、様々な組織や資源というのは使うことができるが、地方自治体や事業体、あるいはNGO等の場合、いろいろな資源の制約からできないということがあるので、そういう国際貢献をするためのインフラづくりが、国として心がける必要があるということも、書いていただきたい。
・p2第5節の3行目のところで、「関係省庁の点検は適切な点検手法の開発を図り」とあるが、この点検手法の開発を図る主体は?。各省庁がバラバラに手法を開発するより共通的な手法を開発し、それを適用した方が良いので、点検手法の開発をどこがやるのか、あるいはどこかで中心的にやる部分と各省庁がやる部分とは並行してやるということにするのか、その辺をもう少し書いていただきたい。
・p2第5節の5行目のところで「施策の環境改善効果に関する評価を」とあるが、評価をするためには分析が先立って必要なので、「関する分析と評価を可能な限り」と「分析」というのを入れていただきたい。

【安原委員】
○ここの部分は、基本計画の実効性を高めることが今回の見直しの一つの眼目なので、非常に重要。
・基本計画を体して、具体的な各省庁の政策分野についての実施計画的なものを作成し、それを体して環境管理、マネジメントシステム、行政版のISO的なものを確立して、それに従い実施、評価し、評価した結果に基づき足らざるところを改善していく輪の状態になるシステムが必要。
・そういう意味で、第1節の最後に書かれたところ、あるいはそれを踏まえて総合指標を整備して、目標に即して努力をしてもらう、そしてその結果を各省庁が自主点検し、その結果を中央環境審議会において点検できるようにし、その結果を情報公開していくということで、最小限の実効性を担保するための仕組みが整備されるのではないか。そういう意味で、この追加の修正案に賛成。

【佐和委員】
○p2の第5節1〜2行目のところで、「中央環境審議会が点検する」とあるがその点検は「関係省庁の自主的な点検結果を踏まえてやる」ということで書かれている。そして、「政府は」というところで、中央審議会の、ここでまた「点検結果」という言葉が出てきており、「関係省庁の点検結果」とあって、「中央環境審議会についての点検結果」という言葉を使っているのは、初めて読んだ場合わかりにくいので、「中央環境審議会の点検結果」ではなく「点検報告を」とした方が、この「報告する」という前の文章からのつながりがわかりやすい。
・第5節の7〜8行目のところで「環境保全経費の見積もり方針の調整に反映する」とあるが「反映させる」とするべき。前文から考えて「反映させるとともに、反映させる」と重複しているので「反映させる」を1カ所にまとめてしまうのも一案。
・p1第1節の最初の文章について、「環境基本計画の効果的実施のためには、これをよりどころとして、社会の構成員であるすべての主体が共通の認識のもとに云々」とあるが「共通の認識の下」にあってもなくてもいい言葉なので、「効果的実施のためには、これをよりどころとしつつ、社会の構成員であるすべての主体が協力して、環境の保全に向け云々」とすっきりした方がいいのでは。
・第1節の最後の4行について、「各主体は、極力、環境基本計画に沿い」というのはおかしいので「各主体は環境基本計画に沿い、自らの行動への環境配慮の織り込みに」、とし、もし「極力」がどうしても必要だったら、「極力、努めるものとする」とするべき。

【鈴木委員】
○第1節の中で、「国、地方公共団体、事業者、国民及び民間団体」という書き方のところと「地域レベルの行政、事業者、住民等」という書き方のところがあり、「国民」と「住民」とをどう使い分けているのか気になる。
・コミュニティベースで、積極的に環境計画を立てたり環境改善をしようとする動きを援助する方向で、国、地方公共団体が考えるという姿勢があれば、地域住民という用語の方が大事な場合が多くなるが、この新環境基本計画は、国が先に立って引っ張るスタンスが強い文章が多い。そこで問題は、国民という言葉を使うときと住民という言葉を使うときで、その辺のところに跳ね返ってくる気がするので、両方使うとすれば、言葉の使い方ははっきりさせなければいけない。

【森嶌部会長】
○今までは、環境庁の方でフォーマットをつくって各省庁に送っているので、最終的に中環審が点検をするとすれば、各省庁から出てきたものがコンパラティブになるように、点検手法や点検の分析方法は、環境庁が提案することになるのだろうが、環境庁が責任を持って行なっていただきたい。

【浅野委員】
○点検手法の開発を誰がするかということで、もし環境庁の方が共通の手法開発をして、それで行うということであれば、それはそれでよい。

4 中間取りまとめ案全体について

【幸田委員】
○p23の第2部(4)「あらゆる主体の参加」のところで、それぞれの役割、責務が書いてあるが、「強く期待される」という言い方で終わっており、循環型社会形成基本法というものもでき、その中には事業者の責務や国民の責務がきちっと書いてあるので、「期待される」という終わり方ではなく、「進めることが必要である」というふうに、ピシッと言っていいのではないか。
・この文章を少しでも国民にわかりやすく多くの人に読んでもらおうということであるなら、もう少しですます調というか、柔らかい形に書き直すだけでももっと身近な感じがするのではないか。

【横山委員】
○p29、1〜2行目に温暖化に絡み、原子力の問題に触れて、「安全に万全を期した原子力の積極的な導入を促進している」というくだりがあるが、温暖化のチームに加わって、原子力の問題はかなり議論がなされていて、こういう集約とは逆の方向だった。温暖化チーム報告書にも全く出てこないのになぜこんなくだりが入ったのか、疑問と同時に、その経過を教えていただきたい。

【地球環境部環境保全対策課長】
○指摘の点については、法律レベルでどのような進捗があったかということをレビューしている部分で、具体的には上の方にあるように「温暖化推進法ができました」あるいは「エネルギー使用の合理化に関する法律の改正が行われました」と、こういう法律レベルの動きを記述している部分。
・原子力に関しても、安全に万全を期した導入を推進するために、幾つかの法律が今般改正されており、その具体的な法律名を多々挙げていくと、若干、文章のバランス上煩雑になるということもあり、個々の法律名は省略をしているが、法改正の動きがあった一連の取り組みということで整理。

【横山委員】
○原子力の、もしこういう表現が出るなら、JCOの事故もあったとか、そういうことを書かないと、環境基本計画をつくっている中環審というのは何だろうということになってしまうのではないかと、非常に心配。

【森嶌部会長】
○横山委員ご指摘の点は、国民から中環審がどう見られるかということと関連して、非常に重要な指摘なので、一度議論をさせていただきたい。

【安原委員】
○温暖化対策の小委員会の議論で、特にこれを議論したわけではないが、整理として、今政府がやっている政策が大綱によって決められており、その中には安全を確保した上での原子力の推進というのが入っているので、現在とられている政府の方策についての言及であるという理解。今後のいろいろな対応については、その後の段落に6%の削減目標をきちっと達成できるような推進メカニズム、あるいは基盤的な仕組みを整備していこうという考え方で整理されている。
・戦略プログラムの温暖化対策、循環、水循環の問題でも、森林は関係するので、森林のことについて必要な限りで触れられているが、今の森林の状況を踏まえて、環境全体として考えた場合に、森林保全を推進していくということが非常に重要だということの総論的な記述が欠けているなと反省をしている。
・森林保全が重要性について、第2部、2「持続可能な経済社会に向けた環境政策の展開」(3)「あらゆる政策手段の活用」のところの環境投資の箇所で、環境投資の一環として森林保全を重点的に推進していく重要性についてある程度まとまった記述を加えていただきたい。

【森嶌部会長】
○環境投資のところだけで片づけるのはやや問題が狭いかなと思うので、例えば第1部3環境政策のところのp9〜p10、あるいは11ページ、そういうところもあり得るので、小委員長として考えていただき、次回で提案していただけないか。

【安原委員】
○小委員会は、以前の報告で一応終わっているが、小委員長をやらせていただいたので、事務局とよく相談して、案文を考えたい。

【湯川委員】
○横山委員の意見の関係で、温暖化対策に関する基本方針の中で、いろいろな法律が決まったという報告の一つとして、「安全に万全を期した原子力の積極的な導入を促進している」というのは、今の政府のあり方の報告という形でここでは書かれているということなので、「政府は」という一言が入ると入らないのとはかなり違う。
・原子力について、長期計画が出たが、廃棄物の問題などは、宙に浮いた形で必ずしも積極的に導入を促進しているとは思えないものなので、「安全に万全を期した原子力の積極的な導入を促進している」と言い切ってしまっていいのか、そしてそれが与える一般人にとってのショックというものを、どのように配慮したらいいかということも考慮願いたい。

【佐和委員】
○この文章はそもそも主語がないので、いろいろな誤解を生むもとなっている。よって、「エネルギー供給面の対策として同10年、これこれに移管する法律が策定され、安全に万全を期した原子力の積極的な導入が図られている」とすればいいのではないか。

【森嶌部会長】
○その辺、今のはご提案ということで、いずれにしても一度、それはやっておきたい。このままでいいということで私は突っ走りたいとは思わないが、今日はもう既に議論の時間が過ぎているので、次回でもこの点を取り上げたい。

【天野委員】
○供給面の話。この法律ができてそれに沿ってやっているというのは事実だが、その後、政府の内部でいろいろ見直しをしており、最初に予定されていた原子力発電所の建設が大変難しいので見直しが必要になっているという経緯がある。そういうものをベースにした計画づくりというのは、現在は前提にできないのではないか。
・森林等の吸収源についても、森林の計算も国際的なレベルが認められるかどうかわからないということがあるので、もしこういったことを書くのなら、それ以降の様子がどうなっているかということも一緒に触れると、バランスがとれるのではないか。

【森嶌部会長】
○政府の原子力政策について、この中環審がとやかく言うということではなく、政府の方針について従来打ち出されているものを環境基本計画の中で記述にするに当たってどうすべきか、記述の仕方によっては、今回の指摘のように中環審自身がそういう施策にコミットして、それを進めていると思われるのではないかという意見もあったので、一度、文章のつくり方について検討させていただきたい。

○森嶌部会長から、今後の進め方について説明の上、了承
○森嶌部会長から、新環境基本計画中間取りまとめ公表後のブロック別ヒアリングについて説明の上、了承

<以  上>