中央環境審議会第81回企画政策部会議事要旨


<日時>平成12年8月9日(水)14:00〜17:00

<場所>ホテルフロラシオン青山1階「ふじの間」

<出席>

森嶌部会長、安原部会長代理、浅野委員、天野委員、江頭委員、茅委員、神林委員、北野委員、小澤委員、佐竹委員、佐和委員、塩田委員、中野委員、波多野委員、平岡委員、福川委員、藤井委員、星野委員、松原(青)委員、三橋委員、宮本委員、谷田部委員、和気委員、渡辺委員、飯田特別委員、猿田特別委員、寺門専門委員、湊専門委員

環境庁長官、事務次官、企画調整局長、自然保護局長、大気保全局長、水質保全局長、環境保健部長、官房審議官、企画調整局企画調整課長、企画調整局環境影響評価課長、企画調整局調査企画室長、企画調整局環境保全活動推進室長、地球環境部環境保全対策課長、水質保全局地下水・地盤環境室長、企画調整局環境計画課長、企画調整局環境計画課計画官

<議題>

(1)環境基本計画見直しについて
(2)その他

<配付資料>

資料1第76回〜第80回企画政策部会議事要旨(案)、会議録(案)
資料2新環境基本計画中間取りまとめ案
資料3中央環境審議会企画政策部会の運営について
資料4地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会検討方針(案)
(「地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会」メンバー)

<議事経過>

【細谷環境計画課長】 それでは、時間がまいりましたので、中央環境審議会第81回企画政策部会を始めたいと存じます。○川口環境庁長官から挨拶
○安原委員長から小委員会でまとめた中間とりまとめ案について報告の後、補足説明。

【安原委員】
・総論部分8ページ○の温暖化のところ、9ページの一番下の○の温暖化のところ、プログラムの29ページの下のイのところは同じ表現で、ここでは「現行施策の評価も踏まえ」を入れるべきという意見もあった。
・国際的リーダーシップを強調する上で、「国際交渉の進展を踏まえつつ」を削除すべきという意見もあった。
・小委員会としては、COP6の結果も踏まえて変更もあり得るという扱いにした。
・政策パッケージの実施の基盤整備の部分については、[1]から[4]までの要素を明らかにすべきだという議論があり、その案文を事務局に作成依頼した。政府内の調整も行ったが、直前で、小委員会としてはこの部分の案文は審議していないが、提出はさせていただく。この部分についてもCOP6の内容を踏まえて変更はありうべしという扱いである。部会でここも含めて議論をいただきたい。
・環境保全施策の体系のところは、プログラムの内容を見てからということで、今日はできていない。事務的に進めているので次回たたき台を提出予定。
・4部もまだ案文ができていないが、実効性の確保の観点からはこの部分を思い切って充実強化する事が必要。

○環境計画課長から中間とりまとめ案について詳細に説明
○平岡委員から廃棄物対策等物質循環の在り方検討チームの進捗状況について報告

<休憩>

○中間とりまとめ案について議論

【天野委員】
・31ページはペンディングだが、趣旨がつながらずわかりにくい。二つの段落のうち、下の段落にカッコがあり、「京都議定書の目標を確実に達成できる仕組みとすることは当然であるが」、とあり、その文章の最後に「柔軟性を持たせることが必要である」とある。つまり、義務の達成に柔軟性を持たせるということは、義務を履行しないことも含める必要があると読めるが、こういう矛盾した文章は非常に遺憾。
・修文案としては、「柔軟性を持たせることが必要である」を「柔軟性をもたせながら、義務の遵守を図ることが必要である。」はどうか。つまり、義務は遵守するががちがちに縛ったやり方で自由のない状態で遵守させる方法もあれば、柔軟性を持ちながら各自が別の選択をして義務を遵守するやり方もあるので、そのように書けば首尾一貫している。
・44ページの基本的な方向性で、「関係者全てが・・・方向性が決められる必要性がある」という趣旨の文章があるが、よく似たことが61ページの下から3つ目の段落の[1]の最後の段落に、「世界的な政策形成と実施に多様な主体が参加できるよう情報技術IT・・・環境整備を進める」とあり、先ほどの趣旨とよくあっている。
・後ろはITを使うと言っているが、この2つは、むしろ直接的には基本計画を作るときに、あるいは計画に基づく政策実施の時の「参加」(11〜12ページ)のところでも書かれていたら全体として良いのではないか。
・ある程度の情報はウェッブサイトでみられるが、各省庁をばらばらに見なければいけないので、一元化して一箇所でわかるようにしてもらえれば良い。

【湊委員】
・全般的に基本ワードとして「持続可能な経済社会」が使われている。持続的発展が可能な経済社会という意味だと思うが、この計画の中では経済社会という部分が社会と書かれている部分もたくさんある。基本法4条では「持続可能な社会の構築」とうたっている。経済社会と社会はどう使いわけているのか。全体の理念にかかわる部分だが、コンセンサス、経緯はどうなっているのか。

【安原委員】
・経済、社会、環境の統合的アプローチを進めることとしており、その対象を持続可能な経済社会としてできるだけ広くとらえる趣旨と理解している。

【森嶌委員】
・この2つのワードそのものについての議論は無かったが、これから1度合理的に考え、問題がなければ統一する。

【宮本委員】
・8ページの京都議定書の目標遵守のところについて。京都議定書が批准されるかは非常に微妙な問題で、大統領選挙もあり、COP6でうまくいくかどうかも影響大である。外交政策にも関わってくるため、他国とのバランスを見てやっていかなければいけない。
・枠組みを決めて国内制度を作るということを、ここで明記してしまうというのは外交政策上得策なのかどうかを考えると、「京都議定書が締結された場合には、現行の施策の評価を踏まえ」は入れた方が良い。

【安原委員】
・温暖化検討チームの報告の際も同じ議論をつくして今の部分を落とし、今回の議論でも同じ点が蒸し返された結果、今の案になっており、小委員会としては一致している。
・趣旨は、日本政府としては2002年までに京都議定書が発効するように努めるという基本方針がはっきりしていて、それまでに批准が可能となるような形で議定書を固めなければならず、日本は国際交渉でその方向で努力をしている。日本自らも批准が可能なよう、国内制度を固めておく必要があるり、時間を逆算すると、今からその検討を始めないと間に合わないというタイミングの問題もある。よって検討しよう、ということ。
・COP6の合意の内容を見る必要はあるので、COP6の結果をみて、必要があれば変更するという含みである。この形で政府の方向性をきちんと打ち出す方が大事ではないかということで、外交の観点から外務省とも調整の結果なので、ご理解いただきたい。

【渡辺委員】
・安原委員長の説明を全面的に了とする。

【茅委員】
・この基本計画はまとまっているが、冷静かつ感情がない。温暖化は対策が難しいのが特徴だということをほとんど言っていないため、温室効果ガス削減が簡単にできるように読めてしまう。今まで増加基調であった状況を減少基調に変えなければいけないが、対策は非常に難しいと言うことを書くべき。
・メタンやN2Oはデータがまだなく、排出係数を考えるのはまだ難しい。このような曖昧論を減少させる努力(研究やモニタリング)を対策として盛り込むべき。
・33ページの車のところで、低公害車の例として燃料電池自動車とジメチルエーテル自動車があるが、これは最近出てきたばかりで新しすぎる。今までは電気自動車と天然ガス自動車が盛んに推奨されてきたのに、何もないFCやDMEをいれるのは唐突なので、「従来の流れ等も推進すると同時に新しいものを開発する」としてはどうか。

【寺門委員】
・委員長から説明あったように、小委員としてはまとめたが、ここでまた言わせてもらいたい。いろんな方々に参加してもらうには、施策の評価があって、その上で何をしなければいけないかという議論になるはず。政府として打ち出している施策を評価せずに、次に飛ぶのは、今やっている人に対して理解不能。
・COP6の中身はどう変化していくかはわからない。今の施策がこれにどう影響されるのか、今はまだ全然わからないのだから、書いておいてあとで修正すれば良い。

【森嶌部会長】
・COP6で出てくるのは、京都メカニズムである。COP3で決まっている削減目標については、批准をされなくなってしまうと消えてしまうが、COP6では%が動くと言うことは考えられていない。寺門委員の言われることがCOP6に係るのか、批准に係るのかというあたりのことを議論しておいても良い。

【安原委員】
・検討チームと小委員会の場でも、同じ意見を出してもらった。産業界が自主的取組をしてくれているのは重要な施策として期待している。現行施策を十分評価して、6%に足りるかどうかの評価は、やれるならやるべき。
・しかし、現在の施策は他の目的の施策もあり、併せてCO2削減になっているものや、目標が決まっていないもの、プロパーの観点からの目標がないものもあり、制度的に見ても確実性が十分にない。
・チームの作業の結果出てきており、自ら批准しなければいけないならば、評価を待っていたのでは時期を失してしまう。制度そのものを考えたときに不十分だとわかっているので、その上で6%削減をするには、現在の施策の拡充と、現在行われていないもので有効なものの構築を行うべき。その組み合わせで6%達成できるように、今からはじめようという趣旨。評価してからだと、間に合わないので、今からきちんと達成できるような国内制度を作っていかなければいけないということ。

【森嶌部会長】
・COP3の前にもいろいろ議論があり、政府が6%としたときに確定条件がいろいろあった。例えばCO2は産業界の取組等で90年レベルに、メタンで増える分については、革新的技術の進展と国民の努力で2%減ることに、また、シンクで3.7%減る勘定になっている。少なくとも京都議定書がそのまま適用されると、これよりは低いはずである。全部の森林を勘定にいれるかどうかもわからない。
・仮に温暖化対策の制度について計画を立ててそれをどう進行させるかは、国際状況も踏まえる。しかし、仕組みのあり方そのものについては、作ったら何かすぐに動くわけではないという意味で、6%遵守に対して最大限努力なされたとしても日本にとっては不確定要素がたくさんあるため、検討を進めておくことは重要。
・どうなるかわからないから待っていて、そしていざ足りなくなったらそのときに考えるというのでは政策、戦略としてはうまくないのではないか。将来のシナリオに対応できるような制度を作るべき。何をすれば6%、これをやったら4%、というような性質のものではないく、政策をどのように組んでいくかという提言が基本計画の性質である。

【寺門委員】
・検討はするが、評価が必要であり、なぜそれを書けないのか。今からこういう書き方をすると、やっている人にとっては「一体何なの」ということになる。どんどん屋上屋を重ねていくようなことをやるのは疑問。

【波多野委員】
・わかりやすく書かれているべきで、全体的に文章のワンセンテンスが長すぎる。18ページ(3)、「とともに」、とか、「のもとに」、という言葉が当然のごとく使われている。

【森嶌部会長】
・文章をどこで切るかまでは考えられていないため、小委員会を責めるのは酷。国民の意見をうかがう前に、中身を変えないで文章を短く、できるだけ優しく見直したい。

【福川委員】
・海外にも向けられるように格調高くすべき。見出しも大事なので、「環境の状況、現況、現状」も整理すべき。
・COP6の結果は国内的にも非常に大きな影響があるが、国内の制度の構築のためには、できるだけ具体的な施策が必要だし、現状がどうなっているかという評価をするべき。
・部会長はご理解の上だが、シンクの問題で、3.7、3.2という話がある。6%の内訳は、シンクと共同実施や排出権取引などの1.8で、5になっていた。
・シンクの問題が新聞にでていたが、6%の中身がいつの間にか少しぐらぐらしてしまっている不安がある。共同実施ができるのなら、お金さえかければできるという話にもなる。今の財政状況からでは無理ということになれば、非常に難しい問題。
・COP6の動向は甘くなく、COP6がどうなろうと6%でどんどんいこうということにはならず、その場合は非常に国内の合意形成が難しくなると予想される。環境庁は外務省等とも組んで、全力をあげて精力的にCOP6成功をめざしてほしい。さもないとこの政策はまとまらなくなる不安がでてくる。
・6%は実施しようといっているけれど、シンクやCDMなどでうまくいかないと、その辺りは一応国内対策の時にやっているとなると、看板と中身がかわってきてしまう。今はまだとりあえず環境庁にがんばってもらって、結果を見て考えればよい。

【佐和委員】
・福川さんのおっしゃるとおり。実際に政策のパッケージを考えるときに、COP6の結果は非常に大きく影響する。EUはシンクは入れるなと主張しているし、CDMは実施上の問題もあり、結局使えなくなる可能性もある。
・質問だが、環境基本計画というのは、それらのことは置いておいて、国内対策で何が考えられるかを議論し、計画を策定することが当面の課題なのか。それとも、炭素税を例にとると、炭素税導入の際、途上国がCDMを受入れ、シンクも勘定できるとなり、目標を達成しやすい場合は、税率は低くても良い。逆にCOP6でネガティブな結果になればすごく高率な課税になる。あるいはそれでも足りなければ、国内排出権取引を組み合わせるとか、規制的な措置を講じるとかの問題になる。
・そこで、炭素税を導入せよというように具体的な政策を施行せよ、と書くのではなく、経済的措置は有効であるというように、こういう施策が考えられ、有効であると書くのが計画なのではないか。
・炭素税を導入せよ、と書くわけではないので、COP6の結果がどうでようが、国内対策としては、ここで決めたことが無意味になるということはないと思う。
・排出権取引と共同実施については、その姿形がどうなろうと認められないということはない。そういう意味で、仮に6%の義務に努力をしてみて成果が上がらなかったら大量の排出権を買ってこなければならず、所得の流出になり、迷惑である。所得の流出をできるだけ抑えるよう、無理をする必要はないが、努力をすべき。

【森嶌部会長】
・メニューを書くべきであって、こまかい加減を言うわけではない。いわばメニューなので、「6%実現するため」と書いてあったとしても、ここに書いてあることをやれば機械的に6%達成できるという単純な話ではない。加減や組み合わせについては、そのときの状況で評価をしながら政策を導入することになる。

【藤井委員】
・G8環境大臣会合でも、2002年には環境庁はともかく指導力を発揮して批准にこぎ着けるという約束ができ、NGOとしてもよかった。福川委員が言うように、国際的約束事を守って欲しい。
・地域づくりの57ページの現状と課題のところで、地域レベルから持続可能な経済社会を構築していくことが必要という視点がきちんと書かれているのは評価できる。2(1)のところで、「環境配慮の推進に当たっては、地域の事情を踏まえつつ、地域における取組が可能な限り、国レベルにおける持続・・・」の文は句点がないからわからない。
・むしろ地域への取組を評価したからには、逆に国レベルは地域からどう持続可能な経済社会への転換の具体的なメニューをとってくるかと言うことに書き換えた方が良いのでは。地域の取組が大事で、そこを経済社会への転換への非常に大事な部分と位置づけるようにして欲しい。

【星野委員】
・現行の基本計画に比べて、良くなっていると思うのは、環境、経済社会を統合的なアプローチでつないでいるということ。「あらゆる分野に環境配慮の織り込み」というワードは重要で、現行の計画に比べて進んでいると思う。
・あらゆる主体の参加のところで、行政・政治だけの主導ではなく、ボトムアップもあるので議論しながら政策を決めていくというのは世界的な潮流。23ページの参加というところに、あらゆる主体の参加の政府から始まる順番はヒエラルキーを感じる。思い切って、国民、民間団体、企業、国、としてみたらどうか。

【森嶌部会長】
・藤井委員に聞きたい。逆に、国民を最初に書くと、最初にやるべきなのは国という反論もある。順番を変えてみるか。

【藤井委員】
・星野委員に賛成。生協でも組合員(個)から組織へという感じ。計画でも、新味を出してやってみたらどうか。

【中野委員】
・37ページの目標の最後の「それぞれの流域の状況に応じた目標を設定する」というところは、国民がこれを読んだ時に、関心が深まってきて、自分たちが責任を感じるのでとても良い。
・12ページ真ん中の○は、「行動への展開へ結びついていないところが随所に見られる」で終わっているが、全体の文章と比べると、今後このことについて、十分に留意する事が必要、と付けた方がよいのではないか。

【三橋委員】
・29ページ京都議定書の達成のアの「当面大綱に位置づけられた施策に基づいて」というところは、大綱にはいろいろあるが、6%達成するためには他の施策を考えてもいい旨をこの文章の中に入れておいた方がよいのでは。大綱にしばられてその枠のなかでだけやるというのでは難しいし、これからももっといい施策がでてくるかもしれない。

【江頭委員】
・前の計画から離れられないのかと思うが、発想の転換が必要。未来へ向けての基本計画を出して欲しい。後半のプログラムはわかりやすいけれど、前半はわかりにくい。○がいっぱいだがとった方が良い。一つの文章も長すぎて読みにくいので、見出しを工夫してはどうか。

【湊委員】
・8ページの一番下、12ページの上から2行目から6行目、57ページの上から第2段落目はほぼ同じことを言っている文案。57ページは問題ないと思うが、12と57ページは認識が違ってしまっていないか。分権の一環の権限委譲において、環境に関する権限委譲に見るべきものはあまりない。分権全体の中で地方の権限が強まった、という書き方のほうが良い。
・23・24ページのあらゆる主体の参加のところで、国は施策をいろいろやる、としか書いていないが地方団体のところの書き方とバランスが悪いのでは。分権委員会の意見書でも、廃棄物で国はもっと実施主体になるべきという指摘がされている。国もコーディネータで推進者、プランナーなのではないか。国の役割の書き方はバランスを考えるべき。

【森嶌部会長】
・今日の意見はテイクノートしておくが、次回は手を入れずに、残りの部分を含めて次回さらに議論をしてもらい、その次の時に直せるものを直すこととする。意見があれば、書面で提出していただきたい。

○森嶌部会長から今後の進め方について説明の上、了承。

○資料3「中央環境審議会企画政策部会の運営について」について森嶌部会長から説明の上、了承。

○資料4「地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会検討方針」について森嶌部会長から説明の上、「地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会メンバー」に沿って、小委員会メンバーを指名。

<以  上>