中央環境審議会第80回企画政策部会議事要旨


<日時>平成12年6月26日(月) 14:00〜17:00

<場所>ホテルフロラシオン青山1階「ふじの間」

<出席>

森嶌部会長、安原部会長代理、浅野委員、池上委員、江頭委員、茅委員、神林委員、幸田委員、佐竹委員、佐和委員、塩田委員、鈴木委員、中野委員、波多野委員、平岡委員、福川委員、藤井委員、星野委員、村上委員、村杉 委員、谷田部委員、和気委員、渡辺委員、飯田特別委員、太田特別委員、猿田特別委員、廣野特別委員、桝井特別委員、横山特別委員、寺門専門委員、湊専門委員

事務次官、官房長、企画調整局長、自然保護局長、大気保全局長、水質保全局長、地球環境部長、環境保健部長、官房審議官、企画調整局企画調整課長、地球環境部企画課長、地球環境部環境保全対策課長、地球環境部研究調査室長、地球環境部環境協力室長、企画調整局環境計画課長、企画調整局環境計画課計画官

<議題>

(1)環境基本計画の見直しについて
(地球温暖化対策検討チーム報告・環境における国際的寄与・参加のあり方検討チーム報告等)
(2)その他

<配付資料>

「地球温暖化対策」検討チーム報告書
「環境における国際的寄与・参加のあり方」検討チーム報告書
「環境における国際的寄与・参加のあり方」検討チーム報告書参考資料

<議事経過>

安原部会長代理と事務局より「地球温暖化対策」について報告の後、議論。

【寺門委員】
○COP3の際に国内の方針として、6%削減に向けそれぞれの分野で取り組んでいくことが議論され、その中に、現在レベル以下に目標を立て取り組んでいくことが組み込まれていると理解している。産業界では目標を定め対策を行っているが、その目標が不十分だという評価もあるが、全体としてはスタートしたばかりであり、その評価はまだできない段階。COP6においてどのようなメカニズムが国際間で議論されるのかを一つの節目として見ていくことが重要。
・国内におけるエネルギー構造自身も現在非常に不透明であるが、産業界は、そのエネルギー構造の中でどう使用していくかという問題があり、それらも一つの評価とすべきである。様々な対策は始められたばかりであり、もう少し時間をかけ慎重な評価をすべきである。
・ポリシーミックスには、様々な自主的取り組みから規制的措置までがあり、それは大事であるが、日本がエネルギーの削減、あるいは炭酸ガスの削減という目標に向かっていく際には、エネルギー供給構造や、産業の競争力などを含めたミックスではないか。ポリシーミックスの例として政策がいくつか挙げられているが、それ以外の環境にかかわる政策は多くあり、それらもポリシーミックスと言うべきではないか。
【茅委員】
○第2章は民生、交通、産業と個別の分野について書かれており、第3章は単なるメカニズムについて一般的に書かれているが、そのつながりが不明。第3章をやれば第2章にある結果が実現できるという流れであれば良いが、この間のつなぎは議論をしたのか。
【安原部会長代理】
○その点は報告書にも記述がある。現行施策はできるだけ推進していくが、各種問題がある点については、不十分な点は強化し、未着手の施策については検討を行い、全体として6%の達成が制度的に可能な限り確実となるよう、あらゆる施策を有機的・総合的に組み合わせ、ポリシーミックスとして推進すべきではないかと考えている。そうした立場から、第3章では不十分な点の補強策も触れているが、例えば税制の活用や、排出権、排出量取引など新しい制度については検討すべきとして議論し、意見を整理している。
【茅委員】
○個別の分野ごとに一つの政策がとるインパクトは異なる。例えば環境税を導入した場合に、民生に対するインパクト、運輸に対するインパクト、産業に対するインパクトはそれぞれ異なる。このような場合、一般的なメカニズムだけではなく、各分野においてどれだけ影響するのかを検討しなければ全体としての整合性が極めてずれる。3章のような施策が2章に対してどう跳ねかえり、どこが足りないのかといった点の検討を詰めることが必要である。
【安原部会長代理】
○そこまで十分な検討は正直できていない。検討チームは限られた時間の中で議論を行い、様々な意見を整理し、今後の企画政策部会における検討の素材を提供した。今後、企画政策部会等において検討が進められることを期待したい。
【浅野委員】
○温暖化対策をこのチームで全部まとめることは現実難しい。例えば政策手法として自主的取り組みの枠組みというフレームを提示しているが、ここでは個々の消費者レベルの自主的取り組みではなく、ある産業グループや企業グループが主体となって取り組むようなもののフレームを専ら取り上げている一方で、環境教育のグループは、実際の消費者にどのように話をおとすかという作業を行っている。
・最終的に環境基本計画で内容を具体的に表す際に、他のチームの成果物と合わせながら整理をする必要がある。
【森蔦部会長】
○企画政策部会に課題を残すのではなく、各チームで横を見ながら、腰を引くのではなく、一歩踏み出していただきたい。
・茅委員の意見に関して言えば、確かに詳細まで詰めることは難しいが、一つの手法があった場合、その手法はここでは力がある、またここでは他の手法と組み合わせなければ難しいといった、数量的とはいかなくとも、検討チームでのもう少しきめの細かい議論が、より多くを望むという前提で言えば、やや不十分であると考えている。
【安原部会長代理】
○報告書の最後に参考資料として排出抑制対策の概要として数字が載せてあるが、これは大綱が決められ、その大綱についての削減の見通しを試算という形で示したものである。基準は2010年の対策を講じない場合の二酸化炭素排出量があり、そこから様々な対策でこの程度の削減が見込まれるという試算を示している。
・文中にこの数字がリファーされているが、一括として参考資料で表を示している。これに対して、どこまで進捗しているかといった定量的な分析はまだできていない。
【福川委員】
○第1に国際的な分野について、これまで日本が様々な努力をし、また2002年に向けて京都議定書が締結できるように努力するといった目標を掲げているが、現実の動きを見ると、ハノーバーの万国博覧会に米国が出ていないなど、国際的な問題について合意を得ることは困難も多い。報告書にもCOP6は成功させることが不可欠であると書かれており、合意形成に向けて、環境庁・環境省を挙げて取り組んで欲しい。
・第2に、6%をどう解釈するかである。6%という目標の中には残量部分がかなりあいまいなままになっている部分があり、これをどのよう作るかがCOP6の課題となる。幾つかの政策手段、特に効果の問題とも絡んでくるので、この問題も枠組みをづくりをきちんと行うという意味で、この点についても環境庁・環境省の方で取り組まなければ、政策の根底が安定しないように感じる。
・第3には、関係省庁を含めた議論により成果のあるものにするということがある。エネルギーや交通、あるいは情報関連等さまざまな問題が出てきており、関係省庁が前向きにならなければ動かないという面がある。検討チームの中でもこのような問題があるとすれば、もう少し詰める、あるいは政府を挙げて内容が実のあるものにし、なおかつ実現可能であるようしていくことが求められる。
【森嶌部会長】
○第2、第3の点についてであるが、この温暖化対策検討チームは一応報告をし検討を終えているが、元来、中環審では温暖化対策について検討するとして、去年報告を出している。しかし、温暖化対策という京都議定書を前提とした検討については一時止まっている状態であり、これを部会でもう一度取り上げ、環境基本計画の策定に必ずしも合わせなくとも、検討を行う小委員会を設け、各省庁にも参加してもらい議論を行う予定である。
【飯田委員】
○第3章第2節「経済的措置について」の部分で、税の活用に賛成・反対の意見とも「国民は、地球温暖化において被害者であるとともに加害者である」と記述されている。実際、川下の方がアナウンスメント効果が高く、また価格の転嫁が非常に難しい点から、川下でしか考えられないと思うが、反対の意見でも川下なら良いのではというニュアンスの表現になっており、川下で課税ということであれば、反対の方もある程度納得するのではないかと思うが。
【森蔦部会長】
○一般的に川下で課税する場合、税収よりも徴税コストの方がかかることもある。その意味で、実際に経済的負担をかけられて行動を変えるということであれば意味が、税という観点から考えれば、必ずしも川下でかけることが良いことではないという理解である。
【安原部会長代理】
○川上・川下については、議論をできるだけ正確に紹介しているということである。25ページの反対意見の一番最後「転嫁は事実上不可能というのが現実の経済の実態である」とあるが、その跳ね返りとして、仮に税を考えた場合、川下の方が転嫁の問題も生じないし、アナウンスメント効果も大きいということは認識しているということであり、川下ならいいというほどの強い表明ではない。
・京都メカニズムについては、まさにCOP6での合意を期待するしかない。しかし基本は国内対策を行い、どうしても国際的な柔軟性のある措置を活用しなければならない場合に、活用できるようにすることである。
・関係省庁との関係であるが、主要関係省庁に現行施策の実施状況について説明を一通り伺い、それを踏まえて検討を行った。また、報告書をまとめる段階では、事務局よりヒアリングを行った省庁に対し、意見があればとして伺っている。しかし、その意見は、検討チームの判断で取捨選択したということであり、関係省庁と調整ができているということではなく、あくまで検討チームの意見としてまとめたということ。今後、さらに具体化していく段階では、関係省庁との調整がさらに重要となる。
【福川委員】
○関係省庁との関係は引き続きお願いしたい。
・今のCOP6のCDMその他の関係であるが、6%の中でのかなりの比率のものが、やや新しい制度に依存している。従って6%にする際に、国内の関係者を説得をする、あるいは制度をつくるときに関係者の合意を得るという際に、国際的なものは一切無理だが国内だけ実施ということでは、国内で納得が得られにくい。
【森蔦部会長】
○京都メカニズムの議論をし、6%達成をしなければならないが、京都メカニズムで出ているものをそのまま実行した場合、3%以上は一種のウィッシュフル・シンキングという面もある。様々なシナリオを考えながら行う必要がある。
【佐和委員】
○第1に、経済的措置等を導入した際に、それが産業・民生・運輸等の各部門のCO2 排出をどの程度抑制するのか、あるいはどういう影響があるのかということをちゃんと議論すべきであるという意見があったが、チームで充分に討論されたと認識している。
・例えば炭素税については、税収が一般財源に組み入れられる場合、目的税になる場合、あるいは同額の所得税減税により税収を中立にするといった場合について、影響はそれぞれ異なるが、議論は充分尽くした。
・また影響は、マクロの影響よりもミクロの影響の方が重要である。マクロの影響については、長期的に見れば炭素税を導入してもおおむね中立的であるが、ミクロの影響は、例えばエネルギー多消費型の輸出産業の国際競争力を損なうといったネガティブな影響が予想される。その場合、例えばその様なエネルギー多消費型の輸出産業については免税にする、また措置を講じる、フェアネスとの観点からはどうかといった議論は充分行った。しかし報告書では、細かい議論は割愛せざるを得なかった。
・国際制度、京都メカニズム等に関しては、このチーム全体の多数派の意見としては、京都議定書では補足的に書かれているため、それを頼りにして国内対策を考えるのではなく、国内対策は国内対策として詰めていこうという議論であった。
・日本、アメリカ両国で、費用対効果という点で非常に有利に展開できるのは、共同実施ないし排出権取引ではなくてクリーン開発メカニズムだと思う。COP6において、排出権取引や共同実施に関しては、大筋における合意は成立すると思うが、クリーン開発メカニズムは途上国が絡むということ、ある一つの共同プロジェクトが行われたときに、その共同プロジェクトをCDMと見なすかどうか、その基準については非常に意見が多く、CDMについてはさらに今後の検討にゆだねるという形でごく部分的にしか枠組みは決まらないと思う。COP6がうまくいったとしても、ここ1両年の間に国際メカニズム、例えば排出権取引の価格が一体どのぐらいになるのか、あるいは、CDMによってどの程度のクレジットを獲得できるかということについての見通しは立ちにくいと思う。
【廣野委員】
○第3章第2節「経済的措置について」で、第1項については「賛成とする意見が大勢を占めたが、一部に強い反対意見があった」ということで、この両論併記となっているが、税の活用に反対する意見に疑問がある。
・第1に、「我が国においては、過去2回の石油危機に伴うエネルギー価格上昇・・・」とあるが、この石油危機が起こった1973年から74年、また79年から80年はともに経済成長がかなり高い時代で、非常にエネルギー需要が大きく、エネルギー価格の上昇にかかわるエネルギー需要が伸びることは自然である。現在と当時とは状況が異なるので。この点は検討すべきである。
・第2に、「ノルウェー、イタリアやドイツのように、温室効果ガスの抑制を目的としつつも、・・・」とあるが、この場合、政府が実施する際に税収中立で行うといった発表し、それでも国民が選択したのであり、その意味では、ここに得られた税収を所得減税や社会保障費削減に充てている場合が多いことは当然である。
【寺門委員】
○環境税の導入は、日本の経済の実情をどのように認識するかという問題。EUは統一通貨で、国が一つになりつつある雰囲気の中で物事が進んでおり、また資源国でもあり農業大国でもある。しかし、日本は資源、農産物、食糧の多くを輸入に依存しており、20%強の製造業によって支えられている現状である。EU各国が導入してきたので日本も導入するではなく、エネルギーの消費構造を変えていくこと、またどう両立させるのかという議論をすべきである。
・例えば今環境税をガソリンで上げたら1年、2年で本当に効果があるかという議論はない。1円、2円上げればアナウンスメント効果がありという意見もあるが、現状で20円上がったことについては何もアナウンスメントはしていないのが現状。現実論としてどのようにそれを理解するのかという議論がない。
【谷田部委員】
・16ページ第5項にライフスタイルの実現として記述がされているが、あえてこの第5項を設けられた理由、またどのような議論の中で出てきたことなのかを伺いたい。
【安原部会長代理】
○第2章冒頭に記述があるが、事項の立て方については、現在の環境基本計画の対策項目に則して、具体的な施策が制度的に確実に効果を持つかどうかという観点から検討した。ライフスタイルについては、基本計画の前に作られた地球温暖化対策行動計画での事項の立て方を踏襲して検討した。
【浅野委員】
○このチーム報告書の中で新しい提案があるのが、32ページ以降の目標遵守制度のイメージである。削減・吸収計画をはっきりし、それについてモニタリング・メカニズムがあり、それをフィードバックさせる形で対策強化メカニズムが動くといった、このような構造の提示は非常に重要な提示である。
・また、33ページ第1項「国の計画」の部分でセクター別、あるいはさらにブレークダウンする形で目標を決める必要があると記述されている。現計画は確かに行動計画を踏まえ、そのメニューを並べたものであり、今度の基本計画の段階では、そっくり踏襲するのではなく、どのような形で整理するのかが問題。
・しかし、セクターに切れない問題もあり、手法もどのセクターにもきくもの、個別部門にきくものとがあるため、計画づくりの段階でシナリオを書きながら、入れ込むのか、今までの過去の計画の中にあったシナリオを全部入れかえるかという議論をする必要があるが、チームとしてはどんな見解だったのか伺いたい。
【安原部会長代理】
○現行計画の評価については、対策項目に則して行ったということであり、今後の新しい計画をどうするかという観点からの突っ込んだ議論はしていない。
・自主的な取り組み、経済的措置、規制的措置や環境投資といった切り口でポリシーミックスを形成すべきだという議論は行ったが、対象セクターをどの様に立てるかいった議論には至っていない。
【浅野委員】
○ここでは問題提起にとどまっているが、モニタリング・メカニズムは非常に大事な指摘である。計画の中でその中身を詰めて書くということはできないかもしれないが、この様な発想法は今後重要視すべきである。
【森蔦部会長】
○従来の基本計画に対する点検で、結局、実施のメカニズムができてないのではないかということは問題であり、今度の環境基本計画策定にあたり、どの様な形で計画を実施していくのか、その意味では、どの程度ここでの議論が盛り込めるかはわからないが、モニタリングや評価、見直しということは当然入ってくる。
・まだ意見はあると思うがこの辺にしたい。基本計画では両論併記はできないので、企画政策部会では、この報告を基本計画の中にどう組み込むかという作業をこれから行っていく。

休憩をはさみ、廣野委員より「環境における国際的寄与・参加のあり方」について報告の後、議論。

【谷田部委員】
○質問をしたい。ODAについては、内容以外にも資金の使い方といった視点での評価もあり得るが、報告書11ページの「(4)評価手法の開発」は、環境に対して実効があるかどうかという評価という理解でよいのか。
【事務局】
○環境面からということであり、お金の使い方といったODAそのもののところまでは必ずしも踏み込んでいない。
【森嶌部会長】
○報告書の記載は「環境改善効果を含めた」となっている。
【廣野委員】
○補足したい。部会長の指摘の通り、「環境改善効果を含めた評価のための客観的」ということであり、通常のいわゆる行政効果的なもの、あるいは会計的な側面ではなく、環境改善効果そのものに対して焦点を当てていくということである。現在も環境庁において、その評価手法の研究を行っているが、こういうものをより高めていくということである。
・同時に、ODAについてはプロジェクト評価が中心であったが、外務省のODA評価に関する新しい検討委員会の報告書にあるように、これからはできるだけセクター評価やプログラム評価、あるいは政策評価まで行っていこうということである。そのための手法開発を各省庁で始めているが、そういう面もこれから強化していこうということである。
【浅野委員】
○11ページの「○開発途上国の開発計画への環境保全の統合への支援」において、上位計画の段階から代替案の検討を進めることが戦略的アセスメントの導入であるという書き方になっているが、戦略的アセスメントというのは必ずしもこういう限定された場面だけではない。物差しがない、基準があってこれを達成しなければいけないというレベルで議論をすることができない領域で、比較をするということが何より有力なツールであるというところから代替案の検討というのが出てくるわけであり、むしろ前に「など」をつけた方がよい。
○15ページの4の(3)は、重要な指摘であり、特に我が国のNGOの強化という点は極めて重要である。
・ここで書かれていることは、我が国における環境政策の形成と実施について、国内での結果を国際的な寄与の場に生かすという趣旨であり、これも非常に重要な指摘である。現行計画では、国内の内容は全部その前で整理し、国際的寄与のところは専ら外向きのことのみという構造になっており、非常につなぎが悪かった。これが現行計画、あるいは環境基本法の構造そのものの持っている若干の問題点である。この報告書の記載は、国際的寄与と国内とのつなぎ目をしっかりするという意図で書かれたものと理解できる。計画を策定するときの視点として、今までのものとは違った形のものが提示されていると考える。
【廣野委員】
○指摘の通りである。国内体制が整備されていないと、国際的な寄与もできないということを強くうち出すために、4の国内体制の整備を特に重要な課題として設定した。
【横山委員】
○国内体制の整備の問題と関係するが、国際交渉の場で、日本の担当者が数年程度で変わってしまい、それまでの経緯を知っている人がいないといった点を指摘されることが多いと思うが、その辺の議論はあったのか。
・環境庁ではそのような問題についてどう考えているのか。人事異動の面で、数年で変わらなければいけないというのはある程度わかるが、国際交渉で他国はみな前の会議から出ていて全部経過を知っているのに、日本からは新しい担当者が来るといった問題をどう考えているのか。
【廣野委員】
○検討チームのメンバーである外務省元国連大使の波多野委員も同じ点を強調しており、環境庁に限らず対外交渉をしている日本の各省庁は同じような問題を抱えていると認識している。しかし、この問題は、環境における国際的寄与・参加のあり方というテーマの中で検討するには大変難しい問題であり、4の(1)と(2)と(4)で、このような問題点を認識していることが読みとれるように記載したにとどめてある。
【事務局】
○環境庁に関しては、仕事が変わっても最初に担当したプロジェクトについては最後まで面倒を見るということがかなり行われている。往々にして、新しいテーマ等については、特に職員の数の問題があり、たくさんのテーマを抱える面もある。できるだけ各職員が分散してテーマを抱え、なおかつそれを最後までフォローできるようにしたい。  
・環境庁は非常に小さな組織で人数が少ないため、逆に、立派な組織にでき上がったところとは違って、ある程度弾力的にしないと機能しないという側面があり、結果的に、そのような面が多々ある。しかし、これは褒めたことなのかどうなのか。人数が少ないために融通無碍にやっているという面もあるし、後継者の育成が足りないのではないかといった課題を抱えていることも事実である。
【佐和委員】
○10ページ(1)の「○クリーン開発メカニズム(CDM)」で、CDMは民間資金・技術の誘導手法として重要であると書かれている。確かにその通りであるが、政府が主体的に行うCDMも当然あり得る。そこで問題になってくるのはODAとのかかわりである。4ページ(3)の二つ目の「・」のところで、環境ODAについて、最近では要請主義にとどまることなく共同形成主義が進みつつあるということが書かれているが、ある共同プロジェクト、共同事業をCDMと認定するか否かということの基準の一つとして、フィナンシャル・アディショナリティという考え方(京都メカニズムがなくても行われるような共同事業というのはCDMと見なさないという考え方)が非常に強くなっている。ODAの予算の枠内でなされるような事業が、いくらCO2の排出削減をもたらすにせよCDMと見なさないということになれば、環境ODAは一体何かということになる。
・そこで、質問であるが、制度的な意味で、ODAと環境ODAとの関係というのはどうなっているのか。つまり、ODAでなされる事業はCDMに認知しないということがCOP6で仮に決まったとすれば、環境ODAというのはどういう扱いになるのか。あるいは別枠でCDMのための予算といったものがつくられることになるのか。
【事務局】
○指摘の点は、まさに国際会議で交渉しているところであり、CDMに対してODAをどのように使うのか、また使うことの是非についていろいろ議論のあるところである。その後どうするのかという点は、COP6の結果を踏まえないと具体的に考えられない問題であるが、我が国としては、できるだけ途上国でCDMのようなアレンジが積極的に進むように、ODAも活用していきたいという立場である。なお国際的にはいろいろ議論があるところである。
・環境ODAに関する定義については国際的に合意されたものはない。我が国の分類では、居住環境改善、森林保全、公害対策、防災、その他といった分野に資するものを統計上環境ODAと定義をしている。
【廣野委員】
○COP6の中で、CDMとODAがどのような関係になるかということが議論されることになるが、今行われていることだけ申し上げる。現在、農業あるいはその他IT関係も含むあらゆる分野での開発調査がODAで行われている。その一環として、環境に関する開発調査があり、その国の環境整備のために、CDMをどう利用したらいいかといったところまで入り込むことができる。開発調査の中で、例えば日本の対中国に対する開発調査の中で環境問題について議論するときには、当然、何らかの格好でCDMに触れざるを得ないが、実際に実行の段階になると、ここに書いてあるように民間の資金、民間の技術を利用するということが今のところの前提ではないか。なお、これは個人的な経験からの申し上げたものである。
【波多野委員】
○国際的寄与・参加のあり方において一番重要な問題点は、やはり国内体制の整備の問題ではないかという印象を、国連代表部にいるときにずっと抱いていた。環境庁としては努力しているだろうが、国際的寄与・参加のあり方という問題になると、大蔵省、通産省、外務省、農水省なども関係があることであり、その他の省庁が必ずしも環境庁と同じような体制をとっているとは限らない。そして問題は、環境庁がリーダーシップをとるような立場にないということではないか。この点が検討チームにおいても問題になり、もっと書き込もうかという議論もあったが、この問題はこれからできる環境省のあり方自体の問題でもあり、この報告書でそこまで書くのはちょっと書き過ぎではないのだろうかということで深くは書いてない。議論の底流にあったのは、「環境庁がもう少し強くなってリーダーシップをとれるようになってもらいたい」というものであったと感じている。
【森蔦部会長】
○次に、環境基本計画の見直しの進め方は、今後、環境基本計画小委員会で論点整理の上、中間まとめ案のたたき台を作成して8月上旬予定の部会で審議する。環境基本計画小委員会は基本的には企画政策部会の一環なので、審議等も公開し、資料等も公開する。なお、この小委員会の配布資料は、委員全員に配布し、小委員会委員以外の方々も事務局へ意見を提出でき、それをまた小委員会で議論する形をとる。そこで、小委員会を進めるにあたり、この小委員会に対する注文について議論したい。
【塩田委員】
○例えば地球温暖化の問題について、先ほど安原主査から、京都議定書の6%を維持できるかは、今の段階では具体的な評価ができていないとあったが、環境基本計画の見直しの中で具体的な評価を進める手続をつくり、それに従って具体的な評価をするのはどうか。
・温暖化の報告の議論の中で、今までの計画をやり直しても良いという趣旨の発言が浅野委員からあったが、それは、参考資料にある分担関係をこの際見直すことを意味するのか、どういうことを意味しているのか。
・地球温暖化の問題について考えると、具体的な項目ごとに検討をして、対策が一般的になったのは、現状の分析が十分できてないからであり、今後は全体の作業をする枠組みをつくり、点検しながら進んでいくという大きなシナリオを描いていると解して良いか。
【森嶌部会長】
○浅野委員からの発言を決めるのは部会。実質的に6%であるかどうかまだ確実ではないが、具体化されたときにフォローしていける仕組みをつくることが、先ほどの報告の示唆だと思う。もちろん手続だけつくっておけば良いわけではなく、具体的なチェックをしていく仕組みづくり、見直し方法も含めて今後詰めていってほしい。それだけではなく、どういう手段、手法を使うか等についても議論した方が良い。ただ、その手法を使っても、どの時点でどれだけのものができるのかは今の時点ではわからないので、それに対応できる仕組みをつくっておくことになると思う。
・これまで環境基本計画は何度か点検をしたが、各省庁でも有機的なつながりがなく、温暖化の問題についても、当時の知見を反映したきちんとしたプロセスが書かれていないので、そのような点でもとの環境基本計画を前提にしたものをもう一度見直して、現在の状況のもとで展開したほうが良いと思う。
・現在の環境基本計画の見直しの作業と並行して、温暖化対策のあり方については、去年中断している委員会があるので、そこをきちっとサブスタンスも含めて検討をしてもらいたい。環境基本計画はフレームワークづくりであって、どうこうすることを細かく書き込む場ではない。
【浅野委員】
○森嶌部会長の発言と同様で、今の環境基本計画の地球温暖化対策の項目に並んでいるシナリオは、もう1回見直さなければいけないという趣旨である。重点項目が、どれ一つをとっても温暖化の話につながっていくような共通の根を持っているので、温暖化対策で書くことは、前回の施策を並べるような形ではないものになるという意味。そして、一つ一つの重点項目をしっかり書くことによって、新しい21世紀の10年間ぐらいのシナリオが書けるのではないかという意味。
【森嶌部会長】
○今まで各検討チームの報告の際の議論も小委員会で検討していただきたい。
【池上委員】
○温暖化対策や国際貢献については環境省あるいは環境庁のスタンスが少し欠けていたと思うが、平成11年3月の環境基本計画見直しの基本的方向の具体的事項の中にあるリスク論的アプローチの強化は、環境を担当する部署の仕事であり、それを反映した形で温暖化対策なり国際貢献をするというような基礎が欠けているように思う。
【森嶌部会長】
○御指摘とは違う観点だと思うが、意見として今後の審議に反映していく。
・中環審で地球温暖化に関して、平成9年の12月に今後の地球温暖化防止対策のあり方 についてという諮問を受け、平成10年の3月の中間答申では温暖化対策推進法のあり方を中心に基本的な方針を議論した。そこでは、企画政策部会としても京都議定書の履行を担保し得る制度のあり方について引き続き審議を進めることになっていたが、中間報告の段階で中断しているので、2002年に京都議定書が発効した時に、6%の削減目標に対して慌てることのないように、COP6に向けて京都メカニズム等の審議を再開したいと考えている。温暖化は環境基本計画の中心ではあるが、見直しという大きな問題もあるので、同時並行にやらざるを得ない。並行といっても、温暖化防止対策のあり方に関する小委員会が全く基本計画の見直しと無関係ではないので環境基本計画小委員会のたたき台作りの過程で反映をさせていきたい。そこで、地球温暖化防止対策のあり方の検討にかかる小委員会を立ち上げ、今後検討を続けて、環境基本計画見直しの終わった段階で部会に上げることを考えている。メンバーは、温暖化の検討チームの方を中心にして、検討方法については、基本計画と調整をして、部会の方に報告したいと思う。同時進行で地球温暖化防止対策についても小委員会を設けることを了承いただきたいと思うがどうか。
【寺門委員】
○今まで地球温暖化チームで検討してきて思ったが、各省庁同志で非常に広く議論をしないと、ポリシーミックスだけが残り、また同じ議論をすることになると思うが、地球温暖化の小委員会の議論するときには、どういうことをどう議論していくのか。
【森嶌部会長】
○あくまでも検討チームは、具体的な手法・施策について環境基本計画の中にどういう問題・要素を持ち込むかということであって、個別の対策そのものを議論することが目的でない。これに対して、温暖化防止対策のあり方についてはまだ中間報告の段階であり、最終報告のあり方について企画政策部会で議論する場合には、かなり詳細にわたった議論する必要があり、それには、環境庁だけではなく、各省庁、産業界、NGO等とディスカッションをしながら動くようなやり方をしなければならない。中間報告以後、まずはどういう変動があってどういうことが考えられるかを温暖化の小委員会において検討したいと思うが、小委員会とは、諮問に対してこういう対策を立てていくべきではないかという答申を行う所である。今の時点で、具体的に環境基本計画の中での温暖化対策と温暖化の小委員会とどれだけ違ったものができるかについては、むしろ審議過程で決まることが多いと思う。この意見については、むしろ全体の部会の中で検討したい思う。

<以  上>