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中央環境審議会第69回企画政策部会議事要旨


<日  時> 平成11年11月5日(金)10:00~12:00
<場  所> ホテルフロラシオン青山1階 富士の間
<議  題> (1)環境基本計画の見直しについて
(2)その他

<配付資料>
資料1 第68回企画政策部会議事要旨(案)
資料2 第68回企画政策部会会議録(案)
資料3 「環境基本計画の見直しに係る審議の進め方について(案)」
資料4 総合的環境指標検討会報告書案
 -総合的環境指標の取りまとめと活用について-
資料5 海外諸国等において環境を数量化して政策に活用している例


<議事経過>

 事務局から各種資料について説明の後、資料3「環境基本計画の見直しに係る審議の進め方について(案)」について議論。

 

パブリックコメント、国民の意見募集が予定されているようだが、何か新しい試みは可能か。


(事務局)
 ホームページに掲載して意見を募集したり、ヒアリングを適宜開催したり、中間とりまとめについてはパブリックコメントや全国ブロック別ヒアリングを行ったりする予定であり、国民の意見をできるだけ吸収していきたい。


天野委員から、資料4「総合的環境指標検討会報告書」について報告。

環境問題の要因から対策に至る事象を関連づけたモデルを構築し、政策立案、目標設定などへの活用を行うことが重要。しかし、経済モデルのようなものが環境の分野にまだできていない現段階としては、もっと簡単なことを考えることも一つの手である。
例えば、廃棄物量の上昇率と物質投入量の上昇率を足したものをGDPの上昇率と対比するような格好で、不快指数を出すことも一案。その場合、指数の望ましいトレンドに対し、実績がうまくいっていない限りは不快ということになる。マクロ的には、今後、こうしたシグナルを作っていくことがあり得る。
一方、森林面積のような指標については、これが減少していても、それでは具体的にどうしたら減少させずにすむかというメカニズムが示されない限り、国民に訴えるものがないのではないか。森林面積のような共生関係の指標は、最後にどこへつなげていくかを意識しないと、効果的な指標にならないと考えられる。
総合指標の開発に当たっては、背後に理論モデルがあり、その理論モデルの作成に必要な情報を指標化することになる。しかし、環境に関しては、データの背後にある人々の活動との関係を考えながらデータを収集する体制になっていない。こうした環境関連の情報収集の体制を組織の中に組み込むことが必要である。経済関係(経済企画庁)と環境関係(環境庁)との更なる連携も期待している。
CSDでの議論でいわれているのは、「環境」というときに、それをどこまでみていくか、ということ。
海外においても、我が国のような環境関連の指標を作成することが重要であり、特に途上国の場合、紛争による環境破壊を、指標としてどのように設定できるかが重要。こうした指標は、環境協力のプロジェクトの形成、実施、評価の際に使うことができる。
参加指標の中で、国民の参加度の分析にジェンダー要素(男女別でもよい)が入るようにしていただきたい。そのためには、環境庁は、毎年又は1年おきに全国民対象(3000人~5000人など)で参加に関する調査を実施し、男女別、年齢別、地域別の年次変化を追跡できるようにする。指標化に際して、既存のデータを利用するのみならず、新しいデータの構築について、30年の計を立てていただきたい。
報告書において、「参加」や「国際的取組」の指標については進展が見られないが、今後は、公平性の視点から指標づくりを進めていけばよいのではないか。
今は、報告書に示された幾つかのものをどう使うかを考える時期にあると思われるが、未だ数値自身の問題があるので、もう一度、指標に係る検討作業を行う必要がある。
報告書においては、データが決定的に不足しているものがあるため、こうした環境情報の欠落部分をきちんと埋めていくことについて、環境基本計画の中でも明確にしておかなければならない。EU諸国では環境情報部のようなものがでてきている。
環境に関する指標は、幾つかのデータを組み合わせて、そこから読みとる力を発揮させていくことが当面の課題。
総合的環境指標については、こういう答えを作りたいといえば、そういう答えが作れるものを作ることができる。ただ、それが本当に意味があるのかどうかが重要である。
指標を作ることは、[1] 時系列の分析がし易くなる、[2] クロスセクション的な分析ができる、[3] 政策選択がはっきりしてくる、という点で意味がある。
・報告書自体は、今後の政策提案の方向性を示すものであるが、当面は、政策選択を明確にするようなものが出てくると良いのではないか。例えば、地球温暖化を防ぐために、物質のリサイクルをした方が良いのか、省エネをした方が良いのか、あるいはその他の政策手段の方が効果的であるかが分かるようになっていくのが第一の段階であると考えられる。
指標と政策目標との中間に幾つか定めておかなければならないことがあるのではないか。特に、自然系、共生系に関わる部分は、一部しか指標、定量化等ができないため、全体的な環境の目標のようなものを作る必要がある。
生物多様性については、多様性条約の段階から人間活動が加わった景観、ランドスケープの多様性ということもいわれるようになってきている。どのように人間活動の中で維持されてきた自然を活かしていくか、誘導していくかが政策課題となっていくのではないか。
地域の環境づくり、環境管理という観点からは、環境基本計画の中で、参考資料のような形で使えそうな指標を紹介することが効果的ではないか。


(森嶌部会長)
 企画政策部会では、指標を基にして、そこからどういう目標を立てるのか、そしてその目標を達成するには、どういう政策的手法を講じなければならないかを御議論いただくことになる。
(事務局には、総論の各テーマの議論の際に、関連する指標を提供していただきたい)


目標を実現するためにどういう施策を講じるのが良いか、つまり、どのハンドルを動かせば何が動くのかということは、指標の検討をいくら行っても出てこない。環境については、それを取り巻くいろいろな活動が全部関係してくるので、その関連性を分析することも必要。したがって、ある程度指標の検討が進んだ段階から、指標と人間活動との関係について分析する検討会が必要。


(森嶌部会長)
 重点的な領域については、11の検討チームにおいて、[1] これまで開発した指標を使って何らかの目標を立てられるかどうか、[2] 目標を設定できるとしたら、どういう政策手法があるのか、ということを検討すべき。環境基本計画の見直しは、本来そういうことをすべきである。

<以 上>