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中央環境審議会第68回企画政策部会議事要旨


<日  時> 平成11年10月1日(金)10:00~12:00
<場  所> ホテルフロラシオン青山1階 富士の間
<議  題> (1)環境基本計画の見直しについて
(2)その他

<配付資料>

資料1 第67回企画政策部会議事要旨(案)
資料2 第67回企画政策部会会議録(案)
資料3 「環境基本計画の見直しの論点と作業の進め方の整理について(案)」
資料4 国の取組状況(各分野の施策の目標に対する取組)
資料5 諸外国における環境総合計画等の動向
参考資料 平成11年版 図で見る環境白書

<議事経過>

 審議に入る前に、7月27日付けで任命された西岡秀三専門委員の紹介。

 事務局から各種資料について説明の後、資料3「環境基本計画の見直しの論点と
  作業の進め方の整理について」について議論。

各論的事項の「4」の廃棄物対策等物質循環の在り方の「廃棄物・リサイクル対策一体となった」という表現は、廃棄物とリサイクルにだけ集約されすぎており、もっと上流から下流まで全部含めて全体として循環社会を作るという趣旨が分かるようにすべき。
「6」の生物多様性の保全の「地域生態系」の「地域」の定義がよく分からない。ローカルだと思うが、リージョンだとすると定義がわからなくなる。
「9」の持続可能な経済社会の実現のための投資のあり方(環境投資)の中に「投資主体」という表現があるが「資金を供給する側」という意味なのか「融資を受ける側」という意味なのかわかりにくい。

(森嶌部会長)
「地域」も「投資主体」も環境白書からきており、「地域」はローカルのことだと思う。
「投資主体」は金を出す方の話で、金を貰って設備に直接投資するのではない。
「4」の廃棄物対策等物質循環の在り方の文章の表現は考えることとする。

各論的事項の項目は課題が掲げられている部分、手法・手段が掲げられている、あるいは政策の統合自体が問題である部分などがあり、各チームが検討するときに、他のチームの検討内容がぶつからないように縄張りを作ると総合的な検討ができなくなるので、大胆にはみだしてもいい。

 例えば、先ほど御指摘のあった「廃棄物対策等」は、循環型社会を目指すということが大きなトレンドとしてあるが、これは他の検討項目にも出てくる。「7」の「環境教育等」も、学校教育や生涯教育といった既存の枠内に入れるのではなく、環境の政策手法として位置づけるべきである。従来の「啓発普及」・「誘導」という政策手法と言われていたものと、「環境教育等」がオーバーラップするという認識で小委員会の報告書はまとめられつつある。そういう意味では政策手法の一つの切り口を取り上げるのだから、「7」と「8」はかなりの関連性をもちうるという理解で検討する必要がある。


(森嶌部会長)
 ここに書かれていることは、事務局側・部会長として考えていることであるが、検討チームでの議論を枠付けしようとか、縄張りを確立しようとしているのではない。各検討チームの議論の結果、検討事項が広がり、意見が違うこともあると思うが、それは部会全体で議論して調整していく。


「持続可能な経済社会の実現のための投資の在り方」を議論するうえで、環境と情報通信技術との関わり合いという視点が必要。情報通信技術の大きな変化により国民のライフスタイルが環境面にどのように関わってくるのか。情報通信の技術を環境問題にも積極的に活用する必要がある。想像以上に情報通信分野は発展すると思うが、循環型社会経済システムの中でどう関わって活かすのかを見る必要がある。
例えばCO2の削減・環境負荷の改善にも情報通信システムを活用することによって、大きなメリットがあるのではないか。
地球環境に関する啓発とか教育の問題にも情報通信の発展が大きく関わる。
いずれにしても、情報通信は、環境問題のなかで横ぐしとなるものであり、取り上げ方を検討していただきたい。


(森嶌部会長)
 情報の問題は、白書でも取り上げられており、視野から落ちていたわけではなく、これからの検討チーム、部会での議論の時に、十分検討しなければならない問題であるが、今の発言の内容を環境投資だけでくくってしまうと少し狭すぎるので、情報の問題について、新しい事項や例示を増やす必要があるかについて、検討することとする。


「11」の「環境における国際的寄与・参加の在り方」を考えるとき、一番大きいことは、国際的寄与・参加により、日本自身が、環境で良くなるということであり、このことは、他の事項と大きく関わってくる。
国際的寄与を途上国の問題で考える場合、途上国の工業・経済発展からの環境問題だけでなく、貧困そのものから起こる環境問題をじっくり考える必要がある。
「4」の2行目のところで「リサイクルを基調とし、」とあるが、その後、「やむを得ず適正処理に付す廃棄物であっても、その過程では余熱利用(又は「焼却余熱の回収」)などを徹底し、廃棄物・リサイクル対策一体となった・・・・・」と言うような文章に変えていただきたい。現在でも再使用・リサイクルできない廃棄物は非常に限られている。できないのは、物理的・技術的にできないのではなく、経済的に採算にあわないからである。そのままにすると、相当簡単に適正処理の方に回されてしまう可能性があるが、やむを得ずそうする場合でも、その過程でまたリサイクルできると考えた方が積極的。


(森嶌部会長)
 御指摘は十分に承知した。長く書き込めるかは別として、「4」の表現を検討する。


「11」の環境における国際的寄与・参加の在り方の6行目に「技術開発」の言葉があるが、地球環境の問題においては「研究」の言葉をぜひ入れてほしい。モニタリング等もあるので、「技術開発」でなく「研究・技術開発」のように「研究」も入れてほしい。特に環境庁を中心にアジア太平洋地域に協力ネットワークをつくっているあたりをぜひ強調してほしい。


(森嶌部会長)
 「研究・技術開発」とすると、技術の研究だけの感があるので、「調査研究」は別立てがいいかもしれないが、これも検討する。


「11」の締めくくりを「我が国の環境政策に適切に位置づけていく」と、「環境政策」に問題を絞り込んでいるが、先ほどご指摘があったように、環境政策を越えて経済協力とか外交政策などに環境を勘案していくことが重要である。例えば「環境政策」の次に「経済協力政策」の言葉を足すこと等が考えられる。
グローバリゼーションあるいはグローバルスタンダードといった国際的枠組みによる貿易の自由化の問題や産業間の物質フローを含めた流れ等があるが、これらが環境と齟齬を来すことがある。国際的なスタンダードを日本の環境政策で採用するのが日本の伝統でもあるが、このような外圧利用による視点での議論が大事な時期にきており、日本のNGOのレベルでも政策の提言がなされている。この点も主要な論点として「6」や「8」にでも盛り込んでいただきたい。


(森嶌部会長)
 8は少し観点が違うと思うが、ただ今の発言が、このペーパーで読め込めるのか否か、検討することとする。


これからも日本の研究開発が必要であり、今後どのようにして、研究開発を促進していくのかという切り口で論点を挙げていただきたい。
全体として労働生産性より資源生産性とか、技術のグリーン化とか書いてあるにも関わらず、技術そのものの項目がないので、項目の追加があっても良い。
労働生産性より資源生産性という考え方に立つ技術の新しい見方・考え方をより体系づけていくことが必要。


(森嶌部会長)
新しい技術の開発・研究は総論的なところで議論いただくことになると思うが、今の御趣旨は了承した。
本日は、ここで掲げている項目のどこかに入るかという視点で御議論いただきたい。ここで掲げている項目で読めない、検討チームで検討してもらえない、あるいは部会でも落とされるおそれがあれば、論点に追加するようにする。


先ほどの御指摘のあった国際的な枠組みの問題は、「11」の「環境における国際的寄与・参加の在り方」に入ると理解していたが、この項目を参考として説明した部分の書きぶりは地球環境や日本周辺地域の環境保全に対して日本が資金・技術協力するという書きぶりになっている。WTOと環境などの国際的に大きな枠組みを作るというようなときに日本がどう貢献するかという視点は、入れる必要がある。
「11」に、「このため」とあり、「国際社会での環境に関する」というところが、限定されている。そこに、難しい問題がある。国際経済体制に関する新たな考え方や枠組みの形成、貿易体制、投資体制などにおいても環境の配慮をしなければならない。その上で、環境に関する、より広い国際経済体制の中での配慮をきちんと入れることが重要。


(森嶌部会長)
本日御指摘いただいた件については、御指摘に対応する文書等を検討し、必要に応じ修正するが、細かい文言については私に御一任頂きたい。
本日の御議論をもって、論点と作業の進め方については、このような方向で部会を進めていくということでご了承願いたい。

[「異議なし」との声あり]

検討チ-ムをつくり議論をして、チームのリポートの中で追加は可能だと言うことを確認すればよい。



(森嶌部会長)
検討チームごとに主たる問題を議論し途中で部会に報告。部会でも、もう少し検討チームで検討していただきたいというようなこともある。あくまでもこのペーパーは作業手順あるいは、論点のサンプルと御理解頂きたい。
このペーパーについては、修文後に再度議論はせず、委員の皆様に修文したものを送付することで了承いただきたい。
次回以降、部会レベルで総論的な議論をし、並行して重点的に取り組むべき施策群ごとに検討チームを分けて議論し、それを部会に提出してもらって部会でまた議論するという形で進めていく。

 森嶌部会長から各検討チームの主査の発表。

[「異議なし」との声あり]

(森嶌部会長)
検討チームの主査を定めたので、今後検討チームの割り振りを作成して送付する。御希望があれば、事務局まで。
検討チームの日程等については、部会委員全員に通知するのか。チームの人だけか。


(事務局)
きちっとした打ち合わせの場をもつようなものは、部会委員全員にお示しする。


(森嶌部会長)
 検討チームに属していないが、オブザーブしたい、意見を述べたい等の御希望があるかもしれないので、御希望があれば、日程等も部会の皆様には開示してもらいたい。
チーム以外の方も、できるだけ議論に参加していただきたいので御希望があれば、事務局に申し出ていただきたい。割り振りの後でも変更希望がある場合は、早めに事務局まで。
<以 上>