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中央環境審議会第64回企画政策部会議事要旨


<日  時>  平成11年6月2日(水)13:00〜15:00

<場  所>  虎ノ門パストラル本館1階 葵の間

<議  題>  (1)環境基本計画の見直しについて
        (2)その他

<配付資料>

<議事経過>

     [真鍋国務大臣・環境庁長官挨拶]

     [近藤中央環境審議会会長挨拶]

(1)環境基本計画の見直しについて

(部会長)
  本日、内閣総理大臣より中央環境審議会に環境基本計画の見直しについての諮問があり、中央環境審議会からその諮問について当部会に付議された。本日は、この諮問を受けて、今後この部会においてどのように審議を進めていくか、という点を中心に、環境基本計画の見直しに関する事項全般にわたり自由に御議論願いたい。また、この際、現行の環境基本計画において課題とされている総合的環境指標の検討状況についても報告をお願いする。
 
(事務局から配布資料について説明)

1)総合的環境指標の検討状況等について

(総合的環境指標検討会座長)
○総合的環境指標の検討については、環境基本計画の見直し作業に反映させるため、まず、環境の状況を分かりやすく国民に示すことができるようになったものから実用化に供することとし、近く、そういった面からの報告を当部会に行い、その後、環境指標の体系の確立を目指す検討を行う予定。

○環境指標については、国際的にも様々な取組が行われているが、「総合的環境指標検討会」での取組みは、こういった国際的な動向とはかなり違った視点が入っている。

○国際的に共通の理解のあるようなDSRフレームワークで本格的に指標体系を作るのであれば、統計的な指標を作る作業も当然必要となるが、現在、環境統計というのは日本では大変欠けており、統計等に関する取組について、環境庁で努力してほしい。
○エネルギー関係、資源関係は、昔から研究が進んでおり、指標を作るのは極端に難しくはないが、共生系については、むしろ現状をきっちり把握することが先決である。

○GNPや公共事業の完成度と、環境の目標との関係を示すフレームワークを作ることが必要である。

○指標作り、モデル作りをやるにはマンパワーが少ないのではないか。

○参加と国際的取組については、DSRの枠組みに乗せることは困難であるが、環境政策全体としては大変重要な視点が入っていることから、開発することは必要である。

○参加指標については、7年前にOECDで、参加型開発での指標化が検討されている。

(部会長) 総合的環境指標については、今回の環境基本計画の見直し作業にその成果が利用できるよう、今夏までに報告をお願いすることとし、それを受け検討することとする。


2)環境基本計画の見直しについて

○政策の効果・インパクトを分析するためのガイドラインを作成し、それに基づき各省庁に報告書を提出させ、それによって国民が政策の進捗状況が判断できる仕組みを整えたい。

○環境基本計画にストーリー性を持たせる必要がある。ただし、生物多様性については、一つのストーリーに納めるのは困難である。

○環境基本計画が「共生」についてはっきりとうたったことで、この問題が大変取り組みやすいテーマとなった。こうした、環境基本計画のプラスの面もしっかり評価した上で、それをさらにアップさせるという視点も大切である。

○人間の生活のスピードと自然界の変化するスピードには大きな差があり、その差を十分考慮に入れる必要がある。

○生物多様性については環境庁内に研究会ができており、そこでの討議もある程度すすんでいると思われるので、個人的試論でもよいので参考に取り入れられないか。

○食物連鎖に係ることは、物質・エネルギー循環としてみると循環ともいえるが、大型哺乳類を頂点とするピラミッド型として捉えると共生系の中でのテーマでもあるともいえるなど、共生と循環に仕分けられない環境指標もある。

○生態系に係る指標も加えられないか。

(部会長)
  今度いよいよ実施される環境アセスメントでは、生態系のアセスメントの指標、方法が盛り込まれているので、その辺も、事務局の方で整理していただきたい。

○環境基本計画の見直しについては、参考資料3「環境基本計画のフォローアップの総括について」で、よく整理されている。
○環境基本計画は、全般にわたる計画であるから、中央環境審議会の他の部会や、環境に関わる他の審議会・検討会の事務局との連携を深めていく必要がある。

○環境基本計画は、2000年で終期を迎えて新しくなる全国総合開発計画を、理念的にも個別の面でもリードするような内容にしていただきたい。

○他の省庁の様々な計画と環境基本計画との関連を明確にしておく必要がある。

(部会長)
○現行の環境基本計画第4部第4節に「各種計画との連携」について記述があるが、環境基本計画が他の計画にどれぐらい反映されているかということを基礎資料として調べておいてほしい。

(部会長代理)
○今度の環境基本計画の見直しの最大のポイントは、実効性をいかにして確保するかということになるかと思うが、指標については、十分な形での活用が容易でないようであるから、それを補完する意味で、重要な政策課題について、各省庁に検討状況を報告してもらうという手法が非常に現実的な手法ではないか。

○現行計画を一度全般的に評価する必要があるが、その手法として、各省庁に施策の点検作業をしてもらい、それに基づき実質的なヒアリングを行っていくことも、見直し作業のスタートとして必要な手順ではないか。

○国土審議会において、国土総合開発法を見直そうという議論があるが、当審議会の目標と国土審議会の目標は、かなり近寄ってきているはずであるから、今度国土総合開発法を見直すときに、環境問題とのすり合わせをどういう形で入れ込むかは非常に重要なポイントとなろう。

○大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済活動や生活様式の在り方がおかしいという実感はあるものの、そこから転換した姿の明確な見通しを示せていない。転換した姿を具体化していく知恵が必要となってきている。

○環境に対する自主的な取り組みに対して、経済的なインセンティブを与えていくと同時に、そうした取り組み方のモデルを示していったらどうか。

(部会長)
○環境基本計画の策定時には、「参加」とは、国、地方公共団体が施策を行い、それに、産業や市民が参加するという構図であったが、それから5年経過し、市民も含めて、各主体が自主的に行うという構図に変わってきているのではないか。
○この4〜5年で経済的手法が環境政策に大変有効であり、また、その手法は、単に税をかけるという手法ではなく非常にたくさんの種類の経済的手法があるということが認識されてきており、今度の見直しではかなり取り込めるのではないか、また、取り込むことによって環境政策の有効性が高まるのではないかと考える。

○各省庁からヒアリングをする際に、現在行っている政策手法と、他の様々な経済的な手法との長短をヒアリングしてはどうか。

(部会長)
○経済的手法といった途端に、環境税、炭素税という反応があることも考慮しなければならない。

○環境派が経済派を征伐するというような発想ではなく、実際に環境と経済の統合という点から考えた場合にどういう政策があるか、そう言う観点も議論していきたい。


3)各主体からのヒアリングについて

(部会長)
○いろいろな主体からのヒアリングの内容を充実させたい。策定時と異なり、既に環境基本計画があるのだから、中間取りまとめまで待つことなく、できるだけ早い段階からヒアリング又は意見交換を行っていきたいが、いかがか。

○ヒアリングの方法については、部会で行うのは、物理的にも時間的にも無理であるから、部会の委員で構成するチームをつくって、ヒアリングを行っていきたい。具体的には、事務局と相談して案を作ることとしたいが、いかがか。

○新たな専門委員を数名任命し、一方で部会で審議しながらヒアリングをあちこちでやり、専門委員会で具体的な詰めをして、また部会へ出していくという方式でやっていきたいが、いかがか。

(以上について、異議なし)


4)今後の進め方

(部会長)
○今後の進め方については、事務局から示されたたたき台(資料2)に対して特に異論もなかったので、夏場ぐらいまでに、自由な議論を進めながら、ヒアリング、専門委員会の立ち上げも行い、論点整理をし、夏が終わる頃までには、新たな環境基本計画の構成や、それをそどういうふうに審議していくかを固めていこうと考えている。

○あちこちで行うヒアリングとは別に、部会も、概ね1ヶ月に1回開催することとしたい。

<以 上>