中央環境審議会第60回企画政策部会
議事要旨



<日  時> 平成10年12月14日(月) 10:00〜13:00
<場  所> 東条インペリアルパレス 扇の間
<議  題> 1.地球温暖化対策に関する基本方針について
         2.その他

<配付資料> 1.中央環境審議会第59回企画政策部会議事要旨
          2.地球温暖化対策の推進に関する基本方針(素案)
          3.「地球温暖化対策に関する基本方針」に係る地方ヒアリング等の実施について

<議事経過>

1.地球温暖化対策に関する基本方針について

 安原部会長代理より資料2に基づき説明が行われ、その後、各委員により議論が行われた。

(部会長)項目別に議論を進めていきたい。「1.地球温暖化対策の推進に関する基本的方向」について意見を賜りたい。

○全省庁が協力して推進する旨の記載が必要ではないか。

○法律に定める基本方針とは、国民にわかりやすい簡明なものがよい。

○二酸化炭素中心の方針となっているが、メタン削減対策についても記載する必要がある。国際面でのアクションについては、国だけでなく、企業等の国際協力についても、記載する必要がある。

○2ページ.第2パラ、「大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済活動や生活様式」は、地球温暖化問題だけでなく、全ての地球環境問題に関連する問題であり、書き方を工夫して欲しい。

○環境教育からの視点での記載が不十分ではないか。
吸収源対策を含めたものを、抑制等と呼ぶのは分かりにくいのではないか。

(安原部会長代理)抑制等については、法律の定義を用いているので、法律とのつながり上、この表現になる。教育については、8ページ(4)カで記載している。

(部会長)中村委員の指摘については、閣議決定時において簡潔にすべきとの判断がなされるやもしれないが、ここでは素案通りとしたい。松野委員の指摘については「地球環境問題、とりわけ地球温暖化問題」としたい。
次に、5ページの「2.国、地方公共団体、事業者及び国民のそれぞれが講ずべき温室効果ガスの排出の抑制等のための措置に関する基本的事項」について、8ページまでお願いします。

○夏時間については、日本は縦長の国土であり、各地の状況が異なり最終的結果がまとまりにくと聞いており、国民的に論議を行う旨記載することは、余り賛成できない。むしろ、労働時間短縮の方が適切ではないか。
温暖化防止活動推進センターのネーミングについて、防止というと緩やかな感じを受ける。

(部会長)温暖化防止活動推進センターは法律により呼称が定められている。

(部会長)5ページの2.(1)国の措置に関する基本的事項のイについて、別紙のように、省エネルギー、新エネルギー、原子力の追加するという案について、意見がある方どうぞ。

○イについて
 法律に基づいて基本方針を定めるというときに、法律上位置づけのない地球温暖化対策推進大綱を引用するのではなく、具体的な政策について、書くべきではないか。

○大綱の内容と反対の結論に達しても良いか。

(部会長)形式的には独自に議論できるが、政府の審議会としては適切ではないと考えられる。

○地球温暖化の危険性と、原子力の危険性と比較できるものではないので、原子力を盛り込むのは反対。

(安原部会長代理)小委員会の議論を紹介する。体系論から言えば、基本方針があって、大綱があるのであろうが、経緯的には先に、大綱が決定されたため、小委員会では、「基づく」ではなくあくまで「盛り込まれた」と表現で工夫している。具体的事例をいちいちかけないので、大綱に盛り込まれた対策をできるものから行うというスタンスである。
 原子力の推進の是非ではなく、表現としてどうかという視点で議論した。小委員会の意見としては例示のない案であるが、一部委員から、例示として挙げて欲しいとの意見があったので、ここに紹介したものであり、この場で議論をお願いしたい。

○順序としては、法律が最も重要で、法律に基づく基本方針が重要で、それに従って、大綱が決められるのであるから、地球温暖化推進大綱に盛り込まれたと書かなくても、私たちが考えることをここに書けばよいのではないか。
 原子力の問題については、委員の中でも、賛否両論があるだろうから、その問題は、この場所にだしてくるのは、まずいと思う。

(部会長)この後国民の意見を聞くわけですが、今日のところで、できれば、提案文を決めたいと思う。

○私は、簡単に考えていまして、地球温暖化対策推進大綱に盛り込まれたというのを削ればよい、あとはそのままでよろしい。

○原子力について記載すべきではない。

○「大綱に基づき」ではなく「大綱に盛り込まれた」であれば良いので
はないか。原子力については、大綱に盛り込まれており、また、原子力なくしては6%削減は不可能なので、記載すべき。

○個人的意見としては、原子力はエネルギー対策の基幹の一つを担うべきと考えているが、審議会の意見として、盛り込むのは適当ではない。「大綱に盛り込まれた」は素案通りでよい。また、夏時間の実際の効果は不明だが、国民の生活を考える良いきっかけになると考え、国民会議はすでに動いている。すでに動いている施策をこの場で否定するのは適当ではない。

○素案通りならなければならないというのが結論。「盛り込まれた」は、小委員会の苦心の作であろう。基本方針のタイムスパンを議論しなければならないが、2010年を目標としている大綱に盛り込まれたものについては、受けざるを得ない。但し、大綱が変更された場合でも、基本方針による対策は、変わらないようにしなければならない。

(部会長)例示を挙げろとの意見もあったが、大綱の中にはその例示も入っている。
皆さんの強い反対があれば別だが、「盛り込まれた施策」という案で提案させていただきたい。

○大綱に反対であることが明瞭になるような表現で基本方針を決めるのは、賛成できない。素案を支持する。

(部会長)ここで、議論を原子力政策に対する議論するということは、適当でないと考えており、私には、私なりの考えがありますが、部会長としては申し上げることは適当でないと考えている。
 部会としては、きっちり議論を尽くしていないところで、原子力に対する反対・賛成が明示されるような形で、部会の文書を書くのは適切ではない。ご不満のところはあるだろうが、小委員会委員長がおやりになったような取り計らいで進めたい。
 不満ではあるが、やむを得ないという程度のコンセンサスが得られればとおもうがいかがか。

○原子力の開発はやむを得ないとの認識を持っていただきたい。ただし、これを理由に、原子力を推進するというのもいかがかなと思う。この中に、入っているという認識であるのであれば、それでよいが、もし、反対の方のご心配があれば、あえて、「原子力開発については、国民の不安に配慮しつつ進める」とうい1行を付け加えるのはどうか。

(部会長)それは、提案か。それとも、気持ちはそうだが、原案でやむを得ないとういことか。

○気持ちという具合に理解頂ければ結構。

(部会長)イの問題には議論もあるであろうが、部会長提案で進めるということで確認したい。 それでは、他の論点について、最後まで意見をどうぞ。

○20代、30代の環境に対する意識は低く、環境教育について8ページ(カ)の記載では不十分。環境教育の必要性について明記する必要がある。

○環境教育については、現在、環境教育小委員会において審議中である。環境教育について6ページ(2)A地方公共団体の取組、8ページ(4)カ、に記載あるがもう少し膨らませた方が良い。また、民間団体についての記述が弱い。次のように修正してはどうか。6ページ(2)アAの「エネルギーに関する教育等を行うと共に」を「エネルギーに関する教育等を行い、民間団体の取組を支援すると共に」に修正。7ページ(3)アに「従業員に対する環境教育に取り組み」といった内容をいれる。 8ページ(4)カは国民の取組として排出抑制に取り組むためには「カ」がなければならないので、「カ」を一番上にもってくる。

○国民へのPRに関する国の取組を、もっと記載したらどうか。

文言について

○6ページカに「経済面における制約が存在する」を分かりやすい表現にすべき。7ページ(3)アの「最も適切かつ効率的な対策」も分かりにくい。効率的というより効果的ではないか。「費用対効果において優れた」というような表現にできないか。7ページ(3)アの「廃棄物の減量など他の者の」は、「廃棄物の減量等、他の主体の」に変更した方が良い。

○9ページの4.(1)及び(2)において自主的判断が3回出てきてくどい。
(1)において、「措置に関する計画を策定するものとする。」を「措置に関する計画を自主的に策定するよう努めるものとする。」に変更し、「この場合」以下を削除したらどうか。

○8ページの「(4)国民の措置に関する基本的事項」について全体の書き方が弱い。国民が率先してやるよう基本的に書いて、国の措置、地方自治体の措置にはインセンティブを設ける旨強く書くべき。また、8ページ(4)カの「施策に協力」するでは弱いので、施策の形成・実施過程で積極的に参加する旨記載したほうがよいのでは。

(部会長)これも、法律によるものであるが、おっしゃる趣旨は分かった。

○8ページ「(4)国民の措置に関する基本的事項」について、国民の行動を国会で決めるのは分かるが、審議会で決めて良いのか。むしろ、こうなるようインセンティブを与えるというような記述になるのではないか。

○「市民参加」というキーワードを入れたい。地方公共団体の実行計画策定の決定プロセスに市民参加を入れられないか。また、事業者の計画について第三者の検証を受ける旨、盛り込めないか。

(部会長)最初の問題については、十分であるかどうか分からないが、4ページのウに記載されている。

○環境教育については、国、自治体、国民、各主体の項でそれぞれ触れてはいかがか。ここに触れることにより、環境教育小委員会の結論をプッシュすることになるのではないか。

(部会長)一委員として、発言させていただきたい。
 経済的措置について、単なる個別な助成を超えて、もっと検討を進める旨を書く必要があるのではないか。そう長文を要してというふうには考えていないが、従来言っていた範囲内のことを、イに書くかどこに書くかはともかくとして、書き込むと言うことについて御意見を伺いたい。特に反対がないようであれば、部会長として小委員会委員長と議論しながら入れさせていただきたいと思うが、いかがか。

(一同)賛成

○むしろ、経済的措置に限定してしまっているところに問題があり、部会長がいうように、税であったり、法律であったりということであれば、「経済的措置等を活用した」というふうに含みを入れるた方がよいと思う。

(部会長)新しいものを、国は積極的に検討して、入れられるものがあったら入れていくという、それをどこかに書きたいということ。

(部会長)指摘のあった、次の点について部会長と小委員会委員長で検討を行った修文を行いたい。
@各省庁の協力について記載する。
A環境教育について補強する。
B参加について法律との整合性を考慮しつつ検討する。
C文言の修正については、全て盛り込めるよう調整する。
・茅先生ご指摘の国際面でのアクションについては、私としては、4頁のエで処理できていると思うので、このままにしたい。
 それをもとに、国民の意見を頂くと共に、1月に3カ所で行うヒアリングを行うこととなる。時間の関係で、国民の意見を聴取する前に、皆様に諮ることは、難しいので、私と小委員会委員長とで調整させていただくことにお任せいただきたい。最終的には、今日頂いた意見を踏まえ修文したものを基にして、国民の意見を入れて、もう一度、部会としての最終的な意見の取りまとめをさせていただきたいがよろしいか。

(一同)了承

○10ページ「5.その他の地球温暖化対策に関する基本的事項」のモニタリング、調査研究について、国以外の主体の取組の記載が必要ではないか。

(部会長)国が責任を負えという趣旨であり、国が予算をたて、大学等に配れということであるが、指摘は配慮する。

2.その他
 事務局より、資料3に基づき、地方ブロックヒアリングの開催及び国民の意見の募集について説明が行われた。
−以上−