中央環境審議会第57回企画政策部会議事要旨

<日 時> 平成10年7月13日(月)10:30〜12:30
<場 所> ホテル フロラシオン青山 ふじの間
<議 題> (1)環境基本計画の進捗状況の第3回点検結果について
       (2)環境教育・環境学習の今後の推進方策の在り方について
       (3)その他
<配付資料>
 資料1 中央環境審議会第56回企画政策部会議事要旨・会議録
 資料2 環境基本計画の進捗状況の第3回点検結果について(案)
 資料3 「国民の皆様へ」(案)資料4 重点審議項目の「都市交通対策」報告書にかかる追加資料

[議事経過]本部会は公開で行われた。

[1] 環境基本計画の進捗状況の第3回点検結果について

○事務局から第3回点検報告(案)について説明。

○ 11ページの下から2つ目の○の一番下の黒丸の部分ですが、「生物の多様な生息・生域」の「域」は、「育」という字ではないか。
「生育環境の確保に向け」の続きの部分が、「水辺や水生生物」となっており、水生生物をわざわざ環境という頭に対して再び入れる必要はないと思う。

○ 現在の環境基準は、最悪のところの基準でしかなく、生き物が見えるような仕掛けになっていない。現在、制度的にもっている基準が、水質に偏りすぎているのではないかということをここで意識されていると思うので、「水辺や水生生物等の保全を十分視野に入れた基準」の形ではどうか。

【部会長】 そのように修正する。

○ 2ページの一番下の○については、何度読んでもなかなか全体がよくわからない。

【事務局】 この部分については、いろいろな意見が錯綜し、大分わかりにくくなってしまった。
まず、一番最初のところでは、環境の保全を図っていくべきだということを共通の目的、課題として頭の中に置いた上で、まず進めることが大事であるということ。次の部分は、頭の中に置いているだけではだめだと。これをさらに、関係省庁が合意した体系的な仕組みの中で推進することが必要だという認識である。
その理由として、個別の施策が環境の保全ということをほとんど念頭に置くことはなくて、その施策が本来目的とするものを単純に追求していくことによって、環境の保全上、遺憾な事態が生ずるおそれがあるという理由づけとして書いてある。
その一般的な解決策として、環境の保全という考え方を各省庁が念頭に置いて、自らの施策を環境保全という観点から、進めていく必要があるということを書いた。

○ 2ページの一番下の○と3ページの2行目の○のところで、「環境の保全」にかぎ括弧を付けて浮きだすようにしてはどうか。
また、2ページの下から3行目の「例えば、一般的に言って」という言い方だと、例えが一般化されてよくないので、「一般的に言って、」は削ってもいいのではないか。
それから、3ページの4行目の「体系的な推進を図る必要がある」というのは、何の体系的な推進を図る必要があるのかというと、目的又は課題だろうと思うので、線を取った方がわかりやすい。

○ 環境の保全ということを共通に認識するということであるが、このまま読むと、「環境の保全を達成すべき」となってしまうので、かぎ括弧を付けて、さらに「一つとして」の後ろにそれを持ってきたらどうか。

【部会長】 言いたいことは、もともと環境保全を考えているところは、それを重要な課題として共通に全員でやれと、そうでないところでも、他の政策目的だけでなく、環境保全を入れて、体系的に環境保全が進むようにしようという趣旨なので、御意見に基づき、多少、単語の入れ替え、順序の入れ替えなどを行い、修文をさせていただく。

○ 4ページの一番下の国民の環境問題への関心、取組状況に関する評価は、このように断定していいのか。
また景観保全、歴史的環境への配慮などについても、報告書に入れたらどうか。

【部会長】 今回の点検に当たっては、都市交通問題等を挙げて重点的に点検しており、ここにアメニティだけ突出して取り上げるというのは難しい。御意見については、議事録の中にきちっと書いておく。
第1の点については、「大きな進捗」の「大きな」というのは、概念の問題もあると思う。

○ 国民の取組を評価していくための手法がはっきりしないという問題点が図らずも出たと思う。今回やむを得ないが、評価の方法については、定点観測的な手法を今後検討していくべき。

【部会長】 今後の点検に際しての方法、国民の取組についての調査方法について、今後検討したい。

○ 2ページの一番下の最後のところ、「かえって」というのは意味をなしてない。
2ページの下から3行目の「相互に関係する」というのは何に係っているのか。
2ページの下から4行目と3ページの一番上の○の3行目の「と考えられる」という文言は、どういう趣旨で付けられたのか。
それから、「ロードプライシング」という文言が2箇所出てくるが、交通の話をしているのか、あらゆるもの、あるいは電力なども含めていっているのかということを明確にする必要がある。
14ページの上から2つ目の○の2行目「環境への負荷を生じさせる活動又は生じさせる原因となる活動」の「原因となる活動」というのはわかりづらいので、「直接、間接に環境への負荷を生じさせる活動」といった方が意味がはっきりすると思います。

○ 4ページの一番下のところは、わかりにくいので、「環境問題に対する具体的な取組はまだあまり進んでないので、今後期待する」と指摘して、手法をこれから検討する、とした方がわかりやすい。
14ページの下から4行目のサマータイムについては、「サマータイム制やテレワークは、国民の意見を反映できるように努めることが必要」とあり、文章の上と下と比べると、ややネガティブな感じがするので、「サマータイム制やテレワークなど国民生活に多大な影響を与えるものについては、国民の意見を十分反映しながら検討するように」と引っ繰り返す方がいいと思う。
もう一点は、この報告書そのものの前文であるが、ただ総理に報告するというのではなく、「政府においてもこれを十分に吟味して、その施策の改善に努められたい」など、もう少し意欲あるような文章にできないものか。

【部会長】 点検報告は、毎年、近藤会長と私が、総理にお渡しして、「政府においても鋭意努力をされたい」ということでやっている。
2番目の点について、サマータイムなどについてネガティブな意見があったわけではないので、ワードオーダーを変えることによって、ネガティブな感じを避けたいと思う。
それでは、御指摘の点につき、検討し、御発言の趣旨に沿った修文をしたい。
また、この後、細部の修正については、御一任いただきたい。
〔「異議なし」との声あり〕

【部会長】 それでは、国民へのアピール案についての審議に移りたい。アピール文については本日御意見をいただいた上で、本日付けで発表したいと思っている。

○ 「考えましょう、シンプルライフ」については、車のアイドリングを控えるとか、むだをはぶくことを例示として挙げており、例示と表題が合っていない。むしろ、むだをはぶくべきと直截に言った方がいい。
【部会長】 さらに工夫はするが、これで御了承いただきたい。

○ 各自治体でもこういうのをたくさん出しており、インパクトがないと読んでもらえないし、印象にも残らない。具体案や強調マークをつける等の工夫が必要。

【部会長】 前回もいろいろ御議論があったが、あまりオオカミ少年みたいなことを言っているわけにもいかない。インパクトを強めるための工夫はしたつもりである。次回は、あらかじめインパクトを強める方法を伺っておきたい。

○ インパクトを与えるという意味では、例えば歌でも作って、中央環境審議会が出せば、意外性がある。
「未来のためのエコライフ5つつの提案」の1番、5番をサポートする意味では、例えば環境庁が、環境教育をもっと国民一般に、大人も子供も含めて、もう少し推し進めるというようなことも検討してはいかがか。

【部会長】 環境教育については、この後御審議いただきたいと思う。

○ やはりインパクトが少し弱いせいか、5つ全部は覚えられない。3つぐらいに集約して覚えやすい形にした方がいいと思う。

【部会長】 今の時点で3つというのは、絞りにくい。

○ 1970年にニューヨーク市で、やはりこういうものを作っており、具体的な数字やもので、なるほどということが書いてある。具体的な例がアピール文でも書いてあるのは非常にいいと思う。

【部会長】 アピール文の趣旨は、中環審からも国民の皆さんに具体的に行動してくださいということを訴えていくということである。御意見を賜り、さらにより良いアピールを考えていきたい。
最大の問題は、これを出して、どうやって国民に伝えるかということである。

○ 身の回りにこういうものが山のように渦巻いていることによって、行動が変わることを期待する以外ない。あちこちで似たようなアピールを出していくことがむしろ大事である。

○ 3回目のこのアピールは、今までに比べてパンチの効いた方法として大変わかりやすくてよいが、環境というのは物ではないので、「環境という船」という言い方はちょっと引っかかる

○ 一つ新しいアイディアがないとなかなかメディアには報道してもらえない。

○ こういうものを作るときに、文章を並べておいて、何が書いてあるかなとひきつける方法と、アイキャッチングであっとひきつける方法がある。これはなるべく簡潔に、皆がこれだと思うものがいい。
また、「国民の皆様へ」という表現より、同じレベルで目線を合わせて議論しているという方が人をひきつける。
「自分一人がやっても意味がない」という考え方こそが問題であり、むしろこういうものを前へ持っていく。言いたいところは前へ出して、文章の字はなるべく少ない方がいい。

○ ここで集約されている5つのキーワードは、環境学習などの場合に、地域によっていろいろと使い分けができる。それを説明あるいは学習の中でどう使っていくかということによってかなり利用度も違ってくるという感じがする。

【部会長】 中環審が何で今出すんだということもあるので、冒頭に「自分一人がやっても意味がない」というのを持ってくるということも考えられるが、今のところ必ずしもいいアイディアがあるわけない。

○ まず見出しを「エコライフ5つの提案」として、文章を少し短くして5つを端的に書く。上の方の文章を少し短くして、提案を浮かびださせるようにするとともに、「一人一人がやっても意味がない」と思うことが一番問題だというところをもう少し強調してはどうか。

【部会長】 この後すぐ事務局とも相談して、今日中に公表したい。
それでは、次に移りたい。
来年の平成11年度は、環境基本計画策定5年目に入ることになり、いずれ計画見直しについて、企画政策部会で審議するということになると思う。そこで、これまでの点検の結果等を踏まえ、部会長と事務局で、論点の整理などをした上で、勉強の結果をもとにして、部会にお諮りして、環境基本計画の見直しに向けて、審議会としての意見をまとめていくという段取りにしたい。
インフォーマルな形で、従来の点検の結果を踏まえて、準備を始めるということにつき、部会の御了解をいただきたいが、いかがか。
〔「異議なし」との声あり〕

【部会長】 それでは、できれば今年中に勉強の結果を部会に御報告いたしたい。
ついては、環境基本計画の見直しに向け、着眼すべきこと、勉強すべきことについて御意見、御指摘をいただきたい。

○ 策定5年後に見直しをするというときに、部分修正をするという考え方で臨むべきではないと思う。わずか5年の間で状況はかなり変わってきている。
また、今までの点検の中で、足りないことが明らかになってきており、21世紀を迎えて我が国の環境政策の方向はどうあるべきかということをみていかなければいけない。現在の計画は、先読みをしたつもりではあるが、どちらかというと、ようやく環境行政が公害行政と自然保護行政その他のものを含めた一本化をし、様々な施策を束ねたというところがある。

○ 汚染者支払い原則(PPP)については、今後、廃棄物にしろ、他のいろいろな環境施策にしろ、こういう原則をきちっと確立して、それを基にして具体的な施策を考えるという姿勢が必要ではないか。
第2点目は、政策の目標と手段の確保という関係がなかなか組織的にできない一つの理由として、目標そのものが具体的な数値で与えられていない場合が非常に多い。これは環境政策の中で制度的にきちっとした対応をとる必要がある。実際に数値目標を盛り込むためには、方法論を制度化するという形が必要。
第3点は、環境政策というのは、他の省庁と横断的に重なる部分が多く、現在では調整機能というふうな形をとっているが、環境省になったときに、そういう分野横断的な環境政策をどういうふうに政策化していくか、ということも環境基本計画の大きな宿題ではないか。

○ 環境基本計画の見直しをする際に、環境の観点から望ましい社会ができ上がった場合に、それを支える日本の経済というのはどういう姿であるか、ということを詰める必要がある。

○ 計画の目標のタイミングについては、当面の問題もあるが、対策を重層的に、短期、中期、長期という形の視点で組み立てられないか。
2点目に、将来の日本の経済を考えるとき、小さい政府との関わりでどういう手法が一番最適であるかということを視点として取り上げていただきたい。
3点目は、PPPメカニズムとか、エミッション・トレーディングとか、いろいろ新しい手法が出てきて、国際的な思想が少しずつ変わってきていることは事実であり、こうした思想の変化をとらえた、国際的な視野での見直しということを念頭に置いて欲しい。

[2] 環境教育・環境学習の今後の推進施策の在り方について

【事務局】 〔諮問文及び付議文の朗読〕

〔諮問の背景について説明〕

【部会長】 今後の審議の進め方については、集中的に審議をする必要があるということと、ほかにも課題であるということもあり、まず小委員会を設置して審議をしていただき、審議結果について、部会で御報告いただき、御審議いただく方法をとりたいと思うがいかがか。
〔「異議なし」との声あり〕

〔環境教育小委員会の設置〕

〔環境教育小委員会委員名簿の配付〕

〔小澤委員長より挨拶〕

【部会長】 小委員会の審議については、「中央環境審議会の運営方針について」、さらに「中央環境審議会企画政策部会の公開について」という決定に従って行うということになっており、毎回の会議の公開・非公開の決定は、小澤委員長にしていただく。

〔太田委員より、第55回部会における報告の補足説明〕

(以上)

<本件に関する問い合わせ先>
中央環境審議会企画政策部会(環境基本計画関係)事務局
(環境庁企画調整局環境計画課)

TEL 03−3581−3351 FAX 03−3581−5951
課 長  細谷 芳郎(内線6220)
計画官  今田 長英(内線6227)
課長補佐 飛島 雄史(内線6228)