中央環境審議会第37回企画政策部会議事要旨

中央環境審議会第37回企画政策部会議事要旨


<日  時>平成9年2月3日(月)14:00〜17:50

<場  所>九段会館 「鳳凰の間」

<議  題>
(1)意見交換
(2)その他

<配付資料>
○今後の環境影響評価制度のあり方について(答申案)

<議  事>  審議は公開で行われた。

(1)清水委員長から小委員会の審議経過についての報告

発電所アセスの取扱いについて、統一的なアセス法とは別に、電気事業法の中で行う意向
のあることが報じられ、そのような動きは部会の議論の方向とは異なり、国民から信頼さ
れるアセス制度の確立への支障が懸念されると多くの委員から指摘され、「透明性が保た
れ、わかりやすい制度」というところに「統一的」というような表現をはっきり書くべき
だという意見が大変強く主張され、このことについて改めて部会において検討をお願いす
ることになった。
その理由についてこれまでの議論の中から整理すると、次のようなことが言えると思う。
第1に、これまでの議論の流れは、発電所も含めて統一的な枠組みの下で法制化すること
を念頭に置いて審議が進んできたものと理解される。これは、アセスメントという制度
が、事業の種類が何であれ、環境保全という統一的観点から、その事業が自然環境を壊さ
ないか等の環境に与える影響についてあらかじめ調査・予測・評価して環境保全を図ろう
とするための手続であるということから、それは、当然のことである。
次に、新たなアセス制度において大事なことは、一般の住民、国民にとって信頼し得る制
度であるということである。そのポイントをわかりやすくいえば2つあると思う。
一つは、その内容である。特に法律の制度であること、その中で、住民の関与が明確、適
切に確保されていること、アセスの結果に対して、中立的第三者による審査が適切に確保
されること等であるが、これらの点は、本答申の中にきちんと盛り込まれているように思
う。
もう一つは、制度の形態として透明性があり、わかりやすいということである。そのため
には、対象となるすべての事業を通じて、個々の事業法とは別に、一本のまとまりのある
法律であることが不可欠である。この点で、例えば、ある特定の事業だけが一般のアセス
手続とは別に規定されるというような状態は、一般国民から見ると、なぜわざわざそうす
る必要があるのか不可解である。一つの事業だけを別の法律にするということは、アセス
制度の混乱のもととなり、ひいては、アセス制度に対する一般国民の不信感を招くことが
憂慮される。
翻って、今回の審議を通じて、手続における効率性の必要性、電力の安定供給の重要性等
については、皆が認識していると思う。さればこそ、答申案では、事業の特性を勘案して
柔軟に対応できる仕組みを取り入れている。
したがって、個別事業種の特性に対応する必要がある場合でも、この答申に即して構築さ
れることになる一般的アセス法の中で十分対応可能なはずである。発電所だけが特に支障
があるという合理的な理由は見出せない。
なお、電気事業法の中にアセスメントの手続を一緒に取り込み、一体的にやる方が効率的
でうまくいくというような発想は、本来、事業実施とは対立関係にある環境保全上の要請
に基づいて、事業を行う者の手により科学的・客観的に行われるべきアセスメントの性格
とは相入れないものと言ってよい。

(2)意見交換

(前文)
・下から2行目の「意味でも」というのは、何を含めたものなのか。

(はじめに)
・3ページ2の{3}で「事業者が事業計画のできる限り早い段階から」とあるが、かなり恣
意性が入ってくるであろう。「事業者が事業計画作成後直ちに情報を出して」とならない
か。
・「事業計画のできる限り」とは、「計画」を動詞的に使うことを意図。計画を策定する
段階ということで、最終計画ができてしまってではよくないという意味。
・こういうあいまいさはなくした方がよい。「計画が始まった段階で」と書けないか。
・計画の開始段階がいつかというのは、事業種によって違うので難しい。
・日本語としてよりはっきりした形で書けないものか。
・{7}は地方公共団体の意見を十分に反映することが重要だということだと思うが、国がや
るアセス制度以上のものをやることが許されてもよいと思うが、そういったものはここに
書く必要はないか。
・スコーピングという地方と十分に話し合って対象を決める手続きを取り入れるので、そ
れを上回るという話は原則的にでてこない。国が制度に入れない全く別の事業種を地方が
やることは、何も制限していない。
・この答申は国の制度の骨格について審議しており、国の制度の中で条例で上乗せ、横出
しを認めると積極的に書くことはないが、書かないということは法律と条例の一般論に任
せるということだと思う。

(対象事業)
・7ページ3(3)「国外での事業の扱い」のところでODAに関する事業について書い
てあるが、最近ODA以外のものに関わる事業についても、ここにある取り組みをやって
いるので、「ODAを含めた政府開発協力に関わる」というふうな言葉の方がいいのでは
ないか。

(調査・予測・評価の実施)
・9ページ5(3)「準備書・評価書の記載内容」のところで、「科学的知見の限界に伴
う不確実性」というところで、「限界」の次に「及び予測の手法に起因する不確実性」と
入れてほしい。
・予測の手法に伴うということはやはり入れなければいけないだろう。
・「平易な概要を記載することが必要」とあるが、平易に書いたためにかえって間違って
いることもあるので、「平易で正確な」ということが必要では。
・科学的知見と集めたデータにより予測するわけで、何故間違うかというと、科学的知見
が不十分であったから。最適な予測をやっても、科学的知見の不足で予測は間違うのだか
ら、これでよいのではないか。
・場合によって、科学的知見を伴わない推定することもある。予測というのは、いろいろ
な形でやられるので、自然科学系の場合、予測にどういう方法を使ったかが問題となる場
合が多い。

(住民等の関与)
・「有益な環境情報を収集するため、意見提出者の地域的範囲は限定しないことが適当」
とあり、誠にそのとおりだと思うが、自己の利益になるためにこういう調査をやってくれ
とか、あるいは自分の土地の値段を上げるためにこういう評価が要るとか、それらを「有
益」という言葉で十分排除できるかどうかということがちょっと心配である。

(許認可等への反映)
・「趣旨の規定を法律に設けることが必要である」とあるが、この法律というのは、この
答申が出て、それに基づいてつくろうとしている法律のことか、それとも、個々の認可法
にそれぞれ書き込めということか、どちらなのか。
・(部会長)ここで言っているのは、いずれにしても、許認可に結び付けるという趣旨の
ことを法律でちゃんと書けということであり、そういう個別法がない場合には、一般法と
してちゃんと設けておけということだが、それを直接に言っているのではなくて、許認可
とアセスメントとを関連させるということを法律で書けということがここでの趣旨。

(その他)
・情報公開のことについて、前回の審議では、部会長がこれは各項目いろいろなところで
分散して配慮するものだといった。データについては、観測とか、記載の中に入っている
が、ヒアリング等で希望の強い情報公開については、どの点で配慮されているのか。
・(部会長)最初の計画の段階でも情報を出して、それについて意見を求める。準備書も
もちろんだが、その前に、スコーピング、スクリーニングでもそうであるので、「情報公
開」という一般的な制度は現在検討されているところだと思うが、そういう言葉は特に
使ってないけれども、むしろ積極的に環境に関わる情報を出していくということは、今申
し上げたようなところに書いてある。

(小委員会からの検討事項)
・発電所アセスについて電事法の改正によるという動きがあることを意識して、答申案文
の内容を修正しようとするならば、当然通産省も案を見ているので、答申と電事法改正に
ついて、責任ある行政庁としてどうお考えかをまず聞きたい。
・答申案をどういうふうに読んでみても、発電所が例外になるとは読めない。少なくと
も、電事法を改正しようとした場合、この答申の趣旨と反するような改正は、実現するは
ずがない。統一アセス法による以外はあり得ないわけである。
・統一法としたところで、原則は統一法制だが、公有水面埋立法のような例外を認めない
わけではない。電事法を改正して許認可基準をはっきりするということは好ましいことで
あっても、反対すべきことではないのではないか。行政事務当局同士で十分話し合えば、
皆さんの心配するようなことは起こりえないとのではないかと思う。
・8月に行ったヒアリングのときに、通産省に対して「アセスの法制化についてどう思う
か。」と尋ねたときに「今の行政指導で十分である。法律はいらない。」とおっしゃっ
た。それが今度は、統一法より厳しい電事法の改正を行うということが新聞に出ており、
ほんの数ヶ月の間に180度態度を変えるというのはどういうことかと理解に苦しむ。ア
セスの法制化が実現に向けて必至になってきた事態を前に、もっと厳しい法律が必要など
と言うと、通産省の権限強化が目的で、アセスは手段に過ぎないと、悪く考えるとそう推
測できる。
・前の法案の審議のときもそうだが、巧妙なアセス法つぶしではないかと思える。国民に
信頼してもらい、電源立地を円滑にするのなら、公明正大に統一法で他の事業と同様に行
えばよく、国民の信頼も得られる。だから、統一的制度でやるべきだと、この答申にはっ
きりと書いて欲しい。
・ゴミ問題に関わってきた経験からいうと、決定の手続の問題や行政の民主化といった問
題意識を強く持つ。行政の手続きや決定の仕組みを避けて通っては、問題は解決しない。
関係者の間の対立、不信を取り除く努力が最も大事。そういう観点から、電気関係の法律
の問題も、同じ法律に組み込むべきである。問題が起こりがちであればかえって、情報公
開や住民参加といった条件を厳しくした方が不信を除き、相互理解を強めることに貢献す
るのではないか。
・この種の合意形成は、苦労しないでできるものではない。当初の出発点で不信を取り除
く、コミュニケーションをできるだけよい状態に保つ、これに最大限の努力を払うことが
大切。
・電気事業法の改正内容が分からないので、推測からの意見となるが、今まで以上に厳し
くアセスを行うというが、たとえそれが行われたとしても、相変わらず通産省の主導型で
行われるのではないか、通産省の基準が温存されるのではないかという危惧を持つ。自然
の状態を把握する仕組みは変わるとは思えない。環境の改変を危惧するNGO等の意見の
反映なども期待できないと考える。ヒアリングでは、環境上支障を生じた例はないという
が、本気でそう思っているなら、事実認識が甘い。
・トラブルの事例は多く報告されてあり、現行の通産省のアセスは不完全であったという
ことを意味している。人のやることなので、調査のデータが偏るということはあるだろう
が、特に自然系は複雑である。偏りを指摘する、または偏りを正す仕組みが今はなく、電
事法を改正しても同じだろう。
・事業者と第三者機関との協力体制なり、拮抗作用、そういうもので市民との合意形成プ
ロセスの確保することが必要。そうしないで、相変わらず開発が進むなら自然はどんどん
壊れてしまう。発電所アセスの特別扱いはどうしても理解できない。特別扱いを認める
と、発電所開発は他の事業より環境配慮を甘くしてもよいと認めたことになりはしない
か。多くの皆さんの期待を裏切りことになる。統一でアセスを行うということをお願いし
たい。
・通産省や、経団連、電事連がヒアリング当時と意見が変わったのは、法制化が必要であ
るという事態を認識したということ。
・それが統一法であるか個別法であるかという問題は、制度の作り方の問題。この答申を
骨抜きにすることは決してあってはならないし、そんなことはどこも考えてないだろう。
発電所のアセスの問題は深刻であって、住民との合意形成には努力をしている。アセスで
答申にあるシステムを取り込んだうえで、より厳格な手続をするということ。アセスの早
期段階でのチェックにしても審査は国ベースで行い、問題があれば勧告するといったアセ
スの法律よりもより厳しいものにする。地方の意見は最終審査に反映させるということ
で、答申のように最終審査の段階で反映させるよりも、より明確な形で手続に取り込んで
いる。エネルギーの供給責任を果たすといううえで、より明確で厳しいものが必要となる
ので、別法の方がいい。
・発電所には各段階に規制があり、保安確保のため厳しい規制をしてきたが、こういう手
続の段階の中でアセスの成果を反映させるものであり、アセス法より厳しいものになり、
かつ、運用が一体となり、効率的で行政費用も少なくてすむ。評価後の手続も、定期検査
で反映できる。環境以外に保安という面もあり、住民はどちらにも関心があり、一緒の手
続の方が便利である。他の公害関係の規制(大気汚染、騒音、振動)も電事法で規定して
いる。
・やろうとすることは骨抜きにしたものではない。電源開発調整審議会の委員として環境
庁長官が意見をいうだけでは反映が十分でないというなら、電事法の中で環境庁長官の意
見を反映する手続を設ければよい。ここでは制度のあり方を議論しているわけで、どのよ
うな法律でというのはたぶんに立法論である。12月25日の部会長のまとめは、公平な
判断であった。
・昨日の新聞を見たが、何故発電所だけ別枠なのか、という社説が出ている。電気の安定
供給だけが国民生活に不可欠なものか。電源立地の難しさは分かるが、我々は統一制度を
念頭に審議してきた。議論の結果、発電所の例外は認められないということになったと理
解している。発電所が例外となれば、他の事業も除外するということになりかねず、国民
の期待に応えられず、アセス法に対して信頼感がなくなる。総理の諮問に答えて検討して
おり、審議の方向に反するような諮問が別の審議会でなされているのは問題。「統一的枠
組みの中で」と入れることを提案する。保安確保、安定供給は事業者の計画遂行の中で行
われることであり、アセスの中の話ではない、発電所についても統一的な枠組みの中で十
分対応できる。別法でなければならないということではない。
・この文章だけでは、統一法の命運について心配されている方々はおそらく心配されたの
だろう。電事法という特別法でやるというのは、賛成できない。理由には説得力がない。
電気産業は産業のリーダーであると思うが、アセスに関しては最後尾にいるのではない
か。アセスについて模範的になっていただきたい。もっと厳しくするというならば、政令
でもできる。企画政策部会としては、また、私ども委員としてはこれまでの使命感と併せ
て誇りを持ってこの結論を大事にしたいので、部会長によろしくおとりなしをいただきた
い。
・この段階で立法形式の問題が何故議論になるのか。問題は中身であって、事業実態に応
じて実効性のある制度を作る、しかも例外なく法律化することがかなめ。発電所について
おそらく通産省もこの基本原則を反するような仕組みにはしないだろう。電気事業の特殊
性を配慮した場合、もっともふさわしい立法形式でやるのが常識であって、別法となれ
ば、基本原則に反するもののように予断を持って取り扱うというのはいかがなものか。
・発電所についても基本は原則にしたがうということだろうが、具体的にこのアセス法が
法律になるとき、どのような形になるか分からない。ここでは、物事の考え方、対象の広
げ方といったことを議論している。今後の立法過程でいろいろ問題が出てくるだろうが、
どういう形にするかはこれから環境庁で答申に基づいて法案を作っていくということ。こ
の法律だけで実効が担保されるか、必ずしもそうではないと思う。立法過程の話なので、
ここで答申することではないのでは。
・12月25日の部会での部会長のまとめが何故ひっくり返ったのか。部会長のまとめ
は、電気事業も含めて法制化するということは確認したが、法形式はこの部会で決める必
要はなく、基本的な要素をしっかり書いてもらうとまとめたはず。部会の責任は、環境保
全をいかに担保するか、いかに法制化するかである。法形式は、行政が考えることではな
いか。法律は一つであるべきか、業態に応じたものがあってもよいのかは行政の方でどの
やり方がいいか考えること。一つでなければならないと決め込むのは如何なものか。あま
りそこで議論すると、肝心の中身がぼやけてくることにはなりはしないか。
・(部会長)前回まとめたみなさんの合意をしたところは、例外を認めずに法制化する、
法制化に当たっては、ここに述べられた基本原則を守るということであり、それ以上後は
政府が決めるというところまでは申していない。
・見解の対立があるようだが、法律を細かく読んでいくとそれほど対立があるという性質
の話ではない。「統一」という文言を入れようと入れまいと、最終的チェックは各許認可
法によって担保されている。答申の中身自身がそうなっている。認可基準にアセス法に基
づいた手続をクリアしているかどうかを書き込むことがいけないとはいえない。
・ただ、通産大臣だけに任せたのでは信用できないということで、環境庁長官が必要に応
じて意見を述べるという規定をきちんと書く。これがポイントとなる。後はそれほど違い
はなく、手続だけの問題である。アセス法では、第1次的には都道府県段階の審査となる
が、電事法では、最初から通産大臣が関与している。そういう趣旨の規定は国の法制度と
して定まっている。したがって、「統一的」という文言を入れる入れないにかかわらず、
法律制度上は、アセス法の適用を前提として、答申も認めている「事業の特性に即した柔
軟な仕組み」という趣旨において、電事法の改正による手続のモディファイは認められて
しかるべきであろう。
・国のアセスメント制度は誰にでもルールが理解できて、明快で公正で透明であることが
大切。そのために一つのルールであるべき。エネルギー供給安定に何故一つのルールでは
だめなのか、何故別のルールが必要なのか十分説明を受けたとは思わない。
・効率性と国民の信頼性をトレードオフすることは許されない。効率性優先で国民の信頼
を度外視する動きに賛同できない。世界の主要諸国でも発電所を別にしている国はない。
なぜ日本だけが発電所を外さなくてはならないのか、よくわからない。納得できるような
説明や合理性がない中で、例外を設けると、ほかにも例外を求める声が出てくる可能性が
あり、アセス法の信頼性を損なうことを危惧する。
・発電所は国民の信頼を回復することが必要なのでは。そんななか、通産省がしているこ
とは、かえって国民の不信をまねく。国民が安心して、信頼できる統一の法律作りに通産
省も協力することを期待する。
・実際には、答申に反するようなことにはならないだろうから、いいだろうという議論が
出てくるのは残念なこと。今問題なのは答申で何を述べるかで、そのことがない限り、部
会が何のために存在するかという問題にまでつながる。今まで議論してきた中で、中環審
として発電所を入れるか入れないか、部会としての意思表示をしないではすまされないと
ころに来ているのではないか。「統一的な」という言葉を入れるべきである。環境基本計
画の中で「参加」を柱にあげているが、世間の指示を得る、認識を高めるという意味でも
部会のしっかりとした意思表示をすべき。
・議論の相手の通産省の責任ある発言がないので、誰を相手に議論しているのかという話
になるわけである。この審議会としては、総理から諮問され、それに対して淡々とアセス
制度のあり方について考えればいいことで、これはおそらく政府全体に通用するような考
え方を考えるということであり、個別の省庁の動きを気にすることはない。
・実質的に我々の考えているアセスの基本的考え方に異論はなく、あとは立法形式の問題
で、やはり実質の方が大事であろうことはそのとおりと思う。
・実質はあくまでも大切にするということを、我々のメッセージとして明らかにすべきで
ある。これだけ議論したのだから、「統一的」でも「整合性」でも「明快な体系性をもっ
た」でもいいが、それを明らかにした方がいい。
・答申を受けた以来、論議の流れは統一的アセス制度を目指す方向にあった。我が国のア
セス制度の歴史的経過や先進諸国の実情をみれば自然のこと。答申案でいう「透明性が保
たれ、わかりやすい制度」とは、そういう認識のひとつの表現である。
・仮に電事法という別の制度となれば、透明性やわかりやすさが損なわれかねない。アセ
ス対象を拡げろという表現があるのに、肝心の所が抜けて点晴を欠くことになる。そうい
う事態を招きかねない二つの制度は世の中の理解は得られない。総理諮問を受けた中環審
の意思として、「統一的な法によるアセス制度」と書くべき。電事法でもっと厳しくとい
うなら、一つの大きな制度の傘に中で日本のアセスにいい影響を与える方向を目指すべ
き。個々の事業について特性を踏まえ柔軟な仕組み、とあるのだから決して無理のない答
申である。
・アセス制度の基本原則を示して例外なく法制化ということには同意する。発電所につい
ては専門的な様々な難しい問題があるケースである。実績を上げている点も事実であるの
で、そういった問題を今後の法律制度によって一応整合性をとっていくことが必要ではな
いか。基本原則を示して後は省庁間の話し合いで決めればよい。
・基本的考え方の中で「統一的な枠組み」という文言を入れて欲しい。法律作りの論議が
されると思うが、中環審の場で統一的な論議でまとめていかれることを望んでいるわけで
ある。それが実効性のある「統一的枠組み」というようなことが入り、かつ、通産省がつ
くろうとしている電事法もいろいろな形で高めていくような法律を作っていただきたい。
・12月25日の部会で一応合意をみた後、事態が変わって部会で議論することになっ
た。小委員会ではいくつかの案が出たが、部会の議論により、中身については皆ばらばら
でない理解をしている、ということが一番大事。事態の変化を踏まえれば、法律としては
一つということを強く言う必要がある。これまで、許認可法とは別の手続としてのアセス
を考えてきた。許認可法と一緒になると、透明性、わかりやすいということとほど遠くな
る。許認可とは別に環境配慮は環境基本法の流れからの手続をつくることは譲れない。例
えば、縦覧期間などがバラバラになると分かりづらいし、合理性もない。実質的審査とし
て、地域の環境については都道府県知事、国家的見地から環境庁長官の意見を位置づけ
た。このことを確保しないと制度として成り立たない。基本原則を貫くことが重要であ
り、原文のままで意は尽くしていると考えるが、事態の変化に至った以上、合意が得られ
るならば「統一的で」と入れてもいいと思う。
・清水委員長に賛成。より厳しいアセスのための電事法で行うことが必要というが、説得
力に乏しい。まず、以前は法律は不要であるといっていたという点と、より厳しいという
と統一法は厳しくないのかという点で、説得力がない。また、別法で厳しくやることは、
アセス法がまがい物ということになる。統一法と別にすると通産と電力会社がこそこそ
やっていると見られて、住民は納得しない。公明正大にするべき。電力の安定供給の責任
のためなら、統一アセスで住民と話し合うプロセスが必要。電事法によるアセスは省益の
ためではないというふうにはとれない。
・電事法において手続が厳しいというが、厳しさは立場によって異なる。通産大臣の審査
を受けた後に、知事意見を審議会に述べるのでは意味がない。発電所の特殊性か、厳しさ
か、理解できない。保安基準の問題も出たが、自動車排ガスについても、大防法一本で
やっており、どう考えるか。一本化以外に道はない。
・一本化に賛成。どんな省庁も許認可権があり、自分でやりたいということだと思うが、
アセスは許認可法ではなく、それ全体に網をかぶせることであり、つまり統一法が基本で
あり、それ以外のものは許されない。その中でできるだけよいものをやってもらうという
こと。中環審では論理的にはっきり答申した方がよい。世界の環境のリーダーシップをと
ろうとしても、OECD加盟国で統一アセス法がないのは日本だけ。
・アセスは統一法で許認可とは別に行われるべきだから、「統一的」と入れて欲しい。委
員の方々に挙手をして意思を表明していただきたい。
・アセス法により、電力の供給義務が滞ることを心配しているのだと思うが、電事法、ア
セス法のどちらの方が立地の円滑化になるかといえば、統一法ではないか。これまでは、
あまりアセスというものが知られていなかったが、今後法制化されると、現在はかなり住
民が成熟しており、個別法では反感をかうことになるだろう。
・通産省の動きが出た以上、審議会として意思表示をしなければならない。「統一的」と
の言葉を入れるべき。電事法で主張する厳しさという点も、答申案の評価の視点等で触れ
られている。
・(部会長)前回の部会以降の事態の変化に対して多くの委員が不信感をもっている。多
数決では少数意見も書くことになり、審議会としての意思を弱くすることになる。あくま
で合意が前提になる。
・形式的な意味ではなく、実質的な意味で「統一的」と使うならば良い。
・(部会長)「統一的」を定義していないところが提案の妙案ではないか。
・事業による環境への負荷を環境保全の観点からみるのがアセス制度であり、事業を許可
する法律と性格が異なる。これは審議会審議の最初から一環した認識。個別の法律で同じ
手続をやれば実質的な意味で統一的だという考え方は、アセスの本質を見誤っている。一
本のアセス法でなぜできないか、説明がなく理解できない。
・統一法か単独法かは「国民がみてどちらがわかりやすいか」に対する見解の相違。実質
か形式かで議論があるが、実質的という意味なら、「統一的」と加えても異存はない。
・(部会長)「統一的」という言葉は、審議会が出そうとしている原則が骨抜きになるの
ではないか、との非常に強い懸念からの提案。「統一的」と加えることに合意が得られな
い場合に、この強い懸念を議事録に議長確認として入れて、答申を総理に手渡す時に、部
会から出したアセスの原則が歪められないよう裁可願う、と伝える方法もある。答申に両
論併記することは避けるべき。
・「統一的」と加えることを否定する声がないのだから、総意として良い。
・(部会長)審議会としては「統一的で、透明性が保たれ、・・」と修正することとす
る。アセス法をつくるための法原則として、業種間を超えた一般論を議論してきていた
が、現在の状況下で例外をつくることによって、原則が骨抜きにされるとの強い懸念があ
り、この懸念を総理に伝え、政府に一層の奮闘をお願いすることにする。そういう内容の
議事録を部会長の責任において作成し、次回の部会で報告し確認願いたい。その他の文言
の修正は部会長に一任させてもらう。
・立法技術も大切だが、国民に答申内容が理解され、バックアップされることが一番大
事。
・骨抜きに対する懸念と同時に、別の枠組みをつくることに対する反対意見もあったこと
も部会長の報告にいれるべき。
・(部会長)いれたい。今日の部会の雰囲気を踏まえ、骨抜きに対する強い懸念があった
ことを議長として確認する。

<本件に関する問い合わせ先>
中央環境審議会企画政策部会(環境影響評価関係)事務局
(環境庁環境影響評価制度推進室)
TEL 03−3581−3351 FAX  03−3581−4815
室長(環境影響評価課長):高部 正男  (内線6283)
主査(環境影響審査室長):寺田 達志  (内線6284)
課長補佐        :北沢 克巳  (内線6286)