中央環境審議会第86回企画政策部会会議録

1.日  時  平成12年12月1日(金)10:00~12:30

2.場  所  三田共用会議所1階 講堂

3.出席者

(部  会  長)森 嶌 昭 夫
(部会長代理)安 原 正
(委      員) 天 野 明 弘
神 林 章 夫
香 西 昭 夫
塩 田 澄 夫
波多野 敬 雄
藤 井 絢 子
松 原 純 子
三 橋 規 宏
村 岡 浩 爾
村 杉 幸 子
渡 辺 修
井 手 久 登
木 原 啓 吉
佐 和 隆 光
鈴 木 継 美
平 岡 正 勝
星 野 進 保
松 原 青 美
宮 本   一
村 上 忠 行
谷田部 雅 嗣
 
(特 別 委 員)飯 田 浩 史
廣 野 良 吉
横 山 裕 道
猿 田 勝 美
桝 井 成 夫
 
(専 門 委 員) 河 野 正 男
西 岡 秀 三
寺 門 良 二
湊    和 夫
(環  境  庁)岡田事務次官
太田企画調整局長
遠藤水質保全局長
浜中地球環境部長

松本自然保護局長
小林官房審議官
竹本地球環境部環境保全対策課長
伊藤水質保全局海洋環境・廃棄物対策室長
上田環境保健部環境安全課長
石野大気保全局自動車環境対策第一課長
小林企画調整局環境影響評価課長
小木津企画調整局調査企画室長
細谷企画調整局環境計画課長
大林企画調整局環境計画課計画

4.議  題

(1)環境基本計画見直しについて
(2)公害防止計画小委員会報告について
(3) その他

5.配付資料

○資料1第84回・第85回企画政策部会議事要旨(案)・会議録(案)
参考資料1環境を巡る状況
参考資料2環境保全に関する個別課題に係る既存の目標等
参考用語解説
○資料2新環境基本計画答申案
○資料3公害防止計画の今後のあり方と公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の延長について(意見具申)
○資料4COP6(気候変動枠組条約第6回締約会議)評価と概

6.議  事

【細谷環境計画課長】 時間がまいっておりますので、第86回企画政策部会を始めさせていただきたいと存じます。
 開始に先立ちまして、お手元に配付いたしております資料の確認をさせていただきたいと存じます。
 議事次第の下の方に資料の一覧がございますが、資料1は、前回、前々回の企画政策部会の議事要旨と会議録でございます。資料2は、新環境基本計画答申案でございます。資料2には、参考資料が2つ添付されておりますほか、新環境基本計画の用語解説が付いております。資料3は、公害防止計画関係の意見具申案でございます。資料4は、COP6の評価と概要でございます。
 また、本日の審議と直接関係はございませんが、環境庁におきまして「地球の使用料を考える」というパンフレットを作っておりますので、参考までにお配りいたしております。
 資料は以上でございますが、もしお手元にそろっておりませんようでしたら、お申し出いただきたいと存じます。
 よろしゅうございましょうか。
 それでは、部会長、よろしくお願いいたします。

【森嶌部会長】 おはようございます。ただいまから第86回企画政策部会を開催いたします。
 本日は、新環境基本計画の答申案につきまして御審議いただくことになっております。審議の内容でございますが、まず、新計画案の中で重要な部分である地球温暖化対策に関連しまして、先日、オランダのハーグで行われたCOP6の結果につきまして、事務局から御報告をいただくことにしたいと思っております。続きまして、前回の議論を踏まえて作成した新環境基本計画の答申案について説明をしていただくことにいたします。そして、これを受けまして、答申案について御議論いただきたいと思っております。
 なお、前々から申しておりますけれども、答申案の審議は、次回の12月13日の部会でできれば最終回にしたいと考えております。次回は、地球温暖化対策小委員会が中間報告をまとめておりまして、その報告も予定されておりますので、次回は答申案についてあまり審議の時間がとれない状態でございますので、本日、内容的な審議につきましては、実質終了していただければと思っております。
 また、本日は、以上の答申案の審議に加えまして、公害防止計画の今後のあり方と公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律というのがございますが、これについて報告を予定しております。
 それでは、御説明をいただきます。最初にCOP6について地球環境部からお願いいたします。

【浜中地球環境部長】 地球環境部長の浜中でございます。
 皆様方のお手元の資料4を御覧いただきたいと思います。「COP6の評価と概要」という資料でございます。
 今回、11月13日からオランダのハーグで開かれましたCOP6の目的は大きく2つございまして、第1は、京都議定書の早期発効を目指して、それを締結可能なものとするために、その詳細について合意を得ることでございます。第2点目は、条約に基づく技術移転、能力育成、資金援助などの途上国の取組を支援する支援策についての合意を得ること、この2点でございました。
 この交渉に臨むにあたりまして、わが国といたしましては、温暖化対策を軌道に乗せるために、京都議定書の2002年までの発効を目指して、議定書を批准可能なものにしていく。それから、わが国として、当然ながら、これを実施可能なものとしていくような合意を得る。そして3番目には、途上国支援策について、ぜひわが国がリーダーシップを発揮しながら合意を得ること。そうした目的を達成するためには、先進国間でまず意見を調整する。それを促進する。そして、途上国についても理解の促進をすると同時に、途上国支援策を積極的に提示する。こういったようなことを考えながら交渉に臨んだわけでございます。
 交渉にあたりましては、各国とも今回でぜひ合意を達成したいということで、非常に前向きでございました。
 また、議長は、オランダの環境大臣でありますプロンクさんでございましたが、プロンク議長は、できるだけグループ単位で発言をしてもらおう、交渉を進めようという御方針でございました。グループ間の交渉という様相を呈したわけでございます。特に第2週の閣僚レベルの交渉において、そういうことになったわけでございます。途上国グループ、いわゆるGroup of 77(G77)と中国というグループでございますが、実態は、内容はなかなか利害の異なるいろいろなグループがございまして、内部の利害調整に時間がかかり、結果として交渉の進展にその分時間がかかってしまったという面がございます。いずれにしても、各国間の利害は相当複雑に錯綜しておりまして、なかなか合意形成が難しかったという点がございました。
 そこで、交渉に当たりまして、わが国の貢献という点について触れさせていただきたいと思います。
 まず第1には、今回の会合の交渉をできるだけ円滑に進めるという観点からは、途上国がこの交渉の促進の妨げにならないようにしていく。途上国の理解と協力を得る必要があるという観点も、途上国支援策について、できるだけ早く先進国間の調整を進めるということでございました。プロンク議長の要請に応じまして、川口長官のイニシアティブによりまして、ワシントンにおいて、わが国が先進国間の調整のための会議を主宰し、あるいはその後も引き続きハーグにおきまして、日本主導によってアンブレラの提案というものを先週水曜日には提示し、総論としては、途上国も中国あるいはイランなどがこれを歓迎するということで、大変良好な雰囲気をかもし出したということでございます。
 もう1つは、先進国間、特にEUと日本、アメリカ等のいわゆるアンブレラグループの各僚間の意見調整を積極的に進めました。日本代表団室において、川口大臣が両者を集めて、意見調整の努力するといったような貢献もしてきたわけでございます。
 さらには、資料にもございますが、2週目に、4つの小グループに分けて、4つの問題について議論する場が設けられました。そのうちの京都メカニズムについての小グループの共同議長を川口大臣がブラジルの大臣とともに務めたということで、こういったところも、プロンク議長から日本に対する、あるいは川口大臣に対する信頼感の表れであると受け止めているわけでございます。
 今回の会合におきましては、最終的には、吸収源の取扱いあるいは京都メカニズムの利用の制限を加えるかどうか、遵守制度のあり方、こういった問題がお互いに関連しておりますので、最終的にはこれが一体的なパッケージとしての交渉になったわけでございます。すなわち、ある国なりグループにおきましては、最も重視している問題は、例えば吸収源である。別のグループでは遵守制度のあり方が非常に重要であるということで、個々にテーマごとに交渉していたのではなかなからちが明きませんが、一体的にテーブルに並んで交渉いたしますと、優先順位が明確になり、譲る点はお互いに徐々に明らかになっていくということで、最終的には、特にEUとアンブレラグループとの膝詰めの調整が25日(土)の延長した朝方まで続けられたということでございます。
 そういうプロセスを経まして、各国の立場、考え方の背景が明確になり、相互認識が深まったということで、一時は、先進国間で非常に合意に近づいたという時期もございました。結果的には残念ながら、最終的に合意に至らず、中断ということになったわけでございますけれども、そうしたところまでいったということは、今後の交渉の進展の大きな基礎ができたものと考えているわけでございます。
 特に今回報道等でも大きく取り扱われている吸収源の問題について、若干追加して申し上げたいと思います。吸収源の問題につきましては、国内の報道では、日本の吸収源の問題が非常に大きく書かれておりますけれども、実際の交渉の場面で一番大きな焦点になりましたのは、もちろん全体がパッケージでございますけれども、特に吸収源について申し上げれば、アメリカの吸収量をいかに制限できるかということが最初から最後まで大きなテーマでございました。
 数字を申し上げて恐縮でございますが、アメリカが8月に条約事務局に提出した資料によりますと、米国の森林のうち、牧草地などによる炭素の吸収量は、炭素の量に換算して、第一約束期間である2008年から2012年までの期間で吸収量の見込みは年間約3億トンということでございました。
 ちなみに日本の吸収量の見込みは、同じ期間で約1200万トンでありますから、日本の約25倍の量でございます。他の概ね先進国の吸収量も日本程度か、日本よりもだいぶ少ないというくらいのところでございますので、アメリカ一国の吸収量が断トツに大きいという特色がございます。
 EUあるいは途上国が懸念を表明しておりましたのは、アメリカのこの莫大な量というものが、アメリカ一国の国内対策で、アメリカも経済成長しますから、成長したレベルからアメリカの-7%削減までの実質削減分が30数%ということでございますが、その実質削減分の約半分までがこのシンクで免除されてしまうということで、ヨーロッパから見ますと、特に国際競争力を保つという観点からは非常に不利益になるということもございました。
 もう1点は、アメリカ一国のシンクの量、吸収量のみで、京都議定書で定めております先進国全体としての削減の目標は約5.2%という量でありますが、それを優に上回ってしまう。京都議定書は、排出削減を目指しながら、実質排出増になってしまうというようなことから、京都議定書の環境上の効果を保つためには、アメリカのシンクの吸収量をいかに制限するかが極めて重要である。こういうことで一貫してそれが大きな課題になっていたわけでございます。
 それを巡りまして、もちろん他の事項との関連もいろいろあったわけでございますが、最終的にアンブレラグループとEUの間で、徐々にアメリカの吸収量を制限していくという方向で調整が行われてきましたけれども、それについて、ある程度両グループの間で主要国の間ではほぼ合意ができかかっていたのでありますが、EUがそれを15カ国の環境大臣が集まった場に持ち帰って議論しておりましたところで、最終的にEUの内部で意見の統一ができなかったというようなことで、時間切れになってしまったというのが実情でございます。
 COP6につきましては、一時中断のやむなきに至りまして、再開会合を開くことにしておりますが、開催の時期につきましては、議長預かりということでございます。今のところ、次回の補助機関会合が来年の5月から6月にかけてドイツのボンで開催を予定しておりまして、この時期に合わせて行われる可能性がどちらかといえば一番高いかなということでございますが、議長預かりということでございます。
 今後の方向といたしましては、わが国といたしましては、京都議定書の一日も早い発効、2002年発効を目指してきておりまして、その大きな考え方の下に、合意の一歩手前までいったパッケージがございますので、これを早急に固めていくことが重要であろうということでございます。そのため、現在でも川口大臣と先進主要国の閣僚の間で連日のように電話などによる連絡も続けているところでございます。こうしたことも続けながら、そして、途上国との合意も同時に重要でございますので、途上国支援策についても更なる検討を進めながら、ぜひ再開会合の成功を目指していきたいと考えている次第でございます。
 以上、簡単でございますが、御報告に代えさせていただきたいと思います。

【森嶌部会長】 どうもありがとうございました。
 これにつきまして、特に御質問ございますか。

【波多野委員】 浜中部長、どうも御苦労さまでございました。代表団御一行が非常に努力されて、今おっしゃったようなことが事実なんだと思います。しかし、世界が持っているイメージは、私はそれ以降、新聞社の人からもいろいろ話を聞きますし、外交団等からも聞きますけれども、日本が壊したのだということにされちゃっているんですね。PRが下手である。この交渉だけでなくて、日本の外交交渉はみんなそうなんです。いつでも悪者にされちゃうんです。これは言葉の問題というよりも、PRに対する重要性の置き方が足りないのではないだろうかという感じがするんです。事実関係をプレスに話すだけではなかなかプレスが好意を持って書いてくれない。日頃から仲よくしていることが必要なんですね。外務省でも重要な交渉になると、プレス担当の人を連れていって、その人は、そこに来ているプレスの人と毎日朝から雑談して、晩飯などを食べに行ったり、飲みに行ったりして仲よくしている。それで事実関係を説明すると、「なるほど、そうか」ということで、好意を持って書いてくれる。日本の場合には、そういう人がいないので、まじめに交渉して、まじめに説明するのだけれども、アメリカ等はあらかじめスポークスマンみたいな、調子のいい人をそれに任命してうまくやって、どうも責任を日本になすりつけちゃっているという感じがいたします。PRについて御努力いただいたらいいと思います。

【浜中地球環境部長】 おっしゃるとおりだと思いますので、今後、さらにPRの努力を工夫を重ねてまいりたいと思います。1点だけ御参考までにということでございますが、欧米の新聞論調を私どもはCOP6終了直後からずっと追いかけておるわけでございますが、欧米の新聞論調を見ますと、アメリカとEUの間のいろいろなやりとりがなかなかうまくいかなかったのだと、当然のことながら、そういうことで論調が出ておりまして、日本のことはほとんど一言も触れられていないというのが実態でございますし、それがまさに交渉の実情であっただろうと思っております。そういう実情がどうして日本のプレスには反映されないのかというところがまさにPRが下手だということだと受け止めておりますので、今後、その点について、御指摘を踏まえまして、大いに努力していきたいと思っております。

【森嶌部会長】 それでは、先に進ませていただきます。

【細谷環境計画課長】 それでは、続きまして、新環境基本計画答申案につきまして説明させていただきます。
 資料2をお願いいたします。この資料は、前回提出いたしました案文に、部会での御指摘等を踏まえまして、部会長の御指示に従い、修正を加えたものでございます。簡素化や表記の統一をという御指摘、あるいはよりわかりやすい表現ぶりにという御指摘、難解な語句に注釈をという御指摘、こういう点につきましても修正いたしております。
 修正箇所につきましては、主なものについて線を引かせていただいております。てにをはの類や内容の変更を伴わず表現をやさしくした、あるいは表現の正確を期した場所につきましては、線は特に引いてございませんで、説明も省略させていただきたいと存じます。
 それでは、主な修正点をページに沿いまして説明させていただきます。
 なお、地球温暖化対策関係につきましては、COP6との関係もございますので、地球環境部の方からまとめて御説明申し上げます。
 まず、前文につきましては、1ページでございます。前回、「第一の環境の危機」「第二の環境の危機」という表現を巡りまして、第二の環境の危機の方が、大量生産、大量消費、大量廃棄を前提とした生産と消費の構造に根ざしている、第一は違う、そういう誤解を招くおそれがあるのではないかという御指摘があったわけでございます。そういう表現ぶりを改めまして、今回は、第一の危機と第二の危機、いずれも大量生産、大量消費、大量廃棄を前提とした生産と消費の構造に根ざすものであるけれども、その性格がだいぶ違うということを記述させていただいております。
 それから、その下、中ほどに線を引いてございますが、ここでは、前回、地球環境に思いを致すような表現になっておったわけでございますが、これにつきまして、地球環境を保全するのだ、これを正面から書くべきであるという御指摘がございまして、そのような表現ぶりに改めさせていただいております。
 続きまして、2ページの※5でございますが、そこで、前回は、「20世紀は、環境の制約から自由になったと感じられた時代であった」と。しかし、これについては、先進国のみの事情ではないかという御指摘がございましたので、より途上国も含み得るような表現としまして、「環境の制約から自由になりうるのではないかと感じられた」という表現に改めております。
 それから、その下につきましては、「環境という枠組みの中において、」という表現になっておったわけでございますが、これは「地球という枠組み」の方が正確ではないかという御指摘がございまして、そのような修正を行っております。
 次に、第1部について御説明申し上げます。この部分につきましては、地球温暖化対策関係の修文が主なものでございまして、これにつきましては後ほど御説明申し上げたいと存じます。
 なお、第1部のどこかで「開発途上国の自然を守る」というようなことを入れるべきではないか、そういう御意見があったわけでございますが、前回の部会におきまして、先進国が途上国に自然を守れと、そういう言い方をすることは、むしろ途上国の反発を招くおそれもあるという部会長のお話もございまして、特段の修文は行っておりません。
 続きまして、第2部について御説明申し上げます。17ページの※205というところをお願いいたします。ここでは、環境の側面はもとより、経済的側面、社会的側面のいずれからも「質の高い生活」という表現をしておったわけでございますが、これについて、よくわからない、アメニティーのような感じなのかどうなのか、そういう御質問がございまして、これに対しては、これらのすべての面を含んだ生活全体の質という意味と理解した方がいいのではないか、そういう御議論があったわけでございます。このことを踏まえまして、この部分が生活全体の質、クオリティ・オブ・ライフを示すのだ、これを明らかにするため、「質の高い生活」という表現を「高い質の生活」と修文いたしております。
 次に、20ページの※217をお願いいたします。この部分につきましては、後ほど出てまいります、社会経済のグリーン化メカニズムの中の表現と整合性をとる方がいいということで、その旨の修正を行っております。
 次に、21ページの※227をお願いいたします。ここにつきましては、森林の重要性に関する記述についての表現ぶりを他の部分と整合性をとったらどうかということで、木材資源の有効利用を書いたらどうだろう、そういう御指摘がございまして、その部分を付け加えております。
 次に、23ページの※242のところでございます。かぎ括弧が付いている形になっておりますが、ここにつきましては、前回、「戦略的環境影響評価」という表現を用いておりました。このような表現につきまして、まだ必ずしも概念がきちっと詰まっていない、その用語がもともと非常にわかりにくいのではないか、そういうこともございまして、もう少し表現ぶりについて工夫をさせていただきたいということで、本日はそういう形で出させていただいております。
 次に、24ページの※247のところでございます。ここにつきましては、次のページに線が引いてございますが、環境教育の実施の方針について、広く国民を対象として実施するために、一定の者に重点的に行うのか、さもなくば、広く国民を対象とするけれども、一定の者には特に重点的に行うのか、そこら辺が曖昧ではないか、こういう御指摘がございましたので、後者の方、すなわち広く国民を対象とするが、一定の者には特に重点的に行うのだということが明確になるよう修文いたしております。
 次に、第3部について御説明申し上げます。まず、42ページの※3162というところをお願いいたします。ここにつきましては、前回、非常にいろいろな御意見があったわけでございまして、大気環境の保全について、環状道路、バイパス整備は対策として考えるべきではない、記述を全面的に削除すべきではないか、こういう御意見もあったわけでございます。こに対しまして、環状道路、バイパス整備も環境改善効果を全く否定することはできない、そういう御議論もあったわけでございます。これを大気環境保全のための政策パッケージの一部を構成するものとして残しつつ、施策のプライオリティという観点も含めまして、施策全体の中での位置づけを念頭にもう一度整理し直したらどうかという御意見もあったわけでございます。その結果、部会長の方から、そのような方向で整理を、交通関係の検討チームの主査の太田委員を中心に行うようにという御指示があったわけでございます。ここでお示しした案は、太田委員と事務局の方で調整して整理させていただいております。環状道路、バイパス整備の順番を、まず、交通需要マネジメント、そういうものが前提である。そして、より環境にやさしい交通手段の選択があるのだと。その上で、交通渋滞による環境負荷の低減のため、交通流の円滑化を図っていく必要があると。そこで、環状道路、バイパスについても記述する。そういう形で文章整理をさせていただいております。
 次に、48ページの※3255をお願いいたします。ここでは、パブリックコメントで出された化学物質対策関係の意見について、現行の文章でほとんど何らかの形で記述されている。しかし、予防原則について関心が非常に高かかったということに留意すべきではないか、そういう話がございまして、下線部のところを追加いたしております。
 次に、51ページの※3269をお願いいたします。ここでは、大気の有害物質対策など化学物質に関する対策がそれぞれ相互の連携が示されず、結果として化学物質対策の全体像、青写真が見えない形で記述されているという御指摘がございましたので、部会長の方から、鈴木委員と事務局で少し検討してみたらどうかという御指示があったわけでございます。これを踏まえて、下線部のような形で文章の追加を行ったところでございます。「体系的な環境リスク管理の実施を目指す」ということをはっきりうたったわけでございます。
 なお、相前後して恐縮でございますが、81ページをお願いいたします。そこに※3648という記述がございますが、ここにつきましても、ただいまのような御指摘を念頭に置きまして、文章の整理をさせていただいております。
 再び前の方に戻っていただきまして、53ページの※3307をお願いいたします。この部分は、全体的に非常に多数の線が引いてございますが、基本的には文章をわかりやすくするために整理させていただいたということでございます。
 次に、54ページの※3309をお願いいたします。この部分につきましては、パブリックコメントでいろいろな意見が出されておりますが、いわゆるエコロジカル・ネットワークに配慮すべきではないか、あるいは国土レベルで保護地域を再検討すべきではないか、森林、河川など地域全体の保全に配慮すべきではないか、里山の重要性を踏まえるべきではないか、そういうような御指摘がいろいろあったわけでございますが、この辺の修文を行わせていただきまして、併せて文章表現の平易化を図っていこうということで、修正をさせていただいております。
 同じページの※3310のところでございますが、ここでもパブリックコメントで出された意見、すなわち、ミティゲーションの考え方を記述すべきではないか、自然環境保全を図るエコビジネスについて記述すべきではないか、希少野生生物の増殖について新しい公共事業を行うべきではないか、そういうような御意見があったわけでございまして、そこら辺を踏まえた形での修文、最後に一文、「さらに、……」ということで付け加えさせていただいております。
 次に、※3312の部分でございます。ここでは、パブリクコメントで出されました生物多様性に関する人材の就労の場の確保を図るべきことに触れるべきではないか、そういう御意見を踏まえまして、下線部のような形で、人材の要請と活動の場の確保が大事だ、そういう趣旨のことを加えてございます。
 次に、57ページの※3357の部分でございます。ここにつきましては、グローバルな視点を環境教育に入れるべきではないか、というパブリックコメントの御指摘を踏まえた修文を行っております。
 次に、58ページの※3363のところでございます。ここにおきましても、同じくパブリックコメントで出されております、里山、水辺等を環境教育の場として活用することに触れるべきではないか、そういう御指摘を踏まえた修文を行っております。
 次に、59ページの※3403をお願いいたします。ここでは、パブリックコメントで出されました、環境利用のコストの内部化について、もう少しわかりやすく書くべきではないかという趣旨の御意見を踏まえまして、修文いたしております。
 なお、相前後して恐縮でございますが、65ページの※3464というところで表題を改めておりますが、これもこの御意見に基づくものでございます。
 次に、61ページの※3420というところでございます。ここにつきましては、戦略的環境影響評価に関係する部分でございますが、先ほどのような事情がございまして、タイトルを外させていただいております。上位計画や政策における環境配慮を徹底するため、環境について調査検討を行う仕組みを作っていくということがここの趣旨でございまして、内容的には、関係省庁とも御相談の上、案のように、その位置づけや詰めていくべき内容を整理しまして、従来より丁寧な記述を心がけたところでございます。最終的にどのような表題を付けるかにつきましては、「戦略的環境影響評価」という用語はもともと一般にわかりにくいのではないか、そういう御指摘もございまして、これから検討していく中身をどう表現したらいいのか、もう少し工夫が必要ではないだろうかということもございまして、なお検討、調整をさせていただきたいということでございまして、本日は、私どもの知恵が足りませんで、この部分は空欄ということで出させていただいております。
 65ページの※3460でも、「戦略的環境影響評価」について、タイトルを考え中ということでございます。
 次に、71ページの※3516のところでございます。ここにつきましては、第2段落で、地方公共団体が国の公共事業をチェックする仕組みを作るような誤解を招くのではないかという御指摘がございまして、そのような誤解が生じない書きぶりに改めさせていただいております。
 なお、ここの部分におきましても「戦略的環境影響評価」のタイトルにつきまして空欄にさせていただいております。
 次に、74ページの※3553というところでございます。ここにつきまして、前回、外国からみれば、日本の行う国際的寄与で最も重要なのは、自分の国の中のことについて自ら責任を果たすことである、そういう御指摘がありまして、そのことをどこかに書いたらどうかという話があったわけでございます。よくよく私ども後で考えてみましたところ、第2段落の部分でそのような趣旨のことを記述いたしておりますので、他の部分では特に修文を行わないことにさせていただきたいと考えております。
 同じページの※3556をお願いいたします。ここにつきましても、環境教育の戦略的プログラムの中で国際的な取組について記述しているので、国際的寄与・参加のところでも途上国の環境教育・環境学習を支援することについて記載したらどうかという御意見があったわけでございますが、この部分を御覧になっていただきますと、最後の段落のところでそのような趣旨のことを記述いたしておりますので、この他の部分につきましては特に新たな修文は行わないということにいたしております。
 80ページの※3644のところでございます。ディーゼル対策について、燃料の硫黄分の削減について記述すべきではないか、こういう御意見があったわけでございますが、これにつきまして、下線部のような形で対応いたしております。
 81ページの※3649のところにつきましては、「ヒートアイランド現象、光害などの新たな問題も生じている」という表現があったわけでございますが、これらは新しい問題とはいえないのではないか、そういう御指摘を踏まえまして、修文いたしております。
 次に、85ページの※3686のところでございます。パブリックコメントで土壌汚染対策を求める意見が非常に多かったことを踏まえまして、4の末尾でございますが、土壌汚染対策を検討するということを追加いたしております。
 次に、87ページの※3700のところでございますが、そこは政府全体でPCB対策の前進が図られることになっておりすので、そういう形の対策が新たに講じられるということもございまして、対策の記述を再整理いたしております。
 次に、90ページの※3724のところでございますが、里山の重要性あるいはその保全のための取組の必要性を書くべきではないかという御指摘を踏まえまして、下線部のような記述を追加いたしております。
 同じページの※3729のところでは、パブリックコメントで、河川における自然環境保全を推進すべきではないか、こういう御意見があったわけでございますが、これに関連しまして、5の項目を追加いたしております。
 次に、91ページの※3738でございますが、パブリックコメントを踏まえまして、下線部の記述を追加いたしております。
 次に、※3740のところでございます。ここにおきましては、末尾に、記述漏れになっておりました、バイオテクノロジーによって改変された生物についての取扱いに関する記述を書いた方がよかろうということで、追加いたしております。
 次に、92ページの※3744をお願いいたします。ここでは、パブリックコメントの中で、自然と人間のふれあいについてのルールを書くべきではないかという御意見があったわけでございます。これに基づきまして、下線部を追加いたしております。
 次に、94ページの※3762でございます。ここにつきましても、先ほど来の話のように、「戦略的環境影響評価」についてタイトルを空欄にさせていただいております。
 次に、97ページの※3787をお願いいたします。ここでは、前回、効果的な戦略は正確で迅速なデータと分析に基づいて立案されるものだ、そういう御指摘がございまして、そこにございますような表現を追加させていただいております。
 次に、109ページの※3962でございますが、ここでは、ITの記述を追加した結果、表現ぶりがおかしくなっているという御指摘がございまして、文章整理をさせていただいております。
 次に、110ページの※3968のところでございます。ここでは、「セクター・プログラム・アプローチ」というちょっと耳慣れない言葉があり、その内容が前の表記ではわかりづらかったということもございまして、文章整理を行わせていただいております。
 最後に、第4部について御説明申し上げます。116ページの402をお願いいたします。ここでも、先ほどの御意見、効果的な戦略は正確で迅速なデータと分析に基づいて立案されるものである、という御指摘を踏まえて、下線部のような修文を行っております。
 次に、参考資料1、参考資料2をお願いいたします。参考資料1は、最初の案では、本文中に非常に細かく記載されておりました、環境の状況を示す統計数値あるいは指標値について、表現がくどいということもございまして、別にとりまとめたらどうかということになっておりましたが、この関係で新しく整理させていただいたものでございます。
 また、参考資料2は、既に環境基本計画と別に定められております環境基準、目標等を整理したものでございまして、これも最初の段階では本文中に入っていたわけでございますが、なかなか本文が見づらくなるということもございまして、ひとまとめにして整理したらどうかということで、整理いたしております。
 これらの資料につきましては、新環境基本計画の閣議決定の際の参考資料という扱いにさせていただきたいと考えております。事実関係の資料でございまして、関係省庁にも確認いただきながら作業を進めておりまして、データの更新等がまだちょっと残っているところもございますが、説明の方は省略させていただきたいと存じます。
 次に、用語集が付いております。この資料につきましては、新環境基本計画の理解を助けるため、計画に用いられている専門用語あるいは略語等を解説したものでございます。新環境基本計画の一部というわけではございませんが、普及啓発用の資料を作るような際には必ず一体的に活用するという形で使ってまいりたいと考えているところでございます。これにつきましても内容の説明は省略させていただきたいと存じます。
 答申案関係の資料の説明は以上でございます。

【竹本地球環境部環境保全対策課長】 先ほど計画課長の方から御紹介いただきましたが、地球温暖化問題につきまして、COP6の結果を踏まえて再度表現ぶりを整理するということになっておった部分が数カ所ございます。地球環境部の方から御説明を申し上げたいと思います。
 まず第1に、10ページに戻っていただきたいと思いますが、「四つの長期的目標に係る取組の進展」の中で地球温暖化の部分がございます。そこで事実関係の表記でございますが、先ほど地球環境部長から申し上げましたとおり、COP6の結果について表現がございます。「一旦中断されましたが、2001年5月から6月にかけて、再開される可能性が高くなっています。」。
 それから、11ページの上になりまして、2002年までの発効を目指すことが政府の基本方針でございますが、「わが国としては、関係国による議定書締結を可能なものとするため、国際交渉に積極的に臨み、京都議定書の2002年までの発効に向けた国際的熱意が失われないよう努めるとともに、この国際交渉の進捗状況も踏まえながら、国民の理解と協力を得て、締結に必要な国内制度に総力で取り組みます。」。これがまず第1の点でございます。
 続きまして、14ページのパラグラフの※140、「総合的取組の進展」の中で、やはり温暖化対策に係る基本的な方向というものを書く部分がございます。先ほど読み上げましたのと同じ文面で、2002年発効を目指す、そして、京都議定書の締結に必要な国内制度に総力で取り組むという方針でございます。
 続きまして、31ページの「地球温暖化対策の推進」、戦略的プログラムの第1でございますが、パラグラフ※3055の中に、この間開催されたCOP6の結果についての記述がございます。表現ぶりは先ほどのものと同様でございます。
 それから、33ページでございますが、「施策の基本的方向」という中の「京都議定書の目標の達成」というところで、パラグラフ※3066のところに、やはり京都議定書締結に必要な国内制度に総力で取り組むという表現がございます。
 それから、34ページでございます。「京都議定書の目標を遵守するための国内制度の整備、構築にあたっての指針となる事項」というところでのまず最初の基本的な考え方、先ほどと同様の表現でございます。
 その下の4の「重点的取組事項」というところでありますが、「具体的には、……」というところで、各種政策手法を適切に組み合わせて対策を推進する。「また、対策を適切に実施していくため、排出量の削減と吸収量の増大を着実に進めるとともに、その進捗状況を的確に把握し、必要に応じて対策を見直します。/温暖化対策の推進にあたっては、人類の生存基盤である地球の気候システムに危険な攪乱を生じさせないよう率先して取り組むとともに、併せて、わが国経済及び国民生活への影響について十分な配慮を行います。」と書いてございます。
 以上が地球温暖化部分での変更された部分でございます。

【細谷環境計画課長】 ちょっと補足させていただきたいと思います。41ページを御覧いただきますと、ただいまの温暖化の関係とも関係いたしますが、この※3156のところで「目標」というのがございます。ここにつきまして、従来、地球温暖化の関係の目標も掲げておったわけでございますが、表題の「環境への負荷の少ない交通に向けた取組」ということで、主として従来型のNOx等を中心とする公害問題の記述であると。そこで、当然、地球温暖化対策には配慮するわけでございますが、ここの目標として地球温暖化ということを挙げるということは、いわば目標が二重に出てくる。温暖化ということが交通の部分と本来の温暖化の部分と2つに分かれて出てくる。これは必ずしもうまくないのではないかということもございまして、この部分では、大気汚染関係や騒音・振動関係の環境基準等の達成とその維持を目標としますということで、改めて整理させていただいております。
 以上でございます。

【森嶌部会長】 それでは、駆け足でございましたけれども御説明いただきましたので、先ほど申しましたように、実質の議論はできるだけ本日で終わらせたいと思っておりますので、どの点についてでも結構ですし、どなたからでも結構ですので、御意見を頂戴したいと思います。

【天野委員】 細かい点ばかりだと思います。先ほど地球温暖化の関連で御説明いただきました33、34ページですが、全く同じ表現がこの2ページに3カ所出てきます。これだけくどく書く必要があるのかどうか非常に疑問に思うんです。実はこのページだけではなくて、最初の方にも出てくるんです。だから、少し書き方を変えるのならわかりますけれども、完全に同じものがこれだけ近い距離で並んでいるというのは、読む人をどう考えていらっしゃるのかわからないという感じがいたします。それが1つ。
 それから、41ページで、交通の部分と地球温暖化の部分とを分けて書くという御説明。書いていらっしゃる方は、そう分けたとわかるのですが、読んでいる方は、ここだけを見ますと、地球温暖化の目的はないのかなという気がいたしますので、別のところにあるということをきちんとここで付言しておくのが親切ではないかと思います。
 それから、61ページのタイトルが空欄になっている部分、これはあちこちに関連の項目があるのですが、以前のバージョンではちゃんとタイトルが入っていたのですが、なぜ以前ずっと残ってきたタイトルが急に消えたのかよくわらかないので、その御説明をいただきたいということと、どういう方向で直そうとしているのかということが、次回はほとんど議論する時間がないということですので、できれば今日そういう話をしていただければと思います。

【森嶌部会長】 これはいずれも今回の修正に当たって、事務局案を経ているものですので、33、34ページに確かに同じ文章が並んでいるのですが、それについては、何らか工夫があるのか。空いていたので、そこにみんな同じ文章が入ってしまったのか。例えば並べないと都合の悪いことがあるのか。いかがでしょうか。

【竹本地球環境部環境保全対策課長】 まず第1点目の御指摘の、同様な表現になってしまっているというところでございますが、これは事務レベルで関係する省庁と相談いたしまして、最終的に閣議決定ということを前提とした作業だったものですから、関係する役所が多数ございまして、今後の京都議定書に関する取組という点につきまして、いろいろな意見が分かれている中で、1つの解決策といいましょうか、コンセンサスが得られるべく努力した結果、このような表現にそれぞれのところでならざるを得ないというところがございました。直接のお答えになっているかどうかわかりませんが、そういう形での文案の整理をさせていただいているところでございます。
 それから、41ページの交通に関するところでございますが、目標については、整理ということで、大気の関連の目標になっておりますが、例えば問題の整理、そのすぐ上にございます※3155の環境問題の記述につきましては、温暖化に関する記述もしておりますし、また、次のページにわたる施策の方向性につきましても、温暖化対策の観点から施策を整理させていただいているところでございます。

【森嶌部会長】 何となく御説明がありましたが、御質問をなさった天野委員、いかがでしょうか。

【天野委員】 いろいろな省庁の交渉上そういう必要があったということは理解できますけれども、これを読む人が、なぜこんなにたくさんいろいろ書いてあるのだろうということはわからないわけですね。その点はどういうふうに御説明されるのでしょうか。
 それから、41ページの方ですが、先ほどの御説明では、地球温暖化を取り上げているところで交通に関して目標があるからここには書かないということだったのですが、今の御説明ですと、そうではなくて、温暖化に関連する記述はほかにあるけれども、交通に関連する目標はこれだけという御説明ですから、ちょっと違うと思うんです。

【竹本地球環境部環境保全対策課長】 まず、交通の方でございますが、地球温暖化の方で交通の部分も含めた目標、京都議定書で決定しております6%削減、これはトータルに交通部門もございますれば、民生部門もございます。それだけそこから取り出して交通部門のところだけを記述するということは、総合的に温暖化対策の目標を達成しないといけないというのを、交通の部分だけを取り出して、あたかも交通の部分だけが確定されるようなことになってはいけないということで、温暖化問題というのは、他のセクターにも大変関係がございますので、そういう意味で、目標については、地球温暖化の部分ですべてカバーする。そこの部分だけ取り出すことが整理上なかなか難しかったということでございます。

【天野委員】 私の趣旨が理解されていないと思うんです。私は、ここに書いてくださいと言っているのではなくて、交通の部分の目標の中に、地球温暖化に関連する部分は総合的な地球温暖化対策として別途記述していますという補足説明を入れたらどうですかと申し上げているのです。

【竹本地球環境部環境保全対策課長】 それでは、そういう点につきまして検討させていただきたいと思います。

【森嶌部会長】 その点については、私も検討させていただきます。

【小林環境影響評価課長】 61ページの従来「戦略的環境影響評価」としていた部分の表題のところでございます。これにつきましては、「戦略的環境影響評価」あるいは「戦略的環境アセスメント」という用語は、英語の直訳を使っておりまして、なかなかわかりにくいという話がありまして、私どもも従来から用語については要検討という意識で来たところでございます。ここでは、もう少し中身をかみ砕い形で書けないかと思っております。内容的には、その下にあるところを表現するということになります。ざくっと申しますと、上位段階の計画あるいは政策について環境配慮をいかにするかということでございますし、もう少し手続面に光を当てれば、そういう段階での環境アセスメントあるいは環境面の見積もりとか評価、こういうようなことになろうかと思います。そこら辺のどこを切り出して書くのが適切かということで、非常に関心も高い部分でございまして、表現の工夫をしているということでございます。今申し上げたような範囲の中で工夫させていただければと考えているところでございます。

【天野委員】 このお話は、もともと私が「累積的影響評価はどこに入るのか」という質問をしたときに、「戦略アセスの中に入っているんです」という御説明があったわけですが、ただいまの御説明ですと、戦略アセスのことを上位政策に関する影響評価というふうに区切られましたので、それですと累積的な影響評価は抜けてしまうわけですね。ですから、むしろ後退したというか、そんな印象を受けるのですが、私の当初の質問が完全にこの記述でなくなってしまうという理解でよろしいのでしょうか。

【小林環境影響評価課長】 累積的な影響をどうとらえるか、これは必ずしも同じタイミングで出てまいりません。むしろ時系列的に出てくるものをトータルでどうとらえるかということでございますので、我々としては、計画段階でとらえていくことによって、累積的なものはとらえられるということであります。ここで抽象的に書いておりますが、「現状での課題を整理した上で」といっている中には、今やっておりますような事業段階のアセスメントでは、1つは、累積的なものがとらえにくい。2つ目には、広域的なものが起こる場合に、全体の影響を、これはプラス面、マイナス面があると思いますが、とらえにくいということ。それから、早い段階でないと、事業の側でなかなか対応がしにくい。こういうことを踏まえて検討していくというものが、ここでいっている上位計画あるいは政策段階の環境配慮の問題だ、こういう認識でございますので、ここで認識して書いているつもりでございます。

【井手委員】 ただいまの戦略的環境アセスメントに関連してですが、1つは、確かに「戦略的」という言葉はあまりいい響きではなくて、「戦略的研究」とかいろいろ使ってはおりますけれども、評判がよくない言葉だと思うんです。今お話がありましたように、「上位計画における環境アセスメント」というような表現もあり得るかと思いますが、天野委員が言われたように、複合的なもの、あるいは累積的なものに対して落ちてしまうという問題がある。非常にごまかしっぽいですが、「ストラテジック環境アセスメント(SEA)」とか、そういうようなことでもやらないとおさまりがつかないのかなと、そんな印象を持ちました。
 もう1つは、同じような言葉遣いで、100ページの下の方に「快適な環境(アメニティ)の確保」という表現があります。「アメニティ」という言葉をここで括弧であえて添えてあるわけですが、確かに環境庁は、これまでの使い方からすると、こういうことになると思うのですが、御存じのように、イギリスの都市計画上では法的には定義はありませんし、法律の解釈の中では、むしろアメニティに反するいろいろな現象を示して、そういうことをなくすことが政策として大事だという表現になっていて、いわばディスアメテニティをなくすということがむしろ都市計画上での1つの施策であって、必ずしも「快適環境」とイコールではない。日本で「快適環境」のことだけに「アメニティ」という言葉を限定して使うという方向は、「アメニティ」という言葉の使い方を狭くしてしまうのではないかという気がいたしまして、ここであえて括弧して「アメニティ」という言葉を付ける必要があるのかどうか。「快適環境」だけでここでは意味が通じているのではないかと思います。「アメニティ」というのは、用語としてもう少し広い意味に使っていただくと、都市計画の方とのつながりもいいのではないかと思います。
 それから、92ページの※3744のところでアンダーラインがしてある中で、「人と自然のふれあいは、あるがままの自然とふれあうことを基本とし、」、この「あるがままの自然とふれあう」という表現は、やさしい、穏やかな自然というものが暗黙の上に前提にされているような気がいたします。自然の中には、非常に荒々しい、危険な、野生的な部分もあって、それを含めて考えるとすると、この「あるがままの自然とふれあうことを基本とする」ということは、少し誤解を招くおそれがあるのではないか。私は、このパラグラフはなくてもいいのではないかと思います。「人と自然のふれあいは、活動の舞台となる多様な自然の特性を理解した上で、」というふうに続くことで、私は十分意は含まれていると思います。「あるがままの自然」というもののとらえ方が、やさしい自然というようなことが何となく前提にされているような雰囲気が強すぎるという気がして、むしろ、そうでない、荒々しい、危険な自然というような部分が自然の中に半分はあるのだということを理解することの方も大事ではないかと思って、ちょっと気になったのです。

【森嶌部会長】 では、先ほどの「アメニティ」と「あるがままの自然とふれあうことを基本とし、」、この点につきましては、検討させていただきまして、どういうふうに考えるかということをまた井手委員にも御連絡したいと思います。

【小林審議官】 「あるがままの自然とのふれあい」のことなんですが、今、井手委員のおっしゃったように、ここのところは、野生の荒々しい自然ということも認識した上で、そういう自然はそれなりに付き合い方、一定のルールがある、そこを強調したいためにわざわざ入れたところでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

【森嶌部会長】 そういうお答えもありますので、もう一度検討させていただきます。
 先ほどの戦略アセスに関連して御意見ございますか。

【村杉委員】 私は3つ意見を申し上げたいと思っていますが、1つが戦略アセスと関係があるものです。突然、タイトルを含めて「戦略的環境影響評価」という言葉が今回消えてしまったことについて、これが英語の直訳で一般的にはわかりにくいという御説明があったわけですが、逆に、パブリックコメントなどでもこういうことに関しての意見もかなりありましたし、それから、確かに一般の方にはわかりにくい、そう言ってしまえば、この中に一般の方にわかりにくいのはいくらだってあるわけですよね。だから、用語解説を加えたということでありますから、そういうことに関心のある方、行政のそういう仕事をされる方などにとっては、確かに英語の直訳ではありますけれども、この言葉をずっと使ってきている人たちが多いわけですから、ここで改めて新しい言葉を考えるようなエネルギーはほかに使っていただいて、ここではこの言葉を残してください。そうしないと、少なくとも21世紀の持続可能な社会の構築のための環境影響評価としては、私は、後ろ向きの印象を与えてしまいます。
 もう1つは、用語解説のところでの要望ですが、この中で気がつきましたのは、「エコシステム・アプローチ」という、一般には大変わかりにくいものが入っていません。これは数行ではすまないと思うのですが、そのことの用語解説と、「移入種」という言葉の用語解説をぜひ加えていただければありがたいと思います。これが2点目です。
 3点目は、蒸し返しで大変申し訳ないのですが、前回私の方で「環状道路やバイパスの整備」の削除をお願いしましたところ、御配慮いただいて、削除まではいかずとも、修文の形でここに提案されて出てまいりました。これで多少印象は薄くはなったと思いますけれども、もう一度意見として言わせていただきたいと思います。
 私は、環状道路やバイパスをつくることそのものが問題だということを申し上げたと思います。こういうことが入っていることが、この環境基本計画の精神とずれているのではないかと強く思います。前文の表現ですとか、例えばここでも先ほど訂正の御連絡をいただいた54ページの※3309、「生息地の減少、分断、劣化の防止」という非常に大事な項目に対して、それの逆の政策をここで入れるということは、都市の交通事情の改善という意味からは、確かに今は必要があったとしても、今後これを続けていくということは、やはり考えなくてはいけないことだと思います。

【森嶌部会長】 戻りまして、「戦略アセス」の用語の件ですが、天野委員、井手委員、村杉委員から御意見がございました。井手委員は、「戦略アセス」でなくて「ストラテジック環境アセス」ならどうだというお話でしたけれども、基本的には同じことだと思うのですが、御三方はこれを従来どおり残した方がいいという御意見だと思いますけれども、そのタイトルにすることは適当でない、別の言葉で工夫すべきだという御意見ございますか。
 それでは、一応御三方の御意見を中心にして検討させていただくことにいたします。
 それから、今の村杉委員の用語の点につきましては、問題ないはずでありまして、「移入種」と「エコシステム・アプローチ」については、事務局に入れてもらうことにいたします。
 それから、バイパスの点についてはいかがでしょうか。

【塩田委員】 今の3点目について関連して質問と意見を言わせていただきたいと思います。今日冒頭に事務局から御説明いただいた※3162と、それから、その後で※3168の「国の取組」というのがあるのですが、ここの部分について、目標の問題については、先ほど御異論もございましたので、私はそこの部分には特別意見はありませんが、ここで対策別の方向性として、「交通による環境負荷の少ない都市、交通システムの整備」という部分について、何を交通に関して重点的にやろうとしているかということに関して、この文章を読ませていただいて思いますのは、1つは、自動車の交通需要そのものの調整・低減をするということと、もう1つは、交通流の円滑化を図る、この2つだというふうに理解させていただいていいのかなと思いますが、それが「国の取組」のところにきますと、※3168の下から5行目の真ん中から右の方に「自動車交通需要の調整・低減、交通流の円滑化を一層推進する」、これで受けておられると思うのですが、私の質問で事務局にお伺いしたい点は、これが必ずしも平仄が合っているのかなと、この間もちょっと思ったのですが、その点について、私の理解は、1つは、自動車交通需要そのものの調整・低減というのは、できるだけ自動車の利用を抑えていくということと、もう1つは、それでもどうしてもある自動車の交通に関しては、交通流の円滑化を図る。こういう2つのことを重大項目としてここでまとめられた、こういうふうに理解してよろしいのかどうか。
 仮にそれでよろしいとした場合に、今、村杉委員の御意見との関連が出てくるのですが、2番目の交通流の円滑化に関しては、ここにたくさんいろいろなことが書いてあります。都市部において、まず具体的なテーマとしては、環状道路やバイパスの整備、交差点改良等の道路構造の改善、信号システムの改善、高度情報通信技術を活用した最適な交通管制、道路交通情報の細やかな提供、ノンストップ自動料金収受システムの整備、高度道路交通システムの活用、これはそれぞれみんな違うことで、どういう順番にこういうものを重点を置いてやるかということはここに一切書いていない、こういう理解でよろしいのかどうか。まず最初に質問させていただいて、それから意見を言わせていただきたいと思います。

【石野大気保全局自動車環境対策第一課長】 塩田先生がおっしゃったのは、交通需要の調整・低減、いわゆる交通需要マネジメントの部分と交通流の円滑化ということですが、これは先に交通需要の低減があって、その次に交通流の円滑化というふうなきちんとした整理をしたというものではありません。むしろ基盤として交通需要を、特に都市内でありますけれども、できる限り調整・低減を図るという底流といいますか、基本的な方向性をまず出して、それと加えて、交通流の円滑化ということでありまして、いわば相乗的な効果を発揮させることによって環境負荷のトータルな低減を目指すという流れになろうかと思います。それから、いくつかの施策、ここに環状道路も含めてでありますけれども、交差点改良とか信号システムの改善とか書いてございます。それについて、どれを優先すべきだということをきちんと議論して、すべてこの順番でやるべきだということまで書いたという趣旨ではありませんで、それぞれについて様々な実現可能性とか効果とかということをトータルに勘案して進めていくということにならざるを得ないと思っております。

【塩田委員】 内容をまとめられた方針といいますか、どのようにまとめられたかについては了解しました。私の意見なんですが、最初の自動車の交通需要の調整・低減に関しては、何を目標にするかというと、交通需要が減るということを目標にするというのですと、最初の3行というのは、これでは完結しないと思うんです。これはそれで実際に減らすようにさらに努力する。公共交通機関の整備とサービスの改善をすれば、環境整備をするのですが、さらにもし減らすということがどうしても必要だということなら、減らす努力がさらに要るんですね。ですから、目標はこれだけでいいのか。具体的にいえば、さらに交通機関の整備とサービスの改善を積極的に進めて、実際に人が乗用車を利用しないで、公共交通機関あるいは徒歩で移動するようにすることを推進するということなのではないかということを申し上げたいのです。
 2番目に、交通流の円滑化に関して私の意見は、現在具体的に実効を挙げているようなものに重点を置いて、これから研究開発して、多分効果があるだろうということを進めていくようなものと同列にここに書くのはどうかなという気がしておりまして、それを順番にもう少し整理し直してみたらいいのではないか。書いてある内容について、これをやるべきではないということを言っているのではないのですが、どういうことを重点を置いてやっていくべきかということをここにある程度書くべきなのではないかということです。
 そのことに関連して、村杉委員の御意見なんですが、できるだけ今ある制度で、道路構造などに手を着けないでもし交通流の円滑化を図ることができれば、それの方が望ましいのでしょうから、そういうことをまずできるだけやってみる。どうしてもそれができないという場合には、環境対策としては、交差点周辺の環境の改善という観点からは、バイパスをつくらなければ大変な問題、大きな問題がそこに残ってしまう、その部分についてどう思うかということを私は思うんです。いくつかの交差点が原因になって、一日中混んでいる道路というのはたくさんあるわけで、その道路がある限り、そういう問題を解決しない限りは常にその沿線の方は渋滞の悪影響を受けているわけです。そういう観点からいえば、環境の総合的な改善という観点から、やはりバイパスというのはどうしても要るのだというふうに考えざるを得ないのではないかと思いますので、そういう順番で、最後の手段として、沿線の環境を考えながらバイパスをつくるというのは、やはり環境対策としても私は必要なのではないかと考えるわけです。以上が私の意見です。

【森嶌部会長】 交通に関連して御意見ございますか。

【松原(青)委員】 バイパスが最後の手段という考え方は私は違うと思っているんです。といいますのは、東京で例をとりますと、首都高速道路があれだけ渋滞する。特に都心環状線の交通の半分は、東京の中心部に用事があって来ているわけではないんです。通過するために来ているんです。それはバイパスがないから、あそこまで車が入ってくる。その結果、いろいろな公害問題を起こしているわけですから、バイパスができれば半分になるとは言いませんけれども、相当な交通量が減少できるわけです。都心の環境も改善されるわけです。少なくとも都市環境を改善しようと思えば、今の都市の構造、都心に用事がない車が入ってこざるを得ないような都市の構造になっているということに問題があるわけですから、むしろ積極的にバイパスはつくらなければいけないと思うんです。渋滞を起こすことによって余計な排気ガスが出るわけですし、沿道に騒音は発生するわけですから、むしろバイパスというのは積極的につくらなきゃいかんと思います。ほかにもございますけれども、特にバイパスに関しての意見です。

【森嶌部会長】 御意見の分かれるところでありますが、村杉委員が着目しておられるのは、自然環境がバイパスで壊れるではないかということです。バイパスが必要だという議論の方は、今既に交通渋滞あるいは沿道の人の健康と生活を含めて、それを解決する手段としてバイパスがあるということなので、どっちをとるかというのは、観点の相違もありまして、そこで前回、太田委員を中心にもう一回考えてくれと申し上げたのですが、バイパスの位置づけそのものについては、今の御意見もございますので、多分、今2つの議論を環境基本計画の中に書き込むのは適切でないと思います。バイパスのことについて、削除するというのは、御意見としては承りましたけれども、調整の上、交通量を低減するということが、先ほどの事務局のお話では、それも別にそちらが優先と考えたわけではないと言っていましたけれども、順序を入れ替え、かつ、前からあったのかどうかわかりませんが、「沿道環境の保全に配慮した」ということなどを入れて、このような形のものにしておきたいと思います。さらに検討はさせていただきますが、一応事前に申し上げておきます。

【天野委員】 現在ある状態を出発点として、それから対策を考えるというと、現在とられていない政策を追加してとったときに解決できるようなことが見過ごされてしまうと私は思うんです。ですから、現状を見れば、バイパスをつくるのがいいという意見は、例えば、交通需要マネジメントという、今までやられていたものを強化することでどれぐらいその圧力が抑えられるのかということを検討すれば、必ずしも最後の手段とは言えないというのが1つ。
 もう1つは、いろいろな御指摘がありますように、プラスとマイナスの影響が同時に出てくる政策ですから、ある目的に対するプラスの面だけを挙げますと、マイナスが消えてしまうということですので、特に村杉委員がおっしゃったような非常に大きなマイナスがあるときには、もしこれを入れるなら、それをきちっと書き込んでおくことがいいのではないかと思います。

【森嶌部会長】 文章としてはあれですが、例えば、こういう施策が自然環境に悪い影響を及ぼすということにも配慮するということと、ここに並べられているものの中で、それをとることによって、この中に並べられているものの中でとられなくてもいいものも出てくる。これは先ほどの塩田委員の御意見とも関連いたしますが、どういう施策が他の施策に比べてよりよいか、あるいはもう既に実効性が上がっているかということも含めて、これ以上文章を長々としないでできるものかどうか、一度工夫をさせていただきます。

【廣野委員】 ちょっと心配になってきたんです。実は、私自身の理解としては、新環境基本計画を作る理由は、わが国が環境基本計画を以前作って、それ以降いろいろな発展がありましたので、そういう中で見直しをしようと。見直しするというのは、いろいろな意味がありますけれども、少なくともここにおられるほとんどの方々は、新環境基本計画を作ることによって、以前我々が落としていたものをできるだけここに入れていこう、そして、わが国の環境基本計画をより国民のニーズに合ったものにしていこうというのが基本的な態度だと思うんです。
 もしそういう基本的な態度であれば、私は今のバイパスの点について簡単に申し上げますが、私たちは、過去の環境基本計画では、経済と環境を何とか両立させるようにという格好でやってきたと思うんです。しかし実際にはそれはなかなか難しい点があった。そこで、次の新環境基本計画でどうするかというときに、あくまでも技術とか制度とか、そういうものを新しく開発する、あるいは見直すことによって、より環境にやさしいような社会あるいは持続可能な社会ができるのだったら、それにこしたことはないではないか。例えばバイパスの問題にしても、既存のいろいろな事柄をそのまま受け入れてバイパス云々するのではなくて、新しい技術とか新しいシステム、例えば交通需要管理システムとか、いろいろなものがあるわけですから、そういうものを利用しながら、より環境にやさしい、持続可能な社会をつくるという方向ですべてをやっていかないと、あるものとあるものをどうバランスさせようかという考え方ですと、私たちはいつも何十年も同じ考え方だと思うんです。あるものとあるものをバランスさせるのではなくて、あるものに対してプライオリティを置いたら、そのプライオリティを置くためにほかのものを、現在の生活があるわけですから、現在の生活のもとにおいて、そのシステムとか技術開発をどうやっていったらより好ましい社会をつくっていくのか。そこの視点が非常に重要だと思うんです。それが新環境基本計画を作る最大の理由であると私は考えておりますので、ぜひそこらあたりを配慮してください。

【森嶌部会長】 これは私も冒頭に申し上げましたし、そのために検討チームをつくっていただいて、そこで、それぞれの問題点から、新しい、持続可能な社会をつくるという形で検討していただいたはずのものであります。ここにはそれぞれの検討チームから出てきたものすべて書いているわけではありませんけれども、それを基にしてやっております。バイパスの点についても、私は、村杉委員の御指摘は非常に理解できるところですけれども、検討チームで、そういう様々な条件の中で、今、廣野委員がおっしゃったような視点で検討されてきた結果だと私は考えておりまして、そこで、もう一度お考えいただきたいということで、そして、こういう形で修正されておりますので、理念的に申し上げれば、廣野委員のおっしゃるとおりですが、それでは、今あるものをみんな一ぺんオシャカにして、これとこれをやれというのでは、実際的な計画にはならない。バランスをとって、今あるものを残してということではなくて、今あるものの中からどういうふうに新しい社会に向けてやっていくか、その手法を御検討いただいたと私は思っておりますので、廣野委員の御指摘は誠にそのとおりでありますけれども、それは、御心配になる前に、もうそれで始めたはずであるということを私としては申し上げざるを得ないと思うんです。

【横山委員】 何点か申し上げたい。1点目は、1年間この審議に加わりまして、当たり前のことですが、苦労しながら環境基本計画がまとまっている。内容について、私は個人的には納得できないところもあるけれども、これを読めば、大体、今日本で環境問題はどうなっているか、よくわかるので、これをみんなによく読んでもらうことが今後かなり必要になるのではないか。そういう意味で、前文に、環境基本計画とは何なんだということを簡単で結構ですからもう少し書き込んで、多くの人に読んでもらうことが必要ではないかと思います。環境問題を理解してもらうためにも、環境基本計画を読めば大体のことがわかるのだということで、例えば環境教育とか環境学習の教材にしてもいいのではないかと私は思います。
 そういう点から見るとどうかということなんですが、改めて全部読んでみての感想として、まず、です・ます調になったことは、大変よかったと思います。それから、「我々」が「私たち」になっているし、「勘案しながら」というのが、「考えながら」とか、「期待しうる」というのが「期待できる」とか、かなりやさしい表現になっている。しかし、まだまだ限界がある。特に読んでみて気になったのが、「等」という表現がものすごくあって、それが一度気になりだしたら、もうそのことが頭から離れられなくなりました。
  一例を挙げますと、84ページの※3684の「海洋環境の保全」の2の書き出しのところは、1行に「等」の字が4つも出てくるんです。これを読んでいると、もうこの辺でやめようかということになってしまう。「等」は、私が見た限りでは、ほとんどなくてもいいのではないか。厳密にいえば、別のこともあるから「等」を入れないとフェアではないということでこういう表現になっていると思うが、この「等」というのは相当へんな印象を与える。見出しでも「……等」となっていますが、それを全部とってもほとんど差し支えないのではないかと思いますので、その辺を検討していただきたい。
 それから、※214で、これも細かいことで誠に申し訳ないのですが、「行うことができるということができます」という表現になっていて、「行うことができるといえます」ですむ話です。
 ※125に「進展が図られてまいりました」というように国会答弁みたいなものがありますので、これは「進展が図られてきました」でいいのではないかと思います。
 意見としては、蒸し返しになるかわかりませんけれども、原子力の開発利用というのは、4カ所出てきて、2カ所ずつが同じなんですが、例えば※127の「原子力の開発利用については、」という中で、平成11年に原子炉等規制法の改正を行ったとなっています。せめて昨年の東海村のJCO事故をきっかけに原子炉等規制法の改正をやったということを入れてほしい。事実関係としては、あの事故が大きな影響を与えて、原子力の開発利用について、安全性に気をつけながらということになったと思います。その辺が除かれていると、何か不都合があってJCO事故のことを入れてないのではないかというふうに読まれると思いますので、4カ所のうち1カ所ぐらいにJCOの事故もきちんと事実として書いていただけないかと思います。
 それから、環境税のくだりで、※237で「経済的負担を課す環境に関する税」となっているのは、理由があって表現を少しやわらげたと思うのですが、これだけ環境税とか炭素税のことが論議されて、地球温暖化の小委員会とか検討委員会でも論議している中で、「環境に関する税」という表現はやめて、「環境税」とか「炭素税」とか、はっきりしていただけないかと思います。
 それから、用語解説の中で、3つぐらい、これもあるいは本文に付け足すぐらいでいいかわかりませんけれども、「フロー」と「ストック」、「PFI」をもう少し簡単に説明していただければ、一般の人の理解が深まるのではないかと思います。

【森嶌部会長】 言葉につきましては、もう一度事務局と一緒に見直します。前回申しま
 したように、「である調」で書いたところを「です・ます調」に直していったということで、不適切なところもあるかもしれません。もう一度見ます。
 「等」につきましても、厳密にほかのものも含まれる場合には「等」を使う。私は法律家ですから、そういうことを言うのかもしれませんが。ただ、こういう文章の中で「等」がなくてもわかるというものについては、これも見直して、全体のコンテクストの中では必要でないものについては、これを落としていくようにしたいと思います。
 それから、原子力につきましては、国の方針がもう既に存在しているということを前提に書かざるを得ないのだということを申しましたけれども、JCOの事故については、国もそれをきちんと認めているところでありますので、これについては、どこに入れればよいのかということも含めて、検討させていただきます。
 用語については、「フロー」と「ストック」を入れるというと、天野先生はもっと何か入れろとおっしゃるかもしれませんが、入れた方がいいのかどうか、これも含めて検討させていただきます。

【寺門委員】 環境庁の方からCOP6においての交渉の過程が御説明されまして、その中で大変御努力なさったということで、各国間の意見調整というのは大変御苦労なさったようでございます。そういう中で、各国間の立場、考え方の背景というものが明確化されつつあると思う。「理解が深まってきている」とお書きでございますので、多分それぞれの国の立場とか背景というものが相当違うということはわかる、かいま見れるわけでございます。
 一方、この環境基本計画のところに入りまして、文章がたくさんあちこちに入っておりますけれども、「京都議定書の2002年までの発効に向けた国際的熱意」、要するに交渉を何としてもここで締結できるようにしましょうと、ここはそういうことだと思います。ここで「この国際交渉の進捗状況も踏まえながら、国民の理解と協力を得て、」ということですが、そこまではよろしいのですが、「締結に必要な」ということは、2002年に何か締結に必要な条件というのがあるように感ずるわけですが、そうではなくて、日本としては、2002年であろうと何年であろうと、議定書が締結されれば、それに向かって国内制度を充実して、達成していく、こういうことだと思うのですが、ここには「締結に必要な」というのは、何か姿があるのかどうかということがよくわからないので、こういう書きぶりは少し行き過ぎているのではないか。そうでなくて、京都議定書の中身も議論があったかと思うのですが、その中身を達成していくということがこれからの2010年までの我々の課題であるということなので、2002年の締結に必要な制度というのは何なのだろうかというのが私にはよく理解できないので、「締結に必要な」という言葉は要らないのではないかと思うわけです。ちょっと文章が崩れてしまいますけれども、そういうことではないのではないか。いつであろうと、少なくとも我々は、京都議定書がどこかで約束事として締結されるはずである、それに向かってやっていくのだということであって、この文章の続きとしては、どこかで突然2002年が途切れて、そのために何か必要だというのは、よく読めないので、私にはこの文章が理解できないのです。

【竹本地球環境部環境保全対策課長】 まず、先ほど委員の方からもございましたとおり、国際交渉で現在、議定書を締結可能とするため、詳細ルールについて交渉が進められております。例えば京都メカニズム、排出量取引など、京都メカニズムをどのように実施していくかといったようなことも含めて、ルールづくりをやっているわけでございます。合意ができたのを踏まえて、各国において締結のプロセスに入っていくわけでございますが、そこで、それぞれの国の事情によると思うのですが、例えば国際的なルールを国内的に受ける場合、それぞれの国によって違いますが、国内制度、例えば排出量取引をどのようにそれぞれの国において、国内というよりも、国においてどう受け止めるか。国同士での排出量のやりとりみたいな話も出てきます。また、クリーン開発メカニズムといったものもどのような取組にしていくのか、それぞれの国において受けの制度は少なくとも必要な制度として必要になってくるということでございます。そういう意味では、その具体の中身というのは、議定書の交渉の中で具体化してくるわけでございますけれども、締結に向けていくつかの制度的な整理が必要になってくる。それ以外にも当然いろいろな形で締結するということになってくれば、国内制度の整備も必要になってくると思われますが、そういう意味で「締結に必要な国内制度の整備」というように書いているところでございます。

【寺門委員】 締結があって初めてその中身が規定される、その上で国際間の排出取引とか、そういうものが決まってくるということなのではないですか。

【森嶌部会長】 この問題だけでなくて、普通、国際交渉をやっているときは、国際条約を結んだときに、国によっては、国際条約そのものが国内法としての効力を持ったりするわけですが、法律にするかしないかはともかくとして、国内法で批准できるような仕組みをつくっておかないと、批准はしたが、できませんというので、この問題だけでなくて、一般に国際条約交渉をしている場合には、そういう形で、一方で、やってもできないような約束をしないためにやるのが普通ですので、何がここでいう「締結に必要な」のかというのは、問題があるかもしれませんけれども、少なくとも私としてはそういうふうに読んで、そして締結をした後、それが実際に行われるように、場合によってはまたいろいろな制度が必要になるかもしれませんが、見通しがないところで批准はしないというのが従来の考え方です。

【鈴木委員】 用語解説の部分に関わる話ですが、ここに取り上げられていない項目の中でかなり入り用なことがありそうだと先ほどおっしゃっていました。確かにそれもそうなんですが、取り上げられているものの中にもかなり気になる部分があったりするものですから。例えば「予防的方策」というのが取り上げられているのですが、これは実は「予防原則(precautionary principle)」と「予防的方策」との関係がちゃんと書けていないので混乱を起こすだろう。そんなふうに丁寧に見ていくと、用語の部分はかなり気をつけないと、後になってミスインタープリテーションがあり得ると思うんです。

【森嶌部会長】 ぜひ事務局は鈴木先生とよく御相談をしてください。用語解説は参考として付けるわけで、確かにその意味では環境基本計画そのものではないわけですが、今おっしゃったようなことは起き得るので、また、今までここでも用語について用語集のようなものが必要だとか、今日も、何を入れたらいいのではないかというお話がありましたけれども、事務局も含めてきちんとぎりぎりとやっておりませんので、ぜひ一度ざっと見ていただいて、これはおかしいぞとか、あるいはこれを入れた方がいいということがありましたら、これは事務局で作成いたしますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。これは御発言のあった先生方だけではなくて、皆さんに一度自分の目で見ていただきたいと思います。

【天野委員】 私はまずお礼を申し上げたいと思います。何回かここで用語解説が必要だと言いまして、やっと出来上がったので、御努力には大変感謝しております。今回は付属ではないと思いますけれども、こういうものが準備されることによって、非常にわかりやすくなるし、正確にどういう内容でこの言葉を使っているかということがわかりますので、先ほどいろいろな御指摘もありますように、不完全な部分はたくさんあると思いますが、ぜひ委員の皆さんからいろいろな御指摘をいただいて、いいものになっていけばと考えております。
 特に、今の御指摘と関連するのですが、「予防原則」、日本語では「予防」という言葉なんですが、実は英語には「prevention」と「precaution」と2つあって、日本語に直すとどっちも「予防」になってしまうので、ここでは今御指摘がありましたように「precaution」ですが、英語ではちゃんと使い分けているわけです。こういう仕事をしておりますと、先ほどの「ストラテジック」みたいに英語でいった方がわかりやすいこととか、英語の表現が日本語にどう変わるかということが曖昧なまま議論が進んでしまう部分は随分あると思うんです。そういうことがはっきりする意味でも私はこういうものがぜひ必要であって、それは皆さんの御指摘によって改善されることで、さらにお互いに話をしている内容がよく理解できるようになるのではないかと思います。とりあえず今日は事務局の方々にお礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

【森嶌部会長】 天野先生も御覧いただいて、まだ足らないぞというのがありましたら、あるいは書いてあることが不正確であるということがありましたら、ぜひおっしゃっていただきたいと思います。

【天野委員】 既に行っております。

【廣野委員】 まず、部会長先生に先ほど誤解を与えたような感じですが、私は全く部会長先生のおっしゃった意味で申し上げただけで、この委員の中ですから、個人間で意見が違いますので、当然ですが、そういうときに基本的な方向というか、それをもう一度確かめる意味で申し上げただけです。
 次に申し上げたい点は、今回の新環境基本計画は、特に修文を含めて、パブリックコメントを大々的に入れまして、私は非常に大きな改善だと思いますので、大変うれしく思っております。にもかかわらず、私から見て非常に読みづらいなと思ったのは、まず、全ページを私は数えませんでしたけれども、報告書全体を見て、カタカナの言葉がものすごく多いんですね。私はこれは非常に大嫌いな人間でして、英語で書くときには英語、フランス語で書くときにはフランス語、日本語で書くときには日本語とはっきり分けた方がいいと思うんです。それがあまりにもいろいろな国の言葉が、特に英語の言葉ですが、横文字をただ単にカタカナに直した言葉が非常に多いんですね。日本語で私たちが通常使われている言葉も入れずに横文字で書く。例えば「オフィス」というのは、「事務所」とかいえるわけですから、その他たくさんのところで本当にそういうのが多すぎます。新環境基本計画は、日本の政府が出すものですので、できるだけ日本語で書いていただく。カタカナの言葉は最小限にする。どうしてもこの言葉でないとわからないところはそうしなくてはいけませんけれども、ぜひそういうふうにしていただきたい。これが私のこの基本計画についての一番大きなお願いです。
 それから、先ほど先生の方からお話がありました点で付け加えますが、例えば61ページの※3420のところで、「諸外国で『戦略的環境アセスメント』と呼ばれる仕組み」と書いておきながら、実は用語解説には「戦略的環境アセスメント」の説明がないのです。そういうのはちゃんと説明していくことが必要ではないか。
 ついでに申しますが、ブランクになっているところは、私は勝手に自分で書いておきましたけれども、「環境影響事前評価制度」、これは私の言葉ですが、「環境影響事前評価制度」というのが、英語名でいうものの日本語にしたものではないかと思っております。
 それから、66ページの※3469に「社会的責任投資の考え方」ということが書いてあって、英語がまたそこに書いてあるのですが、これも用語解説に入っておりません。そういう格好で、先生がおっしゃったように、いくつかこういう点で用語解説の中に入れた方がわかりやすいというのがたくさんありますので、また事務局の方に直接申し上げます。

【小林環境影響評価課長】 戦略アセスメントの件につきまして、先ほど発言のタイミングを失しましたので、今御指摘を受けて併せて申し上げたいと思います。ブランクのところが多いことにも現れておりますように、これはだいぶいろいろなところに波及のある、これから重要な施策だという認識をしております。一方でまた関係者も非常に多いし、関心も強いというところがございまして、一部の関係者の中では、やっていく、あるいは検討していくのは、大いにやっていきたいが、なるべく端的な言い方で書いてほしいという要望もございます。先ほど部会長から御指示がありましたので、これを踏まえて再度検討させていただきますが、これを言いかえて言い当てるような方策も含めて、もう一度検討させていただければと思っております。

【森嶌部会長】 ここでの意見は、日本語でないところがありますけれども、「戦略アセス」という言葉を使うべきだと。ただし、それが何を意味するかということについては、例えば用語集に入れるか、中に入れるかという方が何人かおられて、私の方としては、それを使うべきでないという御意見があるかということを確認しております。いろいろお家の御事情はあるとは思うのですが、審議会の意向はそうであるということを踏まえて、言い替えてうまいのが出てくるといいのですが、次回仮に言い替えて、ここに持ってきて、ここで、そういう言葉では困るということになりますと、先ほど言いましたように、実質審議は今日で終わらせたいと考えておりますので、ここの意向としては、先ほど申し上げたとおりの意向だと。もう一度検討されることはしていただきたいと思いますけれども、持ってきたものがまたここで拒絶されるようなことのないように、「戦略アセス」という言葉を使うということも含めて、検討していただきたいと思います。

【湊委員】 これまでのとりまとめの御努力に敬意を表しますが、数点、細かな点で表現に関する部分で気になる点を今日見つけましたので申し上げたいと思います。
 第1点目は、7ページの大きな3、※115と打ってあるところなんですが、「社会経済の変化は環境問題にどのような影響を与えてきたか」。ずっと(1)と(2)を読んでいるのですが、どう考えても、修正される前が「影響を与えるか」と書いてあって、要するに今後の社会経済の変化が環境問題にどういう影響を与えていくだろうかという現時点の将来の見込みみたいなことをここはまとめておられると思うのですが、見出しが変えられて「きたか」と。これですと、これまでの社会経済の変化が環境問題にどういう影響を与えたかという、過去の経緯みたいなものを書いている中身にならなければいけないと思いますけれども、この内容は、そうではなくて、これから見込まれる社会経済の変化が環境問題とどういう関わりがあるだろうかということを現時点でとりまとめていただいたものだと思いますので、見出しが平仄が合ってない形になってしまったのではないかと思いまして、これは前の案も含めてもう一度御検討いただいたらと思います。
 それから、16ページの※148の上の段のところですが、これも表現の問題ではあるのですが、枕詞としていろいろ大事なことを触れておられまして、前のページのところから「21世紀初頭は、20世紀における……」という言葉がずっときたりまして、大事なことが書いてあるのですが、最後の締めが「として位置づけられています。」と。要するに他人の認識の借り物であるということをここで触れてあるのですが、どなたの認識を借りておられるのか、どこで位置づけられているのか、実は大事な言葉のわりにはよくわからなくて、ひょっとすると、その前の段落の途中から「環境基本計画の点検などにおいて、」と書いてあるから、その文章がつながっているのかなとも思いますが、段落が変わっていますので、そうとも読みにくいし、こういう大事な話であれば、むしろ当部会の基本計画策定に当たってのまさに基本的な認識として、自らの認識として位置づけて書いていただいてもいいような気もいたしまして、「られています」というのがちょっと他人任せで、大事な言葉のわりにはどうも位置づけが悪いなという気がいたします。
 それから、32ページの※3057のところですが、今回の戦略的プログラムの中の大事なところなので、表現がちょっと気になって一言申し上げておきたいと思います。※3057の最後の締めのところあたりに「このような状況の下にあるわが国が、京都議定書の目標を達成することは困難な課題であり、」と。後ろで困難な課題解決の方途を少し書いてはおられるのですが、「困難であり」というふうに正面から、議定書の目標達成のことを受けて書かれていること自体が、いささか消極的というか、イメージとして、例えば次のページの33ページの上から3行目には「6%の温室効果ガス削減を達成します。」と言い切っていること、それから、「施策の基本的方向」の(1)のア、※3065では「当面、……に位置づけられた対策により達成していくこととします。」というふうに、施策の方向も目標も明確に言い切っているにしては、※3057のところの書き方は、いろいろ難しい課題はたくさんあるけれども、という意味だろうと思いますが、正面から「困難な課題である」と書きすぎているのではないか。難しい問題を持っているけれども、むしろ、ぜひとも解決しなければならない課題であるというふうに前向きに書いていただきたいと思います。表現はともかくとして、そんな感じがいたします。
 それから、先ほど「等」のお話がありましたが、読んでいて、前の方は比較的ひらがなで書いていただいているのですが、後ろになると、また鎧が出て、役人言葉の漢字があちこちで出てくる。これは閣議決定文書になりますので、どうしても漢字で書く必要のあるものとひらがなで書くもの、これは違いがあるのかどうか私はわからないのですが、この辺は1つの文章としてぜひ統一をとっていただきたい。取れるものは「等」を取っていただいて結構ですが、少なくとも表現上、漢字と仮名が入り乱れるような文章はぜひ避けていただきたいと思います。
 ついでにもう1つ。71ページの※3516、「(3)推進メカニズムの構築」という表題がありまして、表題を読んで中身を読むと、正直言って、表題と中身がよくわかりません。「メカニズム」というカタカナも、さっき御指摘があったように、どうもフィットしないので、この見出しは中身とうまくかみ合っていないなという気がいたしまして、ほかの表現ができるのであれば、もう一度見直していただきたい。恐らくこの言葉をぱっと聞いて、中身を想像して中身を御覧になると、全然かみ合っていないのではないかという気がいたします。
 以上、ちょっと気のついた点について申し上げさせていただきました。

【森嶌部会長】 どうもありがとうございました。今の御指摘の点につきましては、事務局ともよく検討いたしまして、できるだけ御指摘の趣旨を生かすようにいたします。
 時間がきておりますが、ほかに御意見ございますか。

【横山委員】 もう決まっていることかわかりませんけれども、古い環境基本計画と新しい環境基本計画の呼び方を何かつけるのか。ということは、これを読んでいて、古いのを環境基本計画といっているケースもあれば、新しいものをいっているのもあるし、一般的に基本計画と使っているのもあって、かなりばらばらで、その辺ちょっと気になったのです。

【森嶌部会長】 わかりました。
 よろしゅうございましょうか。
 それでは、実は前々から、どなたがおっしゃったのかよく記憶しておりませんけれども、副題を付けたらどうかというお話がありました。わかりやすくするという趣旨も入っていると思うのですが、今のところ、適切な副題が思いつかないのです。もう最後の段階ですので、ここで攻防するのもあれですので、大変申し訳ありませんけれども、来週の火曜日ぐらいまでにざっと出していただけないでしょうか。それを選考して決めるというのは非常にあれなんですが、時間が迫っておりますので、出していただいて、その中で、部会長代理とも御相談をして決めさせていただきたいと思います。どうしても出てこない場合には、サブタイトルはあきらめるほかないかなと思っております。そして、サブタイトルにつきましては、事前にお送りいたしますが、それではいけないということがありました
 ら、御連絡をいただいたら、最終回の時にばたばたと直さなくてもすむようにしたいと思っております。最後まで切羽詰まってこういうお願いをするのは大変恐縮ですが、よろしくお願いしたいと思います。
 これで終わりではありませんで、もう1つ議題がございます。公害防止計画小委員会報告というのがございますので、この環境基本計画について特段の御発言がなければ、次の議題に進ませていただきます。
 それでは、公害防止計画小委員会報告について、御報告をいただきたいと思います。

【安原小委員長】 公害防止計画小委員長の安原でございます。
 小委員会におきまして、2回にわたる審議を経まして、公害防止計画の今後のあり方といわゆる公害財特法の適用期限につきまして、11月27日の会合で意見具申案をとりまとめましたので御報告申し上げます。資料3を御参照いただきたいと思います。
 御承知のとおり、公害防止計画制度は、産業公害を解決するために、昭和42年に公害対策基本法に基づいて創設されました。昭和45年に最初の計画がスタートいたしまして、翌昭和46年に公害防止対策事業の財政的な裏付けを行うために、いわゆる公害財特法が制定されたわけでございます。その後、この公害財特法は、昭和56年と平成3年の2回それぞれ10年間の期限付きの延長が行われ、今年度末(来年3月)で期限が切れることになっております。今、根拠法が公害対策基本法と申しましたが、現在では環境基本法が制定されておりますので、根拠法は環境基本法になっております。仮にこの公害財特法が失効した場合を考えますと、公害防止の実施に重大な支障が生じることは明らかでございますので、公害防止計画の適切な実施を図り、公害問題を解決するためには、公害財特法の適用期限を延長することはぜひとも必要であるというのが小委員会における一致した意見でございました。
 公害防止計画そのものにつきましても、運用開始以来、既に30年が経過しておりまして、その間、産業型から都市生活型公害に比重が移ってきておりまして、いくつかの課題があると認められます。そこで今後、公害防止計画の適切な運用、改善に努めていく必要があるという認識に立ちまして、小委員会としましては、公害防止計画制度の見直しの方向性を指摘することといたしたわけでございます。
 意見具申案の内容につきましては、事務局より説明していただきたいと思います。

【細谷環境計画課長】 それでは、資料3に基づきまして御説明申し上げます。
 この意見具申が行われた事情につきましては、ただいま小委員会長からの御説明のとおりでございます。
 まず1ページ目をおめくりいただきますと、「公害防止計画制度の意義と成果」というものがまとめられております。ここでは、公害防止計画制度が昭和45年に運用を開始されて以来の経緯を概括的にまとめてございます。第1段落、第2段落におきまして、公害防止計画がこれまでどのような成果を上げてきたかということを述べております。また、第3段落では、なお厳しい状況にある団体が多い。また、環境上の「負の遺産」--この企画政策部会における環境基本計画の中でも大きな課題になっておりますが、その解消が喫緊の課題であるということなどを述べまして、第4段落で、今後とも公害防止計画制度を公害対策の最も基本的な制度として適切な運用、改善に努め、引き続き環境質の改善を図っていく必要があるということを述べております。
 次に、2ページの2の「公害防止計画制度の課題」でございますが、ここにおきましては、公害防止計画制度については、公害の態様が産業公害型から都市生活型公害へと大きく変化する中で、制度創設時の姿が維持され、運用されてきたことから、問題が生じているとしまして、3点ほどの問題点を挙げてございます。
 1では、公共事業を中心とするハード的施策である公害防止対策事業とその他のソフト的な対策等の政策手段間の連携、すなわち、環境基本計画でも問題になっていたポリシーミックスが必ずしも十分ではない、その点を指摘しております。
 2では、指定地域が固定化していること、あるいは策定指示の要件が不明確であることを挙げております。
 3では、地域の課題、すなわち、その地域が公害防止計画を作るという理由と対策効果が必ずしも直線的に結ばれていないということを挙げております。
 これを受ける形で、4ページから3の「公害防止計画制度の見直しの方向性」がまとめられております。ここでは、公害防止計画制度の運用上改善を図るべき基本的な方向性として4つの点を挙げてございます。
 1は、策定指示の要件の明確化と公表でございます。情報公開法ができ、情報公開というものも進めていかなければならないという状況の中で、この問題は避けて通ることができないということでございます。
 2では、公害防止計画制度をより課題解決型のものにしていきたい。そのため、策定指示に際して、この地域の課題は何であるかということを明確に示した上で、都道府県がその課題を解決するためには何をしたらよいのか、それによりどのような改善を図るのか、というようなことを明確に記載する形で計画を作ることを求めるべきであるということを述べております。
 3では、公害防止計画を公害防止対策事業とその他の幅広い施策との政策パッケージとして策定すべきことを述べております。
 4では、計画の進行管理あるいは計画終了後の事後評価が必要であるということを述べております。
 最後に、4の「公害財特法の延長」の部分におきましては、公害財特法が、補助率の嵩上げのほか、事業の優先採択、地方財政措置などの支援効果を有する公害防止計画推進の原動力であるというようなことを述べまして、その失効は、公害防止計画の実施に重大な支障をもたらすものであるとしまして、このため、先ほど3に述べましたような、「公害防止計画制度の改善に係る所要の見直しを行うこととした上で、その適用期限を延長することが是非とも必要である」ということを述べております。
 また、なお書きの部分におきましては、これは公害財特法の法律レベルの検討の問題でございまして、今回直ちにということではないわけでございますが、一般論的に、「今後とも公害の態様の変化や環境施策の進展の状況に応じた適切な措置を講じていくべきであり、その施策のあり方について常に検討を加えていく必要がある」ということが述べられております。これにつきましては、公害防止対策事業の追加あるいは使命を果たし終えたものについては、場合によっては外れていく、その両面があるということでございます。
 なお、これらの記述につきましては、新環境基本計画の中に公害防止計画の記述がございまして、それとの整合性がとられる形で整理されております。
 また、この意見具申案につきましては、本日、森嶌会長から、安原小委員長にお立ち会いいただきまして、大臣に提出いただくことになっております。
 以上でございます。

【森嶌部会長】 今、事務局から御説明がございましたが、この文書の手続的な取扱いでございますが、公害防止計画につきましては、企画政策部会から、安原さんが委員長をしておられる公害防止計画小委員会に包括的に委任してございまして、今日のところは、こういう意見の具申をすると小委員会で決定されたものについて、企画政策部会ではそれを了承するということでございます。企画政策部会の了承を得て、部会の決定は中央環境審議会の決定になるというもう1つ別の規定がございまして、その規定によって、小委員会で決定をしたものについて、それが中央環境審議会の決定として大臣に意見具申をするということになりますので、ここで、いや、それは困るという方がおられるとどうするのかというのはよく考えておりませんけれども、手続的には、御報告を伺って了承するということでございますので、よろしゅうございましょうか。
 それでは、先ほど事務局が申しましたようなことに、中央環境審議会会長から環境庁長官に対して、この内容の意見具申をするということにさせていただきます。
 そこで、先ほど申しましたように、新環境基本計画については今回で実質審議を終了させていただきたいと思います。今日御指摘の点につきましては、その場である程度お答えはしたつもりですが、いくつか宿題が残っております。これについては、できるだけ早く修正いたしまして、御発言をいただいた委員に御了解を得たいと思っております。その上で、最終案を作りまして、できれば来週の水曜日か木曜日ぐらいには最終案を皆さんに発送するようにしたいと思います。
 次回は再来週の水曜日ですが、この日は実はいろいろなことが予定されておりまして、総会もありまして、実質的には、こういうことで案から計画になりますという御了承を得ることになると思います。今日言い残したことがございましたら、恐れ入りますが、先ほどのサブタイトルと同じように、来週の火曜日までに出していただきたいと思います。それを私と安原部会長代理とで検討させていただきまして、水曜日か木曜日には固めて、最終の案として各委員にお送りできればと思っておりますので、よろしく御協力いただきたいと思います。
 だいぶ以前に申しましたけれども、こういう形でやっておりますのは、実は、省庁再編によって、中央環境審議会は残るわけですが、中央環境審議会自身の構成も変わることになります。そこで、今回これを上げないと、中途半端なことになってしまいます。地球温暖化の問題につきましては、次回お話しいたしますが、委員会で御検討いただいたものは報告として承って、報告をもらったということで、次の中央環境審議会にお渡しするということになりますので、環境基本計画につきましては、この中環審で上げてしまいたいと思っております。やや忙しいではないかと思われるかもしれませんけれども、そういう事情がございますので、よろしく御協力いただきたいと思います。
 次回は、12月13日の午後3時からでございます。その後に総会もあるということで日程が詰まっておりますが、場所は、フロラシオン青山の「ふじの間」となっております。
 よろしゅうございましょうか。
 それでは、閉会にいたします。本日も長時間にわたり御審議いただきましてありがとうございました。

<以 上>