中央環境審議会第83回企画政策部会会議録

1.日  時  平成12年9月6日(水)14:00~17:10

2.場  所  KKRホテル東京 「瑞宝の間」

3.出席者(部 会 長)森 嶌 昭 夫
(部会長代理)安 原 正
(委    員) 浅 野 直 人
出 井 伸 之
神 林 章 夫
小 澤 紀美子
佐 和 隆 光
星 野 進 保
三 橋 規 宏
村 岡 浩 爾
谷田部 雅 嗣
渡 辺 修
天 野 明 弘
小 野 勇 一
小 粥 正 巳
佐 竹 五 六
塩 田 澄 夫
松 原 青 美
宮 本 一
村 杉 幸 子
湯 川 れい子
 
(特別委員)猿 田 勝 美
横 山 裕 道
桝 井 成 夫
 
(専門委員)武 内 和 彦
湊    和 夫
寺 門 良 二
 
(環 境 庁)岡田事務次官
太田企画調整局長
西尾環境保健部長
青山企画調整局企画調整課長

廣瀬大気保全局長
小林官房審議官
長尾水質保全局企画課長
小木津企画調整局調査企画室長
細谷企画調整局環境計画課長
大林企画調整局環境計画課計画官

4.議  題

(1)環境基本計画見直しについて
(2)その他

5.配 付 資 料

資料  新環境基本計画中間とりまとめ案

6.議  事

【細谷環境計画課長】 時間がまいりましたので、第83回企画政策部会を始めさせていただきたいと存じます。
 開始に先立ちまして、お手元に配付しております資料の確認をさせていただきたいと存じます。
 議事次第の下の方に資料の一覧がございますが、本日の提出資料は、中間とりまとめ案のみでございます。
 なお、委員の皆様方の机の上には、前回までの提出資料のうち、参考になると思われるものを置かせていただいております。
 資料は以上でございますが、もしお手元にございませんようでしたら、お申し出いただきたいと存じます。
 それでは、部会長、よろしくお願いいたします。

【森嶌部会長】 それでは、ただいまから第83回企画政策部会を開催させていただきま
 す。
 本日は、事務局から、前文を除きまして、新環境基本計画中間とりまとめ案がまとまった形で提出されております。この中間とりまとめ案は、第3部の第2章を除きまして、既に提出されたものを、この部会の御議論を踏まえて修正・整理をしたものでございます。
 本日は、この資料について、説明を受けた後、できるだけ細かく分けて御議論いただきたいと思います。
 実は今までの御議論では、従来の御議論とは異なりまして、全体をばらっと、どなたから、どこからでもということをやっておりましたが、計画としてとりまとめるに当たっては、この部会においてきちっと全体にわたって検討していただく必要があるわけです。今までの整理が遅れていたものですから、少し遅くなりましたけれども、本日はそういう形の議論をさせていただきたいと思います。
 第1部と第2部につきましては、従来いわゆる総論的課題ということで御議論いただいておりますし、それを小委員会でまとめていただいたということでございます。それに対して第3部の方は、検討チームから出された報告書に基づきまして、それを要約するような形で、小委員会で御検討いただいて、案を作っていただいたわけですが、ここでは第3部につきましてはそれほど検討しておりませんので、今日はまず最初に第3部、第4部について御議論いただきまして、時間があれば、第1部、第2部に戻って御議論いただきたいと思います。
 本日の審議を経て中間とりまとめとしたいと思いますけれども、実は、当初申しましたように、今回の新環境基本計画につきましては、環境庁である間に答申を出したいと考えております。つまり、年末までに出さなければ間に合わないわけです。もちろん日程に縛られて中身が疎かになってはいけないのですが、私どもの方としては、環境庁の時代の中環審の最後の仕事として答申をまとめたいと思っております。そこで、この中間とりまとめはまさに中間的なものでありまして、皆様の御議論もきちっと細部にわたって伺っているわけではありませんけれども、むしろ今回につきましては、そういう日程の関係もございますので、この中間とりまとめはそういうものとして位置づけ、まさに我々としてもまだ議論の途中であるという形で国民の御意見を伺いまして、そのパブリックコメントをこの場で聴いた上で、皆さんにもそのパブリックコメントを踏まえて議論していただく、そして最終案にもっていきたいと思っております。
 日程上、10月にヒアリングを行うということと、国民の御意見を寄せていただくのはいつまでですか。

【細谷環境計画課長】 概ね1カ月程度を予定したいと思っておりまして、来週半ば過ぎぐらいから、10月の半ばには締めたいと思っております。

【森嶌部会長】 それを事務局が整理するということもありますので、4カ所のブロック別ヒアリングを先生方にも行っていただいてやりまして、それから国民からの意見をインターネットやファックスなどで伺いまして、10月の半ばぐらいから企画政策部会のとりまとめを開始いたします。月に2回以上開くということになるかもしれませんけれども、少なくとも3回あるいは4回の御議論をいただいた上でやりたいと思っております。スケジュールとしてはかなり詰まっておりますので、改めて前回のような小委員会を設けて、小委員会で一度こなしていただくという時間がないと思いますので、できるだけすべてをここで御議論いただくということにしたいと思います。そして、ここで出た御議論を踏まえて、私と部会長代理とで修文をさせていただきます。私も幸い文章を事とする、しかも法律家ですし、安原さんも法学部の出身ですから、多分あまりロマンティックな文章はできないと思いますけれども、文章は整理できると思います。私と部会長代理で詰めて、それをここでお示しして、皆さんに御議論いただいて、さらに修正するところがあれば、私と部会長代理とでまた改めて修文するということで、最後にもっていきたいと思います。多少異例でございますけれども、何分にも先ほど申しましたような時間的な制約を頭に入れておりますので、はなはだ恐縮ですが、そういうふうにさせていただきたいと思います。
 なお、特に地球温暖化の問題などにつきましては、11月にCOP6がハーグで開かれることになっておりまして、そこで新たな展開も考えられるところであり、そういうものも途中で組み込まなければならないということもあるかと思います。したがって、ブロック別ヒアリングも含めて、今後、部会のスケジュールがかなり立て込んでくると思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 もう1度申しますと、今日、御意見をできるだけ伺って、今日の段階でまとまったものでパブリックコメントの方に出してしまう。そのときの位置づけとしては、まだ議論の途中であるということを明らかにした上で出す。そして、それをいただき、またヒアリングや国民の意見をいただいた上で、ここで議論していただき、その御議論を私どもの方で文章としてまとめていく。またそれを御議論いただくという形で、12月の何日ぐらいだと間に合うのか間に合わないのかわかりませんが、できるだけ12月の半ばぐらいまでにはあげたいと思っております。
 それでは、事務局からこの資料について説明してください。

【細谷環境計画課長】 それでは、中間とりまとめ案につきまして御説明申し上げます。
 本日は、前回提出されていなかった部分、すなわち第3部第2章の部分を含めまして、パブリックコメント後に行われます前文を除く部分の全体をお示しいたしております。第3部第2章以外につきましては、部会での御指摘を踏まえて修正したものでございますので、御指摘に基づく修正箇所を中心に御説明いたしたいと存じます。
 なお、部会の御議論を踏まえて文章を直した部分につきましては、表現の簡素化あるいは簡易化を図った部分が多々あるわけでございますが、文意を変えないことを前提にしておりますので、個別の詳細な説明につきましては省かせていただきたいと存じます。
 それでは、内容の説明に入らせていただきたいと思います。
 まず目次でございます。この部分では、全体の構成及び表題につきまして若干の手直しを行っております。
 まず第1部につきまして、従来4節から成っておりましたものを、第2節の部分を第1節の3としておりまして、表題を少し軟らかめの表現にしております。
 また、第2部第3節の3の表題につきましては、より内容を反映したものにするため、「あらゆる政策手段の活用」から「あらゆる政策手段の活用と適切な組み合わせ」に改めております。
 第3部につきましては、第1章の戦略的プログラムの編成順を、環境政策上のプライオリティを反映するという意味もありまして、4番目にありました廃棄物・リサイクル対策等を2番目に繰り上げまして、表題も前回、「循環型社会の形成を通じた健全な物質循環の確保に向けた取組」とわかりにくい表現になっておりましたものを、「物質循環の確保と循環型社会の形成に向けた取組」という形に改めております。その他それぞれの表題を若干ずつ修正いたしております。
 また、全体的な言葉の使い方の問題として、「持続可能な経済社会」という表現と「持続可能な社会」という言葉が使い分けられている、これは何か意味があるのか、という御質問がありましたが、今回これらにつきましては「持続可能な社会」に統一いたしております。なお、社会の中の活動一般を指すときには「社会経済活動」、システムを指すときは「経済社会システム」という形で整理いたしております。
 さらに、計画の基本的スタンスや国民に対する呼びかけ等につきましては、今後また前文との関係で整理してみてはどうかと考えております。
 前置きが長くなりましたが、本文に入らせていただきます。
 第1部につきましては、前回の案では、第1節に入る前に1ページ半ほど要約的な文章が柱書きとして付いておりました。これにつきましては、その後の記述との重複感が強いという御指摘がございましたし、前文とも関係してくる記述でございますので、削除させていただきまして、前文を御議論いただく際に改めて前文に含めて整理し直すかどうか検討させていただきたいと存じます。
 内容でございますが、2ページの※107というところでは、最初、いろいろ数字を入れようと考えておったのでございますが、これを軒並み落としたためにやや平板になりすぎた、という御指摘もございましたので、若干なりともお応えする意味もございまして、廃棄物処理場の残余年数を具体的に書いてみております。
 また、8ページの※132でございますが、自然環境の記述に、森林の重要性を少しまとまった記述として書いたらどうか、という御指摘がございましたので、「なお、」以下の部分を書き込んでいるところでございます。
 また、これに対応しまして、17ページの※227の文章の後ろに、環境配慮の社会基盤の整備への織り込みに関連する形で、森林を保全し、適正に管理していくための取組の重要性についての記述を設けております。
 さらに、20ページの※246の文章の後ろにも、環境投資としての森林の維持、保全、整備の重要性についての記述を置いているところでございます。
 前後して申し訳ございませんが、6ページをお願いいたします。6ページの※127という文章の中に、下から9行目に原子力の開発利用の関係の記述がございます。この部分につきまして、前回いろいろ御議論がございましたので、表現を上の方と整合性をもたせる、客観的な形で少し整理してみようかということもございまして、法律の制定関係を中心にして、さらに「地球温暖化対策に関する基本方針」における記述と大体そろえる形で整理させていただいております。
 同じような表現が、10ページの※140の一番最後の部分4行ほどにもございまして、これにつきましても同様の整理を行っております。
 さらに、26ページの一番最後の「原子力の開発利用については、」というくだりでございますが、それから最後まで、ここにも同様の記述がございまして、ここにつきましても同様の整理をさせていただいております。
 次に、またお戻りいただきまして8ページでございます。※134以下、「参加に関する取組」という記述がございます。ここにおきましては、従来、国、地方公共団体から始まりまして、国民まで、こういう並び順になっておりましたが、この部会での御指摘を踏まえまして、国民をむしろ頭にもってきて、以下、国まで逆の並び方に変えております。以下、同じような記述があちらこちらにございますが、基本的には、主体関係を並べる場合には、国民から始めて国で終わる、こういう並び順に整理させていただいております。
 次に、9ページの※137におきましては、前回までの案では「地方分権に伴って環境行政に関する権限が大幅に委譲された」という誤解を招く表現がありましたので、地方分権により地方公共団体の総合的な政策の実施能力が強化され、その結果、地域づくりに環境配慮が織り込みやすくなった、という論旨に改めております。
 次に、第2部でございますが、14ページの※211というところをお願いいたします。ここでは長期的目標の関係で記述がございます。ここにおきましては、前回だいぶ御議論いただきましたので、いろいろと手直しをさせていただいております。
 まず「循環」の部分でございますが、ここの「資源採取、生産、流通、消費、廃棄」と並ぶ要素として「設計」という要素に着目して並べて書いたらどうか、という御意見もあったわけでございますが、設計につきましては、これらのいずれとも関わってくる共通の要素であるということでございまして、むしろ、その後の文章にございます「経済社会システムにおける物質循環をできる限り確保する」、そのための共通の手段だろう、そういう性格が強いのではないかと考えまして、ここにつきましてはとりあえず原文どおりとさせていただいております。
 それから、「循環」の最後の部分に「自然物質循環の機能の回復・維持」という表現を結論的といいますか、だめ押し的に入れたらどうか、という御指摘もあったわけでございますが、このことにつきましては、同趣旨のことがこの部分のイントロ部分にございますので、ややくどくなるかなと考えまして、原文のままとさせていただいております。
 それから、「循環」の最後の部分が同語反復ではないか、という御疑問もあったわけでございますが、この部分は、「循環」と「共生」を基調とする経済社会システム、これが1つの言葉であると考えて、それを前提として文章を引っ繰り返してみますと、「循環」と「共生」を基調とする経済社会システムが、そこにございますようないろいろな取組を通じて、経済社会システムにおける物質循環をできる限り確保し、環境への負荷をできる限り少なくすることによって実現されるのだと、ある意味では当たり前の文章になるわけでございます。そう考えますと、さほど違和感がないのではないかと考えまして、こういう観点から、ここにつきましても原文どおりとさせていただいております。
 また、「循環」の部分の文中に「等」が非常に多すぎるという御指摘がございまして、御指摘を踏まえ、「等」につきましては、可能な限り整理させていただいております。
 次に「共生」の部分でございますが、真ん中辺に「社会経済活動を自然環境に配慮したものとしつつ」という表現があったわけでございますが、ここではむしろ「配慮」より「調和」の方がしっくりくるだろうという御指摘がございまして、現在のように「社会経済活動を自然環境に調和したものとしつつ」という表現に改めております。
 次に「参加」の部分でございますが、参加における情報ネットワークの重要性という御指摘を踏まえまして、「社会の高度情報化に伴い形成されつつある各主体間の情報ネットワークも積極的に活用して、」という表現を加えております。
 また、「日常生活や事業活動における価値観と行動様式を変革し、」というくだりがございまして、そこに国が出てこないのはおかしいのではないか、という御指摘がございましたので、これにつきましては、そういう誤解が生じないように、その後に「あらゆる社会経済活動に環境への配慮を組み込んでいく。」という文があったわけでございますが、そこに「あらゆる主体の」を加えまして、「あらゆる主体の社会経済活動に環境への配慮を組み込んでいく。」と、国は当然含まれます、そういう表現に改めております。
 次に「国際的取組」でございますが、「地球環境問題は」という書き出しでは、地球温暖化問題のような限られた問題だけが問題であるという印象がある、しかしながら問題はむしろ環境問題が地球規模に広がっていることへの対処の問題である、という御指摘がございました。そこで、この部分につきましては、環境基本法の表現に合わせまして、「地球環境の保全は」という書き出しで始めることにいたしております。
 それから、民間団体の取組をもっと強調したらどうかという御指摘がございましたが、民間団体を個別に挙げていくのはちょっと難しい部分もございまして、むしろ民間団体が後ろに下がっているような印象があるのは、「国のみならず、あらゆる主体が積極的に行動する」という表現がありまして、そこがむしろ国以外は付けたりだという印象を与えるのではないかと考えまして、「国のみならず、」を削除しまして、「あらゆる主体が積極的に行動する」という記述にいたしております。
 次に21ページをお願いいたします。この部分につきましては、先ほど申し上げましたように、国民からの並び順に変える。そのほかに、国以外の各主体に関して、「……の行動を期待する」という書きぶりになっておりましたが、環境基本法を始めとする環境関係の立法でいろいろと責務規定が置かれている、そういうものにつきましては、むしろ「必要がある」という書きぶりにすべきではないか、こういう御指摘がございました。このため、責務規定の射程の範囲内にあるようなものにつきましては、例えば※257を御覧いただきますと、国民についての記述がございますが、その第2パラグラフで「期待する」という表現に代えまして、「必要である」あるいは「重要である」という表現に直しております。
 それから、※258の事業者に係る記述の第2パラグラフ、※260の地方公共団体の記述の第2パラグラフにつきましても同様の修正を行っております。
 次に、第3部の関係でございます。この部分につきましては、専ら第1章の第1節の地球温暖化対策、第2節の循環型社会の部分に議論が集中しておったわけでございます。この点につきましては、まず第1節で5カ所ほど修正させていただいております。
 まず、26ページの※3056というくだりでは、先ほど申しましたように、原子力の開発利用について、地球温暖化対策推進法の基本方針に合わせた表現にいたしております。
 また、次の※3057のパラグラフでは、6%削減目標の達成というのは非常に困難を伴うのだ、このために一層の取組が必要なのだということを明示してほしい、ということがございまして、文末部分にその趣旨を書き加えております。
 それから、28ページの※3068では、温室効果ガスの排出量、吸収量に関するデータの不確実性の低減のための取組をやることが必要だ、そういう表現を入れてほしいという話がございまして、この一文を追加いたしております。
 同じく※3072では、究極的な目標である大気中の温室効果ガス濃度の安定化に向けて目指すべき方向もちゃんと書いておく必要があるという御指摘がございまして、この一文を追加いたしております。
 それから※3074では、「太陽光や風力などの自然エネルギーの積極的な導入」についてきっちり書く必要があるということでございますので、この部分を例示的に追加させていただいております。
 そのほか、ここでいいますと、※3066の部分、※3073の部分、※3079の部分で、いずれも「国内制度の整備・構築」という表現がございますが、ここでこれに関連する議論がいろいろあったわけでございますが、事務局案としては、8月9日の部会に提出いたしました起草小委員会の案をそのまま現在のところ掲載いたしております。
 また、※3080、一番議論があったところでございますが、ここでは、前回、修文案という形で、「柔軟性を持たせることが必要である」という表現を「柔軟性を持たせながら義務の遵守を図ることが必要である」という表現に直したらどうか、そういう御意見をいただいておるところでございますが、ここにお示ししたものにつきましては、とりあえず前回出しましたもののままとなっております。
 次に、31ページ以下の循環型社会の関係でございます。ここでは、先ほど申し上げましたように、表題を直しております。
 それから、1の「現状と課題」のところでは、大量生産・大量消費・大量リサイクルということではだめなんだ、そういう思想を表に出せ、という御指摘がございましたので、そのような形の整理を行っております。
 次に「目標」のところでございますが、※3104の文章では、長期目標の「循環」の書きぶりとちょっとずれがあるのではないか、もう少し整理した方がいいのではないか、という御指摘がございましたので、長期目標の「循環」の記述にできる限り合わせる形で文章を整理いたしております。
 32ページの※3107というくだりでは、文章をもう少しわかりやすくしたらどうか、あるいは自然の物質循環と経済社会システムの物質循環についていろいろな御指摘がございまして、そういうことを踏まえて文章の整理を行っております。ちょっと細かな修正でございますので、その文章で御覧になっていただければと存じます。
 それから、ここでも同じく、大量リサイクルというのはだめだという趣旨を明らかにしているということでございます。
 ※3110では、都市設計の段階からのいろいろな配慮が必要なのではないか、あるいは動脈産業と静脈産業の結びつきによる産業構造の見直しという視点も大事なのではないか、という御指摘を踏まえまして、そのような語句を入れて整理いたしております。
 ※3112では、どちらかというと事務局サイドの修正でございますが、「ミレニアム・プロジェクトの活用を図りつつ」という表現がございますが、これは本年度から実施されているミレニアム・プロジェクトのうち、循環型経済社会構築のための大規模な調査研究が大きな柱になっている、これを踏まえまして、その適切な活用について言及いたしております。
 次に、「重点的取組事項」の(3)、34ページの一番下のところからでございます。ここでは、ペットボトルを例に挙げられまして、政策と現場との乖離があるのではないか、そのような御指摘もございましたので、一番最後に「また、容器包装等については、その法制度の施行状況につき不断の検討を行い、必要な見直しを行うこととする。」ということを追加いたしております。
 戦略的プログラムの部分につきましては、あとは第3節でございますが、37ページの※3160では、自動車の単体対策を扱っているわけでございます。ちょっと細かな話でございますが、ここで従来、燃料自動車という事柄について促進を図るという表現があったわけでございますが、もう少し一般的な車、むしろ実績のあるものを前面に出すべきではないか、ということがございまして、その辺の整理を行っております。
 次に66ページ以下、これは今回新しい部分でございますが、第3部の第2章につきまして説明を申し上げたいと思います。この部分につきましては、現行計画の第3部に「施策の展開」という記述がございますが、これに必要な加除訂正を加えまして、総論部分に移したものについては記述を省くという形で整理を行っております。ただし、第3部第1章との関係につきましては、この部分で完全に重複を省きますと、施策の全体像がかえってわからなくなってしまうおそれもあるということでございまして、その関係につきましては、若干の語句を重複はおそれずに書くという割り切り方をいたしております。
 この部分につきましては、66ページから87ページまでが第1節「環境問題の各分野に係る施策」、88ページから94ページまでが第2節「各種施策の基盤となる施策」、95ページから103ページまでが第3節「各主体の自主的・積極的取組に対する支援施策」、103ページの下のところから108ページまでが第4節「国際的取組に係る施策」でございます。いずれももともとの記述が現行計画の第3部のところにございまして、それを若干整理を加えた形でつくったものでございます。以下、ページに沿いまして、簡単に御説明させていただきたいと思います。
 まず、第2章の頭のところは、この部分の記述の趣旨を書いてございまして、「以下は、環境基本計画の推進に係る施策を網羅的に記述したものである」ということでございます。
 なお、注のところにございますのは、この文章の中に四角で囲った表現がところどころ入っております。例えば69ページでございますが、こういうところには、この計画の目標というわけではございませんが、他の計画や法律で目標として掲げられているものを参考までに収めたというものでございます。そのことがここに書かれております。ただしここでいろいろそういう目標的なものが出ておりますのは、あくまでも「この環境基本計画の閣議決定の日現在のものである。」と書いてありますが、これは要するに今日現在のものであるということでございまして、また今後大きく動く可能性があるものもないわけではございません。
 次に、第1節「環境問題の各分野に係る施策」でございます。ここでは、地球温暖化対策以下、具体的な環境問題についての施策の体系的な記述を行っております。
 まず、地球温暖化対策につきましては、※3606以下に記述がございますが、まず、国による対策の推進、68ページにまいりまして、地方公共団体、事業者、国民という形で主体別の整理を行っております。記述につきましては、概ね従来の形、それから地球温暖化対策推進大綱の記述、ここら辺をベースにして整理しております。
 ※3613のところに原子力の開発利用関係の記載がございます。この部分の記載につきましては、「地球温暖化対策に関する基本方針」での表現に合わせまして、現行の計画におきましては、一番最後のところにございます「国民的議論を行い、国民の理解を得つつ進める。」という表現がなかったわけでございますが、基本方針でこういう整理が行われましたので、この部分はそういう形で手直しを行っております。
 68ページの※3628から「大気環境の保全」という項目になっております。この部分では、まず基本的な方向として3点を述べた上で、個別施策を羅列するという構成になっております。
 69ページの※3632、オゾン層保護対策、70ページにまいりまして、酸性雨の対策、(3)で「大都市圏等への負荷の集積による問題への対策」という記述になっておりまして、72ページの※3648、「多様な有害物質による健康影響の防止」(5)で「地域の生活環境に係る問題への対策」、73ページの(6)で「大気環境の監視・観測体制の整備」、これらにつきましては概ね現行の記述を踏襲いたしております。ただ、※3634の下に括弧書きの注がございますが、大都市圏等への負荷の集積による問題への対策、特に窒素酸化物対策等の問題につきましては、現在、中環審の別の部会で審議が行われておりまして、その答申に応じてかなり大幅な変更が生ずる可能性があるということでございまして、最終的には、その状況を踏まえながら再整理する必要があるだろうということが注記されているところでございます。
 74ページにまいりまして、※3660、「水環境及び土壌・地盤環境の保全」でございます。これにつきましては、戦略的プログラムの方では、水環境は専ら水循環に着目して書いてあったわけでございますが、こちらの方では、それ以外の施策につきましても整理を行っております。
 ※3661の(1)では「流域の視点から見た水環境の保全」、75ページにまいりまして、「水利用の各段階における負荷の低減」、76ページにまいりまして、「閉鎖性水域等における水環境の保全」、77ページで(4)で「海洋環境の保全」、(5)で「水環境の監視等の体制の整備」、(6)で「土壌環境の安全性の確保」、(7)で「地盤環境の保全」、この辺につきましては、いずれも基本的に現行の計画を整理の基準として踏襲いたしております。
 78ページの一番下のところから4で「廃棄物・リサイクル対策」が始まっております。ここでは、循環型社会形成推進基本法に基づいて若干の整理を行っておりますが、基本的な方針といいますか、施策の中身についてはそれほど変わっておりません。
 ※3689では、循環型社会形成推進基本法を踏まえた柱書きを置いております。以下、※3690で「廃棄物等の発生抑制」、79ページにまいりまして、※3961で「循環資源の適正な循環的な利用の推進」、80ページにまいりまして、※3696で「廃棄物の適正な処理の推進」というような続き方になっておりますが、このうち、80ページの一番下にございます※3700の部分につきましては、項目を追加いたしたところでございます。
 81ページにまいりまして、「化学物質対策」でございます。この部分につきましては、基本的に現計画と同じでございますが、若干追加した部分がございます。例えば※3705の一番最後のところ、「大気、水等の環境の複数の媒体を通じた環境リスクや、複数の物質による環境リスクに関する知見の充実に努める。」という表現を追加したり、あるいは※3708の一番最後のところ、「情報公開や技術開発等により、より安全な化学物質への代替や、安全性の高い製造プロセスへの転換を促進する。」という表現を加えたりしております。
 82ページの※3711から「自然環境の保全と自然とのふれあいの推進」関係でございます。この部分につきましてはあまり変更がないわけでございます。記述自体が長くなっておりますが、その辺を飛ばしていただきまして、88ページでございます。ここでは、「各種施策の基盤となる施策」ということで第2節を構成しております。これは現行計画の78ページ以下の第3部第4章の記述を踏まえております。例えば、経済的措置のような政策手法につきましては、戦略的プログラムなり総論的な記述の方に移しておりますので、こういう部分につきましては基本的に省かせていただいております。ここに残っておりますのは、88ページの※3759、「環境影響評価等」、現行のアセスの関係と、※3765で「調査研究、監視、観測等の充実、適正な技術の振興等」のくだりでございます。ここにつきましては、※3768、「調査研究の総合的な推進」の文章をだいぶ整理いたしております。また、※3768の末尾に「大規模な基礎研究に対する総合的取組に関し、産学官の連携の下、次世代の環境保全技術の基礎となる『知的資産』を蓄積するための基礎的・基盤的研究を重点的にやる。」という表現を加えております。
 また、※3776では「情報収集及び評価体制の整備」の項目を追加いたしております。
 90ページにまいりまして、(3)国における基盤整備等の中でございますが、※3778の項目の中で、計画策定後の行政の動きに対応する形で、国立環境研究所が独立行政法人になるということを踏まえまして、2つほどの文章を追加いたしております。
 それから、※3782、地方公共団体等の取組の促進では、※3783の2つ目の段落でございますが、なお書き、地方の公設の研究機関の役割についての記述を加えております。
 91ページにまいりまして、「環境情報の整備・提供」でございますが、92ページの※3796のところから「国における基盤整備」、それぞれ記述がございます。
 それから、※3802のところに「公害防止計画」の記述がございますが、これは実は平成12年度末に、この公害防止計画制度の裏付けになってまいりました公害に関する財政特例の法律が期限の満了を迎えますので、それを見通しまして、現在このような課題がある、将来的にはこういう方向に向いていくのではないか、そういうような観点からの記述を若干加えさせていただいております。
 ※3803から環境保健対策等がございますが、このくだりでは、特に93ページの※3810、「環境犯罪対策」の部分、現在いろいろ問題が山積しているということがございまして、かなり大幅な記述内容の追加をいたしております。
 94ページ、※3814から「技術開発等に際しての環境配慮及び新たな課題への対応」、※3815ではアメニティの問題、こういう記述を置いております。
 95ページからは第3節として「各主体の自主的・積極的取組に対する支援施策」を置いてございます。これは現行計画では第3部第3章のところにあった記述でございます。基本的に総論部分に移したものについては整理する。それから、国から国民に向けて並んでいた記述を、国民を頭にもってきて記述する、そういう整理を行っております。
 まず、1の「各主体の取組」は、主体別という切り口でございます。
 96ページでは、そういう主体別の取組を促進していくための施策ということで、※3909以下に記述がございます。特に環境教育の関係の記述がここには置かれております。
 98ページの※3926からは「社会経済の主要な分野における役割」として、分野別、例えば物の製造をやるところから、あるいはエネルギー関係とか、そういう分野に分けて整理を行っております。一応分野別に割った上で、さらにその中で主体別の観点からの記述をしていくという構成になっております。基本的には現行計画とあまり変わっておりません。この中で、100ページの※3939というくだりに原子力の関係の記述があるわけでございますが、これは現行計画の記述と全く同文にいたしております。以下、103ページまで記述が続きます。
 103ページでは、※3957、「4 行政活動への環境配慮の織り込み」という記述がございます。この部分は大きく変更しておりまして、前回お示しした第4部の記述に合わせていろいろな整理を行っております。頭のところに「国は、率先して、通常の経済活動の主体として行う活動も含め、政府活動に環境配慮を適切に織り込んでいくことにより自らの活動を律し、環境への負荷をさらに低減する必要がある。」というくだりを入れておりまして、それから、関係省庁が自主的に環境配慮の方針を決める、その推進を図るため、政府は、環境マネジメントシステムの導入に向けた検討を進める、こういうことも入れております。なお書きでは、従来この部分で中心的な役割を果たしておりました率先実行計画が大体大きな役割を果たし終えたのではないかということで、今後の取扱いとして、1つは、グリーン購入法に基づくグリーン購入の促進という方向で進む。また、例えばこまめに電気を消すとか、両面コピーをとる、そのようなことにつきましては、地球温暖化対策推進法に基づく政府の実行計画の中で対処していく、そういう方向性を示しております。
 ※3959以下は第4節「国際的取組に係る施策」でございます。この部分は現行計画では92ページ以下の第3部第5章にあった記述でございます。ここは非常に細かくいろいろ手直しをしておりますので、総体的に申し上げますが、現行計画策定後の進捗を踏まえて修正をする。さらに、検討チームの報告書でいろいろ提言された事項で戦略的プログラムの中等で織り込めなかったことは、ここの中で細かく書き込んでいく。そういうことで構成いたしております。内容につきましては、1番目に「地球環境保全等に関する国際協力等の推進」、105ページにまいりまして、※3972、2として「調査研究、監視・観測等に係る国際的な連携の確保等」、3として「地方公共団体又は民間団体等による活動の推進」、4として「国際協力の実施等に当たっての環境配慮」、5として「国際協力の円滑な実施のための国内基盤の整備」、6として「地球環境保全に関する国際的枠組みの下での取組と新たな国際的枠組みづくり」、こういう並び方になっております。それぞれこの部分はかなり細かい施策が並んでおります。
 次に、第4部でございます。この部分につきましては、だいぶ文章整理をしておりますが、大きな点だけ申し上げますと、第1節につきましては、御指摘を踏まえまして、こなれない表現を整理いたしますとともに、各主体の並び方を、住民を先頭に並び替えるというような修正を行っております。
 また、第5節につきましては、政府の点検と各省庁の点検との関係がわかりにくいのではないか、という御指摘を踏まえて、整理いたしますとともに、中ほどに「施策の環境改善効果に関する評価」という表現があったわけでございますが、そこに「分析」という言葉を加える、このような整理を行っております。
 やや長くなりましたが、説明としては以上でございます。

【森嶌部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして、質疑と併せて御議論いただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、今までの議論で比較的手薄であったと思われる第3部からお願いしたいと思います。いわば今回の新環境基本計画の中核、目玉となるところでございますので、第1章「戦略的プログラムの展開」の節ごとに御意見をお伺いしたいと思います。第1節の「地球温暖化対策の推進」、これは26ページから30ページまでですが、どうぞ御意見をお願いします。

【浅野委員】 まず、25ページに※3002、※3003というのがありまして、それから3050にいくわけですが、これは整理がどこかで狂っているのではないかと思います。「第1節」と書いてあるのですが、これは「第1章」ですね。これに関することで意見を1つ申し上げたいと思います。
 その前のところの265から後で、重点分野でずっとこういう重点的な取組が必要であると書かれていて、それが戦略的プログラムに展開するわけですが、なぜ「戦略的プログラム」という表現を使わなきゃいけないのか、こういう表現で何を言おうとしているのかというのがちょっと説明不足で、3003のところの説明はもう少し丁寧に書くか何かしないと、唐突に「戦略的プログラム」という言葉が出てくるという感じがしますから、今までの議論の経過を踏まえて、ぜひ書き込んでいただきたいと思います。
 それから、3080のところが現在括弧書きのままになっていますが、この部分については、小委員会でも申し上げましたけれども、「計画とモニタリングの対策強化が全体としてフィードバックとして働くシステムをつくることが大事である」ということがワーキンググループの報告にも出ているので、それをぜひ入れてほしいと申し上げました。その意見は、大体ここに書かれている文章で適切に表現されていると思いますので、これはこの形で括弧を取ってはいかがかと思います。
 なお、この最後のところで「柔軟性を持たせることが必要」という部分については、天野委員から「柔軟性を持たせながら義務の遵守を図ることが必要」と直すことが適当だという御提案がございました。私はそれに賛成でありますので、天野委員の御提案を含めた修正を加えた上で、この部分は括弧を外してはいかがかと思います。
 それから、3079のところは、小委員会でも議論があったことは既に報告されていまして、最終的にこういう形で部会に出ているわけですが、とりわけ、議論されたことの中では、「現行の対策の評価を踏まえ」ということを入れるべきであるかどうかの議論がありました。これはそれを入れることによって、評価をまず完全にやらなければ次の対策を講じてはならないという議論になっては困るので、そういう意味ではそういう表現がない方がいいとも思うわけです。しかし、さりとて、現在の対策の評価をちゃんと踏まえていかなければいけないだろう。だから、踏まえつつ、それの足りない点を補う、あるいは新しい施策を組み込む、これは天野委員もおっしゃっているわけですが、そういうことが必要であるということは、確かにそのとおりでありますので、必要ならば、ここに「現行の対策の評価を踏まえつつ」という言葉を入れて3079の文章を処理してはどうか。「今後の国際交渉の進展や現行施策の評価も踏まえつつ」ということで、いずれにせよ、「COP6後に必要に応じて見直し」というのはどうしても入れざるを得ないわけですから、
 そこで検討することになると思いますが、今御議論があった過程からいうと、それを入れても構わないのではないかと思います。
 「批准可能になった場合」という限定を入れるという意見がありましたが、これはどう考えても、我が国の政府のスタンスからみて適当でないので、それを入れることには賛成できないという意見であります。

【横山委員】 27ページの一番上の原子力のことで意見を述べたいのですが、確かに前回の表現に比べると客観的になっていることは認めますが、まだこれでも、なぜこんなものが入るのかという感じがいたします。それと、先ほどの説明では、基本方針の記述に沿う表現だということで、それもよくわかるのですが、基本方針が決まった後にジェー・シー・オーの事故があって、あれだけの騒ぎになっているわけですね。それを単に「同11年『原子炉等規制法』の改正」を行ったと。なんで規制法の改正を行ったかというと、ジェー・シー・オーの事故が起こったら改正を行ったわけですよね。その辺を抜きにして、単に原子力はこうやってやっているというのがまだ私には理解できません。しかも、これと全く同じ表現が、先ほどもちょっとありましたが、6ページと10ページに出てくるわけですね。前回も、表現のダブりとか、同じ箇所が出てくるという話がありましたけれども、なぜこの4~5行の表現が1つの報告書で3つも出てこなければならないのかということが少し納得がいきません。
 それから、同じ3056の温暖化防止に絡んで、これはやむを得ないのかわかりませんが、最初は、京都会議が1997年と西暦で出てきて、それから日本の法律になると平成になっている。これはほかのところもみんなそのとおりですけれども、読んでいる方からすると、非常にわかりにくい。何とかなりませんでしょうか。

【森嶌部会長】 それはおっしゃるとおりです。これは整理の方で、パッチワークでやっているからこういうことになるので、これは統一いたします。私が推測するに、これはやっている間に、それぞれ入れたときに、本来ならば、小委員会、事務局で全体を統一しなきゃいけないところなんですが、それをやっておりません。それはおっしゃるとおりで、私もあちこち気がついております。
 それから、今の原子力の点ですが、2つ問題を出されまして、1つの計画の中に3つも4つも同じのが入るのはいいか悪いかという問題につきましては、同じ文章が入るかどうかではなくて、同じ事項を扱うことは、それぞれの事項で適当かどうかという観点から検討しなければならないと思います。検討して、この表現の問題だけでなく、ほかの問題もそうですが、同じようなことをあっちでもこっちでも言う必要があるかどうかという観点から考えて、整理する必要があれば、整理させていただきます。
 それから、第1の点でありますが、環境基本計画は国の計画であります。その意味では他の国の計画と整合性をとるということは必要でありまして、我々の方で新たな政策提言をするという場合であれば、それはまた別でありますけれども、従来とられてきている政策を記述する場合には、既にとられている政策を記述せざるを得ないと思います。
 そして、その後にいろいろあったではないかということですが、この点については、やや官僚的なお答えになりますけれども、残念ながら、環境基本法のジュリスディクションの中には放射線に関わる事項は外されております。個人的に申しますと、それでいいのかどうかというのは、大いに疑問がありますし、他の国では環境と原子力とは同じジュリスディクションの中にあるわけです。したがって、国の1つの審議会として申しますと、我々のジュリスディクションにないところ、しかも、環境基本計画を議論している場で、他の直接関わっていない分野について文章を別にする、あるいは新たな方向性を出すということは、私は、少なくとも審議会としては適切ではないと思いますので、横山委員のおっしゃる御意見は十分に理解できますけれども、どういう場で何を書くかという問題だと、私の方としてはお答えせざるを得ないと思います。

【湯川委員】 今の横山委員の御意見に関してのことなんですが、「放射性廃棄物の処理処分対策等を充実させつつ、安全性の確保を前提として、国民的議論を行い、国民の理解を得つつ進める」という、この「国民的議論を行い、国民の理解を得つつ進める」ということをいろいろなところに全部同じように入れていただいたということを私は評価したいと思います。そして、私の場合は、書き方を変えるということではなくて、同じようにどこでもこれをしつこく入れていただければいいのではないかという意見を持っています。
 仕事の関係で3時半に中座しなければならないので、ついでにちょっと先のところですが申し上げさせてください。
 100ページの事業者の自主的・積極的取組に対するところの(2)の「エネルギーの供給・消費」というところなんですが、「エネルギー供給事業者等の役割」のところになりますと、「放射性廃棄物の処理処分対策等を充実させつつ、安全性の確保を前提として進める」と、ここでは「国民的議論と国民の理解を得つつ」というところがなくなってしまうのですが、今までのいろいろな運動を通して、事業者の役割の中に、「国民的議論」までは入れないまでも、住民投票が無視されてしまうような場合もたくさん出てきておりますので、せめて「国民の理解を得つつ」を入れて、つまり「処理処分対策等を充実させつつ、国民の理解を得つつ、安全性の確保を前提として進める」としていただきたいと思います。

【森嶌部会長】 先ほど私、浅野委員に対してお答えをするのを忘れたのですが、「戦略的プログラム」というのは、まことに唐突にここに出てまいりますね。前のバージョンでは、私の見解からすると、あれが戦略なのかということがあるのですが、前に出ておりましたけれども、ここで「戦略的プログラム」という名前がいいかどうかは別として、これをはっきり書いておかないと、今日御審議いただく第3部の2のところ、従来の環境基本計画で既存のものを並べていると先ほど課長から御説明がありましたが、あそこにもいろいろなところで重複するんですね。環境教育にしろ、アセスメントにしろ、いろいろなのが出てくるのですが、私も含めて、前にやったことをなんでまた別の形であるのだろうと。「これは従来の環境基本計画に出ていましたから」というのだったら、では、どこが今度の新計画と違うのだということを言わなければならなくなりますので、この2をどう扱うかという問題は、また御議論いただくことにして、少なくとも第3部の第1章のところで、特に「戦略的プログラム」といって取り上げた場合には、何が戦略的プログラムかということを言っておかないといけないと思うんですが、むしろ私が伺いたいのは、小委員会ではどういう議論をなさったのでしょうか。多分これは小委員会の命名ですね。

【浅野委員】 どういう議論をしたかと言われると、これは小委員長がお答えになる筋合いであろうかと思いますけれども、ともかく重点的に取り組むということ以上に、はっきりとプログラムをつくって、それをこなしていくという発想が必要だ。だから、そこで、「ストラテジー」という言葉がいいのではないかという流れだったと思います。ですから、単に重点的ということ以上に、それはぜひともこれまでに解決しなきゃいけない課題、それはこういう手順で解決していくべきであるということを明示するのがこの部分だ、そういう議論をしたと理解しております。

【森嶌部会長】 さらに申しますと、これは節によるのですが、手順が何も書いてない節が多いんですね。重点的に取り組む課題が並べてありまして、従来、私どもの方で、点検のたびに、「メニューが並べてあるだけで、その有機的な関係とか、プライオリティとか何も書いてないじゃないか」と批判してきたわけですが、この戦略的プログラムの各節の中で、全部の節がそうだとは申しませんけれども、ものによっては、依然としてメニューが並んでいるだけ。それが5年間の時代の変わりで、メニューの料理が1つか2つ増えたかなというようなのもあります。その意味では、私自身も、実は私は自分でもどうしてそうなのかわかりませんけれども、地球環境戦略研究機関というのを今、環境庁で設立して、それをやっているものですから、「戦略」とは何かということを常に考えていかなければならないので、その目から見ますと、今の時点でこれを全面的に書き改めることは困難だと思いますけれども、少なくとも「戦略的」というからには、記述についても多少そういうあれがなければなりませんし、ましてや、世の中一般、「戦略的」というと、爆弾でも飛んでくるのではないかという感じがしますので、皆さんの御意見も伺って、このタイトルがいいかどうかというのは、もう少し検討したいと思っております。ただ、重点的だけでないということは確かなんです。

【浅野委員】 最初の6つとあとの並んでいるものが全部同じ位置づけで並んでないということを前のところの書き方の中でも書いてはあるのだけど、よくわからないですね。6つは明らかに課題なんですね。そういうものと、それを手段的にどうやっていくのかということがありますから、同じようにプログラム化といってみても、プログラムの意味が違うわけですね。そこをはっきり書いておけば、あとは書きやすくなるだろうと思うのですが、それが全体を統合して、ホチキスで綴じてみたときに初めて気がついたということですから、今から言うのは本当はよくないだろうと思いますが。

【佐和委員】 ささいなことでありますが、新しく追加された文章で、3068の意味がよくわからないのです。まず、冒頭の「京都議定書に定められた」というのは何に係っているのですか。発生源ですか。その辺のわかりにくさがある。あるいは、その前のいくつかのパラグラフで「京都議定書」という言葉が散々出てくるわけですから、場合によっては、この「京都議定書に定められた」という、何に係っているのかわからないような言葉は除いた方がいいのではないか。
 それから、「データの品質保証、品質管理」というのも普通あまり使わない言葉なんですよね。データを整備充実させるとか、精度を向上させるとか、あるいはできるだけ遅れなく公表するとか、つまり公表の迅速さ、そういうことを具体的に書くべきであって、私は統計学者なんですが、「データの品質保証、品質管理」という言葉の意味はよくわかりません。
 それから、その後の「不確実性低減のための取組」というのは一体何ですか。何の不確実性を低減させるための取組なんですか。

【地球環境部】 お答え申し上げます。まず初めに、「京都議定書に定められた」がどこに係るかでございますが、係り結びの関係で申しますと、「排出権による吸収量の算定」の部分に係りますが、先生おっしゃるように、この係り結びが日本語としてきれいなものではないということで、むしろ取った方がいいのではないかという御意見でございました。言われてみれば、大変わかりづらいと思います。
 それから、説明でございますが、品質保証、品質管理につきましては、確かに日本語として「データの品質保証、品質管理」というものがなじんでいるかという部分がございますが、実はこの考え方は、京都議定書の実施を今検討しております国際的な議論の中で、非常に重要な概念として「品質保証」、英語ですと「quality assurance 」とか「quality control」ということで出てきておりますが、あとはuncertainty、不確実性の低減、直訳で大変恐縮なんですが、この3つの概念が、今後の各国の温室効果ガスのデータをいかに比較可能で正確なものにしていくかという上で、非常に大事な3つの概念として出ていると。

【佐和委員】 「品質保証」「品質管理」という言葉がそういうコンテクストで使われているなら、それで結構ですが、これは「不確実性」というよりは、「誤差」という感じではないのですか。「不確実性の低減」というのが突然こういうところに出てきて、何の不確実性なのかがさっぱりわかりませんね。これはデータのことをいっているなら、データの不確実性というと、日本語の意味でいえば、要するに誤差を少なくするということだと思うんです。精度を上げる、精度向上だと思うんです。

【森嶌部会長】 地球環境部は、いつもIPCCが頭にありまして、日本の国内はあまり頭にありませんので、したがって、あっちでやっている極めてオタク的な議論だけでやっていると思います。御指摘の点はよくわかりましたし、日本語でいうと「データのばらつき」ぐらいなのかなという気もしますけれども、これも含めてちょっと検討--

【佐和委員】 「データのばらつき」というと、また意味が違ってくるわけです。もともとデータにはばらつきがあるわけですね。

【森嶌部会長】 そういうことではなく、国によるばらつきです。

【佐和委員】 国によるばらつきですかね。国によって、例えば同じものを測っていて、測り方が違うというのは問題ですよね。それを統一しなければいけない。

【森嶌部会長】 私はばらつきに関わっているわけではないので、いろいろな言い方があると思いますので、それについては検討させていただきます。

【佐和委員】 少なくとも申し上げたいのは、「不確実性の低減」という言葉をここで使うのは、前後の文脈から何をいっているのかさっぱりわからないということです。

【谷田部委員】 3053の最後の方で、「高潮の頻発、熱帯病などの発生率の増加等の健康影響の可能性がある」となっていますが、実際問題、逆にいうと、もう少し時間がたってみないと判断ができないのかもしれませんけれども、こういった熱帯病が既にニューヨークで話題になっていたりするような現状がありますし、もう少し緻密にみていくと、既に影響が出始めているという部分も多分出てくるのではないかと思います。そういった記述としては、1ページに103の文章の中で、地球環境の現状みたいな形で書かれていますけれども、もう少し現実的な部分が、「その可能性」ということではなくて、「その懸念が既に出始めている」とか、そういったような記述ができるようなものが入ってもいいのではないか。あまり客観的に未来の話だということではなくて、既に我々の身の回りでそういった影響の兆候は出てきているという形の部分を少し付け加えた方が切実感が出てくるのではないかと思います。

【湊委員】 今日の会議の後でこれがオープンにされるというお話ですので、今見ていて、戦略的プログラムのところにぜひ戦略的プログラムの意味を書いていただかないと、何が戦略的プログラムかよくわかりません。その書き方ですが、全体として11ありますが、例えば1、2、3、4となって、「現状と課題」、「目標」、「施策展開の基本的方向」、「今後の重点的取組」、この見出しの付け方1つを見ても、11ずっと御覧いただきますとわかりますが、ばらばらなんです。これはあまりにもお粗末なので、この辺はしっかりまとめていただきたいと思います。
 それから、「目標」というのがあったりなかったりしているというのは、書き方の工夫があるのではないかという気もするんです。確かに物事によって書きやすいものとそうでないものがあるように思いますけれども、体系的にこの戦略的プログラムを世の中に出す際に、書く視点がそれぞれ変わってきているというのは、どうも好ましくないなという感じがいたしますので、何か検討の余地があればお願いしたいと思います。

【森嶌部会長】 私も、大体は「現状と課題」とか「目標」とか、そういうフォーマットも決めたのだと思いますけれども、先ほどの浅野委員のお話ではないですが、ホチキスを外してみたら、必ずしも統一されていなかった。先ほどの年代の書き方などもその典型だろうと思います。これはこのまますぐ出すのではなくて、今日の御意見も含めて、もう一度整理いたしますので、全体を見て、ばらばらだということには、それこそ不確実性がないようにいたしたいと思います。
 第1節はよろしゅうございましょうか。
 それでは、第2節「物質循環の確保と循環型社会の形成に向けた取組」、31ページから35ページまでで何かございますか。

【寺門委員】 3105の数値目標について、「施策の具体的な目標として、数値目標を盛り込み」ということですが、数値目標というのは、この前も他の委員からお話がございましたけれども、非常に困難だと思うわけです。どういう分野で、どういう目標なのかというのは、非常に難しいと思います。いろいろな条件が加味されていって、それをフォローしながら、施策がその目標に向かっているかという評価をしながら、さらにできることをどうやっていくのか、こういうプロセスを経過していくものだと思いますが、最初に目標値をぼんと決めるというプロセスというのは、なかなか困難ではないか。国としてはどういう施策をとったか、いろいろなものが関連してくるわけでして、まさにいろいろな主体が絡んでくる。目安なのか何というかわかりませんが、数値目標といいますと、かなり疑問符がつくと思います。どんなふうに決めて、どうするのかということは、多分、不可能だろうということも、この前も議論があったと思いますが、もう少しまさに柔軟性のあるやり方というものを念頭におかないと、これは書いただけで崩れてしまうと思います。

【森嶌部会長】 ここで考えているのは、循環型社会形成の目標というよりも、むしろもう少し具体的な、例えば他の国でよくやっているように、プラスチックのびんを何%ぐらい何年までに減少するとか、そういうことを考慮に入れているのだろうと思います。おっしゃるように、漠然と書いてありますので、そういうような御意見もあるかと思います。

【長尾水質保全局企画課長】 目標でございますが、政府の中の取組といたしましては、昨年の9月にダイオキシン閣僚会議におきまして、廃棄物の減量化目標というのを決めたことがございます。廃棄物をどういうふうに減量するか、最終処分量をどうするか、といったような類のものでございますけれども、日本全体としてそういった目標をつくっている例がございます。この目標はどういう目標かというのは、また循環基本計画を策定する過程で十分御議論いただく必要があろうかと思いますが、過去にそういう目標をつくったこともございますので、こういったこともベースにしながら、循環資源全体についてできないか、そういった点も議論を深めて、つくっていきたいと考えております。やはり施策の根っこになるようなものでございますから、何がしかの目標が入った方が推進力になると考えておりますので、そういうことで御理解いただければと考えております。

【渡辺委員】 前回も寺門委員のような、難しいのではないかという御議論があって、私はそのとき発言しようかと思ったのですが、時間切れで機会がございませんでした。私は実はこの検討チームに参加しておりましたし、随分前から廃棄物行政、リサイクル行政に携わったこともありまして、恐らくこの環境基本計画全体のいろいろな分野を通じて、廃棄物対策、リサイクル対策の分野が一番数値目標になじむのではないか。今、水質保全局の企画課長が答えられたようなものもありますし、今度、法律の中身、法律名も変わりましたけれども、再生資源利用促進法でも、リサイクル率といいますか、再生率を決めるとか、法律にそういう規定もございます。それから、検討チームの報告書の中にもいろいろな数字が掲げてあります。とにかく可能なものは目標を掲げて、年の経過とともにそれがどれだけ達成され、達成されなかった場合に、その原因を見極めて、また新たな手を打つ。それになじむ分野だと私は思っております。

【森嶌部会長】 次の文章と合わせて読むと、わりあいにいいのですが、前のところは、循環型社会形成に向けて目標をつくれということになるものですから、あまりにも広くて、いろいろな条件があるではないかという御意見が出てくるのはやむを得ないかと思いますけれども、この趣旨は、第2文の、廃棄物処理法が今ある、しかし、それだけではなくて、もっと広げていけということだと私は思いますので、一応御意見として承っておきます。

【寺門委員】 現実の施策として、例えば家電ではリサイクル率を何%にしましょう、そういう目標は現実にあるわけですね。この場合は、循環型社会形成推進基本計画の中に数値目標とありますから、非常に大きな、全体に関わる数値だということになりますと、これは不確定要素が非常に多い。経済活動、技術開発、いろいろな事柄を含めて、非常に難しい。そういうふうに受け取るということでありまして、だから、数値目標があってはいけないということを言っているわけではなくて、なじむものは確かにありますね。現実にそういう目標に向かって、ルールが決まって、それに向かってやっているものがあるわけですから、それを否定しているわけではなくて、ここではどういうことをいっているのかということについて、ややわかりにくいということです。

【森嶌部会長】 その趣旨はわかりました。

【佐和委員】 さっきちょっと御説明もあったかと思うのですが、第2節の最初の文章、3102の冒頭の文章に「経済社会システム」という言葉が出てまいりますね。さっきの御説明の中で、「社会経済」はすべて「経済社会」に統一したとおっしゃいましたよね。「経済社会システム」、「経済社会活動」。ところが、14ページの「循環」と「共生」のところでは、「経済社会」と「社会経済」の両方の言葉が登場しているということで、統一なさるのは結構なんですが、普通、社会と経済との関係といったら、経済は社会のサブセットですよね。そうなると、広いもの、大きなものを頭にもってくるのか、小さいものを頭にもってくるかなんですが、なかなかいい例は思いつかないのですが、広いものを上にもってくるのが普通なんですよね。ですから、「経済社会システム」というよりは、「社会経済システム」という方が自然なんです。実際「ソシオエコノミックス(社会経済学)」という言葉はあります。ところが「エコノミック・ソシオロジー」という言葉はないんです。なぜ「経済社会」に全部統一されてしまったのか。根拠といいますか、理由のようなものがあるならば教えていただきたいのです。

【浅野委員】 佐和先生の御指摘の「社会経済」という言葉は、実は環境基本法の3条に出てくるんです。「社会経済」は、先生の御指摘のとおりなんです。前の計画も前半の抽象的な議論をやっているところは「社会経済」だったのですが、第1章のところで突如として逆になって「経済社会システム」という言葉が出てきて、そのときにだれもこれは議論しなくて、すーっと通ってしまったのです。だから、多分そのまま前例踏襲できているのではないか。

【森嶌部会長】 根拠はないということですね。

【浅野委員】 多分そうではないかと思いますが。

【森嶌部会長】 事務局、何か根拠がありますか。さっきいい例がないと言われましたが、「天下国家」というのがありますね。「天下」の方が大きいですね。

【長尾水質保全局企画課長】 文章を実際につくっている事務方に確認しましたが、特段他意はございません。「経済社会」「社会経済」、日本の国語としてどちらが適当か、もう少し考えてみたらいいかもしれません。

【浅野委員】 関連することですが、先ほどの寺門委員からの御発言なんですが、もう大体話はついたと思いますけれども、循環基本法の中に、環境基本計画に基づいて循環基本計画をつくれと書いてありますから、こちらの方で、あるサジェスチョンをしておかないといけないということもあって、ここで目標といっているわけです。それから、循環基本計画は、その下にぶら下がる個別法がまたそれぞれ各省の方針という形で数字が出ていきますから、それを野放しにしておいたのでは全体の調整ができなくなるだろうという危機感がありまして、ぜひこれは全体的な調整をきちっとやるという意味で入れる必要があるという議論をしているわけです。
 それから、佐和先生が御発言になったことに若干関連するのですが、3102の「現状と課題」というところを見ますと、かなり危機感が出てくるわけですね。ここで危機感がにじみ出ている割には、一番最初の「環境の現状」というところの107ぐらいのところは比較的のどかな書き方なんですね。あまりぐちゃぐちゃ書くのはいかんと言って文句をつけて削ってもらった挙げ句の果て、もう1回文句をつけるのは申し訳ないのですが、もうちょっと切迫感がないといけない。それは先ほど「地球規模の環境」のところについても、将来危険性があるような話ではないよというのがありましたが、あれと同じようなことが、107、108、111というところに関連して出てくると思いますので、そこは申し訳ないけれども、もう少し危機感を強調していっていただいて、後の方ともつながるようにしていただきたい。

【森嶌部会長】 この時期になってきますと、「危機感」という漠然としたことを言われても困りますので、ある程度具体的に、この文章を入れればいいのではないかということを言っていただければ大変ありがたいと思います。

【浅野委員】 後で事務局に出します。

【森嶌部会長】 ほかにございましょうか。

【谷田部委員】 細かいところで、質問と意見とごちゃごちゃになってしまいますが、まず、3112の終わりの方に「ミレニアム・プロジェクトの活用を図りつつ」となっていますけれども、これはたしか5年ぐらいの時限的なものだったと思うのですが、この「活用を図りつつ」というのはどういう意味なのかということ。
 それと、次の次のページの3123で、「教育・学習の振興」ということでごもっともだと思うのですが、すごく難しく書いているなと。要するに、日常生活が原因で起きているのだということでいいと思うのですが、「自らの日常的な活動に起因して問題が生じている」という書き方をわざわざすることはないのではないかと思います。
 それから、3125の「人材の育成」ですが、ここに書いてあることは、この基本計画に載せようと、どこに載せようとごもっともな話になってしまうので、もう少し工夫がないかなと思います。同じように3127のところも、「科学技術の振興」という割に、書いてあることの迫力が少し少ないかなという気がしますので、これも少し考えていただければと思います。

【森嶌部会長】 後のは御意見として承りますが、3112について。

【長尾水質保全局企画課長】 3112の「ミレニアム・プロジェクト」でございますが、平成12年度から官邸の肝入りでやっている事業でございます。循環型社会の関係につきましても、大規模な調査研究をやるなど取組をやっているところでございますので、宣伝の意味も込めまして、書かせていただいたということで御理解いただければと思います。さほどの大きな他意はございませんけれども。
 それから、「教育・学習の振興」のところは、ちょっと力みがあるかもしれませんけれども、廃棄物・リサイクル問題は、住民、国民、事業者、それぞれの日常的な活動がいろいろな問題を起こすのだというのは、非常に重要な認識だと思ったので、書いた次第でございます。
 人材、科学技術は、重要な問題で、記述が不足しているという御指摘、非常にありがとうございます。できるだけ具体化するようにこれから努力--今までもやってきているつもりではございますけれども、やっていきたいと考えております。

【森嶌部会長】 「戦略的プログラム」といったときに、読んで、なるほど、いいことを言っているけど、何をやっていいのかわからないというのだと、「戦略的プログラム」にはなりませんので、そういう御指摘をさせていただきます。

【天野委員】 今の3112に関連するのですが、「ミレニアム・プロジェクト」は確かに研究の対象としては大変面白いことだと思いますけれども、継続的にそういう成果がずっと引き続いてやられることがもっと重要なことであって、そういうのが欠けているからかなり長期の環境政策策定が難しくなるような面もあると思います。92ページに「環境統計」というのが出てきまして、同じようなことをいっているのですが、こちらの方は「検討する」と書いてあります。「努める」とか「推進する」とか「進める」とか「図る」とか「努力する」とか、いろいろ言い方がありますけれども、「検討する」というのは、その中で一番弱い表現なんですね。お役所の言葉では最低の水準の話だと思います。ミレニアム・プロジェクトみたいな短期のところでは大いに宣伝して、長期的に必要なところは「検討する」では、全然つじつまが合いませんので、私は、これは両方含めて、短期にも長期にも大事だということをはっきり書いていただければと思います。

【三橋委員】 やはり3112のところなんですが、「近年におけるIT化の進展も踏まえ」と書いてありますね。「IT化の進展を踏まえ」ということがちょっと抽象的な感じがするんです。例えば「IT化の進展による省エネ・省資源効果などを踏まえ」とか、もうちょっと前向きにこのあたりを表現した方がいいのではないかと思うんです。そうしないと、「IT化の進展を踏まえ」というのは、何をいっているのかわからない。ここでは循環型とか省エネ・省資源とか、そういうことの関連でIT化の進展をいっているのだとすれば、その辺はもう少し具体的に書き込んだ方がいいのではないかと思います。

【長尾水質保全局企画課長】 「IT化」ということに込めた気持ちは、リアルタイムで情報が提供されるとか、あるいは双方向でコミュニケーションができるとか、そういった新しい機能も込めて「IT化」というものの期待を表現したつもりでございました。

【森嶌部会長】 皮肉を申しますと、IT化でありながら、温暖化のデータが98年とか97年とかいうのはどういうことですかね。

【三橋委員】 IT化の問題については、そういうことは初歩的な問題ではないですか。これからIT化が進展し、それが引き起こす経済社会の変化というようなところがポイントになってきているのではないかと思うんです。恐らくこの5年間の計画の中では、そういうような視点でないと、「IT化の進展」の意味が古くなってしまうのではないかと私は思います。

【森嶌部会長】 違う視点からのもの、つまりITそのものが循環型社会にどういうインパクトをもたらすか。ここの文章は、IT化が情報収集、分析に役立つということですので、御指摘のポイントがちょっと違いますので、御検討ください。
 第2節についてはよろしいでしょうか。
 それでは、第3節、36ページから38ページまでで何かございますか。

【塩田委員】 3162の「交通による環境負荷の少ない都市、交通システムの整備」ということで、その2行下の「都市部において、円滑な交通流を確保するため」というところに「道路構造の改善」というのが書いてあるのですが、都市部の交通流の一番の問題点は、交差点なんだろうと思うんです。そこで「交差点における道路構造と信号システムの改善」というふうに具体的にここで指摘した方がいいのではないかという気がするんです。
 もう1つは、交通全般に関して、道路交通情報をもう少しきめの細かい形で提供するということが考えられないかと思います。これはサブスタンスの問題で、必ずしも今までこの問題はあまり細かくは議論されてなかったと思うんです。私の意見は、そういう問題については、高度道路交通システム(ITS)でやるのだ、というお話によくなるのですが、一番理想的な姿はそこにいくのでしょうが、当面はもっと手の届くところからきめ細かくやっていくことが、道路構造の改善とともに絶対に必要ではないかと思います。信号のシステムの問題は、例えば歩行者が非常に多く車が多いところですと、1回の信号で、直進する車はいいのですが、左折・右折の車はほとんどが動かないというのが多いのです。そういうところは、信号のシステムを変えている場合があるわけですね。そういうようなシステムをもっときめ細かく調整して提供していくというようなことも具体的に検討していただいた方がいいのではないかという気がいたします。これはお話しするのが遅すぎたのかもしれませんけれども、ここでこういう形で円滑な交通流を確保するというときに、交差点における道路構造の改善と信号システムの改善はともに2つの重要な要素ではないかと思うので、申し上げた次第です。

【村杉委員】 大変小さなことで、揚げ足を取るような感じでちょっと言いにくいのですが、37ページの3165のところの(1)で「市民」という言葉が出てまいりまして、その中身は「国民」となっています。それから、38ページの3168の国の取組の方では「国民」が消えて「市民」となっているので、この辺の言葉の統一をぜひお願いします。

【森嶌部会長】 この辺も通してきっちりと統一化していないという点ですね。
 ほかにございませんか。
 それでは先へ進ませていただきまして、第4節の水循環、39ページから41ページまでで何かございますか。

【武内委員】 私も小委員会にも出ておりまして、ここのところについて、欠席してあまり見ていなかったので、今頃申し上げるのは遅いかもしれませんし、あるいはそのことについては整理済みという話かもしれませんけれども、申し上げておきたいと思います。
 水循環に関しては、重点施策をつくるときに、他の項目、例えば私の担当いたしました地域づくりもそうですが、従来の4つの長期的目標に横断するような性格を持つということがあるのではないか。そういう横断的な性格をより強調することによって、これまでの環境施策の縦割り的な構造をやや打破しようという意図があったように思うんです。この水循環に関しても、基本的には、治水、利水という観点の水の循環であるということが重要であることは、言うまでもなく重要なことでありますけれども、同時に、水循環によって育まれる生態系の問題、あるいは水環境がもたらす親水性とか、ふれあいの問題とか、私は、その辺まで話が施策上も及ぶような感じがしていたのですが、今見ますと、「現状と課題」の中では、例えば3202、「生態系への悪影響、……親水機能の低下、水文化の喪失などの問題が発生している」と、認識はそのことが書かれております。それから、「施策の基本的方向」の中の「対象地域別施策の方向性」というところの中に、例えば3207には、「良好な景観の形成や生態系の保全、親水空間の形成等の環境との調和に配慮した農業利水施設の整備を推進する」とか、あるいは3208、「多自然型川づくりなど自然に配慮した河川整備を進めることなどにより水辺の自然環境を改善し、生物の良好な生息・生育の場となる水の流れを確保する」ということが書かれているのに対して、3210、「目標」というところを見ますと、先ほど私が申し上げたような生態系あるいは親水、人と水とのふれあいというふうな観点での目標、それから「今後の重点的取組事項」の中で、確かにNGO等のことが出てくるわけですが、流域を通した生態系ネットワークの形成を水環境と一体的に整備するという観点とか、あるいは水辺環境を参加型で良好なものにしていくというふうな、いわゆる「循環」「共生」「参加」の「参加」という観点での重点施策、これはいずれも、御承知のように、河川施策等において非常に重要視されて、今ではそのこと自身が河川整備の大きな目標の一つになっているわけですが、そういう観点での記述がここで見られないというのは大変残念だと思いますので、私がちょっと勘違いしているところもあるかもしれませんが、御意見を申し上げました。

【森嶌部会長】 まことに恐れ入りますが、今御指摘のところをできれば、どういう形で入れていくかということを事務局に言っていただきたい。この時期になりますと、ぜひ御協力いただきたいと思います。

【武内委員】 入れていただけるのであれば、今までちょっとサボっておりましたので、ぜひ協力させていただきたいと思います。

【森嶌部会長】 どうぞよろしくお願いいたします。
 ほかにございましょうか。

【佐竹委員】 3210、「目標」についてですが、これは小委員会に私も関与しましたから多少責任があるのですが、小委員会報告では、3210の末尾の「それぞれの流域の状況に応じた目標を設定する」と。これは大変はっきりしていてわかりやすい表現ではあるのですが、これは水の量の問題にも絡むわけですね。地下水、表流水を含めて。目標というと、主要水系ごとに目標を設定するという形になるわけで、これは量の問題にも絡みますと、今度は国土交通省にも当然絡んでくるわけで、行政の内部でそれが処理可能であるというならば、私は結構ですということなんですが、私どもの行政経験からすると、これは大変難しいことではないか。つまり、表流水、地下水を含めて循環率みたいなものを出すなんていうことが、自然科学系の先生方がそれでいいとおっしゃれば、あえて異は唱えませんが、私どもの行政経験では大変難しい。ここまではっきり書いてしまって本当に行政としてやれるかどうか。書いてあるけれども、それにふさわしい施策が講じられたのかということになると、いささか私も責任を感じますので、その辺、どういうふうにお考えになっているのか伺いたいと思います。

【長尾水質保全局企画課長】 お答えいたします。ここでは、どのような目標かということはあまり具体的に書いてございません。水循環ということを考える場合に、水量だけではなくて、水質とか水生生物とか水辺地とか、そういった視点が同様に重要だろうと考えております。したがって、「それぞれの流域の状況に応じた」という言葉は、それぞれの流域の状況に応じて適切な目標をつくることが重要であるという趣旨でございまして、同様に水量の目標が各地でなければいけないと書いたつもりでは必ずしもございません。

【佐竹委員】 そういうふうに弾力的であれば結構なんですが、少なくとも水量も当然入ってくるだろうと思うんです。地下水の問題も当然取り上げられているわけですから。ですから、ある程度行政なイメージが固まらないと、河川ごとに具体的内容が違うのは当然ですけれども、少なくとも考え方は、淀川水系と利根川水系で違うなんてことはあってはならないはずですから、もう少し具体的イメージを詰めておかれないと、実際に行政の場に下ろして果たしてこなせるのかどうかということについて、多少水の行政に経験ある者として、はっきり書かれることは大変結構ですし、水の関係者が30年前頃から、確かにそういうものが必要であるということはみんな痛感していることですから、正しいのですが、こなせるかどうかちょっと心配いたしますので、あえて申し上げておきます。これ以上は結構です。

【森嶌部会長】 今の御発言を考慮して御工夫いただければと思います。
 それでは、ここで10分休憩させていただきます。

〔休 憩〕

【森嶌部会長】 それでは、再開させていただきます。
 第5節、42ページから45ページまでについて御意見を賜りたいと思います。

【小野委員】 1つだけ申し上げたいと思います。この節ではほとんどが内分泌かく乱物質については書かれているのですが、実はこれ以外に昔から言われているのは、農薬の問題がございます。そういうものはどういうふうに扱っていいのか、私も具体的提案がしにくいのですが、どこかで一言触れておく必要があるのではないか。発言が遅すぎて申し訳ないのですが。実際に田舎に住んでおりますと、依然としていわゆる殺草剤が非常に広く使われております。その殺草剤が生物的にどのような影響があるかというのは、私どももまだつかめてないのですが、恐らくいろいろな形で影響しているのだろうと考えていますが、そのことも含めて、農薬の問題というのはどういうふうに扱うおつもりなのか、その辺をお伺いしたいと思います。

【森嶌部会長】 これを担当された事務局の方で何かありますか。

【西尾環境保健部長】 今御指摘いただきましたが、内分泌かく乱物質だけに限っているつもりではございませんで、全体として、ここは、化学物質については、リスク評価をしていくこと、リスク管理とコミュニケーションが大事だというのを基調にして書いているつもりでございまして、その中にいろいろな化学物質があるということで、農薬も含まれていると思います。確かに42ページからの表現で具体的な例示がなくて恐縮でございましたが、実は各論の81ページの方にいけば、3705のところに「農薬の生態影響評価手法の具体的なあり方について検討を進める。」とか、農薬についての問題も多くの化学物質の中の重要なファクターとして考えているという問題意識では取り組んでいるつもりです。もう少し全体をながめてみて、農薬に不備なところがあるか、もう1ぺん点検してみたいと思います。

【猿田委員】 ただいまの農薬に関連してのお話ですが、最近、ダイオキシンあるいはPCBなどでのいろいろな汚染が全国的に問題になっていますが、そういう中で、土壌あるいは河川水などの分析をやった結果からみると、昔、農薬の使用が禁止されて投棄されたものが現在土壌汚染などを起こして、それらが流出しているのではないかという疑いが今もたれているのが、私が今関係しているのでいくつかあるわけです。例えば43ページの3260のところの3行目に「PCB等の処理、汚染土壌の浄化等を盛り込んだ……」とありますけれども、この「汚染土壌」というのは、ここでは農薬とはあまり意識してはいないのではないかという感じもするわけです。ですから、過去に捨てられた、あるいは埋め立てられたものが何年かたって腐食して、そういう容器から流出しているおそれもあるわけで、そういうもののチェックシステムというか、そういうものをどこかで指摘しておく必要があるのではないか。今お話を伺っていてそういう感じもするので、意見として申し上げます。

【森嶌部会長】 ほかにございますか。
 それでは、時間もございませんので先へ進ませていただきます。第6節、46ページから48ページまででいかがでしょうか。

【武内委員】 3311、「生物多様性情報の整備」に関してですが、恐らくこの文脈の中で読めるのではあるのかと思いますけれども、生物分布についてのデータ整備という観点を私はぜひ強調していただきたいと思っています。とりわけ動物データの整備が進んでいないために、生息地環境の理解が、植生データの方は非常にきちんとした格好でできていて、生物多様性センターで国家予算などを使ってデジタルデータは5万分の1ドットとなっているのですが、そこに載っかる動物データの精度が非常に悪くて、生息環境の必要な面積を把握するということとか、あるいは生息地が分断されているためにどういうふうな動物相に影響をもたらしているのか、そういうことが十分評価できないという現状です。したがって、その担当の方は事実をよく御認識だと思いますけれども、日本列島における分布、特に動物分布、もちろん植物も含めていいと思いますが、その点が緊急の課題であるということがわかるような工夫をしていただけないかというお願いです。

【森嶌部会長】 ほかにいかがでしょうか。
 私は全くの素人ですが、ここでは生物多様性のことが議論されているのですが、実はここにいう生息地の減少とか分断とか劣化ということは、日本の山林政策あるいは場合によっては都市開発政策もあると思いますけれども、他の政策との関係で結果的に生息地が減少する。それは環境基本計画からいうと、どうして生物多様性が少なくなるかといったら、では、どうやったらそれを政策としてコントロールできるかということを言わないとならないのですが、私は法律の方だからそう思うのかもしれませんが、ここにはそれが全く切り離されていて、生態系のことは書いてありまして、それを保全すべきだと書いてありますし、それを調査すべきだと書いてありますけれども、そのもととなるのは、日本の森林政策とか、そういうことなのではないかと思うのですが、そこは触れなくてもいいのでしょうか。もっとも、それを触れると、農林省に怒られるのかもしれませんけれども。

【小野委員】 この辺の主査をやらせていただいたので、私がお答えすべきかと思うのですが、先ほどの質問に対するお答えは、「生物多様性の情報の整備」、48ページの3311のところにもっと書き込むべきことかもしれないと思っております。実は、生物分布の整備のところではホットスポットの議論もやられましたが、まだデータ的にあまりはっきりしておらない部分があるので、ここはとめております。最近は各県で動植物のレッドデータブックが次々に出版されておりますので、その資料等を整備すれば、あるいはお答えできるかもしれませんが、3311のところで一応そういうふうなことも書いてございます。不十分かもしれませんが、そのように御理解いただければと思っております。
 それから、今の部会長の御質問ですが、ほかのところの森林の減少とか干潟の減少とか、そういう部分は3303に一応書いてございますが、これが他の経済活動とどう結びつくかということは、恐らく枝が出すぎてちょっとまとめられないところがございます。例えば都市がどんどん拡張するとか、高速道路がどれぐらい伸びてきたとか、そういうことと生物多様性がどう結びつくかというのはあると思うのですが、資料としてはそこまでまだ整っていないので書けなかったというところがございます。お答えになりませんけれども。

【森嶌部会長】 いえ、結構ですが、私の方からすると、そうだとすれば、どういう施策をとるのか、今どうなっているかというデータがあった方がいいと思いますが、ないとしても、多分、都市が広がってきた、道路が広がってきた、あるいは山林の手を入れる人がいなくなったとすると、国あるいは林業者としては、あるいは市民としては、どういうことをすればいいのだろうか、そこの部分があるべきではないか。少なくとも「戦略的」と名付けたら、そう思ったんですが。

【小野委員】 おっしゃるとおりです。まさに戦略的にはそれをしっかり書かないといけないと思っております。例えば陸地、沿岸、河川、河口、いろいろなところがございますけれども、そういうものの現状が一応書いてございますが、その中でどういうところをこれから守っていけば生物多様性は保持できるのかということを検討して、書くなら書いた方がよろしかろうと私も思います。

【武内委員】 今の森嶌先生のお話に非常に関係があることとして、実は、御承知だと思いますが、総合的環境指標というものについて議論があったわけですね。総合的環境指標の中にも「共生指標」をいくつかつくろうとして、ここにもそれなりの数字がその成果として出ているわけです。例えば、日本語としてややこなれていませんが、「全国で森林のかたまりの平均面積が3%弱減少しており」というのは、森林のまとまりをデータベースを使って評価した結果で、今回初めてこの中に入れていただいたものだと思います。
 天野先生を座長とする委員会の中では、当初、DSRというフレームワークをつくって、その枠の中に載っけられないかということで議論していて、それがまさにいま森嶌先生がおっしゃった話と本来はぴったり一致するはずなんです。つまり、ドライビングフォースとして生態系を変化させる要因というものについての指標的な理解があって、そしてステータスとして現在の生態系の、例えば今の話でいえば、分断状況というのがあって、それに対してレスポンスというのがあって、これは例えばアナロジー的にいえば、オランダの国土生態系ネットワークという中では、2000何十年までに国土の生態系の分断を解消するために、例えば生態系のコリドーをつなげるような政策を行うと書いてあるわけです。ですから、そこのところを仮にそういうのを書けば、それをまたフィードバックして、ドライビングフォースに戻って、ステータスというふうになっていく、この閉じた系を形成するという話だったんです。これもできれば少し議論をしてもらった方がいいかもしれないと思っているのですが、この際この話はまだ早かった。ステータスだけ載っけるというふうにするのが、当初のフレームワークに従ったような記述をもう一回少し強化していくのだ、その辺と関わるのではないかと私は思います。

【小林官房審議官】 事務局でございます。今の森嶌部会長からの御質問なんですが、確かにこれから戦略として自然環境保全をしていくためには、各種いろいろな施策との調整ということが一番肝心なことではあると思います。戦略プログラムの中では、多種多様な自然環境に対してどういう調整をとっていくかということを一概的に書くことがなかなか難しかったということで、積極的に進めていく方だけを「生物多様性の保全」の中で書いてございます。
 具体的には、それぞれの事業ごとにそれぞれの目的とか必要性とかがあって行われるものでございますので、では、自然環境と対比して、それがどういうふうな配慮が行われていくべきかということに関しては、82ページからの個別のところで少し整理させていただいております。例えば、82ページの3713の「原生的な自然及びすぐれた自然の保全」ということで、次のページの3715のところに、そういう場所では厳正に保全するのだとか、3718の二次的自然環境のところでは、こういう配慮が必要だということも書かれておりますし、特に自然環境として、湿地のような、非常に開発が進んでどんどん少なくなってくるような場所は、84ページの3725にございますが、干潟とか藻場とかサンゴ礁のようなところではどうするということで、そういう書き分けの中で一応のお答えという形にさせていただいております。これは、確かにおっしゃるとおり、調整というのはあるのですが、国土的な視点で全部やるとなると、とても調整がつくような話ではないので、代表的な生態系ごとに考え方を少し整理させていただいたにとどまっていると思います。

【森嶌部会長】 ただ、ほかのところでも「各種計画との調整」などは後から出てきますけれども、生物多様性との関係では、こういうところとの調整が今後努めていかなければならない課題だというようなことを書かないと、何となく戦略的でも何でもないという感じがしたのですが、この点については、特にこの後、御意見を伺いたいと思います。1と2、第2の現行の環境基本計画のアップツーデート版との関係がどうなるのかというのがよくわかりません。それから、今、安原小委員会委員長に伺ったところ、2の方は全然検討しないで、1の方だけ今まで検討してこられたというので、その辺の調整がどういうふうになるのか。恐らくこれをこのまま見たら、似たようなテーマが前にも出てきて、後にも出てきて、ものによっては書き方が違っているし、詳しくなっていたりということもありますので、この辺も後で伺ってみたいと思いますけれども、とりあえず生物多様性については、ストラテジーというか、政策的な発想はここの中にはあまりないというお話を私としてはさせていただきたいと思います。
 ほかに何かございましょうか。
 それでは先へ進ませていただきたいと思います。あとは政策手段ですが、特にこの辺になってきますと、後の2の方にも環境教育とかみんな出てくると思います。49ページから51ページまでの第7節についてはいかがでしょうか。
 よろしゅうございますか。
 それでは、第8節、グリーン化メカニズム、52ページから54ページまでで何かございますか。
 なければ、第9節、55ページから59ページまでで何かございますか。

【渡辺委員】 今まであまりじっくり読んだことがないし、ちょっとピントはずれかもしれませんが、先ほどITの関係で「ミレニアム・プロジェクト」というのが出ました。IT関係は、ハード面のみならず、ソフト面でもいろいろな投資の分野があるのではないか。これの活用いかんによって、環境政策、環境保全の分野で非常に大きな貢献が期待されるような気がいたします。第1章の方で、プラス面、マイナス面両方あるから、マイナス面に気をつけながら云々というくだりがございましたけれども、私も具体的な案文を提示するまでに至りませんが、環境投資のあたりに、環境政策的視点から、あるいは環境分野におけるIT活用の基本的な方針とか、具体的な事例の主なもの、こんなものがまとめて記述できれば大変いいのではないか。何とかどこかにそういうくだりが入れられないか、事務局で検討していただきたいと思います。

【森嶌部会長】 ほかにございませんか。
 それでは、第10節、地域づくり、60ページから62ページまででいかがでしょうか。
 それでは、第11節、国際的寄与・参加、63ページから65ページまででいかがでしょうか。

【天野委員】 先ほどの10節と11節の括りとして、60ページに「あらゆるレベルにおける取組に係る戦略的プログラム」というヘディングが付いていますが、あらゆるレベルということですから、地域と国際的のところに入ったのかと思うのですが、書かれている中身が、あらゆるレベルの主体が参加するというふうにとれば、国の施策ばかり書いてあるなという感じがしないでもないので、表題がどういう意味で付けられているのか。それと、「あらゆるレベルにおける取組」というのをいうのであれば、10節と11節だけで十分なのか。その辺がちょっとわかりにくいので、御説明いただければと思います。
 あと、ほかに言いたい点がありますので、先に述べておきますと、国際的寄与に関しては、検討チームの方から報告書が出ておりまして、私はちょっとうかつだったのですが、例えばWTOがミレニアム・ラウンドの立ち上げができなかったですね。いろいろな問題があって、環境の問題と貿易や国際的投資の問題との関連というのは、今非常に不透明になっていますね。そういうことに対して我が国はどういうスタンスをとっているかというのが国際的にもあまりはっきり出てきておりません。EUとか米国とかは割合はっきりした態度を出しているのですが、そういうことは、例えば国際的な寄与とか参加のあたりで多少論じるべきことではないかという気がしまして、報告書をもう1ぺん見直してみますと、ちょっとは書いてあるんですね。そういうことがどう取り上げられるのかということ。
 それから、先ほど渡辺委員からITの使い方のお話もありましたけれども、NGOの国際的な取組への参加というのは、ネットワークを広げて強くなってきていますね。いろいろな国際的な協定にどんどん参加していって、ネットワークの広がりが方向を決めるようなところまでいっている面もありますので、そのあたりのことも書くとしたら、このあたりに入るのかなと。あらゆるレベルが、主体を含めてという意味であれば、市民社会の国際的な取組に対する寄与というのが非常に大きくなって、これは前回の基本計画をつくったときとは様変わりしているということは、当然言うべきではないかという感じがします。

【森嶌部会長】 多分、中間報告のとりまとめ案には間に合わないかと思いますけれども、最終までには、今の御発言はまことにごもっともですので、どういう形で入れ込むかということを考えさせていただきます。
 この「あらゆるレベルにおける取組に係る戦略的プログラム」というタイトルについては、格別の根拠があって付けられたのですか。

【環境計画課長】 24ページの262で、地域レベルから国際レベルまであらゆるレベルにおける取組が必要だというくだりがありまして、このうちでいいますと、264の文章ですが、そこのタイトルの趣旨は、「したがって、」以降のところです。「わが国の21世紀における環境政策は、国際レベルから国内の地域レベルまであらゆるレベルを視野に納め、問題の解決に適したレベルでの取組を中心に、それぞれのレベルにおける取組を有機的に連携させつつ、展開を図る」というくだりをそのまま自動的にここへもってきてしまっているのですが、国とか、その間の各レベルのところが抜けてしまっているので、ちょっと不適切だったかもしれませんので、また検討させていただきます。

【森嶌部会長】 検討してください。
 以上で第3部の第1章のところは終わりましたが、全体を通じて何か御発言ございましょうか。26ページから65ページまで。

【天野委員】 本来なら最初のところで意見を言うべきだったかもしれませんが、先ほど寺門委員から数値目標が難しいという話が出ましたが、ちょうどそういう表現が27ページの3057の最後に書いてあるんです。「6%削減目標を達成することには困難を伴い」とありますね。これは上でずっと現状を書いて、こうした状況の下では、困難を伴い、今後の一層の取組が必要であると、「困難を伴い」というのが非常に奇異な感じがして、困難だからしないというのか、困難だから一層やろうというのか、その辺ちょっと紛らわしいので、いい表現に変えていただきたいと思います。

【森嶌部会長】 それでは、ほかにもあるかもしれませんけれども、時間の関係もありますので、第3部の第1章は終わりまして、第2章でございますが、先ほど申しましたように、第1章と第2章との関係について、前の方は戦略的プログラムであり、後の方は施策の詳細であるというのかどうか、その辺も含めてお考えをお聞かせいただければと思います。

【宮本委員】 国、自治体、事業者、国民の順番が、国民からいこうではないかということになりまして、そういう形で今まできたわけですが、66ページのところになりますと国から入っていますね。それは当然だと私は思うんです。目標をちゃんと決めて、みんなが総力をあげてやらなければいけないということになると、最初に国民のところから入りますと、何を書いていいかわからないということでこうなったのだろうと思うんです。ならば、最初のところに、-6%というのは大変困難な目標である、これを達成するためには、国民から事業者から総力をあげてやらなければいけない、そのためには、国が具体的目標を設定してやるべきだ、こういう書き出しから入れば、私はこの表現が納得できると思うんです。ここだけが国から入っているというのは、地球温暖化だけは国がやらなければいけないと思われるので、その辺を御高配いただければと思います。

【森嶌部会長】 この辺も全体を通じて徹底してきちっと構成したのかどうかというのは問題ですが。
 ほかにいかがでしょうか。

【浅野委員】 小委員会に出てこなかったのが、最後の最後になって出てきて、それを見て何かコメントするというのは、非常に難しい立場に置かれてしまうのですが、ある意味ではしょうがないのかなという気もします。というのは、環境基本計画を通しで読む人はそうはいないだろう。自分の関心のあるところをまずめくって御覧になる。だとすると、前回も似たようなことを言いましたが、戦略プログラムの方が書きようによってはアトラクティブで、このことに関心がある人はそこを読んでくださる。そこのところを読めば、ある程度わかる書き方も必要かな。といって、一方、地方行政などに携わる人は全体を見たいなと思って、多分、第2章のところから見るだろう。そこのところで、前を見よで、一々前に戻らなきゃいけないのもちょっとややこしいから、ここに書かなきゃいけないというのは、しょうがないかなという気もするのですが、さりながら、全く同じことが並んでいるというのは、どう考えてもきれいではないですね。詳細に見ていませんので、全く同じ部分がどのぐらいあるかわかりませんけれども、そこは何とか表現ぶりを変えないとさまにならないということは言えると思います。
 それから、項目の立て方についても、前の戦略プログラムのところで書かれている項目の立て方と全く同じになってしまうのがいいかどうかという問題があるわけです。というのは、第2章は、将来、環境白書の目次をつくるときに、この形で目次をつくっていくことに必ずなりますから、それも意識してやっておかないと、うまく書けないかもしれない。しかし、現在既に現行計画に基づいて環境白書の目次ができていまして、それで今までずっとやってきていますから、連続性を意識すると、こういうことなんだろうなと思うのですが、そこは十分に調整しておかなければいけないと思います。
 それから「全般的事項」というところで、これはこの環境基本計画の中に書ける問題かどうかは自分自身も若干疑問に思いながら、「環境基準未達成項目については、できる限り早期に達成するための方策について総合的に検討する」というのは、わかるのですが、そもそも環境基準の未達成というのは、それ自体が問題なのか、環境基準が問題なのかというのがあるわけです。環境基準は、科学的知見の変化に基づいて迅速に変えろと書いてあるわけですね。それから、次から次へと足していきますと、環境基準相互の整合性もないという場合もないわけではない。例えば、極端な言い方をして申し訳ないのですが、振動についてはかねてから基準が緩やかだと言われていますね。というようなこともありますから、それを全く無視して、「環境基準未達成項目については、できる限り……」という書き方になるのかなという疑問があるので、このところはもう少し環境基本法に書かれていることを忠実に書いてほしいと思います。

【森嶌部会長】 ほかにございませんか。
 自分の関心に従ってそこだけ見てくれて、全体を見てくれなければいいのですが、全体を通してみると、一体前の方と後の方とどういう関係なんだろう。それから、先ほどどなたかの御指摘にありましたけれども、前の方は具体的に書いてあって、後の方は「検討する」などと書いてあるわけですね。ここから先の作業は事務局ベースでおやりになったということなんですが、これを見ると、網羅的に記述したものであるということは、網羅的に書いてあるだけだから、やらなくてもいい、前の方だけやればいいのだという趣旨では決してないと思うのですが、それでは、網羅的に書いたものと、重点的に、私は必ずしも戦略的とは思わないけれども、戦略的に書いたものとの関係をどうつけているのか。これはどこかできちっと断っておかないと、あるいは戦略的プログラムというところで書いておくのかもしれませんけれども、その辺はどう切り分けようということでしょうか。

【細谷環境計画課長】 先ほど御説明した以上のアイディアは今のところございませんが、今まで問題の関心をいいますと、それぞれの問題について総花的に書いてあって、ほとんどメリハリがないではないか、そういう話があったわけでございます。そこで、多少なりともメリハリをつけるために、あえて切り離しをしてみた。前の方は、こういう問題はこういう構造であって、課題はこれです、それを解決していくためにはこれをしなければいけない、そういう記述ぶりにできるだけ近づけていきたいという考え方で臨んでおったわけでございます。そして後ろの方は、むしろそういう事柄を含めて、できるだけ全く重複するようなものは省くという前提の下に、あまり理屈を立てずに、こういうことをやります、やりますと、そういう施策体系として整理して、国民の皆様の前にお示ししたい。そこを見ていただければ、環境政策全体がこういう体系で進んでいるんですということがわかる。そういうことを意図しておったわけでございます。前半部分について、御指摘のように必ずしも十分意を尽くし得ない部分があるということで、逆に見えなくなっている部分がございます。

【森嶌部会長】 この点について何かございますか。

【天野委員】 前回は初めての環境基本計画だったわけで、「施策の展開」という形できれいに整理できたと思います。今回は、前回のを見て、そこから後、緊急な課題とか重要な課題とかが出てきて、その部分は特別の議論をして、特別の書き方をしようということで出てきたのがこの戦略的プログラムということになっていると思うんです。ただ、それを全部まとめてしまいますと、おいしいごちそうは皆そこにあって、お惣菜みたいなものが残っているという感じがするのです。本当は基本計画というのは、全部を含めて基本計画だと。ですから、残っているけれども、つまり新しい緊急の課題ではないけれども重要な課題というのが残っているわけですから、ここは前回の基本計画のスタイルどおりに書いて、それぞれの問題の中で重要なものがあれば、それは特記するという形で、むしろ戦略的プログラムを第2章の中に埋め込んでいって、全体で体系をつくる。そうすると、基本計画の性格づけがきれいにできますし、今回みたいに、分野によって分けるものと、参加のレベルによって分けるものというふうな表題を付けなくても、前回の基本計画のときはそういう共通基盤的なものはそこで議論するというスタイルをとっていますので、この構造の中にこのプログラムを埋め込んでいって、そこは特別の工夫をして、どこの部分も皆さんが注目するような見出しを付けるとかいうやり方をすれば、もう少しバランスがとれますし、重複も防げるのではないかと思います。

【森嶌部会長】 そうすると、1章、2章を分けずに、第2章の体系の中に、第1章の中で戦略的プログラム、重点的に取り上げたものを埋め込んでいくというスタイルが考えられないという御提言ですね。簡単には、そうしましょうというわけにもなかなか思いつきませんけれども、多分、小委員会でもそういうことになるということを考えておられないで議論しておられたでしょうから。

【浅野委員】 第2章の方は、どっちかというと、あえていえば縦割り的、在来型の切り方で、やはり問題整理しなきゃいけない部分が残っている。だから、それはそういう書き方をするけれども、第1章は、それを極力総合化、横断的に取り扱うという視点でやろう、そういう切りわけをしていくと、例えば第1章の第1節から第6節までというのは、大概1つのイシューでは片づかないことははっきりしていますね。そういう書き方を極力していくということが大事ではないかと思うのですが、多分、完全にバッティングしてしまうのは温暖化のところだけなんですね。あとは大気環境、水環境という切り方をする話と、環境への負荷の少ない交通体系というのは、大気というところに押し込めることができない問題がいっぱい入っています。今の法律は残念ながら、例えばNOx 法とか、大防法とか、騒音規制法という形で、その法律体系しかないものですから、ついついその形で動いていることに批判を加えたいというのが今度の戦略的プログラムの目的だと思います。
 だから、2つに書き分けるということは重要だと思うので、書きぶりの中できちっとした差別化ができるように努力していくしかないだろうと思います。

【森嶌部会長】 実は私もこの第2章を見て、これはとんだものを背負いこんだものだと、第1章との関係をどう……。要するに、持続可能な社会への道を国民にわかりやすく提示するというのが、これだと何だかわからなくなってしまうのではないか。前の第1章だけが非常にわかりやすいとは私は決して申しませんけれども、いよいよわからなくなって、では何をすればいいのだと、これは言い過ぎかもしれませんが、今日これを見てそう思ったんです。

【猿田委員】 今お話を伺って、第2章で何を言わんとしたのかなという点はちょっと考えられるわけです。前回のときにも、目標の数値化とか、定量的に示せるものは示しましょうという話があって、結局なかなか難しかったので、既存のいろいろな計画そのものをそのままもってきて使っていたという面もあるわけです。第1章の方では、目標等について数値化しようとか、定量的な目標を設定しようとかと書いてあるわけで、それの具体的なもの、いわゆる保全施策の体系という中で、総合指標等もいろいろ御検討いただいて、ある程度おまとめいただいたものもあるわけですが、第2章の中でその辺とどううまく結びつけるのか。先ほど6%削減目標は困難だというのでいろいろ御意見がございましたけれども、地球温暖化のところは、今度のCOP6が終われば、数値化できるところも出てくるのかもしれませんが、ほかのところでも、自動車の問題にしても今いろいろ検討されているわけで、自動車NOx 法の改正までせざるを得ないだろうという問題がありますけれども、そういうところで、前の第1章あるいは第1部の方などでいろいろ言われてきているものが、ここでもって具体的なものを示すことができれば、第2章の中である程度具体化しておけば、第1章との関わりの中で少し読みやすくなる、また理解しやすくなるのかなという気もします。

【星野委員】 天野先生が言われましたように、第1章、第2章を抜本的に整理し直すというのが多分正論なんだろうと思うのですが、私は昔、事務方をやったことがあるものですから、事務方は今からそれをするのはとても耐えられないと思います。むしろ、浅野先生の発言で若干救われたような気がするのですが、1章と2章を逆にしてしまい、2章が前に出てきて、現行計画から今まできていることの発展状況、あるいは点検に似たような状況を踏まえながら、現況と現在どう進んでいるかということを中心に記述されていて、第1章の「戦略的プログラムの展開」というのは、プログラムベースですから、こういう仕分けをしないとならないと思うのですが、戦略的展開ということで、ここに含まれている内容を、どちらかというと、かなり将来にわたって展望を与えるような施策あるいはデータ整備を含めた、そういうことについてうまく整理してみる。そうたくさん要らないから、うまく整理するということで、「環境保全施策の体系」に対して戦略的な展開はどうするかという1つの仕分けの仕方。浅野先生は「横断的な」と言われましたけれども、それも1つの考え方だと思いますが、時間的に現在までのと将来のもの、それでいて横断的なスタイルがとれれば、これなら事務方もできるのではないかと思うのですが、どうでしょうか。極めて役人的な調整方法で恐縮ですが。

【浅野委員】 関連することでありますが、第1部の書き出しから、全体にある程度意識してストーリー性みたいなことをいいながら、だんだん話を積み上げるということを一応小委員会ではやってきたつもりなんです。だから、その上に立って、書き方の順番をどうするかというのは、そこの説明の仕方で何とでもなりますから、今の御提案がよければ、それでも一向に構わないと思います。
 それよりもちょっと気になりますのは、第1部のところで、全体としては現行の環境基本計画の策定以降こうなったということが書いてあるわけですが、よく前にも言われましたけれども、現行計画にどこが評価できたのかというところがちょっと弱くて、唐突に第2期計画が出てくるような感じもするわけです。少なくともそれに関連する部分というのは、11~12ページの「21世紀初頭の環境政策の課題」というところから後の書きぶりだと思うのですが、わが国の環境政策は、12ページの147の第3パラグラフのところに、現行計画のある程度の評価というのはあると思います。例えば「循環」「共生」「参加」というキーワードは思った以上に定着してきたということがありますし、それがいろいろな形で各方面の取組を促進し、あるいは意識を高めたということがありますから、そういうことは一応入れておいて、それを前提にして今後我々はやるのだという書き方をしていったらいいと思うんです。具体的な修文は後で書いて事務局に渡します。

【森嶌部会長】 この問題については、なるべく御意見を伺っておいて、私と部会長代理が全体責任を負いますが。ほかに調整方法ないしは考え方などございますでしょうか。
 それでは、先ほど申しましたように、第2章は今日初めて出てきて、事前にも配られておりませんでしたから、これを見て、第1章との関係はどうするのだというのが気になったのです。そこで、先ほど申しましたように、時間が詰まっている段階で「中間とりまとめ案」ということで出しますので、1つの方法としては、浅野委員が前におっしゃったように、この言葉を使うかどうかは別として、「戦略的プログラム」なるものがどういう考え方でできているのか、そして、そこで第2章との関係もきちっと書き込んでおいて第1章を展開するのか、あるいは星野委員のおっしゃるように、第2章の方を先にもってきておいて、第2章でそれとの関係をつけて展開するか、その辺のところはとりあえずはお任せいただいて、そして国民の意見を聴いたり、あるいはまたこの後、最終とりまとめ案に向かって検討するところで、国民の御意見を伺ったチャプターの立て方と、その後のチャプターの立て方ががらっと引っ繰り返るのはあまり美しくはありませんけれども、場合によってはそういうことも含めて考えたいと思いますので、この点については御一任いただければと思います。御一任というのは、とりあえず国民の御意見を伺うという段階までの構成の仕方については御一任いただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 私もいいアイディアがあって言っているわけではないのですが。

【渡辺委員】 その点は部会長のおっしゃるとおりで結構でございます。
 今日は第2部以降の議論ということで、確かに第1部は前から配られていましたけれども、大変申し訳ありません。私がじっくり読ませていただいたのは今回。長期目標についての整理をどうするかといった抜き出した問題については、その都度非常に関心をもって伺っていましたが、第1部のその他の点で1点だけ。

【森嶌部会長】 全体についてぜひ御意見を伺いたいと思いますので、どうぞ。

【渡辺委員】 第1部の5ページの124というところです。「産業構造の転換」と銘打った部分はほかにあまり出てこないかと思います。ここが適切かどうか、これもあまり自信はありませんけれども、これを拝見しますと、例えば、「産業構造面ではサービス経済化や第三次産業の比重の増大の趨勢が続くと予想され……低減に寄与すると考えられている」、あるいはその後、「動きが生ずると考えられる」、「生産プロセスが変化することが期待される」。今確かに、バブル崩壊後の失われた10年に対して、環境政策、環境保全分野は必ずしもそうではなくて、非常に大きな転換を遂げつつあると私は前にも申し上げたことがありますが、それは評価いたします。しかし、今のまま放っておいてもうまくいくという感じが出るのはあまりよろしくないのではないか。それではだめだからこそ、新しい環境基準計画づくりを今やっているわけでして、この辺は、成り行き任せという感じでない、もう少し積極的な方向を出すようにした方がいいのではないかと思います。必要があれば修文案を事務局に出したいと思います。例えば、前段の「サービス経済化や第三次産業の比重の増大の趨勢が続くと予想され」ますが、この「趨勢」をさらに積極的に前へ進めていかなきゃいけない、そういう政策意図をはっきり出す。次のパラグラフについてももう少し書きようがあるのではないかという気がいたします。だいぶ遅い段階での発言で恐縮ですが。

【森嶌部会長】 そのほかにございましょうか。

【猿田委員】 これは第何部の第何章というわけではないのですが、今、新環境基本計画についていろいろと検討されているわけです。例えば新しい五全総の中では、国民に浸透するように、「21世紀の国土のグランドデザイン」というキャッチフレーズというかサブタイトルというか、そういうものが付いていて、どこまで皆さん理解しているかわかりませんけれども、この基本計画はまさに国をあげてという、重要なプログラムであるわけですから、そういうキャッチフレーズあるいはサブタイルとなるようなものを検討していただいたらどうかという1つの御提案です。今何かあるかと言われると、持ち合わせておりませんけれども、「新環境基本計画」ということだけではなくて、もっと訴えかけるようなサブタイトルあるいはキャッチフレーズがあればと思います。
 もう1点だけお願いしたいのですが、例えば13ページの第2部第1節「持続可能な社会を目指して」というのがございますが、ここは今までの持続可能な社会についての全体的なイメージを整理されているわけでして、内容的には、長期的目標も含めてよく整理されていますけれども、国民の方々が、順番がどうのというのは別として、前にも発言させていただきましたけれども、格調高くは書いてありますが、なかなか理解しにくい。全体を通してそういうことが言えるかと思います。そういう意味では、この環境基本計画の中でそういうふうにわかりやすくと書いてしまうと、また逆になかなか難しいのかもしれませんけれども、前に申し上げましたように、啓発用のいわゆる普及版というか、わかりやすいようなパンフレットをつくって、より御理解いただく。そうしませんと、前の環境基本計画のときも、私は地方の問題として説明会などをお手伝いしたことがありますけれども、あのパンフレットはなかなかわからない。言葉そのものが理解しにくいということもあるわけです。要するに浸透しなきゃ意味がないわけですから、理解していただかなければならないので、これからパブリックコメントもあるわけですが、そういう中でそういうものをちょっとお考えいただければということを提案申し上げます。

【村杉委員】 長期目標というところが14ページにやっと全体が出てまいりまして、拝見したのですが、特に「共生」のところが最初から全部1つの文章になっていて、ワンセンテンスなんです。ここで拝見しますと、確かに自然というのはいろいろなレベルがあって、人間の関わりの仕方も多様であるということから、いろいろなことを考えてずっと並べてあるという点で、長い文章になってしまったというのはわかるのですが、その長い文章の1つ1つの細かい羅列の部分の後の方にまた形容詞句が入っていたりして、どこに何が係るか、そこがちょっとわかりにくいかなと思いました。
 最後の部分です。「様々な自然とのふれあいの場や機会の確保を図るなど」がその次に係ってくる言葉のように理解するわけですが、「自然と人との間に豊かな交流を保つことによって」、すぐ「健全な生態系」とくると、健全な生態系を維持するのに、自然と人との豊かな交流を保たなきゃいけないのかということなど、誤解を招くような文章になっているのではないかと思いまして、もう少し整理した方がいいと考えました。この時期ですので、私の提案としましては、「共生」の部分の下から3行目の「自然と人との間に豊かな交流を保つこと」と切ってしまったらどうかと思います。これはむしろ前の方が形容詞になってはいるのですが、「様々な自然とのふれあいの場や機会の確保を図るなど……」となっていまして、ふれあいの場や機会を確保するということは、人との豊かな交流を保つということと同意義になりますので、「ふれあいの場や機会の確保を図るなどによって」というふうに続けてしまうと、少しだけ形容詞の部分が消えてすっきりするかなと思った次第です。御検討ください。

【横山委員】 全体的に見て、現計画に比べてどう違うのかというのがわかりにくいところがかなりあると思うんです。ですから、その辺、部会長と部会長代理にお任せということで、何を一番訴えたいのかということをぜひ入れていただきたい。
 それと、これまでの議論に参加していて思うのは、ここではかなりいいことが出ても、後で出てくる文章を見ると、よくわからなくなってしまう。これは私の推測が間違っているかわかりませんけれども、政府の調整ということがあって、いろいろな省庁からいろいろな意見が出てくる。そのときに多分おかしなことになるのではないかと思うんです。それで、中間とりまとめでパブリックコメントを求めるときに、かなり変わったものが出てくると思うのですが、どこからどういう意見があったとか、そういうものもぜひオープンにしていただけないか。というのは、この会議をこれだけオープンにして、議事録も発言者の名前まで出すということで、全部隠すことないという感じで会議を運営しているわけですね。ところが、政府の調整のところが全然見えてこない。小委員会などで見ていて、なんでこんな表現が出てくるのかなと。どうもそれとなく聞いてみると、政府の調整でそういうことが出てくると。これだけオープンにした会議で、そこが変だなと。全体的にわかりにくくなって、国民に何を訴えたいか。これを読んだ国民が、中環審は何を訴えたいのだろうとわかりにくいのは、その辺にもあるのではないかと私は思いますので、全体をまとめるに当たって、これだけは訴えよう、誰が何と言おうと、これは部会長の権限でやるのだというところをぜひ見せていただきたいと思います。

【森嶌部会長】 ここまでであまり完成したものはできていないわけですが、「中間とりまとめ」という形で今の段階で出すということを先ほど申しましたけれども、その後、国民の意見を伺う、あるいはブロック別ヒアリングをする。その記録は全部ここでも報告してもらいますし、書かれたもので出てくると思いますが、その後、3回かかるか4回かかるかはともかくとして、ここで全部議論していただきたいと思います。ここで議論していただいて、例えば変になっているところ、意見が出ない場合はしょうがありませんけれども、意見が出た場合に、ここで、プラスにしろ、マイナスにしろ、議論をして、お決めいただきたい。それを私と部会長代理との責任においてとりまとめながら最後にもっていく。これは中環審のほかの場でもやってまいりました。あるところまでは、いろいろな議論がありますから、事務局も入ってとりまとめてもらわなければなりませんが、あとは中環審の責任において出すべきで、それでもしも批判されれば、それは中環審がその批判にこたえなければならないわけです。今までのプロセスでは、検討チームにお願いしたり、小委員会にお願いしたり、あるいは場合によっては舞台裏があったんでしょうね、いろいろと出てきますけれども、まだ完成はしておりませんが、ある程度出てきていますので、あとは国民の意見と我々の議論で決めたいと思います。本当に全部をオープンにしてやっているつもりでおりますので、そうさせていただきたいと思っております。

【佐竹委員】 先ほどの第3部の第1章と第2章の議論を水循環について考えてみますと、先ほど私が質問いたしました41ページの3210の「目標」、この目標が万一、行政的にこなせないということになると、戦略的計画の名に値しないものになってしまうんですね。つまり、第1章も第2章も同じようなことが書いてあるということになりかねないわけです。そこで特に申し上げておきたいのですが、例えば3210の文章そのものを細かく読めば、あまりすっきりした文章ではないわけです。よく読めば、どなたもお感じになると思うのですが、特に、「高度経済成長始動時の昭和30年頃の水循環が持っていた恩恵が参考になる」という表現は、小委員会での高橋先生の御発言からこういうことになったと思うんです。高橋先生も恐らくこういう形で御発言が使われることは予想されていないのではないかと思います。つまり、こういう文脈で使って、しかも、その最後に「それぞれの流域の状況に応じた目標を設定する」とまで言い切って、先生の御意図に沿っているかどうか先生に確認していただきたいということがございます。
 それ以上は重複になるから申し上げませんが、森嶌先生からも「実効性のある計画」ということを再三おっしゃっておられるわけですから、目標を設定する以上、何らかの意味を持たなければいけないということになると思います。そういう意味で、今のは質問でもあり、念のためにそういう手続をとっていただきたいという希望を申し上げておきます。

【森嶌部会長】 ほかにございましょうか。
 それでは、中間とりまとめに至るまでの御議論をこれで閉じさせていただきますが、繰り返し申しますけれども、今日の御議論を含めて、私と安原部会長代理とで、現時点で修正できるものは修正させていただきます。
 なお、御発言はあったけれども、もう少し議論した方がいいということもありますので、それはヒアリングなどをした後でここでやるということで御了解いただければと思っております。
 そして、もう1度申しますが、10月末までに4カ所のブロック別のヒアリングとファックス等による国民からの意見をいただいて、それを事務局に整理してもらうと同時に、再開第1回目の部会では、国民の意見を巡っての御報告と、それに対して我々としてはどういうふうに考えるべきかという御議論をいただく。それと同時に、そんなに時間もありませんから、皆さんの方からもまた今日の意見に引き続いて御意見をいただくということにしたいと思います。
 その上で、再開第2回目には、私と安原部会長代理とで、国民の意見、皆さんの意見、今日の積み残しが出てくると思いますので、それを含めて修文をいたします。それについてまた皆さんの御意見を伺ってという形で、3回になるのか4回になるのかわかりませんが、先ほど横山委員もおっしゃいましたけれども、少なくとも中環審の責任においてやることをしなければならないわけです。その意味では、現在の役所の仕組みがありますし、役所がそれぞれのジュリスディクションについて責任を持ってやっておられることは確かなんですが、それと同時に、こういう審議会があるのは、役所がやっておられることをそのままエンドースすることではなくて、そういうことを十分理解した上で、我々としては、どういうふうな新しい考え方をすべきかということを提案するわけですので、今申し上げたようなプロセスで皆さんに御議論いただくという形でやっていきたいと思います。そして、できるだけ環境庁でいる間に答申を出したいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 ブロック別ヒアリングについては、今、日程調整を事務局の方でやっているようであります。ヒアリングの発言者についても日程調整した上で募集を始めるということでありますので、中環審の委員が出てなくて意見だけが出てくるというわけにはいきませんので、ぜひ御参加いただきたいと思います。これにつきましても事務局の方から委員の皆様に日程調整をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 事務局の方で何かありますか。
 それでは、部会の審議としては、10月末頃まではちょっとポーズをいただきますけれども、委員の先生方にはブロック別ヒアリングに出ていただきますので、決して活動しないということではございませんが、よろしくお願いいたします。
 長時間にわたってどうもありがとうございました。

<以 上>