中央環境審議会第82回企画政策部会会議録

1.日  時  平成12年8月29日(火)14:00~17:00

2.場  所  ホテルフロラシオン青山2階 「芙蓉の間」

3.出席者(部 会 長)森 嶌 昭 夫
(部会長代理)安 原 正
(委    員) 浅 野 直 人
池 上 詢
北 野 大
佐 竹 五 六
塩 田 澄 夫
中 野 璋 代
平 岡 正 勝
藤 井 絢 子
松 原 青 美
宮 本 一
村 上 忠 行 
湯 川 れい子
天 野 弘 明
江 頭 基 子
幸 田 シャーミン
佐 和 隆 光
鈴 木 継 美
波多野 敬 雄
福 川 伸 次
松 原 純 子
三 橋 規 宏
村 岡 浩 爾 
谷田部 雅 嗣
渡 辺 修
(特別委員)太 田 勝 敏
横 山 裕 道
廣 野 良 吉
寄 本 勝 美
(専門委員)河 野 正 男
寺 門 良 二
湊    和 夫

武 内 和 彦
西 岡 秀 三


(環 境 庁)岡田事務次官
丸山官房長
太田企画調整局長
遠藤水質保全局長


廣瀬大気保全局長
小林官房審議官
小林企画調整局環境影響評価課長
青山企画調整局企画調整課長
竹本地球環境部環境保全対策課長
伊藤水質保全局海洋環境・廃棄物対策室長
細谷企画調整局環境計画課長 
大林企画調整局環境計画課計画官

4.議  題

(1)環境基本計画見直しについて
(2)その他

5.配 付 資 料

資料1 第81回企画政策部会議事要旨(案)
資料2 第81回企画政策部会会議録
資料3 新環境基本計画中間取りまとめ案第3部第1章第2節(「循環型社会の形成を通じた健全な物質循環の確保に向けた取組」)
資料4 新環境基本計画中間取りまとめ案の長期的目標について
資料5 新環境基本計画中間取りまとめ案第4部(計画の効果的実施)
「廃棄物対策等物質循環のあり方検討チーム」報告書

6.議  事

【細谷環境計画課長】 それでは、時間がまいっておりますので、中央環境審議会第82回企画政策部会を始めさせていただきたいと存じます。
 開会に先立ちまして、まず資料の確認をお願いいたしたいと存じます。
 議事次第の下の方に資料の一覧がございますが、資料1及び資料2は、第81回部会の議事要旨・議事録でございます。また、資料3は中間とりまとめ案の第3部第1章第2節の部分、資料4は同じく長期的目標の部分、資料5は第4部の部分でございます。また、前回提出いたしました環境基本計画小委員会の中間とりまとめ案の報告及びこれに付随いたします二つの参考メモ、これを参考のために置かせていただいております。
 なお、委員の皆様の机の上には、前回までの提出資料のうち参考になると思われますものを置かせていただいておりますほか、浅野委員からのご要望がございましたので、環境庁が実施いたしました戦略的環境アセスメント総合研究会の報告書、冊子になっておりますが、これを置かせていただいております。
 資料は以上でございますが、もしお手元にそろっておりませんようでしたら、お申し出いただきたいと存じます。よろしゅうございましょうか。
 それでは、お願いいたします。

【森嶌部会長】 資料の方は、よろしゅうございましょうか。
 それでは、ただいまから第82回企画政策部会を開催いたします。
 本日は、引き続き新しい環境基本計画の中間とりまとめにつきましてご審議をいただく予定でございますが、審議に入ります前に、三浦委員が退任をされまして、新たに香西昭夫委員が本日付で委員として任命されましたので、ご報告をさせていただきます。
 前回のご提案に従いまして座席を変えたところ、見当がつかなくなっておりますが、よろしくお願いします。
 それでは、審議に入らせていただきますが、本日は、まず廃棄物等物質循環の在り方検討チームの検討結果につきまして、主査であります平岡委員からご報告をいただきたいと思います。その後に、新環境基本計画の中間とりまとめ案につきましてご審議をいただきたいと思いますけれども、前回お示ししましたように、まだ全文できておりませんで、分割払いでだんだんと出てくるという状態でございます。本日も、これまで文案が示されておりませんでした戦略的プログラムの中の「循環型社会の形成を通じた健全な物質循環の確保」というところと、それから「長期的目標」、さらに第4部の「計画の効果的実施」につきまして新たな文案が出ておりますので、これについても事務局から説明をいただきました後に、順次、前回提出されました中間とりまとめ案に即してまたご議論いただきたいというふうに思っております。
 なお、前回、中間とりまとめ案をご提出をいたしまして、いろいろとご意見を賜ったわけでありまして、それにつきまして事務局の方で現在文章を簡潔にする、といいましても長い文章を3行で切るというような、そういう作業でございますけれども、ともかく今作業を進めておりますが、まだ作業途中でありますので、一応、本日は前回どおりのものにいたしますが、新たなご意見があれば賜りたいというふうに思っております。前回のは後に組み込んで、本日のご意見も組み込んで修正をするということであらかじめご了承いただければと思います。
 それでは、最初に平岡委員から廃棄物対策等物質循環の在り方検討チームの検討結果についてご報告をいただきまして、それにつきまして事務局からも追加的な説明をしていただきます。そして、さらに引き続いて「戦略的プログラムの物質循環」、それから「長期的目標」第4部の説明を事務局からしていただくことにいたしますので、まず平岡先生、よろしくお願いをいたします。

【平岡委員】 それでは、廃棄物対策物質循環の在り方検討チームの主査をしております平岡でございます。お手元の報告書にありますような報告書に基づきまして、ご報告を申し上げたいと思います。
 まず、検討経緯でございますけれども、前回の部会でご報告申し上げましたように、6月14日と7月7日と8月4日と、3回の会合を開催いたしまして検討を重ねてまいりました。8月4日の第3回会合で意見はおおむね集約されたために、報告書(案)につきましては、私、座長預かりということにさせていただきまして、細かな調整を進めてきてまとまったものがお手元の報告書でございます。
 報告書は3部構成、すなわち1.物資循環をめぐる問題の現状、2.廃棄物・リサイクル問題の現状と課題、それから3番目、循環型社会形成に向けた今後の方向と、この3部から成り立っております。
 まず、1の物質循環をめぐる問題の現状でございますが、まず、最初に循環のとらえ方ということで、1ページをお開けいただきますと、環境基本計画における循環は、自然の物質循環と経済社会システムにおける物質循環の二つの循環があることを認識して書かれておりますように、これに基づきまして、循環のとらえ方について委員の先生方からいろいろご意見をいただきまして、そこにありますようにまとめさせていただきました。
 そして、健全な循環が確保されないことに起因いたします環境問題及び経済社会活動における物質循環の問題点につきまして、8ページをごらんいただきますと、ここに我が国の物資収支を載せておりますように、こういう物質収支に基づいて物質循環をめぐる問題について考察をさせていただきました。この図は、ご承知のように環境白書には毎年日本の物質収支につきまして詳しい図が載っておりますが、環境白書の図は非常にわかりにくいということで、廃棄物部会の平成11年度の報告書に私が少しまとめさせていただきました図に書き直していただきまして、こちらの方でパッと見たら一応わかるような形でまとめていただきまして、これに基づいていろいろな問題点を整理していただきました。
 続きまして、廃棄物・リサイクル問題の現状と課題では、10ページの表にありますように、我が国における法制度の整備について少し整理をしておこうということで、明治33年の汚物清掃法、日本で初めてそういう法律ができてから、ちょうどことしはこの100年目に当たります。戦後は、ご承知のとおり昭和29年に清掃法ができて、昭和45年に廃棄物処理法に改正されたと。
 こういう流れを一応整理をした上で、廃棄物・リサイクル問題を整理するために、11ページの図をご覧いただきますと、これが一般廃棄物排出量とGNPとをプロットいたしてもらいまして、そして最終処分量が三つを一つの図の中にプロットしていただきました。次は産業廃棄物の排出量でございますけれども、これは、1963年からプロットしていただきましたのは、ちょうど昭和38年ですけれども、厚生省の環境整備第1次5カ年計画の始まりが1963年であります。ここからプロットしていただきまして、清掃法へちょうど昭和45年、1970年に清掃法へ変わったところで筋を入れていただきまして、それで第1次石油ショック、ご承知のとおり昭和48年、1973年に第1次石油ショックがありましたので、ちょっと入れていただきました。そこでご覧になれますように、石油ショックの後、ドンと廃棄物量が下がっていることが非常に印象的なものですから、第2次石油ショックは昭和53年、1978年のところに筋を入れていただいております。ショックがありまして、少しやはり減るわけですね。このときは石油は36ドル/バーレルまで我が国では上がったときでありますが、現在、32ドル/バーレルに日経新聞なんかによりますとまだ上がってきておりますので、私なんかのような人間はちょっと危ないなと思って心配をしているところであります。
 このような形で、一応、これまでの法体系上の課題とかを整備いたしまして、そして循環型社会への形成に向けた法体系の整備、それから循環型社会形成推進基本法の概要及び循環社会の形成のための個別の法整備の整理について記述いたしまして、法制度整備の意義につきましてまとめさせていただいております。
 最後に、3番目といたしまして、循環型社会形成に向けた今後の方向では、以上のような現状を踏まえた上で、(1)といたしまして自然の物質循環と経済社会の物質循環の密接な関わりを踏まえた施策の展開、(2)番目として自然界における物質の適正な循環の確保、(3)番目といたしまして廃棄物・リサイクル問題への対応、(4)番目といたしまして循環型社会形成推進基本法に基づく総合的・計画的な施策の推進、(5)番目から(6)番目にかけまして循環型社会形成推進基本計画における目標や同基本計画で具体化される内容の基本的な考え方や方向性をまとめております。(7)番目として実態に応じた個別施策の推進ということでまとめておりまして、(8)番目から(9)番目にかけまして、循環型社会の実現のための視点や循環型社会の形成に向けた価値観の変革、(10)番目に施策推進の基礎となる統計情報の整備について、今後の方向性をできるだけ具体的に明らかになるように記述いたしました。
 それでは、引き続きまして事務局から詳しい説明をお願いいたします。

【伊藤海洋環境・廃棄物対策室長】 水質保全局の海洋環境・廃棄物対策室長の伊藤でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、ただいま平岡主査からご説明のありました報告書につきまして、報告書の本文に即しまして若干詳しくご説明申し上げたいと思います。
 まず、第1ページ目をお開きいただきたいと思います。まず、物質循環をめぐる問題の現状ということで、自然界において極めて長い時間をかけて成立してきた物質循環は、全体として精妙な均衡を保ちながら今日に至っているというわけですけれども、我々の活動が物質の大循環に対してさえ影響を及ぼすような存在になってきていると。すなわち大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会活動は、我々に多大な恩恵をもたらす一方で、物質の循環の輪を断ち、その健全な循環を阻害するという側面を有しているのではないかと。今やこういう「大量生産・大量消費・大量廃棄」型の活動様式によって加えられた負荷は、自然の循環を阻害し、これまでのような経済社会活動のあり方そのものが限界を迎えているのではないかと。こういうふうな認識に立つべきであるといったことをまず前文で述べております。
 そして、次に「循環」のとらえ方ということで、現行の環境基本計画において、循環とはどういうふうな格好でとらえられているのかというのをまず述べております。この箱の中にありますのは、現行の環境基本計画の長期的な目標の循環の部分、お配りしている現行計画の14ページにございますけれども、それを写したものでございまして、まず大気環境、水環境、土壌環境等への負荷が自然の物質循環を損なうことによる環境の悪化を防止するためと。これがまず一義的な目的だというふうに言っております。生産、流通、消費、廃棄等の社会経済活動の全段階を通じて、資源やエネルギーの面でより一層の循環・効率化を進め、不用物の発生抑制や適正な処理等を図るなど、経済社会システムにおける物質循環をできる限り確保することによって、環境への負荷をできる限り少なくし、循環を基調とする経済社会システムを実現するのだと。これが現行の循環の長期目標だというふうになっているわけでございます。
 これを若干解説いたしますと、この環境基本計画では、「循環」については「自然の物質循環」、それから「経済社会システムにおける物質循環」という二つの循環を視野に入れているということでございます。
 そして2ページ目でございますが、「自然の物質循環」としてはどういうものがあるかということですが、例えば窒素や炭素、水などがさまざまな形態をとりながら、大気圏、水圏、土壌圏の間を移動し、時に生命活動を育みながら、全体として均衡していることが挙げられるということでございまして、我々を取り巻く環境は、日光、大気、水、土壌、生物などによって構成される微妙な系のバランスの上に成り立っており、自然の物質循環は、これを良好な状態に維持すると。こういった機能を有しているというふうに言えると思います。
 一方、「経済社会システムにおける物質循環」としましては、人間が、みずからを取り巻く環境から食物や原料・エネルギーという形で資源を採取し、その使用により生活や各種の事業活動を営み、その過程で、家庭ごみ、産業廃棄物、排出ガス、排水その他の廃棄物等を排出するとともに、その一部を原材料や製品、エネルギーといった形で再び有効に活用していると。こういったことが挙げられるだろうということでございます。
 これまではなかなかこういった循環という問題が危機感を持って感じられてこなかったわけでございますけれども、その背景としては三つ理由があるだろうということを述べております。一つは、自然循環において、例えば自然保護や農業等による働きかけが、その健全な循環を促してきた。2番目に、経済社会システムにおける循環に伴って生じる負荷は、自然の浄化能力の範囲内にあったと。さらに、3番目として両者の相互関係が良好に保たれていたといったことが挙げられるだろうというふうに考えられますが、現在はこの自然の物質循環が有する機能が損なわれるとともに、経済社会システムを通じて加えられた負荷によって環境が悪化しているという状況にあるわけでございます。
 こういったことを防止するためには、「自然の物質循環」の機能の回復・維持とともに「経済社会システムにおける物質循環」の確保が必要であろうと。
 具体的にはということで、これも現行の環境基本計画の施策の展開のところで具体的に例示がしてあるわけですけれども、資源・エネルギー利用の一層の効率化のための投資や技術開発などの7項目の活動などを通じまして、資源やエネルギー面での一層の循環・効率化の推進、不用物の発生抑制や適正な処理の確保を図ると。こういったことで循環型経済社会システムを実現しようというのが現行の環境基本計画で述べられている循環の考え方でございます。
 こうした記述の背景となっております「自然の物質循環」と「経済社会システムにおける物質循環」との関係の分析を試みましたのが、2ページの[2]でございます。「自然の物質循環」は、森林、河川、湖沼、海洋等の自然環境の保全を通じて、また、適切な農業生産活動や森林の整備を通じて、その健全さが確保されるものであると。しかも、この「自然の物質循環」は、地球規模の現象でもあるということでございます。このような「自然の物質循環」は、「経済社会システムにおける物質循環」と相互に密接に作用し合う関係にあるだろうと。すなわち、自然系における物質循環の適切なバランスを保ち、「経済社会システムにおける物質循環」が適正に確保されなければ、大気環境、水環境、土壌環境等における循環が阻害され、これが自然の物質循環に大きな負荷を与えることになるのではないか。したがって、「自然の物質循環」を健全な状態で維持するためには、自然環境の保全や一次産業の健全化が重要であり、また「経済社会システムにおける物質循環」をできる限り確保することによって、環境への負荷を少なくしていくことが不可欠なのであるということでございます。また一方、自然の循環機能には、経済社会システムから生ずる負荷を一定程度まで吸収し軽減する働きがあるということですが、ただ、こうした自然の循環機能による負荷の吸収・軽減といった作用にも限界があることに留意しなければならないということでございます。
 こういった関係を図にしましたのが、5ページを開いていただきたいのですけれども、5ページにあります図でございます。これは、自然の循環というものは、太陽光からエネルギーを得、これをまた宇宙に熱放射をしている、そういった中で自然循環の維持・増進を果たす役割として果たしているのが、農業の持続的な発展や森林の整備、それから自然環境の保全といったことでございます。一方、こういった自然の循環に負荷を与えているのが、経済社会システム内における人間の活動でありまして、また、その自然循環は経済社会システムである人間の活動による負荷を吸収・軽減する働きもあると。こういったことが環境基本計画で述べられている自然循環と経済社会システム内での物質循環と、そういった関係にあるだろうということでございます。
 それでは、3ページにお戻りいただきたいと思いますが、次に、こういった物質循環をめぐる問題の構造を述べております。まず、こういったこの物質循環をめぐる問題の構造を引き起こす原因として2点あるだろうということを述べております。
 1点目は、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済活動や生活様式が定着したと。こういったことに伴いまして、経済社会活動の全段階を通じて、自然の物質循環に対して負荷が高まってきていると。特に大量の廃棄物というものが非常に環境負荷をもたらせておりますし、多くの有用な資源が適切に利用されないまま廃棄され、資源や社会資本ストックとしてでなく、環境に負荷を与える物質として国内に過剰に蓄積されてきていると。こういったことがまず第一の原因に挙げられるだろうと。
 2番目で、「一方」の段落でございますけれども、社会経済活動からの負荷の吸収・軽減という自然の物質循環が有する機能、それ自身が社会経済活動の拡大による自然環境の破壊、あるいは耕作放棄地や適切な管理がなされない森林の増大等によって二次的自然の劣化、農薬や化学肥料の不適切な使用、こういったことによってその機能が弱められていると。こういうふうなことが二つ目の原因として挙げられるのではないかと。
 この結果、社会経済活動に伴って生ずる負荷の蓄積が、自然の循環による吸収・軽減作用の限界を超え、公害や自然破壊を初めとする環境問題を生じさせていると。
 このような問題の解決のためには、自然の循環機能を健全な状態に回復させるとともに、その状態を維持することが必要であると。このため、自然の循環機能をどのように維持・増進していくかが重要な課題であり、とりわけ自然の循環に大きな負荷を与えている経済社会システムにおいて、エネルギー利用の効率化を含めて、いかにして物質循環を確保していくかが喫緊の課題となっているということで、この問題の構造を締めくくっております。
 参考のため、(健全な自然循環の確保に果たす農林水産業の役割)ということで、コラムとして載せております。
 次に、5ページに移りたいと思います。健全な循環が確保されないことに起因する環境問題としてどういうものが挙げるかということを概観しております。現行の環境 基本計画の循環の目標、第一義的な目標は、大気・水・土壌環境等への負荷が自然の物質循環を損なうことによる環境の悪化の防止と言っておりますけれども、実際、どういった環境悪化があるのかといったことを、窒素循環、炭素循環、水循環を例として概観をしております。
 まず、窒素循環でございますけれども、大気の主要成分としてその8割を窒素が占めているわけでございますけれども、これはほとんどの生物が直接これを摂取できないと。窒素固定菌によって、窒素がアンモニア塩や硝酸塩などの化合物となると。そして、これを利用することによって、これを生物が摂取すると。また、それを排出し、生物が死んだ後に微生物によって再び無機窒素に分解されると。こういうふうな窒素の自然の循環があるわけでございますけれども、今日、この窒素循環が適切に行われなくなったことから、環境への負荷がいろいろ出てきているということでございます。具体的には、化石燃料の燃焼に伴う窒素酸化物による大気汚染、あるいは酸性雨の問題、さらには閉鎖性水域における富栄養化の問題や硝酸性窒素による地下水汚染問題などが、この窒素循環の阻害といったことから生ずる問題だろうということでございます。
 2番目は炭素循環でございます。これは言うまでもなく地球温暖化問題、これは炭素循環を阻害していることによって生ずる問題だろうということが言えるだろうということでございます。
 3番目に水循環の問題でございます。自然の水循環は、一般に、森林、農地、宅地等への降雨が土壌に保水され、地表水及び地下水として相互にやり取りしながら徐々に流下し、河川、湖沼及び海域に流入して、それぞの過程で大気中に蒸発して再び降水となる連続した水の流れであると。こういった水循環があるわけですけれども、我が国におきましては、急激な都市への人口集中、産業の集中などによりまして、水循環系が急激に変化し、生態系への影響や河川流量の減少、あるいは水質汚濁、そういった問題が生じてきているということでございます。
 そして最後に、こういった環境負荷の例を鑑みまするに、関係施策を講ずる際には物質循環を広くとらえ、その全体を視野に入れて検討を進めることが必要となってきているということも述べております。
 次に、経済社会活動における物質循環の具体的な問題点でございます。この点につきましては、平岡主査の方からもご紹介がありましたが、このマテリアル・フローをもとに、我が国における物質収支の全体像と、そこから浮き彫りにされる問題点を概観しております。
 まず、我が国に投入される総物質の投入量は、約20億トンでございます。そのうち、その半分程度の約10億トンが社会インフラといった形で蓄積され、また、わずか1割でございますけれども、再生資源として再度投入をされるということでございます。一方、環境中に放出されるのは、エネルギー消費としての4億トン、それから産業廃棄物・一般廃棄物、再生利用されない分として、合計で約3.1億トンと、こういったものが環境中に放出されているということでございます。
 9ページをごらんください。こういったことで、環境負荷の低減という観点から以下の6点のことが明らかになるのではないかということを指摘しております。まず第1点は、「総物質投入量」が高水準であること。2点目が、「資源採取」の量が高水準であること。3点目は、「再生利用量」の水準が低いということ。それから、4点目が総廃棄物発生量が高水準であると。それから、5点目がエネルギー消費が高水準であること。それから、最後に「資源採取」に伴って生じる「隠れたフロー」が多いという分析をしております。これは、「隠れたフロー」と申しますのは、「資源採取」等のいろいろな活動に伴って、使用しようとする以外の物質が投入され、または廃棄物として排出される問題でございます。具体的には、建設工事による掘削残土、鉱物採取に伴う鉱滓、海外での木材生産における間接伐採など、こういったものでございまして、この「隠れたフロー」の量は、国内では11.5億トン、それから外国では、我が国の活動のために24.8億トンの計36.3億トンの「隠れたフロー」が生じているというふうに推計されております。これは全体で見ますと資源の採取量、これは2番目の○のところに書きましたけれど、国内、輸入を合わせて17.5億トンであるわけですけれども、その約2倍に達する、そういった量の「隠れたフロー」が生じているということで、こういう「隠れたフロー」についても可能な限り低減していくことが不可欠だろうということを述べております。
 続いて10ページでございますが、廃棄物・リサイクル問題の現状と課題ということで、これまで見てきたような「自然の循環」と「経済社会システムにおける物質循環」の相互の密接なかかわりを認識しながら、以下では喫緊の課題である廃棄物・リサイクル対策の基本的な事項について検討を行ったということでございます。
 まず、我が国における法制度の整備でございますけれども、この表も先ほど平岡主査の方からご紹介ありましたが、ちょうど100年前に汚物掃除法ということで、汚物を行政サービスとして市あるいは特定の町村が処理するという法律が制定されました。続いて、昭和29年に清掃法ということで、処理主体を全国の市町村に拡大する。そして昭和45年、公害国会では廃棄物処理法という格好で名前も変え、産業廃棄物の概念を導入し、その処理責任を明確化したということでございます。続いて平成3年、平成7年、平成9年、平成10年、廃掃法の改正や各種リサイクル法が制定されてきたということでございます。
 こういった状況にありますが、11ページ以降、廃棄物・リサイクルをめぐる問題ということで何点か指摘をしております。まず第1点目が、廃棄物の排出量が高水準で推移をしているということでございます。それから第2点目は、12ページでございますけれども、現在のリサイクル率は一般廃棄物で11%、産廃で40.7%ということで、非常に低水準にとどまっているということでございます。それから3点目が、12ページの下にございますが、最終処分場が逼迫していると。特に首都圏の産業廃棄物の最終処分場の残余年数は、0.7年というような状態になっているということでございます。そして、次に13ページでございますが、不法投棄件数が非常に増大し、環境劣化を招いているということでございます。特に、建設廃棄物が不法投棄量の約9割を占めていると、こういうふうな状況にあるわけでございます。
 こういった状況の中で、14ページでございますけれども、いろいろ施策が順次整備されてきたわけでございますけれども、残された課題は実に多いと。特に、資源投入→製造→流通・販売→消費→収集→再生製造段階への再投入という途切れのない物質循環の輪を形成し、環境保全上隙間のない包括的なシステムの構築が求められていると。これは先ほど平岡主査の方からも若干コメントがありましたけれども、昨年3月に中央環境審議会の廃棄物部会でとりまとめていただきました。今後の廃棄物・リサイクル対策のあり方の中で特に強調された点でもございます。
 こういう中で、循環型社会を形成するための総合的・計画的な法体系の整備が求められたということで、先の通常国会におきまして、循環型社会形成推進基本法及びそれと関連いたします個別法が一体的に整備をされたということでございます。
 14ページの(5)でございますが、循環型社会形成推進基本法の概要でございますが、まず第1番目が形成すべき「循環型社会」の姿を明確に提示したということ。2番目は、法の対象となる物を有価・無価を問わず「廃棄物等」とし、廃棄物等のうち有用なものを循環資源と位置づけて、その循環的な利用を促進するというふうにしたこと。3番目は、処理の「優先順位」を初めて法定化したということ。それから4番目は、国、地方公共団体、事業者、国民の役割分担を明確化した。特に事業者・国民の「排出者責任」や生産者の「拡大生産者責任」の一般原則を確立したという点が重要かと思います。それから、15ページ目でございますけれども、政府が「循環型社会形成推進基本法」を策定すると。その際、中央環境審議会の役割を非常に大きなものとしたということが一つの特徴かと思います。そして、循環型社会の形成のための国の施策を明示したということでございます。
 さらに、16ページ目でございますけれども、循環型社会形成のための個別法の制定ということで、具体的に循環基本法で定めた優先順位の分類ごとに、どのような施策を各法で講じているかということをまとめたものでございます。
 それから、17ページでございますけれども、そういったことで法制度整備の意義ということでございますが、循環基本法を初めとした関連法の整備によって、循環型社会づくりのための基盤となる法制度は整いつつあるわけでございますけれども、今後はこの基本法に基づいて具体的な政策をキチッと実施していくということが重要だろうということでございます。
 18ページは全体の法体系図を示したものであり、また、19ページは個別の廃棄物ごとにどういった循環的な利用や再生品の利用のための施策が講じられているかということをまとめたものでございます。
 次に20ページ、ここが一番重要なところでございますけれども、循環型社会形成に向けた今後の方向ということでございます。
 まず第1点目に、自然の物質循環と経済社会の物質循環の密接なかかわりを踏まえた施策の展開ということを述べております。自然の物質と経済社会の物質循環は、相互に密接なかかわりを有しているということ。これはこの報告書の1のところで重々述べたわけでございますけれども、こういうことを踏まえて、それぞの適正な循環を確保するということを念頭に、発生する負荷を低減させていくような施策及び経済社会における循環機能を高める施策を講じていくことが重要だと。こういう点を第1点目に述べております。
 第2点目は、自然界における物質の適正な循環の確保のための施策。自然に直接働きかけをすることによる自然界における物質の適正な循環の確保のための施策でございますが、具体的には、自然環境の保全、それから農林水産業の持続的な発展が図られなければならないということでございます。具体的には、かけがえのない貴重な自然の保全や二次的自然の維持管理等の自然環境保全のための施策、それから堆肥等の有機物の施用や農薬の適正な使用等による農業生産活動の推進、あるいは持続可能な森林経営のもとでの適切な森林整備の確保などが必要だということを述べております。
 次に、廃棄物・リサイクル問題への対応ということでございますけれども、これは先ほど申し述べたとおり平成12年、ことしの5月に循環基本法と一体的に各種個別法が成立しました。それから、既に容器包装リサイクル法や家電リサイクル法等の法律もあるわけでございますが、今後は循環型社会形成推進基本法で示された基本的な考え方に沿って個別法の適切な運用を確保していくことが重要であると。その際、関係省庁間の連携を十分に確保するとともに、各種の施策の有機的な連携を確保し、政府一体となって対応していくことが必要であろうということを述べております。
 次に、循環型社会形成推進基本法に基づく総合的・計画的な施策の推進ということでございますけれども、これはこの基本法に示されたように、全体を概括する総合的な計画を策定し、これに基づき各種の施策を有機的に講じていく必要があるだろうと。このため、この循環型社会形成推進計画というものを循環法の精神にとって、21ページでございますけれども、各主体の積極的な参加のもとで、循環型社会の形成に向けて施策を講じていくということとされておりまして、この規定の趣旨を踏まえて適正に運用していくことが必要であろうと。
 次に、循環基本計画における目標でございますが、施策の具体的な目標として数値目標を盛り込むことが必要であろうと。そして、その効果を客観的に把握できることが必要ではないかと。その際、最後の段落ですけれども、廃棄物にとどまらず、循環基本法の趣旨を踏まえて、発生抑制の観点からは廃棄物等、それから循環的利用の観点からは循環資源といったことで、廃棄物よりも幅の広いことを視野に入れて数値目標をつくっていく必要があるのではないかということを述べております。
 次に、(6)番目として循環型社会形成基本計画で具体化されるべき内容の基本的考え方や方向ということで、14項目を述べております。
 [1]番目が施策の優先順位の考え方でございます。これは先ほども循環法のところでも若干記述がありましたけれども、循環法では施策の優先順位として、まず第1に発生抑制、第2に再使用、第3に再生利用、第4に熱回収、第5に適正な処分というふうな順位づけを行っておるわけでございまして、一般的にはこういった順序であることによって環境への負荷をより低減し、天然資源の消費を抑制することができるというわけでございます。しかしながら、環境への負荷の低減の観点から、個々の物品によってはこのような順序によらない方が望ましいという場合が当然ございます。このような場合には、優先順位にこだわることなく、より適切な方法を用いていくことが必要だということでございます。
 次に排出者責任でございます。事業者の排出者としての責務をまず述べておりますけれども、いわゆる産業廃棄物につきましては、その一義的な責任を排出者が当然負うべきだと。その徹底を図ることが重要だということを述べております。
 次に、国民も排出者としての責務があるということを述べております。現在、一般には国民には廃棄物の処理能力はないということから、国民の排出する一般廃棄物については、ナショナル・ミニマムの確保といった考え方から市町村が処理するということになっており、国民は手数料や税金の形で費用負担をするということになっておりますが、循環基本法において、国民は排出者として、みずから発生抑制、循環的な利用に努めるとともに、その適正な処分に関し、国、地方公共団体の施策に協力する責務があるということを明確にされました。この趣旨に基づき、国民も排出者としての役割をキチッと果たしていく必要があるだろうということを述べております。
 次に、拡大生産者責任の考え方でございます。製品の生産者としての責務を述べたのがこの拡大生産者責任でございますけれども、製品の製造者などが物理的または財政的に製品の使用後の段階まで一定の責任を果たすと。こういう考え方でございまして、非常に廃棄物・リサイクル問題を考えていく上でも重要な基本的な考え方でございます。この拡大生産者責任の核心は、各主体の適切な役割分担のもとで、製品の特性に応じて、消費後の製品等に対する責任を、納税者や地方公共団体から生産者に全部またはその一部を移行していこうと。ここが一番重要な点だということでございます。
 これは非常にリサイクル推進上意義があるということでございまして、例えば構造・材質(有害物質を含む)と。こういったことで、そういった工夫をしなければリサイクル適正処理ができないような物品。あるいは構造・材質上、生産者に処理を委ねることが非常に循環的利用を進める上でいいような製品。あるいは大量に廃棄されて処理能力を圧迫するような製品については、こういったEPRの考え方を適用していくこと。それによって生産者がみずから発生抑制に資する製品をつくったり、あるいは使用後の段階で環境負荷を低減すると、そういったたための原料選択・設計・製造等を行うということができるのではないかと。また、こういった工夫のみならず、製品の特性に応じてみずから生産者がこれを自分でリサイクルしていくということになれば、リサイクル推進上、極めて大きな意義を有するということでございます。
 こういったことから、循環基本法におきましては、EPR(拡大生産者責任)として三つの事項を掲げております。[1]点目は、物品の耐久性の向上やリサイクルの容易化等のための製品の設計の工夫。[2]番目は、材質または成分、その処分の方法など物品に関する情報提供。[3]番目は、個々の物品の性状等に応じ、関係者の適切な役割分担のもとで使用済み製品等の引き取り、引き渡しルートの整備及びリサイクルの実施と。こういった考え方を位置づけているわけでございます。
 今後、この考え方を踏まえまして、具体的な措置の一層の推進を図ることが重要だろうということでございます。
 次に、経済的手法のあり方でございます。
 23ページをごらんいただきたいと思います。この「一方」の段落で述べておりますけれども、今日の環境問題のうち、廃棄物・リサイクル問題のように不特定多数の者の日常的な活動に伴い生じる問題につきましては、これまでの大規模発生源や特定行為の規制といった手法のみでは限界があると。規制的手法や経済的手法などさまざまな政策手法を適切に活用し、各主体が環境の保全に適合した行動をとることを促す必要があるということで、具体的には経済的助成措置、それから経済的負担措置、それぞれについて今後講ずべき方向を記しております。
 まず、経済的助成措置につきましては、3行目以降にありますけれども、OECDの汚染者負担の原則を踏まえつつ、必要かつ適正な措置を実施すべきであると。この場合、その投資による環境改善効果の早期実現の要請、その投資を行う者の経済的な状況、財政支出は最終的には国民の負担となること、さらには国際貿易、国際投資に重大な歪みを与えないものとすると。こういったことを勘案して対処する必要があるだろうということ。
 それから、経済的負担措置につきましては、これは特に廃棄物・リサイクル問題につきましては、ごみ処理手数料や税・課徴金、デポジット、こういった制度があるわけでございます。こういった経済的措置につきましては、循環基本法に基づきまして、その効果等を適切に調査研究し、その措置を講ずる必要がある場合には、国民の理解と協力を得るよう努めることとしなければならない。したがいまして、国内外における議論の進展を注視し、汚染者負担の原則なども踏まえつつ、幅広い観点からその検討に早急に着手していく必要があるだろうということでございます。特に廃棄物の発生抑制に関しましては、一般廃棄物の重量制による処理手数料の徴収のほか、税・課徴金、さらにはデポジット制度などということも非常に重要な課題になるわけであります。どのような品目について、どのような措置が効率的であるかを個別品目ごとの需要に応じて幅広く検討することが必要であろうと。また、その収入の使途についても検討すべきであるということを述べられております。
 次に、適正な再生利用・処理施設の整備の推進でございますけれども、循環資源の循環的利用や処分のための施設につきましては、経済的助成措置やPFIなどさまざまな手法を活用して、その整備を促進していく必要があるだろうと。この場合、環境保全上適切にすることは当然でございますけれども、回収量と再生利用とのミスマッチを解消し、必要な情報整備や上下流の連携確保を前提として、十分な再生利用能力を確保する効率的なリサイクルシステムを構築するように留意する必要があると。それから、特に最終処分場につきましては逼迫しております。産廃につきましては、民間事業者による施設整備を基本としなければいけませんが、これのみでは廃棄物の処理を十分に確保し得ない場合においては、排出事業者責任を原則としつつ公共関与による施設整備の促進、あるいは地域住民の合意形成の推進など、公共の積極的な役割を果たしていくことが必要であろうということを述べております。
 次に、環境保全上の支障の除去でございますけれども、不法投棄によりいろいろな問題が生じていると。そういった場合には、不法投棄を行った者はもちろんでございますけれども、それを知っていながらそういう不法投棄をした人に処理を頼んだと、そういう人についても、当然、キチッとした負担を求めるべきだということで、さきの廃掃法の改正により、必要な法改正が行われたということでございます。また、その資力がない場合のための産業廃棄物適正処理センターにおける基金制度等、いろいろ制度があるわけでございます。今後は、こういった制度の適切な運用を図ることはもちろんでございますが、さらに廃棄物処理に伴う環境保全上の支障を防止するための手法を含めて、環境保全上の支障の除去等を徹底するための検討をする必要があるだろうということでございます。
 次に、再生品の使用の促進でございます。これは国、地方公共団体、事業者、国民、すべてがこれを積極的に利用していかなければならないと。特に国、地方公共団体の公的機関は、調達等において積極的に取り組むことが必要だということを述べております。
 次に25ページ、教育・学習の振興でございます。国民や事業者の通常の活動によって問題が生じているわけでございます。そういったことを事業者や国民が正しく認識して行動につなげていくと、そういうふうなことが必要であると。そういう意味での教育・学習を振興していかなければならないと。これはすべての年齢層を対象とし、多様な場において互いに連携を図って教育・学習を振興していく必要があるということを述べております。
 それから、[9]番目が民間団体等の自発的な活動の促進ということで、特にフリーマーケットの開催やグリーン製品の表示・購入等の活動が促進されるように、国は必要な情報の提供、さらには資金援助などを実施していくべきだということを述べております。
 次に、[10]番目は人材の育成でございます。国、地方公共団体、公益法人、大学、民間等において、人材交流や情報交換の促進によって人材を充実していくと。また国、地方公共団体の職員もきちっと研修をすることによって、その資質を向上していかなければならないというふうに述べております。
 それから、[11]番目は調査の実施でございます。循環資源の発生や利用・処分の状況、将来見通しなどについて正確な情報を把握するのは不可欠でありますが、特に公表までに要する時間等について改善を図る必要があるということについても強調をしております。
 それから[12]番目、26ページ、科学技術の振興でございますが、技術的な問題がネックとなっている循環資源が大量に発生したり、あるいは循環的な利用が進んでない分野において、特にこういった技術開発が果たす役割は大きいということを述べております。
 それから、国際的協調につきましては、バーゼル条約に見られますように、国際的な連携をとった上で有害物質の不法輸出の防止など適切な管理を行っていく必要があると。我が国は特にイニシアティブをとって国際世論を盛り上げていく必要があるのではないかということを述べております。
 最後に、地方公共団体の施策ということで、地域における取り組みは不可欠だと。そういった観点から、地方公共団体の位置づけは極めて重要であるということで、次の「このため」の段落のところに書きましたけれども、地方公共団体は、その区域の自然的社会的条件に応じて、物質循環の促進のための目標の設定やその実現のための施策の策定など、健全な物質循環の促進のための取組を、国、事業者、住民、周辺地方公共団体と連携して自主的かつ積極的に推進することが必要であろうと。それから、国が地方公共団体に対し、財政的・技術的な支援を講ずる必要があるということも述べております。
 次に、実態に応じた個別施策の推進ということで、以上のほか、個別具体的な課題については、循環型社会形成推進基本計画の中で明らかにしておく必要があるわけでございますけれども、その際、特に資源の循環的な利用によってつくられた原材料・製品等の受け皿対策というのが大きな課題となるだろうということで、適当な需要が継続的に生じることとなるような施策を講じていく必要があるということを強調しております。
 それから(8)番目、27ページでは循環型社会の実現のための視点ということで、これは循環型社会の実現の際しては、一国のみにとらわれないグローバルな視点、あるいは地域の視点など、循環に関するさまざまなレベルでの視点が重要であるということを述べております。
 次に(9)番目、循環型社会の形成に向けた価値観の変革ということで、真に循環型社会を指向していくためには、国民の価値観自身を循環型の経済社会を指向したものへと変革していく必要が絶対に必要だと。そういったことで教育・学習等を継続的に行っていく必要があるのではないかということを述べております。
 最後に、施策推進の基礎となる統計情報の整備ということで、特に物質収支(マテリアル・フロー)や循環資源の発生、循環的な利用及び処分の実態の正確かつ迅速な把握のための統計情報の整備が必要だろうということ。それから、IT化の進展を踏まえた対応が必要だろうということを述べております。
 むすびとしまして、我々は、環境の世紀とも言われる21世紀に、経済社会をより高次なものとして発展させていくことができるだろうか。循環型社会の形成は、そのための試金石としての役割を担った全人類的な課題とも言える。人類の英知と決意が問われるこの課題に対し、現代世代内はもちろん、将来世代につけを残さないような適切な役割分担と各主体の自主的・積極的な取り組みによって、循環型社会形成に向けた施策を着実に推進していくことが求められようということで結んでおる次第でございます。
 以上でございます。

【平岡委員】 伊藤室長さん、どうもありがとうございました。
 最後に、検討メンバーのチームのメンバーの名簿が最初に載っておりますが、メンバーの先生方、それから協力メンバーのお2人の先生方の熱心なご議論・ご提案等に対しまして厚く御礼申し上げまして、それから事務局の方々にお礼を申し上げまして、主査としての報告を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。

【森嶌部会長】 どうもありがとうございました。
 この検討チームのご報告を踏まえまして、この基本計画中間とりまとめの中にですね、資料の3にあります「循環型社会の形成を通じた健全な物質循環の確保に向けた取組」ということで取りまとめてございますので、この取りまとめた案について、さらに、先ほど申しました長期的目標、それから第4部につきまして、それぞれ事務局が案文をつくっておりますので、引き続いてご説明いただきたいと思います。

【細谷環境計画課長】 それでは、引き続きましてその他の資料について説明させていただきます。
 ただいま部会長の方からお話がございましたように、本日は新しい資料としまして3点ほど出しております。なお、前回の部会で、可能な限り今回の部会で間に合わせたいと、努力したいと、こう申し上げておりました第3部の後半、すなわち環境保全施策体系の部分につきましては、大変恐縮でございますが、作業がちょっとおくれておりまして、次回に提出させていただきたいと存じます。
 それでは、まずただいまの平岡先生の検討チームからのご報告に関連いたします資料3をお願いいたします。この資料は、ただいまご報告にございました検討チームの報告書、これを計画の記述にかなり忠実に置きかえたものでございます。新計画第3部の第1節となります戦略的プログラムの一部をなすものでございます。記述内容は検討チームの報告書に即しておりますので、その詳細につきまして説明することは避けさせていただきたいと存じます。
 なお、第3部第1節の各プログラムの並べ方でございますが、前回提出いたしましたものと若干異なっておりまして、再度整理をし直しております。環境問題の現状や国民の関心から見まして、新計画においては、地球温暖化対策とこの問題、これをクローズアップしていく必要があるだろうと考えておりまして、前回の案では第4番目に出ておりましたもの、これを2番目に引き上げまして、地球温暖化対策を第1節、それからこの問題を第2節等、そのような方向で整理をいたしたいと考えております。また、表題につきましても、このように大きな問題として取り上げますので、廃棄物・リサイクル対策等というのではちょっと狭いのではないかと。より大きな問題を視野に置いたものであるということを表しますため、「循環型社会の形成を通じた健全な物質循環の確保に向けた取組」、ちょっと長目でございますが、こういう表題にいたしております。
 それでは中身でございますが、まず1の部分は、現状と課題を記述いたしております。現在の環境問題の原因、これが経済社会システムから生ずる自然の浄化能力を超えた環境負荷であるということ。それから、その解決のためには、経済社会システムの中の循環を確保し、自然の物質循環を健全な状態に回復していくことが課題となっていること。こういうことを述べました上で、我が国の物質循環を概観いたしまして、総物質投入量の抑制以下、そこにございますような取り組みを進める必要性、さらに早急に廃棄物・リサイクル対策を講ずることが喫緊の課題となっているということ。このような状況に対処するために、前国会におきまして循環型社会形成推進基本法が成立いたしますとともに、一連の法制度の整備が行われたこと。こういうような事柄を述べております。
 循環型社会の形成に向けました取り組みを推進し得る基盤が整備されつつあり、今後の課題は、この基本法に沿って個別法の適切な運用を確保することであると。このように述べております。
 次に、2の「目標」におきましては、まず(1)のところで、「循環を基調とする経済社会システムの実現」というものを目標に挙げております。第1パラグラフの記述につきましては、基本的に基本計画の長期目標でございます【循環】の記述に即しておりまして、循環を基調とする経済社会システムを実現することを述べているところでございます。また、第2パラグラフにおきましては、特に廃棄物問題の解決のために、廃棄物の発生抑制、循環資源の循環的利用の促進、天然自然の消費の抑制と環境負荷の低減という状態を実現する「循環型社会」の形成を目指すことを述べております。次に、(2)におきましては、施策のより具体的な目標につきましては、循環型社会形成推進基本計画に具体的な数値目標の形で盛り込み、効果の客観的把握を行う必要があると、こういうことを述べております。また、目標につきましては、廃棄物処理法上の廃棄物にとどまらず、廃棄物等及び循環資源を広く視野に入れたものとする必要があると、こういうことを述べております。
 次に、3の「施策の基本的方向」でございますが、(1)におきましては、自然の物質循環と経済社会システムの物質循環の双方を視野に入れ、それぞれの適正な循環を確保するということを念頭に置きまして、自然界の適正な循環を確保する施策、経済社会システムにおいて発生する負荷を低減させる施策、経済社会システムにおける循環機能を高める施策、これら三つの施策を講ずることを述べております。以下、(2)におきまして、循環型社会形成推進基本法の規定の趣旨を踏まえた適正な施策の運用、(3)では、各省庁間の連携を十分確保した上での政府一体となっての個別法の適正な運用の確保、こういうことを述べております。また、(4)におきましては、グローバルな視点や地域の視点など、さまざまなレベルの視点で物質循環をとらえ施策を講ずることを述べておりますし、(5)では、国民や事業者の価値観、意識、行動、これらを循環型社会を指向したものに変革していくため、教育、学習の振興、民間団体等による自発的な活動の促進のための施策、これらをきめ細かく継続的に行うことを述べております。そして(6)では、循環型社会の形成のために必要な統計情報の大局的かつきめ細かな整備を図ること、これらをずっと述べております。
 最後に、4の「重点的取組事項」でございますが、このような基本的方向を踏まえまして、重点的に取り組むべき事項を列挙いたしております。(1)では、自然の物質循環に関し、自然環境の保全のための施策を講ずるとともに、環境保全に適合した農林水産業の持続的発展を推進するための施策を講ずることといたしております。次に、(2)におきましては、実効ある循環型社会形成推進基本計画を策定するものといたしまして、その基本的な考え方や方向、これらを14点にわたって列挙いたしております。これらは先ほどの報告書の21ページから27ページまでの記載、それぞれ要約したものでございますので、説明は省略させていただきます。(3)におきましては、個別・具体的な課題については、具体的な推進方策は循環型社会形成推進基本計画で明らかにされる必要があるが、その際、循環資源の循環的利用によりつくられた原材料・製品等の利用を需要面から促進する対策が必要であると。こういうことを特記いたしているところでございます。
 資料3につきましては、以上でございます。
 次に資料4をお願いいたします。この資料は、環境基本計画の長期的目標につきまして、前回の部会におけます安原先生の方からの報告の参考メモとして提出されました「新環境基本計画長期的目標に関するメモ」、本日もちょっと卓上には置かさせていただいておりますが、このメモを踏まえて作成いたしております。このメモにおきまして整理されました部会及び小委員会におけるご指摘に沿いまして、現行計画の記述を整理いたしております。なお、現行計画から修文いたしました部分につきましては、【循環】の部分以降、見え消しの形で現行計画の文と対比できるようにしてございます。後ろに、ちょっと複雑になっておりますので、きれいに整理したものもおつけいたしております。また、計画の長期的目標につきましての中間とりまとめ案の記述につきましては、15ページから16ページ、中間とりまとめ案の15ページから16ページ、ここをご参照いただければと存じます。
 それでは内容でございますが、まず(長期的目標)という部分につきましては、前回の中間のとりまとめ案と変わっておりません。
 次に、【循環】の部分につきましては、大変文章がもともと長かったわけでございますので、途中でまず一つは区切りを入れております。そして、最初のセンテンスの社会活動の段階の例示がございますが、この中に「資源採取」という語句を加えてございます。この点につきましては、計画の他の部分においてはむしろこういう表記が通例であるということで、それに平仄を合わせた形にいたしておるものでございます。また、従来、「不用物の発生抑制や適正な処理等」となっておりました部分、これにつきましては、前国会におきまして循環型社会形成推進基本法の制定など一連の制度改正がございましたことを踏まえまして、これらの法制との整合的な表現に改めたところでございます。さらに、物質循環の確保を図るための方策の例示といたしまして、「再生可能な資源の利用等の推進」、この語句を加えております。これは第2部の第1節「持続可能な経済社会を目指して」、中間とりまとめの案で申しますと、14ページのところを参照していただければと存じますが、その上から四つ目の○、この中で施策展開の基本的な方向性の一つとして記述をいたしているところ、これと平仄を合わせたものでございます。
 次に、【共生】の部分につきましては、【共生】のこの表現で押さえている範囲が非常に狭い印象を与えるのではないかと、こういうご指摘もありますので、4行目の最後のところにございます「賢明な利用」、これをもう少し明確にしてみたいと考えまして、そこに「社会経済活動を自然環境に配慮したものとしつつ、」と、こういう表現を加えたところでございます。
 次に【参加】の部分でございますが、これは非常にもともと文章が長いということがございまして、また、さらに記述にやや重複しているような感があると、そこで文章整理を試みたものでございます。この部分につきましては、実質的な変更点はないと考えております。
 最後に【国際的取組】の部分でございますが、これも長い文章を多少なりとも短くする試みを行っております。また、「我が国の国際社会に占める地位に応じ」、こういう表現があったわけでございますが、これがやや消極的に過ぎるのではないかと、こういう感じもございましたので、そこを「我が国の国際社会に占める地位にふさわしい」、こういう表現に改めますとともに、「国際的イニシアティブの発揮に努める」と、こういうことを明示いたしたところでございます。このようなトーンにつきましては、第3部の戦略的プログラム「国際的寄与・参加」というのがございますが、この部分と平仄を合わせたところでございます。
 次に、資料5をお願いいたします。この資料につきましては、前回の部会におきます安原先生からの報告の参考メモとしまして、「環境基本計画第4部に係る討議用メモ」、こういうものが出されておりますが、これを踏まえて作成いたしております。このメモにおきますご指摘に沿いまして、現行計画第4部の記述を修文いたしてみたものでございます。なお、この資料につきましても、現行計画から修文いたしました部分につきましては、見え消しの形をとって現行計画と対比できるようにしてございます。なお、この部分につきましては、最終の中間とりまとめに向けまして、私どもとしましてもちょっと整理が残っておりまして、整理をなお要するのではないかと考えております。
 まず、第1節でございますが、表題を現行計画の「実施体制と各主体の連携」、これから「各主体の連携と推進体制の強化」、こういう形に改めております。そして、最初のところで「環境基本計画の決定後は、」という表現、これを「環境基本計画の効果的実施のためには、」という、多少なりとも前向きの表現に改めております。また、最後のセンテンスのところにおきまして、各主体が極力みずからの行動への環境配慮に努めるという方向性を示しますとともに、その具体的方策にも触れまして、環境マネジメントシステム等の手続的手法を活用すること、特に政府は率先して各省庁への環境マネジメントシステムの導入を図り、環境基本計画を各省庁レベルでブレークダウンして環境配慮方針の策定を行うこと、こういうようなことを定めております。国につきましては、現行計画の率先事項計画、これをより発展させる形で、より広い範囲を対象といたしまして、率先的な環境配慮を行うことを求めたものでございます。
 次に第2節でございます。これは当部会でのご審議を踏まえまして、総合的環境指標の整備・活用、そしてその基礎となります統計数値の充実、データベースの整備等、こういう問題につきましての記述を行っております。また、第3パラグラフのところでございますが、新計画におきまして、各主体の自主的取り組みを最大限に活用すべきであると、こういうことを全体として打ち出しておりますことに対応いたしまして、社会全体の目標でございます環境基本計画の目標の設定、こういう問題につきましては、行政ベースで一方的に行うという形は余り望ましくないと。むしろ各主体が行っております自主的取組を十分反映させてものにしていくべきであろうと、こういう考え方に基づきまして、諸外国でターゲット・グループ・アプローチ、これはオランダあたりが代表例でございますが、こういうアプローチを検討すべきことを記述いたしておるところでございます。
 次に第3節でございますが、財政措置等につきまして、環境投資の部分で環境保全経費の活用がうたわれていると、こういうことを踏まえまして、環境保全経費の見積もり方針をさらに充実させまして、政府全体の環境施策の調整に資するものにしていくため、その運用面の改善を検討するというようなことを述べております。
 次に、第4節につきましては、新環境基本計画におきましては、環境配慮の織り込みが一つのキーワードとなっております。そこで、改めまして、国の各種計画の策定に当たっては、必要な環境配慮の織り込みに努めるべきであると、こういうことをうたっております。この場合の計画は、「あらゆる計画において」というニュアンスでございますが、具体的な方向性につきましては、その次のセンテンス以下に記述されております。なお、この部分につきましては、最初の部分に第1センテンスの記述に伴います形式的な修正を行いましたほか、現行計画と同文となっております。
 最後に、第5節でございますが、本部会におきます計画の実効性確保のためのご意見、これは専らこの部分に集中いたしておったわけでございます。これらのご意見を踏まえまして、計画の進捗状況の点検方法の見直しと強化に関する事柄、これを追加いたしております。まず、中央環境審議会の点検は、いきなりこれを中央環境審議会の場で行うのではなく、業務内容を熟知しております各省庁、これがまず自ら点検を行うと。そして、これを踏まえまして中央環境審議会が点検を行う、こういう形にしたらどうかということでございます。また、各省庁の点検につきましては、定性的なものにとどまらず、できるだけ施策の環境改善効果に関する評価というものを含めたものにしていくということ、また、そのための点検の手法というものも開発する必要があるだろうということ、こういうことについて触れております。さらに、点検結果を有効に活用いたしますため、現行の検討結果の政府への報告に加えまして、国会に対する年次報告、すなわち環境白書でございますが、その活用、そして環境保全経費の見積もり方針の調整への反映、こういうことを行ったらどうかと、こういうことについても触れているところでございます。
 ちょっと長くなりましたが、資料の説明は以上でございます。よろしくお願いします。

【森嶌部会長】 どうも夏休みの終わりになってきますと、宿題がまだ終わらないので次から次へとやっているというような感じで、パッチワークになっておりまして大変どこに何が入るのかわかりにくいかと思いますけれども、まだ積み残しがございますけれども、これはまた次回ということにさせていただきたいと思います。
 そこで、まず最初に、先ほど平岡先生の方からご報告いただきました廃棄物対策等物質循環のあり方検討チームの報告書と、ただいま出てまいりました戦略プログラムの第2節として入るもの、この案文につきまして、まず、ご質疑あるいはご意見をいただきたいと思います。そして、その後順次、先ほどの出ておりました長期目標、あるいは計画の実施等についてご検討を進めていただきたいと思います。
 それでは、最初に検討チームの報告書と、それから戦略プログラムの第2節につきましてご意見を賜りたいと思います。
 なお、席の配列と同様に、こういうことはすぐ変えることができるわけですが、これからは挙手をしていただくということでなくて、ネームプレートを立てていただいて、私の方で立っているネームプレートでご指名をさせていただくということにさせていただきます。こういう簡単なことから先に改革を進めてまいりたいと思います。
 それではどうぞ、廃棄物に関する検討チームと、それから第2節の案文について。それでは、天野委員から。

【天野委員】 検討チームの報告書は、大変広範なところを丹念に重要な点を盛り込んでおられますので、大変ありがたいと思います。
 これをもとにしてつくられました資料の3の方で一つ質問があるのですが、2ページに3.施策の基本的方向というのがあります。ここには先ほどの大循環・小循環ですか、自然の物質循環と経済社会システムの物質循環というのを分けて取り上げられているのですが、ちょっと私がわからないのは、それぞれの適正な循環を確保する、つまり自然の物質循環は自然の物質循環として適正に循環をすると。経済社会システムの物質循環も、それはまたそれと別に適正な循環をすると。何かそんなことが書いてあるように思いまして、特に3行目ですけれども、自然界における物質の適正な循環を確保する施策というのは別途ありまして、その次に経済社会システムにおいて発生する負荷を低減させていく施策と、それから経済社会システムにおける循環機能を高める施策、この二つがそれと並列して掲げられているのですが、どうもそうしますと、例えば2番目と3番目をうまくやって、1番だけ適正でないというような状況があるのかどうかですね。私、むしろ2番目とか3番目というのは、大きな自然界への物質循環を攪乱している状態をどうやってもとへ戻すかというふうなことだろうと思うので、そういった経済社会システムの循環と別に自然の循環を適正に確保する施策というのは一体どういうことなのか私はわかりにくいので、そのあたりをご説明いただければと思います。

【森嶌部会長】 それでは、これはむしろ案文をつくった。

【水質保全局長】 今の段階におきますと、要するに自然環境の保全自体がそれ自体として後退していくとか、あるいは一産業としての農林水産業自体が要するに過疎化とか、あるいは都市管理、あるいは森林管理の減退ということで後退していっていると。そうすると、そこにもきちんと手を打っておかなければいけないだろうと。自己崩壊をさせないという意味で、要するに第一の選択肢も書いたということでございます。もちろん社会経済活動による負荷によっての後退というのも当然ありますけれども、内部崩壊をもきちんと防いでおかなければいけないと、そういう趣旨です。

【森嶌部会長】 では、どうぞ。

【天野委員】 ちょっと言葉の使い方が混乱しているのではないかと思うのですが、自然における物質循環というのは、先ほどのご説明にあった水とか炭素とか窒素とか、こういったものも非常に大きな循環なんですね。そういうものと、自然環境がおかしくなっているとおっしゃるときに、自然環境というのは例えば森林であったり農地であったりというふうにとらえられていると思いますね。私は、この二つはかなり違うレベルでとらえていると思いまして、ここで今日の基本法の中の循環を整理されたところの説明とは大分違うと思うんですね。ですから、農業とか林業というのをどういうふうにやるかというのは、この大きな自然の物質循環、炭素、窒素、水というふうな循環とは随分違うレベルのことではないかと思いますので、その辺はどうでしょうか。

【水質保全局長】 自然の物質循環というのは、炭素、窒素、水と、こういう形で一つの代表的な例で説明をさせていただきました。それをではどういう形で循環が確保されるかということですよね。そうすると、それは一つは我々の報告書の5ページにございますように、太陽光自体がいろいろな植物体との光合成作用によってCO2を吸収して水素等を発生させていくというようなこと、あるいは熱の輻射をいろいろ吸収していくと、こういうふうな作用を持つ。あるいは窒素は窒素で同じようないろいろな循環を展開されると。そうすると、それは自然自体が非常に適正に維持されていると。では、維持というのは何によって維持されていくのかと。そこはいろいろな手段が出てくるだろうと。それは自然の環境の保全である、あるいは自然の循環に即したいろいろな一次産業の活動であると、そういう形で位置づけましてですね、それで今、私はご説明申し上げました。
 したがって窒素循環、水循環、あるいは炭素循環というものと、手段たる自然環境の保全と、あるいは一次産業の循環的な自然に即した産業活動というものは決して切り離されたものではない、表裏一体の関係にあると、こういう説明をしてあるところでございます。

【天野委員】 5ページの図なのですが、太陽光というのは一番下の経済社会システム内での人間活動のところにまでおりてきて、そこからもう一遍上へ上がって帰るわけですね。ですから、経済社会システムというのは製造業だけでは決してありませんで、一次産業は全部経済社会システムに入っているわけですね。そこの部分だけ切り離して、農業の活動で自然環境を保全するのだというと、例えば二酸化炭素の排出を減らすというのは、非常に大きな自然の循環を直すための方法論ですね。ですから、むしろ二つは僕は同じことをやっていると思いますが、農業と林業は上へ出してですね、経済社会システムというのは、あたかも製造業、建設業、サービス業みたいなものしか含まないという切り分けをされると、ちょっと私は理解がしにくいんですね。

【水質保全局長】 そこの点につきましては、ちょっと理解が、私どもの説明と先生の理解とはちょっと違うと。と言いますのは、一次産業については我々は上の輪の方で整理させていただきました。下の経済社会システム内での人間活動というものよりは、むしろ上の自然の循環と一体となった活動という形で整理させていただきました。もちろん農林水産業においても、肥料とか農薬とかを過度に使用するということであるならば、これはやはりどちらかといえば経済社会システム内での人間活動として自然環境に負荷を与えるものというふうに理解しなければいけないと思いますけれども、水利用、あるいは炭素利用、窒素利用等については、上の循環の中で理解させていただいたということでございます。

【森嶌部会長】 用語の使い方だと思いますが、武内委員はこの点に関連して何かご意見ございますか、今の。そうでなければですね、一応、用語の…。
 これに関連してですか。はい、どうぞ。

【廣野委員】 私も実はそれを質問しようと思ったのですが、農業というのは言葉のとおり、これはアグリカルチャー、カルチャーなんですね。カルチャーというのは、経済社会システムなんですね。絶対に自然ではないんです。だから、やはりそういう意味で、英語で言うカルチャーというのは、まさに人間が手を加えるということですから、明らかにそれは自然ではなくして経済社会システムとしてとらえなくてはいけないのではないかと。そういうふうに私たち一般に考えておりますので、そうすると、今おっしゃったように、農業だけを自然の循環の方に入れてしまってですね、そして農業以外の産業を経済社会システムと言うのは非常に論理上の矛盾であって、やはり全く現実を反映してないと思うのですが。その点が一つ。
 それから、同じく関連して申し上げますと、混乱がこのペーパーの中にあるように思うのは、やはり自然というものは、これは人間がいようといまいと存在するものではないかと私は思うんですね。だから、自然というのは人間より前に起こることであって、そこに経済社会システムという言葉を私たちが入れたということは、人間というものがそこにいるということをあらわしているのではないかと。そういう意味で、自然の循環というものはものすごく尊いものであって、当然ながらこれはあるわけですけれども、同時に、しかしその自然の循環そのものも実は自然によって壊されるということがあるんですね。必ずしも経済社会システムだけによって壊されるのではなくて。それは例えば台風とかですね、あるいはまた火山の爆発とか、そういうことによって自然のいわゆる循環そのものが短期的には壊され、やがてそれが長期的にはまた回復するという、こういうような自然界の姿というのがあるわけですので、それと人間の経済社会システムの一環である農業とを入れてしまうというのは、ちょっと私無理があるのではないかという感じなのですが、いかがでしょう。

【森嶌部会長】 この点につきましては、多分、違った用語の使い方、あるいは経済社会システムというものにアグリカルチャーを入れるかどうかということですので、一度ですね、事務局でもう一度整理をしていただいて、報告書自身は今の段階でこれはもうご報告いただいたわけですから、環境基本計画の中で使う用語について、この報告書と少し違った使い方というよりも、むしろ今までのご発言ではですね、通常使うのはこの報告書とは違う使い方をするのだという、どうするかは一度ご検討いただいてですね、また後で整理をして出していただいて、そのときに今の事務局のような形で断固やるか、それとも変えるか、それは…。
 これに関連して。では、浅野さん。

【浅野委員】 報告書の3ページのところをごらんいただきますと物質循環をめぐる問題の構造という記述があって、その最後のところでですね、自然の循環機能の回復・維持・増進という言葉が出てくるんですね。これと、心持ちとしては20ページで言う確保というのが同じような意味合いで使っていたという理解の中で報告書ができているんです。ですから、今のような用語であれば、つまり回復とか維持とか増進とかという言葉であれば、こちらの計画の方に折り込んでも余り混乱が起こらないのではないかなと思いますが、それも含めてちょっと検討していただいて。

【森嶌部会長】 ただ、今のご意見は、回復・維持・増進はともかくとして、これは経済社会システムの問題ではないかと、農業も工業もですね。そういうご指摘ですので、やはりこれは用語の使い方、あるいは社会経済システムというのは何を構想するか、それから維持・増進という人間的な営為を、これをどっちと思うか、考えるかということになりますので、少し検討いただいて、また陣営を立て直してからですね、またもう一回戦争をしていただきたいと思います。これは多分、このまま続けると同じようなことの行ったり来たりになると思いますので。ということでいかがですか。
 それでは武内委員、どうぞ。

【武内委員】 せっかく今、議論を座長が切られたのですけれども、ちょっとだけ、私の別の観点で今のことについて申し上げておくとですね、自然環境も実は同じ問題を持っているんですよね。生物多様性というのを原生的な自然における生物多様性に限定しているかというと、割合そうではないわけですね。そのときにそれを何と言うかというのは非常に難しくて、それを二次的自然環境と言って一応置いてあるわけです。ですから、いわゆるそのほかの工業的な産業と農業というのを一緒くたにして人間の活動だというふうにやると、やはり漏れるのがあるし、逆に今度はこれは自然だと言って、人為的な影響との関係を切った形でそれは自然循環系の中に含まれているものだというふうに言っても問題があるので、仮に共生系で使っているいわゆる原生的自然環境と、それから二次的自然環境と、それから人工的環境というふうな切り方を物質循環系の中にも当てはめれば、今の農業の問題も比較的おさまりがいいのではないかというふうに思います。

【森嶌部会長】 私は打ち切ったのではなくて、先へ延ばしただけなんですけれど。
 もともと何かご発言…、どうぞ。

【武内委員】 それで、私が本来申し上げたいことは、表題がちょっとおかしいのではないかということなのですが、資料3の第2節の表題が「循環型社会の形成を通じた健全な物質循環の確保に向けた取組」となっているのですが、これは1ページと書いてあるところの目標を見ると、「経済社会システムにおける物質循環をできる限り確保することによって環境への負荷をできる限り少なくし、循環を基調とする経済社会システムを実現する」ということですから、循環を基調とする経済社会システムの実現が目的であって、「物質循環をできる限り確保することによって」ですから、物質循環をできる限り確保することが手段だと思うんですね。この表題は、「循環型社会の形成を通じた」ですから、循環型社会の形成が手段であって、「健全な物質循環の確保に向けた」という目的に対する取組となって、これは逆ではないかと思うんです。下の文章が仮にそうであるとするとですね。
 それはちょっと表面的なことかもしれませんが、そこで次に私がもう少し本質的に問いかけてみたいのは、このいただいた報告書の方は、これは廃棄物対策等物質循環の在り方検討チームの報告書になっているわけです。それに対してですね、今、仮に循環型社会の形成が目標だというふうにしますと、この第2節はそれよりもっと広く、どうやったら物質循環を基調とした循環型社会を形成し得ることができるのかということが目標になっていると、こういうふうに読めるわけです。キーポイントは何かというと、今現在、循環型社会の形成ということを議論する際の論点が、実は廃棄物対策に焦点が当てられ過ぎている。この報告書の18ページに、循環型社会形成推進基本法の枠組みが書かれていますけれども、この循環型社会形成というものを考えるときに、これを構成する主要な要素が一方は廃棄物の適正処理、他方はリサイクルの推進となっているんですね。私は率直に申し上げまして、循環型社会の形成がこの二つだけでできるとは思わないんですね。むしろ産業構造自体の問題であったり、今の工学そのもののあり方の問題であったり、社会システムそのものが本来循環型でなければいけないというふうな。例えば三橋さんがよくご関係のゼロ・エミッションなんていうような話はですね、よくエミッションをゼロにすればいいというふうなところだけを評価されているのですが、そうではなくて、エミッションをゼロにするための産業の仕組みをどうやってつくっていくのかといったときに、今までのような一つの目的に則した産業、それで大量に資源を使って大量に消費するというのではなくて、異なる産業間をうまくつなげていくことによって、動脈と静脈がつながって結果的にはエミッションがゼロに近づくような、そういう社会を目指していくというので、これは多分、廃棄物処理とかリサイクルの問題というものよりも、もう少し違う次元でとらえられなければいけない問題を含んでいると思うんですね。
 したがいまして、この第2節が廃棄物対策等を通した循環型社会の形成ということに限定すれば私はこれでいいと思いますけれども、そうではなくて、循環型社会形成に向けて少し先のことまで考えていくとするならば、もう少し廃棄物、それからリサイクルを超えた次元の問題がそこに存在するのだということを前提にですね、しかし我が国の社会の中では、そんなことは言っても、産業を変えるという以前に今ある産業の体質を改善することがもっと大事ではないかという当面の問題意識をそこに書いていくというふうな形になるので、ちょっと報告書の書き方と第2節の書き方は本来違って、もしそういう認識が違えば内容も違ってしかるべきではないかと思うのですが、それを忠実にやられるのであれば、逆に廃棄物に焦点を当てた忠実さが必要だと思いますし、そうでないとすると、もう少し広い視点での問題の提起というものもしておくということが必要ではないかというふうに思うのですが、私は、当然ですけれども後者の立場を主張したいと思っております。

【森嶌部会長】 これは、この最初のときの構想は廃棄物から入っておりまして、そして最終的に循環型社会といってもですね、環境庁の所管事項から入っていきますので、どうしても武内委員のおっしゃる広い形でのものが、確かにご指摘のように、欠落しているとは申しませんけれども、非常に薄まっていて、最初の廃棄物から入ってそちらから見ていくということですので、この点も循環型社会の形成という、そこへポイントを置こうという、途中から少し意図が変わったわけですが、その辺も一度検討されて、もしも広い観点からこの基本計画を書くとすると、やはり武内委員のおっしゃるように少し視点を広げる必要があるような気がいたしますが、その点、ご検討ください。
 それでは、多分、私の気がついたというか、渡辺委員がその次に挙げられたと思うのですが、それから三橋委員ということで。廣野委員はもう終わったわけですか。

【廣野委員】 終わりました。

【渡辺委員】 廣野委員のような根本的な話ではございませんが、しかし今の武内委員のご発言は、私はこの検討チームのメンバーの一人として、ゼロ・エミッションのような話は当然念頭に置いてですね、経済社会活動に伴う物質循環を途切れのないものにするという見地からとらえてますので、当然それも入っていると思ってます。
 私が発言を求めましたのは、もうちょっと字句的なことでございます。これも武内委員のご発言に絡みますけれども、この資料3の第2節の見出しを見て、そして同じページの2の目標の見出しを見て、どうもどっちがどっちかなと思っているのですが、2の目標のところから考えると、やはり健全な物質循環の確保を通じた循環型社会への形成への取り組みなのかなという気がいたします。そんな確たる意見ではございません。
 それよりも、同じ資料3の2の目標のこの10行あたりの表現がいろいろダブって、重複しているのかなと。特に私、この最後の4行のところですけれども、「第一にこうし、第二にこうし、第三にこうすることによって実現される、」。点が入っているからわかるのですけれども、「循環型社会と」、こうかかるわけですね。それで、その間に「天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限る低減される」というまた形容詞句が入っていると。余りこういう日本語は望ましくないのではないかと思いながら、資料4の長期目標の循環のところを見ますと、かなりこれはすっきりなっていると。極めて卑近なことを言えば、この「生産、流通、消費、廃棄等の社会経済活動の全段階を通じ」という同じくだりが資料3にありますが、資料4にはちゃんとアンダーラインを引いて「資源採取」というのが入って、資料4のこの5~6行の循環のところは大変練られた文章になってますので、資料3の同じ環境基本計画、新しい基本計画に入ってくる文章であるなら、資料3の2の目標のところの表現はもうちょっと練っていただいた方がいいのではないかなという気がして札を立てました。
 ありがとうございました。

【森嶌部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、今のをテイクノートしてください。
 それでは三橋委員、どうぞ。

【三橋委員】 物質循環については、武内委員の考え方に私も賛成なのですけれど、今、ちょっと私がお伺いしたいと思っているのは、数字の整合性の問題をちょっと教えてほしいということなんです。これは報告書の8ページの我が国の物質収支というのがありますね。そこで産業廃棄物が2.6億トンというふうになっています。それに対して11ページですね、これで言いますと産業廃棄物が4億1,500万トンになっているわけですね。それで、この8ページの場合には、一般廃棄物が5,000万トンですか、これはこの11ページの5,000万トンと同じですね。しかし、産業廃棄物については4億1,500万トンと、この8ページの2億6,000万トンですか、この違いはどういう違いになっているのでしょうか。

【海洋環境・廃棄物対策室長】 8ページの方の産業廃棄物2.6億トンといいますのは、再生利用をされる部分を除いておりますので、再生利用をされる部分を含めますと、こちらの11ページの数字になるということでございます。

【三橋委員】 一般廃棄物の場合には、その部分がおかしいですね。
 それと、再生される廃棄物の量が2億トンと書いてあるわけでしょう。そうすると、4億6,000万トンということになるのではないですか。

【海洋環境・廃棄物対策室】 こちらの点でございますけれども、産業廃棄物として必ずしも把握されなくてもリサイクルされるもの、こういったデータがございますので、マテリアル・フローの方にはそういったものも含めております。したがいまして、その辺は少し多いということになっております。これは具体的にはくず鉄などが、鉄源協会などから一たん廃棄物として認識される前のものとしてどのぐらいリサイクルされているというデータが出ておりますので、そこら辺を加味してございます。

【三橋委員】 それで、こういうちょっと数字の間違いというのは、非常に一般の人たちというのは気になるんですよね。それで、その違いについて説明をどこかでしておいていただかないと、それはこういうことでつじつまが合うのだというような説明ですね、そういうものがないと、同じ産業廃棄物のトータルの数字がかくも違ってしまうみたいな形で報告書が出てきたりすると、非常に混乱するんですね。その点は、これこれこういうようなことをすれば整合性があるんだというような説明をどこかにやはり設けておいてほしいと思うのですけれどね。これは私の要望です。

【森嶌部会長】 それでは、藤井委員。その後、佐竹委員、幸田委員とお願いします。

【藤井委員】 武内委員のように非常に原理的な問題ではなくて、個別、具体的で大変恐縮でございますが、22ページの一番下段の[4]の上に「容器包装リサイクル法やその運用実態も参考にしつつ」というところと、それから20ページの、これも(4)のすぐ上の「個別法の適切な運用を確保して云々」と「各省庁間の連携を十分に確保するとともに、政府一体となって」という文言を含めて、ペットの現状を通してちょっとご質問したいと思います。
 現場では、ことしから廃棄物処理展がニュー環境展という形になって、先ごろは東京ビッグサイトで行われて、この9月の8日から大阪で行われるのですが、廃棄物処理展がニュー環境展になっても、依然として廃棄物処理のプラントがたくさん出るということの中で、今、中小の事業者がえらい張り切ってやっているのが、このペットボトルの処理です。そのペットボトルの処理の中で、私が、もう基本的にはリデュースだから、こんなペットボトルの処理をするエネルギーがあったらほかのことにかけた方がいいという話をしているのですが、現場では、私も驚きましたが、もう4リッターのペットボトルも出ておりますし、それからまだ市場には出ていませんが、ビール瓶、それから牛乳瓶のペットボトル化がもう既に準備がされているという。そうすると、こういうもう現状が非常に走っている中で、しかも中小の事業者が開発費もかけ、そしてもう既にテストプラントから販売プラントをやる中で、現場で動いている中で、このペットを通してだけでも本当に循環型社会の形成なんてできるのでしょうかというのが現場にいて思われます。ここをどういうふうにどこに書き込んだらいいかよくわからないのですが、メディアでは大分取り上げられていますし、国民の一般の意識としても、国民の一人一人が削減に努めようとか環境意識を高めようと言っても、市場にこれだけいたときには、これはもう意識の問題ではなくて、もう完全に仕組みと経済的なインセンティブをどう置くかということを本当に腰を入れないと実現できないのではないかなという思いが非常に強くします。
 この報告書と、それからそれにのっとった資料の3の中にも、そこまでの書き込みがどのあたりまでできるか。でも、やはりここのところは書かないと、現場はもっと先へ走って、そしてしかも5年後に見直しをする間には、もうとうに、今、もうその事態を超えている中で、本当にこれは新環境基本計画が役に立つのかなということにならないようにしなければいけないのではないかなという気がします。

【森嶌部会長】 ありがとうございました。
 それでは、佐竹委員。それから幸田委員。それから、その後、寄本委員。

【佐竹委員】 廃棄物対策等物質循環の在り方検討チームの報告書でございますが、短期間に大変広範な問題をおまとめになられて、委員の皆さんのご努力は大変多としますし、余り概括的な印象を申し上げては失礼なのですが、物質循環という観点から問題をとらえてちょっと意見を申し上げたいと思います。
 というのは、例えば今、環境庁の水質保全局の者が抱えている一つの大きな問題は富栄養化の問題だろうと思います。これは10年間、大変いろいろ努力はされてきていると思いますけれども、残念ながら、はかばかしい成果が上がったとはとても言えない状況だろうと思います。なぜそうなるかということですけれども、やはり私は物質循環、日本をめぐる物質循環が大きく変わっているのだろうと。つまり3,000万トンの穀物、それから木材がどのくらいになりますか、それから石油、要するに窒素とリンを世界中から持ってきて排出しているわけですね。最終的には日本周辺海域に、あるいは閉鎖性水域に。これは先般も武内先生がご指摘になられたわけでございます。
 この事実をどう評価し、それにどう取り組むかと。これは窒素、リンを除去する技術があるというだけでは話は片づかないわけです。というのは、窒素、リンを除去するためには当然大変なエネルギーを消化しなければいけない。自然のサイクルで吸収できるような、そういう排出の形態ではないわけですね。畜産の例を引いてみても、人工的な処理をしなければ、とても自然のメカニズムの中で吸収できるような、そういう実態にはないわけです。これはある意味では答えの出ない難しい問題ですけれども、私ども、多少現場を経験してきている者としては、大変そこが悩ましいと申しますか、グローバル化が進む経済の中で、日本の国内だけで一国の物質循環を適正に保つことが一体できるのだろうかと。これは率直に、30年来の水産行政をやってきた者として疑問を持つわけです。
 ですから、先ほどの5ページの図についての理解もですね、遠藤局長のご理解は恐らく農林漁業というのは本来そういう機能をもっているのだということだろうと思いますけれど、現実は多くの先生方がご指摘になったように、確かに現実の経営は市場経済を前提にそれを適用していかなければならないわけですから、まさにこの下段のメカニズムの中に組み込まれたような経営をやっているわけです。これは後で議論が送られたわけですから、そこでやっていただければいいわけですが、その点が1点。
 それから第2点として、物質循環についての数値目標が、これは報告書にもございますし、それから資料3の方にもございますが、そういうものが提起されています。数値目標というのは、確かに行政の責任を発揮させるためには非常に明解な指標であって、いわば退路を断つ意味でですね、そういうことを明確にするというのは私も原則的に好ましいと思います。例えば環境庁は環境基準を天下に公表しているのですから、それが達成できてないということは、やはり環境行政としては大変残念な反省すべき点であって、そういう意味で目標を明確にするということは大変結構だと思うのですが、原理的にそういうことができる性質の問題であるかどうか。これは農業基本法についても、同じように自給率を数値化するかどうかで非常に論争があったようで、事務当局は必ずしも積極的ではなかったようですけれども、結果的には数値目標を示すということになったようですが。この単純なリサイクル率というような観念でとらえてこの数値目標をですね、数値目標が何を意味するかが理解が必ずもはっきりしてないのですが。とすれば、現実に為替相場の変動がリサイクル率に大きな影響を与えていることはもう皆さんご案内のとおりなわけですから、かなり難しい話ではないかと思うのですが、果たして実際にその辺は検討チームの中でご議論があったかどうか。もしご議論があったのならばご紹介いただきたいと、こういうふうに思います。

【平岡委員】 ちょっとご質問の意味がよくわからないのですけれども、検討チームでは、この報告書にありますように、一応、日本の現在、物質収支、先ほど三橋委員からありましたけれど、これは4.6億トンが出て、その中からこういうふうに書いているので、私はいつも左にずっと、ここのところを4.6にしまして、左に2.6が、2億トンが循環されるというふうに図面ではいつもあらわすのですが、そういうふうにしてもらったらわかりやすいかなと思いますね。
 今のご質問は、そういうものをベースにして、現在、なぜ大量生産・大量消費の一方的通行システムで行き詰まっているかというと、考察した上で、この国会で昭和45年の公害国会に相当するようなリサイクル国会ではないかと思っておるわけなのでけれども、そういう形で法律がつくられ、それをこれから進めていくということは、率直に言って壮大な社会実験を行うことになると思うんですね。そうしますと、産業構造の変換というのは、そういうものの中で、例えば容器包装リサイクル法ですと、ドイツで議論されているように、容器包装の産業がまた新しい方向に行くでしょうし、それから生活のスタイルもそれによってだんだんと長い間に変わっていくだろうということですので、その産業構造の変化を促すというような議論はされました。先ほど渡辺委員さんもおっしゃったような議論はいたしましたけれども、今、ご質問のような議論まで突っ込んだ議論はやっていないと思いますが。
 ちょっとご質問の趣旨がわかりにくいのですが、もう一度。

【佐竹委員】 要するにバージン原料が競合すると思うんですね、リサイクル原料とですね。そうすると、論理的に言えばリサイクルは当然さまざまな原料の中から一定の原料を抽出しなければならないわけですから、これは市町村がやれば、行政コストで必ずしも経済的なコストには反映しないかもしれませんけれども、当然、ある程度高くなることが予想される。つまりバージン原料との競合ということを考えると、何か数値を決めてそれを実現するといっても、そういう操作できない要因によって左右されるところがかなり出てくるのではないかと。よく古紙原料についてはそういうことが言われてますね、紙の再生については。輸入パルプが安くなれば、現実にリサイクルが落ちると、実はですね。というようなことが言われているものですから、そういう意味でご質問したのですが。

【平岡委員】 いえいえ、ちょっと今、その点についてはできると思いますが。と申しますのは、この物質循環を示しております理由は、リサイクルというのは、とにかく第一の目標は、輸入資源が6.7億トンを輸入しているということを、これを減らすということが第一の目標であるというのを掲げているわけです。今、先生のおっしゃったような大量のリサイクルになって、バージンと競合するのではないかというような意見はしょっちゅうあるわけですけれども、基本的には輸入資源を絶対的に減らすためのリサイクル政策を進めるというのが基本であるというふうに考えております。
 ですから、そういうバージンと競合しないような、環境税とかいろいろな議論がこれからされると。目標は6.7億トンをいかに減らすかということにあるというのが最初の議論であります。
 例えばエルネギーが、これは石油換算で4億トンなのですけれども、もう既に中国とか発展途上国と称するところ、中国自身ももうエネルギーの輸入国になっているわけですね、石油の。そうしますと、いつまでも日本は6.7億トンも世界中から資源を輸入できるのが続くだろうかと、そういうところがまず最初にあるわけなんです。ですから、細かくリサイクルしたらバージンと競合するとか、そういうことは細かい政策のところに任すわけでして、基本方針としては、この6.7億トンという輸入資源を減らすような形に日本の社会システムを変えないことには、いずれ第二次石油ショックのようなことが起きたときにはどうするのだという、そういう意味でこの物質収支は入れているわけなんですね。
 これは衆議院の環境委員会に招かれまして、参考意見を述べさせていただいたときも、まずはリサイクルは国全体としての物質収支の上から輸入資源を減らすことであるということを申し上げたわけであります。それに対して、個々に税制とか、そういうグリーン購入で積極的に購入しましょうとか、そういうことがこれからの、ようやくこの国会で決まったことです。そうしますと、あと10年以上の社会実験の中で、徐々にそういう社会システムが構成されるだろうという期待を持っていると、そういうお答えしかちょっとできませんけれど、よろしいですか。

【森嶌部会長】 渡辺委員は札を下げられたのですか。もしもあれでしたら、もう少し早いところでこの問題が終わるかと思ったのですが、まだお二方おられて渡辺委員がおられますので、一応、途中ですけれども、ここで10分休憩をとらせていただきます。今度は幸田委員から始めますので。
 それでは、10分休憩をとらせていただきます。4時5分までとらせていただきます。
 休憩(午後3時53分)
 再開(午後4時05分)

【森嶌部会長】 再開をいたします。

【幸田委員】 資料3でいただきましたこの第2節なのですけれども、これは環境基本計画の長期目標、四つあります循環はとても大事な部分だと思うのですけれども、それを哲学を具体的に示した極めて重要なチャプターではないかと思うんですね、循環型社会。特に今回5年たっていろいろな変化があって、より強くこの部分を訴えたいというところの章だと思いますので、なるべくだれが読んでもわかりやすくですね、この哲学が伝えるようにちょっと長目になったとしても、その部分注意深く書いていただきたいと思います。
 特にこの施策の基本的方向のこの(1)番というのは、これだけだと多分わかりにくいのではないかと思います。もっと丁寧にここの部分というのをぜひ書いていただきたいと思います。
 それで、この経済社会システムというのも、一般の人が聞いた中でどこまでが含まれているのかというのは以外にわかりにくくて、どうしても製造業とかそういうものを頭に置きやすいと思うのですけれども、例えば設計とか都市づくりですね、水循環の方から考えると、消費する水だけではなくて、都市に流れてしまった雨水が本来地面に潜っていかなければいけないのに、コンクリート化によって潜らない、地面に浸透していかないために起きている地盤沈下、いろいろな問題があるわけで、こういうのもやはり大事にしていきましょうというようなニュアンスが広がるような書き方ももししていただければ、この報告書の方は非常に具体的に書いてますけれど、これを全部読めばそういうこともなんだなと思いますけれど、3枚になってしまいますと、水の言葉も出てきませんので、やはり都市づくり、都市計画、設計とか、そういうものも大事なのだということをぜひ入れていただきたいと思います。
 以上です。

【森嶌部会長】 北野委員は、これに関連してですか。これというのは、このチャプターに関連してですか。この資料3に関連してではないのですね。
 では、先に寄本委員。その後、北野委員にお願いします。

【寄本委員】 平岡先生のチームの1人として、ちょっと発言させていただきたいと思います。
 先ほど武内先生のご指摘の資料3の見出しの点ですけれども、「物質循環の確保」とございますが、この場合の物質の中には、経済社会における物質循環の物質だけではなくて自然における物質循環も入っているわけでございまして、そういう意味では大変広くとらえている物質循環でございます。報告書の目次の方をごらんになっていただきますと、3の(1)がございますね。自然の物質循環と経済社会の物質循環というのが。この物質循環は、ここにありますように二つあるわけでございまして、資料3の見出しの面ではこの二つを合わせて表現していると私は受け取りました。したがいまして、これでもいいのかなというふうに受け取っていたわけですけれども、ただこの見出しで言えば、「循環型社会形成に向けた」と、こうございまして、武内委員のご指摘のとおりの順序になっておりますので、ご再考いただければとも思います。
 それからもう1点、簡単に申し上げますと、報告書の18ページでございますけれども、この循環型社会については、廃棄物の処理とリサイクルの推進では狭過ぎるというご指摘は大変ごもっともだと思います。ただ、ここでの適正処理とリサイクルの推進といいますのは、できました循環型社会形成推進基本法の法律の内容を大きくまとめればこの二つにまとめられるという書き方ではないかと思うわけでございまして、やむを得ないことではないかと思いますね。そして、こういう二つの廃棄物の適正処理とリサイクルの推進を通して自然環境、自然の循環の発展に向けて寄与するというような書き方になっているのではないかと思います。既にできた法律の内容をまとめているわけですから、勝手に変えられないのではないかというふうに思います。
 以上でございます。

【森嶌部会長】 確かに法律の内容から言えば、もともと循環型社会形成推進基本法というふうにありますけれども、実は割合狭いところしか使ってないという、おっしゃるとおりかもしれませんが。ただ視点としてはですね、先ほどご指摘のように、例えば産業構造とか、およそ最初から物質の投入を少なくして、そしてその結果がより多く出てくるような、そういう産業構造もこの循環型社会形成ということで言えば入ってくるわけで、いわゆるファクター10とかファクター4というのがありますけれども、その辺のところを事務局も一度お考えいただいて、これは結果的には法律の解説ですよという話ではちょっと狭過ぎる感じがいたします。
 では北野委員、どうぞ。

【北野委員】 資料3なのですが、先ほど平岡先生がやはり基本は総物質投入量の抑制であるということをおっしゃって、私もまさにそのとおりであるし、それから循環型社会形成というのはもちろんそのとおりなのですが、どうもこの文章を読んでいてですね、読み方としてはどうも大量生産・大量消費・大量リサイクルではないということですね、基本は。その辺の表現がどうも弱いような気がしようがないんですね。要するに循環でぐるぐる回せばいいのだというような意見がどうもとられて、現状と課題には書いてはあるのですが、もうちょっとその辺、幸田さんおっしゃったようにグレードダウンして、大量生産・大量消費・大量リサイクルを考えているのではないという、そういうものが循環型社会のイメージとは違うのだということを具体的に書いていただいたらどうでしょうか。その方がわかりやすいと思いますね。
 それから、もう1点は3ページなのですが、資料3の3ページですか、[4]の経済的手法のあり方で、この5行目、「このような観点からごみ処理手数料」、これはわかりますね、それから「税・課徴金、デポジット」なのですが、「税・課徴金」のところを具体的な例をちょっと挙げたらどうでしょうか。恐らくこれは使い捨て消費に税をかけるとか、そんなような意味だと思うのですが、一般の方も読むとすれば、ちょっと例を挙げた方がわかりやすいのかなと思っております。
 以上です。

【森嶌部会長】 どうもありがとうございました。
 先ほど私が申し上げたのは、今、北野委員の最初におっしゃったことですね。つまり物質投入あるいはエネルギー投入を少なくして、しかし実際には社会的な便益というのは大きくなるというような、そういう社会がもともと循環型社会だろうというふうに思います。その辺、最終的に修文をされるか、どういうふうに入るかですね、検討されたいと思いますけれども。
 それでは一応、報告書及び資料3についてはこの辺でよろしいでしょうか。
 どうぞ。

【佐和委員】 一言、言うタイミングを失しているかもしれませんが、一番最初の天野委員と水質保全局長との論争について、次のような調停をと。
 どういうことかというと、結局、この図がございますね、その前のページに農林水産業云々という囲みがございますね、そこを読みますと、結局、これは極めて理想的な農業、あるいは大昔の農業のことを言っているわけですよね。それで実際、ここで言うところの経済社会システムというものができ上がる以前から、これは人類の歴史とともに古いわけですよ、農業というのは。まさにここに書かれているような農業だったわけですね。ところが、今や農業が経済社会システムの中に組み込まれることによって、実は自然破壊をしているということになると。と同時にですね、もう一つはやはり政府の役割なんですね。自然環境の保全と書いてますけれども、これは政府の役割なんですね。政府というのは、やはり少なくとも市場の外にいるという意味で、経済社会システムの外側にいるというふうに言っていいと思うんです。ですから、ここに書かれている農業が持続可能なサスティナブルな農業にするためにはですね、何か例えば国が規制をするという必要も場合によってはあるでしょうし。ですから、少なくとも産業としての農業には、こういうふうなことが元々インセンティブとしてはないと。だから、そこのところをどういふうにチェックしていくかということが問題。ですから、私はどちらかといえば局長の言った方と言ったら変ですけれども、別にこういう書き方自体はおかしくはないというふうに思うんですね。経済システムの中に、外に農業を置いてみてですね、実はそういうことが書かれてないから問題なのかもしれませんが、今現在は実は農業がこの経済社会システムの中に組み込まれた結果としていろいろな問題が起きているということではないでしょうか。

【森嶌部会長】 それで結局、どういうふうに調停されたわけですか。

【佐和委員】 ですから農業という、農林水産業というふうにですね、どこかでやはり、あまりお立場上言いにくいことかもしれませんけれど、産業としての農業が問題だなんていうことはですね、そういうことは恐らく言いにくいことではあるでしょうけれども、今申し上げたようなことを前提にして、文章はどうつづるかというのは、それは…。

【森嶌部会長】 佐和さんはいつも文章のことをおっしゃるので、何か名案があってですね、昔々の農業はとか何とかというのが出てくるのかと思ったら…。

【佐和委員】 それはやはり1カ所ここを直せばいいという問題ではないと思います。この数ページに関してですね。
 以上です。

【森嶌部会長】 どうもありがとうございました。
 はい、どうぞ。

【平岡委員】 ちょっとだけ追加させていただきたいと思います。
 大量リサイクルという言葉が言われておりますのですが、例えば私エンジニアですので環境技術の方でやりますときに、例えばプラスチックを燃焼させてしまうということではなく、現在は例えば高炉の原料にかなりもう行っていますね。高炉の原料という意味は、微粉炭の替わりに使っているというわけですね。そうしますと、輸入の微粉炭がそれだけ減らさせるわけですね。それから、そういうふうな技術開発の私が申しました6.7億トンを減らすという方向への技術開発が今行われていますので、必ずしも大量リサイクルの方向だけには行っているのではないと。例えばエコセメントと申しまして、廃棄物からセメントをつくるという、今、千葉に工場がもう太平洋セメントでつくられていますね、エコタウン事業として。そういたしますと、それだけ原料としての粘土とか石灰石の山を削ることがないわけです。そういうふうな技術開発がいっていますので、こういうふうな、まず大量資源の輸入資源の削減ということに第一目標を置いているわけですから、そういう法律が整備されてくるにつれて生産構造ももう既に変わってきているわけですね。そして消費スタイルも変わるだろうと。そういう期待のもとにこういうことをまとめさせていただきましたので、ちょっとつけ加えさせてください。

【森嶌部会長】 どうもありがとうございました。
 ただ、先ほど藤井委員がおっしゃったことなのですけれど、例えば今までなかったようなプラスチックの瓶が出たり、今まで瓶でやっていたものがビールプラスチックボトルができたりという、そっちを手当てしないでこちらの方のリサイクルを考えても、結局、それは大量に生産され、大量にそれを処理しなければならないという、その点を何か考えなければいけないのではないかというのが藤井委員のご指摘だったと思いますね。

【平岡委員】 そうですね。それは順序に従って、発生抑制、リデュース、リサイクル、最後に、リサイクルは後ろの方ですのでね、私が言いましたのは。最初のところで、藤井委員さんおっしゃったような形で抑制が行われないといけないと思いますね。

【森嶌部会長】 そういうことも考えておかないと、結局は一生懸命リサイクルしてもですね、もとがだんだんふえていると、そのリサイクルする部分がどんどんふえてくることになるということだと思うのでね。

【平岡委員】 ですから、全体の物質収支を眺めて、今のペットボトルがどんどん進むということは、石油の輸入がどんどんふえているわけですね。これをやはりカットしていくということは、そういうことがないような形に持っていくために規制をかけていくと。法的なものがだんだん整備されていくと、そういう理解ですけれど。

【森嶌部会長】 どうもありがとうございました。
 はい、どうぞ。

【鈴木委員】 もう終わりにしようと…。

【森嶌部会長】 もうあまり循環型ではなくなってきましたけれども。拡大再生型になってまいりましたけれども。
 どうぞ。

【鈴木委員】 この資料3のタイトルの健全な物質循環という用語があるのですけれど、私は医学の出なものですから、健全なと言われると、不健全なというのも当然対比して何か考えているのだろうなと思うのですが、これは具体的な中身がどこに定義されているかというと、実はないんですよね。物質循環というものについて、健全であるかないかという定義ができるのかできないのかというのも大問題ですけれども、こういう言葉を使うときには、やはり何を具体的にイメージして健全な物質循環というのかというのは、どこかにちゃんと書いておいていただかないと困るなというのが私の意見なのですが。

【森嶌部会長】 どうもありがとうございました。まことにごもっともで、それも事務局にお任せをいたします。
 それでは、もうよろしゅうございますか。
 それでは資料の4になりますけれども、長期的目標について。これは前に出ておりますものをこういうふうにわかりやすくしたのか、あまりそうでないのかわかりませんけれども、このように手を入れられたということでございますけれども、何かご意見ございましょうか。
 浅野委員、どうぞ。

【浅野委員】 今回の長期的目標について、このように書き直すということは適切なことであろうと思います。前の目標をつくったときの経過を考えても、その後、目標そのものが幾つかの構造をつくっているということがだんだんわかってきたわけですね。前は必ずしもそんなことをキチッと意識してやってきたわけではなかった面があるわけですが、わかってきましたので、この長期的目標の最初のところで四つの目標の相互関係をまずはっきりさせるというのが、やはりこの5年間の基本計画の歩みの中からはっきりしてきたことだろうと思いますし、それから循環のところについても、先ほどからご議論があったような、循環についての考え方の整理、特に資源採取のところからという流れが明確になってきたのですが、前の計画の段階ではあまりそこまではっきり意識しないで文章をつくってしまったという面がありますから、このような形で加筆をすると。ゴシックの部分は、やはり長期的な計画目標がそんなに5年ごとにゴロゴロ変わるのでは困るので、ある程度内容は同じものにしておくという配慮からですね、前と同じようなゴシックの部分を概ねそのままの形で残すということも配慮としては必要だと思いますけれども、全体としてはこういう書き直しをしていったということでいいのではないかと思います。

【森嶌部会長】 はい、どうもありがとうございます。
 それでは幸田委員、お願いします。

【幸田委員】 循環の部分でちょっと要望というのでしょうか、ご提案というのでしょうか、二つあります。
 一つは、「資源の採取、生産、流通、消費、廃棄などの」という、この2行目にあるところ、これもやはり製造というものを中心に考えているのですが、やはり設計という部分もここにどうやって入れるのか、ちょっとそこがあれなのですけれども、やはり設計というのはすごく大事だと思うんです。製品設計、都市設計を含めて、製造以前にその部分というのも。先ほどの水循環などは、この生産、流通、消費、廃棄などの、雨が降って行くべきところに行かないというのは入らないんですね。そうすると、循環の一部の概念がここに窮屈で入らないような気がして、そこの配慮をちょっとお願いしたいと思うことと、もう一つは最後の2行目、下から2行目ですが、「経済社会システムにおける物質循環をできる限り確保し」の後に、「それが自然循環機能を損なわないように努めることによって」というふうに何か入れるか、あるいは先ほどの報告書にあった文章ですね、「自然物質循環の機能の回復・維持」という言葉を入れるか、何かやはりここでもつながりがあるとよりわかりやすい。ちょっと今のままだと、これを読んでいるだけではよくわからないところが出てきそうな気がしまして、やはり私たちの社会経済と自然の循環というものをマッチしたものにしていくということをもうちょっときちっと入れていただければと思います。

【森嶌部会長】 ほかにございましょうか。
 どうぞ、天野委員。

【天野委員】 【参加】のところですが、現行の叙述にも入ってないし、この段にも入ってないのですが、最初の段落の下から2行目、「特に浪費的な使い捨ての生活様式を見直す」と「日常生活や事業活動」と、この二つ挙がっているんですね。ところが【参加】というのは、基本計画にしろ基本法にしろ、必ず国が出てきて、それから事業者が出てきて、国民が出てきてというわけで、ここに「行政活動」というのが入ってないのがちょっと不思議な感じがしますので、「事業活動並びに行政活動」というふうに入れていただくというのがいいのではないかと。
 つまり行政というのは、もちろん事業活動を行っている面もありますけれども、一番大きな役割というのが施策を策定することですから、その施策の策定でやはり価値観とか行動様式というのを転換してほしいというのがありまして、そういうのを入れても私は基本計画の考え方にはもとらないと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。

【森嶌部会長】 はい、廣野委員。

【廣野委員】 資料4の【循環】のところですけれども、ちょっと言葉の重複がありますので、それはやはり削除した方がいいですね。それはどういうことかというと、一番最後の、この【循環】のところの一番最後ですが、「経済社会システムにおける物質循環をできる限り確保することによって」、ちょっと飛ばしますけれども、「循環を基調とする経済社会システムを実現する」と。全く同じことを言っているんですね。「経済社会システムにおける物質循環をできる限り確保することによって、循環を基調とする経済社会システムを実現する」と。これは実にとろとろしいでして、これは完全におかしな文章ですので、ぜひこれは直してください。お願いします。

【森嶌部会長】 それでは横山委員、どうぞ。

【横山委員】 資料5で言おうと思ったのですが、参加の問題で行政とか主体の話が出てきたので今の段階で言いたいのですけれども、これまで主体というと、行政と政府と、それから自治体と国民と事業者と、それから民間のNGOとかが出てきたのですが、ぜひ今後、学者グループというかですね、学術団体も入れてほしいのですが。
 なぜそういうことを言うかというと、例えば温暖化の問題にしろですね、それからリスクコミュニケーションとかで、学者の果たす役割というのは物すごく大きくなると思います。それから、環境教育とか環境学習なんかでも、どこかに行って話をするということになると、やはり一番の専門家は学者なわけで、そういう人たちもぜひ主体の中に入れてですね、連携して今後の環境問題を対応していこうというような方向性を打ち出していただきたいなというふうに思います。具体的に、例えば前会長の近藤先生が日本学術会議の会長を随分長くやられたわけで、そういう意味で、学術会議なんかとのつながりもあると思いますので、その辺を今後考慮に入れていただきたいと思います。
 以上です。

【森嶌部会長】 それを入れ始めると、マスコミも主体に入ってもらわないと。

【横山委員】 それはちょっと違いますね。

【森嶌部会長】 福川委員。それから、幸田委員は再度。

【福川委員】 大変わかりやすくなったように思いますが、確かに廣野委員もおっしゃるように、文章の点はなるべく読みやすくまたご検討いただきたいと思います。
 二つほどちょっと申し上げたいのですが、【共生】のところで、アンダーラインのあるところで「社会経済活動を自然環境に配慮した」という表現がありますが、「配慮」よりはもう少し、例えば「調和」とかというような表現の方が感じがわかるかなという気がします。
 それから【参加】のところですが、今までも行政だとかNGOとかシンクタンクとか、いろいろなご意見が出てましたけれども、やはり今のこの【参加】の中で私は重要になってきているのが、情報ネットワーク化の活用ということではないだろうかというふうに思いますし、今、国際的なNGOも非常に参画していますし、それから学会、あるいはシンクタンクとNGOの関係も非常に強いので、どこへどう入れたらというのがちょっと今すぐ思いつかないのですけれども、やはりこの情報ネットワーク化を活用してとか、何か最近の新しい変化を何か折り込む工夫ができないかなと。もう少しこの【参加】が強く打ち出せるようなことができないかと、そんな気がいたします。
 以上、2点です。

【森嶌部会長】 ほかにありますか。
 はい、どうぞ佐和委員。

【佐和委員】 やはり私は依然として文章がわかにくいと思うんです。わかりにくいし、ちょっと何かおかしな文章があると思うのは、【循環】のところで、例えば「適正処分等を図るなど」で、等の二乗になっているわけですね。ですから、ここのところはまず、これこれで再生可能というところから読みますと、「再生可能な資源の利用、」として「等の推進」はもういらないわけですね。「利用、廃棄物等の発生抑制、」で、「循環資源の循環的な利用及び適正処分を図るなど」でいいと思うんですよね。ですから、ここはなぜこんなところに「等」がつくのかよくわからないので、やはりもうちょっと日本語らしい文章にしていただいた方がいいと思います。
 それから、この資料5もいいわけですか、今。これはまた別ですか。資料5といいますか。

【森嶌部会長】 資料5はこの後になります。

【佐和委員】 後ですか。はい、わかりました。

【森嶌部会長】 役所は、どうしても「等」を入れておかないと、何か落ちると困るという配慮だと思うんですけれどね、等の二乗。
 ほかにございませんか。
 はい、湯川委員どうぞ。

【湯川委員】 先ほどのNGOの民間交流というようなことをどこかに入れられないか、ネットワーク化というようなことをどこに入れられないかということで、特にNGOにかかわっていて非常に、かなり大きな役割をしているのは国際的な取り組みではないかと思うのですが、2ページ目の【国際的取組】の、2ページ目の最後のところに、例えば「地球環境を共有する各国との国際的協調」というのを、「国際的協調」というのは何となく漠然としているのですが、だれが協調するかみたいなことがありまして、そこに具体的な、何か協調の方法論として例えば民間交流、学術交流といった、行政交流、どういう言葉がそこに入るかわからないけれども、そこに何か民間交流のようなものを入れておいてただけると、もっとNGOは張り切れるのではないかと思うのですけれども。考えていただけたらうれしいと思います。

【森嶌部会長】 はい、どうもありがとうございました。
 それでは、どうぞ。

【西岡委員】 【国際的取組】のところですが、最初のところの「今日の地球環境問題はひとり我が国のみでなく」という文章がございます。地球環境問題ということでですね、いつも自分で地球環境の問題をやりながら思うのですが、地球環境問題といいますと、イメージとしては温暖化、オゾン層等々の非常に限られたものになっているような感じもするんですね。しかしながら、ここで国際的取組を必要とするのは、地域の各途上国、もちろん先進国も含めまして、いろいろな環境問題に対してどう取り組んでいくかという話なものですから、このところは、例えばですが「今日の環境問題は地球規模に広がり、人類の共通の課題となっている」というぐらいに直した方がいいのではないかなというふうに思っているんです。

【森嶌部会長】 おっしゃるとおりですね。
 ほかに。
 それでは、札が上がらないうちに先へ進ませていただきます。それでは、第4の資料5につきまして、計画の効果的実施につきまして、どうぞご意見を賜りたいと思います。
 それでは、天野委員。

【天野委員】 2点ほどコメントしたいと思いますが、まず今何人かの委員から【国際的取組】についてのご発言がありまして、これは【参加】とも関連があるのですけれども、この第4部をずっと見ますと、国際的取組というのがどこにも出てこないので、計画の効果的実施という中にはですね、参加ももちろん必要ですけれども、当然、国際的取組に関する叙述があってしかるべきかというふうに思います。主体というのが、国、地方自治体、事業者、国民というのでは、必ずしも中心的な役割を果たしているような主体が抜けているのではないかというご意見も大変多いと思いますが、そういうことも含めて市民社会のいろいろなグループですね、そういう人たちがさまざまな形で国際的な取り組みをすることだけではなくてですね、それから、諸外国でどういう取り組みが行われ、あるいは国際的な取り組みがどういうふうに進行していて、グローバルな環境施策がどう動いているかということをそのときそのときに把握して、それを国民に知らせるということも大変大事なことだろうと思いますし、もちろんそれに対して国を初め各種の主体がそういう国際的な取り組みに貢献していくという、その二つのことはどこかに書いていただきたいなというふうに思います。
 それから、国が何かそういう貢献をするときには、もちろんいろいろな組織とか資源というのは使うことができるのですけれども、国際的な貢献をするいろいろな地方自治体とか事業体とか、あるいはNGO等がですね、やはりいろいろな資源の制約からなかなかそういうことができないというふうなことがありますので、そういう国際貢献をするためのインフラづくりというふうなことを国としては心がける必要があるというようなことも、ここにお書きいただけないかなというふうに思いまして。ただ、これは前回にもそういうことは全くありませんので、新しく何かそういう案をつくるということになるとまた大変かと思いますけれども、ぜひお願いしたいということです。
 それから、もう一つはちょっと小さい点ですが、最後の2ページの第5節のところで、3行目ですね、アンダーラインの引いてある2行目ですが、「関係省庁の点検は」というところがあって、「適切な点検手法の開発を図り」と書いてあるのですが、この適切な点検手法の開発を図る主体がどこかということがもうひとつよくわからないのですが。文章を読んでおりますと、それぞれの省庁で適当に開発しろというふうにもとれるのですが、もし共通的な手法というのをどこかで開発をして、それを適用するということが必要になればですね、各省庁がばらばらに手法を開発するよりはずっといい施策になるというふうに思いますので、点検手法の開発をどこがやるのか、あるいはどこかで中心的にやる部分と各省庁がやる部分とは並行してやるということにするのか、その辺をもう少しお書きいただきたいということと、それから、その続きとしまして、「施策の環境改善効果に関する評価を」とあるのですが、評価をするためにはやはり分析というのがそれに先立って必要かと思いますので、「関する分析と評価を可能な限り」というふうに、「分析」というのをぜひ入れていただきたいというふうに思います。
 以上です。

【森嶌部会長】 それでは、安原委員。

【安原委員】 基本計画小委員会の検討の段階では、この第4部について案文の形でまとめ切らないで、こういう意見がございましたということを整理しまして、参考メモという形で出していただいたわけですが、ようやく事務局の方で、恐らく関係省庁ともある程度の意見調整をして、きょう、案文の形で出していただきました。お礼を申し上げたいと思います。
 ここの部分はもう何回も申し上げておりますように、基本計画の実効性を高めるということが今回の見直しの一つの眼目でございますので、非常に重要な部分だろうと思います。この企画政策部会、あるいは基本計画小委員会で出ました意見を今回の案文でうまくまとめて折り込んでいただいておりますので、非常に結構かと思います。要はここのところに示されておりますように、やはり基本計画を体して、そして具体的な各省庁の政策分野についてのいわば実施計画的なものをそれぞれがつくって、それを体して環境管理、マネジメントシステム、行政版のISO的なもの、ちょっとISOとは違うと思いますが、やはりそういう手順を確立して、それに従って実施に移し評価し、そして評価した結果に基づいて足らざるところを改善していくという、そういう輪の状態になるような形で前進していくようなシステムがどうしても必要だという感じがいたします。そういう意味で、第1節に一番最後に書かれたところ、あるいはそれを踏まえて総合指標を整備して、目標に即して努力をしてもらう、そしてその結果を各省庁みずから自主点検し、その結果をまたこの中央環境審議会に出していただいて、そしてそれを踏まえて、より内容の充実した形で審議会としても点検できるようにすると。そして、その結果を情報公開していくということで、これでようやく最小限のですね、こういう実効性を担保するための仕組みがこれで整備されるのではないかと思います。そういう意味で、この追加の修正案に賛成させていただきたいと思います。
 今、天野さんからもございましたが、これは最小限のものであって、より内容を充実するようなご意見があればいただいて、できるだけ実効性を高めるということにしていかなければならないと思います。
 以上でございます。

【森嶌部会長】 ほかに、この点についてございませんか。
 どうぞ、佐和委員。それから鈴木委員。

【佐和委員】 資料5の2ページ目といいますか、一番下のところですが、ちょっとここもやはり表現上の問題があって非常にわかりにくく、不必要にわかりにくくしていると思うんですね。まず、「中央環境審議会が点検する」と、しかしその点検は「関係省庁の自主的な点検結果を踏まえてやる」ということで書かれているわけですね。そして、「政府は」というところでございますね、中央審議会の、ここでまた「点検結果」という言葉が出てくるんですね。ですから、関係省庁の点検結果であって、そして「中央環境審議会についての点検結果」という言葉を使っているというのは、これは何となく初めて読んだ場合わかりにくいんですね。だから、これは一つの提案ですけれども、例えば「中央環境審議会の報告を」とかですね、あるいは「点検報告を」にするかですね。「点検結果」ではなく「点検報告を」というふうにした方がですね、この「報告する」という前の文章からのつながりがわかりやすいと思います。
 それから、これは文法的な問題ですけれども、一番最後の文章で「環境保全経費の見積もり方針の調整に反映する」と書いてあるでしょう。これは「反映させる」でしょう。その上で反映させるとともに、反映させると、これは重複してますけれども、いずれにせよですね、「反映させるとともに反映する」というのはやはりおかしいでしょう。これは文法的なミステイクという意味でですよ。あるいは、これはもう「反映させる」を1カ所にまとめてしまうというのも一案かと思いますが。
 「政府は」ですよ、主語に「政府は」とあるわけですよ。反映するというのはおかしいでしょう。やはりさせるんですよ。
 それから、1ページに戻りまして、一番最初の文章なのですけれど、これは別に修正はされてないわけですけれども、やはり何かちょっとおかしいなと思うのは、「環境基本計画の効果的実施のためには」と、「これをよりどころとして、社会の構成員であるすべての主体が共通の認識のもとに云々」とありますね。「共通の認識のもと」にといったら、これは何のことかわからんのですね。あるいは、あってもなくてもいい言葉なんですよ。ですから、提案としては、「効果的実施のためには、これをよりどころとしつつ」としてですね、「社会の構成員であるすべての主体が」、次の若干の言葉は省いて、「主体が協力して」と、その下に次にコンマをしてですね、「環境の保全に向け実際に行動していくことが肝要である」というぐらいにすっきりした方がいいのではございませんか。「共通の認識」のもとにというのは何の認識なのか、これはさっぱりわからないですよね。要するに共通の理解とか、何となく基本計画に書かれていることについての認識を共有するということなのかどうか知りませんけれど、そんなことはあってもなくてもいいことだと思います。それをよりどころとしつつということが最初にあればですね、ということです。
 それからもう一つは、これもちょっと何となく文法的におかしいと思うのは、その下の方に、第1節の一番最後の4行ですけれども、「各主体は」とありますね、「極力、」とありますね、「極力、環境基本計画に沿い」というのはやはりおかしいんですよね。だから、これは「各主体は環境基本計画に沿い、みずからの行動への環境配慮の織り込みに」、もし「極力、」がどうしても必要だったら、「極力、努めるものとする」と。
 以上です。

【森嶌部会長】 それでは、鈴木委員。

【鈴木委員】 綿密な文章の校閲が伺えましたけれど。
 第1節のところにそれぞの主体の話が書いてある中で、「国、地方公共団体、事業者、国民及び民間団体」という書き方のところとですね、「地域レベルの行政、事業者、住民等」という書き方とが出てきまして、実はしばしば混乱するのは、国民と住民とをどう使い分けているのだろうかと、かなり気になるわけですね。コミュニティベースとで、あるいはコミュニティがむしろ積極的に環境計画を立てたり環境改善をしようとする動きを援助する方向で、国なり地方公共団体が考えるという姿勢があれば、地域住民という用語の方がはるかに大事な場合が多くなると思うのですけれども。実はこの環境基本計画、新しいものでもですね、やはりどちらかというと国が先に立って引っ張るよみたいなスタンスの方が強いような気が、何となくそんな感じの文章が多いなと思いながら拝見していたわけです。そこで問題は、だから国民という言葉を使うときと住民という言葉を使うときで、その辺のところに跳ね返ってくるような気がしましてね。両方使うとすれば、言葉の使い方はやはりはっきりさせなければいけないなという気がするんです。

【森嶌部会長】 ほかに。
 私の方からは、各省庁で点検をされるのはいいのですけれども、やはりコンパラティブなものでないとですね、ある省庁はこんな方向でこれについて点検して、ほかの省庁はあれしますと、中環審でも点検しようがなくなってしまうと思うんですね。今までは、内容がよかったか悪かったかは別として、環境庁の方でこういうことは点検してくださいという、こういう形でやってくださいというようなフォーマットをつくって各省庁に送っていますので、やはり最終的に中環審が点検をするとすれば、各省庁から出てきたものがコンパラティブになるように、点検手法とかですね、それから点検の分析方法とかですね、それを環境庁が提案するということになるのだろうと思いますけれど、先ほど天野委員がおっしゃったですね、だれが主体かわからないということですが、私はやはり環境庁が責任を持ってやらないと、出てきたやつが、この省庁は自分はよくやっていると書いてありましたと、この省庁はちょっと問題でしたけれどほかのことが書いてないから、本当にいいのかどうかわかりませんというのでは困ると思いますので、ぜひその点はこういうふうに段階を追って、それを踏まえてということでしたら、ぜひそうしていただきたいと思います。過去の経験から。
 ほかにございましょうか。

【浅野委員】 私の説明が悪かったのかもしれません。私が申し上げたのは、点検手法の開発をだれがするかということで、もし環境庁の方が共通の手法開発をして、それでやってくださいということであれば、それはそれでいいと思います。

【森嶌部会長】 私は、そうしないとですね、各省庁で結局私のところはこういう手法でやりますと言って、それでそれとのコンパラティブになってないとですね、我々の方としては、受け取ってどういうふうに点検すればいいのかわからないと困りますから。
 それでは、一通りご議論をいただいたのですが、前回出ております文章、これは先ほど申しましたように、前回コメントいただいたものは組み込んでおりません。これは一括してやろうということで組み込んでおりませんけれども、これについて言い残したことがございましょうか。
 はい、どうぞ幸田委員。

【幸田委員】 第2部(4)のあらゆる主体の参加のところなのですけれども、これはそれぞれの役割、責務が書いてますけれども、その書き方がですね、こういうことをやることを「強く期待される」とか、そういう言い方に、前にそれで終わっているわけですけれども。ただ、今、もう循環型社会形成基本法というものもできましたし、そこの中には事業者の責務とかあるいは国民の責務とかいろいろキチッと書いてありますので、「期待される」という終わり方ではなくて、例えばこの事業者のところ、[3]のところを見ますと、「自主的積極的に進めることが強く期待される」と。ではなくて、「進めることが必要である」というふうにもうピシッと言っていいのではないかということを思います。
 もう一つは、これは委員の皆様のご意見を伺わなければあれなのですけれども、もしこの文章を少しでも国民にわかりやすく多くの人に読んでもらおうということであるならば、もう少しですます調というか、柔らかい形に書き直すだけでももっと身近な感じがするのではないかなと思うのですが、それは一つの提案としてお話ししたい。
 以上です。

【森嶌部会長】 横山委員、どうぞ。

【横山委員】 前回、出てませんので、重複しているとしたらお許しいただきたいのですけれども、前回は出なくて、この送られた資料を見てですね、1点非常にびっくりしました。それは取りまとめ案の29ページの温暖化に絡んで、原子力の問題に触れてですね、「安全に万全を期した原子力の積極的な導入を促進している」というくだりがあるのですが、これは何なのでしょうか。私も温暖化のチームに加わって、原子力の問題というのはかなり議論がなされてですね、こういう集約とは逆の方向だったと思うんです。それで、温暖化チームにこういうくだりが出てくるのかなと思って、もう1回改めて読み直したら、それは全然出てこないんですよね。なぜこんなくだりが入ったのかですね。例えば通産さんとか電力会社が何かをやるときに、「安全に万全を期して原子力の積極的な導入を促進する」などという表現が出てくるのはやむを得ないかもしれませんけれども、環境基本計画の中間とりまとめで、温暖化チームでもそういう議論はしてないのに、なぜこんな表現が出てくるのかということを、ちょっと疑問と同時に、その経過を教えていただきたいのですが。

【森嶌部会長】 29ページの頭ですね、頭の部分。28ページから文章が続いていますが、29ページの頭に。

【地球環境部環境保全対策課長】 ご説明いたします。
 今、ご指摘がございましたのは、28ページ、一番文末から29ページの冒頭にかけましての記述、末尾が「安全に万全を期した原子力の積極的な導入を促進している」という部分でございます。このパラグラフにつきましては、法律レベルでどのような進捗があったかということをレビューしている部分でございまして、具体的に、上の方にございますように「温暖化推進法ができました」あるいは「エネルギー使用の合理化に関する法律の改正が行われました」と。こういう法律レベルの動きを記述している部分でございます。原子力に関しましても、安全に万全を期した導入を推進するために、幾つかの法律が今般改正されておるところでございますが、その具体的な法律名を多々挙げていくと、若干、文章のバランス上煩雑になるということもございまして、ここでは個々の法律名は省略をしておりますが、法改正の動きがあった一連の取り組みということで整理をしたところでございます。

【森嶌部会長】 はい、どうぞ。

【横山委員】 原子力の、もしこういう表現が出るなら、JCOの事故もあったとか、そういうことをやらないと、環境基本計画をつくっている中環審というのは何だろうということになってしまうのではないかと、私は非常に心配なのですけれども。

【森嶌部会長】 以前にも似たような議論がありまして、原子力というのを入れるかどうかという点、これは政府の方針であるということでですね、大きな議論をした上で入れたことがかつてあります。基本計画ではなくてですね。これは温暖化の防止の推進法のときでしたかね、そういう経緯はありますけれども。
 横山委員がご指摘の点は、まことに国民から中環審がどう見られるかということと関連をして、非常に重要なご指摘だと思いますが。この点については、もう一度議論をさせていただきたいというふうに思います。
 はい、どうぞ。

【安原委員】 今、部会長のご指示でまた議論をするということでございますが、温暖化対策の小委員会の議論で、特にこれを議論したわけではないのですけれども、整理として、この今政府がやっている政策が大綱によって決められておるわけですね。その中には安全を確保した上での原子力の推進というのが入っておりますので、そういう意味で、現在とられている政府の方策についての言及であるという理解でございます。今後のいろいろな対応については、これからその後の段落にずっと出てまいるわけでございまして、6%の削減目標をきちっと達成できるような推進メカニズム、あるいは基盤的な仕組みを整備していこうという考え方でずっと整理されているわけでございます。
 それはその程度にいたしまして、ちょっと基本計画小委員会の提案自体、その段階からまだ、今から思うとちょっと不十分な点があったのではないかなと思います。それは読み返してみましてですね、森林保全の問題なんですね。戦略プログラムのいろいろな温暖化対策でも循環のところでも、水循環の問題でも、いろいろ森林は関係しますので、森林のことについては必要な限りで触れられているのですけれども、今の森林の状況を踏まえて、この環境全体として考えた場合に、森林保全を推進していくということが非常に重要だということの総論的なまとまった記述がちょっと欠けているなという反省をしております。いろいろな観点から森林保全が重要であると。そのことをどこかで追加して書いていただければありがたいなと考えます。場所としましては、第2部に、この2のところで「持続可能な経済社会に向けた環境政策の展開」というところの(3)で、「あらゆる政策手段の活用」というのがございます。ここの中に環境投資がございますので、その環境投資の箇所でですね、環境投資の一環として森林保全を重点的に推進していく重要性についてある程度まとまった記述を加えていただいたらどうかなと思いますので、ご提案申し上げます。

【森嶌部会長】 小委員会の委員長ですので、入れていただければではなくて、できればご検討いただいてですね、ちょっと環境投資のところだけで片づけるのはやや問題が狭いかなと思うのですが。例えば環境政策の、この9ページから10ページにかけてのところですね、そういうところにも、あるいは11ページ、そういうところもあり得るので、ひとつですね、誠に申しわけありませんけれども、小委員長としてお考えいただいて、次回にご提案いただけますでしょうか。

【安原委員】 小委員会というのが、この前の報告をさせていただいて一応終わっておるものでございますから、私の方で小委員長をやらせていただきましたので、事務局とよく相談をしまして、案文を考えてみたいと思います。

【森嶌部会長】 ご自分の方で、思えば十分考えていなかったとおっしゃるものですから、仮に終わったとしても、いわば瑕疵担保責任ということになるかと思いますから。
 それでは湯川委員、どうぞ。

【湯川委員】 すみません。これは私、質問になるのですけれど、もう1回何か繰り返すようなのですけれども、先ほど横山委員がおっしゃった温暖化対策に関する基本方針の中で、いろいろな法律が決まったというふうな報告の一つとして、「安全に万全を期した原子力の積極的な導入を促進している」というのは、今の政府のあり方の報告という形でここでは書かれているということだとおっしゃったんですよね。それで、いろいろなことが決まっているのは知っておりますし、森嶌委員なんかともずっとご一緒で、随分、いろいろがたがたともめてきた原子力の長期策定委員会というのがずっとありまして、この間、その答申を出しているのですけれども、その答申も多分この中に含まれている新エネルギー利用等の促進に関する法律なんかのいろいろなものの中にそれなんかも入っているのだと思うのですが、「安全に万全を期した原子力の積極的な導入を政府は促進している」という、「政府は」という一言が入ると入らないのとはえらい違いで、何かそれも随分微妙な長期計画が出たのですけれど、私は必ずしも積極的に導入を促進しているというふうには思えない報告書でもありまして、積極的な利用を推進しているという程度のものではないかという理解も一方にあるのは、廃棄物の問題などはそのままちょっと宙に浮いた形の長期計画にもなっておりますので、ここまで「安全に万全を期した原子力の積極的な導入を促進している」と言い切ってしまっていいものなのかどうか、そしてそれが与える我々一般人にとってのショックというものをどういうふうに配慮したらいいかということも、やはりペンディングでお考えいただけたらありがたいと思います。

【森嶌部会長】 私が先ほど申し上げましたのは、前に温暖化防止対策何とかというのをこの中環審で議論したときに、政府の方針はそれであるに相違ないので、我々としてはそれに触れるか触れないかというところから議論していたのですが、今回もそのような疑問が提出されておりますので、ここでの記述は政府がこういうふうに進めてきたというスタンスで書かれているのだと思いますけれども、私が議論を申し上げたのは、政府の政策そのものをここでいいだの悪いだのと言うのではなくて、書き方の問題、それから盛り込み方の問題が環境基本計画の中にどのような書き込み方をするかということについて、もう一度議論いただきたいということを申し上げたわけであります。
 はい、どうぞ。
 先ほど調停と言うから、そういうのは…。

【佐和委員】 この文章はそもそも主語がないんですよね。だから、そこがいろいろな誤解を生むもとなんです。ですから、これは「エネルギー供給面の対策として同10年、これこれに移管する法律が策定され、安全に万全を期した原子力の積極的な導入が図られている」と、そうすればいいのではないですか。

【森嶌部会長】 その辺、今のはご提案ということで、いずれにしても一度、私、それはやっておきたいと思います。つまりこの中でいろいろご議論があるときに、このままでいいということで私は突っ走りたいとは思いませんし、だからといって、きょうはもう既に議論の時間が過ぎておりますので、次回でもこの点を取り上げたいと。
 繰り返し申しますけれども、政府が全体としてとっている政策について、この中環審の企画政策部会はそれをとやかくというのではなくて、そういう政府の方針の書き方として、ここにどういう書き方をするかということについてご議論いただくと。それは一つの書き方としては、佐和委員がおっしゃったような書き方もあると思います。ありがとうございました。
 では、どうぞ。

【天野委員】 小委員会でも私申し上げたことがあるのですが、供給面の話ですが、この法律ができてそれに沿ってやっているというのは事実だと思いますけれども、その後、政府の内部でいろいろ見直しをしていてですね、最初に予定されていたような原子力発電所の建設が大変難しいというので見直しが必要になっているという経緯がありますので、そういうものをベースにした計画づくりというのは、現在は前提にできないのではないかということを申し上げました。
 それと似たような点ですが、先ほど吸収源についてもお触れになりましたけれども、森林の計算もやはり国際的なレベルが認められるかどうかわからないといういろいろなことがありますので、もしこういうふうなことを書くのであれば、それ以降の様子がどうなっているかということも一緒に触れられるのがバランスがとれるのではないかというふうに思います。

【森嶌部会長】 それでは、その他の点につきまして、何かございますか。
 それでは、今のは私が申し上げたような趣旨でもう一度申しますが、政府の原子力政策について、この中環審がとやかく言うということではなくて、政府の方針がこうで、従来打ち出されているものを環境基本計画の中で記述にするに当たって、どういう記述をすべきかと。これは記述の仕方によっては、今までご指摘のように中環審自身がそういう施策にコミットして、それを進めているというふうに思われるのではないかというご意見もあります。そういうご意見も今ありましたので、一度、その文章のつくり方について検討させていただきたいと。
 それでは、誠に申しわけありませんが、ご意見おありかとも思いますけれども、今、事務局では修文を、修文をしてかえって悪くなるかどうか、それはちょっとまた別なのですけれども、一生懸命やっておりますので、ご意見がございましたら、誠に恐縮ですけれども、明日までに事務局の方にこの点こうではないかということをご指示いただければ、次回までにまだ案文をつくっていない宿題も含めまして、全体をまとめて次回ご審議いただきたいというふうに思っております。
 それで、前回の部会でご了承いただいた新環境基本計画中間とりまとめ公表後のブロック別ヒアリングですが、まだ中間とりまとめができてないところでブロック別ヒアリングもないものですけれども、10月初め前後、つまり我々の方はそれまでにはキチッと終わっているということでなければならないのですが、全国4カ所で実施したいというふうに考えております。詳細につきましては、事務局で現在調整中でありますけれども、何か表か何か出てましたね。この2枚紙が出ておりまして、10月5日、10日、12日、13日ということで、4カ所と書いてございますが、委員の皆様には少なくともそれぞれのところで数名、実はこれにご出席いただきたいと思っておりますけれども、これにつきましては事務局の方からご相談を申し上げますけれども、よろしくご協力のほどをお願いいたします。
 何かこのヒアリングの点につきましてありますか。
 それでは、事務局の方は特にありませんか。
 それでは、本日はこの辺で終了させていただきます。次回の日程につきましては、既にご通知が行っていると思いますけれども、9月6日水曜日の午後2時からということでございますが、場所はここではなくてKKRホテル東京の10階の瑞宝の間ということですので、お間違いのないようにお願いをいたします。
 それでは、これにて閉会をいたします。どうもありがとうございました。

 <以 上>