中央環境審議会第81回企画政策部会会議録

1.日  時  平成12年8月9日(水) 14:00~17:00

2.場  所  ホテルフロラシオン青山1階「ふじの間」

3.出席者(部 会 長)森 嶌 昭 夫
(部会長代理)安 原 正
(委    員)浅 野 直 人
江 頭 基 子
神 林 章 夫
小 澤 紀美子
佐 和 隆 光
中 野 璋 代
平 岡 正 勝
藤 井 絢 子
松 原 青 美
宮 本 一
和 気 洋 子
天 野 明 弘
茅 陽 一
北 野 大
佐 竹 五 六
塩 田 澄 夫
波多野 敬 雄
福 川 伸 次
星 野 進 保
三 橋 規 宏
谷田部 雅 嗣
渡 辺 修
(特別委員)飯 田 浩 史猿 田 勝 美
(専門委員)寺 門 良 二

湊    和 夫
(環 境 庁)川口環境庁長官
太田企画調整局長
廣瀬大気保全局長
西尾環境保健部長
岡田環境事務次官
松本自然保護局長
遠藤水質保全局長
小林官房審議官
青山企画調整局企画調整課長
小林企画調整局環境影響評価課長
小木津企画調整局調査企画室長
松村企画調整局環境保全活動推進室長
竹本地球環境部環境保全対策課長
岩田水質保全局地下水・地盤環境室長
細谷企画調整局環境計画課長
大林企画調整局環境計画課計画官

4.議  題

(1)環境基本計画見直しについて
(2)その他

5.配 付 資 料

資料1第76回~第80回企画政策部会議事要旨(案)、会議録(案)
資料2新環境基本計画中間取りまとめ案
資料3中央環境審議会企画政策部会の運営について
資料4地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会検討方針(案)
(「地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会」メンバー)

6.議  事

【環境計画課長】 それでは、時間がまいりましたので、中央環境審議会第81回企画政策部会を始めたいと存じます。
 それでは森嶌部会長、よろしくお願いいたします。

【森嶌部会長】 大変、暑いところをご参加いただきましてありがとうございます。
 ただいまから、第81回企画政策部会を開催させていただきます。
 本日は、先般の内閣改造に伴いまして長官に就任されました川口環境庁長官がお見えになっておられますので、最初にごあいさつをいただきたいと思います。
 それでは大臣、よろしくお願いいたします。

【環境庁長官】 7月4日に環境庁長官を拝命いたしました川口でございます。中央環境審議会企画政策部会の委員の皆様には日ごろからいろいろご指導いただきまして、大変ありがとうございます。
 まもなく21世紀を迎えるということでございますけれども、地球温暖化ですとか廃棄物問題ですとかさまざまな環境問題が山積をしているわけでございまして、こういったさまざまな環境問題の解決を図るためには、環境基本法の理念を踏まえて日本の経済社会システムを早急に見直して、環境に対する負荷の少ない循環を基調とする経済社会をつくっていくことがぜひとも必要でございます。
 このようなときに当たりまして、21世紀初頭の我が国の環境政策の基本的な方向を定める新たな環境基本計画の策定につきまして、昨年の6月の諮問以来、非常に厳しいスケジュールの中、大変精力的なご審議を賜っておりますことに心から感謝申し上げます。
 今日は、これまで行われてきた分野別の検討チームの成果や新しい計画を起草するための小委員会でのご議論を集約した新環境基本計画の全体的な案について、初めて部会でご議論をいただくというふうに伺っております。個別事項についてご指摘をいただくと同時に、大所高所からご意見を賜れば大変に幸いに存じます。
 今後、皆様におかれましては今年中に新しい計画の閣議決定を目指すということでご審議をいただくことになるわけですけれども、新たな世紀における環境政策の具体像とその取り組みの方向を明確に示した環境基本計画となりますよう、さらに一段のお力添えをいただきたいと思います。
 それから、地球環境問題でございますけれども、今年の11月に気候変動枠組み条約に基づく第6回の締約国会議が開かれることになっております。ハーグでございますけれども、このCOP6を成功させて、遅くとも2002年までに発効させるということで国際的な環境づくりに一生懸命に努力したいと思っております。
 このためにも日本自らが京都議定書を2002年までに締結するということが必要でございまして、前回の部会でこの部会の下に設置することをご了承いただいた小委員会において、6%削減の目標を確実に達成するための政策パッケージ案などについてご検討をいただくことになっていると聞いております。この点につきましても、新しい基本計画とともに是非よろしくご審議賜りますようにお願い申し上げます。
 来年1月には環境省が発足いたします。私といたしましては環境省が新しい環境の世紀の担い手となって国民の皆様の期待にこたえ、その責任を全うできるように組織、体制の整備も含め全力を挙げて取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくご指導、ご鞭撻を賜ればというふうに思っております。
 簡単ではございますけれども、ごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

【森嶌部会長】 大臣、どうもありがとうございました。
 それでは、まず事務局から資料の確認をさせていただきます。ではお願いいたします。

【環境計画課長】 それでは資料の確認をさせていただきます。
 本日は資料といたしまして、議事次第にございますように資料1として第76回~第80回の企画政策部会議事要旨(案)、会議録(案)、大分たまっておりましたものを一気に出させていただいております。
 それから、資料2といたしまして小委員会で検討いたしました「新環境基本計画中間取りまとめ案」が出ております。
 それから資料3としまして、「中央環境審議会企画政策部会の運営について」という紙がございます。
 それから資料4としまして、「地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会検討方針(案)」これがついております。
 そのほか、資料番号は付してはございませんが、小委員会委員長の報告の参考メモといたしまして「新環境基本計画第4部に係る討議用メモ」、それから同じく「新環境基本計画長期的目標に関するメモ」、こういうものが出ております。それからさらに、第4回環境基本計画小委員会の後で太田委員の方から提出されております意見、それから「廃棄物対策等物質環境の在り方」検討チームにおける検討状況ということで平岡先生の方からの紙、これが出ております。
 以上でございますが、何か漏れはございませんでしょうか。

【森蔦部会長】 それでは、これから議事に入らせていただきます。
 前回6月28日でございましたが、第80回の部会において中間取りまとめ案の作成のための小委員会を設置をいたしまして、部会でのそれまでの審議やヒアリングの論点を踏まえまして、中間取りまとめのたたき台を起草することを小委員会にお願いをいたしました。小委員会では安原委員長を中心にいたしまして4回にわたってご審議をいただきまして、中間取りまとめのたたき台ということでお手元に配付してありますものをまとめさせていただきました。本日は、この案につきましてご報告、ご説明をお聞きした上で部会のご審議をいただきたいと思います。
 なお、このたたき台と申しましょうか、中間取りまとめ案につきましては今日だけではなくて、この後、2回にわたって検討いたしますので、今日のところはご説明を伺った上でご質問をいただくとか、あるいはいわばファーストラウンドのご議論をいただきたいというふうに思っております。
 それでは、安原委員長からご報告をお願いいしたします。

【安原部会長代理】 それでは、お手元にございます新環境基本計画の中間取りまとめのたたき台につきまして、ご説明させていただきます。
 6月14日の第79回の当企画政策部会で、部会長から今お話がありましたように、小委員会において中間取りまとめのたたき台を起草するようにご指示がありました。多くの委員の方に参加をいただきまして、小委員会としましては7月7日、19日、28日、そして8月4日ということで、4回の審議を重ねました。毎回、大変熱心な審議をいただきました。その結果、ようやくお手元にございますたたき台という形になったものでございます。
 この案をまとめるに当たりまして、事務局に案文作成につきまして大変な尽力をいただいたことを申し上げておきたいと思います。その間、政府部内におきまして関係省庁との意見調整も行っていただいております。参加いただきました小委員会の委員の先生方、そして事務局に対しまして、この場を借りまして厚く御礼を申し上げます。
 それではまず最初に全体の構成でございますが、目次をごらんいただきたいと思います。第80回の部会までの企画政策部会における審議の整理といたしまして、現行計画でも4部構成になっておりますが、それを維持するということで基本理念から個別施策までストーリー性を持った記述を行うという方針で大方のご了解が得られておりましたので、その線に沿ってたたき台を作成いたしました。
 特に第3部におきまして、今後5年から10年ぐらいの期間の当面の環境政策において重点的に取り組むべき項目につきましてそれぞれの問題の課題を示した上で、解決のために重点的に取り組むべきことを示しております。それが戦略的プログラムということでまとめた部分でございます。これは新しい内容の記述でございます。この内容は企画政策部会の各検討チームでご審議いただきましたテーマに対応する内容となっております。
 最初の第1部でございますが、環境の現況と課題につきましては、現行計画策定後の環境政策の動向を含め環境と経済社会の現状と趨勢を、そして第2部以降で記述する課題につながる形で内容をとりまとめるように努めたつもりでございます。なお、総合的な環境指標の活用の問題がございますが、これは最初、環境の現状のところで指標を活用することを検討しておりましたが、いろいろ議論の結果、このたたき台では第1部におきましては指標値に基づく定性的な記述を行いまして、具体的な指標値、数字の方は本文に別途添付するということといたしました。
 それから第2部でございますが、21世紀初頭における環境政策というテーマを掲げております。まず、目指すべき持続可能な経済社会につきまして、できるだけわかりやすく記述いたしまして、持続可能な経済社会を構築するための政策の方向性を示すこととしております。
 政策の基本的な考え方として環境と経済と社会、この三者を統合的にとらえていくという統合的アプローチの考え方を採用しております。このような考え方に基づきまして環境効率性などの基本原則となる考え方や、あらゆる局面への環境配慮の織り込み、あらゆる政策手段の活用、あらゆる主体の参加、それから国際レベルから地域レベルまであらゆるレベルにおける取組などについて記述をいたしております。
 この中で現在の基本計画にございます四つの長期目標、循環、共生、参加、国際的取組、この四つを掲げておりますが、新しい環境基本計画でも同じくこれを堅持することにいたしております。ただ、その相互の関係をどう考えるかという問題がございましたが、特に循環と共生の位置づけ、相互の関係につきまして、昨年12月20日の部会長メモで問題提起をいただいております。この点につきまして何回か小委員会におきまして議論を行いました。その結果、小委員会としましては循環と共生は同等の目標とすべきであり、どちらが上位ということではないという議論でまとまりました。そこで、そういう形で整理をしております。この議論の概要につきましては別途、後ろの方に上がっております新環境基本計画長期目標に関するメモと題するペーパーがお手元に配られておりますのでご参照いただければと思います。
 それから、第3部の施策の具体的展開の部分につきましては、今回、先ほど申しましたように戦略的プログラムを設けたわけでございます。これらは11の検討チームに対応しておりますが、それぞれについてごく簡単に申し上げたいと思います。
 まず最初の主要な環境問題の六つの分野を挙げております。地球温暖化対策におきましては、京都議定書を受けた今後の温暖化対策の方向性を示しております。
 それから、環境への負荷の少ない交通に向けた取組のところでは、交通という観点から検討を行い、地方公共団体を中心とする総合的な取組の重要性などについて記述しております。
 その次の環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組というところでは、水の流れという観点に立ちまして検討を行い、ここでも地域レベルにおける計画の必要性を記述しております。
 それから、廃棄物リサイクル対策等でございますが、これにつきましては循環型社会形成推進基本法の成立を待って検討が始まりましたので、まだ検討中でございます。この案文にはその部分がまだ入っておりません。この検討状況につきましては、後ほどまた検討チームの平岡主査の方からのご説明がある予定でございます。
 それから、その次の化学物質対策でございますが、これにつきましては近年、重要性が増大してまいりました施策を整理し、この分野の施策の全体像を示すということを行っております。
 それから、生物多様性の保全のための取組でございますが、現行計画策定後の生物多様性を軸とした施策の再構成を受けて記述を行うとともに、エコシステムアプローチという原則的な考え方を取り入れております。
 次の三つは、いわゆる政策手法に係るものでございます。最初に環境教育等でございますが、これは昨年12月の中央環境審議会の答申を具体化した内容となっております。
 経済社会のグリーン化メカニズムの構築では、さまざまな施策・手法につきましてそれぞれ今後の展開について記述しております。
 環境投資の推進におきましては、そもそも環境投資という概念を導入したことに特徴がございますが、環境投資の方向性について公共・民間につきそれぞれ記述をしております。 さらに、地域レベルから国際レベルまでのあらゆるレベルからの取組ということで、まず地域づくりにおける取組というところでは、地域づくりにおける持続可能な経済社会の実現に向けた考え方やプロセスについて記述しております。
 国際的寄与・参加の推進につきましては、国際的取組を行う際の基本的な考え方を述べております。
 なお、中身の方は事務局からご説明していただきますが、議論がございましたので私の方から二、三の点を触れておきたいと思います。まず地球温暖化対策に関する部分でございます。総論部分の8ページをお開きいただきいたと思いますが、真ん中あたりに○がございましてすぐ下に「・」がございますが、「地球温暖化対策に関しては」と始まるところでございますが、「今後の国際交渉の進展も踏まえつつ、京都議定書の目標を遵守するために必要な国内制度の整備・構築を図る」。これと同じような表現が次の9ページの一番下の○の部分から10ページにかけてございます。それからもう一つ、各論の方の戦略プログラムの中の地球温暖化対策、29ページをお開きいただきますと、その下の方、ア・イというところでイの方ですが、そこでも同じような表現が記述されております。
 この記述に関してでございますが、今後の国際交渉の進展のみならず、現在、温暖化対策推進大綱に基づきまして行われている施策の評価も重要であることから、「現行の施策の評価を踏まえつつ」という表現を追加すべきであると。この部分に、「踏まえつつ」だけではなくて、現行施策の評価を踏まえつつという文言も追加すべきであるという意見がございました。
 それからもう一つ、国際的な枠組みづくりにおいて我が国がリーダーシップを発揮する一環として、率先して国内制度の構築を進めるのが適切であるという意味合いから、ここにございます「我が国は今後の国際交渉の進展も踏まえつつ」という表現は削除すべきではないかという意見もございました。そのほかいろいろ、これに関連して議論が行われたわけでございますが、議論をしました結果、小委員会としましては、COP6の結果を踏まえて必要があれば変更することあるべしという理解のもとに、現在お示しをしております記述案に一本化して部会に提案することで合意を見たわけでございます。したがって、ここにございますように「国際交渉の進展も踏まえつつ」というのは残すと。それから、「現行施策の評価を踏まえ」というのは特に追加しないという内容で落ち着いたわけでございます。
 それからもう1カ所、今のところのちょっと先でございますが、31ページ、温暖化対策の今後の重点的取組のところの二つ目の○の部分でございますが、全体に括弧が入っておりましてペンディングの符号がついております。ここの部分は上のところで「温暖化対策の政策パッケージを組んで実施していくべきだ」というのを受けまして、その政策パッケージを実施していくための基盤の整備をしなければならないということをここで述べておるわけでございます。
 それで、ここの[1]から[4]まで、[1]がその削減計画、それから計画の進捗のモニタリング、それからモニタリングを踏まえた必要な場合の対策の強化、それから最終的に目標を達成するための何らかのメカニズムと、この四つの要素を明らかにすべきだということになりまして、小委員会ではそういう四つを含んだ内容の案文を事務局に用意してほしいということをお願いしました。それで事務局の方で作業をしていただきまして、政府部内の調整もやっていただきまして、8月4日が過ぎましてこの企画部会の直前になってお手元のような案文が出てきたわけでございます。
 したがいまして、小委員会としてはこの部分のお願いはしたのですが、でき上がった案文につきまして審議はしておりませんでしたが、案文につきましては私に一任をいただきましたので、この案文をこの企画政策部会に提出させていただいたわけでございます。内容的にもCOP6のこの部分につきましても、先ほどと同じようにCOP6の結果を見た上で必要に応じて変更あるべしという含みのあるものであると考えております。そういう意味で全体としてペンディング扱いとしておりますが、できれば今日部会でいろいろこの点も含めてご議論をいただきまして、とりあえずの案文を固めていただければ幸いでございます。
 それから次は第3部の2のところでございますが、それはちょっとまだ文章にはなっておりませんで事項だけ挙がっておるのですが、一番最後のページでございます。環境保全施策の体系につきまして事項だけ上がっておりますが、この部分につきましてはいわば施策のメニューを網羅的に示す部分でございまして、これの前に戦略的プログラムが述べられているわけでございますので、戦略的プログラムの内容を見てから整理する必要もあるということで、今日の段階ではお示しすることができなかったわけでございます。これにつきましては、事務的に作業を今進めていただいておりますので、次回の部会には事務局の方から議論のたたき台を提出していただける予定に今のところなっているわけでございます。そういうことでこの部分がおくれますことをご了解いただきたいと思います。
 それから、63ページの一番下に第4部、計画の効果的実施という部分がございますが、これも現在のところ案文がまだできておりません。この新環境基本計画の実効性を確保する観点からは、この部分につきまして思い切って充実・強化を図ることが必要ではないかと考えられます。小委員会、あるいは以前の企画政策部会での議論でも多数の方からそういう意見が出されたと考えております。
 既にそういうことでいろいろ意見をいただいておりますのが、お手元に参考資料として先ほどの長期目標の一つ前に第4部に係る討議用メモというのを用意しておりますが、ここで現行計画における記述を四角で囲みまして、その部分にそれぞれ対応していろいろな意見があったということを示しておりますし、それから3ページ以降には参考としまして企画政策部会における議論がこの部分につきましてございましたのを整理してご紹介しております。小委員会における議論も一番後のページに載ってございます。
 そんなことで、そこにございますように各省庁への環境管理システムの導入とか、あるいは政策評価や点検を強化すべきではないかとか、あるいは指標や環境統計の充実を図るべきではないかとか、そういったいろいろな議論が行われてきたわけでございます。そこで、小委員会では文案を作成するにはいたりませんでしたが、今後部会において引き続きご議論をいただきまして、そのご議論も踏まえまして事務局からたたき台を次回以降に提出願えればと考えておる次第でございます。
 全体を完全な形でお示しすることができず申しわけなく思っておりますが、時間的な制約等々がございましてそういう結果になったわけございます。
 それからもう一つ最後に、新環境基本計画の冒頭に前文をつけるということになっておりまして、国民に対するメッセージ的なものを格調高くまとめてつけるべきだというご指摘が何人かの委員からございました。この部分につきましては全体的な取りまとめが終わった段階で検討し、まとめるのが適当ではないかということで、これも今回の中間取りまとめ案の中には入っておりませんので、いずれしかるべき時期、大分先になると思いますが、事務局から前文のたたき台を提示願いまして、部会でご議論をいただきまとめていただきたいと考えております。
 以上、概要説明でございました。より具体的な中身につきましては事務局から説明していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【森嶌部会長】 それでは案につきまして事務局から説明いただきます。

【環境計画課長】 それでは新環境基本計画の中間取りまとめ案につきまして、安原委員長の説明を補足させていただきたいと存じます。多少ちょっと長くなると思いますので座って失礼いたします。
 安原委員長の方からは全体の構成を中心にご説明ございましたので、私の方からは項目を追う形で記述内容を、初回でもございますので、やや詳しく説明いたしたいと存じます。
 それではまず第1部でございます。第1部につきましては2ページの中ほどから13ページに係る部分の記述、これを要約する形で記述を行っております。柱書きの部分で大体その後の事柄に尽きるわけでございますが、これを簡単にご説明申し上げますと、一番最初の○では我が国の環境の質、全体としてまだ良好とは言い難いということでございます。この状況が続きますと、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに、人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるという環境基本法第3条に掲げた理念、この実現が困難になるということを記述してございます。
 そこで、このような中にありまして20世紀末における環境問題の構造の変化をそこで記述いたしておりまして、4点ほどまとめてございます。これはまた後ほどちょっとご説明申し上げます。
 そして三つ目の○では、そういう環境問題の構造変化の背後に地球規模の広がりを見せて展開している人間の生産活動と消費活動があると。そういう人間活動をを質、量の両側面から見直し、持続可能なものにしていくことなしに今日の環境問題を解決することはできない。こういう基本認識を述べております。
 そして、その後ろの三つほどの○では、我が国内外の経済社会のの情勢の変化、それを簡単に記述をいたしております。
 2ページの方にまいりまして、国内外を通じて、こういう流れから読み取れるわけでございますが、成長を資源・エネルギーの大量使用に依存し、大量生産・大量消費・大量廃棄型の生産と消費のパターンを特徴とする20世紀型の文明を見直すことによるパラダイム・シフトの動きが生じつつあると。そういうこともひとつ認識してほしいと述べております。
 そこで、こういう環境問題の構造と環境をめぐる状況の変化に対応するためには、政策面においては経済、社会、環境の諸側面を視野に置き、可能なあらゆる分野において環境配慮が行われるようにするための総合的な環境政策への転換が必要であるということでございますが、そこにございますように、しかしながらこのような転換は端緒についたばかりであるということを述べております。
 一番最後の○では、21世紀を迎えるに当たって我が国の最重要課題が、持続可能な経済社会を構築していくことであるという認識を述べまして、本計画においては21世紀半ばを展望し、持続可能な経済社会構築のための環境面からの戦略を示すとともに、21世紀冒頭における環境政策の転換の基本的な指針と取組の枠組みを明らかにするものとすると。こういう計画の趣旨を述べております。
 以下の部分につきましては、この柱書きの記述を敷衍する形で記述いたしております。項目を追って若干の説明を加えますと、まず「1 環境問題の現状」におきましては、環境の状況と環境問題の構造変化、この二つに分けて記述をいたしております。
 まず(1)環境の状況につきましては、[1]地球環境の状況と[2]我が国の環境の状況に分けて記述しておりまして、地球環境の状況につきましては、そこのところの○を簡単に要約して申しますと、温室効果ガスの状況、オゾン層の状況、酸性雨の状況、森林の問題、土壌の問題、これらに触れております。また、我が国の環境の状況につきましては、大気環境、水環境、物質循環、化学物資、自然環境、こういう状況につきまして記述をいたしました後、環境上の負の遺産と言われるものがあるわけでございますが、その状況に触れて記述を終わっております。詳細につきましては、主としてデータに基づく記述でございますので省略をさせていただきたいと存じます。
 次に4ページの中ほどから始まっております(2)の環境問題の構造変化でございます。ここでは戦後、高度成長期までとそれ以降で環境政策の変化を促すような大きな構造変化が見られる。そして20世紀の最後の10年でそれがさらに顕著なものになっている、こういうようなことを最初に述べまして、二つ目の○以降で具体的に整理してございます。 二つ目の○では、現在の環境問題の多くが通常の事業活動や日常生活一般などの経済活動の起因しているということ。また不特定多数の者が原因者であるケースや、原因者が同時に被害者であるケースが一般化していること、これを述べております。
 それから三つ目の○におきましては、長期的なスケールで影響をもたらす恐れがあり、また発生メカニズムや影響の科学的解明が十分でない問題がふえている、こういうことを述べております。
 順次申しますと四つ目の○では、さまざまな生態系において種々の問題が生じているということ。次に五つ目の○では水循環の問題。六つ目の○では地球規模の問題の出現、こういうものを述べております。
 次に5ページからは、「2 経済社会の動向と環境」と題しまして、21世紀半ばを見通して施策展開を図っていく際に踏まえておかなければならない状況、これを明確にいたしますため、今後の経済社会の中長期的なトレンドを踏まえて、それが環境問題にどういう影響を与えるか、こういう観点から記述を行っております。
 順を追ってまいりますと、[1]国際的な動向の最初の○でございますが、世界人口の動向について記述をいたしております。以下、項目を追ってまいりますと、先進国に偏ったエネルギー消費、地球の容量の制約の中における持続可能な発展の考え方が重要になってきているということ、我が国の先進国としての責務、さらに世界経済のグローバル化を背景としました各国の政策協調の必要性、また我が国の国際的な環境政策の枠組みづくりへのイニシアティブの発揮、こういうものが記述をされているところでございます。
 一方、[2]国内的な動向につきましては、これもいろいろ記述がございますが、まず人口の見通しを述べまして、それの環境への影響、こういうものに触れております。以下、ライフスタイルや国民の意識の動向、それから人口移動や過疎過密によって引き起こされる環境問題の状況、情報通信技術の革新がもたらす環境面への影響、環境関連の技術の動向、産業構造の変化と産業のグリーン化、こういうものについてそれぞれ記述いたしております。
 部会でもIT関連の環境面への影響、これを特に特記せよという話もございましたので、この辺が若干詳しくなっております。
 次に7ページの下のところから始まっておりますが、「3 環境基本計画策定後における環境政策の展開」、ここにおきましては環境政策面の進展を概観いたしまして、環境政策の課題につなげていくという記述をとっております。この部分では、環境基本法の目指す環境政策の総合的展開がどのように確保されたか、また環境政策の政策手法がどの程度進展したか、この2点を見た上で個別環境分野における環境政策の展開の状況を見ると、こういう構成をとっております。
 まず(1)環境政策の総合的展開でございますが、この一つ目の○におきましては、前進は見られたものの評価をまず行うと、こういう記述を行っております。地球環境問題等、幾つかの項目について記述がございます。そしてまた二つ目の○におきましては、今後の課題となる点、これを記述をいたしております。それから三つ目の○におきましては、地方分権に伴い地域において環境政策の総合的展開のための基盤が整ってきたということを特に記述いたしております。内容につきましては、ちょっと細かくなりますので省略させていただきたいと存じます。
 9ページの(2)政策手法の展開、この部分におきましては政策手法が自主的取組手法、情報的手法、手続的手法、こういう分野を中心にしまして新たな手法の開発が進んだということ、これをまず記述いたしております。そして二つ目の○では、枠組み規制的手法や経済的手法の状況に触れますとともに、政策手法の適切な組み合わせが重要であるにもかかわらず、政策パッケージの形成についてなお十分な検討が行われていないというようなことについて記述を行っております。
 また同じく9ページの(3)個別環境分野における環境政策の展開におきましては、地球温暖化対策、大気環境、水環境、土壌環境、物質循環、化学物質、自然環境、これに分けましてそれぞれ記述を行っております。このうち、地球温暖化につきましては、先ほど委員長からの報告にございましたように温暖化対策の経緯を述べた上で、京都議定書の目標遵守のために必要な国内制度の整備・構築が必要であると、こういうことについて記述をいたしております。
 次に11ページのところから(4)参加というのが始まっております。この一つ目の○におきましては、参加の面における前進、これを主体別に記述いたしておりまして、特に事業者関係の進展、こういうものについてはかなり高い評価を行っているところでございます。ただ、二つ目の○におきましては、各主体の環境に対する意識や関心の高まりが環境保全に向けた行動に必ずしも結びついていないと、こういう状況について触れております。
 最後に12ページの(5)国際的取組につきましては、国際的取組について国際的な枠組みの形成、環境ODAの充実などについて記述をいたしておりまして、国際的なイニシアティブの発揮と、その前提としての国内対策の充実強化が必要である、こういうことについて強調いたしております。
 以上踏まえまして13ページに「4 21世紀初頭の環境政策の課題」という項目がございます。これにおきましては、最初の○で持続可能な経済社会の構築に向けて一定の前進が見られるものの、環境をめぐる状況は総じて環境行政の進展を上回る速度と広がりで困難さを増しており、このまま推移すれば持続的発展が可能な経済社会の構築に大きな障害となることが懸念される。こういう基本的な認識を述べまして、二つ目の○では21世紀初頭における環境政策の課題というものを挙げてございます。
 一つ目の「・」では、持続的発展が可能な経済社会の構築に向けたコンセンサスを形成し、関係主体の取組の基盤を強化し、取組全体の新たな段階への底上げを図る、これが必要であるということを述べております。
 二つ目の「・」におきましては、二行目あたりにございますが、経済社会の在り方やライフスタイルの転換など、環境問題の根源にさかのぼった対応を図るため、総合的視点に立ち環境政策の総合的展開を強化することというのが挙げられております。
 それから三つ目のところにおきましては、その環境政策の総合的展開を図るための具体的な方向性としまして経済社会活動のあらゆる場面における環境配慮の織り込み、あらゆる政策手段の活用、あらゆる主体の参加、地域レベルから国際レベルまであらゆるレベルにおける取組の推進を目指すこと、こういうものを挙げております。
 以下、長期的・大局的視点に立った政策展開、先見性豊かな予防的方策を含む政策展開、環境問題の構造変化に対応した政策手法の開発、それらの適切な組み合わせ、さらに科学技術の環境に寄与する側面の助長、我が国の行政をめぐる基本的潮流を踏まえた政策展開、こういう事柄について課題として挙げております。
 次に第2部でございますが、このような環境政策の課題を踏まえまして21世紀の初頭の環境政策のあり方について記述を行っております。
 14ページの「1 持続可能な経済社会を目指して」におきましては、まず一つ目の○では環境基本計画が環境基本法第3条から第5条の基本理念を具体化していくための戦略を明らかにするものであるということについて触れております。
 二つ目の○では、環境は無限のものではない、生物の存続の基盤であり、その活動の前提である。こういうことをまず述べまして、環境の健全性の維持が我々の責任であること、この責任を果たすために先見性を持って我々の活動に環境配慮を織り込み、持続可能な経済社会を構築し、人と環境の望ましい関係を築き上げることを目指すということを述べております。
 三つ目以下の○におきましては、持続可能な経済社会がどのようなものであるかということを述べておりますが、まず三つ目の○では、このような経済社会が国民に対し経済、社会、環境、このいずれの側面から見ても質の高い生活を保障する社会であり、これら三つの側面から経済社会の成長や生活の質を評価し、これら三つの側面を視野において環境政策の展開が図られる経済社会でなければならないということを述べております。
 続いて四つ目の○におきましては、そのような経済社会が満たすべき方向性を環境の側面に即して検討いたしておりまして、地球環境の制約を意識いたしました五つの方向性としてまとめているところでございます。そこの「・」でございますが、長期的再生産が可能な範囲で再生可能な資源が利用されること等々でございます。
 また五つ目の○におきましては、このような経済社会が資源・エネルギー効率性と環境効率性のいずれから見ても高い効率性が達成され、資源・エネルギーの大量消費に依存しない新しい段階に移行していく経済社会としてイメージされるということを述べておりますし、六つ目の○では循環型経済社会の考え方、七つ目の○では生態系との健全な関係が保たれる必要があること、さらに八つ目の○では環境に対する感受性が育ち、各主体が環境配慮をごく自然な形で行えるように経済社会システムや社会基盤が組み上げられた経済社会であること、さらによりよい地球環境の形成に向けてリーダーシップを発揮し得る経済社会であること、こういうことをそれぞれ述べております。
 このような持続可能な経済社会のイメージを示しました上で、15ページの四つ目の○におきましては、四つの長期的目標とその相互の関係というものを記述をいたしております。この点につきましては、先ほど委員長のご説明にございましたとおりで、循環と共生を一応対等なものとして位置づけた上で、これを達成していくための若干手段的な性格を持っております参加、国際的取組、これをそのような形で位置づけをしているということでございます。
 なお、この部分におきましては循環と共生、参加、国際的取組、それぞれ定義的なことが書かれておりますが、この辺につきましては先ほど話がございました委員長メモ、ここにございますように循環と共生の書きぶりについては若干の手直しが必要であろうと、こういう指摘があったわけでございますが、ここにおきましてはまず部会でのご審議もということもございまして、従来の書きぶりをそのまま踏襲をいたしているところでございます。
 次に、「2 持続可能な経済社会に向けた環境政策の展開」、16ページの上の方から始まるものでございますが、ここにおきましてはまず(1)の部分において基本的な考え方を提示いたしております。
 最初の○は、環境政策の基本としてまして、経済、社会、環境の各側面を統合的にとらえ、環境政策を展開していく「統合的アプローチ」これを環境政策の基本的な方法論として採用するということ、これを述べております。
 二つ目の○は、その一つの適用例でございますが、環境と経済の双方から見て望ましいアプローチがある場合には、これを優先的に採用しようではないかということが述べられております。
 三つ目の○は、生態系に関するエコシステムアプローチと言われる考え方でございますが、これを環境政策のもう一つの基本的な考え方として採用するということを述べております。
 その上で、四つ目の○以下におきましては、環境政策の指針となるべきものとして「汚染者負担の原則」「環境効率性」「予防的な方策」「環境リスク」、こういう四つの考え方を採用するということを述べております。それぞれ、そこに若干詳し目の記述がございます。
 さらに17ページの三つ目の○でございますが、ここにおきましては負の遺産の解消に取り組むということを述べております。負の遺産と申しますのは、そこにございますように土壌や地下水への有害物質の汚染、難分解性有害物質の処理等々でございまして、環境負荷が累積した結果、なかなか短時間で解決ができなくなっている問題でございます。この問題につきましては、現在世代の責務として、これまで蓄積された部分も含め、将来世代に環境影響を可能な限り残さないことを目標として、その処理を図っていこうということが述べられております。
 次に(2)あらゆる場面における環境配慮の織り込み、以下のところにおきましては、これは若干、ただいまの一番最初の基本的な考え方、これを敷衍する形で記述をいたしております。
 まず一つ目の○におきましては、持続可能な経済社会を構築していくために、国民の意識やライフスタイルが変わり、行動におのずから環境配慮が織り込まれていくことが必要であるということを述べておりますし、二つ目の○では、経済社会がそのような行動をとりやすいものに変わっていくということが必要であるということを述べた上で、三つ目の○で、国民の意識やライフスタイルの転換と経済社会のあり方の転換を同時並行的に進めることが必要である。さらに、国民の経済社会活動の前提となっている経済社会システムと国土の利用における環境配慮のあり方の重要性、これに着目して、それらのあり方を決定する際の意思決定過程に自律的に環境配慮を織り込むためのメカニズムを導入していくこと、これを目指すということを述べております。その上でやや具体的に、国民のライフスタイルの転換の方向性、経済社会システムの構築及び国土利用への環境配慮の織り込みの方向性、こういうものについて記述を行っております。
 次に18ページの(3)あらゆる政策手段の活用でございますが、ここの最初の○と次の○におきましては、あらゆる政策手段の活用とポリシー・ミックスによる相乗効果の発揮による環境政策の効果的実施と、政策の展開に当たっての自主的な環境保全のための行動の促進、環境コストの内部化、意思決定過程等への環境配慮のシステム的な組み込みに特に留意するというようなことを述べております。
 以下、具体的な事柄について一定の方向性を示しておりまして、[1]経済社会のグリーン化メカニズム、20ページ[2]環境のための投資、それから21ページの[3]環境教育・環境学習、それから22ページの[4]科学技術、この四つの方法を主要な政策手段として位置づけまして、それぞれその進展を図っていくということでその方向性を示しているところてございます。これらの記述につきましては、関係する検討チームの報告書を踏まえておりますので、既に報告があったところでもございますので、ここは省略をさせていただきたいと存じます。
 次に23ページでございますが、(4)あらゆる主体の参加という項目がございます。ここにおきましては従来各論部分、前の計画で申しますと、第3部第3章に公平な役割分担の下での全ての主体の参加の実現、こういう項目があったわけでございますが、この項目につきましてはむしろ総論的な部分に記述した方がいいであろうということで記述をここに移しまして、現行計画策定後の進展を踏まえた整理を行って記述をいたしております。内容につきましては、若干それぞれ進展を踏まえた形で記述をいたしておりますので変わっておりますが、大きな方向性としては前回の計画の内容を踏襲いたしております。
 次に25ページの(5)地域レベルから国際レベルまであらゆるレベルにおける取組、この部分でございますか、地球規模の環境問題の顕在化に伴いまして国際的な取組が必要であるが、四つ目の○にございますが、地球規模の環境問題もその原因は地域の人間活動に還元されていくという認識を持っておりまして、最後の○におきましては、国際レベルから地域レベルまであらゆるレベルを視野におさめ、問題の解決に適したレベルでの取組を中心に、それぞれのレベルにおける取組を有機的に連携させつつ展開を図ることとし、特にアジア地域に共通する環境問題について共通の理解と密接なパートナーシップに基づく各国国内の地域間連携を含む重層的な環境政策の枠組みの構築に特に留意するというようなことについて述べられております。
 第2部の「3 重点分野」でございますが、ここは第2部と第3部をつなげるジョイント部分でございまして、計画期間中において重点的に実施を図るべき11の重点分野、これはそれぞれ検討チームでご検討いただいたものでございますが、その項目を11の重点分野として挙げております。
 次に第3部でございますが、第3部に係る部分につきましては、第3部の前半部分におきまして今後5年から10年程度の間に重点的に取り組むべき11の戦略的プログラム、これを記載をいたしております。
 なお、廃棄物リサイクル対策につきましては、後ほど平岡先生の方から検討チームの進捗状況についてご報告がございますように、現在8月29日の部会の報告に向けまして検討中でございまして、この案には含まれておりません。
 それから3部の後半の、環境保全施策の網羅的、体系的な記述の部分、これにつきましては先ほど委員長からお話がありましたとおり、これも29日の部会を目指して作業をさせていただくと、こういうことで今やっている最中でございます。63ページに目次のみを掲げたところでございます。
 それでは28ページの「第1節 地球温暖化対策」から順次ご説明を申し上げたいと存じます。なお、これらにつきましてはそれぞれがおおむね当該問題や課題を明らかにした現状と課題を述べた部分、これを踏まえて持続可能な経済社会に向けた政策展開の基本的な方向を記述した部分、そしてそのために重点的な取組を行うべき事項を記述した部分、これらから構成されているところでございます。既に検討チームの報告がございましたもの、これを整理したわけでございまして、重点的な取組事項あたりを中心としまして概略的な説明を行わせていただきたいと存じます。
 それでは「第1節 地球温暖化対策」でございますが、現状と課題のところはちょっと飛ばしていただきまして、まず目標のところからでございますが、29ページの2でございます。ここでは目標としまして一応3段階に分けてございまして、究極の目標としましては、枠組み条約が目的に掲げております気候系に対する危険な人為的影響を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定させるということ、これを挙げております。
 それから中期的には、京都議定書の第一約束期間における6%削減を達成した後、さらなる長期的・継続的な排出削減に導きまして、温室効果ガスの排出削減が組み込まれた社会の構築を目指す、こういうことが述べられております。
 それから三つ目に、とりあえずの短期的な目標としまして京都議定書における目標、これは第一約束期間において基準年に比して6%の温室効果ガス削減を達成すると、これを目標として挙げております。
 その上で施策展開の基本的な方向としましては、まず地球温暖化対策の目指すべき方向として京都議定書の目標の達成、ここでまずアとしまして、6%削減目標については当面、地球温暖化推進大綱に位置づけられた対策により達成していくこととすることが挙げられております。
 イとしまして、先ほど委員長の説明にございましたような事柄、今後の国際交渉の進展も踏まえつつ京都議定書の目標を遵守するために必要な国内制度の整備・構築を図る、こういうことが挙げられております。
 それからウとしまして、先進国の約束といたしまして2005年までに京都議定書の削減目標達成に当たって明らかな進捗を実現していなければならないと規定されている事柄、これがございますので国内対策の着実な進展に向けて準備を進めるということが挙げられております。
 それから先ほどの中期的目標、それから長期的・継続的な排出削減の方向に向けまして、アとしましては温室効果ガスの排出削減が組み込まれた社会を構築するということ。イとしまして、附属書I国の次の期間における約束に関する検討を開始するとともに、国際的な議論にも積極的に参画するということ。これが挙げられております。
 それから(2)としまして京都議定書の目標を遵守するための国内制度の整備・構築に当たって指針となる事項として幾つか挙げられておりますが、一つは目標の確実な遵守と持続可能な経済社会づくりの促進でございまして、二つ目は国内対策の着実な推進と全地球的な削減の貢献でございます。三つ目には、ポリシーミックスの活用とすべての主体の参画がございますが、ここでは規制的手法から始まるあらゆる政策措置の特徴を生かして有機的に組み合わせる、ポリシーミックスでございますが、これを活用するとともに温室効果ガスの発生源は多種多様であることから幅広い排出抑制効果を確保するために、技術開発・排出抑制・対策導入を誘導し、多くの経済主体が対策に参加できるよう経済的措置を活用したインセンティブに付与型施策について検討すると。その場合に経済的負担を課す措置についての条件的な事柄を若干書いてあるということでございます。
 それから4の今後の重点的取組としましては、一つ目には今後の国際交渉の進展も踏まえつつ、京都議定書の目標を遵守するために必要な国内制度の整備・構築を図るということでございまして、具体的にはということであらゆる政策措置を適切に組み合わせたポリシーミックスによる政策パッケージを形成する。同時に、こうした政策パッケージを適切に実施していくための基盤の整備に向け準備を進めるということでございます。
 それから二つ目の○は、先ほど委員長からご説明があったとおりでございますが、四つほどの事柄を政策パッケージを適切に実施していくための基盤の要素として例示をいたしております。そして、こういう基盤となる仕組みの検討に当たっては京都議定書の目標を確実に達成できる仕組みとすることは当然であるが、日本が京都議定書に基づき負う義務に照らして経済的、社会的に過度のコストをもたらさず、自由主義経済の原則を尊重しつつ合理的に行われるよう十分配慮を行うとともに、経済状況に応じた臨機応変な対応が可能となるよう柔軟性を持たせることが必要であるということでございまして、この部分は全体的にペンディングの形になっております。
 そして、このような取組を通じて地球温暖化対策を積極的に推進するんだということが最後に述べられております。
 次に32ページ、第2節の交通の関係でございます。交通の現状と環境問題のところは飛ばしていただきまして、施策の基本的方向としまして(1)の項目の中ほどにございますが、環境負荷の少ない交通を実現するためには燃料対策を含む単体対策の一層の強化や交通量の円滑化に加え、自動車交通需要を低減する対策を総合的に推進する必要があるということが述べられております。そして、都市政策において環境保全を主目的の一つとして位置づけること、そして自動車への過度な依存を低減するような事業活動、ライフスタイルへの変革に取り組む必要があるということ、こういう事柄について触れられております。
 そして、対策別の方向性としては環境負荷の少ない自動車の一層の普及から始まりまして、事業活動、ライフスタイルへの変革、交通による環境負荷の少ない都市交通システムの整備、経済的措置の活用、この4点について触れられております。最後の点につきましては、汚染者負担の原則を踏まえた経済的措置の活用ということがうたわれております。
 目標といたしましては、温室効果ガスは京都議定書の目標を掲げておりますし、自動車から排出される窒素酸化物や粒子状物質等の関係では単体対策の強化、自動車交通需要の調整・低減も含めた総合的な対策を講ずること、こういうことが挙げられております。
 そして、重点的な取組事項としましては、これは主体別に記述しておりますが、まず国としましては社会全体として環境への負荷の少ない交通が確保されるよう必要な枠組みを構築するという枠組み構築の役割をまず挙げておりまして、そして全国的観点及び都道府県域を超える大都市圏の観点から取り組むべき規制等の対策を実施すると。このことも国の取組の重要な項目として挙げております。
 34ページにまいりまして、地方公共団体の取組でございますが、ここでは地域の交通環境に関する総合的な計画の策定、実施ということに触れております。計画の中身としましては、地域において環境基準等の目的を達成するために目標削減総量を設定すると、規制措置等の各種制度を設定する、社会資本整備等の基盤づくり等のさまざまな施策の体系を適切に組み合わせていくと、このような事柄が挙げられております。以下、事業者の取組、市民、NGOの取組と各主体の取組が挙げられております。
 35ページにまいりまして、環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組でございます。ここでは現状と課題としまして、我が国において戦後特にさまざまな問題が生じてきていると。その項目の最後にございますが、こういう中にあって水循環の全体を通じて人間社会の営みと環境の保全に果たす水の機能が適切なバランスの下にともに確保され、自然の水循環の恩恵を享受し、継承し得るような政策の枠組みを構築し、環境保全上健全な水循環の確保という視点に立った政策展開を図ることが重要な課題であるということが挙げられております。
 そして、政策展開の基本的な方向といたしまして、まず(1)でございますが、これは全体的な方向性について触れております。四つ目の段落にございますが、従来からの取組はいわば場の視点でとらえた取組でございまして、これは今後とも各般の取組を進める必要があるだろうということでございますが、今回特に強調しておりますのは36ページの方にまいりまして、しかしながらのところにございますが、水循環の変化により水環境や地盤環境に種々の障害が発生してきている状況になっている。今後は流れの視点からの対策もあわせて講じることが求められる、ということが述べられております。
 そこで、本計画期間中の水・地盤環境に関する環境政策においては、人間社会の営みと環境の保全に果たす水の機能が適切なバランスの下にともに確保され、自然の水循環の恩恵を享受し、継承し得るような政策の枠組みを構築することを重点事項として位置づけつつ、環境保全上の健全な水循環の確保の視点に立った施策の展開を図るということが述べられております。
 その上で(2)では対象地域別に施策の方向性を示してございます。例えば山間部におきましては森林の水源涵養機能を維持・向上するため、森林の公益的な機能を評価し、その保全、育成や適切な管理を図るというような事柄でございます。それがそれぞれの農村部、都市郊外部、都市部、その他流域全体、これに分けて記述がございます。
 それから37ページの方にまいりまして、目標としましてはこれは地域にむしろ目標をおろしていくべきだという考えですが、流域ごとに現在及び将来の社会経済状況、技術レベル等々、これを考慮しながら災害や健康リスクを最小限にしつつ、自然の水循環の持つ恩恵を最大限享受できるような新しい水循環の形を流域単位で構築していくことを目指すということにしております。この場合に参考にすべきは、高度経済成長始動時の昭和30年ごろの水循環が持っていた恩恵であるということも述べられております。その上で各流域において水収支の変化を可能な限り定量的に把握した上で関係主体の意見を集約し、それぞれの流域の状況に応じた目標を設定するということも述べられております。すなわち、目標の設定を地域におろしていこうという考えでございます。
 そこで4番目に重点的取組事項としまして、環境保全上健全な水循環の構築に向けた計画の策定ということでございまして、これは流域の都道府県あるいは国の出先機関等の所轄行政機関、これが流域を単位としてつくっていくということでございます。この計画に盛り込まれるべき事項につきましては、そこの二つ目の段落、現状の水循環の診断等々そこに挙げられております。それから、こういう計画をつくるに当たりましては、流域協議会のような地域の意見集約を図っていくような仕組み、これをつくる会議を検討する必要があると、こういうことについても触れられております。
 [2]では、特にこういうことをやっていく上での国の取組でございまして、さまざまな技術的な事柄を含めまして支援を行っていかなければいけないと、こういうことを具体的に記述をいたしております。
 次に38ページは、廃棄物リサイクル対策等でございまして、これは現在作業中でございます。
 39ページにまいりまして、化学物質対策でございます。ここでは基本的な認識として現状と課題のところの最初の段落の3行目にございますが、極めて多くの化学物質に人や生態系が複合的に長期間暴露されるという、これまでの長い歴史に例を見ない状況が生じているということでございまして、その次の段落の最後の方にございますが、化学物質による環境リスクを科学的に正しく可能な限り定量的に評価し、持続可能な社会とするために許容し得ない環境リスクを回避する必要があるということが述べられております。
 そこで、化学物質を巡る環境問題の主な課題としまして、そこにございます[1]から次のページの[7]まで、この分野はまず課題の把握から始まるということが大事な状況でございまして、かなり詳細に記述が行われているところでございます。
 その上で施策展開の基本的な方向としまして、予防的方策を広く適用すべきという原則を踏まえつつ、特に以下に示す事項を施策展開の基本的方向として取り組む必要があるということで[1]のところから、次のページの[3]までが方向づけがされております。
 一つは化学物質対策に資する研究や技術開発の一層の推進、科学的知見の集積ということでございまして、この科学的知見に基づいて環境リスクの定量的評価を推進するということでございます。
 二つ目のところにおきましては、環境リスク等に関する必要な情報を提供し、国民等の理解の増進を図る。化学物質に関する情報の共有を進める。これを踏まえて関係者間の合意形成を推進すると。いわゆるリスクコミュニケーションの問題につきまして、ここら辺で触れております。
 [3]ではPOPs対策等、国際的な協調の下で地球規模での化学物質対策を推進する、こいうことが挙げられております。
 そして、重点的取組事項につきましては、[1]で基礎的データの整備及び人材の育成、[2]で環境リスクの評価等の推進、[3]で多様な手法による環境リスクの管理の推進、[4]としまして化学物質関連情報の適正な提供による国民等の理解の増進と合意形成、[5]ではダイオキシン類等の排出削減対策、PCBの処理及び化学物質による汚染土壌対策等の推進、[6]で国際協調・協力の推進、これらにつきまして少し詳し目に政策の方向性が示されております。
 次に43ページにまいりまして、生物多様性の保全でございます。問題の現状のところで基本的な認識が示されておりまして、まず最初の段落のところにございますが、生物の長い歴史の所産としての多様性は、それ自体として尊重すべき価値を持っているということが述べられております。そして二つ目の段落で、多様な生態系はさまざまな恵みを人間にもたらせるとともに、すべての生物が生存できる基盤となっているということが述べられております。そして、こういうものの事柄を踏まえまして三つ目の段落におきましては、生物多様性を将来にわたって損なうことのないよう持続的に利用し、継承していかなければならない。そのためには人間が生態系の一員であることを自覚して、生態系の健全性が損なわれることのないことを基本にさまざまな活動を行うべきとの認識に立たなければならないということが述べられております。
 そして2の、生物多様性の保全に係る課題のところでございますが、ここでは生物多様性の減少要因への対応等につきまして課題が述べられております。
 そして3の、重点的取組事項と目標のところでございますが、基本的な方向のところで、先ほど委員長の方からもございましたように、生物多様性条約締約国会議で合意されたエコシステムアプローチの原則というものを使っていこうということが述べられております。
 その中身につきましては、その項目の中ほどにございますが、具体的には以下のところでエコシステムアプローチの内容につきましての説明が行われております。そして以下、生息地の減少、分断、劣化の防止、生物多様性保全の条件整備、移入種問題、生物多様性情報の整備、こういう事柄について整備が行われております。
 生息地の減少、分断、劣化による生物多様性の減少に関しては、生物多様性保全上重要な地域の特定と、その保護地域化、この取組を進めていくんだと。さらに、保護地域間の連携化の検討を進め積極的に推進するということが述べられております。
 それから、生物多様性保全の条件整備としまして、さまざまな主体の関与が必要であるということで、その生態系がもたらすさまざまな価値を損なうことのなく管理・利用することによって初めてこういう事柄が達成されると。そこで、エコシステムアプローチの原則というものを実際の自然資源の管理・利用の上でどのように具体化していくか、こういう検討を行うんだということが書かれております。
 次に46ページの、環境教育・環境学習でございますが、まず現状と課題の一番最初のところに環境教育・環境学習の意味合い、これが書かれております。それから三つ目の段落でございますが、環境教育・環境学習が個別政策分野においても政策推進のための有効な政策手法となるんだと、そういう事柄について触れられております。それから、すぐその下の「また」で始まる段落でございますが、環境教育・環境学習の対象というものは広く国民全体とすることが重要であると。多々限られた資源を戦略的に分配するという視点に立つと、対象を絞って教育・学習を推進するということも必要だということが述べられております。
 こういう認識を下に、2の政策展開の基本的方向としましては、(1)環境教育・環境学習の範囲の拡大、これにつきましては持続可能な社会の実現のための教育学習という幅広い文脈で実施するんだということが言われております。
 (2)の、多面的な学習による問題解決能力の育成、ここにおきましては、最後のところの行にございますが、体験を通じて自ら考え、調べ、学び、行動するというプロセス重視型の学習の推進、これが必要だということが述べられております。
 それから(3)の、環境教育・環境学習における考え方の転換、ここでは最初の段落の最後にございますが、活動主体が自発的に環境に配慮した行動を行うことを中心に構成し直すということが触れられております。
 (4)の、環境教育・環境学習を行う対象では、広く国民全体を対象として実施するわけでございますが、特に経済社会の中において他の主体の行動に影響を及ぼし得る者、あるいは次世代を担う年齢層については重点的に実施するということが述べられております。 それから(5)環境教育・環境学習の施策の位置づけにつきましては、環境教育・環境学習をすべての個別分野において政策手法として位置づけていくということが述べられております。
 それから、重点的取組事項としましては、人材の育成から始まりまして、プログラムの整備、情報の提供、環境教育・環境学習の場や機会の拡大、各主体の連携、民間事業者等と環境教育、国際協力、七つの項目に分けましてそれぞれ記述が行われおります。
 次に49ページ、経済社会のグリーン化メカニズムの推進でございますが、ここにおきましては最初の現状と課題におきまして、エンド・オブ・パイプ型の対策、これでは不十分だと。経済社会システムそのものを持続可能なものに見直す環境と経済の統合的アプローチに立脚したものに政策手法も転換していかなければいけないと。同時に政策のベスト・ミックスという考え方が必要だと、こういうような事柄について述べられております。 その上で、施策展開の基本的な方向としまして、環境問題の構造変化に対応し、経済社会のグリーン化を進めていくために環境利用のコストを市場メカニズムの中に適切に織り込む点に留意して、環境政策の新たな手法の開発と普及を行っていくことが必要だというような事柄について述べられております。
 そして、重点的取組事項としましては、それぞれの手法のタイプごとにそれぞれ具体的な事柄が書かれております。例えば、直接規制的手法でございますと、直接規制的手法を用いることの適否を判断するためのチェックシートのあり方、あるいは規制効果分析を行うための考え方、こういうものについて検討していくと。さらに、できるだけ枠組規制的手法に移行していく、あるいは直接規制的手法と他の政策手法との組み合わせのあり方について検討するというようなことが書かれております。
 経済的手法のあり方につきましては、またそれぞれの分野で具体的なことが書かれるわけでございますが、当面ここでは経済的手法の環境政策上の活用のあり方について幅広く検討を進めていくということが書かれております。
 それから[3]の、自主的取組手法の活用のための方策の検討、ここにおきましては環境政策上、実質的取組というものを適切に位置づけていこうと、そして積極的な活用を図っていこうと。そのために政策手法と言うにふさわしいものにしていくために、例えば努力目標の公表を行う、あるいは第三者の関与の確保のあり方、他の手法との組み合わせのあり方、こういう事柄について検討しようということが書かれております。
 [4]の情報的手法の開発と普及のところにおきましては、環境報告書、環境ラベリング等々、それぞれの項目につきまして特に推進を図る必要がある事柄、これが整理されております。
 同じく、[5]の手続的手法の開発と普及、ここにおきましては環境マネジメントシステム、環境適合設計、戦略的環境アセスメント、環境アセスメント、それぞれ書かれておりまして、それぞれの項目について同様に推進を図るべき事柄、これが整理されております。
 それから[6]では、政策パッケージの検討ということで、政策パッケージのうち、特に遅れている分野、これについて進める必要がある事柄を書いてございます。
 次に、第9節、環境投資の推進でございますが、現状と課題のところでございますが、我が国の社会資本、これは戦後50年を経て相当の進捗が見られる。投資全体に対するメンテナンスの比重が高まっている。高度成長期に大量に整備された社会資本が更新期を迎えようとしている。こういう実体面の記述がございまして、長期的な見通しとしまして、「一方」以下でございますが、財政の対応力が相当長期間にわたって低下せざるを得ないと。社会資本整備についても限られた財源の一層の重点的、効率的配分が求められる。それから、国民の価値観の多様化に応じた社会資本整備が必要だということ、そういうことが書かれておりまして、我が国が持続可能な経済社会を構築していくためには、このような社会資本をめぐる情勢を踏まえて、負の遺産の解消や環境の復元というものを含めまして、社会資本整備における環境の保全のための、あるいは環境保全に資する投資の推進を図るとともに、投資全体に環境配慮をシステム的に折り込んでいく努力を行う必要がある、こういうことについて触れられております。
 2の施策展開の基本的方向におきましては、そういう必要性に基づきまして、53ページの一番頭のところでございますが、あらゆる投資に環境配慮を折り込んでいくとともに、それを先導する役割を担うものとして特に次のような分野における環境投資を社会資本投資の重点分野の一つとして推進を図るということで、四つほど推進しなければいけない環境投資、これをタイプ分けをいたしております。
 その上で、公共部門、民間部門、環境研究・環境技術の開発、それぞれについて大まかな方向性、これをそこで記述をいたしております。
 54ページの、重点的取組事項につきましては、公共部門、それから民間部門、それから共通的な部分、こういう部分に三つに分けましてそれぞれの分野において何をやったらいいかということをそこで書いてございます。
 公共部門におきましては、環境保全経費の改善、あらゆる公共投資への環境配慮の織り込み、民間の資金やノウハウの活用に際しての環境配慮の織り込み、この三つを挙げております。
 また、民間部門における環境投資の促進としましては、環境投資の将来の方向性を国全体として示していこうということ、それから環境コストいうものを市場に織り込んでいこうということ、それから環境投資の促進のための環境整備を図るということで企業における環境経営を促進する、あるいは環境投資の促進と一体になって必要な社会資本の整備を行う。さらにグリーン購入等の需要面からの環境投資の促進を行う。さらに環境投資のための資金調達の円滑化、環境投資のための支援の枠組みをつくると、こういう事柄についてふれております。
 また共通分野におきましては、環境研究・環境技術開発、そして環境に関する情報基盤の整備、地域に置ける連携、この三つの事柄を環境整備の共通的な事項として掲げております。
 57ページにまいりまして、地域づくりにおける取組の推進ということでございます。まず、現状と課題のところにございますが、今日の環境問題の解決を図るための取組において地域の果たす役割が非常に大きいということを最初に述べまして、環境基本計画の長期的目標である循環と共生の考え方を地域づくりに反映し、循環と共生を基調とした地域づくりを目指し、各般の施策を統合的視点から展開していくことにより地域レベルから持続可能な経済社会を構築していくことが必要であるということを述べまして、そこの最後の「しかしながら」のところでございますが、環境配慮を適切に進めるために必要な関係者の共通の指針となる考え方の整備、情報の共有化、広域的な連携の仕組み等についてはなお十分とは言えないという認識を示しております。
 このような認識に基づきまして、施策展開の基本的な方向におきましては、地域づくりに関係する各主体が環境から見た持続可能性を目指す視点を共有し、地域づくりに関するそれぞれの施策を推進することにより、地域づくりのあらゆる場面において環境配慮の織り込みを進めることを基本とするということが述べられております。
 そこで、地域づくりにおける環境配慮の推進に当たりましては、地域における取組が可能な限り国レベルにおける持続可能な経済社会への転換を目指す取組の方向性に沿ったものと配慮すると。同時に、幾つかの点に留意しなければいけないということでございまして、生態系の持つ多様な機能の維持、増進、以下全部で6点ほどについて触れられております。
 (2)では、各主体の役割、これを整理いたしております。
 そして、重点的取組事項におきましては、地域づくりにおける環境配慮のガイドライン等の提示ということで、地域づくりにどうやって環境配慮を織り込んでいったらいいのだろうかと。あるいは地域が環境から見て持続可能な方向を目指しているかどうか、こういことをどうやって判断したらいいのかと、そういう点を含みますガイドラインを示すということが挙げられております。
 そのほか、59ページにございますが、地方公共団体等においてはこういうものを踏まえて地域づくり環境配慮指針のような形で関係者の取組の基礎とすると、こういうことが期待されるということが述べられております。
 それから[2]の環境情報の共有化におきましては、地方公共団体が地域の環境情報の結節点としての役割を果たす。環境情報の共有化を図っていくプラットホームになっていくと、こういうことが期待されるということが述べられております。そして、国においては必要な支援を行うと。一番最後の行にございますが、地域の環境から見た持続可能性を評価し得る地域環境指標の開発・整備、これを行うと、こういうような事柄について触れられております。
 [3]は推進メカニズムの構築ということで、これらを推進していくための仕組みづくりをしていこうということが書かれております。
 最後には、地域の社会資本整備における環境配慮の推進ということで、戦略的環境アセスメント的なことを含めまして、地域の社会資本整備に環境配慮をいかに織り込んでいくか、こういう事柄について触れられております。
 60ページ以下は、最後の項目でございますが、国際的寄与・参加の推進でございます。現状と課題のところはちょっと飛ばしていただきまして、61ページの施策展開の基本的な方向でございます。ここにおきましては、我が国の大規模な経済活動が地球環境に大きな負荷を与えてきていると、こういうとにかんがみまして我が国の有する環境面の卓越した技術・経験等を活用し、国際社会において環境面からの積極的な寄与・参加を行うことが我が国の国際社会に対する重要な責務であるという認識がまず述べられております。我が国は他国の範となるべく自ら率先して経済社会持続可能なものへと転換するための国内対策を一層充実・強化していくことが重要であると。
 そういう認識のもとに、国際社会での持続可能な開発のための取組にイニシアティブを発揮することを目指して体制の充実強化を図る。あるいは国際的な枠組みづくりや世論形成、開発途上国における持続可能な開発のための取組に対する支援等々、積極的に取り組んでいくことによって国際協力における知的貢献とそのための戦略づくりを強化していくということ。
 さらに、アジア・太平洋地域については、地域の環境管理は同じ地域に属する国々が共働推進すべきとの考え方の下に密接な連携を図るということで、我が国の国際的な環境政策の方向としてアジア・太平洋地域を重視していこうという考え方が述べられております。
 その上で、重点的取組事項としまして、国際協力おける知的貢献とそのための戦略づくりの強化ということで、一つは21世紀初頭の世界的政策課題の設定、先進国・途上国双方にわたる国際的な世論形成、これにイニシアティブを発揮していこうということでございます。
 二つ目は、経済のグローバル化を踏まえた持続可能な開発支援の強化ということで、開発途上国に対するあらゆる協力分野に関して持続可能な開発のための支援のあり方を調査、検討する。あるいは、政府開発援助の環境配慮に当たっては戦略的アセスメントの考え方に基づいて、開発計画が開発と環境保全の両立を図る持続可能な内容となるよう支援すると。あるいは環境保全に関するODA、これをちゃんとやられているかどうか、そういうことを事前・中間・事後の一貫した評価を適切に行う。環境改善効果を含めた評価のための客観的な手法を開発する。こういう事柄について触れられております。
 以下、知的貢献の基盤づくりとしての地球環境の調査研究・モニタリングの戦略性の強化。
 (2)の項目として、アジア・太平洋の総合的モニタリング・アセスメント、これはアジアに対する政策展開の方向性でございます。
 最後に(3)として国内体制の整備、こういう事柄について整備がされております。
 最後に第4部の計画の効果的実施に係る部分でございますが、これは委員長のご報告にもございましたように、第1部から第3部まででき上がりを踏まえまして整理する必要がございますことから、部会でのご論議もいただきました上で整理をいたしたいと考えております。
 そこで、本日は「新環境基本計画第4部(計画の効果的実施)に係る討議用メモ」、こういう形で現行計画第4部の記述に対比する形でこれまでの部会、小委員会でご議論がありました点、これを課題的に抽出して整理いたしたものを提出しておる次第でございます。 中間取りまとめ案に関する説明は、長くなりましたが、以上でございます。よろしくお願いいたします。

【森嶌部会長】 それでは、先ほど委員長からも、また事務局からもご説明がありましたが、廃棄物リサイクル対策につきましては循環型社会形成推進基本法の国会での審議等もございましてスタートがおくれましたために現在作業中でございますが、その点につきまして検討チーム主査の平岡先生からご報告をいただきたいと思います。

【平岡委員】 それでは、廃棄物対策等物質循環の在り方検討チームの主査を仰せつかっております平岡でございます。
 お手元に、一番後ろの方に置いてちょっと見にくいかと思いますが、廃棄物対策等物質循環の在り方検討チームにおける検討状況という1枚の紙にまとめておりますので、これをごらんいただきたいと存じます。これに基づきましてご報告を申し上げます。
 最初は、検討チームにおきます検討経緯でございますが、これまで3回の会合を開催し、検討を重ねてきております。森嶌部会長からおっしゃっていただきましたように国会での循環型社会形成推進基本法等廃棄物処理リサイクルに関する改正、新しい法律の検討の終了を待ちまして6月14日にやっと第1回の会合を開催することができました。
 それで、この第1回の会合では、国会で成立いたしました各種の法律、また改正されました法律に関しまして、関係省庁よりヒアリングをさせていただきまして、今後の検討の進め方について議論をさせていただきました。
 7月7日に第2回の会合で議論のたたき台について検討を進めさせていただきまして、8月4日の第3回の会合で報告書の案につきまして議論をすることができました。
 委員の方々の意見はおおむね集約されましたので、報告案については座長預かりという形で現在細かな調整を進めているところでございます。8月29日のこの企画政策部会には最終報告をさせていだきます。
 2番目には、この検討チームの報告書の案の主要な項目についてご報告を申し上げます1は、物質循環を巡る問題の現状ということで、循環のとらえ方、自然の物質循環と経済社会システムにおける物質循環及びその相互関係について述べております。さらに、これらの物質循環が確保されていないことに起因する環境問題について議論をしておりまして、特に経済社会活動における物質循環の問題点について明らかにしております。
 2番目が、廃棄物・リサイクル問題と取組の状況ということで、廃棄物・リサイクルを巡る問題を記述しております。循環型社会形成推進基本法、国会で新しく成立しましたこの法律に基づきます廃棄物・リサイクル対策の総合化への取組。それから基本法と一体的に整備されました個別の法制度によります取組をまとめております。
 3番目が、循環社会形成に向けた今後の方向といたしまして、自然の物質循環と経済社会の物質循環との相互関連を踏まえました施策の展開。循環型社会形成推進基本計画で具体化されるべき施策の基本的方向。循環型社会形成推進基本計画による各種施策の有機的実施の必要性等について明らかにしていく予定であります。
 先ほど申しましたようにスタートがおくれましたために非常に報告書がおくれましたけれども、29日の部会には最終報告をいたします。

【森嶌部会長】 それでは、ここで10分ほど休憩をとりまして、この後、ご質疑、ご議論をいただきたいと思います。
 それでは、45分から再開をいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

 休憩(午後3時34分)

 再開(午後3時45分)

【森嶌部会長】 それでは、再開させていただきます。
 冒頭にも申しましたけれども、このいわゆるたたき台につきましては今日も含めて3回、あと2回ご議論をいただきまして、その後、国民からの意見を伺うと。さらに、ブロック別のヒアリングなども行いましたその後に最終的な案に向けてご議論をいただくということになりますので、いわば今日を含めまして3回は中間取りまとめの取りまとめ方についてご議論いただくわけであります。
 したがいまして、細かい語句等につきまして議論をしてはいけないというふうには申しませんけれども、ここではむしろ内容的なことについてご議論をいただいて、少なくとも国民の意見を伺うときには基本的な内容等について大方の企画政策部会としての方向性が示されるということが重要ではないかというふうに思いますので、ぜひ内容的なことについてお気づきの点がございましたらご指摘をいただきたいと思います。
 なお、かなりの長文でもあり、残念ながらそう読みやすい文章ではございませんので、いろいろとご質問もおありかと思いますので、質問も含めましてどなたか、どの部分からでも結構ですので自由にご発言いただきたいと思います。

【天野委員】 大変わかりにくい文章が31ページにありましてペンディングと書いてあるんですけれども、何か趣旨が全然つながらないような文章というふうに私には理解できるんですね。ここで2つの段落がありますけれども、下の方の段落で括弧があります。「京都議定書の目標を確実に達成できる仕組みとすることは当然であるが」と書いてあるんですね。その文章の一番最後に、柔軟性を持たせることが必要であると。そうすると、これは義務の達成に柔軟性を持たせるということは、義務を履行しないのも含めることが必要であるというふうにとらえられますので、こういう矛盾した文章が残った形で国民の意見を伺うというのは大変遺憾というか、我々としたらすべきではないというふうに思います。

【森嶌部会長】 これは国民の意見を伺うまでにはきちっとやりますので、むしろ今の時点でこういうふうな文章にすべきだということを言っていただいた方が、まだ小委員会では調整ができていないということですので。

【天野委員】 私の修文の案を一つ申し上げますが、一番最後の「柔軟性を持たせることが必要である」というのを、「柔軟性を持たせながら義務の遵守を図ることが必要であると」。つまり義務は遵守するのですけれども、がちがちに縛ったやり方で自由のない状態で遵守させるやり方もあれば、柔軟性を持ちながら各自が別の選択をして、それで義務が遵守できるというやり方もあるわけですから、そういうやり方をすべきであるというふうに書けばこれは首尾一貫していると思いますので。
 それからもう一つは44ページの真ん中あたりに、基本的な方向というのがありまして、その最後のところに、「関係者すべてが広く自然的、社会的情報を共有し、社会的な選択としてその方向性が決められる必要がある」という趣旨のことが言われています。
 それでよく似たことが61ページ、終わりから2枚目ですけれども、ここでは社会的な政策形成のことで、下から3つ目の段落ですけれども、[1]の一番最後の段落ですね、「世界的な政策形成と実施に多様な主体が参加できるよう情報技術ITを活用した参加・開放型政策形成・実施の環境整備を進める」。つまり、情報ITを利用しながらたくさんの主体が共有して、それで意思決定に参加できるような仕組みをつくろうということで先ほどの趣旨とよく合っていると思いますね。
 ただ、ここでITの技術を使うということを言っております。多分、ウェッブサイトのようなところに情報を全部出していくということだろうと思うんですが、この2つがむしろもっと直接的にはこの基本計画をつくるときのというか、あるいはその基本計画に基づく政策実施に関して多数の主体が参加すべきだという「参加」というのが一番最初に出てくるわけですね、11ページから12ページにかけてですが、ここのところでも同じような趣旨で「情報をできるだけ共有できるようにIT技術を使っていろいろな主体が共有した情報で政策決定に参加できる」ということを書き込んでいくのが、全体として首尾一貫するのではないかというふうに思いますが。
 現在でもある程度の情報はウェッブサイトで見れるんですけれども、大変難しいのはいろいろな省庁にまたがっていて、厚生省を見たり建設省を見たり環境庁を見たり通産省を見たりしなければいけないというふうなことがありますので、もうちょっと一元化して現在どういう政策が進行中かということが1カ所でわかるようなことをしていただければ全体の趣旨に合致するし、そういうことをここでおっしゃっていただくのがいいのではないかなというふうに思っております。

【森嶌部会長】 特に安原委員長の方でお答えがなければ、今の段階ではご意見を伺っていくということにしたいと思いますが。

【湊委員】 私は前回から参加させていただきましたので、既にいろいろ議論済みのことかもしれませんが、ちょっと言葉の問題ではあるのですが、全体を通じての問題なものですからちょっと申し上げたいと思いますが。
 今回全般的にと言いますか、この計画の基本的なワードとして「持続可能な経済社会」という言葉が全体的に使われております。私、今回初めてずっと通して見させていただいておりまして、これは恐らく持続的な発展が可能な経済社会ということを同義語として簡略として「持続可能な経済社会」という言葉を使っているんだと思いますけれども、同時にこの全体の基本計画の中には持続可能な経済社会のこの経済社会という部分が社会というふうに書かれている部分もたくさんありまして、先ほど法律の方を見ましたら法律の方がまさに言葉としては「持続可能な社会の構築」ということを法律の第4条でうたっているというふうに見ておるわけですけれども。
 経済社会という言葉と社会という言葉は似ているようですけれども、言葉としては違う言葉なんですが、この辺のところの言葉の使い方や何かは全体を通じての理念にかかわる部分なものですから、議論がなされた上の使い方なのかどうか、あるいはその混乱状況が生じているところを見ると、どうもその辺のコンセンサスがかちっととれていないのではないかという気もするものですから、その辺についてご検討の経過があればお話を伺いたいと思いますが。

【安原部会長代理】  持続可能な経済社会なのか社会なのかでございますが、先ほど説明しました中に出てきましたが、経済、社会、環境の各側面からの統合的アプローチを進めることとしておりますので、その対象も持続可能な経済社会として広くとらえまして、それを統合的なアプローチで実現していこうという趣旨と理解しています。

【森嶌部会長】 多分、定義上、経済社会と社会とはいかに違うのかとか、それではどういうふうに使い分けるかというご議論はなかったんだろうと思うんです。一度きちっと通して検討いたしまして合理的にその使い分けの基準があるようでしたらお答えをいたします。そうでなければ統一をするようなことで考えたいと思います。

【宮本委員】 最初、安原委員の方からお話が出ました8ページの今後の京都議定書の目標遵守の話なんですけれども、私はこのように考えたいと思うんです。8ページの真ん中の「しかしながら」のところから4段目ですが、「地球温暖化に関しては今後の国際交渉の進展も踏まえつつ、京都議定書の目標を遵守するために必要な国内制度の整備・構築を図る」ということなんですけれども、現在、京都議定書が批准されるかどうかというのは非常に微妙な問題だと思うんですね。今からアメリカ大統領選挙があって、その後にCOP6があるわけですが、多分COP6でうまくいくかどうかというのは非常に疑問だと思うんですね。そういうふうにいたしますと、この経過がどうであるかによってかなり大きな影響が出てくるのではないかと。
 さらにこの問題といいますのは非常に外交政策と言うのですか、外交戦略と言うのですか、そういうような問題にも絡まってくるわけでございますから、他国とのバランスを見ながらやはりやっていかなければいけない。確かにCO2削減に対して努力をするということは重要なんですが、そのための枠組みを決めてこういうような政策を目標の設定のために必要な国内制度の構築整備ということを確実にやるということを、こういうところで文書として出すことが外交戦略していいのかどうかという問題が出てくるだろうと思うんですね。
 そういうことを考えますと、先ほどちょっと話があったと思うんですが、議定書の締結可能となった場合についてはという話が一つと、それからもう一つは現行の施策がどうなっているのか、その評価がどうであるかということを踏まえながらこの問題をやっていったらどうであろうかと、かように思うので、この文章から削減されたであろう「京都議定書が締結可能となった場合には現行の施策の評価を踏まえて」という文章を入れていただくことが私は戦略的にも非常に重要ではないかなと、かように思います。

【森嶌部会長】 この点についてはご議論もおありかと思いますが、どうぞ。

【安原部会長代理】 今の点でございますが、これは温暖化対策の検討チームの報告書のときにもその議論がございまして、検討チームでは議論を尽くした上で、今おっしゃったような表現はとらないということになったわけでございます。
 それからまた、今回の検討でも同じ点がまた蒸し返されまして議論をされました。議論を尽くした上で結局、冒頭で説明しましたような表現で小委員会としては一致しましてこの案文を出しているわけでございます。
 その趣旨は、日本政府としては2002年までに京都議定書が発効するように努めるというのが基本方針であるということがはっきりしております。それで、それまでに批准が可能となるような形で京都議定書を固めなければいけないということがございます。これはあくまで国際交渉で、その方向で日本政府は努力されているということだろうと思います。
 そういたしますと、日本自らもそれが可能になるということで今やっているわけですから、その場合、批准が日本としてできるようにしなければいけない。そのためにはやはり京都議定書を遵守できる国内制度をきちっと固めておく必要があるということでございます。時間的に逆算しますと、今からその検討を始めないと間に合わないのではないかというタイミングの問題もございます。そこでその検討をしようではないかということでございます。ただ、おっしゃるとおりCOP6がどういう合意になるのか、それは当然見る必要がございます。
 したがって、京都議定書は日本としてもやるという方針を出しているわけですし、そして、それが全体として成立するように努力して、そして日本としても批准できるようにしようということで進めると。しかし、COP6の結果はよく見なければいけない。その結果を見て必要であればこの案文を手直しすることあり得べしという含みでこれでいいのではないかと、はっきりと日本としては方針をこういう形で打ち出すことの方が重要ではないかという認識でございます。外交の観点から外務省ももちろん意見はあると思いますが意見調整の結果、こういう形で固まっているわけでございます。ご理解をいただきたいと思います。

【渡辺委員】 一つは今、安原委員長のご説明を全面的に了としたいと思いますが、あと私なりに発言したいことはありますけれども、天野委員と同時に茅委員が手を挙げて、部会長から見えないということがありますので。

【茅委員】 ついでに議事進行の上でちょっと提案させていただきたいのですが、正直言いますとこのぐらいの大きな会議で、しかもこういう列ですとやはりどうしても見えませんので、札を立てておいて終わったら札を伏せるという、私はよくやっているのですが、この方式をこの会議でもおやりになったらいかがでしょうか。

【森嶌部会長】 立てない限りだめだとは言いませんけれども、少なくともお立てになったら私の方は見ることにいたします。

【茅委員】 後側からずっと手を挙げていますと大変苦しいものですから、それはよろしくお願いいたします。
 意見は実は今の点とはちょっと違うのですが、大中小と3つありまして簡単にいたしますが、大は若干今の話と関係があるのですが、この基本計画はよくまとまってはいるのですが、よく言えば冷静、悪く言うとあまり感情がないのですね。
 私自身、非常に大事だと思っておりますのは、この温暖化問題のような場合には非常に対策が難しいというのが大きな特徴だろうと思うんです。これは、この中を読みますと温暖化問題が地球規模の大きな問題であるということは言っているのですが、対策が難しいということをほとんど言っておられないので、全体を読みますとこれから温室効果ガスを大幅に減らすというのが簡単にできるように読めてしまうんですね。例えば温暖化のところの文を見ましても、「今まで増加基調であった温室効果ガスの状況を減少基調に変えなければいけない」。まさにとのとおりなんですが、それは非常に大変なことなんだと、だからそのためにいろいろなことをしなければいけないという、その姿勢を見せるのがこの基本計画だと思うんです。ですから、ぜひそういう、これは非常に対策は難しい問題なんだということをどこかに書き込んでいただきたいというのがお願いでございます。それが第1点でございます。
 中というのは、その中にもやはり関連するのですけれども、きのうも実は排出係数という問題を議論をしたのですが、そこで非常に辛いと思ったのはご承知のメタンとかN2O、ああいったもののデータというのはほとんどまだないんですね。しかもあってもものすごくばらついていまして、そこで排出係数を決めるというのはいかに無茶な作業であるかということをつくづく思ったのですが。
 したがいまして、今後こういった問題を考える場合にはやはりそういったあいまい度を減少させる努力、これは当然研究とかモニタリングだろうと思うんですが、そういうことを同時にやっていくということをぜひ温暖化の対策の中に書き込んでいただきたい。それが2番目の中の大きさのものでございます。
 それで3番目はややマイナーなんですけれども、どうしてもちょっと言いたくなったのですが、33ページに車のことを書いてあるんですが、低公害車の例として燃料電池自動車とジメチルエーテル自動車というDMEが書いてあるのですが、これは確かに最近急に議論は出ているのですけれども、従来から電気自動車と天然ガス自動車というのは低公害車として盛んに推奨されてきて努力をしてきていて、それが急にまだ何も入っていないFCとDMEだということになりますと何か非常に唐突な感じがいたしますので、これはやはり「従来の流れ等も推進すると同時に新しいものを開発する」というふうに書いていただきたい。これはマイナーなことですがお願いでございます。

【森嶌部会長】 どうもありがとうございました。
 なお、先ほど休憩のときに茅委員から、よく私の方からも見えないのでこれから少し座席を毎回ずらすという提案がありまして、私先ほど事務局に指示しておきましたので、これからおくれて来られたときには前の席でないかもしれませんのでご注意いただきたいと思います。少しずつずらしてやりたいと思います。それにしても、こういうアレンジメントである限り、この並びにいきますとなかなか見えないということがございますが。

【寺門委員】 安原委員長が議論があったということでご紹介いただいたのですけれども、だから小委員会では何かにまとめなければいけないのでこうなったということでございますが、この部会では意見を言わせていただきたいと。皆さんたくさんおられるわけでございますので、その方々にも意見を申し上げたいという意味で意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 それで、私いつも申し上げておりますが、こういう問題というのはやはり政策と言いましょうか、今までCOP3以降、ある施策というものは私どもで言えばそれぞれに与えられると、商品も含め、あるいは事業活動も含め、そういうものについて一応目標を立てて推進してきていると。そういうものを評価をしながら、そういう結果を踏まえてどうしていくのかということの継続的なプロセスというのものは非常に大事だと思います。特にこれからいろいろな方々に参加をいただいていくときには、その評価というものが常にあって、その上で何を補強していかなければいけないかというプロセスに当然いかないと、これは継続的な活動には続いていかないと、そういうプロセスを踏まえていくということは当然でなければいけないと。
 そういうときに、現在、政府として打ち出している施策というものが何も評価されずに次にぽんと飛ぶということは、今やっている方々にとって何であるのかということが理解できない。何があるんだろうかと、そういうふうに理解するわけですね。少なくともまずそういう意味では現在の評価というものをやっていただきたい。それはやるんだということを書いていただきたいというふうに思います。
 それから、その前文にありますCOP6の動向というのは、それぞれの個人的な評価というのはこれはできませんので、政府はそれに向かって実際に努力されている。しかし、その中身というものはどういうふうに変化していくのかというのは、私どもはもちろん当然当事者でございませんからわかりません。そういうものがどういう中身になっていくのかによりましては、現在の進めている施策というものがどう影響を受けてくるのかと、そういうプロセスになると思います。しかも、COP6というのはもう目の前にあるわけでございます。そういうことをやはり進展を踏まえないで国民の皆様に何を理解していただくのかということが全くわからないで、その文章を消してしまう。これはやはり僕は少し何か別の思いがあるのだろうかという疑問があって仕方ないのですが、これはやはり手順としてはそういうことをちゃんと書いておくべきだと。そうでないと、修正というものはできないというふうに思います。「突然変わりました」、「COP3のときの条件から変わりました」、こういうふうに言うのか、そこのところはやはり今の段階では変えておかないといけないというふうに私は考えておりますので、ここの場でもう一度意見として出させていただきます。

【森嶌部会長】 COP6で出てくるのはいわゆるブレイクスルーのメカニズムがどうなるかということですので、その意味ではエミッショントレーディングが使えるようになるのか使えなくなるのかというのは確かにCOP6ですけれども、もう一つCOP3で決まっている削減の目標、これも京都議定書が批准をされなければ、2002年でも2003年で2004年でも、ともかく批准をされなくなってしまいますと、それ自身も消えてしまいますけれども、今、COP6では5%だ6%だという、日本の場合は6%だという、それがCOP6で動くということは今のところ考えられていないわけで、その意味では今、寺門さんがおっしゃったこともどういうことがCOP6に係るのか、それから批准に係ってくるのかという、その辺のところも議論するのならばしておく必要があるというふうに私は思いますけれども。
 また、今のご意見として、これからのこの中間取りまとめをまとめていく段階で議論を進めていきたいというふうに思っておりますが。

【安原部会長代理】 今の寺門委員のご意見は、検討チームの場でも出していただきましたし、小委員会の場でも出していただきました。その点は十分議論したつもりでございます。確かに産業界等が自主的取り組みということで今一生懸命やっていただいている、そのことは非常に重要なことですし、今後も重要な施策としてやっていただきたいという期待は皆大きいわけでございます。だけども、今やっているそういう種類の施策を十分評価して、6%削減に十分なのか不十分なのかきちっと評価すべきではないかとおっしゃっているわけでございますが、それはやれることはやらなければいけないということだろうと思います。
 しかし、その点につきましては、現在の施策というのが他の目的のための施策がありまして、あわせて温室ガスの効果もあるから推進するというたぐいのものが多いとか、あるいは目標が決まっていないとか、目標が決まっていてもプロパーの観点から決まっていないとかいろいろ制約がありまして、6%削減ということを考えた場合は制度的に見ても確実性が十分ないというような検討結果が検討チームの作業の結果出ているわけですね。ですから、時間的にも2002年を目指して日本としても国内制度を作ってみずから批准できるような状態に持っていかなければいけないとすれば、そういう評価を待ってそれから考えるということでは時期を失してしまうと。
 ですから、そういう制度そのものとして考えたときに不十分であるということが明らかになっておりますから、そのことを踏まえて6%削減を今後どうしたらいいかということを考えなければいけない。そうすれば、現在やっている施策を強化するということが一つございます。それから、現在はやっていないけれども、今ここにずっと述べられているような経済的措置等いろいろな政策手法があります。そういうもので有効なものを新たに取り上げていくと。それによって全体として6%達成のめどが立つような推進メカニズムをつくらなければいけないということであるわけですね。そういう認識に立って今から検討を始めましょうというのがこの報告書のトーンなんです。評価してからやれというご意見ですけれども、今言いましたような事情からなかなかそれはとれないと。今からもその6%がきちっと達成できるような国内制度を検討していく必要があるということでございます。

【森嶌部会長】 なお、私の方から申しますと、COP3の前にいろいろ議論をいたしまして、経団連の自主的取組もなさってということでありますが、COP3の直後に、政府がこういうことで6%になるはずですというのがあるのですが、これはいろいろ確定条件がたくさんついております。例えばCO2は産業界の取り組みエトセトラでCO2の削減というのは一応90年レベルになると。仮にそれを最大限やっていただいてそうなるとします。その場合にさらにメタンなどで増える分については革新的な技術の進展と、それから国民の努力と言うのですか、それで2%減るということになっております。
 それからさらに、いわゆるシンクになる森林等について3.7%それで減る勘定になると言うのですけれども、これは少なくとも京都議定書がそのままの形で適用されますと3.7%にはならないわけでもっと低いわけです。多分、日本のような主張、つまり日本の全部の森林を勘定に入れてくれということになるとカナダやなんかは多いに喜んで、ではうちの方はエミッショントレーディングで売れることになるということになると思いまして、多分それもどうなるかわかりませんけれども、かなりの程度において実現できるかどうかわからないわけですね。
 そういう政府の発表されたのはこういうことで努力をしますというふうに書いてあるわけですけれども、それが私はできないとは申しませんけれども、できるかどうかはわからないわけです。そうだとすると、ここまでやりますというところで、それではもうそれでいいのではないかということでは必ずしもならないわけで。
 そしてまた仮に今、温暖化対策についてのいろいろな制度等をこれから計画を立ててやっていこうといって、その場合にどういうふうに進行するかは、これは国際的な状況なども見て考えてもいいわけですが、仕組みそのものについて、今仕組みをつくったら直ちに例えば何か動くかということにはなりませんので、私はその意味で最初から6%遵守ということについて今までに示されているものが最大限に実施されたとしてもいろいろな不確定要素があると。しかも、その不確定要素は日本にとって有利な不確定要素ではなくて、より削減をしなければならなくなるかもしれない不確定要素がある。そのときにやはりこういう形で検討をきちっとしていくということは必要なのではないかと。
 いろいろなことはまだ国際社会でわからないのだから、そこでどうなるか、例えば2008年、2012年まで待ってみて、それで足りなくなったらそのときに考えましょうというのではやはり政策としては私は適切ではないのではないかと。
 その点で私はやはりこの小委員会の、書き方とか多々の問題はありますけれども、少なくとも我々が今議論しているのは、そういう政策として戦略として将来幾つか出てくるかもしれないいろいろなシナリオに向けて対応できるような仕組みを今つくるという、そういう考え方ということで、これをやったら6%できるということでもありませんし、7%なのか、5%なのか4%か、それをぴしゃっとこれをやったら4.5%になって、これやったら6%になってという式の議論ではありませんので、その点私はこの基本計画ということの性質が、そういう政策をどういうふうに組んでいくかということの提言だということであって、すべてが確定して初めて政策の組み合わせなどがぴしゃんと決まってくるという問題ではないという、その辺もご理解いただきたいと思います。

【寺門委員】 よくこの中にも、最後のところにも書いてありますけれども、必ずしもその把握の仕方というものが明確ではないからはっきりしないと。そういう前提のもとに次の検討に進むんだと。検討というのは私はしないとか、するとか、してはいけないとか、そういうことを申し上げているのではなくて、少なくともこういう基本計画の中で物事を今後ずっと進めていくときのプロセスというものは何なんだろうかと。そういうときにはやはり現状というものを評価していく。そして、今打った手というものは3年後にどういうふうに出てくるのだろうかと、そういう評価というものはしなければこれから継続的に何事も進まないんだと、そういうことをなぜ書けないのだろうかと。
 検討は結構だと、しかし検討という前にやはりみんなの認識というものが共通になっていかなければいけないと。安原委員長は認識しましたと、だめなんだと、こうおっしゃるけれども、なぜだめなのかということは必ずしも明確ではないわけですし、それぞれの施策を打っている方々はそれぞれの分野で、たとえはトップランナー方式でこういう製品をつくるんだということで目標を持って与えられているわけですね。だから、我々事業者からしますと製造のプロセスでの対策、それから物を出したときのその目標、そういうものを持っていると。
 しかし、それはマーケットメカニズムによってどういうふうに転換していくのかというのは、これは事業者のいわゆるコミュニケーションと言いましょうか、アカウンタビリティーというか、そういうものを明確にしていくとか、そういう施策というのはもちろんあってしかるべきですし、それは事実表示されるように組み立てていくと、そういうパッケージというのは当然組み立てられているわけですね。それが実際には、5年後に想定した以上に進まなかったと、そういうものに転換しなかったかというものは読んでいく必要があるわけですね。それを今もってそれはそういうふうには変わらないんだというふうには言ってしまったときから、ではやっている人はどういうことなんだろうかというふうになるわけでございまして。
 だから、そういうことをやはり本当に評価したのだろうかということだけは、評価していくというプロセスだけはやはり踏んでいかないと、これからの書いた施策もみんな同じことだなと。要するに、屋上屋をどんどん重ねていくというプロセスをやるのでしょうかという疑問が湧くということを申し上げているわけですね。それは絶対に書くべきだと。だから、書かなければこのプロセスは成り立たないんだという、そういうことを私は申し上げているので、私の意見はそういう意見でございますということです。

【波多野委員】 最初に部会長が内容的にもわかりやすい文章ではないということを言われたのですけれども、非常にそれは重要な点なんだと思います。こういうものはやはりわかりやすい文章で書いていないといけない。これは致命的に重要な問題だと私は思います。わかりにくい点というのが、私なりにさっと読んで思うことが2つあります。
 第1は文章のワンセンテンスが長過ぎるということです。例えば18ページに(3)というのがありますけれども、これは8行がワンセンテンスなんですね。
 それからもう一つわかりにくい点として「とともに」とか「の下に」という副詞句が当然のごとくに使われてしまうんです。当たり前のごとくに使われているのですけれども、それによって全部の意味がぽんと変わってしまうんですね。
 例えば16ページの冒頭、国際的取組というのがありますけれども、その4行目から、ちょっとこれも長いのですけれども、5行程度のセンテンスがありますけれども、我が国は何々するにとどまらず、それから3行目に「生かすとともに」という言葉がここにあるんです。その次に今度は、我が国の国際社会に占める地位に応じて、地球環境を共有する各国との「国際的協調の下に」という副詞句が入っているのですけれども、これはどこに係るのかということで、これは「ともに」まででワンセンテンスは切れてしまっていて、「の下に」ということはその次の行だけに係るのならば非常に消極的な話になってしまうんですね。というのは、国際的協調なんか得られないと思います。アメリカ、中国が同調する案なんていうものはなかなか得られない。そうしたらばその次に書いてある、「あらゆる主体が積極的に行動し、国際的取組を推進する」というような文章はあまり意味のない文章になってしまうということになると、ここに書いてある「国際的協調の下に」というその「下に」という意味がどこに係ってどういうことなのかがよくわからないというようなことで、やはりこういうものはわかりやすい文章に書き改めていただいたらありがたいと思います。

【森嶌部会長】 私もでき上がりを読みながら波多野委員と同じ、ないしはそれよりもう少しきつい感情を持ったのですが。ただ、小委員会を責めるのは酷でありまして、小委員会は多分先ほどからの議論があるようないろいろなイシューについて議論しておられて、文章をどこで切るかなんていうところまで、それどころか中身もまだ間に合わないで今回の会議に出てきているわけですから。これはそれこそ国民の意見を伺う前に少し文章という点でもう一度見直しをするということをさせていただきます。
 先ほど私はちょっとわかりにくいものですから、あまり今日のところは文章ではなくてサブスタンスを議論してくれと申し上げたのは、文章を言い出したら多分それだけで3回ぐらいやっても間に合わないかと思いますので、もちろん安原委員長にご協力いただいて一度、中身を変えないで文章を短くできるだけ易しく、できるだけ易しくというのは霞が関にくるとちょっと難しいので、とりわけよその省庁からの意見なんかを聞きますと、呉越同舟みたいのが文章に入りますと、昔は玉虫色と言ったのですけれども、何だかよくわからないということがあることは私も経験上存じておりますが、努力いたします。

【福川委員】 私も若干責任は感じてはいるのですが、何回も格調、特に書き出しの部分、第1部のここはやはり一番みんなが読む部分なので格調高い文章にぜひお願いをしたいということで、私も責任は感じてはいるのですが、やはりそれは海外にも向けられて、なるほど日本はこうしているんだということがちょっとわかるようなものにぜひしたいということで、引き続き事務局にご検討をお願いしたいというのが第1であります。
 特にその中で、今、波多野委員からもお話がございましたが、見出しというのが割合大事で、よく読めばみんなわかるんですけれども、何となく、例えば2ページから3ページに向けて環境問題の現状が1であって、(1)が環境の状況があって、[1]が地球環境の状況、これは世界のことなんでしょう。それから次のページに行って[2]が我が国の環境の状況、何となく環境の状況ということになって、これは世界と国内ということだからよく読めばわかるんですけれども、読む人が見ると何となくもうちょっとわかりやすい見出しにあるいはした方がいいかなという工夫の余地が、もう少し見出しの点についてはあるいはあるのかなという気がしますので、事務局でご検討願えればありがたいと思います。
 それで主として申し上げたいのは、私も前のこの席で何回も環境庁の方にお願いしましたのは、今度COP6、一体これがどういうふうになるのかというのは実は非常に大事な問題ですので、ぜひ交渉は精力的に、しかもまとめる方向でやっていただきたいと。なぜならば、いろいろ国内で対策について議論するときに、国内で合意が非常に得られにくくなってしまうということがあったものですから、実は非常にその点を強くお願いをして、部会長はすべておわかりの上で先ほどのようなご発言になっていらっしゃるわけで、部会長は本当にすべての問題をご理解の上なんですが。
 例えばこの間も新聞でもシンクの問題があって、今は3.7とおっしゃいましたけれども、省庁によって3.2だという話が出ていますし、確かに今までのはその6%の内訳ですとシンクが3.7で共同実施排出権取引などが1.8で、それだけで5という削減目標になっているわけで、そのほかにもちろんCO2とかメタンとか亜酸化窒素の排出がマイナスの2.5で代替フロンがプラス2になるということですから6になっているわけですけれども、かなりの大きな部分がシンクと共同実施という、いわゆるクリーンディベロプメントメカニズムと言われるもので占めているわけで、これはしたがってどういうふうにするかを非常に重要な問題でやって、そしてそのときに6%は約束しているわけですから、私も実はその6%の京都議定書はぜひ批准すべきで、そのために実施すべきだという立場で環境庁にもぜひ交渉をお願いしたいということですので、その立場はご理解賜りたいと思いますが。そこが何となくぐらぐらしますと、ではそれで6%だけ残ったらほかの政策で、これはもちろんインセンティブと甘いものだけ下さる政策ならいいのでしょうが、厳しいものを求めるということになるとなかなか合意が得られにくくなると思いますので、その点はやはりきちんとCOP6の成果というのは私はそんなに軽いものではないと、国内的に大変大きな影響があるというふうに思うわけです。
 それで国内の対策を構築整備するかという場合に、当然今の問題がどうかなんですけれども、例えば内訳で言えば革新的な技術開発とか国民の各層のさらなる努力というところで、例えば2%ぐらいを削減するというような目標を掲げていてサマータイム等々をやるというようなことを前提で考えられているわけですが、その辺もどの辺まで進んでいるのだろうかということについてもやはり最後にまとめるまでにはきちっと検討をつけた方がいいと思うし、私も対策はできるだけ合意ができる範囲で具体的なものがないといけないだろうと思いますので、できるだけ具体性を持つようにするためには、やはり今の現状はどうなっているかというところは十分評価をした上で、そしてほかの対策をどうするかというのを考えるべきで、もしそのときにほかのところはあまりできないが、お前のところだけここだけやれと言われると、そこの分野は怒りだす。それは消費者であるかもしれない、技術であるかもしれない、運輸であるかもしれません、産業であるかもしれませんが、そういうことになるんだろうと思うので。
 それで、ちょっとシンクの問題が新聞にこの前に出て、私も新聞情報ですからわかりませんが、何となくこの6%の中身が少しぐらぐらしてはいないかという不安感を実は感ずるわけです。そうすると、ほかの対策も何となくそうなってくると、いつの間にかどうも6%がぐらぐらしてしまいはしないかという不安を感ずるものですから。もちろん、さっきの共同実施等々はきちっとしなければいけませんし、もしその共同実施ができれば、お金さえかければ排出権を買ってくれば6%すぐできてしまうわけですから、これはお金さえかければできるということにすることを考えていらっしゃるのならまた別ですが、今の財政状態からそんなことは恐らくできないだろうということになると、実は茅先生もおっしゃるように非常に難しいんだという問題なんですが、相当ここの問題は、ここで最後に12月にまとめるように、先ほど安原委員長もCOP6の模様によって変更することがあり得べしと、こういうお話でしたけれども、COP6の動向というのは私はそんなに簡単なもので、COP6がどうなろうと6%でどんどんやろうというふうにはなかなかならないで、その場合は非常に国内の合意形成が難しくなるということなので、ひとつぜひ環境庁にお願いをしておきたいのは、COP6を成功するようにやはり全力を挙げて外務省等とも組んでやっていただかないと、なかなかこの政策がうまく最後にまとまらなくなる不安をちょっと感じるものですから、ぜひその点を環境庁にお願いをしておきたいと思います。

【森嶌部会長】 私が申し上げたのはCOP6では京都、シンクも含めて柔軟性メカニズムの方が議論されるなので、それにもかかわらず別にまた6%というのがあると。しかも、京都メカニズムがきちっと仮にできても、今の日本政府の説明だとかなりそれがどう動いても不確実な部分があるということを申し上げたわけでして。

【佐和委員】 私は福川さんがおっしゃったことは全くそのとおりだと思うんですね。ですから、実際にどういう政策のパッケージを今後考えていくかというときには、COP6の結果というのは大きく影響すると思うんです。特にシンクがどうなるか、EUなんかはシンクは一切勘定に入れるなというようなことも言っているようですし、それからCDMというのがなかなかこれは実施する上で難しい問題が多々あって、結局は事実上使えなくなる可能性もあると。だから、それが使えるようになるか使えなくなるかということで随分違ってくることは事実なんですね。
 ですからここで、実は私は今質問したいのですけれども、今の環境基本計画というのは、要するにそういうものは置いておいて国内対策というものとしてどういうふうなことが考えられるかということを議論し、そしてまさに計画を策定するということが当面の我々に課せられた課題なのか、それとも例えば仮に炭素税を例にとると、炭素税のようなものを導入するという場合でも例えば実際にCDMが、要するに途上国がCDMを受け入れて、しかもシンクも十分カウントできるというような形が、その3.2か3.7かで大きな値で勘定できるというようなことに仮になったとして、非常にそういう意味で達成しやすくなったと、目標が。そういうときに仮に炭素税を導入しても非常にそれは低率でいいでしょうと。しかし、もしそういうことが一切、ネガティブな方の結論がCOP6で出れば、これはものすごい高率の炭素税をやるか、あるいは税金だけでは無理だから例えば国内排出権取引も組み合わせるかとか、あるいはものすごい規制的な措置を講じるかというようなことが次に問題になってくると思うんですね。
 今回は、ですから例えば炭素税を導入せよというふうに書くのではなく、例えばこういうふうな経済的措置というものも大変有効ですよとか、そういう実際にこういう政策を施行せよとかということではなくて、こういう政策は考えられます、こういう政策は大変有効ですよとか、そういうことを書くのがこの基本計画なわけですよね。

【森嶌部会長】 私はそう思っています。

【佐和委員】 そういう意味では福川さんがおっしゃることは全く私はそのとおりだと思うんだけれども、炭素税というようなことを具体的にこれを導入せよとかということを言うわけではないわけですから、そういう意味では国内対策として、ですからこれは非常に、別にCOP6の結果が丁と出ようが半と出ようが、結局それは別に、せっかくここで決めたことが全く意味がなくなってしまうということはないと思うんですけれどもいかがでしょうか。

【福川委員】 わかります。そういうことですとなかなか、6%というものの達成ということで始まっているのだけれども、6%とは目標であったんだが、それはやってみると3になるかもしれない、2になるかもしれないと、こういうことになって、そうするとこの書き方のトーンがなかなか難しくなってしまうわけですね。6%削減はぜひ実現しようと、こう言っているのだけれども、シンクだとかCDMだとかでうまくいかないと、その辺は一応国内対策のときにやっているということになると、ちょっと何となく看板と中身と違ってきてしまいはしないかと思って、まだ今COP6はないわけですから、できるだけとにかく今は環境庁に頑張っていただくということでまず、そしてその結果を見て決めたらいいかなと思ったものですから、先ほど申し上げたようなことです。

【森嶌部会長】 私もこの手の温暖化の問題についてはいわばメニューまでをしたわけで、すごいステーキもありますよと、うどんもありますよというときに、COP6がうまくいってほかでちゃんと食欲があるとしたら、ではうどんでいいのではないかと。これはうどんを何杯食べろとかステーキをどれだけにしろとか塩加減はこれにしろということを言っているのではなくて、いわばメニューですので私は6%を実現するためというふうに書いてあったとしても、それはむしろここにあるメニューをやればほかのことは全然関係なしに6%ができるということでもありませんし、逆にCOP6がどう決まってもここに書いてあることでいい加減なことをやれば6%ができるというわけではありませんので、ここはあくまでもこういうメニューがありますと、それの塩加減とかどれを食べるかはこれはやはりそのときの状況で、それこそ先ほど寺門さんがおっしゃったようにその評価をしながら政策を導入していくという、そういう考え方と私は考えておりますけれども。

【佐和委員】 ついでにもう一言言わせていただくと、結局、排出権取引と共同実施に関してはその姿形がなんであれ、それが認められないということはあり得ないと思うんですね。ですから、そういう意味で仮に6%という義務があって一生懸命努力して、ところが努力の成果が全然上がらなかったとなると最終的にはものすごい大量の排出権を買ってこなければいけない。そうすると、ものすごい所得が流出すると、我々みんなが迷惑をこうむるということになるわけですね。ですから、逆に努力すれば、仮に非常に国際的な措置のアベイラビリティが高まったにせよ、そのときでも努力して所得の流出をできるだけ抑えた方が得であることは事実ですよね。だから、やはり無理をする必要はないと思いますけれども、努力はした方がいいと私は思いますけれども。

【森嶌部会長】 うまくすればこっちから売ればいいんですね。

【藤井委員】 京都会議のときには市民提案で「こうすればできる20%削減」という提案をしたのを思い出しますが、6%でさえもこの議論が今なされていて、琵琶湖会議のG8環境閣僚会議のときにも2002年には環境庁はともかく指導力を発揮して批准にこぎ着けるんだという、その確言をとりましたのでNGOとしてもあの場が持ててよかったなと思っているところです。それで、今なおこの議論があるというのは非常に私にとっては残念ですが、福川委員がおっしゃるようにともかく頑張って、国民も見守っている国際的な約束事を、これは守っていただきたいというふうに思います。
 ここの取りまとめのところに戻ります。57ページの地域づくりにおける取組の推進のところですが、現状と課題の中で地域レベルから持続可能な経済社会を構築していくことが必要という、この視点はきっちりと書き込まれていることは評価したいと思います。こう置いたときに57ページの2の1)のところですが、「地域づくりにおける環境配慮の推進にあたっては、地域の事情を踏まえつつ、地域における取組が可能な限り国レベルにおける持続」、これはちょっと句読点がないのでどっちに係っているかよくわからないのですが、「地域における取組が可能な限り国レベルにおける持続可能な経済社会への転換」なのか、私はむしろ地域への取組をこれだけ評価したからには、逆に国レベルは地域からどう持続可能な経済社会への転換の具体的なメニューをとってくるかということに書きかえた方がいいのではないかと。この文章のままだと句点をどこかに移してもだめなんですね。地域の取組が大事だと、そこを経済社会への転換への非常に大事なものと位置づけるというふうにしていただきたいと思います。つまり国レベルに合わせて地域のこういうことをしろということでは、とても持続可能な経済社会実現は難しいと思うからです。

【森嶌部会長】 確かにこれでは文章にならないと思います。

【星野委員】 印象とちょっと実現できないかもしれないお願いが一つなんですけれども。これをずっと読ませていただきまして、私の大変偏見かあるいは理解不足かわかりませんが感じますのは、現行の基本計画に比べて今回のこの案が多分優れているというか、私なりによくなっていると思うのは、環境経済社会を統合的なアプローチでとらえようというところが一つ。それからもう一つは、あらゆる分野に「環境配慮の織り込み」という大変聞き慣れない言葉なんですけれども、気分は非常によくわかるので織り込みを進めましょうと、これは非常に重要だと思うんですね。現行基本計画に比べてここは多分飛躍的に前へ進んでいるのではないかなと。これを具体的にどうするかというのはこれからの課題でありまして、あとはたくさんのことが書いてあるわけで、これはこれから我々が努力する話なので、現行基本計画に対して今度の基本計画がどこが違うと言われたら、私はこういった説明をしたいなというふうに思うので、これは私の偏見かもしれませんが、大変評価いたします。
 と同時にお願いというのは、あらゆる主体の参加を求めるというのは、これも大変世界的潮流でありまして、すべてのガバナンスがボトムアップしていくと、あらゆる人たちに参加してもらって、しかも一部のエリート、行政、政治だけが指導するのではなくて、あらゆる人が参加してこれからはダイアログでいろいろ議論しながら政策を決定していくというのは、もう世界的な潮流だと思うんですね。そういう意味ではあらゆる主体の参加という23ページに書いてあるのは内容が反対なのではなくて、できれば今まで私が経験したことでもあらゆる主体が参加するときにはまず政府から始まりまして、それから民間企業が来て、最後に国民が来るんですね。そうすると何かヒエラルキー、中身は全然ヒエラルキーではないんですよ、よく読むと。だけども何かヒエラルキーで国がまずご命令を出して、地方が従って、それで民間企業も自主的なんだけれども、これにそろえてくれよと。国民が最後にこれらを見て、お前たちも協力しろよと、こういう印象を与えるので、もし思い切ってできるのなら国民、民間団体、事業者、それから地方、国とひっくり返して順序にしたら、全体を読んだ感じがコペルニクス的に転換するのではないかと。役所の文書でそういうのは今までないと思うんですね、必ず国から来るんですね。いろいろな配慮事項をしていると思いますけれども、できればそういうことをしていただくと多分印象ががらっと変わって、恐らく今回のこの基本計画の良さが一層際立つのではないかなと思いましたのでお願いいたしました。

【森嶌部会長】 どうもありがとうございました。そこで、藤井委員に伺いたいのですけれども、ほかのところでこういうことはありまして国民とか消費者を一番先に上げますと、ちゃんとやらなければならないのは国ではないかと、それを一番最初にこっちがやれとは何だという反論が結構強いのですけれども、この環境基本計画ではどうですか。私自身は今の星野委員がおっしゃったことに大変共感を覚えるのですけれども。

【藤井委員】 私もそう思います、星野委員に賛成です。それで、そういう意見もあることも確かです。ただ、NGOのいろいろな書き方の、生協やなんかの議案書を見てもまず組合員があって組織があって、下に最後に事業体があるというような書き方ですから、まず参加するのは一人一人の個ですよということを打ち出す形が多くなってきていますので、星野委員のおっしゃるような形であれば、この環境基本計画が明らかに新環境基本計画になるなという気がしますが。

【森嶌部会長】 そうですか、それでは藤井委員のお墨つきで、ブロック別のヒアリングへ行ったときに怒られたら、これはNGOの方々もこれで、順番を変えただけでよくなるわけではないのですけれども、これで新環境基本計画になると我々は心強くそう思っております、というふうにお答えをすることにしたいと思いますが。その前にそういうふうに組みかえることについて検討しますというのをやらないといけないのではなくて、鋭意やってみます。

【中野委員】 37ページの目標の一番最後、「それぞれの流域の状況に応じた目標を設定する」ということを書いていただいております。これは国民がこれを読んだときに国民が、全体的にこれは地域に下ろすというようなことであるという先ほど説明をしてくださいましたが、国民が、そしてまたその地域がこれを読むことによって関心が深まってきて、そして自分たちが責任を感じるということになってくると思いますので、大変良い文章だと思います。ありがとうございます。
 それと、12ページの真ん中の○のところなんですけれども、「しかしながら、各主体の環境問題に」ということがずっと書いておりまして、そして「行動への展開に結びついていない状況がなお随所に見られる」ということで、そこで「。」になっているのですけれども、ほかの全体的な文章に比較しますと、この後に「今後このことについて十分に留意することが必要」とか「考えていくことが必要」とか、この後に何か書いた方がいいことではないかなと、そのように思いますので一つの提言として言わせていただきます。

【三橋委員】 29ページの京都議定書の目標の達成のところでアのところなんですけれども、これは私も小委員会に属していたので言おうかどうかちょっと躊躇していたのですけれども、「当面、地球温暖化推進大綱に位置づけられた対策により達成してくこととする」という部分なんですけれども、確かに地球温暖化推進大綱にいろいろな対策が盛り込まれているわけですけれども、そのほかにもまた6%達成するためにできなくなれば別の対策も考えてもいいのではないかというような余裕を、この文章の中に入れておいた方がいいのではないかなというふうに思うんですね。この大綱に縛られてしまって、その枠の中だけでやるんだというようなことだと今、袋小路にもなっているわけだし、もっといい対策も出てくるかもわからないわけですから。
 そうしますと、大綱に位置づけられた対策を中心に達成していくわけですけれども、必要ならそのほかの対策も考えるというようなことを入れた方がいいのではないかなというふうに思うんですけれども、もちろん皆さん反対の方が多いと思うんですけれども。ちょっとこの地球温暖化対策大綱に引っ張られてしまうということですけれども、これができてからやはりまたいろいろな技術革新もあるはずですし、新しいアイデアも出てくるのではないかなというような感じがするんですけれども。

【江頭委員】 2つあるのですけれども、一つは前のものがありますとどうしてもそれから離れられないのかなというのを、ちょっとこれを見せていただきながら時々思いながら今日説明を聞きました。やはりこれからは発想の転換というのがあるから、先ほど新基本計画とおっしゃったけれども、本当に発想を転換して未来へ向けての基本計画ができるとすばらしいと思いながら聞かせていただきました。でも筋道としては、プロットを見せていただきながら、また内容もいいかななんて思いました。
 もう一つは後半の方の、具体的な戦略的プログラムという方になっていきますと、文章が大分わかりやすくなるのですが、初めの方は○がいっぱいついているんですよ、文章の前の。この○は外して一つの文章になってしまうんですよね。いらないのではないかと。そうしたら、これを全部くっつけてしまうと国民が読む場合、国民と言ったら国民のレベルが低いと思われると困るんですが、一つの文章になってだっとくっついてしまうと読みにくいからここに離したのかなと思いますが、先ほども文章が長いとわかりにくいとおっしゃったのですが、私もそう思います。
 それからもう一つは、こうやって分けて書くならば見出しというものを非常に私は大事にするわけですね。文章をわかりやすく書く上では文章が短いということと、もう一つ違うことを言う場合はできたら見出しを少しでもつけていただいた方が、ああこの内容はそういうことを書いてあるんだということがわかりながら読めると思いますので、そういうのがいいかななんて、これはこうやってくださいではないのですが、私の希望として申し上げたいと思います。

【湊委員】 致命的な部分かどうかわかりませんが、首長さん方に意見を聞く機会があったときに、こんな事実認識では困るというふうにお叱りを受けそうな部分も若干ありますので。
 8ページの一番下のところの4行と、12ページの上から2行目から6行目まで、それから57ページの上から第2段落目、このように以下のところ、これは実はほぼ同じことを本来であれば言っている文案なんですけれども、ちょっと特に、57ページの方は全く問題ないというふうに私も認識しておりますが、8ページと12ページの表現はいささかちょっと表現として事実の認識を欠いた書き方になっているのではないかというふうに思います。
 一つは、8ページの話は、「地方分権の権限委譲の一環として環境に関する権限の委譲が行われたことによって、この権限が非常に広くなったのでいろいろなほかの施策と統合的な施策を実施できるようになった」ということが極めてこれからの総合的展開のために重要な基盤を提供することになったと書いてあるのですが、実は権限委譲において地方分権推進一括法の中の環境に関する権限委譲というのはほとんど見るべきものは正直言ってありません。国定公園の特定地域の指定とか、それから鳥獣保護関係の法律の規定の一部とか、2つぐらいしか確かないので、むしろここで言うとすれば分権の全般の中で地方団体の地域経営主体としての能力は高まってきたという点をとらえて書いていただく。そういう意味では57ぺージ書いてあるような思想が正しい認識だというふうに思います。
 それから12ページですけれども、今のところと若干似てはいるのですが、文面が微妙に異なっていますけれども、ここで私が問題だと思うのは、「一括法の成立によって地域における環境保全施策の推進主体としての役割が強化された」と。これは今申し上げたように総合的な経営主体として、国からの関与も含めてかなり自由度が高くなった、それからいろいな土地利用面とか、環境以外のいろいろな分野での権限の委譲等も行われておりまして、地域経営に対する主体性とか自立性は大変高まってきていて、これから環境問題も含めて地域の課題に取り組むべき役割を大いに発揮してもらいたいという意味は大いに私も賛成なんですけれども、権限一括法の成立によって地域における環境保全施策の推進主体としての役割が強化された、役割は法的に何ら強化されていないと、これからこの基本計画の中で書いておる地方団体に期待される役割を、地方団体が恐らくこれから担っていくと思いますけれども、そういう意味の役割を担う力は強まったけれども、この法律によって役割が強化されたと言うと、これは逆に地方団体からは異論が出るのではないかなというふうに思います。
 あわせて、それと関連するような問題ではあるのですが、23、24ページにあらゆる主体の参加のところで、国と地方団体、事業者、国民の、これは恐らく役割を書いたという、国の役割、地方団体の役割、事業者の役割、国民の役割を書いたものだと思いますが、正直言って地方団体のところは非常に明確に、例えば「コーディネーターとしての役割を担うとともに、主要な推進者としての役割を担う」。それから最後に、「総合的に展開する役割を担う」。国がどういう役割を担うかというと、ただ政策をいろいろやるということだけしか書いていない。どうもバランスを欠いているなという感じがします。
 それで、昨日、地方分権推進委員会が新しく分権型社会の創造という意見を総理に提出をされておられるようですが、例えばその中に廃棄物の中の産業廃棄物の問題について、国はもう少し積極的に役割を果たすべきものがあるのではないかと。要するに、事業実施主体としての役割を国がもっと果たすべきところがあると、そういう役割分担、国・地方も含めてもう少し明確にして取り組むべきところを取り組むべきだというような実は指摘が産業廃棄物に関連して指摘されているのですけれども、ある意味では国もコーディネーターであり主要な推進者の役割を当然担うべきだし、同時にプランナーという意味では地方以上にプランナーだと思いますけれども、少しそういう点も踏まえて国の、これから環境庁も環境省として国の役割が大きくなっていく部分を担うという中でありますので、もう少し国の役割の書き方はちょっとほかとのバランスも考えて、もう少ししっかりしたものを、必要なもの、技術的に高度なもの、あるいは地域で解決できないものを推進者としてみずから実施していくという意味合いの決意みたいなものがあっていいのではないかというふうな感じをいたしております。

【森嶌部会長】 札が2本立っているのは既に認識しておりますけれども、時間がまいりますので。あとちょっとご相談をしたいことがございますので、先ほど申しましたようにあと2回ございますので、今日言わなければ価値がなくなるというご意見は伺いますけれども、そうでなければ次回に回していただければ大変ありがたいと思います。
 今日いただいたご意見ですけれども、これは全部テイクノートしておきますが、次回までに手を入れますとまたいろいろなご意見がございますので、次回は今日安原委員長がおっしゃったいろいろなものが残って、まだ中間取りまとめとしても残っている点がございますので、それを出していただいて、それも含めて次回にまた十分ご議論をいただいて、そしてその次のときに直せるものは直しまして、またそこでもご意見をいただいて、場合によっては後から書面でこれでどうかということにするか、あるいはまた場合によっては私の方に一任をしていただくというような形になるか、それはまた後でご相談をいたしますが、そういう形で進めさせていただきたいと思います。
 そこで一応、今のところこのあと2回を用意しておりますけれども、それでまとまらない場合にはまた考えますが、今のところとしましてはその段階で中間報告を公表をいたしまして、先ほど申しましたように郵送、ファクシミリ、電子メールなどによりまして国民のご意見を伺うということにしたいと思います。それと並んで全国数カ所、まだ最終的に決めているわけではありませんけれども4カ所ぐらいを考えておりますが、ブロック別のヒアリングを行うということにしたいと思います。その具体的な日程、開催地につきましては現在調整中でございます。
 なお、国民のご意見を聞くときに、この部会の人はだれもいないというわけにはまいりませんので、日程等についての案ができましたら、少なくとも1カ所に数人ずつぐらいの規模で委員にご出席をいただけたらというふうに思いますが、また事務局の方から相談をさせていただきますけれども、そういうことでご了承いただきたいと思いますが、特段のご意見はございますか。
 それではそのように進めてまいりたいというふうに思います。
 それから、今日の審議と直接かかわるわけではありませんけれども、2件ほど私の方から委員の皆様にご報告させていただきたい案件がございます。
 資料の3でございますが、そこに中央環境審議会企画政策部会の運営についてというのがございますので、ごらんをいただきたいと思います。そこで、当部会の議事録でございますが、従来から委員会の透明性を高めるために単にここを公開するというだけではなくて、発言された方に発言内容の確認をしていただいた後に発言者氏名を記載したものを部会の資料として配付してまいりました。このたびは中央環境審議会全体の方針として公開で行う会議の会議録については、発言者の氏名を記載するということに、全体としてもそういうふうにすることにいたしました。
 失礼しました、今までは氏名は除いたのですか、最終的には。会議録は氏名を外した形でやっておりましたけれども、今後、さらに透明性を高めるということもございまして、氏名を記載をした形の議事録に変更すると、これは中環審全体としてもそういう方向でやっていきたいと思います。そこで、公開で行う会議の議事録につきましては、発言者の氏名を記載をすることに変更したいと思いますけれども、必ず最終的に議事録を固める前に発言された方にその当該文についてはチェックをしていただくということにしたいと思います。
 氏名を載せることにつきましてはいろいろな議論があります。氏名を載せることによって責任のある発言をするという、あるいは透明性が高まるという意見もありますし、そういう思わぬところで会議体での発言によって何らかの迷惑をこうむることがあるというご意見もあるところでありますけれども、一応、自分がしたはずのない発言が出るというのは、これは甚だ問題でございますけれども、そういう皆さんのチェックをいただいた上で出すということにしたいと思いますが、そういうことでよろしゅうございましょうか。
 それでは、そういうふうにさせていただきたいと思います。
 もう1件でございますが、資料の4でございます。6月26日の前回の企画政策部会で、この部会のもとに地球温暖化防止対策の在り方について検討するというための小委員会を設置することについてご了承を得ました。既に基本計画においても、今日のご議論にもありましたように地球温暖化対策についてのご異論をいただいているところでありますけれども、さらにどのような形でどういうふうに具体的に進めていくかということも含めましてご議論をいただく小委員会を設けたいと思っております。その結果につきましては、当然また部会にまいりましてご議論をいただいて、今日のようなご意見も出ると思いますけれども、ご意見をいただくことにしたいと思います。
 小委員会のメンバーにつきましては、議事運営規則というのがございまして、その第8条によって私の方で指名ができるということになっておりますが、資料4の裏側にございますが、資料4のメンバーを指名をさせていただきます。そして、座長は安原委員にお願いをしたいと思います。これはすぐさまということではありませんが、それこそCOP6も眺めた上でということになると思いますが、大変日程が立て込みますけれども委員の先生方ぜひよろしくお願いをいたします。
 そこでの議論につきましては、現在、環境基本計画で地球温暖化対策というところが出ておりますけれども、それらをより具体的に政策パッケージとして組む場合にどういうあり方があるかというようなことをご議論いただくというつもりでありまして、それでCOP6が終わった後に企画政策部会に対して報告をしていただきたいというふうに期待しております。12月というのは実は環境庁はなくなってしまいますので、環境省になりますので、環境庁の間に宿題を果たしておきたいと。さらに、必要があれば環境省になってからでもということでございますが、そういうことでございますけれども何かご意見ございましょうか。
 それでは、地球温暖化防止対策の在り方の検討に係る小委員会と大変長い小委員会でありますが、これにつきましては以上のご報告をさせていただきたいと思います。
 それで、この委員会でありますけれども、8月23日午前10時から環境庁第1会議室でということになっておりますので、ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。
 企画政策部会自身は、既に事務局からご連絡がまいっていると思いますけれども、8月29日、火曜日でございますが、午後2時から開催する予定となっております。場所はこのホテルでございますけれども、2階の芙蓉の間ということで、全体の場所はここですけれども、部屋はここと違う2階になりますので、あるいはもう少し眺めがよくなりますか、そんなに遠くにならないかもしれませんけれども、これも部会の先生方、ぜひご出席をいただきたいと思います。
 何かございますか。事務局ありますか。よろしいですか。
 それでは本日は長時間にわたりましてありがとうございました。

 <以 上>