II. 地球温暖化対策を総合的に推進し、京都議定書に定める排出量の削減目標を達成するために

4. 地球温暖化防止のための総合的な制度

(1)総合的な制度が果たす基本的な機能
 地球温暖化防止を目的とする総合的な制度においては、効果的に6種のガスの排出量の削減ができるよう、その対策全体を規定し、日本に課せられている目標を確実に達成可能なものとする必要がある。
 その総合的な制度の基本的な機能は、次のように考えることができる。

(2)総合的な制度の要素
 このような基本的な機能を果たす総合的な制度の枠組みに関して、これまで本審議会が検討してきた要素を示せば、次のようなものである。
  1.  法目的

  2.  温室効果ガスの種類の規定

  3.  地球温暖化防止計画等

  4.  温室効果ガスの排出量の削減措置

  5.  吸収量の増大

  6.  温室効果ガス排出量の監視等

  7.  温室効果ガスの観測、環境監視等

     教育・学習、広報

  8.  長期戦略研究

  9.  調査研究

  10.  技術開発

  11.  国際協調・国際協力及びこれに伴う国内措置

(3)総合的な制度の検討に当たっての留意事項
 本審議会では、具体的な対策の内容も念頭に置きながら、上記のような総合的な制度の枠組みについて検討を深めていくこととする。その際、吸収源の取扱い、排出量取引に係る国際ルールに関する協議・合意の動向に即応し、遅滞なく、検討を行うこととする。また、検討に当たっては、本審議会の「今後の地球温暖化防止対策のあり方について(中間とりまとめ)」においても指摘しているように、{1}削減手続き等の決定手続の透明性・公開性、負担の公平性、{2}長期的・継続的な排出削減、{3}温室効果ガス排出削減に関するあらゆる手法の検討という三つの基本的考え方に留意するほか、以下の各点について留意するものとする。
 なお、本審議会は、「2008年から2012年までの第1約束期間に1990年レベルから6%削減」という我が国の目標の達成に関する当面の方針に関し、次のとおり政府の説明を受けた。
 これに関し、吸収源については今後十分な科学的知見を集積することが必要であること及び条約における「人為的な吸収」の定義を明確化することにより国土全体の森林等による純吸収量を対象とし得るかどうか検討する必要があることを指摘したい。さらに、過大な吸収量を見込む場合には温室効果ガスの削減努力を損なうおそれがあること、我が国を含む先進国は2013年以降も更なる削減努力が求められること等を考慮すれば、本審議会としては、国内における温室効果ガスの排出を削減するための制度の整備に力を注ぐとともに、吸収源の扱いや国際的取組に関するルールづくりに関しても、各国の地球温暖化防止対策を推進させ、抜け穴を生ずることなく地球全体としての温室効果ガスの純排出量が確実に減少するような方向で政府が努力することを期待する。


前へ 目次 次へ