騒音の評価手法等の在り方について
(自動車騒音の要請限度)
答 申


平成11年10月6日
中央環境審議会





  平成8年7月25日付け諮問第38号により中央環境審議会に対し諮問のあった「騒音の評価手法等の在り方について」のうち、騒音規制法(昭和43年法律第98号)第17条第1項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める命令(昭和46年6月23日総理府・厚生省令第3号)で定める自動車騒音の限度(以下「要請限度」という。)における騒音の評価手法の在り方及びこれに関連して再検討が必要となる要請限度の限度値等の在り方について、別添の騒音評価手法等専門委員会報告が騒音振動部会に報告された。
  騒音振動部会においては、上記報告についての審議を行うとともに、騒音振動部会報告(案)を公表して、意見を募集し、寄せられた意見について検討を行った結果、自動車騒音の要請限度の評価手法等の在り方について、騒音評価手法等専門委員会の報告を採用することが適当であるとの結論を得るとともに、騒音振動部会報告をとりまとめた。 
  よって、本審議会は次のとおり答申する。
 
  自動車騒音の要請限度における騒音の評価手法として等価騒音レベルを採用するとともに、これに関連して要請限度の限度値等を見直し、別紙のとおり改正することが適当である。

  また、自動車騒音は依然として厳しい状況にあり、生活環境の保全を図る上で、自動車騒音問題の解決は緊要の課題である。要請限度は、都道府県知事が交通規制を要請する基準となるものであるが、要請限度以下に騒音を低減し、更に環境基準を達成するためには、交通規制のみならず、自動車単体対策のほか、地域の状況に応じて、道路構造対策、交通流対策、沿道対策等を効果的に推進する必要がある。政府においては、これら諸対策の総合的な推進に取り組むとともに、そのための関係機関の一層の連携強化、騒音の実態等の把握及び結果の公表、騒音に関する知識の普及、騒音対策技術の開発研究、騒音影響に関する調査研究等を一層推進するべきである。
 



別 紙

  騒音規制法(昭和43年法律第98号)第17条第1項の総理府令で定める限度は、次の表のとおりとする。ただし、同表に掲げる区域のうち学校、病院等特に静穏を必要とする施設が集合して設置されている区域又は騒音に係る環境基準について(平成10年環境庁告示第64号)にいう「幹線交通を担う道路」の区間の全部又は一部に面する区域に係る同項の総理府令で定める限度は、都道府県知事(騒音規制法施行令(昭和43年政令第324号)第4条第2項に規定する市にあっては、市長。以下同じ。)及び都道府県公安委員会が協議して定める自動車騒音の大きさとすることができる。

(等価騒音レベル)
                        



 
 
区域の区分

時間の区分

昼 間

夜 間



第I種区域及び第II種区域のうち1車線を有する道路に面する区域

65dB

55dB



第I種区域のうち2車線以上の道路に面する区域

70dB

65dB





第II種区域のうち2車線以上の道路に面する区域及び第III種区域のうち車線を有する道路に面する区域


75dB



70dB


 この場合において、騒音に係る環境基準にいう「幹線交通を担う道路に近接する空間」については、上表にかかわらず、特例として次の表のとおりとする。

(等価騒音レベル)

昼 間

夜 間

75dB

70dB

備 考

1 第I種区域、第II種区域及び第III種区域とは、それぞれ次の各号に掲げる区域として都道府県知事が定めた区域をいう。
(1) 第I種区域 専ら住居の用に供される区域
(2) 第II種区域 主として住居の用に供される区域
(3) 第III種区域 相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される区域

2 車線とは、1縦列の自動車(二輪のものを除く。)が安全かつ円滑に走行するため必要な幅員を有する帯状の車道の部分をいう。

3 昼間とは午前6時から午後10時までの間をいい、夜間とは午後10時から翌日の午前6時までの間をいう。

4 騒音の測定・評価は、原則として道路の交差点を除く部分を対象とし、道路に接して住居等が立地している場合には道路端において行い、道路に沿って非住居系の土地利用がなされ、道路から距離をおいて住居等が立地している場合には、住居等に到達する騒音レベルを測定できる地点において行うものとする。
  この場合、地上からの高さは、当該地点の鉛直線上において騒音が最も問題となる位置とし、一般的な平地における道路の場合は、原則として地上1.2メートルとする。

5 騒音の評価手法は、等価騒音レベルによるものとし、連続する7日間のうち当該自動車騒音の状況を代表すると認められる3日間について測定を行い、時間の区分ごとに全時間を通じてエネルギー平均した値によって評価することとする。

6 騒音の測定は、当該道路に係る自動車騒音を対象とし、自動車騒音以外の騒音や当該道路以外の道路に係る自動車騒音による影響がある場合は、これらの影響を測定値から補正することとする。

7 騒音の測定方法は、原則として日本工業規格Z8731に定める騒音レベル測定方法によるものとする。
  建物の前で測定を行い、当該建物の反射の影響が無視できない場合には実測値を補正するなど適切な措置を行う必要があり、原則としては当該影響を避けうる位置で測定することとする。


添付資料

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