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大気環境・水環境合同部会
公害防止取組促進方策小委員会(第3回)
議事録


午後0時59分 開会

○木村総務課長
 定刻少し前ですが、冒頭からお出でいただく予定の委員の皆様方にお集まりいただいておりますので、ただいまから第3回中央環境審議会大気環境・水環境合同部会公害防止取組促進方策小委員会を開催いたします。
 委員の皆様方には、お忙しい中ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 まず、本日の委員の方々の出欠の状況でございます。委員総数22名のうち、代理の方も含めまして現在のところ19名の方が出席されていらっしゃいます。浦野委員は遅れてご出席という連絡を受けております。
 引き続きまして、お手元の配付資料のご確認をお願いいたします。議事次第の裏に配付資料一覧が掲載されております。委員名簿以外ですが、資料1が「今後の効果的な公害防止の取組促進方策の在り方について」。それから、本日は参考資料が4つございまして、参考資料1が、「不適正事案を起こした事業者に係る情報開示の状況」。参考資料2が「大気汚染防止法・水質汚濁防止法に係る最近の不適正事案の概要」。参考資料3と参考資料4は、第1回に配付させていただきました資料の再配付でございますが、参考資料3が「大気汚染防止法関係資料」、参考資料4が「水質汚濁防止法関係資料」でございます。万一、資料の不足等がございましたら事務局の方にお申し付けいただければと思います。それでは、これ以降の会議の進行を坂本小委員長にお願いいたします。

○坂本小委員長
 皆様、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 本日の会議は第3回目ということでございますが、効果的な公害防止の取組促進方策の在り方に関する具体的な検討ということで、今日、皆様方からご意見等をいただきたいと思ってございます。
 まず、議事に入ります前に、第1回の小委員会において委員の皆様からいただきました宿題、例えば不適正事案が事業者の方でどういった形で情報開示されているのか。それから、最近の大防法とか水濁法でどんな不適正事案があったのか、そういったところについてまとめて資料提供の要請がされたところでございます。これにつきまして、事務局から説明をいただいて、そしてその後、今日の本来の議事に入らせていただきたいと思います。それでは、事務局の方から説明をお願いいたします。

○庄子総務課課長補佐
 それでは、まず参考資料の1につきましてご説明をいたします。第1回の小委員会におきまして、本日遅れてお見えでございます浦野委員の方から、不適正事案が発生した場合に、事業者が情報公開をどの程度していたのかというお尋ねがございました。先の検討会の報告書で不適正事案として挙げられておりますA社からH社それぞれにつきまして、自治体を通じまして情報を集めまして整理いたしましたのが参考資料1でございます。
 それぞれ情報開示の方法として自治体への報告、それから地域住民への情報開示という方法があろうかなということと、不適正事案発生の前後におきましてどのような対応をしていたかを整理した資料でございます。
 まず、A社におきましては、自治体への報告について、不適正事案発生以前は公害防止協定に基づき報告をしていましたものを、発生後はさらに環境計量証明書の写しを添付するようになったということでございます。地域住民への情報開示ということでいいますと、発生以前は特にしておらなかったようでございます。環境報告書でCODの日平均排出量を開示していたというのがございますようですが、地域住民への情報開示は特になかったと。発生後におきましては、見学センター内への水質モニターの設置、ホームページで毎月の排水水質測定結果を開示しているということでございます。
 それから、B社につきましては、自治体への報告、公害防止協定に基づき報告をしていたと、発生後も同様であります。地域住民への情報開示は、発生以前は特にしてなかったということでございます。環境報告書の中でCODの総排出量などを開示していた、発生後も同じような状況でございます。
 C社とD社につきましては、いずれも自治体への報告は公害防止協定に基づく報告を行っていて、発生後も同様の対応であったと。地域住民への情報開示は特になかったということでございます。
 E社でございますが、自治体への報告は、ばい煙の測定結果をテレメータにより報告をしていたと。地域住民に対しては、ホームページにより年間の排出量のみ開示をしていたということでございます。
 F社におきましては、自治体への報告は、ばい煙測定結果をテレメータにより報告をしていたと。地域住民への情報開示につきまして、発生以前については掲示板にてばい煙測定結果を開示していたということでございますが、発生後におきましてはホームページあるいは説明会を開催することによって、こうしたばい煙測定結果の開示を行っていたということでございます。
 G社におきましては、自治体への報告は特にないと。地域住民への情報開示につきまして特にございませんが、環境報告書の中で年間排出量の開示を行っていたということでございます。
 H社におきましては、自治体への報告は、事案発生以前はなかったということでございますが、発生後はばい煙測定結果の報告を行っていたと。地域住民への情報開示は特になされていなかったようですが、環境報告書で年間排出量の開示が行われていたようでございます。こちらが参考資料1のご紹介でございます。
 続きまして、参考資料の2でございます。こちらも第1回の小委員会におきまして、吉田説明員から最近の不適正事案の状況についてお尋ねがございました。それで、昨年4月に検討会の報告書を取りまとめてございますが、それ以後に私どもが把握した事案について整理をいたしましたので、ご紹介したいと思っております。
 社名でI社から始まっておりますが、これは先ほど参考資料1で検討会の報告書でH社までということでご紹介をしておりますので、それ以降に把握した事案という意味でI社、J社と続けてございます。
 まず、I社でございますが、製紙業でございますけれども、測定を外部委託して得られた自主測定値が、それまでの自社分析値に比べて著しく小さかったということで、ばい煙の測定記録表と公害防止協定に基づく市への報告値を自社の分析値程度になるように改ざんをしていたということでございます。
 それから、J社ということで電力事業の会社でございますが、排出ガス量の測定結果が電気事業法に基づく届出に記載した値を超過した場合に、公害防止協定に基づく報告書に届出値内になるように報告をしていたということでございます。
 それから、製紙業のK社でございますが、市との公害防止協定に基づき、市に報告していた連続測定に係るチャート記録の改ざん、切り貼りであったりグラフのねつ造といったものが確認されたということでございます。
 それから、食肉処理業、L社でございますが、鶏肉を加工する際に出た水や血などを処理する汚水処理施設の一部を長期にわたり適切に稼働させず、施設が能力不足であったということで、県の改善勧告を4回にわたり受けたにも関わらず、設備改善をすることがなかったと。そうしたことで排水基準を超過した汚水を排出していたということでございます。
 それから、食品メーカーのM社でございますが、食品を製造する際に生じる廃水について、処理されるべき廃水をバイパス排水口等から無処理で排出をしていたということでございまして、それから廃水処理施設の処理能力が、全廃水量を処理する規格に満たなかったということでございます。
 それから、製紙業のN社でございますが、自社において分析した水質データを排水基準値以下に書き換えて県・市に報告するとともに、県による立入検査・採水時に採水を行う排水口前の地点で排出水を河川水で希釈をしていたということで、県の分析値が低くなるようにしていたという事案がございました。
 以上、第1回の小委員会においてご指摘のあった点につきましての資料のご説明でございます。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。ただいま参考資料1、2に基づきましてご説明をしていただきましたけれども、これにつきましてご質問等ございましたらお願いいたします。はい、どうぞ、岩崎委員。

○岩崎委員
 今の参考資料の2ですけれども、一番上のI社ですが、自社分析値に比べて委託した値が低かったと。それで低いということで、それを自社分析値程度になるように多少高い値を出したと。これは改ざんには違いないし、難しいところだと思いますけれども、ただ考えてみれば多少良心的なところがあって、低い値で届け出るよりか、やはり普段そんな低いデータが出ないんだから、もう少し高い値で自社のとっているデータで出しなさいと指示して出したということになると、逆に言えば私は多少、良心的ではなかったかと。改ざんには違いはないんですけれども、そういう意味でのちょっと評価がこのI社だけに関しては非常に難しいなという感じがするのですけれども。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。質問ではなく、ご意見だったと思います。それでは、吉田説明員。

○吉田説明員
 ありがとうございます。不適正な事案ということで前回も紹介があったのですが、いわゆる立入検査等で指摘されている、特に4回も指導があったというような事案もありますけれども、そういうものと自社で調べられて報告されて届け出られたという事案があると思うのですが、その辺はどういう状況になっているかということと、それから確認時点が2008年の4月からという理解ですけれども、2008年と2009年上期とに分けたらどんな感じなのかと、確認時期を教えていただければと思います。

○坂本小委員長
 事務局の方、お願いします。

○森北水環境課長
 参考資料2のI、J、Kの大気の関係は全部、県の行政の立入検査をした結果を出したと。L社からN社までの水の方でございますけれども、LとMについては立入検査の結果ということでございます。Nにつきましてはその会社からの申告といいますか、報告ということでございます。

○坂本小委員長
 よろしいでしょうか。説明を追加させていただきます。

○庄子総務課課長補佐
 行政による事案の確認時期ということでございますが、I社からK社につきましては19年度に確認をして、私どもとして把握したのが20年度に入ってからということでございます。L社とM社につきましては20年度、N社については21年の上期にかかるような形で確認をされたと承知をしております。

○坂本小委員長
 よろしいでしょうか。それでは、渡邊説明員、お願いします。

○渡邊説明員
 ありがとうございます。宮池の代理で来ております渡邊でございます。どうぞよろしくお願いします。
 参考資料の1でございますけれども、情報開示の状況ということで書かれていますが、不適正な事案がどういう事案であったかというのが明記されていなくて、それに対してそれぞれの対応がどうだったかということを書いて頂かないと、なかなか状況に応じていろいろあろうかと思いますので、その部分を書いていただきたいということと、それから例えば下から二つ目のG社、電力事業において、これを見ると一切、不適正事案をやっても何もしないというふうに一般的にとられてしまいますが、現在こういうことは多分あり得ないと思いますので、それを本当にG社に確認されたのかどうか。これをこのまま書かれると今も続いているというふうにも見られますので、本当にそうなのかどうかというところをちょっと教えていただきたいと思います。

○庄子総務課課長補佐
 まず、資料の作成の方法につきまして、確かにおっしゃるとおり、それぞれの事案がどういった中身かというのがわかるような形で整理をさせていただいた方がもっとわかりやすかったと思います。
 これは、先の検討会の報告書の中で不適正事案としてA社からH社ということで事案の概要を紹介してございまして、第1回の会議でそのあたりをご紹介申し上げましたものですから、それを前提とした資料としておりまして、もう少しわかりやすい工夫をすべきだったと思っております。

○坂本小委員長
 今のお話は、多分これが参考資料1としてこの後、出ていった場合にひとり歩きしないようにということも考えると、やはりそういったものがこの中に一緒に入っていた方がよろしかったかなということでございます。どうぞ、浅野委員。

○浅野委員
 今の質問に関連することですが、要するに一般的にこの事業者は環境に関する情報をどのように開示をしているかという意味なのか、不適正事案についての報告ということなのかどちらでしょうか。後ではなくて前の方だろうと思うのですが、そういう理解でよろしいですか。また、電力の場合に自治体への報告なしというのは、制度上、資源エネ庁に対しては報告するから自治体には重ねて報告をしてこないということなのでしょうか。

○山本大気環境課長
 前者について、自治体に確認したらこういう事実だということで、ここでご報告しております。資源エネルギー庁の方へ出しているかどうかということは調べておりませんので、確認いたします。

○浅野委員
 公害防止協定のようなものがあれば、大概その中に汚染物質の排出状況についての情報は自治体に流すという条項があるはずですね。ですから、何となくよくわからないところがあるわけです。公的には自治体に報告しなければならないという義務は多分ないだろうと思うので、それで報告が出されないということなのだろうと想像するのですが、これは協定等に基づいてということをも含めてないという理解をすればいいんでしょうか。今、渡邊さんが、いかにも「なし」、と書かれると印象が悪いので心配だとおっしゃっているので、ちょっと私も追っかけ質問をいたします。

○坂本小委員長
 今の点につきましては事務局の方で調べて、私、先程も申し上げましたけれども、どういう不適正事案があって、それに対して情報開示がどういうふうに対応したか。そうすると、不適正事案の種類によって情報開示の仕方も異なるであろうということで、1回目のところでそういう内容についてはご報告差し上げたのでこういった書き方になっているわけでありますけれども、ただしこの紙一つだけを見た場合には、非常にそういったところについてさまざまな疑問が出てまいりますので、今、渡邊説明員から質問されたようなところについてそういった点を少し書き加えたものを例えば次回にでも、資料を用意させていただこうと思います。よろしいでしょうか。

○渡邊説明員
 それと、当該の会社に今はどうかというのを是非確認していただいて、今はそういうことはないのかどうかというところもやっぱりご確認いただきたいと思います。

○坂本小委員長
 今の点は要望ということで。それでは、ここにつきましては何かございませんようであれば、失礼しました、お願いいたします。

○石崎説明員
 実は参考資料1そのもののご説明があったんですが、事案そのものが今検討していることは不適正事案という格好の中で、法律に基づいているのか、条例なのか、協定なのか。
 それからもう一つ、この中の事案の中にもありますが、法律の数値じゃなくて届出値というのが出てきます。届出値というのは、法律の中に書いてある規制値とは全く関係がない。届出した値に対する数値がここへ出ていたと。となると不適正事案が4種類あるわけですね。この不適正事案の4種類のうちのどれに相当していて、その相当している項目に対して何に基づいて報告していたのか、発生後はどのようになったのかというのが一覧でわかるようにならないと非常にわかりにくいと私は思っています。そういうものにしませんと、今後は本当にきちっと改善できるのかできないのかわからない。そういうところがこの表は欠けていると思っておりますので、その点、少し見直しをお願いしたいと思います。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。今のお話は、公害防止協定等でそれぞれ届出をどういった数値でという形で決められているものと、それから法律的に決められているものと超えたものとでは意味が相当異なりますので、そういったものを含めて簡潔にわかるような形の資料にしていただきたいということでございます。ありがとうございました。
 それでは、よろしければ、今日の本題に入らせていただきたいと思います。前回の委員会で閉会の前に第1回と、それから前回に皆様にいただいた意見、それらを踏まえまして事務局に課題を4点、それから具体的な方策等についてということで整理をしてもらいました。
 本日、これに基づいて議論をお願いしたいと思いますけれども、まず議論は幾つか個別に分けて議論いただこうと思いますが、説明は全体を通して最初に説明をさしあげて、その後、議論させていただきたいと思います。事務局の方から説明をお願いします。

○庄子総務課課長補佐
 それでは、資料1につきましてご説明をいたしたいと思います。ただいま委員長からお話しがございましたように、前回の会議で第1回と第2回の委員の皆様方の意見を踏まえまして、課題・論点の整理等を行うようにということでございましたので、第1回の会議で委員長がお示しになったペーパーをベースに資料を作成いたしました。
 まず、1ページ目でございます。公害防止対策を取り巻く状況ということで認識を示しております。我が国では、経済の高度成長期において深刻な公害問題が発生し、大気汚染や水質汚濁が大きな社会問題となったが、公害防止法令等に基づく地方自治体による施策の推進と、事業者の公害防止のための投資、公害防止対策技術の開発・普及等により、激甚な公害を克服してきたということでございます。
 一方、近年、環境問題は広がりを見せ、地方自治体や事業者においても、公害防止の取組に対する社会的な注目度は相対的に低下しつつあるとともに、公害防止業務に充てられる人的・予算的な資源に制約が生じ、その適確な遂行が困難になりつつある状況ではないかということであります。
 さらに、これまで公害防止対策を担ってきた経験豊富な地方自治体や事業者の職員も退職期を迎え、公害防止業務の執行力の維持が大きな課題ではないかということでございます。
 こうした中で、ここ数年、一部の事業者において、大気汚染防止法や水質汚濁防止法の排出基準の超過や、測定データの改ざん等の法令違反事案が相次いで明らかとなって、事業者の公害防止に係る管理体制に綻びが生じている事例が見られるのではないかということでございます。
 それから、2つ目として検討の視点ということで挙げてございます。測定データ改ざん等の事態は、直罰規定等の厳しい規制措置を組み込んでいる公害防止法令の実効性が時代の変遷とともに実質的に弱まってきていると考えられるのではないかということでございます。
 それから、国においてはこれまで、事業者が公害防止管理体制の構築に取り組む際の参考となる行動指針、事業者向けガイドラインと言っておりますが、これを策定し普及に努めてまいりました。さらに、自治体が実施する立入検査の強化の推進等を図ってきたところでございます。
 しかしながら、公害防止業務を取り巻く状況の今日的な構造的変化というものを踏まえますと、運用面での施策の実施にとどまらず、基準の遵守の確認等、より確実に公害防止のための制度が機能し、事業者による取組が業種や規模を問わず継続的に実施されて、環境への負荷が低減されることを図る措置を検討する必要があるのではないかということでございます。このあたりは1回目の会議で委員長からお示しいただいた資料に肉づけをした形でございます。
 それから、2ページ目でございます。3.基本的な考え方ということで、こちらは新たにこういった項目を一つ立てさせていただきました。下の方に主な意見ということで、1回目、2回目、委員の皆様方からいただいた意見をご紹介しております。この中で全般的、総括的な意見を幾つかいただきまして、その中から今回の検討にあたっての考え方みたいなものを抽出することができるのではないかということから、4つほど基本的な考え方ということで挙げさせていただいております。
 一つ目は、地域における環境管理の意義とノウハウの継承というのを挙げてございます。環境汚染の状況の改善は進んでまいりましたが、国民の安全・安心・信頼を確保する公害防止管理の取組は環境対策の基盤をなすものではないかということでございまして、こうした取組の意義と公害防止に係る経験や技術を継承していくことが必要ではないかという考え方でございます。
 二つ目といたしましては、公害防止法令のルールの明確化と確実な実施、事業者による自主的取組の促進というのを挙げてございます。事業者による自律的な公害防止管理の取組を促すため、事業者が取り組む上で遵守すべき法令の内容をできるだけ明確にする。あわせて、法の趣旨が損なわれることのないよう法令遵守の実効性の確保を図ることが必要ではないかということでございます。さらに、事業者の適切な取組を継続的に促進していくことが必要ではないかということを挙げてございます。
 三つ目といたしまして、地方自治体の公害防止監視機能の効果的な発揮というのを挙げてございます。地域住民の安全・安心の確保のための地方自治体の取組として、法令に基づく公害防止監視業務の充実、あるいは事業者への公害防止の取組の働きかけの推進を図ることが必要ではないかということを挙げてございます。
 四つ目といたしましては、地域社会全体による公害防止管理の推進ということで、事業者による公害防止の取組は地方自治体の指導を受けつつ実施されているということでございますが、自治体に加えて、地域住民や団体との円滑なコミュニケーションを進めて、また、地域の人々が持つ環境対策のスキルを生かしていくことが効果的ではないかということで、このあたり、先程申し上げましたように全般的な意見の中で見えてきた基本的な考え方というのを挙げているということでございます。
 それから、資料をおめくりいただきまして4ページ目でございます。4ページ目以降では、課題・論点と具体的な方策の例ということで挙げてございます。
 検討会報告書を踏まえた6つの検討事項に沿った形でそれぞれいただきましたご意見を整理いたしまして、その中から論点・課題として整理をさせていただいたものに対応する形で、議論のたたき台として具体的な方策の例というのを幾つかそれぞれ挙げている形をとってございます。
 まず、一つ目でございます。事業者による法令遵守の確実な実施という検討事項でございますが、これに関しましては、法令違反事案に対しまして厳正な対処が必要ではないかというご意見をいただいていたところでございます。
 大気汚染防止法・水質汚濁防止法等においては、汚染物質の排出状況の測定・記録については事業者の義務とされてございます。これにより得られる排出測定データは、事業者が排出基準を超過しないよう自主的管理のために用いられるという側面がございますが、これまでは当然に事実が記録されていることを前提といたしまして、自治体による報告徴収、立入検査での重要な資料になってきたというものでございます。
 現行制度におきましてちょっと補足をさせていただきますと、測定記録義務違反に対する罰則規定は置かれてございません。この点につきまして、第1回の小委員会の方で大塚委員から立法時の考え方についてご質問をいただいたところでございますが、これは汚染物質の排出者は当然、汚染状態を正確に測定・記録することを期待していたということでございますが、本文に戻りますと、最近のデータ改ざんの事例を鑑みるに、排出測定データの記録の確実な履行と信頼性の確保を担保する措置というのが必要なのではないかということを課題・論点として挙げさせていただいております。
 これに対応する具体的な方策の例として3つ挙げてございますが、排出測定データの未記録又は改ざんに対して罰則を設けることによる、記録の一層の励行、改ざんに対する抑止力の発揮というのが考えられるのではないかと。この際に、二つ目、水質汚濁防止法に係る項目でございますが、測定・記録義務の対象となる測定項目・測定頻度の明確化を図るということが考えられるのではないかと。また、転記ミス等の非意図的な行為に対する罰則適用の取扱いに関する整理というのが必要ではないかということでございます。
 それから、5ページ目でございます。二つ目といたしまして、事業者の自主的かつ継続的な公害防止の取組に対してメリットが生ずる仕組みというのを挙げてございます。こちらに関しましても、基準超過という事態が発生した場合に、速やかな改善を図る措置の必要性というのがご意見としていろいろいただいたところでございます。
 こうした排出基準の超過があった場合には、地方自治体の指導を受けつつ適確な対策が講じられるべきであるということでございますが、その把握については自治体による立入検査に加えて、事業者の測定により排出基準の超過が判明したときには、自主的にその旨を速やかに自治体に対して届出をして、改善対策を講じていくことが望まれるのではないかということでございます。こうしたことを通じまして、自治体の指導のもとでの排出基準の超過の早期改善と原因究明・再発防止が進みまして、地域住民の安心の確保が図られるということと、得られた情報が他の事業者への指導にも資するのではないかということでございます。
 これに対応する具体的な方策の例として挙げてございますのが、(1)で言っております排出状況の測定の実施の担保といった措置とあわせる形で、排出基準の超過があった場合には速やかに自治体に対して届出をしていただくということを位置づける一方で、こうした取組を促進していくために、例えば、このような届出がなされた場合には排出基準違反に対する直罰規定を適用しないといったような仕組みが考えられるのではないかということでございます。
 これに合わせた形で、大気汚染防止法に基づく排出基準の適用に関しまして、プラントの立ち上げ時等の非定常時の取扱い等に関して整理が必要ではないかということでございます。
 それから、資料をおめくりいただきまして、6ページ目でございます。6ページ目では、社会的な情報共有によるオープンな公害防止管理の促進と環境負荷の低減というのを挙げてございます。これに関しては、情報開示の必要性に関する意見をいただいたところでございまして、それを踏まえまして公害防止管理の促進と環境負荷の低減を図るための新たな手法として、地域における環境保全と地域住民の安全・安心・信頼の確保を推進し、排出基準超過等の不適正事案の防止に資するように、地域社会で事業者の公害防止に関する情報の共有、取組の推進を図っていくことが効果的ではないかということを課題・論点として挙げてございます。
 これに対応する具体的な方策といたしまして、一つ目としては、事業者による排出測定データや公害防止管理体制の公表の推進のための仕組みというのを挙げてございます。二つ目といたしまして、市民・NPO等が地域の環境管理に関わる活動の推進を図ったらどうかということでございます。
 それから、7ページ目でございます。4番目といたしまして、事業者及び自治体における公害防止管理体制の高度化ということで、この点に関しましては非常に幅広いご意見を頂戴していたというところでございます。まず一つ目に挙げてございますのが、先ほど冒頭にご紹介いたしました「事業者向けガイドライン」等を参考にした事業者における公害防止管理体制の整備の推進をさらに図る必要があるのではないかという課題・論点でございます。
 それから、地方自治体が適確に事業者に対して指導を行う上で、排出基準の超過・事故の発生時を含む公害防止管理の体制や排出測定データの管理方法に関する情報を自治体が把握できることが必要ではないかということでございます。
 それから、公害防止管理に携わる事業者や自治体の職員の経験や技術の継承が困難となっているのではないかということで、さまざまな機会をとらえた形で教育、研修の充実を図っていくことが重要ではないかということでございます。
 具体的な方策の例といたしましては、一つ目といたしまして、「事業者向けガイドライン」について普及啓発をさらに進めていく。それから、ベストプラクティスあるいは排出基準超過事例の情報収集、業種横断的な情報提供を図っていってはどうかということでございます。
 それから、2つ目といたしまして、大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法に基づく施設の設置時における届出という手続もございますが、その際に公害防止管理の体制等についても報告をしていただくということが考えられるのではないかということでございます。
 3つ目といたしましては、公害防止管理制度に関してでございますけれども、事業者への広報をさらに進めることによりまして、公害防止管理者に対するリフレッシュ研修を推進していくべきではないかということでございます。
 このリフレッシュ研修につきまして1点補足させていただきますと、前回の会議で眞柄委員の方からリフレッシュ研修に対して自治体の支援、サポートあるいは講師の派遣などを行っているかというお尋ねがございました。昨年度、リフレッシュ研修を実施されてございますが、開催地の自治体において共催などを行っていたり、あるいは研修の中で自治体の施策の講演などを行っていたりということがございます。
 それから、四つ目といたしまして、国及び自治体間での情報交換と教育・ノウハウ継承の推進というのを挙げてございます。こちらに関しましても眞柄委員から環境省の研修所で民間の方々に指導される方への研修というのを行っているかというお尋ねをいただきまして、実際行ってございますのは自治体の職員を対象とした大気環境研修というものがあります。その中で公害防止管理に関する課題も含めた研修を実施しておりまして、自治体の方々が地域に戻った際に、企業の方々にそうした情報を踏まえた研修、指導などをしていただけるのではないかと考えてございます。
 それから、資料をおめくりいただきまして9ページ目でございます。9ページ目では、基準超過時や事故時における地方自治体の機動的な対応の確保というのを挙げてございます。こちらは意見といたしまして、大気汚染防止法に基づく改善命令等が機動性に欠けているのではないかということとか、それから規制対象となっていない水質事故等への対応に苦慮しているという意見がございました。
 それを踏まえまして一つ目でございますが、大気汚染防止法に基づくばい煙を大気中に排出する者に対する改善命令等に関して、不適正事案が発生した場合に地方自治体による機動的な改善指導が図られているかということでございます。
 それから、現行制度において事故時の措置の対象となっている物質や施設以外でも、これらに係る事故により人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがあった事例が発生していると。こうした事故への対処が必要ではないかということでございます。
 具体的な方策の例といたしましては、大気汚染防止法に基づく改善命令等の発動要件の明確化。それから、事故時の措置の対象物質・施設の追加というのが考えられるのではないかということでございます。
 それから、6番目でございます。公害防止法令に基づく事務手続等の合理化という項目でございます。こちらに関しましては、まず一つ目といたしまして、ある施設が複数の公害防止法令の規制対象になっている場合に、例えば代表者が変更になった際に、地方自治体にそれぞれ届出をすることが必要とされているということでございまして、特に中小事業者の皆さんの負担となっているのではないかということでございます。
 それから、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等々に基づく権限が委譲されている政令市の範囲でございますが、それぞれ異なっているという状況がございまして、これにより自治体による監督事務が効率的に行われない場合があるのではないかということでございます。
 具体的な方策といたしましては、一つ目といたしまして、公害防止設備とか排出データの管理の徹底といった、事業者の皆さんが真に必要な公害防止管理の業務に重点的に取り組んでいただけるように、公害防止法令の実効性に支障を来さないといったことを前提といたしまして、届出手続の整理を行うということが考えられるのではないかということでございます。
 それから、関係の自治体の皆さんの意向を踏まえた形で、公害防止法令に基づく政令市の範囲の整合化を図るということが考えられるのではないかということでございます。
 それから、11ページの方には、その他の観点に関する意見ということでご紹介をしてございます。いただいたご意見の中で、中小企業の実態、経済状況を踏まえた検討をお願いしたいといったことや、中小企業に対する促進策を検討することが必要ではないか、あるいは今日の科学技術水準のもとで環境監視をどのように生かしていくかといったこととか、あるいは記録の改ざん、測定ミスだけではなくて、全体の中でどのように管理していくのか。
 それから、立入検査時の対応の迅速化を図るために濃度規制を転換していくことも考えられるのではないか。排出権取引といったような措置と今の検討等をリンクさせるようなことも考えておくべきではないかというような意見も頂戴してございますので、ご紹介申し上げます。資料1の説明は以上でございます。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。それでは、意見交換に移りたいと思いますけれども、意見交換は項目ごとにおよそ10分程度ずつでお願いをしたいと思います。今日、予定の時間が3時でございますけれども、予定で最後までおいでになられない方もいらっしゃいますので、予定をある程度項目ごとに考えまして、皆さんから意見交換をいただきたいと思いますけれども、場合によっては次の項目へある程度の時間で移らせていただきますが、最後に全体的なご意見をいただく場をもう一回設けますので、そういった形で審議にご協力をいただければと思います。
 それでは、まず公害防止対策を取り巻く状況、それから2の検討の視点、3.基本的な考え方、ここまでにつきましてご意見等ございましたら、名札を立てていただければと思います。それでは、和田委員、お願いいたします。

○和田委員
 自治体という立場で申し上げたいのですが、2ページの基本的な考え方の中で3つ目ですか、地方自治体の公害防止監視機能の効果的な発揮ということで、その中で法令に基づく公害防止監視業務の充実ということが書かれているのですが、従前から出ておりますように、自治体の方も経験をしている人間が退職していく、あるいは財政的な問題等がありまして、体制を充実していくというところがなかなか難しい面があります。そういう意味でどういうふうにやっていくかということであれば、効率的あるいは効果的な実施というような言い方、そういう方法がふさわしいのではないかと思います。立入検査等の数を押しなべて増やしていくというのもなかなか難しい面がありますので、どこを重点にやるかということをあらかじめ計画等で決めて実施をしていくということで、効率的、効果的な監視というものが図れるのではないかというふうに思います。以上です。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。吉田説明員、お願いします。

○吉田説明員
 一番最初の取り巻く状況の丸の三つ目のところですけれども、ちょっと表現が理解しにくいと思います。要するに「大気汚染防止法や水質汚濁防止法の排出基準の超過や」となると、ここ数年そういう事案が起こってきたというふうに見えて、今までは問題としてこなかったというふうに読めるのですが、そういう意味ではないですよね。だから、ここはデータの改ざんの方はいいとして、この超過のところの表現はもし改ざんだけを言うのであれば、ここは排出基準を超過した測定データの改ざんということになりますし、悪質な超過があるということであればそういう表現になると思いますが、その辺の表現の仕方を工夫していただきたいというのが1点です。
 それからもう一点は、基本的考え方のところで四角のところに私どもが前回発言したような意見がかなり反映されていると思っているのですが、主な意見のところにちょっと気になる表現がありまして、その辺の中身を確認させていただければと思います。
 例えば、4番目のポツのところの「新しい仕組みに抜本的に見直す必要の時期」に、抜本的に見直すという表現があるのですけれども、ここは教育とか、あるいは自主的な取組を促進するということに重きをかけていくということで抜本的と理解していますが、そういうことでしょうかということと、それから3ページ目の下から二つ目のポツの「ベストプラクティスを促すとともに」というのは後にもあるのですけれども、ここはベースの取組を支援するというのがベストプラクティスであると思います。要は、自主的に事業者が取り組むということを促すということがベストプラクティスなのではないかと思っていますので、そういうふうに理解したいと思っています。以上です。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。続きまして、石崎説明員、お願いいたします。

○石崎説明員
 ありがとうございます。日化協の石崎でございます。ほとんど吉田委員と同じページなんですが、2ページ目の3.基本的考え方という枠組みがあります。このところの枠組みに4つの矢印があるわけですが、2つ目の矢印、公害防止法令のルールと何とかかんとかと書いて、そして矢印、「事業者による」というところ、「取組を促すため、事業者が取り組む上で遵守すべき法令」とあります。法令に遵守すべきという部分と遵守しなくていい法令というのがあるんでしょうか。非常にこの表現は、かちんと来る。法令はすべて遵守すべきなんですよね。したがって、ここは事業者が取り組む上で必要な法令の内容をできるだけ簡単明瞭にするというような表現にしないと、ここのところは遵守すべきという格好が何か、そんな別の法律があるような部分が読み取られるということが1点、非常に気になる表現であります。
 それから、主な意見というところに移りますが、2ページ目の一番上、「公害は、克服すべき問題から、やって当たり前のものにフェーズが変わってきた」、やって当たり前という格好になると、公害防止管理者はやって当たり前だから、社内での人間もうまくやっていたら誰も評価しないよ、という意味にもとられるんですね、これ。この表現は非常に工夫しないと、企業におる人間にとってみるとモチベーションが物すごく下がる表現だというふうに思います。こういう表現は注意して書いていただかないと非常に困る、そういう2点の部分であります。
 あと、2ページ目の一番下、「行政指導の強力さが」、行政指導というのは法律の中ではできる限り少なくすべきだというふうに確か法制上はなっていたように思います。それを強力さがとなると、行政指導を非常に強めていいというふうにも法制度上は見えるので、この辺の表現も少し変えていただきたいと思います。以上でございます。

○坂本小委員長
 ありがとうございます。

○浅野委員
 今のご意見についてですが、表現を変えることについては一向に構わないのですけれども、例えば遵守すべき法令の内容を、ということなんですね。どういうことが遵守しなければならない内容かということをここでは書いているのであって、法令遵守をしなくてはいけないのは当たり前だからここで書くのはおかしいというご意見ですが、それは書きぶりの問題ではあるけれども、でも法令の中で何がポイントなんだ、どこを遵守しなきゃいけないかが極めて曖昧模糊としていたり、法律によってはほとんど通達をみなければ具体的な遵守事項がわからない、というようなことがあると実際に現場でお困りでしょうから、それはやめましょうという趣旨でこれが書かれていると思うわけです。ですから、その趣旨がわかるように表現を変えるということであるならいいと思いますが、削除というのは適当ではないと思います。
 それから、主な意見というのも、これはまとめ方の問題もあるんでしょうし、これに対していろいろ反論があるのは当たり前ですが、こういう意見が出たということが並べられているだけですから、その中に気に入らない意見もあるかもしれないとは思うのですが仕方ないですね。
 ただ、公害は、かつては克服しなくてはいけない問題、今は、それはもう当たり前でしょう、とだから、やって当たり前というまとめ方は適当でない。多分この発言をされた方の意図は、かつては克服しなきゃいけない大変なテーマだった。しかし、もう完全に克服されたので、今はもうそんなことは気にもしないという状況になっていることが問題である、というご趣旨の発言であったと思います。ですから、モチベーションが上がるか下がるかの話じゃない。その点について誤解をうけるような記録であってはいけないので、そういう誤解を受けないようなまとめ方を事務局はすべきだということだとは思います。

○坂本小委員長
 大塚委員、お願いします。

○大塚委員
 3.基本的考え方のまとめ方ですけれども、私はこれで基本的にいいと思っていまして、今のご議論があったようなところですけれども、ちょっと誤解を招くような表現という問題は全くないわけではないかもしれませんけれども、それは読み方の問題になるかと思いますが、ルールの明確化というところが極めて重要ではないかということがございますし、自治体の取組というのも効果的な取組ということが重要になっているのではないかと思います。行政指導の強力さというのは、かつては強かったという話で、今はそれほど強いわけにいかないということでこういう書き方がしてあると思うので、そういう意味では特に問題というふうには私は感じませんが、基本的にこういう考え方でよろしいのではないかと思っております。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。そのほかございますでしょうか。よろしければ次の方へ移らせていただきたいと思います。どうぞ、浅野委員。

○浅野委員
 これ、今日は議論のためのたたき台でこういうことになるのだろうというふうに私は単純に読んでいますが、最終的な仕上がりもこういうパターンでまとめの中に主な意見というのが記載されるかということは心配です。ここはあくまでも意見として出されただけですから、当委員会の報告をまとめるときにはやっぱり一貫したものにしなくてはいけません。このままで出るわけではないという理解でいいのですね。

○坂本小委員長
 今日は、それぞれのいただいた主な意見、そういうものを考慮してこういう形にまとめましたということで、場合によっては下の方に主な意見に入っていて、重要なものが上の中に入っていなければ、むしろそういったところをご指摘いただいて、最終的なまとめに反映させていただくということでございます。

○浅野委員
 その辺がちょっと、最後の報告書がこういう書き振りになるのだと思って読むといろいろ気になってくるでしょうから、確認をしたまでです。

○坂本小委員長
 眞柄委員、どうぞ。

○眞柄委員
 非常に基本的なスタンスになるのかもしれませんが、水濁法の関係で言いますと、いわゆる暫定業種、そしてある特定の業種に係る暫定基準というのがあるわけですが、これを見直してきたことがないんですよね。今の不適正事案も要するに暫定がかかっている業種の方がいわば排出規制を達成できないのか、あるいは一律基準のものが達成できないのか、そこらあたりもよく考えておかないと、表現は悪いかもしれませんが、一律きちっと守っている。でも、暫定の人たちはもう10年前から暫定のままで、先ほどのベストプラクティスじゃありませんけれども、そこまでジャンプしていない、そういうところもあるので、我々、国全体の規制をどうするかというときに、やはり暫定の問題も一応念頭の中に私は置いておくべきじゃないだろうかなという気がいたします。
 それから、いわゆる公害規制の関係で言いますと、間違っていたらすみません、直していただきたいのですが、悪臭に関しては市町村がうちの区域を悪臭防止法の対象にするかしないかというのは、市町村が決めることになっているわけですね。そうすると、同じ公害取組の中でも県が、あるいは横出し、上乗せを、一方では、ある法律に関しては市町村の判断に任せられているということで、必ずしもすべての公害規制のあり方が統一的になされていないという問題があるんじゃないだろうかと。
 私自身も悪臭のことで関与したことがありますけれども、水濁法は全部満足している。でも、その地域の人たちは悪臭防止法に違反しているんじゃないかと。でも、そこの町は、いやそれは適用していませんと。結局、調停に入ったわけですけれども、そういうふうに規制のやり方自体も必ずしも統一されていないということもあるということを念頭に置いておかないと、産業界の方たちからいろいろなご批判が出てきて、収拾がつかなくなる可能性もあるんじゃないかという懸念を持ちますので、基本的なスタンスのところでそこらあたりも考えていくべきじゃないかと思います。

○坂本小委員長
 ありがとうございます。はい、どうぞ、浅野委員。

○浅野委員
 おっしゃるとおりだと思いますが、ただし騒音と悪臭は感覚公害なので極めて属地性が強い、だから地域に決めさせるという仕切りの中で悪臭も市町村になっているんだということを、確認しておく必要があると考えます。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。それでは、続きまして次の部分に移らせていただきたいと思います。次のところの4.課題・論点と具体的な方策の例ということでございますが、これは(1)から(6)までございますけれども、(1)と(2)、それから次に(3)と(4)、次に(5)と(6)という形で分けてご意見をいただきたいと思います。
 まず、(1)事業者による法令遵守の確実な実施と(2)事業者の自主的かつ継続的な公害防止の取組に対してメリットが生ずる仕組み、この(1)と(2)につきましてご意見等ございましたら、また名札を立てていただければと思います。それでは、松岡委員からお願いいたします。

○松岡委員
 ありがとうございます。私ども、実際に現場サイドの感覚といたしまして、まず法令等の確実な実施の部分ですけれども、前回もお話がございましたが、社会全体がやっぱり意識というものが希薄化しているということですね。これは本当に肌で感じるところであります。その希薄化の中でやっぱり公害問題というのは健康を守る上で非常に大事なことですから、ぜひともここの罰則規定を設けるとか、そういった手だてというのは、やはり今後も将来にわたってそれを担保していくという意味、緊張感を保っていくという意味でもぜひともこれをやっていただければと考えてございます。
 それから、次の2点目のメリットが生ずる仕組み、これは実際に私どもの現場で起こった例なのですが、市内の企業というのは非常にまじめにやってきておられます。ちょっとしたことでも報告に上がられます。私どもの方に報告に上がって、さらに言えばデータがオーバーしたらサンプルを改めてとっておくとかいうことまでやっているところが、それをもって逆にそのデータがオーバーしている、またそのサンプルをチェックして、お前は違反したということで海上保安庁から条例まで適用されて非常にいろいろとやられたと。
 これじゃ全く正直者が馬鹿を見るというか、我々の今の考え方というのはあくまでもそこに、まさに自主管理というのはそこの中でずっとしっかりとしたマネジメントができるようにということですよね。その中で話し合っていきながらやっていくという、それでもって信頼関係というものが醸成されて次につながっていくという意味では、ぜひともここに改善命令を、直罰じゃないような、そういった措置というのは他の省庁との連携も含めて必要なのではないかと考えてございます。以上です。

○坂本小委員長
 ありがとうございます。続きまして、渡邊説明員、お願いします。

○渡邊説明員
 ありがとうございます。4ページ目の枠の中に囲ってあります具体的な方策の例の3つ目の丸でございます。転記ミス等の非意図的な行為に対する罰則適用の取扱いに関する整理ということで、先程ありましたように改ざんに対する罰則というのが、抑止力があればそれは必要なことかと思います。
 ただ、私どもも数年前に不適切事案ということでいろいろ洗い出しを行って、その中で何万件というケースについていろいろ調査しました。その中でやはり転記ミスとか未記録とか、本当にデータ間違いとかいうことはかなりの数が出てきております。そういう意味からすると、非意図的な行為なのか、意図的な行為なのかというところは非常に難しいことだろうと思います。ですので、この辺は十分ご検討いただきたいというところでございます。
 それから、次の5ページのところのこれも枠の中の具体的な方策の例の2つ目の丸でございます。大気汚染防止法に基づく排出基準の適用における、プラントの立ち上げ時等の非定常時の取扱い等に関する整理、これは一つの例でございまして、やはりいろいろな法律がどの範囲で適用されるのか、それから例えば細かい話で排出基準というのが瞬時なのか1分値なのか1時間値なのか。1時間値でも例えば正時から正時なのか、任意の1時間値なのか、現場に行くとそういう細かい部分が非常に重要でございまして、そういうものが不明確なまま運用されると現場で大変困るということがございますので、そういうのをぜひ統一していただきたいと思います。ここには大防法の例を書かせていただいているとは思いますけれども、一つの例だということでご理解いただきたいと思います。以上でございます。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。松尾委員、お願いします。

○松尾委員
 私はね、5ページの表の中にある「排出基準超過が判明したときには」のくだりなんですが、要するにさっきの参考資料で見せられたものでも、それから事故的にというか不注意の書き間違いによるミスみたいなものと、それから施設がそもそもなかったとか、L、M、Nみたいなものとは基本的に違うんだろうと思うのですね。ですから、自主管理で直罰を外すというのも私はいいと思うんだけれども、何か状況が2種類あって非常に悪質というか問題がある不適切な事例と、それから一生懸命やっているんだけれども、少しおかしかったとか運転を間違えたとか、調べ方を少し変えたために何かしたとか、そういう事例と少し分けてきちっと書かないと、両方同じにしちゃって両方自主管理でというのはちょっとどうも対応が違うんじゃないかという気がするんですね。ですから、やっぱりそこは明らかに直罰でいくべきレベルのものと、そうじゃなくてある意味では自主管理的な方法をうまくやってくださいとか、立ち上げ時の問題とか、そういうことは何かレベルが違うような感じがするので、そこはもうちょっと明確に区分けしていただく方がいいんじゃないかなという感じを持ちました。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。大塚委員、お願いします。

○大塚委員
 私も似た意見だと思うのでついでに申し上げさせていただきますけれども、5ページのところで自ら排出基準超過があったことを届け出てきたという場合には、排出基準違反に関する直罰規定を適用しないというのはいいと思うのですが、ただ、今、松尾先生がおっしゃったように、悪質な場合というのはなくはないかもしれない。ここにいらっしゃるような企業の方ではないんですけれども、ないとは言えないので、例えば都道府県の方に健康被害とか生活環境被害を生じたか生じていないかということを認定させて、生じている場合は除くというようなことを考えた方がいいのではないかという気がします。
 基本的に直罰規定とこういう自主的に排出基準違反を届け出るということとはちょっと相容れないところがないわけではないので基本的な考え方としてはこれでいいと思いますが、ただ健康被害を起こしたり、生活環境被害を起こしてしまって、それで排出基準違反をしたといって届出をしてきてもらっても、ちょっとそれで直罰を適用しないというわけにいかないと思いますので、そういう場合もあるんだということは明記された方がよろしいのではないかと思います。
 それから、もう一点でございますが、先ほど4の(1)の方についてご説明いただきましたが、水濁法とか大気汚染防止法で1970年に直罰の規定が入ったときに、特に水濁法はそうですけれども、直罰規定を入れると同時に、当然、測定はしてもらうと、測定記録をつけてもらうということだというふうに期待をしていたということです。それは測定記録をつけていないとご自身に直罰がかかってしまうと困るので、当然つけてもらうだろうということだったということですが、その前提として強調しておかなければいけないのは、70年の直罰規定が入る前は測定記録義務違反に関しては罰則規定がありました。だから、もし直罰規定の方を若干動かすときはそれとともに、罰則規定をやっぱり復活するというのが当然あるべき姿だと思いますので、それまではあったということを申し上げておきたいと思います。以上でございます。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。続きまして、浅野委員、お願いします。

○浅野委員
 松尾委員のご発言と、私が考えていることは同じような内容です。繰り返しになって申し訳ないのですが、まず転記ミスなどの非意図的な行為についての罰則適用というのは、これは論理的に言うとそもそも言わずもがなのことで、過失犯処罰の規定がない限り故意犯以外は処罰できないわけですから、非意図的なものについては処罰できないのは当たり前です。しかし、確かに松尾委員が言われるように、この点を正面に出してくるとみんな「私は意図的ではありません」と言って逃げてしまうおそれがありますから、そこをどうするかという点は、これは最終的に立法の段階ではかなり考えなくてはいけないだろうと思われます。通常、こういうようなところを逃げるために「外形でみなして」ということもやるのですが、ここは工夫が要るということだと思います。
 それで、結局のところは、松尾委員が言われたことと同じですが、別の言い方をすると構造的にやっているのか、それとも偶発的に生じたことなのかという見極めができればいいわけです。もともと直罰だろうと何だろうと立法時に考えられていたことは、そもそも公害としての侵害行為は継続的に発生するという大前提があって、事故型の環境汚染行為のように瞬時に起こるようなものまでは公害という概念の中に入れていなかった。もっとも、私は「事故型公害」というようなことを論文に書いたことがありますので責任がないとはいえませんが、もともと継続的に続いているようなものが本来は公害として扱われていた。だから、それをやってはいけませんよ、やったら処罰しますよと、こういう話であったわけで。
 だからこそ直罰ではなくて、まずは改善命令を出して、それでも言うことを聞かなかったら罰するのだというやり方から出発していた、というのも、要するに設備に欠陥があると、先ほど松尾委員もおっしゃっていたような、そういう場合はとんでもないので、ちゃんと設備を整備せよということが目的だったんだと思われます。
 したがって、もう一度、事故型のものというのでしょうか、偶発型のものは本来処罰の目的の対象とはされていなかったんだということを何らかの形で明らかにしていくということにして、そこはちょっと考えさせていただきたいし、どのように法技術的に表現するかはなかなか難問だろうとは思いますけれども、整理をする必要があるだろうと思います。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。続きまして、石崎説明員でしょうか、お願いいたします。

○石崎説明員
 ほとんどの先生がおっしゃったことについてはほとんど異論がないのですが、また私も非常に細かいところをすぐ言いたがる癖がありますので。5ページの方で、具体的な方策の例というところで二つ丸があります。ここのところで2行目に、速やかに自治体に届け出るという部分があるんですが、実際に自治体の方はご連絡いただければいいというふうにご判断になっていると私は理解しております。連絡をきちんと密にとってさえすれば、そんなことはない。要はここのところ、届け出るという形をとりますと、事業者は何か届出書をつくって、また書類を作らないと、というような表現で受け取りがちなんです。ですから、ここは何らかの報告、私は、報告は当然あってしかるべきだと思いますし、報告がなければ信頼は生まれないし、どうしようかの相談も生まれないのです。
 我々企業は、報告・連絡・相談といって、この三つの言葉を報・連・相(ホウレンソウ)と言います。報・連・相をもって事業活動の基本とするというのが我々の基本でありますので、当然ここを届け出るという部分ではなくて報・連・相をやっていただきたいと、こういうふうにお書きいただけるのがベストだと思っております。以上でございます。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。吉田説明員、お願いします。

○吉田説明員
 ありがとうございます。4ページ目のところでは、具体的な施策のところでございますけれども、丸が三つほどありまして、まず罰則を設けるということは異存ないんですけれども、やはりほかの法令も含めてこういう改ざんに対する罰則の運用の公平感について配慮していただきたいということと、それから2番目は水濁法の測定頻度ですけれども、この部分は条例とか協定でいろいろ規定されていますので、実態を調査していただいてどうするのかということもご検討いただきたいと思います。
 それから、5ページ目で、ここはタイトルが自主的かつ継続的となっていますので、両方満足しないといけないのかという疑問があります。継続的なということに関して直接関係ないのかもしれないですが、昨今、環境設備の税制優遇措置がどんどん削られているという状況になっていまして、これは事業者にとっては非常に痛手になる。公害防止設備の固定資産税とかの優遇措置ですので、行政自体がこの部分をもうよしとしているのではないかと現場の方も思う可能性もあると思います。これはそう思わないかもしれませんけれども、いずれにしても減免措置が維持拡大していくことが、自主的に公害防止に取り組んでいる事業者の期待と思いますのでぜひとも維持していただきたいと、これもお願いでございます。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。和田委員、お願いします。

○和田委員
 5ページ目の具体的な方策の例のところでございますが、今いろいろご意見が出ているようでございますけれども、実際に違反があったときに届出をすると。届出ではなくて報・連・相だというご意見もありましたけれども、非常に重要なことだと思っておりまして、私どもの方では既に公害防止協定を締結している企業に対してはこの辺をお願いしているところでございます。どうして重要かといいますと、要するに違反をできるだけ早く解消すること。すなわちその原因を究明していただいて、なおかつ再発を防止すると、ここにも書いてありますけれども、ここが非常に重要な部分でありまして、それをいかに早くやるかということが環境への負荷をなるべく少なくするということにつながるわけでございますので、これについては届出の形式はともかくとして、早くお知らせいただくということが非常に重要だろうというふうに思います。
 また、その次の二つ目の丸ですね、大気汚染防止法に基づく排出基準の適用の時期の問題ですけれども、ここでは具体的な内容については書かれておりませんけれども、例えば立ち上げ時を除外するというようなことがもし行われるということになりますと、やはり法律の基本的な部分を、考え方を変えるということにもつながっていくのではないかというふうに思いますので、例えば測定の時期、方法の部分で例えばその施設の稼働の代表的な時期を測定の時期にするとか、そういう方法で配慮をしていくことがいいのではないかと。要するに、適用を除外するということになりますと、どこまで、どの範囲をというようなことで非常に問題になってきますし、実際、法律を運用する立場としても非常に難しい面も出てくると思いますので、そんな扱いをすべきかなと思います。以上です。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。ただいまさまざまなご意見をいただきましたけれども、かなり現場の方と、それからいわば法律の基本的なところ、それから一つのことだけでは、今すぐの話で言えば、立ち上げ時であってもそれが継続的に長く続くような問題は、当然これは環境負荷が大きくなるから困るわけで、いろいろなところを関連させて考えなければいけないようなところをさまざまご指摘いただいたというふうに思います。
 続きまして、次に移らせていただきたいと思いますが、(3)の社会的な情報共有によるオープンな公害防止管理の促進と環境負荷の低減、それから(4)の事業者及び地方自治体における公害防止管理体制の高度化、ここにつきましてご意見等ございましたら、また名札を立てていただければと思います。松尾委員、お願いいたします。

○松尾委員
 ここに書いてあることで大体尽きているのかもしれません。私が前回申し上げた中でキーワードだけですが、環境週間か何かの中に公害防止の日みたいなものを定めて、そのときには工場等を周辺の地域の住民の人に開放して、どういう施設でどういうことをやっているんだというようなことを説明するような、そういう公害防止の日みたいなのを制定したらどうかというようなことを申し上げたつもりです。
 私はどこか、主な意見でもいいのですが、そういうものをもう少し具体的に書いていただくといいと思います。地域住民とのリスク・コミュニケーションの中に入るかもしれませんが、もっと直接的に、恐らく大企業は環境報告書とか、そういうのでやるということになるんでしょうが、恐らく問題の中小企業は、そんな環境報告書をつくるとかホームページ何とかというのは、多分できないんじゃないかというような気がするんですよね。負担が大き過ぎる。だったら、1年に一遍、工場を開放するから見に来なさいというぐらいの地域密着型の対応はあってもいいんじゃないかというふうに思うのですね。もしデータを見たければ出してあげますよと。
 ですから、そういう意味での公害防止の日というのを環境週間か何かに1日設けて、その日には日本中、全ての工場が前の日に掃除しても何でもいいから、1年に一遍きれいにして、次の日は地元の人に見せると。どうやって処理をやっているんだというのを見せるような、何かそういう雰囲気ができると私は工場側も多分意識すると思うし、地元の人も見に行ってよかったねと、煙突は大丈夫なんだね、排水口は大丈夫なんだね、ということで理解が進むんではないかという意味で、公害防止の日の制定というのをキーワードとしてちょっと入れてもらえるとありがたい。
 それから、もう一つの方の7ページの方ですが、公害防止管理者の問題なのですけれども、私は生産する側の責任者が公害防止責任者、管理者は資格があるのでいつも工場長が、生産側の責任者が管理者になれるとは限らないかもしれないのですけれども、私は公害防止の責任者というのは生産する責任者が持つべきだというふうに思うのですね。
 私がちょっと関わったもので、製鉄工場なんかで工場長が最終的な責任を持つということを宣言されて、その方は二つの携帯を持って、一つは工場の中から何かあったらいつでも電話をもらうんだと、それを持ち始めてから非常に意識が変わったという話も聞いたことがありまして、私はそういう制度というか、公害防止の管理の実態のところにそれを意識的にもう少し明記できないのかと。中小企業の社長だったりするかもしれませんが、社長が公害防止の責任者だと、工場長が責任者だと、そうすると私は公害に関する意識が企業の中で随分変わるんじゃないかというふうに思うので、公害防止管理者というのと企業の公害管理の責任者というのを少し分けられるような仕掛けがあっていいのではないかということをちょっと追加して申し上げておきたいと思います。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。続きまして、順番でいきますと眞柄委員が先に挙がっていたでしょうか、お願いいたします。

○眞柄委員
 ありがとうございます。私が申し上げたいことは、環境部局と事業者だけではなくて、例えば河川でいえば河川管理者もやっぱり情報共有の枠組みの中に取り組んでいかないと、先ほどの報・連・相じゃないですが、事故が起きたときに私が関係している水道の分野で言えば、水道の利水者に通報があるのは河川管理者であり、あるいは地域の住民の方々が水道事業体に油が流れているとか、あるいは急に濁った水が来ているよという通報をしてくださるわけです。そういう意味では、環境部局に連絡なり通報がいったときに、あるいは河川管理者も、あるいは利水者も情報が端的に共有できるような仕組みも枠組みの中に入れて考えていかなきゃいけないだろうと思います。
 実は、そういうシステムが機能することによって、事故で利水者なり生態系に影響を及ぼした事業者の方が後に発生する賠償責任の大きさが大きくなったり小さくなったりするということであります。したがって、繰り返しですが、そういう枠組みを考えていただきたい。WHOでも、あるいは日本の水道でもそうですが、利水者が流域の中にある特定事業所の場所、そしてそれぞれの特定事業所がどういう排水を出しているかという情報まで持っていないと水源保全が機能的に動かないよということを言っておりますので、そういう観点からの枠組みをもし従来の枠組みに変更を加えようとするのであれば、そこらあたりを考慮していただきたいと思います。以上です。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。吉田委員、お願いします。

○吉田委員
 6ページの具体的な方策の例の二つのことに関連して、私自身、北海道から来ていまして、さっきの事例の製紙会社とか電力会社に行って一緒に説明を聞いたことがあって、非常に気がついたのは、特に北海道の場合は規制が緩くて、要するに一次処理した水の場合はしなくてもいいというので、それは条例がそういうふうになっているからいいんだということで、愛知県なんかに行くと同じ会社でも三次処理までやっていると言って、要するに環境基準がこんなに違うのかと。国で決めたやつに対する上乗せをちゃんとやって厳しく軒先がすぐ来ているところと、いや北海道だから広いんだからいいという話で自治体も強く言わないし、住民もそれが当然だと思っているということで、要するに環境基準がそれぞれ物すごく違っていて、違っていること自体はそんなに問題ではないと思うのですけれども、それに対する説明があまりよくされてなくて、それでそういう事例を幾つか私自身が経験しましたので、ここのデータの公表とかは非常に大事なんですけれども、そのときになぜこの値になって、これでいいのかとか、そういう説明もしないといけないのではないかと常日ごろ思っているわけです。これが第1点です。
 それから、第2点はその下にある市民とNPO、これは非常に大事でして、いわゆる環境問題対処能力を強めていく上でも、今、眞柄先生がおっしゃったように、行政の縦割りをなくして連絡を密にする事業者とやっぱり地域住民というのが一体にならないとよくならないと。その際、私も最初に言いまして、それから藤井さんが言われたと思うのですけれども、リタイアした人たちがいるわけですね。自治体で関わっていたとか、会社で関わっていたという人たちが実際には随分いて、そういう人たちも含めて退職後に市民がそういうことに関わることについてもっと積極的に何かを連携したり、先程の公害の日ではないですけれども、そういうのに有用な人材をうまく活用できるような制度もつくっていく必要があるのではないかと、この2点をちょっと申し上げたいと思います。以上です。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。大塚委員、お願いします。

○大塚委員
 ありがとうございます。7ページのところで、これもさっき松尾委員がおっしゃったことと関係しますが、公害防止管理者とか、あるいは公害防止組織整備法については主な意見のところにも幾つか意見が出ていますし、身分保障とか、あるいは公害防止管理者から使用者、社長とかに対する提案権を与えるということはドイツの方では法律にしていますので、例えばそういうことが考えられるのですけれども、さらに本当にトップの人が責任を持つ体制をつくるとか、公害防止組織整備法の方の見直しとか充実化とか強化というのは考えていただくと本当はいいのではないかと思います。
 それがもしできなければ、具体的な方策の例の二つ目のところにあるように、施設の設置時における届出事項の中に入れるという方法も考えられまして、これは次善の策と思わないでもないですけれども、どちらかはやっていただけると大変ありがたいと思っております。以上でございます。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。吉田説明員、お願いします。

○吉田説明員
 ありがとうございます。まず、6ページ目のところの社会的な情報共有によるオープンな公害防止管理の促進という点です。1点、視点が抜けているのではないかと思っていまして、それは地方議会です。私どもは製鉄所がありますので、製鉄所の苦情などは議会に上がってきますし、それで自治体の行政部門と議会とのやりとりというのが必ず行われています。だから、この辺のやりとりをきちんと把握しておく必要があります。地域は地域で公害防止に適切に取り組んでいると私は思っていまして、情報交換もできていると思っています。
 ただ、そのやり方が地域によって差がある。そこに何かベースのものが必要ということであればそういう施策を行うべきと思います。地方での取組、たとえば地方の自治体は白書を出していて、公害の進捗状況もオープンにしています。そういう情報を提供している中で、不適切な事案についての説明が足りないとか、そういう問題はありますので、そういうところはきちんと情報を開示していただいて、共有化するということが大事であると思います。そういう視点をここに入れないと現場の実態が抜けてしまうという感じがしているというのが一つ目です。
それから先ほど松尾先生から製鉄所の話がありましたけれども、大体の製鉄所は製鉄所長が統括者です。したがって、生産も含め全部を統括しているというのが一般的で、本来であれば製鉄所長が止めるということは当然で、きちんと法律に基づいて措置をするというのが重要なことですし、制度としてはあると思っています。それをきちんと製鉄所長が自覚してやるかどうかということが問題なので、それは我々、本社部門とか業界とかが自覚を促すことをやっていますし、そういうことを継続することが重要だと思います。以上です。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。須藤委員、お願いします。

○須藤委員
 どうもありがとうございます。私自身が地方自治体のいわゆる地方環境研究所をお世話する立場にある1人として申し上げたいと思いますが、かつての公害の規制というのは、ご承知のとおり公害研究所というところの職員が測定やら技術開発やら対策というところで非常に大きな貢献をしてきたというふうに私自身は思っておりますが、そのことというのは現在もなお同じではないかと、こう思うんですが、最近の地方自治体のいわゆる地方環境研究所は極めて弱体化をしておりまして、そういう意味で今日いろいろご議論をされているような問題への対応が行政の下請けのような感じでしかなかなか機能できていないのが一般的ではないかということで、ここで高度化とうたうので、この中に地方環境研究所という、今、公害とは使わないですね、地方環境研究所の強化とか充実とか、こういうことをやることによって検証なり、あるいは許可なりできるということをどこかでうたっていただかないと、私自身のところだけ自慢話になっちゃうからあまり言うといけないんだけれども、当方は行政を逆に指導できるように教育をしております。そして、立入はもちろん立入権を持っていないんですが、行政と必要に応じては一緒に立入して測定、それから技術のどこに何を、どういう対策を立てるか、特に大気・水については重点的にやらせておりますので、いわゆる全国的に見るとここが非常に高度化じゃなくて弱体化をしているんです。その逆にいって欲しいということだけお願いしておきます。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。浦野委員、お願いします。

○浦野委員
 二つほどございまして、一つは6ページの問題ですけれども、ここのところはどうも情報公開あるいはリスク・コミュニケーションと漠然とした言葉があるんですが、あるいは退職した経験者をというような言葉なんですが、じゃ具体的に何をやるか、情報公開はわかるんですけれども、先ほどの公害防止の日じゃなくてもいいんですが、市民またはリタイアした経験者等が自ら測定に参加するシステムをつくらないと、行政の立入だけではできないのは明確になってきた。そのときにいわゆる公定法の計量証明つきのようなことはなかなかできないわけなので、主要なものについて例えばNOXだとかSOXとか、特定のVOCとかBOD、CODとか窒素、リンとか、みんな今簡易な測定方法があるわけなんですね。多少精度は落ちますけれども、安くてかなり信頼度のあるものができてきているので、そういうものを自主測定なり、あるいは市民、NGOが測定できるようなガイドブックとか、あるいは補助制度のようなものができると、多くの人たちが図ることができるようになる。そうすると、それをある日、工場の中に立ち入ってやることもできますし、排水なんかだと場合によっては外から排水口で測ることも可能なんですね。そういうことがあるよということでやはり緊張感が生まれて、あまりいい加減なことができない、あるいは情報公開も進む。リスク・コミュニケーションでも、しっかりやっているところはしっかりやっているという理解が得られる。具体的にNPOとか市民がただ見学に行ってパンフレットをもらって帰ってくるというんじゃなくて、何か参加できるような形をぜひお考えいただきたいと。
 それからもう一つは、今の地方の環境研究所の職員の問題ですが、やはり立入権がないということがネックになっている場合があり、気持ちの上でも責任を感じなくなっている。行政の職員と併任みたいな形はできないものだろうかと。併任してしまえば権限ができるわけなので、そういう形で研究所の職員が立入に積極的に参加できる、あるいは責任もあるという形というのはつくれないものだろうかというふうに思うのですが、この辺はどうなのでしょうか。

○坂本小委員長
 これは意見でありまして、少しそういうことに関連しての質問でしょうかね。難しい話かと思うのですが、答えられる部分があれば。

○木村総務課長
 今の最後のご指摘の部分ですが、研究所の職員が立入できるように行政の方に併任をかけるなんてしたらどうかということだったと思うんですが、今のシステムでも立入検査に入れる人は入るための指名をして、行政の手続の中で指名をして立入検査のときにカードを見せて立ち入ることになっているのですが、そういう役割を持つ職員として研究所の人を指名することも今の手続の中で可能だと思います。

○浦野委員
 そうなんですか。すると、ぜひそういうものを促進するというか、活性化する一つの方法として考えて頂きたい。先ほどご意見もありましたけれども、須藤先生のご意見も含めて充実していただきたいなと。

○須藤委員
 今の問題、一言よろしいですか。浦野先生がおっしゃるように、モチベーションが上がるかもしれないんですけれども、自分のことを考えたら、当方の職員がそういう行政的責任まで果たすことは、私は不可能だろうと思うんで、今のように例えば私のところで言うと、環境管理事務所の担当職員について行かせますよね。それで、技術的には当方の職員の方が上だし、測定のことも上なんですが、行くときにはそちらの権限で入って、当方は逃げるわけじゃありませんが、そこで指導はいたします。そういうことにしておかないと、最後の行政責任まで研究所の職員がとることでは、私はないだろうなと。私が所長としてというか、として思えばそういうふうにお答えしておいた方がいいんではないかなと思います。

○坂本小委員長
 ありがとうございます。この辺につきましては、前回、川崎市等ではそういった形で具体的にやっていらっしゃるというお話、それから、また必要なときには今のような形で指定すればできるということであろうかと思います。あと、石崎説明員でしょうか、これでこの項までの質問、意見は。

○石崎説明員
 たびたびご説明するのですが、実はここのところは皆さんのおっしゃることは、企業においても、それから自治体の方においても表と裏の話なんです。自治体の方が立ち入らなくなるから内部が緩むという、実は本当にそうなのです。先ほど一方では、実は昔は環境月間もあったし、6月1日の日もあったんですよね。あったんだけれども、なくなったというところに実は一番の問題があるんじゃないかと。要は、基本的にはどちらも最近入ってこなくなったねという印象がどっちもあるんではないか、そこに問題があるというふうに私は思っています。
 したがって、自治体が悪いとか企業が悪いという問題じゃない。要は、もう一回原点に立ち戻ろうという形をこの中で基本的な緊張的な関係での制度的措置というのか仕組みというのか私にはわかりませんけれども、また元に戻ろうよというふうにやれば直る話ではないのかというふうに私なりには理解しました。
 それと、公害防止管理者の先ほどのお話がありましたが、法律の中には公害防止管理者及び統括者というのは明確に書いてあります。これに違反した者は罰則規定があるとちゃんと書いてあります。当然、そこで違反した場合は物すごく重い懲罰がかかっておりますから、法律的にはもうでき上がっているというふうに考えていいと思いますが。

○坂本小委員長
 関連して大塚委員、どうぞ。

○大塚委員
 公害防止管理者の公害防止統括者が工場長であることはもちろん存じ上げていますが、だから社長も加えた方がいいんじゃないかというのが多分さっきの松尾委員のお話だったと思いますし、ここに書いてある身分保障あるいは提案権とか、記録保存とか備え付けの制度的措置とか、こういう基盤となるような細かい規定が十分ではないのではないかという趣旨です。

○坂本小委員長
 大分死角にあるのでちょっと遅れてしまいましたかもしれません。和田委員、お願いします。

○和田委員
 6ページの社会的な情報共有の関係です。測定データあるいは公害防止管理体制の公表の推進ということでございますけれども、中小企業の事業者の方にやっぱり配慮はしなければならないと思いますが、測定結果についてはやはり備え付けていただいて公開をする、あるいは閲覧をするというような仕組みが必要ではないかなと思います。
 また、先程の参考資料のところでも説明がありましたが、ホームページ等もありますので、そういった形で測定データを公表していくということは非常に重要だろうと思います。これはデータを公にすることによって、やはり公害防止管理者の責任ということも重くなりますし、そういう意味で社内での地位といいますか、そういったことも上がるのではないかということで、その辺の検討が必要ではないかなというふうに思います。
 もう一点、7ページでございますけれども、具体的な方策の例ということで、丸の2番目のところに施設の設置の届出のときに公害防止管理体制の情報を追加するということが書かれております。非常に必要なこと、大変重要なことだというふうには思いますけれども、単に設置時にそういった体制を自治体が把握しただけでいいのかなというと、ちょっと不安が残ります。
今回、いろいろデータの改ざん等がありましたけれども、公害防止管理体制がやはり十分機能していなかったということが大きな問題としてあるわけでございますので、非常に重要なことは管理体制をいかに生きた管理体制として継続させていくかということになると、やはり研修制度ですか、そういったものをある程度義務的なものにしていく必要もあるのではないかというふうに思います。
 以前は私どもの方でも公害防止管理者の団体の方と連携をしながら研修会とか、そういったものをかなり頻繁にやっておりましたけれども、やはり最近ではなかなか頻度が以前ほどやられていないというようなこともあります。その辺はある程度、制度的なものをつくることによって、そういう体制を継続できるのではないかというふうに考えております。以上でございます。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。指宿委員、お願いします。

○指宿委員
 ありがとうございます。ちょっと時間も押し迫っているので一言です。この(3)と(4)だけではないかと思うのですが、四角の中の上の方に書いてあることは結構わかりやすいのですが、具体的な方策の例と書かれている中には具体的な方策になっていないものもかなり含まれていると思います。
 最後のまとめ方の問題だと思うのですが、例えば先ほど公害防止管理者の話が出て、それから公害防止統括者の話が出ています。これらの二つについて、どういう役割でどういう人がやるということは既に今の法律に記述されているわけで、今後どのようにすれば公害防止管理者、公害防止統括者の役割がきちんと果たされていくかという、そういうことに関する具体的な手段を書くべきだと思います。こうした点が全体に抜けているように思いますので、まとめていくときには、主な意見の中に入っている項目に対応して具体的な方策を整理して書くというふうにお願いしたいと思います。

○坂本小委員長
 この辺について、事務局の方から現在までの整理をするに当たって、やや具体的なものはこの後の段階でもう少し考えていくという形でやっている部分があったかと思うのですが。

○木村総務課長
 特に(4)のところについては、環境省が単独で所管している大防・水濁法以外の今話題になっております公害防止管理者、組織法にも関わる部分でもございますので、ここの具体的な方策のところはまだ今の時点では踏み込んだ書き方をできていないというのは、多分、他の項目と比べてもそういう印象をお持ちになったんだろうと思います。
 それで、これまでいただいたご意見は下の方に書いてありますが、本日もいろいろなご意見をいただきましたので、次回までにこの部分は事務局としてももっと頭の整理をして準備をしていきたいと思います。

○坂本小委員長
 ありがとうございます。今お話がございましたけれども、例えばどういう形の仕組みをつくるとは書いてあるので、じゃその仕組みはどういうものなのかというところまで踏み込んだ形では書いていない部分が相当程度ございます。そういったものである程度考えてすぐ書けるものと、そうでないものとの難しさがあるという部分もここには反映しているわけでございますけれども、今、事務局の方から答えましたような形で、次回にはできるだけそういった方向で書くようにしたいと思います。
 続きまして、時間がございますので申し訳ございませんが、次へ移らせていただきたいと思いますけれども、基準超過時や事故時における地方自治体の機動的な対応の確保と、公害防止法令に基づく事務手続等の合理化、これに関しましてご意見等ございましたらいただきたいと思います。
 浅野委員は用事があるようでございます。先に意見を聞かせていただきます。どうぞ。

○浅野委員
 ありがとうございます。(5)の9ページ、ここの改善命令の発動要件の明確化あるいは改善命令がもっと機動的に発動できることが望ましいという、この議論ですが、やはりこの問題も先ほどの最初の話と連動すると思われるのですが、現行法の改善命令は明らかに、読んでみると、私が申し上げた構造的に違反が続いているような場合に改善命令をかけるという色彩が非常に強い。ですから、一過性の事後的なものについてということを意識していないのではないかと感じます。ですから、この議論は二つのことが一緒になっているかもしれない。
 とりわけこの整理は次回までに直しておかなくてはいけないと思われますが、不適正事案という表現ですべてをくくってしまっているので、要するに形式違反、それから実質的な構造的な違反あるいは一過性の事後的なもの、あるいは非意図的なものが、全部入ってしまっていますね。それらについて一切合財ひっくるめて機動的な改善指導というのでは話になりませんので、これはそれぞれのどういう場合にどうすればいいのかということを整理しなくてはいけない。そうしないと、法令をどう直すかということについても答えが出てこないと思うわけです。ちょっとこれは、あまりにも荒っぽ過ぎるという気がしましたから、先ほどの議論を踏まえまして(1)、(2)の話とちゃんとこれがつながるように整理をしていただかないと、この後の議論が行き詰まってしまうと思います。
 現行法の枠は、繰り返しになりますが、私の理解では構造的な問題を取り上げていると思いますので、そうじゃない問題について、例えば事故時の措置というような場面での条文をどう手直ししなきゃいけないかとか、あるいはもっとこういう場合には何かできるようなことはないのかとか、多分、直感的には法令を追加するような形で何か手直しをしないと、ここはクリアできないんじゃないか。現行の改善命令規定をいじるということでは、うまくいかないだろうと考えます。

○坂本小委員長
 ありがとうございます。どうぞ、大塚委員。

○大塚委員
 これ、第1回目とかに私が言及したことでもあるので、申し上げさせていただきます。ここに書いてあることが恐らくですけれども、現在、大気汚染防止法の改善命令の要件として健康被害、それから生活環境被害というのを挙げていて、水濁法には挙げていなくて、大気汚染防止法でそれが挙がっているのでほとんど改善命令ができないということがあるので、その件に関してのことだと思います。多分、これを見ただけではあまりわからない書き方であることに問題があるかなと思いますけれども、その点です。多分、浅野先生が今おっしゃったことの一部はそれで解決できるのかなと思いますけれども、恐れ入ります。

○浅野委員
 いや、だから多分、別の条文をおこすことになるだろうと。

○大塚委員
 その要件を削ればいいかということですね。

○浅野委員
 それで解決できるかなと、先々のことだから。

○坂本小委員長
 その辺につきましては、冒頭の方でも石崎説明員か吉田説明員だったでしょうか、不適正事案でいわば基準を超過したのか、それから申し合わせか協定事項の値を超えたのかとか、そういったところで全然違う部分もございますので、いろいろなものをまさに意図的に設備がつくられていないままの状況で操業したようなものと全く区別して考えなければいけないということであろうかと思います。この辺につきましても整理をさせていただければというふうに思います。どうぞ、ご意見等ある方は名札を立てていただければと思います。その他ございませんでしょうか。吉田説明員、お願いします。

○吉田説明員
 ありがとうございます。9ページのところの上から2番目の丸ですけれども、「これらに係る事故により人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがあった事例が発生しており」とありますが、具体的にどういう設備が対象になるのかに関係してくると思うのですけれども、具体的にどういうことなのでしょうか、教えていただければと思います。

○坂本小委員長
 これについては具体的に何を、どういったことを指しているか、ありますでしょうか。

○伊藤審議官
 これは別途資料をご用意したいと思いますけれども、須藤先生の方でやっていただいている水環境保全に関する検討会の場で先日お出ししたのですが、さまざまな物質、水濁法の規制物質以外のいろいろな物質によって魚が死んでいるのではないかとか、あるいは水濁法の規制対象物質の特定施設以外のところからいろいろ出ているというような事例がたくさんございますので、これはまた次回にでも資料をお出ししたいと思います。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。どうぞ、その他このところにつきましてご意見ございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。
 もしよろしければ、その他の観点に関する意見というところでございますけれども、それ以外に全体を通してこういったことを考えてはどうか等々ございましたら、名札をまた立てていただければと思います。それでは、市川委員、お願いします。

○市川委員
 冒頭のお話の中で四角で囲ったところが重要であって、そこが報告になっていくんだと、こういうお話でございましたのでだんだんちょっと心配になってきまして、11ページの上二つのポツについては中小企業への配慮あるいは国の支援、そういったところがどこになるのかわかりませんけれども、ちょっと触れていただきますように、四角、枠囲いの中に入れていただきますようにお願いをしたいと思うのですね。
 それから、先ほど松尾委員の方から公害防止の日ということで工場をオープンにするようなことを考えたらどうかということでございますが、できるところと難しいところと、やっぱり中小企業も420万もあっていろいろとございますので、できるところは自主的にやるというような取組であれば可能だと思いますけれども、仕事に追われて非常に忙しいときとか、今のようにむしろ仕事がなくて困っていると、そっちの方の悩みのところとか、いろいろございますので、自主的な取組というような形であれば可能かなと思っております。
 それから、さっきもちょっと触れられたと思うんですけれども、具体的な方策の例というところがいま一つ、ちょっとぴんと来ないという感じがございまして、恐らく中小企業に影響が及ぶとすると改ざんについての罰則を設けるというようなときに、果たして大防法なり水濁法なりのどこのデータの改ざんについてどれだけの罰則がかけられるのか、あるいはそれに対して中小企業の配慮ということでどれだけ除外をしていただけるのかとか、そういうところ。
それから、業種的にはどういう業種が一番関わってくるのかということで、私どもは事業協同組合、業種別にいろいろ組合を組織しておりますので、そういったところに例えば趣旨を周知徹底すると、あるいは問い合わせるというようなことに際しても、ちょっと今の抽象的な書きぶりですとなかなか、どこの組合に相談した方がいいのかというところもややわかりかねるというようなところもございますので、最終的な報告に至る段階においてはぜひそういったところがもう少し明確になってこないと私どもの内部的な議論もできないのかなと、このような印象を持っております。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。藤井委員、お願いいたします。

○藤井委員
 全体からの印象を申し上げます。スタートのときには市民とか地域とかNPOとかいうキーワードがなかったのですが、この間にそういう形が出てきて、地域の仕組みについても随分言及されて変わったなというふうに思っています。ただ、実際に地域の仕組みが機能的に動くためには、随分まだまだ工夫が要るんだろうなという気がします。
 例えば、琵琶湖でも先ほど浦野先生からもお話がありましたが、行政だけではなかなかチェックは難しいということで市民のチェック能力を高めるというお話がありましたが、赤野井湾を含めて随分と住民は定点観測をしているのですね。ところが、膨大な観測のデータは集まるのですが、そこに専門家が入って解析してくれるとすごくいいデータとして使えるけれども、観測をただ積み上げるだけではやったなということで、そうすると今度、住民は10年ぐらい同じところでずっと観測していると、またこの定点で観測かぐらいになってしまって中だるみがしてしまうと。ですから、多分、地域の中のチェック機能のところにも地域の仕組みが専門家を交えて必要だと思います。
 ただ、琵琶湖・環境科学センターと一緒にやっていたんですが、お金がない、お金がないと知事が言いまして、琵琶湖・環境科学センターの予算も半減だというので50%カットみたいになってしまうと、とてもとても研究者は地域のNPOと連携して地域の環境のデータ解析を一緒にできないというふうになって、この2年ぐらい離れてしまったんですね。ところが、研究者も定点観測のポイントは大変少ないですから、住民が非常に多くの定点観測をしているのは、そう精度が高くはないけれども、合わせていくと全体地域が見えるということでお互いに大変いい関係だったのですが、そこが今ちょっと崩れてしまっていてとても残念です。
 その中でやっていく中でも、私たちは特にCODが高くなったのは何だと調べていくと、たまたま繊維工場から流れていたりとか、においがするとか、養魚場が上にあるとかいうことを見ながら動いているということがあったのですが、先ほど松尾先生のお話を聞いていて、考えてみたら環境月間は今みんなごみ拾いばっかりなんですよね。ごみを何トン拾ったというデータは出るんですが、そこの企業に入ってそこをチェックしたとか、環境の取組を聞いたなんていうのはほとんどその月間にやっていないので、見える化をするためにもぜひ入る、そういうような何とかの日というふうにしてやっていくと、もう一度また住民が地域に目を向けるという、そういうチャンスになるんではないかなということを伺っておりました。地域の仕組みづくりに何か参加できたらいいなと思いながら伺っています。以上です。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。続きまして、石崎説明員、お願いします。

○石崎説明員
 ありがとうございます。先ほどの市川委員の話と実は非常に重複するところがあります。実は、化学工業というのは巨大な中小企業の集まりでございまして、我々の情報は親会社、それから親の団体、それからその下の中規模の団体、さらに下には小規模な団体という格好で情報が流れております。
 結局、非常に巨大な中小企業の集まりでございますので、ここで言うところの測定というのが実にやっかいな問題になってくる。一律にやってしまうと、先ほど市川委員がおっしゃいましたように、これはえらいことになるという危惧感を実は会員の中から聞いております。したがって、水の場合の測定というのは非常に分類がやりにくい。測定項目も非常に多岐にわたりますし、一方では総量規制もあったり濃度規制もあったりする。この辺を一体どういうふうにまとめていくのだという形の一つの意味合いがとれないと、ここから先なかなか進まないのではないかという危惧感を持っています。
 したがって、単に測定、頻度を決めるのがいい、それをおっしゃることは簡単なんですが、どういうふうにするんだというコンセンサスを早く出していただきたい。ここの部分がないと水は非常に動きにくいのではないかと、このように思っております。以上でございます。

○坂本小委員長
 吉田説明員、お願いします。

○吉田説明員
 ありがとうございます。同様ですけれども、届出も含めて、大気汚染防止法も水濁法も条例や協定で、さらにきめ細かに事業者と取り決めされているケースがたくさんございますので、手続等で、例えば条例事項は県へ、法令事項は市へというので事業者が幾つもの行政団体と違った視点でやりとりをしているという状況がありますので、ぜひそういうところをもう少し合理化して効果的にできるようにということをぜひお願いしたいと思います。以上です。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。浦野委員、お願いします。

○浦野委員
 実を言うと、私もほとんど同じようなところの指摘なのですが、4ページの測定・記録義務の対象となる測定項目・測定頻度の明確化と書いてあるんですけれども、先ほどのお話のように、実際に法令の範囲でどうするのか、あるいは条例、協定、あとは自主管理とレベルがいろいろあるわけで、それぞれについて果たして何を測定し、記録義務があるのか、あるいはそれを罰則としてやるのはどこまでなのか、それから業種とか規模とか施設によってそれをどういうふうに整理するのかと、ここのところは非常に具体的にするのが重要なんですね。これをぜひ、全部細かいところは決め切れないかもしれないけれども、考え方はしっかり整理していただかないと、多分行政の方も、あるいは企業の方も、ここのところでいつも混乱する、あるいは誤解をする、あるいは甘く見てしまうというところがあって、うまくいかないんではないか。特に水質関係は多いんですが、大気でも多少有害物についてはそういうところがあるので、ぜひそこはもう一度しっかりしてほしいというのを繰り返しになりますけれども、お願いします。

○坂本小委員長
 岩崎委員、お願いします。

○岩崎委員
 今回取り扱っているのは、一般的なミスというのではなくて、特に悪質的な操作というところに対するチェックだろうと思うんですね。それで、先ほどからずっと出ているような、例えば立入回数を増やすとか、自治体においては、あるいは企業においてはオープンにしていくとか、いろいろなことがあると思うんですけれども、なかなかそういう対策だけでは本当の解決は難しいのかなと。
 私も今までそういう立ち入りの仕事をしてきたわけですけれども、多くのそういう事例にぶつかって取り組んできたきっかけになったのは、多くはやはり中の作業者というか、工場の中からひょっと立ち入っているときに一言、いろいろな話があったり、内部告発というほどのものではありませんけれども、そういうもので知って取り組んできました。あるいは1カ所の調査でもやはり1日ぐらいの立入ではほとんどわからなくて、1週間なり、さらに長いような調査をしていくとか、そのようなことをして一つ一つがわかってくるわけです。そういう意味からいうと、今回の最終的な取りまとめで立入回数を増やすとか、いろいろ出てくるんでしょうけれども、そういうことから本当に実質的な効果があるのかを見極めたいとは思いますが、難しいと思います。先ほどから出ていますように、例えば地方自治体のポテンシャルを上げたいというのは私も同意見でございまして、それには今やっぱり具体的にあるのは研修制度、環境省も研修所を設けていますので、そういうところで徹底したそういうノウハウなり、そういうものを自治体の職員に研修で広めていくということが大事かなと。
 今回、事例のところでチャートを切り貼りして提出してきたという事例が先ほど紹介ありましたけれども、切り貼りを見抜いた人も大変だと思いますけれども、コピーをとるとなかなかわからないんですけれども、やはり動きだとか、ちょっとした微妙なところでやることは幾らでもあるわけですね。それから、中央制御室を見たから、立ち入ったからといって見ても一切わかりませんで、中央制御室のデータというのは現場の測定器のあるデータと中央制御室の指示値が違うことは幾らでもあります。ある一定以上のオーバーになると、中央制御室のデータはいわゆる測定不良とかいう形でダウンすることもあります。ですから、そういう意味での地環研のポテンシャルを上げる意味での研修制度を特に力を入れていただきたいというふうに思っています。以上です。

○坂本小委員長
 ありがとうございました。ただいま今日の審議事項で皆様からかなりさまざまなご意見をいただきました。今回、具体的な方策の例と書いてあるところについて、必ずしもまだそこまでいっていないではないかというような形で注文をいただいたわけでございますけれども、中にはある区切りもしくはある分類をしてどういうことをすべきだという程度しか書けないものと、それから具体的な形で書けるものがあろうかとは思いますけれども、今日いただきましたご意見、それからこれまでの議論を踏まえまして、小委員会の報告書を次回までにつくらせていただきまして、それを次回、皆さんにご意見をいただき、その次には最終的な報告書案になるような形で議論をお願いしたいと思ってございます。
 具体的な方策につきましては、こちらの方でも必ずしも現場に精通しているわけではございませんので、現場等でもし具体的なこういうことがあったらいいだろうというようなことがございましたら、今週一杯ぐらいだったらあれでしょうか、そういった意見を事務局の方へお寄せいただければ少し考えられる部分もあろうかと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。それでは、次回の方では報告書の素案の議論をいただく予定としてございますので、皆様にはまたよろしくお願いをしたいと思います。それでは、事務局の方へお返しします。

○木村総務課長
 ありがとうございました。本日は、皆様におかれまして非常に熱心にご議論いただき、大変ありがとうございました。本日の議事要旨、議事録につきましては、各委員の皆さんにご確認をいただいた上で公開することとさせていただきます。
 次回、第4回の日程でございますが、事前に調整をさせていただきまして、11月20日金曜日10時から、場所はこの同じ建物の同じ階ですが、萩の間という別の部屋で開催させていただきます。正式なご案内は追ってお送りさせていただきます。
 それでは、第3回公害防止取組促進方策小委員会を閉会とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

午後3時00分 閉会