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温室効果ガス排出抑制等指針検討委員会(第8回)
議事概要


   

日時:令和3年3月15日(月) 10:00~12:00

場所:三菱総合研究所大会議室D / Web会議

   

出席者:

【委員】 (○:座長)

草鹿 仁(早稲田大学創造理工学部 総合機械工学科 教授)

島田 幸司(立命館大学経済学部経済学科 教授)

大聖 泰弘(早稲田大学 名誉教授)

松橋 啓介(国立環境研究所 社会環境システム研究センター環境政策研究室室長)

○安井 至(株式会社バックキャストテクノロジー総合研究所 特別顧問/東京大学名誉教授)

【環境省】

加藤・伏見・駒

【事務局】

池田・中塚・田上・愛甲(三菱総研)

   

配布資料:

資料1 温室効果ガス排出抑制等指針検討委員会について

資料2 排出抑制等指針について

資料3 運輸部門における温室効果ガス排出状況

資料4 運輸部門の排出削減の取組状況

資料5-1 運輸部門における排出抑制等指針について

資料5-2 運輸部門対策メニュー案 出典対照表

(参考資料1)指針の告示

(参考資料2)事業者ヒアリング結果検討会資料

   

議事:

 

1. 議事概要

1.1 運輸部門における温室効果ガス排出抑制等指針のあり方について

環境省より資料1および資料2について説明があった。

 

(草鹿委員)自動車の電動化との関係からは、電力に係るエネルギー転換部門、車載用蓄電池製造に係る産業部門との関係も重要となる。2050年からのバックキャストの観点からは、策定部門における2050年のCO2排出量はどの程度の見込みか。また、パリ協定を踏まえた2050年の80%排出削減目標とカーボンニュートラルとの関係はどのように整理しているか。

 

(安井座長)2050年に向けた具体的取組みは今後の議論に基づき決められていくものと思われるが、国としては首相宣言である2050年カーボンニュートラルが目指すべき方向性と認識している。

 

(島田委員)温対法改正案が閣議決定され、2050年のカーボンニュートラルが基本理念として位置付けられた。本指針の名称である「抑制」はこれまでの温対法で用いられていた用語であるが、「削減」や「ニュートラル」とは程度が異なる。今回の検討会で扱う指針は、まず事業者が実行できる地道な取り組みを積み重ねていくためのリストを示すものと理解している。他方で、今後、指針の名称やコンセプトも含めて見直していく予定はあるか。

 

(環境省)温対法改正に伴い、指針名称の改定は検討している。コンセプトについても検討中であるが、温対法の基本理念を踏まえて、事業者がより広く取り組めるよう指針の見直しを図っていきたい。

 

(大聖委員)運輸部門だけではなく、エネルギー転換部門や産業部門も含めた総合的な取組みが今後重要となる。運輸部門の指針には、改正省エネ法、自動車NOxPM法、グリーン経営認証制度等と重複する面があると考えている。

 

(環境省)指針は、他省庁の法律や公表済みの事業者の取組み等も参考に策定しており、今後も随時参照しながら策定していきたい。

 

(松橋委員)資料2P1概要に、温対法第24条に係る記載があるが、排出量の見える化は今回の指針メニュー案に含まれるのか。また、日常生活で宅配等のサービスを受けることについても、運輸部門に関連する内容であると整理されるのか。

 

(環境省)排出量の見える化は、削減対策メニュー案において、荷主等・貨物輸送事業者・旅客輸送事業者とも「1)温室効果ガスの排出抑制等の適切かつ有効な実施に係る取組」として規定している。

 

(事務局)運輸部門の対策であっても、宅配等他部門にも関連するものはある。それらについては、策定済みの他部門の指針見直しの際に検討したい。

 

1.2 運輸部門における温室効果ガスの排出の状況および削減の取り組み状況について

事務局より資料3および資料4について説明があった。

 

 (大聖委員)省エネ法では、取扱量や台数が一定規模以上の事業者を特定事業者と設定しているが、対象が限定的であり、カバー率が低いことが課題と認識している。指針においては、事業者規模は特定しない方針か。

 

(事務局)事業者の規模による閾値は設けない。一部に限定せず、関連する運輸事業者全体を対象としたいという考えに基づいている。 . (大聖委員)事業者にとっては、多くのメニューがあり、どれを実施するべきか迷うことも懸念される。

 

(事務局)指針の周知も重要な論点と認識している。すべてのメニューを全事業者が取り組めるわけではないため、濃淡をつけてわかりやすく周知する必要があると考えている。

 

(草鹿委員)カーボンニュートラルを目指すのであれば、小規模事業者に対しても取り組みの徹底を求める必要がある。 . (草鹿委員)使用過程では優れていても、製造やエネルギー転換の面で必ずしも優れていないというメニューも含まれていることが懸念される。日本全体で削減していくには、セクター毎に抑制するのではなく、ライフサイクルで評価するのが適当ではないか。

 

(環境省)今回は運輸部門の範囲内での議論とさせていただいているが、部門横断的に減らすべき部分への対応については、別途検討を積み重ねていきたいと考えている。

 

1.3 運輸部門における排出抑制等指針について

事務局より資料5-1および資料5-2について説明があった。

 

(大聖委員)資料5-1P1の自動車NOxPM法に係る記載について、地域を限定した窒素酸化物の削減だけでなく粒子状物質の削減が目的であり、またCO2削減を目的としたものではないため、誤解を招かないよう表現上の工夫を行うべき。

 

(草鹿委員)資料5-1P7No. 47に挙げられた輸送機器燃料・電源の脱炭素化については、エネルギー転換の議論であり、貨物輸送事業者の取り組みとしては難しいのではないか。

 

(環境省)電源脱炭素化については、輸送事業者であっても購入電力の選択や自社施設への再生可能エネルギー電源の導入が可能であることから、対策メニューに含めている。

 

(草鹿委員)指針に取り上げる対策の境界として、購入電力といった外部調達が含まれるのであれば、省エネデバイスについても、製造過程でのCO2削減に資するものを、指針に含まれていなければならないのではないか。

 

(環境省)製造業のライフサイクルCO2評価はこれからの状況であり、現時点では事業者がライフサイクルCO2に優れたものを一般的に選択できる状況には至っていない。一方で、再エネ設置や購入電力の選択については、一般的に取り組める状況と認識している。 また燃料については、バイオディーゼルの取り組みを行っている事業者もいるため排除せずに対策メニューに含めているが、まだ一般的でないという意見があれば改めて検討したい。

 

(島田委員)資料5-1P8P11にあるScope3関連の対策は、指針に取り上げる対策の境界を広げた見方と思われるが、どのような視点でこのScope3の対策を抽出したのか、言及があった方がよいのではないか。

 

(事務局)Scope3は環境省の「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」を参照して作成した。必要に応じて他の対策も検討したい。

 

(大聖委員)隊列走行等の技術は、対策メニューとして掲載しないのか。

 

(事務局)実証実験等は行われているが、現時点では一般的に事業者が実施を選択できる状況には至っていないと判断し、メニュー案への追加は見送った。

 

(大聖委員)高速道路のSAPAで外部電源から供給するシステムがあり、冷凍車や休憩時の長時間アイドリング防止に資する。また、船舶の停泊中電源についても同様のシステムがある。これらについて、メニュー案に追加してはどうか。

 

(事務局)船舶については「停泊中のエネルギー使用の合理化」としてメニュー案に盛り込んでいるが、自動車については対策メニューとして加えていなかった。事業者の取り組みとして、追加することが適当であるかも含めて検討したい。

 

(松橋委員)各事業者の「1)温室効果ガスの排出抑制等の適切かつ有効な実施に係る取組」において「排出量の把握や抑制の効果の把握」とあるが、さらに踏み込んで見える化・開示を行うよう明示的に記載しても良いのではないか。事業者を選定する際に参考とできるため。情報化が進むとサービス単位でも排出抑制につながる選択が可能となると考える。

 

(事務局)現段階での記載では、排出量や抑制効果を見える化して公表するところまでは踏み込んでいないため、他部門との兼ね合いもふまえつつ検討したい。

 

1.4 その他

 

(安井座長)自動車関係では、特に欧州において次世代を見据えた議論が進んでいるが、日本ではまだ進んでいない。船舶ではアンモニア利用等の先進的な取り組みも見られるが、自動車は保守的な傾向が強い印象である。

 

(草鹿委員)自動車単体の燃費改善は進んでいるが、次世代の自動車となると、運輸部門を超えてエネルギー転換部門や産業部門も含めた総合的な観点が必要になる。カーボンニュートラル化のためには、そのような総合的観点も含めて国民を啓蒙する取り組みも必要と思われる。

 

(島田委員)効果検証は必要と認識しているが、シェアリングエコノミーや空き容量の活用、昨今の新型コロナウィルスの影響による旅客の落ち込み部分に物流を充てるなど、合理化の取り組みが求められているように感じる。指針ではこのような取り組みの位置づけはどのようになっているか。

 

(事務局)共有化の観点では、物流の共同輸配送はメニュー案として盛り込んでいる。コロナの影響による人流の減少に伴う直近の取り組みについては、今回のメニューには反映していないものの、この影響が一時的なものか、社会に残っていくものかを見極めて、今後の見直しの際に検討したい。

 

(大聖委員)検討会のアウトプットとして、検討すべき今後の課題を挙げてはどうか。議論になった他部門との関連やライフサイクルでの考え方、自動運転や隊列走行、新しい働き方に伴う移動の変化をとらえた対策等、今後の参考のためにも議論の経緯を残してはどうか。

 

(安井座長)ドイツとスウェーデンでは、高速道路に架線を設けて給電しながら走行するといった面白い技術が出てきている。世界の先端事例を付録として入れても良いのではと思う。

 

(大聖委員)国交省主導のグリーン経営認証制度では、各種の技術や取組み方法が選択肢として設けられており、取組みによる効果を算定できる様式がある。特に中小事業者まで取組みを浸透させるには、実施方針まで示す必要があるのではないか。また、取組みによる効果の評価方法の開発も必要である。指針を実行に移す際には、そのような細かな問題に対してもきめ細かく対応していく必要がある。

 

(島田委員)取組みの促進に向けては、例えば環境省が有する技術開発支援や導入補助等の各種施策において、指針の対策メニューを参照基準として望ましい取組みを示す等、資金ツールと連動させることも一案ではないか。

 

(環境省)指針を分かりやすくしたうえで、どのように支援メニュー等とも組み合わせて如何に中小事業者や地域に対しても伝えていくか、効果的な方法を検討したい。

 

1.5 閉会

 

(事務局)事務局にて本日の議事録を作成し、委員に確認いただく。

 

(環境省)本日の議論を踏まえ、指針の策定を進めていく。今後、告示案を作成の上、パブリックコメント等を経て、告示の改正を行っていく予定。

 

以上


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