【開会及び資料確認】
○森口座長
- 皆様、おはようございます。よろしくお願いいたします。それでは早速ですが、議事のほうに入らせて頂きたいと思います。本日の議題は2つございまして、前半で本日の議事の中心となる「実証事業」について現在の中間報告を行い、後半で比較的時間が短いかと思いますが、初年度から作成をしている「日常生活CO2情報提供ツール」の更新状況について御議論をいただく段取りになっております。
【議題1】日常生活から排出される温室効果ガス排出量の「見える化」の効果実証事業について
- 事務局から資料1にもとづき、効果実証事業の概要について、説明が行われた。
○森口座長
- ありがとうございます。当初は資料全体を通しで御説明いただく予定でしたが、膨大な資料ですので、急遽ここで一旦切っていただくことにいたしました。今回、非常に綿密な実験設計を行っており、この後データの説明に入っていただいても全体像が頭に入っていないと、データが読み取りにくいのではないかと思います。
- ここまでのところで何かわかりにくいところ等ございましたら、御質問をお受けしたいと思います。はい、辰巳委員お願いいたします。
○辰巳委員
- 今回の実証事業の計測対象は家庭全体の電力でしょうか。
○事務局
- グループAとBと大きく分かれておりまして、グループAは世帯全体を測っております。グループBは個別機器です。
○森口座長
- 4ページにも概要を示しております。この後もA、Bというのが何度も出てまいります。Aは世帯全部を測定しており、それプラス冷蔵庫を一部測定している。Bについてはテレビと冷蔵庫を測っているが、全体は測っていないので、AグループとBグループで測定対象が違うというところだけ、ぜひ頭に入れておいていただければと思います。
- あとは、Bの中でも測定対象は同じだが、「見える化」情報を出しているか、出していないかというところで、B-1、2、3のようなサブ番号がついているので、このあたりだけ少し頭に入れておいていただけると、後半部が御理解いただきやすいかと思います。
- それでは、資料の続きの説明をお願いいたします。
- 続いて、事務局から資料1にもとづき、効果実証事業の計測結果について、説明が行われた。
○森口座長
- ありがとうございます。まだ中間的な経過ということです。今日は委員がお2人だけですので、適宜それぞれ発言の意思を示していただいて、御発言いただければと思います。では多田委員、お願いいたします。
○多田委員
- 21ページの「見える化」効果に関する仮説について。この仮説の検証みたいなところが、私が見る限りでは、一部では出ていますが、特にまとまっては出ておりません。これはまだ途中なので、次回ぐらいには結果が出てくると考えてよいのでしょうか。
○森口座長
- この事業全体の目的という意味では非常に重要な御質問だと思います。要所、要所で少し触れていたかと思うのですが、御説明で触れたことと、仮説の関係が明示的にはお話にならなかった。事務局から補足をお願いできますでしょうか。
○事務局
- 事務局としても、この仮説に対する検証という観点で「見える化」効果があるのかないのかという比較、それから検討等も行っているのですが、まだ明確にこうだと言うのは難しい状況で、もう少し分析を進める必要があると考えているところです。
○森口座長
- それは大変重要なところではないかと思っておりまして、余り先走って解釈をし過ぎるのはよくないと思うのですが、例えばこの21ページの見える化の仮説の1番目が、はっきり言えるようになるところまではデータが出ていないというのが私の印象です。
- 一方で、何かきざしがないわけではありませんので、今日はまだ明確におっしゃらなかったのではないか。
- 今年度の事業に関して設計時から少し気になっていたのですが、「見える化」といいながら、モニター世帯が能動的に見に行かないと見えない仕組みになっている。パッシブな状況に居ても、自動的に「ああこうなのか」とか、「よそより多いのか」と見えていれば、また少し違うのかもしれない。ある程度見る意思のある方が見に行き、比較をしてみないと、認知がしにくいので、そういう意味で「見える化」の効果が進みづらい部分もあったのではないかと思います。
- 後半部分の御説明通り、これからはより積極的に見えるような働きかけをするなり、リアルタイムでそれぞれの機械がどの程度電力を消費しているのかがわかるような機器を配布することで、より「見える化」の程度を上げる実験を後半の中で行う予定です。その中で21ページの検証をより進めやすくするという段取りになっていると理解しております。よろしいでしょうか。
- このような大前提のところを御確認いただいた上で、細かいところもたくさんあるかと思います。いかがでしょうか。では辰巳委員、お願いいたします。
○辰巳委員
- これは、すべてグループの人たちの平均値で比較をしておりますよね。平均をしてしまうと、一生懸命見える化の効果を出した方と、無造作にした方がわからなくなってしまって、だからあまり明確に効果が出ないのかなと思います。個別に効果を出した方というのも、もしかしているかもしれません。それがアンケートでどこまで定量化できるのかわからないのですが、世帯数もとても多いというほどでもない気もするので、個別の分析をなさるのかを伺いたい。
○森口座長
- まず事務局の方からお答えいただいて、私のほうが少し補足させていただきたいと思います。
○事務局
- 属性、意識、行動などの観点で、A1、A2とか、B1、B2、B3というグループとは異なる観点でグルーピングをし、その人たちの間でどのような違いがあるのかということを、様々な角度で検証をしようという試みはしております。効果をうまく出しているような人、それがどのような属性を持った人と定義できるかというところになると思いますが、それをうまく切り出すことができれば、効果を出すような行動特性を持っている人とそうでない人と2つに分けて、効果があったのかどうかということを見ることができると思います。今のところは試行錯誤しており、もともと考えていた事前の情報の属性から見るという観点、それからアンケート結果の意識や、行動に関する情報から得られてくる観点と、幾つかありますので、もう少し検討する余地があると思っております。
○森口座長
- 私のほうから、少し私自身の意見も含めて申し上げます。基本的に、今の事務局の集計の方法は、集計的なアプローチをとっております。辰巳委員の御指摘は、例えば2人、3人、4人、5人とかのグルーピングをするということではなくて、もっと個々のサンプルに着目をして、中に大きく減らしている人もいれば、そうではない人もいるかもしれない。それらが混合して集計してしまうと、結局何も見えなくなってしまうので、一つ一つのサンプルを見て、大きく下げた人がいるのか、いないのか。せっかく個別のデータがとれているので、このようなものを見ていくべきではないかという御指摘だったと思います。だから、今お答えが少しすれ違っていたような気がするので、集計的なアプローチという発想自体を切りかえていただきたいということです。
- これは、事前に事務局と座長の間で打ち合わせをしており、一部は反映しているのですが、もっと個別のデータをプロットすることにより見えてくるものがあるはずです。一部累積度数分布みたいな形で分析を行っており、これは平均値ではなく、中央値的なもの、中央値と平均値がいかにずれているかとか、テレビにしろ、電力消費量全体にしろ、どちらかというと正規分布よりは対数正規分布に近いような形になっている可能性があるかもしれません。
- 個別のサンプルについて、4週の間で極端に下がってきた人がいるのかということですね。このようなところまで手が届いていないので、集計で見るのではなくて、中に大きく下げた人がいるのかどうかというところを少しきめ細かく見ていただくと、この集計では見えていないものが何か見えてくる可能性がある。そのあたりを辰巳委員のほうから御指摘いただいたのではないかと思います。これは、次回に向けての宿題ということにさせていただければと思います。
○多田委員
- 全体の印象として、「見えない」グループが意外に検討しているという印象を持ちましたが、一つ確認として、アンケートを始めるときに各家庭なり個人で、「見える化」グループ、「見えない」グループで自分の立ち位置を説明してから始めたのでしょうか。それともそういうものは一切なくて、単にアンケートなり、家庭で協力してくださいという形で始められたのか。事前に説明がもしあったとすれば、「見えない」グループのほうでも、「見えなくても頑張るぞ」、というような作用も働いてこのような結果になったのかと思い、教えていただければと思います。
○事務局
- グループAとグループBで異なりますので、それぞれ説明させていただきます。まずグループAについては、実験を開始した当初は、だれが「見えない」グルーブで、だれが「見える化」グループかというのを決定していない状態でスタートしています。どちらに属するかわからない状態で3週間データをとっています。その3週間目のところで、見える人と見えない人を分類してお知らせをし、見える人には、これから「見える化」画面にアクセスして見えるようになりますので、ぜひ見るようにしてくださいと御案内を通知しました。最初からどちらということがわかっていて、それを意識して行うということはしていないと思います。
- グループBについては、計測開始当初からグループ分けしており、最初に御案内するときに、あなたは「見える化」ありなのか、なしなのか、フィードバックもありなのかということはお知らせした上で実験期間をスタートしています。
○環境省
- 補足を少しさせてください。見えない人に対しては、あなたはこのモニターで見ることはできないが、ほかには見えている人がいるというようなアナウンスはもちろんしておりません。今回の事業に関しましても、環境省の委託事業であるという旨は伝わってはおりますが、その趣旨に関して、見えない人はこのような「見える化」効果を検証する事業であるということではなくて、家庭のエネルギー消費実態の計測をさせていただくという形で伝わっております。それでも完全にノイズを排除はできないとは思いますが、配慮はしているという状況です。
○森口座長
- したがってAグループ、Bグループ通じて見えないグループは、今日この会議を公開でやっておりますので、この会議のことがわかれば、「ああ、そうだったのか」ということを初めてお知りになるという状況になっているかと思います。ほかに自分と違う、測られたデータが「見える化」されている人がいるということは、この瞬間まではだれもご存じなかったということになっているのではないかと思います。
- 多田委員のほうで「見えないグループも結構・・・」とおっしゃったのは、どのあたりのデータからだったのでしょうか。アンケートですか、実測値でしょうか。また後で、よろしくお願いいたします。では辰巳委員、お願いいたします。
○辰巳委員
- 当初より応募してくる人は、エネルギーに関心がある、あるいは環境省がやっていることがわかるというのを今伺いましたので、省エネのことも知りたいだろうということも予測できます。見える、見えないにかかわらず、応募してくる人自身がエネルギーに関心のある人であると思いますので、先ほど多田さんがおっしゃったように、見えなくても一生懸命健闘されているのではないかと思いました。
- 自分からアクセスをするというのは、負荷がかかりますが、その割に見ている人は世帯主が多いとあります。世帯主は、昼間お仕事に出ておられると思いますが、その間電気を使っているのは家庭にいる人であるにも関わらず、家庭にいる人は余りアクセスしない、というねじれた状況ではないでしょうか。しかもコミュニケーションがそれほどあるように思えないですし、旦那さんが帰宅し「電気使いすぎではないか」なんていう話をしているようにも見えないなと思いました。
- 私は太陽光発電をつけているので家にモニターがあり、消費電力量ではなくて、今の消費電力がわかると思っています。今見えていると、今多くなったのはこれだというのが理解できる。そうしたら、「それを止めよう」という行動を誘発する「見える化」というのは意味があるのではないかと思います。例え10分前でも、アクセスしたときには、もう大分前の話になってしまいますよね。だから、明日はテレビを消すようにしようという行動に結びつきにくい気もするので、行動とすぐ結びつけるには、即時性のある「見える化」がキーワードかと思います。見えればすぐ行動をすると思います。でも、もし昨日のこととなったときには、なかなか翌日の行動には結びつかないような気もするので、顕著な効果が見られないというのもやむを得ないような気もしました。
○森口座長
- ありがとうございます。機器の種類によっても違うところがあり、去年の事業でも、テレビであれば画面の明るさを変えることにより消費量に差があることを知らせるためには、これは即時性のある計測でないといけないと思います。一方で、冷蔵庫の場合には、即時的なデータがあることは意味がないかもしれない。むしろ中長期季節変動も含めて測定し、これを取り除いても、我が家の冷蔵庫は他の家よりも削減効果がある、というデータが大事だと思いますので、このような2つの考え方が混ざっていると思います。
- 計測手法の限界があり、今回はこのような設計なのですが、難しいのは、もう一つの事業者分科会でも話題になったのですが、きちんと事業所で見ていくためには、今度は見せるための機器をつけっぱなしにしなくてはいけなくて、それがエネルギーを消費してしまうということにもなり、あまりエネルギーを使わずに見せていくにはどうすればよいかという点の工夫等も必要になってくると思います。それはハードウエアの開発等も含めて、宿題になると思います。
○辰巳委員
- アンケートの結果を全部見ましても、今までいわれていたことの確認ができているという気はしました。当然ですが、冷蔵庫が古ければ絶対的に差があるという結果、テレビの画面の大きさと液晶とプラズマの違いの結果等も明確に出ています。それから、内閣府の調査との比較ですが、傾向が全く同じというのは驚きました。80と90ぐらいの大きさの違い、10パーセントぐらいの違いはあるようですが、傾向としては、全くといっていいぐらい同じで、人間の行動というのは変わらないと思いました。恐らく国政のモニターであるので、内閣府の調査も手を挙げた人を対象にやっていたと思います。モニターになるというのは、意識の高い人だと思うので、違いはあると思うが行動というのは変わらないということの確認ができて驚きました、というのが感想です。
○森口座長
- ありがとうございます。今おっしゃった56ページ、57ページのアンケート調査結果と思いますが、辰巳委員はこの事業モニターは、省エネ意識の高い方じゃないかとおっしゃったのですが、必ずしもそうではないかもしれません。内閣府調査より省エネ行動が低い結果も出ており、非常に熱心な方ばかりを選んだということには、むしろなっていないかもしれない。去年はその傾向が強かったかもしれないが、今年のほうがより一般消費者を選んでいると思います。辰巳委員の通り、去年は御協力いただける度合いの高い人を選び、かつ世帯の世代、年齢構成を見ると、偏りがあったと思います。今回はより均質なサンプルで、かつこれまでいわれていたように、例えばテレビの視聴時間が省エネ法の4時間ではなく、少なくとも倍ぐらいはテレビのスイッチが入っているという状況は、去年の世帯特有のことではなく、今年の世帯でも確認ができているということです。見える化の効果とは別に、実態が見えてきたという意味では、非常に貴重なデータがとれていると感じております。
○多田委員
- 64ページで、貴世帯の平日の平均値と、よその世帯のグループとの比較が気になります。何を「見える化」するのか、という原点に返ったときに、一義的には数字やキロワットやCO2ですが、それを意味情報に変えるためには、自分の立ち位置が今どこにあるのか、ということが気になるのではないでしょうか。立ち位置は二つあり、一つは周囲との比較です。どの辺に自分がいるのかが「見える化」される点と、もう一つはあるべき姿を示すという点です。低炭素社会に寄与するところにすぐには行けないまでも、どのぐらいまで肉薄できるのかという、その2つの意味情報があると思います。今回の取組を通じて「見える化」の意味が少し進むと、この64ページの御説明を伺って改めて思った次第です。
○森口座長
- ありがとうございます。アンケートを見る限りでは、他世帯との比較に関心があるようであり、現状では消費量を比べることをしていますが、先ほど辰巳委員から御指摘があったように、中には大きく減らしている人がいるかもしれない。このような情報も個別に出すということもあるかもしれないですね。つまり、今トップランナーのような方がいますとか、あなたのランキングはこうですとか、ある種の動きのある情報を提供しないと、経常的にアクセスするのが難しいのではないかと思います。それも今後の宿題であり、今年の範囲内でできることもあるかもしれませんが。
- ありがとうございました。環境省、あるいはオブザーバーで御出席いただいている、メインテーブルにおつきの出席者の方も含めて、遠慮なく御発言いただいて結構です。よろしゅうございますか。
- では少し時間がありますので、私から確認させていただきます。36ページのテレビの個別データのプロットの点で、画面サイズとみなし視聴時間当たり消費電力についてです。このみなし視聴時間のすそ切りをどのような形でやられているのか。ここまでの低さはないと思われる数字があり、録画機能だけが動いている時間が視聴時間扱いされている可能性があると思いました。例えば50インチを少し超えたところ、52インチぐらいで15ワットぐらいのところは、データ処理上の問題があるのではないかという気がします。もう少し低いところ、32インチにかなり集中していますが、ここのみなし視聴時間の処理も気になりますので、実際に画面がついている時間を、どのように検出するのかという難しい問題がありますが、このあたり少し精査していただければと思います。
- それから、データとしては、各種のスペック、型番まで同定できているのかが気になります。公称の消費電力と実際との比が、集計可能なところまでとれているかどうか、手間はかかると思いますが、それはデータとしてはとれているという理解でよろしいでしょうか。あと、後半はいつから始まるのでしょうか。
○事務局
○森口座長
- もうデータはとり始めているが、フィードバックは間に合うのか。後半組のフィードバックに対する御助言はまだ間に合うかもしれないというタイミングでしょうか。
○事務局
- 64ページのイメージで検討を進めているところではございますが、まだ確定しているという段階ではないです。
○森口座長
- わかりました。4ページのスケジュールを御紹介させていただきます。本日が1月26日で、上下のスケールのなかでグレーで塗ってある場所でフィードバックを行います。これを見ると、Aグループはまだ一度もフィードバックしていないのでしょうか。
○事務局
- そうですね。Aグループのフィードバックは、昨日いたしましたので、少しずれているのですが、フィードバックをまさにしたばかりというところです。
○森口座長
- まだAグループのフィードバック結果の解析はしていないということですね。Aグループの方々は、自分の世帯を他と比べてどうかということについては、まだ一切ご存じない状態ということですか。
○事務局
- ウェブサイトで全体のグループ平均値という御案内だけ載せておりますので、それを見ると、比較がある程度はできるのですが、こちらの分析評価シートで初めて出している情報もありますので、見たばかりという方も多いのではないかと思います。
○森口座長
- 例えば25ページに、Aグループの全体消費電力量の分布がありますが、中央値である50%で、1日14kwhぐらいの数字で、それより大きい世帯はずっと幅広く分布していますが、それぞれの世帯に対してはフィードバックをします。これに対して後半、そのフィードバック後に変化があるのかどうかということを見ていただけると思うのですが、これが難しいのは、去年もそうだったのですが、季節変動があることです。季節的な変化によるものか何か、その情報の効果というのが見にくいというのが、昨年の最大の懸案だったわけです。今年はその「見える化」ありとなしを分けましたので、そこの差で季節の部分については補正ができる。季節要因で変動している部分と情報により動いた部分を分離する設計になっていると思います。
- それからあと1件だけ、人によるコンサルティングのところについて、もう少しだけ御説明をいただけますでしょうか。
○事務局
- 今回A-2、Aグループの中で「見える化」ありのグループ、それからB-7、これは通期で参加されている、「見える化」ありでフィードバックもありのグループの方を対象に、6世帯ずつを想定しているのですが、人によるコンサルティングという形で実施して、開始し始めたところです。
- 今回システムを中心として「見える化」をしていることに加えて、十分に伝わらないところ、あるいは現場でお話しする中で初めて発見できるようなところを見出せないかを確認することが目的です。御家庭を訪問することをベースにしておりますが、一部の世帯については、弊社の会議室にいらしていただきお話しをさせていただく機会を設けています。
- 1世帯1時間程度で想定しており、様々な形で出している情報について、もし十分に御理解いただいていないところがあれば御説明させていただいたり、データの状況等を見ながら、どのような削減対策ができそうかということをお話しさせていただいたり、あるいはワットチェッカーを持参し、その使い方を見ながら、削減対策をどのように探っていけば良いのかを一緒に考えたりということ、を実践し始めております。
○森口座長
○環境省
- 一つだけ確認です。見える化といっても、やり方によって効果が違うので、そこはしっかり見なければいけないところだと思います。先ほど辰巳委員から御指摘のあったリアルタイムかどうかという点で、リアルタイムの「見える化」の効果が大きいのではないかということが非常に気になっております。今年の調査については、やり方は大きく変えられないと思うのですが、ワットチェッカーを配るという話もあります。リアルタイムにすると、かなり効果があるのかないのかという点は、これだけデータがあるので、比較できるようなことがこれからできないのかどうか。あるいは、過去のデータを使って分析できるのかどうかも含めて、可能性を御議論いただければありがたいと思います。
○森口座長
- ありがとうございます。御指摘の点も、ワットチェッカーで測ってくださいということ、それもある種のリアクションとしてお願いをしたことですが、後半のワットチェッカーは、よかったら使ってください、というような感じになっていますが、例えば必ずテレビには接続していただくとか、ある程度コントロールしたほうが良いと思います。それによって、ワットチェッカーによる「見える化」ありの世帯に差があるのかを見えるようにできないのかと思うのですが、それはどのような状況でしょうか。
○事務局
- 御案内の仕方として、今のところ必ずテレビにつけてくださいという言い方はしておらず、こういう使い方ができますよという案内の仕方をしています。
○森口座長
- それをうまく探索的に使えれば、まさに可能性があるのですが、このぐらいの関心の持ち方で配って本当に見ていただけるかなと。つまり、自分で何をつけて、どのように測ろうということも、また能動的にやらなければならない。そのあたりを含めて、強制的にではなく、自然に見えるという状況をどのようにつくるのか、ということも重要な気がいたします。一方で、そのような機器については、瞬間値はわかるが、継続的な機能がないので、今回は継続的にしっかり計測するという機能を強くしたのですが、贅沢をいえば両方やりたいわけであります。少しずつその方向に近づいているとは思いますが、限られた残りの期間の中で、実験を進めていただければと思います。
○辰巳委員
- 36ページのグラフで、この10インチと20インチの間の20インチ以下テレビの数が結構多いなと思いました。テレビを2台以上持っている家が一般的には多いと思いますが、2台以上の場合はどのようにしているのでしょうか。メインのものだけに測定器をつけているのでしょうか。
○事務局
○森口座長
- これは、メインのものでも20インチ以下のところがまだあるということですね。一方で、2台目、3台目でも、もっと右のほうを使っているところもあると思いますが、今回はそこまでの測定ができていないということだと思います。
- それから、Aグループのテレビや冷蔵庫の割合のグラフは今回採用しなかったのでしょうか。つまりAグループの中で一部冷蔵庫とかテレビも測定しております。全消費量に占める冷蔵庫の割合は何%ぐらいであるとか、全体を測って、テレビと冷蔵庫を測ったぐらいでは、なかなか総量の一部しかつかみ切れていないと思います。テレビの2台目、3台目も含めた実態把握については、まだこの3年間の調査の中ではそこまで及んでいないという状況だと思います。代表的なもの、恐らくメインで見ているものを測っている状況だと思います。
○事務局
- Aは世帯全体と、エアコンと、一部の世帯は冷蔵庫が対象ですが、冷蔵庫は非常に少ないので、あえて載せなかったのですが、次回には掲載したいと思います。エアコンは製造年までは特定できているのですが、例えば暖房能力はまだ特定できておりません。型番はわかっているので、それを整理してエアコンの実態情報を御提示したいと思います。
○森口座長
- テレビはBグループのほうで随分データがありますので、Aグループのトータルの消費電力量と、これまでの蓄積であるテレビ、冷蔵庫の消費電力量から大体どの程度の割合かということは見えるわけですが、まだ測定対象になっているところ以外の電力量は相当大きいと思うので、より精緻な測定をしないと全体像は見えない状況ではないかと思います。
- よろしいでしょうか。それではまた後で、少し関連するところもあるかもしれませんので、後半の議題を済ませた上で全体について御議論いただければと思います。
【議題2】日常生活CO2情報提供ツール(仮称)の更新について
- 事務局から資料3にもとづき、今年度の進め方について、説明が行われた。
○森口座長
- ありがとうございました。このツールについては、初年度から検討してきたわけでありますが、その実施態勢上の問題等があり、まだ大々的に使っていただくという状況には至っておりません。去年のモニター世帯には、短期間試していただいたことがあったわけですが、ようやく広く使っていただける準備が、間もなく完了して、β版として使っていただこうというところまで来ているという、そういう御報告でした。
- 委員のほうから何か御質問・御意見等ありますでしょうか。
○辰巳委員
- 今回、新規の簡易版ですが、携帯でもチェックできるふうにお広げになったこと、非常におもしろいなと思っておりまして、時々若い人と話すチャンスがあったときに、私たちの思っていることを広めるのにどうしたら良いのかということについて話すと、何人かの人からツィッターがいいというお話を聞いたことがあります。あのツィッターの仕組みを利用して、だれかがこれおもしろいよ、と言ってくれればいいわけですよね。若い人がうまくコミュニケーションしている機能をここに組み合わせるのではなく、別途の連携方法として何かあり得るのではないかなと、思っております。
- そういう意味で、携帯だけで暮らしている人たちも結構いるわけですから、携帯版ができるということは、すごくいいことではないかと。ひとり暮らしの方もたくさんいらっしゃるし、なかなか情報が届かない若い人たちもいらっしゃるわけで、深夜族みたいに起きっぱなしの人とか。何かすごく普及するのではないかという気もしているところです。
○森口座長
- ありがとうございます。多田委員のほうから何かございますか。
○多田委員
- 私も辰巳委員と同感で、この簡易版は今回自分でも使ってみましたが、比較的わかりやすく、非常に操作性もよくて、何といいますか、ブレイクする可能性はあるのではないかと思いました。
- 本体のほうは、ユーザービリティを考慮されて、分かりやすくはなっているのですが、まだ一部ちょっと難しい言葉があります。難しいというのは、このツールでは当たり前に用いられている言葉として、例えばオフセットとか、CSVダウンロードとか、幾つか言葉が出てきますが、そういう言葉の説明も補足的にしてあげるといいのではないかと思いました。それから、注釈については、読んでいて難しい言葉がいっぱい出てきたなという気がしているので、その辺細かいのですが、一応コメントとして残させていただきます。
○森口座長
- ありがとうございます。注釈の一部は、やはり中央の官庁が行う事業であるがゆえにつけなければいけない事情も中にはありまして、わかりやすく御説明するのが難しい事情もあるかと思いますが、これは公開して進めていく上でのある種のお約束ごととしてやらざるを得なかった部分もあるかと思います。そのあたり、できる範囲で、使っていただく方にもわかるようにしていただきたい。それから言葉のところとか、まだ最後に見直していただく余地はあるかと思います。特にβ版を公開して少しフィードバックというか、御意見をいただく期間があるようであれば、それでぜひ最終版に反映していただければと思います。
- 携帯版は、例えば携帯を使っていろいろなデータを入力していただくというところまでやるというのは、それができるのかどうか。自分たちの家庭の消費電力量を見るために、わざわざパソコンを見る時間をとるのがなかなか難しいという人にとって、むしろ見るツールとして役立つかもしれません。携帯であれば、電車での移動中にちょっと見てみようかなとか、いろんな使い方ができると思います。この「見える化」のツールの携帯版ということだけではなく、現代の情報伝達のスタイルに合った温暖化対策の広げ方ということで、より広い御示唆をいただいたのではないかと思います。
- 「見える化」日常生活分科会という範囲内だけでおさまらない部分もあるのかもしれませんが、事務局・環境省のほうでも問題意識をお持ちではないかと思いますので、それは来年度以降の別の事業かどこかで、反映していっていただけるということもあり得るのではないかと思います。ぜひここで、良い経験が蓄積できればと思っております。
- いかがでしょうか。今回は、事前に委員の方々にツールを使用していただく機会がありましたので、個別のコメントは別途事務局のほうにいただいているかと思います。ここで最後まで議論するということは必要ないかもしれません。また、さらにお気づきの点があれば、事務局にお知らせいただければと思います。
- β版について、こういうものが使えるようになりましたとか、プレスリリース等は環境省のほうでやられるような御予定はあるのでしょうか。
○環境省
○森口座長
- わかりました。せっかく開発しても、見に来ていただかないことには、役立たないので、来ていただく工夫が必要です。「こういうものができました」、ということを広めていただくことが必要ではないかと思います。きょう御示唆いただいたことも参考にしていただければと思います。
- 全体を通じて、前半部分も含めて、何かありますでしょうか。よろしゅうございますか。もしなければ、本日はこれで閉会とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
(了)