【開会及び資料確認】
○ 馬場課長補佐
- 定刻になりましたので、第2回「見える化」推進戦略会議を開催いたします。本日のご審議は公開としております。本日は齊藤委員がご欠席となっており、全体で8名の委員の方々にご出席いただいております。
- 配布資料を確認させていただきます。まず表紙をめくっていただきまして、座席表と委員名簿が1枚、さらに資料1及び資料2がございます。その後に、参考資料1から参考資料4までございます。過不足などございませんでしょうか。ご確認いただけますでしょうか。
【環境省からの出席者紹介】
○ 馬場課長補佐
- 会議に先立ちまして、7月末の環境省の人事異動にともないまして、交代致しました幹部を紹介させていただきます。
○ 森谷大臣官房審議官
○ 木村地球環境局総務課長
【寺田地球環境局長のご挨拶】
○ 寺田地球環境局長
- 地球環境局長の寺田でございます。7月22日に地球局長を拝命しましたが、それまでの1年間は海外赴任しておりました。帰国して、改めて1年間で地球温暖化を巡る国内外の状況が大きく変化したことを実感しています。
- 先般、洞爺湖サミットもございまして、福田総理のリーダーシップの下、野心的な長期目標等にも合意致しましたし、国内対策としては低炭素社会作り行動計画が閣議決定されました。
- こうした取組へのスローガンは立派になっているものの、足元を見ると京都議定書の約束期間に突入し、最新の数字では温室効果ガスはCO2換算で13億4千万トンの排出となっており、達成に向けて多大な努力が必要となっております。
- 「見える化」は低炭素社会作り行動計画の実現のためには、革新的な技術開発と共に、国民にどのように実際の行動をとっていただくか、または意識していただくかという点が重要であるというのが総理のご認識であります。こうした点からも「見える化」は重要だと考えています。
- 7月1日に「見える化」推進戦略会議の第1回目を開催し、大変活発な議論をいただいたと聞いております。本日はそういったご議論を踏まえまして、「見える化」を行う具体的な項目等についての等をお示ししております。是非、活発な議論をお願いしたいと思います。
【議題1 「見える化」における温室効果ガス排出量の算定・表示・活用方法について】
○ 安井座長
- 本日は暑いところお集まりいただき感謝申し上げます。早速、議題に入りますが、議事次第にございますように、本日の議題は2つとなっております。
- 議題2つは深く関連しておりますので、別々に議論するのではなく、続けて議論したいと思います。事務局からは2つの議題にかかる資料をまとめて説明してもらいます。それでは、資料内容について説明願います。
○ 馬場課長補佐
○ 事務局
- 参考資料1、参考資料2、及び参考資料3に基づき説明(省略)。
○ 馬場課長補佐
- 参考資料について若干の補足をさせていただきます。参考資料3と本戦略会議の関係ですが、基本的に参考資料3は素案の状況であり不完全な状態になっています。今後、さらにカーボン・オフセットを推進していくために、本戦略会議での検討結果を、このカーボン・オフセットフォーラムが作成した参考資料3に反映させていく予定です。全体として一体的に進めていきたいと考えています。
○ 安井座長
- 議題1について進めていきたいと思います。資料1には、「見える化」の目的、算定精度、推進戦略の基本的な方向性等が示されています。また、バウンダリ、算定の正確度、表示方法等も示されています。
- おおよそ、資料1にある方針で「見える化」を進めてよいでしょうか。この点についてご議論をいただきたい。
○ 須田委員
- 資料1の2ページ目にある算定範囲(バウンダリ)についてですが、ライフサイクルステージという考え方だけでなく、システムバウンダリという考え方も必要ではないでしょうか。
- 参考資料1の1ページ目の下部に「製品を製造する際に使用される建築物、機械、及び装置等の固定資本形成にともなうCO2排出量は含まれていない」とあるとおり、レベル1の算定であっても算定のシステムバウンダリに関する視点が必要だと考えます。
○ 山本委員
- 資料内容について確認とコメントを申し上げます。国民に具体的な行動として、排出削減行動を取ってもらうことを目的にしたのが「見える化」だと考えるが、そうであれば主体は国民であり消費者となります。資料1の図にもある通り、排出量を知ることが第一に重要であり、そうした状況が環境家計簿等で分かるようになればいいと思います。最終的には環境マネジメントを自分で実施できるようになればいいと考えます。
- 消費者の場合は削減行動をとろうと思っても、実際には選択肢がないと難しい。そのために、家電等の買い替え時に選択肢が用意されていればいいと思われます。
- サービスの「見える化」においても、選択肢が用意されていれば良いと思います。自分で行動を実施しようとしたときに、排出量が少ない方法が分かれば、削減行動を選択できると考えます。
- 排出量の算定についてレベル1~3が設けられているが、レベル2でも選択肢が用意されるという意味では、例えば飛行機であってもボーイング787(Eco-Jet)を選択するということも可能にしておくことで選択肢の幅を広くしておくことが必要だと思います。また、繰り返しになりますが、消費者に選択肢を与えることが必要であり、そのためのデータベースの整備も必要だと思われます。
- 最後に質問ですが、資料2にある取組項目のそれぞれについて、レベル1~3の算定方法があるという理解でいいのでしょうか。
○ 馬場課長補佐
- 必ずしも全ての「見える化」の対象項目に、レベル1~3の算定方法があるということではないと考えています。
- 例えば、カーボン・オフセットでは排出量を把握して、削減努力を行い、そしてオフセットとなる。カーボン・オフセットではあまり算定精度が低いと問題だと考えています。
- それ以外については、自らの排出量を把握するのは正確な方が良いものの、産業連関表による3EID等のデータから排出量を把握して環境家計簿を用いてマネジメントする等、まずは精度の低いところからスタートして精度を上げていくことも重要だと思われます。
- 商品・サービス選択に関わることについては、基本的には算定レベルの高いところで実施することがLCAの基本だと言われております。レベル1の算定については、精度の低いものを示すことで、より精度の高いものが現れてくることを促すような意味もあると考えています。
○ 一方井委員
- 環境省の幹部が交代したということもあり、改めて環境省にお願いしたい件があります。温室効果ガスを削減するためには、改めていろいろな手段を総合的に使っていく必要があると考えています。こうした中、日本が抱えている最大の問題は前回も申し上げた通り、炭素価格が市場価格に組み込まれていないことだと思います。この点については是非、、政府の方々に検討をお願いしたいと思います。
- 資料については、排出量の算定レベルについてレベル1~3が示されていますが、基本的にはこの考え方に賛成であるが、よくスーパーマーケットに買い物に行く立場から申し上げると、買い物の際に細かい数字までは必ずしも必要ではなく、数字が入っていなくてもレベル0と申しますか、定性的な情報、例えばその商品が露地栽培ものか空輸されたものか等の情報があれば、「見える化」の意味があるのではないかと思いますので、ご検討をいただければと存じます。
○ 森口委員
- 資料1に関して3点申し上げたい。1点目は「見える化」の目的についてであり、これは重要だと思われます。「見える化」を広く捉えれば商品の中にはガソリンや電力などのエネルギーも含まれると考えられます。今回は見えにくい間接的な排出量に主眼を置いていることは理解していますが、エネルギー消費等にかかる排出量を消費者がどこまで理解しているかを考えればエネルギー消費に関わるCO2排出量を消費者に分かりやすくする必要もあると思われます。「見える化」の目的として消費者の商品選択の判断基準とありますが、もう少し目的を広く捉える必要があるのではないかと思います。
- 2点目は、環境省らしさを出すという意味で、廃棄物・リサイクル段階の「見える化」に対して工夫できないかと考えています。スーパーマーケット等での容器包装等の製造に関わる排出量、そして捨て方にかかる排出量について検討していただけないかと思います。
- 3点目は算定手法についてですが、レベル1の算定方法イコール産業連関表による3EIDではないことを理解して欲しいと思います。レベル1は標準値を使うことであり、3EIDをそのまま使うというのは乱暴な算定方法です。メーカー等が標準値を作成していくことが重要であり、3EIDの数字があることで、標準値が作成されることが妨げられては不本意であり、いよいよ困ったときに3EIDの数字を使って欲しいと考えます。
○ 伊坪委員
- 資料1について、「見える化」の目的については内部利用と外部利用についてはLCAでも議論されており、また環境会計等についても議論されている部分であり、ある程度は理解できます。算定方法についても、レベル1~3の算定精度に分けるという点は、評価の多様性という側面から共感を持つことができます。
- 戦略会議の意義について、前回の戦略会議の資料には「戦略的な普及」とありました。それとの関係はどうなるのでしょうか。今回は計算方法についてばかり焦点が絞られている印象があります。「見える化」普及についてはどうするのでしょうか。表示についての記載はあるが、普及についての議論はどうするのでしょうか。
- 経済的なメカニズムとの関係、活用方法、「見える化」のポテンシャルをどう示すのかという点で、LCAの研究者も議論していると思われますが、「見える化」の社会的な意義について議論してもいいと思います。
- 産業連関表による3EIDの資料については、少し唐突感があります。産業連関表による3EIDはデータベースとして重要だとは考えていますが、積み上げ法という方法もあるので、こうした事例も参考にして欲しいと思います。産業連関表が使えないということではないので、レベル1で標準値がない場合に、参考値とすればいいのではないでしょうか。
○ 麹谷委員
- 消費者と商品・サービス提供者の間をつなぐ仕事をしているので、その視点から意見を申し上げます。他の省庁でも「見える化」に関わる取組が行われていますが、互いの方向性は連携を取りながら進められているのでしょうか。消費者にとっていろいろな情報があれば混乱を招く可能性がありますので、政府として何を推進していくのかという点について、省庁間で連携をしっかり取っていただきたい。「見える化」によって排出削減を促すのが目的だと思うので、消費者にとって分かりやすい見せ方を検討して欲しい。
- また、表示についてですが、消費者にとって分かりやすくすることが重要であり、そうした視点から表示をどう使うのでしょうか。例えば、グリーン購入法のように環境負荷の低い商品に対して、ラベルを使って促すのか、「見える化」もラベル化に踏み込むのか、さらに、踏み込むことによって強制的に促進するという視点も必要ではないかと思います。
○稲葉委員
- 資料全体を通した印象であるが、「国民生活」の中でCO2をどのように認識するかという意味と、商品の差別化すなわち「商品選択」が混在しており、話しが分かりにくいと思います。
- 国民生活の全体感で考えると、算定範囲はやりやすい方から入ればいいが、理論的な背景というか、「見える化」を促進する全体感が分かりにくい。
- 例えば、IT関連のサービスの「見える化」では、実際に会議の数が減るという効果があると思われるが、ITの普及により同時に宅配便の不在時の評価等が必要になるように、ITを使えば効果的にできるかもしれないが、その分の余った時間での支出・活動が起こることを理解して、生活全体の全体感を考える必要があると思います。
- 欧州では持続可能な消費という考え方です。何か活動したときにお金と時間の制約の中で必ずリバウンドは起きるものなので、リバウンドを含めて国民生活全体で考えることが必要になっています。大きなストーリー(生活観)の中で、どのステージを対象にしていくのか明確にする必要があると思います。
- 商品選択という側面においては、他省庁が取り組んでいるので、整合性をとることが必要だと思います。例えばスーパーマーケットでの表示に関しては、経済産業省でも取り組んでおり、別にレベル1での店頭表示も行われれば消費者の混乱が生じる可能性があります。
○ 安井座長
- 各委員から極めて妥当なご意見を頂きました。稲葉委員からお話のあった全体感と商品選択についての考えは重要だと思われます。
- 例えば、買い物に行ったときにトマトかニンジンかの選択は「見える化」で行われては問題だと思います。そよよりも、同じ商品を航空機で運んできたか露地栽培かを表示することも必要かもしれないので、もしかすると、レベル0という考え方もあるかもしれないと思います。
○ 須田委員
- 資料2の「見える化」の項目について、「見える化」の結果として環境家計簿へ続く流れがあります。そうなった場合、「仕組み」はどのように考えていくのでしょうか。
- 例えば、削減量を考えるときに、ベースラインを考えざるを得ないのではないでしょうか。ベースラインがないと、商品・サービスを選択する際に排出量をどう考えればいいか分かりにくいのではないでしょうか。
○ 安井座長
- この点については議題2で細かく検討していきたいと思います。また、「仕組み」についても検討していきたい。
- 個人的にはベースラインを設定する必要はないように思いますが、議題2で検討していきたいと考えます。
○ 君塚オブザーバ(経済産業省)
- 表示が混乱を招くというご意見もありましたが、各省庁では相互に連携して取り組んでいます。
- 表示の際に、同じ商品で排出量の値が違う場合は、消費者が混乱すると思われます。
- 今後、ワーキンググループで議論する際には、表示方法について整理していただければ有難いです。
○ 安井座長
- レベル1とレベル3があって、表示の際に混在することはないのではないか。レベル0だと説明の方法が難しくて多少の混乱があるような気もしますが、詳細についてはワーキンググループで議論していただきたい。
【議題2 「見える化」を行う具体的な項目について】
○ 安井座長
- 議題2に移りたいが、ここでは具体的にワーキンググループを作りたいということで、それに向けて議論したいと思います。
- 事務局からのアイデアでは、資料2の目次にある「1.主に自らの排出量の把握による自己削減を目的とした見える化」には稲葉委員に、「2.主に商品・サービス選択を促すことを目的とした見える化」には環境省国民対策室と連携して森口委員に、そして「3.主にカーボン・オフセットでの活用を目的とした見える化」には伊坪委員に担当していただきたいと考えているようです。
- この点について、ご意見をいただきたい。
○ 一方井委員
- 資料2の内容について、質問と違和感のある箇所を申し上げます。1点目は家庭のバウンダリについての質問ですが、たしか家庭における自家用車等からの排出量は約4分の1くらいだったかと思いますが、これは含まれておりますでしょうか。
- 2点目はスーパーマーケットの合計排出量が重要ということですが、一般的に言えば、買い物の量はその時々の必要性で判断されるので、個々の商品の選択に影響を与えることは必要ですが、合計排出量から逆に買うものを決めるのではないと考えます。合計排出量が重要であるという点に若干違和感がありました。
- 3点目は宅急便の不在者宅配についてですが、この箇所を「見える化」して消費者にどのような行動を期待するのか分かりにくい印象です。
- 4点目はホテルの温水についてですが、これも利用者にどのような行動を期待するのか、節水とはどう違うのか、目的が分かりにくいです。
- 5点目は旅行の「見える化」についてです。旅館のグレード選択と記載されていますが、旅館のグレードを落とすことを促進しているように読めます。おそらくここではグレードの高い旅館に泊まった場合にはしっかりオフセットして欲しいということでしょうから、若干表現振りを工夫して欲しいと思います。
○ 山本委員
- 旅行の「見える化」とも関連して、移動手段として鉄道、クルマ、飛行機とありますが、消費者にとっては「見える化」するだけではなくて、選択肢を与える必要があります。飛行機の機体に何を使うかをプランに含めた旅行パックがあったら良い選択肢になると思います。
- カーボン・オフセットの関係で、東京のルミネを対象にしたモデル事業を行っていますが、その中で電車通勤にかかる排出量を対象にしたカーボン・オフセットを行っています。しかし、どれがエコな通勤方法なのか分からないという問題があります。どれがエコか分かりやすくするデータベースを作ることも検討したらどうでしょうか。
○ 森口委員
- 資料2に関して、ワーキンググループ構成の仕方について総合的な側面から伺いたいと思います。資料2の構成から、ワーキンググループは目的別なのだと思われますが、商品・サービスとのマトリクスで考えた場合、例えばスーパーマーケットで販売されているものでも総量的な考えもあれば商品選択を促すものもある。ワーキンググループの分け方が目的別なのか商品別なのか分かりにくいです。
- ワーキンググループの基本的な分け方についてご意見をいただきたい。
○ 馬場課長補佐
- ワーキンググループの分け方は、「主に」という表現をつけている通り、明確には分けることは難しい状況でした。実際は複数のワーキンググループにまたがる可能性もあると思われます。例えば、合同ワーキンググループとしての開催もあると考えています。
○ 森口委員
- 「主に」ということですが、「見える化」の目的別に分けられているのか、商品分類で分けられているのか分かりにくい。「2.主に商品・サービス選択を促すことを目的とした見える化」が耐久消費財に関わるものという括りであればそれはそれで分かりやすい。その中でサービス選択だけではなくて自らの排出量把握も検討するのなら分かりやすい。「1.主に自らの排出量の把握による自己削減を目的とした見える化」が日常の消費財を対象にしているなら分かりやすい。ワーキンググループを分ける軸はどちらなのか明確にしておいた方がいいと思われます。
- 算定方法で言えば、各委員には得意分野があります。また、目的別にも委員には得意分野がありますし、それに基づけばいいと思います。
○ 安井座長
- 非常に難しいと思われますが、ワーキンググループは最終的には商品選択に行き着くと考えるのでしょうか。そうではなく、商品選択による製造者の排出削減の促進を目指すのでしょうか。取り組むレイアーがいくつかあるように思われます。
- 3つのワーキンググループについては、結局は同じところに落ち着くのではないでしょうか。
○ 稲葉委員
- 目的について考え方を申し上げると、「1.主に自らの排出量の把握による自己削減を目的とした見える化」はライフスタイルの誘導が目的だと思われます。「2.主に商品・サービス選択を促すことを目的とした見える化」は製造者に情報の提供を求めることが目的だと思われます。また、「3.主にカーボン・オフセットでの活用を目的とした見える化」はカーボン・オフセットを既に事業化している会社が対象だと思われます。
- 以上から「2.主に商品・サービス選択を促すことを目的とした見える化」と「3.主にカーボン・オフセットでの活用を目的とした見える化」は対象が明確であり取り組みやすいと思われます。一方、「1.主に自らの排出量の把握による自己削減を目的とした見える化」は目的が不明確で分かりにくいです。CO2排出削減につながるという具体像がないので、非常にやりにくいのではないか。こうした分野は、英国政府が取り組んでいる分野であり、英国政府はNPO等を上手に使って進めている印象を受けています。こうした取組を参考にしながら、ライフスタイル全体への考え方を議論して、ライフスタイルには食・住や移動があるので、そういった場面の中でどのように取り組むか考えていきたいと思います。
- 全体の枠組みの中で、自分が重要視する部分と重要視しない部分がある。例えばクルマが好きな人はクルマで節約したくないと思われますが、食品では削減するかもしれない。そうした全体感を考えながら、国民の生活を誘導できる仕組みを検討する必要があると思います。
- 結論を申し上げると、場当たり的にやりやすい点について取り組むのではなく、理論的な枠組みを作る作業をしていただきたい。
○ 安井座長
- ライフスタイル全体についての検討は以前から取り組んできました。こうした取組が参考になればと思います。
○ 伊坪委員
- ワーキンググループの分け方について、資料の目次だと目的別に分けられているのかと思われ、分かりやすいと感じた。ただし、そのままワーキンググループの内訳になってくると、作業や見せ方を重視することになるので、そこは分けて考える必要があると思います。
- 大きくは、主体(家庭、国、自治体等)で分ける方法も1つですし、商品やサービス等の評価対象として分ける方法も1つだと思います。主体で分けるか商品のカテゴリで分けるかだと思います。
- 「3.主にカーボン・オフセットでの活用を目的とした見える化」については、イベントの「見える化」が重要だと考えています。ただ、「主に」という表現があるものの、カーボン・オフセットを主目的とするのは違和感があります。カーボン・オフセットを実施するイベントは多くありますが、イベントの評価は移動とユーティリティが対象だと思いますし、そうした部分の評価はLCAの観点からは1つ1つの積み上げの場合だとエネルギーにかかる割合は3~4割と大きい。そういった事実に気付くことを目的に、第一に取り組むべきだと思われます。カーボン・オフセットという大名目があると違和感があります。あくまで利用の実情という別段でのカーボン・オフセットではないでしょうか。
- ワーキンググループについて、そもそもどのようなこと実施するのでしょうか。算定の評価を行うのか、算定の事例を示すのか、ワーキンググループで実施することについてお教えいただきたい。
- ワーキンググループで例を示す場合、急に議論が具体的になり、省庁から示すことになると実際の利用の限界を通り越していろいろなところで利用されることにもなります。そういった点も踏まえて、ワーキンググループから出す情報の内容、及び活用方法について教えていただきたい。
○ 馬場課長補佐
- 福田ビジョンにおける「見える化」を進めるスケジュールでは、来年度から具体的にCO2を貼り付けた製品を出すことになっております。こうしたスケジュールを考えると、今年度中にはガイドラインを示して、それを見れば誰でも表示可能になるようなものにしたいと思います。
- ワーキンググループで検討するのは、算定結果を示すだけではなく、一般化して表示する方法について、具体的な計算方法にまで踏み込んで標準的な方法を出して欲しいと考えています。そういった取組が難しいのであれば、改めて相談しながら進めていきたいと思います。
○ 須田委員
- 「仕組み」という考え方を先程述べましたが、その趣旨はワーキンググループの「1.主に自らの排出量の把握による自己削減を目的とした見える化」につながります。1人1日1kgのような環境家計簿につながるような順番なのではないかと考えています。つまり、環境家計簿をつけるインセンティブ、もしくはモチベーションにつながることだと思います。
- ワーキンググループの分け方ですが、「1.主に自らの排出量の把握による自己削減を目的とした見える化」では、「見える化」の成果として想定されるものを意識して議論して欲しいと思います。
○ 君塚オブザーバ(経済産業省)
- 「2.主に商品・サービス選択を促すことを目的とした見える化」について、カーボンフットプリントと重複するものもあると思われるが、考え方の違いはどこでしょうか。ここではライフサイクルという視点ではない点が異なるように思われます。
- 商品ベースで表示をする場合、異なる数字が出てくる場合もあると思われます。その際の表示方法について、カーボンフットプリントとの違いをどのように考えているのでしょうか。
○ 馬場課長補佐
- 基本的にレベルの高い計算結果があるものについては、それを採用したいと考えています。
- ただ、最初からあらゆる商品・サービスにカーボンフットプリントの数値があるとは思えないので、まずは産業連関表による3EIDや標準値を用いておき、カーボンフットプリントの数値が出てくれば切り替えていくイメージです。
○ 稲葉委員
- 国民生活をどうやって誘導していくかについて、スーパーマーケット(食品)がどのように関与しているかについて意見を申し上げます。
- 厚生労働省は1日の摂取カロリー量について値を示している。これを満たすために私たちは食品を購入している。しかし、余剰に食品を摂取するとメタボになるし、CO2排出量も増えることになる。今ある生活の基準をどうやって満たしていくのかという考えがあり、この栄養素やカロリーを満たすのがベースラインとなるだろう。
- ライフスタイルという視点であれば、こうしたベースラインを考えればよくて、「1.主に自らの排出量の把握による自己削減を目的とした見える化」で示すのは1個1個の製品のCO2排出量ではない。ある食品構成で採取した場合のCO2排出量を示すことだと思われます。
○ 森口委員
- 「1.主に自らの排出量の把握による自己削減を目的とした見える化」の区分けにスーパーマーケットがあるので誤解を招くのではないでしょうか。また、算定方法と目的とは独立であることは何度も申し上げている通りであり、「1.主に自らの排出量の把握による自己削減を目的とした見える化」でやるのは個々の製品ではなくて、そもそもトータルでどのくらいCO2が出ていくのかというマクロなレベルでの情報提供なのだと思います。
- 「2.主に商品・サービス選択を促すことを目的とした見える化」では、商品・サービスを対象にするのであれば、同じカレーであってもA社とB社では異なるということ示し、その結果としてメーカーでカーボンフットプリントの少ない商品開発につながるということだと思います。
- 商品分野と「見える化」の目的は明らかに違うものであり、この3区分ごとの例示が目的よりはどういう商品・サービスに関してのカーボンフットプリントもしくは「見える化」を実施するというように読めるので、議論が進まないのではないでしょうか。
○ 山本委員
- カーボンフットプリントを算定して消費者へ情報伝達した例として、英国のブーツ社を訪問して得た情報を紹介させていただいます。LC算定でシャンプーの排出量を算定していましたが、どの段階でシャンプーの排出が多いかを調べていました。シャンプーだと消費段階で約93%の排出割合だったが、これを除いたLC算定を実施していました。
- シャンプーのカーボンフットプリントについては、残りの7%について議論しておりましたが、商品をユーザーサイドで使用する段階でどれくらいの排出になるかという93%の情報を提供すれば、消費者にも削減行動、すなわち温水使用削減にもつながるのではないでしょうか。
- こうした取組を考えても、「見える化」はカーボンフットプリント、環境家計簿においても有効になるだとうと考えます。
○ 木内オブザーバ(農林水産省)
- 資料2の1.(2)の算定方法に関して、産業連関表による3EIDのデータを活用する方法がありますが、そこでは特定の品目については1つの数値が与えられます。その結果、例えば露地栽培とハウス栽培のそれぞれ固定された数値の比較だけから露地栽培を選択すべきというメッセージになるとすれば違和感があります。従って、「1.主に自らの排出量の把握による自己削減を目的とした見える化」は個別の商品の比較をするのでなく、トータルで「見える化」するのが目的であるということが国民に十分伝わるよう、検討に当たってはご留意いただきたいと思います。
- 農水省では、生産段階における省エネ化の努力をしており、この努力が消費者に伝わり、さらに生産者のCO2排出削減努力のインセンティブにもなる「見える化」の方法を検討していますが、こうした取組は「2.主に商品・サービス選択を促すことを目的とした見える化」に該当するのかと思われますが、そのような理解でよろしいでしょうか。
○ 安井座長
- ご指摘の件は、今後のワーキンググループでもつめていく内容だと思われます。
- 例えば食品についてですが、実際には食品廃棄物は日本では2,100万トンくらいあります。「見える化」することで、これを減らす方向に行くかもしれない。一方で、例えば古紙の場合は古紙率が高いとカーボンフットプリントが高いことにもなり一概には言えない。
- 無駄なものは買わないし、ものは捨てない方向にライフスタイルが向かえばいいように思われます。
○ 徳田課長
- ワーキンググループの分け方について意見をいただいたが、1つは多くの委員にご賛同頂いた「1.主に自らの排出量の把握による自己削減を目的とした見える化」にある国民の排出量をどうやって減らしていくということについてワーキンググループができるのではなかと思われます。
- それ以外では、企業がどのように見せていくのか、例えばより排出量の少ない製品を作っていくという観点からの「見える化」もあると思われます。
- イベントについても、同じ効果を生むが排出量をできるだけ少なくするということがあります。
- 企業、事業者というくくりで1つグループもできると思われます。
- また、もう1つはデータベース作成を目的としたグループもできるのではないでしょうか。
○ 安井座長
- 分け方は極めて便宜的でありますが、まずはワーキンググループを作って細かい検討を行っていく方向にしたいと思います。
- ここでワーキンググループに分けても、例えば旅行の「見える化」にしても選択肢が出てくると商品の選択につながるように思われます。ワーキンググループに分けても、最後は同じような議論になるかもしれない。
- 以上で、本日の議題について一通りの議論は終わったと思われます。
【議題 その他】
○ 安井座長
- その他としては、とくに議論はありません。次回に向けた連絡事項を事務局にお願いします。
○ 馬場課長補佐
- 本日、非常に根本的な議論があり、ワーキンググループの設置も含めて全体を整理した上で、もう一度、委員の皆様にご説明にお伺いします。その上でワーキンググループでの検討を進めることにしたいと思います。
- 議事録、議事概要については、数日中に案をお送りするので、ご確認頂いた後1週間程度後にインターネットで公開します。
- 次回の日程については、改めて調整させていただきます。
○安井座長
以上