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■議事録一覧■

中央環境審議会
21世紀環境立国戦略特別部会(第13回)


平成20年5月13日
環境省大臣官房政策評価広報課

議事次第

1.開会
2.議事
  • (1)前回の特別部会以降の動きについて
    • 1)内外の地球温暖化対策について
    • 2)第2次循環型社会形成推進基本計画等について
  • (2)今後の課題について
  • (3)その他
3.閉会

午後2時30分開会

○清水政策評価広報課長 それでは、委員の方、お見えになっていない方がお一人いらっしゃいますが、定刻になりましたので、ただいまから中央環境審議会第13回21世紀環境立国戦略特別部会を開催したいと思います。
 今回はフォローアップ第3回目の会合となります。お忙しい中、お集まりいただきまして、大変ありがとうございました。申し遅れましたが、私は4月から政策評価広報課長を拝命しております清水と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 最初にお手元の配付資料の確認をお願いしたいと思います。
 最初に議事次第がございまして、次に座席表がございます。その次に資料1といたしまして、改定京都議定書目標達成計画(閣議決定)の概要という資料があります。それから資料2が横長の低炭素社会づくりに向けてという資料でございます。それから資料3が国際会議の結果等についてでございます。資料4が「第2次循環型社会形成推進基本計画」の概要についてという資料をお配りしております。資料5が第2回アジア3R推進会議の結果について、資料6が21世紀環境立国戦略の推進に関する課題についてという資料でございます。それから資料7に委員提出資料をまとめております。
 参考資料1としまして第12回の議事録を配付しております。この資料は委員に限り席上配付になっております。それから参考資料2としまして、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案ということでございます。現在、審議中の法律の概要でございます。それから参考資料3としまして、第2次循環型社会形成推進基本計画の冊子になっております。これは委員に限り席上配付ということでございます。それから、その次が第3次生物多様性国家戦略、命は支え合うというパンフレットでございますが、これも委員限りの配付とさせていただいております。それから参考資料5としまして、21世紀環境教育プランのパンフレットを配っております。そして最後、参考資料6としまして、「持続可能なアジアに向けた大学における環境人材育成ビジョン」の公表についてという資料になっております。
 もし資料などの不足がございましたら、事務局までお申しつけください。
 それでは、これ以降の議事の進行は鈴木部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。

○鈴木部会長 それでは、次第に従いまして議事に入らせていただきたいと思いますが、本日は前回の特別部会以降の動きということで、大変いろいろなことが今動いておりますので、そのご報告をお願いして、2番目の議題として、今後の環境立国戦略をフォローする課題というようなことを整理させていただき、この環境立国戦略がおかげさまでいろいろなところで、具体的に執行されるようなときの基本になって動いておりますので、この特別部会、ある意味では最後の仕上げというようなことにさせていただければと、そんなふうに思っております。
 それでは、早速ですが、前回の特別部会以降の動きについてといたしまして、まず内外の地球温暖化対策について、これにつきまして本年3月に京都議定書目標達成計画の改定などが行われております。そういうことであるとか、低炭素社会ビジョン、こういうものも策定されておりますので、この辺を南川地球環境局長のほうからご説明をお願いいたします。

○南川地球環境局長 地球環境局、南川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。失礼ですが、座って説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
 1月下旬以降、さまざまな動きがございました。その一つが資料1にございます改定京都議定書目標達成計画でございます。3月28日に閣議決定されたところでございます。これにつきましては中央環境審議会、それから産構審合同で審議を行ってまいりまして、その結果を踏まえて私どもが各調整を行いました。そして具体的に京都議定書の目標達成をいかに行うかということを政府内で検討の結果、取りまとめたものでございます。
 棒グラフがございます。ごらんいただきますと、2005年、確報値として1,359とございます。これは実は2006年ベースでは1,340ということになっておるところでございます。いずれにしましても目標であるマイナス6%、具体的には森林吸収源が3.8%、京都メカニズムが1.6%を見ますので、マイナス0.6%まで排出抑制対策を進めようということでございます。これにつきまして具体的な追加対策を検討いたしまして、さまざまな対策を講じれば、基準年比でマイナス0.8からマイナス1.8まで下げることが可能であるということで、それを対策として落としたということでございます。
 主な対策といたしましては緑の囲いにございますように、まず、具体的な削減対策といたしまして、1つが温室効果ガスの排出削減対策・施策ということでございます。自主行動計画の深掘り・拡大、また住宅・建築物の省エネ性能の向上、トップランナー機器の対策、自動車燃費の改善に加えまして中小企業の排出改善対策、あるいは農林水産業、上水道・下水道、交通流対策、さらに都市緑化、廃棄物・代替フロン対策、また新エネルギー対策の推進、こういったものがございます。2つ目に、温室効果ガスの吸収源対策といたしまして、間伐等の森林整備をさらに進めると。
 また、全体を通じまして横断的な対策といたしまして、温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度を充実するということでございます。これにつきましては後ほど簡単に触れますけれども、現在、国会で審議中の温暖化対策推進法の中で、その充実を図ろうとしているところでございます。また、国民運動の活発な展開もその施策として含まれております。
 それから、今後の課題といたしまして4つ挙げられております。1つが国内排出量取引でございます。2つ目が環境税、3つ目が深夜化するライフスタイル、ワークスタイルの見直し、4つ目がサマータイムでございます。
 これらの対策をすべて国民挙げて行うことによりまして、将来的に2010年というベースで見まして、何とかマイナス6%を超えるものが達成できると、可能であるということで考えているところでございます。
 この計画に甘んじることなく、その遂行を図っていきたいと考えております。下にございますように、きちんと進捗管理するということがその遂行の上で必要でございます。したがいまして、政府におきましては毎年6月と年末の年2回、各対策の進捗状況を点検いたします。そして2009年度には、来年度でございますけれども、第1約束期間全体の排出量見通しを示して、総合的に評価するということでございます。
 今回は便宜上、5年間の評価ということが非常に難しいことから、真ん中の2010年をとって評価をいたしております。2009年度には2012年度までを見通した上で、必要な評価を行いたいと考えているところでございます。そして機動的な計画の改定、施策・対策の充実・強化ということを行っていきたいと考えているところでございます。この京都議定書につきましては、ポスト京都の議論を国際的にリードしていくためにも、日本として是が非でも達成するのが必要だというふうに考えているところでございます。今後、万全を期してこの計画が達成できるようにしていきたいと考えておるところでございます。
 続きまして、資料2をごらんいただきたいと思います。低炭素社会づくりに向けてということでございまして、中央環境審議会の地球環境部会から4月3日に報告を出したものでございます。
 1ページをごらんいただきますと、1ページの左側にございます低炭素社会づくりの検討を始めたきっかけでございます。もちろん、この特別立国部会におきましてご指摘をいただいたということでございますが、その前にはクールアース50ということで、日本政府として2050年に世界の排出量を半減するということを目標として持とうと、それに向けて対策を進めようじゃないかということを提案いたしました。その実現のためには、革新的技術開発と低炭素社会づくりが必要だということでございますが、このローカーボンソサエティーという言葉につきましては、いろいろ言葉は出ておりますけれども、中身が不明確であると、また何を言われるかよくわからないということも多いわけでございます。
 したがいまして、この立国部会の議論も受けまして、地球環境部会におきまして低炭素社会づくりの基本理念、具体的なイメージ、さらにその戦略ということの検討を行ってきたわけでございます。1ページの右にございますように、昨年9月から今年3月あるいは4月まで審議を行ってきたということでございます。この結果につきましては、福田内閣総理大臣の懇談会にもインプットをしたところでございます。また、きょうお出ししておりますのは取りまとめの簡単なバージョンでございます。フルバージョンにつきましては、環境省のホームページに掲載させていただいておるところでございます。
 2ページをごらんくださいませ。低炭素社会づくりに向けてということで、全体の構図をここで示しております。
 基本理念といたしまして、カーボンミニマムの実現、豊かさを実感できる簡素な暮らしの実現、そして自然との共生の実現という3つを掲げております。そして低炭素社会のイメージということで、まち、移動から消費者選択、金融・投資・情報開示まで、8つのイメージを示しております。これはローカーボン社会とは何かということについての具体的な感覚をイメージしていただくということで示したものでございます。その下にございますのが4つの戦略ということでございまして、国民、企業、NGO/NPOあるいは政府に何が望まれるかということを整理したものでございます。
 次のページ、3ページは基本理念を詳しく説明したものでございます。また、4ページ以降は個々のパーツにつきまして、イメージあるいは戦略を記述したものでございます。4ページが都市あるいは移動についてのイメージと戦略でございます。5ページが農山漁村のイメージ、農山漁村、さらに森林・農地・海洋のイメージと戦略、また、6ページが住宅・建築物あるいは消費者選択についてのイメージと戦略、そして7ページが産業、さらにエネルギー供給のイメージと戦略というものでございます。8ページにその横断的な戦略を整理してございます。
 9ページでございますけれども、やはりローカーボンソサエティーは、一国で対応できることではないというふうに考えておるところでございます。したがいまして、3つの提案をしております。1つがローカーボンソサエティーに関する国際的な政策対話、国際共同調査研究を含むものと情報拠点の整備、人材育成、2つ目が途上国への日本モデルの発信、3つ目が低炭素社会に向けた国際的なインセンティブの強化提案でございます。
 以上でございますが、ローカーボンソサエティーにつきましては、来るべき神戸の環境大臣会合におきまして提案をいたしまして、その場で私どもとしましてはできれば、国際的なこの問題についての共同研究体制というものの合意をぜひ得たいと、そして、そこから日本発信のローカーボンソサエティーの世界的な研究の体系ができて、今後、大きな環境分野での研究あるいは政策の課題になっていくようにしたいと考えているところでございます。
 続きまして、資料3の国際会議の結果等についてをごらんいただきたいと思います。
 2ページをごらんください。
 気候変動についての大きな決定につきましては一番上の緑の流れ、つまり、気候変動枠組条約の流れで決まってくるわけでございます。具体的には去年12月でございます。バリ島でCOP13が行われました。この締約国会議におきましてバリ・アクションプラン、通称ロードマップと申しておりますが、それが合意をされておるところでございます。内容は多岐にわたりますが、一番大事な点は2009年12月に想定されておりますデンマーク、コペンハーゲンでのCOP15に起きまして、ポスト京都議定書のフレームワークを決めようということでございまして、それに向けて例えば今年でございますと4回、AWGを行う、そして12月にCOP14でさまざまな議論をする、そして、それを2009年の議論のまとめに結びつけようということでございます。
 真ん中にサミットの流れがございます。サミットは当然ながら主な排出国がすべて参加するわけでございます。特に最近のサミットは、いわゆるG8国だけではございませんでアウトリーチと呼ばれる国、具体的には中国、インド、メキシコ、南ア、ブラジル、そういった国が参加をいたしておるところでございます。したがいまして、サミットに参加する国だけで世界の8割にも及ぶ温室効果ガスの排出があるわけでございますので、やはりその主要国での話し合いが極めてCOPにも大きな影響があるわけでございます。
 当該国におけるサミットにおきましては、さまざまな議題がございますけれども、日本がイニシアチブをとれる最大の議題が気候変動だということで考えております。そのために今年1月からさまざまな会議がございます。1月の終わりにはダボス会議がございまして、G8議長国として福田総理が演説をしております。それ以外に国内でたくさん会議がございます。3月半ばにはG20と申しておりますけれども、千葉で会議が行われました。そして今月末、2週間後でございますけれども、神戸でG8環境大臣会合が行われるわけでございます。そういった話し合いの成果を踏まえて、7月7日から9日にわたりまして、北海道洞爺湖でのサミットがあるということでございます。この成果につきましては当然、今年のCOPの流れの中に組み込んでいくということになろうかと思います。
 3ページがダボス会議の結果でございます。ダボス会議、私もそこに参加をいたしましたけれども、福田総理から大変力強いメッセージが出ております。ポスト京都フレームワークといたしまして、クールアース推進構想が表明されました。まず、第1に世界の排出量を今後10年から20年でピークアウトしようと、2050年は少なくとも半減をするんだと。そして2つ目でございますけれども、日本は国別総量削減目標を掲げて、削減をするんだということであります。したがって、日本も先進国として当然応分の責任を負うということを言っているわけでございます。また、3つ目には目標設定を合理的にするために削減可能量を積み上げる、削減負担の公平さを確保しようということを言っております。
 2つ目が国際協力でございます。クールアース・パートナーシップを構築して、100億ドル規模の新しい資金メカニズムをつくろうということでございます。また、イノベーションにつきましては、革新技術の開発と低炭素社会の転換ということを掲げたわけでございます。4ページはその図示でございます。
 5ページでございますが、3月のグレンイーグルズ対話の結果をまとめております。これは2005年の英国でのサミットの結果を受けまして、ブレア首相のリーダーシップのもと、主な国が話し合う、そういう中でCOPの話し合いも進むんだということで始まったものでございます。この会議がこれまで機能してきたことが、バリ島での合意にもつながったというふうに考えておるところでございます。今回、その最終回でございました。右の括弧にございますけれども、ブレア首相自身が最初の会議の提唱者として参加をされまして、冒頭に基調演説を行ったところでございます。その後、技術、資金・投資、将来枠組み等について、極めて示唆に富む議論が行われたわけでございます。
 最後のページは、先日の胡錦濤首席が訪日しましたときの日中共同声明でございます。今回、さまざまな過程がございましたが、結局、結果的に気候変動問題について、単独で日中共同声明がまとまったということでは、極めて意味が大きかったと考えているところでございます。例えば2つ目にございますように、日本が2050年、少なくとも世界全体で半減ということについて、これまで中国は何らコメントをしなかったわけでございますけれども、今回、中国は留意するということを言いました。そして各国とともに枠組条約の究極目的を実現させる方法及び措置を、中国側として検討していくということを言っております。それから次のところでございますけれども、日本の総量目標の設定に加えて、中国側は気候変動国家計画の実施、世界の気候保護のための新たな貢献の表明等々、従来に比べますと幾つか進歩した点があろうというふうに考えているところでございます。
 いずれにしましても、次期枠組みにおきましては京都議定書を離脱した米国はもちろんでございます、従来は義務のなかった中国、インド等の参加が不可欠でございます。そういったことに向けての努力を行ってまいりたいと考えております。
 最後に参考資料でございますけれども、参考資料2に現在、私どもが国会に提出をしております地球温暖化対策の推進に関する法律の一部改正についてのポンチ絵が出ておりますので、ごらんいただきたいと考えているところでございます。4月25日に衆議院を通過いたしました。その際に幾つか修正も入りました。これにつきまして私どもは排出抑制、従来の温対法をかなり超えまして具体的な排出抑制指針をつくる、あるいは各地域で具体的な対策計画をつくっていただくということで、非常に前進をしていると考えているところでございます。まだ、参議院の議事日程は未定でございますけれども、ぜひともこれを成立させまして、私どもとしての政府としての温暖化対策の一層の推進を図りたいと考えているところでございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして同じく3月に策定されました第2次循環型社会形成推進基本計画等、循環型社会づくりについてのご報告、これを担当者からお願いいたします。
 紀村課長。

○紀村廃棄物・リサイクル対策部企画課長 廃棄物・リサイクル対策部の紀村でございます。どうぞよろしくお願いします。恐縮ですが、座って説明させていただきます。
 資料4、それから資料5、それから恐縮でございますが、参考資料として配られている第2次循環型社会形成推進基本計画そのもの、この3点を使って簡単にご説明させていただきたいと思います。
 まず、資料4でございますけれども、概要について簡単にご説明申し上げますと、ご高承のとおり、循環推進基本計画、これは循環基本法の中の最大の目玉というものでございます。第1次の計画につきましては2003年、平成15年に策定されていたわけでございますけれども、昨年7月より中央環境審議会循環型社会計画部会、部会長は今日もご出席の武内委員でおられますけれども、そこで13回プラスあと6回の地域ヒアリングを行った上で内容を取りまとめ、3月25日に閣議決定したものでございます。
 ポイントにつきましては、1枚目の紙の下のところに書いてございますが、ここにおいては7点ということで環境保全を前提とした循環型社会の形成、それから循環型社会、低炭素社会、自然共生取組の統合の話、それから3つ目で地域循環圏、4つ目で数値目標の抜本拡充の話、5つ目で各主体が連携・協働した3Rの取組、6つ目が3Rの技術システムの高度化、7つ目が国際的な循環型社会形成に向けた我が国の主導的な役割ということで、21世紀環境立国戦略部会の戦略3の中でご指摘いただいていた項目というのは、アジアでの循環型社会構築に向けた取組と3Rの技術システムの高度化、それから3Rについては地球温暖化対策への貢献、日本提唱の3RイニシアチブのG8での推進ということでございますので、そういった中身についてはすべて盛り込んだものとなっております。
 恐縮ですが、1ページめくっていただいて、初めに現状と課題ということで一定の成果があったということについて記した上で、世界的な資源制約の高まり、それから地球温暖化問題等への対応の必要性の増大といった中身を記述した上で、国内、国際的、いずれについても循環型社会の形成を一層推進する必要があるということをうたった上で、その後、中長期的な循環型社会形成のイメージ、2025年などを念頭に置いたそれまでの道筋ということ、それから2015年を主として目標としたさまざまな数値目標・指標関係の話、それから各ステークホルダーごとの期待される役割、国としての取組といったようなものについて、記載するものでございます。
 まず、中長期的なイメージのところについては、そこに書いてございますようにいわゆる三位一体型の社会のイメージ、あるいはストック型社会の形成のイメージとか、あるいは地域循環圏のイメージ、ライフスタイルがどうなっているのか、あるいは取組の加速化がどんなイメージになるのか、ものづくりなどの経済活動における3Rの浸透、廃棄物処理システム高度化等々の中身が書いてあるんですが、ちょっと時間がないので簡単にはしょって説明しますけれども、本体のほうの10ページ目をちょっとごらんいただけますでしょうか。
 この10ページ目の中では、例えば地域循環圏のイメージということで、コミュニティレベルにおいてどういうふうな形になるのか、あるいは農山漁村、中小都市、大都市、ブロック圏、国際規模の循環圏でどうなるのかということについて、簡潔に記してございます。また、11ページ目のほうに行っていただきますと、エネルギー効率の高い資源消費の少ない社会経済システムづくりということで、都市地域づくりあるいは交通がどうなのか、あるいは12ページでございますけれども、今度はいわゆるライフスタイル絡みの話ということで、暮らし、自然がどうなっているのか、衣服がどうなっているのか、食がどうか、住まい、健康、13ページでございますが、雇用、余暇の過ごし方、もの等々、それぞれについて具体的にどういうふうになっているのかということも書き込んだ上で、その後、数値目標の話について記しております。
 数値目標の話は後でちょっと詳細をご説明することにして、次の第4章のところの各主体の連携とそれぞれに期待される役割、要約のほうでございますけれども、ポイントを一言で申し上げますと、関係主体の連携と協働というのを計画の策定段階から実施段階に至るまで、徹底してやるというのが1点目。それから、あと2点目で今までは各ステークホルダーの中で、大学というのを特出ししていなかったんですが、大学の役割についてもしっかり書き込んでいるというのが2点目。それから3点目は、教育問題の重要性について各ステークホルダー、いずれの部分についてもしっかり明示的に埋め込んでいるということがございます。それから4点目は、地方公共団体全体としてのコーディネーターとしての役割が非常に重要なものですから、そういった中身を書いているところでございます。
 それから第5章のところ、国の取組のところでございますが、1番目の丸にありますように、従来よりいわゆる自然の物質循環、その一部である社会経済システムの物質循環の両方を視野に入れて、適正な循環を確保するということになっているわけでございますが、今回、明示的に自然環境の保全に加えて環境保全上、健全な水循環の確保、それから適切な農林水産業の増進といったような中身についても、しっかり埋め込んでいるところでございます。
 恐縮でございますが、それから以降の資料、横のスライドになりますが、ちょっと飛ばしていただいて、数ページめくっていただくとスライドで4番目の部分があるかと思いますが、タイトルのところが「持続可能な社会に向けた統合的取組の展開」というところがございます。3つをうまく三位一体型にやるということで、2つの構成項目にばらしますと、下に書いてございますけれども、循環型社会、低炭素社会の統合な取組の推進をどういうふうに図っていくのかということで、廃棄物発電の導入等による熱回収の徹底のところから物流システムのところまで、4点ほど具体的事例を入れております。それから、あと自然共生との関係につきましては、一番下のところを見ていただいてもわかりますように、農林水産業の話等も含めて、具体的な中身として全体を盛り込んでいるということでございます。
 スライドの5番目が地域循環圏ということで、言ってみればバイオマス系の部分について地産地消に代表されるような、そういう循環が基本だと思いますけれども、金属系等になっていくと日本国内はもとより、物によっては世界全体をめぐるような、そういった循環になっていくというようなことが記してございます。
 6ページ目以降は数値目標系の話が書いてございます。現在の循環基本計画、6ページ目の左側に書いてございますが、入り口、出口、真ん中が循環の3つの数値目標というもので、2010年の目標が決まっています。
 7ページ目の資料を見ていただくと、一番下に最終処分量がありますが、1990年との関係でいきますと、足元までで実に70%の最終処分量の削減というのを達成しているんですが、今後、新たな数値目標ということで2015年をターゲットに考えておりますけれども、さらに3割削減していくというような目標を設定しておりますし、資源生産性の部分につきましては、分母が天然資源等の投入量をトンベースではかり、それから分子が実質GDP、万円オーダーということなんですが、これにつきましても過去15年間で6割向上、ブルーのラインでございますが、ということまで来ているわけですが、今後、さらに3割向上していくといったような意欲的な目標を立てております。
 間でどれだけ循環するかですが、今、足元は12.2%の循環率のところを14から15%まで高めていくということで、それぞれ3つの今の数値目標について、2015年という新たな目標年次で中身を抜本拡充すると、より高い目標にしていくということを図っておりますし、6ページ目の右側の2ポツ以下にありますけれども、目標を設定する補助指標ということで、先ほどのように資源生産性は、やはり投入量をトンではかっているものですから、公共工事等が増えると、どうしても数字が下に引っ張られるということになるものですから、土石系のそういった資源投入量を除いたような数字も出そうといったようなこと、あるいは低炭素社会との取組の連携強化ということで、まさに新目達計画でできたような数字もうまく織り込みながら、連携をつけていくというような工夫を行っております。
 また、推移をモニターするような指標ということで、足元までの状況をしっかり把握していくということで3にございますけれども、産業分野別に資源生産性というのはどうなっているのか、国際資源循環、輸出入の部分がかなり行われているということを考えると、それを踏まえたような指標がどうなっているのか等々、さまざまな指標を設けるということにしておりますし、今後の検討課題ということで、環境負荷算出にかかわるような各国のインベントリーの整備とか、国際的に共有し得るような換算指数の設定など、さまざまな課題というのを洗い出しております。
 それから、次に8ページ目、9ページ目でございますが、取組指標というものについても、現行の第1次の基本計画においても数値目標というのがございました。9ページでございますが、一般廃棄物、それから産業廃棄物について、それぞれの目標というのがございましたが、今回、さらにこの中身を拡充して、9ページの右側の一番上になりますけれども、今まで家庭系のごみの部分については、資源回収されるものを除いたものをどれだけ削減しましょうということにしていたわけですが、そういった指標は生かしつつ、それも込みで見たときにごみの排出量全体、これをしっかり削減しましょうということで、リデュースの目標を設定しているということでございます。上の8ページ目のところを見ていただきますと、推移をモニターする指標群ということで、足元まで様々な具体的な指標についてしっかり見ていこうということで、様々な指標群を追加しております。
 具体的には例えば(1)から(4)まで見ていただきますと、象徴的なものがかなり入っておりますけれども、リデュース、リユースをもっと進めなければいけないということでございますので、それに適したような指標群というのを盛り込んでおりますし、あと全体として地方自治体の働きが非常に重要だということでございますので、(6)とか(7)にございますが、リデュースとかリサイクル、それぞれ人口規模別に分けた上で、各市町村のトップテンなんかも出すような形をとっております。そんな工夫をしているところでございます。
 最後に10ページ目でございますが、国際貢献の部分につきましては大きく分けてG8あるいはOECD、UNEP等の場におけるような貢献の中身と、それから、あとアジア等を中心とした中身があるわけでございますが、G8等の部分につきましては、今もご説明したような資源生産性のそういった向上に関するような取組、これをさらに3Rイニシアチブの形で、積極的に展開していこうということをやっておりますし、OECD、UNEPの場におきましても日本がリーダーシップをとって、さまざまな研究の支援をやってきておりますが、そういったものをさらに進めていくといったような中身を盛り込んでございます。
 また、アジア等との関係におきましては、まさに立国戦略の中でも代表的に出ていた制度、技術、経験の国際展開の中で、し尿処理システムといったようなものを含めて、新たに追加したような格好でのアジアからアフリカまでの幅広い展開といったような中身を書いてございますし、2012年までに東アジア循環ビジョンを策定するということでございますので、みんなで実際に議論して一緒につくり上げるような、そういったビジョンの策定をしっかりやっていこう、あるいは研究・情報ネットワークをしっかりつくっていこう。全体としては新・ゴミゼロ国際化行動計画等を策定することによって、全体としての国際協力を進めていこうといったような中身を盛り込んでいるものになっております。
 最後に資料5でございますが、そういった流れの一環として第2回のアジア3R推進会議というのを今年3月に開催いたしました。アジアの皆様方を集めての会議というのは第2回でございまして、一昨年の秋に1回目を行っておりまして、一昨年の段階で3Rの重要性とか、いわゆるイーウエストあるいは一般廃棄物あるいは医療系廃棄物等々についての対応の必要性ということについて、共通認識を大分作ってきたわけでございますけれども、この場におきましての肝はアジア各国に加えてG8各国の者にもしっかり入ってもらい、それから、あとNGOの方々にも入っていただいて、さまざまな議論について論じ合ったというところがポイントでございます。
 次のページ以降、議長サマリーのポイントが書いてございますけれども、アジアも含めて3R政策、これをしっかりやっぱり展開していく、あるいは目標設定も含めて資源生産性の向上といったようなものについて、果敢にトライしていくことが重要だ、あるいは温室効果ガスとのコベネフィットについての追求も必要だといったようなこと、あるいは能力開発を図るに当たって、しっかりもともと根っこの技術開発をやらなければいけないとか、いろんな連携を図っていかなければいけないということについても共通認識ができておりますし、国際資源循環のアプローチということで、各国がまず循環型の社会を構築していこうと、その上でしっかり水際あるいは適正処理をやって、補完的な格好で貿易もちゃんとやっていこうといったような中身についても盛り込んでいると、こういうことでございます。
 それから、あと最後、3ページ目の最後のブロックのところでアジアのところが書いてございますけれども、この中にございますように、アジア全体としても3R政策がまさに不可欠だということについて、共通認識ができているということでございます。
 説明が長くなって恐縮でございますが、以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 昨年の閣議決定をいただいた生物多様性国家戦略と、今回、ご説明いただいた京都議定書の目標達成と低炭素社会づくり、そして循環型社会形成推進基本計画と、それで3つの社会像に対する一応骨格的なものができ上がっているわけであります。
 ただいまのご説明につきまして、ご意見あるいはご質問がございましたら、ここでお受けしたいと思いますが、いかがですか。
 では、武内委員。

○武内委員 循環型社会のことから、補足的に私のほうから申し上げたいと思います。循環型社会、指標について相当突っ込んだ議論をいたしまして、補助指標という形にはなりましたけれども、相当OECD、UNEPあたりでも評価されまして、こちらのほうは二酸化炭素と違って、世界の共通指標とか共通目標というのはなかなか難しいんですけれども、やっぱり日本がイニシアチブをとるという意味では、先ほど低炭素社会でイニシアチブという話がありましたけれども、ぜひこちらのほうも引き続きイニシアチブをとるべく、頑張っていただきたいというふうに考えております。
 それと、もう一つ私もこの間、OECDに行って今般の改定された基本計画の話をいたしましたけれども、地域循環圏というのは大変いい概念だというふうにお褒めをいただきました。ですから、この辺もぜひ国際社会に発信できるものとして考えていただければいいと思うんですが、特に私は今後の展開として考えるのは、これをただ物質の循環系というだけじゃなくて、少し循環型社会の概念を広めるということと、あわせて考えていくということがあり得るんじゃないかと思っておりまして、日本の循環型社会は成立の経緯から水の循環だとか、あるいは地域の生態系との親和性という意味での循環みたいな話というのは、かなり欠落しておる部分があるんですけれども、三社会像の統合という以上は、そういうところを少し今後検討して、私がちょっとこの間、講演したときに仮にそれを地域循環共生圏というふうに名前をつけてみたんですけれども、そういう、そこで人間と自然がお互いに貴重な自然資源をめぐってともに歩んでいけるような、そういう持続型の社会の体制をつくっていくと、こういうふうな方向に話が発展すれば、ますます21世紀環境立国戦略の精神を生かした方策につながるのではないかと思う。これが循環型の今の基本法の枠の中でというふうなことになると、若干問題はあるんですけれども、しかし、余りそういう法的な制約にこだわらずに、むしろあるべき姿を目指していくということが望ましいんじゃないかなというふうに思っております。
 それから、もう1点、生物多様性もCOP10をいよいよ今度ボンで、我が国が招致するということで決定すると思いますけれども、これもそれを機会に、ぜひ国際的なアリーナで議論できるものにしていただきたいと思います。
 私が里山というキーワードを含む学術論文が幾つかあるかって調べましたら、30ぐらいしかないんですね。例えばIPCCの温暖化に関するレビューで、どのぐらいの論文があるかなんていうのはニシオカさんが一生懸命調べていて、日本の貢献は2%で大体人口比に比例するんだなんていうような嫌みを言っておられましたけれども、里山イニシアチブということを言ったのはいいんですけれども、海外に発信できる情報がどの程度あるかというと、学術的な論文でいうと今言ったぐらいなんですね。ですから、大ざっぱに言うと、本当に数えるほどしか海外に発信していないという状況があるわけで、他方、COP10を名古屋で招致する中で、里山を初めとする日本における人間自然関係の再構築に向けての試みを世界に発信しようとするわけですから、ここは一挙に国際化を考えていくための戦略を考えていただきたいと思っております。
 私はたまたま環境省の環境教育推進室の募集に応募しまして、おかげさまで昨日採択予定と連絡していただきました。私どもが出したテーマは何かというと、「日本・アジアSATOYAMA教育イニシアチブ」というものです。ちょっと宣伝めいて恐縮ですけれども、東京大学の分野横断的な組織というので、アジア日本学の研究ネットワークというのがありますが、そこで文系の先生なんかにもお願いして、農学系では里山というのは割とやっていたんですが、それ以外の例えば東洋文化研究所だとか、そういうふうなところにも協力を仰いで、里山論というのを英語で講義を開こうと。
 それから、アジアでやっぱりこの議論を展開したいといったときに、1つ我々が気をつけなければいけないのは、日本にはこういういいシステムがあるから、おまえたちもそれに従えみたいな話を言うというのはかなり危険なわけで、やっぱりそれぞれの国にはそれぞれの国の伝統的な知恵というのがあって、それをお互いに尊重し合いながら、アジア全体としては多様性を持った人間自然関係の再構築に向けた活動を連携してやっていこうと、こういう趣旨だと思いますので、私はそこでは里山という言葉は使わないで、アジア自然共生論という講義のようなものをつくったらどうかと今提案しておりまして、これはアジアでそういうことに関する知見を持った外国の方に、東京大学に来ていただいて勉強してもらおうと。
 さらに、国連大学の高等研究所がありますけれども、そこで少し日本の学術が国際化できるようなトレーニングをしてもらうと。それから兵庫県の豊岡市にお願いをして、そちらのほうで現場で日本人と外国の学生、特にアジアの学生が一緒になって教育を受けていくというような、そんなことを提案しているわけなんですけれども、そういうふうに持続可能な開発にかかわる教育というものと、それからSATOYAMAイニシアチブ、それから日本における生物多様性の議論の国際化、こういうものをやっぱり体系的に、一体的に総合的に推進していくということも、あわせて必要じゃないかというふうに申し上げたいと思います。
 ちょっと長くなって申しわけございません。

○鈴木部会長 大変大事なところを指摘していただいたと思います。里山というのは言葉は新しいんですが、本来の地域の森林、あるいはまさに里山と言われるところと人間の生活との関連というのは、かなり歴史があるわけです。ですから、多分、そういう意味でのまさに自然を含む物質循環というところまで、循環型社会という概念をどういうふうに活用して、特にそれぞれの地域ごとにあるべき姿を考えていくというのは、今後、ぜひ必要だろうと思います。今度の生物多様性のCOP10でも、多分里山というのが日本のある意味では売り物になっていかなければいけないんでしょうから、そういう意味では大急ぎでそういう方向に向けて進めていただくとよろしいのかなと思います。
 後でまた自由にご議論いただく時間がございますので、議題3のほうの今後の課題について、ご説明を伺いたいと思います。
 では、清水さんのほうから。

○清水政策評価広報課長 それでは、資料6についてのご説明をしたいというふうに思います。全般的な事項ですので今の温暖化なども含めて、また課題の議論というところで議論していただけると思いますので、まずご説明したいと思います。
 資料6ですが、「21世紀環境立国戦略の推進に関する課題について」というふうに題が打たれておりますが、この資料は前回及び前々回の部会の議論、それに加えまして各委員の皆様から提出されました資料、これは資料7ということでまとめておりますが、こういったご意見を踏まえて取りまとめたものであります。資料7につきましてはごらんいただくということでよろしくお願いします。
 本日の議論を踏まえて修正した上で、最終的に部会長のご判断になりますが、部会長意見という形で政府に対して提出していただくという、そういう形を考えております。
 まず、1番目で総括的事項ということでございます。
 国際的に本年5月、G8環境大臣会合があり、それから7月の洞爺湖サミットを控えているわけでございますが、これに向けてリーダーシップを発揮していくべきということで、特に戦略に定められたような日本の強みを生かしたイニシアチブの発揮をしていくべきではないかというのをまず第一に挙げております。
 それから、国内的にもいろいろ基盤整備をしていく必要があるわけでありますが、特に戦略で示されました循環型社会の構築、低炭素社会の構築、自然共生社会の構築のための統合的取組を進めていくべきであろうと。その統合の観点は政策レベルまでやはり及ぶ必要があり、例えばここでは地球温暖化対策と生物多様性保全などの連携を念頭に置いて、統合的取組を進めていくべきである。その際、当然ながら省庁間の密接な連携あるいは自治体の連携なども必要になってくるわけであります。
 それから最後、国際に戻りますけれども、共通だが差異のある責任原則というのが従来、先進国対途上国というような議論の文脈で行われてきましたが、途上国対途上国というような文脈でも言われてきているような中で、対応について検討していくのが課題ということでございます。
 それから、21世紀環境立国戦略の中では、今後、一、二年で重点的に着手すべき8つの戦略という形で掲げました。この8つの区分に沿って課題をまとめたのが2の部分でございます。
 まず、第1番目の戦略が気候変動問題の克服に向けた国際的リーダーシップという分野でございまして、須藤委員、中村委員、廣野委員など多くの方々から意見を寄せられておりますが、まず、1ポツ目で温暖化対策の主要排出国が参加する国際的な枠組みの構築と。これは当然、今行われているバリ・ロードマップに従った現在の交渉をきちんとするという大きな課題でございます。そのため、日本がハイレベルの国際的な合意に向けて、リーダーシップを発揮していくべきであろうというのを2番目に置いております。
 それから、家庭部門あるいは住宅部門など、あるいは都市改造、既存住宅ストックの更新など、こういったものも大きな検討課題になってきます。
 それから、企業分野で見ますと従来の取組もありますけれども、さらに例えば生産環境の排出削減を進めていく、あるいは従業員の生活環境におけるCO2を削減していくなど、企業ぐるみ、全体として広がりができるような温暖化対策を行っていけばどうかという、そういう提案も出ております。
 それから、技術というのは大変重要でございますが、技術の拡充を加速化するために、特に炭素に価格をつけるような市場メカニズムの活用を早急に検討するべきではないだろうかと。国内排出量取引、環境税などの議論が政府においても検討課題として、今、検討が進んでいるところでございます。
 それから、人間の温暖化による健康影響あるいは資金メカニズムなども課題として挙げております。
 次のページへ行きまして、戦略2ということで、生物多様性の保全による自然の恵みの享受と継承という2番目の戦略についてでございます。
 森本先生、須藤先生などからご意見を書面でもいただいておりますが、特に生物多様性の重要性について社会への浸透を図っていこうと。この際、普及広報とか環境教育などがございますが、科学的基盤を充実したり、特に民間の参画というのを促していくことが大変重要ではないかというご指摘がありました。
 里地里山、里海里川、今、武内先生のほうからもご指摘がありましたけれども、こういったものを例としながら、自然共生の社会づくりを進めていったらどうか。田んぼというものに着目した、アジア型の生物多様性保全の取組を紹介・普及していけばどうだろう。それから里地里山などを環境教育やバイオマスの活用のための場として扱っていくようなこともどうだろう。
 それから、ここに生物多様性2010年目標の達成ということがございますが、武内委員のほうからもご指摘がありましたように2010年、名古屋で生物多様性条約のCOP10開催に、日本は名乗りを上げておりますので、こういった中で2010年目標はきちんと達成するということのみならず、次期の世界目標をどんなものに持っていくか、その検討ということを課題として挙げております。さらに生態系ネットワークの形成なども挙がっております。
 それから、戦略3ということは、3Rを通じた持続可能な資源循環ということであります。
 ここの部分につきましては、田中委員あるいは武内委員のほうからもご指摘いただいておりますが、特に我が国が循環基本計画で資源生産性の目標を掲げ、OECDあるいはUNEPなどに広がっているということを踏まえながら、1番目のところでは資源生産性について世界に発信する、あるいは各国の目標設定についての取組を促進するなどの課題を挙げております。
 それから、2番目のポツといたしましては、経済成長と資源需要の増大をデカップリングするというような観点から、途上国における資源生産性のデータ整備や能力開発を支援していこうという、そういう課題をくくっております。それから、さらに国際パネル、UNEPで動いておりますので、そういうのをリードしていく。
 それから、当然、従来からやっております3Rということを推進していこう。その中で、特に今回の計画の中でも明らかになりました地域循環圏というものを大切に広めていこう。
 それから、アジアにおける循環型社会構築に向けて我が国の経験を生かしていく。先ほど指摘がありましたけれども、浄化槽とかし尿設備などの議論も書いております。胡錦濤さんの来日に合わせて日中で協定がなされている、そういった分野でもあります。
 それから、戦略4といたしまして、公害克服の経験と智慧を活かした国際協力という分野でございます。
 廣野先生、須藤先生、田中先生などを中心としてペーパーをいただいておりますが、中国を初めアジア・太平洋を中心とした国際協力を推進していこう。その際、コベネフィット型の国際協力を進めていけばどうだろう。
 それから、グローバリゼーションが進む中で、市場の統合がEPAあるいはFTAなどによって進んでいくわけでございますが、その中で環境条項をきちんと盛り込んでおく必要があるだろうと。こういう市場が統合されていけば、共通環境政策というようなものが必要になってくる。それに向けた政策協調のメカニズムを東アジアサミットの枠組みの中で、日本のリーダーシップを発揮していけばどうかという、そういう課題が挙がっております。
 地域協力の観点からは水環境、それから3ページの2ポツ目でいいますと大気、こういった両面について行っていくべきだろう。
 それから、日本はTICAD、アフリカサミットという形でアフリカの支援に対するイニシアチブを発揮しておりますが、環境面におきましても特にアフリカの貧困撲滅、温暖化・砂漠化、環境難民というような3点について、きちんと対応していくべきであろうというご指摘をいただいております。
 それから、戦略5として環境・エネルギー技術を中核とした経済成長。革新的な技術開発に関する長期的な予測・工程表づくりをしていったらどうか。
 それから、戦略6としまして自然の恵みを活かした活力溢れる地域づくりということで、中村先生などの文章によるご指摘もいただいておりますが、個々の住宅のみならず、地区・街区レベルでの環境負荷を落としていく必要があると。その際、都市インフラの早期の段階からコンパクトシティづくりのデザインを行っていくべきであろう。交通関係でもカーシェアリングとか公共交通ネットワークなどの再編など、コンパクトシティを支援していく必要がある。
 それから、ハウスシェアリングなどの指摘、それから感性・感覚の視点を重視したまちづくりなども議論されております。
 それから、ヒートアイランド対策として積極的な支援を含んだ、長期的対策を行っていく必要があるであろう。
 それから、農業と環境との関係で有機農法の奨励、間伐材の需要促進などを含む農業の活性化による環境負荷の軽減を図ったらどうか。
 それから、沿岸域の総合管理という観点で、里海の話をしてきております。
 それから、戦略7は環境を感じ、考え、行動する人づくりということで、大久保委員のペーパーなどを中心にまとめておりますが、特に大学というものを特出ししながら、そこにおける環境対策と環境人材育成ということ。
 それから、今後、住宅のエコ改修というものが進む中で、高齢化社会の建設に向けて多世代混在型の、あるいは住宅をシェアリングするような形で社会を形成していったらどうか。そのために環境教育が重要な役割を果たすのではないかというご指摘をいただいております。
 それから、企業につきましては再掲的な部分もありますが、従業員や家庭まで巻き込んだ対策が非常に重要である。それから、グリーンジョブ、グリーンワークの創出もしていく。
 それから、基本的な事項ではありますが、環境情報を公開し、政策決定への参加、司法アクセスへの保障など、こういった基本的な部分も日本のみならず、アジアも含めて推進していくべきであろう。
 それから、NPO、NGOの自立のためにはコミュニティビジネスを進める必要があり、そのための中間支援の仕組みというものが課題になるのではないだろうか。
 それから、戦略8ということで、環境立国を支える仕組みづくりという点につきましては環境配慮契約法につきまして、現在、国と独立行政法人のみの義務になっておりますが、地方も含めて普及のための働きかけをしていったらどうだろう。それから計画の事前段階からのアセスメントを実施するような、戦略的環境アセスメントをさらに展開していく必要があるのではないか。
 以上が前々回及び前回、それから先生方の文章の意見によるご指摘事項です。
 ちょっと長くなりましたが、以上です。

○鈴木部会長 一応、この特別部会のまとめといいますか、最後に当たってこういう形の課題、今後の課題をまとめさせていただいて、それを今後はそれぞれの具体的な体制を持っておられる部会あるいは全局全課においてそれを実行していただく。そういうような形になっていこうかと思いますので、その課題についてという資料6をどういうふうにまとめていくか、それがきょうご議論いただきたいところでございます。委員の方々からぜひご自由なご議論をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 ちょっと時間の制約もございますので、お一人、大体3分ぐらいで、では、廣野委員からお願いいたします。

○廣野委員 どうもありがとうございます。
 今の資料6のことでございますけれども、ちょっと前後しますけれども、私自身がいろいろ気がついた点で申し上げたいと思います。
 まず、戦略1の点でございますが、当然なんですけれども、先ほどの低炭素社会づくりに向けてという資料2にもあるんですけれども、その8ページにもあったんですけれども、低炭素社会という言葉自身について、やっぱりいろんな欧米その他、アジアの方々とお話ししていると、ちょっと言葉がこれでいいのかなという感じを持っていますね。やはり、もうちょっとすんなりと皆さん方の頭に入ってくる言葉がいいかなということがあります。
 それから、もう一つはたまたま3月に早稲田大学でやったことなんですけれども、やはりその中で特にアフリカのTICADに関係して、アフリカの方をたくさん招待してやったものですけれども、我々、今、資料6の3ページの一番上のところに「アフリカが直面する」と書いてありますが、そこでかなり議論されたのは、やっぱりアフリカにとっては低炭素社会ということよりも、アフリカ自身も既に低炭素社会であるということで、そのことよりもやはりアフリカで現在、非常に大きな問題というのは基本的には水産資源とかあるいは農業資源とか農産物、それからまた鉱物資源、その乱開発が行われていると。
 それによるところの一つは環境破壊、これが非常にひどいということ、いま一つの例として中国のODAのことをかなり彼らは批判しておりましたけれども、それから同時にそういう中で特に農業関係の乱開発においては、最近、ある意味でバイオフュエルの弊害がどんどんアフリカでも出てきていると。そのために実は食糧を生産するいい土地がバイオフュエルの生産に向かっちゃっていると、特にアフリカではバイオ、いわゆるパームオイル、この方向が強く出てきてしまって、各地で。その結果、やっぱり農民たちの貧困化がますますひどくなっているということで、貧困と環境破壊という2つの大きな問題がぶつかっているということをかなり強調しておりましたので、TICADでも今度議論がされるんですけれども、我々も資料6の今後の課題ということについても、この点についてぜひもう少し言及して、検討していただければありがいたいなと。
 それから、3番目ですけれども、皆さん方のお手元にある資料の中にやはり書いてあるのが、今回の今年のいろんな議論の中で出てきたことが来年の環境大臣会議ですか、そこでも議論されるということが書いてあるんですが、その前に僕たちはたまたまNEATというのをやっておりまして、アセアンプラス3、APTと私は言っておりますけれども、アセアンプラス3の研究機関がお互いにありましていろいろ検討して、その中で今度、今までの議論になった、ようやく環境部会ができまして環境分科会ができて、たまたま日本側のほうが私が座長をやっているんですけれども、環境部会ができて、そこでぜひ地球温暖化の問題あるいは3Rの問題あるいは越境汚染の問題、こういう問題についてやっぱりこれからじっくりと議論するだけじゃなくて、何らかの地域的な協定、何か地域的な枠組みがつくれないかどうかということを皆さん方は言っておりますので、こういう方向でやる中で、特に最初の年は地球温暖化ということで、今、地球温暖化に関する地域的な枠組みのことについてやっている最中ですけれども、その議論が実は今年8月に我々の内部で一応終えまして、これをアセアンプラス3のサミット、11月に今年ありますけれども、そのサミットに出そうということになっておりますので、そんなわけでぜひアジアにおけるところの日本のリーダーシップという点から考えても、地球温暖化の重要な点ですので、そういうことをやっていくということで、こういうような地域レベルにおけるところのリーダーシップというのも非常に重要かなと考えますので、その点を考えていただきたいと思います。
 時間がありませんので、あとちょっと省きます、どうも。

○鈴木部会長 立国戦略の中でどこまで踏み込めるかということもあるかもしれませんが、そういう動きとぜひ矛盾のないような形で、これをつくっておかなければいけませんね。
 では、萩原委員。

○萩原委員 ありがとうございます。
 3つほどあるかな。全体としては非常に重要なのはやっぱり人だというふうに思います。自然を壊す人も、それから保全するのも修復しているのも人ということなので、やはり人材、そういうものが重要だと思います。そういう中で、人材の材はもちろん財産の財にもつながるんだと思いますが、戦略2の生物多様性のところで、やはり自然の恵みというものを保全していくために、例えばここに観光の問題というのが入ってきてもいいのではないかと思います。逆に観光開発によって破壊されております、いまだにそれが進行している、そういったものをもう一度考えていくべきであって、それから、そこにはエコツーリズムというものがありますが、ホスト・アンド・ゲストのやっぱり環境の対する意識変革を促すようなものが、こういう中に入ってこないといけないのではないかというふうに思います。
 それから、保全に関してもその担い手なんですけれども、担い手に対して私も仕事柄、いろんな地方に行きます。ゴールデンウイークもいろんな離島に行ってまいりました。そういったところで、本当に一生懸命頑張っている人たちに対する支援というものが、まだまだ不十分だというふうに思います。その担い手の支援あるいは育成ということも、この中にしっかり入れていくことが必要だろうとも思います。
 それから、大学のところなんですが、私もよくこれまでずっと言っているんですが、今、ISO26000でSRのことが言われておりますけれども、組織の社会的責任の中にやっぱり環境というのも入ってきております。そういう中で、大学というのは非常に重要だというふうにずっと思っております。特に輩出責任、人を輩出していくわけですから、環境人材育成のところが特別な環境に対していろんな専門性を持った人材を輩出するというだけではなくて、そこを卒業する学生一人一人、全員がエコマインドを持って卒業するという、そういうことも含めた大学の役割というふうなことも、考えていくべきではないかなというふうに思っております。
 それから、次に戦略7のNPO、NGOのところなんですが、NPO、NGOの役割は必ずしも事業系のNPOばかりではございません。ですので、ここのところは経済的に自立するNPOがしっかりと支援をしていくということはもちろんなんですけれども、それとはまた別に経済活動を行うコミュニティビジネスや社会起業家として発展させていける、ここのところはぜひ分けていただきたいと思います。環境保全活動イコール事業という形にはもちろんなりませんので、自発的に地域の環境保全を行っていくNPO、NGOをしっかりと支援をしていくということと、それと分けて考えていただきたい。
 それから、中間支援の考え方なんですが、私の所属している日本NPOセンターでは、NPO支援センターとしておよそ300弱全国にありまして、それを把握しておりますが、その中に環境系のNPOを支援するところとしては、環境省とすると地球温暖化センターであるとか、大きなところでは、環境パートナーシッププラザあるいは地方環境事務所などと地方EPOというものがあるかと思いますが、この中間支援の仕組みのところのどういうふうに位置づけるのか、どういうものを中間支援とするのかということも、もう少し具体性を持たせたほうがいいのではないかなというふうに思います。
 とりあえず以上で、ありがとうございました。

○鈴木部会長 いずれも戦略7の部分ですね。ありがとうございました。
 では、ちょっと戻りますけれども、森本委員のほうから。

○森本委員 循環型社会に関しては立派な基本計画もできて、それから低炭素社会をつくるということに関しても、二酸化炭素を出すことがコストであるという認識が高まって、それはいいんですけれども、生き物に関連した自然共生型の取組というのがどこまで、どういう水準で何を指標に、いつまでに何をするということがもう一つ不明確であることが、いろいろ能書きとしてはすごく立派なことが書かれても、実際に進んでいる内容から見ると、全体としてどうなのかという問題があろうかと思います。
 そういうことを踏まえまして、生物多様性に関するこういうことに関しては、それの実際の目標であるとか、守るべき水準をどうやって合意を図っていくかという、この辺の観点をぜひ入れていく必要があろうかと思います。それは最初の社会の浸透を図る取組の推進の一つのところなのかなとも思うんですけれども、そう思います。要するにコストだと認識されていない生き物に対する環境負荷というのがこれまでどんどんあったわけですね。水辺の干潟の埋め立てであるとか等々、コストとして認識されていなかったことが現在の危機を生んでいるわけですので、そういったことをうまく社会の仕組みの中に乗せるということが必要だと思っています。
 そういうことに関連して、実は戦略8に「戦略アセスの活用と更なる展開」というのがあるんですけれども、確かに戦略アセスの仕組み、今、それが進んでいるようなんですけれども、戦略的にアセスをするということは実は戦略的に保全、どこをどうしていくのかという目標あるいは合意なくして、これは本当はうまくできないわけですね。アメリカなんかでは昔、例えば湿地のノーネットロスという目標を掲げて、それに対する政策というのがとられたわけです。そういう守るべき水準をどうつくっていくのかというのが抜けていると、言葉だけが先走りして中身がついていかないということになりかねないので、その辺を十分踏まえた施策がこれからとられるべきだと思います。
 それから、それに関連しまして土地利用であるとか、部分的な土地の使い方のデザインも含めて、そういう土地利用系の国土計画なり、広域地方計画なりが今進んでおるとは思うんですけれども、そこに整備体制をどう入れていくのかというのが課題で、いわゆる自然環境の保全であるとか環境の保護、これに対する施策というよりも従来進んでいる通常の施策に、どう生物多様性の課題というのを内部化していくかということかを思います。非常に抽象的な言い方になりますけれども、内部化させていくためには法律なり仕組みなり、あるいはいろいろ具体的な方策なりあろうかと思いますので、どうやって個々の施策に整備体制の課題を内部化させていくかという、このように総論的な話になろうかと思うんですけれども、ご検討いただけたらと思います。
 とりあえず以上です。

○鈴木部会長 これは大変な課題であります。多分、全国の頭を使わないと。ぜひ生物多様性国家戦略、これも前に比べると、かなりそういう意識でできているんじゃないかと思うんですが、先生のほうで具体的な指標、何を使うべきかというようなご提案があるといいと思うんですがね。
 では、中村委員。

○中村委員 この環境立国戦略特別会議の考えを受けて、私たち日本建築学会では低炭素社会特別委員会をつくりまして、こちらの総合推進費を受託して、これから3年間、具体的な5都市で、その都市の環境に沿う都市のシミュレーション提案を今、これからやろうということにしております。まず、ご報告をしておきたいと思います。
 今、この中のちょっと多いですが、4つ、コメントさせていただきたいと思うんですが、戦略6のところの中にやはりきちっと建物、住宅なり建築の省エネ基準のもっと厳格な規制、あるいはインセンティブの奨励というのをしっかりとやるということをきちっと入れていただきたいなというふうに思います。
 それから、2番目はこれも非常に難しいことで、今、我々が議論をしている中で非常に難しいのはハウスシェアリングなどの、人口が減っていっても住戸はふえているという全体の傾向をどうするのかということがあるわけですね。これについての今後の研究等について、これはまたちょっと1つ別に立ち上げていただきたいなというふうに思っているところです。
 それから、3番目は戦略2になるんでしょうか、里山に関するところですが、私たちは例えば土浦市というところで今研究していますが、1985年からの20年間に農業人口は約半分に減り、耕地面積も3分の1は減っているわけです。遊休農地が30%ふえているということで、ほとんど荒れた農地になってきている。農業という産業の振興、それは先ほどのバイオマスの菜種を植えるという話もあるし、もっとやはり全体の穀物の不足に対する違う政策をとるべきではないかということがあると思いますので、その辺のところを考えていただきたいと思います。
 4番目は、最後の8のところで環境配慮契約法というのをつくっていただいて、大変我々としては心強いところなんですが、地方自治体のノウハウ、あるいは地方自治体の人たちがこれらを使いこなせない状態で現在あって、大変この普及というのも難しい状態にあるということなので、これをしっかり普及するための支援の方策を考えていただきたいと思っているところです。よろしくお願いします。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 では、太田委員。

○太田委員 感想程度でございますけれども、まず、武内委員が先ほどお話しされた最初のほうの部分でございますけれども、ご説明もありました資料4の中の循環型社会という中で、水の循環あるいは自然とか農業、農地とか森林での物質循環まで入れるということをなさったということで、武内委員の努力といいますか、そういうことだろうと思いますが、大変ありがたいと思っております。
 いつも委員の皆様、お聞き苦しいかもしれませんが、私は学術会議で真の循環型社会を求めてというレポートを出したことがございます。そのとき、「真の」とつけたのは循環型社会を議論していくと、実は自然共生社会、あれから炭素循環まで入るのではないかということで、統合的な取組と言われたようなものをそのころ、真の循環型社会を求めてというような形で小さなレポートですが、出させていただいたということでございます。その感想、あるいはそのときの経験から出ないわけでございますけれども、やはりそこで議論されたことが少しずつ実現しているのかなというような感じを私は個人としては持っております。そんなことでございます。
 それで、短く4点ばかりお話をさせていただこうと思っております。
 1つはまず総括的事項というところでございますけれども、経済成長とそれから環境保全ということでございますけれども、総括的にさらに将来を考えますと、やはり人口減少への対応ということも含めてバランスをとって、あるいは少子化対策、短期的な少子化対策といいますか、長期的には人口減少でもいいんですが、短期的には問題が起こるということで、少子化対策というようなことも含めて考えていく、あるいは自然エネルギーあるいはバイオマスエネルギーを含む自然エネルギーの活用が非常に重要であるというようなことを含めて、総合的なところを少し考えていくという面もあってもいいのかなというふうに思いました。
 それから、次に戦略4になるのかもしれませんけれども、アジアへの例えば国際協力等を考えるときに、生物多様性の保全を含む環境保全と、それからカーボンニュートラルな木材の利用の両方を両立させる、そういう世界の森林保全、利用のキャンペーンと、そういうものが、あるいはそういう政策を推進する途上国への援助というようなものを考えていく必要があるのかなというふうに感じております。生物多様性あるいは環境保全だけではなくて、低炭素社会にも対応するということで、森林の保全とそれから利用の両方のバランスをとった、そういう援助もあってもいいのではないかなというふうに思っております。
 それから、最も重要な戦略1についでございますけれども、今回、一番最初に低炭素社会づくりに向けてという資料でご説明いただきました新しい地球環境部会のこの整理は、大変しっかりできているというふうにして、感心して見せていただいております。これだけのメンバーで私が何も言うことはないかと思うんですけれども、やはり先ほどの議論からいきますと、温暖化というのは地下の資源、いわば古い太陽エネルギーで地球の進化の過程で地表から消え去ったもの、それを再び地表に取り戻してしまっていることから起こると。
 その点、バイオ資源あるいは木質資源というのは現在の太陽エネルギーそのものなので、使ってもカーボンニュートラルなんだと。そういうことをもっと真剣に考えて、木質資源の有効利用ということをもっと活用すべきだというようなことを、もう少し強調してもいいのではないか。そういうことで自然エネルギーとかバイオマス性エネルギーというのは、量的にはなかなか難しいんだということですが、60%、70%、CO2を削減をするとか、人口減少社会とかというふうに考えていったときに、あるいは環境教育ということを考えていったときに、そのあたりの重要性をもっと強調してもいいのではないかなという、そういう感想でございます。
 最後に、ちょっともう政治的なテーマになってしまいましたけれども、環境税とか炭素税とかというのをやはり進めていくべきだ。例えば私は個人的な感想ですが、道路のガソリン税の暫定賦課税25円なんていうのを復活して、それを環境とかに使うとか使わないとか議論されておりますが、私はその辺のところはむしろ炭素税とか、そういうものでいくべきなのかなというふうに、政治的な問題になってしまいましたが、そんな感想を抱いております。
 また、もう一つ最後にちょっとお願いですが、ここ、二、三日、新聞、ラジオをにぎわせておる有識者懇談会の関係はどんなふうになっているのか、現時点でご説明いただけるようなところがあれば、ちょっとお話を聞きたいなというふうに思っております。
 ちょっと長くなりましたが、以上でございます。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 まだまだ多分ごらんいただきますと、いろいろなご意見があろうかと思いますが、どういたしましょうか、何からの形でメモをお出しいただくというようなこともあるんでしょうか。時間的には余裕はありますか。

○清水政策評価広報課長 それでは1週間ぐらいでお願いできますか。

○鈴木部会長 1週間ぐらいの間でしたら、あるいはご欠席の委員の方々にもこれは回していただいて何かコメントをいただく。既にコメントを出していただいている方もおられますけれども、その辺をまとめさせていただき、21世紀環境立国戦略の推進に関する今後の課題というペーパーとして整理をして、部会長意見として公表させていただきたいと、そんなふうに思っております。
 この立国戦略そのものがもちろん21世紀ですから、ここで特別部会を終結して、その後、どうするんだということもあるんですが、特別部会はあくまでも立国戦略をつくるというところまでということであろうというのが、「特別」ということがついている意味だろうと思いますので、これを受けて今後は今後の課題とされるものを受けて、それぞれのところで具体的な施策に生かしていく、こういうことであり、そのフォローアップもそれぞれのところでおやりいただくと。
 ここの戦略として今後、一、二年で具体化すべき施策というようなことで、戦略を挙げていきましたものですから、非常にある意味では短期的なことをここに書きこんでいるということもありますが、21世紀ということになると、もちろん今ご意見が出ましたように化石燃料、石油そのものも枯渇していくわけでありますし、全く違う社会像が見えてくるはずで、まさに持続可能な社会というものはどういうものかという、非常に重い議論をこれからますます深めていかなくてはいけない。それと同時に、世の中がそういう方向に動いていくことになると思います。
 そういうことで、今後の課題というような形でまとめさせていただくことを一つの段階として、その後は環境基本計画の点検であるとか、あるいは循環型社会形成推進基本計画であるとか、いろいろなところで生物多様性もそうでありますが、フォローアップが行われていく。京都議定書目標達成計画もそうでありますし、低炭素ビジョンをどういうふうに具体化していくかというような話も、これは環境省だけの問題ではなく、オールジャパンで考えていかなくてはいけない。こういうようなことの中に今後の課題を生かしていただく。そういうようなことにさせていただきたいと思います。
 そういうことになりますと、この特別部会は今回で一応休会ということでよろしいんですね。
 この特別部会の設置そのものは、総会のほうで設置あるいは終結が決められることになると思いますので、きょうまでいろいろいただきましたご意見を、十分に今後のそれぞれのところで生かしていただく。こういうふうに進めさせていただければと思っております。
 それでは、一応、予定の時間となっておりますが、事務局のほうから連絡事項等はございますでしょうか。

○清水政策評価広報課長 それでは、先ほど部会長のほうからご指示がありましたように、1週間程度でもしご意見がありましたらコメントをいただき、その上で先生のご指導に従って意見を取りまとめていきたいというふうに思います。
 ちょっとすみません、有識者懇の話を局長のほうから一言。

○南川地球環境局長 事務的に私どもが承知している範囲でご紹介させていただきます。有識者懇につきましてはサミットにその成果をインプットするということで、総理の主宰のもとに行われております。これにつきましては、四、五回、開催いたしまして、6月中にその成果をまとめるということで、現在、検討が進んでおるというふうに承知をしております。
 なお、この中で幾つか具体的に詰める点が、特に検討を集中したいという点が2点ございました。1点目が低炭素な都市づくりということでございまして、低炭素な都市づくり、まちづくりにつきまして1つ分科会が設けられておりまして、5月20日ごろまでに公募をして、その中から10程度のモデル都市を選んで、実験的にその都市の低炭素化について支援をしようということがございます。2つ目は政策手法分科会というものが設けられております。これは環境税あるいは排出権取引、そういった低炭素社会をつくるための政策手法について、詰めた議論をしようということでございまして、昨日、第1回が開かれまして、また、近日中に第2回、第3回というふうに会合が開かれると承知をしております。いずれにしましても、6月のある時期までに分科会の議論、あるいはそれを受けての懇談会についても取りまとめが行われると、そんなふうに承知をしております。

○田村環境事務次官 部会長のとりまとめのお言葉があった後で恐縮でございますが、環境事務次官の田村でございます。最後に一言、ごあいさつをさせていただきます。
 鈴木部会長を初め、この特別部会の皆様方におかれましては環境立国戦略の策定、そしてさらにそのフォローアップということに関しまして、本当にお忙しい中、活発にそして積極的にご議論をいただきました。まことにありがとうございます。おかげさまで21世紀環境立国戦略に盛り込まれました多くの施策につきましては平成20年度予算に盛り込みまして、それを、今、実施を進めているところでございますし、また、21年度予算に向けましても、今、まさに玉込めをしていく時期でございますけれども、この戦略を十分頭に置きながら進めさせていただこうと思っております。このようにこの部会でご議論、策定、そしてフォローアップしていただきましたこの戦略につきましては、今後のこれからの環境政策にとっても、大きな推進力になるのではないかと思っております。
 これから今月下旬のG8環境大臣会合、それから7月のサミットと、いよいよG8プロセスが本格化するわけでございますけれども、実りある成果につなげるためにも、政府としても各種政策について、さらに前に進めてまいりたいと考えております。本日もいろいろご議論を賜りました低炭素社会、それから循環型社会、自然共生社会づくりへの取組を適切に組み合わせまして実施を進めていきました。今日の議論にもありましたように、人間はもともと自然の恵みによって生きているわけでございますので、地球生態系と共生しながら発展するいわば持続可能な社会、これをアジア、そして世界全体で構築するという立国戦略の趣旨、考え方を目指して、これからも進めていきたいと思います。
 また、委員の皆様方におかれましては、今後ともさまざまな形でご指導、そしてご支援をいただけるように、よろしくお願いいたします。まことにどうもありがとうございました。

○鈴木部会長 それでは、本日の会議を終了させていただきたいと思います。  これまで長期間にわたりまして、積極的にいろいろご議論、ご討論いただきまして、本当にお時間をお割きいただきまして、ありがとうございました。御礼申し上げます。

午後3時59分閉会