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中央環境審議会
21世紀環境立国戦略特別部会(第5回)議事録


日時:
平成19年4月12日

<議事次第>

  1. 開会
  2. 議事
    (1)
    地方自治体及び有識者からのヒアリング
    (2)
    「21世紀環境立国戦略」について
    (3)
    その他
  3. 閉会

午後3時00分開会

○柴垣大臣官房政策評価広報課長 それでは、定刻でございますので、ただいまから中央環境審議会「21世紀環境立国戦略特別部会」の第5回を開会させていただきます。
 本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、26名の委員総数のうち18名の委員のご出席のご連絡をいただいておりまして、ただいま17名でございますが、いずれ全員おそろいになるというふうに思います。18名の出席をいただけるということでございます。
 それでは、まずお手元の配布資料の確認をお願いいたします。議事次第の下の方に資料一覧がございます。資料1から3まで、それに参考資料が1から3ということでございます。参考資料2の前回の議事録でございますが、4月20日までに内容をご確認いただきまして、何かございましたら事務局の方に申しつけいただければと思います。確認がとれ次第、ホームページの方に公表させていただきたいと思っております。
 それから、中村委員から第3回の部会のときに出していただきました意見書の修正と、それから追加の意見ということで提出いただいておりまして、それを資料の一番下に2枚でつけてございますので、よろしくお願いいたします。
 資料の不足などございましたら事務局の方にお申し出いただければと思います。
 それから、現在環境省のホームページに「21世紀環境立国戦略」につきまして前回の論点整理(案)を参考に広くご意見をいただけるようにお願いをさせていただいておりますので、合わせてよろしくお願いいたします。
 それでは、以降の会議の進行を鈴木部会長の方にお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、早速次第に従いまして議事に入らせていただきたいと思います。
 本日から3回にわたりまして審議と合わせてヒアリングをさせていただくということにいたしております。本日は清原三鷹市長と西岡秀三国立環境研究所参与、このお二方に来ていただいております。今回はそれぞれのご説明の後に質疑応答の時間を設けたいと思っております。
 では、早速清原市長に三鷹市の環境に関する取組につきましてのご説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○清原三鷹市長 皆様、こんにちは。東京都三鷹市長の清原慶子でございます。本日は環境立国戦略特別部会にご報告の機会をいただきまして大変光栄に存じます。10分ほどの時間で報告をということでございますので、簡潔に自治体の視点からの報告をさせていただきます。着席させていただきます。よろしくお願いいたします。
 限られた時間の報告でございますので、私の方で報告の内容につきましてA4、6ページの資料にまとめさせていただき、幾つか資料を同時に配布させていただいておりますので、それをご覧いただきながらお聞き取りいただければと思います。
 三鷹市は都心から西へ約18キロ、東京都のほぼ中央に位置しまして、東西6.35キロ、南北5.24キロということで、面積は16.5平方キロに、外国籍市民の皆様含めますと人口は約17万5,000人の都市近郊にある典型的な住宅都市です。市制を施行しましたのは昭和25年、1950年11月3日ですが。皆様もご存じのとおり、市内には都立井の頭恩賜公園、野川公園、国立天文台、あるいは国際基督教大学などの緑があり、また神田川や仙川、野川といったせせらぎ、水があり、そうした環境の中で都市農業も息づく生活都市として発展をしてまいりました。最近では三鷹市立アニメーション美術館(三鷹の森ジブリ美術館)のある市として国際的にも注目をされて発展をしております。
 こうした中で、実は三鷹市は昭和48年、1973年に公共下水道100%を全国で初めて普及した市として「高環境、高福祉」のまちづくりを進めてきました。私は2003年4月30日に市長に就任いたしましたのでまだ1期目でございまして、今月29日までの任期でございますが、今日はこの1期目あるいは30年以上に及ぶ市民としての活動を通して自治体の視点から「環境と地域の活性化」についてのご報告をさせていただきます。
 まず、市民参加による「三鷹市環境基本計画」の改定についてのご紹介です。この計画は本編83ページ、資料12ページに及ぶものですが、今日は見開きの概要版の資料を皆様のお手元に配らせていただきました。この3月に改定を行いましたが、この改定のプロセスは一般公募による市民・団体を含む三鷹市環境基本計画改定に係る市民検討会議との協働により素案の検討を進めまして、三鷹市環境保全審議会での審議とパブリックコメントを経て確定いたしました。
 市民会議は、平成18年、19年度で活発な議論が9回開催され、三鷹市ではこうした市民会議は基本的に公募委員を含むことからこの市民会議もそのような形式で議論を重ねていただきました。
 そこで、今日お配りしました見開きのこの環境基本計画の内容を示しましたパンフレットの中には、「みんなで取り組もう!協働で取り組む三大プロジェクト」という提案を市民検討会議の提案からまとめさせていただきましたが、合わせて推進体制として平成19年度に「環境基本計画推進市民会議(仮称)」を設置することが提案され、予算化を図ったところです。
 実は環境立国の取組をしていただくときに具体的な担い手は各家庭であり、あるいは地域社会であり、政府としては基礎自治体の努力が不可欠でございますが、その基礎自治体はただいま「協働」、「コラボレーション」という言葉を掲げない自治体がないほど市民の皆様とのパートナーシップの取組を進めております。私たちも計画づくりのパートナーシップの体験は多く持っておりますが、いよいよこうした環境基本計画の推進に向けても積極的なパートナーシップの取組をというふうに具体的な取組を進めていく予定です。
 さて、次にご紹介したいのがESCO事業の活用です。三鷹市では平成10年度よりESCO事業を活用した省エネルギー対策を行っています。これは皆様よくご承知だと思いますけれども、この省エネ診断に基づいた省エネ手法の提案によりまして、包括的なエネルギーの縮減、環境負荷の低減を進めたところ、3ページをご覧いただきますように、環境センター、芸術文化センター、東部下水処理場等で平成16年度に実施したESCO事業の累積削減実績は平成18年12月現在は大変大きなものとなりました。このようなコスト削減及び合わせて二酸化炭素削減効果は大きく、地球温暖化対策としても大変有効であると考えます。
 公共団体の努力と民間の知恵、そして技術というものがともにこのような成果を生んでいるわけですが、私はこのESCO事業による市が得た利益の2分の1は、後ほどご説明いたしますが、私が市長になりました4年前に創設いたしました「環境基金」に積み立てることによって、環境の負荷を低減することによって生み出された財源は環境のために使うと、このようなことを市民の皆様にお示ししているところです。
 そこで、「環境基金」についてご説明をいたします。私自身が三鷹市民で高環境の三鷹市を維持したいという考え方から、私が市長に就任した直後にまず2,200万円を積み立てて創設しました。三鷹市の一般会計の予算は総額で約600億弱、特別会計を含めましても1,000億程度の規模で、この2,200万円の基金は決して大きなもののように見えないかもしれませんが、この活用について公募された市民・団体・事業者・学識経験者からなる環境基金活用委員会で調査や審査をしているところにこの地域の活性化のエネルギーの源もございます。
 皆様のお手元に助成金の交付制度のご案内と市民の皆様にお示ししておりますパンフレットもつけさせていただいておりますけれども、太陽光発電、燃料電池コジェネレーションなどの設備導入に対する助成を実施しております。まだまだ実績は大変少ないものでございますけれども、合わせて環境活動事業にも支援をさせていただいております。
 特に重要な取組として私が位置づけておりますのは、子どもたちの環境に対する関心の喚起と、具体的な実行力です。例えばささやかな取組ですが、環境ポスター展を私が市長になりましてから毎年させていただいているのですが、各小学校からかなりの応募がございまして、ただコンクールをして表彰するだけではなくて、その展示をすることによって環境問題について子どもたちがさまざまな展示や学習機会に参加を強めてくれています。このことをさらに進めたいということで、平成18年度に「環境活動顕彰」を開始いたしました。環境省でもこのような表彰制度はお持ちだと思いますが、基礎自治体でも環境と銘打ったこうした顕彰をさせていただくことは、実は市民の皆様のご推薦を受けるものですから、市民の皆様がそれぞれ地域に目を向け、我が市の環境活動というのはどのような実態があるのかということをつぶさに見ていただいて推薦をしていただいて表彰をするという取組につながっています。この間、私が痛感いたしましたのは、実は環境活動というのは一方でごみの減量化や地域のごみを収集し環境を整備する動きがあります。他方で緑の植物や花々をボランティアで公の公園やあるいはみずからのお庭を開放して植えるなど、そうしたごみ減量あるいはごみを削減する取組や緑化活動という動きとも密接な関係を持っているということです。
 したがいまして、環境教育につきましても実はここにご紹介をさせていただきましたように、市長部局の生活環境部や都市整備部で行う環境学習と教育委員会が行う環境教育というふうに分けることができますが、その中で一方で自然観察教室や省エネルギー講座、施設見学など、三鷹市における環境問題についても環境対策課の職員やごみ対策課の職員が出前で講義を行っています。こうした自然保護やごみ問題、地球温暖化という問題は専門の取組をされている講師をお招きしての講演会などの実施のときの市民の皆様の大きな関心にもあらわれています。
 平成19年度には「ものを大切にする」、「自然を守る」、そうしたテーマからプロによる環境演劇も予定しているところですが、合わせて学校給食から出る残さと街路樹の剪定枝を堆肥にして農業協同組合との協働でエコ野菜をつくり、食育とごみのリサイクルの教育を「エコ野菜地域循環モデル事業」として実施している点も私たちとしては誇りとしている点です。
 なぜならば、三鷹市は都心に近いにもかかわらず、まだ約190ヘクタールの都市農地が残り、農業後継者が100名以上活躍をしてくれていて、学校農園や体験農場の運営、さらには子どもたちにこうしたモデル事業を通して具体的な生業としての視点から環境問題のテーマも提起してくれていることです。
 最後の事例は「丸池復活プランづくりワークショップ」の事例です。三鷹市での環境施策は市民の皆様との協働がなければ成し得ないものばかりですが、特にパンフレットのコピーを入れさせていただきましたが、この丸池復活プランというのは大変典型的な取組の1つです。
 三鷹市で急速な都市化が進みまして、昭和44年に水の汚れなどの理由から埋め立てられてしまった丸池という仙川の水源がございました。しかし、その後、かつてその丸池で遊んだ大人たちが今の子どもたちにも自然と遊べる楽しさを知ってほしいということで、丸池そのものを復活させたいと願うようになり、1989年に提出された「まちづくりプラン」でこの丸池の復活と仙川流域の親水公園化が提案されました。それを市は受けて、「緑と水の回遊ルート整備計画」策定へと引き継ぎ、丸池復活の取組が始まりました。市民ボランティアによるワークショップの開催の下、実施設計に向けてものべ1,000人を越える市民の参加によって復活したのが丸池でございました。
 私が市長になる前に開園しておりましたが、それをさらに注目させたのはただプランづくりあるいは丸池ができてこの市民力が終わりではなかったことです。運営管理についても市民の皆様による「わくわく村」という組織がつくられ、該当地域4小学校の児童が活動して、2期目の工事は昨年完成いたしましたが、4枚の水田もつくりました。
 これらの取組を通してまとめの問題提起をさせていただきます。「協働」というキーワード、「コラボレーション」というキーワードをぜひ基礎自治体の視点からは強く提案をさせていただきます。環境問題について国がはっきりとした指針を示し、それが国際社会においても重要な日本国の取組としてモデルとなることは大変好ましいことだと思います。併せてそれが具体的に基礎自治体の取組あるいは広域自治体、都道府県の取組として現実的に根ざしていくためには、先ほどご紹介いたしましたプランづくりから運営、さらには具体的な日常的な取組に溶け込ませていかなければなりません。
 併せて、詳細のご紹介は今回時間の制約で控えさせていただきましたが、三鷹市はESCO事業のほかあるいは環境基金の活用のほか、昨年12月15日にISO14001の認証を事業者として受けました。今日は私、胸にこういうIDのカードをつけていますが、これは職員、私も含めてすべてつけているのですが、必ずその中には三鷹市環境方針が小さく入れられておりまして、合わせて、これは余談ですが、私たち市長初め全員が上級救命講習を受けておりますので、そのカードと一緒にこれを常にIDカードとともに胸に付けて、市民の皆様の環境保全の活動を率先垂範していきたいということを貫いています。
 しかし、市役所がすることだけでは地球環境保全も環境活動も、さらには子どもたちへの環境教育も十分なものは成し遂げられません。私たちは「環境」というキーワードなくして未来は語れませんので、これから丸池の復活で示されたような市民力の結果生まれた自然回復の事例などを心に強く踏まえながら、三鷹市環境基本計画に示しました協働の取組をしっかりと進めてまいりたいと思います。
 市民の役割、事業者の役割、市の役割が明確に記されることができたこの三鷹市環境基本計画を道しるべに、今後とも環境に関する市民の皆様と協働による地域の活性化に努めてまいりたいと思います。
 ともすると地域の活性化は産業の活性化だけで象徴されますが、私たち三鷹市は環境活動を通しての市民の皆様の能力と努力と創意工夫の発露が地域の活性化の1つの象徴であると思います。
 環境立国をご検討していただきますときに、地域の視点、自治体の視点、そして協働のキーワードを含めていただきますことをお願いいたしまして、三鷹市長、清原からのご報告とさせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。

○鈴木部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関しましてご質問あるいはご意見ございましたらお願いいたします。
 時間が大変限られておりますので、なるべく簡潔にお願いしたいと思いますが。大久保委員の方からお願いいたします。

○大久保委員 大変興味深いお話をありがとうございました。三鷹は協働で環境保全に取り組む先進都市として大変有名だと思いますけれども、このような協働の取組というのは日本では古くはヤハギ方式という形で1つの日本のモデルとしてあるのではないかと思います。
 今、市長からのお話にありましたように、協働というキーワードをぜひ日本型のモデルとして、これ意見になりますけれども、もう少し明確にぜひとも戦略の方に位置づけていただきたいと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 中村委員。

○中村委員 市長のご提示大変すばらしいと思いまして聞かせていただきました。私も環境理想都市のモデルをつくるということをこの提言の提案とさせていただいているものですが、特に今のお話の中でESCO事業等、COの排出削減をかなり行ったということは非常に明るいニュースだと思いますが。さらにこれらが自治体の行政の施設であるというところからどういうふうに民間の家庭あるいは業務、オフィスとかそういう施設のCO削減につながることができるか。もしその辺のところまで踏み込んだ何かお考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。

○鈴木部会長 では、須藤委員。

○須藤委員 どうも貴重なお話ありがとうございました。協働あるいは地域の活性化の方向性に関する問題について全く異存がございません、賛成でございますが。そういう中で、その活性化の度合いあるいは協働の程度がどういうふうに進んだかというのは市長として行政を通して把握されていると思うんですが、多分右肩上がりだろうと思うんですが。どういうふうな方式でその辺を把握されているか、もしあれでしたらお教えいただきたいと思います。

○鈴木部会長 それでは、今コメントもございましたしご質問になるものもございましたので、まとめてお伺いできますでしょうか。

○清原三鷹市長 はい、ご質問ご意見ありがとうございました。
 ESCO事業につきましてはご指摘のとおり三鷹市がいろいろ先行的に進めさせていただいておりますことに、自治体の皆さんが関心を持たれて視察に来られるとか、そうしたご説明の機会は多々ございます。けれども、さらに民間の事業者の皆様に普及啓発をしていくということは大変重要なことだと思います。特にこの取組は経費という面で消極的になっていらっしゃるような団体にとっては大変説得力のある仕組みでもございますので、私どももPRに努めておりますけれども、よりこうした有効な手法について何らかの総合的なご提案をこの部会からもいただければ、それが追い風になるというふうに考えております。
 また、日本型の協働のモデルというのはまさに私自身はこの環境の取組だけではなくて、国際的にも、例えば三鷹市のケースですと情報都市づくりにおいても市が頑張りすぎない、企業や大学のみがそれぞれ主導しない、役割分担をしながら、それぞれがそれぞれの持っている能力やあるいは人材を発揮して協働していく取組について、三鷹も一昨年「インテリジェント・コミュニティ・オブ・ザ・イヤー」という国際的な評価もいただきましたので、環境分野のみならず、ほかの分野でも大変有効なことだと思います。
 それでは、それをどのように時系列的な協働の効果といいましょうかそういうものについて評価するかということでございますが、一方で私たちは、私が学生時代から始まっている協働の取組が1つの節目を迎えまして、昨年4月1日からこの「三鷹市自治基本条例」を施行しておりますけれども、例えば参加されている皆様の人数というような定量的な把握が一方でできるかと思います。もちろん三鷹市も自治体として事業主として地球温暖化の防止の計画も持っておりまして目標値を定めてこれまで努力をしてきたわけですけれども、そうした取組においてもこの数年の間、総合的に10%の削減ができました。
 けれども、それ以上に私たちは定性的な評価というのを重視しております。これはいわゆるアウトプットよりもアウトカムをということで、まさに環境省も政策評価の段階でアウトカムを重視されていらっしゃると思うのですが、市民の皆様の満足度調査でありますとか意向調査でありますとか、そうしたような事業全般に関する評価や個別の事業に対する評価などをいただきながら定性的な評価を組み合わせております。
 そうした観点から、私が市長に就任してまだ4年でございますが、この4年間、環境活動に関しての皆様の関心の度合いが増えていること、それから地球温暖化防止に対して何をしなければいけないかということについて市民の皆様の強い認識があります。
 1つだけ事例を申し上げます。今日は環境を幅広くと申し上げましたので遠慮させていただきましたが、実は三鷹市は一昨年2月にごみの分別を細分化いたしまして、さらなる分別をいたしました。その結果、平成17年2月から平成18年2月までの1年間でごみの総量が約17%削減されました。三鷹市では有料化をまだいたしておりません。分別による減量化の道筋を検証しながら次に有料化を考えようということでございますが、こうした定量的な指標、それから私なども愛用しておりますが、皆様もマイバッグとか風呂敷とかそういう利用の状況なども可視的にわかるわけですが、改めて市民の皆様がそうしたご努力もされているというようなことを総合的に把握をして、大きな右肩上がりとは思っておりませんが、なめらかに、やや右肩上がりの機運が三鷹市では起きているのではないかなと実感しているところでございます。
 以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。ぜひ先進的な取組を一層進めていただければと思っております。
 お忙しいところ本当にありがとうございました。

○清原三鷹市長 皆様、どうも今日は本当によい機会を与えていただきましてありがとうございました。ぜひご反映いただければ光栄です。どうもありがとうございます。

○鈴木部会長 それでは、次に、西岡国立環境研究所参与から「低炭素社会の到来」というテーマでご説明をお伺いいたします。どうぞよろしくお願いします。

○西岡参与 ご紹介ありがとうございます。お手元にパワーポイントのアウトプットと、それから冊子といたしまして「2050日本低炭素社会シナリオ」というのを配布していただきました。後半にはこの私どもが研究をしております70%削減可能性の研究についてのお話をしたいと思いますけれども、その前に最近のIPCCの状況なども含めて、なぜそういうのが必要かといったお話をしていきたいと思っております。
 お見せしますスライドがほんの一部ですけれどもお手元のと違っている可能性があります。それでは、最初のスライドですけれども。これがIPCCの第4次報告書、特にワーキンググループ1ですね、自然科学の根拠を示したものでございまして、2月に発表になったものです。皆さんもう十分ご承知のこととは思いますけれども、簡単におさらいさせていただきますと。温度上昇が加速していると。この12年間中で11年は機器観測史上から12番以内に入っているということで、過去1,300年とってもこの全盛期の後半の温度というのは最高であったと。
 第3次報告、5年前に出た、2001年に出たものですけれども、このとき平均気温は工業化から0.6度と言っていたんですけれども、実にこの緯度平均を5年ぐらいずらしただけでコンマ74度になったというのは最近の温度上昇が非常に効いているということで、非常に加速した温度上昇になっております。豪雨の頻発等々があるとか、それから積雪面積が減っている、極域海氷が縮小している、そして海洋の酸性化が進んでいるという話がございました。
 この1のところに、私上の方にようやく観測などと書いてございますが、この観測というのはもう30年ぐらい前ようやくこの問題が認識されたときに、いろいろな意味での観測を始めようということで始まったわけでございます。地球の変動というのは10年、20年ぐらいで振動しておりますので、ようやく振動のバイヤスを除いた結果が出てきて、ふたを開けてみたらこういう状況だったということで、非常にワーキンググループ1の結果というのは慎重でありすぎるのではないかなと私は、これは私の感想でございますが、思っておりまして。実際は予想以上に進行している可能性もある。
 2番ですけれども、この温暖化は人為起源であるということで、これまでいろいろな原因が挙げられておりましたけれども、それについては人為起源であると言っていいのではないかという結論が出ました。
 そして、3番目でございますけれども、2030年まではもう地球の慣性がありまして、イナーシャがあって10年あたりコンマ2度昇温するということでございますからかなりの温暖化は避けられず、そして適応策が必要であるということを示しております。
 4番目でございますけれども、温暖化は排出増とともに確実に進むんだということで、今のうちから手をとれば、それに対して対応できるかもしれないということで、成り行きといいましょうか、化石燃料主体で発展する社会では21世紀に平均4度、気候モデルの誤差を勘案しますと2.4から6.4度と言ってますけれども、そのあたりまで上がるだろうと。しかしながら、今のうちから循環型社会を目指していくとしますと1.8度ぐらいにおさまる可能性もあると思いますが、そのときでもまだ十分な削減が地球のバランスから言いますとされてないので、このままでもどんどん上がっていくということではあるんですけれども、そこを目指して進む必要があるのではないだろうということでございます。
 5番目でございますけれども、我々の予測の中にはまだ不確実性が残っていると。これは例えば大気、海洋への吸収が減るというフィードバックの効果あるいはグリーンランドや南極の氷床が従来と違った壊れ方、融け方をしているというような最近の報告もあり、まだまだ不確実性がそういう面では被害については残っているという状況かと思います。
 そういうことを踏まえまして、気候の安定化にはどうするかということでございますが、このフローの中に入っております二酸化炭素の排出量を自然の吸収量である3ギガトンにまでいずれにしても下げないと、このお風呂のレベルの上昇というのはとまらないということですから、逆に言えばどういうレベルでとまったとしても自然の吸収量の範囲内で排出量をおさめなきゃいけない。フィードバックを考えるとそれ以下になるだろうと。自然の吸収量が増えるかといいますと、ワーキンググループ1の新しいレポートでも前と変わらず3ギガトン。吸収するところ、特に陸上での吸収が減っておりまして、海洋の吸収を増やしているという内容の違いはありましても、そういう方向だと思います。
 次のスライドお願いします。ワーキンググループ1の方では、さまざまな自然環境の物理的及び生物的な変動が起きているということについてこのような、もう目で見ていただければおわかりでしょうけれども、現象をピックアップしておりますし。
 さらに次のスライドになりますけれども、キリマンジャロの氷冠というのが左上にございましてこれがどんどん融けていっていると、本当に目に見える話。
 それから、その下にアラスカで起きた森林火災とございますけれども、そこら中で森林火災、山火事が非常に増えておりまして、カナダはこの20年、30年の間に7万平方キロの森林火災面積が増えているという状況のようであります。
 予測としましては、これはSRESのA1、B1といいまして言ってみれば成り行きシナリオでございますけれども、2050年までの年間河川流量の平均変化率というのは非常にあちこちで変化が起きる。それはあるところでは増え、あるところでは減るという形で、水環境に対する影響が強くあるということでございます。
 その次はグリーンランドの氷床でございますけれども、先ほど申しましたように、氷床の融解が考えていた以上に拡大しているということが報告され、また氷の融け方についての新しい学説が提供されようとしております。
 それで、次にありますのがIPCCの4次報告のうち第2作業部会、影響がどうなるかといった報告で、これがつい最近出たことでもう新聞紙上をにぎわせております。内容は将来現状の影響はどうなっているかといったことでやっておりますけれども、現在の状況というところをご覧になっていただきますと、非常に多くのデータが集まってきまして、有意な影響、生物環境が2万9,000のレポートが出されたうち90%で温暖化があればそっちの方向へ進むだろうといった方向に影響が生じていると。物理環境、海氷だとか海だとか温度だとかそういうことでございますけれども、もうほとんど94%がそういう方向に動いているということでありまして、将来の影響については相当大きなものがあるだろうということはあります。
 ここで先に結論的でございますけれども、先ほどの第1ワーキンググループのもう30年は上がっていくという話から見て、適応も絶対必要になってきた。あるいはこれは経済的に見ると2〜3度、これは1990年以降ですけれども、2〜3度の温度上昇によって出る影響は経済的にすべての地域についてマイナスになるだろう。
 それから、3番目、第3次評価で報告された4度の気温上昇で世界全体のGDPの1〜5%の損失が確認されるとか。
 あるいは、世界全球で合算した数字は多くの定量化できない影響、これは経済的に明快な数字が出せるもの、それから例えば土地の保全とか土壌のニュートリエントの保全機能だとかそういったものは計上できないわけですけれども、そういうものを入れるとすると今の評価というのは過小評価である可能性が非常に高いといった結論を出しております。
 温度とそれから各分野の影響ということで多くの報告が寄せられているものを集約したものが次にございます。温度上昇0度〜1度というぐあいに始まりまして、4度ぐらいの想定がいろいろされているということでございます。これで見ますと、もう既に0度から1度のところには入っているわけでございますけれども、生態系を含め多くの影響があらわれそうだということであります。それから、健康に関してもいくつか上がっております。
 1度〜2度にいきますと、食糧のところ、低緯度地域では穀物生産性の低下及び中高緯度地域では幾つかの生産性の向上ということも評価しております。
 それから、2度〜3度ぐらいになりますとそれがさらに進み、すべての地域は気候変化の影響として正味の便益の減少化、正味のコストの増加になっていくだろうということを言っておりまして、温室効果ガスの排出が増えれば増えるほど、そしてたまり込めばたまり込むほどこういった現象が続けて起こると思われます。
 第4次報告、膨大なものでございますけれども、次のまとめということで結論ということですけれども、温暖化影響への脆弱性はセクターや地域、発展経路に依存する。場所によって違ったりするということですね。同じレベルの温度上昇であってもいろいろ違う。特に適応能力の乏しい途上国や生態系はわずかな温度上昇でも深刻な影響を受けるだろうと。そして、悪影響は既に始まっており、経済影響もある程度明らかになってきたけれども、過小評価の可能性が非常に高いということを明快に述べておるわけであります。
 3は私の言ってみれば見解でございますけれども。2度の温度上昇であっても、生態系や社会経済に対して相当な悪影響を生じる可能性を示していると。2度の温度上昇を危険なレベルと見なすことは予防的アプローチとは言えなく、もう少し低いところで予防的アプローチを考える必要があるかなと思っております。
 次が、これは私どものモデルで計算いたしました。それでは、例えば2度というときに抑えようとしたと、私は今2度と言っておりますのは工業化以前から2度、今度の新しいレポートでは既に90年レベルでコンマ5度上がっているということですから、その引き算をしますと工業化以前から1.5度ということになるんですが、これは一応そういうことで工業化以前から2度というところに抑えるといった形で考えてみると。私どものモデルを使って簡単な気候のモデルプラス経済モデルを使ったものですけれども。
 それでいきますと、2050年には右側にありますけれども、この温室効果ガス、これは炭酸ガスとかそれに100ppmとか50ppm加えた数字になっているんですけれども、大体475ppmぐらいで抑えないと、最大レベルですね、2度に抑え込めない。そのときの2050年の削減率というのは約50%ぐらいだろうというぐあいに考えております。
 こういう計算はヨーロッパでもアメリカでもなされておりまして、この下に書いてございますように、欧州諸国、一番下でございますけれども、英国では60%削減を2003年にエネルギー白書で明快にし、かつ最近はそれを法案にしようということで提案が既に出ているということを聞いておる次第であります。
 そこで、次のCOの削減目標というのがございます。これを見ていただきますと、フランス、ドイツ、UK、いわゆる欧州の方は2050年の目標を既に定めておりまして、この方向での幾つかの計画を検討中であります。日本はここにございますように、総合資源エネルギー調査会地球部会が推計した対策組合せが一番ローカーボンになるという点で2.22という数字がありますので、それをどうこの2050年に向けて下げていくかという話になるかと思います。
 次のページへ移ります。次のページは私どもの方である不確実性を考慮しながら感度分析いたしまして、どういう不確実性かといいますと、一番下に書いてございますが、危険なレベルが2度なのか2.5度なのか3度なのかいろいろなことがございますが、そういう幅があります。気候感度、これはモデルで温室効果ガスが増えたときどれだけ温度が上がるかということがモデルによって違っております。最近ワーキンググループ1の報告では今まで使っていた平均2.6というよりもむしろ3ということに近いのではないかということが書かれておりまして、それは予想よりも気候の変化が同じ濃度に対して高めが本当ではないだろうかといったことを示唆するものでありますが。その辺をどうふらせるか。
 そして、国際分担。世界でどれだけ減らさなきゃいけないか。それに対して日本はどれだけ減らせるか、減らすことを要求されるかと。この3つの不確実要素を組み合わせまして、さまざまな日本のルートを書いてみました。
 これで見ますと、大体70%ぐらいを削減したということを1つの例としてエクササイズをやってみるのもいいのではないかなということで次のページに移りますと。私どもの今の研究、3年間の地球環境総合研究費の推進費の研究でございますけれども、温室効果ガス70%が削減できるだろうかという研究をやっております。この研究、ここにありますように、結論が書かれております。日本を対象にということですね、2つ目が2050年に想定されるサービス需要、これはそういうエネルギー需要ではなくてサービスの需要を満足しながら、主要な温室効果ガスであるCOを90年に比べて70%削減する技術的なポテンシャルがあると、技術的なポテンシャルであって、そいつをどう進めていくかということはまた別の話かと思います。
 次をお願いします。もう1つ前。すみません、私ちょっと手元のと違いましてすっ飛ばしまして。70%目標設定の意味でございますけれども。削減方向への明快なシグナルを社会に送る必要があるだろうということでございます。今まで6%では済まないんだよと。それから、それが済んだ後はもう何もしないでいいんだよという間違ったシグナルではなくて、大幅な削減がいるということを明快にしたいと。単純に計算して一人当たり、先ほど3ギガトンが世界でといいました、それを100億人で割りますと1人当たりコンマ3トンになるわけですけれども、そういう単純計算しますと、実に90%本当は減らさなきゃいけないんですけれども、70%ぐらいでエクササイズやってみようと。そして、そういうことによって削減目標に社会を引っ張るバックキャスティングの考え方で社会を引っ張るという作業をこれからみんなに示す必要があるのではないか。
 そして、2つ目、交渉が始まります。その交渉へのボトムラインを探る必要がある、腹をくくって一体自分たちでどこまで減らせるんだろうということをしっかりとやっていく必要があるかと思います。2050年ごろには今の伸びから言いますと、途上国も一人当たり1トンとか2トンとかいう今カーボンでいっておりますが、のレベルにいってしまいます。もう一緒になって低炭素社会を、低炭素世界を目指す必要があると。こうなったら自分たちでどれだけ減らせるのかということを考える。
 さらに先ほどの不確実性要因が出てきたときに、自分たちの戦術、戦略としてどういうフレキシビリティがあるのかということについてのツールを開発する必要があるだろうということでございます。
 基本的な態度といたしましては、70%削減自身は1つの試みでありまして、大体そのあたりを軸にさまざまな論議を展開していきたいということでございます。
 それでは、ちょっと中身に入りますが、やり方については簡単にお話申し上げます。私どもはバックキャスティングの手法を使いたい。なぜならば、今の状況でフォーキャストでずっといきましても2050年にはとてもとても下げられないという状況になります。
 それでは逆に、2050年に下げるという目標をきちんと設定して、そこに成り行きではいけないところをどう落とし込むかという道筋を示すということをこの研究の目標にしたいと思っております。現在の3年の中間報告の段階ではこの2050年における断面でそういう社会が技術的に可能かどうかということまでの報告になっておりまして、現在この道筋、すなわち今から投資をどんどん進めていく、そういうことに本当にできるんだろうかと、インフラがどうなんだろう、経済構造の変化がどうなんだろうかといったことについての研究を進めているところであります。
 次のページがその道具の話でございますけれども、まず最初にシナリオを将来2050年にはどういう社会になるだろうかという2つシナリオを設定いたしまして、そういうときにどれだけのデマンドがあるかを計算します。そのときは真ん中のあたりに技術進歩・普及に関する、灰色で書いてあります、アーカイブがありますが、約600以上のさまざまなエネルギーに関する技術のコストあるいは将来見通し、技術進歩等々を念頭に入れましてそういうアーカイブを持っております。この見通しといたしましては、それほどすごいファンシーな技術が入っているというよりも、現状の技術にちょっと伸ばしたぐらいの見通しになっております。
 それから、社会経済変化に関するアーカイブもありまして、こういうデータをベースに2つのモデル、スナップショットモデルといいますのは2050年の断面で家計であるとかあるいは交通であるとかエネルギー需要だとか等々の経済活動がどうなるかといったそれぞれのモデルを駆使しましてやっております。
 全体の前提でございます。次へ移ります。実現に当たっての前提でございますけれども、一定の経済成長を維持する。それから、これは想定されるエネルギーサービスは何とかそれを供給できるような仕組みを考える。それから、水素自動車等の革新的な技術を想定するけれども、核融合だけで万能薬というような想定はしておらないと。原子力などの既存の国の長期計画も整合性をとりたいということでございまして。現在のところ炭素排出コストの市場への内部化等の政策についてはまだやっておりません。今後の課題だと思っております。
 次のページでございますが、2050年、それではどういうシナリオを想定したのかということでございますけれども。2つのシナリオ、AとBとございます。Aのシナリオは活力型ということですね、従来型の技術も相当取り入れてやっているのはどれだけかと、これでも例えばSRESシナリオでは結構いくということを言っております。この場合一人当たりのGDP成長率を約2%と想定しております。
 一方、ビジョンBの方は一人当たりの経済成長率、GDP成長率を1%と仮定しまして、どちらかというと地方分散型の自然共生型といいましょうか、そういうシナリオを想定しています。多くの人のお話を聞いて回ったわけですけれども、ある人はAがいいと言ってある人はBがいいと言います。多分これは混合したような形でいくのではないかなと考えております。
 次のページに移ります。私どもの削減可能性検討の手順の話でございますが。まず最初にシナリオで2050年どんな社会になっているか、Aシナリオ、Bシナリオを想定します。そういう社会でこのエネルギーサービスの需要の同定と次の箱に書いてございますが、これはエネルギーを必要とするサービスの需要がどれだけになっているかと、いわゆるトンキロとかそういう単位あるいは冷暖房がどれだけの温かさ、冷たさがいるかといった量でありまして、エネルギー自身の量ではありません。
 そういう需要を確実に満足させるためにはその次のところへいきまして、需要を満たす技術的オプションが当然開発されていると、もちろんこれはこれまでのトレンドから見て開発されているのではないかという前提。そして、需要が、これは生産の方の需要でもありますし、あるいは家庭あるいはビジネスでの需要でありますけれども、そこできちんとした技術選択がなされると、合理的な選択をされるという前提でやっております。そうしたところを集計いたしますと、この一次供給エネルギーが想定されるわけでございまして、それに対して今度はエネルギー供給側ではグリーンハウスガス排出の少ないセレクションをしていただきたいということで組んでおります。
 その仮定について少々お話をしますけれども。次のページでございます。産業構造の推定、将来どうなるかにつきましては、一般均衡モデルで22の産業部門だと思いますけれども、前提といたしましてやっております。この商業という真ん中からちょっと右のところに一番飛び出たところを見ていただくとおわかりのように、真ん中の一番大きく出ているのはシナリオAでございまして、活性化した社会で非常に商業の活動が盛んになるだろうし、それはその左にくっついている赤いのが現状からいいますと相当伸びる。Bではそうでもないといったことが言える。いずれにしましても今後サービス産業をどういう形でもっていくかということは一番企業にとっても重要な話かと思います。
 また、その省エネ需要、市場側の省エネを進めるためには電気だとか機器だとか輸送機械というのに頑張っていただきたいということがあるかと思います。
 この研究の70%削減ということに対してどういう結論を出したかということでございますが、次の主要な結論のところにございますように、まず一番我々が重要視いたしましたのがエネルギー需要の40〜45%削減が可能である。そして、エネルギー供給側の低炭素化の組合せでもって可能ではないか。そのときのコストにつきましても毎年GDPの約1%程度の投資がいるのではないか、コストがかかるのではないかと思われます。
 需要がどうしてそんなに減るかということですけれども、多くの部門で人口の削減や合理的なエネルギー利用によって需要自身がかなり減るのではないかなと思っております。もう一度同じことを次の絵で示しております。これが上の方が最終エネルギー需要の構成でございます、下の方が供給側でございますが。需要側につきましてはこの2000年の棒に対しましてシナリオA、シナリオB、それぞれにぐっと需要を減らす可能性がある、それが40〜45%。全体として家庭、業務等々が相当減らせるという形になっておりますが、産業についてもう少し減らせるかと思うんですけれども、私どもまだ十分な産業に関する最新のデータがなかなか入りにくいということもあって割と削減が少ないレベルでとどまっておりますけれども。そんな形で予測ができました。
 一方、一次エネルギーの構成につきましては、現状から例えばシナリオAでは、これもいろいろなシナリオがシナリオAの中にもあるんですけれども、原子力を最大に入れるような形で考えてみたとき、それだけでは足りなくてさまざまな組合せが必要になってくる。あるいはBのところでバイオマスを中心にあるいは新エネルギーをやや増やす方向でいこうといたしましても、これでもバイオマスは国の中だけでは満足できず、約半分が輸入ということになるんですけれども。そういったシナリオの組合せをそれぞれ考えております。
 それでは、一体どこでどれだけ減らせるかということが次の主要な結論のところに書いてございます。それも次の絵を見ていただきます。これで見まして、先ほどと同じ絵が出てきておりますけれども、その下に産業部門では、一番下のところですが、構造転換と省エネルギーの技術導入等で20〜40%、運輸旅客部門については国土利用を適切にすること、エネルギー効率、炭素強度改善等で80%。運輸貨物部門では輸送システムの効率化、輸送機器のエネルギー効率改善等で60〜70%、そして家庭部門は利便性の高い機器等々で50%、業務部門は40%という見通しを得ております。
 同様に供給側はどうだということですけれども、これは先ほどお話を申し上げしたように、シナリオA、B、まだ幾つかのシナリオはある、代表的なものだけを書いてございますけれども。シナリオAではCCSや水素などのエネルギー等々も入れたものになっておりますし、シナリオBでは分散型のエネルギーを主体としたものになっております。
 具体的にどんな形でやっているのかということをお話しするために次を用意しております。交通ですけれども、この赤い絵が北海道の釧路町等々、根室の方をご覧になっていただきますと真っ赤になっております。これは一人当たりの旅客部門の排出量が非常に高いところ、要するに自動車がなきゃ生活できないと。そして、水色のところは自動車なしでもいけるのではないかといった大都市の部分でございます。こういうところをどれだけの割合で減らしていったかというところが左上の絵に書いてあります。大都市につきましてはなるべくコンパクトで移動の少ない都市づくりをするということでございますし、それから田園地域につきましては人口の削減等々もございましてこういう形で減っておりますけれども、これにはもう少しどうも工夫がいるように感じております。
 次のページにいきますが、そういうことで都市化の傾向についてもある想定という見通しを出しておりまして、都市化の傾向。全体的に人口が減ります。しかしながら都心への集中というのはかなり避けられないところがあり、しかしながら最終的にはどの地域も人口が減ってくると。
 そういうことを考えますと、次のページに移りまして、乗客の輸送需要というのはむしろ減っていく可能性がございます。
 そして、もう1つ、例えば住宅についてはどうかといいますと、今住宅の在庫といいましょうか今建っている住宅がいつ建て替えるだろうかといったことを計算してみますとこの絵のようになりまして、高断熱の基準の導入する可能性というのは相当にあります。ですから、このきちんとした誘導がなされればかなりの高断熱基準の住宅、オフィスが進んでいくのではないかなと思っております。
 次お願いします。そういうもろもろのことを考慮に入れまして、運輸旅客部門ではどれだけ減るかということを計算したのがこの絵でございます。これで見ますと、赤い棒に対応する需要ですね、一番上にありますように運輸旅客輸送量の変化は減るということですね。それから、黄色のところ4と書いてありますが、これは交通手段の構成、モーダルシフト、そしてコンパクトシティと言える都市づくりによる交通の減り方。そして最後はやはり技術にもってきましてエネルギー効率の改善等々で減っていきますということをお話ししています。
 次のページ。そういうことを集計いたしますと、今度のこの削減につきましては要するに社会イノベーションというのは非常に大きな位置を示しておりまして、技術イノベーションも並列してそれができるんじゃないかなと思われます。
 その次の絵でございますけれども、各部門での減らす手段を集計したものがここにあります。この対策オプションの検討、一番右側のところを見ていただきますと、もう一度再掲いたしますと、先ほど交通でやったように、一体需要側の努力がどれだけあるんだろうか、そして供給がどれくらいかということを一番右側のグラフで示しておりまして、約半分ぐらいが需要側のものが大事だということになります。そういうことで可能性があるということを示したわけでございますが。
 これの意味するところについて次の、それでお話ししたいと思います。私どもこうやって集計いたしましてそしてわかったことは、このエネルギー集約度、すなわちGDP当たりのエネルギーの使用量というインデックスを使いまして、過去どれだけ技術進歩があったかということをまず一番上のグラフで書いております。黄色いところですね。見ていただきますと、一点いくつかぐらいになっております。IPCCではこういう使用はこれくらいのスピードで大体今までいってきたよと。それに対しましてシナリオA、Bを見ますといずれも過去の技術進歩よりも大きな技術進歩を要求しております。我々だけでなくてイギリス、フランス、ドイツの計画も非常に大きな技術進歩が必要だという結論になるわけで、今後非常に技術の進歩に対する競争が激しくなるだろうということが予想されます。
 次のページにいきます。欧州諸国は先ほどのグラフに、左側ですが、お示ししましたようにそれぞれの目標を2000年ごろから設定いたしましてこの方向でいこうということを言っているわけですが、それが本当にいっているのかというのを見たのがエネルギー消費原単位の推移、右側でございます。IAEAの資料からとっております。1990年から2030年にかけてUKだとかというところはどんどん減らしておりますけれども、日本はこのところちょっとスタグネーションがございまして1990年時点あるいは現在でも世界に冠たるところがございますけれども、いつまでそれが続くのかという不安がこの絵から見ると見えるわけであります。
 まとめに入りたいと思っておりますけれども。欧州諸国は低炭素社会、これは持続可能な日本構築プランをすることができるのではないかということでございますが、その前に簡単に今までのところを見ますと、欧州諸国は低炭素社会に目標を設定して技術競争に移りつつあると。そしてその全体として産業構造や低炭素技術に戦略目標を設定していると。これからはエネルギーをどう使わないかという技術競争になるだろうと。今までどちらかというとエネルギー供給側のプッシュでいくつかの多くの技術が開発されてきましたけれども、その考え方を変える必要があるのではないかなと思われます。日本も早く目標を設定しないと、先ほどのグラフからいうとちょっと困ったことになるかもしれないなということがあります。早めにシグナルを出す必要があるし、また国民に向けては私どものモデルではそんなにファンシーな技術を使っているわけではないので、いかに選択において国民や企業の技術選択を進めるかといったリテラシーといったものについても強めていく必要があるかなと思っております。
 全体として原単位目標ということも言われておりますけれども、いよいよ絶対的な量の削減目標を立てる必要があるのかと思っております。
 そして、最後に今お見せしていますスライドでございますけれども、低炭素社会というのは入りと出が一緒になる、イコールになるというハーマン・デイリーの言うところの定常化社会のまずそのフロントランナーであります。こういう方向に世界が向いているということをはっきり認識して、あらゆる政策にそれを取り入れていく必要があるだろう。そして、技術につきましては何度も申しましたように、エネルギー供給主導の技術から需要側の削減努力を引っ張る技術、主導する社会へいく必要があるかと思われます。
 それから、国土につきましてはこれは時間のかかる話でございますので、早めに低炭素社会だけでなく高齢化対応のまちづくり、余り自動車で走らないようないいまちづくりをしていきたいということでございますけれども、そういうことについても考えていく必要があるし、また農村も新しい役目がありますので、そういうことに向けてつくっていく必要があると。財政につきましては安全と水はただであるという時代が過ぎてみんなお金を払っているのと同様、環境についてもお金を払う仕組みを何かの形でつくる必要があるかもしれません。
 それから、ODAにつきましては私再度申し上げましたけれども、もう2050年ぐらいになりますと途上国ですら一人1トンぐらいか2トンぐらいの炭素の排出になるかと思います。共同で低炭素社会を構築していくという仕組みをつくる必要があるかと思います。
 本当に最後のスライドでございますが、読みませんけれども、今一番大切なのはその方向に世の中進んでいるんだということを早くシグナルを出すということが必要ではないかということで最後のスライドを締めくくらせていただきます。
 どうも少々長くなりました。

○鈴木部会長 大変ありがとうございました。
 ただいまのご説明につきまして大変皆様からご関心の高いところですのでご質問があろうかと思いますが、時間が大変限られているのが誠に残念なんですが、ともかく今お札を立てておられる方でよろしいでしょうか。では、そこまでにさせていただきます。
 こちらから茅委員から。

○茅委員 2つありまして、1つは質問というよりはコメントに近いんですが。今日の西岡さんのこのお話はEUの2度提案に対応した考え方で国環研がやられたプロジェクトの説明をされたんですが、途中にあるIPCCのワーキンググループ2のアウトプット、これとちょっと一緒になりすぎているのではないかという気がするわけです。ここの、西岡さんもおっしゃったように、IPCCのワーキンググループ2の数字はいずれも現在からの温度上昇で言っているわけでして、それに対してEUの言っている2度というのは産業革命以前の自然のレベルからの差で、その差は0.5度と西岡さんがおっしゃったんですが、普通言われるのは0.6から0.7度だと思います。
 いずれにしてもこの2つは明らかに違うので、同じように2度と書いてあるので大変コンフュージングなんですが。IPCCのワーキンググループ2の結果の報告と、この西岡さんの70%削減シナリオの話とは一応区別していただくのが私は筋ではないかと考えております。でないと、IPCCのワーキンググループ2の報告があたかもこのプロジェクトをサポートしているかのように聞こえてしまうものですから、これは私は残念ながら、誤解かもしれませんが、そういうことが私はそうではないんだということを私として確認したいと思います。それが1点でございます。
 あと、モデルの結果については随分いろいろと質問があるんですが、単純な質問を1つだけ。2つのシナリオで電力の供給を見ますといずれも正直言いまして電力家としては相当難しい電力構成なんですね。例えばシナリオAでは原子力と風力と水力、それから太陽光発電だけでほとんどの出力をカバーしているんですが、これはそうすると一体だれが出力調整してくれるんだろうというのがわからない。それから、Bの場合はバイオマスが大変多くて一次エネルギーの4分の1を占めているんですが、これですと日本の都市の10分の1程度を使わないとできない。もしこれだけのバイオマスを使うとなるとやはり相当輸入に頼らなければいけないのではないか。これは単純な物理計算からすぐ出てくることなんですが。そういった意味でいわば電力の構成について相当難しい想定をしているのではないかというのが質問でございます。
 以上です。

○鈴木部会長 お答えは後でまとめてお願いしたいと思います。
 では、杉山委員。

○杉山委員 それでは、1つだけ技術的なことをお尋ねしたいと思います。交通の削減量、非常にドラスティックに示されております。京都議定書目標達成計画でも運輸部門はプラス15.1%ですから、それに比べると果たしてこれが可能なのかどうなのかという疑問がわきます。
 2050年ですと長期ですから都市構造とか地域構造の改造、再構築を前提にされていると思うんですけれども、それに伴って必然的に生じるエネルギー、これをどういうように扱っておられるのか、そこをお教えいただければと思います。

○鈴木部会長 須藤委員。

○須藤委員 2つ質問させていただきます。これはご研究なので今後まだ、中間と今伺ったので、今後例えばこのモデルを実際の、例えばさっきの三鷹市とかあるいはほかのもっとエコタウンなりあるいはエコビレッジに当てはめて実証をやっていただけるんでしょうかということが1点目。
 それから2点目は、これは前にも伺ったことがあるんですが、今、茅先生もおっしゃっていたんですが、シナリオBがバイオマスに頼っているのは私は海外、要するに持続可能にはならないのではないかと思って心配しているので、これを日本だけでやれるようなモデルというのはつくっていただけるんでしょうかと、それが2点目です。
 以上です。

○鈴木部会長 関澤委員。

○関澤委員 1点目はIPCCのワーキンググループ2に関する意見でございますが。ただいまのご説明にありましたように、これは非常に地球温暖化問題というのは地球全体の問題であるということがこの中からも非常によくわかってきたわけでございますが。やはりそういった意味で地球全体で実効ある排出削減の枠組みをつくっていくということが不可欠だろうとこのように確信いたします。アメリカ、中国、インド等の排出国が参加するということは当然でございますけれども、やはり合理的な公平なそういった目標設定、枠組みの構築、これが非常に重要だろうと、これは意見でございます。
 日本は特に対米、対欧、対途上国の架け橋になると、こういうことを日本が本当に主体的にリーダーシップをとって動かない限り、世界は入ってこないだろうとこういうふうに思いますので、そういう意味ではぜひそういった役割が必要だなと、このように思っております。
 それから、この70%の低炭素社会の方の中でちょっとご質問ですが、まず1つは、この中の21ページに出てきたんですが、低炭素技術の年間直接費用総額が6.7兆円から9.8兆円と想定される2050年のGDPの約1%程度ということになっているわけですが、そもそもこれだけの巨額の費用を負担できるのかどうか、そういった検討が必要ではないかと、このように思いました。
 それから、この本文の方にこれ私読んで4ページ目に出ておるんですが、鉄鋼のことも書いてあります。私たまたま鉄鋼に所属しておるわけでございますが、この鉄の生産量に関しまして公共投資の一巡によって内需が大幅に減少すると、アジア地域の需要に対しては日本企業による現地生産が増加すると。要するに日本における温室効果ガス削減をするために企業は海外で現地生産を行う方がいいと、こういうふうに書いてあるわけでございますが、そういったことで炭素リーケージという問題がやはり出てくるのではないかと。それから、産業構造と雇用、これがどういうふうに考えておられるのかというところがよくわからないというのが私の質問でございます。
 以上です。

○鈴木部会長 平野委員。

○平野委員 今諸先生方からご質問が出た点とかなり重複するんですが、やや素人っぽい質問で申しわけないんですが。このスタディを拝見していると非常にエンカレッジングといいますかやればできるんだというふうに見えるわけなんですが。そのフィージビリティが本当にあるのかというのがやはり私も非常に気になるところでございます。
 それで、ちょっと角度を変えてそのフィージビリティについての質問をさせていただきたいんですが。欧州各国も非常にアグレッシブな削減目標をつくっているということなんですけれども。彼らのものの考え方とそれからここでご提示いただいているアプローチというのは全く異なるものなのか、あるいは彼らも同じような考え方をしているのかといった点についてコメントしていただければと思います。よろしくお願いします。

○鈴木部会長 西岡先生、よろしいでしょうか。

○西岡参与 まず、2度の問題のお話をします。私がちょっと言い方を間違えたと思いますけれども、私が今ここで2度ということで線を書いておりますのは工業化以前の温度でございます。そして、IPCCが今度の新しいレポートで言っております2度とか3度というのは1990年をベースにしております。そして、IPCCのレポートの中では工業化以前の、コンマ5度足しなさいということが明記してあります。ですから、それを前提として私の方も話をしたつもりだったんですけれども、ちょっと説明が悪かったかもしれません。
 それから、ではワーキンググループ2の今回のレポートがこの私どもの方の2度をサポートしているのかどうかという話ですけれども、これ私の今の立場といいましょうか、まず基本的に予防的な手を打つ必要があるだろうし、それから今度のワーキング2の報告を見ますと、ずっと1度からどういうことが起こっているかと見てみましてかなり生物の方への影響というのがまず最初に出てくるという状況があります。実はその多様性に対する影響だとかいうことの意味がまだ非常にわかりにくいものですから、私どももこれがどれほどの意味を持ってくるのか非常にわかりにくいところがございます。しかしながら、そこにはかなり不確実な悪い方向へいく可能性もあるのではないかなと思っております。
 これは論理がちょっとすり変えになってしまうことは承知で申し上げておりますけれども、このワーキンググループ1のレポートでほんの少し書いてあって、我々にとってはそれはかなり常識的になりつつあるのが、今の予想、すなわち気候感度が今普通2.6でやっております。すなわちこれは濃度が高まったときに温度がどれだけ高くなるかというモデルの性能をあらわするものでございますけれども。全般に現在のモデルの予測というのがやや低めに出ているのではないかということを示唆するところがございます。
 そのほか、アブラプトチェンジのような話もございますし、最近は南極の氷の溶け方のメカニズムがだんだんわかってきてどうも上から単に溶けていくような話ではないなというようなことも出てきたということを考えますと、私は1.5度、すなわち私は先ほどから2度、工業化以前から2度、すなわち1990年から1.5度というところでも十分危険なレベルということで、予防的な手を打つ必要があるというぐあいに考えておりまして。茅先生はそれは結び付ける必要はないだろうとおっしゃいましたけれども、そういうところで、これ政策の問題として今のところ2度のところでの計算をやっております。
 しかしながら、私ども今モデルを動かしていろいろ検討しているところなんですけれども、新しいレポート出まして。例えば2度という話もあり3度という話もあり、それにコンマ5を足したのもあり、それから気候感度の話もあり、等々含めた感度解析を今やっているところであります。そういうことで別に2度に固執するというよりも、それを1つのメルクマールとしてイグザンプルをやっているということでございます。
 それから、電力の供給に関しましては、電力の方々のエネルギーの方々のご協力も得てやっております。そして、今ここで挙げましたのは1つの例にすぎなくて、実は多くのシナリオがあるんですけれども、一体どれが一番あり得るのかということについて今検討していただいているという状況であります。
 バイオマスについては須藤先生のお話もありましたように、私も申し上げたつもりでございますけれども、今あそこに書かれている例では輸入が半分です。とても日本の国のバイオマスでは間に合いません。ですから1本だけしか書いてございませんけれども、それに対してバイオマスが減ったときにはどうかということでございますが、典型的なバイオマスだとか新エネルギーを入れたスタイルではどうなるかということで例を示したものであります。
 それから、杉山委員の方から技術的に本当に可能かという話がございます。例えば現在京都議定書の見直し、目達の関係でも見ておりますと、かなり業務用の方の運輸の排出量というのは確実に減りつつありまして非常に努力していただいてますし、それから交錯輸送を減らすだとか、それから燃費自身もいいのをどんどんとっていくといったことをやっておられまして、私は結構こういうところでいくのではないかなというぐあいに思っております。
 全体的な話を申しますと、この研究自身は技術的な可能性があるということで、そのためのインフラを整備したりするということはこれから検討するところでございますけれども、それが大前提でやっております。
 そこで、今のお話の1つとして、そういう投資をするときにもエネルギーはかかるだろうということでございますが、おっしゃるとおりそのLCA的な解析についてはまだ十分やっておらないところはございます。
 地方自治体はどうだという話ですが、今我々の研究の中の一部といたしまして滋賀県の例をやっております。これは本当に並行してやっております。3年間ずっと続けておりまして、今滋賀の方ではそれを1つの計画に持ち上げようという話があります。この話を新聞発表いたしましたところ、幾つかの自治体からこういう方向を示してもらうのを待っていたんだというようなことのアプローチがありまして。実はそれぞれの都市で現在低炭素にしなきゃいけないと言うけれども、一体何をしたらいいのかというふうにむしろ都市整備の方から環境の方に問いかけられていると、どういう答えを出していいのからよくわからなかったんですけれども、これも1つの方向だということで非常にいいレポートが出てくれて、私の前ですからそうおっしゃいますけれども。ということで、地方自治体が主導してやる可能性は非常に高い。
 私はちょうど2月16日、京都の地方自治体、世界の都市の会議に出ておりまして、その中でも例えばメルボルンは80%減らすといったことを言って、京都市の方もこれでは頑張らなきゃいけないなんていうことを言っておりましたけれども、そういう方向が出てくるのではないかなと期待をしている次第です。
 関澤さんの方から、地球全体で減らすということでございます。ちょっとすみません、私のスライドのずっと後ろの方、一番最後、その次、ちょっと見てください。はい。これが一人当たりの世界の、お手元に多分ないと思うんですけれども、多分そういう質問が出るだろうということであったんですけれども。これはWMOが推定しました将来、2030年にわたって一人当たりの排出量がどうなるかということでCOで書いてあります。だから、例えば2とありますのが大体2030年の赤いところですね、あのあたりが大体コンマ5トンぐらいのものになります。私先ほどから究極には0.3トンだよと、一人当たりですね、言っております。もう遠い先の話で雑な計算で申しわけないんですけれども。そうやって見ますと、もうこの2050年の時代には途上国ももしこの枠組みに入っているとしますと、削減の枠組みに入っているとしますと自分たちも一生懸命減らさなきゃいけない状況になります。
 次をお願いします。私どもはこのモデルを中国のエネルギー研究所であるとかインドの大学院だとかいろいろなところにお願いしましてこれを使ってローカーボンチャイナ、ローカーボンインディアというものをつくってくれというお願いをして、それを数年前に比較しました。これで見ますと、一番下にチャイナというのとインディアとありますが、チャイナでいくら頑張って、そのとき頑張って、そのモデルで頑張ったんですけれども、やったといたしましてもこのCOの炭素換算で1以上になってしまうんですね。ヨーロッパ等々が言っているのは低炭素、コンマ5とかコンマ8だとかそういうことを言っているわけですから、とても一番上のグラフからアメリカはそこに到達できないんですけれども、何が出てくるかわかりませんけれども。
 そんな観点から見ますと、2050年ごろどういう世界になっているかというと、もうとてもいわゆるCDMで借り貸しできるような世界ではないと。それぞれの国が削減するのに精いっぱい、何度も言いますけれども、もしそういう協定ができているということで。そういう意味で今おっしゃった非常に先進国が途上国になるべく低炭素社会に向くように早めに技術移転するという意味で、それから架け橋になるということは非常に僕は大切だというぐあいに思っている次第です。
 それから、鉄の投資がどうなるかということでございますが、これについてはむしろご専門の方々ともう少し議論して教えていただきたいところでございます。これが3ページのところに例えば日本の粗鋼だとかセメントというものはどういう状況かということを、これですね、すみません、ちょっとメモしてあります。日本の鉄鋼は現在1億トンあるいは1億1,000万トンという非常に世界の高効率の工場として進んでいるということは認識しております。国民一人当たりの粗鋼生産量というのを見ますと一番上が今のところ韓国が黄色いのがいっておりますけれども、その下が日本でございまして一点いくつぐらい、一人当たりですね、1億人で割りますからぐらいの数字で横ばいにいっておりまして。一方、先進国においてはイギリス、ドイツ、ずっと0.4ぐらいのところをはっておりまして、一人当たりの粗鋼生産量は非常に少ない。そして、その分だけ我々鉄の方に外から稼いでいただきまして我々の食糧を得ているわけでございまして、非常に重要だと思っております。
 国内生産につきましてでございますけれども、それについてはもう国内では需要がかなり飽和しておって土木建築の中には相当鉄が入っておりまして、これからそれをほっくり返しながら使うような時代になっていくのではないかなと思っております。
 ですから、海外需要をどう見るかということが非常に大きな問題かと思って、今おっしゃったようにまだまだ海外でカーボンリーケージをなくすために我々が頑張るというシナリオもあるかと思いますし、また現在既に中国、インドのTATAなどの連合で移転も始まっているというふうに思いますので、私どもは7,000万トンと推定いたしましたけれども、これについてはそちらで数字を出していただければまた検討できると思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 雇用に関しましては、一般均衡モデルを回しましてこれが道筋、パスとしてもあるいは空間的にも雇用がどういうことになるかということを現在計算中でございますので、これについても後ほどご報告いたしたいと思っております。
 平野さんからお話ございましたフィージビリティあるのかという話なんですが、これはいつも問われる話でして、しかしながら我々の、私の意見といいますか、結局低炭素社会にしなきゃいけないんだということからこの話はいっておりまして、できるできないじゃなくてやるんだと。それがそのバックキャストという手法のポイントでございます。バックキャストというのはそれをしなきゃいけないんだったらその道筋をどうやっていくかということを検討するということで、成り行きからどう減らすと私はちょっと言いましたけれども、そういうことではなくて何としてもこれをしたいということで考えておりますので、フィージビリティはあろうがなかろうがそういうことについてはやっています。
 しかしながら、現在私どものモデルで計算していますのは果たしてこれが、この2050年断面が現在のところからの投資を続けていったりして十分整合性のあるものか、あるいはコストが本当にいくらかかってどういう財政的な負担が生じるのかということを今やろうとしております。ちょっとあと2年、1年半で済ませたいと思っております。余裕をいただきたいと思っております。
 それから、欧州の考え方ということに対して先ほど茅先生のお話もございました。私ども欧州が50%減らすだとか、それから何%減らすといったことで、そのまま引き継いだわけではございませんで、我々も必然性につきましては十分討議をいたしまして、結果やはりそのあたりを出発点とするということは中央環境審議会の答申でも申し上げましたし、そういう我々なりの観点からこの70%ということを設定したということを申し上げたいと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 大変ポイントを突いたいろいろなご議論をいただいたと思いますが、フィージビリティという、むしろこういうようなバックキャスティングできちんと道筋がついたものをフィージブルにするような経済構造を考えていくというそっちの方がこれから必要になってくるという面もあるかもしれません。これからあと1年半ですか、予告がありましたが、1年半で大変またおもしろい成果をお出しいただけることを祈りたいと思います。
 もっともっとご議論いただきたいんですが、残念ながら時間がなくてまたの機会を見つけることができればと思っております。
 今日は2件ヒアリングをさせていただきましたが、まだあと次回、次々回、継続して別の観点からのヒアリングをお願いすることになっております。
 では、このヒアリングにつきましてはここまでにさせていただきまして、議題2といたしまして立国戦略につきましての総論の部分ですね。前回の部会で論点整理をお出ししていただきました。そこの総論部分につきましての参考資料を作成いただいたわけですが、これにつきましてご説明をいただくことにしたいと思います。
 小林官房長の方からですね。

○小林大臣官房長 失礼いたします。それでは、お手元でございますけれども、総論関係のこれまでの主な意見の概要という資料と、参考資料、横長になってございますけれども、参考資料1ということで黄色い見出しがついておりますもの、これを並行してご覧いただきながらお話を聞いていただければというふうに考えてございます。
 今日、そしてまたあと2回かけまして前回ご議論いただきました論点整理(案)を3つに分けまして、そしてその議論を進めていきたいということでございます。今回は前回の論点整理の中から地球環境の現状と課題、そしてそれを受けましてページが少し飛びますけれども、5ページまで飛んでいただきますと、資料3の方でございますが、2.に「環境立国」の基本理念ということがございます。この部分でございます。次回以降は例えば各論、戦略において各論というのが正しいかどうかわかりませんけれども、具体的な課題として温暖化、そして3Rとかいうようなご議論ございました。これについてのご議論がまた次回以降お願いをいたしたいというふうに考えてございます。本日のところはこの最初の総論部分、問題提起、問題の指摘と、そして今後の大きな方針についてのところについてのご議論を賜りたいと思っております。
 前回も全体総ざらいいたしましていろいろなご意見ちょうだいしました。この総論部分につきましても部会長からの指示でいただいた意見に沿いましてリバイスをするということでございますので、今回幾つか修正をさせていただいて追加をさせていただいている。あるいは構造も少し変えさせていただいているところがございます。前回と違うところ中心にご説明を申し上げたいと存じます。
 まず最初のページ、1ページでございます。基本的な認識のところでございますけれども、(1)の四角の中でございます。最初のポツでも後半におきまして生物多様性というのは地球環境をつくってきた主人公でもあるというご意見もちょうだいしたところでございます。地球の悠久な歴史の中で多様な生物が生まれ、またそれを取り巻く環境との相互作用を通じてこの環境というものが形成されてきたんだということを書かさせていただいております。
 それから、2ポツでございますけれども、ここは新しく書き加えてございます。煎じ詰めて言いますと、環境問題は現代文明の特性から発出したいわば本質的な問題であるということを書くようにいたしたところが2ポツでございます。
 それから、3ポツも書き加えさせていただいてございます。たくさんここも意見ちょうだいしたところでございますが、これも端的に言いますと、最初の書きぶりでは危機感が全然乏しいじゃないかとこういうご意見がございましたので、この部分少し強いラインで書かさせていただいたところでございます。人類が直面する最大の課題だというようなこととか、経済の発展に支障をきたすおそれがあるとかそういうようなことでございます。
 それから次に、地球温暖化の危機のところでございます。これにつきましては文章は特に変えてございませんけれども、既にあります既存の資料ということでお手元参考資料の方を見ていただきますと、2ページから5ページにこの文章のバックグランドが書いて、新しく資料としてつけ加えております。例えば参考資料の方、横長を見ていただきますと、4ページ、5ページあたりには先ほども議論になりましたIPCCの第4次評価報告書、第2作業部会の部分の報告のエッセンスが書かれていると、こういったような状況でございます。
 それから次に、3つの危機ということでございますが、生態系システムの危機というのが2ページ目、そして資源の浪費による危機というのを3ページ目に書いてございます。前回ご議論、こういった3つの危機という整理でいいのかどうかということも含めましてご議論あったわけでございますが、特段これを4つにしろあるいは2つにまとめろということではございませんでしたので、この構造については維持をしてございます。文章もそのとおりでございますが。
 ちなみに参考資料としては生態系システムの危機につきましては6ページから9ページ、そして資源の浪費による危機につきましては10ページから12ページに関連の資料をおさめさせていただいております。場合によってはここの資料から見てこの文章はもっとこういうことを書いたらいいじゃないかというようなご意見もあろうかというふうに認識をしてございます。
 それから、資料、本文の方の資料ですね、資料の3番のさらに3ページへ進まさせていただきたいと思います。ここにおきましては実はストラクチャーを少し変えてございます。持続可能な社会に向けた取組というところの中に、2つの項目を分けて記載するようにいたしました。茅先生からのご指摘があったところで、持続可能な社会の実現といいますか持続可能な社会の条件というようないわば持続可能な社会のルールみたいなことですね、これとそれからそのあらわれといいますか持続可能な社会がどういう姿をしているのか、ちょっと切り離して論じた方がきっとわかりやすいのかなということで項目を1つ増やさせていただきました。冒頭申し上げましたストラクチャーを変えたところがあるというのはここのことでございます。
 そして、持続可能な社会の条件という見出しをふった最初のところでございますが、特に真ん中のポツにつきましては前回のご意見を踏まえましてハーマン・デイリーの3原則、あるいは第2次環境基本計画に掲げられておりますところの持続可能な社会の5つの条件などなどといろいろなことは言われておりますので、こういったことも参考にしつつ検討を行って条件を提示していくことが必要ではないかという書き方でご意見をまとめさせていただいております。
 ちなみに、これについてはいろいろな情報がございまして、お手元の参考資料でいいますと16ページから18ページあたり、例えば第2次環境基本計画の中ではこんなような、これは各省合意したつくった閣議決定のベースの文章でございますが、5つのことが言われておりますし、茅先生ご指摘の17ページでございますが、ハーマン・デイリーの3原則というようなことも書いてございます。また、18ページにはナチュラルステップが言ってる4つのシステム条件というのもございますが、こういったのを書かさせていただいております。この辺新しい項目立てでもございますので、ご議論を賜れればと思っております。
 それから、そういったルールといいますか原則が社会にあらわれてくるそのあらわれでございます。低炭素社会、自然共生社会、循環型社会ということで前回も整理してございます。これについてその整理についてはご意見なかったんでございますけれども、ただいろいろな意見それでもございました。例えば3つの社会が別々にやはり論じちゃいけないんだと書いてあるのに分かれて書いてあるじゃないかというようなご意見ございました。そういうことで2番目のポツを書いてございまして、そういった3つの切り口の境というのが実は相互に有機的に関連があるということをわかるように文章を書き加えたものでございます。例えばお手元の資料でいいますと19ページ、これはよくできた絵かどうかわかりませんが、こういうことになろうかというふうに思っております。
 それから、同じく3ページの一番下のポツも新しく書き加えてございます。これはやはり循環型社会という大きな意味での循環型社会ということから全体を見ることができるんじゃないかというご指摘もあったわけでございます。そういうことでございますので、そういったパラを加えたものでございます。環境への負荷が重大な影響を及ぼすことがないよう自然との共生を図りながら人間社会の物質・エネルギーの循環を自然の大きな循環に沿う形で健全なものとしていくことが重要なんだというようなご指摘として書かさせていただきました。
 それから、次に4ページでございますが、低炭素社会、自然共生社会、そして循環型社会のそれぞれをスケッチしてございます。これももっとビビッドに書いていった方がいいのかなというふうに思っておりますが、特に前回からは書き加えてございませんが、これについてのバックグランドとなります既存の資料につきましては、例えば低炭素社会について言えば20ページあるいは21ページに出たものがございます。また自然共生社会につきましても既にいろいろなところで論じられているものございます。私どもの気がつくものについて、例えば「21世紀『環の国』づくり会議」、これは総理大臣主催のものでございました。また、生物多様性国家戦略といったようなところからの引用等々をさせていただきました。また、循環型社会については24ページ、25ページでございます。これも法律レベルで書かれたもの、あるいは閣議決定をした基本計画に書かれたもの、そういったものがございますので、こういったものも1つのレファレンスとして使用していただければというふうに思ってございます。
 次に、大きな柱の2番目、こういったことを踏まえましてこれから訴えていこうとする環境立国、これはどういうものなんだろうかということでございます。今後は、これは全体が幾つか分かれてございまして、このストラクチャー自身は全体変わってございません。日本モデルというふうなものを少し研ぎ澄ましてこれを世界に訴えていこうというのが(1)。
 そして、その日本モデルの中身というのはどういうことなんだろうかということで3つに整理をさせていただいたのが(2)、(3)、(4)でございます。復習になりますけれども、1つは伝統的な自然観を現代に活かした美しい国づくりだということについてのご意見。そして、車の両輪として進める環境保全と経済成長・地域活性化、そういう車の両輪としてくっついて進んでいくんだという考え方も1つの日本モデル、世界に訴えていけるアイデアではないかということで、これについても(3)に書いてございます。
 そして、日本は日本だけがよければいいという国ではありません、アジア、そして世界とともに発展するんだ、そういう国づくりを考える。それぞれの国はそういうふうに考えてほしいということだろうと思いますが、そういった切り口については(4)ということでございます。
 文章、ご意見いただいたところをつけ加えてございます。例えば6ページになろうかと思いますが、この車の両輪として進める環境保全と経済成長の2つポツになりますが、環境と経済の両立を図ることが重要なんだと、そこがまず出発点ではないでしょうかというご意見があったわけでございます。それを踏まえた修文でございます。また、(4)、アジアのところの一番最後につきましても、環境と貧困の悪循環を断つということも大事だというご指摘があったところでございまして、それを踏まえたご意見を書かさせていただきました。
 以上、時間の関係で雑駁な説明になりましたけれども、前回の復習と書き換えたところの説明でございました。ぜひこの部分またもう一度詳しくご議論を賜れればというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明につきましてご意見等いろいろいただけると思いますが。よろしいでしょうか。
 それでは、こちらからさせていただきましょうか。石井委員。

○石井委員 基本的なことなんですけれども、この中で書かれている持続可能な社会の側面として低炭素社会、自然共生社会、循環型社会とありますが、若干これ読んでいるとかなり、専門家の方たちにはすぐわかるんでしょうけれども、ちょっと抽象的でインパクトに欠けるかなという印象があります。特にこれは国内的なメッセージの部分も含んでいるんだと思うんですが、それでは国民は一体何をしなければいけないのかというような視点も何か取り込んでほしいなと。例えば低炭素社会のところで温室効果ガス排出量を大幅に削減し、ガス濃度を安定化させる社会というふうに書いてあるわけですけれども、一体これを実現するために国民は何をしなきゃいけないのかというところがよくわからないんじゃないかなという懸念があります。
 何かこれを突き詰めていくと、ひょっとしたら経済成長と環境保全、車の両輪として進めるということと矛盾してくるんじゃないのかというような心配もあるわけで、ちょっとその辺を明確にする必要があるのではないかと思います。

○鈴木部会長 では、上路委員。

○上路委員 今の石井委員のことにも関係するんですけれども、結局前にも随分検討がされていたと思うんですけれども、国民が一体どういう環境に対して、先ほど三鷹の市長さんがおっしゃられましたけれども、どういう態度でそれに対応すべきか、あるいは環境教育というものをどういうふうに進めるのかというものが見えてないというふうに思いました。
 それと、非常によくまとめていただいたんですけれども、一番最後のアジア、世界とともに発展する日本というところで、開発途上国での環境と貧困の悪循環、こういうものを断ち切るというのが非常に文章としてはそうなんですけれども、もう少し明確に環境問題と食糧とか人口問題とかそういうところがもう少し具体的にできないのかなと。かえって抽象的になるかもしれませんけれども、食糧というのが非常に地球環境が変われば大きな打撃を受けるというようなことをもう少し明確に入れていただければというふうに思いました。
 以上です。

○鈴木部会長 では、枝廣委員。

○枝廣委員 幾つか述べたいと思います。まず、一番最初の基本的な認識の例えば温暖化のところで、例えばIPCCによるとという書き方をされていますが、そうではなくて、日本はとか我々はという形で基本的な認識を出すべきだと思います。IPCCが言っている、それを日本はどうとらえるのか、もしくは我々はどういうふうに認識した上でこの戦略をつくるのかと。一人称で語りたいなというふうに思います。
 先ほどの西岡さんのご発表でも明らかなように、やはり物理的な現実として3ギガトンしか地球が吸収できないのに7ギガトン以上出ている。そうしたらそれを60%、70%減らすのは可能かどうかではなくていかに可能にするかを考えるしかないわけで、それをできないというのは温暖化を許容することになってしまう。そうではなくて、フィージビリティをつくっていくためには業界や自治体、そしてNGOや市民は何をすべきかという形で戦略が出せればなというふうに思います。
 ビジョンとか戦略というのは今前のお二方、先生方がおっしゃったことと重なりますが、やはり人や組織を動かすものでなくてはならない、読み流すものではそれは戦略とは言えないというふうに思います。低炭素、自然共生、循環型、とても聞こえもよいしイメージがよく何となくそうだなと思いますが、ではいざそれでどうなっていくのかと。そのときにやはり絶対的な例えば二酸化炭素にしても削減の目標を出すべきだと思いますし、低炭素といったときにやはり温暖化はエネルギー問題とも言われていますので、エネルギーの例えば新エネルギーをどのような形で増やしていくのか、その仕組みをどうするのか、そのあたりもきちっとエネルギーという言葉も総論部分で入れるべきではないかと思っています。
 今世界を見ていると環境をめぐって覇権争いが激化しているかなと思っています。その中で日本は残念ながらこのままだと置いていかれるだろうという危機感をかなり私は強く思っています。
 1つご参考までにですが、昨日、米国の下院議員のリックバウチャー氏という方が外務省の主催でアメリカのこれからの温暖化対策というご講演をされました。外務省の鶴岡審議官と私とその講演に対してコメントさせていただくという立場でいたのですが。そのときに削減義務を持った法案を今つくっているという話をされていました。例えば公聴会に呼ばれたアル・ゴア氏は2050年までに90%減らすと、それを目指せという話をされていたそうで、今電力業界にそれがどの程度可能なのか調べさせているという話をしていました。また、その法案は中国、インド等主な排出国を入れなくては通らないということで、それを入れるための仕組みもかなり具体的に考えられていました。
 アメリカは絶対的な削減目標をどのように掲げるのかと私は質問したんですが、それは明確な答えはいただけませんでしたが、アメリカもそのような形で動き出している。ヨーロッパはもちろん進んでいるわけですが。日本で何となく感じのいい戦略をつくるのではなくて、やはりピシッと出さないと世界の中で注目されるような戦略は出せないのではないかというふうに思っております。
 以上です。

○鈴木部会長 大久保委員。

○大久保委員 この戦略が国際的に発信するメッセージであるという観点から2点ご指摘させていただきたいと思います。第1点目ですけれども、まずメリハリの問題なんですけれども、今回重点となってくるのが温暖化と生物多様性の問題であるという話が最初にございました。そういう観点から見ますと、その2つを含めまして現在そのあたりで最も重点的な環境政策の理念となっているものは何かと考えますと、これは予防ということでございまして。この点は先ほどの西岡先生のお話にもはっきりあらわれていたかと思います。
 この点は気候変動枠組条約、生物多様性条約をとりましてもはっきり位置づけられておりまして、予防原則と言おうがアプローチと言おうが、日本の言葉で言えば予防的方策の重要性ということは基本計画にも明記されています。
 それがこの基本理念を見ますと実は明示されていないということに気づきましたので、どこに入れるかというと、持続可能な社会の条件のところか、あるいは2.の立国の基本理念の(3)あたりになるのかと思いますけれども、やはり国際的な政策理念の基本理念というものは明確に位置づけるべきではないかというふうに思います。
 第2点目ですけれども、先ほど危機感がないということで危機感をもう少し持った書き方にしたということの部分なんですけれども、国際的な見せ方の問題といたしまして、その危機感があるのでどうしているのかというとリオ宣言では第一原則に人の権利の保証ということを書いております。つまり、健康に生きる権利ということを守る必要がある、それが持続可能な社会の基本条件であるということが第一原則になっているわけです。この3ページ目を見ますと、[1]の最初のポツぐらいの書き方で国内計画としてはよろしいかと思うんですけれども、国際的なメッセージだということになりますとそういう危機感を踏まえた国際的な環境政策の基本理念である利用宣言の第一原則ぐらいはスタイルの問題として入れておく、必要最小限のものとして第一原則ぐらいは書き込んでおくのが定石かなというふうに思いますので、以上申し上げたいと思います。

○鈴木部会長 茅委員。

○茅委員 2点申し上げたいと思います。1つは、このまとめの総論というのが最終的に報告書という形に反映されるんだとなりますと、ちょっとこの中にやはり具体的にこういったイメージを実現するツールを触れておくべきではないかと思います。3つあると思うんですが、1つは当然ですが技術開発。2番目は国民のライフスタイル、3番目は法制度あるいは社会システムの変革といいますか。こういったツールが具体的にあって、それがそれぞれの目的を達するためにどうするかというのが各論でやられるわけですから、やはりこういったツールのことを最初の総論の中でどこかで書いておくべきだと思います。それがこの1ポツになるのか2ポツになるのかは事務局にお任せしますが、何かそういった側面をぜひ入れていただきたいと思います。
 2番目は、先ほど石井委員のご指摘の低炭素社会の説明ですが、私もこれは余りにも話がある意味では矮小化した書き方ではないかと思います。やはり低炭素社会という考え方は資源、そして温暖化という両面からの制約を脱するためのコンセプトですので、内容的には化石燃料資源と気候変動制約からの脱却を考えた場合、低炭素社会が必要なんだと。そして、そのために炭素資源依存度の低い社会をつくるというのが目標であるといった書き方にするのが筋ではないかと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 杉山委員。

○杉山委員 1点です。この資料3を読ませていただきますと、これは私の一方的な見方かもしれませんけれども、現代文明からかつての田園都市の世界に回帰しろというようなニュアンスが非常に多く感じられるんです。私の世代はシンパシーを感じます。ところが若い世代は果たしてどうなんだろうかというのが非常に気になるところです。現代文明は現代文明として享受をする。しかしながら日本モデルのところに我が国は世界最先端の環境技術と商品開発力があるんだとこう書いてありますから、それを最大限活用して現代文明と環境保全が両立し得るようなそういう問いかけが必要ではないかなというように感じました。
 以上です。

○鈴木部会長 須藤委員。

○須藤委員 どうもありがとうございます。私は持続可能な社会の条件についてというところで一言申し上げたいと思います。ここは新しい項目だということでございまして、この条件は私は明確にきちっと書くべきだと思います。当然再生可能な資源あるいは再生不可能な資源、それから環境負荷の問題を取り上げるのは当然なんですが、生態系の視点はきちんと書くべきで、例えばでありますが、人間活動が生態系の機能を維持できる範囲内で行われることとか、あるいは不可逆な生物多様性の減少を回避することとか、生態系の視点を十分に入れた条件をここに明確に示すべきだとこう思います。
 以上です。

○鈴木部会長 関澤委員。

○関澤委員 杉山委員の言われたことと大体同じなんですが。やはりこれ国際メッセージとして出すにはもうちょっと強く打ち出した方がいいだろうと、このように私は思います。この中で持続可能な社会の条件のところ、これ参考資料の方の16ページのあたりで、人間活動から環境負荷の排出が環境の自浄努力の範囲内にとどめられることというようなことが大体この中の背景にあるような気がするんですが、やややはりこれでは消極的ではないかと。環境と経済成長を両立させていくというのが日本の大事なことだろうと思いますし、ゼロサムでなくやはりプラスサムにもっていくということが大事だと思います。それで、そのためのツールというのはやはり技術革新でありますし、だから技術革新とかそういった社会システムの見直し、こういった取組を日本は積極的にやって、環境負荷を縮小する、自然の許容量を拡大するということをしながらリードしていくと、世界をリードしていくと、そういうことをしないと途上国は当然人口も増えるわけですし、経済成長したいわけですから、やはり途上国に対してリーダーシップを発揮してついてくるようにするにはやはりそのぐらいの意気込みでいかないとこれはみんなついてこない。これはどこかにバランスよくということが書いてあるんですけれども、やはりもうちょっと強く打ち出した方がいいだろうと、このように思います。

○鈴木部会長 武内委員。

○武内委員 私第1回以来2回目でございますが、第1回のときに3つの社会を統合するそういう構想を打ち出した方がいいのではないかということと。もう1つは、日本モデルというものを世界に発信すべきではないかということで、その2点についてお考えいただいたということで大変ありがたいと思っておりますが。若干この3つの社会像のうち、自然共生社会については違和感を覚えます。それはなぜかというと、私は自然共生社会というふうに名前を変えたときには、単に生物多様性や生態系の問題に限定したり、あるいはこれまでの環境省における里地里山の政策のようなものだけでこれを言うということではないというふうに理解しておりました。この全体としての持続可能な社会の構築というのが皆さんおっしゃっているように環境と経済の両立であるとすれば、この自然共生社会の中で生態系サービスということを考えると、日本の国土の中で大事なのはむしろ農林業だと思うんですね。
 農林業をこれからどうしていくかということについては、当然農林水産省で議論されているわけですけれども、農林水産省では残念ながら現在の農林業の問題に直面している課題が大きすぎて、2050年の農林業がどうなんだとか、2100年の農林業がどうなんだとか、あるいは温暖化影響で海外の農産物がどうなったときに日本の食料はどうするんだという議論が余り十分されていないというふうに私は思っております。
 ですから、そこのところは国の政策ですから省庁連携によって少し長い目で日本の人間と自然の関わりとしての農業、林業の問題も含めて議論をしていくというふうな形でこの自然共生社会をとらえていくということが重要なのではないかと思います。
 もちろん、そういうものが支える生物多様性だとか生態系というものについて注目すべきであるということは言うまでもないというふうに思います。
 それから、3つの社会像の相互関係については、これは今後議論されていくんだと思いますけれども、例えば循環型社会とそれから低炭素社会の問題で、例えば非常に革新的なCO削減の技術があっても、それが希少資源を使う場合にそちらの方の資源制約があるとかというふうなことでその両方の社会像が本当に一致しているのかどうかという、これは必ずしも議論が十分されていないと思いますし。
 例えば今度は自然共生社会との関係で言うと、先ほど申し上げたように、食料や林業との関係、あるいは里山についてもバイオマスを利用するというのと里山の生物多様性を保全するというのがどういう関係にあるんだというのがこれほとんど多分議論されていないと思いますので、その辺の相互関係についてさらに突っ込んで議論されたらいいと思うんですね。素材はもうあるわけですから、あとはそこをつないでみるということを具体的に始めるということが重要だと思います。
 それから、3番目ですけれども、それぞれの地域ごとのモデルを統合モデルとしてつくっていかなきゃいけないという、これは皆さんおっしゃったことなんですけれども。例えば都市で言ってもコンパクトシティだとか低炭素だとかそれから都市構造だというふうな話と同時にそこに循環型社会が加わるんですが。例えばそれにプラス都市の環境とか緑化とか生物多様性とか、こういうものが加わったときにそれが全体としてどういうふうに相互作用しあいながら持続的な都市の形成に結びついていくのかというふうなそこでも少し総合的なメニューの提示というのが必要だと思いますし。
 農村については先ほど来申し上げておりますように、農村地域の活性化、日本の農村を21世紀にどうしていくんだということとこの議論が全く無関係な議論であってはいけないということは当然だと思いますので、そういう意味ではむしろ世界の環境のいわば深刻化というものが改めて日本の農山村に光が当たるようなそういう意義づけみたいなものも与えるような方向でこの議論というのは発展させてもいいんじゃないかと。それが世界モデルということになるのではないかというふうに思いますので、ご検討いただければと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 田中委員。

○田中委員 ありがとうございます。3点だけ述べさせていただきたいと思います。1つ目は資料3の1の基本的な認識のところですけれども。ここに開発途上国の問題に触れたらどうかなと思います。開発途上国の現状と、このトレンドから将来予想される人口増と目覚ましい経済成長によって地球温暖化、そして資源の浪費、両方にかかわる問題だと思いますので、最初のところに共通の基本的な認識のところに入れて、そして最後に国際協力につながると、6ページに、ということで最初に入れていた方がいいと思います。
 それから2点目は5ページ目のところの日本モデルに関してですけれども。今日のヒアリングでも話聞きましたけれども、市民参加による環境への取組。みんなで協働して実現と、こういうようなのが日本モデルではないかなということでその市民参加に触れていた方がいいと思います。
 それから3点目は、参考資料1の19ページに持続可能な社会、循環型社会、低炭素社会のこの3つの関係ですけれども、持続可能な社会の中の一部、環境面と資源面が循環型社会で、循環型社会が資源を大切にする環境負荷を低減化する、その環境低減の一部が温暖化のガスの排出削減と、こういうように今までは環境省の資料ではなっていると思うので、そういう関係になるような図になった方がいいのではないかと。
 以上、3点です。

○鈴木部会長 廣野委員。

○廣野委員 私は5ページの環境立国の基本理念というところの基本的な考え方で日本モデルという、これ読んでいて一体日本モデルって何なのかなということをやはり考えざるを得ないんですけれども。一番上のところに世界全体としての決定的なモデルは依然存在しない、これはそのとおりですね。試行錯誤、これは当然なんですけれども。その日本モデルというところに外へ出す日本モデルというものが、私が見る限りはここで言っているのは自然との共生というのが1つ。それから、環境・エネルギー技術や激甚な公害克服の経験と智慧というこれが1つ。3番目は世界の発展と繁栄に貢献する云々と、この3つが何か日本モデルということらしいんですが。ただ、よく考えると、世界の発展と繁栄に貢献するというのはどこの国も言っていることであって別に日本モデルでも何でもないですね。だから、どうもこれは日本モデルという格好ではなくて、世界共通、みんなこのことを考えているんだという格好に言い直した方がいいのではないかということ。
 しかし、同時に、では何を日本モデルとするかということを考える場合に、私は次の4つの点が日本モデルかなと、これは私自身考えております。これは前回にもちょっとそのこと触れました。まず第一は、やはり日本には昔から八百万の神というような格好でもって自然との共生、これはそのとおりですね。ただ、その自然との共生がここのこのペーパーではどうも、ここにありますように、その次の枠にありますように、どうも田園の風景に代表される云々という格好で何か田舎のことだけを考えているという。やはり自然のとの共生という問題は都市住民も考えているわけであって、都市環境でいけるところの自然との共生というところがやはり日本モデルの中で非常に重要な点ではないかと、これは日本人として私は誇りに思っている点であって、この点をぜひお考えいただきたい。いわゆるコンクリートジャングルだけは嫌だということですね。
 それから、2番目の問題として、この書き方である程度わかると思いますけれども、もうちょっとはっきり言うと、日本モデルというのは少なくとも環境保全というものに立脚した地域社会の構築と。環境保全に立脚した地域社会の構築ということが日本モデルの最も大きな特徴であり、かつまた今後世界に我々自身が開いていきたいやり方ではないか。この前の環境保全に立脚したというのは当然先ほどから議論されている技術革新の問題あるわけですけれども、同時にどなたかもおっしゃったように、やはり環境にやさしいライフスタイルの問題、これもやはり環境保全に立脚したという中に入ってくるわけですから、そういう意味で技術革新の問題と同時に環境にやさしいライフスタイルと、そういうものの中で、そういうものをやりながら環境保全に立脚した地域社会の構築、これが非常に重要だと思います。
 それから、3番目は、日本モデルでぜひそれを世界に出したいというのは、やはりこれは欧米と違って、ご存じのように最近は特にグローバリゼーションの中で欧米の場合にはいわゆる市場メカニズムということが非常に極端に出ているんですが、それに対するいろいろな途上国の反発も皆さんご存じのようにあります。そういう中で日本モデルというのは明らかに従来から言われてきたように、できるだけ単なる市場モデル、いわゆるマーケットメカニズムだけを強調するのではなくて、やはり官民協調体制というのを長くとってまいりました。ときには行き過ぎがあって規制が強くなったときがありますけれども、少なくとも官民協調体制というのはやはり日本モデルかなと。
 これはやはり私先週OECDのグローバルフォーラムに出て強調した点ですけれども、やはり世界の国々もかなり、特に途上国、それから一部のヨーロッパの国々ですが、かなりそういう官民協調体制という日本モデルに対して皆さん方関心を持っておりました。そういう意味ではぜひこれを出していただきたい。
 それから最後に、今最後の方おっしゃったと思いますけれども、やはり我が国の大きな特徴、日本モデルというのは国民各層、みんなが参加する、市民社会みんなが参加していくというそういうところにあるかなということで、ぜひこの点も出していただくことによって、まさに一体何が日本モデルかということを見る場合に先進国からもあるいは途上国からもなるほどこれが日本モデルなんだということがわかるような書き方をやっていただきたいと思います。
 以上です。

○鈴木部会長 村上委員。

○村上委員 2点申し上げたいと思います。1点はもう田中委員も廣野委員もおっしゃられたように、基本的な考え方としての日本モデルの中に市民参加と協働というのを入れるというのは本当に私も賛成ですので、ぜひ入れていただければと思います。
 2点目は、1回目と前回と2回もう既に申し上げてしまったことでまた申し上げるようで恐縮なんですけれども、6ページの上の段ですね。経済成長と環境保全の両立のところなんですけれども、このポツ、一番上の文章ですけれども。創造的な技術革新等を進めることにより国際協力を強化し、環境と経済の両立を図ることが重要とあるんですが。今の国際経済ルールの中での競争というのはやはり環境負荷を高める方向にしかいかないのではないかということで、やはり経済ルールの変更というのを視野に入れないとこの環境と人々の暮らしと経済の両立というのは難しいと思います。
 先ほど茅委員も技術開発とライフスタイルの変更と法制度、社会制度の見直しということをおっしゃられましたけれども、そういう法制度や経済の仕組みの再検討ということも入れていく必要があると考えます。
 以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。
 大変いろいろな、また的を得たご議論をいただいたと思います。
 まず、この概要案と、総論関係の概要案となっていますが、この文章は現段階では私は論点整理であってこれがそのままブラッシュアップされて立国戦略になるというようなものではないと思っております。よろしいでしょうかね、私はそう思っております。
 そういうことで、やはり立国戦略というときに立国とは何か、それによって日本がどういう形の国づくりをしていくのかというまさにそこに根本的なポイントがあるんだろうと思いますし、そういう意味では先ほど来ご指摘いただきましたように、例えば武内委員が都市と農村、そして食料の問題、一体日本は21世紀にどうやって国をつくっていくのか。国土形成計画とかいろいろなものが今までもつくられていますが、本当にこれからどうするんだ。そこで環境という観点で何をしていかなくてはいけないのかということをきちんとこちら側で持っておかなくてはいけない。
 そして、やはり日本の武器というか世界に貢献する日本というようなときに日本ビジョンというような日本モデルをつくっていくということがありますし、そこには技術開発をこれまで重ねてきて、公害経験を克服し、いろいろな形で先進的な問題先進国という言い方もあるかもしれませんが、そういう意味での経験をどうやって活かしていくのかというようなことがあるんだろうと思います。
 そして、そういうことを通じてやはり世界に貢献するというのはそういうものを通じて貢献する。すべての国が貢献するという抽象的なことではなくて、日本としてはそれではどこに何を貢献するのかというはっきりとしたメッセージをやはり送らなくてはいけないのではないか。それはやはり1つは途上国ですね。途上国をどういうふうに位置づけて人口増、そして地球全体がそれによって破滅をしていく、そういう人間活動の膨張、世界的な膨張に対して一体日本がどういう形でそれを防ぐ手だてを示していくことができるのかと、そういうところも日本特有のものを示していくことが必要だろうと思います。
 やはり世界に対するメッセージがそこにあり、そしてまた国民としてもそれなりの覚悟をしていくという国民に対するメッセージも強烈なものをここにつくっていかなくてはいけないのではないか。
 そういうようなことで皆様方いろいろとこの文章をご覧いただいてご心配になったことをおっしゃっていただいたと思いますが。この文章ができてくるに当たっても各省の間で多分いろいろ読み回しをなさって出てくるものですからこういうものしか出てこないというようなこともあるのかもしれません。これは私の杞憂かもしれない。
 ですから、最終的にやはり立国戦略をつくるときは先生方から今いろいろいただいたようなことをぜひ積極的に文章を通じてでもいいと思いますし、ご発言いただいて、ぜひそういう恥ずかしくないものをつくりたいというのが私自身としては期待しているところであります。
 いろいろと今日も新しくつけ加わったといいますか改定されました持続可能な社会の条件であるとかその辺はいただいたご意見をまたこの論点整理の方にはまた整理をさせていただき、それをマテリアルというか材料としてぜひキレのいい環境立国戦略をお出しできればなと、そんなふうに思っております。
 ちょっと私個人の思いも申し上げてしまいましたが、そんなようなことでやはり将来次の世代、次の次の世代、もう1つ次ぐらいまで視野に入れませんと21世紀をどうするのかということが描けないと思いますので、そういう視点でぜひ環境立国戦略に結びつけることができればと、そんなふうに思っております。
 大臣、いかがでしょうか、少し。

○若林環境大臣 大変ご熱心にそれぞれの委員の先生方の思いを述べていただいて、大変に私自身勉強になりました。参考にさせていただきたいと思います。
 ご承知のように、今中国の温家宝首相が来られまして、昨日の首脳会談、そしてエネルギーと環境についての実務的な協議が行われ、それぞれ合意に達した部分について共同声明を出すというような段階でございました。本日は二十何年ぶりということだそうですが、中国の首相が衆参両院議員の前で国会で、長い二千有余年の長い歴史を通じてお互いに交流、文化あるいは技術を交流し続けて、その間いろいろなことがあったけれども、お互い国の方向というものを見定めながら、しかしこれから考えればやはり協力していかなければやっていけないなと、そういう現状をお互いに確認し合ったといったような、ほかにもいろいろお話ありましたけれども、そんなお話がございました。
 その前提といいましょうか背景として、やはりこの経済成長と環境問題というのに大変悩んでいると。これは中国自身がそのことを余り人の前では言いたがらなかったこともかなり率直に問題を提起をされまして、水の問題、空気の問題あるいは河川から渤海湾に及ぶ海の問題等、非常に問題を出して、これらは日中でお互いに協力をし合ってこういう問題を乗り越えていかなきゃいけないというそういう共通の認識を得られたところでございました。これはデリケートな部分でございますので、だからといってすぐいい知恵が浮かぶということでもない分野がいっぱいありますけれども、少なくとも実務者レベルでの人的な経験を、知見を出し合って知恵と工夫を導き出したいというそういう気持ちは私は素直に率直に受け止めさせていただいたつもりでおりますが。
 ここの議論とのかかわりで言えば、中国は非常に高い成長をしてきているけれども、一方でなおなお遅れた地域との地域格差が非常に大きいために、その地域格差を埋めていくということから言えばなお途上国なんだと。途上国としての悩みを非常に持っている、それらについてやはり理解をしてもらいたいということを言っておられたように思います。
 この温暖化への取組、気候変動枠組条約あるいは京都議定書との関わり合いについても新たな義務を負うということについては非常に慎重な言い回し方で文章表現なども義務を負うというところまではコミットをしてもらえませんでしたけれども、しかしさはさりながら、自分も積極的な参加をすることを通じて温暖化防止については一緒に協力していかなきゃいけないという姿勢をかなり明確にしてもらったと思います。新聞にも出ていますが、共同声明もそれを確認できましたし、さらに記者発表の段階で安倍総理の方からも私からはこういうことを強く申し入れたということを述べていただいておりました。それをご報告いたしますとともに。
 この次は実は月末に総理はアメリカに行きまして、日米の首脳、ブッシュ大統領との会談になります。もう皆さんご承知のように、いろいろなアメリカの中の動きが激しくなってきていることはそのとおりですけれども、一方それが政治イシューになってきているために政府間の話、首脳間の話に取り上げていくことの難しさというのは逆に難しい課題でありまして、果たして首脳間で気候変動枠組み、温暖化の問題というようなものをテーマにして取り上げられるのか、られないのかと、その辺も実はまだすり合わせができておりません。おりませんが、私どもとしてはヨーロッパのいわばこういう言葉を使っては言い過ぎかもしれませんが、ヨーロッパの先兵としてアメリカを説得に来たんだというそういうとられ方をしないように、とられ方をしないような形でこの課題に取り組むと。
 その切り口は何かというと、やはり革新的な技術開発といいましょうか、そういう面ではアメリカの産業界も含め、非常に積極的な姿勢でおりますし、我が日本ももちろん省エネルギー技術の世界的な視点から見ても非常に進んだ立場でありますから。そういう例えば石炭のクリーンコールといいましょうか、石炭からCOの排出が出なくてそのエネルギーをうまく使っていくと、これCOを閉じ込めるという技術とパラレルなんですけれども、そういうようなものの実用化というようなそういう技術開発、例えばですね、そういう技術開発部門などの技術によってこの問題を乗り越えていくんだという点ではアメリカも積極的な姿勢を見せておりますから、そんなことを通じて共通の土俵からさらにそれをどう展開するかはそれぞれが思いを込めて期待を表明するようなことにとどまるかもしれません。非常にデリケートな状況だと思います。
 それで、アメリカから総理帰ってまいりますと、いよいよG8を目前にして日本としての方向というものをそれなりに固めてアピールしなきゃいけなくなるのではないかと。いわば安倍総理のイニシアチブというようなものが求められてくるんじゃないかと、そんな思いでございまして。
 そういうことからこの審議会の方も大分詰めていただき、いろいろなご意見をいただいております。ここでまとめ上げてこれにて作文出したらおしまいということではありません。ものすごい動きの激しい中での海図を示していただくといいましょうか方向づけをしていくということに私はお願いをしたいというそういう思いでございまして。6月のサミット、これはドイツは多分G8にプラス5にするかどうしますか、代表的途上国も加えての会議にしていくのではないかという気がしますけれども。その中では生物多様性と温暖化とを組み合わせた形で問題提起されるのではないかと、こんな見通しを持っておりますので。
 また大変お忙しい委員の先生方でございますけれども、引き続きひとつご意見を賜り、すべての意見をそっくり受け止めるだけのキャパシティがありませんけれども、それらのご意見をまた示唆をいただいて、このG8サミットに向けての日本の姿勢というものを示せればと、こんなふうに思っておりますが。
 鈴木部会長初め先生方のご指導をさらに切にお願いを申し上げたいと思います。

○鈴木部会長 どうもありがとうございました。突然お話しいただいて恐縮いたしましたが。大変いい現状のご紹介をいただきました。
 それでは、予定の時間を少し超えてしまいました。熱心なご討議ありがとうございました。
 事務局の方から連絡事項をお願いいたします。

○柴垣大臣官房政策評価広報課長 それでは、今後の予定でございます。参考資料3という1枚紙がございますけれども。次回、第6回、それから第7回、同じ4月23日の週、23日とそれからその週の木曜日26日、近接した日に2回ほど開かせていただきまして論点整理の各論といいますか今後の具体的な課題の部分、温暖化について、それから生物多様性、3Rその他ということで2回ほどまたご討議をいただくと。
 その際に合わせてヒアリングをやっていただきたいということでございます。第6回は温暖化関係の有識者、それから温暖化関係のNGO。それから、第7回はまちづくり、それから3Rの関係の企業、それから生物多様性の関係のNGOなどのヒアリングを予定いたしております。
 それで、今大臣からも申しましたように、連休明けの動きの中で10日ということでどこまで示せるかはありますけれども、戦略に向けた提言の案のようなものが示せればというふうに思っておりまして、第9回、25日に提言をとりまとめていただくというようなスケジュールで進めさせていただければということでございます。
 以上でございます。

○鈴木部会長 今ございましたように、次回は各論の今後一、二年で着手すべき重点的な環境政策の方向等々のうちで、温暖化の部分を取り上げてご審議いただきたいと思っております。それでは、よろしくお願いいたします。
 これで本日の会議を終了いたします。ありがとうございました。

午後5時24分閉会