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■議事録一覧■

第8回地球温暖化対策とまちづくりに関する検討会
議事要旨


〈日時〉

平成18年10月24日(火)18時00分〜20時30分

〈場所〉

砂防会館 別館B 3階 穂高

〈出席者〉
(委員)

礒野委員、粂原委員、島委員、善養寺委員、谷口委員、林委員、松本代理委員(別所委員代理)、松橋委員、三上委員(座長)、森本委員

(環境省)

小林官房長、石野大臣官房審議官、梶原地球環境総務課長、小川地球環境局地球温暖化対策課長、森本環境保健部企画課長、内藤水・大気環境局大気生活環境室長、地球環境局地球温暖化対策課大橋

島委員から資料1 −1「RACDA高岡の取組み」を説明し、事務局から資料2「通勤・買い物時の交通手段に関するアンケート調査(補足版)」、資料3「これまでの検討内容の整理について(案)」、資料4「今後の検討の進め方について(案)」、資料5「環境的視点からの交通施策について」を説明した。

主に、以下のような議論があった。

<「RACDA高岡の取組み」について>
  • 万葉線の存続問題が持ち上がった時、一時は廃線になるという緊急事態宣言が出されたにも関わらず利用客は減り続けたが、存続決定後は利用者数が増加傾向にある。これは、存続したことの安心感や、最終的に市民と行政が存続を決断したことの責任感、行政の存続に向けたイベント参加などの積み重ねが奏功しているのではないか。
  • また、今期の利用者数が4%増加する見込であり、この要因としては飲酒運転の取締り強化や、ガソリン価格の高騰などの社会的影響、新型車両の導入や運賃値下げなどが考えられる。
  • 富山ライトレールは利用者の実数を発表しているが、万葉線のカウント方法は他路線と異なり実数は把握できない。万葉線の年間通学定期は100日分の往復運賃で1年間通して利用でき、通勤定期は無記名で職場や家族に1枚あれば誰でも利用できる仕組みで運用している。
  • 利用者増のためのコミュニティの活動として、支援団体の情報発信、新聞社のウォークラリー、青年会議所のまちめぐりなどが慣行となっている。
  • CO2削減に関して、「日本のCO2排出企業が、例えば海外の(非効率な)発電所を更新することにより、CO2排出量を削減させることで、その差分の排出権を得られる」といったCDMに似た仕組みが考えられる。このように自動車と、公共交通の間に生じるCO2排出量の差分を自動車利用者が払う仕組みを作れば、公共交通の振興につながると思う。このような排出権の利点を活かして自動車利用から公共交通への転換が図られる、などといった概念もあるのではないか。
  • つまり財源をどうするのか、ということが問題。例えば、自動車が路面電車より相対的に多くCO2を排出していることに対してお金を払い、路面電車を支援することで、結果的に企業がCO2排出から部分的に免れる、などのシステム検討の方向性はないだろうか。
  • CO2を排出する人が負担する仕組みとして環境税がある。自動車関連税は、現状、ほとんどは道路財源に回っているが、これらを公共交通支援の財源として回す可能性も考えられる。
  • CDMのように、あるところで削減したものを他者が買い取るという仕組みも将来的に考えられる。例えば、電車のCO2排出量をベースにして、自動車はその差分に対しての対価を支払うという場合に、電車からのCO2排出量のベースをいつにするか、目標値を設定するか、など線引きが難しい。
  • カールスルーエの人口は、高岡市と旧新湊市を合わせた約20万人と同じくらいだが、路面電車は、約120kmのネットワークを持つ。欧州では、一般的に公共交通に対する補助は多いが、カールスルーエの場合、低運賃・多本数運行で利便性が良いため乗客数が多く、補助率が約17%の低水準。
  • カールスルーエの様に、公共交通ネットワークが高水準で、駅に着いたらすぐ乗車できる状況であれば、利用客も増え、補助も少なくて済むのではないか。同様なシステムを実現するために、官側には努力してサービスレベルを上げている自治体や事業者に補助するシステムを構築すべき。
  • 万葉線の車輌や軌道は社会資本とみなされ、税金で賄うことができた。ただし、運行は民間事業者、強いては地域が責任をもって赤字にならないよう利用するという枠組み。開業後10年間で会社設立や新型車輌導入などに約28億円が必要という試算で、うち約5.8億円の赤字補填が必要だと報告を行ったところ、この意見が採用された。
  • LRT補助について、超低床車輌(LRV)を購入する場合、一般の車輌購入費との差額に対して「路面電車走行空間改築事業」から、軌道の補修などには「鉄道軌道近代化設備整備補助制度」から補助がある。路面電車への支援は増えており、現在では、全国で約200億円/年の予算である。

<「宇都宮市において実施したアンケート調査の詳細〜補足版〜」について>
  • 同様の調査を宇都宮以外の2,3の都市で実施し、比較することで、宇都宮市の特性を把握できる。道路ネットワークが関連するので、LRTだけでなく、例えば物流センターの位置など交通システムとしてのODを把握し、トータルで考えるべき。
  • 一般的に、中心市街地を活性化するためには[1]公共交通の利便性向上、[2]目的地を一つに絞る、[3]トリップ長を短くすることで、CO2削減にプラスの効果が出ると指摘されている。郊外立地についても、規制や誘導によるCO2排出への影響を考慮すべき。
  • 今回のアンケート調査地点のFKDインターパーク店(宇都宮市郊外にある大規模集客施設)は、国道4号バイパスと北関東自動車道のIC直近で、宇都宮環状線も近くを通り、道路ネットワークが整った立地にある。例えば、これとは異なる地域とCO2排出量の比較をすれば、一つの見解が得られるかもしれない。

<「これまでの検討内容の整理」について>
  • 「ストック化」という考え方が重要。日本では‘建てては壊す’を続けており、国内住宅の平均寿命は約26年で、欧州の約75年、米国の約44年に比べて短い。CO2削減の観点から見ても、10年単位ではなく100年レベルを想定して、また、単体ではなく、街区くらいの単位で考えなければ景観的にも調和の取れた長寿命化は図れない。建物を耐久消費財としてではなく、街区のストックとして形成すべき。
  • 環境交通政策の検討として、乗り換え抵抗などの物理的なことに限らず、運賃の支払い抵抗など、全般的に考慮した「運賃体系のシームレス化(統合化)」といったことも検討すべき。
  • 郊外開発の抑制と集合部への集約について、経済的手法として、「中心部の建物をストックにするための手法(インセンティブ)」などの説明が必要なのではないか。
  • 地方都市の郊外化には人口の拡大も関係しており、その勢いの余り郊外の工業地跡に大規模集客施設ができたなどの事例がある。また、今後、都市の成長があまり望めない中で、どのような都市像を描くのかを検討すべき。

<「今後の検討の進め方」、「環境的視点からの交通施策」について>
  • 例えば、ロンドンでニュータウンを郊外につくり新天地を求めた事例のような新規開発は、今後あってはならない。現状の市街地のどこを残して(集約して)どのように公共交通を通して利便性を高めるのかを「市街地更新」と併せて考慮すべき。
  • 国内の駐輪場整備はどこも遅れていて、自転車が溢れかえっている。例えば、オランダのデルフトのメインステーションには、以前、駅前には駐車場があったが、今は駐輪場が整備され、駐車場が少し離れた所に移動された。このように、駐輪場の空間的な位置づけによる利便性の飛躍的向上や、自転車の業界団体との連携といった抜本的な改革が望まれる。
  • 一般的に駐輪場はオシャレなものではない。つくりかたが場当たり的で、屋根がついていればよい、というくらい自転車に対する意識が低いため、意識改革が必要。高岡駅前でも自動車の駐車場には数十億円をかけるが、駐輪場は雨ざらしの状態である。
  • 京都議定書を達成するために、各自治体がCO2削減の数値目標を掲げる、もしくは積極的な自治体がそのような取組みを行って、住みやすいまちとしてのシンボルとするなどの取組みがあっても良いのではないか。
  • 実情として現在も開発は継続されている。また、人間の心理的な範囲でどう開発を進めていけば良いのかといったスケール感が見えてきた。都市計画と公共交通の位置づけなどについて、理想に向けたある種の指標的な画が描けそうな気がする。
  • 自転車は公共交通と接続するのに有効な手段である。例えば、電停などの結節点に、利用客数に対する駐輪場の設置台数などを具体的な指標で取り決めるのも良いかもしれない。
  • 統合的に検討を進めることに賛成する。「環境都市計画」、「環境交通政策」、「環境エネルギー政策」の3本柱について、横断的に考えるべき。現状、環境は、経済や他の分野に続き3,4番目にある。環境省は、縦割り的ではなく横断的に施策を推進できる役割を持つので、当検討会で「環境」が最優先となるような提言を期待する。
  • 駐車場政策や渋滞解消は、自動車利用抑制のポイントで、都市計画との連携、自動車利用削減に向けた土地利用と関連する。結節点のバス停、駐輪場、駐車場の位置についての優先順位も重要。
  • 渋滞が解消され平均旅行速度が上昇した結果CO2が削減できた、という断片的なことだけでなく、実は分担率の転換の方がCO2削減への寄与率が大きいことがわかることもある。
  • 都市全体のCO2削減を目標とした場合、モード別で環境対策を考えることは難しく、「環境都市計画」、「環境交通政策」、「環境エネルギー政策」の3本柱を組合せ、相互間の親和性などについて議論していくべき。具体的には、立地誘導の際、環境の視点がどれくらいのファクターとして入っているか、などがある。例えば、都市計画法や大店立地法などには、店舗立地時に渋滞緩和のための交通アセスメントはあるが、CO2排出量測定などの環境的な項目が各制度の中にはなく、これらを入れ込む検討など、環境に焦点を絞るべき。
  • コンパクトシティや中心市街地活性化などの他省庁が主体で推進していることに言及してもインパクトがないので、横断的な概念づくりを先に進めるべき。
  • 例えば、単に駐輪場の容量増を期待するのではなく、接続する鉄道駅・バス停などと絡めた駐輪場の計画・設計について考えるべき。当検討会をそのようなアイデアを議論する場とするべき。
  • 例えば、交通においては‘Integrated trip support’といった文言があてはまるのではないか。公共交通ではトリップサポートが必要で、環境と関連する視点からシームレス(統合)トリップ支援となるような案を考えるべき。
  • 都市計画CDM、国内CDMのようなモデルを作り、建物のストック化によるCO2の削減評価を行えば、排出権取引が考えられるのではないか。
  • 市町村合併などで市域・地域が拡大し、中心地までの距離が変化するなどして交通需要が変わる。JRが1時間に1本しかなく、自家用車しか移動手段のない内陸の交通僻地や公共交通空白地がどのくらいあるのかを認識すべき。移動手段が車だけという山間部などではどれも実行が難しい。
  • 自転車と徒歩を一緒にしてよいのか。自転車は歩行者より強者であり、事故の加害者側である。放置自転車問題などは自転車公害とさえ言われることもある。従って、自転車税の検討必要性(導入検討)なども必要なのではないか。
  • コンサルティングとの組み合わせがあると良いのではないか。さらに、そのコンサル料の補助などがあればなお良いが、ハードには援助できてもソフトには援助ができないのが現状である。コンサル、人材育成、教育への投資方法が重要。
  • 国内全体でのバランスを考えた場合、「公共交通空白地などの低人口密度地域では低公害車利用の促進など」と「中・高密度の都市域では公共交通に重点を置く」とするなど、棲み分けを考えることも必要。
  • 当検討会の位置づけからすると、道路特定財源の一般財源化についてここで議論すべきでない。
  • 意識改革・環境教育の推進に関して、社会実験やカーフリーデーのようなイベントを実体験してもらい、認識・感覚を変えてもらうことが意義の伝達として重要。
  • 現在、環境省が国土交通省と連携して進めている国土形成計画で、まちづくりと環境の切り口での文言を盛り込んでいこうと調整している。
次回の検討会は、平成18年12月7日(水)15時〜(平成18年12月22日(金)13時〜に変更)から開催することとなった。