- <日時>
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平成18年6月19日(火)18:00~20:40
- <場所>
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アルカディア市ヶ谷私学会館4階「鳳凰」
- <出席者>
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- (委員)
- 三上座長、礒野委員、上山委員、古倉委員、島委員、善養寺委員、谷口委員、松本代理委員(別所委員代理)、松橋委員、藻谷委員、森本委員
- (環境省)
- 小林地球環境局長、桜井大臣官房審議官、森本廃棄物・リサイクル対策部企画課長、鎌形総合環境政策局環境経済課長他
○富山市の森市長を参考人として招き、資料1「富山市のまちづくりに係る取組について」説明を得た。
<説明要旨>
<質疑応答要旨>
- LRT開業の道路交通への影響はどうか。
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- まだ調査していないが、直感的には、車からLRTへのシフトはそれほど起きていない。富山港線時代と比較して高頻度化したため、場所によっては踏切で渋滞が起きており、警察とも相談して対処していきたいと考えているところ。
- 郊外部の土地利用規制についてはどう考えているか。
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- 周辺町村と合併したばかりでデリケートな問題。まずは新市の都市設計をしっかりと打ち出すことが重要と考えている。とりあえずは、規制よりもその他の誘導策で対応していきたい。
- 中心市街地の魅力を上げていくことが重要だと思うが、地権者問題を含めどういう政策を打っていくつもりか。
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- 現在、補助対象を明確にする観点から中心市街地を三段階にゾーニングしている。私権の強い制限にはなるが、将来的には高度地区の設定をしたいと考えている。また、私有地の再整理ができるように、ミニ区画整理できる新しい仕組みがほしい。
- LRTと自転車のリンクをどのように考えているか。また、LRTへの自転車の持ち込みについてはどう考えているか。
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- LRTの両端にある富山駅と岩瀬浜駅には、放置自転車を活用した無料のレンタサイクルを用意している。したがって、途中駅では、乗換抵抗の少ない箇所に駐輪場をしっかり整備しさえすれば、LRTと自転車のリンクはきちんと取れると考えている。LRTの自転車持ち込みについては反対の声も大きい。
- 道路の車線減に対する警察の反応はどうだったのか。
- →
- 車線減に対する反対は、声として顕在化せず、少なくとも皆が消極的に賛成していた。警察も、信号や右折レーンなどの調整はあったが、車線減についてはさほどは反対しなかった。LRTの優先信号を設けたいが、そこまでは行っていない。
- パーク&ライドは行っていないのか。LRT関連の事故の心配はどうか。
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- スペースの関係上、パーク&ライドは行っていない。事故については、既に富山には路面電車が走っており、ドライバーも熟知しているので心配していない。
- 富山で色々なまちづくり施策を打ち出しているが、アイディアは誰が出しているのか。
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- ほとんどが自分のアイディア。
- 市長がよい人である場合はよいが、選挙でよい候補がいない場合は、市民はどのように対応すべきなのか。
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- 今の時代、市長はそれぞれそれなりの政治的覚悟を持って職務に臨んでいるはずであり、そんなにひどい市長というのはいないと思う。
- 「コンパクトシティ」と言ったときに、その効果をどうイメージしているのか。
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- まずは行政コストと高齢化社会への対応。環境は三番目くらい。
- たとえば、全国の自治体で図書館の利用料金はタダである一方、コミュニティバスは有料なのが一般的。同じ行政サービスであるにもかかわらず不公平感が否めない。図書館の手厚いサービスを考えると、100円程度の利用料を取ってもよい気がするが、どうか。
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- どの程度のプライオリティで施策を位置づけるかという問題。行政と市民の探り合いと言ってよい。道路の維持管理は行政サービスである一方、公共交通は受益者負担とされてきた。しかし、軌道のかなりの部分について公費を投入するのは当然であると考える。後は限られた予算の中でのプライオリティづけ。
- 富山市の地価の傾向はどうか。
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下げ止まり感が見られる。中心市街地の不動産について買い手不在の状況を何とかしたい。金沢と富山は70kmしか離れていないが、新幹線が富山通過とならないよう頑張っていきたい。金沢の魅力も取り込んでいきたい。
○森本委員から資料2「都市の環境負荷を低減させるための土地利用と交通の融合について」の説明を得た。
<質疑応答要旨>
- 人がまちを作るというのはよく分かる。中心市街地の店揃えを上げていくためには、専門的な知見を有する人材が不可欠だと考えるが、宇都宮で具体的な動きはあるのか。また、富山市は高齢者対応ということで焦点を絞っているが、宇都宮市ではどの層をターゲットにして活性化を図りたいと考えているのか。
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- 一口に中心市街地活性化と言っても、色々なしがらみがあり、必ずしもみんなの利害が一致するわけではない。今回、LRTという一つの目標を作ることで、それをきっかけとした合意形成を進めていきたいと考えている。ターゲットについては、高齢者が歩いて暮らせるまちづくりという考え方と、18歳以下の若者がきちんと出かけられるまちづくりというのは共存共栄すると考えている。
- 宇都宮都市圏では、南北軸のJRの駅間が長いが、これを縮めるような動きはあるか。
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- JRはほとんど都市間交通として利用されている。市民用、そして旅行者用に都市内交通がほしいが、その意味で南北軸の駅数を増やすことがあってもよい。また、宇都宮にとっては、LRT、JR、東武、バスの連携が大きな課題であると考えている。交通結節点における乗換抵抗を減らす工夫をしていきたい。
- 高齢者の中には、移動がままならずに毎日の生活に困っている人も多いが、それがLRTで解決できるのか。また、現状では、中心市街地の商店も商売が成り立っていないが、どう変わるのか。
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- 中心市街地の魅力をどのように創っていくのかという話。宇都宮に1つ好例があり、かつて西武百貨店が入っていたビルが長崎屋というスーパーになった。西武時代には化粧品売場だった1階部分が、現在は野菜売場になっており、これが市民にかなり受けている。しかし、宇都宮の一等地でこのままずっと野菜を売っていくのかとなると、それは市民の選択だろう。現在、宇都宮の郊外居住の高齢者の2人に1人は1日0トリップ。引きこもり状態となっており、これをどうするかが極めて重要。郊外居住1軒1軒に生活交通を回すオプションもあるが、それよりは、都心への住み替えを促す施策を進めた方がよい。
- 公共交通軸上に魅力ができればよいのではないか。どういう条件があればそれは可能なのか。
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- 駅周辺の開発に対してどのように魅力を付けていくかが重要だと考える。公共公益施設を公共交通沿線に配置するのは重要だが、その仕組みをどう作っていくかがまず大事。オタワは、バスのネットワークが充実していることで有名な都市だが、郊外のショッピングセンターと都市中心部を5~10分おきにバスが走っている。最初からそういう設計にしている点で、いつも後追いの日本とは違う。各主体が話し合って合意形成をしていくことが大事。
- 宇都宮の副次核にLRTを通さない理由は何かあるのか。
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- 通したいが現実的ではない。とりあえず中心市街地を通る1本目が成功すれば、2本目という議論になるかもしれない。
- ヒューストンのLRTの事例は、反対はあったのか。LRT設置の効果はどうか。
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- ヒューストンの事例は、本当はいい事例ではない。ヒューストンにはゾーニングがなく、郊外開発がやりたい放題の状況。そのような都市にLRTを通してどんな効果があるのかと思って、調査をしてきた。ヒューストン市の発想は、郊外に負けない魅力的な中心部を創るということで、アメリカ的な競争原理で動いている。実際、LRTと自転車の開通により都心部のにぎわいは回復している。2本目の計画もあり、これはLRTではなく、道路財源を使えるということでBRTである。単に鉄輪がゴムタイヤに置き換わっただけであり、車体などは一本目のLRTと瓜二つ。
- 宇都宮では、郊外型大型集客施設の設置の際に合意形成を図っているとのことだが、具体的に、開発事業者に何を譲ったのか。成果はどうか。
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宇都宮では、渋滞を解消するという観点から、大型集客施設の設置者にコンピュータシミュレーションによる交通流予測を義務づけている。シミュレーションと話し合いの繰り返しで合意形成を図っていく。その中で行政側としては信号を設置したり、右折レーンを整備したりといった対応をしている。
○事務局から資料3-1「これまでの検討内容の整理について」、資料3-2「宇都宮市におけるパイロット調査の経過について」及び資料3-3「平成18年環境白書」を報告した。
○その他、以下のような意見があった。
○次回の検討会は、8月22日13時から開催することとなった。