- 〈日時〉
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平成18年3月23日10:00~12:30
- 〈場所〉
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ホテルフロラシオン青山3階「クレール」
- 〈出席者〉
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- (委員)
- 三上座長、礒野委員、上山委員、古倉委員、島委員、善養寺委員、別所委員、松橋委員、村尾委員、吉田委員
- (環境省)
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小林地球環境局長、桜井大臣官房審議官、森本廃棄物・リサイクル対策部企画課長、佐野総合環境政策局環境計画課長、鎌形総合環境政策局環境経済課長、清水地球環境局総務課長、梶原地球環境局地球温暖化対策課長他
○事務局から資料1「都市における環境対策の検討状況について」及び資料2「都市大気環境改善方策検討調査報告書の概要について」を説明し、三上座長から資料3「都市のクールアイランドとしての新宿御苑について」を説明し、善養寺委員から資料4「緑の環境インフラを活用したヒートアイランド対策と都市再生の可能性」を説明した
○主に、以下のような議論があった。
〈都市大気環境改善方策検討調査報告書の概要について〉
- NOx等の濃度だけでなく、人の暴露まで考えると、居住と交通を分離するなどの対策も考えられる。沿道の建物をセットバックして風の通り道を確保するにしても、暴露をできるだけ回避するという視点も重要。
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ヒートアイランド対策と地球温暖化対策はごっちゃに考えない方がよいのではないか。夏場の冷房需要は冬場の暖房需要に比べればエネルギー消費量としては少ない。冬場はヒートアイランドのお陰で暖かいため、エネルギー消費量が減るという議論もある。
〈ヒートアイランド対策について〉
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都市の集積対策のためのエコ建築であるが、国交省で既に住宅の環境性能についての指針を出しており、そういった他省の施策との連携を図っていく必要があるのではないか。また企業のコジェネの排熱があるが、その有効利用については、社会システムの変革の問題であり、きちんと議論していく必要がある。
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風の道を確保するという観点からは、道路の幅員を広げつつ同時に街路樹や植え込みも整備するというやり方は有効。逆に、中途半端な道路の付け方は突風を招く。突風は大気汚染の拡散という観点からはよいかもしれないが、生活の中の心地よい風という観点からは好ましくない。中層建築物と細い道という組み合わせがもっとも悪い。街路樹などを整備することにより突風を緩和できるが、そのための幅員が必要。最近は、ヒートアイランド対策として道路表面に水を流したりしているが、日向で散水してもそれが蒸発して余計に湿度を上げ逆効果になることもあるため、街路樹などで日陰を作った上で水を流した方が効果的。
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風の道を通すだけでなく、周辺の建造物についてもある程度の高さ制限を加えないと冷気の流れは止まってしまう。本来であれば中層の建造物が理想なのだが、それが難しいところでは冷気の流れに配慮した高層建築にするしかない。
- 超高層建築では、屋上緑化や壁面緑化はできない(植物が育つ環境ではない)。代わりに太陽光発電をやるしかない。
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省エネが進めば進むほどそれぞれの建造物の断熱がよくなり、排熱により周辺エリアの気温が上昇してしまう。汐留エリアでは、地域で冷房を入れているが、省エネ対策が余分なエネルギー消費を誘発するという現象が起きている。
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人口が集積すれば自動車の依存度が下がるが、過密化によるヒートアイランド現象の悪化などの弊害がある。また、希薄だと自動車への依存度が高まってしまう。どの程度の人口密度が理想なのかという議論につながっていけばよい。
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首都高速のような高架でかつ交通量の多い道路は、ヒートアイランドの観点からは大きな影響を与えるし、大気汚染対策の観点からもケースバイケースではあるが、風速を下げるために阻害要因となりうる。韓国では、チョンゲチョンの復元事業(高架道路を都市河川に復元)が行われている。
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オフィスだともっと多いが、住居における冷房によるエネルギー消費量は全体の5%程度。住居におけるエネルギー使用量が一番大きいのは風呂などの給湯のためのもので、全体の約30%。次が暖房。照明も大きい。共働きが増えて、住居を空けている時間が増加していることも、冷房のシェアが少ないことに貢献しているが、最近はまた増加傾向にある。オフィスでずっと冷房を浴びていると、帰宅しても冷房をかける率が高い。そういう意味では、5%を押し上げているのはサラリーマン。
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物流業界でも宅配車から台車への転換などCO2の排出を減らす取組を色々と展開しているが、共同集配送や駐車スペースの確保などは都市計画の話になってくるので、一企業だけの努力ではどうしようもない部分がある。自動車利用は増加こそすれ、減ることはないのではないか。
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これから急速に人口が減少し、アンケートなどでも「便利であれば公共交通機関を利用したい」という回答が多い中、現状追認的な政策を講じるのではなく、新しい社会システムを考えていく必要がある。
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新宿御苑の冷気活用のプロジェクトは、たまたま東京でやればインパクトが高いという理由から大都市で実施したが、地方にはもっとポテンシャルの高い里山などがあり、プロジェクトの成果を応用できると考えている。地方都市においては、東京の都市開発をコピーしたムダな開発をしており、それを何とかしなければならない。
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建築のデザインなどでエネルギー効率を上げるという考え方も重要で、最近はパッシブ・デザインというのが流行り始めている。南向き信仰も最近はなくなりつつあり、小学校なども最近は南向きには建てない。照明に要するエネルギーだけを考えると、北向きの方が消費エネルギーは少ない。というのは、南向きの場合、直射日光が入るので、カーテンを閉めて照明をつけるということをするが、北向きでは壁に反射された間接日光の活用により少ない電力消費で常時同じ明るさを保つことができる。
○次回の検討会は、4月21日10時から開催することとなった。