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「地球温暖化対策とまちづくりに関する検討会」
第2回会合 議事概要


<日時>

平成17年12月16日  10〜13時

<場所>

スクワール麹町3階「華」の間

<出席者>

(委員)

礒野委員、上山委員、粂原委員、古倉委員、島委員、善養寺委員、谷口委員、林委員、松本・別所委員代理、松橋委員、三上委員、村尾委員、藻谷委員、吉田委員

(環境省)

桜井大臣官房審議官、佐野環境計画課長、大臣官房総務課大倉課長補佐、地球温暖化対策課芳野課長補佐

1.環境税をめぐる最近の動き及び政府の都市政策及び交通政策について

大倉補佐 資料1-1及び資料1-2の説明。
芳野補佐 資料1-3の説明。
島委員 12シートのグラフでは地下鉄はどの区分に含まれるのか。また金額はどの程度か。
芳野補佐 幹線鉄道の区分に含まれる。詳細は調査中である。
大倉補佐 年によって内訳は変わってくるが、つくばエクスプレスなどの都市鉄道が多い傾向にある。
上山委員 本検討会などの温暖化対策の観点からのまちづくりビジョンがまちづくり三法の検討に反映されるのか。まちづくりには環境の観点が重要である。
大倉補佐 本来であれば一体となって検討すべきところであるが、現時点では別の動きとなっている。
芳野補佐 主管している経産省、国交省から正式な依頼はないが、今後、閣議決定するにあたって省庁間で調整があるので、その際に環境省の見解を述べていきたい。
村尾委員 15シートの「鉄道」は旅客と貨物を分離しないと比較できない。
大倉補佐 詳細を調査する。
谷口委員 15シートのデータは「都市内」と「都市間」を分けて考えるべきである。また、沿線の土地利用政策などについては省庁の役割分担が違うので、省庁の関係を整理する必要がある。

2.地方の鉄軌道事業について

礒野委員から以下の内容の発表があった。

[1]

公共交通の使命は安全です。もちろん岡山電気軌道においても、「安全」を使命とし、それにサービスを付加していくというものである。

[2]

現在全国各地で、鉄軌道事業の存廃問題があります。弊社では、鉄軌道事業にボランティアでコンサルティングしている(岐阜、日立、和歌山の貴志川線、北海道の銀河線など)。
残しておけばよかったと思う鉄軌道があるが、いったん廃線にすると復興するのに莫大な費用がかかる。また、環境面とまちづくりのため、なるべく存続をはかろうという考えによるものである。
既存の鉄軌道がさびれる理由に、車の利便性が一番ですが、「乗客が少なくなったことにより運行間隔が空くという悪循環」「他線との連続性がない」などの理由があげられる。これらの鉄軌道を活性化するに当たり以下の3つの要因が必ず必要とされます。存続の失敗例は、何れかもしくは複合によると考えられる。

  • 地元自治体の長の存続に向けた意思の強さ
  • 住民の責任意識
  • 既存事業者の協力
[3]

岡山市では路線バス、幹線道路が中心部に向かって集中している。その結果、中心部で交通渋滞が起きやすく、中心部への車の乗り入れ対策が求められている。
弊社の対策として・・

  • 各企業とタイアップし、普通定期券より10%割引率を高めた環境定期を導入している。
  • パークアンドライド用の駐車場を250台分確保し、約80%が稼働している。
  • 弊社及びグループの職員のマイカー通勤を禁じている。
  • 新型車両のMOMOはメインコンセプトを環境に置いて開発した。
[4]

岡山市内の大型店舗は減少し、郊外に広がりつつある。また、市内の駐車場も多く、大型店舗以外の駐車場はいつでも駐車可能の状態である。岡山空港にも無料駐車場が3100台分あり、リムジンバスの利用率は158万人中25万人程度(16%、通常は40%程度)に留まっている。
こういった車中心のまちづくりとなっています。
神戸市では国の支援のもとに「CO2ダイエット作戦」を実行したが、地方都市でも実施できるよう支援がほしい。
公共交通が利益をあげることを目的とすれば「公共」ではなくなるとの指摘もあるが、国や地方自治体の支援がないと経営が立ちゆかない現実もある。

藻谷委員 岐阜の路面電車活性化事業では3つのうちどれが足りなかったのか。
礒野委員 2つ足りていない。どれとどれとは申し上げられないが、一般的傾向として、自治体の関与がポーズだけのことが多い。
古倉委員 LRTとトランジットモールを組み合わせる方法は考えられないか。また鎌倉でパークアンドライドを実施して江ノ電の利用者が増えたことを例に、空き地を駐車場にすることもできるのではないか。
礒野委員 LRTとトランジットモールについては、検討は始めたが具体的な進展はない。
大倉補佐 固定資産税は払っているのか。
礒野委員 軌道式の土地は市に寄付しているので払っていない。変電所など設備関連の敷地は払っている。車両については、補助金分を除き払っている。
上山委員 LRT化については、環境負荷低減効果と社会的な価値をどう評価するかが問題である。促進する根拠は何か。
大倉補佐 今のところ見つけられていない。今後、定量的に評価していきたい。
谷口委員 LRTの評価は交通系、都市系の学会で検討を進めている。条件によって結果は変わってきている。
島委員 高岡の万葉線は日本一利用客が少ない軌道だが、新型低床車両の導入等で徐々に利用客が増えてきているが、参考にならないか。

3.土地利用と交通の相互作用がもたらす環境負荷について

林委員から以下の内容の発表があった。

日本では鉄道利用者は多いが、鉄道輸送中貨物輸送が占める割合は小さい。また1990〜2000年にかけて自家用車の利用が30%増加(輸送量ベース)しCO2排出量も30%増加している。ライフスタイルの変化などが交通に変化をもたらし、環境へのインパクトを大きくしている。 運輸部門でCO2排出量が1990年比で2010年までに40%増加すると予測され、これを90年レベルに押さえるには、例えばモーダルシフトを推進し、旅客は43%(トリップ長は38%)、貨物輸送は30%(トリップ長は28%)減らさなくてはならない。実質上はほぼ不可能な内容なので、何かしらの工夫が必要になる。

CO2排出量を都市の規模別にみると、中規模の都市で51.4%と最も大きくなっている。 岐阜市の場合、1970年に人口385千人、自動車普及率65台/千人、DID面積28.2km2、が、2000年で人口402千人、自動車普及率500台/千人、DID面積53.1km2となっており、自動車の普及とDID面積のスプロールは密接な関係がある。市民が自動車を買える所得水準に達すると、市街地面積の拡大がはじまる。

欧州では、1963年にイギリスでブキャナンレポートがまとめられ、市民の所得が上がり道路が整備されると自動車保有率は一気に上昇すると指摘され、高速道路の整備を取りやめている。またドイツではレーバープランに基づいてトランジットモールを整備し都市の再生に取り組んでいる。フランスでは事業所交通税を導入している。1990年代になると、イギリスでインテグレーテッド・トランスポート、オランダでABCポリシーなどが提唱されている。 国際的には、研究者の中でCUTEプロジェクトが立ち上げられ、戦略と手段のマトリックスを作成しアクションを起こすことが提唱されている。

持続性を社会と環境の両面から考えると、100年後に日本の人口が半減する方向にあることを踏まえ、市街地面積も半分にする必要がある。社会保障など他の社会的コストも考えると、市街地維持には1/3程度が適切である。 高齢化が進み交付税は減少しているなかで都市域は拡大しており、インフラ維持が財政悪化の要因になっている。これらの地域をソーシャルハザード地域とし、スプロールする郊外から計画的に撤退し、都市部に再結集することが望ましい。さらに再結集地では高層化するなど、3D的な管理を行うとともに、街区単位での調和のとれたまちづくりを目指すべきではないか。日本では好き勝手に建築物を建てるので周囲との調和がとれていない。欧州や中国でも調和を重視している。いわば逆郊外化を目指すものであり、交通量が減少し、アクセスビリティの工場にもつながる。 また、街区の格付けを行い、優秀な街区には固定資産税や住民税の軽減措置があってもよいのではないか。将来的には地域の維持コストと税収がバランスするような施策が望まれる。更に言えば、国レベルで都市機能を再結集するべきではないか。

村尾委員 過疎地の公共資本の整備は不要との議論につながる可能性もあるが、過疎地振興法の廃止なども検討されているのか。
林委員 従来人が住んでいたところにもう一度集まろうというものである。また地域の文化は多様性の観点から存続させることが望ましい。
善養寺委員 日本では、建築家は派手なものをつくらないと評価されないので、調和はあまり考えられていない。欧州では都市政策関連の行政人員が多い。日本でも質的な評価ができる体制を整えるべき。不動産・建設業主導の部分開発から脱却し、国、市民、都市デザイナーが一体となってまちづくりを考えられる仕組み作りが望まれる。ある街区は税金が高い(安い)というだけでは、質は維持できないのではないか。
吉田委員 まちづくりのグリーン税制化もあるのではないか。どのような制度と組み合わせるとどの部分に効果があるかなどを検討する価値がある。
村尾委員 省庁間の連携も必要ではないか。道路、エネルギーなどの特別会計をまちづくり特会として活用することも考えられる。
松橋委員 小学校区程度の範囲での評価も同様に重要ではないか。また道路特定財源を地方都市のLRT建設だけでなく大都市の鉄道のラッシュ低減のために活用することも有効なのではないか。
粂原委員 新エネ−省エネ、道路−鉄道など、方法によってわけて考えずに、面的な政策を考えるべきではないか。行政、市民、事業者が一体となって考えることが重要である。
善養寺委員 まちづくりの総合化は「誰が入り」「誰が主導し」「誰がまとめるか」が問題である。仕様書を与えられただけの都市計画では、その場所にあったデザインはできない。作るものに対する予算だけではなく、ソフトに対する価値を認め予算化するべきである。また地区の外に対する影響も考える必要がある。
古倉委員 地域の環境格付けがあってもよいのではないか。また都市部に再結集する場合の最低規模別にアクセス方法や交通手段を議論する必要がある。
林委員 都市の拡大によって、インフラ損傷、環境損傷、空間損傷があるとすると、散らばった後のコストを負担しなければならない。受益者が負担するに当たり「何を負担するのか」を明確にしなければならない。環境損傷、空間損傷に対する手当に当たる税がない現状では、道路財源を一般財源にすることは必ずしも適切ではない。
村尾委員 そもそも揮発油税は一般財源で立法されたものであり、税の考え方の組み替えで対応するべきではないか。
藻谷委員 高層化は空間損傷の要因と考えるか。
林委員 場所による。単独で立っていて周囲との調和がないことが問題である。六本木ヒルズも社会的な価値がなくなれば粗大ゴミである。
善養寺委員 高層建築物はメンテナンスコストも高く、ライフサイクルコストが高い。また超高層建築物は耐震性の点でも安全性が疑問視されている。あらゆる点で、安全性が疑問視される超高層建築物はやはり規制すべきである。

4.その他

次回の開催は、2月15日(水)10〜13時とする。

以上