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第12回水俣病問題に係る懇談会
会議録


日時:

平成18年5月26日(金) 13:00〜13:48

場所:

環境省第1会議室

午後1時00分 開会

○柴垣企画課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから水俣病問題に係る懇談会の第12回を開催させていただきます。
 本日は、お忙しい中にもかかわらず、9名の委員の皆様にお集まりいただいております。まことにありがとうございます。
 小池環境大臣は、本日、公務出張のために欠席させていただきます。
 それでは、まず、議事に先立ちまして江田環境副大臣からごあいさつ申し上げます。

○江田副大臣 皆様、環境副大臣の江田康幸でございます。本日は、大臣がどうしても公務のために出席できませんので、私、副大臣の方で出席をさせていただきました。
 本日は、お忙しい中、委員の皆様方にはご出席をいただきまして心より御礼を申し上げます。私はもともと地元が熊本でございますて、副大臣として5月1日の水俣病慰霊式には大臣とともに参加させていただきました。改めて皆様方の祈りのお言葉を聞きながら、どれほど無念の思いで大切なご家族を残して亡くなられていかれたか、万感胸に迫る思いがございました。また、その機会を幾らもとらえながら、患者の皆様とできるだけその思いを共感するため接していきたいとの思いから、胎児性水俣病の患者さん多くの方々、そしてまた離島がございますが、そこには御所浦島、牧島、そして横浦島とございますが、そのうちの牧島におられる離島の患者の皆様にもお会いして、皆様方のご意見を、この全身で受けとめてきたつもりでございます。また、患者6団体の皆様とも改めて何度もでございますけれども、意見交換をさせていただいて、できる限り政策に皆様方のご意見を反映させていきたいと、そのような思いで走り続けておるところでございます。
 政治の動きも私は大変重要であると──私も政治家の一人でございます──平成7年の政治解決がそうであったように、政治は責任を持って、この水俣病問題に取り組んでいかなければならないわけでございますが、与党の自民党、公明党で水俣病問題に関するプロジェクトチームが発足なされました。その中で議論が進んでいるわけでございますが、その議論の行く末を注視して、そしてその判断を前向きにとらえていくべきだと私は思っております。
 この懇談会も12回目を迎えております。委員の先生方には大変重い大きな課題でございますが、活発なご議論をよろしくお願いを申し上げまして、私の冒頭のごあいさつにかえさせていただきます。ありがとうございます。

○柴垣企画課長 それでは、カメラの方は退席をお願いいたします。  副大臣におきましては、この後公務のため退席させていただきます。
 それでは、まず資料の確認をさせていただきます。議事次第に配布資料というふうにありますように、資料1、資料2、それから参考資料と、3点でございます。資料1は「水俣病問題に係るチッソ等による補償金等の額について」ということで、前回の議論で宿題になった項目の資料でございます。資料2は「懇談会の取りまとめの項目(案)」というものでございます。それから、参考資料は前回の懇談会の議事録でございまして、委員の皆様から修正をいただいておりますが、何かまたございましたら、きょう言っていただければ修正させていただきまして、後ほど環境省のホームページの方に掲載をさせていただきたいと、こういうふうに思っているものでございます。
 それでは、以降の議事進行を有馬座長にお願いいたします。

○有馬座長 それでは、各委員の方々、お忙しいところご出席賜りましてまことにありがとうございます。議事進行に移らせていただきたいと思います。
 まず初めに、本日の懇談会につきましては非公開とする必要は全くないと思いますので、原則どおり公開にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

○有馬座長 ご異議ないものと了解をさせていただきます。  それでは、本日の懇談会は公開で行い、議事録は出席された各委員の確認、了解をいただいた後、環境省ホームページに掲載して公開させていただくということにいたしたいと思います。
 きょうの議題ですが、前回の懇談会で、チッソが今まで一体どのぐらいの費用を負担してきているかという質問が委員からあったと思います。まず、その部分について環境省からお答えをいただきたいと思っています。その次に、前回の懇談会の最後に、今後どうやって懇談会をまとめていくかについて皆様のご意見を伺いました。その後、委員の皆様や事務局とも電話などでご相談して、その結果、取りまとめに向け中心になって作業をいただく、いわば世話人としてのお役目を3人の方にお願いをいたしました。お一人は柳田委員、それから吉井委員、そして亀山委員にお願いをいたしました。亀山委員は予定が合わずにご参加いただけなかったとのことでございますが、柳田委員、吉井委員、そしてオブザーバーとして加藤委員にも加わっていただき、早速今後の取りまとめの方向性について、資料2の取りまとめの項目(案)に沿ってご議論を始めていただいたとのことであります。このことを含め、懇談会の取りまとめについてご議論をいただきたいと思っております。
 なお、本日の懇談会は、およそ13時45分、1時45分ごろには終了ということになると思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、まず、チッソの今までの費用負担について、環境省からご説明をよろしくお願いいたします。

○柴垣企画課長 それでは、資料1に基づきまして、水俣病問題に係るチッソ等による補償金等の額ということでご説明をさせていただきます。
 前回、これまで患者補償のために原因企業であるチッソがどのぐらい負担したのか。また、それに関連して、国や県などの公費負担の額についてということでご質問をいただきましたので、本日、この1枚紙でその件について説明したいと思っております。
 まず、1のところでございます。公害健康被害補償法に基づいて水俣病と認定された患者に対してチッソが支払った補償金の総額ということで、補償法の前の、いわゆる旧救済法の時代に認定された方の一部、昭和47年、48年の段階の認定患者も含まれてございますが、認定患者がチッソ分は2,260人余りということで、その方に対する支払いの合計は、昭和47年から平成17年までで1,353億円でございます。
 それから、その認定患者の方々とは別に、その外側といいますか、認定されていない方に対する政治解決ということで、その際にチッソが支払いました一時金、1人当たり260万と、あと団体加算金というものも政治解決の際にチッソが支払っておりますけれども、上の1,353億円以外に認定されていない方に対する一時金の支払い、もしくは団体加算金も加えた総額が317億円ということでございます。
 そこに注1とありますけれども、その317億円はチッソが払えるものではないということで、そのときに国と県が金融支援をしております。注1の1行目にありますように、国の県への補助金と、それから県が県債を発行して、それをチッソに貸し付ける。この国の県への補助金も、県が財団を通じてチッソに貸し付ける。県債の部分もその財団を通じてチッソに貸し付けるという形で行われておりまして、その割合が、国が県への補助金として払った分が85%、それから県が県債を発行して払った分が15%ということでございます。国から県への補助金で払った分つまり85%の分は、平成12年のチッソの支援策において、従来の県が県債を発行して、その資金をチッソに貸し付けるという方式から、国が直接補助金によって県のこれまでの県債の償還を補助をし、その分について、チッソに県への償還のための支払いを猶予をするという間接的な形で、国が補助金でチッソを支援するような形に改めておりますけれども、その際に、この政治解決の一時金の支払いに当たっての国が補助金で負担した部分につきましては、県から国への返還を不要とした。県はチッソからの返還も不要としたということでございまして、実質上、これは国がチッソにお金を投入したということに結果としてなるわけですけれども、その分が270億円ございます。
 それから、注2は、政治解決において行政の役割分担ということで、チッソは一時金及び団体加算金、行政は従来から行ってきた総合対策事業をさらに拡充といいますか、政治解決の対象者すべてに支給するということで、医療費、療養手当を分担するということであったわけですけれども、行政がみております医療費、療養手当などの分の総額と、これまでの累計ということでございます。それで、平成4年からというのは、政治解決以前から総合対策事業を始めておりまして、それが政治解決の際に行政の役割分担になって、対象者は8年7月の段階で判定の申請の受け付けを閉じておりますけれども、以後、そのときの該当者、また手帳の交付者に医療費、療養手当などを支給していることで、その平成4年から16年までの累計額。これは国と県で賄っておりますが、その国と県の総事業費ということになります。それが303億円ということになります。ですから、270億円と303億円が、これまで国、県、いわゆる行政が公費として支出した分ということになります。
 それから、3番目がチッソの債務残高ということでございまして、これは1番の認定患者に対するチッソの補償金の総額も、昭和53年以降、チッソが独力では払えなくなるということで、先ほど申しましたように、昭和53年から平成11年までは県債方式ということで、県が県債を発行して、それでチッソに支援する。県債は資金運用部が引き受けて、万一の場合は国が責任を持つという形で行われておりまして、さらに12年からは直接国の補助金を8割、それから交付税措置を2割ということで、県債による有利子のお金ではなくて無利子のお金で支援するという形になっておりまして、その公的債務の累計が1,355億円。この中には、今言った認定患者に対する県債などの債務以外にも、いわゆる水銀ヘドロのしゅんせつ、埋め立て事業の立て替えの県債などの債務も含まれております。
 それから、民間金融機関からの返済猶予をされている債務ということで、これは主には、53年の患者への県債方式の支援が始まる前に、チッソが患者分、それから企業経営の分を含めて民間から借りた部分。それから、53年以降は企業経営の部分で民間から借りた部分の債務の合計でございまして、これも平成12年のときに多くの部分の棚上げ利息を返済不要とするということを行っておりまして、その元本部分といいますか、残った部分の債務が408億円あるということでございます。
 それで、4番が、そういった多額の債務残高を抱えながら、チッソの経営が今どうなっているかというものでございまして、経常利益は、12年の新たな支援方式で、最低53億円を上げないといけないということでございますけれども、それが15年までは若干上回る。16年、17年と、17年は液晶の関係が好調で102億円まで経常利益が上がっております。
 2番目の欄が補償金支払額ということで、若干減少傾向にありますけれども、30億から25億の間の補償金を毎年支払っているということでございます。当期純損益ということで、15年までは赤字で、16年からようやく当期純損益が黒字になっている。これは経常利益から補償金の直接の支払いや、それ以外の公的融資の金利分、これは患者救済と、先ほど言いましたヘドロの事業の立てかえ県債の金利分、それから、17年で言えばダイオキシンが検出された水路のしゅんせつの事業の事業者負担分がございまして、そういったものを引いた部分ということでございまして、ようやくここに来て若干の黒字が出てきたという状況でございます。
 一応、この資料の数字の説明は以上でございます。

○有馬座長 ありがとうございます。  委員の方々からちょっとご質問があればいただきたいと思いますが、柳田委員、特にご質問になられた方でありますので。

○柳田委員 いや、これに関しては結構です。

○有馬座長 よろしいですか。コメントはありませんか。
 じゃ、丸山委員。

○丸山委員 全体としますと、これに加えて裁判で認容された額の分があるわけですけれども、それについてはデータがないんですか。

○柴垣企画課長 裁判で直接チッソが支払った部分は、前にも表で示させていただきましたように、熊本二次訴訟の最終的には確定したのは高裁での4名ですけれども、地裁レベルで10名ぐらい、14名払っていると思います。それから、関西訴訟では、たしか13年の高裁段階までに51名の賠償金を払っていると思います。その額の詳細は、また調べましてお知らせさせていただきます。

○有馬座長 ほかにご質問はございませんか。
 それでは、世話人をお願いいたしております柳田委員、吉井委員から、取りまとめについてご意見をいただくことにいたしましょう。まず柳田委員、お願いをいたします。

○柳田委員 世話人会という形ですが、起草の準備の小委員会みたいな性格かなと解釈しております。1日、午前から夕方まで、会合を持ちました。加藤さんにもオブザーバーとして出席していただきました。
 話し合ったことは、今までのこの会議で議論してきたこと、その論点整理と論じられた内容、それを復習するというところでほとんどもう時間がなくなってしまった。相当長時間かけましたけれども、そういう中で、やはり大きな問題は、きょう配付された取りまとめ項目という資料2にありますように、大枠2つありますが、この項目は、とりあえず事務局で今までまとめてきたものを整理して書き写しただけであります。こういう形で報告書をまとめるかどうかということは、まだ決めたわけではありませんで、今までの問題を整理して確認し合ったというだけです。そしてまた、この会議でも何度も議論したように、救済問題について、これについては相当シビアなさまざまな事情が絡むので、どういう形でまとめるかということについては何の結論も出さずにおります。
 私としては、きょうの会議では、内容よりも、どういう形でまとめたり、どういうメンバーで文章を書くのかということ、そしてまた委員相互の途中でのやりとり、――個別の問題については、それぞれ専門分野について、もう一度ちょっとこの点を聞かせてほしいとか、ご意見を聞きたいとかって、個別に文章を書いていく段階で当然いろいろな問題が起こってきますから――、そういう委員相互間の連絡体制もつくらなければいけないのではないかというようなところです。
 ここから先は私の私見ですけれども、大変問題がシビアであるだけに、大臣から委託された懇談会が、この12回にわたる会議の中で議論したものをどういう文体、文章で書くかということは、懇談会側が主体的に書かないといけないのではないかなと。これだけさまざまな対立や、また行政と被害者との間でのいろいろなそごがある問題について、多くの役所の審議会や検討会がやってきているように、事務局が草案を書いて、それを会議に載せていろいろと修正していくということではなくて、最初から懇談会が文章を書き起こさないといけないのではないか。そういう主体性を懇談会が持たなければいけないのではないかということを考えております。これは私の提案でありますけれども。
 当然、そういう中では、これまでやった事務局側の資料提供と説明、そしてそれに対する議論、そういうものを取りまとめながら、今後の方向としてどういう問題があり、それぞれの問題に対してこの懇談会としてはどういう見解で一致した提言なり問題提起なりをできるのか。そういう流れになるんではないかなと、そういう考えを持っております。以上です。

○有馬座長 ありがとうございました。
 ご議論は後にいたしまして、まず吉井委員からのご報告をお願いいたします。

○吉井委員 報告書の取りまとめについては、11回にわたって論議をされておりますし、各委員の先生方からそれぞれご提案、あるいはご指摘をいただいておりますが、それをちょっと拾い上げて、そして忠実に報告書に盛り込まなければならないのではないかと、そのように思っております。柳田委員からご発言がありましたように、報告書の成文化といいますか、これはやはり懇談会の言葉で、懇談会の委員の中で最終的に成文をしていくということが大切だろうと思います。
 そこでご提案ですけれども、3人にご任命いただきましたけれども、その成文化、取りまとめの役を柳田先生にお願いしてはどうかというふうに思っております。何回か論議をしなければならないと思いますけれども、そこで、それぞれの先生方から、これは違っているとか、これは入れてもらいたいとか、そういうのをやりとりをしながらやっていかなければいかんのではないかという、そのような思いをいたしております。以上です。

○有馬座長 加藤さん、オブザーバーでお出になったご感想をどうぞ。

○加藤委員 特に胎児性のこれからの問題について、ぜひオブザーバーとして発言してほしいということで出席しました。実際、今水俣で現実に横たわっている問題を、この懇談会の提言の中に盛り込んでいくということが大事だというふうに思っています。その中では、とりわけ胎児性の患者さんの今後の問題ということで、かなり具体的な提言になっていかなければいけないということを、先日の世話人会の方で共通した認識が持てたというふうに思っています。
 あと、その他の問題については、今、柳田委員と吉井委員から報告がありましたけれども、私もほぼ同じような感想を持っております。

○吉井委員 1つ抜けていましたけれども、この前、新潟からもおいでいただいていろいろご説明をいただきましたので、これは水俣病全体に関することだと思いますので、やはり新潟も含めた問題点を提起すべきだと、そのように思いました。

○有馬座長 ありがとうございました。
 ほかにご意見ございませんか。

○屋山委員 ちょっと申し上げたいんですが、三、四日前に、東京の4チャンネルで熊本テレビの水俣病という番組がありまして、そこで、大阪に住んでいる70歳ぐらいの女性が学校へ行って水俣病の話をして、そのときに、ずっと頭が痛かったり何かしたんだけれども、認定はもちろんされなかった。だけれども実際こうなんですよと言って、おはしの先に針を結んで、それで腕をバシバシ刺して、そうしたら、女の生徒がそれをやったら飛び上がっているわけですよね。要するに感覚麻痺。私はジャーナリストとして、そういう人はいっぱいいるだろうと思うんですね。だから、今度そういう人も何とかするんだなという印象を──印象だけじゃなくて、そういう人たちも救われるというようなことをしてもらいたいと思うんですね。
 それにはやはり、何でその人が認定されなかったかというと、2つ該当しなければだめだとか、そういうので結局みんな漏れてきて、今、三千何百人という人たちは、結局そうやって漏れてきた人だと思うんですね。ですから、その人を救うといいますか、そういうことを基本にしていただきたい。補償するやり方は、チッソがみんな出せと言っても出せないかもしれないけれども、それは裁判なんかに持ち込まれたらどうしようもないので、それは国がやるという、こういう薬害みたいなものが出たときの補償の典型みたいなものを確立するということですね。そういう意味もあるんじゃないかと、それだけ申し上げたいと思います。

○有馬座長 亀山委員、何かここでご発言はありませんでしょうか。

○亀山委員 今の段階では特にございません。

○有馬座長 金平委員、ハンセン氏病の経験から、ここでどういうふうにまとめていったらいいか、ご意見を賜れますでしょうか。

○金平委員 ハンセン氏病と比べてということになるかどうかわかりませんけれども、やはり水俣をこれだけ勉強させていただいて、ここのまとめの中に被害のとらえ方というのがございます。前回にも発言しましたが、水俣病は終わっていない、まだ病気が進行中という言葉を使っていいのかどうか、そこは専門でないからわかりませんけれども。今、屋山委員がおっしゃったこともそういうことに入るのかと思いますが、何かそういう姿勢は、この懇談会の中で貫いていただきたいなという気がします。ですから、過去に大臣が失敗の本質とおっしゃいましたけれども、何かそこにはちょっと過去というふうなイメージがあるので、私は現在というふうなことをぜひ入れたいというふうに思います。

○有馬座長 鳥井委員、お考えがあればどうぞ。

○鳥井委員 皆さんのおっしゃったことで尽きているかなという気もするんですが、1つだけ気になるのは、この水俣病、失敗の本質という大臣が言われたことともつながるんですが、現代社会はここから何を学ばなくちゃいけないのかという視点というのも、両方書くと、ぼけちゃうのかもしれませんが、そこもやはり無視はできないような気がするんですね。なぜそんなことを申し上げるかというと、あの当時、非常に経済成長を優先する社会風潮があって、それも大きな原因になっている。現代社会を考えてみますと、物すごくお金ということが重視されている社会で、それで、これは公害問題とは言えないんですが、やはり福知山線の事故みたいなことが起こっているんですね。いろいろなところのコンビナートなんかを見たって、何が起こるかわからないという状況もあるんですね。やはり学ばなくちゃいけないことは学ばなくちゃいけないんじゃないかという意味で、ここでまとめたことは、ある種一般化して、ちゃんと社会に発信していくという、そこはあってもいいような気がしております。私は、そこは絶対やっておくべきだというふうに思います。

○有馬座長 いいポイントをありがとうございました。
 私が実は心配していることは、この委員会は過去のことの分析を随分やったし、救済対策のことも随分議論してきましたけれども、今、鳥井さんの言われた、未来に向かってどういうふうに学んだか、教訓を得たか、それから、未来に対してどういう対策を講ずるべきかの議論がやや足りなかったところがあるので、まとめる際に、少しその辺も掘り下げてやっていただきたいと考えております。やはり世界に対して、あるいは日本の国内全体に対して、環境問題はどうあるべきかということについての方針を、水俣病から、そしてまたアスベスト等から学んだ、その教訓をきちんと未来に対して発信していくことも必要であろうと考えている次第です。
 丸山委員。

○丸山委員 繰り返しになりますが、今までご指摘の点は私もそうだと思うんですけれども、最初のころから言っていますように、水俣病の問題で、発生、拡大、補償・救済という大きな柱からしますと、私は、これまで総括されていないのは、やはり補償、救済の問題だという認識が当初からあります。ところが、たまたま現実にそれを求めてきている4,000人近くの新しい認定申請者が出てきたということで、なおこれに対して何らか、この懇談会としてはきちんとした総括と提言をする必要があるかなという、一番やはり結果的に核心的にならざるを得ないのはそこのところかなと思っております。
 きょう、柳田委員から概要について項目説明していただきましたけれども、被害に対しては、救済というより、まず補償なんですね。補償・救済でなければいかんので、救済と書くと、何か第三者的に救済しますよというような話になってくるので、やはりまずは償いをするという、その償いのあり方がどうであるかということがまず先に来なければいけない話かなと思っております。

○有馬座長 これも重要なポイントです。ありがとうございました。やはり補償問題、救済問題を中心に、この水俣病が終わっていないんだということを痛烈に感じた次第でありますので、そこら辺、ひとつ大きな手段になるだろうと。一番理想的には、ここでもって水俣問題を解決する方向の一歩が踏み出せればいいと思っているんですが、根本的に解決することができるかどうか。この辺について、やはり難しいと思いますけれども、その方向に向かって我々の報告を書くべきだろうと思っております。
 そこで、具体的なご提案と、また環境省方にご苦労をかけると思いますが、まず、草案は私はやはり懇談会側で書くべきだろうと思います。その際に、事務局の方からさまざまな資料をちょうだいしながら、事実関係において間違いのないようなものを書いていくべきだろうと思います。この点が1つであります。
 それから、具体的に救済問題、補償問題に入っていく際に、環境省としての立場というのがおありだろうから、そこのところをどう組み込んでいくか。この辺について、世話人の方々にぜひともきめ細かい対策をお願いいたしたいと思っております。
 また、私の今までのさまざまな懇談会、あるいは審議会での経験から判断して、一省庁を超える問題になりますと協議をしなければならないことがよくあると思います。具体的な提案をする際に他省庁との協議がよくあった。具体的に申しますと、私の場合でありますと、中教審において30人学級を実現すべきと私は主張いたしましたけれども、やはり財務当局等々との相談で、お金がとてもすぐ出ないということで、21世紀の初頭において欧米並みのクラス編制にするというふうに書き直したことがある。こういうふうなことをやっていかなければならないことも起こり得ると思うのですが、その辺をどうしていったらいいか。そういうことが今後問題になっていくだろうと思います。特に補償問題、それからまた、今後の対策において環境問題に関して環境省がイニシアチブをとってきちんとやっていく対策において、省庁間の関係、内閣府との関係等々について一言あるべきだろうと思います。その際に、省庁間の調整みたいなことで環境省はご苦労になるだろうと思いますので、その点をお願いをいたしたいと思います。
 具体的な提案は今申しましたようなことでありまして、懇談会側で書く、その際の委員といたしましては、先ほどお願いをいたしました吉井、亀山、それから柳田委員、このご三方にお願いをしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

○有馬座長 なお、折々に各委員からのご意見を直接間接にお聞きかせいただければ幸いでありますので、お願いを申し上げたいと思います。そこで加筆訂正等々、ぜひどんどんおやりくださってよろしいかと思います。そしてまた、環境省の方にお願いでありますが、その報告書を書く段階において、さまざまな資料であるとか、それからまた環境省としての見解等々を率直におっしゃっていただければ幸いであります。
 以上、私からの提案でございますが、それでよろしいでしょうか。

○柳田委員 よろしいですか、発言。いろいろ取りまとめになって、大きな難しい問題は、今も出ましたように未来に向かってどう学びを生かしていくかということは、かなり理念や哲学的な問題も入ってくるし、これまでの行政側の説明の中ではそういうことは触れていなかったわけで、ただ我々の議論の中で断片的にはいろいろな形で出てまいりました。そこをまとめると、極めて理想の高い議論、あるいはレベルと言っていいかどうか、ハイレベルな、この国のあり方的な議論をせざるを得ないわけですね。それがまず念頭にあるということと、それから、具体的な問題一つ一つについて、これまでの会議の中では、余り行政側でやろうにもできないようなことを言われても困るから、なるべく現実性のあるものを書いてほしいというニュアンスのことがたびたびありました。そうしますと、その範囲に限定してしまうと、我々は実務的に行政に何かすり合わせをしながら答申を書くみたいなことにならざるを得ないわけですね。だけれども、何度も言いましたように50年という節目で、言うべきことは言う、書くべきことは書く、それがたとえ今実現できなくても、20年、30年たったとき、あのとききちんとこういうことを提起されていたんだというような意味を持たないと、この50年を節目にした懇談会の意味がないだろうと。今、くるくるとポジションの変わる役所の循環の視野の中だけでできる、できないということを考えていたのでは、そういう方向性というのは全く出てこない。ですから、補償問題にしろ、人権問題にしろ、いろいろな形で相当事務局なりいろいろな行政が考えているものとずれが出てくるのは避けられない。だけれどもそれは、懇談会というのが大臣から直接頼まれて第三者機関として設けられたからには、第三者機関なりの発言をしなければいけないんではないかということが2点目です。
 それから、2点目は若干派生的な問題ですけれども、いろいろなグレーゾーンがあるわけですね。補償に対しても何がどうかとか、被害者がどうだとかですね。そのグレーゾーンの問題に対する姿勢というのは、行政とか法律とか科学の立場は非常に厳密な線引きをするわけですが、社会的な視点なり被害者の視点から言うと、グレーゾーン、線引きした条件を満たさないが被害者の可能性が推測される人たちは救済しておく。そういう中で誤った人を選んでしまったとか、あるいは詐称があってまぎれ込んでいたとか、そういう疑いが生じた場合には、後で確認すればよい。行政はこのような場合、どういう姿勢をとるべきかということについては、今の行政の発想の中にはないことを書かなければいけないわけです。これからの行政はそういう問題についてどうあるべきかというようなことまで踏み込まなくてはいけないわけで、そうしないと、救済が混乱したりだらだらと先延ばしになってきたりしたことの根源的な反省にならないし、それを繰り返さないための対策にもならないのではないかと思うんですね。そういった意味では、行政の発想と相当違うことを論述することになると思うんです。それは受け手となる行政側としては十分了解していただかないと、こんなものは受け取れないとか、こんなことは書いてもらっても絵空事だとか言われても困るので、そこのところをはっきり確認した上でないと文章は一行も書けないんですね。何が問題かというのは一番シビアなところですから、それを明確にしなければいけない。
 以上3点を、この懇談会の委員方の合意の上で作業に取りかからなければいかんだろうなと思っております。いかがでしょうか。

○有馬座長 ありがとうございました。

○柳田委員 もう一点あります。失礼しました。きょうお配りした事務局からの項目案は、あくまでも今までの議論を整理したものであって、この中に含まれない問題がたくさんあります。きょうも議論している、未来に向かってどう書くかというのは、いっぱいあるわけですから、それは今後、草案をつくっていく上でどんどん項目を立てていくことになります。それが第4点目です。

○有馬座長 ありがとうございました。  先ほど申しましたように、行政側の各省庁のすり合わせているいろいろな問題もあろうと思いますし、そういう意味で、行政側の考えも多少お聞きになりながらお書きいただきたいと思いますけれども、逆に行政に対していろいろ注文をつけるということもあろうと思いますので、今、柳田委員のおっしゃったようなことをひとつ行政側もご考慮に入れていただければ幸いであります。一応そういう案をお三方にお願いをいたしまして、それをたたき台にして、また議論をさせていただくことにいたしたいと思っておりますが、よろしいでしょうか。
 環境省側、何かここについてご発言はございませんでしょうか。次官、大丈夫ですか。
 私といたしましても、こういう重要な懇談会の座長をやらせていただきましたから、報告したら終わりというのではおもしろくないので、やはり今後の環境問題に関して、一つの指針を与えるような確固たるものをつくっていただきたいと考えております。そのためには、多少実行不可能と今は思われるようなことでも、理想があればきちんと書き込んでいくことが必要だろう。やがて実現をしていくだろう、その一歩だと思って、ひとつ原案をおつくりくだされば幸いでございます。
 それでは、ちょうど予定の45分になりましたので、きょうの懇談会はこれで終わらせていただきますが、事務局から、この次どうするかについてご発言をいただきます。

○柴垣企画課長 次回の懇談会の日程でございますが、あらかじめ調整をさせていただきまして、6月20日の1時からということで、場所は同じこの第1会議室で行いたいと思います。
 それから、その間におきまして、座長からもお話にありました取りまとめのための世話人会といいますか、作業委員会というようなものを日程調整をさせていただいて開かせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○有馬座長 ありがとうございました。それでは、6月20日にお願いをいたします。
 なお、くどいようでありますけれども、せっかくの報告書でありますから、行政側としてもお考えがたくさんあると思います。理想の行政はどうあるべきか、特に環境行政に関してどうあるべきか。その点についても行政の方としてこういう理想があり得るというようなこともおっしゃっていただいて結構だと思います。よろしくお願いをいたします。 では、どうもきょうはありがとうございました。
 どうぞ、柳田委員。

○柳田委員 今、行政がどう考えているかとか、どうやりたいとかというのは、今までの中では必ずしも明確に整理された形では出されていないんですね。草案をまとめるに当たって、環境省として、50年目の節目に水俣問題について懇談会が出す提言に、こういうことを考えているから、ぜひ加味してほしいとか、こういうふうにしてほしいとか、そういう整理されたものを出していただけたらありがたいなと思っております。
 それから、これから作業を進めるに当たって、本当に個別的に各委員と常時連絡をとりたいと思いますので、この会議の後、いろいろそういう今後の個人的な連絡とかなんとか、そんなことで少しお聞きしたい部分があるので、ちょっと残っていただければありがたいと思うんですが、よろしくお願いします。

○滝澤環境保健部長 今の座長のコメントと、それから柳田先生のコメントの私の受けとめ方ですが、行政として将来こういう姿があるみたいなことは、この個別の水俣問題への対応に限らず、環境行政を広くとらえた形でどうかというふうに私は受けとめたんでございますが、そこはまたいろいろご相談はしたいと思いますけれども、ですから、今までこの水俣問題について我々がどう考え、どう対応してきたかということは説明はしてきたつもりでおります。ただ、10年後どうするか、15年後どうするかというのは、もちろん提示しておりません。それから、座長がおっしゃるのは、そういう環境行政全般というような意味で私は感じたんでございますけれども。ちょっと余計なことかもしれませんが。

○柳田委員 水俣ということを持ちながらの話です。

○有馬座長 よろしいでしょうか。
 では、どうもありがとうございました。また来月お目にかかることにいたしましょう。

午後1時48分 閉会