■議事録一覧■

環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する
基本方針の作成に向けた懇談会(第3回)議事要旨
 



○平成16年6月9日(水)10:00〜12:30
○中央合同庁舎5号館5階 共用第7会議室


<出席委員>
青木委員、青山委員、岡島委員、小関委員、加藤清氣委員、
加藤三郎委員、小澤委員、笹之内委員、鈴木委員、田原委員、二瓶委員、
広瀬委員、堀内委員、宮林委員


<議事>
(1) 意見発表及び質疑応答
和泉氏(横浜市教育委員会学校教育部小中学校教育課指導主事)

○ 算数とかは教科がはっきりしているが、環境教育は先生によって考える範囲が違う。今まで、比較的狭い範囲で捉えていたが、リサイクル、ネーチャーゲーム、国際理解など広い範囲に変わってきている。

○ 諸外国と違って、日本には学習指導要領があり、ナショナルスタンダードが確保されている。現行の学習指導要領の中に、環境教育を明確に取り込むことで学校はやりやすくなる。

○ 熱心な先生がいるときだけできることが多く、学校にきちんとしたカリキュラムがないと継続されない。環境教育の内容をはっきりさせると指導者にとっては分かりやすいので市町村単位、教育委員会単位などで環境教育カリキュラムを位置づけることが必要。

○ 総合的な学習の時間は国際理解とか環境とかいろんなテーマが可能だが、学校の方針が国際理解に重点をおいていると環境をやらない学校もある。

○ 各教科で環境教育も盛り込まれているが、自分の周りの環境を自覚し、自分たちで責任を持ち、行動するという環境教育としてのねらいを、先生はどれだけ意識しているかが問題。

○ 環境科の創設という議論もあるが、環境教育は学際的、総合的なので、各教科や特別活動に放り込むことが現実的。

○ 自然体験、生き物とのふれあいが環境教育のベースになる。

○ 連携が非常に重要。

○ 分別するのが当たり前というように行動につながるカリキュラムへとバージョンアップしたい。

阿部氏(「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議運営委員長)

○ 「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議(ESD-J)は、2005年から始まる教育の10年を契機に、持続可能な社会の実現に向けた教育を推進するため、政府、地方自治体、企業、教育関係機関のカウンターパートとなり、日本国内のNGO,NPO等の動きをつなぎ、大きな力となることを目指している。

○ ESD−Jの活動は、広い意味での環境教育であると認識。

○ 環境教育とは、つながり(関係性)の教育、人と人、人と自然の関係を改善する過程、学習者と他者、自己とを結ぶ営みであり、つながりを意識させる営みである。

○ 本法律の環境教育は、やや狭義の環境教育ではなく、広義の環境教育、すなわち持続可能な開発のための教育を目的としてほしい。

○ 基本方針策定については、日本の現状を踏まえてほしい。特に平成11年度環境教育の総合的推進に関する調査は総合的な視点から調査されたもの。参照してほしい。

○ 広義の環境教育を対象としてほしい。平成11年中環境審答申参照。

○ 人材育成については、特に地域のコーディネーターの養成が不可欠。

○ 教員や行政職員、社員等の再研修の実施を行政レベルで検討してほしい。

○ 縦割り行政の枠を超えた拠点の整備をしてほしい。民間主導で、国は民間の活動を支援するような立場がのぞましい。

○ 環境教育に関し、市民、行政、企業等、ステークホルダーによる恒常的推進組織を組織してほしい。恒常的な懇談会のようなもの。

関氏(日本ナショナル・トラスト協会事務局)

○ 第一条に法的には、持続可能な社会の定義づけがなされているが、よりわかりやすく持続可能な社会について議論していただきたい。

○ 環境問題の原点は自然生態系の破壊であることなどを、国民にアピールしてほしい。

○ 子どもに自然とは何かという絵を描かせると、4本足のニワトリが描かれたりする。生物多様性条約を踏まえた「自然」に対する共通認識の促進を図るべき。

○ メキシコの花を日本で蒔くといった、あやまった自然環境保全・環境教育活動がなされないようにすべき。

○ 農業は環境に役立っているという誤解があり、農林業が加害者であるという意識がない。農業やその体験活動は重要だが、自然保護、環境保全という時にどう関係しているのかをわかりやすく伝えることが必要。自然との関係でどのような基準があり、どういうふうに今の農業が基準から離れているか示すべき。

○ 海外からの生き物を国内に放すことはもちろんだが、国内の離れたところの生物を放すと遺伝子汚染で種が絶滅していく。それぞれの地域で種は守っていくべきで、遺伝子レベルのこともきちんと認識すべき。

○ 日本でも学校ビオトープが全国各地で進んでいるが、画一的になっている。本来、地域の自然の復元、地域へ飛んでいく、移動していくので、公園の在り方とかについても子どもが考えられるべき。

○ 道路、河川などの公共の場所で環境教育が行われているが、公共の場を誰が管理していくのか。日本では自治体が多いが、海外では、学校、NPOが管理していく事例がある。

○ 企業の遊休地を使う関心は高く、メリットとして、社会貢献、地域との連携、評価が高まるとの認識がある。しかし、管理責任の負担、業務量の増加、維持管理コストなどの課題があり、税制優遇、他のセクターによる管理、利益が少しでも生まれる仕組みが必要。

○ 様々な法律にNPOが位置づけられ、認知されている。現実には財政面での優遇措置が足りない。土地を管理する団体を財政、税制で支援する仕組みを書き込めるとありがたい。

(質疑応答)

宮林委員

○ 目的投資から社会的責任投資へと枠組みを変えていくことが必要と考えるがどうか?
阿部氏

○ 社会的責任投資をやらないと企業は成立しない。投資家にもそういう意識が必要。投資家の行動を変えるよう誘導することについても基本方針に盛り込めるといい。

関氏

○ 持続性があるかが大事なものさしになる。農業でも労働生産性は上がったが、エネルギー生産性が下がった。国際競争の中で出来るかという現実的な問題もあるが、クローズしたところでは、持続可能性が重要なものさしになる。

和泉

○ 学校で投資教育も始まっている。投資と同時に消費の中で、環境を意識すべきであり、それが未来の環境に配慮した社会的責任投資につながっていくと考える。

小関委員

○ 地域の生態系を壊さないものであれば、外国のコスモスであっても、自然に親しむようになるので差し支えないと思うのだがどうか。
関氏

○ 景観、アメニティというものさしではよいこと。しかし、自然界の中に環境保全の一環として外国のコスモスを出していくのは間違っている。世界的には、アメニティは主観的な基準にすぎず、生物多様性などを世界的な基準とすべきという動きになっている。

広瀬委員

○ 学校を通して地域社会への教育をしたり、体験的な教育を地域とやったりするなど、垣根を取り払うことについてはどう思うか。

和泉氏

○ 総合的な学習が突破口となり、地域との連携が進んでいる。

○ 子どもが地域のいろいろな方と関わるのは非常に重要。

○ 昔遊びを教えてもらったり、ゴミを拾えと怒られたり、そういう地域の力が昔はあった。

○ 学校と地域が連携することで双方が元気になることは非常に重要。

二瓶委員

○ 学年を超えてつながりのあるような学習事例はあるのか?

和泉氏

○ 6年生が地域の自然で遊べるところを調べ、下級生に教えるとか、中学校と小学校と地域が一緒にゴミ拾いをするといった事例がある。このように縦と横につながって学習することは効果がある。

小関委員

○ 学校の芝生かは、自然保護という観点からどうか?

関氏

○ 芝生化のメリットはたくさんあるが、環境教育として見る場合は違うものさしが必要。両方ともいいものであっても、環境教育という総合的なものさしを当ててみることが必要。環境教育にとっては地域の自然を学ぶ方がいい。

小関

○ ビオトープは作り、校庭は芝生化するといった両立はできないのか。また、メンテナンスを地域と一緒にやることは効果があるのではないか。


関氏

○ 両立できるゾーニングがあればよいと思う。

和泉氏

○ 雑草も踏んでいると草地っぽくなる。そういうものでもいいのではないか。

○ ビオトープは、池だけでなく、多孔質のものを作っておけば、多様な生き物が寄ってくる。花も園芸種だけでなく、いろいろなものを植えておけば、生物が寄ってくる。

○ ビオトープを広く捉えれば、お金をかけずに効果があるものができる。

青木委員

○ 学校の主体性に任されているが、学校評価に環境を入れたり、学校評議員の中に環境教育の人を入れたり、インセンティブを与える政策が必要ではないか。

和泉氏

○ 横浜では、外部評価をしているが、環境の視点は明確ではない。例えば、アンケートに環境を入れるだけでも効果がある。参考にしたい。

田原委員

○ 小さな頃の原体験を誰が担うのか?家庭教育では能力がないのが現実。総合的な学習の時間も限られていることが課題。学校に出来ること、他に期待することは何か?

和泉氏

○ 小さいころの原体験をやるべきということが先生に伝わっていない。特に小学校の先生は全教科を教えるので生き物に関わりたくない先生もいる。

○ 従って、博物館など外部団体の専門家に期待している。

○ 外部の専門家が来ることは先生の勉強にもなり、非常に重要。


(2)全体討議

青山委員

○ 基本方針ができても、社会にどれだけ認知していただくのかが重要。

○ 理想に燃えている。使命感に燃えていても、それに共鳴していない方から見ると白けたり、暗くなったりしてしまう。

○ 暮らしの中に、明るく楽しく環境を取り込んでいくことが必要であり、マーケティングや社会へのアプローチが重要となる。
笹之内委員

○ 当社(トヨタ自動車)では、社員の環境教育、環境教育をやるNGOへの資金支援、白川郷の自然学校の設立とNPOへの運営委託、TV番組「宇宙船地球号」の放映などを行っている。

○ 環境と経済の好循環の報告結果を盛り込むべき。

○ 環境のコストを皆で負担していくことが必要。

○ 環境教育には何故という疑問を持つことが必要。

○ ミスリードしないことが重要。よそにどんな影響を与えるかを考えることが必要。

○ PCDAを回すような計画を立てて欲しい。

加藤委員

○ 道徳的、倫理的なものは疲れるし長続きしないので、楽しみながら環境がキープできる可能性を追求し、その手法の選択肢を用意しておくとよいのではないか。

堀内委員

○ 全ての学校で同じ事をやるのではなく、地域性に応じて自分の学校にとっていいものは何かを考えた上で、環境教育を進めるべき。

和泉氏

○ 環境教育は地域と一緒に地域の特性に応じてやるべきで、算数とかとは大きく異なる。共通のカリキュラムが必要なのではなく、持続可能性という同一のものを作っていくために、多様な環境教育をしていくべき。

阿部氏

○ 狭い意味での環境教育ではなく、持続可能性といったことを考えると、全部繋がっていく。そういう観点で見て頂くべき。

広瀬委員

○ 略称は環境教育推進法とみんな呼んでいるが、持続可能な教育推進法とすればより分かりやすくなるのでは。

○ 持続可能な社会を目指して、何をすべきかということを基本方針に盛り込んでいくべき。協働取組において環境以外のものを取り入れていくべき。

岡島委員

○ 5年後の改訂というのを視野に入れて、環境教育の全体像を視野に入れて考えるべき。

○ 環境教育が重要と言いながら、野鳥の会の会員数が減り続けるなど効き目がない。発信する側が、自己満足に陥ったり、細かいところでつつきあったりしないで、国民全体のことを考える視点が必要。

○ 環境教育は複雑で、混乱しているので全体を網羅するような見取り図を作り、現状ではこの分野でこれが足りないといった整理をし、将来どうしていくかを検討すべき。

(了)