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環境ビジネスウィメンと環境大臣との懇談
議事要旨


日時

平成19年度12月18日(火) 14:00~16:00

会場

環境省省議室

出席者
(メンバー)
大庭、大和田、河口、岸、木村、近藤、斉藤、竹本、玉置、永峰、吉本 (敬称略、五十音順)
(司会)
崎田 中間法人環境ビジネスウィメン代表理事
(環境省)
鴨下環境大臣、田村事務次官、西尾総合環境政策局長、小林大臣官房長、鷺坂大臣官房審議官、中島環境経済課課長補佐
(オブザーバー・メンバー)
鈴木、薗田、安井
<開会>
(中島補佐)
ただ今から環境ビジネスウィメンと環境副大臣との懇談を開催します。まず、鴨下環境大臣からご挨拶申し上げます。
<大臣挨拶>
(鴨下大臣)
本日はお集まりいただきありがとうございます。環境とビジネスは車で言えば両輪で進めていくことが必要です。本日お集まりの環境ビジネスウィメンの皆さんは、それを実践しておられるわけです。是非、先駆的なモデルとして取組を進めていただきたい。
先週バリのCOP13に出席してきました。バリ・ロードマップが採択されましたが、これは2013年以降の温室効果ガスの取組について、全ての国が参加して交渉の場を作ることが合意され、長期的な排出量に枠がはめられたということで、極めて画期的なことだと思います。
環境を無視しても経済発展ができた時代から、環境に配慮しないと経済発展ができない時代に入ったということです。
人口の半数は女性が占めています。女性は創造的で、エネルギッシュで、古いパラダイムにこだわらないという利点があります。こうした女性の活力をこれまで以上に生かして、ビジネスの中で実現させていくことが重要と考えています。今回は新しい方にも参加していただいて、フロントランナーとして頑張っていただきたいと思います。
低炭素社会づくりに向けて、それぞれの役割をいかに果たしていくか、忌憚のないご意見・ご提案をお願いします。
(中島補佐)
大臣は公務のためいったん退席され、後ほどまたご参加いただきます。私から、環境省からの出席者を紹介します(紹介)。それでは以降の進行を中間法人環境ビジネスウィメンの代表理事 崎田様にお願いします。
(崎田代表理事)
本日はお集まりいただきありがとうございます。では、簡単にメンバーの自己紹介をお願いします。
<自己紹介>
(崎田代表理事)
それでは、環境ビジネスウィメンを代表して4名の方から活動報告をしていただきます。
<活動報告・提言>
(大庭メンバー:(株)環境エネルギー総合研究所 代表取締役)
の大庭です。役所向けの環境データ分析が主な仕事です。現代は“科学の世紀”から“環境の世紀”にパラダイムシフトしていると考えます。エンドユーザーのためにできることは何か、生活者の視点からの省エネルギーに取り組んでいます。主な業務はエネルギー環境調査と環境教育、エネルギー実験です。
生活を楽しみながら省エネを行うことを具体的にわかりやすく教育することに取り組んでいます。自分の生活にあった省エネを考えなければ効果が上がりません。例えば、家庭のエネルギー消費は機器と暮らし方、住宅、気候風土の4つの組合わせから考える、レンジの使い方、冷蔵庫の使い方からも省エネが考えられなど、身近な事例で解説しています。また、学んだことを発信することが大切で、交流会を行い情報発信する機会を設けています。
(大和田メンバー:ロハス・ビジネス・アライアンス 共同代表)
5年前にロハスと出会い、日本でロハスを広める活動をしています。日本では長時間労働の割に生産性が上がらないなどのワークライフバランスが崩れていることや、食糧自給率の低下、国産木材の減少、温暖化の問題など奥の問題に直面しています。価値観と行動を変えなければ問題の解決はできません。
LOHASの視点で社会をみると持続可能な社会な社会のイメージが見えてきます。食生活、服飾、住宅や暮らし、余暇・旅、ヘルスケアといった身近なところからの取組が考えられます。
本来はライフスタイルから生まれたものですが、ビジネスのあり方にも示唆するところがあります。ロハスビジネスに取り組む企業のネットワークをつくりロハスの普及に取り組んでいます。カーボンオフセットの認知度はまだ低いですが、今後広めていきたいと考えています。「CO2、知って、減らして、オフセット」キャンペーンを実施してみたいと考えています。
(玉置メンバー:株式会社たまき 代表取締役)
制服のネクタイ・スカーフなどのネックウェアーの企画・製造・販売をしています。今年、一般のネクタイの売り上げは80%ダウンしたそうですが、制服の場合は30万本増加しています。規律をただすといった風土が戻ってきた影響かもしれません。
ポリエステル繊維を回収し、糸に戻し、また製品にするという循環ビジネスですが、これによりCO2排出量が77%削減でき、また、100%再生ができるリサイクル配慮設計となっています。
アレルギー体質等皮膚疾患の人にも安心なアミノ酸商品群の販売を行っています。
低炭素社会に向けてですが、中小企業の場合は大企業と連携して、具現化していきたいと考えています。
(吉本メンバー:日栄産業(株)取締役)
日栄産業は昭和58年に創業しました。親会社の京浜運送は今年66周年を迎えますが「安全性優良事業所」に認定されています。日栄産業はコンクリートから再生砕石を生産し、全国に販売する事業に取り組んでいます。年間2000トンの処理能力があります。
現在の150台のダンプカーによる陸上輸送が89%ですが、徐々に海洋輸送にシフトしています。東京都とエコドライブ協定を結んでいます。また、積み出し港は国土交通省のリサイクルポートに認定されています。粉塵発生対策として、近隣に迷惑をかけないように、道路に水を撒いたり、清掃を行っています。こうした取組が評価され、10月18日に3R環境大臣賞をいただきました。
デジタルタコグラフの導入により、燃費が向上し、事故の件数が減少しました。環境負荷の低減の為、今後もモーダルシフトを進めていきたいと考えています。
<意見交換>
(田村事務次官)
環境に配慮したライフスタイルの定着には、心と技術とシステムが必要です。第1期のメンバーとの会合の時に、女性ベンチャーの企業には銀行がなかなかお金を貸してくれないという話がでていた。そういったご提案を機に金融からサポートする取組が必要であるということになり、具体的な施策につながっていきました。この会合も意見交換だけでも意味があるとは思うが、さらにもう一歩、施策に発展するような要望や提案に結びつけていく形で議論していただければ幸いです。
(崎田代表理事)
それではメンバーの皆さんからご意見をどうぞ。
(吉本メンバー)
廃棄物・トラック業界の管轄は国交省・経産省・環境省など多岐に渡っています。優良事業者への優遇制度が省庁縦割りになっておりわかりにくくなっています。省庁縦割りでなく、中小企業が環境面に取り組めるように他省庁と連携をとっていただきたい。
(竹本メンバー:株式会社カタログハウス取締事業部長)
本気で取り組まなければならない時がきていると思います。「心、技術、施策」は産業界には既にある。COP13では大臣は具体的な数値目標を示せず忸怩たる思いでは無かったかと思う。エネルギー問題は、国民では対応が不可能であるため、具体的な数値目標を示すなど環境省の強いリーダーシップを発揮して施策の実施していただきたい。
(河口メンバー:株式会社大和総研経営戦略研究所主任研究員)
システムが必要というお話があったが、金融との組み合わせで考えると有効です。個人がカーボンオフセットし、得た排出量を国に寄付し、税の優遇を受けられるシステムの構築を求めます。普及啓発だけでなく、CO2削減が財産となるシステム、仕掛けが必要です。
国として低炭素にむけてどのように取り組みたいのか全体像が見えません。カーボンに値段がつくと、節約意識が働いてカーボンを減らす方向に誘導することができます。金融面でインセンティブがあると金融は勝手に動くもの。
(中島補佐)
環境省では個人の環境保全の取り組みに経済的なインセンティブを与えるエコポイントの取り組みを進めるために来年度の予算要求をしています。
(近藤メンバー:東京都足立区長)
足立区では環境家計簿に登録された方に参加記念品を差し上げ、月毎にエネルギー使用料等の報告をしていただくと、エコグッズと交換できるポイントがたまるようにしています。家庭で行えるエコ行動をまとめて評価される仕組みがあれば、取り組む方が増えると思います。また、これからイルミネーション等区のイベントを行う際は、環境負荷の視点も盛り込んで行いきたい。
(大庭メンバー:株式会社環境エネルギー総合研究所代表取締役所長)
家庭ではCO2削減行動の費用対効果が判断しづらいため、評価システムの構築が必要です。エコ行動をしていない方を促す方法が必要です。
(河口メンバー)
CO2削減行動が税金控除につながるシステムを構築されれば、皆が真剣に取り組むようになると思います。
(近藤メンバー)
環境省で、環境保全を担う人を育てる事業に補助などを出せるようなシステムをつくってもらえると、足立区モデル事業を行うことができます。
(斉藤メンバー:さいたまコープ 常務理事)
CO2を削減した対価が戻ってくるシステムを構築して欲しい。また、流通やメーカーが消費者からCO2を買い取れるシステム、消費者とつながる事ができるシステムの構築を望みます。
(永峰メンバー:株式会社プランタン銀座 取締役)
若い方は「エコ=楽しくない」と思っている方が多い。楽しさを演出する政策が必要。環境に関する寄付に対する税制控除があると良い。
(岸メンバー:株式会社コロン 代表取締役)
三世代が一緒に住むことができれば、また100年保つ家を建てることができれば、それはエコロジーとなる。このような所に補助を出せるような政策をお願いしたい。家庭単位で環境を見直すということもよいのではないか。
(木村メンバー:雑誌「オルタナ」副編集長)
国民運動のような形を続けるのであれば、環境に対して高い意識を持っている方とそうでない方を分けて、アプローチの仕方を変えるべき。
(崎田代表理事)
皆様活発なご意見ありがとうございました。CO2を確実に削減していくには、システムが必要であること、暮らしで実感し、経済効果で戻していく等、いろいろなご意見が出て参りました。大臣からご意見をいただきたいと思います。
(鴨下大臣)
環境というものは思いついた人が思いついた所で実践することが大事だと考えています。皆様からのご提案について、国の政策の中で普遍化出来るところを汲み上げることが国の仕事だと思います。岸さんが仰るとおり現在、家族の有り様は、独居が増えており、独居は環境への負担が大きくなります。今までは経済や便利さ一辺倒でしたが、そろそろ変化しなければならないと思います。先日のバリで決められた枠組みとは、自分が楽をすると誰かが苦しむ、他の人に迷惑がかかるということです。その枠組みの中で一人一人が取り組まなければならないと思います。これからも、皆様にご協力いただき、ご提案いただきたいと思います。
(崎田代表理事)
最後に、中間法人環境ビジネスウィメンの方から、来年のサミットを契機に開催する国際会議についてお知らせをいただきます。
(薗田氏)
来年5月に、G8諸国等からの環境ビジネスウィメンをお招きした、環境ビジネスウィメンの国際会議を開催することを予定しておりますので、ご協力いただけましたら幸いです。
(中島補佐)
皆様ありがとうございました。これをもって本日の懇談を終了いたします。