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エコツーリズム推進会議(第4回)幹事会議事要旨



○日時 平成16年4月16日(金)13:30~15:30

○会場 東京都千代田区霞が関第5合同庁舎 環境省第1会議室

○出席者 幹事会委員24名全員出席(代理出席4名)
*随行者、傍聴者、マスコミ関係者等を含め、出席者総数75名
 
○議題   1)エコツーリズムの推進方策
2)沖縄県の保全利用協定

【議事】

  1. エコツーリズムの推進方策について
    事務局による資料説明の後、フリーディスカッション
     
  2. 沖縄県の保全利用協定
    広瀬委員から制度の紹介
         

【委員からの主な意見】

○エコツアー総覧について
掲載対象の入口を広く設けるということだが、エコツアーと言うからには基本的なガイドラインを意識するべきである。交通機関であれば、マイカー規制やCO2の削減、宿泊施設であれば地元食材の利用や省エネへの取り組みなどの項目も含めてはどうか。エコツアー部門の掲載基準に関しては、エコツーリズム大賞の受賞基準項目のいくつかを採用してはどうか。提示されている5つの条件のみであれば、従来の観光と区別できないと思われる。
宿泊事業者も、山菜を楽しむハイキングを実施したり、ユニバーサルデザインを取り入れたり、宿泊施設周辺の案内を行ったりしていることを記載でき、様々な可能性や広がりが感じられる仕組みである。そういった可能性があることを提案部分で協調して欲しい。
開始段階で条件(エコツアーなどの条件)をできる限り提示すると良い。そのうちの3つ程度を満たしているものを掲載することとし、翌年はその満たす条件を増やすといった方法である。途中で掲載基準を厳しくすることは難しい。また、アピールポイントを掲載させるだけでは、リゾート地の環境配慮の向上にはつながらない。環境保全への取り組みの努力目標といった記載も必要である。
エコツーリズムには、マスツーリズムとは対極にある自然に負荷を与えない新しいツーリズムを目指すこと、マスツーリズムを環境に配慮したツーリズムに移行させるという2つの視点がある。交通機関は基本的にはマスツーリズムを担っているものであり、前者の視点のものと混同されないようにしてほしい。
エコツアー総覧への掲載希望者が、提出する前に掲載基準を満たしているかどうか、セルフチェックができる具体的なガイドラインとした方が応募しやすい。
記載条件に加えて、そのエコツアーの企画・コンセプトが観光客に受け入れられているかどうかを表すことも必要である。これまでの参加者数などの実績も掲載項目に含めてはどうか。
日本エコツーリズム協会の認定制度では、セルフチェックの項目を挙げることで底上げ可能な形にしようと考えている。掲載基準は低く設定して努力すべき項目がわかるようにして、将来的に掲載基準を上げてはどうか。
指標の明示と評価はイコールではないという意見に賛成。ターゲットについては事業者が考え、ツアー内容は消費者が選択すれば良いこと。一方、環境保全に関することは常に上を目指すべきである。
交通機関は特筆すべき部門である。離島では様々な環境に配慮した交通機関の取り組みを行っている。


○エコツーリズム推進マニュアルについて
項目名は一般にもわかりやすいものとすべき。また、外来種の管理の重要性や、エコツアーを通じた動植物の持ち込み・持ち出しの禁止などの内容を盛り込むべきである。


○モデル事業について
各メニューの展開においては、関係府省の協調体制が欠かせない。各府省がバラバラにやるのではなく、関連施策を連携させることが効果的である。モデル事業の採択・実施にあたっては十分留意していただきたい。


○ガイド認定制度について
国立公園の利用調整地区の設定等を考えると、ガイド認定制度が必要な時期に来ていると思われる。様々な地域でガイドの質が問題となっており、何らかの検定試験が必要なのではないか。
日本エコツーリズム協会の推奨制度検討の際にも、ガイドを対象項目に入れるかどうかの議論があった。しかし、ガイドの質の高さは全国的な基準では判断できない。地域レベルで仕組みをつくっていく必要がある。
スキー人口減少の原因のひとつとして、インストラクターの教え方が下手でスキー嫌いが増加したことが指摘されている。自然ガイドの分野でも同じ様な現象が起きるのではないかと懸念している。高度のエコツアーを受け入れられる力がある一般消費者は少ないだろう。ステップを作っていくことが重要。
基礎的な対処方法や楽しませる技術はある程度認定する必要もあるが、思想の部分については認定制度は適用すべきでないと考える。
自然ガイドのレベルを高めるための認定制度については、これからプログラムを考えていく必要がある。(推進会議後も)引き続き検討を行ってほしい。検定をするならば今の段階では技術面しかはかれない。


○沖縄県の保全利用協定について
保全利用協定の締結については、仲間川が初めての事例であり、やんばるでも今年6月にも締結予定。この協定制度は今後各地に広まると考えられるが、そのためには、協定に参加する具体的なメリットだけでなく将来にわたって事業活動が安定的に実施されること、事業者がそのフィールドの持続的な利用を実現していくキーマンとして認識されることなどが必要である。
このような取り組みが出てきていることは歓迎すべきこと。ただ、実際のマスツーリズムの世界とは乖離した面があるため、普及啓発をしっかり行っていく必要がある。旅行業者も巻き込んで一緒に考える姿勢が重要。
旅行業者への周知方法は現在検討中だが、事業者差別化の問題が生じることから、協定に参加している事業者と参加していない事業者を区別して宣伝・情報発信することは、現段階では困難。全国においてルールの策定が進み、参加する事業者の数が増えれば、消費者の公平な選択も可能になると思われる。
北海道の場合、資格を取得した地元の事業者を使ってもらうような仕組みづくりを検討中。差別化をしないと資格を取ったメリットがなくなってしまう。また、住民を含めた保全利用協定を目指すことができないか。協定締結後のモニタングは事業者が実施することになっているようだが、中立性や費用負担の面で問題がないか。
保全利用協定は、平成14年4月に施行された沖縄振興特別措置法の中に位置づけられている。法に基づき沖縄県が作成した観光振興計画の中にエコツーリズムの推進があげられており、これにのっとって進められる事業の中で保全利用協定の締結が行われている。事務は県が実施し、国が助成している。
行政には環境保全に努める責任があり、屋久島でもこのような保全利用協定をぜひスタートさせたい。

(終了)