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環境基本問題懇談会(第4回)議事概要
 



  1. 開催日時 平成16年4月7日(水)10:04〜12:10
  2. 開催場所 合同庁舎5号館22階環境省第1会議室
  3. 議事次第:
    (1) 開会
    (2) 小池環境大臣挨拶
    (3) 議事 [1]地域・社会のあり方と環境保全について
        [2]その他

  4. 議事概要
    (環境省より、配付資料に沿って概要説明)
 主な意見

○ 最初に大きな枠組みに関することことと、それから今危惧としていることとの2つを申し 上げたいと思います。まず枠組みでありますけれども、大変努力されて、おまとめになったこ の資料はとてもよくできているものだなと思います。ただ、私のように、地域と自治体の仕事 もまた、国の立場での仕事もしている者から見ますと、霞が関の目から見ればこの整理は満点 の整理であろう、しかし、自治体の目から見るとこうなるかしらという気がちょっとしないで もない箇所があります。最初の1ページ目は、これでいいと思います。ただ、1ページ目のと ころで、若干気になりますのは、自然保護の行政が地域からスタートして全国的な視野になっ ていったという書き方になっていますけれども、もう一つ、私どもがここで気になりますこと は、貴重な自然を保護するというお話はこの流れとして確かに説明できるのだけれども、しか し、身の回りのありふれた自然に対する関心がある時期からとても高くなってきているという 点が、この整理にはうまく取り入れられていないということです。
2ページ目も、大変よく整理されていると感心してお聞きしていたのですが、ただここでも、 全体のストーリーが、地域の公害対策についても取り組みが、全国的な関心事となり国の行政 に移行しました。国の行政に移行して、現在では環境の問題は国がやっているのですが、しか し翻って考えてみると、もう一回地域の方でもまだやることがありますと、こういうお話しに なっているような感じがいたします。しかし、必ずしもそうではない面があるんではないかな という気がします。特に地球環境問題に関していえば、は、これはどちらかといえばもともと 国がやるべきことだとみんなが思い込んでいて、いまだに自治体は十分には動いていない。し かし、よくよく考えてみると地球温暖化対策のように地域でしっかりと取り組まないとどうに もならないという状況が生まれているということを、今の環境行政の重要な課題として地域に 対してはっきり言っておかなければいけないだろうと思われる。つまり、地球規模、国規模の 課題であっても今はがもう一回地域でやらなければいけないことがあるのだという整理が、ち ょっとこのストーリーの中には欠けているのではないかという気がします。特に6ページ目に、 少々厳し目の言い方をしますと「地域、家庭レベルで行うべき対策も多い」と書いてあるわ、 けです。これなどはいかにもつけ足しという感じするんですが、今地球環境部会で悩んでいる のは「も」ではなくて、まさに「が」です。それをどうやって動かしたらいいんだろう。国、 の行政という、あるいは国の環境政策という視点からどうにも動かないものをどう動かすんだ ろうということは、実は一昨日の産構審でも議論がされており、環境省に限らず、経済産業省 の審議会でも同じように議論されているという状況になっています。こういう点からいうと、 「も」などという表現はちょっといささかという感じがします。
それから、国際化に関しても、これも昔から議論してきたことで、かつて環境基本法の準備 の段階でしたか、一体自治体が海外と姉妹都市の関係をつくるというのはどういう法的な位置 づけになるのだろうと言って議論したことがあります。一体地方自治法のどこに位置づけられ るだろうというわけです。当時は、何となく海外との関係というのは、やはり外交を行う権限 をもった政府であり、国の専権に属することだという発想が強かったわけです。しかし、今の 自治体の動きを見ていますと、例えば九州あたりでは、東京よりむしろアジアの方がはるかに 近いという意識がありますから、例えば「環黄海圏」などということを言っている都市もあり ますし、東アジアをしっかり見て、そのあたりはむしろ一体化しているんだという意識を強く もっている自治体が多い。そのあたりを本当に意識しておかないといけないのではないか。明 日開かれる循環計画の部会でもまた話が出てくるでしょうが、どうも物が海外に流れてしまっ ていることを無視して国内だけで幾ら循環の議論をやってもどうにもならないということがだ んだん明らかになっていますから、この辺のところは地域もむしろ今意識し始めています。東 京を飛び越えてしまって地域がいきなりアジアと直結で何かという発想が非常に強くなってい ますし、福岡だって釜山まで25分で行けるわけですから、大阪より近いわけです。そういうこ とをみんな意識するようになってきた。特にビザが要らないで簡単に渡航できるなどという時 代ですから、そのあたりのところはむしろどんどん地域の方も動いていっている。ところと、 ちょっとこの整理の中には十分に反映されていないという気がいたしました。
それから最後に、最近に気になっていることを申し上げたいと申しましたのが、それは市町 村の広域合併の問題です。この動向が本当に正しいのかなという気が正直に言うとしているわ けで、何となく効率性だけを考えた広域合併が進んでいます。これは趨勢ですからしようがな いのかもしれない。しかし、どんどんこれが動いてきますと、過渡的な調整ということが大き な問題になって、在来型の環境行政の枠組みでは過渡的にせよ5〜6年の調整段階ではうまく 動かなくなるという可能性があるのではないかという気がするんです。例えば、対馬一島が全 部一つの市になってしまうなどというのはどういうことか、まるっきり異常ではないかねとい う感じになっているわけですけれども、そんなことが起こっています。そんな状況では、では 県は次はどういう役割を果たすんだろうということに必ずなりますから、このまま広域合併が どんどん進んでいったら、ひょっとすると県はなくなって道州制にいってしまうということは かなり本気で議論されつつある。九州も、産廃税は九州各県全部同じ条例をつくりましょうと いう動きになっているわけで、こういうことをどんどん加速して道州制に動いていくというこ とになります。そうすると、地球の環境行政に関する環境省や霞が関の役割は一体何なんだろ うか。その点について構造的な変化が起こるかもしれないです。でも、それが本当にいいかど うかということも考える必要がある。環境の問題というのはそんなに効率性だけで動きません し、市を大きくしたら環境行政がうまくいくというものではないとむしろ思っています。もっ と小さな1万人ぐらいのコミュニティでしっかりやる方がよほどいいということが山のように あるんです。それがどんどん消えていくということになったとしたら、逆に環境行政は1万人 ぐらいの規模のコミュニティでやられていることをしっかり支えていくということが必要なの かもしれない。そして、行政の枠組みというか、自治体の枠組みみたいなものを越えて議論し なければいけなくなる。その意味でNPOのようなものを大事にしようとか地域協議会を大事 にしようということが強く出てくるかもしれない。少しまとまりの悪い発言をしているんです が、このあたりが今どういう方向に行くのかよくわからないんです。一つのトレンドとして起 こっていることは在来我々が環境行政の中でやってきたこととかなりずれを生ずる可能性があ る。そのことをちょっと心配していますので、申し上げました。

○ それでは、発言をさせていただきます。私は、地方自治体の環境行政を幾つかお手伝いを いたしておりますので、その立場で、きょうは地域・社会のあり方ということでございますの で、これを進める上での留意点というか、お願いを申し上げさせていただきたいと思います。 ここに整理していただいた点は、私も大体よく整理されているということでよろしいかと思 いますし、それから浅野先生が言われた地球環境問題のCO の問題については私も同感でご ざいますので、それはあえて触れないことにいたします。それで、それ以外に3つほどお話し 申し上げたいと思います。
1つは、地域とか社会とかおっしゃっておられるわけですけれども、ものすごく温度差があ るというか、地域差があるというか、環境の取り組み方に対して、霞が関でお考えにならない ほど差がある。先進と、後進と言ってはいけないかもしれませんが、そういう差が著しいとい うことをご理解いただきたいと思います。その先進的な部分を国の環境行政がバックアップし ていただきたいとぜひ思うんですが、ややもすると、規制だとか枠組みとかがあると、先進的 なところが進まないような、意欲が減退するようなことが時々起きているような気が私はいた します。そういう意味で、先進的なところはどんどん進めさせていただきたいと思います。そ れと、縦割り行政は、国の省庁の場合はやむを得ないんですが、地方の方に行きますと、今は やや崩れつつあります。特にトップが熱心な場合は、他部局の部分の問題を環境部局でそれな りに介入することもできるようにだんだんなってきておりますので、その辺のご理解もいただ きたいと思います。
2番目は、地方自治体というと県が単位なんですが、物事は別に県で決まるわけではなくて、 水であれば流域かもしれませんし、あるいは大気汚染であれば首都圏ということであるかもし れませんで、例えばディーゼル車のこのたびの首都圏のように、幾つかまとまればすごくうま くいく場合もあるし、例えば東京湾の総量規制などについても、それぞれ個別には各県とやる のですが、場合によっては流域管理といった立場で、自治体というよりも流域としての取り上 げ方をしていただく方がよろしいのではないかというのが2番目の問題です。
3番目の問題は、科学技術の問題というのは次回取り上げるので、科学技術の問題の詳細は 次回に申し述べたいと思いますが、実は地方にはそれぞれ研究所がございます。66ございまし て、現在私はその責任者というか、協議会の会長を務めております。そういう中でいろいろ各 所長と議論しておりますといろいろな問題があるのですが、そこは次回に申し上げるとして、 地方の環境研究所の実態は、現在2,000人をちょっと超える研究者がおります。国立環境研究 所の10倍でございます。ですから、今の環境問題の科学的なサポートというのは地域の研究者 が支えているということのご理解をいただきたいことと、それは科学技術の問題なんですが、 その人たちが何をやっているかというと、本日議論されているようなNPOやNGOの教育な り研修なり、それらと一緒になって、ですから研究以外にNPOやNGOの育成やら研修やら、 そういうことにかなり努力しております。そういう側面があるということで、地域にいるそう いう研究者・技術者がNPO・NGOの育成、例えば私が今やっている埼玉県では、環境大学 、というのがございまして、毎年100人ほどの卒業生を出しております。3カ月間やるんですが その修了者の会というのがもう4年間で400人になっております。それが地域の核になって環 境保全活動なりNPO活動あるいはNGO活動をやっております。こういうものもございます ので、単に科学技術の問題ではなくて、地方の環境研究所はそういう環境保全活動の中核にも なっているということもご理解いただきたい。 こういうことで、以上3点申し上げました。

○ 発言の機会をありがとうございます。今、須藤さんが地球温暖化問題は発言しないとおっ しゃいましたが、私が関心を持っておりますのは温暖化問題でございますので、温暖化問題に ついての地方での取り組みの強化を皆さんに訴えたいと思います。この配布資料で環境のこれ までの大きな流れというのは非常によく整理していただいていると思いますが、ここにありま すように、地球温暖化問題は国と地方との新たな協働関係で推進していくべき分野だろうと思 います。まだ十分な体制ができていないと。確かに温暖化防止の推進法で実行計画を地方がつ くるとか、あるいはセンター協議会をつくるとか、そういうことになって、ぼちぼちできては おります。しかし、それの実効性ということになるとまだ非常に弱いのではないか。一応でき たという程度であって、内容の充実、実効性の担保というのはこれから相当議論し、充実して いかなければいけないのではないかと思います。現に、温暖化の第一段階における評価が行わ れておりますが、結局産業部門の自主行動計画に大きく依存している。運輸とか民生部門がど うしても大した効果が出てきていない。それから、エネルギーでも自然エネルギーの分野が非 常に、目標はそんなに大きな目標ではないのですが、それにはるかに及ばない状況で推移して いる。いろいろその実効性が今問われている。そこのところが進むようにしようとすると、地 球環境問題でありますが、国がやるべきことは多いのですが、地方で取り組んでもらわないと 進まない面も非常に多々あるのではないかと思います。ただそうは言っても、地方にはノウハ ウもない、それから権限もない、財源もない。ないない尽くしで計画だけがつくられて、ある いは組織がぼちぼちつくられているということではないかと思います。
それではどのように推進するか。手法としては、計画を策定して、その計画を関係の主体が それぞれの役割分担をして実行していくしかないわけですが、それではどういう計画を考える のかといった場合に、一つ環境行政分野で伝統的な手法は、公害防止計画で、国と都道府県、 市町村の三者が一体となって協議しながら策定し、そしてその計画を確定して、その確定され た計画についてはいろいろ実行面の担保がつけられているわけです。確かに、公害防止計画と いうのは、環境基準を設定してそれを達成するということですから、国のイニシアチブが非常 に強いんですが、この場合はもっと地方からのイニシアチブで計画をつくり、そして動かせる ようにしていくということが大事かと思います。ここにいろいろ書かれておりますように、策 定段階からNPOの参画を得るとか、市民団体あるいは市民個人の参加を得るとか、あるいは 企業の参加を得る、そういった地域におけるそれぞれ多様な主体が計画段階から参画して、そ して計画をつくり、固めて、それを市町村なり国なりと協議しながら実効性をつけていくとい ったことが必要ではないか。そういうたぐいの計画ができれば、主体がみんな参画してつくっ た計画ですから、情報を共有している。そうしたらその意識は非常に高い。協力体制ができて いく。難しいのは財源だとか、あるいは法令の裏打ちかもしれませんが、そういうことでつく り上げていくべきではないかと思います。それをつくった場合に、それでは何を取り上げるか。 地域における主要な課題というのはそれぞれ違うと思うんです。ですから、その地域の実情に 応じた主要な課題をピックアップして、それを計画の形にして実行に移せるようにしていくと いうことではないかと思います。私はいろいろなところでこれを言っているのですが、自然エ ネルギーの活用というのが温暖化対策の場合非常に重要ではないか。エネルギー対策が重要。 エネルギーの中でも自然エネルギーの活用というのが非常におくれている。そして、潜在的に は非常に大きいものがある。ところが、まだ微々たる対応しかできていないということではな いかと思うんです。
これは例でございますけれども、太陽光発電一つをとっても、結局、今個人の住宅に設置が ぼちぼち進んでいますけれども、20年分ぐらいの電気代を一遍に払わなければいけないという のがコストの状況です。それだと、相当裕福な人でないとつけられないわけです。だから、補 助金がついてぼちぼち、1万件とか2万件ふえているんでしょうけれども、しかし、それはそ の程度のテンポでしかない。RPS法という法律ができて、買い取り制度もある。それは、仕 組みとしてはそれなりにいいんですけれども、目標がいかんせん低過ぎる。0.3%を2010年に 1.35にしましょうという程度。それすらなかなか今のままだとできないと思います。結局そ れはなぜかというと、個人任せにしないで、電力の供給というのは電力会社の責務なんです。 だから、電力会社がみずからそれを設置する事業をどんどんやってもらわないと、それは進ま ない。電力会社がやったら高くついて、電力の競争に非常に不利になるわけですから、電力会 社に高コストを全部負担してもらうということでは進まないと思うんです。それから、太陽光 発電だと空間が要る。空間を確保するのは、電力会社だってそんなに土地をたくさん持ってい るわけにはいかない。土地を取得できない。それだったら、土地の所有者、空間の所有者の協 力を得て設置を進めていく。それによってその空間を確保するという仕組みがどうしても必要 になるわけです。だから、RPS法の目標を高くして、そして電力会社にみずから取り組んで もらう可能性に仕向けて、電力会社だけに押しつけるのではなくて、みんなで役割を分担して コストを分散する。それから、設置のために必要な空間を確保できるようにする。そういう仕 組みでバックアップすることによって進んでいくと思うんです。そういうことを地域で、この 地域では太陽光発電を大いにやろう、風力発電をやろうとか、そういう計画を立てて、そうい う仕組みを各地域でいろいろつくってもらう。共通の仕組みもあると思うんですけれども、そ ういうことで、例えば電力会社と地域とが協定を結んで、こういうことでやりましょう、その 場合には割高分はこういう分担をいたします、消費電力に応じて若干の追加分については負担 しましょうとか、そういう形ができれば進んでいくのだろうと思います。
何も太陽光だけではなくて、これから一番大きなテーマになっていく水素エネルギー社会を つくるということだってそうだと思うんです。水素エネルギー社会をどうしてつくっていった らいいか。水素の製造・保管・流通、それから利用のいろいろな段階が全部うまく動いていく ようにするためには、やはりどこか地域でモデル的にそういう仕組みをつくって動かしていく 必要があるんだろうと思います。省エネ対策もありますし、ごみ対策もありますし、モーダル シフトをどう進めるかとか、あるいはグリーン購入をどうするのかなど、テーマは幾らでもあ ると思うんです。そういうものを地域でつくって、その具体化、それからモデルとしてでもい いから進めていく。そういうことを考える必要があるのではないかと思っております。どうも 長くなりましたが……。

○ それでは、私は短く3点申し上げたいと思います。私は、大事なのは戦略性だと思うんで す。国と地方が戦略的に問題にアプローチすると。3点というのは、第1点は、昨年ちょっと スウェーデンへ行きましたら、スウェーデンも同じようなこういう懇談会がありまして、環境 アドバイザリーグループと。2冊報告書をいただきまして、一つはデカップリング、もう一つ はリジリアンス。デカップリングの方は、経済と環境負荷をどう脱結合するか、分離するか。 それからリジリアンスは、スウェーデンの環境破壊はどのぐらい復帰可能性があるかというこ とを地域別に調査しているわけです。したがって、これは地域的な環境容量がどれくらい改善、 修復できるかという復帰可能性、こういうものを日本も全面的に調査あるいは研究すべきであ ると。これが第1点です。
第2点は、これは戦略的でありますけれども、温暖化問題についてもヨーロッパは、クライ メットアライアンス、気候同盟というものをつくっているわけです。これは432の都市が同盟 関係にあって、2010年までに90年レベルの50%炭酸ガスを削減するという共通の目標をつくっ ているわけです。遺憾ながら我が国にはそんなものはない。したがって、日本も気候同盟とか、 あるいはゼロエミッション同盟とか、いろいろな都市同盟というか、自治体連合を我が方も結 成すべきである。あるいは、これも重要だと思うんですが、ドイツのフライブルクとか、スウ ェーデンのベクショーとか、ブラジルのクリチーバとか、世界的に著名な環境都市があるわけ で、これは観光客とか見物客を呼び込むことにも非常に大きな役割を果たしているわけであり ますから、我が方もぜひ環境・観光都市を積極的につくり出して、これは北九州市などはそう なりつつあるわけでありますが、積極的に海外から見物客なり観光客を呼び込むべきである。 これが第2点。
第3点は、今の話を伺っていますと、全く危機意識が足りないのではないかと。というのは、 我々が今考えている温暖化などは、緩慢なる環境破局の問題に対する対処法を考えているわけ です。すなわち、100年で3度から5.8度と。これだけでも相当大変だと。温暖化対策でさえ導 入できないというひどい状況にあるわけでありますけれども、実は緩慢なる温暖化が急激な寒 冷化を招くという研究成果が続々出ているわけで、それでペンタゴンレポートというのが出て、 今世情をにぎわしているのは皆さんご承知のとおりだと思います。このペンタゴンレポートは、 まさに2010年ぐらいから危機が始まると。要は、深層大海流が今とまりかけているわけで、そ れがいつ突発的に起こるかわからないわけであります。ペンタゴンはそのシナリオを描いて、 これを見るとすごいことが書いてあって、もう2025年にはEUはほとんど崩壊する、中国も国 内状況が劇的に悪化して、その結果市民戦争と国境戦争が勃発すると予想して、それがまさに アメリカのナショナル・セキュリティーに直接的な影響を与えるから、それに対してどう対処 するかという検討を始めているわけです。これはもうヨーロッパでは当たり前のことで、世界 地図の上に縦横の線を引いて、その地域からどのくらい環境難民が発生するかを予想している わけです。1997年の論文でも、環太平洋地域の中で1億6,000万の環境難民が発生すると予想 しているわけです。我が方は、これは私は聞いたことがありませんので、防衛庁はそういう戦 略的なことを研究されているかどうかはわかりませんけれども、とにかく欧米の水準の危機の 分析、そのシナリオ、それでどういう対策を立てていくかという検討を私は聞いたことがない んです。ですから、緩慢なる環境破局と急激なる環境破局と、この2つの可能性――これは両 方とも可能性のレベルにあるわけでありますが、科学的にでたらめというわけではなくて、根 拠があるわけです。これは、有名な真鍋淑郎先生のコンピューターシミュレーションでも、20 50年には深層大海流は半分に減るという予測を立てているわけです。ですから、私は、この地 域と国の協働のあり方についても、戦略的に我々は問題を分析して対策を立てるべきである。 これは3点を提言させていただきました。ありがとうございました。

○ きょうのおまとめは大変わかりやすく、時系列的にも、また広がり的にも理解しやすく、 敬意を表したいと思います。その中で私が感じることは幾つかあるのですが、一つだけまず申 し上げたいと思います。それは、今私どもは環境政策ということを考えている。そしてまた環 境政策をどのようにして実現するかということで、今、地域・社会における取り組みというこ とを考えているわけですけれども、ここにもう一つ個人という視点を入れたいと思います。を 入れたいと。今までは当然個人のビヘイビアというものは社会の中に分類されていたと思いま すが、もう既にいろいろな社会の変革、生活行動変化の中で変わってきていると思っておりま す。ですので、これからは、コミュニティーの中の一員ということももちろん存続しておりま すが、個人としてどのような価値観を持って行動しているか、行動していけるかというところ に希望をつなぎたいと考えます。この場合、個人というのは1人1人であり、また家庭人と考 えたいと思います。例えば今まで私どもが地球の温暖化、また日本の省エネルギーの推移のな かで、民生・運輸はもう放置できない。この中で運輸の方は、いろいろな技術の発達、交通流 量規制、管理など、いろいろなことでまだ望みがある。従って残るはその民生のところで、今 私ども、個人、家庭人が住んでいる例えば住環境から考えるべきではないか。今の定住環境を 考えると、新築家屋ではある程度省エネルギー配慮がありますが、古い家ではそうはいかない。 機密性がない、エネルギーがどんどん逃げていく。古い冷蔵庫、家電、設備を使っております。 そうすると、ワンタイムの大量消費がなくても、恒常的に相当の電力を消費し、それが環境の 負荷になっている。そのようなことも入れまして、私どもの今考える環境要件の中での重要課 題は、エネルギー効率の改善であり、温暖化を阻止することだと思いますので、そのような視 点も入れたいと思います。
では、そのためにはどのようなことが必要か。これは環境教育の充実をはかることであろう と思います。これは学校でということもありましょうし、1人1人の人間、家庭人へ直接アピ ールことも考えなければいけない。これは、決してマクロで言う国家政策から地域・社会へい く広がりと矛盾するものではなく、これを刺激し、強化していくものだと思っております。ま た、他にも、ずっと結論は聞いておりませんけれども、省エネルギーの壁のいわゆる括弧をつ けた「サマータイム」なども真剣に考えなければいけないものではないかと考えます「サマ。 ータイム」という言葉が悪いのであれば、アーリータイムでも何でも良いでしょう。これは、 高齢化に従い、私どもも朝早く目を覚ましておりますし、もっと朝の気持ちのいい時間を生産 的に使ってもいいのではないか。そのような生活の中からどれだけ向上が考えられるか。また 美しい景観づくり、観光資源の根底でありますが、理想的には自分の家の周りから始まるべき ことであろうと思いますし、そのようなことをもっとアピールすべきでしょう。
同時に、家庭の中での環境負荷を考える場合に、これを能動的な行動に移すためには何かの インセンティブが必要ではないかと考えます。時限でもよろしいので、例えば住宅を改造して 機密化するときには税金控除を与えるとか、古い冷蔵庫を買いかえるときには何らかの形での インセンティブがあるとか、そのようなことも含まれるのではないかと思います。

○ それでは、ごく簡単に申し上げたい。前回環境と経済の統合についてということで議論が なされまして、私は産業界に属する者として、日本経団連あるいは経済同友会で、ここでの話 し合いにつきましてお話ししました。産業界は現在コンプライアンスとかCSRの立場からま ずは環境ということで進んでおりますので、前回の議論の内容につきましては、もう産業界は みんなわかっている、そのとおりいこうではないかということでございます。このことをまず 報告したいと思います。
それから、今回まとめられている内容は私は非常によくわかる。確かにこれ以上のまとめ方 はないだろうと思います。ただ、先ほどから委員の方々のご意見を聞いていて皆さんにわかっ ていただきたいと思いましたことは、産業界はいろいろと努力しておりますけれども、日本全 体で地球温暖化とか廃棄物とかというのに影響する部分は70%ぐらいでございまして、あとは 民生の方にも頑張ってもらわないといけないという実情でございますしかし、この環境問題を 早期に民生を含め全体として解決を図っていかないと大変な事態になるだろうということは、 先週中国の上海から来られた中国の方から「黄河は断流状況にあり、水は流れていません。そ れでいて30階建て以上が上海だけで1,400棟もあるんです」といったことを言われますと、一 層その年を強く持ちます。これはもう大変な問題だ、早く日本が環境というものに早期全体的 なに対応策を立ててあげないとまずいのではなかろうかと思いました。
それで、実は提案なんですけれども、ひとつどこかの地域をとりまして、ぜひとも検証とい う意味でここでまとめられた内容のものをおやりいただければ、どのように進めていけばいい かという問題点もここから出てくるのではなかろうか。そこにおいて戦略あるいは近々の戦術 なども立てられるのではなかろうかと思います。ぜひともそれを進めていただきたい。といい ますのは、地域によって環境に対する温度差がございます。これは私は北海道から九州まで参 りまして皆様方のご意見を伺っている中で、もっと環境というものに地方自治体もあるいは住 民の方も熱心であるべきだとも思いますし、あるいは熱心以上に、環境に大変熱心な地域の 方々もいらっしゃいます。そういうこともありますので、ぜひともここにまとめられているも のをとにかく早期に模範として示していただければというので、私はモデル地域のようなもの を環境省が設定されて、そしてそこにおいて検証していただければと思います。

○ 今回のまとめは地域・社会における取り組みの再評価ということで、生活者の視点で地域 の中で個人あるいはNPOとして環境配慮に向けて活動している者、まず地域の中での市民の 動きの重要性を明確に挙げていただいて、大変ありがたいと思っております。もちろん、あり がたいという裏には、それの責任を感じているということでもあります。今、地域社会の中で 活動していると、例えば大きな企業の方は環境配慮について本気に取り組む企業が増えていま すが、地域の中小事業者の方たちの中には、大変申しわけないけれども、まだ余り関心がない、 あるいは関心があっても取り組めないという方も多い。市民の人も、関心の大変高い人もいれ ばそうでない人も多いという意味で、立場を越えて関心のある人たちとない人たちといった形 もかなり出てきているような感じがいたします。例えば3ページのあたりを考えるときに、国 は大きなビジョンとしての方向性を出していただき、地域社会の行政の方はコーディネーター として動いていただく、そして市民は、企業やNPOが連携しながら、より多くの地域の事業 者や市民に向けた普及啓発や一緒の取り組みを起こしていくことによってこれからの日本の環 境負荷を減らしていく、そのような構図が必要なのではないかなという感じがしております。 そういうときに、では企業、NPOがともにどういうことを作戦としてやっていくのかという ときには、先ほど来お話が出ていた環境学習、環境活動というものを通して暮らしや地域の中 での実践活動にきちんとつないでいくということが必要だと思っています。
ちょっと私ごとの事例なんですが、地域で代表者をしているNPOで、行政が運営する公設 の環境学習センターの指定管理者になりました。今ちょうどそのシステムをつくっている真っ 最中なんですけれども、そういうことをやって初めてNPO自身も多くの市民に普及啓発する 仕組みをつくるのがどんなに大変かというのが非常によくわかってまいります。そういう意味 で、私たちNPO自身も今学んでいる最中です。多くのNPOあるいは市民活動団体にいろい ろな社会的な活動の機会、参画の機会をぜひ広げていただきたい。それによってまたNPO自 身も学び、発展していくのではないかと思っております。
あと、NPOとか市民活動の活発化という中に、今、高齢化の中で、社会的な視野を持った 高齢の方が大変ふえていらっしゃるというお話がありました。そういう方たちを起爆剤にして 地域社会の暮らしにつないでいくということは大変重要だと思っておりますが、もう1点、若 い方が職業として自立していけるような社会づくりも必要だと思います。もちろん今かなりい ろいろな施策が進んでおりますけれども、大学で環境学部もふえてきておりますので、そうい う方たちが企業や地域社会の中でのいろいろな役割を広げ、しかも、ビジネスにつながってい けるような方向性もきちんと支援していただければと思っております。
5ページを見ているのですが、それで今後の課題に関して本当にきちんとおまとめいただい ていてありがたいのですが、その方向性の中で「地域環境力」とあります。ここは本当にコミ ュニティーやNPOなどがみずからの役割を担っていくというのが大変重要なのですが、私自 身が今一番思っているのは、そういう活動が、例えば助成金をいただかないとつながっていか ないようなことではなくて、きちんとコミュニティービジネスとしてどのように定着していけ るか、活動を継続していけるかというのが今後の課題だと思って活動しております。その意味 で、地域社会に定着していくような方向性での展開を行政なども推し進めていただければと思 っております。
次に課題というところで4点挙がっているのですけれども、私はこの4点はどれも大変重要 だと思っております。ここにもう1点入れていただくとしたら、こういう協働を進める方向性 として、暮らしや地域の具体的な負荷の低減につながるような活動に持っていくという、その 方向性を一つ入れるというのはいかがかと思います。
あと、情報の共有というところは大変重要だと思うんですが、私も最近いろいろな情報がき ちんと市民に伝わっているかといった調査に協力している分野があるのですが、私が思ってい る以上に伝わっていないようです。例えば、地球環境の大きなキーワードは伝わっているので すけれども、それの対策として、例えば環境報告書とか、3Rとか、そういう対策として取り 組んでいる言葉がまだ余り定着していないんです。そのような差がちょっと見えてきましたの で、具体的に負荷低減の活動がさまざまなところで起こっているいい事例、先進事例をきちん と提示していく、そしてそれを応援していくんだという国の方向性あるいは行政の方向性が出 ていくことで、日本全体が活性化していくのではないかなと感じております。ありがとうござ います。

○ 地域社会やNGOの活動と政策との相互作用といった今回のテーマで検討するに当たって は、政策の効果という視点からの国際比較のようなことも有効ではないかと思います。それに よって、日本がどういう問題を抱えていて、どんな点を改善していけばいいかが明らかになる ように思います。私の専門と一番かかわりのあることで言いますと生物多様性の保全というこ となんですが、その中で絶滅危惧種の保全ということで少し考えてみたいと思うんです。日本 の現状は、いろいろな場で申し上げているのですが、かつて普通に見られたような野の花、例 えばサクラソウとかフジバカマとかキキョウとか水草のアサザとか、それからゲンゴロウの仲 間などというものも、今普通に見られるところはほとんどなくなってしまっているような著し い衰退の状況にあるんです。最近では、生物多様性国家戦略ができたり、さまざまな新しい法 律などもできて、これから前向きにそういう政策が進んでいきそうなんですが、まだこれまで の価値観とかも地域では残っていますので、なかなか効果が上がっていない面もあると思いま す。この点に関しては、1994年にOECDが各国の環境政策の評価についてレビューを行った ときに、たしか野生生物の保護に関して日本が公表してきた政策目標と全体的な傾向の間には 格差があるので、言葉がちょっと確かではないかもしれませんが、総合的な戦略をつくる必要 があるということを述べられていたと思います。それに対応して国家戦略などができたという 面もあると思うんですが、2002年の最新の評価なんですけれども、日本における野生生物の絶 滅の危機というのが1990年代を通じて、まだ国家戦略もなかった時代ですが、ほとんど改善さ れなかったと結論づけているんです。外からはこう見られているということなんですが、国際 比較ということではいろいろな国と比較できると思うんです。
日本が幾つかの法律をモデルとしているアメリカ合衆国で、そういう絶滅危惧種の保全に関 する政策や、それとかかわりのある社会的な活動などとの関係を見てみますと、国家レベルの 法律が、日本には種の保存法という法律があって、アメリカ合衆国ではEndangered Species A ctと言われている法律があるのですが、できた経緯として、アメリカ合衆国では、環境政策が もともと自然保護から始まったという面もありますし、その自然保護も、NGOのとても活発 な活動があって、訴訟がたくさん起きてといったことが、政策が充実していく出発点になった のですが、日本ではそれほどNGOの活動などは盛んではなく、環境政策は、やむにやまれぬ NGOの活動ではあったと思いますが、どちらかといえば公害から出発したというバックグラ ウンドの大きな違いもあります。そのような背景の違いを持つ2つの法律で効果がどうなって いるかということです。日本の種の保存法で指定されている種は、もしかすると数字が少し違 っているかもしれませんが、たしか62種ぐらいで、ほとんどが鳥と維管束植物です。アメリカ 合衆国の方では、登録されている絶滅危惧種が1,260種に上っていて、多様な分類群が含まれ ています。また、単に登録して、多少譲渡や捕獲などを規制するということだけではなくて、 1,019種については、回復計画をつくって、かなり費用もかけて回復事業が進められていると いったこともあります。そんなこともあって、日本ではまだまだ絶滅危惧種の衰退をとめるの が難しい状況なんです。それは強い法律があるかどうかにかかわっているとも言えるのですが、 アメリカ合衆国に置いて、そのような強い法律がどうしてあるかといえば、もともと自然保護 に関する社会的な活動の高まりがあって、法律はそれを反映してできたものですから、例えば 種の登録に関しても、行政の方からだけではなくて、市民から提案できるような広がりがあり ます。そうすると、積極的に地域や市民の方たちが保全の努力を行政とともにするという形に なっていると思います。
日本では、最近もちろん身近な自然への関心も高まってきましたし、きょうも数字で若干出 ていたと思いますが、さまざまなNGOの活動が始まっていることは確かですけれども、地方 の行政だどにおいて、残念ながらまだまだ本心からの価値観の転換ができていないように感じ られることもあります。つまり、こういうものが大事だというのを理念として出したり、行政 などが何か文章に書いたりということはあるんだけれども、では日常の行政の中で重視するか というと、そうでもない。例えば、絶滅危惧種を保護するためには、まずデータを整理して、 絶滅危惧種のリストをつくったり、レッドデータブックというものをつくったりしなければい けないんですけれども、ほとんどの県などレッドデータブックをつくっていますが、どうやっ てつくっているかというと、ボランティアの人たちにだけ頼っているんです。それはそれで市 民の方たちを巻き込んだいいやり方だとは思うんですけれども、その調査にかかわっている人 たちが調査する費用や経験を労力の提供に対するサポートが何も補償されていないような場合 も少なくないようです。そのことに関して行政に意見を言ったりすると、レッドデータブック をつくるようなことは公共的な事業ではない、だからあそこには費用は割けないのだといった 答えが来たりということもあると聞いています。土木工事事業のようなものは公共的な事業だ けれども、環境を保全するための情報整備などの事業というのは社会にとってはまだおまけの ような軽い事業だという意識が残念ながら一部地方の行政などの中にはあるのではないかと思 います。本来はより公共性の高い事業のはずですが。
どうやって変えていくかというのは難しい問題かもしれませんが、アメリカ合衆国のように もともとNGOの活動が社会の中で大きな割合を占めていてというところとはもしかするとや はり違う、時には少し強い法律なり制度を天下り的につくっていくといったことと、それから、 先ほど環境教育の重視というお話がありましたけれども、下からの意識の高まりを強く促すよ うなことと、両方が必要なのかもしれないと思います。そんなことを認識するのに役立ちます ので、ほかの国の状況を地域やNGOと、それから政策の相互作用の観点から比較してみると いうことは意味がありそうな気がいたします。

○ きょう、ピーターセンがぜひ参加したかったところなんですけれども、どうしても所用が あって参加できなくて、私がかわりに参加することになりました本木でございます。 戦略性という山本先生からお話があったことに全く同感でございまして、多分前回国家総合 戦略という話があったと思うのですけれども、これが極めて重要なのではないかと思っており ます。ペンタゴンの話がありましたけれども、温暖化シナリオということで、これもピータ ー・シュワルツというシナリオの大家が中心になっているシナリオだと思うんですが、極めて 客観的に今ある科学的なデータを検証しながら、例えば2010年、2020年、どういう事態があり 得るのか、論理的に起こり得るのかということを議論した上で、日本としてその中でどういう ビジョンがあり得て、そこに行き着くためにはどういうロードマップが要るのかというものを できるだけ早くつくり上げていくことが必要ではないか。理由としては大きく2つあって、1 つは日本の国際的な役割だと思うんです。それは、環境立国をおっしゃっている日本の国際的 な貢献でもあり、リーダーシップであると。それをどういう方向に持っていくのかということ を打ち立てないことには、リーダーシップを発揮できない、役割を担うことができない。もう 1つは、今何もビジョンがないまま行ってしまうと、結局産業界の競争力を弱めてしまう。技 術開発をどういう方向に持っていっていいのかというのが、私はコンサルタントとして企業の 方といろいろお話しさせていただくと、本音ベースでいろいろな話を聞くわけですけれども、 非常に散漫になってしまって、方向性が見えない。これはものすごい足かせになっていると。 この国として、あるいはもちろん地方も一体となってどういう方向に持っていくのかというこ との中で、企業が新しい先行投資をして、また産官学のネットワーク型の研究といったことを 進めることができる。産業界の競争力をつけていく上でも、環境技術は日本は世界的にも傑出 しているわけですから、これをサポートしていく上でも、ぜひこの国家総合戦略をいち早く進 めていただきたい。前回の資料の中にも英国とかドイツの事例が入っていると思いますけれど も、このことをお話ししたいと思います。

○ まず何よりも、いろいろきょう専門的な分野、また全体を見回しての大変貴重なご意見を 直接伺うことができて、大変うれしく思っております。
きょうのテーマは地域・社会のあり方と環境の保全ということですけれども、私は、日本人 というのが、戦後の高度成長から、そして今衣食住満ち足りて、さらにはこんなに生きるはず じゃなかったのにと思っているほど高齢化が進んできて、どうやって自己実現の場を確保しよ うかということをみんな頭の中にクェスチョンマークで抱いている。NPO・NGOというの も、新しい社会の組織というか、動きだろうと私は思います。前に経済企画庁で政務次官をや ったときがちょうどNPOの最初の認証の時期でございまして、ワッとありとあらゆるいろい ろなNPOが出てきて、これは新しい芽生えであるということを確認いたしましたし、そのこ ろもそんなのをやらせて大丈夫かというのがあったんですけれども、中には大丈夫でないのも あるんですけれども、結局そこも一緒のNPO・NGO同士の競い合いなども出てきて、これ はこれまでなかった社会の新しい部分が動き出していると私は思っておりますし、特に環境に 力を入れるNPO・NGOが今圧倒的に多いということも、これをさらに活性化させていかな いのは、社会のそういう動きを活用させないというのはもったいないことだなと私は基本的に 感じている方でございます。ちなみに、NPOの書類をチェックするのは経済企画庁というの が、これまでそういう概念がそもそも余りなかったということを如実にあらわしているんじゃ ないかなと思っております。ですから、きょうのテーマの一つで、NPO・NGOというのを どのように活用させていくかというのは非常に大きいテーマですし、またそういう考え方で、 いろいろとうまく連携をとれるように、単に行政の下請ですと、それはNPO・NGOのあり 方として、むしろNPO・NGOを一生懸命やろうという人は、お金を下さいということでは なくて、やりがいを求めている。だからこそ一生懸命やるんだろうと思います。かといって、 生きていかなくてはいけないからといって、何らかの形で経済のメカニズムの中にうまくはま るような、それには税制とか、もっと社会的な寄附をしやすくするとか、そういったことも一 つ重要かなと、今皆様方のお話を伺っていて改めて思いました。
それから地方との関係なんですが、きょうは地方の直接行政に当たっておられる方々もおら れるわけであります。これは、去年の暮れに例の小泉総理の方から地方の補助金の削減という ことでそれぞれ数値目標がボーンと各省庁に渡されまして、もちろん環境省はもともと骨と皮 しかないところをさらにそげということで、このときも私は考えたんですけれども、大体その ように削減するときというのは、往々にしてボールペンを最後まで使いましょうとか、そうい うのでしのごうとすることが多いんですけれども、これは三位一体という大きなコンセプトの 変化と、それのチャンスであるということだったんですが、みんなふやすときは喜ぶんですけ れども、減らすというのは余り楽しい作業ではない。だけど、基本的にあのときはごみ関係が 環境省予算の一番大きいところでありますので、結局そこに随分泣いてもらったというか、あ る意味では見直しのいい機会だったかと思います。よって、これは流れとしてまた次に来ると 思っていますので、むしろそれを機会に、まさに地域・地方と環境省という中央が何をすべき かというのを今からしっかり戦略的に考えてやっていきたいと思っております。特に、今私の 中にずっとあるのが不法投棄のごみ処理なんですけれども、結果的に国の富もそれぞれ地域の 富もこれによってごみ処理という負の処理の方に回ってしまう。結果的に国の方も最終的にま たそれをバックアップするという例はこれまでも幾つもあるし、今回また岐阜の方でも新しい 件が出てまいりました。ではそれを国としてどこまでどうするのかというのは、よく見直しも していかなければならないし、いわゆる環境省として持っている地方調整官という役割はもっ と強化するべきところは強化しないといけないけれども、人数がなかなかいないという現実も あります。それから、今はまだそれぞれ1人1人の一種の寄せ集め状態みたいなところで、な かなか動きがとりにくいということもある。ですから、地域との間をつなぐ調整官の役割など もしっかり見直しをする時期だと思いますし、環境省とすれば、国土交通省、運輸省、今は一 緒ですが、それぞれ地域の局を持っているんですけれども、この辺のところが地方分権の流れ から逆じゃないかと言われるんですが、環境行政を国としてしっかりやっていくためには、そ れはオール・オア・ナッシングの、日本というのは怒濤のようにダーッと行くときは行ってし まって、かえって機能がそがれる、機能論が飛んでしまうときが往々にしてあるんですけれど も、その辺の見直しも必要なのかなと思います。
それから、山本委員の方から環境観光モデルをもっとバックアップをというお話、それから 庄子委員の方からも産業としてのモデル地域ということで、モデル地域のお話がございました。 そういうモデル地域をつくるというのが、ビジョンをそこに反映させれば、こういうことを考 えているんだろうということがよりおわかりいただけると。現在、そういった地域の環境とい うことでのモデル地域づくりで平成まほろば事業であったり、それからエコツーリズムの推進 会議を開いていただいておりまして、そこでエコツーリズムのモデル地域ということで全国で 何カ所かつくらせていただく。そういった目に見える形で、環境行政はこっちに向かっている んですよということを各地でPRさせていただこうと考えております。
いずれにいたしましても、地域と社会のあり方と環境保全というのは、極めて現場に近いと ころの組織とどのような連携を持っていくのが最も機能するのか、そして目的に一番近づける のか、大変重要なテーマをお話しいただいているきょうの懇談会、まことに残念なんですけれ ども、ちょっと所用がございましてこれにて失礼させていただきますが、この後の委員の皆様 方のご意見もしっかりこの後ちゃんと報告を受けますので、思う存分またお話しいただければ と思っております。どうもありがとうございました。

○ 私は現場であれこれやっている立場からの意見を言わせていただきたいと思います。例え ば、先ほどらいNPOということが随分出てくるんですが、東京とか都市部から見ると多分そ こが非常に重要で、コミュニティーというのはその次に来るんですが、私の暮らしている4万 8,000人の地方の町から見ると、コミュニティーあるいは地域社会、村社会をどうするかとい うことの方がむしろボリュームとしては大きいんです。先ほど合併で大きくなったときに環境 の取り組みは一体どうなるのかということがありましたけれども、行政体が大きくなると必ず 住民と行政との距離は遠くなります。それを補うためにむしろ私たちはコミュニティーという ものをしっかり強めるということを意識として持っています。幸いに公民館というものが小学 校単位で整備されている。何かあるとそこにみんな集まって体育祭をやったり文化祭をやった りしていますので、この辺りの機能を強めて、そこが生涯学習の拠点であったり、子育て支援 の拠点であったり、健康づくりの拠点であったり、あるいは地域の環境をつくる、守るといっ たことの拠点であったりする。そういう方向に行く必要があるということで、今そういう絵を かいているところです。
そのような視点から少しお話をしたいと思うんですが、豊岡は、以前にもお話しいたしまし たけれども、コウノトリが日本で最後まで生息したところです。コウノトリは肉食の鳥で、ド ジョウとかカエルとかフナとかを食べるものですから、湿地がたくさんあるということが非常 に重要です。私の町は河口から上流10キロメートルまで行っても高低差は1メートルしかない という大きな川が流れていて、大雨が降るとしょっちゅう水びたしになる。そこのところにド ジョウやカエルやフナなどのえさがいっぱいいて、それをコウノトリは食べていた。ただ、そ ういう条件なら日本中至るところにあったはずなのに、なぜ豊岡やその周辺が最後まで残った のか。これは手前みそな判断かもしれませんけれども、多分生き物との間合いというのか、価 値観というのか、そういうものがかなり効いたのではないかという気がします。
お手元に縦長の「コウノトリ野生復帰推進計画」というパンフレットをお配りしています。 その表に、これは豊岡市内で昭和35年に撮られた写真ですけれども、7頭の但馬牛と12羽のコ ウノトリと農家の女性、この女性はまだ93歳でご健在なんですが、こういうものがあります。 人間と動物がこういう距離感で生きていた。ところが、これだけ見ると非常にハッピーな世界 なんですが、実は当時コウノトリは害鳥だったんです。コウノトリは、害鳥として非常に嫌わ れておりながら、同時にこのように暮らしていて、一方で瑞鳥、めでたい鳥として大切にされ てきた。つまり、害鳥なのか保護かということではなくて、何か一緒に暮らしているものじゃ ないかと。田んぼに水稲の苗を植えたときに、コウノトリがドジョウを食べに入ってきて植え たばかりの苗を倒すものですから、農民はそれを追い払うんですけれども、決して殺したりは せずに、ツルボイと言ったんですが「シッ、シッ」と払う。その時期が過ぎると、きれいな、 鳥だな、めでたい鳥だなと言って受け入れていくという、何かそういう白か黒かはっきりさせ ずに、みんな自然界の仲間だよねといった、どうもそういう思いがあったのではないのか。
ちなみに、豊岡は明治になる前に京極家が200年間治めていたんですけれども、200年間で死 刑になった人が3人しかいない。人間に対しても非常に穏やかに接してきたというところであ りまして、つまり自然を守るとか、動物を守るとか、残していくという上で、どうも文化とか 価値というのが決定的に重要な要素なのではないのかという気がします。ヨーロッパのコウノ トリは日本のコウノトリとは違うんですけれども、私もドイツとかフランスとかヨーロッパに 見に行きました。エルベ川沿いのルーシュタットという村に殊さらにたくさんいるんですが、 すぐ隣村に行くとほとんどいないんです「なぜ自然条件は同じなのに、あなたの村にいて、。 ほかの村にいないとか」と聞いてみると「私たちは愛しているから」という話でした。つまり、 コウノトリを愛するところにコウノトリが住む。自然を守るとかつくっていくということを私 の町も一生懸命やっているんですけれども、そのときにどういう価値観というのか理念を提示 するのか。今この会は日本の環境政策をどうのこうのという議論をしているわけですけれども、 世界の中で、では日本はどういう価値とか理念を提示して、それに基づいて具体策を出してい くのか。今私が豊岡での経験として話したことというのは、日本全体に共通するような価値観 であって、それは誇るべきものではないかという気がしますので、私はもごもご言っています けれども、もっとそこはすっきりして、日本はこういう自然とのつき合い方の中でやっていく のだというのを出すというのは、それはそれで大きな貢献になるのではないかなという気がし ます。
2つ目ですが、地方にいると、自然というのは二次的自然がほとんどなんです。それは田ん ぼであったり、農地であったり、里山であったり、あるいは小川であったりするわけですが、 かつてはこういうところで経済的な活動、人間が生きていくためにやむを得ずやることが、実 は自然を守るということにつながっていた。何も自然を守ろうと思って農民は里山に入ったわ けではなくて、肥料をとりに入ったり、薪をとりに入ったりしていた。その経済的な活動の方 が変わってしまって、二次的自然、山とか田んぼとか水路とかというものが荒れ果ててきてい る。ここのところをどうするかというのは、随分いろいろな試みがなされてきたわけですけれ ども、なかなか解決策がないというのが実態です。例えば、水田とか農地を見ますと、では有 機農業とか減農薬農業を広げていって、それが一定の付加価値をもって売れていけばもっと広 がるとなるんですけれども、なかなか進んでいないのが実態です。ただ、そうは言いながら、 これはこれで一つの方向なのかなという気はします。
それから、手納さんからいただいたペーパーには森林再生とバイオマスエネルギーとありま す。それも非常に大きな柱だと思いますけれども、農地、休耕田がいっぱいあって、荒れ果て ていっている。これを救う道として、そこに植えることのできる何らかの植物をエネルギーに 変えることができるとなると、実は農地の荒廃とエネルギー問題とをくっつけることができる。 この辺もぜひ一つの方向性として要るのではないのかという気がします。
それから、水田ですけれども、デカップリングをやっぱりきちんと進めていかないといけな いと思います。これは農水省の方が検討していると思うんですが、中山間地でのデカップリン グというのはとにもかくにも政策化されたわけですけれども、平地の圧倒的なボリュームを占 めている部分は放置されたままなんです。ここが生産調整ということで非常に荒れ果てている。
これに対してどう対応するのか。今のバイオマスエネルギーというのは一つの方向だと思いま すが、農民が水田を管理する、あるいはビオトープとして管理する、そのことに着目した一定 の支払いをするということが、正面から据えられるべきではないかと思っています。豊岡は、 コウノトリのえさ場づくりということも含めて水田ビオトープというのをつくっていまして、 これに対して1,000平米あたり5万4,000円のお金を出しているんですけれども、きちんとこう いう基準を満たしたようなビオトープが水田につくられた場合には、それはその地域の自然環 境をつくる上で非常に価値が高いので、それに対して支援するということが要るのではないか と思います。これはNPOというのも出てくるのですが、NPOは田んぼに関して言うと素人 です。田んぼの自然はやっぱりプロの百姓が一番知っているということなので、そういうもの が制度化できないものかなといったことを問題意識として持っています。
3番目ですが、この自然の問題とか環境の問題を考えますと、非常に焦燥感に駆られます。 地球温暖化の問題にしても、環境ホルモンにしても、もう間に合わないのではないかという焦 燥感に駆られて、つい大きな声でだれかを批判したくもなる。自分の純粋さを誇りたくなる。 それは大胆な政策をつくる上では大変重要だと思うんですけれども、地域にいて、そこに住ん でいる人の価値観を変えてやっていこうという立場からいくと、実は十分慎重に考えなければ いけないことなんです。発酵熱、これは河合隼雄さんが言っておられた言葉を借りているんで すけれども、イデオロギーのようにパッと熱く燃えるのではなくて、じっくりじっくり対話を しながら、自分の暮らしぶりを考えながら、それは低い温度だけれども、ブスブスと燃えてい って、決して後戻りをせずに、あるとき化学変化が起きておいしいお酒ができている。そうい う何かじっくりした姿勢で、発酵熱でやるんだといった姿勢で、地方というか、地域社会とい うのは環境問題に取り組んでいく必要がある。大きな声で言うのを極力いさめていかなければ いけないと私としては思っています。
最後ですが、環境観光都市ということについてのご提言がありました。私も、グリーンツー リズムということで自分の町を輝かせてやろうと考えています。ただ、その地域社会というも のが環境への取り組みについて何か単品で頑張っているというのではなくて、暮らしのさまざ まな部分で分厚くできているということが実現しないと、魅力を持たないんだろうと思います。 私の町はコウノトリを来年空に返そうとしているんですけれども、それだけだとただ白い大き な鳥が飛んでいる、美しいねで終わってしまうんですけれども、それを返すために川の自然を 再生して、水田の自然を再生して、それから水路の自然を再生して、農業を変えていって、里 山でも頑張っていて、太陽電池を入れていて、あれもやってこれもやってという、そういうま ちごとのトータルのイメージというものをつくり上げて、それでちゃんと飯を食べているとい うこともあって、その深い物語に惹かれ人々がやってくるという町をぜひつくりたいと思って います。現実に、市のコウノトリの施設にやってくる人は、11年度から毎年2万人ずつ増えて きています。昨年は、論文を書くために豊岡市を訪れた学生は100人を超えました。最大は2 カ月間下宿して、自然と人間とのかかわりのフィールドワークをやっていったんです。そうい うものをぜひ私は自分の町でやりたいと思っていますけれども、日本じゅうあちこちにできれ ばいいなと思っています。以上です。

○ 地方の行政をあずかっている立場から少し申させていただきたいと思います。
1つは、地方分権、国・地方関係についての議論の進展ということで整理はしてございます けれども、この中の国・地方の権限関係の整理というところの中で、国は国レベルとしての権 限関係の整理という視点が、一つ非常に大事になっているのではないかと私は思っております。 その一つの事例として申し上げますと、次のページのところで、意志決定過程への参加という ところが官と民との協働のためにという項目で整理されておりますが、環境影響評価制度での 対応、これは新しく事業を進めていく場合には環境影響評価制度での対応ということで住民の 意志決定過程への参加が促されてくると思いますが、既にアセス法が定められる以前からあっ た事業が実はどうなのかという点がございます。こういったことに関しましては、環境省がこ の新しい法をつくったけれども、つくる以前のものについては拘束がないという形は現実にご ざいます。しかし、それは実態として見ていけば、種の保存という点で非常に危うい状態をつ くり上げていっている、あるいは環境破壊ということについてもっと詳しく検証していかなけ ればならないという問題を提起していると実態がありますので、一つはそういった点で、国と 国との権限関係の整理という点でも、本当に環境保全ということを私たちは考えていくとしま すならば、まず霞が関の中の省庁の中での権限整理が非常に大事な部分としてあるのではない かと思います。
それから、例えば先ほどここの「国、地方自治体、地域、社会の新たな課題」というところ で「コミュニティー、NPO」と丸囲みの中でありますが、これは、それぞれがそれぞれの、 環境保全で取り組んでいっておりますが、そのそれぞれを横につないでいくという視点が地域 環境力を高めていくことにつながっていくと思いますので、当然再構築という中には統合化し ていくという視点が含まれているとは思いますけれども、やはり、国・地方自治体の役割の中 には、こういったばらばらなコミュニティー、NPOを必要によっては統合化し、再構築して いくという整理の仕方というのも大変大事になってくるのではないかと思っております。
それから、同じページのところですけれども、環境の観点から、地域の経済的安定というこ とで、環境保全型の農林水産業という条件がございますけれども、私は、経済的安定というく くりの中で環境保全型の農林水産業を押し込めてしまっていくということではなくて、先ほど も中貝さんがおっしゃっておりましたけれども、一つの事例として申し上げさせていただきま すが、熊本県は熊本市が100%地下水です。そして、県土全体の中で85%が地下水です。休耕 田がふえてきた中で、地下水が蓄えられていないということが検証されてきています。実はソ ニーが企業として私どもの熊本県に出てきてくださっているのですが、水を使われるのが80万 トンです。このソニーが地域の休耕田に目をつけてくださいまして、自社で使うお米をJAあ るいは農家、自治体連携の中で、休耕田をよみがえらせていただきました。その中で水が90万 トンよみがえったんです。差し引き10万トンを私どもは地下水に蓄えることができました。そ れから、今熊本県の中で起きていることは、水をしっかりとやっていくという点で、川下の自 治体が川上の自治体と連携をして森を育てる。これに企業、例えばサントリー、ホンダといっ たところが積極的に参画してくれているという状況がございます。こういった事例からいいま すと、このくくり方というのはちょっと気になるなという実感を持つところでございます。
それからもう1点、実はさっきちょっと国と国との間で整理をするべきではないかと申し上 げました。私ども熊本県は、荒瀬ダムを日本で初めて撤去するわけです。国土交通省はこれは 県営ダムでございましたので、県としての姿勢の中でと。私が今、国土交通省に申し上げてい ることは、今までたまった堆砂をどのような形の中で流していくことが環境を汚染しないのか、 そして川の資源を守っていくのか、そういった点では初めてのダム撤去に関して、国は関与す るべきであると私は声を高くして申し上げております。しかし、窓口としては、今、国土交通 省の中ではそれに対しては非常に県営という主体的な役割の中でということが言われてきてお りますけれども、私はこのたび選挙に出ました中で環境ということを公約の柱に大きく掲げま した。そんな中からも、このダムの撤去ということによる堆砂の問題と種の保存の問題と環境 汚染の問題、ものすごく大きな問題としてあります。また、もう一方で川辺川ダム問題という 国営の直轄のダムを抱えているのが熊本県です。ここでも私は環境アセスということについて、 これは既に環境省がこの制度をつくる前に、38年前に川辺川ダム問題は動き始めたところです。
ですから、環境アセスは排除されてきております。しかし、その絶妙な川辺川の自然環境の中 で、まさにそこだけしかいない、絶滅してしまうおそれのある種があるわけなんです。ですか ら、そういったことを考えてまいりましたときに、この整理の仕方は、一方で地方の行政をあ ずかる立場から言いますと、国が国としての整理の仕方ということの大事な視点があってよろ しいのではないかと思うところでございます。
また、先ほど山本先生のお話の中で環境観光ということがございましたが、たまたま私はこ のたびの公約の中で観光と環境、この2つを公約の中の柱として3本柱を立てました。公約で は、一つは財政に対してですが、もう一つ観光戦略、そして環境戦略、2つございましたので、 大変意を強くさせていただきました。以上でございます。

○ これは、既に最初に浅野委員がおっしゃいましたけれども、現在、地方分権といっており ますのは、実は本当に国が地方に分権をしたのではなくて、国の財政状況が悪くなっているの で、地方へそのしわ寄せをするというのが、言葉は悪いんですけれども、それが本音でありま して、実質的に今まで国が持っていた権限を地方へ渡すのかというと、ここに「議論中」と書 いてありますけれども、多分国からの補助金の削減などはするけれども、税金の徴収権限など はどこまで地方に渡すのかということになるとはっきりしておりません。結論としては、地方 財政も現在、非常に苦しい状態です。かつて、国はいろいろな公共事業を地方に行わせていま すから、国からの交付金や補助金はありましたが、結局地方も地方債などを出して工事を行っ たわけですから、地方も負債を負っているわけです。その負債が残ったままで、国の方は、 「あとはおまえさんがおやりなさい。分権だよ」ということになっていますので、そこでもう かる仕事、利益の上がる事業はいいんですけれども、環境のように直接利益が上がってこない 公共事業は、先ほど鷲谷さんがおっしゃいましたけれども、地方にとってみれば、公共事業を 整理していく中で、切り捨てるかどうかは別としまして、後回しになるのは目に見えているわ けです。そこで、資料41ページ、42ページに書いてありますが、私がこれを復活しろと言って も、もう政策は動いていますから、そうはいかないでしょうけれども、事務局にお願いしたい のは、議論中ではありますけれども、将来どうなっていくのか、そうなった場合にどういうこ とが起きるのかについて情報を十分に出していただきたい。
私が聞いているところでは、例えば大気汚染物資についての全国のモニタリングがあります けれども、地方によっては補助金がなくなるので、モニタリングができなくなるのではないか と心配されているそうです、それからダイオキシン対策でごみ処理場を改造しなくてはいけ。 ないのだけれども、国の要求するようなごみ処理場はとてもできないのではないかということ で、非常に環境対策に熱心ではあるけれども、財政状況のよくない市町村などは、やりたいけ れども金がないからできないというところがいずれ出てくることは明らかであります。その意 味では、これまでは国からの地方交付税や補助金などで環境対策をやってきた財政の余り豊か でない市町村や県には、地方分権によって影響がいずれ及んでくるであろうと思われます。そ の場合に、その影響は、環境のように直接に目に見える利益のないところ、長期的にしか効果 が出ないところに
は、直接しわ寄せが起きてくるはずです。私は、その意味では国と地方との関係で言えば、こ の地方分権の影響は、数年内に効いてくる、5年ぐらいの内に効いてくるのではないかと思っ ています。ですから、東京都のようなところは心配しなくてもいいのですけれども、財政赤字 に悩んでいるところで、しかも自然の保全とか、先ほど鷲谷さんのおっしゃった絶滅危惧種な どが問題になっている地方自治体では大きな影響が出てくると思います。
そこで、今それを巻き返せとは言いませんけれども、少なくとも地方分権なるものの影響が どうなるであろうかということについての見通しについては、環境省で今の時点でしっかり押 さえておいていただきたい。我々としては、それを踏まえて、地方分権に反対するかどうかと いうことはともかくとして、今こういう状況でこういう問題が起きるのだという見通しを地方 自治体と我々とはシェアしておきたいと思います「議論中」ということですから、もしかす。 ると小泉内閣は「環境だけは別だ」ということで環境に関する税金などを優遇するかもしれ、 ません。ですから、いろいろなシナリオがあるかもしれませんけれども、少なくともいろいろ な代替案を含めて考えられるシナリオについて、地方分権のインパクトについてもきちっと資 料を整理しておいていただきたいと思います。