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第3回環境基本問題懇談会(1月22日開催)における
主な意見(議事要旨)


<日時> 平成16年1月22日(木) 10:00〜12:00
<場所> 環境省第1会議室
○現在、日本にはどこにもビジョンがない。20年、30年先に日本がどうなるのかさっぱり分からない。環境からみて30年後を見据えた議論を行い、こうでなければというビジョンを持つべき。企業などは将来に向けて複数の案を持ちながら行き先を模索しているのが現状。またグローバルな戦略を持つことも重要。

○様々な個別の戦略はよくできているが、それが具体的に予算や施策、立法とどうつながっていくか提示できない。戦略を提示するだけで終わってしまう。予算等とのつながりも考えた実現につなげる道筋を示すべき。例えば水素社会実現のための戦略を作って関係者が協力することが大切と指摘されているがなかなか進んでいないことが課題。

○国際社会でのリーダーシップをとり、地域を活性化するためには国が明確な方向性を示すべき。環境破壊は深刻であり、経済界からも安定性が求められていることから一刻も早く持続可能な社会を目指したビジョンを策定する必要がある。その進捗状況を把握するためにドイツや英国で導入されている様々な指標を用いた評価を行うとよい。

○経済といっても、大きく見ると産業と生活に分かれ、細かく見れば生産、オフィス、生活、運輸などにわたっており、これらを踏まえたきめ細かな方向性、ビジョン作りが必要。

○地域にとっては公共事業が経済に占める割合が大きい。地域における経済と環境の統合のためには公共事業のグリーン化が是非とも必要である。

○農林水産業の再評価は、現在の農林水産業は負荷が大きい活動であることを前提の上で見直しされるべき。

○有明海の再生を例に取ると、地域全体での農業・漁業のグリーン化が必要であるのに、施策が省庁別に完全な縦割りになりうまくいっていない。環境保全を軸に全体的なビジョンを作って、総合的な取組を進めることが必要。

○コウノトリの保護をシンボルにまちづくりを行ってきたが、コウノトリが住める地域にするためにはもっと取組が必要。コウノトリを守ることでまちを元気にしたいと思っており、今、「環境経済戦略」を作ろうとしている。バイオマスの利用やESCOの活用など様々な取組を通じて環境保全を行うことと、暮らしが豊かになる、雇用が増えるということが矛盾しないということを具体的に示したい。このような取組が地域で進めば、日本が変わると信じている。

○環境と経済が両立しないのは発展途上国。途上国では生産能力の増強にめいっぱい投資が必要であり、環境対応投資を行うと生産能力が落ちる。日本は逆に生産設備が過剰になっており、新規投資先がないことが課題。こうした状況の下では、環境投資は経済の発展につながる。

○環境対策の経済への影響についていえば、環境対策は環境投資を生み、経済効果としては中立的である。一方、業種間、また各業内の企業間では、winnerとloserが生じる。しかし、winner、loserが生じること自体を嫌う向きがあるが。

○環境は、本来市場メカニズムに乗らないものであり、コストを内部化すること、例えば環境税を導入することで市場メカニズムに乗せることができる。具体的な制度設計では、国際競争力への配慮などヨーロッパ各国で苦労してきた制度作りに学んで、きめ細かに議論することが必要。

○環境は公共財とあるが、公共財は経済学上、タダという意味合いを持つ。そうではなくて環境は有料という考え方を取る必要がある。

○環境政策において、コストとか誰が費用を負担するかという議論が、タブーになっているのか、なさすぎる。

○コスト・ベネフィット分析は、評価の対象となる時間、場所を広く取ると全く違う結果が出てくる。手間をかける有機農作物の価格は高いが、農薬を使うことで健康、生態系を守るために社会(消費者)が負担するコスト(水道水を安全にするための処理コスト等)を考えると長期的に見れば引き合うこともある。

○企業における技術革新は、不足や制約があることが前提。1991年の平成不況以降成長の原動力が無くなってきたが、まさに環境は乗り越えるべき「不足、制約」であり、環境による技術開発が大切。

○エコマテリアルは、ここ10年程度の間に飛躍的に増加したがその背景は、廃掃法や各種リサイクル法、グリーン購入法による規制。イノベーションを要求する規制があった。

○直接規制はやむを得ない局面で用いる手段であり、あらゆる場面で優先される手段ではないことを合意することによって、様々な手法が導入しやすくなるのではないか。

○取組の主体は、国民、企業であり、その取組を進めるための仕掛け作りが大切。責任を共有する社会、パートナーシップで取り組む社会作りが必要。

○環境と経済の統合のためには、いろんな場で企業が環境配慮を徹底すること、そうした取組についての情報が消費者、投資者に正確に伝わっていくことの2つが重要。そうすると環境保全に取り組む企業への投資や商品選択が進むことになる。

○行動選択の合理性は何も経済合理性に限らない。我が国にあった伝統的な商道徳は人と人との関係を円滑にすることを重視しており、こうした我が国に元々あった伝統的な商道徳を経済モラルのひとつにしていくことも環境に配慮するよい企業活動につながるのではないか。

○環境基本法や基本計画に言う「自主的取組」は、企業に自由に取組を委ねることではない。社会的な枠組み、システムを持った自主的取組を指している。企業の社会的責任に関する取組もこうした「仕組み」に成熟できるかが鍵となる。

○CSR等についていえば、こうした取組が収益を確保できるのか疑問。しっかりとした分析を行い、これを担保する社会制度をどう構築するか考える必要がある。憲法に書くとか、商法の仕組みに組み込むことまで検討しないと、環境と経済の統合は困難かもしれない。

○企業の社会的責任は、もともと1970年代に始まった言葉。経済が成熟的になると企業の社会性に注目が集まると考えられる。